しかし 活用を図る学習過程や活用する児童の姿 学び方を習得させる指導法等の共通理解が十分ではなく 児童の個人差を考慮しつつ一人一人の考えを生かす授業づくりを確立するまでには至らなかった そのため 既習事項を活用して説明する思考力や表現力及び基礎 基本の定着に個人差が生まれてしまった そこで本年度は

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Taro-小学校第5学年国語科「ゆる

「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて

平成 29 年度 全国学力 学習状況調査結果と対策 1 全国学力調査の結果 ( 校種 検査項目ごとの平均正答率の比較から ) (1) 小学校の結果 会津若松市 国語 A は 全国平均を上回る 国語 B はやや上回る 算数は A B ともに全国平均を上回る 昨年度の国語 A はほぼ同じ 他科目はやや下

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2、協同的探究学習について

ICTを軸にした小中連携

平成29年度 小学校教育課程講習会 総合的な学習の時間

H30全国HP


平成23年度全国学力・学習状況調査問題を活用した結果の分析   資料

<4D F736F F D AAE90AC94C5817A E7793B188C481698D5D E7397A791E58A A778D5A814094F68FE3816A2E646F63>

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2 各教科の領域別結果および状況 小学校 国語 A 書くこと 伝統的言語文化と国語の特質に関する事項 の2 領域は おおむね満足できると考えられる 話すこと 聞くこと 読むこと の2 領域は 一部課題がある 国語 B 書くこと 読むこと の領域は 一定身についているがさらに伸ばしたい 短答式はおおむ

1

国語 A では, 領域別, 観点別, 問題形式別に見て, どの区分においても全国平均を上回り, 高い正答率でした しかし, 設問別でみると全国および新潟県平均正答率を下回った設問が, 15 問中 1 問, 新潟県の平均正答率を下回った設問は,15 問中 1 問ありました 設問の概要関屋小新潟県全国

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愛媛県学力向上5か年計画

3/3 研究推進委員会

平成 30 年 1 月平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果と改善の方向 青森市立大野小学校 1 調査実施日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) 2 実施児童数第 6 学年 92 人 3 平均正答率 (%) 調 査 教 科 本 校 本 県 全 国 全国との差 国語 A( 主として知識

7 本時の指導構想 (1) 本時のねらい本時は, 前時までの活動を受けて, 単元テーマ なぜ働くのだろう について, さらに考えを深めるための自己課題を設定させる () 論理の意識化を図る学習活動 に関わって 考えがいのある課題設定 学習課題を 職業調べの自己課題を設定する と設定する ( 学習課題

平成 28 年度全国学力 学習状況調査の結果伊達市教育委員会〇平成 28 年 4 月 19 日 ( 火 ) に実施した平成 28 年度全国学力 学習状況調査の北海道における参加状況は 下記のとおりである 北海道 伊達市 ( 星の丘小 中学校を除く ) 学校数 児童生徒数 学校数 児童生徒数 小学校

課題研究の進め方 これは,10 年経験者研修講座の各教科の課題研究の研修で使っている資料をまとめたものです 課題研究の進め方 と 課題研究報告書の書き方 について, 教科を限定せずに一般的に紹介してありますので, 校内研修などにご活用ください

学習指導要領の領域等の平均正答率をみると 各教科のすべての領域でほぼ同じ値か わずかに低い値を示しています 国語では A 問題のすべての領域で 全国の平均正答率をわずかながら低い値を示しています このことから 基礎知識をしっかりと定着させるための日常的な学習活動が必要です 家庭学習が形式的になってい

41 仲間との学び合い を通した クラス全員が学習に参加できる 授業づくり自分の考えを伝え 友達の考えを聞くことができる子どもの育成 42 ~ペア グループ学習を通して~ 体育における 主体的 対話的で深い学び を実現する授業づくり 43 ~ 子どもたちが意欲をもって取り組める場の設定の工夫 ~ 4

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第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県海草地方 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

国語科学習指導案様式(案)

(2) 国語 B 算数数学 B 知識 技能等を実生活の様々な場面に活用する力や 様々な課題解決のための構想を立て実践し 評価 改善する力などに関わる主として 活用 に関する問題です (3) 児童生徒質問紙児童生徒の生活習慣や意識等に関する調査です 3 平成 20 年度全国学力 学習状況調査の結果 (

ホームページ掲載資料 平成 30 年度 全国学力 学習状況調査結果 ( 上尾市立小 中学校概要 ) 平成 30 年 4 月 17 日実施 上尾市教育委員会

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

平成 年度言語活動の充実促進モデル校事業の研究より 豊かな表現力を培う 各教科等における言語活動の充実 伝え合う力 の育成

(6) 調査結果の取扱いに関する配慮事項調査結果については 調査の目的を達成するため 自らの教育及び教育施策の改善 各児童生徒の全般的な学習状況の改善等につなげることが重要であることに留意し 適切に取り扱うものとする 調査結果の公表に関しては 教育委員会や学校が 保護者や地域住民に対して説明責任を果

資料3 道徳科における「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習・指導改善について

瑞浪市調査結果概略(平成19年度全国学力・学習状況調査)

平成 年度佐賀県教育センタープロジェクト研究小 中学校校内研究の在り方研究委員会 2 研究の実際 (4) 校内研究の推進 充実のための方策の実施 実践 3 教科の枠を越えた協議を目指した授業研究会 C 中学校における実践 C 中学校は 昨年度までの付箋を用いた協議の場においては 意見を出

3 調査結果 1 平成 30 年度大分県学力定着状況調査 学年 小学校 5 年生 教科 国語 算数 理科 項目 知識 活用 知識 活用 知識 活用 大分県平均正答率 大分県偏差値

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彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

2 研究の歩みから 本校では平成 4 年度より道徳教育の研究を学校経営の基盤にすえ, 継続的に研究を進めてきた しかし, 児童を取り巻く社会状況の変化や, 規範意識の低下, 生命を尊重する心情を育てる必要 性などから, 自己の生き方を見つめ, 他者との関わりを深めながらたくましく生きる児童を育てる

Taro-H29結果概要(5月25日最終)

調査の概要 1 目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し その改善を図るとともに そのような取組を通じて 教育に関する継続的な検証改善サイクルを確立する また 学校における児童生徒への教育指導の充実や学習状況の

国語の授業で目的に応じて資料を読み, 自分の考えを 話したり, 書いたりしている

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2 生活習慣や学習環境等に関する質問紙調査 児童生徒に対する調査 学校意欲 学習方法 学習環境 生活の諸側面等に関する調査 学校に対する調査 指導方法に関する取組や人的 物的な教育条件の整備の状況等に関する調査 2

第4学年算数科学習指導案

児童の実態に応じた取り組みであり, 学ぶ意欲や思考力を高める上からも意義深い (4) これまでの研究の経過から本校は平成 23 年度から, 算数科を研究領域とした研究に取り組み, 子どもの主体的な学びと算数的活動を重視した学び合いを通して, わかる できる 喜びを味わう子どもの育成に取り組んできた

単元構造図の簡素化とその活用 ~ 九州体育 保健体育ネットワーク研究会 2016 ファイナル in 福岡 ~ 佐賀県伊万里市立伊万里中学校教頭福井宏和 1 はじめに伊万里市立伊万里中学校は, 平成 20 年度から平成 22 年度までの3 年間, 文部科学省 国立教育政策研究所 学力の把握に関する研究

○数学科 2年 連立方程式

解禁日時新聞平成 30 年 8 月 1 日朝刊テレビ ラジオ インターネット平成 30 年 7 月 31 日午後 5 時以降 報道資料 年月日 平成 30 年 7 月 31 日 ( 火 ) 担当課 学校教育課 担当者 義務教育係 垣内 宏志 富倉 勇 TEL 直通 内線 5

授業の構成要素 学び合う授業で育つ 3 つの力 資料 2 基礎 基本の力知識 理解 技能 問題解決力思考力 判断力 表現力 想像力 学ぼうとする力学習意欲 自己有用感 身に付けた知識 技能を活用したり その成果を踏まえた探究活動を行う中で学び合う授業を展開する 教師の役割 < 問題提示の工夫 > 多

1 単元名 分数 ( 全 10 時間 ) 教材名 分数をくわしく調べよう ( 東京書籍 4 年下 ) 第 4 学年算数科学習指導案平成 26 年 11 月 26 日 ( 水 ) 5 校時 4 年 1 組 ( 男子 13 名 女子 10 名計 23 名 ) 指導者上田稚子 ( 学習指導要領 ) A 数

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

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の間で動いています 今年度は特に中学校の数学 A 区分 ( 知識 に関する問題 ) の平均正答率が全 国の平均正答率より 2.4 ポイント上回り 高い正答率となっています <H9 年度からの平均正答率の経年変化を表すグラフ > * 平成 22 年度は抽出調査のためデータがありません 平

第 3 学年 2 組算数科学習指導案 1 単元名たし算とひき算の筆算 指導者永田佳江 2 単元について (1) 単元観 該当する学習指導要領の内容 A 数と計算 A(2) 加法, 減法 (2) 加法及び減法の計算が確実にできるようにし, それらを適切に用いる能力を伸ばす 本単元で扱う たし算とひき算

今年度の校内研究について.HP

< F2D318BB388E789DB92F682CC8AC7979D F >

①H28公表資料p.1~2

(Microsoft Word - \207U\202P.doc)

3. ➀ 1 1 ➁ 2 ➀ ➁ /

(2) 国語科 国語 A 国語 A においては 平均正答率が平均を上回っている 国語 A の正答数の分布では 平均に比べ 中位層が薄く 上位層 下位層が厚い傾向が見られる 漢字を読む 漢字を書く 設問において 平均正答率が平均を下回っている 国語 B 国語 B においては 平均正答率が平均を上回って

平成 29 年度全国学力 学習状況調査の結果の概要 ( 和歌山県和歌山市 ) 1 調査の概要 (1) 調査日平成 29 年 4 月 18 日 ( 火 ) (2) 調査の目的義務教育の機会均等とその水準の維持向上の観点から 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握 分析し 教育施策の成果と課題を検証し

H27 国語

Ⅰ 評価の基本的な考え方 1 学力のとらえ方 学力については 知識や技能だけでなく 自ら学ぶ意欲や思考力 判断力 表現力などの資質や能力などを含めて基礎 基本ととらえ その基礎 基本の確実な定着を前提に 自ら学び 自ら考える力などの 生きる力 がはぐくまれているかどうかを含めて学力ととらえる必要があ

(Microsoft Word - \217\254_\216Z_5_\216O\214\264\216s\227\247\216O\214\264\217\254.doc)

解答類型

国語 B では 話すこと 聞くこと 領域において 全国及び県平均を上回っているが 他の三つの領域においては 全国及び県平均を下回っている 活用する力を育成する取組のさらなる充実が必要である 設問 1 の目的に応じて 話し合いの観点を整理する力は身についてきている 設問 3 の二つの詩を比べて読み 自

4. 題材の評価規準 題材の評価規準 については, B 日常の食事と調理の基礎 (2),(3), D 身近な消費生活 と環境 (1) の 評価規準に盛り込むべき事項 及び 評価規準の設定例 を参考に設定して いる 家庭生活への関心 意欲 態度 お弁当作りに関心をもち, おか 生活を創意工夫する能力

第5学年  算数科学習指導案

問題解決的な学習スタイルを充実させるために 3 つのステップを積み上げましょう 課 題 板書を充実させる道具を用意している ( マグ ネット名札 学習の流れカード ) 黒板に日付を書き 単元の流れ 本時の流れを 掲示している ノートに日付 単元の流れ 本時の流れを書かせている 前時の振り返りをノート

3 第 3 学年及び第 4 学年の評価規準 集団活動や生活への関心 意欲態度 集団の一員としての思考 判断 実践 学級の生活上の問題に関心 楽しい学級をつくるために を持ち 他の児童と協力して意 話し合い 自己の役割や集団と 欲的に集団活動に取り組もう してよりよい方法について考 としている え 判

2 教科に関する調査の結果 ( 各教科での % ) (1) 小学校 国語 4 年生 5 年生 6 年生 狭山市埼玉県狭山市埼玉県狭山市埼玉県 平領均域正等答別率 話すこと 聞くこと 書くこと

平成 30 年度なごや小学校努力点推進計画 1 研究主題なかまとともに感性輝くなごやっ子 (1 年次 ) 2 研究主題について本校では 昨年度までの努力点研究において 道徳や特別活動の時間を中心に 子ども一人一人の成長と互いの認め合いをめざすことで 子ども自らが なごや小でよかった と感じられるよう

(1) 体育・保健体育の授業を改善するために

平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

2 児童観復習プリントから 乗法の交換法則 4 7=7 乗法の結合法則 = 加減混合の式や乗除混合の式の計算はできていると考えられる しかし 分配法則 6 10=6 9+ や 7 8=7 9 はできない児童が数名いて 定着していないことが分かる また 計算の仕方は理解してい

< F2D87408E7793B188C C993A190E690B6816A2E6A7464>

目 次 1 学力調査の概要 1 2 内容別調査結果の概要 (1) 内容別正答率 2 (2) 分類 区分別正答率 小学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 3 小学校算数 A( 知識 ) 算数 B( 活用 ) 5 中学校国語 A( 知識 ) 国語 B( 活用 ) 7 中学校数学 A( 知識 )

gggggggggggggggggggggggggggggggggggggkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk

第4章 道徳

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2 教科に関する調査の結果 (1) 平均正答率 % 小学校 中学校 4 年生 5 年生 6 年生 1 年生 2 年生 3 年生 国語算数 数学英語 狭山市 埼玉県 狭山市 61.4

25math3

自己決定の場を設定する 自己存在感を持たせる 共感的な人間関係を育成する準備活動のどの場面で どの子どもを生かすのか 見通しを持って授業に臨む 導入の場面する 深める場面り返りの場面2 確かな学力の育成 複雑で変化の激しい現代社会に子どもたちが主体的に関わり よりよい社会を創造していくためには 一人

4 調査結果について (1) 教科に関する調査の結果 ( 公立 ) の平均正答率を % として換算した市内の領域 観点 問題形式別正答率 グラフの途切れは, 問題が出題されなかった項目 < 小学校 > : 概要 : 課題 : 今後の学習ポイント国語 A( 基礎 ) 国語 B( 活用 ) 話すこと聞く

2 全国 埼玉県 狭山市の平均正答率 ( 教科に関する調査の結果 ) ( 単位 %) (1) 小学校第 6 学年 教科ごとの区分 教科 狭山市 埼玉県 全国 国語 A 国語 B 算数 A 算数 B 学習指導要領の

(Taro-\202o\202R\202X\201`\202o\202S\202R.jtd)

算数でも 知識 (A) 問題 活用 (B) 問題とも 全領域で全国平均を上回りました A 問題では 14 問中 12 問が全国平均を上回り うち8 問が5ポイント以上上回りました 下回った2 問は 直径と円周の長さの関係理解 と 除法で表す2 量関係の理解 でした B 問題では 10 問中 9 問が

1 研究主題 学校課題研究計画 ひとりひとりが輝く授業づくり ~ どの子にも分かりやすい支援の工夫を通して ~ 2 主題設定の理由本校では 教育基本法改正等による教育の理念 生きる力 をはぐくむために また本校の学校教育目標 確かな学力を身に付け 心豊かにたくましく生きる旭の子 を受けて 学校課題の

Microsoft PowerPoint - H29小学校理科

指導方法等の改善計画について

領域別正答率 Zzzzzzzzzzzzzzzzzzzzzz んんんんんんんんんんんんん 小学校 中学校ともに 国語 A B 算数( 数学 )A B のほとんどの領域において 奈良県 全国を上回っています 小学校国語 書く B において 奈良県 全国を大きく上回っています しかし 質問紙調査では 自分

けて考察し, 自分の考えを表現している 3 電磁石の極の変化と電流の向きとを関係付けて考え, 自分の考えを表現している 指導計画 ( 全 10 時間 ) 第 1 次 電磁石のはたらき (2 時間 ) 知 1, 思 1 第 2 次 電磁石の強さが変わる条件 (4 時間 ) 思 2, 技 1, 知 2

学習指導要領の趣旨を実現する授業づくりのポイント

Transcription:

平成 24 年度の研究 1 研究主題について (1) 研究主題 わかる 活かす 好きになる算数科授業の創造 ~ 活用力を高める3つの場の工夫 ~ 算数の勉強がわかり わかったことを活かすことでできたという達成感を得て 算数をますます好きになる そのような算数の授業を積み重ねることで 児童一人一人に確かな学力を身に付けることができると考える そのためには 基礎 基本の習得と活用の両面を意識した授業改善が必要である わかる 活かす 好きになる は一連の学習活動の流れから生まれるものであるが そのことを踏まえつつ 本年度は 活用力の向上 を研究の中心に据え 課題設定 学び合い 振り返り の 3 つの場を充実させることから授業づくりを進めることにした (2) 研究主題設定の理由 1 教育の今日的課題から昨年度から全面実施されている学習指導要領の改訂と算数科の目標は次のとおりである 学習指導要領の改訂 算数科の目標 生きる力 という理念の共有算数的活動を通して 基礎的 基本的な知識 技能の習得 基礎的 基本的な知識 技能の確 思考力 判断力 表現力等の育成実な定着 確かな学力を確立するために必要な 見通しを持ち 筋道を立てて考え授業時数の確保表現する能力の育成 学習意欲の向上や学習習慣の確立 算数的活動の楽しさや数理的な処 豊かな心や健やかな体の育成のため理のよさに気付くの指導の充実 進んで生活や学習に活用しようとする態度このように これからの社会を生き抜く子どもたちには 基礎的 基本的な知識 技能を確実に習得させ それらを活用して課題解決するための思考力 判断力 表現力等をはぐくむことが求められている 2 これまでの研究から前年度の取組では 活用力を高める工夫として 数値を変えたり事象を変えたり 組み合わせたりする活用の場をⅠ~Ⅲと設定し 活用している具体的な児童の姿と教師のかかわりを明確にしながら授業づくりを行った また 基本的な学び方 ( 学習態度や算数の学習の仕方 ) や基礎 基本の確実な定着を図りながら 一層活用力を高める取組を行ってきた そのことで 授業で既習事項を意識した児童の言動が多く見られるようになり 主体的に課題解決しようとする児童が増加した - 1 -

しかし 活用を図る学習過程や活用する児童の姿 学び方を習得させる指導法等の共通理解が十分ではなく 児童の個人差を考慮しつつ一人一人の考えを生かす授業づくりを確立するまでには至らなかった そのため 既習事項を活用して説明する思考力や表現力及び基礎 基本の定着に個人差が生まれてしまった そこで本年度は 昨年度の取組を基に 学習過程に沿って更に活用力を高める授業改善を行っていく必要があると考えた また 児童の言動を生かした 学び合い を意図的に取り入れることで 相互に考えを伝え合って活用力を高め 基礎 基本の定着を図る取組が必要であると考えた 3 児童の実態からア標準学力検査昨年度実施した学力検査では 総合学力 54.6 成就値 5.0 であった 各教科を見てみると 国語 53.3 社会 54.9 算数 53.8 理科 55.6 であった 算数科はここ数年安定した高さを保っており 標準偏差値は 9.9 と良好であると言える しかし 学年差や個人差が見られ 基礎的 基本的な事項が不十分な子どもが全体の 20% 程度いることが分かった イ熊本県学力調査昨年度実施した熊本県学力調査の算数科では 学年で多尐の差はあるが 県平均と比較して関心 意欲 態度や表現 技能 知識 理解の定着率はやや高 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 平成 23 年度県学力調査 ( 算数科 ) 3 年 4 年 5 年 6 年 100 80 60 40 20 0 77.6 74.1 53 平成 23 年度県学力調査 ( 算数科 ) 41.8 い しかし 数学的な考え方や活用力が十分 ではないことが分かった 51.5 48 知識 59.4 3 年 4 年 5 年 6 年 活用 32.7 そこで本年度は 基本的な学び方 ( 学習態 度や算数の学習の仕方 ) や基礎 基本の確実 な定着を図りながら 課題設定 や 学び 合い 振り返り の場を工夫することで 活用力を高めていくようにした 2 研究の構想 (1) 研究主題の分析 1 わかる について授業において児童が わかる とは 問題に対する答えはもちろん 解決方法や解法の理由 規則性や具体例等を捉えることができた状態である また それ - 2 -

らを表現できて初めて意味を伴って わかる ということになる さらに わかる ためには 既習の知識や経験だけでは解決できない事象に対して どうすれば解決できるのかという 問い を持つことが大切である 新たに出現した問題に対しては 児童が既習の知識 技能等を活用して働きかけることが必要であると考える 2 活かす について新たな課題が出現した際に 児童は既習の知識 技能等を活用して問題を解こうとする そこに 活かす= 活用する という状況が生まれる その際 児童自らが 解決したい という意欲を持つような課題提示を工夫し 自然な 活用 の状況を生み出したい そして 児童が 既習の知識 技能等を活用して問題を解くことができた= 活用できた という意識を持てるような授業を行うことで 次の 活用 の意欲につながっていく さらに 活用する 経験を多く積み重ねることで 活用力 が高まり より確かなものになっていくと考える 児童が 算数で学習した知識 技能等を活用する状況としては a: 算数科において未習の課題を解く状況 b: 他教科等の学習で活用する状況 c: 日常生活の中で活用する状況等が考えられる 本研究では このうちaの状況について取り扱うことが基本となるが 他教科等との関連を図ったり 課題設定において生活場面の中から素材を選んだり 学習したことを生活と関連づけたりするなど bやcの状況への 活用の広がり についても配慮したい また 具体的な課題解決において どのような既習の知識 技能等が必要かを明確にし それらの習得状況を把握し 必要に応じて回復措置を講じることも必要になってくると考える 3 好きになる についてわかったことを活かし 活かしたことでわかる 習得 活用を繰り返し経験することで 基礎 基本が定着するとともに活用力が高まり 生きて働く学力となる このような学力が身に付くと児童はますます算数を好きになり 主体的に新たな課題に取り組んだり 生活の中に活かしたりするようになる また 学び合いを取り入れた学習を行うことで 児童は互いの考えに触れて認め合い 授業を通して達成感や充実感を味わうことができると考える このことで 学びに対する児童の自信を深め 学習することに更に意欲的になると考える ( 2) 研究の中心と仮説研究の中心 : 活用力を高める手立ての工夫 研究の仮説仮説 1: 活用を支える学び方や基礎 基本を確実に習得させ 課題設定 学び合い 振り返り の 3 つの場を工夫する授業改善を行えば 児童一人一人の活用力を高めることができるであろう 仮説 2: 日常活動の在り方や算数的な学習環境を工夫し 基礎 基本の定着を図ったり 活用場面の経験を多く積ませたりすることで より確かな活用力が身に付くであろう - 3 -

(3) 仮説の具体化及び研究内容 仮説 1 について 活用を支える学び方 については 学習に臨む態度作りや学習訓練等について これまで指導を積み上げてきたことが土台となる 3(3) 3 つの場を工夫する授業改善 とは 問題解決学習の流れを基本にして 1 問いが生まれる課題設定 2 共に高まる学び合い 3 学びを確かにする振り返り の 3 つの場を位置づけ それぞれの効果的な在り方を探ることである 本年度の研 究の中心はここにある 1 では 児童の解決意欲を高める工夫と共に なぜ どうして といった問いを生む課題 ( = 問いを引き出す課題 ) や 与えられた情報から使えそうな既習事項を想起したり 未習事項を明確にしたり 必要な情報を選別したりすることができるような課題 (= 活用につながる課題 ) とその提示の仕方を工夫する 2 では 学び合い の場面を 解決の見通し から 自力解決 協同解決 までの範囲で捉え 解決の見通しの持たせ方や 一人一人が考えを表現したり説明したりすることができるようにするための手立ての在り方 よりよい解決に向けて学び合うための効果的な話し合いの進め方などについて探っていく 3 では 解決の結果を 活用 の視点から自分の言葉でまとめたり 適用問題を解いたりすることで振り返らせ 活用 のよさや算数の有用性についての確認や 活用 意欲の高まり 生活場面への広がり等をねらう また 活用力向上 につながる授業改善の一つとして 活用する力に関する以 下のア ~ カの 6 観点 ( ) を指導案の学習展開の中に位置づけ これらの観点が数 時間の授業において もれなく また繰り返し登場するように配慮した ア 物事を数 量 図形などに着目して観察し 的確に捉えることイ 与えられた情報を分類整理したり 必要なものを適切に選択したりすることウ 筋道を立てて考えることエ 振り返って考えることオ 事象を数学的に解釈すること カ 自分の考えを数学的に表現すること 参考文献 : 平成 23 年度全国学力 学習状況調査解説資料小学校 算数 国立教育政策研究所教育課程研究センター 仮説 2について本校では これまでも のびっこタイム や パワーアップタイム 等の日常活動の時間を設定して 基礎 基本の定着や活用問題を解く機会の充実に努めてきた また 算数コーナー や 統計グラフコーナー などの掲示環境を充実させ 算数に対する興味関心を高めてきた 本年度は基本的な部分を継承するとともに さらに活用力の向上につながるような工夫を加えることにした - 4 -

(4) 研究の全体構想図 (5) 研究計画と研究組織 1 学期 2 学期 3 学期 研究授業( 算数 ) 研究発表会 個人研究テーマ決定 研究授業 ( 算数 他教科領域等 ) 研究のまとめ 次年度の見通し 研究授業 個人研究のまとめ 公開校内研 前年度の 3 学期に 今年度の研究をスタートして 1 学期に研究発表会を実施でき るようにしている 2 学期は 研究発表会における参会者の意見を基に研究を深め て研究のまとめを行う 3 学期には 研究のまとめを基に 次年度の方向性を明確 にしていく 研究組織については次のように定め 組織的に研究を進めるようにしている 研究調査部低学年部中学年部高学年部主な活動内容研校長授業づくり 古奥牛嶋 林田 学習過程検討究部会田中上原松尾 課題提示検討推教頭 学び合いの場進 各領域の学び方委教務日常活動 員学習環境会づくり部会 研究主 副 中川 竹下上田 学習態度系統 基礎基本定着方法 学習環境づくり 家庭学習内容検討 児童の実態調査 - 5 -

3 研究の基本的な考え方 (1) 授業の構想 仮説 1 をふまえ 1 時間の基本的な問題解決学習の流れを示すと以下のようになる 問題解 決学習 3 つの場具体的な研究内容観 点 児童の言葉 1 既習内容を活用しようとする問いを ア あれ どうして 課題 1 問いが生 持たせる課題提示の工夫 イ なぜかな 把握 まれる 解決意欲を高める課題の提示 どっちかな 課題設定 カード学習 面白そう 生活の中からの問題 もしかして 既習事項からの問題 たぶん ~ かな 2 解決の見通し 3 考え 2 共に高まるを持学び合いつ 4 協同解決 ( 発表検討 ) 見通しを持たせる工夫 情報の整理 共有化 解決方法の選択 既習事項の想起 一人一人に考えを表現させる手立ての工夫 個に応じた助言の在り方 ワークシート 操作できる具体物 半具体物 効果的な話合いの工夫 学び合いの視点の明確化 分かりやすい説明 考えを共有する板書 学習形態 ウ ~が使えそう なぜなら もし~ならば 見つけたウ 式にするとカ 言葉の式では いつでも ~が使える もしかすると~ エ 絵や図にかくとオ 例えばカ もっと簡単に つまり 同じだ 似ているのは 5 学びを確かめ 確実に習得させる工 エ できた 振り 3 学びを確 夫 カ わかった 返り かにする 適用問題 使えた ま 振り返り 学びのまとめ ~ の考えがよかっ とめ 活用の広がり た この流れを基本に授業を構想し 児童の反応から仮説の検証を進めていくことに した なお 6 観点は 1 時間の中で全て出てくるとは限らない 学び合いについては 次項で詳細を述べる - 6 -

(2) 学び合いについてア学び合いとは児童が自らの知識や経験を基に 課題に働きかけて持った多様な考えを交流し合うことで 自分の考えや集団の考えを広げたり深めたりしていく言語活動イ学び合いのよさ 自分の考えを広げたり深めたりすることができる 多様な考えを比較して議論しながらよりよい考えを持つことができる 他者とのかかわりによる学びにより 知識や技能等が定着する 協同で課題を解決することで 児童相互のよさを認識できる 主体的に学ぶ態度が身に付く ウ学び合いの過程 学び合いの場面 課題把握 あれ どうして なぜかな どっちかな 児童が意欲を おもしろそう もしかして たぶん~かな 持つ課題提示 解決の見通し ~が使えそう もし~ならば よく分からない 考えを持つ 考えを言います 似ています 他にもあります 既習事項の活用 どっちだろう どの考えが正しいのかな 算数的活動 はっきりさせたい ( 学びたい 解決したい ) 協同解決 同じものを集めよう どこが違うか考えよう わけを聞いてみよう 付け加えてみよう よりよいものはどれかな きまりやよい考 えを見つける きまりを見つけた よりよい考えが見つかった 振り返り きまりや考えを使うとできた 分かった まとめる もっと使える こんなことが使えた ~ができるようになった さんの考えを聞いて勉強になった もっとやってみたい エ学び合いを進めるための改善点 問いを持ち 解決したいと思える課題提示を工夫し 学び合いにつなげる 本時の学習の中心に関する内容で学び合いを取り入れる 本時のねらい 本質に即した 学び合いの視点 を明確にして話し合わせる 聞いたことに対して返している態度や発表 つなげる発言を褒めて広げる 2 人組 小集団での学び合いでは 全員が分かる 説明できることを目標に活動させる - 7 -

オ学び合いのイメージ カ学び合いの態度作り 話し手 相手の顔や目を見て話す 相手を意識した話し方をする 相手に分かるように話す ( 式や図 グラフを示す 手振りや身ぶりを入れる 順序を考えながら話す ) 聞き手 話す内容を考えながら聞く ( 式 図 表等を見ながら ) 話を聞いて応える 分からない時は聞き返したり 質問したりする 話し手の内容につなげて話す キ学び合いのレベル 教師が入っての学び合い 子ども同士での学び合い 低学年中学年高学年 ク学び合いを引き出す発問 ( 徐々に教師が入らず児童に任せる ) 予想させる ~さんの考えの続きがわかりますか 再生させる ~さんの考えを説明してみましょう 要約させる ~さんは つまり何が言いたかったのかな 発見させる ~さんの考えの素晴らしいところはどこかな 探らせる ~さんは なぜその考えを思いついたのかな - 8 -

(3) 活用を支える学び方の指導 活用を支える学び方の指導としては 算数科と各教科 領域を関連づけながら学 び方を定着させることで 活用力をさらに高めることにつながると考えた (4) 日常活動の在り方の工夫仮説 2 に示した日常活動としては 毎週 1 時間ずつ設定している パワーアップタイム で毎月言語力 計算力テストを行うなど 基礎 基本を習熟させるとともに 活用問題に触れさせる時間をとるようにする また 放課後に毎日 15 分で実施する のびっこタイム を設定し その日の授業内容に合わせた補充学習を行う さらに 集会活動等を行い 教科で学習したことを活かす場としている (5) 算数的な学習環境の工夫算数的な学習環境としては 統計グラフコンクール掲示コーナーや児童が学習した内容を掲示するコーナー等を設置する また 委員会活動で調査したことをグラフに表すなど 算数の内容を生活に結び付けて活用するよさを味わうことができる掲示を行う 教室内の環境として 算数の学習の足跡の掲示や きらきら言葉の宝箱 ( 授業の中で児童が語った光る言葉等 ) の掲示等を行い 学習への活用を図る - 9 -