激増する日本人糖尿病 ( 万人 ) 2,500 糖尿病の可能性が否定できない人 (HbA1c 6.0~6.4) 糖尿病が強く疑われる人 (HbA1c 6.5% 以上 ) 2,210 万人 2,000 1,500 1,000 1,620 万人 1,370 万人 万人 880 万人 +

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複製 転載禁止 The Japan Diabetes Society, 2016 糖尿病診療ガイドライン 2016 CQ ステートメント 推奨グレード一覧 1. 糖尿病診断の指針 CQ なし 2. 糖尿病治療の目標と指針 CQ なし 3. 食事療法 CQ3-2 食事療法の実践にあたっての管理栄養士に

ただ太っているだけではメタボリックシンドロームとは呼びません 脂肪細胞はアディポネクチンなどの善玉因子と TNF-αや IL-6 などという悪玉因子を分泌します 内臓肥満になる と 内臓の脂肪細胞から悪玉因子がたくさんでてきてしまい インスリン抵抗性につながり高血糖をもたらします さらに脂質異常症

日本の糖尿病患者数は増え続けています (%) 糖 尿 25 病 倍 890 万人 患者数増加率 万人 690 万人 1620 万人 880 万人 2050 万人 1100 万人 糖尿病の 可能性が 否定できない人 680 万人 740 万人

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

53巻6号/TNB06‐10(委員会報告)

(検8)05資料4 門脇構成員 随時血糖値の判定基準について

肥満者の多くが複数の危険因子を持っている 肥満のみ約 20% いずれか 1 疾患有病約 47% 肥満のみ 糖尿病 いずれか 2 疾患有病約 28% 3 疾患すべて有病約 5% 高脂血症 高血圧症 厚生労働省保健指導における学習教材集 (H14 糖尿病実態調査の再集計 ) より

2

山梨県生活習慣病実態調査の状況 1 調査目的平成 20 年 4 月に施行される医療制度改革において生活習慣病対策が一つの大きな柱となっている このため 糖尿病等生活習慣病の有病者 予備群の減少を図るために健康増進計画を見直し メタボリックシンドロームの概念を導入した 糖尿病等生活習慣病の有病者や予備

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第3章「疾病の発症予防及び重症化予防 1がん」

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られる 糖尿病を合併した高血圧の治療の薬物治療の第一選択薬はアンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬とアンジオテンシン II 受容体拮抗薬 (ARB) である このクラスの薬剤は単なる降圧効果のみならず 様々な臓器保護作用を有しているが ACE 阻害薬や ARB のプラセボ比較試験で糖尿病の新規

当院における虚血性心疾患患者の 糖尿病および耐糖能異常についての現状

,995,972 6,992,875 1,158 4,383,372 4,380,511 2,612,600 2,612, ,433,188 3,330, ,880,573 2,779, , ,

心房細動1章[ ].indd

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3 スライディングスケール法とアルゴリズム法 ( 皮下注射 ) 3-1. はじめに 入院患者の血糖コントロール手順 ( 図 3 1) 入院患者の血糖コントロール手順 DST ラウンドへの依頼 : 各病棟にある AsamaDST ラウンドマニュアルを参照 入院時に高血糖を示す患者に対して 従来はスライ

<4D F736F F F696E74202D208E9197BF315F817582C782B182C582E0826C C B4C985E82C98AD682B782E98DEC8BC EF92868AD495F18D902E B8CDD8AB B83685D>

< 糖尿病療養指導体制の整備状況 > 療養指導士のいる医療機関の割合は増加しつつある 図 1 療養指導士のいる医療機関の割合の変化 平成 20 年度 8.9% 平成 28 年度 11.1% 本糖尿病療養指導士を配置しているところは 33 医療機関 (11.1%) で 平成 20 年に実施した同調査

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また リハビリテーションの種類別では 理学療法はいずれの医療圏でも 60% 以上が実施したが 作業療法 言語療法は実施状況に医療圏による差があった 病型別では 脳梗塞の合計(59.9%) 脳内出血 (51.7%) が3 日以内にリハビリテーションを開始した (6) 発症時の合併症や生活習慣 高血圧を

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血糖変動を読み解く vol.1


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Transcription:

平成 24 年 9 月 1 日 2012 年度日本臨床検査標準協議会 (JCCLS) 学術集会 HbA1cと糖尿病診療 日常診療における HbA1c 測定 標準化の意義 東京大学大学院医学系研究科糖尿病 代謝内科植木浩二郎

激増する日本人糖尿病 ( 万人 ) 2,500 糖尿病の可能性が否定できない人 (HbA1c 6.0~6.4) 糖尿病が強く疑われる人 (HbA1c 6.5% 以上 ) 2,210 万人 2,000 1,500 1,000 1,620 万人 1,370 万人 +200 680 万人 880 万人 +440 1,320 万人 500 690 万人 +50 740 万人 +150 890 万人 0 1997 年 2002 年 2007 年 厚生労働省 : 平成 19 年国民健康 栄養調査

糖尿病 インスリン作用不足による慢性高血糖を主徴とする代謝疾患群

1. 空腹時血糖 2. 随時血糖 高血糖の評価 3.75g 経口ブドウ糖負荷試験 (OGTT) 4.HbA1c 慢性的な高血糖を表す 5. 典型的な糖尿病の症状 6. 糖尿病に特有の合併症 ( 網膜症 )

糖尿病の臨床診断 (2010 (2010 年以前 ) 年以 1. 空腹時血糖値 126mg/dl 75gOGTT2 時間値 200mg/dl 随時血糖値 200mg/dl のいずれかが 別の日に行った検査で 2 回以上確認できれば糖尿病と診断してよい ( 血糖値がこれらの基準値を超えてている場合を糖尿病型と呼ぶ ) 2. 糖尿病型を示し かつ次のいずれかの条件がみたされた場合は 1 回だけの検査でも糖尿病と診断できる 1 糖尿病の典型的症状 ( 口渇 多飲 多尿 体重減少 ) の存在 2HbA1c(JDS) 6.5% (HbA1c(NGSP) 6.9%) 3 確実な糖尿病網膜症の存在

以前の糖尿病診断基準の問題点 診断には 基本的に別の日に 2 回の血糖検査を必要としたが 自覚症状がないため 2 回目の検査が行われず 糖尿病の気がある 等の認識で放置されていることが多かった 糖尿病とその合併症の増加の一因

HbA1c は 過去 1,2 ヶ月間の血糖値の平 均を反映する これを活用することで 1 回の検査で糖尿病を診断することはできないか

空腹時血糖値 OGTT2 時間値から見た HbA1c(JD 空腹時血糖値 (mg/dl) HbA1c(JDS 値 OGTT2 )(%) 時間値 (mg/dl) HbA1c(JDS 値 ) 126 6.1 200 6.0 参考 : HbA1c と空腹時血糖値 OGTT2 時間値との関連 に関する引用文 空腹時血糖値と HbA1c との関連 OGTT2 時間値と HbA1c との関連 Ito, C., et al;diabetes Res Clin Pract, 2000. 50: 225.

HbA1c(JDS) から見た空腹時血糖値 OGTT2 時 HbA1c(JDS 値 )(%) 空腹時血糖値 (mg/dl) OGTT2 時間値 6.1 124.4 199.3 参考 : HbA1c と空腹時血糖値 OGTT2 時間値との関連 に関する引用文 HbA1c と空腹時血糖値との関連 HbA1c と OGTT2 時間値との関連 Ito, C., et al;diabetes Res Clin Pract, 2000. 50: 225.

HbA1c(JDS 値 ) 別にみた (%) 3 明らかな糖尿病網膜症の頻度 2.5 2 1.5 1 0.5 0 ー 4.54.5 ー 5.0 5.1-5.5 5.6-6.0 6.1-6.5 6.6-7.0 7.1- HbA1c(JDS 値 )(%) ( 伊藤千賀子 )

空腹時血糖値 75g 糖負荷試験 (OGTT) 2 時間値および HbA1c の判定基準 正常域 糖尿病域 空腹時値 <110 (6.1) 126(7.0) 75gOGTT 2 時間値 <140 (7.8) 200(11.1) 両者をみたすものを いずれかをみたすもの 正常型とする. を糖尿病型とする. 75gOGTTの判定正常型にも糖尿病型にも属さないものを 境界型とする. 随時血糖値 200mg/dl HbA1(NGS) 6.5(HbA1(JD) 6.1% HbA1c(NGSP) 6.5%(HbA1c(JDS) 6. の場合も糖尿病型とみなす

糖尿病の臨床診断のフローチャート 糖尿病型 ; 血糖値 ( 空腹時 126mg/dl,OGTT2 時間 200mg/dl, 随時 20 HbA1c(NGSP) 6.5% [HbA1c(JDS) 6.1%] 血糖値と HbA1c ともに糖尿病型 血糖値のみ糖尿病型 HbA1c のみ糖尿病型 早期診断 早期介入を促進するため, HbA1c と血糖値の同時測定を推奨 糖尿病 糖尿病の典型的症状 確実な糖尿病網膜症のいずれか 有り 無し 再検査 なるべく 1 ヶ月以内に HbA1c のみ反復陽性では糖尿病と診断できない 再検査 ( 血糖検査は必須 ) 血糖値とHbA1c血糖値のみともに糖尿病型糖尿病型 HbA1c のみ糖尿病型 いずれも糖尿病型でない 血糖値とHbA1c血糖値のみともに糖尿病型糖尿病型 HbA1c のみ糖尿病型 いずれも糖尿病型でない 糖尿病 糖尿病 糖尿病疑い 糖尿病疑い 3~6 ヶ月以内に血糖値 HbA HbA1c を再検査を再検査

75gOGTT の判定区分別にみた HbA1c(JDS) の分布 HbA1c(JDS 値 )(%) 葛谷健他 ; 糖尿病 42:385.1999

血糖コントロール指標 治療のターゲッとしての HbA1c

糖尿病治療の目標 ~ 日本糖尿病学会編 : 糖尿病治療ガイド 2012 ~ 健康な人と変わらない日常生活の質 (QOL) の維持健康な人と変わらない寿命の確保 糖尿病細小血管合併症 ( 網膜症 腎症 神経障害 ) および動脈硬化性疾患 ( 虚血性心疾患 脳血管障害 閉塞性動脈硬化症 ) の発症 進展の阻止 血糖 体重 血圧 血清脂質の良好なコントロール状態の維持

我が国における糖尿病と合併症発症の病態と実態 生命の危険性 動脈硬化症 : 心筋梗塞 脳卒中 閉塞性動脈硬化症など ( 約 87 万人 )( 約 137 万人 ) 肥満 メタボリックシンドローム 内臓脂肪型肥満 + 脂質異常 + 高血圧 + 高血糖 大血管障害 糖尿病糖尿病へ移行 (890 万人 ) 糖尿病の細小血管障害 腎症網膜症神経障害 腎不全 ( 人工透析 ) ( 年間新規導入 16,000 人 ) 失明 視力障害 ( 年間 3000 人 ) 下肢切断 ( 年間 :3,000 人以上 )

日本人糖尿病患者の平均死亡時年齢と日本人一般の平均寿命 ( 歳 ) 74 72 日本人糖尿病患者の平均死亡時年齢 11971~1980 21981~1990 31991~2000 71.6 70 68 66 64 63.1 64.9 66.5 68.4 68.0 男女 62 60 A 日本人一般 ( 平均寿命 ) B 糖尿病患者 ( 平均死亡時年齢 ) 2の1に比べての 11971~1980 21981~1990 31991~2000 年齢差 3 の 2 に比べての年齢差 男女男女男女男女男女 73.4 歳 78.8 歳 75.9 歳 81.9 歳 77.6 歳 84.6 歳 +2.5 歳 +3.1 歳 63.1 64.9 66.5 68.4 68.0 71.6 +3.4 +3. B の A に比べての年齢差 10.3 13.9 9.4 13.5 9.6 13.0 糖尿病, 50(1);47-61,2007 J Diabet Invest Vol

N Engl J Med 201 糖尿病と生存年数の関連 糖尿病により短縮した生存年数 7 男性 7 女性 短縮した生存年数 6 5 4 3 2 1 癌死 血管病死 原因不明の死非癌 非血管病死 癌死血管病死 6 5 4 3 2 1 癌死 血管病死 0 040 50 60 70 80 90 0 040 50 60 70 80 90 Age (yr) Age (yr)

HbA1c と心血管障害のリスク Epic-Norfolk study:45~79 才のイギリス人 10,232 名を対象に HbA1c と心血管障害の関連を追跡 平均観察期間は 6 年 年齢補正した相対危険度 HbA1c(NG SP 値 ) <5% 5~5.4% 5.5~5.9 % 6~6.4% 6.5~6.9% 7% 心血管障害 1 1.23 1.56 1.79 3.03 5.01 男性 総死亡 1 1.25 1.57 1.80 3.49 3.38 心血管障害 1 0.89 0.98 1.63 3.03 7.96 女性 総死亡 1 1.02 1.28 1.61 1.70 6.91 Ann Intern Med 2004

DCCT(1 型糖尿病の介入試験 ) (Diabetes Control and Complications Trial) HbA1cの経過 11 10 従来療法群 HbA1c(%) 9 8 7 6 強化療法群 5 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 年

厳格な血糖コントロールは 1 型糖尿病の 60 50 細小血管症を抑制する (DCCT) 一次介入コホート 網膜症の発症進展 60 50 二次介入コホート 累積進展率 40 30 20 10 0 従来療法群 P<0.001 累積進展率 強化療法群 従来療法群 30 P<0.001 20 強化療法群 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 40 10 0 年 年 N Engl J Med 1993

Kumamoto Study(2 型糖尿病の介入試験 ) 空腹時血糖値 HbA1c (mg/dl) 250 200 150 100 50 (%) 12 10 8 6 5 における血糖コントロール 空腹時血糖値と HbA1c の推移 0 1 2 3 4 5 6 7 8 年 0 1 2 3 4 5 6 7 8 年 CIT 群 MIT 群 CIT 群 MIT 群 Okubo et al: Diabetes Res Clin Pract 28: 103, 19

Kumamoto Study における血糖コントロールと細小血管症の関係 網膜症の累積悪化率 16 14 8 4 0 100 人 / 年あたり 5 7 9 11 80 120 160 200 140 180 220 260 300 HbA1c(%) 空腹時血糖値食後 2 時間血糖値 腎症の累積悪化率 16 14 8 4 0 100 人 / 年あたり 5 7 9 11 80 120 160 200 140 180 220 260 300 HbA1c(%) 空腹時血糖値食後 2 時間血糖値 Okubo et al: Diabetes Res Clin Pract 28: 103, 1995

(%) リスク低下率UKPDS33 UKPDS33 と80 と80 早期の積極的な血糖コントロールが合併症抑制につながる Legacy effect( 遺産効果 ) 20 10 0-10 -20-30 全死亡 -6 p=0.44 強化療法群におけるリスク軽減 (vs. 従来療法群 ) -13 p=0.007 心筋梗塞 -16 p=0.052-15 p=0.01 脳卒中 p=0.52 細小血管合併症の進展 p=0.0099 1997 2007 1997 2007 1997 2007 1997 2007 ( 年 ) 11-9 p=0.39-25 -24 p=0.001 UK Prospective Diabetes Study Group, UKPDS33 Lancet 352:837,1998 Rury R. Holman, UKPDS80, N Engl J Med 359:1577,2008

血糖コントロール指標と評価 コントロールの評価とその範囲 指標 優 良 不十分 可 不良 不可 HbA1c(NGSP)% HbA1c(JDS)% 6.2% 未満 5.8% 未満 6.2~6.9% 5.8~6.5% 6.9~7.4% 6.5~7.0% 7.4~8.4% 7.0~8.0% 8.4% 以上 8.0% 以上 空腹時血糖値 (mg/dl) 80 110 未満 110~ 130 未満 130 160 未満 160 以上 食後 2 時間血糖値 (mg/dl) 80 140 未満 140~ 180 未満 180 220 未満 220 以上 日本糖尿病学会 : 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン (2004) 日本糖尿病学会編糖尿病治療ガイド 2012

HbA1c の国際標準化 NGSP 値 6.5% NGSP 値 6.5% JDS ( 日本 ) 値 6.1% NGSP ( 米国 ) 値 6.5% 我が国以外の国では NGSP 値が用いられている HbA1c(NGSP) HbA1c(JDS)+0.4%

異なる異なる HbA1c を用いていることによる障害 コントロール目標 ADA A1C 7.0% JDS HbA1c6.5% 米国のコントロール目標は緩い? 治療が下手? 診断基準 ADA A1C 6.5% JDS HbA1c6.1% 同じ病気であるのに診断基準が異なる?

HbA1c の運用について 1. 平成 24 年 4 月 1 日以降, 検査機器等では NGSP 値が測定されるようになる HbA1c(NGSP) と表記 2. 当面 換算式で計算されたJDS 値も併記される HbA1c(JDS) と表記 3. 特定健診 特定保健指導においては 平成 24 年度までは JDS 値のみが使用され 受診者が受け取る結果も単に HbA1c と表記されており 注意を要する 3. 医療従事者 患者さん 特定健診の受診者などに対して ホームページ 出版物 ポスター リーフレットなど啓発資料などにより 周知している

HbA1c をターゲットにした治療の問題点

強化療法の死亡に対する影響 ( メタ解析 ) Hemmingsen B et al. BMJ 2011;343:bmj.d6898

強化療法の非致死性心筋梗塞に対する影響 ( メタ解析 ) Hemmingsen B et al. BMJ 2011;343:bmj.d6898

強化療法の網膜症に対する影響 ( メタ解析 ) Hemmingsen B et al. BMJ 2011;343:bmj.d6898

強化療法の重症低血糖に対する影響 ( メタ解析 ) Hemmingsen B et al. BMJ 2011;343:bmj.d6898

HbA1c は単に血糖の平均を反映する数値 血糖値 ー治療の質を保証しないー 200 100 6 時 12 時 18 時

糖尿病予防のための戦略研究 J-DOIT3 概 対象 1 次エンドポイント 高血圧または脂質代謝異常のある 2 型糖尿病 (45~69 歳 ) HbA1c 6.9% (n=2,542 初発予防 89% 再発予防 11%) 死亡 心筋梗塞, 脳卒中 冠動脈血行再建術 脳動脈血行再建術 2 次エンドポイント腎症の発症 増悪 下肢切断 網膜症の発症 増悪 試験実施期間 登録期間 2.5 年 追跡期間は登録終了後 4 年 治療目標強化療法群 (n=1,271) 従来治療群 (n=1,271 血糖 血圧 脂質 HbA1c(NGSP)<6.2% HbA1c(NGSP)<6.9% (TZD 誘導体ベース ) <120 / 75mmHg<130 / 80mmHg (ARB/ACEI ベース ) LDL-C <80mg/dL LDL-C <120mg/dL (*LDL-C <70mg/dL) (*LDL-C <100mg/dL) ( ストロングスタチンベース ) *CHD の既往 NCT003009

糖尿病合併症を抑制し 糖尿病患者の寿命を延伸する最も確実な方法 HbA1c と血糖値の同時測定により ハイリスク者 早期糖尿病患者を同定し 生活習慣の改善による発症予防と糖尿病悪化を阻止する