< ブルーナーの理論研究から > 課題学習は探究志向的学習である 探究志向的学習がなぜ必要かについてブルーナーは次の ように述べている 3 知的能力の向上 ( 問題解決の基礎的な知力が身に付く ) 成就感が得られる ( 探究による発見は生徒に成就感をもたす ) 発見する方法を学ぶ ( 仮設の設定 ~

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第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

(Microsoft Word - 201\214\366\212J\216\366\213\3061\224N\211\271.docx)

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

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単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

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理科学習指導案

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

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2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

H30全国HP

ICTを軸にした小中連携

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平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭石川幸宏 1 日時平成 30 年 2 月 21 日 ( 水 ) 第 4 校時 2 学年第 1 学年 2 組 ( 男子 19 名女子 18 名 37 名 ) 3 場所海田西中学校第 2 理科室 4 単元名身のまわりの現象 ~ 力の世界 ~ 5 単元について

1. 研究主題 学び方を身につけ, 見通しをもって意欲的に学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における算数科授業づくりを通して ~ 2. 主題設定の理由 本校では, 平成 22 年度から平成 24 年度までの3 年間, 生き生きと学ぶ子どもの育成 ~ 複式学級における授業づくり通して~ を研究主題に意欲的

Microsoft Word - 社会科

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

2年D組 理科学習指導案

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7 3. 単元の指導計画 (7 時間扱い ) 時 学習内容 授業のねらい 物質の溶解と水溶液の均一性 コーヒーシュガーが水に溶ける様子を観察し, 色の様子からコーヒーシュガーの拡散と水溶液の均一性を理解する ( 観 実 ) コーヒーシュガーと食塩の溶解 物質の溶解と水溶液の均一性 2 物質が目に見え

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

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学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

国語科学習指導案様式(案)

2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

けて考察し, 自分の考えを表現している 3 電磁石の極の変化と電流の向きとを関係付けて考え, 自分の考えを表現している 指導計画 ( 全 10 時間 ) 第 1 次 電磁石のはたらき (2 時間 ) 知 1, 思 1 第 2 次 電磁石の強さが変わる条件 (4 時間 ) 思 2, 技 1, 知 2

123

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

第 2 学年 5 組理科学習指導案 日時平成 26 年 12 月 12 日 ( 金 ) 場所城北中学校授業者酒井佑太 1 単元名電気の世界 2 単元について (1) 教材観今日の私たちの日常生活において 電気製品はなくてはならないものであり 電気についての基礎的な知識は必要不可欠である しかし 実際

第1学年 理科学習指導案

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

知識・技能を活用して、考えさせる授業モデルの研究

20情報【授業】

学習意欲の向上 学習習慣の確立 改訂の趣旨 今回の学習指導要領改訂に当たって 基本的な考え方の一つに学習 意欲の向上 学習習慣の確立が明示された これは 教育基本法第 6 条第 2 項 あるいは学校教育法第 30 条第 2 項の条文にある 自ら進んで学習する意欲の重視にかかわる文言を受けるものである

授業では, 課題を解決するための情報を集める前に, どのような方法だと必要な情報を集めることができるのかを考えています 58.8% 41.2% 授業では, 調べたことなどを, 図, グラフ, 表などにまとめています 73.5% 26.5% 授業では, 情報を比べたり ( 比較 ), 仲間分けしたり

指導方法等の改善計画について

Taro-H29結果概要(5月25日最終)

3 題材の目標 (1) (2) 4 題材の評価規準 ( 指導要録の四つの観点 ( 生活や技術への関心 意欲 態度 ) から題材の学習を通して目指す生徒の姿を示します ) 文章の語尾は 評価規準の作成, 評価方法の工夫改善のための参考資料 ( 中学校技術 家庭 ) 平成 23 年 11 月 ( 国立教

第 2 学年 * 組保健体育科 ( 保健分野 ) 学習指導案 1 単元名生涯の各段階における健康 ( イ ) 結婚生活と健康 指導者間中大介 2 単元の目標 生涯の各段階における健康について, 課題の解決に向けての話し合いや模擬授業, ディベート形式のディスカッションなどの学習活動に意欲的に取り組む

平成 26 年度生徒アンケート 浦和北高校へ入学してよかったと感じている 1: 当てはまる 2: だいたい当てはまる 3: あまり当てはまらない 4: 当てはまらない 5: 分からない 私の進路や興味に応じた科目を選択でき

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

1. 単元名 運動とエネルギー 3 章エネルギーと仕事 南中学校第 3 学年理科学習指導案 平成 26 年 10 月 16 日 ( 木 ) 第 5 校時 3 年生徒数 3 名場所理科室授業者 2. 単元について (1) 単元観本単元は 運動の規則性やエネルギーの基礎を 身のまわりの物体の運動などの観

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平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

総合的な探究の時間 は 何を 何のために学ぶ学習なのか? 総合的な探究の時間 は与えられたテーマから みなさんが自分で 課題 を見つけて調べる学習です 総合的な探究の時間 ( 総合的な学習の時間 ) には教科書がありません だから 自分で調べるべき課題を設定し 自分の力で探究学習 ( 調べ学習 )

中学校第 3 学年社会科 ( 公民的分野 ) 単元名 よりよい社会をめざして 1 本単元で人権教育を進めるにあたって 本単元は 持続可能な社会を形成するという観点から 私たちがよりよい社会を築いていくために解決すべき課題を設けて探究し 自分の考えをまとめさせ これらの課題を考え続けていく態度を育てる

3-2 学びの機会 グループワークやプレゼンテーション ディスカッションを取り入れた授業が 8 年間で大きく増加 この8 年間で グループワークなどの協同作業をする授業 ( よく+ある程度あった ) と回答した比率は18.1ポイント プレゼンテーションの機会を取り入れた授業 ( 同 ) は 16.0

(2) 計画学習課題 学習内容 時間 連立方程式とその解 二元一次方程式とその解の意味 2 連立方程式とその解の意味 ( 本時 1/2) 連立方程式の解き方 文字の消去の意味 加減法による連立方程式の解き方 5 代入法による連立方程式の解き方 連立方程式の利用 問題を解決するために 2つの文字を使っ

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1. 日時 日時平成 年 ( 年 ) 月 日 ( ) 時間目 ( 時 分 ~ 時 分 ) 2. 場所 場所 市立 中学校 室 3. 学年 組 人数 学年 組 人数 年 組 名 4. 単元 単元 ( 単元名 ) ( 小単元名 ) 5. 教材観 ( 題材観 ) < 教材観の考え方 > 教科書の該当単元全

Microsoft PowerPoint - AR1(理科森田) [互換モード]

第 3 学年 2 組算数科学習指導案 1 単元名たし算とひき算の筆算 指導者永田佳江 2 単元について (1) 単元観 該当する学習指導要領の内容 A 数と計算 A(2) 加法, 減法 (2) 加法及び減法の計算が確実にできるようにし, それらを適切に用いる能力を伸ばす 本単元で扱う たし算とひき算

他の単元との連関 子どもが獲得する見方や考え方 教師の持つ指導ポイント 評価規準 小学 4 年生 もののあたたまり方 小学 6 年生 電気の利用 ~ エネルギーの工場と変身と銀行 ~ 中学 1 年生 光と音 ( 光のエネルギーを利用しよう ) 中学 2 年生 電流 ( 電気とそのエネルギー ) 電流

学年第 3 学年 2 単元名 ( 科目 ) いろいろな関数の導関数 ( 数学 Ⅲ) 3 単元の目標 三角関数 対数関数 指数関数の導関数を求めることができる 第 次導関数の意味を理解し 求めることができる 放物線 楕円 双曲線などの曲線の方程式を微分することができる 4 単元の学習計画 三角関数 対

愛媛県学力向上5か年計画

必要性 学習指導要領の改訂により総則において情報モラルを身に付けるよう指導することを明示 背 景 ひぼう インターネット上での誹謗中傷やいじめ, 犯罪や違法 有害情報などの問題が発生している現状 情報社会に積極的に参画する態度を育てることは今後ますます重要 目 情報モラル教育とは 標 情報手段をいか

(2) -2,4,1 3 y=-x-2 をかいた ( 人 ) 4 (1) y=2x-9,y=2x,y=3x+3 (2) y=x+11 (3) 指導観校内の研究テーマが 考える力を引き出す授業のあり方 ということで, 数学科では考える力とは何かを分析し,11 項目に整理した 1 帰納的に考える力 2

とで児童に活動の見通しを持たせ, 自分で課題を立て情報を集め整理し, 発表する等に取り組めるようにしていきたい 調査計画の場面では, 目的に照らしてどのような調査をしていくことがよいのか児童にしっかりと考えさせたい 例えば, データはどう集めたらよいのか, アンケートを実施する場合には, 誰にアンケ

Taro-seitokenpatu.jtd

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

数学科学習指導案 1 次方程式 ( 中学校第 1 学年 ) 神奈川県立総合教育センター < 中学校 高等学校 > 数学 理科授業づくりガイドブック 平成 22 年 3 月 問題つくりを題材として取り上げ 身近な生活の中にある数量関係を見いだし それを基に文章題を作らせる指導によって 自ら具体的な事象

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第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

子葉と本葉に注目すると植物の成長の変化を見ることができるという見方や, 植物は 葉 茎 根 からできていて, それらからできているものが植物であるという見方ができるようにしていく また, 学んだことを生かして科学的なものの見方を育てるために, 生活の中で口にしている野菜も取り上げて観察する活動を取り

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M28_回答結果集計(生徒質問紙<グラフ>)(全国(地域規模別)-生徒(公立)).xlsx

(3) 指導観公民的分野は地理的分野と歴史的分野の学びの積み重ねによるところが大きい 用語や概念も高度化し 生徒の感想にも 難しい と感じるものが多くなっている そこで その難しいと感じる公民の用語などは積極的に用語集を活用し 難しい言葉に対する抵抗感を少しでも和らげるよう授業でも活用している また

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

保健体育科学習指導案

上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

いきたいと考えるはずである 水溶液を区別する ためには, 水溶液のどんな性質やはたらきに着目していったらよいか, 子どもたちの考えを大切にしながら学習を進めていきたい 本単元の問題を解決するためには, いくつかの実験結果から, 総合的に判断することが必要である そこで,5つの水溶液を区別するという意

Water Sunshine

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

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○数学科 2年 連立方程式

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

の 問を提示して定着度を確認していく 1 分けて計算するやり方 70 = =216 2 =6 2 筆算で計算する方法 題材の指導計画 ( 全 10 時間扱い ) ⑴ ⑵ ⑶ 何十 何百 1 位数の計算 1 時間 2 位数 1 位数

表 2 家庭にミシンがあり, 家族 ( 自分を含む ) が使用している 37% 家庭にミシンはあるが, ほとんど使用していない 26% 家庭にミシンがない 37% 指導観 1 年生にとって, 中学校に入学して初めての被服製作題材である 小学校の家庭科でも布を用いた製作を行ってきているが, 授業後,

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

平成 30 年度全国学力 学習状況調査の結果について ( 速報 ) 1. 調査の概要 実施日平成 30 年 4 月 17 日 ( 火 ) 調査内容 1 教科に関する調査 ( 国語 A 国語 B 算数 数学 A 算数 数学 B 理科 (3 年に 1 回 )) A 問題 : 主として知識に関する問題 B

(3) 将来の夢や目標を持っていますか 平成 29 年度 平成 28 年度 平成

(4) ものごとを最後までやりとげて, うれしかったことがありますか (5) 自分には, よいところがあると思いますか

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平成 25 年度学力定着状況確認問題の結果について 概要版 山口県教育庁義務教育課 平成 2 6 年 1 月 1 実施概要 (1) 目 的 児童生徒の客観的な学力状況の経年的な把握と分析を通して 課題解決に向けた 指導の工夫改善等の取組の充実を図る全県的な検証改善サイクルを確立し 県内す べての児童

6年 ゆで卵を取り出そう

Microsoft Word - 小学校第6学年国語科「鳥獣戯画を読む」

西ブロック学校関係者評価委員会 Ⅰ 活動の記録 1 6 月 17 日 ( 火 ) 第 1 回学校関係者評価委員会 15:30~ 栗沢中学校 2 7 月 16 日 ( 水 ) 学校視察 上幌向中学校 授業参観日 非行防止教室 3 9 月 5 日 ( 金 ) 学校視察 豊中学校 学校祭 1 日目 4 9

工業教育資料347号

Transcription:

理科教育における指導と評価の一体化をめざして 個に応じた指導法の研究 宿毛市立宿毛中学校教諭浜田五十鈴 1 はじめに <テーマ設定の理由 > 中学校学習指導要領の理科の目標は 自然に対する関心を高め 目的意識をもって観察 実験を行い 科学的に調べる能力と態度を育てるとともに 自然の事物 現象について理解を深め 科学的な見方や考え方を養うこと となっている この目標を達成するためには 日々の授業そのものが 従来通りの教え込み 単に科学的な知識を覚えるような授業では 基礎学力は育めない 日々の授業を探究的に進めるように改善し 学習したことが生活に生かせるような資質や能力を育てる場を積極的に設定していくことが重要である 生徒はそれぞれ能力 適性 興味 関心等が異なっており 教育の目標を実現するためには それぞれの生徒の特性等に応じた適切な指導をしていく工夫が求められている そこで 教師の一方的な知識 伝達になりがちな指導を改め 生徒一人一人の特性に応じた指導を行うことが重要であると考え この研究課題を設定した 研究構想図 研究テーマ 理科教育における指導と評価の一体化をめざして 個に応じた指導法の研究 - 目指す生徒像 実践上の課題 自ら考え目的意識をもって 知識 理解中心の授業 学ぶ生徒 教師主体の授業 興味 関心や探求心をもった 評価が指導に生かされていない 生徒 個を生かす学習 研究仮説 生徒一人ひとりの実態を十分理解し 個に応じた指導方法とそれにともなう教材 教具の工夫を行うことで 理科の基礎学力が定着される授業が行えるであろう 研究内容 理論研究 授業モデル開発 検証授業の実施 指導と評価の一体 個に応じた指導方法 授業実施 化 や指導体制の工夫 分析 個に応じた指導法に 教材 教具の工夫 修正 関する研究 評価規準の作成 考察 評価規準の考察 学習に応じた多様な評価方法 わかる理科授業 生きる力 の育成 2 研究仮設 生徒の基礎 基本の確実な定着を図り 個性を生かす教育を充実するために 生徒一人一人の特性等に応じた指導法の研究と 学習過程での評価を指導に生かす 指導と評価の一体化 の研究を行った 今回の検証授業においては 自分で課題を選択し 一人で実験をして レポートにまとめ 発表するという一人一課題の実験形態をとることで 生徒の興味 関心や知的好奇心を喚起させ 自らが思考 判断することをねらいとした そして 検証授業を通して 学習活動や学習形態 指導形態などの個に対して重点をおいた指導法と それにともなう教材 教具の開発 工夫についての有効性を検証した キーワード : 指導と評価の一体化 基礎 基本の定着 個に応じた指導法 課題学習 生徒一人ひとりの特性等を十分理解し 個に応じた指導方法とそれにともなう教材 教具の工夫を行うことで 理科の基礎学力が定着される授業が行えるであろう 3 研究内容 (1) 理論研究 1 指導と評価の一体化 S P D S S 支援の工夫 指導の改善 P 2 課題学習 の研究

< ブルーナーの理論研究から > 課題学習は探究志向的学習である 探究志向的学習がなぜ必要かについてブルーナーは次の ように述べている 3 知的能力の向上 ( 問題解決の基礎的な知力が身に付く ) 成就感が得られる ( 探究による発見は生徒に成就感をもたす ) 発見する方法を学ぶ ( 仮設の設定 ~ 実験計画 ~ 検証 ) 記憶の保持を助ける ( 課題学習で得られた知識は体系化され 記憶される ) 評価規準の研究 (2) 調査研究 理科学習に関するアンケート調査 プレテスト ポストテスト 対象 : 宿毛市立宿毛中学校 1 年 B 組 (36 名 ) 実施 : 事前平成 16 年 11 月 22 日事後平成 16 年 12 月 6 日 1 事前に行った理科学習に関するアンケート調査の結果このクラスの理科に対する意識調査として 次の項目についてアンケートをとった あなたは 理科の学習が好きですか 今までどんなときに授業を有意義に受けられましたか 理科の授業で なぜだろう もっと知りたい と思うことはありましたか 理科の授業で 自分から進んで調べ 発 39% はいいいえ 61% 表や発言をしていますか グラフ1 あなたは 理科の学習が好きですか など 内容によっては 複数回答を求めたものもある このアンケート調査の中で クラスの 39% は理科が好きと答え その理由のトップが 観察や実験がおもしろいから と回答している 一方 61% の生徒が 理科が好きではないと回答している その理由として 学習内容が難しいから 学習したことが生活に生かせないから 考えたり調べたりすることが嫌いだから と答え 授業を有意義に感じたのはどのようなときですか に対し 先生の話す内容がよくわかるとき 観察や実験をしているとき と回答している また 授業の中で自発的に調べ 発表 発言をしていますか に対して 66% の生徒が いいえ と回答している このアンケートの結果から 生徒は観察 実験が好きだから理科が好きになり また学習内容が自分たちの生活体験との関わりを感じ取ることができないから学習する意義を見いだせないため 理科が嫌いであると思われる そこで 生徒の生活体験に結びつく教材等を用いて 身の回りにあるものや自然現象を取り上げ それがどのような原理 法則と関わりがあるのかをつなぐ役割を授業の中で行うことで少しでも学習意義を見いだすことができるのではないかと考えた また 実験レポートやその内容をまとめ 他の友達にどのように伝えれば より自分が伝えたい内容を理解してもらえるのかなど 表現力を身に付けさせることなどが必要である 2 プレテスト ( クラスの 36 名中 30 名を対象 ) 今回実施したプレテスト 資料 1 は 第 1 分野 2 章 物質のすがた 3 節 気体の性質 の学習内容の確認テストと位置づけて実施した 問題は全部で 8 問あり その内容を観点別に分類すると以下のように分けることができる

知識 理解 問 (1)(2)(4)(5)(6) 思考 判断 問 (3)(7)(8) 技能 表現 問 (8) そのうち 下の枠囲み内の問いについては この学習段階で 理解してほしい内容である 問 (1) うすい塩酸に亜鉛を入れると発生する気体は何か 問 (4) うすい塩酸に石灰石を入れることで発生する気体を石灰水を用いて確認する場合どのような変化があるか簡単に述べなさい 問 (6) 集め方 Aのようにして気体を集める方法を何というか 資料 1 プレテスト 気体の性質 しかし 実際には上記の 3 問すべてが正答であった生徒はクラスの 25.8% であり それぞれの正答率については 問 (1) は 36.6% 問 (4) は 60% 問 (6) は 63.3% であった また 8 問中正答が 1 問以下の生徒は 全体の 25.8% であった プレテストの結果から クラス全体として この小単元の基本的事項が十分に理解できていないと判断した そこで 気体の性質についての総まとめとして 実験を行うにあたり クラス全体として その学習内容がおおむね満足のいく学習状況を得るためには この実験に関する基本事項の再確認が必要であると考えた (3) 実践研究今回は 第 1 学年 第 1 分野 2 章 物質のすがた 3 節 気体の性質 の学習のまとめとして 単元の最後に位置づけて授業実践を行った 今回は ブルーナーの理論に基づいた 課題学習 を取り入れ 生徒の能力や適性 興味 関心に応じて課題を選択し 学習を行った 基礎 基本の定着 興味 関心 意欲の向上 をねらいとし 学習内容としては 自分でテーマを決めて 一人で実験し 実験レポートにまとめ それを発表するという形態をとった まず 事前のアンケート調査やプレテストの結果で生徒の実態を把握し 次のような工夫 開発をして 実践研究を行った 1 個々の生徒に興味を持たせる教材 教具の工夫 開発 2 個に応じた指導方法の工夫ア学習活動の工夫イ学習形態の工夫ウ指導形態の工夫 3 分析をもとに工夫 1 個々の生徒に興味を持たせる教材 教具の工夫 開発 1 個々の生徒に興味を持たせるような教材 教具の工夫 開発個々の生徒に興味を持たせるような教材を実験や観察に取り入れることにより興味が高まるようにした ストロー 2 本とフィルムケースを使って 一人で実験や観察が行えるような 自作の気体発生装置を開発した

また 通常の授業では理科薬品を使って実験していたのが 今回は毎日の生活で使っている漂白剤 発泡入浴剤 卵の殻 ジャガイモ 鶏のレバー オキシドールなどの 身の回りの物質を使い 実 験をより自分たちの身近なこととして受け止めることができるような 課題となる教材を工夫した 2 個に応じた指導方法の工夫 ア 学習活動の工夫 理科の 個に応じた指導法 には 様々な方法が考えられる 今回の検証授業では 課題学 習 を取り入れた イ 学習形態の工夫 通常の実験では 6 人程度の班編成を行うが 今回は個に視点をあてて 自分で思考して学 習するために 一人で一つの課題に対して実験を行う形態をとった ウ 指導形態の工夫 主に一斉授業の形式をとり 理解が十分できていない生徒へ対応できるように 支援する教 材などを積極的に用いて指導形態を工夫した 資料 2 物質の組合せの選択例 3 分析をもとに工夫した点 今回の学習活動において 特に 身の回りの 物質を選択し 発生する気体の予想 実験手順 実験 がスムーズに進むために 事前の十分 な支援計画が必要である そこで 事前に次の 内容を考えた 物質の組合せの選択ができない生徒に対し て あらかじめ準備した 資料 2 のような 組合せを提示した ( 注意 : 水素が発生する 組合せは扱わないように配慮した ) 実験レポートの準備物の欄や 気体の性質 を調べる方法の欄は あらかじめ必要と思 われるものを列挙し 丸を入れて選択する ような形式をとった 資料 3 生徒間で支援ができるように 座席を配慮し 資料 3 準備物 た さらに理科に関するアンケート調査の結果 や 気体の性質 についての学習状況を分析し た結果から 当初計画していなかった次の支援 を行った ア 気体の発生方法とその性質 教科書等を活用して 水素 酸素 二酸化炭素 アンモニアなどを中心に説明する イ 気体の捕集法 詳しく説明した図を模造紙に書き込み それを活用しての説明する 班ごとに置換法など演示実験を行い 取り扱いや手順 注意点などを指示する ウ 実験レポートの書き方やその留意点 実験プリントを配布し その記入内容を細かく口頭で説明する エ 教師が能率的に支援できる実験の座席配置の工夫 プレテストの結果と前時の実験レポート 予測された気体の種類などをもとに 座席の配置

を決める (4) 生徒の学習状況に対する支援 評価の具体例 <1 時間目 > 気体の性質 の学習内容がクラス全体として十分に理解できていないと判断したことから 時間の前半を活用して基礎的 基本的な内容の学習を中心に復習を行い 本時の学習内容へ入っていった ここでの大きなポイントは 3つある 1 気体を発生させるための物質を自分の興味 関心から物質を選択すること 2 選択した物質から どのような気体が発生するか予想すること 3 その気体をどのように捕集するのか その実験の手順を考えて示すこと である 生徒自身が実験をテーマから手順までを考えて計画することができるように これらのポイントに支援を絞って行った 1については 積極的に実験に取り組もうという意識が物質の選択状況に表れてくると考え 実験テーマを決めることができる という評価内容で 生徒たちの 興味 関心 意欲 を机間指導によって見とることを計画した 物質の選択が決められない生徒に対しては あらかじめ準備した物質の組合せを提示して その中で 少しでも興味 関心のある組合せを自分で選択できるようにした 2については 中学 1 年生 であるということと このような実験を行うことが初めてである という二つの理由から 今回は予想することだけにとどめた 最終的に 予想を立てることは全員の生徒ができた これは 本時の前半に行った気体の性質の復習が 学習活動の直接的な支援につながったのではないかと考える 3については 生徒自身が実験方法を決め その方法を図示する ここでは 予想した気体がどのような性質を持っていて それに応じた気体の捕集法は何かを考えなければならない 生徒にとっては かなり難しい内容である 一般的に実験の方法は教師側から与えられることが多く 自分が決めて実験を行うという経験は 非常に少ないのではないかと思われる ここでは 科学的な思考 を見とることができると考え 予想した気体に応じた適切な実験方法がとられているか を実験レポートから見とることとした 例として 実際に生徒が記入した例を 資料 4 に示した 左側を おおむね満足できる 状況と判断し 右側を 努力を要する 状況と判断した このときの評価に関する判断基準は 気体の性質と捕集法との組合せが最も適切であるかを見とることとした ここでは 表現力を見とるものではないので 図は必要最小限の情報でどのような捕集法であるかが理解できればよいと考えた 資料 4 おおむね満足 努力を要する <2 時間目 > この時間は準備した実験プリントをもとに 各自が実際に実験で気体を発生させ その気体がどのような性質を持っているかを確認し その気体を同定する実験を行った 36 名が一斉に別々の物質を使って実験を行うので 実験がスムーズに運ぶために 前時の復習を再度行った また プレテストで正答が 1 問以下の生徒に対しては 基本的に一つの実験台のまわりに座るように座席を決めた さらに 同じ気体を予想した生徒ができるだけ同じ実験台になるように配慮した 通常よく行われる班別の実験では 席の変更をすることは難しいが 今回のような

一人で実験を行う場合には このような座席の配置を組むことが可能である また 支援を必要とする生徒についても 選択した物質の組合せは違っていても 発生する気体はできるだけ同じ気体になるように 前時の中で指導を行った こうすることで 一斉に実験を行っても 一人の教師で支援を必要とする生徒への手だてが十分行うことができると感じた 全般的に 生徒自身が選んだ物質 実験方法ということもあって とても積極的に実験に取り組んでいる姿が印象的であった また 気体の確認方法では こうなるのでは? という予想を立てることで 観察するときにも こんなふうになるはずだ 発生した気体でつくったシャボン玉がどうなるか といった目的意識をもってみんなが臨んでいると感じた また 班での実験と違い 自分で準備をし 実験 観察を行い 結果をまとめて と とにかく自分でやらなければならないという意識が 実験レポートの中の 実験からわかった気体の性質 や 実験の考察 感想 欄の記述から見とることができる たとえば 下記の生徒の書いたものをみてもわかるように シャボン玉が下に落ちた という事はこの気体が空気より重い などのように 実験結果から具体的に思考や判断をしている過程がうかがえる表現が記述されているという印象を受けた また 授業のあとでとった 授業評価表 や事後の 理科学習に関するアンケート調査 からも 生徒の変容がうかがえる たとえば 授業評価表では はい いいえ を 4321 の四検法で行った結果 意欲的に取り組めたか では 4 または 3 と回答したものは 94% であり 授業の内容が理解できましたか では 4 または 3 と回答したものは 97% であった また 授業について 何か思ったことや要望があれば書いてください という欄では 次のような内容が上げられた 実験のチョークと酢の組合せがおもしろかった 初めて一人で実験して印象的だった 実験をやったら難しかったけど 楽しかった またやってみたかったし 実験して良かった 一人で実験して 成功したのがちょっとうれしかった など 次に 事後の 理科学習に関するアンケート調査 は 主に記述式で行った たとえば 次のよ うな回答がそれぞれあった この学習で 成長したな 力がついたな と思うことはありますか という質問に 一人でも実験ができるようになった ( 人に頼らなくても良くなったから ) 実験レポートがうまくまとめられたと思う 失敗しても もう一度やり直そうと思った など 今回は一人で実験をしましたが 班でする実験と比べてどうでしたか という質問に 難しかった 誰かしない人がいるから 一人でしたほうがよいと思った 班はみんなが助け合ってできるけど でも自分のしたい実験ができるのはいいと思う 一人で緊張するけど 他の人に任せるとか 人のせいにすることとかがなくて 自分のためになったから良かった とてもやりがいがあった 班のほうがよい などこのように 授業形態や授業内容をさまざまな角度から調査 分析したり 実験レポートの途中

の段階で教師側があらかじめ計画した評価をもとに子どもたちの変容をとらえたりすることで そこから見える教師自身の指導法の課題や子どもたちのつまずきの状況を把握し それをもとに授業改善へつなげることが 少しずつではあるが子どもたちの変化のようすが見とれるのではないかと実感した <3 4 時間目 > 最後の 2 時間で 発表会を行った 実物投影装置で自分の実験レポートを投影し 一人ずつ実験結果を発表し その発表に対しての相互評価を行った 今まで人前で発表したり 他の人を評価するという経験がなかったので みんなの前に立つだけで緊張して実験レポートをそのまま読むだけで精一杯の生徒が多かったが 努力し頑張っているという雰囲気が伝わってきた この 2 時間では 次の2つのポイントで評価をした 1 発表を聞いての感想や 新たな疑問などを書いている 関心 意欲 態度 を相互評価表で見とる 2 実験結果や気体の確認方法などをわかりやすくまとめたり 発表することができる [ 技能 表現 ] を相互評価表 自己評価表から見とることにした 生徒たちの相互評価の内容を見ると教師が思っていた以上に 誠実で適正な評価を行っていた 一人の教師による評価より 多人数の生徒の評価をプラスすることで より高い妥当性が得られるのではないかと感じた これらの評価をもとに 生徒への学習の支援につなげることもできると考える 4 成果と課題この実践授業を通して 3つの成果を上げることができた 今回 実験レポートや授業評価表 理科学習に関するアンケート調査 Ⅱの記述に もっと したい という形で表現されたものを見ると この学習内容を通して少しずつではあるが学習意欲が高まりつつあると考えた これは 個人で課題を選択し 実験方法と実験 まとめを個人の学習活動として行うことで 生徒の興味 関心や知的好奇心を喚起させ 実験を通して成就感や達成感を得たことで 学習意欲を引き出すことができたのだと思われる 次にプレテストとポストテスト結果 グラフ2 を分析すると プレテスト正答数 45% ポストテスト正答数 58% と正答数が上がっている 正答数が上がって効果があったと思う内容は 授業で実際に実験を行った内容と一致している そして 3(2)2で述べた 理解してほしい基本的な内容の3 問のうち2 問は この授業で取り扱っているため この 2 問の正答率をみると 45% から 71% に伸び 基本的な内容の定着がみられたと判断できる 120 100 80 60 40 プレテストポストテスト 20 0 グラフ2 プレ ポストテスト結果 この分析から 教師が把握した生徒の学習状況をもとに 必要な学習内容を絞り込み 授業への工夫 改善を行うが 教師側の学習内容の提示や指導などの方法によって 生徒の理解や定着に大きな違いがでることがわかった このことは 生徒の学習状況の把握と授業 ( 指導 ) への工夫 改善 さらに生徒の学習状況の把握といったサイクルを 常に続けることが必要不可欠であることを示していると改めて感じた ここでの学習状況の把握を行うためには 教師側のしっかりとした評価の計画と視点を持って実施していくことが最も大切である

3 つ目の成果として この学習は 努力を要すると判断した生徒 に対しても有効であった プレ ポストテストからも ほとんどの生徒の正答数が上がっていた また 自己評価表や授業評価表の感想欄には 実験らしい実験ができた 私はいつも班で実験をしていても ほとんど他の人にまかしていたけど 一人だけで全部できたから 今までよりも力がついたんじゃないかと思う という記述からも 生徒の成就感や達成感がうかがえる また プレ ポストテストともに正答はない生徒だが この授業では生き生きとして意欲的に授業を受けていた 授業評価表での感想欄には 実験で一人でとてもむずかしかったけど やってみてたのしかった またやってみたかったし 実験をしてよかった 一人で と書いている 班活動では ほとんどこのような生徒はかげにかくれて目立たないし ほとんど実験しないまま終ってしまう 一人で一つの実験は時間がかかって大変だが このような学習も必要だと思った 課題としては1 評価の返し方 2 効果的な評価方法 3 課題提示の仕方 4 発表会の行い方と 4 つあげられる 1 評価の返し方 は 実験レポートも実験前から終るまで 2 回以上は評価をして返すことができるが レポートに評価欄を設けるなどの工夫も必要であり 評価の返し方を工夫することで おおむね満足できる状況の生徒に対しても より深い学習への指導ができると思った 2 効果的な評価方法については 今回実験中に観察法で評価したが やはり大変難しかった 実験レポートなどの記録に残る客観性のある評価方法など 適切な評価方法を研究する必要性があると感じた 3 課題提示の仕方については 事後のアンケート調査の結果から 実験にあまり興味がない 実験する前から 結果がわかるから おもしろくない という回答があり 身近なものを取り上げて課題を提示したが クラスの状況を判断し支援プリントを配ったのが原因ではないかと思った 課題学習での課題提示については 事前に十分な生徒の学習状況の把握とそれにともなう計画を行うことが大切であると感じた 43 4 時間目に発表会を行ったが 今回は初めてということもあり レポートをそのまま投影装置で写したが 画面が小さくて 見えにくかったりしたので 次からは 一歩発展させてパワーポイントを使ってやっても楽しい活動になると思った 最後に 今回の実践授業を通して 生徒自らが考えて行う活動を意識的に取り入れることで 従来の実験とは全く違う生徒の意識を感じ取ることができた 従来の方法であれば 実験結果が妥当なものかどうかで満足していたが 結果がたとえ妥当なものでなくても どうして結果がこうなったか どうしたらよいかなど 次の学習活動へつながるような思考が芽生えてきていると感じた 今後も 基礎 基本の定着 のために 指導と評価の一体化 をすすめ 日々の授業を工夫 改善して 全員の生徒が毎日の授業が わかる [ 楽しい ] 理科授業を目指していきたいと思う 主な参考 引用文献 岡本夏木 ブルーナー認識能力の成長 明治図書 1968 年 広岡亮蔵著 ブルーナーの研究 明治図書 1974 年 江田稔 三輪洋次編著 中学校学習指導要領の展開 明治図書 1999 年 文部科学省著 個に応じた指導に関する指導資料 教育出版 2002 年 遠藤純夫著 [ 教師用指導書 ] 大日本図書 2002 年 佐々木和枝編 中学校理科 絶対評価の方法と実際 明治図書 2003 年 遠藤純夫編 中学校理科の新絶対評価問題 明治図書 2003 年 北尾倫彦 角田陸男 観点別評価実践事例集 図書文化 2003 年