Soil Plus 耐震解析セミナー 2014.10.08 改訂された鉄道の耐震標準 と今後の課題 ~ 耐震設計と危機耐性 ~ ( 公財 ) 鉄道総合技術研究所 鉄道地震工学研究センター長 室野剛隆 1
本日の講演内容 平成 22 年に改定された 鉄道構造物等設計標準 ( 耐震設計 ) ( 耐震標準 ) について 概要を紹介する 特に 動的解析を活用した方法の位置づけについて言及する また 東北地方太平洋沖地震以降 いわゆる想定を越えた事象に対する取り扱いが喫緊の課題になっており 耐震標準における考え方について紹介する 2
鉄道構造物の新しい耐震設計基準 鉄道構造等設計標準 耐震設計 が改訂 平成 24 年 7 月に国土交通省より通達 9 月に出版 平成 17 年度より 耐震設計標準に関する委員会 において改訂に関する審議委員長佐藤忠信 ( 神戸学院大学教授 ) 幹事長澤田純男 ( 京都大学防災研究所教授 ) 平成 23 年 3 月末の時点では成案 ( 通達準備中 ) H23.3.11 に東北地方太平洋沖地震が発生 従来の想定を超える巨大地震 (Mw9.0) 鉄道構造物耐震基準検討委員会 を発足させ この地震に対する設計標準の適用性について検証 3
改定経緯 (1) 国際基準への配慮 (1) 国際標準化機構 (ISO) や欧州規格委員会 CEN(European Committee For Standardization) を中心とする国際規格の制定の動きが急速に進みつつある ISO2394:General principles on reliability for structures (1998) ISO23469 Bases for design of structures -- Seismic actions for designing geotechnical works (2005) (2) 世界的に性能規定化の流れ 鉄道に関する技術上の基準を定める省令 ( 平成 13 年 : 国土交通省第 151 号 ) も性能規定化 世界貿易機関 (WTO) における 政府調達協定 及び 貿易の技術的障害に関する協定 (TBT 協定 ) により 加盟国の国内規格の基礎として国際規格を遵守することが義務 4
改定経緯 (2) 地震観測網の整備 兵庫県南部地震 (1995) 以降 急速に地震観測網が整備された (K-NET, KiK-net) 多数の強震動が記録 地震動の予測技術に貢献 地震工学分野の研究の進展 地震による各種データの蓄積 実験技術の向上による現象解明の進展 シミュレーション技術の飛躍的向上地震動評価技術構造物の挙動評価技術 5
改訂標準の内容 1 耐震設計の基本 6
耐震設計の基本耐震設計 構造物は, 建設地点の地形, 地盤条件および地震環境等に適した構造を計画するものとする 地震随伴事象 ( 津波 地表断層変位 余震 etc) に関しては未解明な部分が多いので 照査する体系とせず 耐震構造計画で配慮する 耐震構造計画 性能照査 想定する地震動および構造物の重要度に応じて 必要な性能を定めて照査するものとする. 構造物の性能照査においては, 使用目的に応じた要求性能を設定し, 適切な照査指標を用いて, 要求性能を満足することを照査するものとする. 7
設計地震動 L1 地震動 : 構造物の建設地点で設計耐用期間内に数回程度発生する確率を有する地震動 H11 標準踏襲 L2 地震動 : 構造物の建設地点で考えられる想定される最大級の地震動 陸地近傍で発生する大規模な海溝型地震 内陸活断層型地震 H11 耐震標準構造物の設計耐用期間中に発生する確率は低いが非常に強い地震動 最大級とは, 加速度や震度といった指標を指すのではなく, 対象とする構造物に最大級の影響を与える地震動 である. 対象とする地盤 構造物の動特性によって L2 地震動の対象地震が異なる! 8
耐震設計の基本注意点設計地震動 実際の設計計算の際に用いる地震作用を算出する際の基本となるものであり 自然現象としての地震動 動的相互作用の結果として得られる入力損失効果や逸散減衰効果を期待して 設計地震動の短周期側を実際よりも小さく設定する 重要度に応じて設計地震動を変化させる 重要度は要求性能で考慮 考え方 入力損失効果等は別途 応答値算定の際に考慮 よくある本標準9 動的解析を実施する場合には 相互作用の影響を考慮できるモデルで行うことが前提となっている!!
構造物の要求性能 安全性 復旧性 構造物の構造体としての安全性 L2 地震動に対して 全体系が破壊しないための性能 構造物の機能上の安全性 脱線に至る可能性をできるだけ低減するための性能 少なくとも L1 地震動に対して構造物の変位を走行安全上定まる一定範囲内に留める 構造物周辺の環境状況を考慮し, 想定される地震動に対して, 構造物の修復の難易度から定まる損傷等を一定の範囲内に留めることにより, 短期間で機能回復できる状態に保つための性能とする. 10
性能照査の原則と方法 原則あらかじめその精度が検証された信頼性の高い方法 Ex) トータルコストを照査指標とした復旧性照査 標準的方法限界状態設計法 1 要求性能に対して限界状態を設定 2 構造物または部材が限界状態に達しないことを確認設計応答値 I i I 構造物係数 Rd Ld 1.0 設計限界値 11
改訂標準の内容 2 設計地震動 12
L2 地震動の設定 L2 地震動は 強震動予測手法に基づき地点依存の地震動として設定することが基本 詳細な検討を必要としない場合は, 簡易な手法により設定してもよい ( 標準応答スペクトル の利用 ) 2 明確な適用範囲1) 1 Mw=7.0よりも大きな震源域が建設地点近傍に確認されない場合 2) 耐震設計上の基盤面より深い地盤の影響によって地震動の著しい増幅が想定されない場合 伏在断層による地震にも配慮 13
地域特性の違いによる地震動の変化 2000 年鳥取県西部地震 地点 1 地点 2 弓ヶ浜半島島根半島 日本海 中海 ( 出典 : 港湾空港技術研究所 ) 地盤構造 0.0 地点 1 地点 2 0 5 10 15(km) Vs=700m/s 1500m/s 速度 (cm/s) 観測記録地点 1 90 0-90 90 0 地点 2 Max=82kine Max=18kine -90 0 10 20 30 時間 ( 秒 ) 1.0 (km) 3200m/s ( 吉川他 (2002) に加筆 ) 地点の深部地盤構造の変化によって, 地震動が急激に変化
簡易な手法により設定する L2 地震動 L2 地震動を簡易な手法により算定する場合は, あらかじめ妥当性が検証された標準的な弾性加速度応答スペクトルに基づき算定してよい. スペクトル Ⅰ スペクトル Ⅱ Mw=8.0 程度の海溝型地震が建設地点より 60km の位置で発生した場合を想定 Mw=7.0 程度の内陸活断層が建設地点の直下で発生した場合を想定 既往の観測記録を基に 標準応答スペクトル 設定 15
標準応答スペクトル マグニチュード M と震源距離 R を補正した観測記録群に対して非超過確率が 90% になるように設定した 10000 5000 Mw=7.0 直下 10000 5000 Mw=8.0 R60km 応答加速度 (gal) 1000 500 100 50 観測記録 ( 地震基盤 深 ) 非超過確率 90% スペクトル II(G1 地盤 ) 10 0.1 0.5 1 5 周期 (sec) スペクトル Ⅱ 応答加速度 (gal) 1000 500 100 50 観測記録 ( 地震基盤 深 ) 非超過確率 90% スペクトル I(G1 地盤 ) 10 0.1 0.5 1 5 周期 (sec) スペクトル Ⅰ 16
標準応答スペクトルの時刻歴波形 標準応答スペクトルに適合する波形は無数に存在 過去の観測記録および断層破壊過程を考慮した手法で位相特性をモデル化し, 時刻歴波形を設定 構造物の非線形応答として, 危険側の設定となっていないことを確認済 加速度 (gal) 加速度 (gal) 1000 0-1000 1000 0 スペクトル I スペクトル II max=524(gal) max=944(gal) -1000 0 10 20 30 40 50 60 70 80 時間 (s) 17
45 標準地震動の適用が難しい地域 1 1) Mw7.0 より大きな震源域が近傍に確認される場合 1 Mw=8.0 を上回る地震が想定される震源域とこれらの震源域から距離 60km 以内のエリア 40 45 km 60 35 40 40 20 30 0 500 130 135 140 145 0 35 Mw=7.0を上回る地震が想定 18 される震源域 30 0 500 18 130 135 140 145
標準地震動の適用が難しい地域 2 サイト増幅特性が大きな地点で観測された記録の例 1 新潟県中越沖地震 K-NET 柏崎標準応答スペクトル ( スペクトルII) 全国の平均 + 標準偏差 50 5000 増幅倍率 10 5 1 K-NET 柏崎 0.5 0.1 0.5 1 5 周期 (s) サイト増幅特性 応答加速度 (gal) 1000 500 K-NET 柏崎 100 50 0.1 0.5 1 5 周期 (s) 観測記録の応答スペクトル 19
増幅倍率 標準地震動の適用が難しい地域 2 サイト増幅特性が大きな地点で観測された記録の例 2 宮城県北部地震 K-NET 牡鹿 K-NET 牡鹿 50 5000 K-NET 牡鹿 10 5 1 全国の平均 + 標準偏差 0.5 0.1 0.5 1 5 周期 (s) サイト増幅特性 応答加速度 (gal) 1000 500 100 50 標準応答スペクトル ( スペクトル II) 0.1 0.5 1 5 周期 (s) 観測記録の応答スペクトル 簡易な判断基準で地点の地震動特性を適切に評価可能 20
サイト増幅特性の調査方法 建設地点,K-NET 観測点で調査を実施 観測箇所 地震観測 1 箇所 ( 建設地点のみ *) 常時微動観測 2 箇所 ( 建設地点 + K-NET 観測点 ) 観測時間 ( 目安 ) 数ヶ月数時間 観測方向 水平 2 方向 ( 東西, 南北 ) 3 方向 ( 水平 2+ 上下 ) データ整理 非常に容易 容易 評価精度 非常に高い 中 *) K-NETでは地震記録が公開されているため 調査に供することのできる期間, 費用を勘案して調査方法を決定 21
強震動予測手法による L2 地震動の設定 1 対象地点 対象震源域の特定 既存資料に基づき 周辺の震源域を抽出 2 対象震源域のパラメータ設定 計算に必要なパラメータは標準値が全て公開されている 3 対象地点のサイト増幅特性の評価 近傍のサイト増幅特性 (K-NET 観測点 ) を使用 地震観測記録もしくは常時微動観測に基づき補正 4 統計的グリーン関数法による地震動評価 計算手法の原理は既に確立済み 22
強震動予測手法による L2 地震動の設定 小地震の記録を破壊の時間的 空間的成長に従って足し合わせることで大地震を合成 小地震の規模 観測点 変位 小地震の断層変位 小断層 時間 大地震の規模 小地震 断層面状の空間的重ね合わせ L 大地震 大地震の断層変位 W 変位 重ね合わせ時間 破壊過程の時間的重ね合わせ 23
改訂標準の内容 3 表層地盤の評価 24
注意を有する地盤 ごく軟弱な粘性土層およびシルト質土層に生じる強度低下 地下水位下の砂質土を主体とする土層に生じる地盤の液状化 液状化に伴う地盤の側方流動 地盤の動力学特性や地層構成による地震動の増幅 不整形地盤における局所的な地震動の増幅 25
表層地盤の挙動評価 表層地盤の挙動の算定は, 耐震設計上の基盤面で設定された設計地震動を用いて, 地盤応答解析による 地点依存の地盤応答解析 動的解析法 時刻歴非線形解析 GHE-S モデルと一般化パラメータ 簡易解析法 詳細な検討を必要としない場合に限る 注意を要する地盤 は適用を避けたい 地盤種別は G0~G7 L2 地震に対しては G6,G7 地盤が簡易法の適用外 26
表層地盤の挙動評価に関する大きな誤解 Q: 地盤種別による方法は本当に簡易 ( 楽 ) なのか? A:Noです! 計算のプロセス ( 計算 ) が楽なだけ! 地盤種別を用いるには非常に高度な判断が必要 1 当該地盤が地盤種別による方法の適用範囲? 不整形地盤? 層構成により著しい増幅はないか? 特殊な非線形性はないか? 2 対象とする地盤が本当に 地盤? 3 耐震設計上の基盤はどこか? これをいい加減に判断してないか? アレコレ考えるなら 地盤をあるがままの姿で 動的解析 をする方が遥かに楽では? 27
地盤種別による方法価 5000 スペクトル Ⅰ 5000 スペクトル Ⅱ 応答加速度 (gal) 1000 500 地盤種別 G1 G2 G3 G4 G5 減衰定数 h=0.05 100 0.1 0.5 1 5 周期 ( 秒 ) 応答加速度 (gal) 1000 500 地盤種別 G1 G2 G3 G4 G5 減衰定数 h=0.05 100 0.1 0.5 1 5 周期 ( 秒 ) 地盤が軟弱なほど応答加速度は小さくなる G3 地盤以降では スペクトル Ⅰ と Ⅱ は同一のスペクトル 地盤の塑性化 : 地盤のせん断強度以上の加速度を上層に伝えることができない 28
動的解析による方法 地盤材料の動力学特性のモデル化 (1) 非線形モデル (2) 弾塑性モデル (3) マルチ スプリングモデル 地盤のモデル化 (1) 水平成層地盤 (2)1 次元モデル (3) 多次元モデル 地盤の液状化の可能性の有無 (1) 全応力解析 (2) 有効応力解析 29
実務的な非線形モデル (GHE-S モデル ) 30 Shear stress(kn/m 2 ) 20 10 0-10 -20-30 150 γ=10-3 紡錘型 -0.1 0 0.1 Shear strain(%) G/G 0 1 0.8 0.6 0.4 0.2 :G/G 0 ~γ 関係 :h~γ 関係 従来のモデル 0.3 0.2 0.1 h GHE-S モデル Shear stress(kn/m 2 ) 100 50 0-50 -100-150 γ=10-2 0 0 10-6 10-5 10-4 10-3 10-2 10-1 逆 S 字型 -4 0 4 Shear strain(%) Shear strain 30
実務的な非線形モデル (GHE-S モデル ) 骨格曲線 y 1 C 1 x x C 履歴曲線 2 Masing 則 y C C 1 2 f x x c c 1 x 2 r c c 0 c 0 1 1 1 2 c 2 2 c 2 c 0 0 2 2 2 cos x 1 cos x 1 2.0 従来は一定 2 1.5 今回は歪みとともに変化 Shear stress 0 Strain γ -2-0.02-0.01 0 0.01 0.02 Shear strain 31
パラメータの標準値 試験によりモデルパラメータを把握するのが原則 ただし 全ての層で把握するのは実質困難 G/G 0 1 0.8 0.6 0.4 0.2 GHE-S でモデル化した G/G 0 ~ γ / γ 0.5 粘性土砂質土砂礫 ばらつきは変動係数 0~14% 0 0.001 0.01 0.1 1 10 100 γ/γ 0.5 6 個のパラメータについて標準的な値を設定した C1(0) C2(0) C1( ) C2( ) C1(1) C2(1) 1.0 0.83 0.17 2.5 0.87 1.05 32
改訂標準の内容 4 応答値の算定 33
構造物の応答値の算定の目的 構造物の破壊形態を確認する プッシュ オーバー解析 構造物が崩壊に至るまでの過程を粘り強い破壊形態にして構造物全体の脆性的な破壊を防ぐ L2 設計地震動を越えたとしても カタストロフィックな被害に直結させない 復旧の容易な箇所に損傷を集中させる 設計地震動に対する設計応答値を算定 動的解析 : 最も合理的な方法 静的解析 : 静的な地震作用を設定できる場合 34
設計地震動に対する設計応答値を 求めるための解析 大きな変更点 動的相互作用の積極的な考慮 1 標準的な動的解析モデル 2 応答変位法の適用範囲の拡大 精度向上のための改定 3 部材モデルの変更 (Yb 点の導入 ) 4 非線形応答スペクトル法の改良 5 液状化地盤の構造物の応答値の算定 35
2 応答変位法の適用範囲の変更 平成 11 年標準 1) 表層地盤の設計固有周期 Tg が 0.5 秒以上の場合 (G4~G7 地盤 ) 2) 表層地盤の N 値および層厚が解説表 6.4.1 の条件に該当する場合 改訂標準 G0~G2 地盤を除く地盤に建設される深い基礎においては, 地盤の硬軟によらず地盤変位の影響を考慮する 粘性土 砂質土 N 値層厚 N 値層厚 N=0 N 2 N<4 2m 以上 5m 以上 10m 以上 N 5 N<10 5m 以上 10m 以上 36
2 応答変位法の適用範囲の変更 ( 背景 ) 新形式構造への対応 今後新しい構造形式が開発され, 益々慣性力が低減される可能性を考えると, 地盤変位の考慮が必須 例えば 免震基礎など, 上部から伝達される慣性力が小さい構造物では, むしろ地盤変位が杭基礎の決定要素 性能設計を意識した改訂! これまでの 一般的な条件 に捉われないことが重要 G3 地盤における基礎の被害事例 工事中の構造物で, 杭基礎のみが構築された状態の杭が損傷 (G3 地盤 ) 設計の連続性 G3 地盤と G4 地盤の設計の連続性 液状化地盤との連続性 37
地盤 基礎の動的相互作用 u u f u s u R u f u s R u u f 幾何学的相互作用 慣性相互作用 Inertial force (Inertial interaction) Soil deformation (Kinematic interaction) 耐震設計における解釈 M total M a M g 38
地盤 基礎の動的相互作用 動的相互作用の観点 設計的な観点 慣性の相互作用 Inertial interaction = 慣性力に対する抵抗 Resistance against inertial force 幾何学的相互作用 Kinematic interaction = 作用としての地盤変位 Soil deformation as seismic action on pile 39
壁式橋脚 (C/L) 高架橋の事例 大きい死荷重高い降伏震度低い降伏震度 慣性力支配的 小さい死荷重 地盤変位支配的 0-5 深度 (m) -10-15 慣性力のみ 慣性力 + 地盤変位 -20 0 1000 2000 0 1000 2000 曲げモーメント (kn m) 0 1000 2000 曲げモーメント (kn m) 40
免震橋梁の場合の事例 3 x M- at pier bottom 104 w/lrb 2 固定支承 Original 1 Moment (kn-m) 0-1 -2-3 免震支承 橋脚下端モーメント -4-0.035-0.03-0.025-0.02-0.015-0.01-0.005 0 0.005 0.01 Rot. angle (rad) Depth from the pile top (m) 0 低減効果小 -5-10 -15 最大モーメント Depth from the pile top (m) 0-5 -10-15 低減効果 慣性力によるモーメント Depth from the pile top (m) 0-5 -10-15 地盤変位によるモーメント 0 2000 4000 6000 Moment (knm) 0 2000 4000 6000 Moment (knm) 0 2000 4000 6000 Moment (knm) 41
入力損失効果とは 有効入力動 基礎側面の地盤変位はほぼ一様で 基礎は地盤変位合わせて振動する低振動数 Low frequency 基礎各部で地盤変位は異なり それらの効果は相殺されて 振動し難い 高振動数 High frequency 42
入力損失効果の定量評価 Kinematic displacement factor η 有効入力係数 1.5 1 0.5 Case2-1 Vs,eq=200(m/s) Case2-2 =150(m/s) Case2-3 =100(m/s) 杭径 1.0(m) 杭長 20(m) 4 本杭 入力の損失効果 0 0 5 10 15 Frequency (Hz) 振動数 (Hz) 43
入力損失が構造物の応答に与える影響 Acc(gal) -1000 0 5 10 15 20 25 30 35 40 Time(sec) 1000 Acc(gal) 1000 500 Fourier amp. (gal*sec) 0-500 500 0-500 10 3 10 2 10 1 10 0 KOB IWT 10 IWT 2 10-1 10-1 10 0 10 1 Frequency (Hz) 兵庫県南部地震 (KOB) 岩手内陸地震 (IWT) -1000 0 5 10 15 20 25 30 35 40 Time(sec) 10-1 10 0 10 1 Frequency (Hz) Response acc (gal) Response acc (gal) 10 3 10 2 10 1 10 3 10 1 KOB 自然地盤有効入力動 Case3-1 有効入力動 Case3-2 有効入力動 Case3-3 10-1 10 0 10 1 Period (sec) 自然地盤有効入力動 Case3-1 有効入力動 Case3-2 有効入力動 Case3-3 応答スペクトル 10-1 10 0 10 1 Period (sec) 44
橋脚の動的解析モデルの例 動的相互作用を考慮できるモデルが必要 ( 例 ) 構造物不適入力損失も評価可能自由地盤 地盤変位による影響も評価可能 設計地震動は 相互作用の影響を考慮できるモデルで行うことが前提となっている!! 地震動 45
改訂標準の内容 5 性能照査 46
要求性能と照査指標 要求性能 安全性 復旧性 性能項目 破壊に関する安全性走行安全性 損傷, 安定, 変形 照査指標の例力, 変位 変形変位 変形力, 変位 変形等 性能項目 定量的評価 照査指標 構造物の性能照査のための照査指標の限界値 要求性能, 性能項目ごとに設定 47
破壊に対する設計限界値の考え方 破壊に関する安全性 ( 部材の破壊 ) 一部の部材が破壊しても構造物全体が崩壊しないことを照査 各部材が耐荷力を失い構造物全体系が破壊に至る挙動を把握できる解析が必要 安全側の割り切りいずれか一つの部材が破壊したときを構造物の破壊と仮定部材の破壊 : 過大な作用により自重等が保持できない状態現状, 変位等による定量化が困難 48
破壊に対する設計限界値の考え方 安全側の割り切り 破壊に関する安全性の設計限界値損傷レベル 3 限界点 荷重 損傷 損傷 損傷 損傷 レベル 1 レベル 2 レベル 3 レベル 4 2 5 6 3 7 8 9 曲げ破壊 1 4 せん断破壊 RC 部材 SRC 部材の例 変位 1: ひび割れ発生点 2: コンクリートが圧縮強度に達する点 3: 鋼材, 又は部材の降伏点 4: 曲げ降伏前のせん断破壊点 5: 軸方向鋼材の座屈開始点 6: かぶりコンクリートのはく落開始点 7: 降伏耐力を維持できる最大変形点 8: コアコンクリートの圧壊点 9: 曲げ降伏後のせん断破壊点 49
復旧性に対する限界値の考え方 損傷レベルの設定 部材の種別を考慮した修復行為の難易性 地中部材 地上部材 修復困難 修復容易 柱先行降伏などの配慮 復旧性の設計限界値の例力学的特性考慮 損傷レベル 2 周辺環境から修復が容易な場合 損傷レベル 3 を許容 復旧性は 外的要因 ( 被災後の復旧資材の確保や復旧体制 etc) などに大きく左右される 本標準では, 修復性以外の要因を別途考慮することを前提に, 構造物の修復性に対する力学的な性能項目を定めた 50
設計限界値の考え方 ( ラーメン高架橋 ) 構造物の要求性能と損傷レベル, 安定レベルの例 構造物の要求性能復旧性安全性 ( 破壊 ) 上層 地中梁 2 3 構造要素の柱 2~3 3 損傷レベルその他の梁 3 3 (4) 基礎の安定レベル 2 3 注意点 1 注意点 2 地中部材が損傷すると その修復には柱部材等に比べて膨大な費用が必要 故に 柱等の降伏するように配慮 周辺環境に応じて 部材の復旧性の限界値は変化 Ex) 店舗利用や支援物資の搬入路の確保が難しい場合は 限界値を厳しく設定 51
改訂標準の内容 6 危機耐性について 52
耐震設計で考慮する大地震 (L2 地震 ) 構造物の建設地点で考えられる最大級の地震動 標準的には (1) 海溝型地震 (Mw8.0 断層最短距離 60km) (2) 活断層型地震 (Mw7.0 直下) 必ずしも 物理的に発生可能な極限の地震ではない 地震は非常に大きな不確定性を有する現象 力学的合理性の追求の過程で経済的 社会的合理性と手を結ぶ 想定以上の地震が作用する可能性は排除できない どう対応するか? 53
今 求められている事 想定を超える巨大地震災害などの 危機 に対して 破局的な状態の回避と全体系機能の早期回復を可能にする必要性 危機耐性 付属資料 1-1(3.2) 国土強靭化基本計画 ( 平成 26 年 6 月 3 日閣議決定 ) 目標 人命の保護 重要な機能が致命的な障害を受けず維持 被害の最小化 迅速な復旧 復興 54
耐震設計の枠組みと危機耐性の関係 考えられる事象耐震設計 従来の耐震設計で制御可能な事象 照査 耐震設計で制御可能な事象の 補集合 危機耐性 構造計画構造的対応ソフト的対応 直接的に定義し照査する体系は未整備 本標準では 2.2 耐震構造計画 等でこれを配慮 構造物全体系として脆性的な破壊形態となるのを避ける 構造物への進入路 作業ヤードの確保 55
ご清聴有難うございました