応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 断面諸量 断面 次 次モーメントの定義 図 - に示すような形状を有する横断面を考え その全断面積を とする いま任意に定めた直交座標軸 O-, をとり また図中の斜線部の微小面積要素を d とするとき d, d () で定義される, をそれぞれ与えられた横断面の 軸, 軸に関する断面 次モーメント (geometrcal moment of area) という また, d () d d () で定義される,, をそれぞれ与えられた横断面の 軸に O 関する断面 次モーメント ( あるいは慣性モーメント )(geometrcal moment of nerta), 軸に関する断面 次モーメントおよび - 図 - 任意の座標系 軸に関する断面相乗モーメント ( あるいは慣性相乗モーメント )(prodct of nerta of area) という なお - 軸に関する断面相乗モーメント は 軸, 軸のうち少なくとも一方が 与えられた図 形の対称軸になっている場合には その定義式から =0 となることが明らかである 座標軸の平行移動 図 - に示すように 元の座標軸 O-, に平行な任意の座標軸を O -, とし 両座標系の間に 0 (4) 0 の関係があるものとする このとき 新座標系の 軸, 軸に関する断面 次モーメン d トは次のようになる d d d d 0 0 0 d d d d 0 0 0 (5) また 新座標系の 軸, 軸に関する断面 次モーメント, および - 軸に関する断面相乗モーメント は次のようになる d 0 0 0 0 0 d d d d (6) d d d d d 0 0 0 0 0 0 0 d d d d d d 0 0 0 0 0 0 0 0 なお ここに 微小面積要素 d の定義より d の関係を用いている (7) ここで 軸, 軸に関する断面 次モーメント と が共に 0 となるとき その座標原点 O は与えられた図形の図心 (centrod, center of fgre) あるいは重心 (center of grat) と呼ばれる 言い換えれば 図心を通る任意の軸に関する断面 次モーメントはすべて 0 となる いま 図 - の点 O が図心であるとすると 0 であるから (5) 式より 0 O O 0 d 図 - 座標軸の平行移動
応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 0 0, 0 0 となるから 任意に選んだ座標系 O-, からみた図心 O の位置が次の式から計算できる 0, 0 (8) 以降 図心の位置を表す場合 文字 によって表示することにする ここで (8) 式を逆から見れば 任意の座標系 O-, における断面の重心位置, が既知であれば 軸, 軸に関する断面 次モーメント, は それぞれ次の式から計算できることになる, (8) このことは 長方形または正方形, 三角形, 円などの面積や重心位置が知られている図形については 任意の座標系での断面 次モーメントが容易に求め得ることを示している また 軸, 軸に関する断面 次モーメント, および - 軸に関する断面相乗モーメント については このとき 0, 0 であるから (6)(7) 式は 次のように変形できる 0 0 00 0 0 0 0 000 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 ここで (8) 式で用いたように 0, 0 に置き換えて表すと次のようになる (9) (0) () 断面 次モーメントの場合と同様に (9)~() 式を逆から見れば 任意の座標系 O-, における断面の重心位置, が既知であれば 軸, 軸に関する断面 次モーメント, および - 軸に関する断面相乗モーメント は それぞれ次の式から計算できることになる (9) (0) () このことは 断面 次モーメントの場合と同様に 長方形または正方形, 三角形, 円などの面積, 重心位置,,, が知られている図形については 任意の座標系での断面 次モーメントおよび断面相乗モーメントが容易に求め得ることを示している ここまでの座標軸の平行移動に関する知見を利用して 図 - に示すような重心位置が既知の図形 Ⅰ, Ⅱ,Ⅲで構成される断面について ) 任意の座標系 O-, での断面全体の重心位置,, ) 座標系 O-, に平行でその重心 を通る座標系 Ⅰ -, に関する断面 次モーメント, およ び断面相乗モーメント,, を求める問題を考える Ⅱ, このとき 次頁に示すような 表 を作成して計算す Ⅲ る方法について説明する まず 軸に関する断面モーメントを考える すなわ O ち 断面全体の重心の 座標 と 軸に関する断面 図 - 重心が既知の図形で構成される断面次モーメント を求めることを考える 主要断面の断面諸量については 資料を配布する
応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 分割図形 4 5 6 断面 次モーメント面積重心位置断面 次モーメント重心位置 (9) 式の第 項 (9) 式の第 項 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 合計 上表の各列 ~6 毎に計算内容を以下に述べてゆく 図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲそれぞれの面積 を求める さらに 断面全体の面積 を求める 任意の座標系 O-, における図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの重心の 座標 を求める (8) 式より 図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ それぞれの 軸に関する断面 次モーメント は で計算でき るので 断面全体の 軸に関する断面 次モーメント は それらを合計して となる ところで 断面全体ついて考えれば 図 - の点 が重心である よって (8) 式から 断面全体の 重心の 座標 は で求まる ここまでは 任意の座標系 O-, について考えたものであり 以降は座標系 O-, に平行で断面全体の重心 を通る座標系 -, について考える 4 座標系 -, における図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲの重心の 座標 を求める 5 6 は (9) 式の第 項を図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲそれぞれについて求めることを表している は 図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ それぞれの重心, を通り 軸に平行な軸に関する断面 次モーメントを求めることを表しており (9) 式の第 項を表している 例えば 各辺が - 軸に平行である bh 幅 b, 高さ h の長方形断面の場合にはで表され 図形の基本的なものである 5,6を各行毎 に足した は 図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲそれぞれの 軸に関する断面 次モーメントを表 すものとなるので それらをすべて加算した 次モーメントとなる は 断面全体の 軸に関する断面 次に 軸に関する断面モーメントを考える すなわち 断面全体の重心の 座標 と 軸に関する断面 次モーメント を求めることを考える このとき,,(9) 式 (0) 式に置き換えれば 軸に関する場合と全く同様になるので 表 のみを記載して詳しい説明は省略する hb なお 6の長方形断面の例の場合にはとなることに注意する必要がある
応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 4 分割図形 4 5 6 断面 次モーメント面積重心位置断面 次モーメント重心位置 (0) 式の第 項 (0) 式の第 項 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 合計 最後に 断面相乗モーメント について考える この場合 断面全体の重心位置, は既に得られているので 座標系 O-, に平行で断面全体の重心 を通る座標系 -, についてのみ考える 4 4 5 6 分割断面相乗モーメント面積重心位置重心位置図形 () 式の第 項 () 式の第 項 Ⅰ Ⅱ Ⅲ 合計 上表の,4,4 列については既に計算されたものであるので 5,6についてだけ説明する は () 式の第 項を図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲそれぞれについて求めることを表している 5 6 は 図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲそれぞれの重心, を通り, 軸に平行な軸に関する断面相乗モー メントを求めることを表しており () 式の第 項を表している 例えば 各辺が - 軸に平行である長方形断面の場合には図形の対称性より 0 であることが容易にわかる しかし 対称とならない場合は別途定義式に従って積分などを行う必要が生じるので 断面相乗モーメントの定義の際に既に述べたように 分割図形が重心を通り, 軸に平行な軸のうち少なくとも一方の軸に関して対 称となるように断面全体を分割した方がよい 5,6を各行毎に足した は 図形 Ⅰ,Ⅱ,Ⅲそれぞれの - 軸に関する断面相乗モーメントを表すものとなるので それらをすべて加算した は 断面全体の - 軸に関する断面相乗モーメントとなる
応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 5 座標軸の回転 図 -4 に示すように 任意の座標系 O, を原点 O 回りに反時計方向にθだけ回転して得られる新座標系を O, とすれば 両座標系の間には d cos sn () sn cos あるいは cos sn () sn cos O という関係がある 図 -4 座標軸の回転このとき 新座標系のξ 軸,η 軸に関する断面 次モーメント, は次のようになる d sn cos d sn d cos d sn cos cos sn d cos sn d cos d sn d cos sn sn cos () また 新座標系の ξ 軸,η 軸に関する断面 次モーメント, および ξ-η 軸に関する断面相乗モ ーメント は次のようになる d sn cos d sn dsn cos dcos d cos sn cos sn cos sn cos sn sn sn cos cos cos sn sn cos cos sn d d d d d cos sn cos sn sn cos sn cos cos sn d d cos sn cos sn sn cos sn cos cos sn sn cos (4) (5) d d d d (6) sn cos cos sn sn cos sn cos cos sn sn cos これらを用いてθを消去するように計算すると,, と,, の間には 次の関係があることがわかる
応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 6 (7) (8) 4 (9) ここで (9) 式は に置き換えても成り立ち これは 平面または,0 4 の 円 を描くことを意味する いて 中心, 半径 断面の主軸と主断面 次モーメント 平面にお (4)~(6) 式で示したように,, は θ の関数となる そこで の極大値 極小値につ いて考えてみる をθで微分すると 次のようになる d d cos sn d d sn cos sn cos d ここで 0 d とすると sn cos 0 となり tan すなわち tan (0) のとき は極値をとる なお について行っても同様な結果となる このとき (6) 式は sn cos 0 となることは明らかであり 0 となる また (0) 式を満たすθは つあり 両者は互いに 90 だけ異なっている このように 断面 次モーメントが極大値ないしは極小値をとる軸は互いに直交し それらの 軸に関する断面相乗モーメントは 0 である このような特別な軸を 原点 O に関するその断面の主軸 (prncpal as) と称し そのときの断面 次モーメントを主断面 次モーメント (prncpal moment of nerta) という 主断面 次モーメントを, ( > ) で表わすとすれば (9) 式より 次のようになる 4 () 特に 座標原点 O が断面の図心と一致するときの主軸は 単に 断面の主軸 と呼ばれ わざわざ 原点 O に関する という形容句はつけない
応用力学 Ⅱ 講義資料 / 断面諸量 7 備考:(7)~(9) 式の証明 (7) 式の証明 (4)+(5) を計算すると 以下のようになる cos sn cos sn (8) 式の証明 (4) (5)-(6) (6) を計算すると 以下のようになる cos sn cos sn sn cos cos sn 4 4 cos cos sn cos 4 4 sn sn cos sn sn sn cos cos 4 cos sn sn cos 4 4 4 sn cos sn cos 4 4 4 4 (9) 式の証明 (4) を変形したものの二乗 +(6) (6) を計算すると 以下のようになる cos sn sn cos cos sn cos sn 4 sn sn cos cos 4 sn cos sn cos 4 4 4 4 4