Medical Tribune 2008年7月10日号特別企画

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岸和田徳洲会病院 当院では以下の研究に協力し情報を提供しております この研究は 国が定めた指針に基づき 対象となる患者さまのお一人ずつから直接同意を得るかわりに 研究の目的を含む研究の実施についての情報を公開しています 研究結果は学会等で発表されることがありますが その際も個人を特定する情報は公表し

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Vol 夏号 最先端の腹腔鏡下手術を本格導入 東海中央病院では 平成25年1月から 胃癌 大腸癌に対する腹腔鏡下手術を本格導入しており 術後の合併症もなく 早期の退院が可能となっています 4月からは 内視鏡外科技術認定資格を有する 日比健志消化器外科部長が赴任し 通常の腹腔 鏡下手術に

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腹腔鏡下前立腺全摘除術について

Background 日常診療において 手術や手技のために 経口抗凝固療法を一時中断し ヘパリンによるブリッジ療法が用いられることが多々ある しかし ブリッジ療法による血栓塞栓症の予防に対するエビデンスは限定的で 一部の患者群を除き推奨の根拠は乏しいのが現状である

Q2 なぜ上記の疾患について服薬指導が大変だと思いますか インフル エンザ その場で吸入をしてもらったほうがいいけれど 時間がかかるのと 熱でぼーっ 一般内科門前薬局 としていると 理解が薄い 患者さんの状態が良くないことが多い上に 吸入薬を中心に 指導が煩雑である から 小児科門前薬局 吸入薬の手

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2009年8月17日

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脳血管疾患による長期入院者の受診状況~レセプトデータによる入院前から退院後5年間の受診の分析

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図表 リハビリテーション評価 患 者 年 齢 性 別 病 名 A 9 消化管出血 B C 9 脳梗塞 D D' E 外傷性くも幕下出血 E' 外傷性くも幕下出血 F 左中大脳動脈基始部閉塞 排尿 昼夜 コミュニ ケーション 会話困難 自立 自立 理解困難 理解困難 階段昇降 廊下歩行 トイレ歩行 病

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消化器内視鏡術には出血リスクがほぼゼロの通常検査から, 出血頻度の高い内視鏡的粘膜下層剝離術までさまざまな手技があり, そうした場合の抗血栓療法をどう行うかが現場での大きな問題になっている そこで, シリーズ 抗血小板薬, 抗凝固薬の休薬を考える それは本当に必要か 第 2 回では, この問題をテーマに取り上げて座談会を行った 討論のなか, 日本と米国のガイドラインには大きな相違があること, 日本では2005 年に消化器内視鏡学会の指針が発表されて以降, 生検時の休薬が増えたことなどの実情が明らかになった 対策としては, 抗血栓療法例ではまず観察のみ行い必要があれば休薬して生検や観血的手技を行うこと, 血栓 塞栓症リスクの高い症例ではヘパリンによる代替療法を考えること, 消化器内視鏡医と抗血栓療法担当医の連携が不可欠であることなどが示された 内視鏡後の脳梗塞発症率 0.02% がワルファリン休薬 減量例で 1.06% 3 日本消化器内視鏡学会の指針の発表以降, 生検時休薬例が増加 3 米国消化器内視鏡学会指針 ; 生検時の休薬は行わない 4 抗血小板薬と抗凝固薬では出血の傾向がかなり異なる 5 抗血栓療法例ではまず通常検査必要ならば休薬後に生検を行う 6 2

内視鏡後の脳梗塞発症率 0.02% がワルファリン休薬 減量例で 1.06% 4 日後に ふらついて呂律が回らない と来院 頭部 MRI で 右小脳半球上部に急性期梗塞病変を指摘されたのです この方は保存的治療で軽快し, 元気に退院されました 近年, 日本では脳梗塞や心筋梗 塞が急増しています その予防におけ 画像からはご指摘の通り, ワルファリン休薬で血栓 ができたための脳梗塞発症と思われますね る抗血栓療法の有用性は明らかで, 抗 岡野 脳梗塞の既往と背景の動脈硬化症を考慮して対処 血小板薬は脳梗塞やTIA* の再発を22 %, 急性期の再発を11% 減らします ワルファリンは非弁膜症性心房細動氏 (NVAF) 例の脳梗塞発症率を7 割近く下げます こうした効果から抗血栓療法を受ける患者も増えており, 日本では 100 万人がワルファリンを,300 万人以上がアスピリンを服用しています *transient ischemic attack 一方, 消化器内視鏡治療はさまざまな手技が盛んに行われています このため抗血栓療法中に内視鏡手技を受ける例も目立ち, その際の休薬の必要性や期間が問題となります 私は, 脳卒中専門医の立場から休薬のリスクを説明したいと思います Blackerらは内視鏡施行 16 万 5 千例を調査し,30 日以内の脳梗塞発症率は全体では0.02%, ワルファリン継続 438 例では発症がなく, 休薬 減量した 987 例では1.06% と報告しました すなわち, ワルファリンを休薬 減量すると すべきだったと反省しました これを契機に, 当院の指針 を作成することにしました 日本消化器内視鏡学会の指針の発表以降, 生検時休薬例が増加 おられます 玉井先生は, 抗血小板療法の実態調査をなさって 玉井私たちは 2004 年に, 教室と関連施設でアンケートを 行いました 対象は, 内視鏡経験 3 年以上, 年間施行数 20 件超の内科医 81 名です 観血的内視鏡手技施行前の抗血 小板薬休薬の有無を尋ねると, ポリペクトミーや EMR *1, EST *2 という出血の多い手技では,95% 以上が 休薬する でした ERCP *3 や生検などの出血が比較的少ない手技で も 休薬する がほぼ半数を占めました ( 表 1) *1 endoscopic mucosal resection *2 endoscopic sphincterotomy *3 endoscopic retrograde cholangiopancreatography 脳梗塞リスクが著明に上昇するということです 岡野先生 も, こうした例を経験されたとうかがいました 休薬期間については,4 分の 3 以上が 7 日以上休む と 岡野 私は消化器臨床をしていますが, ある症例を経験 答えました 出血の偶発症は 7 例, いずれもポリペクトミ したことで休薬問題を考えるようになりました 患者は70 歳代男性, 十数年前から高血圧と糖尿病, NVAFがあります 10 年前に右閉塞性動脈硬化症でステント留置術を受け,2 年前に脳梗塞を生じました ワルファ ーなどの高リスク手技で生じましたが, クリッピングや輸血で改善しました 血栓塞栓症の発症も 7 例に見られました 全例がアスピリン休薬の4 日目以降に発症しており, 片麻痺, 死亡, 救急搬送後不明が各 1 例でした リン, ジピリダモールと降圧薬を服用中です 生検時は, 継続と休薬が半々だったのですね 実 この方が貧血を指摘され, 精査目的で 上部消化管内視鏡検査を受けることにな りました 抗血栓薬は継続して検査だけを行ったところ, 胃前庭部前壁に早期胃癌を疑う病変が見つかりました この方の抗血栓療法担当科である心臓外科に相談し, 米国消化器内視鏡学会指針に基づき血栓 塞栓症低リスクと評価 3 日前にワルファリン, 前日にジピリダモールを中止し内視鏡の再検, 生検を行いました ワルファリンは翌日から再開しましたが, 3

は私も 2007 年に同様の調査をしています 国立病院機構 の医師と,J-MUSIC * という脳梗塞の登録研究を行った脳 卒中専門医にアンケート用紙を送りました * Japan Multicenter Stroke Investigators' Collaboration まず, 生検時の抗血栓療法について尋ねると,NVAF のある心原性脳塞栓症既往例におけるワルファリン服用 は, 中止 が 65% でした 機械弁を入れた脳塞栓症既往 例では, 継続とヘパリン置換が増えます 頸動脈狭窄例 の抗血小板薬は, 半分以上が 中止 と回答 ( 図 ) 国立病 院機構の消化器医に問うと, 生検時は 95%, ポリープ切除 時は 92% がワルファリンを休薬 抗血小板薬も生検時は 84 %, ポリープ切除時は 91% が休薬するとのことです 再開について聞くと, 生検後のワルファリンは 3 日以内 が多く, 抗血小板薬も同様です ポリープ切除術になると, 1 週間後が目立ちます 玉井先生の成績とこの結果を比べると, 特に生検時の 休薬率が上昇しています 2005 年に日本消化器内視鏡学 会の指針が出て, 生検を含む低リスク手技でも抗凝固薬, 抗血小板薬とも休薬が推奨されています その影響が大 きいのかもしれません 米国消化器内視鏡学会指針 ; 生検時の休薬は行わない 内視鏡下で観血的手技を行う場合, 多くの施設で 抗血栓療法を中断している現状が分か りました そうなると, 個々の例で血 栓 塞栓症リスクを評価し, 代替療法 の必要性を考えることが大切になりま すね 岡野まず内視鏡手技のリスク評価に ついて, 米国消化器内視鏡学会の指針 (2002) と, 日本消化器内視鏡学会の指 針 ( 2 0 0 5 ) を示します ( 表 2) 米国版で は, スコープを挿入し造影するだけの 通常検査は低リスクに分類されます が, 日本版では無リスクです 生検は 両者とも低リスクです 高リスクはよ く似ていますが, 日本版には早期の胃 癌, 食道癌, 大腸癌に行われる EMR, ESD * が挙げられています 当院のデータで出血頻度を見ると, EMR の後出血率は 5%,ESD は 4%, ポリペクトミー,EST は 2% 程度です 一方, 生検で出血するのは 0.05% 前後 です つまり, 後出血率が数 % の手技 が高リスク,0.1% 以下のものが低リス クと分類されていると言えます そして米国版では, 手技リスクにかかわらずアスピリン は継続 チクロピジンやワルファリンも低リスク手技では 継続することが推奨されています るのですね 米国では生検時もワルファリンやアスピリンを続け 岡野その通りです 対照的に日本版では, 手技リスクに かかわらずワルファリンやアスピリンを 3 日は休むとされ ています ( 表 3) それは大きな相違ですね 次に, 抗血栓療法の原 疾患リスクについて説明していただけますか 玉井 岡野氏 米国版指針では原疾患リスクを高と低に分類 心 臓弁膜症を伴う心房細動, 血栓塞栓症既往例での機械弁 などを高リスク原疾患例としています ( 表 4) こうした例 で高リスク手技を行う場合, ワルファリンは 3 5 日前に 休薬し, ヘパリン置換を考慮します これに対して低リス ク原疾患例では, 抗凝固療法を 4 7 日間中止しても血栓 塞栓症の絶対リスクは 1,000 例当たり 1 2 件として, 原疾 患分類の根拠としています なお, 日本版での原疾患分 * endoscopic submucosal dissection 4

類も米国版によく似ています しかし, ご存じのように血栓塞栓症は一度発症すると重 篤になり, それは原疾患が低リスクでも高リスクでも変わ りません 私は, 一次予防か, 既往のある二次予防かとい う点も重要だと考えます 抗血小板薬と抗凝固薬では出血の傾向がかなり異なる 続いて出血の実態をうかがいます やはり, 抗血栓 薬を中止しないと出血で難渋されるのですか 岡野当院では, 日本版指針が出る前からワルファリンも 抗血小板薬も中止して処置を行っていますから, 休薬なし で止血に困った経験はありません 休薬せず ESD を行い 止血に困った他院の例は, 聞いたことがあります 粘膜下 層を剝離, 血管を露出させる手技ですから, 相当の出血が 予測されます 玉井 抗血小板療法と抗凝固療法では出血傾向がかなり 異なります 抗凝固療法のワルファリン例では, 止血した かに見えて再出血するといった止血困難を生じます 一 方, 抗血小板療法のアスピリンでは少量の出血が持続しま す 私たちは, 抗血小板療法時の出血パターンについて 分析を行いました 出血量と出血時間を定量化する機械を開発 分析を行 うと, 出血パターンが 4 種に分類できました 出血量が減 らないまま持続するパターンでは, 臨床的にも出血傾向が強く, しばしば輸血を要します これに対して抗血小板薬内服者は, 微量出血が続き出血時間は延びますが, 総出血量は軽度増加に留まります 直腸粘膜を傷つけ出血時玉井氏間を見た検討からは, アスピリンは出血時間を延ばすが, 皮膚出血より延長は短いことが分かりました 岡野先生, 抗凝固療法の休薬期間についてはいかがでしょうか 岡野私たちは, 日米の内視鏡学会の指針に加え, 自治医科大学版などを参考に当院の指針を作りました 手技 3 日前にワルファリンを中止, 処置終了 6 時間後に再開し, 原疾患高リスク例はヘパリンを用います 原疾患のリスク分類では, 血栓塞栓症の既往が高リスクである点を加味 5

し, 米国分類より厳しくしました ( 表 5) かがですか 玉井 簡明かつ具体的ですね 抗血小板薬についてはい 先の検討から私たちは, 抗血小板薬で出血時間は 延びるが総出血量増加は少ないため, 休薬は不要ではな いかとの仮説を立て検討を行いました 健康な男性 11 名にアスピリン, チクロピジン, 両薬併用 を 1 週間続け, 出血の量, 時間, パターンを見ました す ると, どの薬でも総出血量は内服前の 4 7 倍に増え, 中 等度出血の続くパターンが多かったため, 日本人では一 定期間の休薬が必要 と結論しました 内服前と有意差が 消失し, 出血傾向がなくなるのはアスピリンで休薬 3 日後, チクロピジン 5 日後, 併用時は 7 日後でした これが日本版指針の休薬期間の根拠となったわけ ですね 抗血栓療法例ではまず通常検査必要ならば休薬後に生検を行う 最後に, 本日のポイントをまとめます 内視鏡では 通常検査と生検を同時に行うことがありますが, 抗血栓療 法例ではどうされますか 岡野まずリスクのない通常検査だけを行い, 必要があ れば休薬後に改めて生検を行うことを原則としています 抗凝固療法では血栓症リスクをきちんと評価し, 高 リスクならヘパリン置換を行うということでした 一方, 抗血小板療法は対象の幅が広く一律に扱えない 一次予防か二次予防かが, リスク評価のポイントとなりそうです このとき, 抗血小板薬をヘパリンで代替する方法がありますが, どう評価されますか 玉井両者の作用機序はまったく違います ただ, 血小板が単独で作る血栓 ( 一次血栓 ) は脆く, これを強固な血栓 ( 二次血栓 ) にするのが 凝固 です そう考えると, 理に適っていると言えますね 頸動脈高度狭窄病変では赤色血栓も観察されますから, 抗血小板薬のヘパリン置換は有効かもしれません 次に, 休薬に関する患者説明はどの科の医師が行っていますか 岡野当院では, 内視鏡を必要と判断し検査を依頼した消化器医に, 説明の義務があるとしています 玉井消化器医は出血リスクは十分に説明できますが, 血栓症リスクの説明には自信がありません 診療科の間での連携が重要だと思います 岡野私たちは, 必ず抗血栓療法担当科に対診を出し, 返事をカルテに残しています 抗血栓薬を出しているのが他院の先生なら, 一度受診して照会状に返事をもらいます 受診した, 双方で説明した という形を取っておくべきだと思います 玉井大事な点ですね ときどき, 電話でやりとりしてしまい, 記録が何もないという問題が生じます 最後にガイドラインについてですが, 今日のようなテーマでは, 学会間の連携が必須になりますね 岡野循環器学会ガイドライン (2004) では, 内視鏡手技は生検も含めすべて高リスクとなっています 他科から見て実態に即していない点はあります 開かれた討論, 外部評価委員の導入などが求められますね 岡野学会が作るガイドラインは考え方を提示するものであって, 詳細な内容には触れていません エビデンスがないことは書けませんし, 訴訟の際に問題となる可能性も影響しているのでしょう 細かな事項については, 各施設で独自に対応せざるを得ません 詳しいガイドラインが必要ですが, それが独り歩きする危険性も大きい これも難しい問題ですね 今日は, 消化器内科の先生方と抗血栓療法時の休薬と再開について話し合うなか, 現時点での考え方と課題が明らかになりました いろいろな場で, 今日のような討論が行われることが大事だと感じています 6

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