日本の人口問題

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平成28年版高齢社会白書(概要版)

税・社会保障等を通じた受益と負担について

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社会保障給付の規模 伸びと経済との関係 (2) 年金 平成 16 年年金制度改革において 少子化 高齢化の進展や平均寿命の伸び等に応じて給付水準を調整する マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びはの伸びとほぼ同程度に収まる ( ) マクロ経済スライド の導入により年金給付額の伸びは 1.6

14 日本 ( 社人研推計 ) 日本 ( 国連推計 ) 韓国中国イタリアドイツ英国フランススウェーデン 米国 図 1. 1 主要国の高齢化率の推移と将来推計 ( 国立社会保障 人口問題研究所 資料による ) 高齢者を支える

図表 1 人口と高齢化率の推移と見通し ( 億人 ) 歳以上人口 推計 高齢化率 ( 右目盛 ) ~64 歳人口 ~14 歳人口 212 年推計 217 年推計

つのシナリオにおける社会保障給付費の超長期見通し ( マクロ ) (GDP 比 %) 年金 医療 介護の社会保障給付費合計 現行制度に即して社会保障給付の将来を推計 生産性 ( 実質賃金 ) 人口の規模や構成によって将来像 (1 人当たりや GDP 比 ) が違ってくる

我が国中小企業の課題と対応策

親と同居の壮年未婚者 2014 年

図 3 世界の GDP 成長率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas Piketty ホームページ 図 4 世界の資本所得比率の実績と見通し ( 出所 ) Capital in the 21st century by Thomas P

相対的貧困率の動向: 2006, 2009, 2012年

1999

長野県の少子化の現状と課題

(2) 高齢者の福祉 ア 要支援 要介護認定者数の推移 介護保険制度が始まった平成 12 年度と平成 24 年度と比較すると 65 歳以上の第 1 号被保険者のうち 要介護者又は要支援者と認定された人は 平成 12 年度末では約 247 万 1 千人であったのが 平成 24 年度末には約 545 万

 第1節 国における子育て環境の現状と今後の課題         

Economic Trends    マクロ経済分析レポート

1. 世界における日 経済 人口 (216 年 ) GDP(216 年 ) 貿易 ( 輸出 + 輸入 )(216 年 ) +=8.6% +=28.4% +=36.8% 1.7% 6.9% 6.6% 4.% 68.6% 中国 18.5% 米国 4.3% 32.1% 中国 14.9% 米国 24.7%

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Microsoft Word - N_ _2030年の各国GDP.doc

表紙

各資産のリスク 相関の検証 分析に使用した期間 現行のポートフォリオ策定時 :1973 年 ~2003 年 (31 年間 ) 今回 :1973 年 ~2006 年 (34 年間 ) 使用データ 短期資産 : コールレート ( 有担保翌日 ) 年次リターン 国内債券 : NOMURA-BPI 総合指数

2014人口学会発表資料2

別紙2

平成30年版高齢社会白書(概要版)

問 2 次の文中のの部分を選択肢の中の適切な語句で埋め 完全な文章とせよ なお 本問は平成 28 年厚生労働白書を参照している A とは 地域の事情に応じて高齢者が 可能な限り 住み慣れた地域で B に応じ自立した日常生活を営むことができるよう 医療 介護 介護予防 C 及び自立した日常生活の支援が

人 ) 195 年 1955 年 196 年 1965 年 197 年 1975 年 198 年 1985 年 199 年 1995 年 2 年 25 年 21 年 215 年 22 年 225 年 23 年 235 年 24 年 第 1 人口の現状分析 過去から現在に至る人口の推移を把握し その背

親と同居の未婚者の最近の状況(2016 年)


2030年のアジア

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(217 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43

参考資料1

このジニ係数は 所得等の格差を示すときに用いられる指標であり 所得等が完全に平等に分配されている場合に比べて どれだけ分配が偏っているかを数値で示す ジニ係数は 0~1の値をとり 0 に近づくほど格差が小さく 1に近づくほど格差が大きいことを表す したがって 年間収入のジニ係数が上昇しているというこ

1.ASEAN 概要 (1) 現在の ASEAN(216 年 ) 加盟国 (1カ国: ブルネイ カンボジア インドネシア ラオス マレーシア ミャンマー フィリピン シンガポール タイ ベトナム ) 面積 449 万 km2 日本 (37.8 万 km2 ) の11.9 倍 世界 (1 億 3,43


経済財政モデル の概要 経済財政モデル は マクロ経済だけでなく 国 地方の財政 社会保障を一体かつ整合的に分析を行うためのツールとして開発 人口減少下での財政や社会保障の持続可能性の検証が重要な課題となる中で 政策審議 検討に寄与することを目的とした 5~10 年程度の中長期分析用の計量モデル 短

ふくい経済トピックス ( 就業編 ) 共働き率日本一の福井県 平成 2 2 年 1 0 月の国勢調査結果によると 福井県の共働き率は % と全国の % を 1 1 ポイント上回り 今回も福井県が 共働き率日本一 となりました しかし 2 0 年前の平成 2 年の共働き率は

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第 2 章高齢者を取り巻く現状 1 人口の推移 ( 文章は更新予定 ) 本市の総人口は 今後 ほぼ横ばいで推移する見込みです 高齢者数は 増加基調で推移し 2025 年には 41,621 人 高齢化率は 22.0% となる見込みです 特に 平成 27 年以降は 後期高齢者数が大幅に増加する見通しです

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先進国化する中国 東南アジアの大都市 ~ メガシティ ( 大都市 ) からメガリージョン ( 大都市圏 ) へ ~ 要 旨 調査部環太平洋戦略研究センター 主任研究員 大泉啓一郎 GDP 8,000 10,00

2019年度はマクロ経済スライド実施見込み

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高齢社会は危機かチャンスか

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2. 男女別の無償労働の貨幣評価額無償労働の貨幣評価額を男女別にみると ( 図表 2-2) 2006 年時点の女性の構成比は OC 法では 80.5% RC-S 法では 83.7% RC-G 法では 84.7% となっている また 時系列では 女性の構成比が次第に低下してきていることが分かるが これ

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【資料1-1】人口ビジョン編・表紙(案) 省略版

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人口減少・少子高齢社会と税制・財政

目次はじめに 1. 賃金上昇動向とその要因 賃金上昇の影響 最後に はじめに CLMV RIM 213 Vol.13 No.48 51

本日の主な内容 1.. 総論 主要国の GDP 成長率 人口伸び率 主要国の経済規模 2.. 日本経済の見通し 人口動態と労働力人口 潜在成長率と実質 GDP 成長率 GDP ギャップと物価上昇率 日本経済再生への処方箋 1

2. 繰上げ受給と繰下げ受給 65 歳から支給される老齢厚生年金と老齢基礎年金は 本人の選択により6~64 歳に受給を開始する 繰上げ受給 と 66 歳以降に受給を開始する 繰下げ受給 が可能である 繰上げ受給 を選択した場合には 繰上げ1カ月につき年金額が.5% 減額される 例えば 支給 開始年齢

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

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奥尻町人口ビジョン

表 1) また 従属人口指数 は 生産年齢 (15~64 歳 ) 人口 100 人で 年少者 (0~14 歳 ) と高齢者 (65 歳以上 ) を何名支えているのかを示す指数である 一般的に 従属人口指数 が低下する局面は 全人口に占める生産年齢人口の割合が高まり 人口構造が経済にプラスに作用すると

人口 世帯に関する項目 (1) 人口増加率 0.07% 指標の説明 人口増加率 とは ある期間の始めの時点の人口総数に対する 期間中の人口増加数 ( 自然増減 + 社会増減 ) の割合で 人口の変化量を総合的に表す指標として用いられる 指標の算出根拠 基礎データの資料 人口増加率 = 期間中の人口増

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2. 年金額改定の仕組み 年金額はその実質的な価値を維持するため 毎年度 物価や賃金の変動率に応じて改定される 具体的には 既に年金を受給している 既裁定者 は物価変動率に応じて改定され 年金を受給し始める 新規裁定者 は名目手取り賃金変動率に応じて改定される ( 図表 2 上 ) また 現在は 少

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日韓比較(10):非正規雇用-その4 なぜ雇用形態により人件費は異なるのか?―賃金水準や社会保険の適用率に差があるのが主な原因―

< 目次 > Ⅰ. 基準シナリオ : 経済成長持続ケース 1. 中間所得層 + 高所得層の推移 2. 中間所得層の推移 3. 高所得層の推移 Ⅱ. シナリオ2: 中国とインド経済が急激にダウンしたら? 1. 中間所得層 + 高所得層の推移 2. 中間所得層の推移 3. 高所得層の推移 Ⅲ. シナリオ

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29 歳以下 3~39 歳 4~49 歳 5~59 歳 6~69 歳 7 歳以上 2 万円未満 2 万円以 22 年度 23 年度 24 年度 25 年度 26 年度 27 年度 28 年度 29 年度 21 年度 211 年度 212 年度 213 年度 214 年度 215 年度 216 年度

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目次はじめに 1. 中国の少子高齢化 人口ボーナス論と中国経済 中国の人口ボーナスの課題 人口ボーナスと地域間経済格差 はじめに , demographic dividend 15 6

目 次 (1) 財政事情 1 (2) 一般会計税収 歳出総額及び公債発行額の推移 2 (3) 公債発行額 公債依存度の推移 3 (4) 公債残高の累増 4 (5) 国及び地方の長期債務残高 5 (6) 利払費と金利の推移 6 (7) 一般会計歳出の主要経費の推移 7 (8) 一般会計歳入の推移 8

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消費税増税等の家計への影響試算(2018年10月版)

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平成16年年金制度改正 ~年金の昔・今・未来を考える~

取材時における留意事項 1 撮影は 参加者の個人が特定されることのないよう撮影願います ( 参加者の顔については撮影不可 声についても収録後消去もしくは編集すること ) 2 参加者のプライバシーに配慮願います 3 その他 (1) 撮影時のカメラ位置等については 職員の指示に従ってください (2) 参

第28回介護福祉士国家試験 試験問題「社会の理解」

女性が働きやすい制度等への見直しについて

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国民 1 人当たり GDP (OECD 加盟国 ) ( 付表 2)OECD 加盟国の国民 1 人当たりGDP(2002~2009 年 ) 2002 年 2003 年 2004 年 2005 年 1 ルクセンブルク 58,709 ルクセンブルク 59,951 ルクセンブルク 64,016 ルクセンブル

人口動態から見た2025年問題

目次 今後 30 年間は東京の消費人口は減少しない ( 横ばい ) 今後 30 年間の社会的変化 1) 多様性の拡大 ( 哲学的変化 ) 2) 人間の行動の未来予測の精度向上 ( 技術的変化 ) 3) 多品種少量生産 / 分散配送型への産業構造転換 ( 経済的変化 ) 結論 1) 今後 30 年間の

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資料 4 明石市の人口動向のポイント 平成 27 年中の人口の動きと近年の推移 参考資料 1: 人口の動き ( 平成 27 年中の人口動態 ) 参照 ⑴ 総人口 ( 参考資料 1:P.1 P.12~13) 明石市の総人口は平成 27 年 10 月 1 日現在で 293,509 人 POINT 総人口

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参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

エコノミスト便り

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平成27年国勢調査世帯構造等基本集計結果の概要

タイトル

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秋季問題サンプル

平成 22 年国勢調査産業等基本集計結果 ( 神奈川県の概要 ) 平成 22 年 10 月 1 日現在で実施された 平成 22 年国勢調査 ( 以下 22 年調査 という ) の産業等基本集計結果が平成 24 年 4 月 24 日に総務省統計局から公表されました 産業等基本集計は 人口の労働力状態

1. 各国の GDP 経済見通し 1.1 名目 GDP( 国内総生産 ) 及び一人当たり GNI( 国民総所得 ) (17 年 ) 国 地域 名目 GDP GDP 構成比 1 人当たり ( 億ドル ) ( 名目 ) 名目 GNI( ドル ) アジア,9.% - うち日本 8,71.% 8,8 うち中


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Transcription:

日本の人口問題 2013 年 4 月 11 日 ( 木 ) 丸の内朝飯会麹町 グリーンパレス 医療経済研究機構副所長岡部陽二 URL; http://www.y-okabe.org E-Mail; y-okabe@hh.iij4u.or.jp 1

1 日本の人口問題 ~ 問題提起 (1) 人口問題 人口政策の視点 人口動態 ; 時間軸の概念が重要 20~30 年先を見通す要 ~1974 年に策定された 人口ゼロ成長が 30 年後に実現 ~ 図表 1 人口政策 ; 人為的な強制策は好ましくない ( 戦時中の 産めよ 殖やせよ 戦後の 家族計画 人工妊娠中絶の自由化 ともに悪影響を残した ) 年齢階層別 性別 所帯別 地域別などの視点が重要 (2) 問題提起の切り口 本格的な人口減少時代の到来 ~ 出生率の低下が最大の問題 ( 人口減少社会に対応した生産性向上に有効な変革を行なわなければ 人口減少国の衰退は不可避 ) 日本の生産年齢人口は1995 年から減少に転じ 国際比較でも減少幅最大 ~ 図表 2 本格的な人口減少時代到来のインパクト 人口動態の国際比較 人口減少社会を乗り切る処方箋 ~ 一人当りGDP 重視 高齢社会への対処策 ~ 社会保障全般にわたってのドラスティックな抑制が急務 少子化対策 ~ 若年者雇用の安定化 パラサイトの解消 婚外子の差別撤廃 2

図表 1 政府主導の人口ゼロ成長が目標 (1974 年版人口白書 30 年後に実現 ) 出所 ; 鬼頭宏著 2100 年 人口 3 分の 1 の日本 ( メディアファクトリー新書 ) p27 3

図表 2 主要先進国の生産年齢人口増減率推移 (1995 年 ~2050 年 実績と予測 ) 出所 ; 松谷明彦著 人口減少経済の新しい公式 ( 日本経済新聞社 )p17 4

2 本格的な人口減少時代到来のインパクト 2012 年末の総人口 ;127.5 百万人 前年比 27 万人 総人口は 2008 年の 128.1 百万人でピークアウト ~ 図表 3 総人口減は 2005 年から 一方 生産年齢人口 (15~64 歳 ) は 1995 年に 87 百万人でピークアウト 2012 年までに 7 百万人減 ~ 図表 4 生産年齢人口一人当り実質 GDP 成長率は 1989 年以降 横這い低迷 主要先進国中最低ランク ~ 図表 5&20 2050 年以降 総人口 1 億人を割り込み 2.4 人に 1 人が 65 歳以上 若者 1.3 人で高齢者 1 人を支える社会となる ~ 図表 6&7 2030 年には人口 1 割減 構造的な需要減が成長のブレーキに 総人口減少のスピードを上回る労働供給の減少 ( 労働力人口 : 2012 年末 6,540 万人 ピーク時比 ;110 万人減 2030 年予測 5,680 万人 ピーク時比 970 万人減 ) 潜在成長率の押し下げ (GDP の 0.4~0.5%) ~ 図表 8 高齢者の増加は 2020 年で頭打ち 35 百万人で横這い推移 ~ 参考資料 1 生産年齢人口の減少と少子化 ( 出生率 ;1.35 前後で低位安定 ) 継続が社会保障制度や財政の持続可能性を脅かす 経済活力の低下 首都圏人口も減少 生産年齢人口は今後は全国均一に減少 地域格差は縮小に向かう ~ 図表 10&11 5

図表 3 2012 年央の前年比人口推計 出所 ; 平成 24 年 12 月 20 日 総務省統計局 人口推計 6

図表 4 年齢階層別人口推移 (1955~2055 年 ) 実数 予測 予測 出所 ;http://3rdworldman.jugem.jp/?eid=137 および総務省統計局 HP 年齢 5 歳階層別人口推移 より作成 7

図表 5 生産人口一人当たり GDP の推移 (1955~2010 年 ) 出所 ; http://3rdworldman.jugem.jp/?eid=137 名目 GDP( 暦年ベース ) とそれを15~64 歳 ( 生産年齢 ) 人口で割った 生産年齢人口 8 一人当たりのGDP( 暦年ベース )

図表 6 生産年齢人口と高齢者人口の比率推移 ~ 一人の高齢者を何人の生産年齢人口で支えるのか ~ 出所 ; 西村周三 超高齢化社会と医療保障の持続可能性 スライド 平成 18 年推計ながら 現在もほとんど変わっていない 9 9

図表 7 西暦 800 年から 2100 年までの人口推移 出所 ; 国土交通省資料 www.mlit.go.jp/singikai/kokudosin/kaikaku/8/shiryo2sankou.pdf 10

図表 8 労働力人口 生産年齢人口 高齢化率の相関 (1960~2010 年 ) 出所 ;2012 年 4 月 21 日 白川方明日銀総裁 財政の持続可能性 図表 1 日本の人コ動態 11

図表 9 人口変動と物価の関係 ~ 国際比較 右図表 (2012 年 5 月 15 日付け日経紙記事 ) に見られるとうり 5 年以上人口減を続けている 18 ヵ国中 デフレが続いているのは日本のみ 日本より先に人口減が始まったドイツでは毎年 2% 程度 CPI が上昇している 増え続ける高齢者の需要が取りこめていないのも 日本のみのデフレの一因か 12

図表 10 首都圏人口の推移と予測 (1920~2035 年 25 年後には約 300 万人減少 ) 出所 ; 三浦展著 東京は郊外から消えていく! ( 光文社新書 )p23 13

図表 11 総人口および生産年齢人口の減少率 (2000 年 ~2030 年の都道府県別予測 ) 出所 ; 松谷明彦著 人口減少経済の新しい公式 ( 日本経済新聞社 )p93 14

3 人口動態の国際比較 世界の総人口は 2012 年末で約 71 億人 当面年 1% 強増加し続け 2050 年 ;90 億人 21 世紀末前後に約 100 億人でピークアウトするものと推計されている ただし 出生率は先進国では 1.2~1.4 人 中国 ;1.18 韓国 シンガポール ;1.3 前後と低下 反転は困難 欧州における人口ディバイド ~EU の覇者は長期的にはドイツではなく 人口増が安定的に見込まれるフランス ~ 図表 12 米 英 仏 スエーデンの人口は 2040 年まで引続き増加 独 伊 日は減少するが 日本の減少率が最大 ~ 図表 13 先進国の中で 日本は移民受け入れに最消極国 ~ 図表 14 高度な技術を持った移民の受入れ 政府 日銀などの要職に外国人を招聘 TPP FTA を活用した労働の流動化などが必要 高齢化のスピード ; 将来的にはアジア諸国の方が早い ~ 図表 15 一人当り GDP; 日本は世界第 25 位ときわめて低い 地域別に見ると 関東圏以外は先進国の 1/2 程度 ~ 図表 16&17 米国は生産年齢人口が 2060 年まで増加し続ける 一方 中国はすでに減少過程に突入 2011 年の出生率は 1.18 と公表 ~ 図表 18&19 15

図表 12 欧州各国の合計特殊出生率分布 ( 人口ディバイドと呼ばれる高低の境界線 2004 年 ) 出所 ; 河野稠果著 人口学への招待 ( 中公新書 ) p205 16

図表 13 先進諸国の将来人口予測 (2000~2050 年 ) < 総人口の増減率 > 17

図表 14 移民人口と総人口比の国際比較 (2010 年 ) 注 ; 移民人口は当該国に住む外国生まれの居住者あるいは外国籍の居住者の推定人口 ( 亡命者 難民を含む ) 出所 ; United Nations Population Division, 2010 18

図表 15 高齢化のスピードの国際比較 19

図表 16 一人当り GDP(PPP ベース ) の世界ランキング (2011 年 ) 注 ; 米ドルへの換算は購買力平価 (Purchasing Price Parity) ベース 出所 ; IMF, World Economic Outlook Database, October 2012 20

図表 17 各地方 ( 道州 ) と人口類似国の経済規模比較 (2011 年の人口 名目 GDP 一人当り GDP) 地域 人口 ( 万人 ) GDP ( 兆円 ) 同一人当り ( 万円 ) 北海道 548 18 328 東北 923 40 433 国名 デンマーク スウエーデン 人口 ( 万人 ) GDP ( 兆円 ) 同一人当り ( 万円 ) 地域比 ( 倍 ) 557 33 592 1.8 945 54 571 1.3. 関東 4,263 191 446 スペイン 4,624 149 322 0.7 中部 2,165 73 337 近畿 2,273 75 330 オーストラリア 2,262 137 605 1.8 中国 754 27 358 スイス 791 64 819 2.3 四国 395 13 329 九州 沖縄 ニュージランド 441 14 317 1.0 1,457 46 316 オランダ 1,670 84 502 1.6 出所 ; 総務省人口推計 2011.10 内閣府 平成 21 年度県民経済計算 Tha World Bank 2011 年より作成 21

図表 18 日米の生産年齢人口動態対比 出所 ; 国連人口推計 菊池真著 円安恐慌 p72 より転載 22

図表 19 中国の生産年齢人口と同比率の将来予測 出所 ; 中国労働人口 年内に減少へ 日経ビジネス 2013.1.7 号 p10 時事深層 23

4 人口減少社会を乗り切る処方箋 GDP の総額に代えて 一人当り GDP の増加を政策目標に ~ 図表 20 一人当り GDP; 先進国中最低 シンガポールや台湾よりも低く 韓国が肉薄米国並みに引上げれば 人口不変でも GDP40% 増となる 生産年齢人口減少への対応策 (1) 労働参加率を高める女性の活用 (M 字型カーブ 台形カーブ ) と定年制廃止による高齢者の雇用促進 (2) 外国人移民の受入れ ( 人口減少を食い止めるには 2050 年までに 4,000 万人の受入れが必要 現在の約 200 万人の 20 倍 )~ 問題先送りの懸念 (3) 産業構造改変による労働生産性の向上 ことにサービス産業の生産性アップ (1980 年代までは生産性向上 No.1~ 図表 20 1 規制緩和による起業の促進 2 公的企業と民間企業のイコールフッティングの実現 3 研究開発への資金投入でイノベーションによる労働生産性の引上げ 4 労働市場の流動性向上 (4) 効率的な社会保障制度の再構築 ~ 誰もが働き 誰もが相応の負担をする仕組み 現役世代のサポート強化 24

図表 20 主要先進国の一人当り実質 GDP 成長率推移 (1971~2010 年 ) 25

5 高齢社会への対処策 高齢化の現状 ~ 単独高齢者世帯の増加と首都圏偏在 ~ 図表 21&22 社会保障理念の本義 ( 冨者から貧者への所得移転 ) への回帰 ~ 現状は若者から高齢者への所得移転 ~ 図表 23 24&25 安心 安全の確保は生活保護の充実が第一 今払う金は今払う 原則の徹底 ~ 社会保障給付の財源は保険料と目的税に限定すべき ( 赤字国債発行は不可 ) 社会保障関係費は GDP の 15% 程度 (2000 年段階 ) に抑制すべき さもないと国全体が債務超過に ~ 図表 26&27 公的年金 1 賦課方式から積立方式への転換 2 年金支給年齢の引上げ ( 世界的潮流 )~ 図表 28 3 高所得者への支給額引下げ 医療保険 1 混合診療の解禁 支給範囲の限定 ( 救命救急 伝染病などを優先 ) 2 高齢者の自己負担増 医療費積立制 (Medical Savings Accont) の導入 3 プライマリーケア医指定制の導入 ( 病院へのフリーアクセス禁止 ) 住宅保障制度の導入 ( 低所得高齢者への安い賃貸住宅提供 高齢者からの不動産買取 介護施設の郊外移転など ) 26

図表 21 高齢化の現状 (2011 年 10 月現在 ) 注 ; 性比は女性人口 100 人に対する男性人口出所 ; 平成 23 年は総務省 人口推計 ( 平成 23 年 10 月 1 比現在 ) 平成 22 年は総務省 国勢調査 27

図表 22 単独所帯 単独高齢者所帯数の推移 (1980 年 ~2050 年 ) 28

図表 23 年齢階層別に見た平均所得 29

図表 24 個人のライフサイクルにおける受益と負担 ( 高齢世代は受益大 現役世代は負担大 ) 出所 ; 内閣府 平成 24 年度経済財政年次報告 3099 第 3-3-8 図 30

図表 25 年齢階層別の年金給付と医療費格差 31

図表 26 高齢化が財政与える影響 ( 社会保障給付費の GDP に対する比率 1970~1025 年 ) 出所 ; 内閣府 平成 24 年度経済財政年次報告 p299 第 3-3-1 図 32

図表 27 家計純金融資産 政府純金融負債の推移 (1998 年 ~2020 年 2012 年以降は予測 ) 出所 ; 三菱 UFJ モルガン スタンレー証券 菊池真著 円安恐慌 p55 より転載 33

図表 28 公的年金支給開始年齢の国際比較 出所平成 23 年 10 月 11 日 第 4 回社会保障審議会年金部会資料 支給開始年齢について 34

6 少子化対策 (1) 少子化の原因 少子化の原因は複合的ながら 主因は 1 若年男性の収入の不安定化 ( 非正規雇用形態の拡大 ) 2 パラサイト シングル現象の急拡大 ( 親と同居の20~34 歳の未婚者の割合 ; 1980:29.5% 2005 年 :45.3%) の交互作用 ( 中央大学教授 山田昌弘氏の所説 ) 3 避妊医療の急速な発達 普及 ( 産む 産まない の自由を獲得 ) パラサイトを容認しない慣行のアングロ サクソン国 英 米 加 豪とフランスおよび北欧諸国の出生率は高い ( ヨーロピアン ディバイド~ 図表 11) 韓国 台湾 シンガポールなどで急速に進む少子化は日本同様の原因 少子化を反転させるために必要な施策 1 若者に希望が持てる安定収入が得られる雇用制度 2 経済状況にかかわらず 一定水準の教育を保証 3 格差社会に対応した男女共同参画を ( 女性の就業率アップ ) 4 若者に自立心とコミュニケーション能力をつけさせる教育 出所 ; 山田昌弘著 少子社会日本 ( 岩波新書 1070 2007 年 4 月 ) p10,p200 ほか 35

(2) 少子化への対応策 合計特殊出生率は若干上昇傾向にあるものの 出生数の減少が問題 ~ 図表 29 少子化の原因除去 ~ 若年者の雇用不安解消 パラサイトの慣習排除 東京商工会議所提言 ; 少子化の主因除去に触れず ナンセンス 東京の出生率は 1.09 と全国最低 ~ 参考資料 2 多様な生活様式の容認 ~ 婚外子 ( 非嫡出子 ) の差別を全廃すべき ~ 図表 30( 右欄 ) 女性の就労率 (45%) の引上げ現役世代専業主婦の 4 割が就労すれば 団塊世代の退職はカバーできる 若い女性の就労率が高い県ほど出生率も高い ~ 図表 31 男女間の賃金格差の縮小 40 歳以上では 40% もの異常な格差 国際的にも日本と韓国が突出して格差大 子育て支援の強化 100 年の歴史がある手厚いフランスの制度に注目 もっとも 30 年先を見通して長期的に取り組まなければ無意味 ~ 図表 32 36

図表 29 合計特殊出生率と出生数の推移 (2003~2012 年 ) 2012 年の合計特殊出生率は 1.41 に回復したものの 出生数は毎年減少を続け 年間 1 百万人割れ目前 注目点の一つは女性の初産年齢 フランス人は 30 歳までに初産 ドイツ人は 30 歳以降が主体 日本の平均初産年齢 30 歳超はドイツ型 今後 20 数年間 25~34 歳の女性人口は毎年減少し続ける 37

図表 30 合計特殊出生率と非嫡出子割合の国際比較 1 合計特殊出生率の国際比較 2 出生に占める非摘出子の割合 国名 年次 出生率 国名 年次 割合 日本 2012 1.41 日本 2009 2.1% フランス 2011 2.01 フランス 2008 52.6 % ドイツ 2011 1.36 ドイツ 2008 32.1 % イタリア 2011 1.40 イタリア 2008 17.7 % スウェーデン 2011 1.90 スウェーデン 2008 54.7 % 英国 2007 1.90 英国 2008 45.4 % 米国 2008 2.09 米国 2007 39.7 % 韓国 2011 1.30 韓国 2007 1.6% シンガポール 2011 1.29 出所 ; 当該国資料およびU N Demographic Year Book 出所 ; 当該国資料およびEurostat Statistics Database 38

図表 31 出生率と女性の労働化率の相関関係 39

図表 32 フランスの出産 育児支援制度 出産 支援制度出産休業 養子休業出産費用父親休暇家族手当成人手当 制度の概要 1 人目 2 人目 ;16 週間 3 人目 ;26 週間公的出産保険で出産休業中の所得を保障公的出産保険で全額カバー 自己負担なし父親のための出産時の休暇 ;11 日 ~18 日 2 人以上の子どもを持つ場合 ; 月 125 支給 11 歳以上には 35 16 歳以上には 62 加算子供が3 人以上の場合は20 歳の1 年間 ; 月 79 支給 育児 低所得家族手当 3~21 歳の子どもがいる低所得家庭 ; 月 162 支給 孤児手当片親を失った場合月 88 両親を失った場合月 117 幼児養育手当 出産一時金 ( 894) 基礎手当 (3 歳になるまで月 179) ほかに育児休暇保障 保育料手当など 特定目的手当 注 ; 2012 年現在 1= 約 120 円 障害児手当 学童手当 看護手当など 出所 ; 日本総研 神尾真知子 フランスの子育て支援 はかから筆者作成 40