関数を活用することで現実世界の課題を解決できるということを通して, 生徒に関数の有用性を実感させたい そのために, 陸上競技トラックの問題 を用いて, 現実世界の課題から関数関係を見いだし, 表 式 グラフなどを用いて数学的に処理し, 現実世界の課題を解決する ことで, 関数を用いた問題解決の理解を

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能を習得したり活用したりすることの必要性について確認する グラフをかく力やグラフを読み取る力を身に付けさせるとともに, 一次関数を学ぶことに対する意欲を高めたい 小単元全体を通して主体的に学ぶ意欲を高め, 自分の考えを説明したいという気持ちにさせた上で, 目的や方法等を明確にした意図のあるペアやグル

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第 4 学年算数科指導案 平成 28 年 11 月 2 日 ( 水 ) 第 5 校時場所 4 年 2 組男子 22 名女子 10 名指導者垣見遥 ともなって変わる量 思考力 判断力 表現力の育成 ~ 児童の考えを引きだす算数的活動の工夫 ~ 1 単元名 ともなって変わる量 2 単元の目標 ともなって

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学年第 3 学年 2 単元名 ( 科目 ) いろいろな関数の導関数 ( 数学 Ⅲ) 3 単元の目標 三角関数 対数関数 指数関数の導関数を求めることができる 第 次導関数の意味を理解し 求めることができる 放物線 楕円 双曲線などの曲線の方程式を微分することができる 4 単元の学習計画 三角関数 対

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平成 21 年度全国学力 学習状況調査結果の概要と分析及び改善計画 調査実施期日 平成 21 年 10 月 2 日 ( 金 ) 教務部 平成 21 年 4 月 21 日 ( 火 )AM8:50~11:50 調査実施学級数等 三次市立十日市小学校第 6 学年い ろ は に組 (95 名 ) 教科に関す

算数科学習指導案 1 日時平成 24 年 10 月 25 日 ( 木 ) 5 校時 2 学年第 6 学年 8 名 3 単元名比例と反比例 ( 啓林館 ) 4 単元について 本単元は 三原市立和木小学校 指導者荒木美花 本単元のねらいは, 伴って変わる 2 つの数量の中から比例関係や反比例関係にあるも

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第 5 学年 社会科学習指導案 1 単元名自動車をつくる工業 2 目標 我が国の自動車工業の様子に関心を持って意欲的に調べ, 働く人々の工夫や努力によって国民生活を支える我が国の工業生産の役割や発展について考えようとしている ( 社会的事象への関心 意欲 態度 ) 我が国の自動車工業について調べた事

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第4学年算数科学習指導案

るかどうか, そして, その予想した事柄を ~は, になる という形で表現できるかどうかをみるものである 正答率は, 48.1% であり, 発展的に考え, 予想した事柄を ~は, になる という形で表現することに課題がある (3) 学習指導に当たって 事柄を予想することを大切にする数や図形について成

座標軸の入ったワークシートで整理して, 次の単元 もっとすばらしい自分へ~ 自分向上プロジェクト~ につなげていく 整理 分析 協同的な学習について児童がスクラップした新聞記事の人物や, 身近な地域の人を定期的に紹介し合う場を設けることで, 自分が知らなかった様々な かがやいている人 がいることを知

小学校理科の観察,実験の手引き 第3学年A(1) 物と重さ

第 4 学年算数科学習指導案 平成 23 年 10 月 17 日 ( 月 ) 授業者川口雄 1 単元名 面積 2 児童の実態中条小学校の4 年生 (36 名 ) では算数において習熟度別学習を行っている 今回授業を行うのは算数が得意な どんどんコース の26 名である 課題に対して意欲的に取り組むこ

2 図形の定義や性質を見いだすための算数的活動を取り入れる 2 枚の長方形, 長方形と三角形,2 枚の三角形を重ねて四角形を作る活動を取り入れ, 向かい合う辺の平行関係に着目させたり, 長さに着目させたりしながら, 四角形を定義できるようにする コンパスや分度器, ものさし等を使って, 四角形の構成

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算数科学習指導案 指導者伊達詩恵 1 日時平成 24 年 5 月 21 日 ( 月 ) 5 校時 2 学年第 6 学年 1 組 22 名 3 場所 6 年 1 組教室 4 単元名文字と式 5 単元について 単元観 本単元は, 数量の関係を表す式についての理解を深め, 式に表したり, 式を読み取ったり

4 単元構想図 ( 全 14 時間 ) 生徒の意識の流れ 表を使って解く 縦 (m) 0 8 横 (m) x= 右辺の形に式を変形して 二次方程式を解こう1 ax = b (x + m) = nは平方根の考えで解くことができる x= 右辺の形に式を変形して 二次方程式を解こう2 x +

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の 問を提示して定着度を確認していく 1 分けて計算するやり方 70 = =216 2 =6 2 筆算で計算する方法 題材の指導計画 ( 全 10 時間扱い ) ⑴ ⑵ ⑶ 何十 何百 1 位数の計算 1 時間 2 位数 1 位数

第 2 学年 5 組理科学習指導案 日時平成 26 年 12 月 12 日 ( 金 ) 場所城北中学校授業者酒井佑太 1 単元名電気の世界 2 単元について (1) 教材観今日の私たちの日常生活において 電気製品はなくてはならないものであり 電気についての基礎的な知識は必要不可欠である しかし 実際

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第 6 学年算数科学習指導案 日時平成 25 年 月 日 ( ) 校時対象第 6 学年 組 名学校名 立 小学校授業者 1 単元名 速さ ( 学校図書 6 年上 ) 2 単元の目標速さについて理解し 求めることができるようにする 3 単元の評価規準 単元の評価規準 ア算数への関心 意欲 態度 速さを

解答類型

1 単元名 分数 ( 全 10 時間 ) 教材名 分数をくわしく調べよう ( 東京書籍 4 年下 ) 第 4 学年算数科学習指導案平成 26 年 11 月 26 日 ( 水 ) 5 校時 4 年 1 組 ( 男子 13 名 女子 10 名計 23 名 ) 指導者上田稚子 ( 学習指導要領 ) A 数

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上に食に関する指導の充実が求められている 食環境の乱れが社会的課題とっている今日 中学生が食生活の自立を目指した学習をすることは大切なことであるので 本時は 自分や家族の食生活の中で見付けた問題点の改善に自主的に取り組むことができるように 指導を進めることにした 指導に当たっては これまでの学習を踏

Ⅰ 指導と評価の年間計画 及び 評価規準と単元計画 の作成の手引き 1 指導と評価の年間計画 についてこれは 次の 2 の 評価規準と単元計画 の全単元について その概要を記述したものである 生徒の学習活動に対するより適正な評価 及び生徒の学習の改善に生かされる評価 ( 指導と評価の一体化 ) の実

○学部 ○○科 学習指導案

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理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭柚中朗 1 日時平成 30 年 1 月 24 日 ( 水 ) 2 学年第 2 学年 1 組 ( 男子 14 名女子 18 名計 32 名 ) 3 単元名天気とその変化 ~ 大気の動きと日本の天気 ~ 4 単元について (1) 単元観本単元は, 学習指導要領

2 児童観復習プリントから 乗法の交換法則 4 7=7 乗法の結合法則 = 加減混合の式や乗除混合の式の計算はできていると考えられる しかし 分配法則 6 10=6 9+ や 7 8=7 9 はできない児童が数名いて 定着していないことが分かる また 計算の仕方は理解してい

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中学校第 3 学年数学科学習指導案 日 時 平成 25 年 月 日 ( ) 第 校時 対 象 第 3 学年 学校名 立 中学校 1 単元名 式の計算第 1 章式の計算 2 単元の目標文字を用いた簡単な多項式について 式の展開や因数分解ができるようにするとともに 目的に応じて式を変形したりその意味を読

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た, 導入で扱うイメージキャラクターについて, デザインやネーミングの意図, 理由について疑問や関心を持つことにより, より北広島町に興味を持つことが可能となる その他, 調べる際に新聞記事を利用することにより, 記事をスクラップすることができる 記録性 に優れ, 疑問を解決するための手立て, 情報

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算数科学習指導案 指導者中野智子 1 日時平成 30 年 10 月 19 日 ( 金 ) 第 6 校時 2 学年第 6 学年 1 組男子 12 名女子 9 名計 21 名 3 単元名資料の調べ方 4 単元について (1) 単元観本単元は, 小学校学習指導要領第 6 学年の内容 [D データの活用 ]

理科学習指導案

第 3 学年 2 組算数科学習指導案 1 単元名たし算とひき算の筆算 指導者永田佳江 2 単元について (1) 単元観 該当する学習指導要領の内容 A 数と計算 A(2) 加法, 減法 (2) 加法及び減法の計算が確実にできるようにし, それらを適切に用いる能力を伸ばす 本単元で扱う たし算とひき算

彩の国埼玉県 埼玉県のマスコット コバトン 科学的な見方や考え方を養う理科の授業 小学校理科の観察 実験で大切なことは? 県立総合教育センターでの 学校間の接続に関する調査研究 の意識調査では 埼玉県内の児童生徒の多くは 理科が好きな理由として 観察 実験などの活動があること を一番にあげています

第 6 学年 1 組理科学習指導案単元名 : 瀬野川の生き物のつながり 生き物のくらしと環境 男子 18 名女子 21 名計 39 名 単元について 指導者澄川和生 単元観本単元は, 小学校学習指導要領解説理科編第 6 学年 内容 B(3) の 動物や植物の生活を観察したり, 資料を活用したりして調

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H30全国HP

(3) 指導観本時は 連立方程式の文章題を扱う最初の時間である 方程式の文章題は 個数と代金に関する問題 速さ 時間 道のりに関する問題 割合に関する問題 を扱う これらを解くときには図や表 線分図などを書くことが有効であることを生徒達は昨年度一次方程式の時にも経験している 一元一次方程式を利用する

【大竹市】玖波小学校 算数「垂直・平行と四角形」(4年)HP

4 本単元と情報リテラシーの関わり 課題設定担任による 説明会におけるデモンストレーションを見ることを通して 本単元を貫く言語活動としての これぞ和の文化! おすすめの 和の文化 を調べて説明会を開こう を知り 見通しを持たせ学校司書による関連図書紹介を通して 和の文化への関心を高め 進んで調べよう

第 2 学年 理科学習指導案 平成 29 年 1 月 1 7 日 ( 火 ) 場所理科室 1 単元名電流とその利用 イ電流と磁界 ( イ ) 磁界中の電流が受ける力 2 単元について ( 1 ) 生徒観略 ( 2 ) 単元観生徒は 小学校第 3 学年で 磁石の性質 第 4 学年で 電気の働き 第 5

上体おこし長座体前屈反復横跳持久走三年女子 上体おこし長座体前屈反復横跳持久走三年男子 力ンド力ンド幅跳び幅跳び保健体育科学習指導案 指導者三和中学校小浦麻美日時平成 23 年 9 月 30 日 ( 金 ) 第 5 校時 ( 三良坂中学校体育館 ) 学年三和中学校第 3 学年 23 名 ( 男子 9

国語科第 1 学年熊野町立熊野中学校指導者森島登紀子 単元名 根拠を明確にして書こう 本単元で育成する資質 能力 自ら考え判断する力, 読解力 情報収集能力 1 日 時平成 29 年 11 月 16 日 5 校時 2 場 所 1 年 3 組教室 3 学年 学級第 1 学年 3 組 (27 名男子 1

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第6学年2組 算数科 学習指導案

子葉と本葉に注目すると植物の成長の変化を見ることができるという見方や, 植物は 葉 茎 根 からできていて, それらからできているものが植物であるという見方ができるようにしていく また, 学んだことを生かして科学的なものの見方を育てるために, 生活の中で口にしている野菜も取り上げて観察する活動を取り

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学習指導要領

2 単元の構想 本単元の目標 関心 意欲 態度 平均を用いることのよさに気付き, 進んで身近な事柄の考察や表現に用いようとする 見方や考え方 平均の考えを用いて, 身近な事柄について考えたり, 表現の仕方を考えたりすることができる 技能 平均を求めたり, 平均から全体を求めたりできる また, それを

理科学習指導案指導者海田町立海田西中学校教諭石川幸宏 1 日時平成 30 年 2 月 21 日 ( 水 ) 第 4 校時 2 学年第 1 学年 2 組 ( 男子 19 名女子 18 名 37 名 ) 3 場所海田西中学校第 2 理科室 4 単元名身のまわりの現象 ~ 力の世界 ~ 5 単元について

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数学科学習指導案 指導者ステップコース隠地純子 平野未紗 ジャンプコース中村徳寿 1 日時平成 27 年 1 月 20 日 ( 火 )5 校時 2 学年第 1 学年ステップコース 12 人 ジャンプコース 19 人 3 単元名空間図形 立体の表面積と体積 4 単元について (1) 単元観中学校学習指

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数学科学習指導案 指導者広島県立五日市高等学校 教諭松本大地 1 日時 場所平成 28 年 7 月 19 日 ( 火 ) 第 1 限目,7 月 20 日 ( 水 ) 第 2 限目 1-3 教室 2 学年 学級 1 年 3 組 40 名 ( 男 16 名女 24 名 ) 3 単元名二次関数 4 単元について (1) 単元観中学校では, 具体的な事象の中から二つの数量を取り出し, それらの変化や対応を調べることを通して, 関数関係を見いだし表現し考察することを学習している また, 一次関数や関数 = などの単元を通して, 表, 式, グラフを相互に関連付けることも学習している 本単元では, 二次関数の値の変化について, グラフを用いて考察し, 最大値や最小値を求めることができるようにする 現実世界の課題から関数関係を見いだし, 表 式 グラフなどを用いて数学的に処理し, 処理したことを現実の場面に戻して解釈することで, 現実世界の課題を解決する このような一連の流れを通して, 二次関数を具体的な事象の考察に活用できるようにするとともに, 二次関数を用いて数量の変化を表現することの有用性を認識させることをねらいとしている (2) 生徒観本単元に入る前に, 関数の有用性についての意識調査をするため, 事前アンケートを行った それぞれの質問項目に対して 役に立たない (1), あまり役に立たない (2), まあまあ役に立つ (3), 役に立つ (4) の 4 段階で, 各段階を数値で表して評価させた 事前アンケートの結果は次の通りである 回答の質問項目平均値 Q1. 関数のグラフをかくことは, 課題を解決する上で役に立つと思いますか 3.2 Q2. 関数の式は, 課題を解決する上で役に立つと思いますか 3.1 Q3. 関数で学習した内容は, 現実の世界の課題を解決することに役に立つと思 2.1 いますか 事前アンケートの結果から,Q3の 関数で学習した内容は, 現実の世界の課題を解決することに役に立つと思いますか について否定的な傾向にあることが分かる このことから, 関数の有用性を認識している生徒が少ないことが課題といえる (3) 指導観

関数を活用することで現実世界の課題を解決できるということを通して, 生徒に関数の有用性を実感させたい そのために, 陸上競技トラックの問題 を用いて, 現実世界の課題から関数関係を見いだし, 表 式 グラフなどを用いて数学的に処理し, 現実世界の課題を解決する ことで, 関数を用いた問題解決の理解を深めさせる 陸上競技トラックの問題 競技場内に次の条件を満たす陸上競技トラックを設計したい 条件 陸上競技トラックは図のような形状とする カーブの部分は半円である 1 周 400mの陸上競技トラックにする 6 人が同時に走れるようにレーンは6つ作る 各レーンの幅は1mとする 内側の長方形の面積ができるだけ大きくなるようにする 競技場の大きさが縦 200m, 横 100m であり, 安全面を考慮して競技場の端から外側のトラック までの距離を 10m 以上離す必要がある このとき, 条件を満たす陸上競技トラックを設計せよ 問題解決の過程では, 下の表のように, それぞれの過程において必要な関数的な考えを育て るための学習活動を組み入れる 問題解決の過程と関数的な考えを育てるための学習活動 問題解決の過程 関数的な考えを育てるための学習活動 1 問題把握 形成事象の中から依存関係を見付ける 2 見通しを立てる何を とおき, 何を とおけば, よりよく問題が解決できそうかを考える 3 解決の実行 伴って変わる二つの変量がどのような依存関係にあるかを表, 式, グラフを用いて 調べる 4 検討導かれた答えが問題の条件を満たすかどうかを確認する 上の表の問題解決の過程 1~4 を 陸上競技トラックの問題 に, 以下のように対応させる ( 問題解決の過程 1 2) 生徒が関数関係を見いだす場面を設定する 具体的には この問題を解決するためには,

何が決まっていて何が変えられるか, そして, 何を とおけばよいか を生徒に考えさせる この問題では, とおく数量が複数 (3パターン) あり, これら3つのパターンすべてを生徒から引き出す ( 問題解決の過程 3) 条件を満たす陸上競技トラックについて, グループで相談しながら考察を進めさせる ( 問題解決の過程 4) 問題の条件から, 定義域を調べ, 求めた解を吟味する必要があることに気付かせる 3 つのパターンの解答について, 関数の式やグラフの違い, 定義域の違いを比較することで, 解答の見通しの重要性や既習事項の理解を深めさせる また, この問題を解決することを通し て, 関数の式やグラフの必要性も生徒に感じさせたい 5 単元の目標 現実世界の課題から関数関係を見いだし, 表 式 グラフなどを用いて数学的に処理し, 現 実世界の課題を解決することができる 6 単元の評価規準 1 関心 意欲 態度 2 数学的な見方や考え方 3 数学的な技能 4 知識 理解 ア二次関数とそのグラフについて関心をもち, それらを二次関数の考察に活用しようとしている イ関数の値の変化を, グラフを用いて考察しようとしている ア二次関数の式とグラフを関係付けて考察することができる イ文字定数を含む二次関数の最大値 最小値の問題を, 場合分けを用いて考察することができる ウ現実世界の課題を解決するために, 関数関係を見いだすことができる エ数学を用いて処理したことを現実の場面に戻して解釈し, 解決方法を説明することができる ア与えられた関数の式から頂点と軸を求めることができる イ二次関数のグラフを用いて, 最大値や最小値を求めることができる ウ与えられた条件に適する二次関数を求めることができる ア関数を式で表す際, 定義域の必要性について理解している イ二次関数の式やグラフの特徴について理解している ウ頂点や軸などの二次関数の特徴について理解している エ連立三元一次方程式の解き方を理解している

7 単元の指導計画と評価 ( 全 13 時間 ) 学習内容 時数 評価関見技知評価規準評価方法 関数とグラフ 1 4-ア 1-ア 2 次関数のグラフ 4 4-イ 3-ア 2-ア ノート 1-イ 行動観察 3-イ 小テスト 2 次関数の最大 最小 3-イ発表 6 本時 5 6 時間目 2-イ,4-ウワークシート 2-ウ 2-エ 2 次関数の決定 2 3-ウ 4-エ 8 本時の展開 (5 時間目 ) (1) 本時の目標陸上競技トラックの問題について, 関数関係を見いだし考察することができる (2) 観点別評価規準現実世界の課題を解決するために, 関数関係を見いだすことができる ( 数学的な見方や考え方 ) (3) 準備物ワークシート ( 陸上競技トラックの問題 ), 教科書 ( 新編数学 Ⅰ 数研出版 ) (4) 学習の展開 (5 時間目 ) 教授 学習活動 ( 教授, 学習活動 ) 導 ワークシートを配付し, 本時の課題入を提示して, 個人で考えさせる 10 分 まず, 陸上競技トラックの問題 の題意や条件を捉えてワークシートに書き込む 指導上の留意点 努力を要する 状況と判断した生徒への指導の手立て 陸上競技トラックの問題 ( 図や条件を含む ) を拡大印刷した紙を黒板に貼る まず, 題意や問題の条件を捉えさせる 評価規準 観点 ( 評価方法 )

展 この問題を考えるためには, 何に注 関数関係が見付けられない生 現実世界の課 開 目したらよいかを考えさせる 徒には, 前時に学習した問題 題を解決する 35 まず, 関数関係にあるものを見付け を想起させる ために, 関数関 分 る < 前時に学習した問題 > 係を見いだす 長方形 ABCD において,2 辺 AB, ことができる BC の長さの和が 10cm であるとす 数学的な見 る このような長方形の面積の最大値 方や考え方 を求めよ ( 行動観察, ワ ークシート ) 次に, 何を とおけば問題を解決 候補になりそうな を複数 することができるかを個人で考え 挙げさせる る < 予想される生徒の反応 > とおくもの 内側の長方形の縦の長さ ( パターン 1) 内側の長方形の横の長さ ( パターン 2) 半円の弧の長さ ( パターン 3) 競技場の端から外側のトラックまでの距 離 内側の長方形の面積 4 人のグループを作り, 意見を交流 題意や条件についてもグルー させる プ内で確認させる 何を とおけばよいかをグループ 関数的な考えを育てるため で考察し, 候補を挙げる に, とおくもののパターン グループで出た考えをまとめて発 1~3 すべてを生徒から引き 表する 出す パターン 1~3 がすべ 各グループから発表された考えを て出ない場合, 陸上競技トラ 整理して示す ックの内側の部分で決まって この問題で関数関係となっている いるところと変えられるとこ ものを多く挙げさせる その関係と ろに着目させて, 考察しやす 結び付けさせて何を とおくかを くする 全体で考えさせ, できるだけ多く出 させる 発表されたそれぞれの考えに対し パターン 1~3 以外の考え て, 解決の見通しをもつ で, 題意を適切に捉えられて いないと考えられるものは,

まとめ 5 分 グループごとに, 解決の方法として示された中から一つ選ばせる 次時は, 選んだパターンについてグループで考察し, 問題を解決していくことを伝える 具体例を用いながら説明し, 題意を正しく捉え直させる 一つのパターンに偏らないように選ばせる 9 本時の展開 (6 時間目 ) (1) 本時の目標 陸上競技トラックの問題を考察し, 解決することができる (2) 観点別評価規準 数学を用いて処理したことを現実の場面に戻して解釈し, 解決方法を説明することができる ( 数学的な見方や考え方 ) (3) 準備物 ワークシート ( 陸上競技トラックの問題 ), 解答プリント, 教科書 ( 新編数学 Ⅰ 数研出版 ) (4) 学習の展開 (6 時間目 ) 指導上の留意点 評価規準教授 学習活動 努力を要する 状況と判断し 観点 ( 教授, 学習活動 ) た生徒への指導の手立て ( 評価方法 ) 導入 5 分 前時を振り返り, 本時も 陸上競技トラックの問題 を考察していくことを伝え, 本時の流れを説明する 前時は 何を とおけばよいか を中心に考察し,3つのパターンの候補が出たことを確認する 本時は前時に選んだパターンについてグループで考察し, 問題を解決していくことを確認する 展開 40 分 グループで関数の式を作らせ, それを基にそれぞれでトラックを設計させる 関数の式を導き, 内側の長方形の面積が最大となるときを求める グループで相談しながら考察を進めさせる 平方完成が難しい生徒に対しては, 具体例 ( = 2 +2 など ) を解かせ, それを参考 に考えさせる

問題の条件から, 定義域を求める 問題の条件から, 定義域を調 べ求めた解を吟味する必要があることに気付かせたい 生徒が気付かないときは, 問題の条件を再度確認させる パターンごとの解答を求める 解答プリントを配付して, 自分の考 えとの違いに気付かせる 関数の式やグラフの違い, 定 義域の違いを比較すること 答えからどのようなトラックの形 状になるかを求め, 発表する で, 理解を深めさせる 難しい場合は, 教師が説明を 補足する 数学を用いて処理したことを現実の場面に戻して解釈し, 解決方法を説明することができる 数学的な見方や考え方 ( 行動観察, ワークシート ) まとめ 5 分 陸上競技トラックの問題を振り返り, 学んだことや感想をワークシートに記入する ワークシートに記入したことを発表させ, 全体で共有する 問題解決の流れを振り返らせ る 10 参考文献 片桐重男 (2004 年 ): 新版数学的な考え方とその指導第 1 巻数学的な考え方の具体化と指導 明治図書出版岩田耕司 ( 平成 26 年 ): 小山正孝編 教師教育講座第 14 巻中等数学教育 協同出版

ワークシート 2 次関数の最大 最小の応用 問題 競技場内に次の条件を満たす陸上競技トラックを設計したい 条件 陸上競技トラックは図のような形状とする カーブの部分は半円である 1 周 400m の陸上競技トラックにする 6 人が同時に走れるようにレーンは6つ作る 各レーンの幅は1m とする 内側の長方形の面積ができるだけ大きくなるようにする 競技場の大きさが縦 200m, 横 100m であり, 安全面を考慮して競技場の端から外側のトラ ックまでの距離を 10m 以上離す必要がある このとき, 条件を満たす陸上競技トラックを設計 せよ ポイント 何を とおくか ( 自分の解答 )

( グループでの話し合い ) 1 年 ( ) 組 ( ) 番氏名 ( )

400m 400 2 a a = 400 2 a = 400 2 a a 2 + a + 12 y a 2 y = a ( ) 400 2 = a + 12 = 2 (2 200) = 2 {( 100)2 10000} = 2 ( 100)2 + 20000 (i) y + a + 12 180 400 2 + + 12 180 ( 2) 168 400 168 400 2 (ii) a + 12 80 400 2 + 12 80 400 2 68 200 34 O 100 200 34 168 400 2 (i)(ii) 200 34 168 400 2 93.24 145.37 = 100

2 400m l 2l + 2 = 400 l = 200 y l l + 2 + 12 y = 2l = 2(200 ) = 2 2 + 400 ( = 2 2 200 ) { ( = 2 100 ) } 2 10000 2 ( = 2 100 ) 2 + 20000 2 + 12 (i) (ii) l + 2 + 12 180 200 + 2 + 12 180 32 2 y 2 + 12 80 34 (i)(ii) 100 32 2 34 28.07 34 = 31.84 O 32 2 100 34 = 100

400m 400 2 = 200 2 a a = 2 a = 2 a a 2 200 200 + a + 12 y y = a(200 ) ( ) 2 = (200 ) = 2 (2 200) a 2 a + 12 = 2 {( 100)2 10000} = 2 ( 100)2 + 20000 (i) 200 + a + 12 180 y 200 + 2 + 12 180 2 32 32 2 (ii) 12 + 2 80 (i)(ii) 34 32 2 34 88.14 106.76 O 32 2 100 34 = 100