クリニカルパスの普及 体制の現状と課題 ~ 第 17 回 (H29 年 ) アンケート結果から ~ 本クリニカルパス学会 広報委員会
調査目的 クリニカルパスの日本における現状と動向を把握する 現場が求めている情報 支援を理解し 今後の学会としての活動に示唆を得る 特定調査は 院内で集計しているパスに関する データとし パス使用率等のクリニカルイン ディケーターについて調査した 1
< 対象 > 日本クリニカルパス学会の法人会員 200 床以上の全国の一般病院 ( 一部例外を含む ) ( 法人会員施設を除く ) 上記のうち 送付先のエラーや閉院などでの返送分 郵送によるアンケート調査 調査方法 423 施設 930 施設 11 施設 計 1,342 施設 2017 年 8 月に調査票を配布し 未記名にて回収 ( 任意で施設名を記入可能 ) 2
調査結果 調査票回収割合 :41.0%(550/1,342 施設 ) 前年度比 0.5 ポイント上昇 法人会員 :58.6%(248/423 施設 ) 非会員 :30.5% (280/ 919 施設 ) 会員種別不明 :1.6%(22/ 1,342 施設 ) 3
経営主体分類 公立病院 60 73 独立行政法人 32 56 医療法人 19 24 社会医療法人 28 13 私立大学病院 日赤病院 16 18 20 14 厚生連 JA 病院 済生会病院 12 17 16 6 その他 9 13 国立大学法人 財団法人 公益法人 6 8 7 7 13 7 社会福祉法人 3 9 共済病院 4 3 非会員 ( 含不明 ) 会員 会社 4 2 公立大学病院 0 4 0 20 40 60 80 100 120 140 施設数 (n=523) 有効回答 4
施設機能分類 看護体制 施設機能分類 ( 施設数 ) 看護体制 ( 施設数 ) 2.7% 0.8% 0.4% 0.6% 10.4% 0.6% 一般病院地域医療支援施設特定機能病院 14.9% 0.6% 0.2% 7 対 1 看護 10 対 1 看護 13 対 1 看護 私立大学病院 15 対 1 看護 46.2% 未記入精神科病院 介護保険適用病棟を有する病院 38.4% その他 84.3% 施設数 (n=528) 有効回答 施設数 (n=523) 有効回答 5
140 許可病床数と施設機能分類の関係 120 一般病棟 許可病床数 (n=526) 100 80 60 40 20 0 特定機能病院地域医療支援病院精神科病院 70 私立大学病院 43 介護保険適用病棟を有する病院その他 71 0 3 22 2 5 16 55 50 31 3 1 31 24 5 19 1 1 0 1 11 9 6 7 4 02 2 3 4 100 未満 200 未満 300 未満 400 未満 500 未満 600 未満 700 未満 800 未満 900 未満 1000 未満 1000 以上 6
設置病床について 急性期 507 慢性期 62 回復リハ 88 地域包括ケア病棟 73 その他 163 0 100 200 300 400 500 600 延べ施設数 (n=893) 7
病床利用割合 過去 5 年間における一般病棟の病床利用割合の推移 ( 値は施設数を示す ) 2017 年 (n=523) 40 175 234 74 2016 年 (n=545) 53 166 247 79 2015 年 (n=561) 66 154 256 85 2014 年 (n=599) 52 183 255 109 2013 年 (n=571) 54 138 259 120 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% ~70% ~80% ~90% 90% 以上 2017 年に調査した平成 28 年度のデータ 8
平均在院日数 過去 5 年間における一般病床の平均在院日数の推移 ( 値は施設数を示す ) 2017 年 (n=520) 66 179 141 75 31 18 10 2016 年 (n=544) 62 150 173 87 33 26 13 2015 年 (n=560) 45 146 167 120 41 25 16 2014 年 (n=596) 37 169 197 91 52 32 18 2013 年 (n=573) 33 136 205 104 54 15 26 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 11 日未満 11~13 日 13 日 ~15 日 15 日 ~17 日 17 日 ~19 日 19 日 ~21 日 21 日以上 2017 年に調査した平成 28 年度のデータ 9
地域包括ケア病棟の設置状況 地域包括ケア病棟の設置状況 平成 27 年度有効回答 (n=545) 平成 28 年度有効回答 (n=518) 29.2% 32.6% 56.3% 56.2% 9.4% 5.1% 既に設置されている検討中 1 年以内に設置される予定 8.7% 2.5% 既に設置されている検討中 1 年以内に設置される予定 予定なし 予定なし 10
診療における電子化の状況 電子カルテ オーダリングシステムの状況有効回答 ( n= 526) パスの電子化の関係有効回答 (n=531) 既に 98% の施設が何らかの形で電子化 電子カルテ オーダリングシステム導入施設のうち パスの電子化がされている施設は約 88% 6.8% 1.7% 1.3% 10.9% 24.9% 電子カルテのみ導入されている 66.5% 電子カルテとオーダリングシステム共に導入されている オーダリングシステムのみ導入されている いずれも導入されていない 87.8% パスが電子化されている パスが電子化されていない 空欄 11
施設数 ( 件 ) パス使用状況 パス使用割合 ( 率 ) の定義 パス使用割合における施設数の度数分布 有効回答 (n=484) 30% 以上 ~40% 未満の施設が最も多い ( 算定例 ) 年間退院患者数が 1000 人 そのうち一種でもパスを使用した患者が 600 人いた場合 120 111 100 99 87 パス使用割合 ( 昨年度 ) 80 68 60 平均 41.4%(41.1%) 標準偏差 ± 17.2%(±17.2%) 40 39 44 中央値 40.1%(40.0%) 20 12 13 5 6 n=484(n=495) 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90 100 パス使用割合 (%) ( 目盛りは未満 ) 12
使用パス種類数 患者用 医療者用両方の揃ったパスの種類有効回答 (n= 493) パス学会会員種別とパスの種類の関係有効回答 (n=493) 会員非会員 ( 含不明 ) 250 224 100 種以上 131 93 200 100 種未満 32 33 150 75 種未満 19 31 100 50 83 71 50 65 50 種未満 27 44 0 25 種未満 50 種未満 75 種未満 100 種未満 100 種以上 25 種未満 28 55 0% 20% 40% 60% 80% 100% 13
内科系診療科におけるパス導入 活用状況 循環器内科消化器内科皮膚科小児科呼吸器内科麻酔科神経内科一般内科腎臓内科血液内科精神科その他内科 10 10 28 23 29 38 42 54 54 設置 ( 標榜 ) 診療科とパス導入及び積極活用施設数 69 82 88 98 138 147 170 165 181 203 219 234 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 500 272 271 279 287 300 328 358 394 409 406 416 418 420 458 469 循環器内科が最も標榜されており (469 施設 ) 同時にパス積極活用施設が多い (272 施設 ) 消化器内科が最もパス導入施設が多い (418 施設 ) 診療科ありパス導入ありパス積極活用 内科系他 ( 標榜施設 ) 14
外科系診療科におけるパス導入 活用状況 設置 ( 標榜 ) 診療科とパス導入及び積極活用施設数 整形外科泌尿器科眼科脳神経外科耳鼻咽喉科消化器外科産婦人科一般外科呼吸器外科形成外科乳腺外科心臓 血管外科小児外科その他外科 42 63 62 87 83 102 105 104 134 154 183 175 195 190 206 205 246 255 266 269 289 281 302 295 289 0 100 200 300 400 500 600 312 323 326 322 322 356 387 380 397 397 408 412 410 445 439 456 496 整形外科が最も標榜されており (496 施設 ) 同時に最もパス導入施設が多い (445 施設 ) 眼科が最もパス積極活用施設が多い (323 施設 ) 外科系他 ( 標榜施設 ) 診療科ありパス導入有りパス積極活用 15
消化器内科消化器外科整形外科産婦人科泌尿器科眼科循環器内科乳腺外科一般外科呼吸器外科その他外科脳神経外科小児外科心臓 血管外科耳鼻咽喉科呼吸器内科腎臓内科小児科その他内科形成外科血液内科一般内科神経内科皮膚科精神科麻酔科 設置診療科毎のパス導入 活用の割合 診療科設置 ( 標榜 ) 施設に占めるパス導入及び 積極活用施設数の割合 24.8% 32.3% 20.2% 18.8% 24.0% 16.7% 21.4% 10.7% 8.5% 11.7% 12.9% 4.3% 29.5% 2.5% 9.6% 40.4% 47.8% 58.2% 53.6% 46.3% 50.0% 51.0% 47.6% 54.2% 50.3% 47.5% 43.1% 63.4% 58.0% 60.6% 91.3% 91.0% 89.7% 70.8% 89.7% 89.5% 73.6% 88.2% 86.8% 85.1% 84.7% 84.4% 79.8% 79.1% 78.4% 76.2% 76.1% 73.9% 70.7% 68.2% 63.8% 62.0% 0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100% 診療科設置におけるパス導入の割合 診療科設置におけるパス積極活用の割合 消化器内科が存在する施設の約 91% にパスが導入されており 約 48% がパスを積極活用している 眼科が存在する施設の約 74% がパスを積極活用している 麻酔科が存在する施設の約 10% にパスが導入されており 約 3% がパスを積極活用している 16
パスの導入で達成された点パスの導入で困っている点 複数回答 パスを導入して達成した上位 3 項目 延べ施設数 (n=1,482) パスの運用で困っている項目延べ施設数 (n=1,232) 医療ケアの標準化達成 407 バリアンス集計 分析 387 業務改善 ( 記録等 ) 達成 302 医師との合意 協力体制 271 平均在院日数の短縮達成 273 チーム医療達成 193 バリアンス収集 262 インフォームドコンセント達成 148 エビデンス収集 161 質の向上達成 リスクマネジメント達成 85 65 パスの電子化 133 その他達成 9 その他困難 18 0 100 200 300 400 500 0 100 200 300 400 500 17
パス大会の開催状況 パス大会実施の有無有効回答 (n=527) パス大会の年間開催回数の度数分布有効回答 (n=239) 160 148 未実施 実施 140 120 100 45.7% 80 54.3% 60 50 40 20 0 20 21 1 回 2 回 3 回 4 回 18
地域合同パス研究会の開催状況 合同パス研究会実施の有無有効回答 (n=522) 地域合同パス研究会の年間開催回数の度数分布有効回答 (n=238) 開催あり 80 70 71 68 未開催 60 56 51.5% 48.5% 50 40 30 20 43 10 0 1 回 2 回 3 回 4 回 年 1 回の施設が最も多い 19
地域連携パス活用状況 地域連携パス作成活用の有無有効回答 (n=519) 地域連携パスの種類延べ施設数 (n=966) 4.0% 活用中 脳梗塞 脳出血連携パス 331 未活用 大腿骨頚部骨折連携パス 278 18.1% 準備中 がん ( 化学療法 放射線療法 ) パス 糖尿病連携パス 59 169 心疾患連携パス 55 その他 45 77.8% 胃瘻造設連携パス 慢性肝炎連携パス 12 11 認知症等連携パス 6 0 50 100 150 200 250 300 350 20
1. パスの電子化の状況 まとめ 電子カルテの導入されている施設では 約 9 割の施設でパスも電子化されていた 2. 入院患者に対するパスの使用 ( 適用 ) 入院患者に対するパスの使用割合 ( 率 ) は 41.4% と昨年度より 0.3 ポイント増加した 3. 標榜診療科毎のパス導入 活用の割合パス導入割合の最も多い診療科は消化器内科であり 消化器外科を標榜する施設の約 91% にパスが導入されていた パスの積極活用割合の最も多い診療科は眼科であり 眼科を標榜する施設の約 74% がパスを積極活用していた 4. パス大会 地域合同パス研究会の実施状況 施設及び地域合同パス研究会におけるパス大会の開催回数は年 1 回が最も多かった 21
平成 29 年度 特定調査 院内で集計しているパスに関するデータ ( パス使用率等のクリニカルインディケーター ) について 22
全体に占める割合 (%) パスに関するインディケーターについて パスに関するインディケーターの定義 パス専任者またはパス専従者について パス専任者 パス専従者の定義 1 年間に使用したパスの延べ件数 ( 件 年 ) パスを使用した患者数 ( 人 年 ) ( 算定例 ) 施設で 1 年間に 延べ 3000 件のパスを使用し パスを適用した患者が 2000 人だった場合 X= 3000( 件 ) 2000( 人 ) = 1.5( 件 / 人 ) パス専任者 : 就業時間の 5 割以上 パス業務に従事 パス専従者 : 就業時間の 8 割以上 パス業務に従事 300 250 200 247 平均 ±SD:1.23±0.33 件 / 人 10 9 8 7 6 150 100 50 0 35 13 12 1.00~1.30 1.31~1.60 1.61~1.99 2.00 以上 5 4 3 2 1 0 1.14 3.22 4.17 専任者専従者専任かつ専従 パス使用延べ件数 ( 件 / 人 ) 1.00 未満または3.25 以上は外れ値として除外 専任者 : 専任者のみ存在する施設専従者 : 専従者のみ存在する施設専任かつ専従 : 専任と専従者両方が存在する施設 11
パス運用について 電子カルテシステムにパスを登録する担当者について 延べ施設数 (n=621) パス使用率及びバリアンス抽出の集計頻度について 有効回答 (n=495,n=449) 現場のスタッフ 245 毎月 142 316 専門のスタッフ 78 3 ヶ月毎 21 20 パス委員会 247 6 ヶ月毎 1 年毎 31 26 71 63 パス使用率の算出頻度バリアランスの抽出 算出バリアンスの抽出 算出頻度頻度 その他 51 その他 56 198 0 50 100 150 200 250 300 0 100 200 300 400 24
医療情報に関して 電子カルテのベンダーについて 1.4% 1.2% 1.2% 1.7% 2.2% 7.5% 富士通 NEC 3.6% 14.7% 39.9% ソフトウェア IBM 東芝 CSI 亀田医療情報 ICS 日本事務器その他 26.6% 有効回答 (n=414) 25
医療情報に関して BOM の使用について 有効回答 (n=432) ユニットパスの使用について 有効回答 (n=436) 32.9% 28.9% 67.1% 71.1% BOM を使用していない BOM を使用している ユニットパスを使用していない ユニットパスを使用している 26