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18 国立高等専門学校機構

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公表表紙

(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 給 の 給 料 月 額 ( 単 位 : ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 135, , , , , ,600

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1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

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定款

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 (24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 号 級 の 給 料 月 額 最 高 号 級 の 給 料 月 額 1 級 ( 単 位 : ) 2 級 3 級 4 級 5 級 6 級 7 級 8 級 9 級 1 級 135,6 185,8 222,9 261,

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2 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 ( 平 成 22 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与

3 職 員 の 平 均 給 与 月 額 初 任 給 等 の 状 況 (1) 職 員 の 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 及 び 平 均 給 与 月 額 の 状 況 (23 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 一 般 行 政 職 平 均 年 齢 平 均 給 料 月 額 平 均 給 与 月 額

接 支 払 制 度 を 活 用 するか 意 思 を 確 認 する 確 認 に 当 たっては 次 の 各 号 に 掲 げる 事 項 について 書 面 により 世 帯 主 の 合 意 を 得 て 代 理 契 約 を 締 結 するものとする (1) 医 療 機 関 等 が 本 市 に 対 し 世 帯 主

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

技 能 労 務 職 公 務 員 民 間 参 考 区 分 平 均 年 齢 職 員 数 平 均 給 与 月 額 平 均 給 与 月 額 平 均 給 料 月 額 (A) ( 国 ベース) 平 均 年 齢 平 均 給 与 月 額 対 応 する 民 間 の 類 似 職 種 東 庄 町 51.3 歳 18 77

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2 一 般 行 政 職 給 料 表 の 状 況 ( 平 成 24 年 4 月 1 日 現 在 ) 1 級 2 級 3 級 4 級 5 級 ( 単 位 : ) 6 級 7 級 8 級 1 号 給 の 給 料 月 額 135,6 185,8 222,9 261,9 289,2 32,6 366,2 41

介護保険制度改正にかかる事業所説明会

Transcription:

特 別 解 説 新 たな 機 能 性 表 示 食 品 の 届 出 制 度 について お お た に と し お 東 京 農 工 大 学 農 学 部 卒 業 農 林 水 産 省 食 品 総 合 研 究 所 入 所, 農 林 水 産 省 農 林 水 産 技 術 会 議 事 務 局, 内 閣 府 食 品 安 全 委 員 会 事 務 局 等 を 経 て, 現 在,( 独 ) 農 研 機 構 理 事, 食 品 総 合 研 究 所 長 農 学 博 士 ( 九 州 大 学 ) 大 谷 敏 郎 2015( 平 成 27) 年 2 月 に 消 費 者 庁 から 機 能 性 表 示 食 品 の 届 出 等 に 関 するガイドライン( 案 ) が 公 表 された 引 き 続 き3 月 には 全 国 で, 食 品 表 示 基 準 および 新 たな 機 能 性 表 示 食 品 に 係 る 説 明 会 が 開 催 され, 新 制 度 がいよいよ 具 体 的 に 動 き 出 し た 2013( 平 成 25) 年 6 月,いわゆるアベノミ クスの 一 貫 として, 加 工 食 品 及 び 農 林 水 産 物 に 関 し, 企 業 等 の 責 任 において 科 学 的 根 拠 をもとに 機 能 性 を 表 示 できる 新 たな 表 示 制 度 を 作 ること が 閣 議 決 定 された これを 受 け, 消 費 者 庁 におい 第 1 図 現 行 の 食 品 機 能 性 表 示 制 度 消 費 者 庁 の 食 品 の 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 係 る 食 品 表 示 基 準 案 (パブコメ)の 説 明 会 資 料 2) に 加 筆 て 食 品 の 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 関 する 検 討 会 1) が 組 織 され, 約 8カ 月 の 検 討 の 結 果, 昨 年 7 月 に 報 告 書 がまとまった その 後, 報 告 書 に ついての 説 明 会 やパブリックコメントでの 国 民 の 意 見 収 集 が 終 了 し,ようやく 具 体 的 なガイドライ ン( 案 )が 公 表 された 本 稿 では,この 新 たな 機 能 性 表 示 食 品 の 届 出 制 度 について, 検 討 の 経 緯 と ガイドライン( 案 )について 概 説 する 1. 現 行 の 機 能 性 表 示 制 度 と 問 題 点 第 1 図 は, 現 行 の 食 品 の 機 能 性 表 示 制 度 の 概 要 であ る 法 律 的 にヒトの 口 の 中 に 入 るものは 食 品 と 医 薬 品 の2つに 分 類 されている 食 品 の 分 類 の 中 でも, 包 装 容 器 に 効 能 や 効 果 を 表 示 で きる 食 品 は, 特 定 保 健 用 食 品 と 栄 養 機 能 食 品 の2 種 類 のみが 厚 生 労 働 省 によって 定 められている この 他, 病 院 食 やベビーフードなど の 特 別 用 途 食 品 の 分 類 があ る 特 定 保 健 用 食 品 は, 特 保 と 呼 ばれる 食 品 で, 食 品 と 容 器 255

1991 年 に 世 界 に 先 駆 けて 表 示 が 認 められた 機 能 性 食 品 の 表 示 制 度 であり, 個 別 の 商 品 ごとに, 厚 生 労 働 省 が 許 可 を 与 える 制 度 で, 現 在 1100 以 上 の 品 目 が 認 定 されている 一 方, 栄 養 機 能 食 品 はあらかじめ 決 められたビタミン12 種 類 とミネ ラル5 種 類 についてのみを 表 示 可 能 とする 仕 組 み であり,こちらは 規 格 基 準 型 の 制 度 となっている 一 方,この 特 保 と 栄 養 機 能 食 品 に 属 さ ないが, 体 に 良 いとされている, いわゆる 健 康 食 品 がある しかしながら, 科 学 的 な 裏 付 けに よって, 健 康 への 効 果 が 確 認 されているのは 特 保 と 栄 養 機 能 食 品 だけで, いわゆる 健 康 食 品 は,ヒトの 健 康 に 対 する 科 学 的 根 拠 は 十 分 とはいえず,また, 品 質 の 管 理 が 十 分 ではないこ とが 多 く,しばしば 健 康 被 害 を 引 き 起 こすことが 報 告 されている 特 保 における 表 示 は, 例 えば, 血 糖 値 上 昇 抑 制 作 用 に 関 しては, 糖 の 吸 収 を 穏 やかにしま す, 食 後 の 血 糖 値 が 気 になる 方 に 適 していま す, 脂 質 代 謝 改 善 関 係 では, 体 脂 肪 が 気 になる 方 に 適 しています, 歯 や 歯 茎 関 係 では, 歯 を 丈 夫 で 健 康 にします と 表 示 することが 認 められて いる いずれも 極 めて 定 性 的 な 表 現 で, 消 費 者 が 商 品 を 選 択 する 際 の 助 けにならないとの 指 摘 があ る 栄 養 機 能 食 品 では,ビタミン C の 場 合, ビタミン C は, 皮 膚 や 粘 膜 の 健 康 維 持 を 助 ける とともに, 抗 酸 化 作 用 を 持 つ 栄 養 素 です と 表 示 するとともに, 本 品 は, 多 量 摂 取 により 疾 病 が 治 癒 したり,より 健 康 が 増 進 するものではありま せん 1 日 の 摂 取 目 安 量 を 守 ってください と いった 注 意 喚 起 表 示 が 義 務 づけられている さらに, 特 保 に 関 しては, 個 別 の 商 品 ごとに, 有 効 性 や 安 全 性 に 係 るヒト 試 験 が 必 須 であるため, 許 可 手 続 きに 時 間 と 費 用 がかかるという 問 題 点, 栄 養 機 能 食 品 に 関 しては, 栄 養 成 分 のみに 限 定 されているという 問 題 点 が 指 摘 されていた 2. 規 制 改 革 会 議 における 決 定 と 検 討 の 経 緯 機 能 性 食 品 の 表 示 に 関 して, 消 費 者 に 誤 解 を 与 えず 商 品 選 択 を 可 能 にするため, 規 制 改 革 会 議 に おいて 検 討 が 進 められ,2013( 平 成 25) 年 6 月 14 日 に, 規 制 改 革 実 施 計 画 および 日 本 再 興 戦 略 の 中 で, いわゆる 健 康 食 品 等 の 加 工 食 品 及 び 農 林 水 産 物 に 関 し, 企 業 等 の 責 任 において 科 学 的 根 拠 をもとに 機 能 性 を 表 示 できる 新 たな 方 策 につい て,2013( 平 成 25) 年 度 中 に 検 討 を 開 始 し, 平 成 26 年 度 中 に 結 論 を 得 た 上 で 実 施 する とする 方 針 が 閣 議 決 定 された その 際, 検 討 に 当 たっ ては, 米 国 のダイエタリーサプリメントの 表 示 制 度 を 参 考 にすること, 安 全 性 の 確 保 も 含 めた 運 用 が 可 能 な 仕 組 み とすることも 決 定 されている この 閣 議 決 定 を 受 け, 消 費 者 庁 において 食 品 の 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 関 する 検 討 会 が 設 置 され, 医 学, 薬 学, 食 品, 安 全 等 の 学 識 経 験 者, 消 費 者 関 連 団 体, 事 業 者 団 体 等 の14 名 の 委 員 で, 2013( 平 成 25) 年 12 月 20 日 の 第 1 回 から2014 ( 平 成 26) 年 7 月 18 日 の 第 8 回 にかけ, 主 に,1) 安 全 性 の 確 保,2) 機 能 性 表 示 を 行 うに 当 たって 必 要 な 科 学 根 拠 の 設 定,3) 適 正 な 表 示 による 消 費 者 への 情 報 提 供 や 食 品 表 示 制 度 としての 国 の 関 与,について 討 議 が 行 われ, 著 者 も 委 員 の1 人 と して 議 論 に 参 加 した 1)の 安 全 性 については,サプリメント 形 状 の 加 工 食 品 の 過 剰 摂 取 問 題 とサプリメントを 過 信 す るあまり 本 来 の 薬 を 使 用 しなくなることによる 健 康 被 害 の 問 題 が 主 な 論 点 であった 農 林 水 産 物 に ついては 基 本 的 に 食 経 験 があるとの 認 識 で, 安 全 性 については 大 きな 問 題 とはならなかった 2) の 機 能 性 については, 関 与 成 分 の 質 と 量 を 担 保 す る 方 法 論 と 構 造 / 機 能 表 示 をどこまで 可 能 とする かが 大 きな 論 点 となった 構 造 / 機 能 表 示 とは, 人 体 の 部 位, 例 えば 手 や 足, 鼻, 関 節 などについ て, 効 果 効 能 を 表 示 することで,これまでの 特 保 や 栄 養 機 能 食 品,あるいは 薬 と,どのよ うに 仕 分 けをするのかについて 検 討 が 進 められた 3)の 情 報 提 供 や 国 の 関 与 については, 健 康 の 大 前 提 となるバランスの 取 れた 食 生 活 の 重 要 性 など の 消 費 者 教 育, 企 業 等 の 責 任 において 表 示 される 制 度 であるが, 国 が 販 売 後 の 監 視 を 徹 底 すること の 必 要 性 などが 討 議 された 検 討 会 では 毎 回, 消 費 者 庁 や 農 林 水 産 省, 各 委 食 品 と 容 器 256

員から多くの資 料が提出されて 活発な討議が行 われ 最終的に 委員会としての 報告書が7月30 日に消費者庁長 官に提出された これを受け 消 費 者 庁 で は 8月28日から 9月26日まで意 見募集 いわゆ るパブコメ パ ブリックコメン ト が行われ また全国4カ所 で計6回の説明 第2図 新たな機能性表示制度の概要 された 機能性表示食品の届出等に関するガイド 会が行われた その後 前述のように2015 平 ライン構成 案 の最初の部分である 成27 年2月19日にガイドライン 案 が公表 され 3月から全国7カ所での説明会が開催され 新たな届出制度が始まることになった 届出に際しては 届出ようとしている食品が 今回の制度の対象となるかどうかの判断をする必 要がある 今回の届出制度は 第1図に示したよ 3 新たな機能性表示制度の概要 うに 薬 ではなく 食品 が対象であること り か ん から 疾病に罹患している者 は除く他 未成 第2図は 消費者庁が説明会で用いた 新しい 年者 妊産婦 授乳婦 を対象としないこと 機能性表示制度の概要 の図である 安全性と機 能性について確認した後 消 費者に誤解を与えないための 表示方法 国の関与のあり方 販売開始後の国の対応などの 方針に沿った内容であれば 届出が可能なことが簡潔にま とめられている 以下 消費 者庁のガイドライン 案 を 使いながら 新しい機能性表 示食品の届出制度について概 説する 1 対象食品となるかの 判断 第3ー1図は 消費者庁か らガイドラインの説明会で示 食品と容器 第3ー1図 機能性表示食品の届出等に関するガイドライン構成 案 その1 消費者庁の 食品表示基準及び新たな機能性表示制度に係る説明会資料 3) から抜粋 257 2015 VOL. 56 NO. 4

が 条 件 となっている 未 成 年 者 や 妊 産 婦 等 の 対 象 者 は, 検 討 会 の 議 論 の 中 で,サプリメン ト 形 状 の 食 品 の 過 剰 摂 取 の 問 題 や 本 来 の 薬 を 使 用 しなくなる 問 題 などから, 今 回 の 制 度 の 対 象 から は 除 くことになった ただし, 生 鮮 食 品 に 関 して は, 豊 富 な 食 経 験 があり,むしろ 未 成 年 者 や 妊 産 婦 等 の 対 象 者 に 摂 取 していただきたいこ とから, 対 象 者 から 除 外 しないことになっている (ガイドライン( 案 ),p.98 包 装 容 器 への 表 示 事 項 参 照 ) また, 機 能 性 の 関 与 成 分 が 明 らかなことが 条 件 になっている これまでの 農 産 物 の 加 工 品 などで 関 与 成 分 が 明 らかではないが, 効 果 について 言 及 している 製 品 は 対 象 外 である 関 与 成 分 について は, 標 準 化 された 分 析 方 法 で 定 量 可 能 なこと, 作 用 機 序 がなんらかの 実 験 により 考 察 されているこ とが 条 件 になっている 作 用 機 序 に 関 しては, 当 初 は, 明 らかになっていること,を 条 件 とするこ とで 検 討 が 進 められたが, 必 ずしも 医 薬 品 のよう に 明 らかにはできないケースも 多 いことから, 考 察 するという 表 現 となった さらに, 摂 取 するこ とにより 同 時 にアルコール,ナトリウム 等 を 過 剰 摂 取 する 恐 れのある 食 品 は 除 外 されている 食 事 摂 取 基 準 に 基 準 が 策 定 されている 栄 養 成 分, 栄 養 機 能 食 品 も 対 象 外 とされているが, 各 種 アミノ 酸, ペプチド 類,アラキドン 酸,EPA, 難 消 化 デキス トリン,β - クリプトキサンチン 等, 除 外 成 分 が 第 3ー2 図 機 能 性 表 示 食 品 の 届 出 等 に 関 するガイドライン 構 成 ( 案 )その2 消 費 者 庁 の 食 品 表 示 基 準 及 び 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 係 る 説 明 会 資 料 3) から 抜 粋 明 らかにされている (2) 安 全 性 の 根 拠 第 3ー 1 図 に 示 したように, 安 全 性 の 根 拠 は, 主 に 食 経 験 ( 喫 食 実 績 )と 相 互 作 用 を 明 らかにす ることにより 行 われる 食 経 験 については, 例 え ば, 高 齢 者 による 摂 取 を 主 眼 としているが,それ 以 外 の 者 が 摂 取 する 場 合 などにおいて, 機 能 性 関 与 成 分 の1 日 当 たりの 摂 取 目 安 量 を 同 等 以 上 含 む 食 品 について 一 定 期 間 の 喫 食 実 績 があることが 条 件 となっている また, 国 外 での 食 経 験 について は, 日 本 人 の 食 生 活 栄 養 状 態, 衛 生 面, 経 済 面 等 を 勘 案 し, 類 似 の 国 又 は 地 域 で, 一 定 期 間, 一 般 的 に 摂 食 の 実 績 があることが 要 件 になっている 一 方, 生 鮮 食 品 や 限 られた 地 域 で 製 造 された 単 一 の 農 林 水 産 物 のみが 原 材 料 である 加 工 食 品 (いわ ゆる 特 産 品 )は, 全 国 規 模 での 摂 食 実 績 がなくて もよいとされている なお, 検 討 会 では, 非 常 に 狭 い 地 域 で, 限 定 的 に 摂 食 されている 食 品 につい ては, 場 合 ごとに 対 応 するとの 議 論 があった 機 能 性 関 与 成 分 と 医 薬 品 との 相 互 作 用, 複 数 の 機 能 性 関 与 成 分 同 士 の 相 互 作 用 については, 公 的 なデータベース 等 を 検 索 した 上, 評 価 することに なっている (3) 生 産 製 造 及 び 品 質 の 管 理 及 び 健 康 被 害 の 情 報 収 集 体 制 届 出 をしようとする 食 品 が, 新 しい 制 度 の 対 象 となり, 安 全 性 にも 根 拠 があるとなると, 次 に, その 品 質 の 管 理 について 検 討 することになる 第 3ー 2 図 に, 生 産 製 造 及 び 品 質 の 管 理 及 び 健 康 被 害 の 情 報 収 集 体 制 の 検 討 項 目 を 示 した 機 能 性 関 与 成 分 の 品 質 管 理, 特 に 安 全 性 に 関 す る 品 質 管 理 については,サ プリメントをはじめとする 加 工 食 品 では HACCP 等 の 厳 しい 品 質 管 理 が 求 められ ている 生 鮮 食 品 に 関 して の 生 産 情 報 については, 生 産 製 造 及 び 品 質 管 理 食 品 と 容 器 258

が 実 施 されていなければ 機 能 性 表 示 ができないという ものではないが, 実 施 の 有 無 を 明 らかにし, 消 費 者 の 食 品 の 選 択 に 資 する 情 報 と 位 置 付 けられている 生 鮮 食 品 の, 生 産, 採 取, 漁 獲 等 の 衛 生 管 理 の 取 り 組 み 状 況 について, 届 出 書 に 添 付 する 他, 機 能 性 関 与 成 分 のバラツキが 大 きくなる 場 合 があるので, 産 地, 品 種, 第 3ー3 図 機 能 性 表 示 食 品 の 届 出 等 に 関 するガイドライン 構 成 ( 案 )その3 消 費 者 庁 の 食 品 表 示 基 準 及 び 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 係 る 説 明 会 資 料 栽 培 時 期, 肥 培 管 理, 収 3) から 抜 粋 穫 調 整 等 について,できる 限 り 記 載 することに きわめて 簡 潔 に 書 かれているが, 今 回 のガイドラ なっている なお, 農 林 水 産 物 の 機 能 性 成 分 のバ インでは 最 も 重 要 な 項 目 である ラツキについては, 農 林 水 産 省 においてサンプリ 第 4 図 に, 消 費 者 庁 が 昨 年 8 月 から9 月 に 説 明 ング 分 析 手 法 が 別 途 検 討 されている 会 で 使 用 した 資 料 を 示 した 臨 床 試 験 においては, また, 加 工 食 品, 生 鮮 食 品 共 に, 表 示 内 容 を 保 臨 床 試 験 の 質 を 担 保 するため, 近 年 登 録 すること 証 するため, 信 頼 性 が 確 保 された 分 析 法 での 機 能 が 必 須 となっている UMIN-CTR( 大 学 病 院 医 療 性 成 分 の 分 析, 規 格 外 製 品 の 出 荷 防 止 対 策, 健 康 情 報 ネットワーク 臨 床 試 験 登 録 システム) への 事 被 害 の 発 生 時 に 的 確 に 対 応 するための 情 報 収 集 体 前 登 録 を 行 った 上 で, 研 究 結 果 については, 国 際 制 や 連 絡 体 制 の 確 立 が 求 められている 生 鮮 食 品 的 にコンセンサスの 得 られた 形 式 で 論 文 化 するた の 場 合, 健 康 被 害 発 生 時 の 検 証 のための 試 料 の 確 め の 指 針 (CONSORT(Consolidated Standards 保 や 分 析,お 客 様 相 談 室 の 設 置 と 健 康 被 害 発 生 時 of Reporting Trials) 声 明 ) 等 に 沿 って, 査 読 付 き の 連 絡 体 制 等 は, 従 来 の 生 鮮 食 品 では 一 般 的 では 論 文 をまとめることが 必 須 とされている ただし, ない 考 え 方 なので 注 意 を 要 する これらのシステムは 比 較 的 近 年 に 導 入 されたため, (4) 機 能 性 の 根 拠 第 3ー 3 図 に 示 す ように, 機 能 性 を 証 明 するのに 必 要 な 科 学 的 根 拠 については, 1) 最 終 製 品 を 用 い た 臨 床 試 験, 又 は 2) 最 終 製 品 又 は 機 能 性 関 与 成 分 に 関 す る 研 究 レビュー,の いずれかを 実 施 すれ ばよいことになった このガイドライン 第 4 図 機 能 性 の 科 学 的 根 拠 の 考 え 方 消 費 者 庁 の 食 品 の 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 係 る 食 品 表 示 基 準 案 (パブコメ)の 説 明 会 資 料 の 構 成 ( 案 )では, 2) に 加 筆 食 品 と 容 器 259

それ 以 前 に 行 われた 臨 床 研 究 結 果 を 救 済 するため に, 経 過 措 置 期 間 を 設 けることとなっている ま た,ガイドライン( 案 )には, 臨 床 試 験 の 実 施 は, 特 定 保 健 用 食 品 の 試 験 方 法 に 準 拠 し, 被 験 者 は, 原 則 として, 疾 病 に 罹 患 していない 者 ( 未 成 年 者, 妊 産 婦, 授 乳 婦 は 除 く)から 選 定 すること, 表 示 しようとする 機 能 性 と 関 連 しないことが 医 学 的 に 明 らかな 疾 病 の 患 者 のデータは 用 いても 差 し 支 え ないこと, 被 験 者 は, 当 該 疾 病 について 広 くコン センサスの 得 られた 診 断 基 準 等 で 判 断 すること 等 が 示 されている さらに, 臨 床 試 験 の 結 果 を 一 般 の 消 費 者 向 けに 説 明 することが 求 められており, そのために 平 易 な 言 葉 で 作 成 する, 構 造 化 抄 録 (1000 文 字 以 内 )の 内 容 も 細 かく 示 されている 研 究 レビューについては, 定 性 的 研 究 レビュー 又 は 定 量 的 研 究 レビュー(メタアナリシス)を 実 施 し, totality of evidence ( 関 連 研 究 について, 肯 定 的 否 定 的 内 容 及 び 研 究 デザインを 問 わず 検 討 し, 総 合 的 観 点 から 肯 定 的 といえるかを 判 断 ) の 観 点 から, 表 示 しようとする 機 能 性 について 肯 定 的 と 判 断 できるものに 限 り, 機 能 性 表 示 食 品 の 機 能 性 の 科 学 的 根 拠 にできるとされている その 際,レビューの 対 象 者 は, 疾 病 に 罹 患 していない 者 (トクホの 試 験 方 法 として 記 載 された 範 囲 内 に 限 り, 軽 症 者 が 含 まれてもよいが, 疾 病 に 罹 患 し ていない 者 のレビューも 実 施 )とすることになっ ている また, 複 数 の 機 能 性 関 与 成 分 の 場 合 は, 成 分 ごとに 機 能 性 を 実 証 することになった ガイ ドラインでは, 報 告 書 について PRISMA 声 明 2009チェックリストに 準 拠 した 形 式 での 記 載 が 求 められている PRISMA(Preferred Reporting Items for Systematic Reviews and Meta- Analyses) 声 明 は, 系 統 的 レビュー メタアナリ シス 報 告 の 標 準 化 を 目 的 とした 指 針 で,システマ ティックレビューやメタアナリシスの 報 告 の 質 の 向 上 のために,2009 年 新 たに 改 良 して 発 表 され た 声 明 であり, 今 後 のシステマティックレビュー はこの 声 明 に 則 って 報 告 することになるため,ガ イドラインでも 多 くのページが 割 かれ,チェック リストが 別 紙 として 添 付 されている 研 究 レビューについて 厳 密 な 根 拠 が 求 められ る 背 景 には,1994 年 に 施 行 された 米 国 のダイエ タリーサプリメント 表 示 制 度 ( 栄 養 補 助 食 品 健 康 教 育 法 :DSHEA(Dietary Supplement Health and Education Act)) 自 体 についての 調 査 研 究 結 果 がある 2012 年 にこの 制 度 に 則 った 市 販 の 製 品 を 調 査 したところ, 科 学 的 根 拠 とされた 文 献 の 約 1 割 が,ネット 上 の 情 報, 企 業 のプレスリリ ースや 宣 伝, 手 書 きの 学 生 論 文 などを 根 拠 にして おり,FDA のガイドラインにまったく 沿 ってい なかったことが 明 らかになった このことから, わが 国 の 新 しい 制 度 ではより 厳 しい 対 応 が 求 めら れることになった 研 究 レビューにおいては, 臨 床 試 験 における 肯 定 的 結 果 が 必 須 となっているが, 生 鮮 食 品 および サプリメント 形 状 以 外 の 加 工 品 に 関 しては, 臨 床 試 験 に 加 え, 観 察 研 究 における 肯 定 的 結 果 につい ても 根 拠 とすることができることになった この 点 は 農 林 水 産 物 等 の 生 鮮 食 品 を 評 価 する 上 で 大 い に 前 進 した ただし, 研 究 レビューについては, 科 学 的 根 拠 とされた 研 究 が 外 国 で 行 われた 場 合, そのデータを 日 本 人 に 外 挿 できるかを 考 慮 するこ とが 求 められている また 同 時 に,レビューに 用 いた 試 料 と 最 終 製 品 の 同 等 性 についても 考 慮 する ことが 必 須 とされている なお, 農 林 水 産 物 における 最 終 製 品 とは, 品 種 で 規 定 するか,いわゆる 産 地 としてブランド 名 が 広 く 知 られている 地 域 で 生 産 されている 農 林 水 産 物 を 指 すということになった さらに, 臨 床 研 究 や 研 究 レビューを 行 う 際 に, 官 能 評 価 などで 使 わ れる 主 観 的 な 指 標 ( 視 覚 的 評 価 スケール:VAS (Visual Analog Scale))も 評 価 の 対 象 として 利 用 できることとなった この 場 合 の 利 用 できる 指 標 は, 日 本 人 において 妥 当 性 が 得 られ,かつ, 学 術 的 に 広 くコンセンサスが 得 られたものに 限 ると されているが,これまで 使 用 できなかった 主 観 的 指 標 を 評 価 できることは 農 林 水 産 物 を 評 価 する 上 で 大 きな 前 進 である その 他, 報 告 書 には, 研 究 レビューの 検 討 結 果 をふくめ, 検 討 の 過 程 や 文 献 の 取 捨 選 択 などを 詳 細 に 公 表 すること, 新 たな 知 見 を 含 めて 定 期 的 に 研 究 レビューを 見 直 し 公 表 す ることなどが 明 記 されている なお, 研 究 レビュ 食 品 と 容 器 260

ーの 実 施 者 については 特 に 定 めないが, レビューの 責 任 は 最 終 製 品 の 事 業 者 が 負 うこととされている (5) 表 示 の 内 容 と 届 出 表 示 できる 内 容 は, 本 制 度 の 目 的 で ある 疾 病 に 罹 患 していない 者 の 健 康 の 維 持 及 び 増 進 に 役 立 つ 旨 又 は 適 する 旨 を 表 現 する ことを, 誤 解 のないよ うに 表 示 することが 最 優 先 事 項 となる また, 表 示 可 能 な 機 能 性 の 範 囲 は, 部 位 も 含 めた 健 康 維 持 増 進 に 関 する 表 現 が 可 能 とされているが,あくまでも 疾 病 名 など 疾 病 を 想 起 される 表 現 は 表 示 できないことになっ ている 機 能 性 の 表 示 例 を 第 1 表 に 示 した 容 器 包 装 へは, 機 能 性 関 与 成 分 名,1 日 摂 取 目 安 量,1 日 摂 取 目 安 量 当 たりの 機 能 性 関 与 成 分 の 含 有 量, 摂 取 上 の 注 意, 安 全 性 有 効 性 につい て 国 による 評 価 を 受 けたものではない 旨 の 表 示, 疾 病 の 診 断, 治 療, 予 防 を 目 的 としたものではな い 旨,バランスの 取 れた 食 生 活 の 重 要 である 旨 等 を 表 示 することになっている この 他, 安 全 性 や 有 効 性 の 科 学 的 根 拠 情 報 は,Web での 開 示 など 容 器 包 装 への 表 示 以 外 の 手 段 により, 詳 細 に 開 第 1 表 機 能 性 表 示 の 例 示 することが 求 められている さらに, 開 示 に 際 しては, 一 般 消 費 者 にも 理 解, 活 用 しやすい 形 式 を 整 備 することも 明 記 されている 現 時 点 で 想 定 される 表 示 のイメージを 第 5 図 に 示 した (6) 届 出 国 ( 消 費 者 庁 )は, 安 全 性 や 機 能 性 に 関 する 製 品 情 報 について 販 売 前 に 届 けを 受 け, 受 理 番 号 を 付 与 した 上 で 販 売 60 日 前 に 公 開 し, 広 く 国 民 に 周 知 することで, 製 品 品 質 を 担 保 することになっ ている また, 国 は 販 売 後 の 製 品 のモニタリング の 徹 底, 違 反 した 場 合 の 収 去, 施 行 状 況 の 見 直 し 等 により 新 制 度 の 適 切 な 運 用 を 図 ることも 求 めら 包 装 資 材 の 表 面 包 装 資 材 の 裏 面 第 5 図 想 定 される 生 鮮 食 品 の 機 能 性 表 示 イメージ 食 品 と 容 器 261

れている 米 国 のダイエタリーサプリメント 表 示 制 度 が, 栄 養 補 助 食 品 健 康 教 育 法 となっているよ うに,わが 国 おいてもバランスの 取 れた 食 生 活 の 普 及 啓 発, 安 全 性 も 含 めた 食 品 の 機 能 性 表 示 制 度 に 関 する 消 費 者 の 理 解 増 進 に 向 けた 取 り 組 みを 実 施 するよう 検 討 会 から 強 く 求 められている 4.おわりに 本 制 度 は, 本 来, 規 制 改 革 の 一 貫 で 検 討 された ことから, 報 告 書 の 内 容 やガイドラインは, 厳 し 過 ぎるのではないかとの 意 見 も 多 く 聞 こえる し かしながら, 一 般 的 な 商 品 の 表 示 を 考 えた 時, 表 示 をする 最 低 限 のルールは 必 要 であり, 特 に 生 鮮 食 品 に 関 していえば,ハードルは 低 くないが 道 は 拓 かれたものと 考 えている 現 在, 多 数 市 販 されている いわゆる 健 康 食 品 については, 新 しい 制 度 ができることから, これまでのようにおおらかに 販 売 することは 難 し くなることが 予 想 される これまで 以 上 に, 表 示 については 十 分 に 配 慮 した 販 売 が 望 まれる 今 回 のガイドラインでは, 食 品 の 機 能 性 表 示 を 行 う 上 での 方 法 論, 特 にヒト 試 験 については 厳 密 に 定 められた また, 機 能 性 成 分 は 定 量 可 能 で あり, 作 用 機 序 が 考 慮 されていること 等 も 求 め られていることから, 機 能 性 成 分 の 分 析 方 法 や, 細 胞 実 験 や 動 物 実 験 等 による 作 用 機 序 の 考 察 など についても 研 究 を 継 続 する 必 要 があるが, 今 後 は ヒト 試 験 による 効 果 の 検 証 が 研 究 の 中 心 となろう 農 林 水 産 物 やサプリメント 形 状 以 外 の 加 工 食 品 を 表 示 の 対 象 とした 場 合, 機 能 性 成 分 の 他, 多 様 な 成 分 が 含 まれており, 全 体 として 機 能 性 を 発 揮 していることが 多 いと 考 えられる 実 際 に 農 林 水 産 物 を 食 材 としてメニューあるいは 調 理 を 行 う 場 合,3 次 機 能 成 分 が 多 く 含 まれていても,1 次 機 能 である 栄 養 が 十 分 にあり,2 次 機 能 である 美 味 しさやテクスチャーなどにも 優 れていなくては, 食 材 に 採 用 されることはない 農 林 水 産 物 は,い わゆる 丸 ごと 評 価 すべきであり,さらに 調 理 や 加 工 されて 摂 食 されることを 考 えると, 調 理 や 加 工 後 の1 次 機 能 や2 次 機 能 も 含 めて,3 次 機 能 を 評 価 すべきである 近 年 の 分 析 機 器 や 情 報 処 理 技 術, 実 験 心 理 学 の 発 展, 医 学 や 栄 養 学 との 密 接 な 連 携 など,これまでに 考 えられなかった 研 究 手 法 で, 包 括 的 な 食 品 機 能 研 究 を 推 進 する 時 期 に 来 ている と 考 えている 本 誌 の2014( 平 成 26) 年 1 月 号 の 新 春 誌 上 座 談 会 において, エビデンス( 科 学 的 証 拠 )に 基 づく 機 能 性 食 品 健 康 長 寿 社 会 の 実 現 に 向 けて の 特 集 が 組 まれ, 食 品 の 機 能 性 について, 機 能 性 はもとより,ヒト 試 験 や 安 全 性, 国 内 外 の 制 度 など,さまざまな 角 度 からの 情 報 が 整 理 されて いる 併 せて 参 考 にしていただければ 幸 いである < 参 考 URL > 1) 食 品 の 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 関 する 検 討 会, http://www.caa.go.jp/foods/index19.html#m01 2) 消 費 者 庁, 食 品 の 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 係 る 食 品 表 示 基 準 案 (パブコメ)の 説 明 会 資 料, http://www.caa.go.jp/foods/pdf/kankeisiryou_1.pdf 3) 消 費 者 庁, 食 品 表 示 基 準 及 び 新 たな 機 能 性 表 示 制 度 に 係 る 説 明 会 資 料, http://www.caa.go.jp/foods/pdf/150219_shiryou4.pdf 食 品 と 容 器 262