(Microsoft Word - \213\363\212\324\220}\214`_\220\263\216l\226\312\221\314_.doc)

Similar documents
STEP 数学 Ⅰ を解いてみた から直線 に下ろした垂線の足を H とすると, H in( 80 ) in より, S H in H 同様にして, S in, S in も成り立つ よって, S in 三角形の面積 ヘロンの公式 in in 辺の長

Math-quarium 練習問題 + 図形の性質 線分 は の二等分線であるから :=:=:=: よって = = = 線分 は の外角の二等分線であるから :=:=:=: よって :=: したがって == 以上から =+=+= 右の図において, 点 は の外心である α,βを求めよ α β 70

< D8C6082CC90AB8EBF816989A B A>

相加平均 相乗平均 調和平均が表す比 台形 の上底 下底 の長さをそれぞれ, とするとき 各平均により 台形の高さ はどのように比に分けられるだろうか 相乗平均は 相似な つの台形になるから台形の高さ を : の 比に分ける また 相加平均は は : の比に分けます 調和平均は 対角線 と の交点を

20~22.prt

Math-Aquarium 例題 図形と計量 図形と計量 1 直角三角形と三角比 P 木の先端を P, 根元を Q とする A 地点の目の位置 A' から 木の先端への仰角が 30,A から 7m 離れた AQB=90 と なる B 地点の目の位置 B' から木の先端への仰角が 45 であ るとき,

() () () F において, チェバの定理より, = F 5 F F 7 これと条件より, = よって, = すなわち F:F=7:0 F 7 F 0 FO F と直線 について, メネラウスの定理より, = F O 5 7 FO これと条件および () より, = 0 O FO よって, =

. 角の二等分線と調和平均 平面上に点 を端点とする線分 と を重ならないようにとる, とし とする の二等分線が線分 と交わる点を とし 点 から に垂直に引いた直線が線分 と交わる点 とする 線分 の長さを求めてみよう 点 から に垂直な直線と および との交点をそれぞれ, Dとする つの直角三

< 中 3 分野例題付き公式集 > (1)2 の倍数の判定法は 1 の位が 0 又は偶数 ( 例題 )1~5 までの 5 つの数字を使って 3 ケタの数をつくるとき 2 の倍数は何通りできるか (2)5 の倍数の判定法は 1 の位が 0 又は 5 ( 例題 )1~9 までの 9 個の数字を使って 3

二等辺三角形の性質 (2) 次の図の の大きさを求めなさい () = P=Q P=R Q 68 R P (2) (3) 五角形 は正五角形 = F 50 F (4) = = (5) === = 80 2 二等辺三角形の頂角の外角を 底角を y で表すとき y を の式で表しなさい y 2-5-2

数学 Ⅲ 無限等比級数の問題解答 問 1 次の無限級数の和を求めよ (1) (5) (2) (6) (7) (3) ( 解 )(1) 初項 < 公比 < の無限等比級数より収束し (4) (2) (3) その和は ( 答 ) であるから 初項 < 公比 となっている よって 収束し その和は よって

Microsoft Word - 201hyouka-tangen-1.doc

<8D828D5A838A817C A77425F91E6318FCD2E6D6364>

立体切断⑹-2回切り

テレビ講座追加資料1105

" 01 JJM 予選 4 番 # 四角形 の辺 上に点 があり, 直線 と は平行である.=,=, =5,=,= のとき, を求めよ. ただし,XY で線分 XY の長さを表すものとする. 辺 と辺 の延長線の交点を, 辺 と辺 の延長線の交点を G とする. 5 四角形 は直線 に関して線対称な

木村の理論化学小ネタ 体心立方構造 面心立方構造 六方最密構造 剛球の並べ方と最密構造剛球を平面上に の向きに整列させるのに次の 2 つの方法がある 図より,B の方が A より密であることがわかる A B 1

ピタゴラスの定理の証明4

S02 1 図において = =とする このとき = であることを証明せよ と において = 1 = 2 辺 は共通 より 3 辺 (3 組の辺 ) がそれぞれ等しい よって 合同な三角形の対応する角の大きさは等しい ゆえに = である

2015年度 京都大・理系数学

( 表紙 )

平成 25 年度京都数学オリンピック道場 ( 第 1 回 ) H 正三角形 ABC の外接円の,A を含まない弧 BC 上に点 P をとる. このとき, AP = BP + CP となることを示せ. 解説円周角の定理より, 4APC = 4ABC = 60, であるから, 図のよ

【】三平方の定理

2014年度 センター試験・数学ⅡB

中学 1 年生 e ライブラリ数学教材一覧 学校図書 ( 株 ) 中学 1 年 数学 文字式式の計算 項と係数 中学 1 年 数学 次式 中学 1 年 数学 項のまとめ方 中学 1 年 数学 次式の加法 中学 1 年 数学 77

< BD96CA E B816989A B A>

2013年度 九州大・理系数学

学習指導要領

2018年度 神戸大・理系数学

2014年度 名古屋大・理系数学

2015年度 岡山大・理系数学

例題1 転がり摩擦

学習指導要領

2011年度 東京工大・数学

補足 中学で学習したフレミング左手の法則 ( 電 磁 力 ) と関連付けると覚えやすい 電磁力は電流と磁界の外積で表される 力 F 磁 電磁力 F li 右ねじの回転の向き電 li ( l は導線の長さ ) 補足 有向線分とベクトル有向線分 : 矢印の位

Microsoft Word - 町田・全 H30学力スタ 別紙1 1年 数学Ⅰ.doc

Microsoft Word - スーパーナビ 第6回 数学.docx

2018年度 筑波大・理系数学

【】 1次関数の意味

代数 幾何 < ベクトル > 1 ベクトルの演算 和 差 実数倍については 文字の計算と同様 2 ベクトルの成分表示 平面ベクトル : a x e y e x, ) ( 1 y1 空間ベクトル : a x e y e z e x, y, ) ( 1 1 z1

DEF ABC の外接円に内接する種々の DEF について, の値 ABC 点 P を ABC 内の点とし,AP,BP,CP をそ れぞれ延長し, ABC の外接円との交点をそ れぞれ D,E,F とする また,AD と BC,BE と CA,CF と AB との交点をそれぞれ L,M, DEF N

2018年度 東京大・理系数学

PoincareDisk-3.doc

Taro-1803 平行線と線分の比

座標軸以外の直線のまわりの回転体の体積 ( バウムクーヘン分割公式 ) の問題の解答 立体の体積の求め方 図 1 の立体の体積 V を求める方法を考えてみる 図 1 図 1 のように 軸の から までの長さを 等分する そして とおく とすると となる 図 1 のように のときの 軸に垂直な平面 に

学習指導要領

重要例題113

図形と証明 1 対頂角 a = b ( 証明 ) a+ c= 180 なので a = c b+ c= 180 なので b = c 1 2 1,2 から a = b a と b のように 交わる直線の向かい合う角を対頂角といいます 等しいことは 当然のように見えますが 証明とは

2016年度 九州大・理系数学

数論入門

2011年度 大阪大・理系数学

p tn tn したがって, 点 の 座標は p p tn tn tn また, 直線 l と直線 p の交点 の 座標は p p tn p tn よって, 点 の座標 (, ) は p p, tn tn と表され p 4p p 4p 4p tn tn tn より, 点 は放物線 4 p 上を動くこと

2017年度 長崎大・医系数学

3D の作図ツールについて 3D 画面を表示すると 以下の新しい作図ツールが表示されます より多くのオプションを見るためには ボタンの右下の小さな矢印 をクリックして下さい 28

2017年度 京都大・文系数学

数学 ⅡB < 公理 > 公理を論拠に定義を用いて定理を証明する 1 大小関係の公理 順序 (a > b, a = b, a > b 1 つ成立 a > b, b > c a > c 成立 ) 順序と演算 (a > b a + c > b + c (a > b, c > 0 ac > bc) 2 図

学習指導要領

2015年度 金沢大・理系数学

学習指導要領

学習指導要領

京都発11.indd

学習指導要領

2016年度 筑波大・理系数学

丛觙形ㆮ隢穓ㆮ亄ç�›å‹ƒç·ı

頻出問題の解法 Check Exercize 1. 四角形 ABCD において 辺 AB, BC,CD, DA の中点をそれぞれ P,Q, R, S とすると 四角形 PQRS は平行四辺形であることを証明せよ 2. AB=2, BC =4,CA=3 である ABC において 辺 BC の中点を M

2011年度 筑波大・理系数学

<4D F736F F D F90948A F835A E815B8E8E8CB189F090E05F8E6C8D5A>

平成 30 年度 前期選抜学力検査問題 数学 ( 2 時間目 45 分 ) 受検番号氏名 注 意 1 問題は, 表と裏にあります 2 答えは, すべて解答欄に記入しなさい 1 次の (1)~(7) の問いに答えなさい (1) -3 (-6+4) を計算しなさい 表合計 2 次の (1)~(6) の問

2016年度 広島大・文系数学

紙を折る < 問題 > 長方形の紙を折る このとき 相似形はいくつできるだろうか? 2 個 固定固定固定 固定 2 個 2 個 固定 固定 3 個 3 個 固定 3 個 4 個 4 個

学習指導要領

学習指導要領

2017年度 千葉大・理系数学

学習指導要領

2017年度 神戸大・理系数学

中学 1 年数学 ( 東京書籍 ) 単元別コンテンツ一覧 単元ドリル教材解説教材 確認問題ライブラリ (OP) プリント教材 教材数 :8 問題数 : 基本 40, 標準 40, 挑戦 40 正の数 負の数などの問題を収録 解説教材 :3 確認問題 :3 数直線 数の大小と絶対値などの解説 確認問題

そこで ある程度の知識があれば数学と情報の練習もかねて用いてもおもしろいのではないだろうか これはある程度の下準備のされたファイルと FLSH のアプリケーションがあれば計算処理の結果をグラフなどで視覚的に表示することが可能となると思われる 環境が許せば できあがったものをいじ るだけでなく自分で作

1 対 1 対応の演習例題を解いてみた 平面のベクトル 例題 1 つなぐ, 伸ばす / 正多角形正 n 角形問題を解くとき注目すべき主な点 角 図形点について頂点, 辺の中点, 外接円の中心角について円周角, 中心角図形について頂点を結んで

平成 0 年度高校 1 年 ( 中入 ) シラバス予定 授業計画月単元 項目内容時数 10 節三角形への応用数学 Ⅱ 1 章方程式 式と証明 1 節整式 分数式の計算 1 正弦定理 2 余弦定理 三角形の面積 4 空間図形の計量 参 内接円の半径と三角形の面積 発展 ヘロンの公式 1 整式の乗法と因

2019年度 千葉大・理系数学

4STEP 数学 B( 新課程 ) を解いてみた 平面上のベクトル 6 ベクトルと図形 59 A 2 B 2 = AB 2 - AA æ 1 2 ö = AB1 + AC1 - ç AA1 + AB1 3 3 è 3 3 ø 1

2014年度 九州大・文系数学

断面の諸量

2015 年度新中学 3 年数学 春休みの課題 3 年組番氏名

解答例 ( 河合塾グループ株式会社 KEI アドバンスが作成しました ) 特別奨学生試験 ( 平成 29 年 12 月 17 日実施 ) 数 学 数学 2= 工 経営情報 国際関係 人文 応用生物 生命健康科 現代教育学部 1 整理して (60 分 100 点 ) (2 3+ 2)(

中学 3 年数学 ( 東京書籍 ) 単元別コンテンツ一覧 単元ドリル教材解説教材 確認問題ライブラリ (OP) プリント教材 教材数 :17 問題数 : 基本 145, 標準 145, 挑戦 145 多項式と単項式の乗法 除法 式の展開 乗法公式などの問題を収録 解説教材 :6 確認問題 :6 単項

2017年度 金沢大・理系数学

数学科学習指導案 指導者ステップコース隠地純子 平野未紗 ジャンプコース中村徳寿 1 日時平成 27 年 1 月 20 日 ( 火 )5 校時 2 学年第 1 学年ステップコース 12 人 ジャンプコース 19 人 3 単元名空間図形 立体の表面積と体積 4 単元について (1) 単元観中学校学習指

公式集 数学 Ⅱ B 頭に入っていますか? 8 和積の公式 A + B A B si A + si B si os A + B A B si A si B os si A + B A B os A + os B os os A + B A B os A os B si si 9 三角関数の合成 si

<4D F736F F D20824F F6490CF95AA82C696CA90CF95AA2E646F63>

学力スタンダード(様式1)

PowerPoint プレゼンテーション

2014年度 筑波大・理系数学

<4D F736F F D208C51985F82CD82B682DF82CC88EA95E A>

2015-2017年度 2次数学セレクション(複素数)解答解説

Chap3.key

FdData中間期末数学2年

vecrot

形 に余弦定理を用いて が得られる 回も余弦定理を使うことになってしまう < よしお > ただ () と異なっている条件は = 0 が分かっているということ だから とその対辺 の関係で余弦定理を使うことはできる = + cos = とし の 次方程式を解くと余弦定理は 回しか使わない < アリス

05 年度センター試験数学 ⅡB () において,cos q 0 であるから,P ( cos q, sin q) より, 直線 OP を表す方程式は y sin q sin q x cos q cos q x すなわち, (sin q) x - (cos q) y 0 ( ) ク 点 O,P,Q が

Transcription:

立体図形によるによる空間空間の彩り 球 立方体 正四面体の佇まいについて 札幌旭丘高校中村文則 はじめに正三角形 平面上では円とともに図形の代表に位置し, 図形の中に潜む種々の性質は大きな関心をもち扱われる. その正三角形を四面として構成される正四面体もまた煌びやかであり, 空間内では立体図形の主格であり, 正三角形の性質を継承しつつ, 独自に, 球面や他の立体図形との関わりを演出している. それらの佇まいについて調べてみよう. なお, 正四面体の 辺の長さは として進めていく. 正四面体の計量正四面体 面である つの正三角形 を含む平面に垂直な方向から眺めると, 頂点 正三角形 の外接円の中心に重なる点に位置する. すなわち頂点 から正三角形 に下ろした垂線の足 G が外心であり, このことは次のように示される. G および G は直角三角形であるから, = より, G G G= G = = であることより, 同様に G についても考えると, G= G= G 以上より, 点 G は三角形 の外心 ここで, 正三角形の外心と重心は一致するから, 直線 G と辺 との交点を とすると, G: G = : このことを用いて正四面体の体積は次のように求められる. : : = :: より, = = G: G = : より, G= = これより, G = G = 以上より, 正四面体の体積 V G= V = G= G= = G ( G) 辺の長さ の正四面体の体積は 頂点 とその対面である の重心 を結ぶ線分との交点を とするとき, 点 の線分 G 上の位置を求めてみよう. G: G = :より, : = : G= : よって, // G より, G = G より, : G= : G = : これ 正四面体の 4つの頂点と, それぞれの対面の三角形の重心を結ぶ線分 点で交わることを示しており, このことは任意の四面体においても成立する. この共点 を四面体の重心という. 重心は四面体が一様な密度の物質でできているときの質量中心 したがって, 四面体が点 によって分けられる4つの四面体,,, の体積は等しい. Pge G

正四面体の各頂点とその対面の重心を結ぶ線分は 点で交わり, 線分を : の比に分ける 正四面体を三角形 に対して垂直な方向でみるとき, 三角形 三角形 G に重なる. すなわち, 三角形 の正射影が三角形 G 三角形 G の面積 点 G は三角形 の重心であることより, G = 余弦の定義より, 次の性質が得られる. 正四面体の 面のなす角を θ とすると cosθ = 一般に, 閉曲線で囲まれる図形の面積を, この図形の つの平面 αへの正射影を T,つの T 図形のなす角を θ とするとき,cosθ = これ 平面 α に垂直に つの図形を等間隔に細かく切るとき, 切り分けられた図形は長方形に近似でき,つの図形の縦の長さの比が cosθ であることから分かる. θ T 四面体の重心 G 四面体の内接球, 外接球の中心に一致する. 頂点と対面の三角形の重心を結ぶ線分の長さは等しく, その交点である重心 G は線分を: の比に内分するから, = = = すなわち, 点 は正四面体の外接球の中心であり, その半径 r o ro = = G= = 4 4 4 であり, その体積 V 4 V = π r = π 8 また, 内接球は四面体の 4つの面に接するから, その半径 点 G から平面までの距離に等しい. すなわち, = G= G= = 4 4 であり, 内接球の体積 VI 4 VI = π = π このことから, 四面体の重心の性質である : G= : 外接球と内接球の半径の比を表していることが分かる. よって, 内接球の体積 外接球の体積の 正四面体の外接球の体積は V 8 = π であり, 内接球の体積は VI = V である 7 また, 四面体の内心を I とするとき, I から4 面の三角形に下ろした垂線の長さは内接球の半径 に一致する. よって,4 面の三角形の面積をそれぞれ,,,, 4 とすると, 四面体の体積 V V = + + + 4 = ( + + + 4 ) = + + + 四面体の表面積であり, 4 V = r I で得られる. 正四面体の場合4 面は合同な正三角形であるから, = 4 I Pge

ここで, =, V = であること用いると, 4 4 = 4 より, = 四面体の体積比較をすることにより, 内接球の半径を求めることができる. 正四面体の体積 V 内接球の半径を r I とすると, 4 V = r I 四面体で, 向かい合う辺の長さが等しいとき,4つ の面はすべて合同な三角形 右図のように四 c 面体を展開すると, 合同な三角形であることは明らか このような四面体を等面四面体という. 等 面四面体で 重心, 外心, 内心は一致し, 正四面 c 体の証明と同様に導くことができる. c 逆に, 四面体で, 重心, 外心, 内心のうち,つの点 が一致するとき, この四面体は等面四面体である ( 重 心と外心が一致した場合の証明は容易 ) ことも知られ ている. 四面体の各頂点から対面に下ろした垂線 交わるとは限らないが, 交わる場合にその四面体を垂心四面体という. 正四面体 垂心四面体であることは明らか 正四面体の外心 内心 重心 垂心は一致する 正四面体に接する球 外接 内接以外にもある. 外接は正四面体の 4 つの頂点と接することであり, 内接は 4 つ面と接すること 球面が正四面体の 本の辺と接する場合も考えられる. これを正四面体の切ったときの断面から調べてみよう. 正四面体の切り口から得られる性質 正四面体を頂点 とその対面である正三角形 の中線 を通る平面 αで切ると, 切り口は図の二等辺三角形 になる. このとき, 正四面体の重心 の垂心 また, 正四面体の外接球, 内接球の平面 αによる切り口 点 を中心とする半径がそれぞれ, G の同心円 球面が辺に接するとき, その接点は各辺の中点であるから, 右図で の中点, の中点 であり, が球面の直径 三角形 においてメネラウスの定理より, G = G : = :, G: G = : であるから, = すなわち, 点 辺に接する球面の中心 また, = = = r r r I 4 4 球面の半径 r G r = = = 4 であるから, 球面の体積 V Pge

4 V = π r = π 4 平面 αの切り口に現れる円 球面の大円 面に接する球 ( 内接球 ), 辺に接する球, 頂点に接する球 ( 外接球 ) の半径をそれぞれ,, r, r とすると, その半径は大円の半径でもあるから, : r : r = : : = : : 4 4 すなわち, 点 を中心として球を面に接した状態から 倍する度に, 辺, 頂点と球面は接することになる. 正四面体の面, 辺, 頂点で接する球の半径をそれぞれ,, r, r とするとき, r I = : r : r = : : 正四面体の展開図から見える性質 立体図形の性質を調べるに 図形の一部を切り出し, 平面上の図形問題として扱った方が処理し易い場合がある. 等面四面体が合同な 4つの三角形で構成されることの証明はこれに拠った. 正四面体の面のひとつである三角形 を底面として展開してみよう. 三角形 に内接する円 四面体の辺に接する球と三角形 との交線 また, 三角形 の外接円 四面体の外接円と三角形 との交線 点 G 四面体に内接する球との接点を表している. 四面体の重心を とすると, 内接球の半径 = G 辺に接する球面の半径を r とすると, G G = G = r r I 外接する球面の半径を とすると, G = G = r r I ここで,G は三角形 の重心であるから, G: G = : よって, G : G = r r : r r = 4: これを整理して, I I 正四面体の面, 辺, 頂点で接する球の半径をそれぞれ, r, r とするとき, r + r = 4r I 向い合う 辺上の点を結ぶ線分の長さ 正四面体の向かい合う 辺上の動点を結ぶ線分の長さの最小値を求めてみよう. 辺 上の動点を P, 辺 上の動点を Q とする. 点 Q を固定して点 P を動かすとき, 線分 PQ の長さ 点 P から辺 に下 ろした垂線の足に点 P が位置するとき, 最小となる. この点を とすると は の中点 P Q Pge 4

次に, 点 P を の位置に固定して, 点 Q を動かすとき, 同様に, 点 Q が辺 の中点 に位置するときに最小となる. 以上より, PQ それぞれの辺の中点を結んだ線分 がその最小値 このとき, = = = = 正四面体の向かい合う 辺上の動点を結ぶ線分 動点がそれぞれ 辺の中点にあるとき最小になる. このとき, 辺と中点を結ぶ線分は垂直であり, 線分の長さは この性質を用いると正四面体の体積を求めることができる. 辺, の中点をそれぞれ, とする. 三角形 の面積 = = 正四面体の体積 V 四面体 の体積 V と四面体 の体積 V の和であるから, V = V + V = + = ( + ) = 以上より, V = = 正四面体の体積 V 向かい合う 辺上の動点を結ぶ線分の長さの最小値を d とすると, V = d = この性質 一般の四面体についても成立するように拡張してみよう. ねじれの位置にある 直線, m l の上に, 線分, がある. 線分, がその長さを変えずに直線上を動いても, 四面体 の体積は一定 点, を固定して, 線分 をその長さを変えずに動かす. このとき, 三角形 同一平面 α 上にある. 点 から直線 m に下ろした垂線の長さを h とすると, 三角形 の面積 = h であるから の長さが一定であることより面積も不変 α H h m また, 点 から平面 αに下ろした垂線の長さを d とすると, 四面体 の体積 V は V = d = dh であるから辺 が動いても不変 次に, を任意の位置に移動し固定する. そのあと, を任意に動かしても, 四面体の体積は変わらない. 以上より,, がその長さを変えずに l 上,m 上をどんなに動いても四面体 の体積は変わらない. α H l d h m Pge 5

立方体から四面体を切り出す 立方体の つの面である正方形の対角線を結ぶことにより, 立方体から正四面体を切り出すことができる. 立方体から四面体以外の図形を切り落としていくと, 合同な 4つの四面体ができる. そのひとつは右図の四面体 であり, その体積 V 立方体の体積を V とすると, V = V したがって, 四面体の体積 V は V = V 4V= V 4 V = V L 四面体の 辺の長さを とすると, 立方体の 辺の長さは より, V = V = = 立方体の面の正方形の対角線を 辺とする四面体の体積は 立方体の体積の である この立方体を用いて, 正四面体に頂点, 辺, 面で接する球のそれぞれの半径 r, r, を求めてみよう. 立方体の頂点は正四面体の頂点をすべて共有することより, 四面体の外接球は立方体の外接球 半径 r は立方体の対角線であるから, r = + + = = 4 球面が正四面体の辺に接するとき, その辺 立方体の面である正方形の対角線 よって, 球面は立方体の面である正方形に内接する. したがって, 半径 r は立方体の 辺の長さの半分 r = = 4 右図のように, 立方体を正方形である面に対して垂直にみると, 辺に接する状態を見ることができる. また, 面 に垂直な方向で立方体を見ると, 四面体に内接する球の状態が 分かる. 図の H の長さが内接球の半径 = + = + = = ここで, : = : より = = = = ( ) ( L) H ( L) r L ( ) ( ) ( ) Pge

では 正四面体に立方体が内接する場合はどうなるだろう. 立方体の底面の正方形は正四面体の底面上にあり, 上面の正方形の 辺は斜面上, それ以外の 点はそれぞれ つの斜面上で接している. このときの立方体の 辺の長さ を求める. 右図のように, 立方体を正四面体の内部に配置する. 立方体の上面の正方形を含む平面 αで正四面体を切った切り口は正三角形 また, の中点を として, 三角形 を含む平面で立方体を切ってできる正方形を図のように PQR とする. 線分 P= y とすると, : y= : より, y= また, 三角形 で切った断面において, : R= :より : R= : よって, = R = 4 = = 4 = より + y= 4 + + = 4 = 4 + + 辺の長さはそれほど綺麗な値ではなく, 正四面体の内部に位置するには立方体は馴染まない. だが, 正四面体の内部に正四面体を内接させると, 正四面体の 4 面の重心を頂点とする正四面体 y P α P Q R y P Q R になり, その体積は元の正四面体の 7 この比の値 正四面体の外接球と内接球の半径の比と同じ すなわち, 正四面体の内接球 正四面体に内接する正四 面体の外接球であるということ このように, 正多面体の面の中心を頂点としてその内部に作ら れる正多面体は元の正多面体と双対であるという. 立方体 ( 正六面体 ) の双対の多面体8つの正方形である面の中心を頂点とするから正八面体 正八面体の 8つの正三角形の面の中心を結ぶとその内部にはまた立方体が現れる. 正八面体の体積 V 立方体に含まれる正八面体を真上から見下ろ すと, 立方体の面である正方形の の正方形を底面とする四角錐を つ合わせた形 であることより, 立方体の体積 V に対して, V = V = V 正六面体 ( 立方体 ) と, その内部に内接する正八面体, 正四面体の体積比 :: Pge 7

おわりに 本稿で 解析幾何的な手法は用いず, 初等幾何を重んじて考察を進めている. 三角比やベクトルを用いたり, 空間座標を導入することで, 機械的に解答を導き出すことはできる. ただそれだけでは図形を認識し, 理解したとは必ずしも言えるわけではない. 図形のイメージを膨らませたり, あるいは平面図形に切り出したりすることで, 凝り固まった頭の筋肉 ( はあるのかな?) をほぐす. それでもイメージできなければ実際に模型を作ってみたりしながら, 図形の性質を捉えることが空間思考力を養う. そうした思考トレーニングにより空間認識力を身につけた後に, 公式や定理として体系づけていくべきであろう. 本文は球面と正四面体の体積を中心にその関わりをまとめているが, 正四面体の体積はベクトルを用いることで簡単に得られてしまう. 一般の四面体の体積も公式として与えられている. 正四面体から図のように平行六面体を作ると, その体積を V とす ると, 正四面体の体積 V V = V ここで V は次のよう に求めることができる. 辺, で作られる平行四辺形の面積 = これを底面とする高さ h とc のなす角を θ とすると, ( ) c ( ) c h= c cosθ = c = c ( ) c V = h= = ( ) c ccosθ ( ) θ V = V = c この公式を用いて, 座標空間に四面体を置くと, その体積を求めることは可能になる. そういった手法ももちろん数学の王道ではあるが, 四面体の体積をカバリエリの原理などを用いて, 柔らかく解いた方がやはり楽しいし頭にとってもいいこと 今の時代 パソコンソフトを使うと誰でも簡単に が描ける時代であり, どのような角度からも立体を見ることができ, 必要であれば, その内部だって覗ける. 容易に視覚による図形認識ができるのであるが, ただそれはデジタル的な図形認識であり, 立体図形というより いろいろなアングルで見てスナップショットした平面図形のサムネイルの画像 これは空間認識といっていいものだろうか. 例えば球面を思い浮かべるとき, その図形は妙に陰影のはっきりとした色鮮やかな球になっていないだろうか. 球面のザラザラとした手触り, 押すとちょっとへこむ柔らかさ, そういった触覚なども伴った仮想ではない認識は体験より得られるもの 本文では立方体を切り崩して正四面体を作り出しているが, このアイデア 天文学者ケプラー (57-0) によるもの ケプラー さらに立方体の残りの 4 頂点も結び, もう一組の正四面体を作った. その結果, つの正四面体 重なり合い, 図のように対称性鮮やかな立体を作り出している. 星形に見えるこの立体をケプラー 八角星 (stelloctngul) と名づけた. 八角星で つの正四面体の重なった部分は正八面体になっている. 八角星の体積つの正四面体の体積の和から正八面体の部分を除けばよいから, 立方体の体積を V とすると, 体積 VT VT = V V = V これから, 八角星, 正四面体, 正八面体の体積 立方体の体積のそれぞれ,, より, :: この比 アルキメデスが発見した, 底面の直径と高さが等しい円柱と, それに内接する球, 直円錐の体積比と同じ さらに ++= その和 正六面体の体積に等しい. すなわち完全数 の約数により, 正六面体, 八角星, 正四面体, 正八面体が配置されているの ケプラー 八角星をきっと紙で作成して, その美しさに心奪われたことだろう. 実際に作ってみて, 初めて味わえる発見であり, 喜び c Pge 8