Taro [県・動検版] Schmall

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蚊を介した感染経路以外にも 性交渉によって男性から女性 男性から男性に感染したと思われる症例も報告されていますが 症例の大半は蚊の刺咬による感染例であり 性交渉による感染例は全体のうちの一部であると考えられています しかし 回復から 2 ヵ月経過した患者の精液からもジカウイルスが検出されたという報告

学位論文要旨 牛白血病ウイルス感染牛における臨床免疫学的研究 - 細胞性免疫低下が及ぼす他の疾病発生について - C linical immunological studies on cows infected with bovine leukemia virus: Occurrence of ot

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

B 農場は乳用牛 45 頭 ( 成牛 34 頭 育成牛 7 頭 子牛 4 頭 ) を飼養する酪農家で 飼養形態は対頭 対尻式ストール 例年 BCoV 病ワクチンを接種していたが 発生前年度から接種を中止していた 自家産牛の一部で育成預託を実施しており 農場全体の半数以上の牛で移動歴があった B 農場

Taro-19増田

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b-platz press(ビープラッツ プレス)vol120

後などに慢性の下痢をおこしているケースでは ランブル鞭毛虫や赤痢アメーバなどの原虫が原因になっていることが多いようです 二番目に海外渡航者にリスクのある感染症は 蚊が媒介するデング熱やマラリアなどの疾患で この種の感染症は滞在する地域によりリスクが異なります たとえば デング熱は東南アジアや中南米で

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も 医療関連施設という集団の中での免疫の度合いを高めることを基本的な目標として 書かれています 医療関係者に対するワクチン接種の考え方 この後は 医療関係者に対するワクチン接種の基本的な考え方について ワクチン毎 に分けて述べていこうと思います 1)B 型肝炎ワクチンまず B 型肝炎ワクチンについて

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E301. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 イ ヘパリンナトリウム ( 緑 ) 血液 5 ml 全血 検体ラベル ( 単項目オー


2017 年 3 月臨時増刊号 [No.165] 平成 28 年のトピックス 1 新たに報告された HIV 感染者 AIDS 患者を合わせた数は 464 件で 前年から 29 件増加した HIV 感染者は前年から 3 件 AIDS 患者は前年から 26 件増加した ( 図 -1) 2 HIV 感染者

第 7 回トキ飼育繁殖小委員会資料 2 ファウンダー死亡時の対応について ( 案 ) 1 トキのファウンダー死亡時の細胞 組織の保存について ( 基本方針 ) トキのファウンダーの細胞 組織の保存は ( 独 ) 国立環境研究所 ( 以下 国環研 ) が行う 国環研へは環境省から文書

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検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 P EDTA-2Na( 薄紫 ) 血液 7 ml RNA 検体ラベル ( 単項目オーダー時 ) ホンハ ンテスト 注 外 N60 氷 MINテイリョウ. 採取容器について 0

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PowerPoint プレゼンテーション

別紙 1 新型インフルエンザ (1) 定義新型インフルエンザウイルスの感染による感染症である (2) 臨床的特徴咳 鼻汁又は咽頭痛等の気道の炎症に伴う症状に加えて 高熱 (38 以上 ) 熱感 全身倦怠感などがみられる また 消化器症状 ( 下痢 嘔吐 ) を伴うこともある なお 国際的連携のもとに

免疫学的検査 >> 5E. 感染症 ( 非ウイルス ) 関連検査 >> 5E106. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤

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Microsoft PowerPoint 最近の性感染症の動向

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ワクチンの研究開発促進と生産基盤確保

Microsoft Word - ☆【HP】ベルギー制度調査-2

検査項目情報 インフルエンザウイルスB 型抗体 [HI] influenza virus type B, viral antibodies 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F410 分析物 インフルエン

検査項目情報 水痘. 帯状ヘルペスウイルス抗体 IgG [EIA] [ 髄液 ] varicella-zoster virus, viral antibody IgG 連絡先 : 3764 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10) 5F

(CREST) 科学的発見 社会的課題解決に向けた各分野のビッグデータ利活用推進のための次世代アプリケーション技術の創出 高度化 ( 研究総括 : 北海道大学田中譲 ) における研究課題 大規模生物情報を活用したパンデミックの予兆, 予測と流行対策策定 ( 研究代表者 : 西浦博 ) の一環として行

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免疫学的検査 >> 5F. ウイルス感染症検査 >> 5F560. 検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 検体ラベル ( 単項目オーダー時

節足動物媒介性感染症 昆虫やダニなどの ( 主に吸血性の ) 節足動物が媒介する感染症の総称 細菌 Q 熱 ツツガムシ病 日本紅斑熱 原虫マラリア リューシュマニア トリパノソーマ症 糸状虫フィラリア症 ( オンコセルカ 象皮症 ) ウイルスデング熱 ジカウイルス 日本脳炎 重症熱性血小板減少症候群

ウルグアイからの生鮮牛肉の輸入に係るリスク評価報告書 ( 案 ) 概要 平成 30 年 3 月 22 日消費 安全局動物衛生課 Ⅰ 経緯 1. ウルグアイは かつては口蹄疫非接種清浄国として OIE に認定されていたが 2000 年の口蹄疫の発生を受け ワクチン接種による防疫手法に切り替え 2003

顎下腺 舌下腺 ) の腫脹と疼痛で発症し そのほか倦怠感や食欲低下などを訴えます 潜伏期間は一般的に 16~18 日で 唾液腺腫脹の 7 日前から腫脹後 8 日後まで唾液にウイルスが排泄され 分離できます これらの症状を認めない不顕性感染も約 30% に認めます 合併症は 表 1 に示すように 無菌

DOCSIS 3.0( 単独 ) LTE WiMAX 衛星ブロードバンド 各技術を統合した算出基準 : ブロードバンド総合カバレッジ - 衛星ブロードバンドを除いた上記の接続技術を対象 固定ブロードバンド総合カバレッジ - 衛星 HSPA LTE を除いた上記の接続技術を対象 NGA カバレッジ -

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糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

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最近の動物インフルエンザの発生状況と検疫対応

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検査項目情報 トータルHCG-β ( インタクトHCG+ フリー HCG-βサブユニット ) ( 緊急検査室 ) chorionic gonadotropin 連絡先 : 基本情報 ( 標準コード (JLAC10) ) 基本情報 ( 診療報酬 ) 標準コード (JLAC10)

東邦大学学術リポジトリ タイトル別タイトル作成者 ( 著者 ) 公開者 Epstein Barr virus infection and var 1 in synovial tissues of rheumatoid 関節リウマチ滑膜組織における Epstein Barr ウイルス感染症と Epst

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 5. 免疫学的検査 >> 5G. 自己免疫関連検査 >> 5G010. 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク

検査項目情報 1171 一次サンプル採取マニュアル 4. 内分泌学的検査 >> 4F. 性腺 胎盤ホルモンおよび結合蛋白 >> 4F090. トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブユニット ) トータル HCG-β ( インタクト HCG+ フリー HCG-β サブ

検体採取 患者の検査前準備 検体採取のタイミング 記号 添加物 ( キャップ色等 ) 採取材料 採取量 測定材料 F 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 青 細 ) 血液 3 ml 血清 H 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( ピンク ) 血液 6 ml 血清 I 凝固促進剤 + 血清分離剤 ( 茶色 )

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2)HBV の予防 (1)HBV ワクチンプログラム HBV のワクチンの接種歴がなく抗体価が低い職員は アレルギー等の接種するうえでの問題がない場合は HB ワクチンを接種することが推奨される HB ワクチンは 1 クールで 3 回 ( 初回 1 か月後 6 か月後 ) 接種する必要があり 病院の

3-2 全国と札幌市の定点あたり患者報告数の年平均値流行状況の年次推移を 全国的な状況と比較するため 全国と札幌市の定点あたり患者報告数の年平均値について解析した ( 図 2) 全国的には 調査期間の定点あたり患者報告数の年平均値は その年次推移にやや増減があるものの大きな変動は認められなかった 札

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ファクトシート 作成日 : 平成 23 年 11 月 24 日 エルシニア症 (Yersiniosis) 1 エルシニア症とは エルシニア症は Yersinia 属菌の中で一般的に食中毒菌として知られる Yersinia enterocolitica と仮性結核菌として知られる Yersinia p

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医薬品タンパク質は 安全性の面からヒト型が常識です ではなぜ 肌につける化粧品用コラーゲンは ヒト型でなくても良いのでしょうか? アレルギーは皮膚から 最近の学説では 皮膚から侵入したアレルゲンが 食物アレルギー アトピー性皮膚炎 喘息 アレルギー性鼻炎などのアレルギー症状を引き起こすきっかけになる

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Bull. Nagano Environ. Conserv. Res. Inst. No.8(2012) 3. 結果および考察 3.1 長野県における手足口病患者およびヘルパンギーナ患者からのエンテロウイルス検出状況 手足口病患者およびヘルパンギーナ患者 67 検体のうち, が 45 株 (67 %

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ルガリアが該当し とくにフランスが飛び抜けている 日本では過去の問題とされているが 患者の発生状態は正確に把握されていない 以下はこの報告書からの抜粋である 要旨ヒト : 4 年の EU における先天性トキソプラズマ症のデータはこの報告書には含まれないが データは ECDC 発生動向調査アトラス (

診療のガイドライン産科編2014(A4)/fujgs2014‐114(大扉)

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02別添:日本脳炎ワクチン接種に関するQ&A[H28.3月版]

豚繁殖 呼吸障害症候群生ワクチン ( シード ) 平成 24 年 3 月 13 日 ( 告示第 675 号 ) 新規追加 1 定義シードロット規格に適合した弱毒豚繁殖 呼吸障害症候群ウイルスを同規格に適合した株化細胞で増殖させて得たウイルス液を凍結乾燥したワクチンである 2 製法 2.1 製造用株

症候性サーベイランス実施 手順書 インフルエンザ様症候性サーベイランス 編 平成 28 年 5 月 26 日 群馬県感染症対策連絡協議会 ICN 分科会サーベイランスチーム作成

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現在にいたっております その結果 現在 HPVワクチンは定期接種でありながら 接種対象となる12 歳から16 歳の女子に対する接種がほとんど行われていないのが現状です このような状況は先進国では日本だけで見られていることであり 将来 子宮頸がんの発症が他国に比べて著しく高くなるというような事態が起き

3.2013/14シーズンのインフルエンザアップデート(12/25現在)

肝臓の細胞が壊れるる感染があります 肝B 型慢性肝疾患とは? B 型慢性肝疾患は B 型肝炎ウイルスの感染が原因で起こる肝臓の病気です B 型肝炎ウイルスに感染すると ウイルスは肝臓の細胞で増殖します 増殖したウイルスを排除しようと体の免疫機能が働きますが ウイルスだけを狙うことができず 感染した肝

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2017 年訪日外客数 ( 総数 ) 出典 : 日本政府観光局 (JNTO) 総数 2,295, ,035, ,205, ,578, ,294, ,346, ,681, ,477

情報提供の例

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妊婦の推定感染経路 2 番目は 妊婦さんの推定感染経路です 2011 年は中国 ベトナムなど海外で感染した夫や本人です 海外からの感染に注意が必要でした ところが 2012 年は夫 同僚から妊婦さんへの感染が認められたので 同居家族 同僚のワクチン接種を勧めるよう喚起しました さらに 2013 年に

針刺し切創発生時の対応

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2016 年 12 月 7 日放送 HTLV-1 母子感染予防に関する最近の話題 富山大学産科婦人科教授齋藤滋はじめにヒト T リンパ向性ウイルスⅠ 型 (Human T-lymphotropic virus type 1) いわゆる HTLV-1 は T リンパ球に感染するレトロウイルスで 感染者

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Transcription:

シュマレンベルクウイルス (Schmallenberg virus) 感染症に関する情報 平成 2 4 年 2 月 8 日農林水産省消費 安全局動物衛生課 1. 疾病概要 (1) 罹患動物及び症状 1 牛 2 羊 1 2 3,, : 下痢 高熱(40 超 ) 乳量低下( 最大 50% 低下 ) 食欲不振 上記症状を示すのは数日間 (4 月 ~ 11 月のベクター (( 吸血 ) 昆虫 ) 活動期に上記症状を観察 4 ) 産子異常(2012 年 1 月 20 日以降に確認 ) : 産子異常(2011 年 12 月以降確認 ): 斜頸 ( 頚部の屈曲 ) 側弯( 背骨の屈曲 ) 水頭症 関節拘縮 強直( 関節硬化 ) が見られる奇形子の分娩 出典 DEFRA( 英国環境 食料 農村地域省 ) ( 羊の産子異常 : 関節拘縮 ( 左 ) 関節拘縮 脊柱ねじれ( 右 )) 3 山羊 : 産子異常(2011 年 12 月以降確認 ): 頚部の屈曲 水頭症 関節硬化が見られる奇形子の分娩 羊 山羊において 牛に観察されるような臨床症状 ( 乳量低下 高熱 下痢 ) は これまで観察されていない 4 これまでのところ 牛 羊 山羊において確認されているが 野生の反すう動物での感染状況は不明としている 4 フリードリッヒ レフラー動物衛生連邦研究所は アカバネ病 (*) の産子異常の発症を考えれば 羊においては妊娠 28 ~ 56 日目 牛においては 75 ~ 150 日目に感染が起きているのではないかとしている 4 (* 遺伝子学的に本病ウイルスに近縁 ) ( 妊娠期間は 羊 山羊は平均 150 日 牛は平均 280 日 ( 乳用種 ) オランダ政府は 牛における異常産子のピークを3 月 ~4 月と見積もっている 9 模様 -1-

(2) 確認地ドイツ ( 注 ) オランダ ベルギー 英国及びフランス注 : シュマレンベルクは初めて当該ウイルスが採取 確認された地名 ( ドイツ 2011 年 11 月 18 日 : ニーダーザクセン州 (Land Niedersachsen) シュマーレンベルク (Schmallenberg)) (3) ウイルスの特徴 RT-PCR 法によるこれまでの遺伝子解析上 ブニヤウイルス科オルソブニヤウイルス属のうち Simbu 血清群 ( アイノウイルス アカバネウイルス シャモンダウイルスが含まれる ) に属する新たなウイルスと見られる 1, 2 ドイツの資料 3 によれば Simbu 血清群のうち 特にアカバネウイルス シャモンダウイルスに遺伝子的に近縁とされている ( ドイツのフリードリッヒ レフラー連邦動物衛生研究所は Schmallenberg ウイルスを 欧州シャモンダ様オルソブニヤウイルス "European Shamonda-like orthobunyavirus" とも表現る ) 4 してい ( 参考 ) 右図は CDC のレポート 5 抜粋この中では ヌクレオカプシドの遺伝子比較上 日本で採材されたシャモンダウイルスとの相同性は 97%( 図 A) 実験感染させた牛個体の血清中のウイルス価は 2~5 日で PCR 陽性となり 4 日目にピークを迎えることが記されている ( 図 B) (4) ウイルス感染経路 不明 EUのステートメント 6 は このウイルスは動物から動物へ直接伝播を考えにくいベクター媒介グループに属している しかし 子宮内で母獣から胎児への感染は他の類似ウイルスと同様に成立するとしている -2-

ドイツのフリードリッヒ レフラー動物衛生連邦研究所は 感染は Simbu 血清群と同様に ( 吸血 ) 昆虫 ( ヌカカ及び蚊 ) を介すのではないかとみている 4 : ただし ヌカカ等の虫を含むベクター内で本ウイルスが見つかったとの報告はこれまでない ( 参考 ) 遺伝子的に近縁ウイルスの感染経路 遺伝子的に近縁であるオルソブニヤウイルス ( アカバネウイルス等 ) は ヌカカやイエカ等の ( 吸血 ) 昆虫を媒介者 ( ベクター ) として伝播 なお 遺伝子的に近縁のアカバネ病で実験した場合 実験感染させた牛の回収精液中にアカバネウイルスは確認されなかった 7 (5) ワクチン 現在 利用可能なワクチンはなく 開発中 4 (6) 国際基準等 2011 年 11 月に発生報告が行われた新たな疾病であり OIE 上の規定はない (7) 人への健康上の影響 EUは 本病ウイルスは 遺伝子的には Simbu 血清群 ( シャモンダウイルス アイノウイルス アカバネウイルス ) に近く この Simbu 血清群は 人に疾病を起こすことはない旨 公表 1 2. 確認手法 血清学的手法 ( 抗体検査等 ) は確立していない リアルタイム RT-PCR 法又は ウイルス培養による 4 サンプルは 牛の場合は 臨床症状 ( 発熱 乳量低下 下痢 ) を見せる時期の血 清又は EDTA 処理された血液 死産 流産 胎児の場合は 脳サンプル ( 大脳 小脳 ) ただし 補助的に脾臓及び血液サンプル検査を実施する 4 具体的にはドイツのフリードリッヒ レフラー連邦動物衛生研究所は 本遺伝子 検査に必要となる試薬 サンプルウイルスの提供要請に応じるとしている 8 なお 上記研究所は Schmallenberg ウイルスの遺伝子配列を GenBank に公 表しているが 必要なプライマー情報等はこれまでのところ公表されていない -3-

3. 発生状況 2012 年 2 月 6 日までに ドイツ オランダ ベルギー 英国 フランスの5か国で発生が確認されている 出典 :DEFRA レポート 2012 年 1 月 31 日版 Schmallenberg ウイルス感染症発生状況 (H24.02.06 現在 ) 牛 羊 山羊 総数 頭数 農家戸数 頭数 農家戸数 頭数 農家戸数 頭数 農家戸数 ドイツ 6 2 436 81 11 4 453 87 オランダ 3 2 327 81 5 4 335 87 ベルギー 1 1 27 14 0 0 28 15 英国 0 0 53 11 0 0 53 11 フランス 0 0 29 164 0 0 29 164 総数 10 5 872 351 16 8 898 364 出典 : OIE 通報 -4-

4. 各国のリスク管理措置等 (1) EUの対応状況 2012 年 1 月 11 日 : EU のフード チェーン及び動物の健康に関する常任委員会 (SCoFCAH) において 以下の見解を公表し 本ウイルスが人に病気を起こすことは考えにくいが 完全にそのリスクを除外できない このウイルスが昆虫媒介によって伝播されるものであろう事を考えると この冬季に更なるウイルスの循環が起こることは考えにくい EU 加盟国と欧州委員会は フィールド調査とウイルスの検査を継続する事が必要注 : 牛等の貿易に関する域内規制は講じていない EU 加盟国と欧州委員会は 緊急課題としてサーベイランス指針に係る文書を作成することに同意 1 月 25 日 :EU は (Schmallenberg ウイルスが属すると考えられる )Simbu 血清群のウイルスによる感染症は OIE の通報や貿易に関する規定対象となっておらず これまでの情報からアカバネ病等と同様の対応で良いのではないかとの見解及び EU としては 本病ウイルスに関連し 他のオルソブニヤウイルスと同様に生きた動物 その肉 乳またはその副産物に関して貿易上の規制を 課さないことを公表 9 1 月 31 日 :EFSA は 本ウイルスがここ数か月間にどのように動物で現れるかに関してのシナリオを欧州委員会及び EU 加盟国に短期間内に提出する予定であることを公表 (2) オランダの対応状況 2012 年 12 月 20 日 23 時から報告を義務付け 所有者はオランダ新食品 消費者製品安全庁に報告 脚注 1 欧州疾病予防管理センターレポート (2011 年 12 月 22 日付け ) http://ecdc.europa.eu/en/publications/publications/231112_ter_risk_assessment_schm allenberg_virus.pdf 2 オランダ国立公衆衛生 環境研究所レポート (2011 年 12 月 21 日付け ) http://www.rivm.nl/dsresource?objectid=rivmp:60483&type=org&disposition=inline -5-

3 Standing Committee on the Food Chain and Animal Health (2012 年 1 月 11-12 日における各国政府提出資料 ) ドイツ資料 : http://ec.europa.eu/food/committees/regulatory/scfcah/animal_health/presentat ions/11120112_schallenberg_germany.pdfhttp://ec.europa.eu/food/committees/r egulatory/scfcah/animal_health/presentations/11120112_schallenberg_german y.pdf オランダ資料 : http://ec.europa.eu/food/committees/regulatory/scfcah/animal_health/presentat ions/11120112_schallenberg_netherlands.pdf ベルギー資料 : http://ec.europa.eu/food/committees/regulatory/scfcah/animal_health/presentat ions/11120112_schallenberg_belgium.pdf 4 フリードリッヒ レフラー動物衛生連邦研究所 (Friedrich-Loeffler-Institute) ファクトシート Information on the Friedrich-Loeffler-Institut on 'Schmallenberg virus' (European Shamonda-like orthobunyavirus) Last updated 31 January 2012 http://www.fli.bund.de/fileadmin/dam_uploads/tierseuchen/schmallenberg_virus/schm allenberg-virus-factsheet-20120131-en.pdf 5 Emerging Infectious Disease( 米国疾病管理予防センター ) Novel Orthobunyavirus in Cattle, Europe, 2011, Vol 18, Number 3 (in press) http://wwwnc.cdc.gov/eid/ahead-of-print/article/18/3/11-1905_article.htm#tnf2 6 Statement on the Schmallenberg Virus Situation Issued by the Standing Committee on the Food Chain and Animal Health (ScoFCAH) -11 January 2012 http://ec.europa.eu/food/animal/diseases/schmallenberg_virus/docs/sv_statement_11012 012_en.pdf 7 Experimental infection of bulls with Akabane virus, Res Vet Sci. 1981 Sep; 31(2) :157-60 8 フリードリッヒ レフラー動物衛生連邦研究所プレスリリース (2012 年 1 月 10 日付け ) Information from the Friedrich-Loeffler-Institut on 'Schmallenberg Virus' http://www.fli.bund.de/fileadmin/dam_uploads/tierseuchen/schmallenberg_virus/fli_i nformation_schmallenberg-20120110.pdf 9EUDGSANCO による Schmallenberg virus に関する Information note(2012 年 1 月 25 日付け ) -6-

http://ec.europa.eu/food/animal/diseases/schmallenberg_virus/docs/information_1818_n ote_240112_en.pdf -7-