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水の粘度 (mpa s) y R φd p τ 図 3. 円管内流速分布の解析モデル 応力を τ とすると 円筒の全側面に作用するせん 断応力による力は となる 定常状態 では この力と圧力による力 () 式が釣り合うので これから τ を求めると () (3) 壁から円筒側面までの距離を y とす

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降雨 地下水汚染 蒸発 揚水量 河川 地盤掘削 ダム 涵養 斜面崩壊 地すべり 漏水 地下水の塩水化 シールドトンネル 浸透圧 井戸地盤沈下 浸透量 浸透破壊湧水 流動 地下水に関する問題 トンネル掘削湧水, 周辺地下水低下

吸着水 地下水面 重力水 毛管水 不飽和領域 土粒子 地下水 飽和領域 土中水の存在形態 重力水は雨水, 地表面の貯留水, 流水などが地下に浸透し, 重力の作用により, 地下水面に向かって移動する水である 重力のみでは移動できないが, 間隙あるいは土粒子表面に保持されている水で, 表面張力によって間隙に保持されている水を毛管水, 土粒子表面の吸引力によって吸着されている水を吸着水という

土の透水 地盤内に存在する水を総称して地下水または土中水と呼ぶ 我が国は, 欧米諸外国と比較して地下水位が高く, 平野部で地表面から ~ 数 m のところに地下水面が存在する 地下水面以下にある地盤の間隙は水で満たされた水飽和状態にある 建設工事におけるトラブルの多くは地下水の挙動が関係していることが多く, 地下水に関する知識は重要である

被圧地下水の涵養域 不圧地下水の涵養域 自噴井戸 宙水 不圧帯水層難透水層 地表水 漏水による涵養不透水層 ( 水理地質的な基盤 ) 被圧帯水層 ( 漏水性帯水層 ) 地下水の存在形態

被圧地下水の涵養域 不圧地下水の涵養域 不透水層 自噴井戸 地表水宙水不圧帯水層難透水層被圧帯水層漏水による涵養 ( 漏水性帯水層 ) 帯水層とは 帯水層とは十分な地下水供給能力を有する透水性の良好な飽和した地層で ( 砂層, 礫層等 ), 被圧帯水層, 漏水性帯水層, 不圧帯水層の 3 種類に大別される 難透水層は地下水を取水するためには良好な透水性ではないが, 広域的および長期間においては, 地下水を伝達するに十分な透水性を有する地層である 粘土層, ローム, 頁岩が代表的である

被圧地下水の涵養域 不圧地下水の涵養域 不透水層 自噴井戸 地表水宙水不圧帯水層難透水層被圧帯水層漏水による涵養 ( 漏水性帯水層 ) 不透水層 不透水層は地下水を伝達しない不透水性の地層であり, 密で亀裂のない火成岩や変成岩が代表的である

被圧地下水の涵養域 不圧地下水の涵養域 不透水層 自噴井戸 地表水宙水不圧帯水層難透水層被圧帯水層漏水による涵養 ( 漏水性帯水層 ) 被圧帯水層 () 被圧帯水層は不透水層によって上下部分を挟まれた状態で存在し, 帯水層中に地下水面は存在しない 被圧帯水層に存在する被圧地下水は, 通常, 大気圧より高い圧力を有し, 被圧帯水層に設置された井戸の水位は被圧帯水層の上面より上部に位置し, 時には地表面より上部になる ( 自噴する ) こともある

被圧地下水の涵養域 不圧地下水の涵養域 不透水層 自噴井戸 地表水宙水不圧帯水層難透水層被圧帯水層漏水による涵養 ( 漏水性帯水層 ) 不圧帯水層 不圧帯水層は下部を不透水層で仕切られ, 上部は他の地層で境界付けられていない したがって, 降雨などの地下水涵養を直接受ける 不圧帯水層の上面境界は大気圧状態にある地下水面であり, 不圧帯水層の厚さは地下水面の変動によって変化する 不圧帯水層に存在する地下水は不圧地下水とよばれるが, 地下の浅層部に形成されることが多いため, 浅層地下水ともよばれる

被圧地下水の涵養域 不圧地下水の涵養域 不透水層 自噴井戸 地表水宙水不圧帯水層難透水層被圧帯水層漏水による涵養 ( 漏水性帯水層 ) 多層帯水層宙水 宙水は不圧地下水の特異な形態であって, 比較的小さい面積の不透水層の上にたまった地下水である

水頭と地下水位 地下水は全水頭の高い地点から低い地点へ流動する ここで, 水頭とは水の有するエネルギーの大きさを水柱の高さで表したものであり, 長さの次元を有する 水頭は, 位置水頭, 圧力水頭,3 速度水頭, その他に分類されるが, 一般に地下水の流速は小さいので,3 速度水頭は無視することができ, 工学的な問題に関しては位置水頭と圧力水頭のみを考えれば十分である

水頭 (cm, m) について 底面 A の受ける圧力は, P= m t/m 3 =t/ m = 0 0. kg/cm = m 水の密度 また,SI 単位では, w = t/m 3 P= t/m 9.8 m/s =9.8kN/m =9.8kPa A= m = P(9.8kN/m ) [(m)] w (9.8kN/m 3 )

全水頭は次式のように表示される = p / γ w + z ここに : 全水頭 p / γ w : 圧力水頭 z: 位置水頭 ( 基準面からの高さ ) p: 水圧 ( 間隙水圧 ) γ w : 水の単位体積重量 p/r w p/r w 地下水面 不圧帯水層 難透水層 z z 被圧帯水層 基準面

ダルシーの法則と透水係数 土中水の移動は, その水頭 ( 土中水の有するエネルギー ) 勾配と土の透水性を表わすパラメータによって定量的に取り扱うことができる L 単位奥行き = - m 不透水層 D A 被圧帯水層 B 不透水層 m

図のような被圧帯水層にたてた 本のスタンドパイプに水頭差 ( 水位差 )が生じた場合, 地下水は A から B の方向に流動する この間の水頭変化量は動水勾配とよばれ, パイプ間の距離をLとすると次式で表される 動水勾配 (i ) は水の流れの勢いを表現する i = / L L 単位奥行き = - m 不透水層 D A 被圧帯水層 不透水層 B m

ダルシー (Darcy) は, 動水勾配と土の中の流速 v との間には比例関係が成り立つことを発見した v=ki (cm/s) この式はダルシーの法則と呼ばれ, 地下水の運動方程式として用いられている 図の帯水層の断面積を A とすると, この帯水層を流れる水の流量 は次式で表すことができる =va=kia (cm 3 /s) L 式中の比例定数 kは透水係数であり, 土の透水性の大きさを 不透水層 表す 被圧帯水層 A B = - A 不透水層

時間項 (t ) について 単位時間当たりの流量 (cm 3 /s) は次式で表すことができる v=ki (cm/s) (cm 3 /s)=v (cm/s)a (cm )=kia (cm 3 /s) 水の流量 (cm 3 )= は次式で表すことができる (cm 3 )=v (cm/s)a (cm )t (s)=kiat (cm 3 )

土の種類によって透水係数の値は大きく変化する 土中の水は間隙中を移動するため, 透水係数は土の間隙構造に大きな影響を受ける 主な影響要因としては, 間隙比, 飽和度, 土粒子の粒径, 粒度分布などである たとえば, ヘーゼン (Hazen) は均等なフィルター用の砂について有効径 D 0 (cm) と透水係数との関係式を提唱した k =C D 0 (cm/s) ここに,C はヘーゼンの比例定数であり, 均等な砂で 50, ゆるい細砂で 0, 良く締まった砂で 70 程度とされている 透水係数は原位置試験または室内土質試験によって直接測定されることが望ましい

土の種類と透水係数 透水係数 (cm/s) 0-9 0-8 0-7 0-6 0-5 0-4 0-3 0-0 - 0 0 0 0 透水性実質上不透水非常に低い低い中位高い 土の種類 粘土 微細砂, シルト 砂および礫 礫 砂 - シルト- 粘土混合土 室内透水圧密試験を変水位透水試験定水位透水試験試験利用 3

透水試験 () 室内透水試験 室内透水試験法には, 定水位透水試験法と変水位透水試験法がある 透水性の高い砂質土 ( 透水係数が0 - ~ 0-3 cm/s 程度 ) に前者が, 透水性の比較的低い細砂やシルト ( 透水係数が 0-3 ~ 0-6 cm/s 程度 ) に後者が適用されている

定水位透水試験 右図に定水位透水試験装置を示す 飽和させた供試体 ( 長さL, 断面積 A) に一定の水頭差 を与え, 単位時間あたりの透水量 を測定する 透水係数は次式で計算する 越流水槽 給水側の水位を一定に保つ断供試体長さ面積 L A 有孔板 金網 フィルタ メスシリンダ k=l/a (cm/s)

定水位透水試験 =vat=kia t (cm 3 ) i=/l k = L/At (cm/s) 給水側の水位を一定に保つ K= K= Ait L At 越流水槽 断面積 有孔板 供試体長さ L A 金網 フィルタ メスシリンダ

変水位透水試験 試験対象となる供試体の透水性が低いため, 真空ポンプなどを用いて脱気し, 飽和させる 任意の時間 t からt の間にスタンドパイプ内の水位が, から に低下する状態を計測する スタンドパイプの断面積 a は, 供試体の透水性が低い場合には小さく, 高い場合には大きいものを選択し, スタンドパイプ内の水位降下量の計測が容易となるように配慮する 透水係数は次式で計算する k= a L A( t -t ) ln (cm/s) (ln=log e )

dt 時刻 t 時刻 t 越流水槽 断面積 d スタンドパイプ a L 供試体長さ A 有孔板 金網 断面積 a のスタンドパイプの水位が dt 時間に,d だけ低下したなら, その水量 dq は, dq=-ad フィルタ また,dq は,dq=kAidt であるから, -ad= kaidt -ad= ka(/l)dt この式を変数分離すると, d ka al 積分の形にすると, t dt d ka t al dt

dt 時刻 t 時刻 t 越流水槽 断面積 d スタンドパイプ a L 供試体長さ A 積分すると, log t e ka t t al e e al log e log e ka t al t t log e ka al log log ka t t 有孔板 t 金網 フィルタ k k al A t t.30al A t t log e log 0 自然対数 常用対数

ダルシー則の適用範囲 流れは定常で, 時間的に変化がないときに適用される 試料の長さ L A 水頭が等しいので流れが生じない 土の試料 断面積

ダルシー則の適用範囲 流れは定常で, 時間的に変化がないときに適用される この斜線の範囲では時間的に変化している ( 非定常流 ) 試料の長さ L A 水頭が変化したので流れが生じる このラインに到達して 土の試料断面積定常流となる

v v c 層流域 v=ki n 乱流域 層流域 = 定常流乱流域 = 非定常流 土中の流れが層流から乱流に v=ki 移るときの境界については, Fancer, Lewisらによって研究 i された i c i D v Reynolds( レイノルズ ) は, 円管 Re s 中の流れに対して渦が発生す ると, エネルギーの損失が大きいことを発見した レイノルズ数 Re は液体の密度, は液体の粘性係数 D s は土粒子の平均粒径,vは流速

3 t t c v = k m v r w 試料 圧密試験器を利用した変水位透水試験 圧密試験の計算整理においてその仮定から, 圧密係数 c v と透水係数との間には上式の関係がある

() 原位置透水試験 原位置透水試験法には, 井戸またはボーリング孔を用いて帯水層から地下水を揚水したり, 地盤中に注水等を行って, 生じた地下水頭の変動状況から地盤の透水係数を測定する方法である 複数本の井戸を用いて実施する多孔式揚水試験と 本の井戸を用いて実施する単孔式透水試験方法がある 前者は, 大規模な試験となり経費は必要であるが, 広範囲の地盤を代表する透水係数や貯留係数を精度良く算出することが可能である 一方, 後者はボーリング孔等を利用して簡便に実施できるが, 算定される透水係数は試験井戸近傍の局所的な透水係数であり, 井戸の形状や状態に影響され易い

平面図 揚水井 多孔式揚水試験 A A 観測井 影響圏 R は, A-A 断面図 揚水 初期の地下水位 R=C H k =3000 H k ここに, H は水位低下量 (m), k は透水係数 (m/s) 影響圏 R

多孔式揚水試験定常流被圧帯水層 = Av = πrdv D v = ki = πrdki = πrdk d dr () r r D 式 () を変数分離して積分すると, d H = = dr πdk r loge r + C πdk ()

多孔式揚水試験定常流被圧帯水層 D r r H = loge r + πdk C () r 境界条件は, r = r, H = (3) = r, H = (4) 式 () に式 (3) を代入して積分定数を求めると, C = ln r πdk = πdk + ln C r (5)

多孔式揚水試験定常流被圧帯水層 D r r 続いて, 式 () に式 (4) と式 (5) を代入すると πdk πdk = ln r + ln r k = π = = D πdk πdk ( ) r ( ln r ln r ) ln r r ln r

多孔式揚水試験定常流不圧帯水層 z x s Dupuit の仮定とは, 不圧地下水の浸透において, 地下水位の低下量が自然水位に比較して小さいときに, 鉛直方向の流れは水平方向に比較して, 極めて小さいとして無視できるという考え方である v = ki = k s k z x 二次元の現象を一次元化 ( 準一様流 ) し, 問題を簡単に扱う方法

多孔式揚水試験定常流不圧帯水層 r Dupuit の仮定を満足 r r するように極端に水位低下をさせないことを前提として = πrv d = = πk πrk dr r d dr

多孔式揚水試験定常流不圧帯水層 r r r dr r k d = π [ ] ( ) ( ) ( ) ln ln log log log r r k r r k r r k r k e e r r e = = = = π π π π

図のような装置を用い, 飽和させた砂試料において鉛直上向きに浸透を生じさせる 砂試料底部におけるフィルター位置での力の釣り合いを考えると, 鉛直下向きに働く力 ( 土の飽和単位体積重量 ): γ sat LA 鉛直上向きに働く力 ( 浸透水圧 ): (+L)γ w A L 排水 断面積 A フィルター

と が平衡状態にある時, 両式を等しいとおいて次式が導かれる γ sat LA = (+L)γ w A (γ +γ w )LA = (+L)γ w A γ LA +γ w LA = γ w A+γ w LA / L = γ'/γ w = (ρ s - ρ w ) ρ w ( + e) = i c ここに,γ sat : 土の飽和単位体積重量,γ : 土の水中単位体積重量,ρ s : 土粒子の密度,e: 間隙比 i c は限界動水勾配である

限界動水勾配 i c は, これ以上の大きな動水勾配による浸透流が生じた際には, 土粒子が流動し, 砂試料は安定を失うことを意味し この現象をクイックサンド ( 砂の液状化 ) と呼ぶ クイックサンドによって地盤が破壊する現象をボイリングと呼ぶ L 排水 断面積 A フィルター

一般に, 砂地盤のγ は8~0kN/m 3 程度であるため, 限界動水勾配は.0 前後の値になる 局所的に発生したクイックサンドは, その部分の砂を排除 ( 洗掘 ) し, 透水性を急激に増大させるので, それに至る浸透水の流路長が短くなり, 動水勾配が大きくなって浸透力の増大する このような悪循環が進行し, 上流部に向かってボイリングがパイプ状に形成される この現象はパイピングと呼ばれる 浸潤面 ( 線 ) i= /L L

一般に, 砂地盤のγ は8~0kN/m 3 程度であるため, 限界動水勾配は.0 前後の値になる 局所的に発生したクイックサンドは, その部分の砂を排除 ( 洗掘 ) し, 透水性を急激に増大させるので, それに至る浸透水の流路長が短くなり, 動水勾配が大きくなって浸透力の増大する このような悪循環が進行し, 上流部に向かってボイリングがパイプ状に形成される この現象はパイピング (Piping) と呼ばれる 洗掘された箇所 i<i = /L L