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●電力自由化推進法案

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 役 名 法 人 の 長 理 事 理 事 ( 非 常 勤 ) 平 成 25 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 16,936 10,654 4,36

平成25年度 独立行政法人日本学生支援機構の役職員の報酬・給与等について

私立大学等研究設備整備費等補助金(私立大学等

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その 他 事 業 推 進 体 制 平 成 20 年 3 月 26 日 に 石 垣 島 国 営 土 地 改 良 事 業 推 進 協 議 会 を 設 立 し 事 業 を 推 進 ( 構 成 : 石 垣 市 石 垣 市 議 会 石 垣 島 土 地 改 良 区 石 垣 市 農 業 委 員 会 沖 縄 県 農

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検 討 検 討 の 進 め 方 検 討 状 況 簡 易 収 支 の 世 帯 からサンプリング 世 帯 名 作 成 事 務 の 廃 止 4 5 必 要 な 世 帯 数 の 確 保 が 可 能 か 簡 易 収 支 を 実 施 している 民 間 事 業 者 との 連 絡 等 に 伴 う 事 務 の 複 雑

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公表表紙

公 的 年 金 制 度 について 制 度 の 持 続 可 能 性 を 高 め 将 来 の 世 代 の 給 付 水 準 の 確 保 等 を 図 るため 持 続 可 能 な 社 会 保 障 制 度 の 確 立 を 図 るための 改 革 の 推 進 に 関 する 法 律 に 基 づく 社 会 経 済 情

(2) 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 保 育 の 必 要 な 子 どものいる 家 庭 だけでなく 地 域 の 実 情 に 応 じた 子 ども 子 育 て 支 援 の 充 実 のために 利 用 者 支 援 事 業 や 地 域 子 育 て 支 援 事 業 な

(6) 事 務 局 職 場 積 立 NISAの 運 営 に 係 る 以 下 の 事 務 等 を 担 当 する 事 業 主 等 の 組 織 ( 当 該 事 務 を 代 行 する 組 織 を 含 む )をいう イ 利 用 者 からの 諸 届 出 受 付 事 務 ロ 利 用 者 への 諸 連 絡 事 務

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18 国立高等専門学校機構


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1_2013BS(0414)

●幼児教育振興法案

2 役 員 の 報 酬 等 の 支 給 状 況 平 成 27 年 度 年 間 報 酬 等 の 総 額 就 任 退 任 の 状 況 役 名 報 酬 ( 給 与 ) 賞 与 その 他 ( 内 容 ) 就 任 退 任 2,142 ( 地 域 手 当 ) 17,205 11,580 3,311 4 月 1

第 2 節 関 連 計 画 1. 国 の 方 針 計 画 国 が 示 している 一 般 廃 棄 物 の 減 量 化 等 に 関 する 目 標 値 を 以 下 に 示 します (1) 廃 棄 物 の 減 量 その 他 その 適 正 な 処 理 に 関 する 施 策 の 総 合 的 かつ 計 画 的 な

頸 がん 予 防 措 置 の 実 施 の 推 進 のために 講 ずる 具 体 的 な 施 策 等 について 定 めることにより 子 宮 頸 がんの 確 実 な 予 防 を 図 ることを 目 的 とする ( 定 義 ) 第 二 条 この 法 律 において 子 宮 頸 がん 予 防 措 置 とは 子 宮

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(5) 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しの 実 施 状 況 について 概 要 の 給 与 制 度 の 総 合 的 見 直 しにおいては 俸 給 表 の 水 準 の 平 均 2の 引 き 下 げ 及 び 地 域 手 当 の 支 給 割 合 の 見 直 し 等 に 取 り 組 むとされている

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為 が 行 われるおそれがある 場 合 に 都 道 府 県 公 安 委 員 会 がその 指 定 暴 力 団 等 を 特 定 抗 争 指 定 暴 力 団 等 として 指 定 し その 所 属 する 指 定 暴 力 団 員 が 警 戒 区 域 内 において 暴 力 団 の 事 務 所 を 新 たに 設

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平成24年度税制改正要望 公募結果 153. 不動産取得税

小 売 電 気 の 登 録 数 の 推 移 昨 年 8 月 の 前 登 録 申 請 の 受 付 開 始 以 降 小 売 電 気 の 登 録 申 請 は 着 実 に 増 加 しており これまでに310 件 を 登 録 (6 月 30 日 時 点 ) 本 年 4 月 の 全 面 自 由 化 以 降 申


は 固 定 流 動 及 び 繰 延 に 区 分 することとし 減 価 償 却 を 行 うべき 固 定 の 取 得 又 は 改 良 に 充 てるための 補 助 金 等 の 交 付 を 受 けた 場 合 にお いては その 交 付 を 受 けた 金 額 に 相 当 する 額 を 長 期 前 受 金 とし

高松市緊急輸送道路沿道建築物耐震改修等事業補助金交付要綱(案)

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(4) 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 との 連 携 1 市 は 国 の 現 地 対 策 本 部 長 が 運 営 する 武 力 攻 撃 原 子 力 災 害 合 同 対 策 協 議 会 に 職 員 を 派 遣 するなど 同 協 議 会 と 必 要 な 連 携 を 図 る

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ていることから それに 先 行 する 形 で 下 請 業 者 についても 対 策 を 講 じることとしまし た 本 県 としましては それまでの 間 に 未 加 入 の 建 設 業 者 に 加 入 していただきますよう 28 年 4 月 から 実 施 することとしました 問 6 公 共 工 事 の

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った 場 合 など 監 事 の 任 務 懈 怠 の 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 減 算 する (8) 役 員 の 法 人 に 対 する 特 段 の 貢 献 が 認 められる 場 合 は その 程 度 に 応 じて 業 績 勘 案 率 を 加 算 することができる

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( 別 紙 ) 以 下 法 とあるのは 改 正 法 第 5 条 の 規 定 による 改 正 後 の 健 康 保 険 法 を 指 す ( 施 行 期 日 は 平 成 28 年 4 月 1 日 ) 1. 標 準 報 酬 月 額 の 等 級 区 分 の 追 加 について 問 1 法 改 正 により 追 加


容 積 率 制 限 の 概 要 1 容 積 率 制 限 の 目 的 地 域 で 行 われる 各 種 の 社 会 経 済 活 動 の 総 量 を 誘 導 することにより 建 築 物 と 道 路 等 の 公 共 施 設 とのバランスを 確 保 することを 目 的 として 行 われており 市 街 地 環

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文化政策情報システムの運用等


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スライド 1

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平成19年9月改定

セルフメディケーション推進のための一般用医薬品等に関する所得控除制度の創設(個別要望事項:HP掲載用)

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16 日本学生支援機構

2 前 項 前 段 の 規 定 にかかわらず 年 俸 制 教 職 員 から 申 し 出 があった 場 合 においては 労 使 協 定 に 基 づき その 者 に 対 する 給 与 の 全 額 又 は 一 部 を 年 俸 制 教 職 員 が 希 望 する 金 融 機 関 等 の 本 人 名 義 の 口

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1 特 別 会 計 財 務 書 類 の 検 査 特 別 会 計 に 関 する 法 律 ( 平 成 19 年 法 律 第 23 号 以 下 法 という ) 第 19 条 第 1 項 の 規 定 に 基 づき 所 管 大 臣 は 毎 会 計 年 度 その 管 理 する 特 別 会 計 について 資 産

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6 構 造 等 コンクリートブロック 造 平 屋 建 て4 戸 長 屋 16 棟 64 戸 建 築 年 1 戸 当 床 面 積 棟 数 住 戸 改 善 後 床 面 積 昭 和 42 年 36.00m m2 昭 和 43 年 36.50m m2 昭 和 44 年 36.

社会保険加入促進計画に盛込むべき内容

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工 事 に 伴 う 伐 採 木 量 を 表 5163 に 示 す 伐 採 木 量 は 340.2tと 予 測 する 発 生 する 木 くずについては 樹 木 の 状 態 により 処 理 が 異 なるため できる 限 り 有 効 利 用 が 図 れる 方 法 で 処 理 を 行 う 区 分 表 516

4 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 若 しくはその 委 任 を 受 けた 者 又 は 監 査 委 員 の 監 査 に 応 じなければ ならない ( 状 況 報 告 ) 第 7 条 承 認 コミュニティ 組 織 は 市 長 が 必 要 と 認 めるときは 交 付 金 事 業 の 遂 行 の

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所令要綱

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国 家 公 務 員 の 年 金 払 い 退 職 給 付 の 創 設 について 検 討 を 進 めるものとする 平 成 19 年 法 案 をベースに 一 元 化 の 具 体 的 内 容 について 検 討 する 関 係 省 庁 間 で 調 整 の 上 平 成 24 年 通 常 国 会 への 法 案 提

国立研究開発法人土木研究所の役職員の報酬・給与等について

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2. 予 測 2.1. 予 測 項 目 予 測 項 目 は 以 下 のとおりとした 1 埋 設 廃 棄 物 の 掘 削 除 去 に 伴 う 廃 棄 物 2 造 成 等 の 施 工 の 一 時 的 な 影 響 による 建 設 工 事 に 伴 う 副 産 物 ( 建 設 発 生 土 建 設 廃 棄 物

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弁護士報酬規定(抜粋)

0439 研究開発推進事業(防衛省所管計上)250614


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4 参 加 資 格 要 件 本 提 案 への 参 加 予 定 者 は 以 下 の 条 件 を 全 て 満 たすこと 1 地 方 自 治 法 施 行 令 ( 昭 和 22 年 政 令 第 16 号 ) 第 167 条 の4 第 1 項 各 号 の 規 定 に 該 当 しない 者 であること 2 会 社

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損 益 計 算 書 自. 平 成 26 年 4 月 1 日 至. 平 成 27 年 3 月 31 日 科 目 内 訳 金 額 千 円 千 円 営 業 収 益 6,167,402 委 託 者 報 酬 4,328,295 運 用 受 託 報 酬 1,839,106 営 業 費 用 3,911,389 一

(2)大学・学部・研究科等の理念・目的が、大学構成員(教職員および学生)に周知され、社会に公表されているか

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4. その 他 (1) 期 中 における 重 要 な 子 会 社 の 異 動 ( 連 結 範 囲 の 変 更 を 伴 う 特 定 子 会 社 の 異 動 ) 無 新 規 社 ( 社 名 ) 除 外 社 ( 社 名 ) (2) 簡 便 な 会 計 処 理 及 び 四 半 期 連 結 財 務 諸 表 の

総合評価点算定基準(簡易型建築・電気・管工事)

03 平成28年度文部科学省税制改正要望事項

●労働基準法等の一部を改正する法律案

Microsoft Word - 04特定任期付職員(特任事務)給与規程【溶込】

Transcription:

シップリサイクルシステム 構 築 に 向 けたビジョン 概 要 現 状 と 課 題 世 界 的 問 題 意 識 の 高 まりと 世 界 的 規 制 の 枠 組 み 船 舶 解 撤 は 労 働 コストの 観 点 から インド バングラデシュ パキスタン 中 国 が 中 心 一 部 の 国 では 労 働 安 全 衛 生 や 環 境 保 全 などが 十 分 に 考 慮 されず 死 傷 事 故 や 環 境 汚 染 等 が 頻 発 国 際 海 事 機 関 において シップリサイクル 条 約 を 策 定 2009 年 5 月 に 採 択 予 定 世 界 有 数 の 海 運 国 造 船 国 である 我 が 国 は 今 後 とも 健 全 なシップリサイクルを 推 進 船 舶 関 連 世 界 の 船 腹 量 約 10 万 隻 (NK 船 約 6500 隻 )にインベントリの 作 成 備 置 維 持 が 必 要 内 航 船 ( 約 5500 隻 )のほとんどは 海 外 中 古 売 船 であり 売 船 時 条 約 対 象 船 舶 リサイクル 施 設 関 連 今 後 解 撤 量 が 増 大 するものと 見 込 まれ 世 界 の 解 撤 能 力 不 足 が 懸 念 バングラデシュは 条 約 に 批 准 できない 可 能 性 大 中 国 インドは 批 准 に 意 欲 的 その 他 国 内 外 の 環 境 規 制 が 強 化 の 方 向 条 約 に 適 合 した 船 舶 リサイクル 施 設 の 確 保 が 重 要 課 題 世 界 解 撤 量 の 実 績 と 予 測 の 推 移 45.00 World Ship Demolition by Year (All commercial ship types) and SSY Base Case: Forecast Ship Recycling, 2008-2022 inclusive 条 約 案 骨 子 40.00 SOURCE: "Lloyd's Inactive Vessels" monthly 実 績 予 測 (SSY Base Case) 35.00 船 舶 要 件 リサイクル 施 設 要 件 30.00 設 計 建 造 時 運 航 時 解 撤 時 million dwt 25.00 20.00 インヘ ントリ: 船 舶 に 存 在 する 有 害 物 質 の 一 覧 表 15.00 インヘ ントリ 作 成 備 付 インヘ ントリ 更 新 インヘ ントリ 最 終 化 リサイクル 施 設 認 可 10.00 有 害 物 質 の 使 用 の 禁 止 / 制 限 / 最 小 化 船 舶 リサイクル 計 画 の 作 成 5.00-1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018 2019 2020 2021 2022 シップリサイクルに 関 するビジョン 以 上 の 現 状 と 問 題 点 を 踏 まえ 以 下 のとおりビジョンを 示 す 短 期 的 ビジョン ( 条 約 発 効 前 後 の 対 策 ) 船 舶 に 関 する 対 応 ビジョン 主 要 海 運 造 船 国 として 安 全 かつ 環 境 上 適 正 な 国 際 規 律 に 則 ったシップリサイクルを 可 能 とする 船 舶 の 運 航 と 建 造 を 推 進 実 現 のための 方 策 国 際 規 律 と 国 内 法 令 の 整 備 新 船 に 関 する 対 応 - 材 料 宣 誓 書 作 成 支 援 ソフトの 開 発 普 及 -インベントリ 作 成 ソフトの 開 発 普 及 現 存 船 に 関 する 対 応 - 現 存 船 インベントリ 作 成 専 門 家 育 成 確 保 - 有 害 物 質 データベースの 作 成 - 条 約 適 合 鑑 定 書 (SOC)の 発 給 体 制 の 整 備 船 舶 リサイクル 施 設 に 関 する 対 応 ビジョン 主 要 海 運 国 として 安 全 かつ 環 境 上 適 正 な 国 際 規 律 に 則 ったシップリサイクルを 可 能 とする 船 舶 リサイクル 施 設 の 基 準 設 定 とその 整 備 を 支 援 実 現 のための 方 策 国 際 規 律 と 国 内 法 令 の 整 備 世 界 の 解 撤 能 力 とヤードの 安 全 環 境 レベル 評 価 海 外 国 内 ヤードの 条 約 適 合 支 援 先 進 国 型 シップリサイクルモデルの 開 発 中 長 期 的 ビジョン ビジョン 船 舶 3R(リデュース リユース リサイクル)の 推 進 実 現 のための 方 策 有 害 物 質 の 削 減 省 資 源 化 小 型 化 への 取 り 組 み 船 体 構 造 と 機 器 等 の 分 解 容 易 設 計 の 推 進 ライフサイクルを 通 じた 材 料 情 報 の 管 理 伝 達 ビジョン 先 進 型 シップリサイクルシステムの 確 立 実 現 のための 方 策 先 進 国 型 シップリサイクルモデルの 全 国 展 開

シップリサイクルシステム 構 築 に 向 けたビジョン 1 現 状 認 識 1-1 世 界 的 問 題 意 識 の 高 まりと 世 界 的 規 制 の 枠 組 み 船 舶 は 通 常 20 年 以 上 に 亘 って 使 用 される 長 寿 命 製 品 であり 解 撤 される 船 舶 から 発 生 する 鉄 スクラップや 中 古 機 器 類 は 船 舶 の 全 重 量 の 90% 以 上 を 占 め これらのリユース とリサイクルの 市 場 がすでに 世 界 的 に 形 成 されている 船 舶 の 解 撤 は 古 くは 日 本 や 欧 州 などでも 盛 んに 行 なわれていたが 労 働 コストの 上 昇 などに 伴 い 近 年 では インドやバングラデシュ パキスタン 中 国 などが 中 心 となっ ている しかし 一 部 の 途 上 国 では 労 働 安 全 衛 生 や 環 境 保 全 などが 十 分 に 考 慮 されず 死 傷 事 故 や 環 境 汚 染 等 が 頻 発 したため 環 境 NGO 等 が 問 題 視 することとなった 世 界 的 な 非 難 が 解 撤 国 における 未 熟 な 管 理 技 術 やインフラ 整 備 の 遅 れといった 点 だ けでなく 解 撤 船 を 途 上 国 の 劣 悪 なヤードに 売 り 渡 す 船 主 にも 向 けられた 問 題 を 是 正 するため バーゼル 条 約 会 議 国 際 労 働 機 関 (ILO) 国 際 海 事 機 関 (I MO)においてそれぞれ 任 意 指 針 が 策 定 されたものの 任 意 指 針 では 改 善 に 時 間 が 掛 か るとの 認 識 の 一 致 を 見 て 国 際 海 事 機 関 (IMO)において 安 全 かつ 環 境 上 適 正 な シップリサイクルに 関 する 条 約 ( 以 下 リサイクル 条 約 という )を 策 定 する 事 が 決 定 され 2009 年 5 月 に 採 択 が 予 定 されるに 至 った 世 界 有 数 の 海 運 国 であり また 造 船 国 である 我 が 国 は 同 条 約 の 起 草 に 積 極 的 に 関 与 してきたが 今 後 も 採 択 と 批 准 に 最 大 限 の 努 力 を 傾 注 することはもとより 条 約 発 効 前 から 健 全 なシップリサイクルの 推 進 に 取 り 組 むことが 強 く 求 められている 1-2 船 腹 量 中 国 等 の 新 興 国 の 飛 躍 的 な 経 済 成 長 によって 海 上 荷 動 き 量 が 増 大 し 世 界 の 船 腹 量 は 2007 年 末 で 約 9.7 万 隻 7.7 億 総 トンにまで 拡 大 している また 日 本 の 実 質 支 配 船 は ギリシャに 次 いで 世 界 第 2 位 であり 船 腹 量 で 世 界 の 約 15%を 占 めている 一 方 我 が 国 内 航 船 の 船 腹 量 は 約 5,500 隻 350 万 総 トンであり 最 終 的 にそのほと んどが 東 南 アジアを 中 心 に 中 古 売 船 されている また 我 が 国 政 府 や 地 方 自 治 体 等 も 非 商 業 活 動 に 従 事 する 船 舶 を 保 有 しており こ れらは 一 部 を 除 き 国 内 において 解 撤 されている 1-3 解 撤 量 世 界 の 船 舶 解 撤 量 は 1970 年 代 半 ばまでは 年 間 平 均 500~600 万 総 トンであったが 80 年 代 の 海 運 不 況 で 一 時 2,200 万 総 トンに 上 昇 し 90 年 初 頭 には 今 度 は 200 万 総 トンに 減 少 1999 年 には 再 び 1,700 万 総 トンに 増 加 し 2005 年 は 約 400 万 総 トンに 激 減 するな ど 大 きな 変 動 を 繰 り 返 してきた 国 別 に 見 ると 2006 年 の 船 舶 解 撤 量 460 万 総 トンのうち バングラデシュが 290 万 総 トン インド 85 万 総 トン 中 国 25 万 総 トン パキスタン 20 万 総 トンであり この 4 国 で 世 界 の 解 撤 量 の 91%を 占 めている 1

2008 年 6 月 の 世 界 の 新 造 船 受 注 残 は 3.6 億 総 トンに 達 し これらの 新 造 船 の 投 入 によ って 今 後 3 年 程 度 で 世 界 の 船 腹 量 は 1.5 倍 近 くの10 億 総 トンに 膨 らむことが 予 測 さ れる 一 方 2008 年 10 月 から 発 生 した 金 融 危 機 等 の 影 響 で 海 運 市 況 が 急 変 してお り 近 い 将 来 解 撤 需 要 の 増 加 が 予 測 される 2 シップリサイクルビジョン 上 記 の 現 状 認 識 を 踏 まえ 我 が 国 は 国 際 的 な 協 調 と 連 携 を 基 本 に 政 府 と 民 間 が 一 致 協 力 し 全 ての 関 係 者 が 明 確 な 役 割 分 担 意 識 をもってシップリサイクルへ 対 応 するこ とが 必 要 となっており ここに 基 本 となる 考 え 方 や 方 策 メニューをシップリサイクル ビジョンとして 示 すこととする ビジョンは 2009 年 5 月 に 予 定 されるリサイクル 条 約 の 採 択 とその 発 効 前 後 までに 集 中 的 に 対 応 すべき 課 題 を 整 理 した 短 期 的 ビジョン と 対 応 に 比 較 的 時 間 が 掛 かる 重 要 課 題 を 整 理 した 中 長 期 的 ビジョン に 分 かれる 2-1 短 期 的 ビジョン 2-1-1 国 際 規 律 と 国 内 法 令 の 整 備 我 が 国 はリサイクル 条 約 とその 関 連 ガイドラインの 起 草 に 積 極 的 に 関 与 してきたが 2009 年 5 月 の 条 約 採 択 に 向 け 今 後 も 主 要 海 運 造 船 国 として 貢 献 が 期 待 されている 環 境 問 題 に 敏 感 である 欧 州 諸 国 はもとより 主 要 解 撤 国 であるインドや 中 国 も 本 条 約 の 批 准 に 積 極 的 であると 思 われることから これまでにない 早 期 発 効 が 予 想 されるとこ ろ 我 が 国 も 遅 滞 無 く 条 約 の 批 准 と 国 内 法 令 の 整 備 を 急 ぐ 必 要 がある 有 害 廃 棄 物 の 越 境 移 動 防 止 条 約 (バーゼル 条 約 )は リサイクルを 目 的 に 海 外 に 船 舶 を 転 売 する 際 に 輸 入 国 からの 事 前 承 認 を 取 り 付 けることを 要 求 しているが リサイクル 条 約 の 発 効 によって2つの 条 約 間 で 重 複 が 生 じることから 国 際 的 に 適 用 範 囲 の 整 理 が 必 要 となってくる バーゼル 条 約 会 議 では すでにリサイクル 条 約 とバーゼル 条 約 との 同 等 性 評 価 作 業 に 着 手 しているが バーゼル 条 約 の 船 舶 への 適 用 については 典 型 的 な 規 制 の 抜 け 穴 ( 輸 出 国 の 定 義 等 )が 指 摘 されているところ 船 舶 特 有 の 状 況 を 考 慮 したリ サイクル 条 約 がバーゼル 条 約 に 比 して 規 制 の 実 効 が 上 がることは 自 明 であり 上 記 の 船 舶 に 関 する 条 約 間 の 重 複 問 題 をできるだけ 早 く 解 決 するよう 関 係 国 及 び 関 連 機 関 と 連 携 して 対 応 を 進 める 必 要 がある 2-1-2 船 舶 に 関 する 対 応 リサイクル 条 約 は 一 定 の 船 舶 注 1) に 一 定 の 有 害 物 質 注 2) の 搭 載 使 用 を 禁 止 制 限 す るとともに 船 内 に 存 在 する 有 害 物 質 注 3) の 一 覧 表 ( 以 下 インベントリという )を 作 成 注 1) 国 際 総 トン 数 500 トン 以 上 の 全 ての 船 舶 ( 軍 艦 軍 の 補 助 艦 または 政 府 の 非 商 業 的 業 務 にのみ 使 用 される 船 舶 及 び 生 涯 旗 国 の 主 権 または 管 理 下 にある 水 域 内 でのみ 航 行 する 船 舶 は 除 く ただし 解 撤 のために 旗 国 の 主 権 または 管 理 下 を 離 れる 場 合 は 条 約 の 適 用 となる ) 注 2) アスベスト オゾン 層 破 壊 物 質 ポリ 塩 化 ビフェニル(PCB) 有 機 スズ 化 合 物 (TBT, TPT, TBTO) 注 3) 注 2 にある4つの 物 質 に 加 えて カドミウム 及 びカドミウム 化 合 物 六 価 クロム 及 び 六 価 クロム 化 合 2

し 運 航 中 これを 保 持 し 船 舶 のリサイクル 直 前 に インベントリを 最 終 化 注 4) してリサ イクルヤードへ 引 き 渡 すことを 求 めている 条 約 発 効 後 に 建 造 される 新 船 注 5) と 既 に 就 航 している 現 存 船 では 有 害 物 質 の 調 査 の 困 難 度 が 大 きく 異 なるため リサイクル 条 約 とその 関 連 ガイドラインでは インベントリ に 記 載 すべき 有 害 物 質 の 種 類 と 作 成 方 法 および 作 成 時 期 について 新 船 と 現 存 船 で 異 な る 規 定 をおいている 以 下 では 新 船 と 現 存 船 それぞれについて 必 要 な 措 置 について 述 べる 2-1-2-1 新 船 に 関 する 対 応 新 船 は 就 航 時 にはインベントリを 保 持 していなければならない 具 体 的 には 船 舶 を 構 成 する 機 器 等 の 購 買 にかかわるサプライチェーンにおいて その 川 上 から 川 下 に 至 る 全 てのサプライヤーが 材 料 宣 誓 書 を 機 器 等 の 購 入 者 に 渡 すことが 求 められる 材 料 宣 誓 書 には 有 害 物 質 毎 の 固 有 の 閾 値 を 超 えて 意 図 的 に 当 該 物 質 が 投 入 された 時 の 概 算 量 を 記 入 しなければならない またそのデータの 信 頼 性 を 確 保 するため 供 給 者 適 合 宣 言 書 を 提 出 する 必 要 がある 素 材 メーカー 部 品 メーカー 機 器 メーカーと 順 次 情 報 が 伝 達 され 材 料 宣 誓 書 は 最 終 的 に 造 船 所 に 届 けられる 造 船 所 はこの 宣 誓 情 報 を 基 にインベントリを 作 成 する 我 が 国 は 新 船 のインベントリ 作 成 に 関 し 試 行 実 験 を 実 施 し その 実 行 可 能 性 を 評 価 したところ 以 下 のとおり 条 約 発 効 前 に 所 要 の 対 策 の 必 要 性 が 認 められた (1)サプライヤーにおける 対 応 材 料 宣 誓 書 の 発 給 や 情 報 提 供 を 材 料 メーカーや 部 品 メーカー 等 に 求 めるには 普 及 啓 蒙 活 動 を 進 める 必 要 がある 組 み 立 てメーカーは 部 品 メーカーからの 情 報 を 適 切 に 受 け 取 り 材 料 宣 誓 書 を 作 成 する 必 要 があり 作 成 を 支 援 するソフト の 開 発 と 普 及 が 必 要 である さらにこの 種 の 情 報 はいずれ 電 子 的 に 交 換 されるこ ととなるため 混 乱 を 最 小 限 に 収 めるため 標 準 規 格 を 制 定 し 普 及 させる 必 要 が ある 材 料 宣 誓 書 の 発 給 の 前 提 として サプライヤーは 含 有 有 害 物 質 情 報 を 収 集 管 理 する 必 要 があり 特 に 中 小 零 細 事 業 者 については その 支 援 が 必 要 である (2) 造 船 所 における 対 応 造 船 所 はサプライヤーから 提 供 される 材 料 宣 誓 書 をもとにインベントリを 作 成 しなければならない 造 船 所 が 収 集 する 情 報 は1 隻 に 対 し 数 万 件 を 越 える 可 能 性 も あり インベントリ 作 成 作 業 を 過 誤 無 く 進 めるためには インベントリの 作 成 ソフ 物 鉛 及 び 鉛 化 合 物 水 銀 及 び 水 銀 化 合 物 ポリ 臭 化 ビフェニル 類 ポリ 臭 化 ジフェニルエーテル 類 ポリ 塩 化 ナフタレン( 塩 素 原 子 が 3 以 上 ) 放 射 性 物 質 一 部 の 短 鎖 型 塩 化 パラフィンの 9 物 質 注 4) リサイクルに 先 立 ち 最 新 の 有 害 物 質 の 一 覧 表 に 加 え 運 航 中 に 発 生 する 廃 棄 物 及 び 貯 蔵 物 に 関 する 一 覧 表 を 作 成 する 必 要 がある 注 5) 新 船 とは 以 下 の 船 舶 をいう 本 条 約 の 発 効 後 に 建 造 契 約 が 結 ばれる 船 舶 建 造 契 約 がない 場 合 には 本 条 約 の 発 効 後 6 ヶ 月 経 過 した 日 以 降 に 起 工 される 船 舶 またはこれと 同 等 の 建 造 段 階 にある 船 舶 本 条 約 の 発 効 後 30 ヶ 月 経 過 した 日 以 降 に 引 き 渡 しが 行 われる 船 舶 3

トの 開 発 と 普 及 が 重 要 である (3) 船 級 協 会 の 対 応 国 の 代 行 機 関 としての 役 割 が 期 待 される 船 級 協 会 は 条 約 発 効 前 と 雖 も 上 記 の サプライヤーや 造 船 所 船 主 等 から 検 査 や 支 援 を 求 められる 立 場 にあり インベ ントリの 作 成 ソフトの 開 発 普 及 を 始 め 検 査 規 則 の 策 定 や 周 知 啓 蒙 活 動 への 協 力 が 期 待 される 2-1-2-2 現 存 船 に 関 する 対 応 現 存 船 には 建 造 年 代 によってはアスベスト 等 の 有 害 物 質 が 搭 載 されている 可 能 性 の あるものが 含 まれる 個 々の 船 舶 のどこにどのような 有 害 物 質 がどの 程 度 含 有 されてい るかについて 現 実 的 な 範 囲 でできるだけ 正 確 に 把 握 することが 必 要 である このため リサイクル 条 約 とそのガイドラインでは 現 存 船 について 以 下 の 規 定 を 置 いている 現 存 船 のインベントリは 条 約 発 効 後 5 年 以 内 もしくは 条 約 発 効 後 5 年 以 前 に 解 撤 される 場 合 はそれまでに 用 意 する 現 存 船 のインベントリは 実 施 可 能 な 限 り 新 船 の 規 定 に 準 拠 する 現 存 船 のインベントリには 最 低 限 アスベスト 等 の 禁 止 制 限 物 質 は 記 述 する 現 存 船 のインベントリの 作 成 は 新 船 の 規 定 に 準 拠 するか その 代 替 として 専 門 家 もしくは 専 門 家 集 団 が 作 成 する 目 視 /サンプリングチェック 計 画 に 基 づく 方 法 を 採 る 上 記 のとおり 現 存 船 は 原 則 条 約 発 効 後 5 年 以 内 にインベントリを 作 成 する 必 要 があ り 我 が 国 の 船 級 協 会 の 登 録 船 等 で 対 応 が 必 要 と 思 われる 船 舶 は 約 6500 隻 に 及 ぶことが 判 明 している インベントリ 作 成 に 要 する 人 員 や 期 間 コストなどを 明 確 化 するため 我 が 国 では 数 多 くの 現 存 船 のインベントリ 作 成 試 行 実 験 を 重 ねた その 結 果 以 下 の 対 策 を 出 来 る 限 り 早 期 に 取 る 必 要 性 が 認 められた (1)インベントリ 作 成 体 制 の 整 備 現 存 船 のインベントリ 作 成 の 過 程 において 目 視 /サンプリングチェック 計 画 については 主 管 庁 の 承 認 を 受 けた 専 門 家 もしくは 専 門 家 集 団 が 作 成 するように 関 連 ガイドラインでは 求 めている( 関 連 ガイドラインは 2009 年 7 月 のIMO 海 洋 環 境 保 護 委 員 会 で 採 択 される 予 定 ) 我 が 国 においても 専 門 家 もしくは 専 門 家 集 団 に 求 められる 専 門 知 識 の 具 体 的 内 容 や 専 門 家 の 認 証 制 度 について 早 急 に 明 確 化 するとともに 条 約 発 効 後 5 年 以 内 に 現 存 船 のインベントリを 遅 滞 なく 作 成 する ための 人 員 を 確 保 することが 必 要 である その 際 船 舶 の 所 有 管 理 運 航 がグロ ーバルに 渡 る 業 界 構 造 に 対 応 することが 必 要 であることから 国 際 的 な 連 携 体 制 の 整 備 が 必 要 となっている また 現 存 船 の 含 有 有 害 物 質 を 高 い 精 度 で 把 握 検 証 す るためには 有 害 物 質 のデータベースを 作 成 することが 有 用 であり 早 急 な 整 備 が 必 要 である (2) 条 約 適 合 鑑 定 書 (Statement of Compliance :SOC)の 発 給 体 制 の 整 備 リサイクル 条 約 の 関 連 ガイドラインでは リサイクル 条 約 発 効 前 と 雖 も 主 管 庁 が 条 約 適 合 鑑 定 書 (SOC)を 発 給 することに 言 及 している 船 主 が 自 主 的 に 前 も 4

って 条 約 の 遵 守 を 指 向 することは 好 ましいことであり 現 存 船 の 適 用 猶 予 期 間 の 終 了 間 際 に 駆 け 込 みでインベントリの 作 成 依 頼 が 殺 到 することを 回 避 するためにも 条 約 発 効 前 にインベントリを 作 成 し これを 主 管 庁 が 国 内 法 令 施 行 前 検 査 として 検 査 し 条 約 発 効 後 は 条 約 証 書 と 交 換 が 可 能 な 条 約 適 合 鑑 定 書 (SOC)を 発 給 する ことができるよう 国 内 法 制 化 の 際 に 措 置 することが 望 ましい なお 船 級 協 会 では 条 約 発 効 後 に 主 管 庁 の 代 行 機 関 として 主 管 庁 より 承 認 を 受 けるための 準 備 を 進 めており また 独 自 に 鑑 定 書 (Statement of Fact:SOF) を 発 給 することも 計 画 している このSOFは 他 条 約 の 施 行 前 に 既 に 活 用 された 実 績 があり 主 管 庁 の 発 給 する 条 約 適 合 鑑 定 書 (SOC)を 補 う 機 能 を 果 たすもの であり 円 滑 な 条 約 の 実 施 に 向 けて 積 極 的 な 活 用 が 期 待 される これら 現 存 船 への 対 応 についても 船 級 協 会 は 上 記 制 度 整 備 のみならず 船 主 等 への 技 術 支 援 や 周 知 啓 蒙 への 協 力 が 期 待 される 2 1-3 リサイクルヤードに 関 する 対 応 前 記 1-3で 述 べたように 現 在 世 界 の 船 舶 解 撤 量 の 殆 どは バングラデシュ イ ンド 中 国 及 びパキスタンの 4 国 で 占 められている 我 が 国 は 世 界 の 主 要 リサイクル 国 の 実 態 調 査 を 進 めてきた 中 国 では 船 舶 リサイクル 協 会 に 民 間 事 業 者 21 社 が 登 録 され 現 在 11 社 ( 平 成 2 0 年 3 月 )が 稼 働 している 干 満 が 比 較 的 少 ない 上 海 や 広 州 の 河 川 流 域 を 利 用 して リ サイクル 船 舶 を 係 留 したままガス 切 断 し クレーンで 船 体 ブロックを 陸 揚 げする 所 謂 ア フロート 方 式 が 採 用 されている 中 国 政 府 は 船 舶 リサイクルに 関 する 管 理 規 則 を 施 行 し 優 良 ヤードは ISO9000 ISO14000 OHSAS18001 を 取 得 しており 労 働 安 全 衛 生 や 環 境 面 に 配 慮 した 事 業 運 営 が 行 なわれている インドのアラン ソシア 地 区 では 干 満 の 差 が 6mにも 及 ぶことから 満 潮 時 に 船 舶 を 海 岸 線 付 近 に 座 礁 させ 干 潮 時 に 解 撤 を 行 なう 所 謂 ビーチング 方 式 を 採 っており 約 10km の 海 岸 線 沿 いに 現 在 民 間 事 業 者 171 区 画 が 登 録 されている( 平 成 21 年 2 月 ) 1990 年 代 に 劣 悪 な 労 働 環 境 や 環 境 汚 染 が 世 界 的 な 非 難 の 的 となり グジャラート 州 政 府 及 びイ ンド 最 高 裁 等 は 船 舶 リサイクルに 関 する 管 理 規 則 を 施 行 した 現 在 では ガスフリーが 徹 底 され 施 設 管 理 計 画 解 体 計 画 の 作 成 義 務 労 働 者 の 保 護 具 装 着 義 務 等 のほか 労 働 者 訓 練 センター 病 院 アスベスト 最 終 処 分 場 などのインフラ 整 備 も 進 みつつあり ISO9000 ISO14000 OHSAS18001 等 を 取 得 するヤードも 数 社 あり 事 業 運 営 に 大 きな 改 善 が 見 られる 一 方 バングラデシュは インドと 同 じビーチング 方 式 で 解 撤 されているが クロー ラークレーンが 進 出 し 難 い 海 岸 線 から 遠 く 離 れた 沖 合 で 解 撤 されている 船 舶 もあり 船 から 切 り 出 された 重 量 物 は 人 力 で 運 搬 され 作 業 員 に 靴 などの 個 人 装 具 も 行 き 渡 ってお らず 未 だに 多 くの 人 身 事 故 や 環 境 汚 染 が 発 生 している 模 様 で 労 働 安 全 衛 生 や 環 境 保 全 といった 観 点 が 考 慮 されているとは 言 いがたい 状 況 にある リサイクル 条 約 の 要 件 を 満 足 できるリサイクルヤードの 年 間 処 理 能 力 を 推 計 すること は 難 しいが 中 国 とインドはリサイクル 条 約 の 要 件 を 満 足 できるリサイクルヤードが 比 較 的 多 いものと 考 えられる この 両 国 のこれまでの 解 撤 実 績 の 最 大 値 を 考 慮 すると 条 約 を 満 足 できる 年 間 処 理 能 力 は 約 1300 万 総 トン(2000 万 積 載 重 量 トン) 程 度 と 推 定 さ れる 5

前 記 1-3で 述 べたように 世 界 の 海 運 市 況 の 急 激 な 低 迷 を 受 け 近 い 将 来 解 撤 需 要 の 増 大 が 予 測 され 解 撤 能 力 の 不 足 が 懸 念 される 歴 史 的 には 解 撤 需 要 の 拡 大 局 面 でも 主 要 解 撤 国 はより 解 撤 コストの 安 い 国 に 移 動 するものの 船 舶 はあくまで 有 価 物 として 取 引 され 船 舶 の 投 棄 や 放 置 が 発 生 したこと はなかった しかし リサイクル 条 約 発 効 後 は 条 約 要 件 を 満 たすリサイクルヤード 以 外 では 解 撤 が 出 来 ないため 条 約 や 関 連 ガイドラインに 極 端 に 厳 しい 基 準 を 採 用 した 場 合 には 世 界 の 解 撤 能 力 に 悪 影 響 を 及 ぼす 可 能 性 も 否 定 できない このため 以 下 のとおり 条 約 発 効 前 に 所 要 の 対 策 の 必 要 性 が 認 められる (1) 世 界 の 解 撤 能 力 とヤードの 安 全 環 境 レベルの 評 価 (ヤードディレクトリの 作 成 ) これまで 世 界 の 解 撤 能 力 と 各 ヤードの 安 全 や 環 境 レベルを 体 系 的 に 調 査 した 例 はない リサイクル 条 約 関 連 ガイドラインにおけるヤードの 基 準 設 定 にあたって は これらの 能 力 評 価 を 踏 まえることが 肝 要 である 要 すれば 国 際 的 な 連 携 も 考 慮 しつつ 調 査 を 進 める 必 要 がある (2) 海 外 ヤード 国 内 ヤードの 条 約 適 合 支 援 上 で 述 べたとおり リサイクル 条 約 発 効 後 に 基 準 に 適 合 できると 考 えられる 船 舶 解 撤 能 力 と 急 激 に 増 加 する 解 撤 需 要 との 間 に ギャップが 生 じる 可 能 性 も 否 定 でき ないため 海 外 ヤードがリサイクル 条 約 を 満 足 するための 支 援 を 実 施 する 必 要 があ る また 日 本 国 内 にも 政 府 所 有 船 や 小 型 商 船 などの 解 撤 を 行 っている 小 規 模 なリサ イクルヤードが 存 在 する これらの 国 内 小 規 模 リサイクルヤードに 対 して 適 切 な 指 導 支 援 を 提 供 する 必 要 がある (3) 先 進 国 型 リサイクルモデルの 開 発 外 航 船 の 多 くは 途 上 国 でリサイクルされているが 欧 州 では 実 質 的 に 自 国 の 支 配 船 であった 船 は 自 国 でリサイクルするという 考 え 方 を 採 ろうとする 国 がある たとえば 英 国 では 造 船 所 のドックをリサイクルヤードに 転 用 する 動 きや 新 たに 設 備 投 資 を 行 い 米 国 の 戦 時 予 備 船 隊 の 解 撤 業 務 を 引 き 受 ける 事 業 者 も 出 始 めてい る 十 分 な 解 撤 能 力 の 確 保 のため 外 航 大 型 船 を 我 が 国 でリサイクルする 方 策 及 び 政 策 的 な 支 援 を 検 討 すべきである 国 内 における 船 舶 リサイクル 事 業 の 再 生 は 国 内 での 循 環 型 社 会 の 構 築 という 理 念 への 取 組 みもさることながら 鉄 資 源 の 確 保 やCO2 排 出 削 減 効 果 への 貢 献 雇 用 の 創 出 地 方 経 済 の 活 性 化 など 様 々な 効 果 が 期 待 できる 検 討 にあたっては 地 域 により 事 業 化 環 境 も 大 きく 異 なるこ とから 具 体 的 なモデルケースを 設 定 する 必 要 がある 2-2 中 長 期 的 ビジョン 2-2-1 政 策 の 方 向 性 リサイクル 政 策 の 基 本 である3R(リデュース リユース リサイクル)の 推 進 は 船 舶 にも 当 てはまるものと 思 われる 船 舶 は 20 年 以 上 にわたって 使 用 される 長 寿 命 製 品 6

であり 解 撤 船 重 量 の 90% 以 上 を 占 める 鉄 鋼 や 中 古 機 器 等 については 自 然 発 生 的 にリユ ースとリサイクルの 市 場 が 形 成 されている リサイクル 条 約 の 採 択 発 効 後 も 3R 政 策 の 推 進 とリサイクルヤードに 関 する 安 全 性 向 上 と 環 境 保 全 レベルの 引 き 上 げについて 対 応 していく 必 要 がある このような 政 策 課 題 に 的 確 に 対 応 するためには 船 舶 のライフサイクルを 通 じた 全 て の 関 係 者 の 協 力 が 不 可 欠 であり 健 全 で 持 続 可 能 な 船 舶 リサイクルシステムの 構 築 に 向 けて 以 下 の 中 長 期 的 な 課 題 に 対 応 する 必 要 がある 2-2-2 リデュース リデュースへの 取 り 組 みとして 含 有 有 害 物 質 の 削 減 や 省 資 源 化 廃 棄 物 の 削 減 など が 考 えられる 船 舶 は 主 機 関 を 始 めとして 多 くの 機 器 で 構 成 され 機 器 毎 に 使 用 材 料 も 異 なるため リデュースの 検 討 は 機 器 毎 の 実 態 を 踏 まえて 検 討 する 必 要 がある 今 後 は 船 舶 分 野 にとっては 以 下 の 課 題 に 対 処 すべきである (1) 有 害 物 質 の 削 減 製 品 に 含 まれる 有 害 物 質 や 化 学 物 質 の 管 理 は 益 々 厳 しくなっていくものと 思 われ 将 来 船 舶 の 新 造 時 には 有 害 物 質 と 認 識 されていなかったものが 解 撤 時 に 有 害 物 質 とし て 対 処 することを 求 められる 可 能 性 もある 特 に リサイクル 条 約 の 附 属 書 附 録 2に 掲 載 されている 新 船 インベントリへの 記 載 対 象 物 質 は 域 内 規 制 等 で 使 用 が 禁 止 制 限 されているものであり これら 物 質 は 将 来 禁 止 制 限 物 質 として 取 り 扱 われる 可 能 性 が 高 い 造 船 所 とサプライヤーは 有 害 物 質 を 可 能 な 限 り 削 減 し 代 替 材 料 に 積 極 的 に 切 り 替 えるべきであり 国 などは 何 らかの 社 会 的 インセンティブを 与 える 仕 組 み 作 りに 着 手 すべきである (2) 省 資 源 化 小 型 化 資 源 の 有 効 活 用 を 進 めるため 機 器 の 小 型 化 や 軽 量 化 が 重 要 である 安 全 や 環 境 基 準 等 の 要 求 能 力 を 満 足 した 上 で 小 型 化 軽 量 化 の 努 力 が 必 要 である 2-2-3 リユースとリサイクル 船 舶 の 構 造 と 構 成 機 器 は 解 撤 時 に 鉄 スクラップもしくは 中 古 機 器 として 再 販 されて いる 再 販 先 は 主 に 製 鉄 所 や 陸 上 施 設 であるが 一 部 に 船 舶 用 の 交 換 部 品 や 機 器 として 買 い 取 られるケースも 存 在 している 今 後 安 全 性 の 確 保 や 環 境 保 全 を 前 提 に リユース とリサイクル 率 をさらに 向 上 させることが 望 ましく 以 下 の 課 題 に 対 処 すべきである (1) 船 体 構 造 と 機 器 等 の 分 解 容 易 設 計 の 推 進 容 易 に 解 撤 できる 船 体 構 造 や 艤 装 機 器 の 開 発 が 必 要 である 例 えば 船 内 の 断 熱 材 は 製 造 時 の 作 業 性 を 考 慮 して 現 場 発 泡 タイプのものが 存 在 するが 解 撤 時 の 作 業 性 が 悪 く 環 境 汚 染 の 原 因 ともなっている また 網 代 外 装 ケーブルは 外 装 が 容 易 に 剥 離 しないた め リサイクルしづらいものとなっている 今 後 は 廃 棄 リサイクル 段 階 の 作 業 性 を 考 慮 した 分 解 容 易 設 計 に 取 り 組 む 必 要 がある (2)ライフサイクルを 通 じた 材 料 情 報 の 管 理 伝 達 インベントリの 作 成 により 有 害 物 質 に 関 する 情 報 の 管 理 が 船 舶 のライフサイクルを 通 じて 実 施 されることになるが リユースやリサイクルに 必 要 な 材 料 情 報 についても 対 応 が 必 要 である リユース リサイクルにおける 材 料 選 別 等 の 効 率 化 のため 例 えば 鋼 板 のミルシート 情 報 を 管 理 するような 長 期 的 取 り 組 みに 検 討 の 余 地 がある 7

2-2-4 先 進 国 型 リサイクルシステムの 確 立 上 記 2-1-3(3)で 述 べたとおり 外 航 大 型 船 を 我 が 国 でリサイクルする 方 策 及 び 政 策 的 な 支 援 を 検 討 すべきであり 国 内 における 船 舶 リサイクル 事 業 の 再 生 は 国 内 での 循 環 型 社 会 の 構 築 という 理 念 への 取 組 みもさることながら 鉄 資 源 の 確 保 やCO2 排 出 削 減 効 果 への 貢 献 雇 用 の 創 出 地 方 経 済 の 活 性 化 など 様 々な 効 果 が 期 待 できる ことから 開 発 された 具 体 的 なモデルケースを 活 用 し その 成 果 を 全 国 に 展 開 すること で 国 内 での 解 撤 能 力 確 保 に 努 めるべきである 8