2. 神経系の働き 脳神経によって脳に伝えます 2 統合機能 神経系は ヒトでのすべての感覚や 行動 記憶 運 動などに関係しています これらの働きを実行するため には 一連の複雑な仕事をする必要があります すなわにおち 様々な匂いの認識や 発音 記憶 体の動きを調節 神経系は 感覚神経細胞から得ら

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1 第 7 章 神経系 ヒトの体は多数の機能単位である器官系から構成されていますが 健康な場合 これらは調和が取れ一体の ものとして働いています 神経系 nervous system は 内分泌系と協力しながら 器官系を統御し 各器官が調和の取れた働きができこうさいぼうるようにしています この働きを実行するため 神経系は 主に神経細胞と膠細胞の働きで 図 7-1に示すよ うに 体の外 ( 外界 ) と体の内部 ( 内部環境 ) からの感覚情報を受け取り これらの情報を脳で処理 統合した結 果に基づいて 必要な指令を神経によって関連する器官に送り 一定の効果をつくります すいみんかくせいまた 物事の認識や学習 記憶 意識 感情 想像 睡眠 覚醒 食欲 性欲 体の動きなどは 神経系の 働きによります ちゆうすう まつしよう せきずい しんけいせつ じりつしんけい 神経系は 中枢神経系 ( 脳と脊髄 ) と末梢神経系 ( 脳神経や脊髄神経 神経節 自律神経系 腸管神経系 ) と から構成されています 図 7-1 神経系の働きを模式的に示す 第 1 節 神経系は ホメオスタシスを維持し 体の活動を統合する 1. 神経系の構成 神経節は 脳と脊髄の外に存在する神経細胞体の集団 で 脳神経あるいは脊髄神経とつながっています 神経 神経系は 体重の約 3% を占め 約 2 kg ですが 数しんけいこうさい千億個の神経細胞 neuron とそれを上回る数の神経膠細ぼう胞 neuroglia とから構成された 器官系の中で一番複雑 だが規則正しく構築された回路網 network をつくりま す のうせきずい神経系を構成するものには 脳 brain や 脊髄しんけいせつちようかんしんけい spinal cord 神経 nerve 神経節 ganglion 腸管神経そうかんかくじゆようき叢 enteritic plexuses 感覚受容器 sensroy receptor が 節には 感覚神経節や 交感神経節 副交感神経節などがあります 腸管神経叢は 食道から直腸までの消化管の壁に存在する多数の神経細胞で構成されています 感覚受容器は 感覚神経細胞の樹状突起あるいは特殊な細胞で 体の内部環境や外部環境の変化を監視します たとえば 胃のふくれや 血圧 皮膚の温度 痛みを監視するものなどです あります 中枢神経系 central nervous system は 脳と脊髄で 構成されます 脳は 頭蓋骨によって囲まれた頭蓋腔にだいこうとうこう存在します 脊髄は 脊柱管の中に存在し 大後頭孔を 通り 脳とつながっています まつしようしんけい末梢神経 peripheral nerve は 脳と脊髄の外に存在のうしんけいし 脳とつながった脳神経 cranial nerve と 脊髄とつせきずいしんけいながった脊髄神経 spinal nerve とがあります 個々の 神経は 決まった経路を通り 体の特定の部位に向かいししんけいます 例えば 第二番目の脳神経である視神経は 眼に 入った光の情報を脳に伝えます 図 7-2 神経系の全体像を模式的に示す

2 2. 神経系の働き 脳神経によって脳に伝えます 2 統合機能 神経系は ヒトでのすべての感覚や 行動 記憶 運 動などに関係しています これらの働きを実行するため には 一連の複雑な仕事をする必要があります すなわにおち 様々な匂いの認識や 発音 記憶 体の動きを調節 神経系は 感覚神経細胞から得られた感覚情報を分析することや その一部を保存すること 感覚情報に対する適切な反応を決めること などによる統合を脳でおこないます するシグナルの形成 内臓機能の調節などです これら の活動は 次の三つに分類することができます 1 感覚機能 感覚受容器は 血圧の状態や血液の酸素濃度などの体 の内部の変化 ( 刺激 ) や 音や気温などの体を取り巻く外とら部環境の変化 ( 刺激 ) などを捉えます そして 得られた 変化を感覚情報として 脊髄神経によって脊髄に また 3 運動機能感覚情報が統合されると 神経系は 脳や脊髄で運動反応を発生させ 脳神経あるいは脊髄神経を通じて効果器 ( 筋組織あるいは腺組織 ) を活性化させます 効果器への刺激は 筋組織では収縮を引き起こし 腺組織では分泌が始まります 第 2 節 神経系は中枢神経系と末梢神経系で構成 神経系には 二つの主要な区分 中枢神経系 central nervous system と末梢神経系 periphreal nervous system とから構成されます 中枢神経系 中枢神経系は 脳 brain と脊髄 spinal cord とで構成 され 数多くの種類の感覚情報を受け取りますが それ らは思考や感情 記憶の源になります 筋の収縮を引き 起こしたり 腺組織での分泌を引き起こすなどの多くの 神経刺激は 中枢神経系で発生し 末梢神経系の一部と なる標的物に送られます 末梢神経系 末梢神経系には 脳神経 cranial nerve や脊髄神経 spinal nerve 神経節 ganglion 感覚受容器 sensory receptor が含まれます さらに末梢神経系は 図 7-2 に 示すように 体性神経系 somatic nervous system や自 律神経系 autonomic nervous system 腸管神経系 enteric nervous system に区分されます 体性神経系 体性神経系には 頭部や体幹 体肢などの体性感覚受 容器 somatic sensory receptor や 視覚や聴覚 味覚 嗅覚などの特殊感覚受容器 special sensory receptor な どからの情報を中枢神経系に伝える体性感覚神経細胞が 含まれます また 体性神経系には 中枢神経系から骨 格筋に向かって運動刺激を伝える体性運動神経細胞が存 在します これらの運動情報は自分の意志で調節できまずいいすので 体性神経系は随意 voluntary に関与します 律神経系の感覚受容器からの情報を中枢神経系に伝える 内臓性感覚神経細胞が存在します さらに自律神経系に は 中枢神経系から平滑筋組織や心筋組織 腺組織に運 動刺激を伝える内臓性運動神経細胞があります これら の運動刺激は 自分の意志で調節できませんので これふずいらの働きは不随 involuntary です 自律神経系には 二 つの区分があって 交感神経 sympathetic division と 副交感神経 parasympathetic division とです いくつ かの例外を除いて 効果器には 効果が相反する交感神 経と副交感神経とがともに分布します 例えば 交感神 経は心臓の活動を強めますが 副交感神経は心臓の活動 を抑制します 腸管神経系 腸管神経系は 食道から直腸までの腸管にある腸管神そう経叢 enteric plexus に存在する約 1 億個の神経細胞か ら構成されます 腸管神経叢に存在する内臓性感覚神経 細胞は 腸管での化学的変化や腸管の壁の伸びの程度を 監視します また腸管神経叢にある内臓性運動神経細胞は 腸管の 平滑筋組織の収縮を調節して食べ物を運び 胃で分泌す る塩酸を調節するなど腸管での腺の分泌あるいはホルモ ンを分泌する腸管の内分泌細胞の活動を調節します 腸管神経系の活動は 不随です 腸管神経系は 交感神経や副交感神経によって中枢神 経系とつながっておりますが 中枢神経系からは幾分か 独立して活動しています 自律神経系 自律神経系には 胃や肺などの内臓に主に存在する自

3 図 7-3 神経系の構成を模式的に示す 第 3 節 神経細胞は神経系特有の働きに貢献 かつどうでんい神経細胞は 細胞体で生じた活動電位 ( 電気的変化 ) をじくさく軸索によって神経終末に伝え 神経終末から神経伝達物 質を放出し この神経伝達物質が受容体に結合すること によって効果器に一定の生理的変化を引き起こします 図 7-4 神経細胞の構造を示す模式図 図 7-5 活動電位の発生を示す 1. 神経細胞は電気をつくる mv に維持されています この膜電位を静止膜電位と呼 びます 神経細胞では 細胞自体が電池 ( 静止膜電位 ) の形で電 源をもっており それによって活動電位をつくります 1 静止電位とイオンの役割かでん生物体内での電気現象の場合 荷電を運んで移動するりゆうし粒子はイオンです この役割を果すものは ナトリウム イオン Na + やカリウムイオン K + カルシウムイオン Ca 2+ などの陽イオンと塩素イオン Cl - のような陰イオン が主なものです こうばい細胞膜では カリウムイオンの濃度勾配による外向き の力と カリウムイオンの流出によって生じる内向きの 2 活動電位発生と Na イオンの役割 静止膜電位 ( 細胞内の負の電荷 ) を減少させる操作は神だつぶんきょく経細胞の興奮を誘発します この減少を脱分極 その増 加を過分極といいます 神経細胞の興奮が誘発されると ナトリウムイオンのこうばい濃度勾配の力と均衡するまで細胞内が正の膜電位を維持 しますが このときの膜電位は約 +50mV で この値を 活動電位と呼びます この活動電位は 通常 約 1 ミリ 秒しか持続できません 電位勾配との相反する力が均衡を保つ状態になり 細胞 内の電位は細胞外液に対して 通常 -60mV から

4 3Na + -K + ポンプ 2. 神経細胞における活動電位の伝導 興奮によって発生した細胞内でのイオン濃度の変化は Na + -K + ポンプによって元に戻ります Na + -K + ポンプは アデノシン三リン酸を消費し 濃 度勾配に逆らって 細胞内からナトリウムイオンを細胞はいしゆつ外へ排出し カリウムイオンを細胞外液から細胞内に取 り込みます 神経細胞でのアデノシン三リン酸の合成には グルコ ースと酸素とが必要です しかし 神経細胞の細胞質に は グリコーゲンがほとんどありません そのために かくせい覚醒時の脳では 多量のグルコースと酸素を血液から取 り込み 消費します 軸索上のある部位で活動電位が発生すると 内向きの 電流が発生します この内向きの電流は やや離れたと ころで外向きの電流を発生させ 細胞外液を流れて 内 向きの電流発生点まで帰ってきます このようなことを 繰り返しながら 細胞膜が続いている限り 活動電位が 続く ( 広がる ) ことになります ( 伝導 ) 軸索を伝わる速さ は 軸索の直径に比例します ずいしようただし 軸索の周囲に電気的な絶縁体である髄鞘が形 成されますと 連続的でなく 髄鞘が存在しない部位 ( 絞ちようやく輪 ) で外向きの電流が起こる跳躍伝導が発生し 伝達速 度は飛躍的に速くなります 図 7-6 Na + -K + ポンプによるイオン濃度勾配の維持 図 7-7 軸索における活動電位の伝わり方を示す 表 7-1 ほ乳動物における神経線維の種類と伝導速度 神経線維の種類 働き 軸索の直径 (μm) 伝導速度 (m/ 秒 ) Aα 神経線維 ( 有髄 ) 固有感覚 体性運動神経線維 12~20 70~120 Aβ 神経線維 ( 有髄 ) 触覚 圧覚 5~12 30~70 Aγ 神経線維 ( 有髄 ) 筋紡錘への体性運動神経線維 3~6 15~30 Aδ 神経線維 ( 有髄 ) 痛覚 温度感覚 2~5 12~30 B 神経線維 ( 有髄 ) 自律神経の節前神経線維 3 未満 3~15 C 神経線維 ( 無髄 ) 痛覚 温度感覚 0.4~ ~2 C 神経線維 ( 交感神経 )( 無髄 ) 交感神経の節後神経線維 0.3~ ~ 神経細胞の興奮性シナプス伝達 ( 図 3-76) イオン透過型受容体は 神経伝達物質が結合するとイ 神経細胞と神経細胞との間で情報の伝達をおこなう部位をシナプス synapse といいます 二つの細胞膜の間には約 30nm の間隙が存在するため その間隙では 電気的変化でなく 神経伝達物質 ( シグナル分子 ) で情報を伝えます オンチャネルが開き 応答が発生します 代謝型受容体は 神経伝達物質が結合すると 細胞内の二次情報伝達系を活性化し イオンチャネルなどに作用します その結果 興奮性シナプス後電位が シナプス後の神経細胞に発生します 興奮性の神経伝達物質には アセチルコリンやノルア ドレナリン ドーパミン グルタミン酸 セロトニンな どがあります じゆようたい神経伝達物質に対する受容体 ( レセプター ) には 大別 して イオン透過型受容体と代謝型受容体が存在します 4. 神経細胞の抑制 抑制性シナプス後電位の神経伝達もあります がんまらくさん抑制性神経伝達物質には グリシンや γ -アミノ酪酸

5 (GABA) などがあります これらの物質は 陰イオン ( 塩素 - イオン ) の細胞内への透過性を上昇させます グリシンに対してはイオン透過型受容体のみが存在しますが γ-アミノ酪酸にはイオン透過型の GABAA 受容体 ( 応答は早く 短時間 ) と代謝型の GABAB 受容体 ( 応答は遅く 長時間持続 ) とがあります この機構には シナプス後抑制とシナプス前抑制とが知られています 6. 代謝型受容体の役割代謝型受容体は 細胞内で GTP 結合タンパク質 (G タンパク質 ) と結合し G タンパク質を活性化することでイオンチャネルやその他の標的分子に働きかける性質をもっています 代謝型受容体には 二つの重要な役割があります ひとつは 持続性シナプス電位の発生です もうひとしゅうしょくさようつの役割は シナプス修飾作用です この作用は シナ プスの伝達効率を調節し 効果の強さやシナプス持続時 間を変えます シナプス修飾の持続時間はミリ秒程度の 短いものから何年にもおよぶものがあります 図 7-8 運動神経細胞での抑制性後シナプス電位を示す 5. 正負のシグナルの集積と演算 1 個の神経細胞には 働きの異なる非常に多数の入力 図 7-10 代謝型受容体の仕組みを模式的に示す が収束しています あるものでは 興奮性の活動が加重 されたり あるときには興奮性と抑制性とが一つの神経 細胞に伝わり その演算がおこなわれたりします かそせい 7. 神経機構の可塑性 図 7-9 運興奮性後シナプス電位での加重効果を示す 新たな習性を獲得したということは 脳内に新たなシ グナルの伝達経路が形成され 新しいシナプスが形成さ れます 脳はこのように柔軟で 経験に応じて機能が変 化できます かそせいこのように変化しうる神経系の性質を可塑性と呼びま す 長期記憶の形成には 通常 反復した刺激が必要で す こうひんど脳での記憶には 興奮性シナプスで高頻度に入力が起 こると 興奮性シナプス後電位のサイズが大きくなり 刺激後も数時間から数日にわたって維持される長期増強 (LTP) と呼ばれる現象や 比較的低頻度に発生する入 力の持続が起こると興奮性シナプス後電位のサイズが小 さくなり長時間にわたって持続される長期抑制 (LTD) と呼ばれ現象が関与しています 第 4 節 中枢神経系の発達と区分 たいせいがいはいよう脳と脊髄は 胎生の早い時期 (3 週令頃 ) に外胚葉からしんけいかん分化した神経管 neural tube から発生します 神経芽細胞および神経細胞の数の増加に伴って 神経ふんそくぜんのうほうちゆうのうほう管の頭端部には 吻側から順に 前脳胞や中脳胞 りょうのうほう菱脳胞などの三つのふくらみが発生します しゅうのうほうかんのうほうその後 前脳胞は終脳胞と正中部の間脳胞とに分かれずいのうほうます 菱脳胞は後脳胞と髄脳胞とに分かれます 終脳胞は 将来 大脳半球になります 後脳胞からは

6 きょうしょうのうえんずい腹側に橋と背側に小脳が発育します 髄脳胞は延髄に 成長します せきずい神経管の残りの尾側部は脊髄になります 胎児期の後半と新生児 幼児期初期におこる脳の急激 な発育は 神経細胞数の急激な増加によりますので こ の時期に十分な栄養が得られなければ脳の発育障害がお こります 図 7-11 外胚葉から神経管の形成過程を示す 図 7-12 脳の形成過程を模式的に示す 第 5 節 脳室と脳脊髄液 1. 脳の内部の空洞を脳室と呼ぶ 神経管でみられた内部の空洞は 完成した中枢神経系のうしつでも観察されます 脳では脳室 ventricle として残り 脊髄では中心管 central canal と呼びます そくのうしつ左右の大脳半球の内部に存在する脳室は側脳室と呼ば れます 間脳には第三脳室があります 脳幹と小脳との 間には第四脳室が存在します しつかんこう脳室は互いに交通し 側脳室と第三脳室は室間孔でつ ながり 第三脳室は中脳水道により第四脳室につながっ ています みゃくらくそう脳室の中には脈絡叢という特殊な組織があります 脈 絡叢に存在する毛細血管から無色透明のリンパに似た液 体の脳脊髄液が絶えず分泌します 図 7-14 脳脊髄液の流れを模式的に示す 脈絡叢は 血液の成分から無色透明な脳脊髄液を 通 2. 脳と脊髄を保護する脳脊髄液 脳室の中にある脈絡叢は 脳室の中に伸びた血管をなんまくじようい軟膜と上衣細胞がおおったものです 脈絡組織は 側脳 室や第三脳室 第四脳室などに存在します 常 1 分間に約 0.5 ml 1 日に約 720 ml 分泌します 脳脊髄液は 脳室全体を満たすとともに 第四脳室のせいちゅうこう三つの孔 ( 正中口 一対の外側口 ) から脳の外に出て クかくうモ膜と軟膜との間のクモ膜下腔を満たします クモ膜下 腔に存在する脳脊髄液の量は 通常 約 120 ml で 恒 常的に維持されています かりゆうクモ膜下腔の脳脊髄液は 最終的にクモ膜顆粒から上 図 7-13 脳室を模式的に示す 矢状静脈洞に吸収され 静脈系に帰ります おうがいせんし横向きのヒト ( 横臥位 ) において 腰椎穿刺で測ると 脳脊髄液の圧は約 10 cmh2o です 脳脊髄液の働き ふりよく脳脊髄液の働きは 1) 浮力によって柔らかい脳 脊髄 を保護し 2) 頭蓋骨と脳との間で衝撃を吸収し 3) 脳と 脊髄とを湿った状態に維持し 4) 脳や脊髄の細胞と脳脊 髄液との間で栄養物や代謝物などを交換する などがあ

7 ります 浮力 地球上では 流体内にある物体は その表面に作用する ふりよくを受ける これを浮力と呼ぶ 浮力の大きさは 物体 が押しのけた流体の重さに等しい 浮力の作用点は 物 体の重心と一致する ( アルキメデスの原理 ) 流体の圧力のために 全体として垂直方向の上向きの力 第 6 節 脳と脊髄の形を維持する髄膜 ずいまく脳と脊髄は 3 層の布状の結合組織からなる髄膜 meninges で被われています 密性結合組織で形成されきようじんこうまくた最外層の強靱な膜を硬膜と呼び その深層の薄いもの 突出させて 脳をしっかりと固定します こうまく大脳鎌や小脳鎌の基部では 内葉と外葉との間に硬膜じようみやくどう静脈洞が存在します をクモ膜といい 脳と脊髄の表面を直接に被う薄い透明なんまくな膜を軟膜と呼びます クモ膜と軟膜とは ともにラッ プのように薄く透明な膜状物です かくうクモ膜と軟膜との間をクモ膜下腔といい 脳脊髄液や 脳と脊髄に分布する動脈および静脈が存在します これ らの血管が破裂した状態をクモ膜下出血と呼びます 脳を被おう脳硬膜は二葉から構成されており 外葉は 頭蓋骨の骨膜です かま脳硬膜の内葉は 左右の大脳半球の間で大脳鎌を形成 します また 内葉は 大脳半球と小脳の間で小脳テン トをつくり 左右の小脳半球の間に小脳鎌などのヒダを 図 7-15 脳をおおう髄膜とクモ膜顆粒を示す模式図 第 7 節 脊髄は 脊髄神経から感覚情報を受け取り 脊髄神経により運動指令を伝える 1. 脊髄の全体像 成人の脊髄 spinal cord は 脊柱管のなかに存在する 円柱状構造物で 上方では延髄とつながり 下方は円錐 状に細くなります 通常 この下端は 第一腰椎の椎体 の下縁の高さに位置します 通常 成人の脊髄の太さは約 1 cm ~1.3cm で 長さぼうだいぶけいぼうだいは41cm ~46cm です 脊髄には2カ所の膨大部 ( 頚膨大ようせんと腰仙膨大 ) とがあります これらの膨大部は 体幹に加 えて 体肢の骨格筋や皮膚などを支配する多数の神経細 胞体を収容するために生じたものです 脊髄は 付着する脊髄神経の種類によって さらにつけいしんけいぎのように区分されます 頚神経が付く脊髄の部位をけいずいきようしんけいきょうずいようしんけい頚髄といい 胸神経が付くのを胸髄と呼び 腰神経がようずいせんこつしんけいせんずい付くのを腰髄といい 仙骨神経が付くのを仙髄と呼び びずい尾骨神経が付くのを尾髄といいます 図 7-16 左図は脊柱管の中に存在する脊髄を示し 右図は脊髄の全体像を示す

8 図 7-17 脊髄の構造を横断面で示す 図 7-18 脊髄の前角と後角の働きを示す 2. 脊髄の内部構造 脊髄の横断面では 中心部に中心管があります 中心かいはくしつはくしつ管の周囲を灰白質がH 状に取り囲み 表層には白質が存 在します ぜんかく灰白質は神経細胞体が密集している部位で 前角とこうかく後角とがあります 胸髄や腰髄の上部 仙髄では さらそくかくに前角と後角との間に側角が認められます 前角 前角には 骨格筋に軸索を伸ばす体性運動神経細胞体 が存在します ( 図 7-18) 体性運動神経細胞体は 骨格筋 の収縮に関与しています 後角 後角には 脊髄神経節に存在する感覚神経細胞の軸索ちゆうすうしの中枢枝からの感覚情報を中継する神経細胞体が存在し 図 7-19 胸髄での側角の役割を模式的に示す在します たとえば 大脳皮質から脊髄に向かって運動指令を伝える外側皮質脊髄路は側索の後部に存在し 痛みや温度感覚などを脊髄から脳に伝える外側脊髄視床路は前索から側索にかけて存在 骨格筋や靭帯などの収縮状態を脊髄から小脳に伝える脊髄小脳路は前索から側索の表層部に存在します ます ( 図 7-18) 側角 胸髄および腰髄上部の側角には 心筋や平滑筋の収縮および腺組織での分泌に関与する内臓性運動神経細胞体が存在します 側角の神経細胞は 交感神経の節前神経細胞です 仙髄の側角にある内臓性運動神経細胞体は 骨盤腔にある器官に軸索を伸ばし 平滑筋の収縮および腺組織の分泌に関与し 副交感神経の節前神経細胞となります 白質 図 7-20 脊髄の白質を通過する神経線維の役割を示す 白質は 脊髄を上行したり 下行したりする多数の神 経線維 ( 軸索 ) から構成され 神経細胞体はほとんど存在 3. 脊髄反射 しません 白質はつぎのように区分されます 前正中裂と前根とぜんさくはさそくさくの間を前索 前根と後根に挟まれる部位を側索 後根とこうさく後正中溝との間を後索と呼びます 脊髄は いくつかの反射 reflexe によって体のホメオ スターシスの維持に働きます 反射は 刺激に対して無 意識的に素早く反応するものです 図 7-20 に示すように 白質では 特定の機能を有する 神経線維が束になって集まり 白質の定まった部位に存

9 例えば 熱い物を手でつかもうとするときに 熱いた めに無意識的に手を離すのは反射によります しつがいじんたいたただいたいしとうきん膝蓋靱帯を叩くと 大腿四頭筋が急に伸びるために 脊髄から元の長さに戻そうと 素早く無意識的に運動指 令が出ます そして 大腿四頭筋を収縮させます とこ ろが この場合には 小脳の調節機能が働かないために 収縮の調節が上手に機能せず 強く収縮しすぎ 足が元 の状態よりも上に伸展します このように脊髄の灰白質の運動神経細胞が 脊髄に入 ってきた感覚情報にもとづいて 脳の調節を受けずに 運動指令を出すことを脊髄反射 spinal reflexe と呼んで います 図 7-21 脊髄反射に関与する神経機構の例を示す 第 8 節 体に分布する 31 対の脊髄神経 1. 脊髄神経の構成 前角の体性運動神経細胞体と側角の内臓性運動神経細 胞体の軸索はともに束ねられて 脊髄から出ていき ぜんこん前根を形成します 一方 一次感覚神経細胞体は脊髄神ちゆうすうしまつしようし経節に存在し これらの軸索の中枢枝や末梢枝が集っこうこんて後根を作ります 後根は 通常 前根よりも太いもの です ついかんこう前根と後根は脊柱の椎間孔の付近で合流し 脊髄神経 spinal nerve を形成して 椎間孔を通過し 脊柱管をかくう出ますが それまではクモ膜下腔の中に存在します 脊柱の上部では脊髄に付く前根や後根の高さと 出る 椎間孔の高さとの間には大差は認められませんが 脊柱 の下部にいくにしたがって差が大きくなります 特に脊 髄の下端部から下方に伸びる前根や後根が集まった状態ばびを馬尾と呼びます 図 7-23 脊柱と脊髄髄神経との関係を模式的に示す 2. 脊髄神経の種類 図 7-22 脊髄神経の形成を模式的に示す けい脊髄神経は全部で31 対あります すなわち 8 対の頚しんけいきようしんけいようしんけいせんこつしんけい神経 12 対の胸神経 5 対の腰神経 5 対の仙骨神経 びこつしんけい 1 対の尾骨神経があります 個々の脊髄神経は 図 7-22 に示すように 椎間孔を通

10 こうしぜんしり脊柱を出た後 後枝と前枝に分かれます 1) 後枝 図 7-22 に示すように 典型的な後枝は 椎骨の横突起 の間を通って後方 ( 背部 ) に向かいます 背部の固有の骨ないそくしがいそくし格筋の領域に到達しますと 後枝は内側枝と外側枝とに 分かれます これらの分枝は 脊柱に関与する骨格筋に 分布したり 上肢の運動に関与する骨格筋を貫通して その表層の皮膚に分布します 後枝は 頭側から尾側の領域まで分節的に分布します (156 頁図 7-41) 後枝は 通常 前枝よりも細いもので す ただし 第一頚神経の後枝は 他のものと異なり 前枝よりも太くなっています こうとうかしんけい第一頚神経の後枝は後頭下神経 (C1) と呼ばれ 後頭 下筋群を支配します 第二頚神経の後枝も前枝より太く だいこうとうしんけい大後頭神経 (C2) といいます 大後頭神経は 後頭下筋 群に分布するとともに後頭部から頭頂までの皮膚にも分 布します ( 図 7-24) 図 7-24 背部の皮膚に分布する神経 左では皮下にある神経を 右では皮下組織を取り除いた状態での神経 前枝から分枝した軸索が集まって形成されます 1 頚神経叢 図 7-25 右の頚神経叢を模式的に描く 第一頚神経から第四頚神経の前枝は 椎間孔を通過し た後に それぞれが分枝を出し その後 さらに互いにけいしんけいそう合流し 頚神経叢を形成します ( 図 7-25) 頚神経叢から皮膚に分布する神経 ( 皮神経 ) は 胸鎖乳 突筋の後縁の中央部から皮下に出て 上方あるいは下方しょうこうとうだいじかいに広がります ( 図 7-26) 小後頭神経 (C2) と大耳介神経 (C2, C3) は上方に走行し 下顎角の表層の皮膚や耳の後けいおうろの皮膚などに分布します 頚横神経 (C2, C3) は 胸鎖 乳突筋を横切り前方かつ内側に向かい 頚部の前面の皮さこつじょう膚に分布します 鎖骨上神経 (C3, C4) は 下方に向か い 三つの神経 ( 内側 中間 外側鎖骨上神経 ) になり 頚部の側面の皮膚に分布するとともに 第二肋骨の高さ までの胸骨の表層から肩峰までの胸部の皮膚に広がりま す 頚神経叢から骨格筋に分布する神経では 呼吸運動におうかく関与する最も重要な横隔神経があります 他の神経は 椎前筋や斜角筋群 肩甲挙筋などに分布します 2) 前枝 脊髄神経の前枝は 一般に 後枝よりも重要で太いも のです たいかん前枝は 体幹の皮膚と骨格筋 ( 脊柱よりも前の骨格筋 ) に分布するだけでなく 体肢にも分布します しんけいそうまた 前枝は神経叢 ( 網目構造 ) を形成します そのた めに 多くの場合には 複数の脊髄神経からの分枝が合 流して 特定の神経をつくります たとえば 横隔神経 は 第三頚神経と第四頚神経 時には第五頚神経などの 図 7-26 右の頚神経叢での皮神経を模式的に描く

11 図 7-27 横隔神経の走行を模式的に示す a) 神経幹 第五頚神経から第一胸神経の前枝は 鎖骨の中央部のしんけいかん後方で神経幹を形成します すなわち 第五頚神経と第じょう六頚神経の前枝は 中斜角筋の外側縁で合流し 上神経ちゅう幹を構成します 第七頚神経の前枝は そのまま中神経 幹になります 第八頚神経と第一胸神経の前枝は合流し か下神経幹を形成します b) 神経束 腋窩の始まりで 3 本の神経幹は それぞれ 前部と後 部に分かれます えきか上神経幹の前部と中神経幹の前部は合流し 腋窩動脈がいそくしんけいそくの外側にある外側神経束を形成します 下神経幹の前部ないそくは 内側神経束を構成します 内側神経束は 最初 腋 横隔神経おうかくしんけい横隔神経 (C3, C4, C5) は 第四頚神経の重要な分枝で 第三頚神経あるいは第五頚神経からの軸索も加わります きようくう横隔神経は 前斜角筋の前方を下降し 胸腔に入り じゆうかくきようまく縦隔胸膜と心膜の間を通過し 横隔膜に到達します ( 図 7-27) 窩動脈の後方に存在しますが 遠位に向かうと腋窩動脈 の内側へと移動します 上神経幹と中神経幹および下神経幹の3 本の神経幹のこう後部は合流し 後神経束を形成します 後神経束は 最 初 腋窩動脈の上方に存在しますが 腋窩動脈の後方に 移動するようになります 横隔神経には 横隔膜の重要な体性運動神経線維と体 性感覚神経線維を含んでいます さらに横隔神経には ふくまく心膜や縦隔胸膜 横隔膜の下面を被う腹膜などの内臓性 感覚神経線維も含まれています 2 腕神経叢 第五頚神経から第一胸神経の前枝は 頚部の基部で 前斜角筋と中斜角筋との間の斜角筋隙を通過し 皮下に 出ます (128 頁図 6-33) わんしんけいそうこれらの前枝は 直ちに腕神経叢を形成します 腕神 図 7-29 右の上肢に向かう神経を模式的に示す 経叢には 上肢に分布する全ての神経があります c) 前枝と神経幹からの側枝 ( 鎖骨上部 ) 第五頚経から第一胸神経の前枝より分枝する神経には 斜角筋群や頚長筋などを支配する神経 (C5, C6, C7, C8) ちようきようけんこうはいや長胸神経 肩甲背神経などがあります 上神経幹から分枝する神経には 鎖骨下筋に分布するさこつかけんこうじょう鎖骨下神経 (C5, C6) や肩甲上神経がみられます 長胸神経 長胸神経 (C5, C6, C7) は 腕神経叢の後方から腋窩ぜんきよきんに入り 前鋸筋の表面に沿って下行しながら 前鋸筋に 分布します 肩甲背神経 肩甲背神経 (C5) は 中斜角筋を貫き 肩を乗り越え けんこうきよきんだいりようけい背部に向かい 肩甲挙筋や大菱形筋 小菱形筋に分布し ます 図 7-28 右の腕神経叢を示す模式図

12 肩甲上神経 肩甲上神経 (C5, C6) は 太い神経で 鎖骨の後方で けんこうせっこん頚部の基部を横切って肩甲切痕を通り 棘上筋に分布し 続いて棘下筋に分布します d) 神経束からの分枝 ( 鎖骨下部 ) がいそくきょうきん外側神経束からは外側胸筋神経 (C5, C6, C7) が分 浅指屈筋の深表面に沿って前腕を遠位に向かいます 正 中神経は 屈筋支帯の深層の手根管を通過し 長い腱としゆしようぼしきゆうともに手掌に入り 三つの母指球の筋 ( 母指対立筋 短 母指外転筋 短母指屈筋 ) と外側の二つの虫様筋および外 側の三本と半分の指の手掌面の皮膚に分布します 枝し 大胸筋に分布するとともに 一部が小胸筋に分布 することもあります ないそくきょうきん内側神経束からは内側胸筋神経 (C8, T1) が分枝し 小胸筋に向かいます 多くの場合 この神経の一部は 小胸筋を貫通し 大胸筋にも分布します 内側神経束が終枝に分れる直前からは二つの長い皮神ないそくじょうわんひ経が分枝しますが 細い内側上腕皮神経 (C8, T1) と太 い内側前腕皮神経 (C8, T1) とです けんこうかきょうはい後神経束から分枝した神経 ( 肩甲下神経 胸背神経 ) は 腋窩の後壁を構成する骨格筋に分布します すなわち 肩甲下神経 (C5, C6) は肩甲下筋と大円筋に分布し 胸 背神経 (C5, C6, C7) は広背筋に分布します e) 五本の終枝 外側神経束から分離した神経束と 内側神経束とからせいちゅう分かれた神経束とが合流して正中神経を構成します 残きんぴりの外側神経束は筋皮神経を形成します 一方 内側神しやつこつ経束の残りは尺骨神経となります とうこつ後神経束から分離した太い神経束は橈骨神経を形成し えきか細い神経束は腋窩神経となります 筋皮神経 筋皮神経 (C5, C6, C7) は 上腕の前面に存在する屈 筋群と前腕の皮膚とに分布します うこうわんきん筋皮神経は 烏口腕筋を貫通して 上腕二頭筋と上腕 筋の間を遠位に向かって走行しながら これらの骨格筋 に分枝を出します 肘よりも 2~3 cm 上で 上腕二頭 筋の外側面で 筋皮神経は皮下に移動し 名前が変わり 外側前腕皮神経と呼ばれ 前腕の外側半分の前面と後面 の皮膚に分布します 正中神経せいちゆうしんけい正中神経 (C5, C6, C7, C8, T1) は 前腕や手の屈筋 群を支配する主要な神経です えきかひじ正中神経は 腋窩動脈や上腕動脈に伴行し 肘に到達ないそくじようかするまでは分枝を出しません 正中神経は 内側上顆かえんかいないきんとうそくしゆこんくつきんちようしようきんら生じる屈筋 ( 円回内筋や橈側手根屈筋 長掌筋 浅指 屈筋 ) に分枝を出します ちゆうか肘窩を通過した後に 正中神経は 深枝である前骨間 神経 ( 長母指屈筋や深指屈筋の外側半分 方形回内筋など 図 7-30 右上肢で筋皮神経と正中神経の走行を示す に分布 ) を分枝し その後 円回内筋より深部を走行し 図 7-31 右の尺骨神経の走行を模式的に示す

13 尺骨神経しやつこつしんけい尺骨神経 (C7, C8, T1) は 手の屈筋を支配し 特に 小さな筋の支配に関係していますので 細かい運動の神 経と呼ばれています 尺骨神経は 最初 上腕動脈の内側部に存在しますが 上腕の中央部の高さで後方に向かいます そのため 尺 骨神経は内側上顆の後方を通過します この部位での打 撃は尺骨神経を骨に圧迫し 第四指と第五指でのピリピ リする感覚を発生します しやくそくしゆこんくつきん尺骨神経は 尺側手根屈筋の起始を貫通し その後 この筋の前方に沿って手に向かいます 尺骨神経は 前 腕では 尺側手根屈筋と深指屈筋の内側半分に分枝を出 します とう尺骨神経は 尺側手根屈筋とともに手根に向かい 豆じようこつ状骨に接しながら手掌の表層に入り 浅枝と深枝とに分 かれます 浅枝は 内側一本と半分の指の皮膚に分布し ます 深枝は 小指球の筋 ( 小指外転筋 短小指屈筋 小はいそくこつかんきんしようそく指対立筋 ) や母指内転筋 全ての背側骨間筋と掌側骨間 筋などに分枝を出します 手頚より少し近位で 尺骨神経は手と指の手背の皮膚しゆはいしに向かう手背枝を出します 腋窩神経えきかしんけいえきか腋窩神経 (C5, C6) は 腋窩の後壁の骨格筋の間を後 方に向かい 肩関節包の下方を遠位に走行しながら小円 筋に分枝を出します さらに 腋窩神経は 三角筋と三 角筋を被う皮膚とに分布して終わります 橈骨神経とうこつしんけい橈骨神経 (C5, C6, C7, C8, T1) は 上肢で一番太い神 経で 上腕と前腕の後面の皮膚に分布するとともに上腕 と前腕の伸筋群を支配します 橈骨神経は 腋窩動脈の後方から腋窩を離れ 上腕三 頭筋の長頭の前方を通過します 上腕を少し遠位に向か うと 橈骨神経は 上腕三頭筋の深部にある上腕骨体後 面の溝 ( 橈骨神経溝 ) に沿って走行し 外側方向でかつ斜 めに上腕骨体を横切ります この走行中に橈骨神経は 上腕三頭筋の三つの筋頭にそれぞれ 1 本あるいは 2 本の 分枝を出します また上腕の背面の皮膚に 後上腕皮神 経や下外側上腕皮神経などのを分枝します さらに 肘 筋や前腕の皮膚 ( 後前腕皮神経 ) にも分枝を出します ひじ肘より近位の外側部で 橈骨神経は 上腕の前面に向 かいます 肘関節の外側領域の前方を横切りながら 橈がいそくかじようりよう骨神経は外側顆上稜から始まる骨格筋 ( 腕橈骨筋や長橈 側手根伸筋 ) に分枝を出します 前腕で橈骨神経は二つに分かれます 一つは長い神経しゆはいで 手背の皮膚に分布する浅枝です もう一つは深枝あ るいは後骨間神経です 深枝は 最初に短橈側手根伸筋 に分枝を出し さらに橈骨の外側にある回外筋に分枝を 出し 回外筋を通り抜け 再び前腕の後面に向かいます 前腕の後面で 橈骨神経は内側の浅層の伸筋 ( 総指伸筋 小指伸筋 尺側手根伸筋 ) や深層に存在する骨格筋 ( 長母 指外転筋 長母指伸筋 短母指伸筋 ) および示指伸筋など に分枝を出します 深枝は手頚部の皮膚に分布して終わ ります 図 7-32 右上肢で腋窩神経と橈骨神経の走行を示す 図 7-33 右手の皮膚に分布する神経を模式的に示す 左図は右手の手背を示し 右図は右手の掌面をあらわす

14 図 7-34 右の胸神経の走行を描く 図 7-35 右の腰神経叢を示す 3 肋間神経きようしんけいついかんこうろっかん胸神経が椎間孔から出た後 胸神経の前枝は 肋間神きようかく経として胸郭の壁に向かいます 肋間神経は 同じ番号の肋骨下縁にある肋骨溝を通過 します ただし 第 12 番目のものは 第十二肋骨から離ろつかれた下方に存在するため 肋下神経と呼びます 個々の肋間神経は 肋間筋の間を走行しながら 肋間 筋に分布します 上の 6 本の肋間神経は 胸骨の外側で 皮神経となり 正中線付近の皮膚に終わります 胸郭壁の走行中に肋間神経は太い外側皮枝を出します この外側皮枝は 胸や腹壁の皮膚に分布します ただし 第一胸神経の前枝の大部分は腕神経叢に入り この肋間 神経は細くなっています 第二胸神経の外側皮枝 ( 時にはろっかんじょうわん第三胸神経の外側皮枝も ) は肋間上腕神経として上肢に 入り 腋窩の皮膚に分布します 第七胸神経から第十二 胸神経の外側皮枝は下行し 前腹壁や殿部の前上部の皮 膚などに分布します 第七胸神経から第十胸神経の前枝 ( 肋間神経 ) は 前方 で肋軟骨の後方を通過し 前腹壁に入り 前腹壁の骨格筋 や正中線の近くの皮膚などに分布します (156 頁図 7-41) 第十一胸神経と第十二胸神経の前枝は 肋骨の前端近 くで腹壁に入り 腹壁の下部に分布します (156 頁図 7-41) 4 腰神経叢ようしんけいそう第一腰神経から第四腰神経の前枝は 腰神経叢を形成だいようきんします 腰神経叢は大腰筋のなかに存在します 腰神経 叢からの分枝は 大腰筋の中を通過し 外側方向に出ま す 腰神経叢の神経は 後腹壁の前方を走行しながら 後腹壁の骨格筋に分枝を送ります ちょうこつかふく腰神経叢の分枝には六本の神経が存在し 腸骨下腹神ちょうこつそけいがいそくだいたいひいんぶだいたい経や腸骨鼡径神経 外側大腿皮神経 陰部大腿神経 だいたいへいさ大腿神経 閉鎖神経です 大腿神経と閉鎖神経は太く 他のものよりも重要です 第一腰神経の前枝は 二つの分枝に分れます 二つは 腸骨下腹神経 (L1) と腸骨鼡径神経 (L1) です これらの 神経は 後腹壁の筋を横切り 側腹壁の最下部を走行し そけいじんたい皮膚と鼡径靭帯の直ぐ上方の骨格筋などに分布します 肋下神経と腸骨下腹神経の外側皮枝は殿部の皮膚に到達そけいかんします 腸骨鼡径神経は鼡径管を通過し 大腿の上内側 領域の皮膚に分布します じようぜんちようこつきよく 外側大腿皮神経 (L2, L3) は 上前腸骨棘の近くで 皮下に出て 大腿の外側領域の皮膚に分布します 陰部大腿神経 (L1, L2) は 大腿の上部の内側領域のいんのうだいいんしん皮膚や 陰嚢の壁 ( 男性のみ ) 大陰唇( 女性のみ ) 精巣 挙筋 ( 男性のみ ) などに分布します 大腿神経 大腿神経 (L2, L3, L4) は 太く 下肢の広範囲に分布 します そけいじんたい大腿神経は 鼡径靭帯の中央部で この後方を通り 大腿に入り いろいろと枝分れし 筋枝として大腿の前 面の骨格筋群 前皮枝として大腿の前面の皮膚に分布し ふくざいしさらに伏在神経として下腿の内側から足の第一趾の基部しつかんせつまでの領域の皮膚さらには膝関節にも分布します ちこつきんほうこうきん大腿神経が支配する筋は 恥骨筋や縫工筋 大腿四頭 筋などです 大腿神経の一番長い分枝は伏在神経で 膝の部位に到 達し そこで皮下に現れ 大伏在静脈に伴行します こ の神経は 大伏在静脈とともに足まで下行し 下腿と足 の内側領域の皮膚に分布します

15 閉鎖神経へいさしんけい閉鎖神経 (L2, L3, L4) は 太く 最初 小骨盤の側壁へいさこうの上を走行します 閉鎖孔の一番上の穴を通り 大腿に 到達すれば この神経は直ぐに前枝と後枝とに分れます はくきん前枝は 長内転筋や短内転筋 薄筋 大腿の内側領域のこかんせつほう皮膚 股関節包などに分布します 後枝は 外閉鎖筋を 貫通しながら この骨格筋に分布し さらに大内転筋のしつ一部 膝関節包の一部にも分布します じょうでんかでんります 他の重要な神経は 上殿神経や下殿神経 いんぶこつばんないぞう陰部神経 副交感神経の骨盤内臓神経などです 仙骨神経叢から分枝した細い神経が 内閉鎖筋や上 そうしきんりじようきんだいたいほうけいきん下双子筋 梨状筋 大腿方形筋などに向かいます 肛門 挙筋には 第三仙骨神経から第五仙骨神経までの前枝か ら分枝した神経が直接に分布します 第二仙骨神経と第こうだいたいひ三仙骨神経との前枝で構成される皮神経は 後大腿皮神 経と呼ばれ 坐骨神経と良く似た走行となります 後大 図 7-36 右の大腿神経と閉鎖神経を模式的に示す 腿皮神経は 坐骨神経よりも浅層に存在し 大腿後面の 皮膚に分布します 上殿神経と下殿神経りじようきんだいざこつ上殿神経 (L4, L5, S1) は 梨状筋の直ぐ上の大坐骨こう孔を通り 前方に向かい 中殿筋や小殿筋 大腿筋膜張 筋などに分布します 下殿神経 (L5, S1, S2) は 梨状筋の下方を通過し 大 殿筋の深表面の中央部に入り 大殿筋を支配します 陰部神経 陰部神経 (S2, S3) は 通常 第二仙骨神経と第三仙骨 神経の前枝で形成されます 陰部神経は 大坐骨孔を通ざこつきよく過し 骨盤を離れ 坐骨棘の周りを廻って 小坐骨孔かえいんぶら会陰部に入ります 陰部神経は 外生殖器の横紋筋やがいこうもんかつやくきんがいにようどうかつやくきんいんのう外肛門括約筋 外尿道括約筋 会陰部と陰嚢 ( あるいは 大陰唇 ) の後部領域の皮膚などに分布します 男性では 糖尿病などで陰部神経の機能が障害されるぼっきと 勃起不全 ( インポテンツ ) になります 図 7-37 左の仙骨神経叢を示す 5 仙骨神経叢せんこつしんけいそう仙骨神経叢は 第四腰神経から第四仙骨神経までの前 枝が仙骨の前で結合することによって形成されます そ 図 7-38 陰部神経と坐骨神経の始まりを示す のために 第四腰神経は 腰神経叢と仙骨神経叢との両 方の形成に関与します ヒトの尾は退化していますので 第五仙骨神経と尾骨こんせき神経とは痕跡物となります ざこつ広い仙骨神経叢は下で狭くなり 太い坐骨神経をつく 坐骨神経ざこつしんけい坐骨神経 (L4, L5, S1, S2, S3) は 体の中で一番太い神 経で 大腿の後面と下腿 足などに存在する骨格筋を支 配するとともに 下腿と足の皮膚にも分布します 坐骨神経は 梨状筋の下の大坐骨孔より骨盤を出て

16 大殿筋より深部を下行します さらに この神経は 大 腿二頭筋の長頭より深層の大腿の後面の正中線を真っ直しつかそうひこつぐ下方に向かい 膝窩の上限に到達すると 総腓骨神経けいこつ (L4, L5, S1, S2) と脛骨神経 (L4, L5, S1, S2, S3) とに分か れます 深腓骨神経は 下腿や足の前面に存在する筋 ( 長趾伸筋 第三腓骨筋 前脛骨筋 長母趾伸筋 ) などを支配しながら し下腿骨間膜の前方を下行し 足の第一趾と第二趾との間 の皮膚に皮枝を出します 脛骨神経 脛骨神経も非常に太く 膝窩を垂直に下行し 後脛骨 動脈とともに下腿の後方を走行します 脛骨神経は 膝ひふくきん関節と下腿の後面にある骨格筋 ( 腓腹筋 ヒラメ筋 足底 筋 膝窩筋 長趾屈筋 長母趾屈筋 後脛骨筋 ) などに分ないか布します 最終的に 脛骨神経は 内果の後方で内側足 底神経と外側足底神経とに分かれます これらの神経は 血管とともに足底に入ります 内側足底神経は 手の正中神経とよく似ており 第一 趾の筋と第一趾から第三趾と第四趾の内側半分の皮膚に 分布します 外側足底神経は 手の尺骨神経に似ていて 残りの足底の骨格筋と第五趾と第四趾の外側半分の皮膚 に分布します 下腿の後面に存在する腓腹神経と腓側交通枝は それ ぞれ 脛骨神経と総腓骨神経との皮神経で これらは下 腿の後面の皮膚と足の外側縁の皮膚とに分布します 図 7-39 坐骨神経の走行と支配する筋を示す 図 7-40 深腓骨神経と浅腓骨神経の走行と支配する筋 大腿において坐骨神経から分枝する神経には 脛骨部 からの体性運動神経線維が半腱様筋や半膜様筋 大腿二 頭筋の長頭などに分布し 総腓骨部からのものは大腿二 頭筋の短頭に分布します 総腓骨神経そうひこつ総腓骨神経は 腓骨頭の下方の皮下を前方へとまわり せんしん下腿の前面に向かい 浅腓骨神経と深腓骨神経とに分か れます 浅腓骨神経は 長腓骨筋や短腓骨筋を支配しながら下 行し 下腿や足背の皮膚に分布します 図 7-41 皮膚に分布する神経の領域を模式的に示す

17 第 9 節 白質に存在する脊髄神経路には 脳に向かう上行路と脳からの下行路とがある 脊髄の灰白質には 各種の反射中枢 ( 脊髄反射 ) としての役割があります 一方 白質には 神経伝導路を形成する神経線維 ( 軸索 ) の集合が存在し 感覚情報を脳に伝える上行路と 脳からの運動情報を脊髄に伝える下行路とがあります 1. 脳に向かう上行路 1 脊髄視床路せきずいししょうろこうかく図 7-42に示すように 脊髄視床路は 脊髄後角に存在 する神経細胞体の軸索で構成されます これらの軸索はこうさぜんさくそくさく脊髄内で交叉し 反対側の前索あるいは側索を上行し ししようこうがいそくふくそくかく反対側の視床に存在する後外側腹側核に終わります この情報を受けた後外側腹側核の神経細胞は 軸索を大 脳皮質の体性感覚野 (3 野 1 野 2 野 ) に送ります 脊髄視床路は 皮膚の温度感覚や痛覚 触覚の一部を 伝えます せきずいもうようたいろこれらの感覚情報は 脊髄網様体路によっても伝わり かくせい脳幹の網様体に終わり 意識を覚醒させます ( 脳幹網様体ふかつけい賦活系 ) 網様体に存在する神経細胞体からの軸索は 視ずいばんないかくししようかぶへんえんけい床にある髄板内核や視床下部 辺縁系などに向かいます 図 7-43 識別性触覚を伝える後索路を示す 2 後索路こうさくろしんけいせつ後索路は 脊髄神経節に存在する神経細胞体の軸索のちゆうすうし中枢枝が脊髄の後索に入り 同側の後索を上行し 同側えんずいはくそくかくけつじようそくかくの延髄にある後索核 ( 薄束核 楔状束核 ) に終わるもので 形成されます 下肢からのものは同側の薄束核に終わり 上肢からのものは同側の楔状束核に終わります 後索核こうさないそくもうたいの神経細胞の軸索は 延髄で交叉し 反対側の内側毛帯 を形成し 反対側の視床に向かい 反対側の後外側腹側 核に終わります 後索路は 識別性触覚と上肢の固有感覚とを伝えます 3 脊髄小脳路せきずいしようのうろ脊髄小脳路は 脊髄に存在する神経細胞体からの軸索 で構成され 前脊髄小脳路および後脊髄小脳路の二つにそくさく分れて 側索を上行し 小脳皮質に終わります 脊髄小脳路は 骨格筋や腱 関節包の伸展状況などの 固有感覚を小脳に伝えます 運動や姿勢維持などで骨格 筋の無意識的な調節に関与している経路です 図 7-42 痛覚や温覚を伝える脊髄視床路を示す

18 2その他せきかくその他の下行路には 骨格筋の緊張を調節する赤核脊 髄路 ( 中脳の赤核からの軸索で形成 ) や 眼球の動きと頭しがいせきずいろの動きとを協調させる視蓋脊髄路 ( 中脳の上丘からの軸索ぜんていせきずいろで形成 ) 体のバランスを調節するための前庭脊髄路( 延 髄の前庭神経核からの軸索で形成 ) 骨格筋の緊張や痛覚 を調節する網様体脊髄路 ( 延髄の網様体からの軸索で形 成 ) などが存在しています 図 7-44 骨格筋の情報を伝える後脊髄小脳路を示す 痛い皮膚をさすると痛みが軽減される機構 痛覚の情報を伝える C 神経線維は 脊髄後角でシナプ スを形成します この痛覚を伝える 2 次神経細胞は触覚 2. 脳からの下行路 で活動が強まる介在神経細胞によって活動が抑制されま すのて 痛覚の伝導が抑制され 痛みが軽減することに 1 皮質脊髄路ひしつせきずいろ皮質脊髄路は 大脳皮質の運動皮質 (4 野 6 野 ) や体 性感覚野などの神経細胞体からの軸索が脊髄に終わるも ので 途中の延髄で大部分の軸索は反対側へと交叉しま なります また 脊髄後角に存在する痛みの情報を伝えだいほうせんかくる神経細胞は 脊髄の大縫線核から下行するセロトニン 作働性神経細胞の働きで 活動が抑制されます (160 頁図 7-54 参照 ) す 脊髄では 大部分の軸索は反対側の側索の後部を下 行し 外側皮質脊髄路を形成します 一方 少量の非交 叉性の神経線維は 同側の前索を下行し 前皮質脊髄路 となります 皮質脊髄路のなかで運動皮質から始まる神経線維は ずいいすいたいろ随意運動に関与し 錐体路とも呼ばれます 図 7-46 痛いところを擦ると痛みが軽減する神経機構をさす模式的に示す 図 7-45 大脳皮質からの指令を伝える皮質脊髄路を示す

19 第 10 節 働きが異なる脳の各部位について 脳 brain は 思考や感情 創作 知識 ヒトのすべて の行動などの調節中枢として働きます また脳は 約千こう億個の神経細胞と 数十兆個の神経膠細胞とから構成さ れ 重さは約 1300g で 絹こし豆腐のように柔らかいも のです ふんそくえんずいきょう脳は 脊髄に近い方から吻側にかけて 延髄や橋 ちゅうのうしょうのうかんのうしゅうのう中脳 小脳 間脳 終脳に区分され それぞれ異なる ぜつ延髄錐体とオリーブとの間の溝 ( オリーブ前溝 ) には舌かしんけいこん下神経根が観察できます オリーブの後方の溝 ( オリーブびそくふくぜついんめいそう後溝 ) には 尾側から 副神経根 舌咽神経根 迷走神経ないじ根が存在します また 延髄と橋との境には内耳神経根 が付いています 働きがあります また 延髄と橋 中脳を総称して のうかん脳幹と呼びます 図 7-48 脳幹の腹側 ( 前 ) 面を模式的に示す 図 7-47 正中面で脳の各部位を示す 1. 生命維持の働きがある延髄 えんずい延髄 ( 髄脳 )myelencephalon は 脊髄から延びてきた 部位を意味し 生命維持 ( 心臓血管中枢 呼吸中枢 ) や意かくせいもうようたい識の覚醒に重要な役割を果たします 延髄の網様体が破 壊されれば 意識がなくなります すなわち 延髄網様体 は 体性感覚からの情報を受け 大脳皮質の活動を活発ふかつけいにする網様体賦活系を形成します 延髄は 肉眼的には脊髄と似ていますが 脊髄の典型 的な様式である中央部に灰白質があり その周囲に白質ふんそくが取囲んでいる様式は変化していきます 延髄の吻側部 は 横に広がり 第四脳室のための床をつくります 延髄の腹側部の正中の両側には 少し膨らんだ延髄すいたい錐体が存在します 延髄錐体の内部には 皮質脊髄路の 神経線維が含まれています 延髄錐体の下端には すいたいこうさ錐体交叉 ( 皮質脊髄路の神経線維が交叉 ) があります 延髄錐体の外側には 著明な隆起であるオリーブが観 察されます オリーブの内部には 脊髄や大脳皮質から 図 7-49 脳幹の背側面を模式的に示す の情報を中継し反対側の小脳に伝える下オリーブ核群 ( 複 合体 ) が存在します 下オリーブ核群から小脳に向かう神 経路は オリーブ核小脳路と呼ばれます 図 7-50 脊髄と延髄の移行部の横断図を示す

20 図 7-51 図 7-52 延髄下部の横断図を示す 延髄中央部の横断図を示す はくそくかく延髄の背側部には 体性感覚神経核の薄束核やけつじょうそくかく楔状束核があります 脊髄の後索を通過してきた一次感しきべつせい覚神経線維 ( 識別性触覚を伝える ) が薄束核 ( 下肢からのも の ) や楔状束核 ( 上肢からのもの ) に終わります 薄束核や 楔状束核からの軸索は 腹側で正中線を越えて反対側をないそくもうたい上行し 視床に向かう内側毛帯を形成します ないじぜついんめいそう延髄の背側部には 内耳神経や舌咽神経 迷走神経 ぜっか副神経 舌下神経などに関与する神経核が存在します ぜつきんこれらの脳神経核には 舌筋 ( 内臓性横紋筋 ) を支配するいんとうこうとう舌下神経核や 咽頭 喉頭の内臓性横紋筋を支配するぎかく疑核 胸腔や腹腔などの器官 ( 内臓 ) の調節に関与する内はいそくかく臓性運動神経核の迷走神経背側核 ( 副交感神経の節前神経じかせんかだえきかく細胞体 ) 耳下腺の分泌に関与する下唾液核( 副交感神経 の節前神経細胞体で耳下腺に分布 ) 内臓性感覚神経核のこそくかくせきずいろかく孤束核 体性感覚神経核の三叉神経脊髄路核 ( 頭部や顔面へいこうぜんていの皮膚の痛覚や温覚など ) 平衡感覚に関与する前庭神経ちようかくかぎゅう核 聴覚の情報を受ける蝸牛神経核などがあります 延髄の正中部には 意識の覚醒に関与する網様体や 脊髄に下行性のセロトニン作動性神経線維を出し骨格筋だいほうせんかくの緊張の調節や痛覚の抑制に関与する大縫線核がありま す ないそくじゆうそくこそく延髄には 内側縦束や三叉神経脊髄路 孤束 下小脳きやく脚 その他の上行路 下行路も存在します 孤束核 孤束核の吻側部は味覚情報を受け この尾側部は血圧 や血液中の酸素濃度などの情報を受け取ります セロトニン セロトニン serotonin は アミノ酸のトリプトファン から酵素の働きで生合成されます ( 下図参照 ) 図 7-53 延髄上部の横断図を示す 図 7-54 延髄の大縫線核からの下行性神経線維 ( セロトニン作動性 ) が脊髄で痛覚の伝導を抑制する機構を示す 図 7-55 トリプトファンからトリプトファン水酸化酵素などの働きでセロトニンが生合成される

21 2. 橋 きょう橋 pons は 延髄の上方に存在し 腹側にふくらん でいる部位で 背側部は第四脳室の床になります きょうかく橋の腹側部には橋核があります 橋核は 同側の大脳 皮質からの情報を受け取り 軸索を反対側の小脳皮質に 送ります ( 横橋線維 )( 図 7-59) 横橋線維の束は 腹側で 横行するスジとして観察され さらに外側に向かうとちゆうしようのうきやく中小脳脚を構成します さんさ橋の腹側部には 三叉神経根が付いています また 延髄と橋との境にある延髄橋溝の付近には 内側から外がいてんないじ側にかけて 外転神経根 顔面神経根 内耳神経根が存 在します 橋の背側部には 脳神経核の三叉神経脊髄路核 ( 頭部やしゅかんかくかく顔面の痛覚や温覚などに関与 ) 三叉神経主感覚核( 頭部そしやくや顔面の触覚や圧覚に関係 ) 三叉神経中脳路核( 咀嚼筋そしやくの固有感覚に関与 ) 三叉神経運動核( 咀嚼筋を支配 ) 外転神経核 ( 外眼筋の外側直筋を支配 ) 顔面神経核 ( 顔面 の表情筋を支配 ) 上唾液核( 副交感神経の節前神経細胞るいせんぜつかせんがくかせんぜんていへいこう体で涙腺や舌下腺 顎下腺を支配 ) 前庭神経核( 平衡感かぎゆうちようかく覚に関与 ) 蝸牛神経核 ( 聴覚に関与 ) 長い線維束がいそくもうたい ( 内側毛帯や外側毛帯 皮質脊髄路 ) 網様体などがあり ます 外側毛帯は 両側の蝸牛神経核からの軸索と 両側の 上オリーブ核からの軸索で構成されますが 対側からのかきゅう神経線維が主で 情報を下丘核に伝える聴覚伝導路の一 部となります せいはんかくまた 青斑核が第四脳室上部の外側縁の床を形成する 灰白質に存在します 青斑核にある神経細胞は ノルア ドレナリン noradrenaline を含む神経線維を広範な中 枢神経系の領域に出します この細胞群は 体の内部や 外環境からのストレス刺激などを受け 脳の覚醒状態を 引き起こします ノルアドレナリンは いくつかの酵素 の働きによってチロシンから生合成されます ( 図 7-60) 図 7-57 図 7-58 橋中央部の横断の模式図 橋上部の横断の模式図 図 7-59 橋核から小脳に向かう神経線維を示す模式図 図 7-56 橋下部の横断の模式図

22 3. 小脳は骨格筋の収縮の調節 記憶と体のバランスの維持に関与 図 7-60 チロシンからノルアドレナリンが生合成される過程を示す 図 7-61 小脳の外表面を示す上は後方から 下は下方から描く 図 7-62 小脳核を模式的に示す しょうのう小脳 cerebellum は 橋と延髄の後方に存在し 第 四脳室の天井を形成します 小脳の働きは 体の運動の記憶や 骨格筋の収縮の協 調 体の平衡の維持などです そのため 小脳は 前述 の活動をおこなうための感覚情報として 視覚情報や平 衡感覚情報 さらに骨格筋や腱 関節包などからの固有 感覚情報などを受け取り また大脳皮質の各部位からの 情報を橋核あるいは下オリーブ核を経由して得ます こ れらの情報にもとづいて 小脳は骨格筋の緊張や収縮を 調節します 小脳は 左右の一対の小脳半球と正中の小脳虫部とか ら構成されています ふんそくぜんよう小脳は 第一裂によって 吻側の小脳前葉と 尾側のこうようへんようしょうせつよう小脳後葉とに区分されます 後外側裂が片葉小節葉と後 葉との間に存在します 小脳前葉は 主として脊髄からの深部の固有感覚の情 報を受け取り 古小脳とも呼ばれます 小脳後葉は 橋核からの情報 ( 骨格筋を協調させる ) を 受け 新小脳といい 系統発生学的に一番新しいもので す 小脳後葉は ヒトでは良く発達し 左右の手足で異 なる運動が可能となります 片葉小節葉は 前庭神経および前庭神経核からの平衡 感覚の情報を受け 原始小脳とも呼ばれ 系統発生学的 に一番古くから存在するものです ひしつさらに 小脳での内部構造は 表層の小脳皮質や 深部 の小脳白質 白質の中に埋もれている左右一対の小脳核 などに分けられます 1 小脳皮質しようのうかい小脳の表面には 小脳回や小脳谷などで激しくくびれ た小脳皮質があります 小脳皮質は 厚さが約 1 mm で 大脳皮質と異なり どこでも同じ3 層構造です ぶんしそう小脳皮質は 表層から分子層 プルキンエ細胞層 かりゅうそう顆粒層の3 層構造でつくられます 顆粒層の深部には小 脳白質があります 小脳皮質には 外部からの主要な3 種類の神経線維のとうじようせんいたいじよう終末像が見られ 登上線維や苔状線維 アミン線維が あります 登上線維は 下オリーブ核由来のもので プルキンエじゆじようとつき細胞の太い樹状突起と多数のシナプスを形成し アスパ ラギン酸が神経伝達物質として使われ 強力な興奮性作 用があります

23 図 7-63 小脳皮質の 3 層構造を示す ふくン作動性 セロトニン作動性などがあります 中脳の腹そくひがいやし側被蓋野由来のドーパミン作動性線維は 抑制性で 歯じようかくせんじようかく状核や球状核 栓状核 小脳皮質に終わり 小脳の活せいはん動を調節します ノルアドレナリン作動性線維は 青斑かく核由来で プルキニエ細胞の樹状突起および顆粒細胞と 抑制性シナプスを形成し 小脳の活動を調節します きようほうせんかく橋縫線核由来のセロトニン作動性線維は プルキニエ細 胞と抑制性シナプスを形成し 小脳皮質の活動を調節し ます 片葉小節葉以外の領域に存在するプルキニエ細胞の軸 索は 小脳核に向かい 抑制性のシナプスを形成します それに対して 片葉小節葉のプルキニエ細胞の軸索は 直接 前庭神経核に向かいます 図 7-66 小脳の働きを模式的に示す 図 7-64 小脳皮質での神経回路網を示す 2 小脳核 小脳の白質より深部には 神経細胞体の集合である小しつちようかく脳核 ( 歯状核 室頂核 球状核 栓状核 ) が存在します 歯状核には 主に小脳半球の皮質に存在するプルキニ エ細胞からの軸索が終わります 室頂核には 小脳虫部 の皮質にあるプルキニエ細胞からの軸索が終止します きやくこうさ歯状核からの軸索は 上小脳脚や上小脳脚交叉を通過せきかくし 反対側の赤核や 視床にある前腹側核および外側腹 側核などに終わり 運動の発現を調節します 室頂核か らの軸索は 下小脳脚を通り 同側の前庭神経核下核や 前庭神経核外側核に向かい 体の平衡維持に働きます 図 7-65 小脳皮質のプルキニエ細胞の顕微鏡写真 たいじようせんい苔状線維は 脊髄や前庭神経系 脳幹網様体 橋核な どにある神経細胞体からの軸索で グルタメイトかりゆうそう glutamate を神経伝達物質として使い 顆粒層で数個じゆじようとつきの顆粒細胞の樹状突起と興奮性のシナプスを形成します ( 糸球体 ) 顆粒細胞の軸索は 分子層に向かい 分子層 で平行線維を形成し プルキニエ細胞の遠位の樹状突起 と興奮性のシナプスをつくります 1 個のプルキニエ細 胞は 20 万本の平行線維とシナプスを形成します アミン線維には ドーパミン作動性やノルアドレナリ 3 小脳脚小脳は 3 対の小脳脚 ( 軸索で構成 ) により脳幹とつながります 小脳は 上小脳脚により中脳と 中小脳脚で橋と 下小脳脚により延髄と それぞれつながります 上小脳脚は 小脳核由来で反対側の中脳や間脳に向かう多数の神経線維 ( 軸索 ) と 脊髄 ( 前脊髄小脳路 ) や脳幹から小脳に向かう極少数の神経線維とで構成されています 中小脳脚は 主に橋核由来の軸索が反対側の小脳後葉の皮質に向かう神経線維で構成されます

24 下小脳脚は 脊髄や延髄から小脳の皮質に向かう神経 線維と 小脳核から延髄に向かう神経線維とで形成され すいみんけ 脳全体を覚醒状態に維持します 睡眠状態では こ の刺激が停止します ます 図 7-68 中脳の後面を模式的に示す 図 7-67 小脳脚を側面から示す 4. 中脳 ちゅうのう中脳 midbrain は 終脳と脳幹とを結ぶものです 中脳の背側部には 左右 1 対の上 じょうきゅうかきゅう丘と下丘とが観察 もうまくされます ( 図 7-68) 上丘の表層には 眼球の網膜からのしさく視索線維が終わり 眼球と頭 頚の運動の協調に関与しもうたいます 下丘の下丘核には 外側毛帯を構成する軸索が終 わり 聴覚刺激の中継核として働きます 下丘核を構成ないそくしつじようたいわんする神経細胞の軸索は 内側膝状体核に向かう下丘腕をかつしや形成します 下丘のすぐ尾側には 細い滑車神経根が付 いています だいのうきゃく腹側には 1 対の盛り上がった大脳脚 ( 大脳皮質由来はさくぼの下行性神経線維で形成 ) と その間に挟まれた窪みのきゃくかんか脚間窩とが観察されます ( 図 7-69) 脚間窩には動眼神経 図 7-69 中脳の前面を模式的に示す 根が付き この深層には脚間核が存在します ちゅうのうすいどう上丘と下丘の深部には中脳水道が存在します 中脳水 道は 第三脳室と第四脳室を結ぶものです 中脳水道のちゅうしんかいはくしつ周囲の灰白質は中心灰白質と呼ばれます 中心灰白質のそしやく辺縁には 三叉神経中脳路核 ( 咀嚼筋の固有感覚に関 与 ) の神経細胞が散在しています ますいやく中心灰白質は 多くの麻酔薬の作用部位として重要な 役割を果たします はいそくほう中心灰白質の腹側部には セロトニン作動性の背側縫せんかく線核が存在します 背側縫線核にはセロトニン作動性神 経細胞体が存在します 背側縫線核からのセロトニン作 動性線維は 大脳皮質や線条体に向かいます セロトニン作動性神経細胞は 他の部位からの刺激が なくとも低頻度の規則的な刺激 (2~3 回 / 秒 ) を出し続 図 7-70 図 7-71 下丘の高さで中脳の横断面を示す 上丘の高さでの中脳の横断面を示す

25 図 7-74 橋の外転神経核と中脳の動眼神経核との協調を模式的に示す 図 7-72 中脳でセロトニン作動性神経細胞体 (B6, B7) とドーパミン作動性神経細胞体 (A9) の分布を示す 図 7-73 脳幹にあるセロトニン作動性神経細胞の軸索が終わる部位を模式的に示す どうがん中脳水道の腹側には 動眼神経核 ( 大部分の外眼筋と上どう眼瞼挙筋を支配する体性運動神経核 ) や動眼神経副核 ( 瞳こうかつやくきんもうようたいきん孔括約筋や毛様体筋を支配する内臓性運動神経核 ) かっしゃ滑車神経核 ( 外眼筋の上斜筋を支配する体性運動神経核 ) が存在します 動眼神経核や動眼神経核副核からの軸索は動眼神経根きやくかんかを形成します 動眼神経根は 脚間窩から脳を出て がんか眼窩に向かいます 一方 滑車神経核由来の軸索は 中心灰白質の外側部 に沿って背側に向かい 下丘の深部で交叉して 下丘の 近くの背側面から出て 滑車神経となり 大脳脚の外側 面に沿い 腹側かつ前方に向かい 眼窩に入ります せきかく腹側部には 赤核と ドーパミン作動性神経細胞体がこくしつちみつぶ存在する黒質緻密部とが見られます 図 7-75 中脳のドーパミン作動性神経細胞からの軸索が終わる部位を模式的に示す 黒質緻密部からのドーパミン神経線維は 大脳基底核せんじょうたいひかくの線条体 ( 尾状核と被殻 ) に向かい 随意運動の発現を調 節します パーキンソン氏病は このドーパミン作動性しんせんきんきようごうかどう神経細胞の減少によって 振戦や筋強剛 寡動 姿勢反 射異常などを引き起こします ふんそく黒質の吻側かつ内側には ドーパミン作動性神経細胞ふくそくひがいや体で構成された腹側被蓋野が存在します 腹側被蓋野か らのドーパミン作動性神経線維は 主に腹側線条体に終 わり 行動や意欲の発現などに関与します ドーパミン dopamine は チロシンからチロシン水 酸化酵素などの働きで合成されます (162 頁図 7-60) だいのうきやく腹側に存在する大脳脚は 大脳皮質から脳幹や脊髄に

26 向かう下行性の軸索で構成されており 上行性の軸索は 存在しません 赤核にある神経細胞体からは 脊髄に向かう赤核脊髄 路を形成する軸索が始まります たづなかく脚間窩の深層に存在する脚間核は 視床の手綱核から きやくかんかく核からの軸索は脚間核に向かいます つぎに脚間核は はいそくほうせんかくセロトニン作動性神経細胞体が存在する背側縫線核に神 経終末を送っています さらに 手綱核は 視床下部やふくそくひがいやこくしつ腹側被蓋野 黒質などに向かう軸索を出します の情報を受け セロトニン作動性神経線維の起始核であほうせんかくる背側縫線核を調節します ひがい一方 大脳脚の背側にある被蓋には下行性および上行 性の経路とともに網様体があります 図 7-77 脳の冠状断で視床を示す 図 7-76 脳の正中断で間脳 ( 視床 視床下部 ) を示す 5. 間脳 かんのう間脳 diencephalon は 第三脳室の両側壁と床とに存 在しています ししよう間脳は 視床上部 視床 腹側視床 視床後部 ししょうかぶ視床下部に区分されます しょうかたい図 7-81で示すように 間脳の上後方からは松果体が後かすいたい方へ突出し 腹側からは下垂体が下方に伸びています ししんけい間脳の腹側面の前部には 視神経が付き 下垂体の前方しこうさで視交叉を形成しています 1 視床上部たづな間脳の背側部を構成する視床上部には 松果体や手綱 ししようずいじよう視床髄条 第三脳室の天井などがあります 松果体は 内分泌器官で セロトニン serotonin から メラトニン melatonin を合成し 性的成熟の抑制や体 の日内周期 ( 変動 ) を調節する重要な役割があります 視床上部の後方にある手綱には 手綱核が存在します たんそうきゆうないせつへんえんけい手綱核は 淡蒼球内節からの神経終末と辺縁系とからの 神経終末とが終わり 情動系と運動系とを統御する役割 があり 長期ストレスの発現にも関与しています 手綱 図 7-78 右の視床の神経核を模式的に示す 2 感覚情報を中継する視床だ視床は 第三脳室の両側にある長さが約 3 cm の楕円 形の灰白質で この中には多数の神経核があります 視床の大部分の神経核は 皮質下領域からの上行性の 感覚情報や運動情報を処理するとともに中継し 大脳皮 質に情報を伝える神経線維を出しています ずいばん視床には 視床前核群や 視床背側核群 視床髄板内せいちゆう核群 視床内側核群 視床正中核群 視床後核群 視床 網様体核 視床腹側核群などがあります にゆうとうたいたいじようかい視床前核群は 乳頭体や帯状回などからの情報を受 け取り 視床下部に伝える役割があって ストレスの調 節に関与する部位です 白質の内側髄板より内側の領域に視床内側核群が存在せないそくかくし この領域には大きな背内側核があります 背内側核 は 6 野や 32 野よりも吻側の前頭葉 ( 前頭前野 ) との連結 が強く 体性感覚と内臓性感覚の統合の場であると考え られています ぜんふくそくがいそくふくそく視床腹側核群に属する前腹側核と外側腹側核には

27 たんそうきゅう淡蒼球内節や小脳核からの神経線維が終わります そしぜんやて これらの神経核からの軸索は運動皮質 ( 運動前野と運 動野 ) に向かい 運動の発現に関与します こうふくそくまた視床腹側核群に属する後腹側核は体性感覚の中継 核で 内側毛帯や脊髄視床路などの神経線維がこの部位 に終わります 後腹側核からの神経線維は大脳のちゅうしんこうかい中心後回 ( 一次体性感覚野 ) に向かいます 視床網様体核は 視床の外側縁に沿って存在し 視床だいのうきていかくと大脳皮質との連結や 視床と大脳基底核との連結など を監視し 視床の機能を調節すると考えられています 図 7-80 視床下部の腹側面を示す 3 腹側視床ししょうかかく視床と中脳の移行部である腹側視床には 視床下核やふかくたい不確帯があります たんそうきゆうがいせつ視床下核は 淡蒼球外節からの情報を受け取り 淡蒼 球の活動を調節しています 視床下核の障害では 体の 片側におこる急激な下肢の不随意的な運動を伴う半側バ リズムが発症します 図 7-81 視床下部での神経核を模式的に示す 図 7-79 視床の腹側核群と大脳皮質との関係を示す 視床下部にもいくつかの神経核が存在し 下垂体で産 生されるホルモンの分泌を調節したり 体温調節や 血 液の浸透圧の調節 血糖値の調節 食欲の調節 意識の 覚醒などの自律機能の最高中枢としても働きます しさくぜんや 視索前野には 性腺刺激ホルモン放出ホルモンを産生 4 視床後部がいそくしつじょうたい視床後部には 視覚の中継核である外側膝状体核や聴ないそくしつじょうたい覚の中継核である内側膝状体核が見られます しさく外側膝状体核には視索線維が終わります 外側膝状体しほうせんこうとうよう核からの神経線維は 視放線を形成し 大脳の後頭葉 ( 視 覚野 ) に向かいます 内側膝状体核には 中脳の下丘核からの神経線維が終ちようほうせんわります この領域からの軸索は 聴放線をつくり 大そくとうよう脳の側頭葉 ( 聴覚野 ) に向かいます する神経細胞が多数存在し 腺下垂体での性腺刺激ホル モンの分泌調節をおこなうとともに 男女の性差の発現 にも関与します しこうさじょうかく 視交叉上核は 網膜からの視索線維が終わり 日内周 期 ( 変動 ) を生じさせる神経細胞体の集団で構成され 体 内時計とも呼ばれています ぜんかく 視交叉上核の背側に局在する視床下部前核には 体温 の調節に関与する神経細胞体が存在します しさくじょうかくしつぼうかく 視索上核と室傍核には オキシトシンやバゾプレッシ ンなどの神経下垂体のホルモンを産生する神経細胞体が 5 自律機能の最高中枢として働く視床下部 視床下部は 視床下溝より下方の間脳を指し 第三脳 室の底と その周囲を囲む部位とにあります 視床下部ろうとかすいたいの漏斗の下方に下垂体がつながっています また視床下にゅうとうたい部の腹側部の後部には 乳頭体と呼ばれる一対の丸い突 出部位があります 存在します また 室傍核には ストレスに関与する副 腎皮質刺激ホルモン放出ホルモンを産生する神経細胞も あります ふくないそくかく 視床下部腹内側核は 視床下部で重要な役割を担い まんぷくちゅうすう他の領域と相互に連結しあうとともに 満腹中枢もこの 領域に属します

28 がいそくや 視床下部外側野には オレキシン作動性神経細胞群が 存在します これらの神経細胞にはレプチン受容体が存 在し 摂食行動の促進や覚醒作用に関与しています 乳頭体の近くには ヒスタミン作動性神経細胞群が存 在し 軸索を大脳皮質に送り 覚醒作用に関与します 市販の風邪薬を飲んだ後に生じる眠気は このヒスタミ ンの働きを抑えるためです 図 7-85 視床下部の隆起乳頭体核に存在するヒスタミン作動性神経細胞の軸索が終わる領域を模式的に示す 図 7-82 視床下部視索前野での神経細胞数の男女差 図 7-86 ヒスチジンからヒスタミンが生合成される 図 7-83 視床下部と下垂体との関係を模式的に示す 図 7-87 左大脳半球の外側面を示す 6. 終脳 図 7-84 視床下部でのレプチンの働きとオレキシン作動性神経細胞群との関係を模式的に示す だいのう終脳 ( 大脳 )telencephalon は 他の動物に比べヒトで は良く発達し 脳の中で大きな割合を占めています まじゅうれつだいのうはんきゅうた終脳は 大脳縦裂で左右の大脳半球に分けられます だいのう大脳半球の表面から2 mm から4 mm ぐらいの大脳ひしつ皮質では 神経細胞体が層構造に集積しています 大脳 皮質よりも深層には 軸索で構成される大脳白質 ( 髄質 )

29 が見られます 大脳白質の深部には神経細胞体が集まるだいのうきていかく大脳基底核が存在します かいばます また 側頭葉の内側部の海馬は長期記憶に関係し ています 1 意識的活動に貢献する大脳皮質だいのうこう大脳皮質には 多数の大脳溝が見られ 大脳溝と大脳だいのうかい溝の間の高まりを大脳回といいます 大脳皮質は大脳溝 のために表面積が著しく広くなります (2,000~2,500 cm2) 大部分の大脳皮質は6 層構造を示し 新皮質とも呼ばかりゆうすいたいれ 表層から分子層 (I) 外顆粒層(II) 外錐体層(III) 内顆粒層 (IV) 内錐体層 (V) 多形層 (VI) があります 各層に含まれる神経細胞の形 大きさ 密度 配列など は 部位によって異なります 分子層や内顆粒層は 主に視床からの情報を受け取る 部位です また 内錐体層は 主に皮質以外の領域 ( 皮質 下領域 ) に軸索を出します 皮質脊髄路を形成する神経細 胞体は 内錐体層に存在します しじょうかいかいば一方 歯状回と海馬は3 層構造です 歯状回は 分子 層 顆粒層 多形層から形成されています 海馬には ほうせん分子層 錐体細胞層 放線層が観察されます ぜんとうようとうちょうようこうとうようそくとうようとう大脳皮質は 前頭葉や頭頂葉 後頭葉 側頭葉 島の 五つの区域に区分されます 前頭葉と頭頂葉の境はちゅうしんこう中心溝です 側頭葉は外側溝より下方の部位です 頭頂 葉と後頭葉とを区分する指標としては 頭頂後頭溝や後せつこん頭前切痕などがあります 図 7-88 大脳皮質の六層構造 ( 左 ) と働き ( 右 ) を示す 前頭葉の後部には 反対側の体の運動を調節する領域ちゅうしんぜんかいが存在し 中心前回にある一次運動野 ( ブロードマンの 4 野 ) や 運動前野 (6 野 ) 運動補足野 (6 野の内側部 ) 眼球の動きに関与する前頭眼野 (8 野 ) 言葉を話すこと に関与するブローカの運動性言語野 ( 中枢 )(44 野と 45 野 ) などです 前頭葉の前部 ( 前頭連合野 ) は精神活動や人格 の多方面を調節しています ちゅうしんこうかい頭頂葉にある中心後回は 皮膚などからの感覚を認識 する一次体性感覚 (3 野や 1 野 2 野 ) に関係しています 頭頂葉の後部は様々な感覚情報を統御する頭頂連合野が 存在します 聞いた言葉の意味を理解するウェルニッケ の感覚性言語中枢 (21 野と 24 野 ) も頭頂葉に存在しますが この領域は側頭葉の一部も含むことになります ちょうきょこう後頭葉の鳥距溝の周囲には 視放線が終わる一次視覚 野 (17 野 ) があります 一次視覚野より前方の領域には視 覚連合野 (18 野 19 野 ) が存在します 視覚連合野で 見 た内容の理解 動き 色彩などを認識します 側頭葉の横側頭回には聴覚の入力を受ける一次聴覚野 (41 野と 42 野 ) があり その周囲には聴覚連合野が存在し 図 7-89 図 層構造の歯状回と海馬を示す 左大脳半球外側面で各葉を示す ます きゆうかく側頭葉の内側部には嗅覚の情報を受け取る部位があり 図 7-91 左大脳半球内側面で一次視覚野を示す

30 図 7-92 大脳皮質に存在する言語中枢の位置を示す 多くの右利きのヒトでは 言語の理解や形成は左の大 脳皮質でおこなわれますが 右側の大脳皮質は視覚での 空間認識に関係しています のうりようたいじようかい脳梁背側面の周囲を取り囲む帯状回 ( 図 7-91) は 感 情および認知の調節に関係しています また 島の大脳 皮質は 感情とホメオスターシスの調節に関与していま す 広範な大脳皮質が障害されると 意識がなくなります 2 大脳基底核だいのうきていかく大脳基底核は大脳半球の白質の中に埋もれた神経細胞びじょうかくひかくたんそうきゅう集団で 尾状核や被殻 淡蒼球があります 大脳基底核 は 運動の調節と運動の学習とに関係しています 尾状 核と被殻は内包によって分離されていますが この二つあわを併せて線条体と呼びます 線条体の障害では パーキふずいいンソン氏病のように特徴的な不随意運動が出現します 線条体は 広範な大脳皮質からの情報を受け取り そ れらを統合します さらに 線条体は 統合した情報を 内側に存在する淡蒼球に伝えます つぎに 淡蒼球内節 は 線条体からの情報を集約し 視床の前腹側核 外側 腹側核などに伝えます 線条体から淡蒼球への情報伝達こくしつが円滑におこなわれるためには 黒質から運ばれるドー パミンが重要な役割を果たします コカインは 線条体 におけるシナプス間隙に放出されたドーパミンの再取り 込みを妨害し 作用の持続時間を長くし 快感状態や興 奮状態を持続します へんとうたい一方 側頭葉の深部には扁桃体があります 扁桃体は 感情の発現に関係しています 3 大脳白質 大脳半球の白質には3 種類の神経線維が存在します れんごうせんい同側の大脳半球の部位を連結する連合線維 左右の大脳こうれん半球を結ぶ交連線維 大脳皮質とその下位の部位とをつ 図 7-93 大脳皮質 - 大脳基底核 - 視床 - 大脳皮質の神経回路網を模式的に示す Glu: グルタミン作動性神経細胞 ( 興奮性 ) 図 7-94 GABA:γ- アミノ酪酸作動性神経細胞 ( 抑制性 ) 左大脳半球前部の冠状断で大脳基底核を示す とうしゃなぐ投射線維です 連合線維には 隣接する大脳回をつなぐ弓状線維 ( 短連たいじようかい合線維 ) 帯状回と海馬傍回の深層に存在し大脳半球の 内側部にある前頭葉や頭頂葉 側頭葉などの皮質を連結たいじようそくする帯状束 島の上方の深部に存在し主に頭頂連合野とじようじゆうそく前頭連合野とを結ぶ上縦束 前頭葉の眼窩部と側頭葉

31 こうじようそく吻側部とを連結する鈎状束などがあります のうりょう交連線維で構成されている最大のものは脳梁で 左右 の大脳皮質を連結する軸索で構成されています 脳梁以 外に交連線維がぞんざいする部位としては 前交連や後 交連があります 交連線維は 左右の大脳半球が別々の 働きをせずに統御するうえで大切なものです ただし 左右の一次視覚野 (17 野 ) を結ぶ交連線維は存在しません ないほう皮質と皮質下領域とを結ぶ投射線維は内包を形成しまぜんきやくしつこうきよくす 内包には 前脚 膝 後脚に区分されます 膝に は皮質核線維が存在し 後脚には皮質脊髄線維や皮質視 床線維があります 内包を横切り線条体に向かう動脈 ( 線はたん条体枝 ) が破綻すると 内包も障害を受け その部位に関まひ係した体の運動機能が麻痺します 図 7-96 右の大脳半球外側面で連合線維を示す模式図 図 7-97 左の大脳半球内側面で連合線維を示す模式図 図 7-95 大脳半球前部の冠状断で交連線維などを示す 第 11 節 12 対の脳神経 のうしんけいとうがいこつ脳神経は 脳とつながった末梢神経で 頭蓋骨を通過 し 主に頭部と顔面領域に分布し この部位の運動と感 覚 自律機能 ( 副交感神経 ) などに関係します ふんそく 12 対の脳神経が存在し 吻側から尾側にかけて 最初きゅうしんけいのものを第 Ⅰ 脳神経 ( 嗅神経 ) といい 最後のものをぜっかしんけい第 ⅩⅡ 脳神経 ( 舌下神経 ) と呼びます 図 7-99 鼻腔での嗅粘膜の位置を示す 図 7-98 脳の下面で脳神経根を示す

32 1. 嗅神経 きゅうしんけい嗅神経は 鼻腔の天井の嗅上皮に存在する嗅細胞からしこつしばんの軸索で構成され 篩骨の篩板にある孔を通って頭蓋腔きゅうきゅうに入り 嗅球に終わります きゅうかく嗅神経は 嗅覚の情報を脳に伝える感覚神経です 図 視神経を構成する視索線維の走行を示す 図 嗅神経の始まりと終わりを示す 2. 視神経 ししんけいしんけいせつさいぼう視神経は 網膜にある神経節細胞からの軸索で構成さ れ 視神経管を通り頭蓋腔に入り 左右のものが合流ししこうさじそくて視交叉を形成します その後 網膜の耳側半分からのしさくびそく軸索は同側の視索に加わりますが 鼻側半分からの軸索 は反対側の視索に入ります 図 対光反射に関与する神経機構を示す 網膜からの視覚情報を伝える視索の神経線維 ( 視索線がいそくしつじょうたい維 ) は視床後部にある外側膝状体核に終わります 日内 周期に関与する視索線維は視床下部に存在するしこうさじょうかく視交叉上核に向かいます 対光反射に関係する視索線維しがいぜんいきは視床上部にある視蓋前域オリーブ核に終わります 眼 球と頭の運動を調節するための情報を伝える視索線維はじょうきゅう中脳の上丘の浅灰白層に向かいます 動眼神経には中脳の動眼神経核由来の軸索 ( 体性運動神 経線維 ) が含まれます これらの体性運動神経線維は眼球じようがんけんきよきんの外眼筋 ( 上斜筋と外側直筋を除く ) と上眼瞼挙筋を収縮 させます また動眼神経の中には 動眼神経副核由来の軸索 ( 副交どうこうすいしょうたい感神経 ) で 瞳孔を縮小したり水晶体の焦点距離を短く することに関与する神経線維 ( 副交感神経線維 ) も含まれもうようたいています この軸索は 眼窩の中にある毛様体神経節に 終わります 図 視神経は網膜の視神経節細胞から始まる 3. 動眼神経 どうがんしんけいきやくかんか動眼神経は 中脳の脚間窩から脳を離れ 脳の腹側をじようがんかれつ前方に進み 上眼窩裂から眼窩に入ります 図 動眼神経の構成と走行 働きを示す

33 図 滑車神経の始まりと終わりを示す 4. 滑車神経 かっしゃしんけい滑車神経は 中脳に存在する滑車神経核由来の軸索 ( 体 性運動神経線維 ) で形成されます この軸索は脳内を背側 に走行し 反対側に交叉し 下丘の少し尾側で脳の表面 に出て 滑車神経となります 滑車神経は 脳を出た後 大脳脚の外表面に沿って腹側に向かい 脳の腹側を走行 し 上眼窩裂から眼窩に入ります じょうしゃきん滑車神経は眼球の上斜筋のみを収縮し 眼球を外下方 に回転させます 5. 三叉神経 図 頭部 顔面に分布する三叉神経の分枝を示す 下顎神経には 運動根からの神経線維が加わり 卵円 孔を通過します 下顎神経の一部の体性運動神経線維がそしゃくきん咀嚼筋 ( 側頭筋 咬筋 外側翼突筋 内側翼突筋 ) を収縮 させ 食べ物の咀嚼に関与します 一方 大部分の感覚 神経線維は 下顎管を通過して 下歯や下顎の領域に分 布し これらの感覚に関与します 三叉神経節からの中枢枝は 橋にある三叉神経主感覚 核や 橋から頚髄の上部に存在する三叉神経脊髄路核な どに終わります さんさしんけいさんさしんけいせつ三叉神経の神経根には 頭蓋腔の中にある三叉神経節ちゆうすうしの感覚神経細胞の軸索の中枢枝から構成される太い感覚 根と 三叉神経運動核や三叉神経中脳路核などからの軸 索でつくられる相対的に細い運動根とがあります これきようらの神経根は橋の腹側部に付着しています まつしようしがんしんけいじょうがくしんけい三叉神経節からの末梢枝は 眼神経や上顎神経 かがくしんけい下顎神経を構成します 眼神経は 上眼窩裂を通過し 6. 外転神経 がいてんしんけい外転神経は 橋にある外転神経核由来の軸索から構成えんずいすいたいされ 神経根は橋と延髄錐体との間にある延髄橋溝から 出ます 外転神経は 上眼窩裂から眼窩に入り 眼球のがいそくちょっきん外眼筋の中で外側直筋のみを収縮させ 眼球を外転させ ます 眼窩や鼻腔 前頭部に分布し これらの領域の感覚に関せいえんこう係します 上顎神経は 正円孔を通過し さらに下眼窩ほお裂や眼窩下孔を通り 上歯や頬などの領域の感覚情報を 伝えます 図 外転神経の始まりと終わりを示す 図 三叉神経を構成する神経線維の由来を示す

34 7. 顔面神経 がんめんしんけいきよう顔面神経には 橋にある顔面神経核由来の体性運動神 経線維で構成される神経根と 味覚神経線維や唾液腺の 分泌神経線維などで形成された中間神経根とがあります 顔面神経根は 橋と延髄オリーブとの間にある延髄橋溝 から出てます 相対的に細い中間神経根は 顔面神経根 の外側に存在します ないじこうちゆうじ顔面神経根は 内耳孔を通過し 中耳に入り さらにけいにゆうとつこう茎乳突孔を通過し 頭蓋骨の外に出ます そのため 中 耳炎を患うと顔面神経根が傷害され 顔面神経麻痺にな ることがあります 顔面神経を構成する体性運動神経線維は 顔面の表情 図 顔面神経に含まれる副交感神経線維の走行 筋を収縮させ 顔の表情をつくります しつしんけいせつ顔面神経に含まれる味覚神経線維は 膝神経節 ( 側頭骨 の顔面神経管のなかに存在 ) にある内臓性感覚神経細胞体 の末梢枝で構成されます 膝神経節にある神経細胞体のこそくかく軸索の中枢枝は延髄にある孤束核に終わり 末梢枝の味ぜつみらい覚神経線維は舌の前方に存在する味蕾に終わり 舌の前 方の味覚に関与します 顔面神経に存在する分泌神経線維 ( 副交感神経 ) は 橋じようだえきかくに存在する上唾液核由来の軸索で構成されます この分がくかしんけいせつぜつかせん泌線維のなかで顎下神経節に終わるものは 舌下腺や がくかせんるいせんびせんこうがいせん顎下腺の分泌に関与します また 涙腺や鼻腺 口蓋腺 などに関係する分泌神経線維は 膝神経節からだいすいたいしんけいよくこうがいしんけいせつ大錐体神経 ( 副交感神経根 ) を構成し 翼口蓋神経節 ( 翼口 蓋窩に存在 ) に終わります 8. 内耳神経 ないじしんけいかぎゆう内耳神経には 蝸牛にある蝸牛神経節由来の中枢枝でかぎゅうしんけいぜんていしんけいせつ形成された蝸牛神経と 前庭神経節から始まった中枢枝 で構成された前庭神経とがあります 内耳神経根は 中間神経根よりも外側に存在し 延髄 橋溝の領域とつながっています 蝸牛神経は 聴覚の情報を延髄の蝸牛神経核に伝えまはんきかんへいこうのうす 一方 前庭神経の軸索は 内耳の半規管や平衡嚢へいこうかんかくなどからの平衡感覚の情報を延髄の前庭神経核と小脳皮 質とに伝達します 図 顔面神経を構成する神経線維の由来を示す 図 内耳神経を構成する神経線維を示す 図 右側の表情筋に分布する顔面神経を示す 図 内耳神経を構成する神経線維の終わりを示す

35 9. 舌咽神経 か経線維 下神経節の神経細胞体からの味覚神経線維およ び内臓性感覚神経線維などが含まれています ぜついんしんけいぎかく舌咽神経は 延髄にある疑核からの体性運動神経線維かしんけいせつや 延髄の下唾液核からの分泌神経線維 下神経節にあ る神経細胞体由来の軸索による味覚神経線維 頚動脈小 体 ( 血液中の酸素濃度の監視 ) と頚動脈洞 ( 血圧の監視 ) か らの情報を伝える内臓性感覚神経線維などから構成され ます ふんそく舌咽神経根は 延髄のオリーブ後溝の吻側部とつなが り 頚静脈孔から頭蓋腔を出ます いんとうきん舌咽神経に含まれる体性運動神経線維は 咽頭筋 ( 内臓えんげ性横紋筋 ) を収縮し 嚥下運動に関与しています 分泌神じかせん経線維 ( 副交感神経 ) は 耳下腺の分泌に関与し じしんけいせつ耳神経節 ( 側頭下窩に存在 ) に終わります 舌咽神経に含まれる味覚神経線維および内臓性感覚神こそくかく経線維の中枢枝は 延髄の孤束核に情報を伝えます 迷走神経根は 舌咽神経根よりも尾側領域の延髄のオ リーブ後溝とつながり 頚静脈孔から頭蓋腔を出ます なんこうがいいん迷走神経を構成する体性運動神経線維は 軟口蓋や咽とうこうとう頭 喉頭などの内臓性横紋筋を収縮させ 発声に関与し ます また 迷走神経は 喉頭や気管 気管支 肺 心 臓 大動脈 消化管などに副交感神経線維と内臓性感覚 神経線維を分布させます 迷走神経は 消化機能を強め るように働きます じかい迷走神経の体性感覚神経線維は 耳介の皮膚と外耳道 に分布します はんかいしんけい反回神経は 胸腔内で迷走神経から分枝し 反転してりん気管と食道の間を上行します 反回神経の最終枝は 輪じようこうじようきん状甲状筋以外のすべての喉頭筋 ( 内臓性横紋筋 ) を収縮 させ 構音 ( 声をつくる ) に関与します 図 迷走神経を構成する神経線維を示す 図 舌咽神経を構成する神経線維を示す 図 舌咽神経の走行と終わりを示す 10. 迷走神経 めいそうしんけいぎかく迷走神経には 延髄にある疑核からの体性運動神経線はいそくかく維や 延髄の迷走神経背側核からの内臓性運動神経線維じよう ( 副交感神経 ) 上神経節の神経細胞体由来の体性感覚神 図 迷走神経の走行と終わりを示す

36 11. 副神経 ふくしんけいせきずいこん副神経根には 延髄根と脊髄根とがあります 延髄根は 延髄の疑核由来の軸索で構成され 迷走神 神経細胞体の軸索で構成され 前根と後根との間で脊髄だいこうとうこうを離れ 脊柱管の中を上行し 大後頭孔を通過して頭蓋 腔で延髄根と合流し 頚静脈孔から頭蓋腔を出て そうぼうきんきようさにゆうとつきん僧帽筋と胸鎖乳突筋との収縮に関与します 経根よりも尾側領域の延髄のオリーブ後溝から出ていき ます 延髄根は 最終的に迷走神経に加わり 主として軟口蓋や咽頭 喉頭の内臓性横紋筋などを収縮させます 脊髄根は 第一頚髄から第五頚髄に存在する体性運動 12. 舌下神経 ぜっかしんけい舌下神経根は 延髄の舌下神経核にある神経細胞体の 軸索で形成されます この神経根は 延髄の前面にあるえんずいすいたい延髄錐体とオリーブとの間にあるオリーブ前溝から出て 舌下神経管を通って頭蓋腔を出ます ぜつきん舌下神経は 舌筋 ( 内臓性横紋筋 ) を収縮させ 舌を動 かします 図 舌下神経の走行と終わりを示す 図 副神経の走行と終わりを示す 第 12 節 無意識的に体のホメオスタシスを調節する自律神経系 じりつ自律神経系は 体内環境を監視し 標的器官の活動を 盛んにしたり抑制したりします 心筋や平滑筋 腺組織などの大部分は 2 種類の内臓 性運動神経である自律神経系によって活動が調節されてこうかんしんけいふくこうかんいます その一つは交感神経であり もう一つは副交感 神経です 交感神経の働きは 興奮状態やストレス状態にヒトの 体が対応できるように調節します すなわち 交感神経 は 体を闘争状態か逃避状態にふさわしいものに変え 心筋の活動を強め 消化機能を抑制します 副交感神経は 食物の消化吸収や泌尿生殖系の機能を 活発にしますが 心臓などの機能については抑制する働 きがあります すなわち 副交感神経は ヒトの体を穏 やかな状態に維持する働きがあります せつぜん交感神経の節前神経細胞体は 脊髄の第一胸髄から第 三腰髄の側角に存在します ( 図 7-122) せつぜん交感神経の節前神経細胞体からの軸索 ( 節前神経線維 ) こうかんしんけいかんかんは 脊柱の両側にある交感神経幹の幹神経節や 脊柱近じようけいちゆうけいかけいくの交感神経節 ( 上頚神経節や中頚神経節 下頚神経節 ふつくう胸神経節 腹腔神経節 上腸間膜動脈神経節 下腸間膜 動脈神経節 腰神経節 ) に終わります これらの神経節かせつごらの節後神経線維が交感神経を形成し 平滑筋や心筋 腺組織などに分布します 交感神経の節前神経線維の神経終末から放出される神 経伝達物質は アセチルコリンです ( 図 7-120) 一方 ノルアドレナリンは 大部分の節後神経線維の神経終末 から放出されます それに対して 皮膚や 汗腺 血管 骨格筋などに分布する節後神経線維の神経終末からは アセチルコリンが放出されます ( 図 7-120) 1. 交感神経

37 脳神経の一部として頭蓋腔を出ていきます すなわち 動眼神経や顔面神経 舌咽神経 迷走神経などのなかにこつばんないぞう混ざります また 仙髄からの節前神経線維は骨盤内臓しんけい神経を形成します 副交感神経の節前神経線維は 目的の臓器の近くにあ る神経節か 臓器の組織のなかにある神経節に終わりま す この神経節からの節後神経線維が目標の臓器あるい は細胞に向かいます 副交感神経の節前神経線維と節後神経線維の神経終末 から放出される神経伝達物質は アセチルコリンです 図 交感神経の走行と終わりを示す 2. 副交感神経 せつぜんせんずい副交感神経の節前神経細胞体は 脳幹と仙髄の側角と に存在します ( 図 7-122) 脳幹からの節前神経線維は 図 副交感神経の走行と終わりを示す 図 体内における交感神経 ( 左 ) と副交感神経 ( 右 ) の走行と終わりを示す

38 第 13 節 無意識的に消化管の活動を調節する腸管神経系 こうもん腸管神経系は 食道から肛門までの消化管の壁に存在 する約 1 億個の神経細胞から構成されています これら の神経細胞は 中枢神経系からの影響を受けずに 独自 に活動します 消化管の壁に存在する神経細胞は 2カ所の集団を形きんそうかんしんけいそうねんまくか成し 筋層間神経叢と粘膜下神経叢とがあります じゆうきんそう筋層間神経叢は 消化管の壁の筋層にある縦筋層とりん輪筋層との間に存在します ( 図 7-123) 一方 粘膜下神経叢は 消化管の壁の粘膜下組織の深 部にあります ( 図 7-123) 筋層間神経叢と粘膜下神経叢には 内臓性感覚神経細かいざい胞と介在神経細胞 内臓性運動神経細胞が存在します ある種の内臓性感覚神経細胞は 消化管の中にある化学 物質で活性化される化学受容器として働きます また 図 消化管におけ腸管神経系を模式的に示す 内臓性感覚神経細胞には 食べ物などによる消化管の拡張で刺激される伸展受容器として働くものがあります これらの内臓性感覚神経細胞は 消化管の内容物や伸展状況 ( 伸び具合 ) の情報を粘膜上皮から 腸管神経系あるいは中枢神経系 自律神経系などの介在神経細胞に伝えます これらの介在神経細胞は 受け取った感覚情報を処理し 筋間神経叢あるいは粘膜下神経叢に存在する内臓性運動神経細胞を活性化したり 抑制したりします 筋層間神経叢に存在する内臓性運動神経細胞は 消化管の壁にある筋層の筋組織を収縮させ 消化管の運動を調節します 一方 粘膜下神経叢にある内臓性運動神経細胞は 消化管に存在する腺の分泌を調節しています 自律神経系による腸管神経叢の調節腸管神経系は独自に機能していますが 自律神経系の調節を受けます 迷走神経および骨盤内臓神経に含まれている副交感神経が消化管に分布します 交感神経は 胸髄と腰髄の側角由来のものが消化管に分布します そして これらの副交感神経および交感神経が腸管神経系とつながり 筋層間神経叢と粘膜下神経叢とでシナプスを形成します また 副交感神経と交感神経は 直接 消化管にある筋組織や腺組織とシナプスを形成しています 一般に 交感神経は 消化管の神経細胞の活動を抑制し 消化管における分泌機能と運動機能を抑制するように働きます それに対して 副交感神経は 消化管の神経細胞の活動を強めて 消化管の分泌機能と運動機能とを強めます 怒りや恐怖 不安などの感情は 中枢神経系から交感神経を介して消化管における腺の活動と平滑筋の収縮を抑制し 消化機能を低下させます 図 消化管の拡張時での筋層間神経叢の働き ( 左 ) と消化管の蠕動運動 ( 右 ) を模式的に示す

39 第 14 節 覚醒と睡眠の調節機構 すいみんかくせい睡眠と覚醒は ヒトの他の多くの生理的活動と同じく 約 24 時間を一日とする周期性をもっています この体の 日内周期は 体内時計によって調節されています 体内しこうさじようかく時計の主要な構成成分は 視床下部の視交叉上核に存在 する神経細胞群です 睡眠は一時的に無意識になる生理状態をいい 人生のつい約三分の一は睡眠に費やされています 睡眠は身体を形 成し 身体を休めるために重要不可欠なものです その ために 睡眠が不足すると 注意力や学習力 行動能力 などが低下します 1. 覚醒 睡眠中は 交感神経の活動が低下し 副交感神経の機 能が強まります 例えば 心拍数は減少し 血圧は低下 様々な感覚情報の多くは 感覚器官から 3 個ないし 4 個の神経細胞の連鎖によって 大脳皮質の特定の部位に 伝えられます これらの感覚情報は 同時に 感覚系のもうようたいもうようたいふかつけい側枝を通じて 脳幹の網様体に存在する網様体賦活系に 刺激 ( インパルス ) を送ります 網様体賦活系が活動的にかくせいなると 物事の認識が可能になり 意識が覚醒した状態 になります せいはんかくまた 青斑核のノルアドレナリン作動性神経細胞群やほうせんかく中脳の背側縫線核のセロトニン作動性神経細胞群などの 活動が盛んになると目が覚めます 青斑核は 視床下部外側野領域に存在するオレキシン 作動性神経細胞群の働きで 活性化すると考えられてい ます また オレキシン作動性神経細胞の活動は 視交 叉上核の神経細胞群で調節されています 視床下部のヒスタミン作動性神経細胞群も大脳皮質に 刺激を送り 覚醒に関与します ねむけすいみん一方 眠気や睡眠を引き起こす神経系も存在します します 長期記憶の形成も睡眠中におこなわれます 睡眠には 2 種類が存在し 睡眠中に急速眼球運動を伴 うレム睡眠と 眼球運動を伴わないノンレム睡眠とです 1) ノンレム睡眠 ノンレム睡眠を引き起こす神経細胞群としては 視床がんま下部視索前野および前脳基底部の γ -アミノ酪酸作動性 神経細胞群などがあります ノンレム睡眠には 次の四つの段階があります 第 1 段階 ( 入眠期 ): 眠気がさした時期で 脳波がていしんぷくそくは低振幅で速波をしめします あるふぁ 第 2 段階 ( 軽睡眠期 ): 浅い睡眠期で 脳波で α 波のぼうすいはような睡眠紡錘波 (10-14Hz,50mV) が出現します 第 3 段階 ( 中等度睡眠期 ): 深い睡眠期で 高振幅で低 頻度の脳波が見られます 第 4 段階 ( 深睡眠期 ): 最も深い睡眠期で 大きな波で 最も低頻度の脳波が出現します このように 深い睡 眠時の特徴は ゆっくりとした 低頻度の脳波が規則 正しく出現することです 図 睡眠 睡眠の各段階での脳波や筋電図の特徴を示す 2) レム睡眠 入眠してから 2 時間ぐらい経過すると第 1 段階と似た 脳波が見られます しかし 第 1 段階と異なり 急速眼 球運動を伴い レム睡眠といいます 不規則な低 ~ 中振しーたべたーでるた幅の θ 波 それに低振幅の β 帯から δ 帯までの波を含 みます この時期には 急速眼球運動や顔面 手足の小れんしゅくさな攣縮がおこり 夢体験が活発となります さらに筋 の緊張 ( トーヌス ) は完全になくなります この時期の脳 波が覚醒時のものと良く似ているために レム睡眠のこぎゃくせつすいみんとを逆説睡眠ともいいます 橋の網様体にレム睡眠を引き起こす機構があると考えがいそくひがいられています すなわち 橋網様体の一部の外側被蓋に あるコリン作動性神経細胞群が活動的になるとレム睡眠 が始まり ノルアドレナリン作動性神経細胞群およびセ

40 ロトニン作動性神経細胞群が非活動的になります ンレム睡眠の期間は短くなります 一方 新生児では全 睡眠の約 50% がレム睡眠で 未熟児では さらにレム睡 3. 実際の睡眠 夜間睡眠中は ノンレム睡眠の第 1 段階は比較的短く 1~7 分間続き それから第 2 段階 第 3 段階 第 4 段 眠が長く 約 80% を占めるようになります にゆうみん睡眠障害は 寝付きが悪い入眠障害と 睡眠中に目覚ちゆうとかくせいめる中途覚醒とに分類されます 睡眠障害が長期間続く と 健康にも悪い影響があります 階 レム睡眠 (5~50 分間 ) と進みます 各段階を一巡するのには 1.5~2 時間ぐらいかかります これを一晩に4~6 回繰り返します 一晩の睡眠で第 2 段階が一番長く 全睡眠時間の約半分を占めます 次に長いのがレム睡眠で 成人では4 分の1から5 分の1 を占めます 朝方になるとレム睡眠が長くなり 逆にノ 図 年齢による睡眠の変化を示す 図 睡眠の周期が年齢によって異なることを示す 第 15 節 学習と記憶 ヒトで記憶 memory が障害されると 私たちは頻繁 に過ちを犯し 学習 learning することができません での変化によって起こります 学習の 4 つの基本型 学習には 感覚学習や 刺激 - 反応学習 運動学習 1 学習学習は 感覚や経験などを通じて新しい情報 ( 知識 ) あるいは技術を身につけることができる能力です また 学習によって ヒトの感覚や行動 考え 感情などが変化します それは 神経系での感覚に関係する神経回路網や 運動を制御する神経回路網 さらにそれらの結合 関係学習の4つの基本型があります 感覚学習は 主に刺激を認識する感覚系において起こり そのことによって刺激に適切に反応することができるようになります たとえば 友だちが髪型を変えると そのヒトに対する視覚的記憶が変化するようなものです 刺激 - 反応学習には 感覚系と運動系の間における結合

41 が関与します たとえば 酸っぱい梅干しを見ると 自 思い出すものです 然と唾液の分泌が増えるようなものです 運動学習は 運動を制御する神経回路網における変化が主に関係しますが 腱や靭帯などの固有感覚などの感覚刺激が関与します 最も複雑な関係学習は 複数の感覚情報で物体を認識する能力が関係し ある状況下での物体の相対的位置の認識や あるエピソードにおけるさまざまな出来事の順序の記憶が可能になります a) 短期記憶短期記憶 short-term memory は 数秒から数分の前の記憶を思い出すもので一時的なものです 一つの例としては よく使わない電話の番号を机の上の手帳から探して 電話のある場所に移動し 電話をかける時に使う電話番号の記憶です そして 特に長く記憶する必要のない電話番号では しばらくたつと忘れてしまうような 記憶です 短期記憶は 脳で構造的な変化を引き起こすものでなく 脳で電気的あるいは化学的な変化などによると考えられています 図 学習過程を単純な模式図で示す b) 長期記憶 短期記憶の情報は 一段と長く続く長期記憶 2 記憶 一方 記憶は 学習あるいは経験によって獲得した知 識や技能を保存したり 思い出したり使ったりする機構 です 記憶の一部となる体験は 脳に構造的および機能 的な変化を引き起こします これらの変化を起こす能力 は 個々の神経細胞の変化に基づきます つまり 異なじゆじようとつきるタンバク質の生合成や 新しい樹状突起の形成 神経 細胞間におけるシナプスの変化などがあります 記憶に関係する脳の部位としては 大脳皮質の連合野 や視床 視床下部 辺縁系の一部などがあります 体の特定の部位が新しい学習で頻繁に使われると そ の体の部位と関係する脳の領域が大きくなります 神経細胞は 刺激されると 形態学的な変化が起こり ます 例えば 長期間持続する刺激で 軸索の先端にあ る神経終末の数が増えたり シナプス前の終末ボタンが 膨らんだり シナプス後神経細胞の樹状突起の数が増え たりします また 視力を失うと 視覚に関係する大脳 皮質の厚さが薄くなることが知られています 記憶には 時間的な段階で起こり 即時記憶 long-term memory へと変換されることがあります 長期記憶は 数日から数年と長く保存されます 通常 長期記憶に保存された情報は 必要なときに思い出すこ とができます 言葉で表現することができる長期記憶の情報は 大脳 皮質の広い領域で保存されていると考えられています テニスでボールを打つなどの運動の記憶は 大脳基底核 や小脳 大脳皮質などで保存されます 脳には数多くの刺激が入りますが 私たちが同時に注 意を払うことができるのは そのうちの二つないし三つ です 意識にあがる情報の約 1% ぐらいが長期記憶に保 存されていると推定されています さらに 長期記憶に 保存されようとするものの多数が忘れてしまいます 記 憶は 録画装置のように正確に記録することができませ ん しかし 詳細は忘れても 自分の言葉を使い 物事 の考えや概要を説明することができます 脳の電気活動を妨げる麻酔や 意識障害 電気けいれ ん療法 脳の虚血では 過去に保存されていた長期記憶かくとくを失うことなく 最近獲得した記憶の障害がおこります immediate memory は 数秒間の進行している体験を この章の参考図書 前田正信監訳 エッセンシャル神経科学 丸善株式会社 2008 年 中村克樹ら監訳 新脳の探検上 下 講談社 2004 年

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