P.1 選択制 401k は こんな特徴のある 年金積立制度 です 401k 掛金は 希望者だけが選択可能 選択しない方の給与手取りは変更なし 401k 掛金は 毎月の給与や役員報酬が原資 事業主様の掛金負担なし 401k 掛金は 全額が所得税 住民税の対象外 節税効果あり 401k 掛金は 全額が標準報酬額計算の対象外 社会保険料削減効果ありこれらのメリットを享受する上で ご留意いただきたい事項も多数ございます 以下 特にご留意いただきたい事項をご説明いたします この資料は 選択制 401k のご導入を検討いただくことを目的に あいおいニッセイ同和損保が事業主様向けに作成したものです この資料は 2012 年 10 月末現在における法令 ( 確定拠出年金制度 税制 社会保険制度等 ) および当社が信頼できると考えられる情報に基づいたものでありますが 当社が正確かつ完全であることを保証するものではありません この資料に記載されている内容については 今後 法令等の改正により 変更される場合もありますので ご注意ください この資料は 選択制 401k 固有の留意事項の概要をご説明したものです 詳しい内容や 401k 制度共通の留意事項等につきましては 当社までお問合わせください 1 従業員給与 役員報酬の改定手続きについて あいおいニッセイ同和損害保険株式会社 従業員給与および役員報酬の改定手続きを行なう必要があります 給与規程の改定では労使合意 役員報酬の改定では取締役会決議等が必要となります < 従業員給与 > 給与規程の改定 ( 基本給の減額等 ) とともに 退職準備給付規程 ( 基本給の減額分を 401k 掛金とするか前払選択金で受取るかを選択できる等の定め ) を新設します 新設する規程や費目の名称は任意です (ex. 退職準備給付規程 ライフプラン規程 401k 掛金 確定拠出年金掛金 前払選択金 前払退職金 ) 給与規程の改定案および退職準備給付規程等は 401k 年金規約の承認申請のため 事前に当局 ( 関東信越厚生局 ) に提出し その審査を受ける必要があります 従業員が 401k 掛金を選択した場合 給与 ( いわゆる手取り ) が減ります 従来より基本給が低く表示されるため 社員採用の際に注意が必要です ( 退職準備給付も含めた金額で案内するなど ) 基本給の減額により 若年層が最低賃金法に抵触しないようにすることや 割増賃金等が下がらないようにすることなどにも留意する必要があります < 役員報酬 > 役員報酬月額の一部を 401k 掛金に振分けるため 役員報酬月額の減額変更に当ります 税務上の取扱いなど ご不明な点がありましたら 管轄の税務署または税理士等に相談するようお願いします 2 社会保険 労働保険の保険料の削減時期について ここでの社会保険は厚生年金保険 健康保険 介護保険等 労働保険は労災保険 雇用保険等のことをいっています 社会保険料 1 等級の変更は 定時決定 9 月分 ( 通常 10 月支給給与等からの控除 ) から変更 2 等級以上の変更は 随時改定 4 ヶ月目 ( 通常 5 ヶ月目支給給与等からの控除 ) から変更 労働保険料 401k 掛金を給与等から控除した月から変更 ( ただし 当年度過払分の清算は翌年度 ) 所得税 住民税 401k 掛金を給与等から控除した月から変更 翌年 6 月から変更 401k 掛金は給与や役員報酬にならないため 標準報酬月額 ( 社会保険料の計算基礎 ) や賃金総額 ( 労働保険の計算基礎 ) に算入されません 標準報酬月額は給与等のレンジごとに等級が定められているため 給与等の変動が等級の変動をもたらすかどうかは明確ではありません 等級が変わらなければ 社会保険料は変化しません ( 注 ) 社会保険料の額は 標準報酬月額及び標準賞与額に保険料率を乗じて算出されますが 標準報酬月額は年 1 回の 定時決定 (4~6 月の平均報酬にもとづき 7 月に算定基礎届を提出 ) で決まり 随時改定 にて変更される場合もあります 随時改定 に該当する2 等級の減額変更の場合 月額変更届を提出します
P.2 3 社会保険 労働保険の支給額の減額について ここでの社会保険は厚生年金保険 健康保険 介護保険等 労働保険は労災保険 雇用保険等のことをいっています < 公的年金 > 401k 掛金を選択したことで標準報酬月額の等級が下がった場合 役職員や会社が負担する厚生年金保険料が下がりますが 将来の公的年金の支給額が減ることもありますので ご注意ください ここでいう公的年金とは 老齢基礎年金 ( 国民年金 ) と老齢厚生年金のことですが 老齢厚生年金の支給額は減ることがありますが 老齢基礎年金 ( 国民年金 ) の支給額が減ることはありません 日本年金機構のホームページにある ねんきんネット を利用し 将来の年金見込額を試算することもできます < その他 > 同様に 健康保険の傷病手当 労災保険の休業補償給付 雇用保険の失業等給付などの支給額が減ることもあります 4 401k 掛金の選択 変更等について 厚生年金保険に加入している 60 歳未満の役職員であれば 401k 年金規約や退職準備給付規程等の定めに従い 401k 掛金を選択 (= 401k に加入 ) することができますが 以下の方はご注意ください (1)50 歳以上の方確定拠出年金の受取りは原則 60 歳からですが 加入期間が 10 年未満の場合 受取り開始が遅くなります 50 歳以上の方の場合 60 歳到達時までの期間が 10 年未満となるので 受取り開始時期が遅くなってしまいます (ex. 53 歳で始めた方の受取り開始は 62 歳からとなります 同様に 55 歳の方は 63 歳 57 歳の方は 64 歳からとなります ) また 60 歳以降の年金資産の管理手数料 ( 年間 5 千円程度 ) は本人負担となっていますので 管理手数料が年金資産から毎年控除されることになります (2) 退職予定の方 1 自営業者 ( 第 1 号被保険者 ) になる場合中途退職して自営業者 ( 第 1 号被保険者 ) になる場合 401k 掛金で積み立てた年金資産は個人型確定拠出年金に移換することになります 個人型確定拠出年金の管理手数料 ( 年間 5~6 千円程度 ) は本人負担となりますので 管理手数料が掛金や年金資産から控除されることになります 2 家事専従者 ( 第 3 号被保険者 ) になる場合中途退職して家事専従者 ( 第 3 号被保険者 ) になる場合 401k 掛金で積み立てた年金資産は脱退一時金として受取るか個人型確定拠出年金に移換することになります 脱退一時金で受取るためには各種条件 ( 年金資産が 50 万円以下であることなど ) を満たす必要があるとともに 脱退一時金は一時所得 ( 課税対象 ) となります 個人型確定拠出年金の管理手数料 ( 年間 5 千円程度 ) は本人負担となりますので 管理手数料が年金資産から控除されることになります なお 早期退職者や懲戒解雇者に対して 401k 掛金の返還を求めることは原則できません 401k 年金規約等に事業主様への返還規定を設ける場合には 従業員への十分な説明が必要となります (3) 掛金額の変更 中断 401k 掛金を選択 (= 401k に加入 ) した場合 掛金額を変更することはできますが ゼロ円にすること ( 掛金の中断や中途脱退 ) は原則できません 401k 掛金を中断してゼロ円にできるのは 休職期間 ( 会社都合以外 ) と育児 介護休業期間のうち無給となる期間に限られるとともに 401k 年金規約等に明記されていることが前提となります
P.3 5 役員報酬の税務上の取扱いについて 役員の方を対象とする選択制 401k では役員報酬の変更が必要となります < 例 > 役員報酬月額 80 万円 役員報酬月額 75 万円 +401k 掛金 5 万円 Q1 : 役員報酬月額の変更に当るのか? A1 : 当ります 役員報酬月額の一部を 401k 掛金に変更するものであり 役員報酬月額から 401k 掛金を拠出するのではありません 会社法上 役員報酬の総額は株主総会の決議によって定められます その具体的な配分は 取締役会の決議に委ねる ( 更には代表取締役に一任する ) ことが判例や慣習で認められています Q2 : 役員報酬の総額は変わらないのでは? A2 : 変わりません 従って 実質的には株主の不利益は発生しません 税務上 役員報酬の損金性は定期同額給与が要件になっています 従いまして 役員報酬の損金性が否認されるリスクを避けるためには 株主総会後の取締役会等で各役員の役員報酬月額を変更した後に 役員の方は選択制 401k に加入するのが無難と考えられます Q3 : 従業員と役員で加入する時期が異なっても良いのか? A3 : 役員の加入時期が遅れることは 401k 制度上問題ありません Q4 : 兼務役員の扱いは? A4 :401k 掛金の原資が使用人としての給与か役員報酬かで取扱いが変わります Q5 : 取締役会の議事録や代表取締役の決定を文書で残す必要は? A5 : 税務対応上 議事録等を作成し保管しておくことが大切です ( 下記見本ご参照 ) 取締役会議事録 平成年月日午前 11 時より当会社本店において 取締役 3 名出席 ( 総取締役数 3 名 ) のもとに 取締役会を開催し 下記議案につき可決決定の上 午前 11 時 30 分散会した 議案 取締役各個の受けるべき報酬金額決定の件 議長は 取締役各個の受けるべき報酬金額の決定につき 一同に諮ったところ 全員一致をもってこれを代表取締役に一任する旨の決議を行った 上記の決議を明確にするため この議事録を作り 出席取締役全員がこれに記名押印する 平成 年 月 日株式会社 ***** 議長代表取締役 ****( 会社代表印 ) 出席取締役 ****( 認印可 ) 出席取締役 ****( 認印可 ) 取締役の報酬金額に関する決定書 平成年月日株式会社 **** 代表取締役 ****( 会社代表印 ) 平成年月日開催の取締役会において 取締役各個の受けるべき報酬金額については これを代表取締役に一任すると全員一致をもって決議されたことにより その報酬金額を下記のとおり決定し 平成年月日以降支給される報酬金額より適用する 記 ( 役職名 )( 氏名 )( 報酬金額 ) 代表取締役 **** 月額 95 万円 ( 別途 確定拠出年金掛金月額 5 万円 ) 取締役 **** 月額 75 万円 ( 別途 確定拠出年金掛金月額 5 万円 ) 取締役 **** 月額 77 万円 ( 別途 確定拠出年金掛金月額 3 万円 ) 計 3 名月額 247 万円 Q6 : 選択制 401k の導入と同時に役員が加入することはできないのか? A6 : 税務対応上の会社のご判断となります 次ページの事例およびご説明をご参照ください ご注意 この資料は選択制 401k における役員報酬の一般的な税務の取扱い 考え方を説明したものです 詳しくは 管轄の税務署または税理士等にご相談願います
P.4 6 役員報酬の税務上の取扱いについて ご参考事例 本事例の前提 3 月決算 /6 月株主総会の企業において 全役職員を対象とする選択制 401k を 10 月に導入 ( 労使合意 当局承認済 ) 採用した選択制 401k では 給与または役員報酬を原資として 401k 掛金を月額最大 5 万円まで選択可 ケース 1 質問 1 ご説明質問 2 ご説明質問 3 ご説明 10 月の導入時 役員報酬月額 80 万円の A 役員は 3 万円の 401k 掛金を選択した 役員報酬はどのように変更するのか 以下のいずれかとします 1 役員報酬月額 80 万円 役員報酬月額 77 万円 401k 掛金 3 万円 2 役員報酬月額 80 万円 役員報酬月額 75 万円 401k 掛金 3 万円 前払退職金 2 万円 役員報酬月額の変更は期中 (10 月 ) に可能なのか 変更手続きは何をすればよいのか 税務上 役員報酬の改定は 原則として期首もしくは定時総会時に限られ 取締役会等の決議を取っておく必要があります それ以外のタイミングでも手続きとしてはもちろん変更可能ですが 税務上の観点からは次の点にご留意ください 税務上の改定時期としてはイレギュラーとなりますが 役員報酬の形式的な変更として 取締役会等の決議をとっておくこと 会社として役員に支払う報酬等の総額は変わっておらず 事業主負担額も最終的には役員個人に帰属すること 役員報酬だけでなく 職員給与も改定する全社的な改定である ( 労使合意も経ている ) 法律に基づく企業年金制度の導入に伴う改定である ( 当局承認も得ている ) などから 実質的な報酬改定ではないという解釈により 役員報酬の損金性が否認されることは考えづらいと思われます 前払退職金はどのように定めればよいのか 税務上の取扱いはいずれも役員報酬と同じです ケース 2 質問 4 ご説明質問 5 ご説明 導入以降 A 役員は 401k 掛金を 5 万円に増額した 役員報酬はどのように変更するのか 以下のいずれかとします 1 役員報酬月額 77 万円 401k 掛金 3 万円 役員報酬月額 75 万円 401k 掛金 5 万円 2 役員報酬月額 75 万円 401k 掛金 3 万円 前払退職金 2 万円 役員報酬月額 75 万円 401k 掛金 5 万円 前払退職金 0 円 導入以降の変更 ( 増減 ) はいつでも可能なのか 変更手続きは何をすればよいのか 導入以降の変更については 役員個人の意思に起因するものであるため 税務上の観点からは定期同額給与となるよう 期首もしくは定時総会のタイミングで行うことが望まれます ( 職員については 退職準備給付規程などで会社が定める範囲内であれば 毎月でも変更可能です ) 役員報酬月額の変更として 取締役会で決議をしておく必要があります 通常は定時株主総会時に併せて取締役会も開催しますので そのタイミング (6 月 ) に合わせて変更することをお奨めします ご注意 この資料は選択制 401k における役員報酬の一般的な税務の取扱い 考え方を説明したものです 詳しくは 管轄の税務署または税理士等にご相談願います
P.5 7 給与ソフトの仕様変更について 選択制 401k 導入にあたりましては 給与規程 の改定 ( 基本給の減額等 ) とともに 基本給の減額分を 401k 掛金とするか前払選択金で受け取るかを選択することなどを定めた 退職準備給付規程 を新設します (401k 導入手続きの際 別途ご案内いたします ) 新設する規程や費目の名称は任意です (ex. 退職準備給付規程 ライフプラン規程 401k 掛金 確定拠出年金掛金 前払選択金 前払退職金 ) 従って 給与ソフト の変更が必要となります 新設の 退職準備給付 に関しましては 給与ソフト ( 作成される支給明細 ) において下記 の新設項目が必要です 新設項目 : 前払選択金 ( 支給項目 ) 退職準備給付の枠から 401k に振替えない金額 なお 401k 掛金 については 給与の枠外として 任意のスペースに表記することが望ましいと思われます ( 任意記載 ) これまでの基本給が 50 万円 新設する退職準備給付額が 51,000 円の場合 従来 : 基本給 500,000 円 変更 : 基本給 449,000 円 + 前払選択金 +401k 掛金 =500,000 円 となります 給与明細書 社員番号 886531 所属営業部営業 1 課氏名 平成 23 年 11 月給与 AD 太郎 勤怠 支給 控除 出勤 休出 有休 欠勤 有休残 普通残業 深夜残業休出残業 20 0 0 40 0 0 0 基本給 前払選択金 449,000 5,000 健康保険料 厚生年金保険料 介護保険料雇用保険料 所得税 住民税 20,856 36,080 3,322 2,724 11,058 19,609 支給総額控除合計額差引支給額参考 401k 掛金 454,000 93,649 360,351 46,000 上記 前払選択金 401k 掛金 の各種扱いに関しては下記の通りです 各種計算基礎への算入一覧 所得税 住民税 標準報酬 雇用保険 最賃法 傷病手当 割増賃金 前払選択金 対象 対象 対象 対象 含む 含む 含む 401k 掛金 含む ご注意 この資料は選択制 401k 導入にあたっての給与関連における変更の概略を述べたものです 詳しくは 管轄の労基署 税務署 社会保険労務士または税理士等にご確認 ご相談願います
P.6 8 給与控除と 401k 掛金拠出のスケジュールについて 選択制 401k 導入後の初回掛金納付に間に合うよう 給与ソフトの仕様変更 役職員様毎の 401k 掛金額 ( 給与控除額 ) の確認等の手続きをお願いします ( 下記パターンご参照 ) 給与計算 支給パターン < 例 > 給与控除スケジュール 401k 掛金拠出スケジュール 401k 導入日 毎月末日締め 翌月 20 日払い 4 月 給与計算対象期間 401k 加入月 4 月 1 日から 4 月 30 日までの給与を 5 月 20 日に支払うケース 5 月 給与締日 給与支給日 401k 掛金控除 事業主より拠出 代表事業主宛初回掛金納付日加入月の翌月 10 日まで 4 月 20 日の支給給与から 401k 掛金を控除することも可能です 毎月末日締め 当月 20 日払い 4 月 1 日から 4 月 30 日までの給与を 4 月 20 日に支払い 4 月分の時間外手当等は 5 月に支払うケース 4 月 5 月 給与計算対象期間 給与支給日 401k 掛金控除 事業主より拠出 401k 導入日 401k 加入月 代表事業主宛初回掛金納付日加入月の翌月 10 日まで 401k 導入日 毎月 20 日締め 当月 25 日払い 4 月 401k 加入月 4 月 21 日から 5 月 20 日までの給与を 5 月 25 日に支払うケース 5 月 給与計算対象期間 給与締日給与支給日 401k 掛金控除 事業主より拠出 代表事業主宛初回掛金納付日加入月の翌月 10 日まで 4 月 25 日の支給給与から 401k 掛金を控除することも可能です ご加入される 401k 制度によっては 401k 掛金の納付期限が毎月 15 日の場合もあります ( 別途 ご説明いたします ) なお 上記 401k 掛金拠出スケジュール の前に 以下の手続きも必要となります ( 401k 導入手続きの際 別途ご案内いたします ) (1) 401k 加入希望者の登録 ( 従業員属性登録票 の提出 ) ~ 401k 加入月の 2 ヶ月前 ~ 従業員説明会等により 401k 掛金選択 (=401k 加入 ) を希望する方を確認の上 所定の 従業員属性登録票 に加入者情報を入力の上 代表事業主宛に提出します 掛金額 欄は金額未定の場合 0 円で仮入力してください (2) 401k 掛金額の登録 ( 拠出内容確認票 の提出 ) ~ 401k 加入月の翌月 10 日まで ~ ( 注 ) 401k 加入月の月末に代表事業主から送付される 拠出内容確認票 に 401k 加入者毎の掛金額を入力の上 代表事業主宛に返信します 入力した金額の合計金額を 代表事業主宛に同時にお振り込みください ( 注 ) ご加入される 401k 制度によっては 401k 加入月の前月末までに 事業主様にて 掛金変更登録票 に 401k 加入者毎の掛金額等を入力の上 代表事業主宛に送付していただく必要があります ( 別途 ご説明いたします )