第 3 学年 4 組数学科学習指導案 平成 6 年 0 月 6 日 ( 月 ) 第 5 校時場所 3 年 4 組教室生徒数男子 8 名女子 5 名計 33 名指導者毛利岳志 単元名二次方程式 ( 二次方程式の活用 ) 単元について () 教材観小学校第 6 学年では, 数量を表す言葉や の代わりに, a や x などの文字を用いて式に表したり, 文字に数を当てはめて調べたりすることを学習している 中学校第 学年では, 文字を用いた式の学習の上に立って, 方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解し, 等式の性質を基にして一元一次方程式の解き方を学習している 第 学年では, 二元一次方程式とその解の意味や二元一次方程式を連立させることの必要性と意味及び連立二元一次方程式の解の意味を理解し, 連立方程式の解き方を学習している 第 3 学年では, 二次方程式を解くことができ, それを具体的な問題解決の場面で活用できるようにし, 方程式をこれまでより多くの場面で問題の解決に活用できるようにする () 生徒観本校の3 学年においては クラス単位の一斉指導を行っている 生徒は明るく素直な生徒が多く 真面目に学習に取り組む態度が備わっている 平成 6 年度の全国学力 学習状況調査の生徒質問紙の結果からは 数学が好き 数学は大切だ と感じている生徒は全国平均を上回っており 全体的には数学を肯定的に捉えているが 数学ができるようになりたいか については低い数値を示しており 意欲面での課題が見られる 数学 A 数学 B の調査結果に目を移すと 埼玉県全体としては全国平均よりも下回っているのが現状である 本校生徒については 全体的には概ね満足できる結果が得られているが 基礎 基本の定着という点においては 個人の学力差が大きく 個に応じた手立ての必要性を感じる また B 問題の設問別では (3) 予想された事柄が成り立たない理由を説明すること 4() 証明を振り返って考え ことがらを用いること 6(3) グラフの特徴を事象に即して解釈し 結果を改善して問題を解決する方法を説明すること については 県や全国同様に低い正答率であり 数学的に考えたり ( 数学的な思考力 ) 理由を説明したり ( 数学的な表現力 ) することに課題がみられる さらに B 問題では 無解答率が高い設問も多く 問題に正対する姿勢や数学に対する学習意欲について 改善の必要性を感じる (3) 指導観 本単元では 知識や技能の習得はもとより 事象を数学の舞台にのせ 課題を解決する数学化 の過程の重要性に触れたり 経験したりすることにもねらいがあるので 二次方程式の形式的な 処理とともに数学用語や記号を十分に使いこなしながら論理的に考えていけるよう 継続した指 導が必要である また 発展問題や活用に関する問題に取り組む際に 問題に正対せずにすぐに あきらめてしまうなど 意欲面で課題のある生徒も多くいるので 授業の中で課題設定の工夫を したり 言語活動の充実を図ったりするなどして 生徒が意欲的に かつ主体的な態度で学習を 進められるよう留意したい 本時は 二次方程式の活用の3 時間目で 図形への応用である 正方形 のつの頂点から同じ速さで動く点がつくる面積について考察し 課題を 設定する 生徒は これまでの学習で動点に関する問題には取り組んでき ているものの 数は多くない 導入問題を把握する場面では 分かりやす く ( マグネットなどの活用 ) 提示し 問題に正対させたい 導入問題の解決 においては 面積を求める式表現と面積の値を表にまとめることで 課題
の解決時に考え方を振り返るきっかけ ( 手立て ) とし 思考や表現を振り返る価値を見いださせ たい また 方程式の活用場面では 解の吟味が欠かせない 解が本当にその問題の答えとして 適当であるか 論理的に説明させたい 課題 の解決後には 問題の条件変えを考えさせ 課題 を発展させ課題 を設定していく その際 問題の条件のすべての場合を確かめてみたい! 調べ て見たい! という数学のあるべき姿勢を大切にする 課題 を設定する場面では 面積を3cm のままにしておくことで 課題 の問題解決で不都合が生じる ( 解が得られない ) そこで 課題 の条件を振り返り 面積の数値に着目させる この課題 の解決に必要とされる数値を全員で検討していくが その際に課題 の設定場面を振り返り 具体的に数を代入し て適当な面積の数値を探ったり 表にまとめて考えたりする意見が出て欲しい 課題 の解決については 課題 の解決をもとに考えさせ より洗 練された表現で解決を図っていく 課題 の解決後に残された条件変えの発展課題については 自分で課題を設定し 解決 ( 解く ) するよう伝え 開いた形で授業を終わらせることで生徒の学習 意欲を喚起したい 3 特定課題研究との関連 () 研究テーマ 数学的な思考力 表現力を育成する学習指導の工夫 ~ 発展的な学習指導に焦点を当てて~ () 研究仮説とその手立て研究テーマである数学的な思考力 表現力を育成するために 以下のように仮説とその手立てを設定し 検証することとする 仮説 : 主体的に問題解決に取り組み 思考と表現がくり返し行われる学習指導ができれば 数学的な思考力 表現力が育成されるであろう 具体的な手立て 手立てア主体的な活動ができるように 考える必要感のある問題 ( 課題 ) を設定する 手立てイ表現された自他の見方や考え方を読んだり 説明したりする活動を取り入れ 生徒の思考と表現を促進させる 仮説 : 学習過程において 振り返り を効果的に行い 発展的な学習指導ができれば 数学的な思考力 表現力が育成されるであろう 具体的な手立て 手立てアつながりのある教材や発展性のある教材を提示し 発展的に考えさせる 手立てイノートや板書をもとに思考の 振り返り を効果的に行い 比較 検討場面を充実させる 手立てウ振り返る きっかけ が見える構造的な板書になるように工夫する 4 単元の指導計画 () 単元目標二次方程式について理解し, それを用いて考察することができるようにする 二次方程式の必要性と意味及びその解の意味を理解する 因数分解したり平方の形に変形したりして二次方程式を解く 3 解の公式を知り, それを用いて二次方程式を解く 4 二次方程式を具体的な場面で活用する () 指導と評価の計画本単元 二次方程式 を 内容のまとまりである6つの小単元と単元のまとめで構成し それぞれの授業時間数を次のように定めた
小単元等 授業時間数 二次方程式 時間 平方根の考えを使った解き方 3 時間 3 二次方程式の解の公式 3 時間 4 因数分解による解き方 時間 5 いろいろな二次方程式 時間 6 二次方程式の利用 3 時間 ( 本時 3/3) 6 時間 5 単元のまとめ 時間 小単元 6の指導のねらい 生徒の学習活動及び評価規準と評価方法は 次の表のとおりである 時 評価規準 評価の方法 間数学への関数学的な見方数学的な技能数量や図形なねらい学習活動心 意欲 態や考え方どについての 度 知識 理解 小単元 6 具体的な問題の解 二次方程式 具体的な事 問題の中の 具体的な問題 決に方程式がより を活用するこ 象の中の数量 数量やその関 を二次方程式 広く活用できるこ とに関心をも の関係を捉 係を文字を用 を活用して解 とを知ったり 数量 ち 問題の解 え 二次方程 いた式で表 決することが の関係を捉え二次 決に生かそう 式をつくるこ し それを基 できる 方程式をつくり解 としている とができる にしてつくっ いて 解の吟味をし 観察 ノー 観察 た二次方程式 たりする ト を解くことが できる 観 察 面積や体積の性質 求めた解や 二次方程式 について 二次方程 解決の方法 を活用して問 式や解の公式を用 が適切であ 題を解決する いて問題を解決す るかどうか 手順を理解し る を振り返っ ている 小テ て 論理的に スト 3 図形の問題につい 説明するこ 条件変えし て 条件変えをした とができる た問題を既習 問題を発展的に考 観察 の考え方を基 え 既習の考えをも にして解決す とにして解決する ることができ ( 本時 ) る 観察 表中 各評価規準の文頭に付けた記号の意味については 評価規準の作成 評価方法等の工夫改 善のための参考資料 中学校数学 ( 国立教育政策研究所 ) を参照されたい また 表中 各評 価規準の文末の には 次のような生徒の学習の状況を把握するために想定される評価方法を 示した 観察 生徒の発言やつぶやき 机間指導等を通じて捉えた生徒の学習への取組 ノートの 記述などに基づいて評価する ノート 生徒のノートやワークシート レポート等を授業後に回収し点検して評価する 3
5 本時の指導 () 本時のねらい 求めた解や解決の方法が適切であるかどうかを振り返って 論理的に説明することができる ( 数学的な見方や考え方 ) 条件変えした問題を既習の考え方 ( 課題 の考え方 ) を基にして解決することができる ( 数学的な技能 ) () 本時の展開 教科研究主題との関連 学習活動 生徒の反応 指導上の留意点 評価 指導の手立て 問題場面を提示する 問題を黒板に提示する 問題右の図のような正方形 ABCD で, 点 P は A を 出発して AB 上を B まで動きます また, 点 Q は, 点 P が A を出発するのと同時に D を出発し,P と同じ速さで DA 上を A まで 動きます 点 P が A からcm,cm,,6cm 動いた ときの APQ の面積を求めてみよう 問題を解決する AP がcm のとき,DQ もcm になるから, AQ は5cm になるはず 5 面積は (6 ) (.5) になる ( ),3, も同じように求めると, 次のように整理できる 点 P が動いた長さ 3 4 5 6 APQ の面積.5 4 4.5 4.5 0 生徒には ワークシートを配布する 問題の状況がうまくつかめない生徒には, コンピ ュータのシミュレーションなどを使って問題場面を把握させる 問題の解決においては,cm や cm の場合の図を 図示するなどして, 面積の変化を捉えさせる 面積を求める計算式は, 方程式を立てる手立てに なるので, 数のルーツが分かるように表現する 3 APQ の面積が3cm になるのは 点 P が A から何 cm 動いたときか考える cm とcm の間でなりそう (4cm と5cm でもなりそう ) 回なるかも 面積の表をつくることにより, 変化の様子を関数的な見方で考察することも大切にしたい 面積が3cm になるのは, 表から 回あることを押さえておき, 解の吟味に活用できるようにする 4 課題 を設定する 課題 APQ の面積が3cm になるのは 点 P が A から何 cm 動いたときか求めてみよう 5 課題を理解し, 解決の見通しをもつ AP の長さを x とおいて, 方程式をつくって解けば問題解決できそうだ AP の長さを x とすると DQ も x になるから, AQ は 6 x と表せるはず 面積を使って方程式がつくれそうだ 6 二次方程式をつくり, 課題を解決する AP= x とすると APQ の面積は3cm だから, x ( 6 x) 3 となる 解決の見通しをもたせられるように生徒と十分なやりとりをする ( ) の式をもとにして, 方程式を立てられないか考えさせる できるだけ, 解の公式と平方完成の考え方両方を取り上げる 4
これを解くと, x ( 6 x) 6 x x 6x 6 0 6x 6 0 解の公式 ( 平方完成 ) を使うと, x 3 3 近似値を用いて, 解の吟味をする 3.73とすれば 3 3 3.73 4. 73 3 3 3.73.7 になるから, 予想の通り 回ある 答え. ( 3 3) cm x の変域を意識させ, 近似値を利用して吟味させる その祭 表と予想を振り返りながら, 論理的に説明させる 二次方程式の解が題意に適するかどうか論理的に説明することができる < 見 考 >( ワークシート 発表 ) なぜ ( 3 3) を答えとしてよいのか問いかけ 近似 7 問題の条件を変え 課題を発展させる 値での計算による解の吟味を促す 点 P,Q の動く向きは変えずに, 出発点を変えるとしたらできるようにさせる, どんな場合が考えられますか 全部で5パターン 条件変えによる問題づくりによって生徒の関心を引き出し, 学習内容の定着を図る 考え得るすべての場合について, 検討し, 発表さ せる 課題 からの難易度を考慮して, 条件変えの図を 選択し 課題 を設定していく 8 点 P や点 Q のスタート場所を変えた課題 を設定する 課題 右の図のような正方形 ABCD で, 点 P は B を出発して BC 上を C まで動きます また, 点 Q は, 点 P が B を出発するのと同時に C を出発し,P と同じ速さで CD 上を D まで動きます APQ の面積が3cm になるのは, 点 P が B から何 cm 動いたときか求めよう 9 課題 を解決する 台形 ABCQ の面積で考えると, ( x 6) 6 x 6 (6 x) x 3 よって, x 6x 30 0 これを解くと, 課題 の解決においては, 台形 ABCQ の面積に着目させ, 課題 の考え方 ( 面積を 通りで表して方程式を立てる ) を活用させる なぜ解けないのか, 問題解決過程を振り返って検証し, APQ の面積の値に着目させる 5
の中が負になり解けない 0 APQ の面積の値を検討する 正方形の半分より小さそうだから 6 cm,cm 6cm の表をつくって面積を調べてみる 生徒とのやりとりから, 数値を設定し 課題を解決する ( 例 :6 の場合 ) ( x 6) 6 x 6 (6 x) x 6 よって x 6x 4 0 課題 の設定場面を振り返りつつ, APQ の面積の変化を捉えさせ, 問題設定として適切な数値を検討していく 既習の考え方をもとにして, 条件変えをした問題を解決することができる < 技 >( ワークシート 発表 ) 板書やノートの課題 の解決方法 ( プロセス ) を振り返らせながら 台形の面積に着目させる 解の公式 ( 平方完成 ) を使うと, x 3 5 5.3 とれば 3 5 3.3 5. 3 3 5 3.3 0.77 になるので, 答え.( 3 5) cm 二次方程式の解が題意に適するかどうか論理的に説明することができる < 見 考 >( ワークシート 発表 ) 課題 の解の吟味の方法を振り返らせる 他の条件変えについて, 各自で新たな問題を設定し, レポートにまとめる 他の4パターンについて考える 点 P,Q の動く向きを変えた場合について考える もとの正方形を変形した場合について考える など 3 まとめをする 面積に着目すれば( 視点をもつ ), 条件変えした問題も解決することができる 答えが問題の条件に合わないこともあるので, 解の吟味が大切である 条件を変えることによって, 問題の題意に合う答えが求められないこともあることから, 解の吟味の必要性や適切に仮定 ( 数値 ) を設定することの重要性を再確認する 4 授業を振り返り 学習感想を記入する 学習感想カードに記入する 板書内容を振り返りながら考え方 表現の方法などを確認し それらを基に学習感想カードに記入させる ワークシート 学習感想を集め 評価する 6
(3) 板書計画 二次方程式を活用して 図形 ( 動く点 ) の問題を解決しよう タイトルは最後につける 問題右の図のような正方形 ABCD で, 点 P は A を 出発して AB 上を B まで動きます また, 点 Q は, 点 P が A を出発するのと同時に D を出発し,P と同じ速さで DA 上を A まで 動きます 点 P が A から cm,cm,,6cm 動いた ときの APQ の面積を求めてみよう AP が cm のとき,DQ も cm になる AQ は 4cm 面積は (6 ) になる 点 P が動いた長さ 3 4 5 6 APQ の面積.5 4 4.5 4.5 0 面積が 3cm になる場合はあるか? 回ありそう! 課題 APQ の面積が 3cm になるのは 点 P が A から 何 cm 動いたときか求めてみよう AP の長さを x とおいて, 方程式をつくる AP= x とすると DQ= x,aq= 6 x と表せる 面積を使って方程式がつくれそうだ ( 解答 ) APQ の面積は 3cm だから, x ( 6 x) 3 x 6x 6 0 よって x 3 3 3.73 とれば 3 3 3.73 4. 73 3 3 3.73.7 答え ( 3 3 )cm 点 P,Q の動く向きを変えずに 出発点を変えるとしたらどんな場合が考えられるか? 課題 右の図のような正方形 ABCD で, 点 P は B を 出発して BC 上を C まで動きます また, 点 Q は, 点 P が B を出発するのと同時に C を出発し,P と同じ速さで CD 上を D まで 動きます 6 APQ の面積が 3cm になるのは, 点 P が B から何 cm 動いたときか求めよう 台形 ABCQ の面積をつかって考える ( x 6) 6 x 6 (6 x) x 6 よって x 6x 4 0 x 3 5 5.3 とすれば 3 5 3.3 5. 3 3 5 3.3 0.77 答え. ( 3 5) cm 面積に着目すれば, 二次方程式を活用して問題解決することができる 答えが問題の条件に合わないこともあるので, 解の吟味が大切である 7
< 実際の授業の板書 >( 第 時 ) ( 第 時 ) 8