Ⅰ.はじめに 千 葉 ニュータウン 北 環 状 線 事 業 に 関 連 する 補 償 交 渉 過 程 における 職 員 のコンプライアン ス 違 反 等 に 関 し 4 月 13 日 の 国 土 交 通 大 臣 のご 指 示 を 踏 まえ 外 部 の 弁 護 士 4 名 からな る 調 査 委 員



Similar documents
<4D F736F F D20D8BDB8CFC8BCDED2DDC482A882E682D1BADDCCDFD7B2B1DDBD8B4B92F E646F63>

<4D F736F F D D3188C091538AC7979D8B4B92F F292B98CF092CA81698A94816A2E646F63>


Microsoft PowerPoint - 報告書(概要).ppt

Microsoft Word - 19年度(行個)答申第94号.doc

学校法人日本医科大学利益相反マネジメント規程

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

Microsoft Word 第1章 定款.doc

為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

3. 選 任 固 定 資 産 評 価 員 は 固 定 資 産 の 評 価 に 関 する 知 識 及 び 経 験 を 有 する 者 のうちから 市 町 村 長 が 当 該 市 町 村 の 議 会 の 同 意 を 得 て 選 任 する 二 以 上 の 市 町 村 の 長 は 当 該 市 町 村 の 議


Microsoft Word - 全国エリアマネジメントネットワーク規約.docx

2. ど の 様 な 経 緯 で 発 覚 し た の か ま た 遡 っ た の を 昨 年 4 月 ま で と し た の は 何 故 か 明 ら か に す る こ と 回 答 3 月 17 日 に 実 施 し た ダ イ ヤ 改 正 で 静 岡 車 両 区 の 構 内 運 転 が 静 岡 運

第2回 制度設計専門会合 事務局提出資料

<4D F736F F D C482C682EA817A89BA90BF8E7793B1834B A4F8D91906C8DDE8A A>

疑わしい取引の参考事例

●電力自由化推進法案

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

定款

< 現 在 の 我 が 国 D&O 保 険 の 基 本 的 な 設 計 (イメージ)> < 一 般 的 な 補 償 の 範 囲 の 概 要 > 請 求 の 形 態 会 社 の 役 員 会 社 による 請 求 に 対 する 損 免 責 事 由 の 場 合 に 害 賠 償 請 求 は 補 償 されず(

は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

の 権 限 と 責 任 を 明 確 に 定 め,これを 学 内 外 に 公 表 し, 関 係 者 に 周 知 するものとする ( 不 正 防 止 計 画 ) 第 6 条 最 高 管 理 責 任 者 は, 公 的 研 究 費 の 不 正 使 用 の 防 止 計 画 ( 以 下 不 正 防 止 計 画

Microsoft Word 差替_【900】(旧69)「交代」120111CL.docx

Microsoft Word - 佐野市生活排水処理構想(案).doc

中根・金田台地区 平成23年度補償説明業務

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

当社の法人関係情報の管理態勢およびその強化に向けた今後の対応策について

<4D F736F F D208E52979C8CA78E598BC68F5790CF91A390698F9590AC8BE08CF D6A2E646F6378>

(2) 検 体 採 取 に 応 ずること (3) ドーピング 防 止 と 関 連 して 自 己 が 摂 取 し 使 用 するものに 責 任 をもつこと (4) 医 師 に 禁 止 物 質 及 び 禁 止 方 法 を 使 用 してはならないという 自 己 の 義 務 を 伝 え 自 己 に 施 される

プライバシーマーク 付 与 適 格 性 審 査 業 務 基 本 規 程 改 廃 履 歴 版 数 制 定 改 定 日 改 訂 箇 所 改 訂 理 由 備 考 年 8 月 26 日 初 版 制 定 年 7 月 1 日 JIPDEC プライバシーマーク 制 度 基 本

弁護士報酬規定(抜粋)

Microsoft Word 役員選挙規程.doc

横浜市障害者ガイドヘルプ事業実施要綱

する 婦 人 相 談 所 その 他 適 切 な 施 設 による 支 援 の 明 記 禁 止 命 令 等 をすることが できる 公 安 委 員 会 等 の 拡 大 等 の 措 置 が 講 じられたものである 第 2 改 正 法 の 概 要 1 電 子 メールを 送 信 する 行 為 の 規 制 ( 法

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

Taro-データ公安委員会相互協力事

<4D F736F F D208DE3905F8D8291AC8B5A8CA48A948EAE89EF8ED0208BC696B18BA492CA8E64976C8F BD90AC E378C8E89FC92F994C5816A>

Microsoft Word - 19年度(行情)答申第081号.doc

( 補 助 金 の 額 ) 第 6 条 補 助 金 の 額 は 第 5 条 第 2 項 の 規 定 による 無 線 LAN 機 器 の 設 置 箇 所 数 に 1 万 5 千 円 を 掛 けた 金 額 と 第 5 条 第 3 項 に 規 定 する 補 助 対 象 経 費 の2 分 の1のいずれか 低

岡山県警察用航空機の運用等に関する訓令

目     次

スライド 1

通 知 カード と 個 人 番 号 カード の 違 い 2 通 知 カード ( 紙 )/H27.10 個 人 番 号 カード (ICカード)/H28.1 様 式 (おもて) (うら) 作 成 交 付 主 な 記 載 事 項 全 国 ( 外 国 人 含 む)に 郵 送 で 配 布 希 望 者 に 交

<947A957A8E9197BF C E786C73>

1 物品管理の内部統制について

<4D F736F F D A94BD837D836C B4B92F62E646F6378>

いう )は 警 告 をしたときは 速 やかに その 内 容 及 び 日 時 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申 出 をした 者 に 通 知 しなければならないこととされ また 警 告 をし なかったときは 速 やかに その 旨 及 び 理 由 を 当 該 警 告 を 求 める 旨 の 申

った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

4 乙 は 天 災 地 変 戦 争 暴 動 内 乱 法 令 の 制 定 改 廃 輸 送 機 関 の 事 故 その 他 の 不 可 抗 力 により 第 1 項 及 び 第 2 項 に 定 める 業 務 期 日 までに 第 1 条 第 3 項 の 適 合 書 を 交 付 することができない 場 合 は

1 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )について 林 地 台 帳 整 備 マニュアル( 案 )の 構 成 構 成 記 載 内 容 第 1 章 はじめに 本 マニュアルの 目 的 記 載 内 容 について 説 明 しています 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 林 地

Microsoft Word - 不正アクセス行為の禁止等に関する法律等に基づく公安

入 札 参 加 者 は 入 札 の 執 行 完 了 に 至 るまではいつでも 入 札 を 辞 退 することができ これを 理 由 として 以 降 の 指 名 等 において 不 利 益 な 取 扱 いを 受 けることはない 12 入 札 保 証 金 免 除 13 契 約 保 証 金 免 除 14 入

学校安全の推進に関する計画の取組事例

6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

参 考 様 式 再 就 者 から 依 頼 等 を 受 けた 場 合 の 届 出 公 平 委 員 会 委 員 長 様 年 月 日 地 方 公 務 員 法 ( 昭 和 25 年 法 律 第 261 号 ) 第 38 条 の2 第 7 項 規 定 に 基 づき 下 記 のとおり 届 出 を します この

はファクシミリ 装 置 を 用 いて 送 信 し 又 は 訪 問 する 方 法 により 当 該 債 務 を 弁 済 す ることを 要 求 し これに 対 し 債 務 者 等 から 直 接 要 求 しないよう 求 められたにもかか わらず 更 にこれらの 方 法 で 当 該 債 務 を 弁 済 するこ

答申第585号

独立行政法人国立病院機構

定款  変更

<4D F736F F D208ED089EF95DB8CAF89C193FC8FF38BB CC8EC091D492B28DB88C8B89CA82C982C282A282C42E646F63>

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

Microsoft Word - ★HP版平成27年度検査の結果

持 TFでの 検 討 を 踏 まえ 対 策 を 講 ずることといたしますが 貴 職 におかれまし ては 現 段 階 において 下 記 事 項 につきご 対 応 いただきますようお 願 い 申 し 上 げます 記 1. 貴 会 会 員 に 対 して 今 回 の 厚 生 労 働 省 からの 緊 急 要

02【発出】280328福島県警察職員男女共同参画推進行動計画(公表版)

1 総 合 設 計 一 定 規 模 以 上 の 敷 地 面 積 及 び 一 定 割 合 以 上 の 空 地 を 有 する 建 築 計 画 について 特 定 行 政 庁 の 許 可 により 容 積 率 斜 線 制 限 などの 制 限 を 緩 和 する 制 度 である 建 築 敷 地 の 共 同 化 や

- 1 - 総 控 負 傷 疾 病 療 養 産 産 女 性 責 帰 べ 由 試 ~ 8 契 約 契 約 完 了 ほ 契 約 超 締 結 専 門 的 知 識 技 術 験 専 門 的 知 識 高 大 臣 専 門 的 知 識 高 専 門 的 知 識 締 結 契 約 満 歳 締 結 契 約 契 約 係 始

平成17年度高知県県産材利用推進事業費補助金交付要綱

●労働基準法等の一部を改正する法律案

要 な 指 示 をさせることができる ( 検 査 ) 第 8 条 甲 は 乙 の 業 務 にかかる 契 約 履 行 状 況 について 作 業 完 了 後 10 日 以 内 に 検 査 を 行 うものとする ( 発 生 した 著 作 権 等 の 帰 属 ) 第 9 条 業 務 によって 甲 が 乙 に

入札公告 機動装備センター

2004年度第2回定期監査(学校)事情聴取事項

 三郷市市街化調整区域の整備及び保全の方針(案)

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務


Speed突破!Premium問題集 基本書サンプル

している 5. これに 対 して 親 会 社 の 持 分 変 動 による 差 額 を 資 本 剰 余 金 として 処 理 した 結 果 資 本 剰 余 金 残 高 が 負 の 値 となるような 場 合 の 取 扱 いの 明 確 化 を 求 めるコメントが 複 数 寄 せられた 6. コメントでは 親

< F2D8AC493C CC81698EF3928D8ED2816A2E6A7464>

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

(4) 運 転 する 学 校 職 員 が 交 通 事 故 を 起 こし 若 しくは 交 通 法 規 に 違 反 したことにより 刑 法 ( 明 治 40 年 法 律 第 45 号 ) 若 しくは 道 路 交 通 法 に 基 づく 刑 罰 を 科 せられてから1 年 を 経 過 していない 場 合 同

55

m07 北見工業大学 様式①

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

Microsoft Word - 2 答申概要.doc

異 議 申 立 人 が 主 張 する 異 議 申 立 ての 理 由 は 異 議 申 立 書 の 記 載 によると おおむね 次 のとおりである 1 処 分 庁 の 名 称 の 非 公 開 について 本 件 審 査 請 求 書 等 について 処 分 庁 を 非 公 開 とする 処 分 は 秋 田 県

スライド 1

別 紙 第 号 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 議 案 高 知 県 立 学 校 授 業 料 等 徴 収 条 例 の 一 部 を 改 正 する 条 例 を 次 のように 定 める 平 成 26 年 2 月 日 提 出 高 知 県 知 事 尾


第4回税制調査会 総4-1

ア 調 整 テーマ 別 分 科 会 (3テーマ 程 度 各 4か 月 に1 回 程 度 ) 予 定 テーマ (ア) 鎮 守 大 橋 周 辺 地 区 (イ) 内 海 橋 周 辺 地 区 (ウ) 工 事 車 両 交 通 対 策 2 トータルマネジメント 支 援 業 務 復 興 事 業 等 の 円 滑 な

<4D F736F F D2095BD90AC E D738FEE816A939A905C91E D862E646F63>

[2] 控 除 限 度 額 繰 越 欠 損 金 を 有 する 法 人 において 欠 損 金 発 生 事 業 年 度 の 翌 事 業 年 度 以 後 の 欠 損 金 の 繰 越 控 除 にあ たっては 平 成 27 年 度 税 制 改 正 により 次 ページ 以 降 で 解 説 する の 特 例 (

Microsoft Word - 通達(参考).doc

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申

Microsoft Word - 03.大和高田市仕様書 介護認定業務委託 H27

Transcription:

国 土 交 通 大 臣 石 井 啓 一 殿 千 葉 ニュータウン 北 環 状 線 事 業 に 関 連 する 補 償 交 渉 過 程 に おける 職 員 のコンプライアンス 違 反 等 に 関 する 報 告 平 成 28 年 7 月 11 日 独 立 行 政 法 人 都 市 再 生 機 構 理 事 長 上 西 郁 夫

Ⅰ.はじめに 千 葉 ニュータウン 北 環 状 線 事 業 に 関 連 する 補 償 交 渉 過 程 における 職 員 のコンプライアン ス 違 反 等 に 関 し 4 月 13 日 の 国 土 交 通 大 臣 のご 指 示 を 踏 まえ 外 部 の 弁 護 士 4 名 からな る 調 査 委 員 会 により 中 立 公 正 な 立 場 から 当 該 事 案 の 事 実 確 認 発 生 原 因 の 分 析 と 再 発 防 止 策 の 検 討 等 行 っていただいてまいりました 今 般 当 該 委 員 会 による 調 査 結 果 がまとまり その 提 言 に 基 づいて 当 機 構 として 再 発 防 止 策 を 策 定 するとともに 関 係 職 員 に 対 して 厳 正 に 対 処 しましたので ご 報 告 いたします Ⅱ. 外 部 調 査 委 員 会 による 調 査 結 果 等 の 概 要 1. 外 部 調 査 委 員 会 の 構 成 委 員 長 石 川 達 紘 ( 弁 護 士 光 和 総 合 法 律 事 務 所 ) 委 員 小 林 正 樹 ( 弁 護 士 黒 澤 升 村 小 林 法 律 事 務 所 ) 同 倉 橋 博 文 ( 弁 護 士 弁 護 士 法 人 ほくと 総 合 法 律 事 務 所 ) 同 白 井 真 ( 弁 護 士 光 和 総 合 法 律 事 務 所 ) 当 委 員 会 は 委 員 らと 独 立 行 政 法 人 都 市 再 生 機 構 ( 以 下 UR という )との 間 に 利 害 関 係 はないこと 調 査 範 囲 の 決 定 調 査 方 法 の 選 択 報 告 書 の 起 案 権 が 当 委 員 会 に 専 属 す ることなどの 点 において 日 本 弁 護 士 連 合 会 による 企 業 等 不 祥 事 における 第 三 者 委 員 会 ガ イドライン の 内 容 に 準 拠 して 設 立 されている 2. 外 部 調 査 委 員 会 の 調 査 目 的 対 象 (1) 週 刊 文 春 記 事 で 指 摘 されたUR 職 員 2 名 に 対 するS 社 総 務 担 当 者 I 氏 ( 以 下 I 氏 という )から 金 品 等 の 供 与 や 飲 食 接 待 を 受 けた 事 実 の 有 無 の 確 認 調 査 (2) 北 環 状 線 事 業 の 補 償 交 渉 に 関 して UR 職 員 2 名 がI 氏 を 始 めとするS 社 関 係 者 に 対 してURの 内 部 情 報 を 提 供 していた 事 実 の 有 無 の 確 認 調 査 (3) 北 環 状 線 事 業 その 他 のURが 実 施 する 事 業 における 補 償 交 渉 に 関 し 本 件 文 春 記 事 1

に 掲 載 された2 名 以 外 のUR 職 員 が 上 記 (1)と 同 様 に 利 害 関 係 者 から 金 品 等 の 供 与 や 飲 食 接 待 を 受 けた 事 案 の 有 無 の 確 認 調 査 (4) 本 件 補 償 交 渉 に 関 し 甘 利 氏 又 は 甘 利 氏 秘 書 からの 要 請 要 望 等 によってS 社 に 対 する 補 償 金 額 が 増 額 したか 否 かの 確 認 調 査 (5) 上 記 (1)から(4)の 調 査 を 通 じて 認 識 された 問 題 点 について 発 生 原 因 を 分 析 し 今 後 の 類 似 事 案 の 再 発 防 止 策 の 検 討 を 行 い これに 関 する 提 言 をURに 対 して 行 うこと 3. 調 査 実 施 期 間 調 査 活 動 内 容 調 査 実 施 期 間 平 成 28 年 4 月 21 日 から 同 年 6 月 22 日 調 査 内 容 UR 等 から 提 供 された 資 料 の 収 集 検 討 (PCに 保 存 されていた 電 子 メール 等 の 精 査 を 含 む ) 関 係 者 ( 延 べ37 名 )からの 事 情 聴 取 UR 全 職 員 を 対 象 とした 補 償 業 務 に 関 するアンケート 調 査 委 員 間 での 議 論 意 見 交 換 等 ( 委 員 会 開 催 5 回 ) 4. 調 査 結 果 の 概 要 (1) 次 のUR 職 員 2 名 について 複 数 回 にわたるI 氏 からの 金 品 等 や 飲 食 接 待 の 受 供 与 が 認 められた A 氏 :ファミリーレストラン 居 酒 屋 及 びフィリピンパブ 等 における 飲 食 物 の 提 供 ( 合 計 約 79 万 円 アルコールを 伴 う 飲 食 物 等 の 提 供 を 受 けた 日 数 は7 日 ) 及 びタクシー 代 名 目 での 金 員 の 提 供 ( 合 計 9 万 円 ) B 氏 :ファミリーレストラン 居 酒 屋 及 びフィリピンパブ 等 における 飲 食 物 の 提 供 ( 合 計 約 13 万 円 アルコールを 伴 う 飲 食 物 等 の 提 供 を 受 けた 日 数 は2 日 ) UR 職 員 2 名 が 金 品 等 や 飲 食 接 待 の 受 供 与 を 受 けていた 期 間 は 平 成 26 年 7 月 から 平 成 27 年 12 月 までである 上 記 記 載 の 飲 食 物 の 金 額 は 同 席 した 者 の 飲 食 分 の 代 金 相 当 額 も 含 まれており A 氏 及 びB 氏 自 身 が 実 際 に 飲 食 した 分 に 係 る 飲 食 代 金 とは 異 なる なお A 氏 及 びB 氏 の 合 2

計 額 には 重 複 部 分 があり それを 除 いた 合 計 額 は 約 90 万 円 である 後 日 A 氏 は 現 金 90 万 円 をI 氏 に 支 払 っている なお これら 金 品 等 の 供 与 又 は 飲 食 接 待 を 受 けた 際 に 甘 利 氏 秘 書 が 同 席 していた 事 実 は 認 められなかった また 北 環 状 線 事 業 の 補 償 交 渉 に 関 して 上 記 2 名 以 外 の 職 員 が 金 品 等 の 供 与 や 飲 食 接 待 の 提 供 を 受 けた 事 案 は 確 認 されなかった (2) 上 記 UR 職 員 2 名 からI 氏 らS 社 関 係 者 に 対 してURの 内 部 情 報 が 提 供 された 事 実 は 認 められず S 社 及 びI 氏 がUR 内 部 の 非 開 示 情 報 を 利 用 して 本 件 補 償 交 渉 を 有 利 に 進 めたという 事 実 は 認 められないものと 判 断 した (3) URが 行 う 北 環 状 線 事 業 以 外 の 補 償 交 渉 の 案 件 において 利 害 関 係 者 から 飲 食 物 の 提 供 を 受 け 倫 理 規 程 に 違 反 する 可 能 性 があると 判 断 した 事 案 が3 件 確 認 された(た だし いずれもS 社 や 甘 利 氏 とは 全 く 無 関 係 の 事 案 であった) T 氏 U 氏 案 件 : 平 成 26 年 11 月 頃 から 数 回 程 度 T 氏 は 同 僚 1 名 (U 氏 )と 一 緒 に 瓶 ビールをコップで 一 杯 程 度 補 償 交 渉 地 権 者 宅 にて 刺 身 など と 一 緒 に 提 供 を 受 けた V 氏 W 氏 案 件 : 平 成 25 年 6 月 頃 に 地 権 者 等 とV 氏 及 び 上 司 (W 氏 )の2 名 により 会 食 をしながら 面 談 し 費 用 負 担 する 旨 を 申 し 出 たが 地 権 者 が 頑 なに 受 領 を 拒 否 した その 後 2 回 同 様 の 飲 食 を 伴 う 協 議 を 行 った が 地 権 者 から 支 払 受 領 を 頑 なに 拒 否 された(1 回 一 人 あたり5~ 6 千 円 程 度 ) X 氏 案 件 : 工 事 担 当 のX 氏 が 地 権 者 に 誘 われ 平 成 27 年 7 月 及 び10 月 に 地 権 者 の 費 用 負 担 において 居 酒 屋 において 酒 食 を 共 にし 12 月 に は 地 権 者 の 自 宅 に 招 かれ 酒 食 の 提 供 を 受 けた なお X 氏 は 平 成 28 年 6 月 に 自 ら 上 記 飲 食 接 待 を 申 告 し その 後 3 回 分 として 1 万 5000 円 を 支 払 った (4) 甘 利 氏 又 は 甘 利 氏 秘 書 からの 要 請 要 望 等 によってS 社 に 対 する 補 償 金 額 が 増 額 し た 事 実 は 認 められなかった 3

物 件 移 転 補 償 契 約 ( 平 成 25 年 8 月 ): M 秘 書 がUR 本 社 を 突 如 アポイントメントもなく 訪 問 した 同 年 6 月 7 日 M 秘 書 は 北 環 状 線 事 業 に 関 するUR 内 での 検 討 状 況 を 確 認 したのみで 特 にS 社 に 対 す る 補 償 金 額 の 増 額 を 始 めとするS 社 に 対 する 便 宜 を 要 請 したような 事 実 はない ま た UR 内 部 の 補 償 の 検 討 経 緯 に 照 らし 甘 利 氏 秘 書 による 上 記 訪 問 等 による 影 響 があったとは 認 められないと 判 断 した 損 失 補 償 契 約 ( 平 成 27 年 ): URがS 社 に 対 し 損 傷 修 復 の 費 用 などを 提 示 し 契 約 を 締 結 した 期 間 に 甘 利 氏 や 甘 利 氏 秘 書 らからURに 対 し 本 件 補 償 交 渉 に 関 して 接 触 は 一 切 なかったこと 等 から 本 件 補 償 金 額 決 定 について 甘 利 氏 又 は 甘 利 氏 秘 書 からの 影 響 があったと の 事 実 は 認 められないものと 判 断 した その 他 の 現 在 交 渉 中 の 補 償 契 約 : 首 都 圏 ニュータウン 本 部 千 葉 業 務 部 ( 平 成 26 年 4 月 に 首 都 圏 ニュータウン 本 部 千 葉 ニュータウン 事 業 本 部 から 組 織 改 編 以 下 組 織 改 編 の 前 後 を 通 じ 千 葉 NT 部 と 総 称 する )で 検 討 して 算 定 した 補 償 金 額 について 平 成 27 年 10 月 以 降 の 甘 利 氏 秘 書 らによるURへの 接 触 後 も 上 記 補 償 金 額 について 一 切 増 額 されてい ないことなどにも 照 らせば 本 補 償 について S 社 から 依 頼 を 受 けた 甘 利 氏 や 甘 利 氏 秘 書 の 影 響 があったと 認 めることは 到 底 できない 5. 本 件 事 件 の 発 生 原 因 等 (1) 北 環 状 線 事 業 に 関 して 早 期 の 工 事 完 了 が 求 められる 背 景 事 情 が 存 在 していたこと 及 びこの 点 がUR 職 員 2 名 に 対 する 心 理 的 圧 力 を 加 える 要 因 として 作 用 したこと 1 千 葉 ニュータウン 事 業 については 平 成 25 年 度 中 に 工 事 を 完 了 させるというこ とが URにおいての 至 上 命 題 となり 同 事 業 に 付 随 する 北 環 状 線 事 業 について も 平 成 25 年 度 末 までの 工 事 完 了 が 強 く 意 識 されていた 2 本 件 では 対 象 土 地 に 産 業 廃 棄 物 が 埋 設 されているという 特 殊 事 情 に 加 え 難 航 地 権 者 が 更 にI 氏 という 人 物 をURとの 交 渉 窓 口 とした 非 常 に 難 しい 案 件 である 一 方 で 上 記 のような 厳 しい 時 間 的 な 制 約 が 付 されており A 氏 ら 工 事 を 進 めなけ ればならない 千 葉 NT 部 の 現 場 担 当 者 に 対 して 過 度 な 負 荷 がかかる 背 景 事 情 が 存 在 していたものと 認 められる 4

(2) 千 葉 NT 部 における 補 償 業 務 遂 行 に 係 る 体 制 が 脆 弱 であったこと それをサポート する 体 制 も 不 十 分 であったこと 1 千 葉 ニュータウン 事 業 は 新 住 宅 市 街 地 開 発 事 業 で 全 面 買 収 型 の 事 業 であったこ とから 千 葉 NT 部 内 に 補 償 を 担 当 する 部 署 が 設 けられていないなど 北 環 状 線 事 業 は 期 限 が 厳 格 に 区 切 られた 非 常 に 難 しい 事 案 であったにもかかわらず 補 償 業 務 体 制 は 非 常 に 脆 弱 なものであった 2 補 償 業 務 体 制 は 脆 弱 であったにもかかわらず 当 委 員 会 の 調 査 したところでは UR 本 社 や 首 都 圏 ニュータウン 本 部 においては 特 に 困 難 かつトラブルが 生 じて いる 案 件 に 対 しての 積 極 的 な 支 援 はなかったと 認 められる 3 また 困 難 な 補 償 交 渉 につき 専 門 家 の 援 助 を 求 める 十 分 な 体 制 が 構 築 されていな かったとも 認 められる (3) 職 員 の 倫 理 意 識 の 欠 如 と 研 修 等 の 不 徹 底 1 本 件 事 件 が 生 じた 直 接 的 原 因 にA 氏 及 びB 氏 の 倫 理 意 識 の 希 薄 さがあったこと は 否 定 できないものと 認 められる 2 URでは コンプライアンスに 関 する 研 修 等 を 行 っているものの A 氏 らの 対 応 や 少 数 であるとはいえ 類 似 事 案 が 発 生 していたことから 研 修 の 効 果 が 職 員 に 十 分 に 浸 透 していなかったと 認 められる 3 URでは 倫 理 規 程 違 反 行 為 の 有 無 を 調 査 するため 全 部 署 のチームリーダーが 担 当 部 署 内 の 職 員 に 対 して1 年 に 一 度 ヒアリング 調 査 を 実 施 する 綱 紀 点 検 制 度 が 導 入 されている しかし 当 該 調 査 結 果 の 保 存 期 間 (3 年 間 )において 本 調 査 において 認 められた 倫 理 規 程 違 反 行 為 が 発 見 されていなかったとのことであり 当 該 調 査 制 度 が 形 骸 化 し 実 効 性 を 失 っていると 指 摘 せざるを 得 ない (4) 補 償 交 渉 のルールの 周 知 不 徹 底 1 本 件 では I 氏 の 要 請 に 応 じて 面 談 を 行 う 際 に A 氏 又 はB 氏 が 単 独 で 訪 問 をし ていることがあり これがI 氏 による 事 実 上 の 影 響 力 を 強 め また 職 員 相 互 間 でのコンプライアンス 違 反 等 に 対 する 監 視 機 能 を 低 下 させ I 氏 からの 飲 食 等 の 誘 いに 対 して 断 固 たる 対 応 をとることができなくなった 一 つの 大 きな 要 因 である と 認 められた 2 アンケートによれば 補 償 交 渉 において 複 数 者 で 交 渉 に 臨 むことは 常 識 的 対 応 で あると 回 答 する 者 が 多 く 存 在 したものの 当 委 員 会 が 聴 取 したUR 職 員 の 多 くが 土 地 区 画 整 理 事 業 の 施 行 に 伴 う 損 失 補 償 業 務 処 理 要 領 15 条 2 項 1 号 に 補 5

償 交 渉 は 原 則 として2 名 以 上 で 行 うものとする と 明 文 で 規 定 されていること を 知 らなかった このような 補 償 交 渉 ルールの 周 知 不 徹 底 も 本 件 事 件 を 招 く 一 つの 要 因 になったものと 認 められる 3 また 補 償 交 渉 に 複 数 の 職 員 で 臨 むことができなかった 要 因 の 一 つとしては 補 償 交 渉 を 担 当 する 職 員 数 が 十 分 でないという 点 も 指 摘 できる (5) 補 償 交 渉 等 に 関 する 情 報 共 有 の 不 足 により 相 互 牽 制 が 機 能 しなかったこと 1 URでは 補 償 交 渉 に 関 する 面 談 等 の 記 録 を 作 成 する 明 確 なルールが 存 在 してい ない また 面 談 記 録 の 回 覧 についても 明 確 なルールが 定 められていないため 必 ずしも 上 司 が 目 にする 仕 組 みとはなっていなかった 2 本 件 では 面 談 記 録 を 見 ればA 氏 やB 氏 が 頻 繁 にファミリーレストラン 等 でI 氏 と 面 談 をしていることや 単 独 で 面 談 していることが 分 かったはずである また A 氏 については I 氏 と 面 談 交 渉 を 行 っていることを 上 司 に 知 らせたくないとい う 思 いから 面 談 録 を 作 成 しなかった 場 合 があると 述 べていることからすると 面 談 記 録 の 作 成 や 共 有 ルールの 不 存 在 が 職 員 間 での 情 報 共 有 を 阻 害 し 職 員 相 互 のコンプライアンス 違 反 に 対 する 監 視 機 能 を 低 下 させ 本 件 事 件 を 発 生 させる 一 つの 要 因 になったものと 認 められる (6) 本 件 補 償 交 渉 において 強 硬 な 態 度 をとることなく 補 償 金 の 逐 次 投 入 を 続 けたURの 対 応 がI 氏 の 増 長 を 招 いたとも 考 えられること 千 葉 NT 部 では 工 事 の 開 始 進 行 を 急 ぐ 余 り S 社 に 対 して 訴 訟 や 強 制 収 用 と いった 強 硬 手 段 を 控 えて 補 償 金 の 逐 次 投 入 を 続 けたため I 氏 が 本 件 補 償 交 渉 を 有 利 に 進 め URからより 多 くの 補 償 金 を 獲 得 するために A 氏 及 びB 氏 を 取 り 込 もうとして 本 件 事 件 に 至 ったものと 認 められる (7) 千 葉 NT 部 に 独 立 性 があり 本 社 との 間 の 連 携 情 報 共 有 にも 不 足 があったこと 1 千 葉 NT 部 における 補 償 契 約 締 結 等 の 最 終 決 裁 権 者 は 本 部 長 ( 平 成 26 年 の 組 織 改 編 後 は 千 葉 地 域 担 当 推 進 役 )であり 職 務 権 限 上 補 償 案 件 は 千 葉 NT 部 内 で 完 結 できることになっていた このようなことも 影 響 し 北 環 状 線 事 業 が 平 成 2 5 年 度 末 の 工 事 完 了 がURにおける 至 上 命 題 となっていた 千 葉 ニュータウン 事 業 に 付 随 する 事 業 であるため 同 時 期 までの 工 事 完 了 を 強 く 意 識 せざるを 得 ない 案 件 であった 上 難 航 地 権 者 がいる 難 しい 案 件 であったにもかかわらず UR 本 社 に おける 千 葉 NT 部 の 事 業 遂 行 への 関 心 の 低 さが 認 められた 他 方 千 葉 NT 部 に 6

おいても 同 事 業 の 早 期 かつ 円 滑 な 遂 行 のためにも UR 本 社 と 情 報 交 換 を 密 に し 種 々の 支 援 を 求 めるべきであったにもかかわらず UR 本 社 の 関 与 を 嫌 い 千 葉 NT 部 内 だけで 処 理 しようとしていた 2 このように 北 環 状 線 事 業 については UR 組 織 全 体 におけるその 重 要 性 の 高 さ にもかかわらず UR 全 体 で 対 応 していくという 姿 勢 に 欠 けていたといわざるを 得 ない そして このような 北 環 状 線 事 業 遂 行 に 向 けた 姿 勢 が 千 葉 NT 部 にお ける 補 償 業 務 遂 行 体 制 の 脆 弱 さと 相 まって 本 件 補 償 交 渉 におけるI 氏 への 対 応 をA 氏 やB 氏 ら 担 当 者 個 人 任 せにする 状 況 を 生 み 出 し I 氏 に 付 け 込 まれる 余 地 を 生 じさせることに 繋 がったものと 認 められる (8) 内 部 調 査 上 の 問 題 点 等 について 1 UR 職 員 がI 氏 と 酒 席 を 共 にしている 可 能 性 について 最 初 にURが 認 知 したの は 平 成 27 年 12 月 1 日 であり 本 社 総 務 部 長 のO 氏 がK 秘 書 と 面 談 した 際 情 報 が 提 供 された 2 O 氏 は 千 葉 NT 部 担 当 と 協 議 の 上 で 本 件 補 償 交 渉 の 状 況 に 照 らして 可 能 性 のあ る 職 員 としてはA 氏 が 想 定 されたことから その 上 司 であるP 氏 にヒアリングを 任 せた このヒアリングで A 氏 はI 氏 と 酒 席 を 共 にしていた 事 実 を 否 認 した P 氏 は A 氏 以 外 のI 氏 と 接 触 したことのある 千 葉 NT 部 の 職 員 に 対 する 聴 取 等 は 行 わないまま UR 本 社 に 聴 取 結 果 を 報 告 した 3 しかし B 氏 が 作 成 の 協 議 録 に 居 酒 屋 でI 氏 と 面 談 を 行 っていたことが 記 されて いたことからすれば この 時 点 でB 氏 やその 他 の 職 員 から 聴 取 を 行 えば B 氏 が I 氏 と 酒 席 を 共 にしていた 事 実 が 判 明 した 可 能 性 があった 4 また URにおいては 独 立 行 政 法 人 都 市 再 生 機 構 コンプライアンス 基 本 方 針 においてコンプライアンスに 関 する 問 題 についてコンプライアンス 法 務 室 に 情 報 が 伝 達 される 仕 組 みが 規 定 上 は 整 備 されている しかし 本 件 については コ ンプライアンス 違 反 等 が 存 在 する 可 能 性 について 情 報 提 供 があったにもかかわら ず 当 該 情 報 は 同 室 に 伝 達 されなかった また その 後 の 各 部 等 が 主 体 となっ たI 氏 との 飲 食 接 待 の 有 無 についての 調 査 等 についても 同 室 に 情 報 提 供 がなさ れなかった 5 このように コンプライアンス 違 反 に 関 する 調 査 が 本 来 主 管 となって 担 当 すべ きコンプライアンス 法 務 室 へ 情 報 提 供 されることもなく 実 施 されたため 調 査 の 範 囲 や 手 法 の 十 分 性 等 について 同 室 によるチェックが 行 われず そのため 不 十 分 な 調 査 にとどまり その 結 果 URは 4 月 にA 氏 やB 氏 からの 申 告 を 受 けて 初 めて I 氏 から 飲 食 接 待 を 受 けた 状 況 を 把 握 するに 至 ったものである 6 以 上 のとおり 職 員 によるコンプライアンス 違 反 等 の 可 能 性 を 認 知 した 場 合 にお 7

けるURの 内 部 調 査 体 制 には 大 きな 不 備 があるものと 認 められ 今 後 の 同 種 事 案 の 再 発 防 止 の 観 点 からも 問 題 であると 認 められた (9) 上 記 のような 組 織 体 制 上 の 問 題 を 放 置 し 改 善 に 向 けた 対 応 をとらなかった 内 部 統 制 上 の 問 題 点 以 上 の(1)から(8)に 記 載 のとおり 本 件 事 件 は 単 なる 個 人 の 資 質 や 性 格 といったことにとどまらず URにおける 組 織 体 制 上 の 様 々な 問 題 にも 発 生 原 因 が あるものと 認 められた これらの 組 織 体 制 上 の 問 題 点 について これを 放 置 して 改 善 に 向 けた 対 応 をとってこなかった 点 については URとしての 内 部 統 制 に 問 題 が あったものと 認 められる 6. 再 発 防 止 策 の 提 言 (1) トップによるメッセージの 発 信 本 件 事 件 の 発 生 原 因 等 の 判 明 を 受 けて 改 めてコンプライアンス 遵 守 意 識 の 徹 底 のためのメッセージをURトップから 発 信 するべきである また コンプライアン ス 遵 守 のためのメッセージを 定 期 的 に 発 出 する 仕 組 みを 作 り 本 件 事 件 の 教 訓 が 風 化 しないよう 工 夫 をするべきである (2) 組 織 内 における 相 談 報 告 体 制 の 充 実 人 員 の 不 足 や 職 員 の 経 験 値 の 不 足 等 が 認 められる 部 署 が 問 題 事 象 を 抱 えこむこと がないよう 各 部 署 において 容 易 に 本 社 等 の 上 部 組 織 や 弁 護 士 等 の 外 部 専 門 家 に 相 談 や 援 助 を 受 けることができる 仕 組 みを 設 けるべきである 他 方 本 社 においても UR 全 体 について 目 を 配 り 重 要 な 事 業 については 各 支 社 等 に 事 業 遂 行 を 任 せ 切 りにせず その 進 捗 状 況 を 把 握 しておき 適 時 適 切 に 指 揮 指 導 ができるような 態 勢 を 整 えておくことが 必 要 である また 部 署 内 においても 上 司 に 相 談 しやすい 風 通 しの 良 い 職 場 環 境 の 構 築 を 心 掛 ける 必 要 がある (3) 本 件 事 案 に 則 したコンプライアンス 研 修 の 実 施 等 本 件 事 件 が 発 生 した 経 緯 等 を 踏 まえ なぜこのようなコンプライアンス 違 反 行 為 8

が 発 生 したのか どのように 振 る 舞 えば 未 然 に 防 止 できたのかなど 具 体 的 な 事 案 に 則 した 研 修 を 定 期 的 に 実 施 して 職 員 に 理 解 させることが 重 要 である また 本 件 事 案 に 則 して 倫 理 規 程 に 関 する 研 修 を 実 施 し 倫 理 規 程 についての 理 解 を 十 分 に 行 わせることも 重 要 である (4) 補 償 交 渉 等 のルールの 徹 底 交 渉 相 手 に 付 け 込 まれることを 防 止 するため 補 償 交 渉 等 を 行 う 際 には 必 ず 複 数 で 実 施 することを 明 確 なルールとして 徹 底 させる 必 要 がある また 補 償 交 渉 等 を 行 った 際 には 必 ず 面 談 録 を 作 成 して 上 長 に 報 告 する 仕 組 みとするなど 面 談 録 を 保 存 共 有 するルールを 策 定 し 徹 底 することも 重 要 である さらに 難 航 地 権 者 に 対 する 交 渉 等 難 度 の 高 い 補 償 交 渉 については 適 時 適 切 に 弁 護 士 等 の 外 部 専 門 家 の 援 助 あるいは 警 察 OB 職 員 の 補 助 等 を 受 けることができ るよう 予 算 上 の 措 置 を 含 め 所 要 の 措 置 を 講 じるべきである (5) 倫 理 規 程 等 の 見 直 し 及 び 解 釈 の 明 確 化 利 害 関 係 者 からの 飲 食 物 の 提 供 については 倫 理 規 程 等 により 禁 止 されている 旨 を 明 確 に 相 手 方 に 伝 え 断 固 として 拒 絶 をする 態 度 を 示 すことが 重 要 である もっとも 本 件 事 件 の 発 生 原 因 に 照 らすと 補 償 交 渉 等 においてはUR 職 員 が 交 渉 相 手 の 機 嫌 を 損 ねるような 行 為 をとり 得 ず 飲 食 物 の 提 供 の 申 出 を 拒 むことが 困 難 であ ったり 飲 食 代 金 を 支 払 うことが 困 難 であったりする 場 合 があり 得 るものと 思 われる そこで 仮 に 利 害 関 係 者 からの 飲 食 物 の 提 供 を 拒 絶 できなかった 場 合 には 直 ちに 上 司 に 報 告 した 上 で 飲 食 代 金 額 を 相 手 方 に 交 付 すれば 倫 理 規 程 違 反 に 該 当 しないとす るような 倫 理 規 程 等 の 見 直 し 又 は 解 釈 運 用 の 明 確 化 を 行 うことが 考 えられる また 現 在 の 役 職 員 倫 理 規 程 の 解 説 は 補 償 交 渉 等 の 相 手 方 が 利 害 関 係 者 に 該 当 す るのか(どの 条 文 に 該 当 するのか) 等 不 明 確 な 点 があるため 見 直 しが 必 要 である (6) 綱 紀 点 検 制 度 の 厳 格 な 運 用 及 び 誓 約 書 の 取 得 運 用 が 形 骸 化 していると 認 められる 綱 紀 点 検 制 度 については チームリーダー 等 に 対 して 厳 格 な 運 用 を 徹 底 するよう 指 導 を 行 う 必 要 がある また 受 ける 側 の 職 員 が 虚 偽 を 述 べた 場 合 には 社 内 で 処 分 を 受 けることがあり 得 ることを 明 示 するなど 倫 理 規 程 を 遵 守 する 意 識 を 醸 成 させる 仕 組 みを 設 けるべきである さらに 倫 理 規 程 違 反 を 含 めたコンプライアンス 違 反 行 為 を 行 わないことを 明 確 に 誓 約 させる 誓 約 書 を 全 職 員 に 提 出 させるなどして 職 員 にコンプライアンス 違 反 行 為 9

を 行 うことに 対 する 危 機 意 識 を 持 たせることが 有 用 である (7) コンプライアンス 違 反 行 為 等 が 発 生 した 場 合 の 一 元 的 統 括 部 署 の 設 置 と 運 用 の 改 善 コンプライアンス 違 反 又 は 違 反 の 疑 いのある 行 為 が 発 覚 した 場 合 に 適 時 適 切 に 対 処 するために 一 元 的 に 当 該 事 案 を 把 握 し 内 部 調 査 やその 後 の 対 応 等 を 指 揮 又 は 指 導 する 役 割 を 担 う 司 令 塔 的 な 部 署 を 設 けることが 必 要 である 現 在 のコンプライアン ス 法 務 室 はそのような 役 割 を 担 っておらず 同 室 の 拡 充 等 組 織 体 制 の 見 直 しが 必 要 である また 上 記 組 織 体 制 の 見 直 しを 待 つことなく 直 ちに コンプライアンス 違 反 行 為 等 が 発 覚 した 場 合 には 情 報 をコンプライアンス 総 括 部 署 である 本 社 コンプライアン ス 法 務 室 に 一 元 的 に 集 約 させるルールを 確 立 することが 必 要 であり このルールを 徹 底 するために 職 員 に 対 する 研 修 等 を 実 施 することが 重 要 である (8) 内 部 相 談 窓 口 及 び 外 部 相 談 窓 口 制 度 の 周 知 徹 底 URでは 内 部 相 談 窓 口 及 び 外 部 相 談 窓 口 の 制 度 を 設 けているが アンケート 調 査 に よって 初 めて 利 害 関 係 者 からの 飲 食 接 待 等 を 受 けた 類 似 事 案 の 存 在 が 確 認 されたこ とからすれば 有 効 に 機 能 していたとはいい 難 い したがって 本 制 度 の 存 在 等 を 今 一 度 全 職 員 に 周 知 徹 底 し 幅 広 く 情 報 を 収 集 できる 仕 組 みとすることが コンプライ アンス 違 反 行 為 の 未 然 防 止 等 の 観 点 からも 重 要 である Ⅲ. 外 部 調 査 委 員 会 の 提 言 を 踏 まえた 再 発 防 止 策 1. 職 員 のコンプライアンスに 関 する 意 識 改 革 の 更 なる 徹 底 (1)トップメッセージの 発 信 強 化 理 事 長 によるコンプライアンス 遵 守 に 関 する 職 員 向 けメッセージの 繰 り 返 し 発 信 会 議 研 修 等 における 役 員 から 職 員 への 直 接 伝 達 によるコンプライアンス 意 識 の 醸 成 強 化 (2) コンプライアンスに 関 する 研 修 内 容 等 の 充 実 実 効 性 の 強 化 10

本 事 案 や 他 社 のコンプライアンス 違 反 事 例 を 題 材 にした 対 話 型 議 論 型 の 研 修 の 実 施 (3) 判 断 行 動 基 準 の 明 確 化 役 職 員 倫 理 規 程 の 解 説 コンプライアンス マニュアル について 禁 止 行 為 や 職 員 が 遵 守 すべき 事 項 等 をより 明 確 化 するための 改 訂 周 知 徹 底 (4) 綱 紀 保 持 点 検 制 度 の 改 善 及 び 誓 約 書 の 見 直 し 綱 紀 保 持 点 検 制 度 について 実 効 性 向 上 のための 見 直 し 運 用 の 厳 格 化 職 員 採 用 時 の 誓 約 書 の 内 容 の 見 直 し 誓 約 事 項 の 確 認 手 続 の 毎 年 度 実 施 2. 各 職 員 がコンプライアンス 違 反 行 為 に 踏 み 込 むことを 未 然 に 防 止 するための 業 務 上 の 環 境 整 備 (1) 組 織 的 な 情 報 共 有 の 強 化 補 償 等 の 交 渉 の 複 数 人 による 対 応 の 徹 底 交 渉 後 の 文 書 報 告 の 徹 底 (2) 各 職 員 個 人 として 責 任 を 抱 えず 組 織 として 受 け 止 め 方 針 の 決 定 や 処 理 を 進 める ための 体 制 ルールの 整 備 補 償 等 の 契 約 に 至 るまでの 節 目 毎 の 段 階 的 決 裁 のルール 化 事 業 スケジュール 上 重 大 な 影 響 を 与 える 補 償 等 の 案 件 について 現 場 と 本 社 との 情 報 共 有 のルール 化 特 殊 な 案 件 について 法 務 チェック 体 制 の 再 構 築 リーガルチェックの 徹 底 警 察 等 関 係 機 関 との 連 携 や 弁 護 士 の 活 用 3. 各 職 員 の 行 動 を 組 織 としてフォローするコンプライアンス 面 の 環 境 整 備 (1) コンプライアンスに 係 る 各 職 員 からの 相 談 の 受 け 付 け コンプライアンス 違 反 に 至 らないための 対 応 の 指 導 等 を 行 う 組 織 の 整 備 本 社 コンプライアンス 法 務 室 の 組 織 強 化 本 部 支 社 へのコンプライアンス 担 当 部 長 の 新 設 これらの 組 織 によるコンプライアンス 遵 守 状 況 のフォローアップ コンプライアンス 関 連 情 報 の 一 元 的 集 約 11

(2) コンプライアンス 相 談 窓 口 ( 組 織 内 及 び 外 部 弁 護 士 )の 活 用 促 進 相 談 窓 口 における 相 談 者 保 護 匿 名 性 確 保 等 の 職 員 への 再 周 知 による 活 用 促 進 Ⅳ. 職 員 の 処 分 等 について 1. 処 分 日 平 成 28 年 7 月 11 日 2. 被 処 分 者 及 び 処 分 内 容 職 員 A: 本 社 所 属 の 職 員 ( 元 首 都 圏 ニュータウン 本 部 千 葉 業 務 部 所 属 の 職 員 )52 歳 停 職 3か 月 ( 同 日 付 退 職 ) 職 員 B: 首 都 圏 ニュータウン 本 部 千 葉 業 務 部 所 属 の 職 員 43 歳 停 職 1か 月 3. 管 理 監 督 者 に 対 する 措 置 訓 告 3 名 文 書 厳 重 注 意 2 名 以 上 12