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第 9 章発光デバイス 半導体デバイスを専門としない方たちでも EL( エレクトロルミネッセンス ) という言葉はよく耳にするのではないだろうか これは電界発光の意味で ディスプレイや LED 電球の基本的な動作原理を表す言葉でもある 半導体は我々の高度情報社会の基盤であることは言うまでもないが 情報端末と人間とのインターフェースとなるディスプレイおいても 今や半導体の技術範疇にある この章では 光を電荷注入により発することができる直接遷移半導体について学び pn 接合を原理とした発光ダイオード レーザーダイオードについて知識を深めていきたい ここでは基礎習得に紙面を割くことにするが 発光デバイスの設計開発にかかわる方 さらに知識を深めたい方は 電磁波工学 量子力学 固体量子力学を別途学んでいただきたい 1. 直接遷移半導体と間接遷移半導体発光ダイオードやレーザーダイオードを構成する半導体は 一部例外はあるものの基本的には直接遷移半導体と呼ばれる材料によって構成される 直接遷移半導体は 図 1に示すように 横軸を電子の波数 縦軸を電子のエネルギーとしたバンド図において 価電子帯の上端と伝導体の下端が同じ波数に位置することを特徴とする エネルギー E 伝導帯光遷移した電子直接遷移価電子帯ホール k 図 1 直接遷移半導体の光吸収過程半導体で価電子が光を吸収するときに エネルギーと運度量の保存がなされなけれ ばならい 価電子の光を吸収する前の波数を ki とし 光吸収をした後の電子の波数を kf とする 光の波数を kp としよう すると 運動量保存の式として ħ ki+ħ kp = ħ kf (1) がなりたつ 波の波数にディラック定数 ħ をかけると運動量となる 波数 k は波長をλとすると 2π/λとなる 一般に結晶格子内の電子の波長は1A 程度であるのに対して 光の波長は 1000A 以上である したがって (1) 式の中で 光の波数 kp は無視できるほど小さい すなわち ki kf が成り立ち 光吸収して遷移する前と後では電子の波数に変化はないことが分かる つまり 直接遷移半導体では バンドギャップに相当する光を吸収すると 電子の波数に変化がおきず 直接 伝導体に遷移できる これを直接遷移という この逆で 伝導帯にある電子は バンドギャップに相当するエネルギーの光を放出して 価電子帯のホールと再結合する これが エレクトロルミネッセンス ( 電界発光 EL と略す ) での発光の原理となる 一方 間接半導体では 価電子帯上端と 122

伝導帯下端が違う波数位置にあるため 励起された電子はフォノンの助けを借りて 伝導帯の下端に遷移する これを間接遷移という フォノンは格子の熱振動が原因であり 室温程度のエネルギーでもフォノンは存在するが 間接遷移による光吸収の確率は価電子の存在確率にフォノンとの遭遇確率がかかるので 直接遷移に比べると低くなる 伝導体の電子は価電子帯のホールを見つけて再結合するわけだが この逆の過程で直接再結合する確率は低く 不純物や格子欠陥のよる準位を通した 間接再結合により再結合する したがって バンドギャップ相当のエネルギーの光が出る確率は非常に低い エネルギー E 遷移した電子光伝導帯 ħω( フォノン ) 価電子帯ホール 表 1に代表的な直接遷移半導体とそのバンドギャップを列挙する 代表的なものは GaAs である これは RF 用高速トランジスタに使われるほか 赤色 LED の材料となる 近年 青色 LED で注目を集めている GaN であるが これは In と混ぜることでバンドギャップを調整でき 青 紫の発光を得ている InSb は赤外センシング用に使われる バンドギャップが小さいため 室温では熱雑音の影響が出てしまうため 液体窒素温度に冷やして 赤外分光装置のディテクタとして使われている CdS は可視光応答の光スイッチとして活用される 発光材料として間接半導体ではあるが 不純物をドープして その作る準位によって発光特性を得るものとして GaP があり 緑の発光ダイオードに使われている このほか 近年注目を集めている発光材料として ZnO などの酸化物半導体がある 様々な材料探索がすすめられているが さまざまな材料元素を合金化させることで 探索の余地はまだまだあり いささか錬金術の感もあるが 今後も新規発光材料のニュースには目が離せない 図 16 間接遷移半導体のエネルギーバンド図 k 2. 発光ダイオード 発光ダイオード (Light Emitting Diode, LED) は 直接遷移半導体でpn 接合を作り 表 1 主要な直接遷移半導体とそのバンドギャップ (300K) 結晶名 バンドギャップ (ev) 結晶名 バンドギャップ (ev) GaAs 1.43 PbS ~0.35 GaSb 0.78 PbSe 0.27 InP 1.35 CdS 2.42 GaN 3.4 CdTe 1.45 InSb 0.18 SnTe 0.18 注入された電子やホールが再結合すると 123

直接再結合をとおして光を得ることを原理としている 繰り返しになるが 間接遷移半導体では 再結合する際に間接再結合をするために発光特性は得られない 図 3に示されるように pn 接合に順バイアスを加えると 接合の障壁が弱まり n 型層から電子が p 型層からホールが反対の層に注入される 注入した電子 ホールが再結合するときにバンドギャップに相当する光が放出される 電子 再結合 n 層 電荷注入 p 層 ホール電荷注入 図 3 発光ダイオードの発光過程 光放出 実際の LED の写真を図 4に示す ここで示されるものは 砲弾型と呼ばれるもので 透明樹脂の内部に LED チップが封入され 頭が丸みを帯びているのは この曲面がレンズの働きをし 光を効率よく取り前方に取り出すための仕組みでもある LED は足が長いほうがアノード ( 正極 ) 短い方がカソード ( 負極 ) である 図 5に LED の典型的な電圧電流特性を示す これもpn 接合ダイオードなので I-V 特性は整流方程式に従う I I exp 1 (2) この式において I0 は比例定数で 半導体層の拡散やダイオードの面積によって決まる数値である q は単位電荷 ( 素電荷 ) V はバイアス電圧 nは理想係数で通常 1 か ら 2 の間である Si ダイオードと大きく異なるのは 順バイアスで ON になるのが 2~3V と大きいことである 通常 Si では 0.55~0.6V 程度であるが 可視光発光の LED では バンドギャップが大きい分 内蔵電位が大きくなり 2V 以上のバイアスを要する ここで LED の回路での使い方について説明する たとえば 5V の電源ラインがあって LED を点灯させたい場合 図 6 に示すような直列抵抗を挟んで 電流制限をかけて使う LED の大きさにもよるが 3mm 径のものであれば 5mA も流せば十分である 図 5 からもわかるように LED は 2.5V で ON になるので (5V-2.5V)/5mA=500 Ωと電流制限抵抗を決めることかできる このときの抵抗のワット数は 5mA 2.5V =12.5mW となり この値に対して十分な余裕を持つ抵抗を使用する アノード ( 正極 ) カソード ( 負極 ) 図 4 砲弾型 LED Diode Current (A) 10x10-3 8 BLUE LED Siダイオード 6 4 2 0-5 -4-3 -2-1 0 1 2 3 4 5 Voltage (V) 図 5 LED の典型的な電圧電流特性 124

図 7 にレーザーダイオードの構造を示す この構造はファブリー ペロー型共振器と呼ばれるもので 発光層の両端を鏡面として 電極から電流を通電することで発光した光が両端で反射し 内部で共振を起こし 端面から光が出射される 通常この共振器は直方体の形をとるが 光の出射面とは別の側面は粗加工を施し この方向での光の共振を防止する 図のように GaAs の上下 図 6 LED 点灯のための回路余談であるが LED は通電すれば発光デバイスとなるが 微小電流計をつなげば 光センサーとして活用できる これは空乏層内部に光が入ると 光を吸収して 電子とホールの対が生成され 電荷分離して 電流として出力される 光センシング用に専用のフォトダイオードを光学メーカーから購入すると 1 個千円以上はするが 多くの事例で 1 個 30 円の LED で代用できる場合が多い これは予算の限られた大学研究者の生活の知恵でもある 3. レーザーダイオード半導体レーザーに用いられる代表的な材料に GaAs と GaAs と AlAs との混晶である Al x Ga 1-x As がある さらに四元系になるが Al x Ga 1-x As y P 1-y やGa x In 1-x As y P 1-y も重要で 混晶比なるx y を適宜調整することでバンドギャップを 0.4~2.2eV まで自由に可変することができる これら材料は GaAs 基板との格子整合がよく GaAs を基板として 固体分子線エピタキシー (MBE) や化学気相堆積法 (CVD) を用いて 上記濃度調整が施された膜を形成して レーザーダイオードとして使う をワイドギャップの Al x Ga 1-x As で挟むことで この層での光の吸収を防止し しかも GaAs との屈折率差もあることから 効率よく GaAs 層に光を閉じ込めることができる このような構造とすることで レーザー発振するバイアス電流を低減させる効果がある レーザー発振を開始する電流密度を閾値電流密度といい 半導体レーザーの開発の分野ではこの値をいかに低減させるかが重要となっている p-alxga1-xas p-gaas n-alxga1-xas 電極 ( 正極 ) 電極 ( 負極 ) 図 7 二重ヘテロ型レーザーダイオードの構成 参考文献 1) 直接遷移 間接遷移の機構については次の文献がわかりやすい C.Kittel 固体物理学入門 ( 上 ) 丸善出版 2) 半導体材料の特性は次の文献によくま 125

められている 電気学会大学講座電気電子材料工学 3) 半導体レーザーの基礎については 次の文献から学ぶこと勧める S.M.Sze 半導体デバイス - 基礎理論とプロセス技術 - 産業図書 126