/7/ 目次 第 3 回講義資料 I. 一成分系の熱力学の復習 II. III. 化学ポテンシャルの導入 相平衡 I. 成分溶液の混合. 化学平衡多成分系の熱力学への拡張と幾つかの基本的な熱力学の問題への応用 I. 一成分系の熱力学の復習. 熱力学の第一法則と第二法則. カルノーサイクル 3. エントロピー 4. 自由エネルギー 5. 熱力学ポテンシャルとマクスウェルの関係式 熱力学の応用にとって最も重要な役割を果たすのが熱力学ポテンシャルであり 特にギブスの自由エネルギーが最小になる平衡条件がよく利用される 温度と圧力を変数とするので現実の系を取り扱う場合に最も便利. 熱力学の第 法則と第 法則. カルノーサイクルと熱効率 熱力学の第 法則 エネルギー保存則ー力学系の普遍的原理 内部エネルギーの増加 du は系が受け取る熱量 d Q と外界から受けた仕事 d W の和となる du = d Q + d W 熱力学の第 法則 熱の不可逆性をあらわす原理 熱は高温から低温へ流れるがその逆は自発的には起こらない 熱の質 : 高温熱源の熱 > 低温熱源の熱 熱を全て仕事に変換することは出来ない 一方 仕事は全て熱に変換できる カルノーサイクル : 等温準静過程と断熱準静過程からなる熱サイクル 可逆過程のみからなるサイクル 最大の熱効率となるのは全てが可逆過程からなるカルノーサイクルの時である Q Q 熱効率を上げるための条件. 高温熱源の温度を高くする. 可逆サイクルに近づける 低温熱源への熱の流出を避ける 3. エントロピー d ' Q エントロピーの定義 : d ev AB d ' Q 参考 で : 熱力学の第 3 法則 断熱系においてエントロピーは常に増大する : ev 4. 自由エネルギー 系から取り出せる最大仕事 定温 定積での自発的変化 ヘルムホルツの自由エネルギー F U ΔF F 凸関数 が極小値 = 最小値 の時に平衡 F = 準静等温操作の時に系が外部にする仕事 最大仕事 断熱系における自発的変化の方向はエントロピーが増大する方向であり エントロピー が極大値 = 最大値 : 凹関数の性質から をとる位置で平衡が達成される 断熱系ではない系 : 新たな熱力学関数 自由エネルギー の導入による平衡条件の決定が可能 定温 定圧での自発的変化 一般的な条件下 ギブスの自由エネルギー U P Δ 凸関数 が極小値 = 最小値 の時に平衡 = 等圧過程の場合に系が外部にする 非膨張の 最大仕事
/7/ 熱力学ポテンシャルとマクスウェルの関係式 du = d d d = d + d df = d d d = d + d 熱力学ポテンシャルとその微分型 マクスウェルの関係式状態変数の組に応じて対応する熱力学ポテンシャルが存在エントロピーは圧力 体積 温度に並ぶ基本的な状態変数である 参考 d = は断熱可逆変化 一成分の閉じた系 II. 化学ポテンシャルの導入. 多成分系の熱力学. 部分モル量の定義と化学ポテンシャルの導入 成分系 3. ギブスの自由エネルギーと化学ポテンシャル 4. 部分モル量の物理的解釈 部分モル体積を用いて 5. 化学ポテンシャルと開いた系の熱力学ポテンシャル. 多成分系の熱力学. 部分モル量の定義と化学ポテンシャルの導入 成分系 3. ギブスの自由エネルギーと化学ポテンシャル 4. 部分モル量の物理的解釈 部分モル体積を用いて 5. 化学ポテンシャルと開いた系の熱力学ポテンシャル化学ポテンシャルは熱力学ポテンシャルの部分モル量として定義される. 多成分系の熱力学. 物質の相平衡 第 回講義 6/8. 溶液の混合 第 回講義 7/5 3. 化学平衡 第 3 回講義 7/ 系全体のギブスの自由エネルギー =- を最小にする方向へ自発的変化は進む 温度と圧力を制御 多成分系では各成分 の物質量 を明示的に熱力学変数として含め 今までの 成分系の熱力学の式に新たな熱力学量である化学ポテンシャルを導入し加える必要がある. 部分モル量の定義と化学ポテンシャルの導入 成分系 d d d d d Y Y 示量性熱力学量 Y=Y に対して部分モル量 Y の定義 : 示強性熱力学量 成分系においてギブスの自由エネルギーの全微分 変数 : d d d d d 化学ポテンシャルは部分モルギブス自由エネルギーとして定義新たに付け加えた項 3. ギブスの自由エネルギーと化学ポテンシャル d d d d 示強性の物理量 の示量性 : 両辺を λ で微分 λ= を代入すると純物質の場合 化学ポテンシャル は単位モル当たりのギブスの自由エネルギー / に等しい ただし 純物質を混合しても 自由エネルギーはそれらの単純な和とはならない 物質量 の変化を考慮に入れた新たな物理量である化学ポテンシャル を導入する が状態変数 4. 部分モル量の物理的解釈 部分モル体積を用いて x 成分系の場合部分モル体積 を用いると全体の体積 は 種類の溶液を混合すると 最終的な体積は純粋な溶液の体積の和には等しくならない それぞれのモル数 実際にはモル分率 に応じた部分モル体積を用いて上記の式で計算モル分率
/7/ 5. 化学ポテンシャルと開いた系の熱力学ポテンシャル III. 相平衡 d d d df d d d du d d d d F d d d d 相転移や化学反応など成分間で物質量の変化がない閉じた系 d = では化学ポテンシャルの項はゼロとなる U. 純物質の相転移. 相平衡の条件 3. 化学ポテンシャルの圧力依存性 4. 化学ポテンシャルの温度依存性 5. 転移エンタルピー 6. クラペイロンの式 相境界線上の勾配 7. 気相との相境界線 クラジウスークラペイロンの式 化学ポテンシャルは物質量 の微小変化に対する熱力学ポテンシャルの変化の割合を表している. 純物質の相転移 純物質の相転移 気体液体固体 液体や固体では複数の相もあり得る Uva > Ulq > Usol 液固平衡で固体が安定とは限らない 相図 温度 と圧力 を制御する一般的な条件下での相の状態を示す図 ギブスの自由エネルギーの応用 物質量の変化に伴うエネルギー変化を考慮に入れた熱力学ポテンシャルが必要 化学ポテンシャルの導入. 相平衡の条件 相 と相 が互いに平衡にある 相からなる系を考える この時のギブスの自由エネルギーは = + で与えられる ここで を一定に保ったまま相 から相 に d だけ移動したとすると d d d d d d d = = = 平衡条件 = : 化学ポテンシャルはその系全体で常に等しい 3. 化学ポテンシャルの圧力依存性 4. 化学ポテンシャルの温度依存性 気相 単位モル当たりの体積 モル体積 化学ポテンシャル ー圧力 曲線 凝縮相 理想気体では =R/ 凝縮相 液相 o 固相 では は非常に小さい 高圧になると は小さくなる 常温常圧で気体の分子を加圧だけで液化するのは困難 純物質では は単位モル当たりのギブスの自由エネルギーであることから 化学ポテンシャル ー温度 曲線 固相 液相 b 気相 単位モル当たりのエントロピー モルエントロピー gas> lq> sol それぞれの相での化学ポテンシャル曲線が交わる点で相転移が起こる 転移温度では は一意に決まらない 3
/7/ 5. 転移エンタルピー 6. クラペイロンの式 相境界線上の勾配 ts : 相転移における転移温度でのエンタルピー変化 : 定圧下の転移熱 標準転移エンタルピー : 標準状態でのモル当たりのエンタルピー変化 相転移は可逆過程 転移温度に無限小の温度変化を加えることで相転移の向きを変えることが可能 d ' Qev ts ts 相転移のエントロピー変化を 実測値から計算できる ts 圧力 ba= 5 Pa で純粋な形にある状態 以前は at 相転移における吸熱または発熱量ー等圧過程でのエンタルピー変化発熱過程 :< 吸熱過程 : 相境界線 相 d d d 相 純物質の 相境界線上では常に = でありこの境界線上を +d +d で変化させると d =d となることから d d d d ts d d d d d ts ts ts ts クラペイロンの式 モルエントロピー モル体積 純物質の化学ポテンシャル 例 クラペイロンの式 例 氷の圧力.at での融点 通常融点 における d/d を求めよ 氷のモル融解エンタルピーは 73.5K at で 6.kJ/ol この時の融解によるモル体積の変化は -.63c 3 /ol である また圧力 at での氷の融点を求めよ ただしモル融解エンタルピーとモル体積の変化は圧力に依存しないとする 3 d ts 73.5 K.63 / ol d ts 6 J / ol 8 5 7.48 K / Pa 7.48.35 Pa / at 3 7.56 K / at at では = -7.5K より氷の融点は 73.5-7.5 = 65.6 K 8 7. 気相との相境界線 クラジウスークラペイロンの式 気体のモル体積 >> 液体や固体のモル体積となるので d va Pva 理想気体の場合 d R d d g d l d va l R va R クラジウスークライペイロンの式 モル蒸発エントロピー va が温度に依存しなとして積分すると より僅かに低い温度では圧力を上げると氷は溶け出すー水の特異性 測定値 63.7K ある点 でのモル蒸発エンタルピーがわかると別の温度 での蒸気圧 を見積もることができる 例 クラジウスークラペイロンの式 例 相図 : 水の相図 例 水の. at での沸点 通常沸点 を 373K でとした時 36K で水が沸騰する時の圧力はいくらか ここで水の蒸発熱を 4.7kJ/ol で温度によらないとする 気相 液相は一種類しかないが固相には様々な種類が存在する va l R at 4.7 kj / ol l.877. at 8.34 J / Kol 365 K 373 K.75 at 測定値.746 at 圧力が低くなると水の沸点は低下する 三重点 固液境界線 蒸気圧曲線 気液平衡 非常に急な負の勾配 : 体積変化が非常に小さい 蒸気圧が大気圧に等しい温度が沸点 4
/7/ I. 成分溶液の混合 本章の流れ. 理想気体の混合. 化学ポテンシャル. 混合のギブスの自由エネルギー 3. 混合エントロピーとエンタルピー 4. 化学ポテンシャル. 理想溶液の混合. 理想溶液とラウールの法則. ラウールの法則と蒸気圧のモル分率依存性 3. ヘンリーの法則と理想希薄溶液 3. 非理想溶液の混合. 溶媒の化学ポテンシャルと活量. 溶質の化学ポテンシャルと活量 3. 希薄溶液の束一的性質. 希薄溶液の蒸気圧降下. 沸点上昇 3. 凝固点降下 理想気体の化学ポテンシャルと混合のギブスの自由エネルギー 理想液体の化学ポテンシャルと混合のギブスの自由エネルギー理想気体との類似性を利用して理想液体を定義する 3 非理想溶液の化学ポテンシャルと混合のギブスの自由エネルギー活量の導入 理想液体からのずれ 理想希薄溶液の場合蒸気圧降下 沸点上昇と凝固点降下. 理想気体の化学ポテンシャル 純物質の化学ポテンシャル : Δ d R R R l 標準状態の圧力を =ba その時の化学ポテンシャル 標準化学ポテンシャル を とすると理想気体の化学ポテンシャルは R l / = /. 理想気体の混合のギブス自由エネルギー 種類の理想気体を混合する時 混合前のギブスの自由エネルギー は R l / R l / 混合後のギブスの自由エネルギー はそれぞれの分圧を とすると R l / R l / = + : 定圧変化 種類の理想気体の混合を考える = + 混合によるギブスの自由エネルギー x は x R l R l R x l x x l x = + x = / モル分率.3 理想気体の混合エントロピーと混合エンタルピー 混合エントロピー x は x x R x l x x l x x > : エントロピーは増加 混合エンタルピー x は =- の関係より x エンタルピーは一定混合する気体分子間に相互作用はない混合による体積変化 x は が に依存しないことから x 体積変化はない 理想気体の混合は純粋にエントロピーの変化のみにより達成される過程 エネルギー変化は無し.4 理想気体の混合の化学ポテンシャル 混合後のギブスの自由エネルギー は l x R l / R l / R l x x とあらわされることから 化学ポテンシャルは l x l x R l / R l x R R l / R l x 星印 astesk は純物質の量を示す記号したがって各成分の化学ポテンシャルは R l x R l / と書き下すことができる ここで は純粋な気体 の化学ポテンシャルである 5
/7/. 理想溶液 混合の理想気体と同じ式が使える溶液 理想混合溶液では化学ポテンシャルは R l x x x で表される ただし は純物質のときの化学ポテンシャル R x l x x l x R x l x x l x x x この時の混合のギブスの自由エネルギー エントロピー エンタルピー 体積変化はそれぞれ となる ラウール Raoult の法則 気相で理想気体を仮定 理想溶液とラウール Raoult の法則 一定の温度と圧力 で成分 からなる理想溶液が その気相と平衡にあり 気相では各成分が理想気体としてふるまうとする 平衡条件は各成分の化学ポテンシャルが気相と液相で等しいことである g = l R l / g l R l l l R l x g l 理想気体 理想溶液 l l / R l x ここで純粋な 成分の時の液体と気体の平衡を考えると x l R l / 理想気体 g g + = l l 溶液のある成分 の蒸気圧と純粋な液体 の蒸気圧の比は溶液中のモル分率に比例する ラウールの法則 理想溶液の定義のつ. ラウールの法則と蒸気圧のモル分率依存性.3 ヘンリーの法則と理想希薄溶液 x l ラウールの法則が成り立つ場合の 成分系での蒸気圧曲線とモル分率の関係 ベンゼン メチルベンゼンの混合系 よく似た液体の混合の場合ラウールの法則が良く成り立つ 理想溶液 C アセトン混合系 ラウールの法則から大きくずれている 非理想溶液 希薄溶液の場合 x x : 成分 ー溶媒成分 ー溶質 溶質の蒸気圧はモル分率に比例するがその傾きはラウールの法則とは異なる = k x ヘンリー ey の法則 C と C 3 O C の混合溶液における蒸気圧曲線 溶質がヘンリーの法則に従い 溶媒がラウールの法則に従う混合溶液 理想希薄溶液 理想希薄溶液では溶媒は純粋な液体とほぼ同じ状態であるのに対して 溶質は全く異なる環境下にあり ラウールの法則には従わない 3. 非理想溶液の溶媒の化学ポテンシャルと活量 3. 溶質の化学ポテンシャルと活量 実在溶液の溶媒の化学ポテンシャル R l a a : 活量 理想溶液では a =x 活量 : 理想溶液からのずれを表す量 純物質では常に 純物質 x = と混合溶液 x での蒸気圧を とすると これらが理想気体の式を満足するとすれば 気液平衡の条件から液体の化学ポテンシャルは気体の化学ポテンシャルに等しいので =ba として省略 R l この両式の差をから R l R l / 純物質混合溶液 a = / 活量は実験的に簡単に決定できる 理想溶液におけるモル分率が実在溶液の活量に相当する 実効モル分率 a 理想希薄溶液 : ヘンリーの法則 =Kx が成立 R l / R l K / R l R l K / R l x R l a とおくと 標準化学ポテンシャルの変更 理想希薄溶液の溶質の化学ポテンシャル b 実在溶液 : モル分率 x を活量 a に置き換える a = /K 活量は実験的に決定できる量 x 6
/7/ 希薄溶液の束一的性質 3.3. 希薄溶液の蒸気圧降下 束一的性質 : 蒸気圧の降下 沸点上昇 凝固点降下 浸透圧など溶質数のみに依存し 溶質の種類に依存しない性質のこと 溶質の存在のために化学ポテンシャルが減少することに起因する 理想希薄溶液の蒸気圧降下 溶媒 に不揮発性溶質 を少量加えた時の蒸気圧降下はラウールの法則より x l 溶質が蒸気にも固体中にも現れない場合 気体と固体の化学ポテンシャルは変化しないが 液体の化学ポテンシャルを低下 安定化 純溶液と希薄溶液の状態を表す - 相図 x x 溶質の種類によらずそのモル分率のみに依存する 沸点上昇 凝固点降下 今後の議論では理想希薄溶液を用いる 参考 一般の溶液の場合 x a で活量の実験的決定に用いられる 3.3. 理想希薄溶液の沸点上昇 沸点上昇 : 不揮発性溶質を微量付加したときの理想希薄溶液の沸点上昇溶液中の溶媒の化学ポテンシャル l は純溶媒の蒸気の g に等しい l g R l x g l l x 純物質では化学ポテンシャルは単位モ R ル当たりのギブスの自由エネルギー ギブス ヘルムホルツの式より g l l x va R R va : モル蒸発熱 ここで x +x = x ~ x ~ であることから l x l x x b x va va va b x x' R R b b ~ b b R b b 沸点上昇 b = b - b は溶質の種類によらずモル分率に比例する 3.3.3 理想希薄溶液の凝固点降下 凝固点降下 : 析出する固相が純溶媒からなる場合の凝固点降下 溶液中の溶媒の化学ポテンシャル l は純溶媒の固相の s に等しい l s R l x s l l x us : モル融解熱 R R us ここでギブス ヘルムホルツの式を再び使った さらに積分を行って x x x' us R us R R us 凝固点降下 - = - は溶質の種類によらずモル分率に比例する ~ 参考 質量モル濃度を用いた沸点上昇と凝固点降下 質量モル濃度 溶媒 kg 当たりの溶質のモル数溶媒のモル質量をM g/ol とすると溶質のモル分率 x は x M M したがって沸点上昇および凝固点降下は溶質の質量モル濃度 を使ってそれぞれ次のように表すことができる Rb M b K b va K b : 沸点上昇定数 R M K us K : 凝固点降下定数 7
/7/. 化学反応と化学平衡 概論 : 化学反応と化学平衡. 化学反応における熱力学量. 標準反応エンタルピー. ヘスの法則 3. 標準生成エンタルピー 4. 反応エンタルピーの温度依存 5. 標準エントロピーと標準反応エントロピー 6. 標準反応ギブス自由エネルギー. 化学平衡. 反応進行度と化学平衡. 反応系でのギブスの自由エネルギー変化 3. 化学平衡の条件 4. 平衡定数と濃度平衡定数 5. 平衡に対する外部条件の影響 6. 平衡定数の温度変化 化学反応 : A B 反応物 生成物 aa+bb+cc+ a A +b B +c C + A または は反応物が負 生成物が正の値 等温等圧変化では 化学平衡は全ギブス自由エネルギー が最小となる場所で達成される = - エネルギーの安定化 エンタルピー変化 とエントロピーの増加の両者のバランスで決定 熱力学では化学変化の方向についての知見は得られるが反応の速度に関する情報は得られない 化学反応速度論での課題. 標準反応エンタルピー. ヘス ess の法則 標準反応エンタルピー 標準反応熱 指定された温度の標準状態 =ba で純粋な生成物と反応物のエンタルピーの差 生成物 - 反応物 ー定圧変化での反応熱 < : 発熱反応 例 5 98.5K でのC 4 g 分子の燃焼反応では C4g Og COg Ol 89.4 kj/ol エンタルピー C4g Og 89.4 kj/ol > : 吸熱反応 COg Ol ある反応が複数の反応へ分割できれば全体の反応エンタルピーは個々の反応の反応エンタルピーの和で表される ヘスの法則 例 Cs Og COg.5 kj/ol + COg Og COg 83. kj/ol Cs Og COg.5 83. 393.5kJ/ol 393.5kJ/ol Cs Og.5kJ/ol 代数方程式のように計算可能 COg Og 83.kJ/ol CO g.3 標準生成エンタルピー 標準生成エンタルピー 標準生成熱 分子 モルを 分子を構成する元素の単体から生成させる場合に必要な反応熱のこと ただし全ての反応物と生成物は標準状態にある 例 5 98.5K での Ol 分子の は g Og Ol 85.83 kj/ol 任意の反応は元素単体への分解と元素単体からの生成物の組み立ての 段階に分けることができる 任意の標準反応エンタルピー は となる 生成物 ヘスの法則 反応物 エンタルピー 元素単体 反応物 生成物 例 標準反応エンタルピーの計算 化合物 kj/ol CO g -393.5 標準生成エンタルピーの表 O l -85.83 任意の反応の標準反応エンタルピー C g 6.73 反応 C g 5O g 4CO g Ol において標準反応エンタルピーは 4 CO g Ol C g 5 O g 4 393.5 85.83 6.73 5 599.6kJ/ol と計算できる 8
/7/.4 反応エンタルピーの温度依存性 C C d o C d C C 生成物 C 反応物 の関係より キルヒホッフの法則 ここで C はそれぞれの物質の標準状態での定圧モル熱容量で C は標準状態で生成物と反応物の定圧モル熱容量に 化学方程式に現れる量論数 の重みをかけたものの差に対応する 例 5 で g Og Og Δ -48. kj/ol を考える での Og の標準生成反応エンタルピーを求めよ ここで Og g O g の定圧モル熱容量はそれぞれ33.58 8.84 9.37 J/Kol である 解 33.58 8.84 9.37 9.945 J/Kol 3 373.5K 4.8 75K 9.945 4.57 kj/kol.5 標準エントロピーと標準反応エントロピー 標準エントロピー : 標準状態での純物質のエントロピー =K= 物質が で融解し b で沸騰すると 沸点以上の温度での標準エントロピーは K C s us d b C l va d 生成物 b b 反応物 C g d 標準反応エントロピー 標準状態で純粋な反応物と生成物のモルエンタルピーの差 生成物 - 反応物 反応 A B 標準反応エンタルピー も標準反応エントロピー も実験的に決定できる物理量 反応のギブス自由エネルギーも実験的に決定可能.6 標準反応ギブス自由エネルギー それぞれの温度 で標準反応ギブス自由エネルギー は標準反応エンタルピー および標準反応エントロピー を用いると = ー 標準生成ギブス自由エネルギー 標準状態の分子 モルを 標準状態にある分子を構成する元素の単体から生成させる場合に必要なギブスの自由エネルギーのこと 反応 標準生成エンタルピーと標準エントロピーから計算できる A B 生成物 反応物. 反応進行度と化学平衡 化学反応 : aa+bb+cc+ a A +b B +c C + 各成分モル数 A B の変化 d A d B は反応進行度 ol を用いて da db da' db' d a b a' b' a' b' [A'] [B'] K a b [A] [B] 一般の化学反応 : 反応物 生成物 化学平衡に達した際 各成分の濃度 [A] [B] [A ] [B ] の間には d d c K c は平衡定数 各成分の濃度に依存しない 濃度平衡定数 A は反応物が負 生成物が正の値とする K c 一般化 [ A ]. 反応系でのギブスの自由エネルギー変化 定温定圧で反応系のギブスの自由エネルギーの微小変化 d は d d Δ d 全ての反応物 生成物が理想気体の場合 Δ Δ R l Q : 反応ギブス自由エネルギー Δ R l / o Q / : 標準反応ギブス自由エネルギー 生成物と反応物の標準モルギブスエネルギーの差 参 実在溶液 気体 の場合は Q は活量 またはフガシティ の関数となる o R l a 無次元量 Q a.3 化学平衡の条件 平衡の条件 d = より この時の Q を平衡定数 K 無次元 とすれば R l K K ex Δ R K / Δ 平衡定数 K は温度のみに依存する関数である 熱力学的平衡定数 反応の進行に伴い反応物と生成物の組成が変化し それぞれの成分の化学ポテンシャルも変化する 全系のギブスの自由エネルギー も変化 が最小値をとる時に平衡 9
/7/.4 平衡定数と濃度平衡定数 理想気体において各成分の濃度 c は分圧 を用いて K / c R / R / c K K R C / = /R = c R で表される したがって平衡定数 K と濃度平衡定数 K c の間には の関係がある ここでK は温度のみに依存する関数なので K c も温度のみの関数となる ここで c = /R とすると c K c 例 平衡定数の計算 アンモニアガス N 3 の98Kでの標準生成ギブス自由エネルギーは-6.5kJ/ol である この時 次の反応 N g + 3 g N 3 g の平衡定数を計算せよ 解答 この反応の標準反応ギブス自由エネルギー は したがって N g N g 3 g 3 6.5 3 33. kj/ol 3 33. J/ol l K 8.345 J/Kol 98 K 5 K 6.9.5 平衡に対する外部条件の影響 ル シャトリエ Le Chatele の原理平衡にある系の状態量のつを変化させると その変化による影響をなるべく小さくする方向に平衡が移動する.6 平衡定数の温度変化 ギブス ヘルムホルツの式 K Δ 平衡定数の式 l R Δ より は次の関係を満たす 例 圧力が増加する時は系全体の体積が減少する方向へ平衡がずれる 例 温度が上昇すると吸熱方向に平衡がずれる d l K d R 両辺を積分して ファント ホッフの式 例 N g + 3 g N 3 g 98K= ー 9. kj/ol 温度が上昇すると平衡は左にずれ 圧力が上昇すると平衡は右側にずれる K l K d R R ここで この温度範囲では が温度に依存せず一定と仮定した