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コスジマグソコガネ捕獲個体 (6/16) 17 個体 ライトトラップ BOX15 糞トラップ 2 任意 - 獣糞内 -0 移動例 (6/16) オオコオイムシ捕獲個体 (6/21) 105 個体 ( 成虫 : 子持ち 16 子無し 38 幼虫 51) コスジマグソコガネ捕獲個体 (6/22-23)

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1月

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121022資料1さっぽろビジョン(素案)

別紙 Ⅰ 対象事業の概要環境影響評価法 ( 平成 9 年法律第 81 号 以下 法 という ) 第 15 条に基づき 事業者である国土交通省関東地方整備局及び横浜市から 平成 30 年 6 月 22 日に送付のあった環境影響評価準備書 ( 以下 準備書 という ) の概要は次のとおりである 1 事業

2 希少野生生物 福岡県の希少野生生物- 福岡県レッドデータブック-2011 ( 植物群落 植物 哺乳類 鳥類 )( 福岡県 平成 23 年 11 月 ) 及び 福岡県の希少野生生物 - 福岡県レッドデータブック ( は虫類 両生類 魚類 昆虫類 貝類 甲殻類その他 クモ形類等 )( 福

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4 予測結果では 海側で少し環境目標値を超えているのですけれども 対岸の東海市のところは 新日鐵住金の工場等でしょうか 東海市側も臨港地区になりまして ご指摘の通り新日鐵住金等があるエリアです なお 対岸までの距離は約 1km ですが 住宅地までは約 3.5km です 5 煙源が地面に近く 施工区域

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の洪水調節計画は 河川整備基本方針レベルの洪水から決められており ダムによる洪水調節効果を発揮する 遊水地案 は 遊水地の洪水調節計画は大戸川の河川整備計画レベルの洪水から決めることを想定しており 遊水地による洪水調節効果が完全には発揮されないことがある 瀬田川新堰案 は 瀬田川新堰の洪水調節計画は

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土地利用計画 土地利用計画面積表 土地利用の区分区分面積 ( m2 ) 比率 (%) 備考 発電施設用地パネル 19, パワーコンディショナー 緑地 5, 計画地面積 24, 太陽光パネル配置図 発電施設計画 発電施設の概要 発電設備規格

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複数案の設定 本事業では 秋田県公募によって指定された海域内 ( 図.1) での事業実施が要件であり 配慮書における位 置の複数案を設定することは現実的に難しいため 位置 配置に係る複数案は配慮書では設定されておら ず 構造 ( 基礎構造 風車機種 ) と規模 ( 出力 ) の複数案を設定している

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3-3 現地調査 ( カレイ類稚魚生息状況調査 ) 既存文献とヒアリング調査の結果 漁獲の対象となる成魚期の生息環境 移動 回遊形態 食性などの生活史に関する知見については多くの情報を得ることができた しかしながら 東京湾では卵期 浮遊期 極沿岸生活期ならびに沿岸生活期の知見が不足しており これらの

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1月

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利水補給

釧路湿原国立公園 釧路湿原生態系維持回復事業計画 平成 28 年 4 月 1 日

Transcription:

e. 昆虫類 e-1 ベニイトトンボ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB:- ( 北九州市提供 ) 66) 67) 68) 生態 分布本種は 平地の抽水植物や浮葉植物の豊富な池沼 ため池 湿地に生息するが 生息地は局所的である 未熟個体は付近の林縁で見られ 幼虫は水中の沈水植物や浮葉植物の葉裏につかまっている 日本では 本州から九州に分布する 福岡県での成虫は 5 月中旬から 10 月中旬に現れ 県内では広く分布し個体数も多い 響灘ビオトープでは かなり少ない 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲では確認されず 文献その他の資料調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 植物の豊富な湿地を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所で分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 66) レッドデータブックやまぐち山口県の絶滅のおそれのある野生生物 ( 山口県 平成 14 年 ) 67) 日本のトンボ ( 尾園暁 川島逸郎 二橋亮著 文一総合出版 2012 年 ) 68) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-81

e-2 アオヤンマ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 北九州市提供 ) 69) 70) 71) 72) 生態 分布本種は ため池 河川の淀み ヨシ マコモ等背丈の高い抽水植物が茂った湿地に生息し 未熟個体は付近の草地で見られる 羽化はヨシの茎等に止まって行われ 幼虫は水中に沈んだヨシ等の沈積物間に潜んでいることが多い 日本では 北海道から九州北部に分布する 福岡県での成虫は 4 月下旬から 7 月中旬に現れ 県内では海岸沿いの池や沼に産地が点在しており 内陸部ではほとんど確認されていない 響灘ビオトープでは ふつうにみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 3 箇所 文献その他の資料調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺であった 本種は ヨシ等の植物が茂った湿地を利用するとされている 本調査においても ヨシ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 69) 福岡県の希少野生生物- 福岡県レッドデータブック 2001- ( 福岡県 平成 13 年 ) 70) 土佐のトンボ ( 浜田康 高知新聞社 平成 3 年 ) 71) 日本のトンボ ( 尾園暁 川島逸郎 二橋亮著 文一総合出版 2012 年 ) 72) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-82

e-3 ベッコウトンボ 重要性種の保存法 : 国内環境省 RDL: 絶滅危惧 ⅠA 類 (CR) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 ⅠA 類 (CR) ( 北九州市提供 ) 73) 74) 75) 76) 生態 分布本種は 平地のヨシやヒメガマ等の抽水植物が茂った池や沼に生息し 福岡県での成虫は 4 月上旬から 6 月中旬に現れる 本種は未熟期間をチガヤ草地等で過ごすため 本種の生息には周囲に草原があることが必要である 幼虫は水中の沈水植物の根際や泥 落葉の間に潜んでいる 日本では 本州から九州まで分布する 福岡県では 産地が局限され 現在も確実に知られているのは福岡市 苅田市 北九州市のみである 響灘ビオトープでは とても多くみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲 文献その他の資料調査範囲のそれぞれに分布し 特に文献その他の資料調査範囲の東側でまとまった分布が確認された 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は ヨシやヒメガマ等の抽水植物が茂った池や沼を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 73) 福岡県の希少野生生物- 福岡県レッドデータブック 2001- ( 福岡県 平成 13 年 ) 74) 土佐のトンボ ( 浜田康 高知新聞社 平成 3 年 ) 75) 日本のトンボ ( 尾園暁 川島逸郎 二橋亮著 文一総合出版 2012 年 ) 76) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-83

e-4 コオイムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB: 準絶滅危惧 (NT) ( 北九州市提供 ) 77) 78) 79) 生態 分布本種は 水生植物が豊富な池沼や用水路 ため池 河川 水田等に生息し 成虫は水辺まで数 mの枯れ葉の下等で越冬する 繁殖期は早く 3 月中旬には卵を背負った雄をみかけ 卵がふ化するまで過ごす 小型の昆虫類やオタマジャクシ モノアラガイ等を捕食する 日本では 北海道から九州まで分布する 北九州市内でも数十年間記録がなかったが 近年増加しているようで各所で見られる 響灘ビオトープでは とても多くみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲 文献その他の資料調査範囲のそれぞれに分布し 特に文献その他の資料調査範囲でまとまった分布が確認された 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は ヨシ等の水生植物が豊富な池沼 水田等を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 77) 福岡県の希少野生生物 - 福岡県レッドデータブック 2001- ( 福岡県 平成 13 年 ) 78) レッドデータブックやまぐち山口県の絶滅のおそれのある野生生物 ( 山口県 平成 14 年 ) 79) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-84

e-5 オモナガコミズムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL:- 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 写真なし ) 80) 81) 82) 生態 分布本種は 植物が豊富なため池に生息する 平野部の浅い泥底の止水域に生息するが 好適生息環境については不明な点が多い 泥底表面の微小な藻類を食べると考えられている 日本では 本州から九州まで分布する 福岡県では少ないようであるが 北九州市若松区ではよくみかける 響灘ビオトープではふつうにみられ 主に池に生息している 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲では確認されず 文献その他の資料調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 植物が豊富なため池を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 80) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 81) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 82) 福岡県レッドデータブック 2014 福岡県の希少野生生物 - 爬虫類 両生類 魚類 昆虫類 貝類 甲殻類その他 クモ形類等 - ( 福岡県 平成 26 年 ) 6.9-85

e-6 ハマベゴミムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB:- ( 北九州市提供 ) 83) 84) 85) 生態 分布本種は 汽水域の湿地 潮間帯の芦原に生息し 水路の周りの粘土質の裸地を走り回り 小昆虫等を捕食していると考えられる 初夏に潮間帯に打ち上げられた藻類の下等で発見される他 灯火に飛来する 日本では 本州と四国に分布し 山口県が分布南西限地とされている 本種と同じ海浜性ゴミムシの稀種であるドウイロハマベゴミムシは 局地的に産するとされ 福岡県では糸島で確認されている 福岡県や響灘ビオトープでの本種の分布は不明である 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺であった 本種は 海浜性のゴミムシで 汽水域の湿地や潮間帯のヨシ原を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所で分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 83) レッドデータブックやまぐち山口県の絶滅のおそれのある野生生物 ( 山口県 平成 14 年 ) 84) 岡山県版レッドデータブック 2009 絶滅のおそれのある野生生物 ( 岡山県 平成 22 年 ) 85) レッドデータブックあいち 2009 動物編 ( 愛知県 平成 21 年 ) 6.9-86

e-7 オオサカアオゴミムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 情報不足 (DD) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 北九州市提供 ) 86) 生態 分布本種は 水辺の湿地に生息し 成虫も幼虫もともに肉食性であり 昆虫類 ミミズ等を採餌する 越冬は成虫態で ほどほどの湿度を保った砂壌質の土中に潜って行う 日本では 本州 四国 九州に分布する 福岡県での分布は不明であるが 関東地方以外ではいずれの地域でも激減しているようである 生息地は局地的で しかも 生息適地の湿地が減少傾向にあり 絶滅地が増えている 響灘ビオトープでの分布も不明である 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 2 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ群落に隣接する造成地であった 本種は 昆虫類やミミズ等の餌生物が豊富な水辺の湿地を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所の周辺で分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 86) 岡山県版レッドデータブック 2009 絶滅のおそれのある野生生物 ( 岡山県 平成 22 年 ) 6.9-87

e-8 マダラコガシラミズムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 北九州市提供 ) 87) 生態 分布本種は ため池や水田 水たまりに生息する 浅い湿地環境を好むようだが 恒常的な生息場所は不明である 日本では 北海道から九州まで分布する 福岡県では極めて少なく 響灘ビオトープでもとても少ないが 周囲の水たまりでは複数個体が得られたことがある 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲では確認されず 文献その他の資料調査範囲の 9 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 浅い湿地環境を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 87) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-88

e-9 シマケシゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL:- 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 写真なし ) 88) 89) 生態 分布本種は 植物が豊富なため池に生息し 春から秋にかけて水中で過ごす 日本では 北海道から九州まで分布する 福岡県では極めて少ないが 北九州市若松区が確実な生息地と思われる 響灘ビオトープでは とても多くみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 1 箇所 文献その他の資料調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 植物が豊富なため沼を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 88) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 89) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-89

e-10 オオマルケシゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 北九州市提供 ) 90) 91) 生態 分布本種は 池沼 休耕田 湿地 ため池等の止水域で 水草等の多い浅い所に生息している 冬季も水中で採集されることから 水中越冬すると考えられる 日本では 本州中部から南西諸島まで分布する 福岡県では 1994 年の初記録以来 記録に途絶えていたが 北九州市若松区に多産する池があることが分かっている 響灘ビオトープでは ふつうにみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲では確認されず 文献その他の資料調査範囲の 3 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺やその周辺であった 本種は 水草が多い湿地を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所やその周辺で分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 90) 福岡県の希少野生生物 - 福岡県レッドデータブック 2001- ( 福岡県 平成 13 年 ) 91) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-90

e-11 ケシゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB: 準絶滅危惧 (NT) ( 北九州市提供 ) 92) 生態 分布本種は 池や水路に生息し 夏には多くいるものの 冬には突如姿を消してしまうので どんな場所で越冬するのかまだ把握できていない 日本では 北海道から南西諸島まで分布する 近年 全国的に減少傾向にあり 福岡県でもそれほど多くはない 響灘ビオトープではとても多くみられ 特に植物の豊富な浅い場所に多い 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 8 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺であった 本種は 植物の豊富な浅い水域を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 92) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-91

e-12 ナガマルチビゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL:- 福岡県 RDB: 絶滅危惧 ⅠB 類 (EN) ( 写真なし ) 93) 94) 生態 分布本種は 植物が豊富なため池に生息する 日本では 岡山県 福岡県 熊本県 宮崎県 鹿児島県に分布する 福岡県では極めて少ない 響灘ビオトープでの本種の分布は不明である 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 植物が豊富なため沼を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所で分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 93) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 94) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-92

e-13 ホソマルチビゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 情報不足 (DD) 福岡県 RDB: 準絶滅危惧 (NT) ( 北九州市提供 ) 95) 96) 生態 分布本種は 水生植物が豊富なため池等の岸際で 水深が浅く 植物があまりない部分に生息する 普段どのような生活をしているのかについては 不明な点が多い 日本では 静岡県 京都府 福岡県 熊本県に分布する 福岡県ではあまり多くないが マルチビゲンゴロウ属 3 種 ( 本種の他 マルチビゲンゴロウ ナガマルチビゲンゴロウ ) のうち最もみかける種類で 記録が少ない全国の状況とは対照的である 響灘ビオトープでは ふつうにみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲では確認されず 文献その他の資料調査範囲の 2 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 植物が豊富なため沼の岸際を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 95) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 96) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-93

e-14 キベリクロヒメゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 準絶滅危惧 (NT) 福岡県 RDB: 準絶滅危惧 (NT) ( 北九州市提供 ) 97) 生態 分布本種は ため池や 植生の豊富なある程度自然度の高い池に生息している 冬季は水中から姿を消すが どこで越冬しているか まだ把握できていない 日本では 北海道からトカラ列島まで分布する 福岡県では志摩町 北九州市 上毛町等沿岸部の池に分布する 響灘ビオトープでは とても多くみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 7 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺であった 本種は 植物の豊富な自然度の高い池を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 97) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-94

e-15 コガタノゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 北九州市提供 ) 98) 99) 100) 生態 分布本種は ため池や河川 水草の多い池沼 水田 休耕田や湿地に生息する 成虫で越冬し 産卵は水草の茎に穴を開けて行う 日本では 本州から南西諸島まで分布する 福岡県では福岡地方の田園地帯にある程度の生息地がまとまって残っていることが確認されているが 市街地化や開発により本種の将来は危惧される 響灘ビオトープでは ふつうにみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 2 箇所 文献その他の資料調査範囲の 7 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺やその周辺であった 本種は 湿地を利用し 産卵には水草が必要とされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 98) 福岡県の希少野生生物- 福岡県レッドデータブック 2001- ( 福岡県 平成 13 年 ) 99) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 100) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 6.9-95

e-16 ウスイロシマゲンゴロウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL:- 福岡県 RDB: 準絶滅危惧 (NT) ( 写真なし ) 101) 102) 生態 分布本種は 海岸に近いため池や湿地の水深が浅く植物が豊富な岸際に生息する 日本では 関東地方以西から南西諸島まで分布する 福岡県では 沿岸部を中心に生息地が点在しており あまり多くない 響灘ビオトープでは ふつうにみられ 本種が好む環境が豊富にあるようである 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 1 箇所 文献その他の資料調査範囲の 2 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は 海岸に近く植物が豊富なため沼や湿地を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 101) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 102) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 6.9-96

e-17 チビマルガムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL:- 福岡県 RDB: 情報不足 (DD) ( 写真なし ) 103) 104) 生態 分布本種は 水生植物の豊富な比較的水質の良いため池に生息し 水際の泥の中で越冬する 日本では 本州から南西諸島まで分布する 福岡県では 北九州市若松区で分布が確認されている 響灘ビオトープでは とても多くみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 1 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシ ヒメガマの抽水植物が生育する水辺であった 本種は ため沼を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所で分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 103) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 104) 福岡県レッドデータブック 2014 福岡県の希少野生生物 - 爬虫類 両生類 魚類 昆虫類 貝類 甲殻類その他 クモ形類等 - ( 福岡県 平成 26 年 ) 6.9-97

e-18 コガムシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 情報不足 (DD) 福岡県 RDB: 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) ( 北九州市提供 ) 105) 106) 生態 分布本種は 植物の豊富なため池や水田 水たまり等に生息し 水深が浅い湿地的な場所を好む 農薬使用の抑えられた水田や自然度が高く浅瀬が多いため池等で多く見られる 卵のうを水面近くの水草に産み付けて繁殖する 日本では 北海道から九州まで分布し 福岡県内では少ない 響灘ビオトープでは とても多くみられる 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 16 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺であった 本種は 植物の豊富な湿地を利用するとされている 本調査においても ヨシやヒメガマ等の水辺に生育する植物が優占する場所を中心に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境はヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺と推定される 105) 響灘ビオトープの水辺の生き物 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2013 年 ) 106) 福岡県の水生昆虫図鑑 ( 井上大輔ほか編 福岡県立北九州高等学校魚部 2009 年 ) 6.9-98

e-19 ジュウサンホシテントウ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL:- 福岡県 RDB(2001): 絶滅危惧 Ⅱ 類 (VU) 福岡県 RDB(2014):- ( 北九州市提供 ) 107) 生態 分布本種は 海岸 河口 湖や池の岸等 ヨシ群落に局地的に生息し 成虫は 5 月頃から現れ 河口付近のヨシ群落等で採集されることが多い モモコフキアブラムシやイネマダラヨコバイを捕食する 日本では 北海道から九州まで分布する 福岡県では久留米市 行橋市 北九州市若松区有毛 福岡市能古島 同東区多の津からだけ記録されている 響灘ビオトープでの分布は不明である 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲では確認されず 文献その他の資料調査範囲の 4 箇所に分布していた 確認地点の環境は ヨシが生育する水辺であった 本種は ヨシ群落を利用するとされている 本調査においても ヨシが優占する場所に分布が確認された このように 調査範囲における本種の主な生息環境は ヨシ群落が成立する水辺と推定される 107) 福岡県の希少野生生物 - 福岡県レッドデータブック 2001- ( 福岡県 平成 13 年 ) 6.9-99

e-20 オオツノハネカクシ 重要性種の保存法 :- 環境省 RDL: 情報不足 (DD) 福岡県 RDB:- ( 北九州市提供 ) 108) 109) 生態 分布本種は かつては塩田に生息し 塩田の粘土層に多数の穴を空ける害虫として知られていたが 塩田による製塩が衰退し ほとんどの産地で姿を消した 塩田が衰退した現在では干拓地の堰堤や海岸から離れた内陸部でも 粘土質の土壌を利用して生息範囲を広げている 地表ではその姿はほとんど見られないが 灯火には多数が飛来する 昼間は粘土層に掘った穴の中に隠れていると考えられる 日本では 本州 四国 九州に分布し 福岡県内や響灘ビオトープでの分布は不明である 生息の状況及び生息環境の状況本種は 現地調査範囲の 4 箇所に分布していた 確認地点の環境は造成地であった 本種は 干拓地等塩水を含む粘土質の土壌を利用するとされ 塩田が衰退した現在は埋立地や海岸から離れた内陸でもみられるようになっている 調査範囲は 第 3 章対象事業が実施されるべき区域及びその周囲の概況 にあるように 海底土砂による埋立地であるため 本種の生息に適しており 造成地を中心に確認されたものと考えられる このように 調査範囲における本種の主な生息環境は 海底土砂により埋立てられた造成地であると推定される 108) レッドデータブックやまぐち山口県の絶滅のおそれのある野生生物 ( 山口県 平成 14 年 ) 109) 岡山県版レッドデータブック 2009 絶滅のおそれのある野生生物 ( 岡山県 平成 22 年 ) 6.9-100

6.9.2 予測の結果 (1) 予測の手法工事の実施時は 造成等による一時的な影響により 水の濁りが発生し 海域に関わる重要な種に影響を及ぼすおそれがあるため これらに対する影響を予測した 土地又は工作物の供用時は 施設の稼働に伴い発生する排水及び温排水により 放流口前面の海域に関わる重要な種に影響を及ぼすおそれがあるため これらに対する影響を予測した 底質については 6.6 水質 で底質に巻き上げ等の変化をもたらす程の流況の変化がないことが予測されているため 予測の対象としなかった また 施設の存在に伴う土地の改変が 陸域に関わる重要な種に影響を及ぼすおそれがあるため これらに対する影響を予測した なお 予測は各予測対象種の生態及び生息環境を考慮して類型化したグループごとに行った 1) 予測の基本的な手法 1 工事の実施による影響造成等の施工による一時的な影響の予測は 事業計画と重要な種の分布 生息環境の状況を踏まえ 6.6 水質 で求めた海域の水質 (SS) の変化をもとに 生息環境の改変の程度から環境影響を把握した 予測対象とする種は 表 6.9-16 に示す種のうち 砂質や砂泥質に生息する種 としてヤカドツノガイ サクラガイ ウズザクラガイ バラフマテガイ 魚類を餌とする種 としてカンムリカイツブリ ヒメウ クロサギ ミサゴ コアジサシの計 9 種とした 2 土地又は工作物の存在及び供用施設の稼働に伴い発生する排水及び温排水の影響の予測は 事業計画と重要な種の分布 生息環境の状況を踏まえ 6.6 水質 で求めた海域の水質 (COD T- N T-P) 水温の変化をもとに 生息環境の改変の程度から環境影響を把握した 予測対象とする種は 表 6.9-16 に示す種のうち 砂質や砂泥質に生息する種 としてヤカドツノガイ サクラガイ ウズザクラガイ バラフマテガイ 魚類を餌とする種 としてカンムリカイツブリ ヒメウ クロサギ ミサゴ コアジサシの計 9 種とした 施設の存在による影響の予測は事業計画と重要な種の分布 生息環境の状況を踏まえ 重要な種の生息環境の改変の程度から 環境影響を把握した 予測対象 6.9-101

とする種は 表 6.9-16 に示す種のうち 湿地に生息する種 としてトノサマガエル チュウサギ ヒクイナ タゲリ タカブシギ オオジシギ セイタカシギ ベニイトトンボ アオヤンマ ベッコウトンボ コオイムシ オモナガコミズムシ ハマベゴミムシ オオサカアオゴミムシ マダラコガシラミズムシ シマケシゲンゴロウ オオマルケシゲンゴロウ ケシゲンゴロウ ナガマルチビゲンゴロウ ホソマルチビゲンゴロウ キベリクロヒメゲンゴロウ コガタノゲンゴロウ ウスイロシマゲンゴロウ チビマルガムシ コガムシ ヨシ群落に生息する種 としてツリスガラ ジュウサンホシテントウ ヨシ群落 チガヤ群落等の草地に生息する種 としてハイイロチュウヒ ヨシ群落 チガヤ群落 造成地等の広い範囲に生息する種 としてハイタカ ハヤブサ 造成地に生息する種 として シロチドリ オオツノハネカクシの計 32 種とした なお 陸域の一部を周年または一時的に利用するズグロカモメ 渡りで上空を通過するオシドリ ハチクマ サシバ ホウロクシギについては予測地域に生息環境がなく 事業による影響が想定されないことから 予測の対象としなかった また 6.10 生態系 の生態系注目種であるカヤネズミ チュウヒ オオヨシキリについては 6.10 生態系 で予測を行った 6.9-102

表 6.9-16(1) 予測対象とする動物の重要な種 影響要因 工事の実施 土地又は工作物の存在及び供用 予測対象種 砂質や砂泥質に生息する種 魚類を餌とする種 湿地に生息する種 ヨシ群落に生息する種 底生生物 鳥類 造成等の施工による一時的な影響 施設の存在 施設の稼働 排水温排水 ヤカドツノガイ - サクラガイ - ウズザクラガイ - バラフマテガイ - カンムリカイツブリ - ヒメウ - クロサギ - ミサゴ - コアジサシ - 両生類トノサマガエル - - - 鳥類 昆虫類 チュウサギ - - - ヒクイナ - - - タゲリ - - - タカブシギ - - - オオジシギ - - - セイタカシギ - - - ベニイトトンボ - - - アオヤンマ - - - ベッコウトンボ - - - コオイムシ - - - オモナガコミズムシ - - - ハマベゴミムシ - - - オオサカアオゴミムシ - - - マダラコガシラミズムシ - - - シマケシゲンゴロウ - - - オオマルケシゲンゴロウ - - - ケシゲンゴロウ - - - ナガマルチビゲンゴロウ - - - ホソマルチビゲンゴロウ - - - キベリクロヒメゲンゴロウ - - - コガタノゲンゴロウ - - - ウスイロシマゲンゴロウ - - - チビマルガムシ - - - コガムシ - - - 鳥類ツリスガラ - - - 昆虫類ジュウサンホシテントウ - - - 6.9-103

表 6.9-16(2) 予測対象とする動物の重要な種 予測対象種 ヨシ群落 チガヤ群落等の草地に生息する種 ヨシ群落 チガヤ群落 造成地等の広い範囲に生息する種 造成地に生息する種 影響要因 工事の実施 造成等の施工による一時的な影響 土地又は工作物の存在及び供用 施設の存在 施設の稼働 排水温排水 鳥類ハイイロチュウヒ - - - 鳥類 ハイタカ - - - ハヤブサ - - - 鳥類シロチドリ - - - 昆虫類オオツノハネカクシ - - - 6.9-104

2) 予測地域 予測地点 予測地域は 調査地域と同様とした ( 図 6.9-1~ 図 6.9-2) 3) 予測対象時期等予測対象時期は 重要な種に係る環境影響を把握できる時期とした 造成等による一時的な影響については 造成等による工事期間中において 水の濁りに係る環境影響が最大となる時期とした 施設の稼働による排水 温排水の影響については 操業の状態が定常となる時期とした 施設の存在による土地の改変の影響については 施設完成時とした 4) 予測条件造成等による一時的な影響については 6.6 水質 における工事の実施時の予測結果を用いた 施設の稼働時の排水及び温排水の影響については 6.6 水質 における環境保全措置を実施した場合の予測結果を用いた 施設の存在に伴う土地の改変の影響については 事業実施区域の草地及び湿地等の全て (16.8ha) が改変されるものとした 6.9-105

(2) 予測結果 1) 砂質や砂泥質に生息する種 ( 底生生物 : ヤカドツノガイ サクラガイ ウズザクラガイ バラフマテガイ ) 1 工事の実施による影響工事の実施に伴い 海域の水の濁り (SS) が変化すると これらの種の生息環境に変化が生じると考えられる 水質の予測結果によると 造成工事等に伴う排水は 貯水槽に一旦貯め 必要に応じて濁水処理 ( 砂ろ過等 ) をしたのち 事業実施区域の南側の排水口から共通排水溝に流し込むことにしており 事業実施区域及びその周辺海域の水質に及ぼす影響は小さいものと予測されている 以上より 工事の実施によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 2 土地又は工作物の存在及び供用施設の稼働に伴い 排水 温排水が海域へと流入することにより 海域の水質 (COD T-N T-P) や水温が変化すると これらの種の生息環境に変化が生じると考えられる 水質の予測結果によると 放流口に最も近い一般測定点 (H4) で COD は現況 将来ともに 1.6mg/L T-N は現況 将来ともに 0.29mg/L T-P は現況が 0.019mg/L に対して将来は 0.020mg/L と 将来と現況の差濃度はごく小さい また 水温の予測結果によると 施設の稼動に伴い生じる水温差は 最大で 0.02 とごく小さい このように 排水 温排水による生息環境の変化はほとんど生じず これらの種への影響は小さいと考えられる 以上より 施設の稼働によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 6.9-106

備考 )COD の変化の範囲をみるため COD の値が検出できる値よりも低い差濃度でも図示している 図 6.9-31 COD の差濃度 ( 第 1 層 ) 図 6.9-32 T-N の差濃度 ( 第 1 層 ) 6.9-107

図 6.9-33 T-P の差濃度 ( 第 1 層 ) 図 6.9-34 温排水の拡散予測結果 6.9-108

2) 魚類を餌とする種 ( 鳥類 : カンムリカイツブリ ヒメウ クロサギ ミサゴ コアジサシ ) 1 工事の実施による影響工事の実施に伴い 海域の水の濁り (SS) が変化すると 餌生物である魚類が周辺域へと分散する等して これら魚類を餌とする種の採餌環境に変化が生じると考えられる 水質の予測結果によると 造成工事等に伴う排水は 貯水槽に一旦貯め 必要に応じて濁水処理 ( 砂ろ過等 ) をしたのち 事業実施区域の南側の排水口から共通排水溝に流し込むことにしており 事業実施区域及びその周辺海域の水質に及ぼす影響は小さいものと予測されている 以上より 工事の実施によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 2 土地又は工作物の存在及び供用施設の稼働に伴い 排水 温排水が海域へと流入することにより 海域の水質 (COD T-N T-P) や水温が変化すると 餌生物である魚類が周辺域へと分散する等して これら魚類を餌とする種の採餌環境に変化が生じると考えられる 水質の予測結果によると 放流口に最も近い一般測定点 (H4) で COD は現況 将来ともに 1.6mg/L T-N は現況 将来ともに 0.29mg/L T-P は現況が 0.019mg/L に対して将来は 0.020mg/L と 将来と現況の差濃度はごく小さい また 水温の予測結果によると 施設の稼動に伴い生じる水温差は 最大で 0.02 とごく小さい このように 排水 温排水による魚類の生息状況の変化はほとんど生じず これら魚類を餌とする種の採餌環境への影響は小さいと考えられる 以上より 施設の稼働によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 6.9-109

3) 湿地に生息する種 ( 両生類: トノサマガエル 鳥類 : チュウサギ ヒクイナ タゲリ タカブシギ オオジシギ セイタカシギ 昆虫類: ベニイトトンボ アオヤンマ ベッコウトンボ コオイムシ オモナガコミズムシ ハマベゴミムシ オオサカアオゴミムシ マダラコガシラミズムシ シマケシゲンゴロウ オオマルケシゲンゴロウ ケシゲンゴロウ ナガマルチビゲンゴロウ ホソマルチビゲンゴロウ キベリクロヒメゲンゴロウ コガタノゲンゴロウ ウスイロシマゲンゴロウ チビマルガムシ コガムシ ) 1 土地又は工作物の存在及び供用これらの種が主な生息環境としているヨシ群落 ヒメガマ群落が成立する水辺は 施設の存在によって消失 改変され 生息環境が変化することが想定される ヨシ群落 ヒメガマ群落 開放水面と事業計画との重ね合わせ結果によると 予測地域全体に占めるヨシ群落 ヒメガマ群落 開放水面の消失 改変割合は 4.3% と小さい また 消失 改変区域の周辺には これらの種の生息環境であるヨシ群落 ヒメガマ群落 開放水面がまとまりをもって残存する さらに これらの種の主な生息場は 調査範囲で安定した湿地環境となっている響灘ビオトープであると考えられる 以上より 施設の存在によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 表 6.9-17 生息環境 ( ヨシ群落 ヒメガマ群落等 ) の 生息環境 消失 改変面積と割合 面積 (ha) 現況消失 改変 消失 改変割合 (%) ヨシ群落 30.48 1.50 4.9 ヒメガマ群落 1.19 0.00 0.0 開放水面 3.34 0.00 0.0 合計 35.01 1.50 4.3 備考 ) 消失 改変割合 (%) は 消失 改変の面積 / 現況で算出しており 小数第 2 位で四捨五入している 6.9-110

4) ヨシ群落に生息する種 ( 鳥類 : ツリスガラ 昆虫類 : ジュウサンホシテントウ ) 1 土地又は工作物の存在及び供用これらの種が主な生息環境としているヨシ群落が成立する水辺は 施設の存在によって消失 改変され 生息環境が変化することが想定される ヨシ群落と事業計画との重ね合わせ結果によると 予測地域全体に占めるヨシ群落の消失 改変割合は 4.9% と小さい また 消失 改変区域の周辺には これらの種の生息環境であるヨシ群落がまとまりをもって残存する さらに これらの種の主な生息場は 調査範囲で安定した湿地環境となっている響灘ビオトープであると考えられる 以上より 施設の存在によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の利用は維持されると考えられる 表 6.9-18 生息環境 ( ヨシ群落 ) の消失 改変面積と割合 生息環境 面積 (ha) 現況消失 改変 消失 改変割合 (%) ヨシ群落 30.48 1.50 4.9 備考 ) 消失 改変割合 (%) は 消失 改変の面積 / 現況で算出しており 小数第 2 位で四捨五入している 6.9-111

5) ヨシ群落 チガヤ群落等の草地に生息する種 ( 鳥類 : ハイイロチュウヒ ) 1 土地又は工作物の存在及び供用本種が主な生息環境としているヨシ群落が成立する水辺や チガヤ群落等が成立する草原は 施設の存在によって消失 改変され 生息環境が変化することが想定される ヨシ群落 チガヤ群落等の草地と事業計画との重ね合わせ結果によると 予測地域全体に占める草地の群落の消失 改変割合は 9.4% と小さい また 消失 改変区域の周辺には 本種の生息環境であるヨシ群落 チガヤ群落等の草地がまとまりをもって残存する さらに これらの種の主な生息場は 調査範囲で安定した湿地環境となっている響灘ビオトープであると考えられる 以上より 施設の存在による本種の生息環境の変化は小さく 本種の利用は維持されると考えられる 表 6.9-19 生息環境 ( ヨシ群落 チガヤ群落等の草地 ) の 消失 改変面積と割合 生息環境 現況 面積 (ha) 消失 改変 消失 改変割合 (%) ヨシ群落 30.48 1.50 4.9 ヒメガマ群落 1.19 0.00 0.0 キシュウスズメノヒエ群落 0.13 0.07 53.8 イソヤマテンツキ群落 1.14 0.06 5.3 クズ群落 1.02 0.00 0.0 ススキ群落 0.02 0.02 100.0 チガヤ群落 78.44 6.10 7.8 セイタカアワダチソウ群落 5.62 0.00 0.0 アレチハナガサ群落 4.70 0.50 10.6 タチスズメノヒエ群落 1.96 0.00 0.0 ギョウギシバ群落 5.48 3.60 65.7 オオクサキビ群落 6.32 1.10 17.4 ヒメムカシヨモギ群落 0.66 0.00 0.0 合計 137.16 12.95 9.4 備考 ) 消失 改変割合 (%) は 消失 改変の面積 / 現況で算出しており 小数第 2 位で四捨五入している 6.9-112

6) ヨシ群落 チガヤ群落 造成地等の広い範囲に生息する種 ( 鳥類 : ハイタカ ハヤブサ ) 1 土地又は工作物の存在及び供用これらの種が主な生息環境としている崖のある海岸や農耕地は 予測地域内にはなく 生息環境が変化することは想定されない しかし 餌となる渡り鳥等の生息環境である草地 湿地 造成地等の予測地域全体に広がる環境は 施設の存在によって消失 改変され 生息環境が変化することが想定される これらの種の餌生物の生息環境と事業計画との重ね合わせ結果によると 予測地域全体に占める消失 改変割合は 7.1% と小さい また 消失 改変区域の周辺には これらの種の餌生物の生息環境がまとまりをもって残存する 以上より 施設の存在によるこれらの種の餌生物の生息環境の変化は小さく これらの種の利用は維持されると考えられる 表 6.9-20 餌生物の生息環境の消失 改変面積と割合 面積 (ha) 調査地域全体 事業実施区域内 ( 予測地域 ) ( 消失 改変区域 ) 消失 改変割合 (%) 235.95 16.8 7.1 備考 ) 消失 改変割合 (%) は 消失 改変の面積 / 現況で算出しており 小数第 2 位で四捨五入している 6.9-113

7) 造成地に生息する種 ( 鳥類 : シロチドリ 昆虫類 : オオツノハネカクシ ) 1 土地又は工作物の存在及び供用これらの種が主な生息環境としている造成地は 施設の存在によって消失 改変され 生息環境が変化することが想定される 造成地と事業計画との重ね合わせ結果によると 予測地域全体に占める造成地の消失 改変割合は 7.3% と小さい また 消失 改変区域の周辺には これらの種の生息環境である造成地がまとまりをもって残存する 以上より 施設の存在によるこれらの種の生息環境の変化は小さく これらの種の利用は維持されると考えられる 表 6.9-21 生息環境 ( 造成地 ) の消失 改変面積と割合 生息環境 面積 (ha) 現況消失 改変 消失 改変割合 (%) 造成地 53.06 3.85 7.3 備考 ) 消失 改変割合 (%) は 消失 改変の面積 / 現況で算出しており 小数第 2 位で四捨五入している 6.9-114

6.9.3 環境保全措置の検討工事の実施については 造成等による一時的な水の濁りについて予測を行った 予測の結果 動物の重要な種の生息環境に与える影響は極めて小さく これらの種の生息は維持されると判断されたことから 環境保全措置の検討は行わない 土地又は工作物の存在及び供用については 施設の稼働による排水 温排水による影響 施設の存在による土地の改変について予測を行った 予測の結果 動物の重要な種の生息環境に与える影響は極めて小さく これらの種の生息は維持されると判断されたことから 予測結果を踏まえた環境保全措置の検討は行わない ( 表 6.9-22) 砂質や砂泥質に生息する種 予測対象種 表 6.9-22(1) 予測結果の概要及び環境保全措置 ヤカドツノガイサクラガイウズザクラガイバラフマテガイ 工事の実施 土地又は工作物の存在及び供用 予測結果の概要 造成時に発生する濁水によるヤカドツノガイ サクラガイ ウズザクラガイ バラフマテガイの生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 施設の稼働によるヤカドツノガイ サクラガイ ウズザクラガイ バラフマテガイの生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 環境保全措置の検討 - 魚類を餌とする種 カンムリカイツブリヒメウクロサギミサゴコアジサシ 工事の実施 土地又は工作物の存在及び供用 造成時に発生する濁水によるカンムリカイツブリ ヒメウ クロサギ ミサゴ コアジサシの生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる 施設の稼働によるカンムリカイツブリ ヒメウ クロサギ ミサゴ コアジサシの生息環境の変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる - 6.9-115

6.9-116 表 6.9-22(2) 予測結果の概要及び環境保全措置予測対象種予測結果の概要環境保全措置の検討湿地に生息する種トノサマガエルチュウサギヒクイナタゲリタカブシギオオジシギセイタカシギベニイトトンボアオヤンマベッコウトンボコオイムシオモナガコミズムシハマベゴミムシオオサカアオゴミムシマダラコガシラミズムシシマケシゲンゴロウオオマルケシゲンゴロウケシゲンゴロウナガマルチビゲンゴロウホソマルチビゲンゴロウキベリクロヒメゲンゴロウコガタノゲンゴロウウスイロシマゲンゴロウチビマルガムシコガムシ土地又は工作物の存在及び供用施設の存在がトノサマガエル チュウサギ ヒクイナ タゲリ タカブシギ オオジシギ セイタカシギ ベニイトトンボ アオヤンマ ベッコウトンボ コオイムシ オモナガコミズムシ ハマベゴミムシ オオサカアオゴミムシ マダラコガシラミズムシ シマケシゲンゴロウ オオマルケシゲンゴロウ ケシゲンゴロウ ナガマルチビゲンゴロウ ホソマルチビゲンゴロウ キベリクロヒメゲンゴロウ コガタノゲンゴロウ ウスイロシマゲンゴロウ チビマルガムシ コガムシの生息環境に与える変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる - ヨシ群落に生息する種ツリスガラジュウサンホシテントウ土地又は工作物の存在及び供用施設の存在によるツリスガラ ジュウサンホシテントウの生息環境に与える変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる - ヨシ群落 チガヤ群落等の草地に生息する種ハイイロチュウヒ土地又は工作物の存在及び供用施設の存在がハイイロチュウヒの生息環境に与える変化は小さく 本種の生息は維持されると考えられる - ヨシ群落 チガヤ群落 造成地等の広い範囲に生息する種ハイタカハヤブサ土地又は工作物の存在及び供用施設の存在がハイタカ ハヤブサの生息環境に与える変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる - 造成地に生息する種シロチドリオオツノハネカクシ土地又は工作物の存在及び供用施設の存在がシロチドリ オオツノハネカクシの生息環境に与える変化は小さく これらの種の生息は維持されると考えられる -

6.9.4 評価の結果動物の重要な種の予測結果では 工事の実施 施設の存在及び供用に伴う影響は極めて小さく 重要な種の保全の観点においても生息環境の改変量を極力抑えている計画であることが示唆された したがって 環境への影響は事業者の実行可能な範囲内で できる限り回避または低減が図られているものと評価する 6.9-117

( 余白 ) 6.9-118