約 60 分で 夜間 休日は迅速法により約 30 分で結果が出る 後日の診療のため 体制が許す限り 速やかに HIV 抗体 HBs 抗原 抗体 HCV 抗体の通常測定を行う 2. 各病原体への対応 1)HIV ヒト免疫不全ウイルス ( 図 2) 事故直後からの抗 HIV 薬服用が感染防止に有効である

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第 2 章職業感染防止対策 Ⅰ. 針刺し等の汚染事故発生時の対応 1. 発生時の対応 針刺し等の事故が発生した場合 共通フローチャート ( 図 1) に沿って患者と受傷者の 検査 予防治療を行う 対応では 受傷者のプライバシー保護と不安軽減に努める 1) 事故直後の処置 (1) 患者の安全を確保し 作業を中止する (2) 創を確認する (3) 皮膚の切創 刺創の場合 血液を絞り出しながら流水 ( または石けん併用 ) で傷口を十分に洗浄し 消毒用エタノールあるいはイソジンで消毒する (4) 血液 体液 分泌物などで皮膚を汚染した場合 流水 ( または石けん併用 ) で十分に洗浄し 消毒用エタノールあるいはイソジンで消毒する (5) 粘膜 結膜を汚染した場合 流水で十分洗浄する (6) 口腔を汚染した場合 流水で洗浄しイソジンを 15~30 倍に希釈し含嗽する 2) 感染性と受傷者の評価 HIV, HBV では事故後の速やかな投薬により感染率を減少させることができる 患者血液等の感染性と受傷者の防御抗体の有無を迅速に把握する (1) 患者が HIV, HBV, HCV 等による活動性感染症に罹患している場合 それぞれの病原体に応じて受傷者に対応する (2) 患者に感染症の既往がなく 3ヶ月以内の検査が陰性であった場合 感染症陰性と判断され 患者および事故当事者の検査の必要はない ただし 患者が検査後に輸血 手術 透析を受けている場合 または患者の性感染症のリスクが高い場合は 患者及び受傷者の検査実施が勧められる 3) 抗原抗体検査 (1) 患者の抗原抗体価が不明の場合 患者に検査のための採血について説明し 同意を得て 添付の同意書に署名してもらう (2)HIV は紫スピッツ1 本に 2 ml 採血する HBV HCV は青スピッツ1 本に 3 ml 採血する (3) 検査部に電話連絡 ( 昼は内線 3676 夜間休日は PHS5880) し 採取した検体を持参する 受付の際 検査部備付の専用伝票に手書きで必要事項を記入する 参考 ) 検査部は HIV, HBV の緊急検査の要請に 24 時間体制で対応する 日中は検査部免疫血清検査室 ( 内線 3676) 夜間 休日は当直の検査技師(PHS5880) が対応する HIV 抗体検査は 迅速法により約 15 分で結果が出る HBs 抗原 抗体検査は 平日は通常測定により第 2 章 Ⅰ-1

約 60 分で 夜間 休日は迅速法により約 30 分で結果が出る 後日の診療のため 体制が許す限り 速やかに HIV 抗体 HBs 抗原 抗体 HCV 抗体の通常測定を行う 2. 各病原体への対応 1)HIV ヒト免疫不全ウイルス ( 図 2) 事故直後からの抗 HIV 薬服用が感染防止に有効である 1 回目の服用は事故後 1 時間以内 ( 遅くとも2 時間以内 ) に行う (1) 予防内服の適否の決定 患者血液が HIV 抗体陽性の場合 直ちに受傷者の採血 ( 紫スピッツ1 本に 2 ml) を行い 検査部に持参して HIV 抗体の迅速検査を行う 同時に HIV 診療担当科医師 ( 図 2) に連絡し 1 時間以内に予防内服を行う方向で相談する ( 処方箋は手書き ) 患者の抗体価が不明の場合 患者に説明し 同意を得て採血する 受傷者の採血も行い 検査部に持参して HIV 抗体の迅速検査を行う 同時に HIV 診療担当科医師 ( 図 2) に連絡し予防内服について相談する 受傷者に妊娠の可能性がある場合 直ちに妊娠反応検査も行っておく 1 時間以内に HIV 診療担当科医師と連絡がつかない場合 予防内服について自己決定する ( 処方箋は必要ない 所属部署の責任者との相談が望ましい ) (2) 抗 HIV 薬の受領と服用薬剤部に手書き処方箋 ( 自己決定の場合は処方箋不要 薬剤部にて薬品請求伝票に手書き記入する ) を持参し 抗 HIV 薬 1 回分 ( 基本治療 =ツルバダ1 錠 拡大治療 =ツルバダ 1 錠 + カレトラ 2 錠 ) を受領して その場で内服する 当日 )HIV 診療担当科医師との連絡を試みる 後日 ) 診療担当医の外来で経過観察を行いながら 予防内服を4 週間継続する 感染の確認は 1カ月後 3カ月後 6カ月後および1 年後に抗 HIV 抗体検査にて行う 2)HBV B 型肝炎ウイルス ( 図 3) 受傷者が HBs 抗体陽性であれば HBV 感染のおそれはない 受傷者が HBs 抗体陰性のときは 速やかに消化器内科 ( 内線 2642) に連絡し受診する 患者血液が HBs 抗原 (+) の場合 (1)HBe 抗原も陽性であれば できるだけ迅速に ( 遅くとも 48 時間以内 )HB ワクチン ( ビームゲン ) と高力価抗 HBs ヒト免疫グロブリン (HBIG: ヘブスブリン 1,000 単位 /5ml 乾燥 HB グロブリン 日本製薬 ) の両者を筋注する (2)HBe 抗原が陰性であれば 高力価抗 HBs ヒト免疫グロブリンのみを筋注する (3)HBe 抗原が不明であれば HBe 抗原陽性として上記 1) の処置を行う 患者血液の HBs 抗原 HBs 抗体が不明の場合 第 2 章 Ⅰ-2

患者に説明し 同意を得て青スピッツ 1 本に 3 ml 採血し HBs 抗原, 抗体の迅速検査のため 検査部に持参する (1)HBs 抗原 (+) であれば できるだけ迅速に ( 遅くとも 48 時間以内 )HB ワクチン ( ビームゲン ) と高力価抗 HBs ヒト免疫グロブリン (HBIG: ヘブスブリン 1,000 単位 /5ml 乾燥 HB グロブリン 日本製薬 - 武田 ) の両者を筋注する (2)HBs 抗体 (+) であれば HBV 感染のおそれはない (3)HBs 抗原, 抗体とも (-) であれば 偽陰性の可能性を配慮し可及的速やかに通常測定を行う 通常測定までに 24 時間以上を要する時は 結果を待たずに HB ワクチン ( ビームゲン ) と高力価抗 HBs ヒト免疫グロブリンの使用を検討する 後日 )HB ワクチンは初回を含め全部で 3 回接種する ( 初回と 1 カ月後と 4 カ月後 ) 3 回の接種でも HBs 抗体が出現しなかった場合 (Low responder, PHA 法で抗体陰性で RIA 法で陽性の人 または EIA 法で抗体価が 5U/ml 以上 30U/ml 未満の人 ; それ以下は No responder) 4 回目を接種する 4 回目以降は倍量接種したり HB ワクチンの種類を変更し 抗体価が上昇するよう工夫する 針刺し事故による HBV 感染では発症までに 2 3 カ月程度かかる 事故の 2 カ月後と 6 カ月後に肝機能検査と HBs 抗原, 抗体を検査し 6 カ月後の感染不成立をもって治癒とする 3)HCV C 型肝炎ウイルス ( 図 4) 患者血液が HCV 抗体陽性の場合 無処置で経過観察する 後日 ) 患者血液のウイルス量が多い場合など 必要であれば1カ月後に HCV-RNA 定量検査を行う ( HCV-RNA 定性検査が陰性の場合は発症する可能性が極めて低い HCV-RNA 量が高値の患者からの針刺し事故には注意を要する HCV-RNA 量は HCV 抗体価より発症とよく相関する ) 肝炎を発症しても インターフェロン治療を行うことにより高率に治癒が期待できる 6カ月後に HCV 抗体の検査陰性をもって感染不成立とする 4) その他の病原体 (1) 梅毒および HTLV-1 針刺し事故による梅毒および HTLV-1 感染の可能性はきわめて低い 事故当事者が希望する場合にのみ感染の確認を行う (2) 原因不明のウイルス感染症や肝炎ウインドウ期 ( 感染初期では抗原 抗体検査陰性であってもウイルスが血中に存在する ) の可能性や未知の病原体が血液中に存在している可能性があるため 受傷者の血液検査を実施すると共に 患者の経過を見ながら対応を検討する 5) 汚染源が不明の場合 HIV のリスクが高い部署では 個別に抗 HIV 薬の適応を検討する また 外来にて受傷者の HIV の血液データをフォローする HBV, HCV は陽性であったと想定する したがって 受傷者が HBs 抗体陰性の場合 ワクチン接種を考慮する HB グロブリンの適応については個別に検討する 外来にて受傷者の血液データをフォローする 第 2 章 Ⅰ-3

3. 費用負担職員の針刺し等の汚染事故時の汚染源患者に対する検査費用は病院が負担する 汚染事故に遭遇し受診が必要になった職員は 総務課職員係 ( 内線 2034) に連絡し労災の手続きを行う 4. エピネット日本版針刺し 切創報告書エピネット事故報告書は 感染 検査実施の有無にかかわらず必ず記入し 感染対策室まで提出する 参考 : 汚染事故によるウイルスなどの感染リスク (1) HBV HCV HIV 陽性の血液 体液が事故対策上特に重要である (2) 血液汚染後の感染率は 概ね HBV30% HCV3% HIV0.3% である (3) HIV 対策は最も迅速性を要する (4) HBV は強い感染力を持ち 環境表面乾燥血液内で 1 週間感染性を維持する (5) HTLV-Ⅰ 抗体陽性の血液 体液による汚染で ATL が発症する率は極めて低い (6) 梅毒血清反応陽性の血液による感染例は未報告であるが 理論的にはあり得る 第 2 章 Ⅰ-4

5. 針刺し等汚染事故発生時のフローチャート 図 1 < 責任者 > < 関連部署への連絡 > 針刺し事故発生 ( 口頭で報告 ) 診療科長部長看護師長 必要な検査項目を確認検査 受診の手配感染症陽性の場合は 上席者 感染対策室に報告 直後の処置 ( ア a~f 参照 ) 患者 ( 汚染源 ) がすでに HIV ( 絞り出し 流水洗浄 消毒 ) 陽性と判明済 直ちに! 図 2へ その他の病原体 (HBV HCV) も 含め 検査項目の確認を行う 必要な検査項目の確認 患者情報を参照し 各病原体 (HBV HCV HIV) につき 患者 および事故当事者の検査が必要か否かを確認する 患者の情報 (HBV HCV HIV) 患者の検査 事故当事者の検査 感染症陽性または血液検査 (+) 不要 実施 感染症不明 3 ヶ月以内の血液検査なし 実施 実施 感染症陰性かつ 3 ヶ月以内の血液検査 ( ) 不要 不要 検査実施 主治医は患者へ説明し同意を得る検査部平日時間内内線 3676 夜間 休日 PHS5880 * 患者が検査を拒否した場合は感染症陽性として対応する 検査不要 検査部に電話連絡後 採血を行う (HBV HCVは青 1 本 3ml HIVは紫 1 本 2ml) 手書き伝票をつけて 検体を提出する HIV 検査は迅速法を実施する ( 結果は約 20 分後に判明 ) 検査結果に応じた対処 患者 :HIV 陽性図 2へ直ちに (2 時間以内 ) 患者 :HBV 抗原陽性かつ図 3 へ至急 ( 遅くても 48 時間事故当事者 HBs 抗体 ( ) 以内図 ) 2 患者 :HCV 抗体陽性図 4へ通常 エピネット日本版針刺し 切創報告書を感染対策室に提出報告書 ( 別紙 ) A; 針刺し 切創用 B; 皮膚 粘膜汚染用 感染症や検査実施の有無にかかわらず事故発生後 3 日以内に提出する 6.HIV 抗体陽性患者の針刺し後フローチャート 第 2 章 Ⅰ-5

6.HIV 抗体陽性患者の針刺し後フローチャート 図 2 抗 HIV 抗体陽性 または陽性が強く疑われる血液 体液による汚染事故 男性スタート出来る限り早く担当診療科医師と相談 ( できれば 30 分以内 遅くとも 2 時間以内 ) 女性 陰性 妊娠反応検査周産期科女性診療科に依頼時間外 : 救急外来で検査判定は出来る限り周産期科医師に依頼 相談可相談不可第 1 回目の抗 HIV 薬の服用事故当事者本人が決定 1 回目 TDF/ETC ( ツルバダ ) 1 錠 + LPVrtv( カレトラ ) 2 錠 (1 回分 ) 2 回目 (12 時間後 ) LPVrtv( カレトラ ) 2 錠担当診療科医師に相談可の場合 : 担当診療科医師 各部署のスタッフ医師が手書き処方箋 ( 入院 外来処方箋の様式は問わない ) で処方し 薬剤部で受領する相談不可の場合 : 処方は薬品請求伝票に手書きする 薬剤部に電話連絡後 手渡し受領し服用標準的な薬剤の服薬方法基本治療 TDF/ETC ツルバダ 1 錠 1 日 1 回食事は無関係拡大治療 TDF/ETC ( ツルバダ ) 1 錠 1 日 1 回食事は無関係 LPVrtv( カレトラ ) 4 錠 1 日 2 回 1 回 2 錠食事は無関係 責任者との相談により自己決定責任者 : 日中感染対策師長 夜間 休日当直師長 当該診療科医師 陽性 妊娠 14 週以前 抗 HIV 薬の服用は 自己決定 各部門の責任者等 担当診療科医師 : 血液内科窪田医師 ( 輸血部 PHS 5670) 大西医師 (PHS 5237 内線 2606) 看護学科田中医師 (PHS 5771 内線 3802) 1 週間分の処方箋発行第 2 章 Ⅰ-6 服用継続の判断 基本服用期間は 4 週間

抗 HIV 薬服用薬品請求伝票記載方法 初回の服用は受傷後 遅くとも2 時間以内 医師に相談できない場合は 薬品請求伝票 で薬剤を払い出す 薬品請求伝票はプレ印刷して 薬剤部に抗 HIV 薬と一緒に保管している 抗 HIV 薬は1 回服用量を1 包化している 請求責任者と受領者の欄に署名をし 薬と薬袋用を受け取る 署名 署名 初回内服 ( 直後 ) ツルバダ 錠 1 カレトラ 錠 2 2 回目内服 (12 時間後 ) カレトラ錠 2 第 2 章 Ⅰ-7

2. 院外において HIV 抗体陽性もしくは非常に強く陽性が疑われる患者の医療行為に際して針刺しをした場合 院外の針刺し事故医療機関または本人からの連絡 患者サービス課外来係時間外 :( 時間外受付 ) 針刺し等の医療事故であることを確認 担当診療科医師 : 血液内科窪田医師 ( 輸血部 PHS 5670) 大西医師 (PHS 5237 内線 2606) 看護学科田中医師 (PHS 5771 内線 3802) 女性の場合は妊娠反応を調べた上で院内における針刺し事故の場合に準ずる 1 週間分の処方箋発行 ( 処方箋は手書き ) 薬剤は薬剤部で手渡し 第 2 章 Ⅰ-8

針刺し 切創チャート ( 国立国際医療センター病院エイズ治療 研究開発センター医療事故後の HIV 感染防止のための予防服用 マアニュアル 2007 年 7 月改訂版引用 ) このチャートは 針刺し 切創事故 を起こした場合の早見指針です チェック欄 ( にチェックを入れ 確認しながら進んでください ) 暴露源の状態 を以下のどれかに区別してください 1 暴露源患者の HIV 抗体陽性が確認されている Class 1 : 無症候性 HIV 感染症者 や 血中 HIV RNA 量が 1500 コヒ ー /ml 未満 Class 2 : AIDS 発症者 や 急性感染者 や 血中 HIV RNA 量が高値 2 暴露源患者の HIV 抗体の状態が不明または未確定 3 暴露源検体の由来患者が不明 ( 誰の検体かわからない ) 4 暴露源患者の HIV 抗体陰性が確認されている 暴露の軽傷 重症 を区別してください 暴露が軽傷とは 非中空針による浅い傷など暴露が重症とは 以下などの例である 太い中空針による針刺し 肉眼で血液付着が確認できる針 器具による針刺し 切創 血管に刺入された針による針刺し 深い針刺し 暴露源の状態 と 暴露の軽傷 重症 で以下の表 1に従い判断してください 表 1 経皮的 HIV 暴露時の感染予防 軽傷 重症 HIV 感染者 (Class 1) 基本治療を勧める 拡大治療を勧める HIV 感染者 (Class 2) 拡大治療を勧める 暴露源患者の HIV 抗体不明 通常予防内服は不必要 しかし HIV 陽性患者由来が考えられる場合には基本治療を考慮する HIV 陰性が判明したら中止 暴露源患者が不明 通常予防内服は不必要 しかし HIV 陽性患者由来が考えられる場合に は基本治療を考慮する HIV 抗体陰性 予防不要 第 2 章 Ⅰ-9

粘膜 皮膚チャート このチャートは 粘膜または損傷した皮膚への暴露 を起こした場合の早見指針です チェック欄 ( にチェックを入れ 確認しながら進んでください ) 皮膚暴露に関しては 正常でない皮膚 ( 皮膚炎 擦過傷 解放創など ) への暴露の場合のみ 予防内服の検討が必要であり フォローアップが必要です 暴露源の状態 を以下のどれかに区別してください 1 暴露源患者の HIV 抗体陽性が確認されている Class 1 : 無症候性 HIV 感染症者 や 血中 HIV RNA 量が 1500 コヒ ー /ml 未満 Class 2 : AIDS 発症者 や 急性感染者 や 血中 HIV RNA 量が高値 2 暴露源患者の HIV 抗体の状態が不明または未確定 3 暴露源検体の由来患者が不明 ( 誰の検体かわからない ) 4 暴露源患者の HIV 抗体陰性が確認されている 暴露検体の少量 多量 を区別してください 暴露検体量が少量とは 2~3 滴の体液など暴露検体が多量とは 噴き出した体液など 暴露源の状態 と 暴露検体の少量 多量 で以下の表 2 に従い判断してください 表 2 粘膜および正常でない皮膚への HIV 暴露時の感染予防 少量 多量 HIV 感染者 (Class 1) 基本治療を勧める 拡大治療を勧める HIV 感染者 (Class 2) 拡大治療を勧める 暴露源患者の HIV 抗体不明 通常予防内服は不必要 しかし HIV 陽性患者由来が考えられる場合には基本治療を考慮する HIV 陰性が判明したら中止 暴露源患者が不明 通常予防内服は不必要 しかし HIV 陽性患者由来が考えられる場合に は基本治療を考慮する HIV 抗体陰性 予防不要 第 2 章 Ⅰ-10

予防内服薬決定チャート チェック欄 ( にチェックを入れ 確認しながら進んでください ) このチャートは 針刺し 切創チャート または 粘膜 皮膚チャート で予防内服を勧められた または考慮された場合の早見表です 皮膚暴露に関しては 正常ではない皮膚 ( 皮膚炎 擦過傷 解放創など ) への暴露の場合のみ 予防内服の検討が必要であり フォローアップが必要です 基本治療を勧められた または考慮された場合 基本治療は 核酸系逆転写酵素阻害剤を 2 種類併用します ガイドライン ( 米国 DHHS 06 年 10 月 ) で推奨される 2 剤の組み合わせは以下の組み合わせです AZT/3TC( レトロビル +エピビルまたはコンビビル ) TDF/FTC( ツルバダ ) または TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) AZT/3TC( レトロビル+エピビルまたはコンビビル ) の内服は吐き気 全身倦怠感が強く 内服継続は難しい場合があります 下記の条件に問題がなければ TDF/FTC( ツルバダ ) または TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) の選択がよいと考えられます TDF/FTC( ツルバダ ) または TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) において注意すべき条件は 1つは暴露を受けた医療者の B 型肝炎の有無です TDF( ビリアード ) FTC( エムトリバ ) 3TC( エピビル ) には 抗 B 型肝炎ウイルス効果があります しかし B 型肝炎治療において TDF( ビリアード ) FTC( エムトリバ ) 3TC( エピビル ) の使用方法はまだ不確定です HBs 抗体が陽性である職業的暴露者ではこれらの薬剤は使用可能です 慢性 B 型肝炎や急性 B 型肝炎や B 型肝炎ウイルス肝硬変の職業的暴露者では これらの薬剤の使用は専門家と充分な相談が必要と考えられます ただし この問題は AZT/3TC( レトロビル +エピビルまたはコンビビル ) の組み合わせにおいても存在します 他の問題は TDF による腎障害の問題です 通常の腎機能の方々では問題にならないと考えられますが すでに腎機能低下が存在する場合には TDF により腎機能障害が出現する可能性があります 職業的暴露前に腎機能低下や糖尿病が考慮される場合には専門家と充分な相談が必要と考えます 2 剤の選択については 以下の結論になります 活動性 B 型肝炎が存在しない TDF/FTC( ツルバダ ) または TDF/3TC( ビリアード +エピビル ) を選択 活動性 B 型肝炎が存在する 速やかに専門家に相談 腎機能低下や糖尿病が存在しない TDF/FTC( ツルバダ ) または TDF/3TC( ビリアード +エピビル ) を選択第 2 章 Ⅰ-11

腎機能低下や糖尿病が存在する 速やかに専門家に相談 暴露源患者の HIV ウイルスの抗 HIV 薬に対する耐性や予想される副作用などを考慮し 専門家からのアドバイスを受けたうえで自己決定してください 妊婦に対する安全性は不明です 内服開始は可及的速やかに ( できれば 2 時間以内に ) 開始してください 24~36 時間以後では効果が減弱します 4 週間の服用を目指してください 拡大治療を勧められた または考慮された場合 拡大治療は 核酸系逆転写酵素阻害剤を 2 種類にプロテアーゼ阻害剤を追加します ガイドライン ( 米国 DHHS 06 年 10 月 ) で推奨される 3 剤の組み合わせは以下の組み合わせです LPVrtv( カレトラ )+ 上記 2 剤 ATV( レイアタッツ )+RTV( ノービア )+ 上記 2 剤 FPV( レクシヴァ )+RTV( ノービア )+ 上記 2 剤 EFV( ストックリン )+ 上記 2 剤薬剤の抗 HIV 効果 室温保存の可能性 食事と無関係に服用可能であるかどうかを考慮すると LPVrtv( カレトラ )+ 上記 2 剤がよいと考えられます 3 剤の薬剤選択については以下の結論になります LPVrtv( カレトラ )+TDF/FTC( ツルバダ ) LPVrtv( カレトラ )+TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) 活動性 B 型肝炎が存在しない LPVrtv( カレトラ )+TDF/FTC( ツルバダ ) または LPVrtv( カレトラ )+TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) 活動性 B 型肝炎が存在する 速やかに専門家に相談 腎機能低下や糖尿病が存在しない LPVrtv( カレトラ )+TDF/FTC( ツルバダ ) または LPVrtv( カレトラ )+TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) 腎機能低下や糖尿病が存在する 速やかに専門家に相談 常用する内服薬が存在しない LPVrtv( カレトラ )+TDF/FTC( ツルバダ ) または LPVrtv( カレトラ )+TDF/3TC( ビリアード+ エピビル ) 常用する内服薬が存在する 速やかに専門家に相談 暴露源患者の HIV ウイルスの抗 HIV 薬に対する耐性や予想される副作用などを考慮し 専門家からのアドバイスを受けたうえで自己決定してください 妊婦に対する安全性は不明です 内服開始は可及的速やかに ( できれば 2 時間以内に ) 開始してください 24~36 時間以後で第 2 章 Ⅰ-12

は効果が減弱します 4 週間の服用を目指してください 参考基本治療の服用方法 TDF/FTC( ツルバダ ) 1 日 1 回 1 錠食事は無関係 剤型は 1 錠ですが この中に 2 剤が含まれています TDF/3TC( ビリアード +エピビル ) TDF( ビリアード ) は 1 日 1 回 1 錠 食事は無関係 3TC( エピビル ) は 300mg 剤型と 150mgの剤型があります 300mg 剤型は 1 日 1 回 1 錠 食事は無関係 150mg 剤型は 1 日 2 回 1 回 1 錠 食事無関係です 拡大治療服用方法 LPVrtv( カレトラ ) 1 日 2 回 1 回 2 錠 1 日の総量として4 錠 食事は無関係 TDF/FTC( ツルバダ ) 1 日 1 回 1 錠 食事は無関係 第 2 章 Ⅰ-13

責任者用チェックリスト 基本治療 :TDF/FTC( ツルバダ ) 内服の場合 1.CDC2005 年職業的暴露時のガイドラインを読みましたか? 2. 検査について可能な限り早期に HIV 抗体チェックをしてください 必要な場合は慢性 B 型肝炎に関してチェックしてください 同時に結成を ml 冷凍保存してください 以後は HIV について 6 週後 12 週後 6 ヶ月後に検査してください 3. 基本治療について標準的な薬剤の服用方法例は以下のとおりです TDF/FTC( ツルバダ ) 1 日 1 回 1 錠食事は無関係 針刺し後の有効な予防のためには 第 1 回目の服用が最も大事と考えられます できるだけ速やかに第 1 回目 ( 少なくとも 1~2 時間以内 ) を服用させてください 24~36 時間以後では効果が減弱すると考えられます 服用する場合の投与期間は 4 週間です 4. 対象者が女性の場合は 妊娠に注意してください 妊婦に投与した場合の安全性 特に妊娠初期 ( 最後に整理のあった日から 14 週間 ) での胎児への安全性は確認されていません したがって 妊婦が服用を決意するには十分な自己決定が不可欠です また 対象者が妊娠していなかった場合には 予防薬を服用する対象者に対して 少なくとも 4 週間は避妊するよう勧告してください 拡大治療 :LPVrtv( カレトラ ) TDF/FTC( ツルバダ ) 内服の場合 1.CDC2005 年職業的暴露時のガイドラインを読みましたか? 2. 検査について可能な限り早期に HIV 抗体チェックをしてください 必要な場合は慢性 B 型肝炎に関してチェックしてください 同時に結成を ml 冷凍保存してください 以後は HIV について 6 週後 12 週後 6 ヶ月後に検査してください 3. 拡大治療について標準的な薬剤の服用方法は以下のとおりです LPVrtv( カレトラ ) 1 日 2 回 1 回 2 錠 1 日の総量として 4 錠 食事は無関係 第 2 章 Ⅰ-14

TDF/FTC( ツルバダ ) 1 日 1 回 1 錠 食事は無関係 針刺し後の有効な予防のためには 第 1 回目の服用が最も大事と考えられます できるだけ速やかに第 1 回目 ( 少なくとも 1~2 時間以内 ) を服用させてください 24~36 時間以後では効果が減弱すると考えられます 服用する場合の投与期間は 4 週間です LPVrtv( カレトラ ) では 下痢を合併します 必要時はロペラミド ( ロペミン )1 日 1 カプセルから 4 カプセルを併用することで 内服継続可能となります 4.4. 対象者が女性の場合は 妊娠に注意してください 妊婦に投与した場合の安全性 特に妊娠初期 ( 最後に整理のあった日から 14 週間 ) での胎児への安全性は確認されていません したがって 妊婦が服用を決意するには十分な自己決定が不可欠です また 対象者が妊娠していなかった場合には 予防薬を服用する対象者に対して 少なくとも 4 週間は避妊するよう勧告してください 第 2 章 Ⅰ-15

7.B 型肝炎抗原陽性患者の針刺し後フローチャート 図 3 針刺し事故 (HBV) 消化器内科へ連絡 ( 内線 2642) 後 受診 HBs 抗原 抗体共に陰性であることを確認 24 時間以内 ( 遅くとも 48 時間以内 ) HB ワクチン ( 感染源患者が HBe 抗原陽性の場合併用 ) 抗 HBsグロブリン製剤 ( 感染源患者が HBe 抗原陰性の場合 ) ヘブスブリン 1000 単位 /5mlまたは乾燥 HB グロブリンを筋注する 追跡調査 HB ワクチンは初回を含めて全部で3 回接種する ( 初回と1ヶ月後と4ヶ月後 ) 2 ヶ月後 ALT HBs 抗原 抗体検査測定 6 ヶ月後 ALT HBs 抗原 抗体測定 HBs 抗原陰性 肝機能正常 治癒 HB ワクチン 3 回接種でも HBs 抗体の出現がない場合には 4 回目を接種する (Low responder : PHA 法で抗体陰性で EIA 法で陽性の人または EIA 法で抗体価が 5U/ml 以上 50U/ml 未満の人 ) (Non responder : 抗体価が 5U/ml 以下の人 ) 診察 診療窓口となる医師 時間内 : 消化器内科 ( 肝疾患担当医師 ) 米山医師 (PHS5286) 出口医師 (PHS5297) 鎌田医師 (PHS5296) 時間外 : 消化器 神経内科当直医 第 2 章 Ⅰ-16

図 4 8.C 型肝炎抗体陽性患者の針刺し後フローチャート 針刺し事故 (HCV) 消化器内科 ( 内線 2642) へ連絡後 受診 受傷者の HCV 抗体を測定し 後日判定陰性者のみが対象 1 ヶ月後追跡調査で症状 + ALT 上昇 HCV-RNA 測定 HCV-RNA 陽性 2 ヶ月後 ALT HCV 抗体測定 HCV 抗体陽性 感染の成立 6 ヶ月後 ALT,HCV 抗体測定 陰性 自然治癒の可能性が 20% と少ない 抗ウイルス療法 治癒 HCV 針刺し事故後の定期検査肝機能検査 : 2 ヶ月 6 ヶ月 HCV 関連 HCV-RNA 測定 : 1 ヶ月のみ HCV 抗体 (2nd) 測定 : 2 ヶ月 6 ヶ月 診察 診療窓口となる医師 時間内 : 消化器内科 ( 肝疾患担当医師 ) 米山医師 (PHS5286) 出口医師(PHS5297 ) 鎌田医師 (PHS5296) 時間外 : 消化器 神経内科当直医 第 2 章 Ⅰ-17

9. 医療従事者の血液汚染事故時の感染症検査に関する同意について 手術あるいは検査のために入院する際に 本来の疾患に関する検査やこれまでの感染症の既往 ( 症状が出なくても ある種の病原体に感染し 保菌状態にあるという不顕性感染の状態を含む ) を調べる検査を行っております これらの感染症検査は当院の医療従事者にとっても また病院内感染を防ぐためにも非常に大切です 今回 患者様の血液による汚染事故 ( 血液の付いた注射針による針刺し事故 血液の付いたプラスチック片または手術器具によるけが等 ) が当院の医療従事者に発生しました つきましては 血液や体液に接した場合に感染の可能性がある微生物の検査をさせていただきますようお願い申し上げます 微生物の検査とは 血清肝炎 成人 T 細胞白血病 後天性免疫不全症候群 (HIV) などのウイルス検査です 検査をお願いする理由は 患者様に感染既往がないことを確認させていただき 当該医療従事者とその周りの人 ( 患者様を含む ) に感染の心配がないことを伝えるためです 確認が目的ですので 患者様の血液検査についての情報 ( 検査結果を含めて ) は他人に漏れることはありません 検査費用は病院が負担します 検査結果は ご希望があれば患者様ご自身にお知らせします 以上の説明を受けて 検査に同意いただけましたら 同意書に署名をお願いします 同意書 香川大学医学部附属病院長殿 私は 担当医師から 医療従事者の血液汚染事故発生時の感染症検査に関する説明 を受け 納得しましたので検査を受けることに 同意します 同意しません 検査項目 B 型肝炎ウイルス (HBV) C 型肝炎ウイルス (HCV) 後天性免疫不全症候群ウイルス (HIV) その他 ( ) 検査結果の通知を 希望する 希望しない 平成年月日署名本人 署名本人以外 ( 本人との関係 ) 第 2 章 Ⅰ-18

感染症検査に関する説明と同意書 当院では 患者様が手術 特殊検査等のために入院する際に 本来の疾患に関する検査に加え 下記の項目について感染症検査を受けていただきたいと考えております これらの感染症は感染していても症状が全くないことも多いので 事前の検査で感染の有無を明らかにすることによって 患者様ご自身の合併症の予防等 診療に役立つとともに 今後の健康維持に適切な助言を受けることができます また これらの感染症は血液や体液を介して感染するので 医療従事者にとっても針刺しや器具によるけが等の血液汚染事故発生時の対策として重要です 検査結果は担当医師からお知らせします 他人に検査結果が漏れることはありません 検査結果が陽性の場合 治療上患者様の不利益となることはありません 手術 検査等のために感染症検査をお願いした場合の HIV 抗体測定費用は 病院が負担します その他の検査については健康保険が適用されます 諸般の事情により検査に同意されない場合は 感染症陽性例に準じた対応をさせて頂きます 以上の説明を受けて検査に同意をいただけましたら 同意書に署名をお願いします 検査項目 : 以下の項目の血液検査を行います HBs 抗原 抗体検査 (B 型肝炎 ) HCV 抗体 (C 型肝炎 ) HIV 抗体 ( 後天性免疫不全症候群 ) その他の検査 ( ) 香川大学医学部附属病院長殿 同意書 私は 感染症検査について担当医師 しましたので検査を受けることに 同意します 同意しません から説明を受け 納得 結果の通知 : 希望する 希望しない 平成年月日署名本人 本人以外 ( 本人との関係 : ) 第 2 章 Ⅰ-19