Microsoft Word p 1 生殖細胞操作

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乳牛の繁殖技術と生産性向上

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薬株式会社 ) を挿入した (0 日目とする ) 4 日目に生理食塩水 ( 大塚生食注 : 大塚製薬株式会社 )50ml を溶媒とした FSH( アントリン R10: 共立製薬株式会社 ) 20AU を皮下 1 回投与し プロスタグランジン F2α 製剤を同時投与した 前報より ecg( 動物用セロ

表 1 過剰排卵処置スケジュール 日 処置内容 AM E2:2mg CIDR 挿入 FSH:6AU FSH:5AU FSH:4AU PG:625μ g CIDR 抜去 PM FSH:6AU FSH:5AU FSH:4AU AI(1 回目 )* GnRH:200μ g A

参考1中酪(H23.11)

Ⅱ 材料および方法 1. 供胚牛福井県内の酪農家 19 戸で飼養されているホルスタイン種経産牛の中から 4 産以上分娩し かつ産乳能力が高い上位 3 頭 ( 平均産歴 4.7 産 ) を選抜した 供胚牛 3 頭を 3 反復し ( 延べ 9 回 ) SOV 方法が異なる 3 区 ( 対照区 試験区 1

澤香代子 坂本洋一 岡﨑尚之 山本裕美 長谷川清寿 : 経腟採卵と過剰排卵処理の併用による和牛胚の生産効率化に関する検討 ( 第 3 報 ) 実験 1 材料および方法 当センター繋養の黒毛和種経産牛 20 頭を供試し 各供試牛に対して3つの胚生産手法を産次ごとに任 1 3) 意の順序ですべて適用した

和歌山県農林水産試験研究機関研究報告第 1 号 20AU を皮下に 1 回投与するワンショット区と生理食塩水に溶解した合計 20AU の FSH を 3 日間にわたり減量投与する減量投与区の 2 区を設定し, 当場で飼養している分娩後 日後の黒毛和種経産牛 3 頭を用いて, 各処理を 3

通常 繁殖成績はなかなか乳量という生産性と結びつけて考えることが困難なのですが この平均搾乳日数という概念は このように素直に生産性 ( 儲け ) と結びつけて考えることができます 牛群検定だけでなく色々な場面で非常に良く使われている数値になりますので覚えておくと便利です 注 1: 平均搾乳日数平均

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2) 飼養管理放牧は 5 月から 11 月の期間中に実施した 超音波検査において受胎が確認された供試牛は 適宜退牧させた 放牧開始時および放牧中 3 週間毎に マダニ駆除剤 ( フルメトリン 1 mg/kg) を塗布した 放牧には 混播永年草地 2 区画 ( 約 2 ha 約 1 ha) を使用し

受精卵移植に関する登録取扱要項

たまみつしげ 2 黒毛和種 琴照重 及び褐毛和種 球光重 ETI が優秀な成績を収めて 種雄牛として選抜される 鳥取牧場で作出した黒毛和種の種雄牛 琴照重 が 産子の肥育成績を調べる現場後代検定により選抜され 精液の供給が始まりました 琴照重 は 同時期に検定を実施した種雄牛 23 頭中 脂肪交雑

( 図 7-A-1) ( 図 7-A-2) 116

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焼酎粕飼料を製造できることを過去の研究で明らかにしている ( 日本醸造協会誌 106 巻 (2011)11 号 p785 ~ 790) 一方 近年の研究で 食品開発センターが県内焼酎もろみから分離した乳酸菌は 肝機能改善効果があるとされる機能性成分オルニチンを生成することが分かった 本研究では 従来

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

岡山農総セ畜研報 6: 55 ~ 59 (2016) < 研究ノート > 黒毛和種における繁殖性向上を目指した飼料給与体系の検討 福島成紀 木曽田繁 滝本英二 Examination of the Feeding Method Aiming at Improving reproductive Per

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の獲得と実用化のための研究に乗り出すこととなった まず 1988 年に Johnson の指導のもとに日本で初めて本技術の導入を行い メーカーのエンジニアと綿密な打ち合わせを繰り返し 当団にとって初代のフローサイトメーターとなる EPICS-753 を導入した ( 図 3の1) この機種の精子選別速

地域における継続した総合的酪農支援 中島博美 小松浩 太田俊明 ( 伊那家畜保健衛生所 ) はじめに管内は 大きく諏訪地域と上伊那地域に分けられる 畜産は 両地域とも乳用牛のウエイトが最も大きく県下有数の酪農地帯である ( 表 1) 近年の酪農経営は 急激な円安や安全 安心ニーズの高まりや猛暑などの

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これらの検査は 月経周期の中で下記のような時期に行われます ( いつでも検査できるわけではありません ) 図中のグラフは基礎体温の変動を示し 印は月経を示します 月経周期における検査の時期 高温期 低温期 月経 月経 血液検査 LH FSH E2( エストラジオール ) AMH 精液検査 排卵日 血

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牛における胚移植および核移植に関する臨床繁殖学的研究

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埼玉県調査研究成績報告書 ( 家畜保健衛生業績発表集録 ) 第 57 報 ( 平成 27 年度 ) 9 牛白血病ウイルス感染が生産性に及ぼす影響 中央家畜保健衛生所 畠中優唯 Ⅰ はじめに牛白血病は散発性と地方病性 ( 成牛型 ) の2つに分類される 牛白血病ウイルス (BLV) 感染を原因とする地

11 ウシガラス化保存時のストロー内希釈液の種類と胚の生存性

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AID 4 6 AID ; 4 : ; 4 : ; 44 : ; 45 : ; 46 :

(2) 牛群として利活用 MUNを利用することで 牛群全体の飼料設計を検討することができます ( 図 2) 上述したようにMUN は 乳蛋白質率と大きな関係があるため 一般に乳蛋白質率とあわせて利用します ただし MUNは地域の粗飼料基盤によって大きく変化します 例えば グラスサイレージとトウモコシ

平成14年度研究報告

解 説 一方 乳成分にも違いが見られた 分娩後30日以内 産牛100頭規模の農場としている 損失額の計算は で乳脂肪率が5 を超える場合は栄養不足で体脂肪の ①雄子牛の出生頭数減少 雄子牛の売却減 ②雌子 過剰な動員が起こっていると判断できる この時期に 牛の出生頭数減少 更新牛購入コスト ③出荷乳

ロペラミド塩酸塩カプセル 1mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにロペラミド塩酸塩は 腸管に選択的に作用して 腸管蠕動運動を抑制し また腸管内の水分 電解質の分泌を抑制して吸収を促進することにより下痢症に効果を示す止瀉剤である ロペミン カプセル

2 体細胞にかかる基本概念 (1) 体細胞とは? さて このように総合指数にも組み込まれるほど重要な形質である体細胞ですが そもそも体細胞とはなんでしょうか? 釈迦に説法ですが 復習したいと思います 体細胞とは乳汁中に含まれる白血球と脱落上皮細胞その他の総称したものです 病原微生物が乳房内に侵入して

現在 本事業で分析ができるものは 1 妊娠期間 2 未経産初回授精日齢 3 初産分娩時日齢 / 未経産妊娠時日齢 4 分娩後初回授精日 5 空胎日数 6 初回授精受胎率 7 受胎に要した授精回数 8 分娩間隔 9 供用年数 / 生涯産次 10 各分娩時月齢といった肉用牛繁殖農家にとっては 極めて重要

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検査の重要性 分娩前後は 乳房炎リスクが高まる時期 乾乳軟膏の効果が低下する分娩前後は 乳房炎感染のリスクが高まる時期です この時期をどう乗り越えるかが 乳房炎になるかどうか重要なポイントです 乾乳期に分娩前乳房炎検査を実施して 乳房炎の有無を確認 治療を行い泌乳期に備えます 分娩前後いかに乗り切る

学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

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特定不妊治療費助成制度 の利用の手引き ( 申請案内 ) 平成 23 年 8 月 1 日から特定不妊治療に対する助成制度を創設しました 富田林市では 不妊治療の経済的負担の軽減を図るため 大阪府及びその他の都道府県 指定都市 中核市 ( 以下 大阪府等 という ) が実施する 特定不妊治療費助成制度

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マイクロボリュームエアクーリング (MVAC) 法によるブタ胚 ( 体内生産胚 ) のガラス化保存方法 - 1 -

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シプロフロキサシン錠 100mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにシプロフロキサシン塩酸塩は グラム陽性菌 ( ブドウ球菌 レンサ球菌など ) や緑膿菌を含むグラム陰性菌 ( 大腸菌 肺炎球菌など ) に強い抗菌力を示すように広い抗菌スペクトルを

資源を活用したわが国の環境に適した独自の遺伝改良の必要性が増しており 優秀国産種雄牛作出検討委員会 (J-Sireプロジェクト検討委員会 委員長: 菱沼毅 ) は 独立行政法人家畜改良センター (NLBC) の保有する優秀な遺伝子を活用した種雄牛作出にいち早く取り組んできました 同委員会は 2 月

別紙 体外受精胚移植 (IVF-ET) の流れ をご参照ください. まず, 実際に IVF-ET を行う前の周期までに, 治療の説明をお聞きいただき, 術前検査として心電図と血液検査 ( 血液型, 感染症, 血液凝固機能等 ) を行います. 後に採卵という手術が必要になりますので, それが安全に行え

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25 岡山農総セ畜研報 4: 25 ~ 29 (2014) イネ WCS を主体とした乾乳期飼料の給与が分娩前後の乳牛に与える影響 水上智秋 長尾伸一郎 Effects of feeding rice whole crop silage during the dry period which exp

2 反復着床不全への新検査法 : 検査について子宮内膜の変化と着床の準備子宮内膜は 卵巣から分泌されるステロイドホルモンの作用によって 増殖期 分泌期 月経のサイクル ( 月経周期 ) を繰り返しています 増殖期には 卵胞から分泌されるエストロゲンの作用により内膜は次第に厚くなり 分泌期には排卵後の

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褐毛和種(熊本系)の遺伝的能力の推移について

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現在 乳房炎治療においては 図 3に示す多くの系統の抗菌剤が使用されている 治療では最も適正と思われる薬剤を選択して処方しても 菌種によっては耐性を示したり 一度治癒してもすぐに再発することがある 特に環境性連鎖球菌や黄色ブドウ球菌の場合はその傾向があり 完治しない場合は盲乳処置や牛を廃用にせざるを

体外受精についての同意書 ( 保管用 ) 卵管性 男性 免疫性 原因不明不妊のため 体外受精を施行します 体外受精の具体的な治療法については マニュアルをご参照ください 当施設での体外受精の妊娠率については別刷りの表をご参照ください 1) 現時点では体外受精により出生した児とそれ以外の児との先天異常

Taro-④経膣採卵による一卵性多子生産技術の種雄牛造成への応用可能性(最終稿)


晶形成することなく固化 ( ガラス化 ) します この方法は 前核期胚などの早期胚 の凍結に対して高い生存率が多数報告されています また 次に示します vitrification 法に比べて 低濃度の凍結保護剤で済むという利点があります 2) Vitrification( ガラス化保存 ) 法 細胞


ピルシカイニド塩酸塩カプセル 50mg TCK の生物学的同等性試験 バイオアベイラビリティの比較 辰巳化学株式会社 はじめにピルジカイニド塩酸塩水和物は Vaughan Williams らの分類のクラスⅠCに属し 心筋の Na チャンネル抑制作用により抗不整脈作用を示す また 消化管から速やかに

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ータについては Table 3 に示した 両製剤とも投与後血漿中ロスバスタチン濃度が上昇し 試験製剤で 4.7±.7 時間 標準製剤で 4.6±1. 時間に Tmaxに達した また Cmaxは試験製剤で 6.3±3.13 標準製剤で 6.8±2.49 であった AUCt は試験製剤で 62.24±2

BUN(mg/dl) 分娩後日数 生産性の良い牛群の血液データを回収 ( 上図は血中尿素窒素の例 ) 各プロットが個々の牛のデータ BUN(mg/dl) BUN(mg/dl)

1 卵胞期ホルモン検査 ホルモン分泌に関して卵巣や脳が正常に機能しているかを知る目的で測定します FSH; 卵胞刺激ホルモン脳の下垂体から分泌されて 卵子を含む卵胞を成長させる作用を持ちます 低いと卵胞の成長がおきませんが 卵巣の予備能力が低下している時には反応性に高くなります LH; 黄体化ホルモ

不妊外来を受診される方へ

あった AUCtはで ± ng hr/ml で ± ng hr/ml であった 2. バイオアベイラビリティの比較およびの薬物動態パラメータにおける分散分析の結果を Table 4 に示した また 得られた AUCtおよび Cmaxについてとの対数値

なお 本試験は農林水産省の国庫補助である受精卵普及定着化事業 ( 技術高度化 ) による 10 県 ( 青森 秋田 宮城 神奈川 静岡 奈良 宮崎 高知 山口 大分 ) の共同試験で実施した当所の 3 カ年にわたる成績である 材料及び方法 1. 受卵牛所内で飼養している黒毛和種経産牛 13 頭 未経

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( 平成 22 年 12 月 17 日ヒト ES 委員会説明資料 ) 幹細胞から臓器を作成する 動物性集合胚作成の必要性について 中内啓光 東京大学医科学研究所幹細胞治療研究センター JST 戦略的創造研究推進事業 ERATO 型研究研究プロジェクト名 : 中内幹細胞制御プロジェクト 1

国際評価トピックスと概要 月 平成 22 年 8 月 27 日 ( 独 ) 家畜改良センター情報分析課 今回より CD 掲載範囲の変更に伴い 1 国内外の種雄牛の能力 の表示方法を変更しました Ⅰ. トピックス 1 国内外の種雄牛の能力 ( 乳量 ) 表 年生まれの種雄牛

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平成 25 年度 全農推奨 CRI 社乳牛凍結精液リスト 平成 25 年 6 月 30 日 略名種雄牛略号種雄牛の父 NTP TPI 生産寿命 (PL: 月 ) 分娩難易度 (SCE:%) フローレス 1HO2509 トイストーリー +2,757 +2, セコイア 1HO261

農業高校における繁殖指導とミニ講座による畜産教育支援 大津奈央 中島純子 長田宣夫 飯田家畜保健衛生所 1 はじめに 管内の農業高校では 教育の一環とし て 繁殖雌牛4頭を飼育し 生徒が飼養 いた また 授業外に班活動として8名が畜 産部に所属していた 管理を担うとともに 生まれた子牛を県 飼養管理

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

計画研究 年度 定量的一塩基多型解析技術の開発と医療への応用 田平 知子 1) 久木田 洋児 2) 堀内 孝彦 3) 1) 九州大学生体防御医学研究所 林 健志 1) 2) 大阪府立成人病センター研究所 研究の目的と進め方 3) 九州大学病院 研究期間の成果 ポストシークエンシン

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その最初の日と最後の日を記入して下さい なお 他の施設で上記人工授精を施行し妊娠した方で 自施設で超音波断層法を用いて 妊娠週日を算出した場合は (1) の方法に準じて懐胎時期を推定して下さい (3)(1) にも (2) にも当てはまらない場合 1 会員各自が適切と考えられる方法を用いて各自の裁量の

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

問い合わせ先など研究推進責任者 : 農研機構畜産草地研究所所長土肥宏志研究担当者 : 農研機構畜産草地研究所家畜育種繁殖研究領域主任研究員ソムファイタマス TEL 研究担当者 : 農研機構動物衛生研究所病態研究領域上席研究員吉岡耕治研究担当者 : 農業生物資源研究所動物科学

The Journal of Farm Animal in Infectious Disease Vol.2 No DELAYED PARTURITON AND INFLUENCE OF INDUCED PARTURITION ON CALVES 総 説 黒毛和種繁殖雌牛の分娩遅延の要


注射すると 1 個だけでなく複数の卵胞が大きくなり 10 日くらいで直径 18 mm前後となります この時期に 卵子の成熟と排卵を促す HCG と呼ばれるもう一つのホルモンを注射します 採卵の直前である HCG 投与後 34 時間から 36 時間ころに卵胞を穿刺し 卵子を採取します これを採卵といい

3 更新 廃棄の手続き受付期間 継続の手続きの受付期間は 凍結期限 3 ヶ月前から期限当日までとなります 4 凍結保管期限更新申請にあたってのご注意 申請書には 捺印と日付の記入をお忘れなくお願い致します 署名 捺印について : 必ずそれぞれご本人が直筆で署名し ご自身の手により捺印をお願いします

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( 図 2-A-2-1) ( 図 2-A-2-2) 18

5. 研究組織 (1) 日本側参加者 たかはし高橋 ( ふりがな ) 氏 よしゆき 芳幸 名 所属 職名研究協力テーマ北海道大学獣医学教授牛胚の体外生産 かさい葛西 まごさぶろう 孫三郎 高知大学農学系教授 牛 水牛胚凍結 かない金井 ゆきお幸雄 筑波大学生命環境科学教授 水牛体細胞の保存 あかぎ赤

凍結胚の融解と胚移植の説明書 平成 27 年 8 月改定版 治療の必要性 / 適応について受精卵 ( 胚 ) の凍結は 体外受精または顕微授精において 以下のような場合に行なわれる治療です 新鮮胚移植後に 妊娠につながる可能性のある受精卵 ( いわゆる余剰胚 ) が残っていた場合 採卵数が多い 血中

年 ( 平成 25 年 )10 月 235 (1) 繁殖管理の基本は? 繁殖管理では 早期の子宮と卵巣の回復 的確な発情の発見 適期授精に気をつけることが重要と言われています 分娩後四十日経っても発情兆候のない牛は 獣医師に検診を依頼することも必要です 二回目(四十日~五十日)に良い発

研究の中間報告

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1 生殖細胞操作胚の受胎率向上に関する試験 性選別精液を用いた乳用牛雌受精卵生産技術の開発 担当部署名 : 家畜生産技術部家畜繁殖研究室担当者名 : 川野辺章夫 大島藤太 北條享 菊池草一研究期間 : 平成 22 年度 ~25 年度 ( 継続 ) 予算区分 : 県単 1. 目的牛の雌雄産み分けは 受精卵 ( 胚 ) の細胞を採取して PCR 法やLAMP 法により遺伝子検査をする方法で行われてきたが 生産現場で利用するには技術的に困難であった 一方 牛精子の性選別が可能となり 性選別精液の利用が拡大しつつあるが 性選別精液は封入精子数が少なく 性選別 凍結過程で精子活力が著しく低下するとされており 過剰排卵処理 (SOV) による受精卵生産での利用は困難とされる そこで 性選別精液を用いて効率的に雌受精卵生産方法の開発を目的に SOV による卵胞発育及び排卵時間を一定にするため SOV の前処置として優勢卵胞を除去 (DFR) し GnRH 投与後 24 時間後に人工授精を実施するSOV プログラム (DFR-SOV) について検討する 2. 方法 DFR-SOV の方法は 発情周期の任意時期に留置型フ ロシ ェステロン製剤 (CIDR) を膣内挿入し (Day0) Day5 に DFR Day6 から 4 日間で総量 FSH30AU を漸減投与した Day8 にクロフ ロステノール製剤 0.225mg( 以下 PG) を投与し Day9 に CIDR を除去して発情を誘起した Day10 に GnRH( 酢酸フェルチレリンとして 200μg) を投与し Day11 に 1 回のみ人工授精 ( 以下 AI) を行った AI は ( 一社 ) 家畜改良事業団の採卵用選別雌精液 (Sort90 封入精子数 600 万 ) を左右子宮角浅部に 1 本ずつ 2 本を注入し AI 後 6 日目に常法により採卵を行った 処理日 0 日 ~ 5 日 6 日 7 日 8 日 9 日 10 日 11 日 ~ 17 日 午前 CIDR FSH FSH FSH FSH GnRH AI 採胚 挿入 6AU 4AU 3AU 2AU 4ml 午後 DFR FSH FSH FSH PG FSH 6AU 4AU 3AU 3ml 2AU (1) 通常精液を用いた従来法 ( 対照区 ) と性選別精液を用いた DFR-SOV( 試験区 ) の採卵成績は 正常卵数並びに正常卵率において対照区で高い値を示したが 全ての調査項目で有意な差は認められなかった 採卵 1 回あたりの推定雌卵数 ( 対照区 : 雌率 50% 試験区 : 雌率 90%) は 対照区で 3.4 個に対し試験区では 4.2 個と高くなった ( 表 1) また 得られた受精卵の発育ステージおよび正常卵のランク別割合にも 両区に有意な差はなかった ( 図 1 2) (2)DFR-SOV により通常精液と同等の採卵成績を得ることができたことから 性選別精液を用いた乳用牛の採卵プログラムとして有効であると考えられた また 本方法で生産された雌受精卵を県内酪農家 42 頭の受卵牛に新鮮卵移植し 19 頭が受胎 ( 受胎率 45.2%) したことから 効率的な雌子牛生産に有効であると考えられた 4. 今後の問題点と次年度以降の計画次年度は DFR に替わる生産現場で利用可能なホルモン処置の検討を実施予定

[ 具体的データ ] 表 1 採卵成績 区分 対照区 試験区 供試頭数 32 頭 32 頭 推定黄体数 14.8±12.3 15.5±12.9 遺残卵胞数 4.9±5.8 4.0±4.3 回収卵数 11.5±10.5 12.2±9.7 正常卵数 6.8±8.1 4.6±5.4 正常卵率 57.5% 47.4% 推定雌卵数 ) 3.4±4.0 4.2±4.9 変性卵数 1.3±2.7 2.1±3.7 未受精卵数 3.3±5.8 5.4±8.5 (mean±sd) ) 対照区は雌率 50% 試験区は雌率 90% で試算 100% 100% 90% 90% 80% 80% 70% 70% 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 試験区 対照区 Ⅲ Ⅱ Ⅰ' Ⅰ 60% 50% 40% 30% 20% 10% 0% 試験区 対照区 EXB BL EB CM M 図 1 正常卵ランク別の割合 図 2 正常卵のステージ別の割合 Ⅰ: 優良卵 Ⅰ :ⅠとⅡの中間 EXB: 拡張胚盤胞 BL: 胚盤胞 EB: 早期胚盤胞 Ⅱ: 普通卵 Ⅲ: 不良卵 CM: 収縮桑実胚 M: 桑実胚

2 卵巣機能診断手法による人工授精 受精卵移植の受胎率向上技術の開発 担当部署名 : 家畜生産技術部家畜繁殖研究室担当者名 : 大島藤太 稲葉浩子 星一美 北條享 川野辺章夫菊池草一連絡先 : 電話番号 0287-36-0428 研究期間 : 平成 24 年度 ~26 年度 ( 完了 ) 予算区分 : 県単 1. 目的乳用牛の泌乳能力は向上した反面 分娩間隔の延長や AI の受胎率の低下が課題となっている こうした繁殖成績の低下は分娩後の卵巣機能の回復が遅延することが要因の一つと考えられるが その原因は複雑で決定的な情報に乏しい 本試験では 超音波画像診断や代謝プロフアイルテスト等の卵巣機能診断手法を用い 人工授精 受精卵移植の受胎率を調査することで 受胎率の向上を図る技術を開発する 2. 方法 (1) 調査期間 : 平成 24 年月 ~ 平成 26 年 3 月に実施した (2) 供試牛 : 当センター繫養のホルスタイン種経産牛 31 頭 ( 補正乳量平均 11740 kg 平均 2.0 産 ) (3) 調査項目 : 以下について測定および調査した ア血液性状 ;Ht GLU T-Chol BUN GOT γ-gtp ALB TP Ca Mg ip NEFA イ BCS 体重ウ牛群検定による合計乳量 (kg/ 日 ) 平均乳脂率 (%) 平均蛋白質率 (%) エ超音波画像診断による卵巣の大きさ ( 長径と短径の積 ) 及び卵胞数オ分娩難易度なお ア ~ ウは分娩前 14 日 分娩日および分娩後 10 30 60 90 120 150 180 日にエは分娩後 30 60 90 120 150 180 日に測定を行った (4) 繁殖成績との比較ア ~ ウ調査項目について MPT 診断図から範囲内の群と逸脱している群エ卵巣の大きさ ( 長径と短径の積 ) で 1000cm 2 以上と以下の群 卵胞数 ( 左右の卵胞の和 ) が 15 以上と以下の群オ自然分娩の群とそれ以外の群それぞれを以上の 2 群に分けて各繁殖成績について t 検定を用いて比較した (1)31 頭の繁殖成績は初回授精日 128±39.2 日 受胎率は 60.0% 2 回目の授精日 175.5±46.1 日 受胎率は 41.6% で 2 回目の授精で 27 頭中 14 頭が受胎 (51.8%) する結果となった 平均授精回数は 2.6 回で分娩間隔は 448.6±66.4 日であった ( 表 1) (2) 血液性状と繁殖成績については分娩後 15 日の NEFA 濃度が低い群で高い群に比べ初回発情日が有意に早かった (P<0.05) ( 表 2) また AST 濃度が低い群で高い群に比べ初回排卵日が有意に早かった (P<0.03) ( 表 3) (3) 分娩日を基準とした分娩後 60 日における体重の減少は 少ない群が 多い群に比べ初回発情日が有意に早かった (P<0.03)( 表 4) (4) 卵胞数と繁殖成績においては卵胞数が 15 個以上の群で 15 個以下の群に比べ初回排卵日が有意に早かった (P<0.01)( 表 5) また 卵巣の大きい群で小さい群に比べ初回排卵日が有意に早かった (P<0.01)( 表 6) 4. 今後の問題点と次年度以降の計画本試験の結果から得られた周産期の各指標の活用により受胎率向上を図ることが可能となる

が 血液検査結果を利用した MPT 診断は組織的に採血検査を行う体制の確立が必要と思われた [ 具体的データ ] 表 1 調査牛群の繁殖成績 調査項目平均最大最小 初回排卵日 30.1±18.4 81 12 初回発情日 81.4±43.6 16 185 初回授精日 128.0±39.2 71 279 2 回目受精日 177.5±46.1 99 335 人工授精回数 2.6±1.6 1 7 表 2 分娩後 15 日における NEFA 値と繁殖成績 調査項目 NEFA(500μEq/L) 未満群 NEFA(500μEq/L) 以上群 初回排卵日 28.5±16.7 37.2±15.7 初回発情日 74.0±43.1 a 90.6±49.4 b 初回授精日 124.3±24.8 130.3±26.7 2 回目受精日 173.3±46.3 180.3±36.1 表 3 分娩後 15 日における AST 値と繁殖成績 ab:p<0.05 調査項目 AST(100IU/L) 未満群 AST(100IU/L) 以上群 初回排卵日 23.1±9.1 a 38.3±23.2 b 初回発情日 70.1±49.3 94.6±33.3 初回授精日 137.6±46.2 117.5±28.3 2 回目受精日 168.3±44.2 185.4±49.7 表 4 分娩日を基準とした 60 日後の体重変化と繁殖成績 ab:p<0.03 調査項目体重減少低値群体重減少高値群 初回排卵日 25.7±16.7 34.9±20.0 初回発情日 63.6±41.5 a 96.7±40.7 b 初回授精日 116.3±33.9 143.0±41.6 2 回目受精日 166.8±30.0 204.7±80.5 表 5 左右の卵巣の卵胞数と繁殖成績 ab:p<0.05 調査項目卵胞数 (15 個 ) 以上群卵胞数 (15 個 ) 以下群 初回排卵日 19.6±5.8 A 37.6±27.6 B 初回発情日 90.1±50.7 84.8±35.5 初回授精日 132.0±41.7 123.9±36.1 2 回目受精日 176.6±61.5 180.6±35.5 AB:P<0.01 表 6 左右の卵巣の大きさ ( 短径と長径の積 ) の平均と繁殖成績 調査項目大きさ (1000cm 2 ) 以上の群大きさ (1000cm 2 ) 以下の群 初回排卵日 21.5±8.9 A 41.6±21.9 B 初回発情日 63.5±43.1 88.1±33.6 初回授精日 121.9±43.0 134.8±42.3 2 回目受精日 165.0±44.0 207.6±90.9 AB:P<0.01

3 乳房炎に関する遺伝子の多型解析 担当部署名 : 家畜生産技術部家畜繁殖研究室担当者名 : 北條享 大島藤太 川野辺章夫 菊池草一研究期間 : 平成 23 年度 ~27 年度 ( 継続 ) 予算区分 : 県単 1. 目的乳用牛の遺伝的能力は向上し乳量が増加しているが 繁殖成績の低下や乳房炎など乳生産に関わる疾病の影響により 生産性は伸び悩んでいる 一方 遺伝子解析技術の向上により 各種経済形質に影響する遺伝子が報告され それらを活用した改良技術が求められている 今年度は 連鎖球菌および大腸菌に起因する乳房炎との関連が報告された BoLA-DQA1 遺伝子の多型解析を行い 初産次における乳房炎罹患の有無と比較検討する 2. 方法供試牛には 栃木県畜産酪農研究センターで飼養しているホルスタイン雌牛のうち 平成 20 年 4 月 1 日以降に初産分娩し 平成 24 年 5 月 31 日までに初産次の搾乳期間が終了した 48 頭 ( 罹患歴有 :16 罹患歴無 :32) を用いた DNA サンプルは供試牛の血液を採取し 常法に従い抽出した BoLA-DQA1 遺伝子の多型解析は 既報に準じて行った なお 塩基配列は蛍光シークエンス法により決定した 塩基配列解析は GENETYX を使用し 既に登録されている BoLA-DQA1 遺伝子の塩基配列と比較し 型を判定した BoLA-DQA1 遺伝子型と初産次の乳房炎罹患歴の有無との関連性について比較検討を行った また 受精卵移植技術により 乳房炎抵抗性に関する対立遺伝子を有する個体にデザインされた乳用牛の作出を試みた (1) 遺伝子型解析結果より 15 の遺伝子型が確認され その出現率は 0101/10011 が 32.7%(18/55) と最も高く 次いで 10011/10011 が 20.0%(11/55) であった ( 表 1) (2) 対立遺伝子の出現率結果より 10011 が 46.4% と最も高く 次いで 0101 が 27.3% であった また 罹患歴無において 1401 の出現頻度が罹患歴有に比べ高い傾向を示した (3) 対立遺伝子ごとに乳房炎罹患のオッズ比を算出したところ 対立遺伝子 10012 が 3.46 と最も高く 乳房炎感受性を示す対立遺伝子である可能性が示唆された また 対立遺伝子 1401 はオッズ比が 0.50 と他に比べ低いことから 乳房炎抵抗性に関する対立遺伝子の可能性が示唆された ( 表 2) (4) 対立遺伝子 1401 を有する 1 頭を供卵牛として 受精卵移植技術により乳房炎抵抗性遺伝子にデザインされた乳用牛の作出を試みた結果 正常胚 9 個を取得し 1 個の胚を生移植したが 受胎には至らなかった

表 1 乳房炎罹患の有無とBoLA-DQA1 遺伝子型分布の比較 遺伝子型 罹患無 (%) 罹患有 (%) 計 (%) 0101/0101 2(5.4) 2(11.1) 4(7.3) 0101/10011 14(37.8) 4(22.2) 18(32.7) 0101/10012 1(2.7) 2(11.1) 3(5.5) 0101/12011 1(2.7) 0(0) 1(1.8) 0103/0103 1(2.7) 0(0) 1(1.8) 0203/12011 1(2.7) 0(0) 1(1.8) 0301/10011 1(2.7) 0(0) 1(1.8) 10011/10011 8(21.6) 3(16.7) 11(20.0) 10011/10012 2(5.4) 2(11.1) 4(7.3) 10011/12011 1(2.7) 2(11.1) 3(5.5) 10011/12021 1(2.7) 0(0) 1(1.8) 10011/1401 1(2.7) 1(5.6) 2(3.6) 10012/1401 1(2.7) 0(0) 1(1.8) 10012/12011 0(0) 2(11.1) 2(3.6) 12011/1401 2(5.4) 0(0) 2(3.6) 計 37(100) 18(100) 55(100) 表 2 乳房炎罹患の有無とBoLA-DQA1 対立遺伝子分布の比較 対立遺伝子 罹患無 (%) 罹患有 (%) 計 (%) オッズ比 0101 20(27.0) 10(27.8) 30(27.3) 1.04 0103 2(2.7) 0(0) 2(1.8) - 0203 1(1.4) 0(0) 1(0.9) - 0301 1(1.4) 0(0) 1(0.9) - 10011 36(48.6) 15(41.7) 51(46.4) 0.76 10012 4(5.4) 6(16.7) 10(9.1) 3.46 12011 5(6.8) 4(11.1) 9(8.2) 1.72 12021 1(1.4) 0(0) 1(0.9) - 1401 4(5.4) 1(2.8) 5(4.5) 0.50 計 74(100) 36(100) 110(100) 4. 今後の問題点と次年度以降の計画今年度同様 乳房炎に関与する遺伝子の多型解析を行い データの蓄積を図るとともに BoLA-DQA1 遺伝子の解析結果について乳房炎治療歴及び体細胞数との関連を調査する

4 遺伝子情報を活用した交配技術の検討 担当部署名 : 家畜生産技術部家畜繁殖研究室担当者名 : 北條享 大島藤太 川野辺章夫 菊池草一研究期間 : 平成 25 年度 ~27 年度 ( 継続 ) 予算区分 : 県単 1. 目的乳用牛の遺伝的能力は向上し 乳量が増加しているが 繁殖成績の低下や乳房炎など乳生産に関わる疾病の影響により 生産性は伸び悩んでいる 一方 遺伝子解析技術の向上により 各種経済形質に影響する遺伝子が報告され それらを活用した改良技術が求められている そこで 経済形質関連遺伝子のマーカー遺伝子を探索するとともに それら情報を活用した改良技術を開発する 2. 方法乳牛の乳量 乳質 繁殖性に関与すると報告されている GH DGAT1 及び GRIA1 遺伝子について 当センターに繋養する経産牛 32 頭の遺伝子多型解析をし 牛群検定成績をもとに経済形質について比較検討した (1) 乳量に関連するとされる GH 遺伝子型解析の結果は LL 型 27 頭 LV 型 4 頭 VV 型 1 頭で 305 日補正乳量から換算した日乳量 ( kg / 日 ) を比較すると LL 型 (25.3)>LV 型 (20.5)>VV 型 (18.0) であった (2) 乳脂肪率に関連する DGAT1 遺伝子型は AA 型 19 頭 AK 型 5 頭 KK 型 10 頭で 乳脂肪率は KK 型 (4.8%) が AA 型 (4.0%) に比べて有意に高かった (p<0.01)( 表 1) (3) ホルモン感受性に関与する GRIA1 遺伝子型は SS 型 1 頭 SN 型 17 頭 NN 型 16 頭で うち採卵実績のある SN 型 15 頭及び NN 型 8 頭における平均回収胚数は SN 型 (14.9 個 ) が NN 型 (9.8) より多い傾向にあった 以上から GH DGAT1 及び GRIA1 遺伝子は それぞれ乳量 乳脂肪率 採卵性のマーカー遺伝子として利用が可能であることが示唆された 表 1 DGAT1 遺伝子型と乳量 乳成分との関係 DGAT1 遺伝子型 AA(n=17) AK(n=5) KK(n=10) 乳量 ( kg / 日 ) 25.4±6.2 27.4±6.9 21.5±4.9 乳脂肪率 (%) 4.0±0.4 a 4.5±0.4 4.8±0.6 b 乳タンパク率 (%) 3.2±0.2 3.4±0.1 3.4±0.3 無脂固分率 (%) 8.7±0.2 8.9±0.2 8.9±0.3 a,b 異符号間に有意差有り (P<0.01) 4. 今後の問題点と次年度以降の計画経済形質に関与するマーカー遺伝子を検索するとともに優良な遺伝子情報を有する種牛及び雌牛の選抜をし 遺伝子型をデザインした能力に優れた乳用牛を生産する