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チャート編 1 日経平均株価 ( 日経 225) TOPIX( 東証株価指数 ) 2,0 NY ダウ工業株 30 種平均株価 ( 米ドル ) ダウセレクト配当込み指数 3,000 28,000 26,000 24, ,000 26,000 2,0 20,000 1,0 24,000 1

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1. 30 第 1 運用環境 各市場の動き ( 4 月 ~ 6 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは狭いレンジでの取引が続きました 海外金利の上昇により 国内金利が若干上昇する場面もありましたが 日銀による緩和的な金融政策の継続により 上昇幅は限定的となりました : 東証株価指数 (TOPIX)

【16】ゼロからわかる「世界経済の動き」_1704.indd

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サマリー 1 市場の関心は米大統領選の行方に集まっています 世論調査においてドナルド トランプ氏の優勢が報じられると 市場の更なる丌確実性が懸念され リスク資産からの資金流出が記録されました 10 月の MSCI 世界株価指数はマイナス 2.01% MSCI 新興国株価指数は 0.18% と新興国が

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1. 30 第 2 運用環境 各市場の動き ( 7 月 ~ 9 月 ) 国内債券 :10 年国債利回りは上昇しました 7 月末の日銀金融政策決定会合のなかで 長期金利の変動幅を経済 物価情勢などに応じて上下にある程度変動するものとしたことが 金利の上昇要因となりました 一方で 当分の間 極めて低い長

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2018 年度第 3 四半期運用状況 ( 速報 ) 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に判断することが必要ですが 国民の皆様に対して適時適切な情報提供を行う観点から 作成 公表が義務付けられている事業年度ごとの業務概況書のほか 四半期ごとに運用状況の速報として公表を行うも

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日経平均株価 21,1. NY ダウ工業株 3 種 2,.31 米ドル 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1, 12, 1,,, 22, 1, 1, 1,, 21 年 1 月 29 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~21

日経平均株価 22,27.3 NY ダウ工業株 3 種 25,9.32 米ドル 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1, 12, 1,,, 2, 22, 1, 1, 1, 21 年 月 2 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~

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日経平均株価 22,97. 2, 2, 22, 円 2, 1, 1, 1,, 1,,, 21 年 7 月 23 日発行休場の場合は直前の営業日までのデータ 長期 ( 週次ベース ) (27 年 1 月第 1 週末 ~21 年 7 月第 3 週末 ) 短期 ( 日次ベース ) (217 年 1 月初

Invesco Australian Bond Fund (Monthly)

第 1 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +1.54% 収益率 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1.02% 実現収益率 ( )) 運用収益額 +3,222 億円 総合収益額 ( ) ( 第 1 四半期 ) (+1,862 億円 実現収益額 ( )) 運用資産残高 ( 第 1 四半期末 )


Economic Indicators_  定例経済指標レポート

当ページは 各種の信頼できると考えられる情報源から取得した情報に基づき アクサ生命保険株式会社が作成し提供するものです 情報の内容に関しては万全を期しておりますが その正確性 完全性については これを保証するものではありません 日本株式市場 運用環境 [ 2015 年 4 月 ~2016 年 3 月

22101_PremierTouch_A011_H10B11_201906_2

経済学でわかる金融・証券市場の話③

平成30年度第1四半期における運用状況等

< 豪州債券市場の市況および今後の見通し > 2016 年の豪州債券市場では 金利が低下しました 年初から 2 月にかけては 中国株をはじめ世界の株式市場が下落するなど市場のリスク回避姿勢が強まる中 金利低下が進みました 1 月末に日銀のマイナス金利導入発表を受け 欧州など他国でもさらなる金融緩和期

株式市場 米国株 トランプ氏の政策への期待感後退で調整も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました 11 月 8 日 ( 現地 ) に行われた大統領選挙でトランプ氏が当選し 減税やインフラ投資の拡大などの同氏の政策に注目が集まりました 債券市場では金利が上

2018 年は激動の年 年初来 トルコ株式指数はトルコリラベースで最大で約 24% 下落し トルコリラは日本円に対して最大で約 45% 下落しました トルコ株式 * の推移 ( トルコリラベース ) /12 18/03 18/06 18

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目 次 1. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) における運用環境について 2. 平成 27 年度 ( 平成 27 年 4 月 ~ 平成 28 年 3 月 ) のポートフォリオ別の運用状況 3. ベンチマーク インデックスの推移 ( 参考 ) 被保険者ポート

第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) 運用利回り +0.09% 実現収益率 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用収益額 億円 実現収益額 ( ) ( 第 2 四半期 ) 運用資産残高 ( 第 2 四半期末 ) 357 億円 年金積立金は長期的な運用を行うものであり その運用状況も長期的に

ピクテ・インカム・コレクション・ファンド(毎月分配型)

週間マーケット情報 (2016 年 9 月 2 日 ~2016 年 9 月 9 日 ) ご参考資料 2016 年 9 月 12 日 野村アセットマネジメント 市場の動向 日本の株式市場 日本の株式市場の代表的な指数である東証株価指数 (TOPIX) は 2 日比で 0.23% 上昇しました 週初の日

Outlook201806

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Invesco Global Select Equity Open (Hedged / Monthly Distribution)

目次 1. 平成 29 年度第 1 四半期 ( 平成 29 年 4 月 ~6 月 ) における運用環境について 2. 平成 29 年度第 1 四半期 ( 平成 29 年 4 月 ~6 月 ) におけるポートフォリオ別の運用状況 3. ベンチマーク インデックスの推移 ( 参考 ) 用語の説明 頁 1

平成 28 年度第 3 四半期退職等年金給付組合積立金運用状況 警察共済組合

目次 平成 29 年度 第 2 四半期運用実績 ( 概要 ) P 2 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 1 P 3 平成 29 年度 市場環境 ( 第 2 四半期 ) 2 P 4 平成 29 年度 退職等年金給付組合積立金の資産構成割合 P 5 平成 29 年度 退職等年金給付組合

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株式市場 米国株 国内外の政治動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 好調な企業決算発表を受けて上昇米国株式市場は上昇しました 月前半までは2017 年 1-3 月期の決算発表内容が総じて好調であったことが株価を支えました 月半ばには コミー前 FBI( 連邦捜査局 )

【11】ゼロからわかる『債券・金利』_1704.indd

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マクロ インサイト FRB FRB 長期金利 FRB bp 図表 1 FRB と市場の金利予測の乖離 FOMC 予測 vs 市場予測 年末 年末 2.0 市場が

Microsoft Word ECB利下げ.doc

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Microsoft Word - 20年度資産運用状況.doc

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一部新興国市場が動揺 アルゼンチンは前四半期から経済危機に陥っていましたが トルコでは 6 月に再選された大統領が米国と対立したこと等を契機に 8 月に通貨が急落しました ブラジルや南アフリカ インドの通貨も下落が加速する局面が見られ 中国元も緩やかに値を下げました これまでのところ個別国の問題とい

株式市場 米国株 高値警戒感の高まりなどから上昇一服も MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は上昇しました トランプ政権で閣僚などの人事において一部で混乱が見られましたが トランプ大統領の発言などにより減税 金融規制緩和などへの期待が高まったことや 発表された米国企

Outlook201812

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2 / 5 ファンドマネージャーのコメント 現時点での投資判断を示したものであり 将来の市況環境の変動等を保証するものではありません < 運用経過 > ダイワ マネーアセット マザーファンドを組み入れることで 安定運用を行いました < 今後の運用方針 > 今後につきましても 安定運用を継続して行って

グローバル株式市場を俯瞰する~2015年8月末データで見る市場動向~

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平成29年度における運用状況等

国家公務員共済組合連合会 厚生年金保険給付積立金の令和元年度第 1 四半期運用状況 第 1 四半期末の運用資産額は 6 兆 7,376 億円となりました 第 1 四半期の収益額は 実現収益額が 512 億円 総合収益額が 128 億円となりました 第 1 四半期の収益率は 実現収益率 ( 期間率 )

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Invesco Premia Plus Fund

日本の債券市場 日本の債券市場の代表的な指数であるNOMURA-BPI 総合は 2 日比で0.09% 上昇しました 前週末発表の1 月の米雇用統計において 賃金上昇圧力が確認されたことを受け 金融引き締めに対する警戒感から各国株式市場が下落したことから 安全資産としての債券需要が高まり日本債券市場は

株式市場 米国株 国内の政策動向や海外の政治動向などに注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場はほぼ変わらずとなりました 月初には 2 月末のトランプ大統領の議会演説を好感して 株価は大幅上昇となりました しかし その後は 新政権の経済政策に対する期待が徐々に後退

週間マーケット情報 (2017 年 3 月 17 日 ~2017 年 3 月 24 日 ) ご参考資料 2017 年 3 月 27 日 野村アセットマネジメント 市場の動向 日本の株式市場 日本の株式市場の代表的な指数である東証株価指数 (TOPIX) は 17 日比で 1.40% 下落しました 前

2013 年 8 月 19 日号

受益者の皆様へ 平成 28 年 2 月 15 日 弊社投資信託の基準価額の下落について 平素より弊社投資信託をご愛顧賜り 厚くお礼申しあげます さて 先週末 2 月 12 日 ( 金 ) 以下のファンドの基準価額が 前営業日の基準価額に対して 5% 以上下落しており その要因につきましてご報告いたし

平成 21 年 9 月 5 日 角山智 投資環境レポート (2009 年 9 月 ) 1. 主な株価指数 8 月は 中国株が大幅に値下がりしました 反面 出遅れていた英国株が好調です 市場 日本株 日本新興市場 J-REIT 米国株 英国株 中国株 ( 指数 ) (TOPIX) (JASDAQ) (

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Outlook201609

株式市場 米国株 上値が重く神経質な展開 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました FOMC( 米国連邦公開市場委員会 ) における利上げの有無 大統領選挙の動向 ドイツの大手銀行の資本不足懸念などに一喜一憂する展開となりました 月半ばにかけて 利上げ観測や原油

【34】今日から使える「リスクとリターン」_1704.indd

米国株 投資家心理が落ち着けば 上昇基調に回帰と想定 株式市場 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 長期金利の上昇を契機に急落米国株式市場は下落しました 月初に発表された1 月の雇用統計において 時間当たり賃金が市場予想を上回る伸び率となったことを受けて 長期金利が約 4 年ぶ

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Invesco Global Select Equity Open (Hedged / Monthly Distribution)

変額年金 ( 特別勘定 ) の現況をご覧になる方に 特にご確認いただきたい事項 投資リスクについて 変額年金保険の特別勘定の資産運用は 国内外の株式および公社債 国内外のその他の有価証券 貸付金 コールローンおよび預貯金等を主な運用対象としておりますので 株価の下落や金利の変動 為替の変動などにより

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米国の利上げ見送りと日本の長期化した金融緩和

(2) 資産構成割合の推移 ( 給付確保事業 ) 1 資産配分実績の基本ポートフォリオからの乖離の推移 2 実践ポートフォリオと資産配分実績の推移 3. 運用受託機関 平成 29 年 3 月末現在 2

Outlook201608

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HIGHLIGHTS 2018 年の資金流入額は 3 年ぶりに 4 兆円超えも 株式相場低迷で年後半は失速 2019 年 1 月 31 日 Vol 年の ETF を除く追加型株式投信の純設定額が +4.1 兆円と 2017 年を上回り 3 年ぶりの高水準 タイプ別で見ると外国株式型が

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株式市場 米国株 年末商戦や金利動向に注目 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米中首脳会談への期待から上昇米国株式市場は上昇しました 前半は中間選挙の結果が市場の事前想定通りとなったことなどから安心感が広がり株価は上昇しました 中旬では一部のハイテク企業が需要見通しを引き下げたこと

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2017 年 6 月 30 日現在 商品概要設定日 1999 年 1 月 7 日信託期間無期限決算日毎月 23 日 ( 休業日の場合は翌営業日 ) 運用実績 < 為替ヘッジあり > 過去の運用実績は 将来の運用成果を保証するものではありません 基準価額の推移基準価額 ( 円 ) 基準価額 ( 課税前

今回の金融政策報告書では 米国内の投資活動が弱いために輸出が想定ほど伸びていないとしながらも 金融業などサービス関連の好調さを示す分析や 商品価格下落がカナダ企業の投資活動を抑制する動きは底打ちしたとの指摘など カナダ景気に前向きな材料も散見されます 当面は 政策金利の据え置きを続けると見通します

株式市場 米国株 景気 企業業績は依然として堅調 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 貿易摩擦への懸念から下落米国株式市場は下落しました トランプ米大統領が鉄鋼やアルミニウムの輸入を制限する方針を表明したことから 世界的な貿易摩擦への懸念が高まり下落して始まりました その後 貿

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MONEX 個人投資家サーベイ 2016年2月調査

株式市場 米国株 先行き不透明感強いがファンダメンタルズは良好 MSCI 米国 2, % 先月の回顧 米国株式市場は下落しました 堅調な経済指標の発表を受けて米国の年内利上げ観測が高まったことで 金利動向の影響を受けやすいディフェンシブセクターの一部が軟調に推移しました また 米

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ピクテ マーケット フラッシュ 2016 年 6 月 27 日 英国の国民投票 : 欧州連合 (EU) 離脱を選択 英国の国民投票が欧州連合 (EU) からの離脱という衝撃的な結果となったことから 欧州は勿論のこと 広く世界の経済 政治 金融市場に大きな影響が及ぶことが予想されます 金融市場の当初の反応 英国の欧州連合 (EU) 残留を織り込んでいた金融市場は 想定外の投票結果を受け 2008 年 9-10 月のリーマン危機直後の下げに匹敵する暴落の展開となりました 欧州域内の株式市場が3-12% の下げに見舞われた一方 ポンドは-12% と急落し ( 結果発表前の ) 対ドルで1 ポンド =1.0ドルに対して一時 1ポンド =1.33ドルを付け 198 年以来の最安値を更新しました これに対し リスク オフ局面の典型的な展開として 金は7% 強上昇 一方 独 米の10 年国債利回りは それぞれ 一時 -0.17% ならびに1.4% に低下 ( 価格は上昇 ) し 6 月 24 日には終値ベースで前日比でそれぞれ-14bp -19bp 低下しました また 円は3 年ぶりに一時 1ドル =100 円を割り込みました この間 ユーロが予想以上の底堅さを見せ およそ1 年ぶりの1ユーロ =1.09ドルと4% 程度の下げに留まったことが注目されます 図表 1: 今後の主な政治イベント時点 :2016 年 6 月 24 日 2016 年 6 月 26 日 スペイン総選挙 6 月 28-29 日 欧州連合 (EU) 首脳会議 10 月 ( 予定 ) キャメロン首相辞任 保守党党首選挙 10 月 憲法改正を問うイタリア国民投票 11 月 米国大統領選挙 2017 年 月 フランス大統領選挙 10 月 ( 予定 ) ドイツ総選挙 出所 : ピクテグループ 政治面への影響 政治面にも甚大な影響が及ぶことが予想されます キャメロン首相は既に辞任を余儀なくされましたが 後任の新首相は国内の議会で強い支援が期待できないことに加え EU 離脱の交渉に際しては 一部 EU 加盟国政府からの厳しい抵抗に対応せざるを得ないことが予想されます 英国がEU 離脱の手続きを 正式に 始めるには ( 欧州理事会に ) リスボン条約 0 条 の発動を通知しなければなりません 通知から 2 年以内に離脱の条件が交渉されることとなりますが 英国がどのような条件を確保しようと考えているかは 現時点では明らかではありません また いかなる条件にも EU 加盟 27 ヵ国の承認が必要となることが先行きの不透明感を強めています 英国との貿易量が少ない加盟国の幾つかは交渉に殆ど関心を示さないものと思われるためです 欧州の複数の国は高い政治リスクにさらされています 経済の低迷を背景に反体制政党が台頭しており 英国の EU 離脱 ( ブレグジット ) が 主流派政党に対する国民の不満を強めた可能性があります 欧州ならびにユーロ圏は 分断の脅威にさらされています スペインでは26 日 ( やり直しの ) 総選挙が行われたばかりですが イタリアでは 10 月に憲法改正案の是非を問う国民投票が予定されており レンツィ首相の去就を決めることとなりそうです ( 図表 1 参照 ) 首相は 上院の権限を大幅に縮小する改正案が否決された場合には辞任することを明らかにしているからです イタリアの状況も懸念されます イタリアはユーロ圏 3 位の経済規模を有する一方 銀行セクターは2,000 億ユーロ強の不良債権を抱えており 政府債務が膨らんだ現状では財政支出を大幅に拡大する余地は見込まれないからです 1

2017 年にはフランスの大統領選挙が予定されていますが 反 EUの国民戦線が国民の支持を増やしています また ドイツでは総選挙が行われます フランス ドイツ オランダ等 複数の国が EUあるいはユーロ圏加盟の是非を問う国民投票を行わざるを得ない状況に陥る可能性も否めません 上述のさまざまな状況を勘案すると ブレグジット は EU あるいはユーロ圏分断のリスクを高める結果となったように思われます EU あるいはユーロ圏分断が避けられないという意味ではありません ブレグジット が欧州の政治家に対して 銀行業界 規制 財政等に関する規制改革を促進するよう 警鐘を鳴らしたということなのです 諸改革を実行し 機能が改善された EU が実現することとなれば 英国は EU との関係を見直したいと考えるかもしれません このような展開は現状では望めそうにありませんが 実は前例があるのです 1992 年 デンマークは国民投票でマーストリヒト条約の批准を否決し 欧州株式市場は 1% の下げに見舞われたのですが 2000 年には再度国民投票を実施し 条件付きで加盟を決めているのです 経済面への影響 英国経済には 短期間のうちに ブレグジット の影響が現れることとなりそうです イングランド銀行 ( 中央銀行 ) は国内外の投資家心理や経済界への影響を和らげるための手段を講じており ポンド安が輸出型企業に恩恵をもたらすことが予想されますが 国内経済は 今後数四半期を通じ 減速を免れないと考えます EU が英国の最大の輸出先 (EU 向け輸出は輸出全体の半分近く GDP( 国内総生産 ) 比約 1 割 ) であることを勘案すると ブレグジット は 2016 年の英国の GDP を 1% 以上押し下げることが予想されます リーマン ショックが短期間のうちに世界経済に影響を及ぼしたのとは異なって ブレグジット の海外への影響は長期にわたることが予想されます とはいえ EUの政局を巡る不透明感は強まっており 投資家心理や貿易に甚大な影響を及ぼしかねません EUが欧州債務危機からの回復途上にある状況下 低成長は EU 周縁国の脆弱な財政状況を急速に悪化させる脅威となります イタリアの場合 現在 130% のGDP 比政府債務残高を安定させる ( 悪化させない ) ためには前年比 +1.4% のGDP 成長が必要ですが 銀行セクターの抱える問題を考えただけでも相当ハードルが高いと見ています 金融当局の対応 世界の主要中央銀行は 金融システム安定に必要な体制を整えた旨を明らかにしており 協調的政策対応が実現する公算もあると思われます 一方 政治家はあらゆる選択肢を残しておきたいと考えているはずですから 投資に際しては 極めて短期間のうちに抜本的な対策が講じられることを期待すべきではないと考えます 現時点で極めて積極的な姿勢に転じても望ましい結果が得られない可能性は否めません カーニー イングランド銀行総裁は 金融市場安定のため 2,00 億ポンドを市場に供給すること また 今後数週間のうちにも追加の施策を検討し得ることを明らかにしています 欧州中央銀行 (ECB) も 必要とあらば行動する用意があることを明言しています 英国の国民投票の結果は 米国の金融政策にも影響を及ぼすことが予想されます 投票結果が世界経済の不透明感を強めていることから 米連邦準備制度理事会 (FRB) の利上げは 早くとも 10-12 月期にずれ込むこととなりそうです スイス国立銀行 ( 中央銀行 ) は スイスフランの上昇を抑えるため 為替市場に介入したことを明らかにしています 1 ユーロ =1.0 スイスフランを下回ることとなれば マイナス金利幅の拡大が検討される可能性もあります 日本銀行もスイス国立銀行と同様の状況に置かれており 一時 1 ドル =100 円割れとなった状況を勘案すると 円安誘導の追加金融緩和策が導入される公算が高いと考えます 日本銀行は 新たに発行した紙幣を直接消費者に配る ヘリコプター マネー を世界で初めて実行することになるかもしれません ブレグジット は上述の施策を現実のものとし得るのです 2

ブレグジット を踏まえた注目資産 英国の EU 残留を織り込んでいた金融市場は 投票結果に衝撃を受け 大混乱の展開となりました 投資家のリスク選好に最も大きな影響を及ぼしたのは おそらく ユーロ圏の資産クラスに要求されるリスク プレミアムが上昇するメカニズムを通じて ブレグジット の影響が金融市場全般に広がったことだと考えます ピクテでは 市場の動向を示す主要な指標として 欧州金融債ならびにイタリア国債のクレジット デフォルト スワップを注視していますが これまでのところ 目立った動きは見られません 市場の混乱が長引くこととなれば リスク資産がどのような水準で投資妙味を増すかの判断はこれまで以上に難しいものとなりそうです 市場が下落幅を広げ 政治家の言動から十分な確信が得られた場合には 下げの最も大きかったセクターの買いの検討余地があると見られます ユーロは1.0ドル近辺で 一方 ポンドは1.30ドル近辺で投資妙味が増すと考えます 一方 ポンド安の恩恵で増益が予想される英国株には 既に割安感が見られます したがって FTSE100 種株価指数が,700を割り込んだ時点が分岐点と考えます ドイツ10 年国債利回りは一時 -0.1% を割り込み過去最低水準を更新しており 一段の低下余地は限定的だと考えます また 社債スプレッドが広がれば買いの機会が提供されるかもしれませんが 流動性が低いため 注意が必要と見ています 新興国資産については 目先 ドル高の進行が予想されることから 株式 債券ともに注意が必要と見ています 3

世界の主要株価 外為 債券 商品市況 (2016 年 6 月 24 日時点 ) 世界の主要株式市場 16 年 6 月 24 日 ( 金 ) 16 年 6 月 23 日 ( 木 ) 騰落率 前年末 年初来騰落率 ( 米 )NYダウ工業株 30 種 17,401 18,011-3.4% 17,774-2.1% ( 米 ) ナスダック総合指数 4,708 4,910-4.1% 4,77-1.4% ( 日 )TOPIX 1,204 1,299-7.3% 1,341-10.2% ( 日 ) 日経ジャスダック平均 2,339 2,439-4.1% 2,48-4.9% ( 欧 ) ユーロ ストックス0 種 2,776 3,038-8.6% 3,028-8.3% ( 英 )FTSE100 指数 6,139 6,338-3.1% 6,242-1.7% ( 中国 ) 上海総合指数 2,84 2,892-1.3% 2,938-2.9% ( 香港 ) ハンセン指数 20,29 20,868-2.9% 21,067-3.8% ( ブラジル ) ボベスパ指数 0,10 1,60-2.8% 3,911-7.1% ( インド )SENSEX30 指数 26,398 27,002-2.2% 2,607 +3.1% ( ロシア )RTS 指数 $ 912 941-3.0% 91-4.1% ( 世界 )MSCI 世界株価指数 - - -4.2% - -3.0% ( 新興国 )MSCI 新興国株価指数 - - -2.4% - -2.3% 東京外為 ( 対円 TTM) 16 年 6 月 24 日 ( 金 ) 16 年 6 月 23 日 ( 木 ) 騰落率 前年末 年初来騰落率 米ドル 100.76 104.79-3.8% 109.7-8.2% ユーロ 111.48 118.72-6.1% 124.12-10.2% 英ポンド 138.9 1.2-10.% 19.48-12.9% スイスフラン 103.76 109.19 -.0% 112.90-8.1% 豪ドル 74.22 78.81 -.8% 83.40-11.0% 加ドル 77.63 81.84 -.1% 87.19-11.0% 中国元 1.4 16.07-3.9% 16.0-6.4% ブラジルレアル 30.32 31.4-3.6% 31.01-2.2% インドルピー 1.1 1.7-3.8% 1.66-9.0% ロシアルーブル 1.4 1.63 -.% 1.68-8.3% タイバーツ 2.84 2.98-4.7% 3.13-9.3% 南アフリカランド 6.1 7.19-9.% 7.61-14.% ( トムソン ロイター データストリームの参照レートによる ) 主要債券市場及び政策金利 16 年 6 月 24 日 ( 金 ) 16 年 6 月 23 日 ( 木 ) 変化幅 前年末 年初来変化幅 米 10 年国債利回り 1.8% 1.74% -0.16% 1.82% -0.24% 日 10 年国債利回り -0.19% -0.14% -0.0% -0.07% -0.12% 独 10 年国債利回り -0.06% 0.10% -0.16% 0.28% -0.34% 豪 10 年国債利回り 2.11% 2.26% -0.1% 2.2% -0.41% 米政策金利 (FFレート) 0.0% 0.0% +0.00% 0.0% +0.00% 日政策金利 ( 無担コール翌日 ) -0.10% -0.10% +0.00% -0.10% +0.00% 欧政策金利 ( リファイナンス金利 ) 0.00% 0.00% +0.00% 0.00% +0.00% 商品市況 424 4244 騰落率 前年末 年初来騰落率 原油 (WTI 期近 1ハ レル ト ル ) 46.70 49.34 -.4% 4.98 +1.6% 金 (1オンス ト ル) 1,313.88 1,263.69 +4.0% 1,292.34 +1.7% 2016 年 6 月 24 日時点 終値ベース出所 : トムソン ロイター データストリームのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 MSCI 指数は MSCI が開発した指数です 同指数に対する著作権 知的所有権その他一切の権利は MSCI に帰属します また MSCI は 同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権利を有しています 4

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