敗血症について 2013/01/11 那覇市立病院清水孝宏 1
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例えば 2C 重症敗血症に対して ( 持続的 ) 血液濾過 ( 透析 ) は有効か? サイトカイン等のメディエーター除去を行うには 吸着特性を有する膜の選択 大孔径膜の選択 あるいは血液浄化量を増やすなどの方法がある (2C) 上記方法により循環動態の改善を図ることができる可能性がある (2C) しかしながら生命予後を改善するというエビデンスはない (2C) 3
ガイドラインの解釈 推奨の成り立ち 論文の質 エビデンスが決まる 専門家集団の意見 4
推奨度 1A ならば質の高いエビデンスが得られており 専門家集団も強く推奨している!! 例えば 2C 重症敗血症に対して ( 持続的 ) 血液濾過 ( 透析 ) は有効か? サイトカイン等のメディエーター除去を行うには 吸着特性を有する膜の選択 大孔径膜の選択 あるいは血液浄化量を増やすなどの方法がある (2C) 上記方法により循環動態の改善を図ることができる可能性がある (2C) しかしながら生命予後を改善するというエビデンスはない (2C) 2C ならば質の低い ( 弱い ) エビデンスしか得られてない 専門家集団も弱い推奨しかできない 5
1A) 強い推奨 ( やるべきでしょう ) 血圧低下にこだわらずにこだわらず 代謝性代謝性アシドーシスアシドーシスの進行進行や乳酸値乳酸値の上昇を認めたらめたら初期蘇生初期蘇生を開始開始するする 輸液を中心中心としたとした初期蘇生初期蘇生により, 中心静脈圧 8-12 mmhg, 平均血圧 >65 mmhg を目標目標とし, 尿量 >0.5 ml/kg/ 時, 中心静脈血酸素飽和度 (ScvO2 ScvO2)> )>70 70% が達成達成されるかどうかされるかどうか評価評価するする 動脈血ガスガス分析及分析及び血中乳酸値測定血中乳酸値測定を行い, 代謝性アシドーシスの改善改善と乳酸乳酸クリアランスクリアランスを少なくとも 6 時間毎に評価評価する 初期蘇生は early goal-directed therapy(egdt EGDT) に準じてじて施行 敗血症初期の末梢末梢が温暖温暖な warm shock では, 血管作動薬としてとしてノルアドレナリン (0.05 0.05μg/kg/ 分 ~) を第 1 選択とするとする 1A) 強い推奨 ( やるべきでしょう ) プラトー圧を 30cmH2O 以上としない条件で 6ml/kg ( 標準体重 ) 前後の 1 回換気量を設定する 180mg/dL 以上の高血糖を呈する重症敗血症患者に対し, 血糖値を低下させるために経静脈的インスリン持続投与を行う 血糖値を 80-110mg/dL に維持する強化インスリン療法は行わない ハイドロコルチゾンで 300mg/ 日以下,5 日以上の少量 長期投与が推奨される 6
ここから敗血症の話し 全身の炎症をサーズ (SIRS) 全身の炎症 (SIRS) の原因が感染症 これを セプシス (Sepsis)= 敗血症という 7
やさしいセプシス やけどの水ぶくれ サーズ (SIRS) とセプシス (Sepsis) 血管の中の水と血圧低下 早期に適切な治療 EGDT やけどの水ぶくれ やけどによる炎症で毛細血管の壁が傷付き血管の中のアルブミンがしみでてきて水ぶくれになる 水ぶくれ ( 水疱 ) の中のみずは浸出液 8
9 血管透過性亢進けっかんとうかせいこうしん間質 3rd スペース血管内皮細胞血管内皮細胞の損傷 血管透過性亢進局所のやけどをもう少し拡大リンパリンパリンパリンパ管血管内血管内血管内血管内正常正常正常正常リンパリンパリンパリンパ管リンパリンパリンパリンパ管血管内血管内血管内血管内正常正常正常正常血管内血管内血管内血管内正常正常正常正常間質間質間質間質蛋白漏出蛋白漏出蛋白漏出蛋白漏出リンパリンパリンパリンパ管血管透過性血管透過性血管透過性血管透過性亢進亢進亢進亢進
局所のやけどは局所の問題 全身の炎症は全身の問題へ 炎症が大きければ大きいほど全身への影響は大きい やさしいセプシス やけどの水ぶくれ サーズ (SIRS) とセプシス (Sepsis) 血管の中の水と血圧低下 早期に適切な治療 EGDT 10
看護学校などで教わった 炎症とは? 発赤 腫脹 熱感 疼痛 機能障害 脈拍 体温 WBC 呼吸数 サーズ (SIRS) の基準 SIRS : Systemic Inflammatory Response Syndrome 日本語 * 全身性炎症反応症候群 体温 <36 >38 脈拍 90 回 / 分以上呼吸数 20 回 / 分以上 PaCO2<32torr WBC 12000 / 以上 4000 / 以下または 10% 以上の幼若球 # 基準の 2 項目以上を満たす # 11
サーズは炎症状態 真菌症 感染症 細菌 敗血症 Sepsis 外傷 サーズ 熱傷 ウィルス寄生虫 SIRS 膵炎 その他 SIRS : systemic Inflammatory response syndrome 全身性炎症反応症候群米国胸部疾患学会 Critical Care Medicine 学会提唱 (1991) 侵襲によってによって全身的全身的な炎症反応炎症反応が惹起惹起されているされている状態 感染症感染症 菌血症菌血症 真菌症 敗血症敗血症 ウィルス 重症敗血症重症敗血症 寄生虫 Second hit SIRS SIRS その他その他外傷外傷熱傷熱傷膵炎膵炎 診断基準体温 <36 >38 > 脈拍 90 回 / 分以上呼吸数 20 回 / 分以上 PaCO2<32torr WBC 12000 / 以上 4000 / 以下または 10% 以上の幼若球基準の 2 項目以上を満たす 12
やさしいセプシス やけどの水ぶくれ サーズ (SIRS) とセプシス (Sepsis) 血管の中の水と血圧低下 早期に適切な治療 EGDT 小さいやけどはその部位の問題 全身の血管透過性亢進って? 実はこれがポイントだよ! 13
14 小さな膵臓の炎症が全身に広がるんだよ ~ 例えば膵炎すごい脱水 全身の血管透過性亢進による 3rd スペースへの水分喪失 ARDS/ALI になる 肺への炎症の広がり多臓器障害 全身臓器への炎症の広がりこうなる前に対処しなければあとから大変リンパリンパリンパリンパ管血管内血管内血管内血管内正常正常正常正常リンパリンパリンパリンパ管リンパリンパリンパリンパ管血管内血管内血管内血管内正常正常正常正常血管内血管内血管内血管内正常正常正常正常間質間質間質間質蛋白漏出蛋白漏出蛋白漏出蛋白漏出リンパリンパリンパリンパ管血管透過性血管透過性血管透過性血管透過性亢進亢進亢進亢進
炎症の局所局所変化 ( 発赤 発赤 腫脹腫脹 熱感熱感 疼痛 ) 細菌感染 ( 菌体成分 内毒素内毒素など ) 補体 好中球 マクロファージ Hageman 因子 アラキドン酸カスケード C3a a C5a C 血小板 血管内皮細胞 キニン類の産生 肥満細胞 PAF NO 産生 ロイコトリエン プロスタグランジン ヒスタミン遊離 ( 感染早期 ) 血管透過性亢進 血管拡張 疼痛血管透過性亢進 血管拡張 細動脈拡張細静脈収縮 BP 低下 血管拡張血管透過性亢進 血圧低下 血管透過性亢進による 3rd スペースへの水分の喪失による循環血液量の減少による血圧低下 炎症や細菌感染による血管拡張物質が原因で起こる血圧低下 特に Sepsis による血圧低下はこのふたつによる原因 hyperdynamic state って何? 15
血圧を構成する因子 血圧 Sepsis による血圧低下はふたつ 血管透過性の亢進 末梢血管の拡張 3 rd rd スペースへの水分喪失 喪失した水分を補う 拡張物質を取り除く 末梢血管を締める Sepsis 治療の原則 EGDT へ 16
なぜ血圧 循環維持 重要臓器の循環不全肝 腎 その他 血流が維持できない 組織への酸素 二酸化炭素栄養のやり取りができない 循環不全の持続から再かん流 阻血再かん流障害 DIC の原因として重要 重要臓器機能障害 (MODS) 機能不全 (MOF) 血管からもれる体液って? 血球成分細胞外液血漿成分 % % 体重の体内水分量% % 50kg 細胞内液 % 17
どの輸液? 3 号 5% 糖液 細胞外液 外液 晶質液 crystalloid 膠質液 colloid 1 号 維持液 維持輸液 外液 開始液 開始輸液 乳酸化リンゲル液生理食塩液低分子デキストラン低分子デキストラン + リンゲル液アルブミン製剤 18
やさしいセプシス やけどの水ぶくれ サーズ (SIRS) とセプシス (Sepsis) 血管の中の水と血圧低下 早期に適切な治療 EGDT 早くゴールを達成治療プログラム Early Goal Directed Therapy EGDT 19
EGDT 酸素投与だめなら人工呼吸 中心静脈 動脈ライン確保 細胞外液を入れる 中心静脈圧 CVP 8~12mmHg 昇圧剤を入れる 6 時間以内にゴールしてね! 平均動脈圧 MAP 中心静脈血酸素飽和度 SCVO2 GOAL 65mmHg 以上尿量 0.5 ml/kg/h 70% 以上 赤血球輸血 EGDT 酸素投与だめなら人工呼吸 中心静脈 動脈ライン確保 中心静脈圧 平均動脈圧 CVP 8~12mmHg MAP 65mmHg 以上 中心静脈血酸素飽和度 SCVO270% 以上 GOAL 細胞外液を入れる 生食または乳酸化リンゲルを 20~ 30ml/kg 入れて 体重 50kg ならば 1000~1500ml を 30 分で入れてしまう 昇圧剤を入れる 先ずは十分な輸液で反応見て だめならばノルアドレナリン! ドーパミンは 5γ 位であきらめる! Sepsis は末梢血管の弛緩だからしめてあげないと血圧は上がらない! それでもダメならバゾプレッシンやドブタミンそしてステロイドと 赤血球輸血 出血して無い限りあまり使わない 20
EGDT その後は? BS150~180mg/dl NICE-SUGAR Study 早期経腸栄養 10ml/hr 開始で目標はカロリー投与じゃない BT( バクテリアルトランスロケーション ) 予防 目標は 20Kcal/kg 水の評価 水の戻りの評価 時に CHDF も 必要ならばドレナージや手術も 21
まとめ Sepsisの管理は水にはじまり水におわる AラインとCVラインは武器になる ノルアドを早く使おう! 22