４　研究課題に基づく実践事例

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1 研究課題に基づく実践事例 一人で自転車の点検 整備ができる 中学校 3 年 視点 1 家庭と学校との連携による実践場面の拡大家庭での仕事を分担している児童生徒は年々少なくなり 授業で学習した事柄も実践する機会が少なくなっている そこで 授業で学習した事柄を家庭で実践し 実践場面の拡大を図った 手だて 使い慣れた自転車を点検 整備する 実践事例 1 題材名 エネルギー変換を利用したものを作ろう A 技術とものづくり (5) ア イ 2 指導の実際と生徒の変容 (1) 生徒の実態 ものづくりに対しての興味はあるが その場限りで生活の場で生かされていない 家庭での役割が少ない ( 作業を任されていない ) 部活動 学習塾等で家族の一員としての生活体験が少ない 物が豊かで 使い捨てや身に付いた技術を生かす場面が少ない コンピュータなど活用する力はある インターネットによる検索などは日頃から活用している メールや掲示板への書き込みなど個人的な行動が多い コンピュータを利用した発表などを行う生徒が多い (2)3 年生によるエネルギー変換の学習と実践 (10 時間 ) 1 電気エネルギーの変換 ( 照明器具 ) 2 回転する動力を利用する仕組 ( 自転車 ) 3 家庭での実践 ( 夏休みの課題 ) 本実践 4 報告書の作成 (3) 家庭での実践 資料 1 剤 普段は あまり気を配っていない 自転車をゆっくり観察するいい機会になった 資料 1 は 普段活用している自転車の問題点をあげさせ 計画を立てて取り組ませたものである 生徒はそれぞれの理由で 点検場所を決める事になっている 空気圧の調整 サビの処理 などが多かった 事前に準備する物の中には 点検後の掃除用具や油 安全確保のための軍手などもあげられていた H18 技術 家庭科実践事例 -1-

2 資料 2 細かな項目立てを行い 丁寧に点検している 安全面への気遣いがある 資料 3 資料 4 資料 は 作業前の自転車の様子と具体的な点検方法を記入させたものである 点検方法を記入させる事により 単純に点検するだけでなく ダメだったらどうする といった手順を踏まえて作業をすることになる この事により 必要な部品も確認できる 資料 5 剤 清掃も立派な点検! 清掃中に 気がつかなかったさびや傷 ワイヤーの断裂など思わぬ発見があるよね やってみて 初めてわかることも多いね! H18 技術 家庭科実践事例 -2-

3 資料 6 資料 7 資料 6 7 は 点検作業を実施する上で自分が重要と考えたことを記入させたものである 安全に乗るために どこを点検したらよいのかや 今回の点検経験を生かせるように点検方法を覚える といった内容の事が記入されていた 多くは 点検後の掃除の仕方 サビ取り 油をさすことについて記入していた (4) 生徒の変容授業で学習した基本を基にした家庭での実践の様子 資料 8 資料 9 ブレーキがよく効くようになって 安全向上! H18 技術 家庭科実践事例 -3-

4 資料 10 資料 は 点検作業中の報告をしているものである 自転車の点検場所は生徒によって違っているので 中学校 3 年間の技術 家庭科で身に付けた知識や技能だけでは全てを網羅する事はできない そこで 基本となる取り扱いは授業で指導し 実際にはそれぞれの自転車の状態に合った作業を行なえる力が必要となった 今回の課題でも 家庭の協力が不可欠で 作業を見守りながらも経験させることにより より生活に役立つ知識と技能が高まったといえる 3 成果と課題生徒の感想では 作業を体験したことにより自転車の構造や部品の種類など多くのことを発見し さらにものを大切にしようという思いも発生してきた はじめは面倒くさい と思っていた生徒も やっているうちに楽しくなってきた 時間をかければ綺麗になって長く利用したい と変化が見られた 保護者の感想では 初めて自分で点検しているようでした 家族 4 人が乗る自転車を点検してもらった 手入れをする事で長く使うという気持ちをもってほしい などの声が多くよせられていた これまで経験した事のない活動を自ら初めて行なうことで 次に これもやってみよう あれも やってみたい など生徒の意欲の向上が得られる大きな実践であった 感想今まで買ってから一度も自転車点検をしたことがなかったので このような機会で自転車が点検できたので良かった ブレーキの キー という音も解決したのでよかった 自転車を点検して問題がなくても自転車に乗るときのルールを守らなければ事故はおきてしまうので安全に乗りたい これからは乗る前に軽くチェックをして一ヶ月の一回はしっかりと自転車点検をしたいと思う 感想タイヤの空気は乗らなくても自然になくなるものなので気を付けたいと思います 今回は必要なかったけど 自転車屋さんに聞いて頑固なサビの落とし方 ( 手順 ) が分かった事も勉強になりました これからも安全に長く乗るために こまめに掃除をしたいと思います 毎日乗らなくても月に一度は点検したいと思います 保護者の感想日頃 余り気にする様子もなく乗っている自転車ですが 気になるところや 直すところがあったのに驚いたことと思います これを機会に日々点検して安全に自転車を利用して欲しいと思います 保護者の感想手入れをすることで 物を大切にして 長く使うという気持ちを持って欲しい 自転車に限らず物を大切にするためにも まずできることからやらせたいと思いました H18 技術 家庭科実践事例 -4-

5 研究課題に基づく実践事例 2 電気機器の保守 点検と事故防止 - 中学校 2 学年 - 視点 1 家庭と学校との連携による実践場面の拡大日常生活の中で実際に自分の手足を使って家の手伝いや仕事を体験することが少なくなってきている このことから 自分が一人の生活者として家庭生活の一端を担う存在という意識が薄くなってきている また 授業で学習した事柄を実践する機会も少なくなっている このような受け身型の生徒の生活実態を考え 授業で学習した事柄を家庭で意図的に実践させ 生活実践力を育てることとした 手だて 家庭で電化製品や配線器具の点検 清掃を行う 実践事例 1 題材名 電気の保安員になろう A 技術とものづくり (5) ア イ 2 指導の実際と生徒の変容 (1) 生徒の実態技術分野の学習においては 材料を加工しての作品づくり や コンピュータの操作 や インターネットや電子メールの学習 について興味 関心が高い 家庭のコンピュータの普及率も高く 日頃から活用している しかし 電気機器の安全な取り扱い や 情報モラル の学習への関心は低い また 学校での学習を家庭で生かす場 ( 家庭での役割 ) が少なく 生活体験する時間も少ない (2) 第 2 学年技術分野の指導計画 (15 時間 ) 1 電気エネルギーの変換とその利用 2 電気エネルギーについて調べよう 3 電気機器のしくみと保守 点検方法を調べよう 4 電気機器の安全な利用について調べよう本実践 5 報告書の作成 6 延長コードの製作 (3) 家庭での実践家庭での実践においては 電気の保安員になろう というテーマで 家庭で安全に電気を取り扱っているか 4つのポイントで調べさせた 1<ポイント1 配線器具 >( 資料 1) 配線器具は安全に取り扱っているかチェックしよう 家庭では たこ足配線 に注意して 家庭内の配線器具 ( テーブルタップ等 ) を点検させた 生徒は電気製品の消費電力量からコードに流れるおおよその電流を求め 安全に使用できるように工夫していた また ホコリが電源プラグに付着し 漏電を起こし出火する トラッキング 現象を防ぐために 清掃を行う生徒もいた 家庭での安全な利用について 家族と協力できた たこ足配線 資料 1 H18 技術 家庭科実践事例 -5-

6 2<ポイント2 接地線 >( 資料 2) 接地線( アース ) は接続してあるか調べてチェックしよう 生徒は家庭内の様々な電気製品を点検し 接地線 ( アース ) が必要な電気製品を見付け 正しく接地線が接続してあるか確認作業を行った 資料 2 電源プラグをコンセントにさして 電気製品を利用することはわかっていたが アース線に注意をすることはこれまでになかった 今回の家庭での実践が安全な電気の利用について考えるよい機会となっていた 3< ポイント 3 省エネをしよう >( 資料 3) 今年の夏こそ省エネに挑戦! 生徒は家庭でできる省エネの方法を考え 実践した チーム マイナス 6% の活動 ( 地球温暖化防止対策 ) を家庭の生活でも実践して 地球温暖化防止について 一人ひとりが何かに取り組もうとする気持ちが高まったね! 資料 3 洗剤 H18 技術 家庭科実践事例 -6-

7 4<ポイント4 電気エネルギーについて興味 関心をもったことを調べよう > 1 週間の電力量を調べてみました ( 資料 4) 生徒は毎日の電力量を家庭の電力量計資料 4 から読み取り そのデータを基に日々の電気の使用について考察を行い 電気の大切さや省エネを考えていた また 新聞などの電気に関する記事に目を向ける生徒や毎月の 電気料金等領収証 の裏面に 地球環境のために CO 2 排出量チェック ( チェックシート ) があることを見つけて 自分の家からのCO 2 の排出量を計算した生徒もいた 日常生活では 電力使用量に気付くことはないが 今回の実践で多くの電力を消費していることを知り 省エネやエコに向け取り組もうとする姿勢がすばらしい 一時的な活動でなく 継続的に取り組ませたい! 停電したときの対応 ( 資料 5) 夏休みに停電を経験した生徒は なぜ停電したのか その場で落ち着いて考え原因と対処方法を見付け出していた 今回は電気を使いすぎてブレーカーが落ちたための停電であった 資料 5 停電の原因として考えられるのは 電力会社の送電系障害 建物内での障害 ( 配電盤 ブレーカー等 ) に大別できるが 普段あまり遭遇しない事象なので ついついあわてることが多い 体験を通して 原因を冷静に考え 対処できる力が育つよい機会となった H18 技術 家庭科実践事例 -7-

8 成果と課題学校での学習内容を家庭で実物を目にして 作業や体験を通して考えることで 技能や知識を再確認していた また 新たに多くのことを発見し より高次元の技能や知識へと発展してきた 保護者からは 電気や資源を大切に使うことの大切さが分かった 家族で省エネに取り組むようになった など生徒の変容や家庭での日常生活の変化について多くの感想が寄せられた 今後は 電気機器 に限らず 身の回りの事象に生徒自らが進んで目を向けられるように さらに実践を深めて行きたい 生徒の感想 1 週間電力量を計ったところ 自分の家がどのくらい電気を使っているか分かってとても楽しかった 今まで電気のことは全然気にしなかったけど 勉強しているうちにとても興味深くなりました 今までは電気のことについての知識を知らなかったせいか あまり興味をもつことはありませんでした このレポートをやって 電気のことを調べているうちに少しずつ興味がわきました 昔 トイレで遊んでいると アースがあり トイレから緑のヒモが出ている 何なんだろう? と思っていましたが やっと何かが分かりました 普段何気なく使っている電気も 使い方によっては節電できるんだと思った やはり 1 日中クーラーをつけていた日は電力量がすごかったので 電気の使いすぎには気を付けたい 保護者の感想 授業で学び この宿題に取り組むことになり 自分が何に対して調べるかをはじめから決めていたので 普段から気にしていたのだと思いました 食事の時など家族で電気について話し合う機会ができました 夏 エアコンを使い始めると電気代が大幅アップ 今回のレポートで やっぱり という感じでした 日中不在でも電気使用量は多く あらためて 待機電力 の節約について考えるきっかけになりました 暮らしに不可欠な電気なのですが 無駄使いのないように 上手に使って 賢い省エネを目指そうと家族で話し合いました H18 技術 家庭科実践事例 -8-