むずかしい相続税を簡単に わかってもらうためのレポートです このレポートを読んでいただきたい方 souden 2014.4.21 vol.62 過去に相続を経験し 次回の相続もつつがなく終りたいと思われている方先祖代々の財産を守りたいと思われる方相続争いをしたくない方貸家経営をされている方自営業をされている方で 自分の会社の株式について対策を行いたい方不動産管理会社を持たれている方相続を経験したことがない方 財産評価のポイント 目次 1 損をしているものを贈与することで税金対策になる??!! 2 区画整理中の宅地評価は 3 通りある?! 3 財産評価のチェックポイント! No.2 4 多彩な贈与の種類をおさらい このレポートは 税法上の条文などを簡易に解釈し書いています 従って 読者の行動までも責任をもつものではありません 何か対策等のアクションをおこす際は 必ず 専門家 ( 税理士 公認会計士等 ) にご相談の上で 実行していただきますようお願いいたします 発行 税理士法人上坂会計 / 株式会社ライフデザイン研究所福井県福井市江守中 2 丁目 1312 番地 TEL:0776-33-1117 FAX:0776-36-8245 URL:http://souzoku.uesaka.ne.jp/ MAIL:soden@uesaka.ne.jp 0
損をしているものを贈与することで 税金対策になる??!! Writer 公認会計士上坂朋宏 先日 このようなご相談がありました 先生 不動産を今回 売るのだけど 売却損がでます どうかならないですかね? どうか? というと? 私は 基本的に年金暮らしだし 損がでても どうしようもありません 何か この不動産の譲渡損失を使う方法はありませんか? なるほど こんなやりとりをしました つまり 不動産にしても有価証券にしても 売却をした場合で 譲渡損がでる場合 つまり 買ったときの金額よりも売却したときの金額が安い場合に その損失を使って節税ができないか? という質問でした そこで私は さん 御子息いらっしゃいましたよね? 彼も不動産を持っていて収入がありましたよね? その不動産を売却する予定があったのでは? そういえば 売却すると言っていました なら その不動産を売却した場合 益がでるか損がでるか聞いていただけますか? ということで 聞いていただくことにしました 譲渡損を使う方法として 頭に入れておかなければならないことは 贈与や相続の場合 取得価額を引き継ぐ ということなのです つまり 高く買った不動産や有価証券を息子などに贈与したときに 贈与した時点での時価がたとえ下がっていても 取得原価は 親が買ったときの高いままの金額で引き継ぐということなのです 後日 連絡がありました 先生 息子に聞いたところ 不動産を売ると譲渡益がでるようです そうですか ならば 今回 さんの売ろうとしている土地を息子さんに贈与しましょう そしてその後 売却することにしましょう! 私は そう言いました そうすると以下のようになります 1
もともとのお父さんの土地 ( お父さんから息子さんに贈与した土地 ) 売却価額 1,000 万円取得価額 3,000 万円よって 2,000 万円の譲渡損 息子さんの土地売却価額 5,000 万円取得価額 3,000 万円よって 2,000 万円の譲渡益 不動産同士の損益は 通算できます よって 今回 2,000 万円の譲渡損と 2,000 万円の譲渡益がプラスマイナス ( 通算 ) して譲渡損益は ゼロになります 従って 息子さんは 本来ならば 2,000 万円の譲渡益に対して税金を支払わなければならないものを お父さんの損をする土地を贈与してもらうことによって 税金を支払わなくてよくなったのです 今回は 偶然のこともありうまくいったケースですが 損がでたからといって 使えないのではなく 贈与や相続の場合 取得価額を引き継ぐ ということを頭に入れておくと 使える可能性もでてくるということを覚えておいていただけるとよいと思います 贈与する場合 贈与税や不動産取得税などがかかる場合が多いので 実行されたい方は必ず事前にご相談ください 区画整理中の宅地評価は 3 通りある?! Writer 宮司幸仁 福井市内の所々で行われている土地区画整理事業 ここ数年では特に大和田 木田方面で開発が進み 大規模な土地区画整理が行われています 平成 26 年からは北陸新幹線の整備に関わり 福井駅周辺での事業が決定しています 土地区画整理事業とは 都市計画区域内 の土地について 公共施設 ( 道路 公園 広場 河川等 ) の整備改善及び宅地の利用の増進を図るため行われる 土地の区画形質の変更及び公共施設の新設又は変更に関する事業とされます いわば整形でない土地を整形にして道路 公園 広場を整備し 人が住みやすい市街地にしようという事業です そんな中で 相続財産に区画整理中の宅地があった場合どう評価するのか 区画整理事業の流れを簡単に示すと以下の通りになります 1 地元住民との話し合い 2 都市計画決定 3 事業計画の決定 4 土地 区画整理審議会の設置 5 仮換地の指定 6 工事 7 工事の終了 8 換地処分の公告 9 土地 建物の登記 10 清算金の徴収 交付 11 事業 の完了 2
この流れの中で 区画整理事業中の土地は その進行により 3 段階に変わります 従前地 仮換地 換地 相続での評価は相続の発生した日が 下記のどの段階になっているかにより評価が変わります 1 ~ 4 までの段階 ( 仮換地の指定日前日まで ) 従前地 5 ~ 7 までの段階 ( 仮換地の指定日から換地処分の公告日前日まで ) 仮換地 8 からの段階 ( 換地処分の公告日から ) 換地 従前地の評価区画整理事業の工事が始まる前ですから 従前地の所在地における路線価 地形 使用状況により評価します 仮換地の評価仮換地の指定があった後なので 仮換地の所在地における路線価 地形 使用状況により評価します 更に仮換地の場合には 工事の終了がいつまでかにより少し変わります 相続日から工事の終了までの期間が 1 年を超える場合評価額に 95/100 を掛ける 相続日から工事の終了までの期間が 1 年以内の場合仮換地の評価額 事例 1: 相続した宅地が区画整理中 ( 仮換地の段階 ) の土地であった 相続日から工事の終了日まで 2 年を要する計画である 仮換地の評価 10,000,000 円 10,000,000 95/100 = 9,500,000 円 相続日に 精算金の受取又は徴収が決定している場合 清算金とは 従前地と換地との間に価値の不均等がある場合に 交付又は徴収される金 銭です 清算金の交付決定がある 評価額に加える 清算金の徴収決定がある 評価額から引く 事例 2: 事例 1 の土地で 県から清算金 50,000 円交付されることが決定した 仮換地の評価 9,500,000 円 + 50,000 円 = 9,550,000 円 換地の評価区画整理事業の工事が終了し 換地が決定 使用収益できるので 換地の所在地における路線価 地形 使用状況により評価します 以上 今回は相続財産の中に区画整理中の宅地が含まれている場合の評価方法を解説していきました 区画整理中の宅地評価はここで掲げた事以外で 時期と評価方法が細かく定められておりますので 実際に評価計算する際には我々のような専門家に相談していただきたいと思います 3
財産評価のチェックポイント! No.2 Writer 竹原琴美 前回は 相続税申告において一番重要な財産評価の中でも 預金関係のポイントについてお届けしました シリーズとして今回は不動産編をお届けします 不動産編 不動産である土地や建物にも評価が必要です 路線価方式や倍率方式と言われる土地の評価方法は 財産評価基本通達 という相続税申告をする上で参考となる通達をもとに計算をしていきます この財産評価基本通達を機械的にあてはめただけでは 分からない部分がたくさんあります 例えば 広すぎて売却しにくい土地 ( 広大地評価 ) 面している道路幅が狭い ( セットバック ) 宅地と道路の間に水路がある ( 水路の評価 ) 道路に面していない ( 無道路地 ) 建物が建っている ( 借地権評価 ) などです これらは 固定資産評価証明書や路線価図を見ていても 分からないことですので 私達は 土地の実測と実際の使用状況の確認を必ず行います 目で見て 情報を集めて 土地が減額できる部分はないか? ということを重ねて見ていくのです また小規模宅地の特例は 土地の評価を下げる大きなポイントです 一定の選択をした限度面積までの部分 ( 小規模宅地等 ) については 相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上一定の割合が減額されます 小規模宅地の区分 限度面積 減額割合 特定事業用宅地等 400 m2 80% 特定居住用宅地等 240 m2 ( ) 80% 貸付事業用宅地等 200 m2 50% 改正! 特定居住用宅地等に係る特例の適用対象面積の拡大現行上限 240 m2 上限 330 m2 この改正は 平成 27 年 1 月 1 日以後に相続又は遺贈により取得する財産に係る相続税について適用 4
その他にも改正内容がありますが 小規模宅地の特例が使える面積には限度があることを知ることが 上手に活用するポイントです 評価減が使える金額が大きい土地を選択した方が有利になります 路線価の異なる 2 つ以上の土地がある場合や 居住用と貸付用の土地がある場合 どの土地を適用すれば有利かという判断が必要になります 適用要件も事前にチェックしておくことは対策のひとつになります 多彩な贈与の種類をおさらい Writer 石田典子 税制改正もあり贈与の種類も多彩になってきました それぞれの贈与制度について簡単におさらいしながら どんな贈与制度が使えるかを整理してみましょう まず贈与とは 当事者の一方 ( 贈与者 ) が自己の財産を無償で相手方 ( 受贈者 ) に与える意思表示をして 相手方が受諾することによって その効力を生ずる契約である と民法で定められています 私どもがいつも 贈与契約書を必ず作成しておいていただくようにアドバイスさせていただいているのは その当事者間で合意があったことの証拠となるためです どんな贈与制度を利用するかに関わらず 面倒だからと省略せずに必ず作成しておくようにしましょう 暦年贈与 毎年 1 月 ~12 月までの 1 年間の贈与に対する基礎控除額 110 万円の最も一般的な贈与です 贈与価額が 110 万円以内であれば 贈与税はかかりませんので贈与税申告も必要ありません 平成 27 年 1 月 1 日以後の贈与から 贈与税の最高税率が 50% から 55% に改正されていますが 20 歳以上の子 孫など ( 直系卑属 ) への贈与については 税率構造が新設されており 一般の贈与よりも税率が優遇されています 相続時精算課税 65 歳以上の親から 贈与日現在において推定相続人となる 20 歳以上の子 ( 子が亡くなっているときには 20 歳以上の孫を含む ) への贈与で 贈与税申告書に 相続時精算課税選択届出書 を添付して提出することで受けられる制度です 特別控除額は 2,500 万円ですが 暦年贈与とは違い 1 年あたりの控除額ではなく 選択した年以後 その贈与者の相続があるまでの期間で 2,500 万円が限度となります 限度額を超えた価額に対しては 一律 20% の贈与税がかかります 5
また 文字通り相続時に精算することを前提とした贈与であるため 相続時に贈与財産を贈与時の価額で相続財産に含め 相続税を計算し納めることとなります なお その贈与財産に対して納めている贈与税があれば 相続税から控除されます 一度この制度を選択したら 同じ贈与者からの贈与については暦年贈与が使えませんので注意が必要です 将来 評価額が上がるとわかっている財産を贈与する場合は 相続時に贈与時の安い価額で評価できるので相続税の節税になるかもしれませんが そのケースは少なく 相続税の節税目的というよりも 遺産分割対策として 相続してもらいたい人に先に渡すことを目的とする場合に利用するケースが多いです この制度は贈与税申告をしなければ使えませんので忘れずに申告を行ってください 配偶者居住用財産贈与 婚姻期間が 20 年以上の夫婦間で 居住用不動産又は居住用不動産を取得するための資金の贈与が行われた場合に 基礎控除 110 万円のほかに 2,000 万円までの控除が受けられる特例制度です なお 贈与を受けた年の翌年 3 月 15 日までに 贈与を受けた者が取得した不動産に住んでいることと その後も引き続き住む見込みであること また贈与税がかからない場合でも贈与税申告を行うことが必要です 不動産の贈与ですので 登記費用や不動産取得税などの諸費用もかかります その費用がかかっても実行する効果があるかどうかを判断した上で行うことをお奨め致します 住宅取得等資金に係る贈与税の非課税 平成 24 年 1 月 1 日から平成 26 年 12 月 31 日までの間に 父母や祖父母などの直系尊属から住宅を取得するための資金贈与を受けた場合で 一定の用件を満たすときは 各年度ごとの非課税限度額までは贈与税が非課税となる特例制度です 平成 26 年の非課税限度額は 500 万円です ( 省エネ等住宅の要件を満たす場合は 1,000 万円 ) なお 贈与を受けた年の翌年 3 月 15 日までに 住宅を取得し受贈者自身が住み始めていることと 贈与税申告を行うことが必要ですので 住み始めることができるタイミングや申告漏れにご注意ください 教育資金の一括贈与時の非課税 平成 25 年 4 月 1 日から平成 27 年 12 月 31 日までの間に 祖父母などの直系尊属が 30 歳未満の子や孫等に対して教育資金に充てるための資金を一括贈与した場合に 一定の要件のもと 1,500 万円まで贈与税が非課税となります 6
原則的には 扶養義務者 ( 配偶者 直系血族 兄弟姉妹 一定要件を満たす三親等内の親族 ) が負担する教育費についてはもともと贈与税が非課税なのですが 数年分をまとめて贈与するなどの一括贈与については贈与税が課税されます しかし要件に従いこの制度を利用した一括贈与の場合は 受贈者が 30 歳になるまでは一括贈与だとしても非課税です 要件の 1 つとして この制度を取り扱っている金融機関に口座開設が必要であったり 教育費を支払った領収書の提出が必要などの手続きが必要となります また受贈者が 30 歳に達した時点で残っている金額については贈与税が課税されます 手続き面で少し不便さを感じるところもあるかもしれませんが 一括でまとまったお金を贈与できるという点では 節税対策として有効だと思います 単純に贈与と言ってもいろいろな制度があり どの制度を活用するのがよいかはケースバイケースとなります 増税に向かう将来のために相続対策を検討されたい方は ぜひ一度ご相談ください 相続無料相談会開催中! 4 月の無料相談会もおかげさまで満員御礼! となりました ありがとうございます 来年から税制改正もありいよいよ気になってきたという方も多いかと思います 5 月も日曜日開催予定ですので お席があるうちにどうぞご予約下さい ( 平日ご希望の方もご都合に合わせて対応させていただきます ) < 開催日 > 5 月 11 日 ( 日 ) 5 月 25 日 ( 日 ) < 時 間 >1 9:00~10:00 211:00~12:00 313:30~14:30 415:30~16:30 1 日先着 4 組様まで ご希望の日時を事前にご予約ください お問い合わせは 0120-939-243 相続手続きお悩み解決センター 竹原 石田まで 相続てんてんの編集後記 s( v )z 皆さんのお手元には今年度の固定資産税通知書が届いていることと思います 不動産評価が相続税を計算する上では欠かせません 無料相談に来られる際には ぜひご持参ください 7