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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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卵管の自然免疫による感染防御機能 Toll 様受容体 (TLR) は微生物成分を認識して サイトカインを発現させて自然免疫応答を誘導し また適応免疫応答にも寄与すると考えられています ニワトリでは TLR-1(type1 と 2) -2(type1 と 2) -3~ の 10

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新規遺伝子ARIAによる血管新生調節機構の解明

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法医学問題「想定問答」(記者会見後:平成15年  月  日)

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平成24年7月x日

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 花房俊昭 宮村昌利 副査副査 教授教授 朝 日 通 雄 勝 間 田 敬 弘 副査 教授 森田大 主論文題名 Effects of Acarbose on the Acceleration of Postprandial

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平成14年度研究報告

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

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要旨 グレープフルーツや夏みかんなどに含まれる柑橘類フラボノイドであるナリンゲニンは高脂血症を改善する効果があり 肝臓においてもコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制すると言われている 脂肪肝は肝臓に中性脂肪やコレステロールが溜まった状態で 動脈硬化を始めとするさまざまな生活習慣病の原因となる 脂肪肝

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報道発表資料 2006 年 6 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 アレルギー反応を制御する新たなメカニズムを発見 - 謎の免疫細胞 記憶型 T 細胞 がアレルギー反応に必須 - ポイント アレルギー発症の細胞を可視化する緑色蛍光マウスの開発により解明 分化 発生等で重要なノッチ分子への情報伝達

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ごく少量のアレルゲンによるアレルギー性気道炎症の発症機序を解明

Peroxisome Proliferator-Activated Receptor a (PPARa)アゴニストの薬理作用メカニズムの解明

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インスリンが十分に働かない ってどういうこと 糖尿病になると インスリンが十分に働かなくなり 血糖をうまく細胞に取り込めなくなります それには 2つの仕組みがあります ( 図2 インスリンが十分に働かない ) ①インスリン分泌不足 ②インスリン抵抗性 インスリン 鍵 が不足していて 糖が細胞の イン

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

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研究の背景わが国では食習慣の欧米化と運動不足に伴い 肥満人口が増加の一途にあります 最近の人間ドック全国集計の成績によれば 肝機能異常を有する成人の頻度が急増しています その背景には 内臓型肥満の増加に関連した非アルコール性脂肪性肝疾患の増加が大きく関わっています 脂肪肝の治療の基本は食生活改善や運

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2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

るマウスを解析したところ XCR1 陽性樹状細胞欠失マウスと同様に 腸管 T 細胞の減少が認められました さらに XCL1 の発現が 脾臓やリンパ節の T 細胞に比較して 腸管組織の T 細胞において高いこと そして 腸管内で T 細胞と XCR1 陽性樹状細胞が密に相互作用していることも明らかにな

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研究の詳細な説明 1. 背景病原微生物は 様々なタンパク質を作ることにより宿主の生体防御システムに対抗しています その分子メカニズムの一つとして病原微生物のタンパク質分解酵素が宿主の抗体を切断 分解することが知られております 抗体が切断 分解されると宿主は病原微生物を排除することが出来なくなります

Mincle は死細胞由来の内因性リガンドを認識し 炎症応答を誘導することが報告されているが 非感染性炎症における Mincle の意義は全く不明である 最近 肥満の脂肪組織で生じる線維化により 脂肪組織の脂肪蓄積量が制限され 肝臓などの非脂肪組織に脂肪が沈着し ( 異所性脂肪蓄積 ) 全身のインス

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60 秒でわかるプレスリリース 2006 年 4 月 21 日 独立行政法人理化学研究所 敗血症の本質にせまる 新規治療法開発 大きく前進 - 制御性樹状細胞を用い 敗血症の治療に世界で初めて成功 - 敗血症 は 細菌などの微生物による感染が全身に広がって 発熱や機能障害などの急激な炎症反応が引き起

209 という循環を介して 長期にわたって腸内細菌の影響を受けると考えられる Ⅱ. 腸内細菌と肝硬変および肝硬変関連肝がん 慢性肝炎から肝硬変という病態にまで進行すると 肝がんを併発するケースが多いことはよく知られている その際 グラム陰性腸内細菌細胞壁外膜成分の LPS が肝硬変や 肝硬変に合併す

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ルグリセロールと脂肪酸に分解され吸収される それらは腸上皮細胞に吸収されたのちに再び中性脂肪へと生合成されカイロミクロンとなる DGAT1 は腸管で脂質の再合成 吸収に関与していることから DGAT1 KO マウスで認められているフェノタイプが腸 DGAT1 欠如に由来していることが考えられる 実際

の感染が阻止されるという いわゆる 二度なし現象 の原理であり 予防接種 ( ワクチン ) を行う根拠でもあります 特定の抗原を認識する記憶 B 細胞は体内を循環していますがその数は非常に少なく その中で抗原に遭遇した僅かな記憶 B 細胞が著しく増殖し 効率良く形質細胞に分化することが 大量の抗体産

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ランゲルハンス細胞の過去まず LC の過去についてお話しします LC は 1868 年に 当時ドイツのベルリン大学の医学生であった Paul Langerhans により発見されました しかしながら 当初は 細胞の形状から神経のように見えたため 神経細胞と勘違いされていました その後 約 100 年

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健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

糖鎖の新しい機能を発見:補体系をコントロールして健康な脳神経を維持する

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ヒト脂肪組織由来幹細胞における外因性脂肪酸結合タンパク (FABP)4 FABP 5 の影響 糖尿病 肥満の病態解明と脂肪幹細胞再生治療への可能性 ポイント 脂肪幹細胞の脂肪分化誘導に伴い FABP4( 脂肪細胞型 ) FABP5( 表皮型 ) が発現亢進し 分泌されることを確認しました トランスク

「肥満に伴う脂肪組織の線維化を招く鍵分子を発見」【菅波孝祥 特任教授】

一次サンプル採取マニュアル PM 共通 0001 Department of Clinical Laboratory, Kyoto University Hospital その他の検体検査 >> 8C. 遺伝子関連検査受託終了項目 23th May EGFR 遺伝子変異検

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( 続紙 1 ) 京都大学 博士 ( 薬学 ) 氏名 大西正俊 論文題目 出血性脳障害におけるミクログリアおよびMAPキナーゼ経路の役割に関する研究 ( 論文内容の要旨 ) 脳内出血は 高血圧などの原因により脳血管が破綻し 脳実質へ出血した病態をいう 漏出する血液中の種々の因子の中でも 血液凝固に関

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はじめに 我が国の肝がん死亡者数は,2005 年頃を最多とし, その後はゆっくりと減少しつつあります しかし, いまだに年間死亡者数は 3 万人を超えており, 依然として対策が極めて重要な病気です 原因としては,C 型肝炎,B 型肝炎, 非アルコール性脂肪肝炎 (NASH: ナッシュ ) やアルコー

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がんを見つけて破壊するナノ粒子を開発 ~ 試薬を混合するだけでナノ粒子の中空化とハイブリッド化を同時に達成 ~ 名古屋大学未来材料 システム研究所 ( 所長 : 興戸正純 ) の林幸壱朗 ( はやしこういちろう ) 助教 丸橋卓磨 ( まるはしたくま ) 大学院生 余語利信 ( よごとしのぶ ) 教

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( 図 ) IP3 と IRBIT( アービット ) が IP3 受容体に競合して結合する様子

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関係があると報告もされており 卵巣明細胞腺癌において PI3K 経路は非常に重要であると考えられる PI3K 経路が活性化すると mtor ならびに HIF-1αが活性化することが知られている HIF-1αは様々な癌種における薬理学的な標的の一つであるが 卵巣癌においても同様である そこで 本研究で

PRESS RELEASE (2014/2/6) 北海道大学総務企画部広報課 札幌市北区北 8 条西 5 丁目 TEL FAX URL:

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

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1. ウイルス性肝炎とは ウイルス性肝炎とは 肝炎ウイルスに感染して 肝臓の細胞が壊れていく病気です ウイルスの中で特に肝臓に感染して肝臓の病気を起こすウイルスを肝炎ウイルスとよび 主な肝炎ウイルスには A 型 B 型 C 型 D 型 E 型の 5 種類があります これらのウイルスに感染すると肝細胞

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst


年219 番 生体防御のしくみとその破綻 (Immunity in Host Defense and Disease) 責任者: 黒田悦史主任教授 免疫学 黒田悦史主任教授 安田好文講師 2中平雅清講師 松下一史講師 目的 (1) 病原体や異物の侵入から宿主を守る 免疫系を中心とした生体防御機構を理

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文部科学記者会同時発表 平成 24 年 7 月 4 日 先端医科学研究課 横浜市立大学附属病院消化器内科中島淳教授らの研究グループが 肥満による脂肪肝炎発症のメカニズムを解明 ~ 太っていると腸内細菌に過敏に反応して肝炎に ~ Cell Metabolism に掲載 ~( 米国時間 7 月 3 日発刊 ) 横浜市立大学中島淳教授 今城健人医師らの研究グループは大阪大学歯学部 順天堂大学医学部との共同研究によって肥満による肝臓の病気である脂肪肝から脂肪肝炎 ( 非アルコール性脂肪肝炎 ) の発症原因として 通常健常人では肝炎を起こさないごく微量の腸内細菌毒素に過敏に反応して慢性肝炎を発症することを発見し そのメカニズムは肥満により脂肪組織から多量に分泌されるホルモンであるレプチンによるものであることをつきとめ これまでに知られていない全く新しい病気のメカニズムを解明しました 脂肪肝患者は近年増加しており 我が国では推定 1500 万人もの患者がおり これらの患者が将来慢性の肝炎 さらには肝硬変 肝臓がんへの病気の進行を予防する新しい治療法の開発が期待されます この研究成果は 2012 年 7 月 3 日 ( 米国時間 ) 発刊の米国科学専門誌 Cell Metabolism に掲載されました Volume 16, Issue 1: July 3, 2012 の表紙に本研究が採用されています http://www.cell.com/cell-metabolism/home# 研究の背景と目的これまでお酒を多量に嗜むことがない方の脂肪肝 ( 非アルコール性の脂肪肝疾患 Non Alcoholic Fatty Liver Disease: NAFLD) は病的意義がなく放置しても問題ないと考えられていましたが 近年このような脂肪肝から慢性肝炎 肝硬変 肝臓がんになることが明らかにされ欧米を中心とした肥満大国で当該疾患は医療現場で問題となっています しかしながらこの非アルコール性脂肪肝炎 (Non Alcoholic Steatohepatitis: NASH) は病気の原因も不明であり 簡便な診断方法もなく また確実な治療法がないのが現状であり 自覚症状なく肝臓がんが発生して初めてわかることもあり 今後の患者の急増に対してその医療上の対策は急務であります 我が国には NAFLD は推定 1000 万人以上いるとされ そのうち約 2 割が NASH として慢性肝炎になると考えられています この脂肪肝から脂肪肝炎になるメカニズムは ウイルスでもなくアルコールでもないことから肥満 過食 運動不足などに加え 未解明のメカニズムによるものと考えられています 近年脂肪肝炎の発症には肥満により腸内細菌が肝臓に侵入して細菌毒素に暴露された肝臓が炎症をおこして慢性肝炎になると考えられるようになってきました 我々は NASH 患者を診て 自覚症状もなく 腸に異常も無いのに肝臓に腸内細菌が肝炎を起こすほど多量に侵入するとは到底考えにくいと考え 逆に肥満による脂肪肝おいては腸から侵入してくるごくごく微量の細菌に対して過剰反応をするのではないかと仮説を立てて動物モデルで検討をするに至りました

主要な研究成果健康な肝臓では腸内から侵入してくるごくわずかの細菌毒素に関しては無反応で炎症をおこすことはないが 肥満状態では脂肪組織からホルモンの一種であるレプチンが多量に分泌され 肝臓のクッパー細胞 (Kupffer 細胞 ) 上に転写因子の一種 STAT3 活性化を介して細菌内毒素 (endotoxin) の共受容体 CD14 の発現を亢進させます この結果肥満状態では通常は炎症をおこさないごくわずかの細菌毒素に対して CD14 により過剰反応をきたし Kupffer 細胞は活性して炎症性サイトカインを産生し肝炎を発症することを明らかにしました 研究方法と研究成果の意義普通食で飼育したマウスにグラム陰性桿菌由来の内毒素 (LPS) を肝炎が起こらないようなごく少量注射した群と 高脂肪食負荷で肥満 脂肪肝にしたマウスに同じ量の LPS を投与した群で比較検討したところ普通食群マウスでは肝障害も起こらず 長期の LPS 投与でも肝臓の線維化も起こらなかったが 肥満マウスでは肝障害が起き 長期投与で肝臓の著明な線維化が形成されました 同じ検討をレプチン欠損した肥満マウス ob/ob で行ったところ 著明な肥満 脂肪肝があるのにかかわらず LPS 投与で肝障害もおこらず長期投与で線維化も起こりませんでした 高脂肪投与した肥満マウスの脂肪肝では遺伝子発現の網羅的解析より普通食マウスに比べ肝臓の Kupffer 細胞上に CD14 の発現が有意に増加しておりました CD14 の sirna を用いて高脂肪負荷肥満マウスの肝臓で CD14 の発現を低下させると LPS への応答性が低下して肝障害が起きなくなりました また 脂肪肝がない普通食負荷マウスに外因性にレプチンを注射すると肝臓での CD14 の発現が増加して LPS 投与で肝障害が起こるようになりました またこの機序はレプチン受容体 (ObR) を介して STAT3 を活性化する経路を介していることを STAT3 阻害剤を用いて証明しました 以上の研究結果より 高脂肪食などによる肥満では肝臓の Kupffer 細胞上の CD14 が過剰発現して その結果 通常では反応しないようなごく微量の細菌毒素に反応してサイトカインを産生して肝炎が生じること また更には肝硬変に至ることが示唆されました またこの CD14 の発現増加は肥満による高レプチン血症によりレプチン受容体および STAT3 を介した結果であることが示唆されました 腸内細菌由来の内毒素 ( エンドトキシン ) が肝炎を起こすことは指摘されていたが 今回の研究成果は肝臓そのものが細菌毒素に過剰反応するようになっていることを示したもので これまで類似の報告はなく全く新しい機序解明であります 今後はそのメカニズムを応用した診断方法の開発や 新規治療法の開発につながることが期待されます 我が国のみならず先進各国で膨大な患者数がおり 今後ますます患者数が増加していくことを考えるとその医療上の意義は計り知れないと考えます 今後の展開肥満者の脂肪肝における細菌への過剰反応性のメカニズムに基づいた 非アルコール性脂肪肝炎の新しい診断方法や治療方法の開発 特記すべき事項 本研究は 独立行政法人科学技術振興機構 (JST) による 研究成果最適展開支援事業 (A-STEP) 本格研究開発ハイリスク挑戦タイプ の研究課程の一環として発見された研究成果です

< 参考図 > 図 1 非アルコール性脂肪肝疾患の病気の自然経過 図 2 今回の発見の概略イラスト

図 3 今回報告した機序 ( 上段 ) 健康な肝臓では細菌毒素 (LPS) に対する受容体 CD14 の発現が低く低用量の細菌毒素 (Low-dose LPS) には反応しない ( 下段 ) 肥満状態では脂肪組織からレプチンが分泌され肝臓のマクロファージである Kupffer 細胞上にあるレプチン受容体 (ObR) を活性化し その下流の STAT3 を活性する結果 CD14 の発現が増加して微量の細菌毒素にも応答できるようになる その結果 Kupffer 細胞は活性化して炎症性サイト間を産生して肝障害を発症させる 論文について Hyperresponsivity to low-dose endotoxin during progressionto nonalcoholic steatohepatitis is regulated by leptin-mediated signaling. [ 非アルコール性脂肪肝炎の発症進展にはレプチン刺激による低用量エンドトキシンへの過剰応答性が重要な役割を果たしている ] Kento Imajo; Koji Fujita; Masato Yoneda; Yuichi Nozaki; Yuji Ogawa; Yoshiyasu Shinohara; Shingo Kato; Hironori Mawatari; Wataru Shibata; Hiroshi Kitani; Kenichi Ikejima; Hiroyuki Kirikoshi; Noriko Nakajima; Satoru Saito; Shiro Maeyama; Sumio Watanabe; Koichiro Wada; Atsushi Nakajima. Cell Metabolism. 2012. < 用語解説 > 慢性肝炎 : 肝炎ウイルスやアルコール性 薬剤性 自己免疫性など種々の原因により慢性に肝臓に炎症が起こり発症する 非常に長い経過で肝硬変や肝臓がんに進行する 近年ウイルスなどの明らかな病原体の関与が認められずに単に肥満しているだけで脂肪が肝臓に蓄積している脂肪肝患者から慢性肝炎 (NASH) になることがわかってきた

レプチン : 脂肪組織から産生されるホルモンで食欲抑制作用を有する 食事をするとレプチンが産生され脳に働き食欲が低下する しかしながら肥満者ではこのホルモンが何らかの理由で作用しなくなりレプチンが多量に分泌されているが食欲の抑制が起こらない高レプチン血症になっている レプチンは細胞上の受容体 ObR を活性化してその下流の転写因子である STAT3 を活性化することが知られている LPS: リポポリサッカライド 細菌内毒素の一種 LPS を投与すると肝障害 肝炎をおこすことは昔から知られていた LPS はその共受容体 CD14 の介在を経て自然免疫受容体 TLR4 を介して肝臓のマクロファージである Kupffer 細胞を活性化させる お問い合わせ先 ( 本資料の内容に関するお問い合わせ ) 横浜市立大学附属病院消化器内科教授中島淳横浜市金沢区福浦 3-9 Tel:045-787-2640 Fax:045-787-8988 E-mail:nakajima-tky@umin.ac.jp ( 取材対応窓口 資料請求など ) 公立大学法人横浜市立大学先端医科学研究課長立石建 Tel:045-787-2527 横浜市立大学先端医科学研究センター 公立大学法人横浜市立大学では 横浜市中期 4 か年計画 医療環境の充実 の目標達成に向けた事業として 先端医療の提供をより一層推進させるため 免疫 アレルギー疾患や生活習慣病 がんなどの原因究明と 最先端の治療法や創薬など 臨床応用につながる開発型医療を目指した研究を行う先端医科学研究センターを平成 18 年 10 月に開設し 尽力してまいりました 現在 本学の持つ技術シーズを活用した最先端の医科学研究を行う 22 件の研究開発プロジェクトを推進し 研究成果を市民等の皆様へ還元することを目指しております URL: http://www.yokohama-cu.ac.jp/amedrc/index.html