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Ⅰ. 試験実施方法 1. 目的 ブルーライトカットレンズを搭載した眼鏡の装着による VDT 症候群の症状改善効果を対 照群を用いて検証した 2. 方法 2.1. 試験デザイン 多施設共同による二重マスク並行群間比較試験 2.2. 対象 VDT 症候群と診断された患者 本試験では VDT 作業が原因と考えられる症状 ( 主に眼症状 ) を有する患者を VDT 症候群と定義した 1) 選択基準 a) 同意取得時の満年齢が 20 歳以上の者 b) 日常 平均で 5 時間以上 / 日および 5 日間以上 / 週の VDT 作業を実施する者 c) 裸眼またはコンタクトレンズ装着による矯正で近方視力が 0.5 以上の者 d) 強い乱視 (C±0.75 以上 ) がない者 e) 本試験の内容を理解し 文書により試験参加の同意が本人より得られる者 2) 除外基準 a) VDT 作業中に視力矯正眼鏡を使用する必要がある者 b) 調節力や見え方に影響がある疾患 ( 緑内障 白内障等 ) の合併がある者 c) 視覚症状以外の VDT 症状が重度の者 d) 花粉症等のアレルギー症状が発現している あるいは試験中に発現する可能性のある者 e) 既にブルーライトカットレンズを使用している者 f) その他 担当医師が本試験の対象として不適当と判断した者 2.3. 症例登録と割付 1) 症例登録と割付担当医師は 被験者の本試験参加への適格性を確認後に 割付システム ( 割付君 ) を利用し 必要な情報を入力して 症例登録を行った 割付システムにより JINS 群 対照群のいずれかの群へ割付けを行った なお 1

群間の背景因子の偏りを抑えるため 以下の調整因子による最小化法で動的な割付けを行った 年齢(20~39 歳 /40 歳以上 ) ドライアイ( 有 / 無 ) UV カットコンタクトレンズ使用 ( 有 / 無 ) 2) 群 a) JINS 群 : ブルーライトカットレンズを搭載した眼鏡 ( 実眼鏡 ) b) 対照群 : ブルーライトカット効果のないレンズを搭載した眼鏡 ( 偽眼鏡 ) 3) マスク化試験の実施および評価に意識的 無意識的な偏りの発生を制限するため 被験者および担当医師は割り付けられた試験眼鏡の内容を開鍵まで知ることは出来ない ( 二重マスク ) ように マスク化した 2.4. 試験方法 被験者は VDT 作業時に試験眼鏡を装着した 原則 VDT 作業は週 5 日以上 1 日連 続 2 時間以上実施した ( 場所 日時は問わない ) 1) アンケート被験者は VDT 作業を実施した日は試験眼鏡装着後に以下の項目について状態を記録した アンケートは毎日 眼鏡事務局宛にメールで送信した < 眼症状 > 調節機能( 眼の疲れ 焦点合わせ 文字の見え方 線の見え方 瞬き 視界のにじみ 光の見え方 ) 乾燥感( 眼の乾き ) 眼の感覚( 眼の痛み 眼の奥の痛み 目の張り感 ) < 身体症状 > 頭痛 首 肩のこり 首 肩の痛み < 精神症状等 > 精神的な疲れ 不安感 <その他 > 眼鏡の装着感 作業時の集中力 VDT 作業時間 前日の睡眠時間 2

回答のカテゴリー 1 全くない 1 良好 2 ほぼない 2 ほぼ良好 3 どちらでもない 3 普通 4 少し感じる 4 少し悪い 5 とてもそのように感じる 5 悪い 2) 検査担当医師は 装着前 装着後 4 週間に以下の検査および被験者の他覚所見の観察を行った 視力検査( 遠方視力 近方視力 ) 視野検査( 中心フリッカー 近点 ) 実施が可能な場合 眼調整機能検査( 調節反応量 調節微動 ) 3) 観察スケジュール 装着前 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 来院 診察 同意 割付 VDT 作業 ( 週 5 日以上 ) 検査 1 週目 2 週目 3 週目 4 週目 視力 中心フリッカー 近点 調節力 (AA-2) ( ) ( ) アンケート 28 ( 最終時 ) : 実施 ( ): 可能ならば実施する 3. 目標症例数 各群 60 例 合計 120 例 ( 解析対象症例 :100 例以上 ) 4. 調査期間 2012 年 4 月 ~5 月 ( 症例登録期間 :2012 年 4 月 4 日 ~2012 年 4 月 25 日 ) 3

Ⅱ. 実施体制 1. 参加施設 No. 施設名 住所 1 新宿東口眼科医院 東京都新宿区新宿 3-25-1 2 東葛西眼科 東京都江戸川区東葛西 6-2-9 3 高見眼科 大阪府大阪市中央区難波 3 丁目 5 番 11 号 4 眼科松原クリニック 東京都豊島区南池袋 2-26-6 5 溜池眼科医院 東京都港区赤坂 1-6-7 眼調整機能検査実施施設 2. 監修医 増田寛次郎 東京大学名誉教授 増田記念アイケアクリニック院長 4

Ⅲ. 解析結果の要約 1. 解析手法被験者背景は 症例頻度と解析対象例に対する割合を算出し 定量値は要約統計量 ( 平均値 標準偏差 中央値 4 分位点 以下同じ ) を算出した アンケート結果は ベースライン ( 装着前 ) 各週の平均値(VDT 作業が週 5 日未満の場合は欠測扱い ) の要約統計量を算出した 検査結果はベースライン ( 装着前 ) 4 週後の要約統計量を算出した 被験者背景 ベースライン時のアンケートおよび検査結果の比較可能性を検討した 群別にベースラインから各時点の変化量について 対応のある t 検定を実施した ベースラインからの変化量の群間比較に ベースライン値および性別を共変量とする共分散分析を実施した アンケート結果のベースラインから各週の変化量の経時的推移の群間比較に ベースライン値および性別を共変量とする反復測定分散分析を実施した 有意水準はα=0.05( 両側 ) とした 解析ソフトは SAS Ver 9.3 を用いた 2. 解析結果 2.1. 解析対象集団登録症例 120 例のうち 二重登録例 (1 例 ) 早期脱落による評価不能例( 眼鏡装着期間が 10 日と短期間 1 例 ) アンケート未報告例(3 例 ) の計 5 例を除く アンケートおよび検査結果が評価可能な 115 例 (JINS 群 58 例 対照群 57 例 ) を解析対象とした 5

2.2. 解析結果 1) 被験者背景被験者背景では 性別に偏りがみられた ( 男性 JINS 群 14 例 (24.1%) vs. 対照群 27 例 (47.4%) 女性 44 例 (75.9%) vs.30 例 (52.6%) p= 0.0093) このため 性別による結果への影響を検討し 性別による調整前後で結論に影響がないことを確認した 以降は 性別調整後の結果を示す 2) アンケート結果 眼の疲れ は ベースライン時 JINS 群 3.8 対照群 3.6 であった JINS 群 対照群いずれもベースライン時から症状は有意に改善した 4 週時は JINS 群 2.6 と 3 未満に改善したが 対照群は 3.1 であった 4 週後の改善 ( 変化量 ) の群間比較では JINS 群の改善は有意であった (4 週後の変化量 JINS 群 -1.2 ±1.1 対照群-0.5 ± 1.1 p=0.0007)[ 図 1] 眼の乾き感 は ベースライン時 JINS 群 3.5 対照群 3.4 であった JINS 群 対照群いずれもベースライン時から症状は有意に改善した 4 週時は JINS 群 2.7 と 3 未満に改善したが 対照群は 3.0 であった 4 週後の改善 ( 変化量 ) の群間比較では JINS 群の改善は有意であった (4 週後の変化量 JINS 群 -0.9±1.2 対照群 -0.4±1.3 p= 0.0131)[ 図 1] 図 1 アンケート 眼の疲れ 眼の乾き感 の平均スコアの推移 ベースライン ( 装着前 ) からの変化量の群間比較 ( 共分散分析 ): *** p< 0.001 * p<0.05 6

首 肩のこり では JINS 群 対照群いずれもベースライン時から有意に改善した [ 焦点合わせ ] 文字の見え方 線の見え方 瞬き 視界のにじみ 光の見え方 眼の痛み 頭痛 首 肩の痛み 精神的な疲れ で JINS 群では 4 週後までの経過において有意な改善がみられた VDT2 時間未満のデータを採用しない解析でも同様の結果であった 経時測定データの群間比較でいずれのアンケート項目も有意な差はみられなかった 3) 検査結果 フリッカー値 は JINS 群は ベースラインが両眼ともに基準値の 35 未満であったが 4 週後は 35 以上に回復し 改善は有意であった ( 右眼 : 34.2 38.4 左眼: 34.1 38.6) 対照群は ベースラインは両眼ともに 35 以上であったが 4 週後は低下した ( 右眼 : 36.5 34.9 左眼: 36.8 35.2) フリッカー値改善( 変化量 ) の群間比較では JINS 群の改善は有意であった ( 右眼 左眼いずれも p<0.0001) 図 2 フリッカー値の変化 ベースライン ( 装着前 ) からの変化量の群間比較 ( 共分散分析 ): *** p< 0.001 近点距離 (cm) は JINS 群で 4 週後に有意に改善した ( 右眼 : 14.7 12.6 左眼 15.0 12.5) 対照群に改善はみられなかった( 右眼 13.4 14.5 左眼 12.8 14.3) 近点距離の改善 ( 変化量 ) の群間比較では JINS 群の改善は有意であった ( 右眼 左眼いずれも p<0.0001) 4) サブグループ解析結果 ベースライン時の 眼の疲れ が 4: 少し感じる または 5: とてもそのように感 じる と回答したサブグループで アンケートおよび検査結果を解析した 眼の疲れ は JINS 群 対照群いずれもベースライン時から有意に改善し 4 週 後の 眼の疲れ の改善 ( 変化量 ) の群間比較では JINS 群の改善は有意であった (4 週後の変化量 JINS 群 -1.5 ±1.1 対照群 -1.0 ±0.9 p=0.0048) 目の乾き感 は 7

JINS 群 対照群いずれもベースライン時から有意に改善したが 4 週後の改善 ( 変化 量 ) の群間比較で 有意な差はみられなかった (4 週後の変化量 JINS 群 -0.9 ±1.3 対照群 -0.7 ±1.2 p=0.1316) フリッカー値 近点距離 は全体での解析結果と同様に JINS 群で 4 週後に有 意に改善し 対照群に改善はみられなかった 4 週後の改善 ( 変化量 ) の群間比較では JINS 群の改善は有意であった 5) 眼調節機能検査 (AA-2 解析 ) 数名の被験者で 調節反応量 と 調節微動 を測定し ニデック社製の眼調節機能測定ソフトウェア (AA-2) により被検眼の調節緊張程度を確認した VDT 作業時の 30~40cm の近方距離における装着前後の毛様体筋の調節緊張の程度は 対照群に比し JINS 群の方で装着後の HFC が適正値付近の緑色を示していた 個別の症例において 装着により近方距離の HFC が緑色に改善した症例はフリッカー値 近点距離の検査データも改善しており眼の調節機能が改善したことを裏付ける結果と考えられた 一方でアンケートによる眼の疲れは不変であった 今後は多数例での検討が必要と考える 3. まとめ VDT 症候群における諸症状および低下した視野機能に対する JINS PC 装着後の改善を 対照眼鏡を用いたマスク下条件で比較検討した VDT 症候群の主症状である 眼の疲れ や 眼の乾き感 (5 段階評価の平均値 ) は JINS 群で装着前それぞれ 3.8 3.5 であり 4 週間装着後それぞれ 2.6 2.7 と 3 未満に改善し 改善は有意であった フリッカー値 は両眼ともに装着前は基準値 35 未満であったが 4 週後には基準値 35 以上に改善し 改善は有意であった ( 右眼 : 34.2 38.4 左眼 : 34.1 38.6) 近点距離 (cm) は 4 週後に両眼ともに改善し 改善は有意であった ( 右眼 : 14.7 12.6 左眼 15.0 12.5) 眼の疲れ 眼の乾き感 の改善について経時測定データの群間比較では統計的な有 意差はみられなかった しかし 4 週後の 眼の疲れ 眼の乾き感 フリッカー値 近点距離 の改善について JINS PC が対照眼鏡に比べて有意に優れていた 8

< アンケート実測値 > 9

***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05 10

< 検査結果実測値 > ***p<0.001 **p<0.01 *p<0.05 11