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乳癌かな?!と思ったら

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目次 甲状腺とは 3 甲状腺ホルモンとは 4 甲状腺ホルモン量の調節 6 甲状腺がんとは 8 甲状腺がんの種類 9 甲状腺とは 甲状腺は のどぼとけのすぐ下にある重さ 10 ~ 20g 程度の小さな臓器で 甲状腺ホルモン というホルモンをつくっています ちょうど 蝶が羽を広げたような形をしていますが


「             」  説明および同意書

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原発不明がん はじめに がんが最初に発生した場所を 原発部位 その病巣を 原発巣 と呼びます また 原発巣のがん細胞が リンパの流れや血液の流れを介して別の場所に生着した結果つくられる病巣を 転移巣 と呼びます 通常は がんがどこから発生しているのかがはっきりしている場合が多いので その原発部位によ

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33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

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はじめに 近年 がんに対する治療の進歩によって 多くの患者さんが がん を克服することができるようになっています しかし がん治療の内容によっては 造精機能 ( 精子をつくる機能のことです ) が低下し 妊娠しにくくなったり 妊娠できなくなることがあります また 手術の内容によっては術後に性交障害を

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限局性前立腺がんとは がんが前立腺内にのみ存在するものをいい 周辺組織やリンパ節への局所進展あるいは骨や肺などに遠隔転移があるものは当てはまりません がんの治療において 放射線療法は治療選択肢の1つですが 従来から行われてきた放射線外部照射では周辺臓器への障害を考えると がんを根治する ( 手術と同

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実地医家のための 甲状腺エコー検査マスター講座

最近 乳がんの人が増えている? 最近 芸能人で乳癌になった人多くない? 乳がんって増えているの? なったら助からないんでしょ?

を優先する場合もあります レントゲン検査や細胞診は 麻酔をかけずに実施でき 検査結果も当日わかりますので 初診時に実施しますが 組織生検は麻酔が必要なことと 検査結果が出るまで数日を要すること 骨腫瘍の場合には正確性に欠けることなどから 治療方針の決定に必要がない場合には省略されることも多い検査です

甲状腺機能が亢進して体内に甲状腺ホルモンが増えた状態になります TSH レセプター抗体は胎盤を通過して胎児の甲状腺にも影響します 母体の TSH レセプター抗体の量が多いと胎児に甲状腺機能亢進症を引き起こす可能性が高まります その場合 胎児の心拍数が上昇しひどい時には胎児が心不全となったり 胎児の成

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cm 以上の腫瘍では悪性化していることも考慮する必要があります ただし 良性腫瘍でも長期間放置すれば大きくなりますので サイズが大きいからと言って悪性とは限りません 成長速度: 悪性度の高い腫瘍では 大きくなるスピードが速くなります 腫瘍がいつからあったか 最近はどのくらいのスピードで大きくなってき

表面から腫れがわかりにくいため 診断がつくまでに大きくなっていたり 麻痺が出るまで気付かれなかったりすることも少なくありません したがって 痛みがずっと続く場合には要注意です 2. 診断診断にはレントゲン撮影がもっとも役立ちます 骨肉腫では 膝や肩の関節に近い部分の骨が虫に食べられたように壊されてい

はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

乳がんってどんな病気? 手術 放射線療法 薬物療法といった治療があります 乳がんの治療法には がんが一部にとどまっている場合に そこを集中的に治療する 局所療法 と がんが全身に広がっている可能性のある場合に行う 乳がんは 乳房全体をおおうようにはりめぐらされている乳腺にできる腫瘍 です 乳腺は乳汁

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はじめに この冊子は レトロゾール錠 2.5mg アメル による乳がんのホルモン療法を受ける患者さんが 安心して治療に取り組めるように 乳がんのホルモン療法や薬の効果 副作用について解説しています 冊子を読んでもわからないことや 不安に感じることがありましたら 担当医師や看護師 薬剤師に遠慮なくご相

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妊よう性とは 妊よう性とは 妊娠する力 のことを意味します がん治療の影響によって妊よう性が失われたり 低下することがあります 妊よう性を残す方法として 生殖補助医療を用いた妊よう性温存方法があります 目次 はじめにがん治療と妊よう性温存治療抗がん剤治療に伴う卵巣機能低下について妊娠の可能性を残す方

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基礎知識 1. 甲状腺について 甲状腺は いわゆる のどぼとけ ( 甲状軟骨 ) のすぐ下の気管の前にあり 気管を取り囲むように位置しています ( 図 1) 重さ 10~20g 程度の小さな臓器です 羽を広げたチョウのような形で 右葉 ( うよう ) および左葉 ( さよう ) 中央の峡部 ( きょ

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

性黒色腫は本邦に比べてかなり高く たとえばオーストラリアでは悪性黒色腫の発生率は日本の 100 倍といわれており 親戚に一人は悪性黒色腫がいるくらい身近な癌といわれています このあと皮膚癌の中でも比較的発生頻度の高い基底細胞癌 有棘細胞癌 ボーエン病 悪性黒色腫について本邦の統計データを詳しく紹介し

虎ノ門医学セミナー

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監修 作成作成ご協力者 氏名 尾﨑敏文 所属 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科生体機能再生 再建学講座整形外科教授

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

1. はじめに ステージティーエスワンこの文書は Stage Ⅲ 治癒切除胃癌症例における TS-1 術後補助化学療法の予後 予測因子および副作用発現の危険因子についての探索的研究 (JACCRO GC-07AR) という臨床研究について説明したものです この文書と私の説明のな かで わかりにくいと

放射線併用全身化学療法 (GC+RT 療法 ) 様の予定表 No.1 月日 経過 達成目標 治療 ( 点滴 内服 ) 検査 処置 活動 安静度 リハビリ 食事 栄養指導 清潔 排泄 / 入院当日 ~ 治療前日 化学療法について理解でき 精神的に安定した状態で治療が

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前立腺癌は男性特有の癌で 米国においては癌死亡者数の第 2 位 ( 約 20%) を占めてい ます 日本でも前立腺癌の罹患率 死亡者数は急激に上昇しており 現在は重篤な男性悪性腫瘍疾患の1つとなって図 1 います 図 1 初期段階の前立腺癌は男性ホルモン ( アンドロゲン ) に反応し増殖します そ

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健康バンザイ! いなぎ講座 乳癌の診断と治療について

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10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

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遠隔転移 M0: 領域リンパ節以外の転移を認めない M1: 領域リンパ節以外の転移を認める 病期 (Stage) 胃がんの治療について胃がんの治療は 病期によって異なります 胃癌治療ガイドラインによる日常診療で推奨される治療選択アルゴリズム (2014 年日本胃癌学会編 : 胃癌治療ガイドライン第

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

診療科 血液内科 ( 専門医取得コース ) 到達目標 血液悪性腫瘍 出血性疾患 凝固異常症の診断から治療管理を含めた血液疾患一般臨床を豊富に経験し 血液専門医取得を目指す 研修日数 週 4 日 6 ヶ月 ~12 ヶ月 期間定員対象評価実技診療知識 1 年若干名専門医取得前の医師業務内容やサマリの確認

修練カリキュラム

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5-4 乳がん連携ノート(患者用)

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CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

( 様式甲 5) 学位論文内容の要旨 論文提出者氏名 論文審査担当者 主査 教授 大道正英 髙橋優子 副査副査 教授教授 岡 田 仁 克 辻 求 副査 教授 瀧内比呂也 主論文題名 Versican G1 and G3 domains are upregulated and latent trans

ANSWER BREST CANCER 自分の病気を理解するために 担当医に質問してみましょう 私の乳がんは どのようなタイプで 病状はどのようなものですか 病理検査の結果を 説明してください 私のがんは どの病期 ステージ ですか がんはリンパ節やほかの 臓器にも広がっていますか 治療の選択肢 手

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肝疾患に関する留意事項 以下は 肝疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあたって ガイド ラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 肝疾患に関する基礎情報 (1) 肝疾患の発生状況肝臓は 身体に必要な様々な物質をつくり 不要になったり 有害であったりす

BV+mFOLFOX6 療法について 2 回目以降 ( アバスチン +5-FU+ レボホリナート + エルプラット ) 薬の名前アロキシ注吐き気止めです デキサート注 アバスチン注 エルプラット注 レボホリナート注 作用めやすの時間 5-FU の効果を強める薬です 90 分 2 回目から点滴時間が短

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A 2010 年山梨県がん罹患数 ( 全体 )( 件 ) ( 上皮内がんを除く ) 罹患数 ( 全部位 ) 5,6 6 男性 :3,339 女性 :2,327 * 祖父江班モニタリング集計表から作成 * 集計による主ながんを表示

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 小川憲人 論文審査担当者 主査田中真二 副査北川昌伸 渡邉守 論文題目 Clinical significance of platelet derived growth factor -C and -D in gastric cancer ( 論文内容の要旨 )

北海道医療大学歯学部シラバス

配偶子凍結終了時 妊孕能温存施設より直接 妊孕能温存支援施設 ( がん治療施設 ) へ連絡がん治療担当医の先生へ妊孕能温存施設より妊孕能温存治療の終了報告 治療内容をご連絡します 次回がん治療の為の患者受診日が未定の場合は受診日を御指示下さい 原疾患治療期間中 妊孕能温存施設より患者の方々へ連絡 定

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BD( 寛解導入 ) 皮下注療法について お薬の名前と治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 薬の名前作用めやすの時間 1 日目

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70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

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乳がん はじめに 乳がんは 乳腺に発生する悪性腫瘍で 日本人女性の最も患う可能性 ( 罹患率 ) の高いがんです 20 年ごとに2 倍に増加し 現在 1 年間に7 万人以上の女性が乳がんにかかり 1.5 万人以上が乳がんで亡くなっています しかも 罹患率 死亡率ともに増加の一途をたどっています 日本人女性の乳がんの罹患率は30 歳代から増加し始め 40 歳代後半から60 歳前半までが非常に高く その後は次第に減少します 一方 男性の乳がんは 女性の乳がんの 100 分の1 程度の比較的まれながんですが 男性がかかることもあります 乳がんの発生 増殖には 性ホルモンであるエストロゲンが重要な働きをしています 初経年齢が早い 閉経年齢が遅い 出産歴がない 初産年齢が遅い 授乳歴がないことなどはエストロゲンの体中のレベルが高くなるためリスク要因とされています また 高身長 閉経後の肥満 飲酒により乳がんリスクが高くなること また 運動により乳がん予防効果があることが知られています その他 一親等の乳がん家族歴 増殖性の良性乳腺疾患の既往 マンモグラフィ上の高密度所見 電離放射線曝露も 乳がんのリスク要因とされています しかし これらのリスク因子の多くは除くことが非常に難しいため 乳がんの発生を止めることはなかなか困難です 従って 乳がんによる死亡を少なくするためには自己検診やマンモグラフィ検診などによる早期発見 早期治療が大切です 乳がんの治療は 手術 抗癌剤 ホルモン剤 分子標的治療薬などによる薬物療法 そして放射線療法などをうまく組み合わせて行います ( 集学的治療といいます ) かつて 乳がんの手術は乳房 胸の筋肉 わきの下や鎖骨の下のリンパ節を切除することが当然と考えられていました しかし 多くの臨床試験の結果をふまえ 乳がんの手術は次第に縮小化し 後で述べるような乳房温存手術やセンチネルリンパ節生検などが標準治療として行われるようになってきました 一方 乳がんに対する薬物療法も大きく変わってきました 乳がんに対して使える薬剤の種類 数が増加し それに伴い 乳がんの治療成績もよくなっています 薬物療法は再発 転移に対する治療や手術後の再発 転移の予防のために用いられます また 手術の前に使われることもあります 術後薬物療法は再発 2

Breast Cancer のリスクの大きさや乳がんの性質によって選択され 再発を予防し 治癒を目指して行われます 一方 転移 再発乳がんに対しては延命と症状の緩和を目的に種々の治療が行われます 九州大学病院では 乳がんに対して 根拠に基づく医療 (Evidence based medicine(ebm ) の実践に努めるとともに 患者さんやご家族とのコミュニケーションを大切にする優しい治療を心がけています 乳がんの診療は病気の性質だけでなく 患者さんの家族構成や社会的背景 治療による身体的 精神的 経済的影響など それぞれの患者さんにとって大切な事柄を考慮して行う必要があります そのためにさまざまな専門分野 さまざまな職種のスタッフ ( 医師や看護師 薬剤師 ソーシャルワーカーなど ) が協力し 最善の治療が行われるよう チーム医療に努めています 診断 1) 視触診まず乳房を観察し 左右差 くぼみや隆起 発赤などがないかを診ます 次に 乳房にしこり ( 腫瘤 ) がないか 乳頭からの分泌や出血がないか わき のリンパ節がはれてないかを診ます 2) レントゲン撮影 ( マンモグラフィ ) マンモグラフィは乳房を装置に挟んで圧迫しX 線撮影する検査です 触診では見つからないような小さながんが見つかることがあります 3) 超音波 ( エコー ) 皮膚にゼリーを塗ってプローブをあてて観察する検査で 腹部や婦人科の超音波と同様です ベッドサイドで手軽に検査でき 数ミリの小さなしこりを見つけたり しこりの性質が詳しくわかるのが最大の特徴で がんかどうかの診断に大きな一役を担っています 4) 乳腺のその他の画像検査しこりががんであるかどうかや 病変の広がりを診断するために MRIや CT 検査なども有用です 5) 穿刺吸引細胞診と生検 ( 針生検 切除生検 ) しこりなどの病変が見つかり がんの可能性が考えられる場合は しこりに細い注射針を刺して細胞を吸いとっ 3

乳がん て調べる穿刺吸引細胞診により 80 90% の場合ではがんかどうかの診断が確定します さらに多くの情報を得るために太い針を刺してしこりの一部の組織を採取したり ( 針生検 ) しこり全体を切除して組織学的に診断することもあります 6) 遠隔転移の検査 5) で乳がんの診断がついた場合は 乳がんが転移しやすい遠隔臓器である肺 肝臓 骨 リンパ節などを 胸部 腹部のCTや骨のアイソトープ検査 ( 骨シンチグラフィ ) などで検査し がんの進展具合 ( 病期 ) を調べます 乳がんの臨床病期 ⑴ ⑵ ⑶ ⑷ ⑸ 0 期 ( 非浸潤がん ): 乳がんが乳管内または小葉内にとどまり周囲に浸潤していないもので 顕微鏡レベルの早期がんです Ⅰ 期 : 腫瘍の大きさが 2cm 以下で わきの下に硬いリンパ節をふれない早期がんです Ⅱ 期 : 腫瘍が 2cm 以上 5cm 未満で わきの下のリンパ節に転移のあるものも含みます Ⅲ 期 : 腫瘍が 5cm 以上で 周辺組織への浸潤やリンパ節転移を伴うものもあります Ⅳ 期 : がんが骨 肺 肝 脳などに転移している進行がんです 外科的治療 乳がんの手術治療 ( 初期治療の手術 ) は 乳房への乳房温存手術あるいは乳房切除術が選択されます 乳房温存手術が不可能で乳房切除術が行われた場合 乳房再建を追加する選択肢もあります また 腋窩リンパ節 ( わきの下 ) に対しては センチネル ( 見張り ) リンパ節生検や腋窩リンパ節郭清を行います 1. 乳房温存手術あるいは乳房切除術について現在の乳がん手術には 1 局所のがんを取り除く治療 2 病理結果からがんの性質を知る検査 という2つの意味があり その標準的な術式は 乳房温存手術 あるいは乳房切除術です 乳房温存手術は 乳房を部分的に切除し ( 大胸筋と小胸筋も残して ) がんを取り除く方法で 乳房切除術は 大胸筋と小胸筋は残して 乳房全体を切除する方法です 乳房温存療法 ( 術後に残存した乳房への放射線療法も併用した場合 ) が 乳房切除術と同等の治療成績が得られることが示されました 日本においても1990 年代から乳房温存手術が行われ 4

Breast Cancer るようになり 2000 年代に入ると50% 以上の初期乳がん患者さんに乳房温存手術が行われるようになりました しかし 乳房温存手術ではがんを取り残さないことが大前提であり がんの広がりが大きい場合には 乳房温存手術は適さず 乳房切除術が選択されます 九州大学病院では 病状 ( ステージ しこりの大きさや広がりなど ) を手術前検査 ( エコー CT MRI 針生検 細胞診 ) により充分に把握し 乳房温存手術と乳房切除術の利点と欠点をご説明し 患者さんのご希望 (preference) 等を相談しながら ひとりひとりに最適な術式を提案します 2. 乳房温存手術がすすめられる病気の状態 ( 適応 ) について乳房温存手術は ステージⅡ 期 ( しこりの大きさは3cm 以下 ) までの人にお勧めできる手術です また 非浸潤性乳管がんの人でも選択肢の一つになります 乳房温存手術を受けた場合には 術後に適切な放射線療法を行うことが重要 ( 原則として必須 ) です 乳房温存療法とは 乳房温存手術と温存乳房への手術後の放射線治療を組み合わせた 治療法のことで 温存手術のみや放射線治療のみの治療はお勧めできません 乳房温存手術に適したしこりの大きさは 日本のガイドラインでは3cm 以下と考えられています しかしながら がんを完全に取りきることができて 見栄えも良好な手術が可能と判断された場合は 3cmを超えるしこりに対しても乳房温存手術を行う場合があります 逆に 以下 1から5のいずれかに該当する場合は 乳房温存手術の適応とならず 乳房切除術をお勧めします (12つ以上のがんのしこりが 同じ側の乳房の離れた場所にある場合 2 乳がんが広範囲にわたって広がっている場合 3 温存乳房への放射線治療が行えない場合 ( 妊娠中 放射線治療の既往 膠原病の合併 等 ) 4しこりの大きさと乳房の大きさのバランスから美容的な仕上がりがよくないと考えられる場合 5 患者さんが乳房温存手術を希望されない場合 ) 3. センチネル ( 見張り ) リンパ節生検について画像診断や触診などで腋窩リンパ節への転移がなさそうだと判断された場 5

乳がん 合は センチネル ( 見張り ) リンパ節生検を行います そして センチネルリンパ節に顕微鏡検査で転移がなければ リンパ節の郭清を省略することが可能です センチネルリンパ節生検とは 腋窩リンパ節の中で最初にがん細胞がたどり着くと考えられるリンパ節 ( センチネルリンパ節 ) を摘出し がん細胞があるかどうか ( 転移の有無 ) を顕微鏡で調べる検査です 九州大学病院では センチネルリンパ節を 放射線同位元素 ( わずかな放射線を発する物質 アイソトープ ) および色素を併用して用いて同定 ( 見つけだすこと ) しています 放射線同位元素のみや色素のみを用いてセンチネルリンパ節を同定するよりも 両者を併用する方法がより適していると 乳癌診療ガイドラインにも述べられています 具体的には 手術前日に乳輪に微量の放射線同位元素を注射し また手術直前に色素を注射し 放射線が検出されたり 色に染まったりしたリンパ節 ( センチネルリンパ節 ) を摘出して 転移の有無を手術中 ( 約 30 分程度 ) に 病理の専門の医師が 顕微鏡で調べます センチネルリンパ節にがん細胞がな ければ それ以外のリンパ節にも転移がないと判断できますので 腋窩リンパ節郭清を省略できます 一方 センチネルリンパ節に転移がある場合は 腋窩リンパ節郭清を行う必要があります (4 参照 ) 4. 腋窩リンパ節郭清について手術前に腋窩リンパ節 ( わきの下 ) に転移があると診断された場合は 腋窩リンパ節郭清を行います 一方 手術前に腋窩リンパ節に転移がないかまたは疑いと診断された場合は まずセンチネルリンパ節生検 (3 参照 ) を行い センチネルリンパ節への転移の有無を調べます 転移があった場合は腋窩リンパ節郭清を行います リンパ節郭清とは リンパ節が含まれる脂肪をひとかたまりに切除することです 切除後に脂肪の中に埋まっているリンパ節を取り出して転移の有無を病理検査で調べます 腋窩リンパ節を郭清する意味は2つあります 1つは腋窩リンパ節への転移の有無 およびリンパ節の転移の個数を調べるという 診断 の目的です もう1つは 再発を防ぐという 治療 の目的です リンパ節郭清を行うことでリンパ節の転移の個数がわかり 転移個数に応じ 6

Breast Cancer て再発の危険性が高くなるため 術後の治療方針を決めるうえで腋窩リンパ節郭清は重要な方法です 5. 乳房再建について乳房再建とは 乳房温存手術が不可能で乳房切除術が行われた場合 手術によって失われた乳房を乳腺外科医と形成外科医が連携して再建する方法で 現在保険診療となりました 乳房再建の方法については 1 組織拡張器 ( エキスパンダー ) を用いた人工乳房による再建 2 自科組織による再建 があります 乳房を再建することにより 温泉に入れない バランスが悪い 等の精神面や肉体面の問題が改善する可能性があります また乳房を再建することで再発が増えたり 再発の診断に影響したりすることはありません また 乳がん手術の後からでも再建手術を行うことは可能ですし 乳がんの進行の程度によっては 別の時期に再建手術を行うことが望ましい場合もあります 1 組織拡張器 ( エキスパンダー ) を用いた人工乳房による再建乳がん手術と同時に エキスパンダーという皮膚を伸ばす袋を胸の筋肉の下に入れて その袋の中に生理的食 塩水を徐々に入れて皮膚を伸ばし乳房の形に膨らませます その後 エキスパンダーを人工乳房 ( シリコンでできたもの ) に入れ替えるという方法です 乳房切除術の時にできた傷で再建の手術を行いますので 新たに傷はできません 人工乳房は非常に安全でその後の検診にも影響しません しかし感染を起こした場合は エキスパンダーや人工乳房をいったん取り除いて感染を治療し 感染が完治しないと再建を再開できません 2 自科組織による再建患者さんの体の一部の組織を胸に移植する方法で お腹の組織を移植する方法 ( 腹直筋皮弁法 ) と 背中の組織を移植する方法 ( 広背筋皮弁法 ) があります 腹直筋皮弁法ではお腹の筋肉を一部取るので 腹筋が弱くなり 腹壁瘢痕ヘルニアを起こす場合があります お腹の手術を受けた方や 将来妊娠 出産を予定されている方には適していません 広背筋皮弁法は将来妊娠 出産を予定されている方にも可能で しばらく使われなくなった筋肉が時間とともに萎縮 ( 廃用性萎縮 ) し 再建した乳房が小さくなることを加味して形成されます 7

乳がん 参考書 1. 日本乳癌学会 / 編 : 乳癌診療ガイドライン1 治療編 2011 年版 金原出版株式会社 2011 2. 日本乳癌学会 / 編 : 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2012 年版 金原出版株式会社 2012 3. 標準的な乳房温存療法の実施要項の研究班 / 編 : 患者さんのための乳房温存療法ガイドライン 金原出版株式会社 2005 4.Jay R. Harris 他 :Diseases of the Breast(14 版 ) 2009 内科的治療 乳がんに対する治療手術前の抗がん剤治療腫瘤が大きい (3cm 以上 ) ある場合や リンパ節転移がある場合は 手術の前に抗がん剤治療を行う場合があります 手術前に抗がん剤治療を行う利点は しこりが小さくなれば 乳房温存手術が可能となる点 また薬の効き目を乳房のしこりで確認できる点です ただし5 10% 程度の方では抗がん剤に反応せずしこりが大きくなってしまうことがあります 抗がん剤を手 術前に行っても 手術後に行っても生命予後という点では差がありません 病状の進行状況に従い 適切な治療スケジュールを計画することが大切です 手術後の薬物治療 ( ホルモン治療 抗がん剤治療 ハーセプチン治療 ) 1 再発予防の治療がなぜ必要か? 手術によって取り除くことができるのは目に見えるしこりです 目に見えないがん細胞は体に残っていて ( 微小転移といいます ) それが時間とともに大きくなり再発という形で現れることがあります 乳房以外の臓器に転移 再発すると 病気を根治 ( 完全に治す ) することは非常に難しくなります 再発の危険性が低くないと考えられる場合は 根治をめざして手術後に薬物治療をお勧めします 2 手術後のホルモン治療ホルモン治療は腫瘍にホルモン感受性 ( 女性ホルモンの影響を受けて育つタイプ ) がある場合に行います ホルモン治療は女性ホルモンやその働きをブロックすることによりがんの増殖を抑えます 閉経前の方と閉経後の方では薬が異なります 閉経前の方はがん 8

Breast Cancer 細胞に女性ホルモンが働かないようにする薬 ( 抗エストロゲン剤 ) を5 年間毎日内服します また 卵巣の働きを休めて生理をとめる薬 (LH-RHアゴニスト ) を4 週間もしくは12 週間に1 回 お腹の皮下脂肪に注射します 閉経後の方は卵巣からは女性ホルモンはほとんど出ませんが 副腎からでるアンドロゲンというホルモンを脂肪組織からでるアロマターゼという酵素が女性ホルモンに変化させます このアロマターゼを抑える薬 ( アロマターゼ阻害剤 ) または抗エストロゲン剤を 5 年間内服します 最近は10 年間内服した方が良いというデータも出てきており 内服期間が変更となる可能性があります 副作用は抗がん剤に比べると軽いのですが 更年期症状に似た ほてり 発汗 けだるさが出ることがあります また特にアロマターゼ阻害剤を内服した時は骨粗しょう症 関節が痛くなることがあります 3 手術後の抗がん剤治療再発の危険性が比較的高いと考えられる場合 またはホルモン療法の適応がない場合に行います 具体的には リンパ節転移がある がん細胞の顔つきが悪い ホルモン剤が効かない タイプ がんが血管 リンパ管に入っている しこりが大きい がん細胞の表面にHER2( ハーツー ) という蛋白がある などが目安になります 抗がん剤はおもに3 週に1 回点滴します どの抗がん剤を使うかは再発する危険性 患者さんの体の状態や希望と相談して決定します 抗がん剤の治療は3ヶ月 約半年かかります 主な副作用は脱毛 吐き気 骨髄抑制 ( 免疫力の低下 ) などがあります 脱毛は抗がん剤開始から約 2 週間ぐらいで始まり 体中の毛が抜けます ただし すべての抗がん剤が脱毛するわけではありません そして 抗がん剤の治療を終了すると 髪質が変化することはありますが また生えてくることがほとんどです 吐き気については個人差があります 抗がん剤投与前にアレルギー防止や吐き気止めのお薬を点滴し 点滴終了後も数日間 吐き気止めを内服していただきます 抗がん剤の種類によっては吐き気が出ないものもあります 最近は効果の高い吐き気止めが開発されており 以前に比べかなり抑えることが可能になりました 骨髄抑制は点滴後 1 週間から2 週間後に起こります 抗がん剤治療により細菌 ウイルスと戦うための白血球 9

乳がん が減り 感染に対する抵抗力が落ちます 抗がん剤治療中は十分な栄養をとり 風邪を引かないような工夫が必要です 4 手術後のハーセプチン治療がん細胞の表面にHER2( ハーツー ) という蛋白が見られる方が対象です ハーセプチンはこのHER2からの増殖信号を抑える 新しいタイプのお薬 ( 分子標的治療薬 ) です 3 週間に1 回の点滴を1 年間続けます 副作用はホルモン剤 抗がん剤と比べ軽いですが 初めての治療のときに発熱 血圧低下が見られる場合があるのと 心臓の働きを抑えることがあり 投与前 投与中に心臓の状態を定期的に調べる必要があります 再発に対するお薬の治療手術を行った後にしばらくしてから 体の中に残ったがん細胞が徐々に増え 再発という形で現れることがあります がん細胞は全身に広がっていると考えますので 原則として全身治療すなわちお薬の治療を行います 薬の治療は がんの広がりや乳がんの性質に応じて選択されます がんが乳房以外の臓器に転移している場合には病気を完全に治すことは困難です がん がこれ以上進行しないようにすること 転移によって出る痛みなどの症状を和らげ なるべく日常生活を支障なく送ることができるようにすることが治療の目標となります 治療にあたっては治療効果と副作用のバランス そして何よりも患者さん自身のご意見が重要です 日ごろから担当医とよくコミュニケーションをとり信頼関係を築くことが非常に大切です 放射線治療 乳がん領域における放射線治療には 大きく分けて下記の3つの目的があります 1 乳房温存手術後の 温存した乳房への放射線治療 2 進行乳がんに対する乳房切除後の 放射線治療 3 転移 再発乳がんに対する放射線治療九州大学病院には これらの治療に対応できる施設基準を満たした放射線治療装置と 放射線治療専門医が在籍しており 外科での手術療法 化学療法と併せて 集学的な治療を受けることができます 最初に 上記の3つの 10

Breast Cancer 治療目的について説明し 最後に放射線治療に伴う副作用について説明します 1 乳房温存手術後の放射線治療について現在では 腫瘍の大きさが3cm 以下の乳癌においては 積極的に乳房温存療法 ( 乳房と乳頭を残して乳がんを切り取る手術 ) が試みられています また乳房温存手術においては手術後の放射線治療により乳房内の再発が約 1 /3に減少することが証明されています 現在までに乳房温存手術後に放射線治療を省略してもよい条件ははっきりとわかっておらず 放射線を当てる側の腕が上げられない 妊娠中や膠原病にかかっている 既に同側の乳房に放射線を当てたことがある 等の特殊な事情がある場合を除き 原則として乳房温存手術を受けられた患者さん全員に 温存した乳房への術後放射線治療をお勧めしています 具体的な治療手順としては 手術終了後 手術創が治癒し 摘出標本の病理診断結果が判明した後 ( 術後補助化学療法が必要な場合は化学療法終了後 ) 放射線科を受診し 治療計画を立てます 通常は温存した乳房全体に 総線量 50グレイ ( グレイとは放射線量の単位 ) を25 回 ( 平日 5 日間 合計 5 週間 ) にわけ 1 回線量 2グレイ照射します 1 回の照射時間は1 分程度で通院の時間以外は通常の生活が可能です 毎日照射することでがん細胞が次第に少なくなっていき 途中に長期の休みを入れると放射線治療の効果が薄れます 数日程度の休みは問題ありません さらに 病理診断結果の所見によっては 切除前に乳がん病巣があった場所に追加照射 ( ブースト照射 ) を行う場合があります ブースト照射では 1 回線量 2グレイで追加線量は10グレイを照射します 2 進行乳がんに対する乳房切除後の術後放射線治療近年になり 乳房切除術 ( 乳房を全て切除してしまう手術 ) の後でも 胸壁やリンパ節などから再発の危険性が高い場合は 抗がん剤やホルモン療法に加えて 術後に放射線治療を行った方がよいということがわかりました 具体的には 再発の危険性が高いとされる わきのリンパ節の4 個以上転移があった患者さんや 腫瘍が大きかった (5cm 以上 ) の患者さんでは 抗がん剤やホルモン療法の他に放射線 11

乳がん 治療を行うことで再発のリスクを下げることができます 治療は 手術終了後 手術創が治癒し 摘出標本の病理診断結果が判明した後 ( 術後補助化学療法が必要な場合は化学療法終了後 ) 放射線科を受診して頂き 治療計画を立てます 腫瘍があった側の胸壁と鎖骨上窩に総線量 50グレイ ( グレイとは放射線量の単位 ) を25 回 ( 平日 5 日間 合計 5 週間 ) にわけ 1 回線量 2グレイ照射します 1 回の照射時間は1 分程度で通院の時間以外は通常の生活が可能です 3 転移 再発乳がんに対する放射線治療乳がんの脳転移 骨転移 局所再発 ( 胸壁 リンパ節 ) に対して 放射線治療を行う場合があります 脳転移に対しては2つの放射線のかけ方があり 1つは全脳照射といって 脳全体に放射線をあてる方法 もう一つは定位照射といって 病巣のみに放射線をあてる方法です 治療には通常の放射線治療装置に加え ガンマナイフと呼ばれる装置を使います 全脳照射の場合 病巣の状況に合わせて1 回線量 2 3グレイを10 15 回照射します また定位照射 ( ガンマナイフ ) の場合は通常 1 回の照射で済み ます 骨転移に対しては ホルモン療法 抗がん剤治療などの全身療法に加え 骨病変治療薬 ( ゾレドロン酸 抗 RANKL 抗体など ) による治療を行います さらに大腿骨頚部 腰椎 胸椎 骨盤などに体重が加わる部位に溶骨性転移 ( 骨が溶けて弱くなり骨折の危険性がある ) がある場合や 痛みの伴う骨転移の場合は 放射線治療が有効です 治療は病巣の状況に合わせて総線量 20 37.5グレイを5 15 回に分割して照射します 局所再発 ( 胸壁 リンパ節 ) に対しては 全てを摘出可能であれば手術療法も選択肢に上がりますが 不可能な場合はホルモン療法 抗がん剤治療などの全身療法に加え 再発した病巣部分に集学的治療の一環として放射線治療を行うこともあります 病巣の状況に合わせて総線量 40 50グレイを 20 25 回に分割して照射します 最後に照射線治療に伴う副作用について述べます 乳がん手術後の乳房や 胸壁に行う照射線治療に伴う副作用としては 皮膚炎 倦怠感 放射性肺炎などがあります 皮膚炎はほとんどの患者さんで 12

Breast Cancer 照射した部位に限られて見られますが 重篤なものではありません その他 頭髪の脱毛や吐き気 めまい等はなく 白血球減少もほとんど起こりません かつては心臓に放射線があたってしまうことにより心筋梗塞などの病気が心配されましたが 現在では放射線治療の技術が高まりほとんど問題になりません 脳転移に対する全脳照射の場合は だるさ むかつき 食欲不振 頭痛等の副作用が生じる場合もあります しかし照射が終われば副作用もほとんど消失します 照射により頭髪は抜け 生えそろうまでに数ヶ月かかります 参考書 5. 日本乳癌学会 / 編 : 乳癌診療ガイドライン1 治療編 2011 年版 金原出版株式会社 2011 6. 日本乳癌学会 / 編 : 患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2012 年版 金原出版株式会社 2012 7. 標準的な乳房温存療法の実施要項の研究班 / 編 : 患者さんのための乳房温存療法ガイドライン 金原出版株式会社 2005 8.Jay R. Harris 他 :Diseases of the Breast(14 版 ) 2009 臨床研究 治験 臨床研究 ( 臨床試験 ) とは 新しい薬剤もしくは治療法の開発のために 患者さんや健常な人に対して試験的に治療を行う研究のことです 現在使用されている多くの薬剤や治療法 診断や治療に用いる機器なども 国内および海外での臨床研究によって有効性が認められて導入され さらに改善され進歩してきました 現在の治療は これまでに行われた臨床研究の上に築かれたといっても過言ではありません 臨床研究の目的は 新しい薬剤や治療法の安全性や効果を評価することです しかし 臨床 研究の対象はヒトであるため 倫理性を確保することがもっとも重要です そのため 臨床研究には 科学的に妥当な方法 で質の管理と保証を行うことが必要とされています (1) さらに ヒトは個人の違い ( 個体差 ) が大きく 評価を困難にしていることが少なくありませんが こうした複雑な状況を克服するために 科学的な尺度を用いて評価する方法が 臨床研究 です 治療の対象となる患者さんとその治療法を選び 必要と 13

乳がん されるデータの選定とその記録 表現の方法 集められたデータの解析を工夫し 多くの人にわかりやすく表現する必要があります したがって あらかじめ入念に準備され吟味された研究の デザイン がとても大切です 臨床研究には 医師 ( 研究者 ) が中心となって行う医師 ( 研究者 ) 主導型研究と 新薬の申請を目的として製薬会社が中心となって行う製薬会社主導型研究 ( 治験 ) とがあります それぞれ研究の段階に応じて大きく3つの段階 ( 相あるいはフェーズ ) があり 第 1 相 第 2 相 第 3 相と進みます 第 1 相では 少数を対象として主に毒性の評価を行い 至適用量や投与スケジュールを検討します 第 2 相では より対象人数を増やし安全性と有効性の評価を行います 第 3 相では さらに対象人数を増やしそれまでの標準治療との比較が行われます 乳がん領域における臨床研究グループには 全国規模のJCOG CSPOR JBCRG WCOG 九州を中心としたKBC-SG などがあり さまざまな臨床研究が進行 計画中です 現在国内で行われている臨床研究 ( 医師主導型臨床研究と治験の一部 ) に関して がん情報サービス がんの臨床試験一覧 (2) で情報 を閲覧することができます また 2008 年に厚生労働省が新たに設けた 先進医療 の 高度医療評価制度 により 一定の条件下で未承認薬や適応外薬を用いた医師 ( 研究者 ) 主導型臨床研究を保険診療下で実施できるようになっています これらの研究内容や 参加している医療機関の一覧を厚生労働省のwebサイトで閲覧することができます さまざまな施設やグループで議論されたプロトコールが各施設の倫理審査委員会での承認を受け 研究への参加が可能となります 研究の対象となる患者さんに 医師や研究コーディネーターから参加することのメリットやデメリットが十分に説明され 患者さんの自由意志に基づく選択が可能となります 研究結果はデータマネージャーが収集して管理し 専門の統計家が解析を行います このように 臨床研究では患者さんを多くの関係者で支えます そのため 多くの人材と資金を必要とします 現在 国は医療機関と連携して臨床研究を推進すべく環境の整備を進めていますが 臨床研究の実施には医療資源の投入だけではなく患者さんの善意の協力が必要不可欠であることはいうまでもありません 前世代 14

Breast Cancer から受け継いだものを発展させて次世代への贈る そんな 思い が必要とされているのかもしれません ⑴ ヘルシンキ宣言 http: //www.med.or.jp/wma/ helsinki08_j.html ⑵ 国立がん研究センター がん情 報サービス http://ganjoho.jp 15

甲状腺がん はじめに 甲状腺は頸部の正中下方で 喉頭 気管の前面を取り囲むように位置する器官です 蝶のような形をしており 全身の細胞の機能 代謝を調節する甲状腺ホルモンを分泌します 甲状腺がんは初期の症状はほとんどありませんが 咽喉頭異常感症のため精査を進めた時に偶然発見されることがあります しかし 実際には 発見されたきっかけは甲状腺のしこりや 転移リンパ節がしこりとして触れたものが多いようです また 甲状腺のすぐ後ろには反回神経という声帯の運動に関わる神経が存在しているため がんがこの神経を巻き込み神経の働きが * 頻度 腫瘍の増大 頚部リンパ節転移 治療 その他 分化がん 乳頭がん 85.7% 穏やか 多い 濾がん 髄様がん * 甲状腺外科学会の統計 (2001 年 ) による ろ ほう胞 未分化がん 11.3% 1.4% 1.6% 穏やか 少ない 外科的治療 血行性転移が多い 一定しない 多い 家族性に発生することがある 急速 多い 集学的治療 分化がんの一部が未分化転化することがある 悪くなると声がかれることもあります ここに発生するがんは一般に4 種類のものに分けられ それぞれに特徴があります なかでも 分化がんと呼ばれる乳頭がんと濾胞がんが大部分を占めます これらのがんは 一般に腫瘍の増大は穏やかで中高年の女性に多い ( 男性の3 4 倍 ) とされています 10 年生存率も90% 以上との報告が多く 全身に発生する他のがんと比較して予後の良いがんの一つと考えられます このほかには 髄様がん 未分化がんがあります 髄様がんには遺伝性のものとそうでないもの ( 弧発性 ) があります 未分化がんは全体の1% 以下と数は少ないものの 急激な増大 転移をきたすことが多く 最も悪性度が高く予後が悪いがんです このように 性質の違うがんが発生する可能性がありますので どのタイプのがんであるかを診断することが重要です その結果によって 治療方針が変わってきます 診断 超音波検査エコー検査とも呼ばれています 超 16

Thyroid Cancer 音波を用いて 内臓の様子を観察する検査方法です 甲状腺癌においては 甲状腺内の腫瘍の有無や周辺のリンパ節への転移を観察します 体に害のない検査なので 比較的頻繁に用いられます 検査を担当する人の経験や技量に左右されることがありますが 非常に有用な検査であると考えられます CTスキャンレントゲンを用いて 人体の輪切り像を見る検査です 甲状腺癌においては 甲状腺の腫瘍の有無やリンパ節への転移を観察します 造影剤を用いない 単純 CT と造影剤を静脈注射しながら撮影する 造影 CT があります 通常 1 回の検査で両方の撮影を行います 造影剤を用いることにより 腫瘍の存在がより明確になります 穿刺吸引細胞診甲状腺に細い針を刺し 細胞を採取します 腫瘍の細胞を直接検査できるため この検査で癌細胞が検出されれば 100% に近い確率で癌と診断されます ただし 癌細胞が検出されない場合に 癌を否定できるわけではありません 腫瘍の細胞が取れていない可能性があるからです また 濾胞腫瘍 の場合は 良性と悪性の鑑別が難しいことがあります 血液検査甲状腺ホルモンや脳下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモンなどが測定されることがありますが 甲状腺癌では一般に正常範囲です また サイログロブリンと呼ばれるたんぱく質も測定します この物質は 甲状腺ホルモンの合成に関わる蛋白質ですが 甲状腺の腫瘍がサイログロブリンを産生する時 甲状腺刺激ホルモンで甲状腺が刺激された時 及び炎症や腫瘍によって甲状腺組織が破壊された時などに血中濃度が上昇します したがって サイログロブリンが上昇していても甲状腺癌であるとは言えませんが 根治手術後に数値が上昇してきた時は 再発の可能性があります しかし この他の要因でも変動することがあります 核医学検査放射性同位元素を用いて 甲状腺の形態 機能を検査します 癌の診断には ヨウ素 タリウム ガリウムなどが用いられます 九州大学病院では SPECTとCTの撮像を同時に行う SPECT/CT 装置を4 台備えており 17

甲状腺がん SPECT 単独に比べてより正確な診断を得ることができます また 2 台の PET/CT 装置も完備しており 甲状腺がんの再発や治療効果予測などに役立てています 外科的治療 治療手術による腫瘍摘出が治療の第一選択です 悪性腫瘍の場合には頸部郭清術を同時に行うこともあります 症例の大半を占める乳頭癌や濾胞癌は 第一に手術です 一方 未分化癌は 手術を中心として放射線治療や化学療法を組み合わせた治療が計画されますが 進行が速いため現実には治療をすることさえ困難な場合もあります 乳頭癌 濾胞癌患者さんで術前の精査でリンパ節腫脹のないものに対しては甲状腺亜全摘術または甲状腺半切除術と気管周囲リンパ節郭清術を行います 術前の精査で側頸部リンパ節腫脹のある患者さんにおいては側頸部リンパ節郭清術を行っています 髄様癌に対しては全例甲状腺全摘術と腫瘍側頸部リンパ節郭清術を施行しています 未分化癌 悪性リンパ腫については腫瘍の大きさや進行度を考慮して手術適応を決定しています 甲状腺癌の 場合 外科切除以外の化学療法や放射線治療の効果があまり期待できないため周囲臓器 ( 頸部血管 気管 食道等 ) への浸潤を伴う進行症例に対しても浸潤部位の合併切除を積極的に行い 完全切除となるように努めています 内科的治療 最近 甲状腺分化癌に対してソラフェニブ 甲状腺癌 ( 分化癌 未分化癌含む ) に対してレンバチニブが開発されました いずれも腫瘍が増殖するために必要な血管新生に働く 血管内皮増殖因子受容体 を阻害する分子標的薬となります プラセボ ( 偽薬 ) と比べて 無増悪生存期間 ( 癌が悪化しない時間 ) を伸ばすことが証明されました 基本的には薬のみで根治させることは困難で 手術が不可能であったり ヨード治療の効果がなかったりする症例への適応となります 放射線治療 ( ヨウ素治療 ) [ しくみ ] 正常甲状腺は海藻などの食物に含まれるヨウ素を原料として甲状腺ホルモ 18

Thyroid Cancer ンをつくっています 甲状腺から発生する分化型甲状腺がん ( 乳頭がん 濾胞がん ) も正常甲状腺と同様にヨウ素を取り込む性質を持っています そこで 放射線を出すヨウ素 ( 放射性ヨウ素 131 Ⅰ) を飲んで胃や腸から吸収させ がんに取り込ませると がんの中から放射線を照射して治療を行うことができます これが甲状腺がんに対する放射線治療のしくみです 131 Ⅰから放出される放射線のうち 治療に関与するのはベータ線と呼ばれる種類のものです ベータ線は体内では平均 0. 6mmの距離しか届かず その影響はがんの周囲しか及びません したがって 体の外から放射線を当てる外照射と異なり がんに対してより強い放射線を より集中的 選択的 持続的に照射することができます [ 治療の実際 ] 正常甲状腺が残っていると 131 Ⅰが甲状腺組織に集まりがん病巣に取り込まれにくくなるため 原則甲状腺を全摘している患者さんが対象となります また がんに 131 Ⅰを効率よく取り込ませるため 入院前 1か月間の甲状腺ホルモン剤中止と2 週間のヨウ素摂取制限を行います ただし 一部の患 者さんではタイロゲン ( リコンビナントTSH) を使用してヨウ素治療を行う場合があります その際は甲状腺ホルモン剤の中止は不要ですので 放射線科担当医と良く相談してください 入院後 131 Ⅰの入ったカプセルを複数個飲んでいただきます 飲むのは1 回のみで 後は吸収されてがんに取り込まれるのを待つだけです ただし 131 Ⅰはベータ線と同時にガンマ線も放出します ガンマ線は体の外まで届くので 周囲の人への放射線の影響を避けるために特別につくられた個室にいていただきます 放射能は時間とともに下がり 通常 4 日目以降は部屋の外に出ることが可能となります 九州大学病院では北棟 3 階アイソトープ治療センターに6 室のヨウ素治療用の部屋 ( トイレ付 ) を完備しています 131 Ⅰカプセル服用約 5 日後にシンチグラフィという検査を行い がんにヨウ素が集まっていることを確認します 超音波検査やCT 検査などの各種検査も行い 入院期間は通常 10 日間前後となります 治療はがんへのヨウ素の取り込みが消えるまで 約 1 年間隔で行われます 九州大学病院では 1984 年度からヨウ素治療を施行しています のべ患者 19

甲状腺がん 数は近年増加傾向です ( 図 ) 140 120 100 80 60 40 20 0 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 [ 副作用そのほか ] 大きく2 種類の副作用が知られています ひとつは甲状腺ホルモン剤を中止することによって生じる甲状腺機能低下症状です 倦怠感 むくみ 体重増加 体温低下などの症状が出現しますが 治療後にホルモン剤を再開する と次第に改善します もうひとつは 比較的高いレベルの放射線を浴びることによって起きるもので 嘔気などの放射線宿酔 首のまわり ( 唾液腺 ) の腫脹や痛み 味覚障害や唾液分泌障害などです ほとんどが一時的なものですが ヨウ素治療を何度も繰り返した患者さんでは味覚障害や唾液分泌障害が残る場合もあります この治療により脱毛が起きることはありません 胎児への影響から妊婦や妊娠の可能性のある女性にはこの治療を行えません また 授乳中の女性は断乳していただかなければなりません しかし この治療が原因で不妊が生じることはありません 20

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