3章 構造計画

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1 3 章構造計画 3.1 一般一般の設計作業の流れを図 3.1 に示す. 一般の設計作業の中では, 構造計画は, 構造物の形式, 材料, 主要寸法, 施工条件, 維持管理方法などを決定する段階である. 前章で示した定義によれば, 一般の設計作業においては, 構造計画が 設計 に該当することになる. 設計は, 構造計画段階で終了し, その後は設計標準に従った照査という計算行為を行うのみとなる. したがって, 構造計画は, 技術者が感性や経験に基き創造的行為を行なえる唯一の段階である. よい構造物を設計するためには構造計画が最も重要な段階であり, この段階でよい構造物が構築されるか否かが決定されると考えてよい. 1) 現行の設計標準においては, 安全性, 使用性, 復旧性を満足し, 施工方法, 維持管理手法, 環境 ( 含む景観 ) に与える影響, 経済性などを考慮し, 総合的に検討しなければならないことになる. 構造計画では, これらの構造物の要求性能を最も合理的に満足する構造要素で構造物を構成した構造形態を考える設計姿勢を持つことが必要である. 現状における設計手法の大別は, 図 2.3 に示したとおりであるが,2 章に示したように, 過去の構造物の事例のみにとらわれず, 構造計画段階で設計空間を広く設定することが重要である. とくに, 一部の設計条件が, 過去の設計事例と異なる場合には, その条件が設計対象に及ぼす影響を検討して, 過去の設計事例に対する改善性の有無や程度の検討を行い, 最終的な設計案を策定するのがよい. なお, 過去の設計事例の改善を行うにあたっては, 過去の設計事例の構造形式のみにとらわれることなく, 異なる構造形式の適用や異なる構造体の利用など創造性をもって検討することが重要であり, これが 2 章で示した設計姿勢のレベル 2 への近道と考える. 以下に, 鉄道コンクリート構造物の構造計画にあたって留意すべき事項の概要を示す. なお, 本章で記載した事項には, 過去の事例などを基にした事項が多々あるが, これらの情報は, 構造物を設計するために認識しておくべき情報として記載したものであり, 過去の事例を踏襲することを推奨するものではない. 1

2 構造物の要件 要求性能 構造計画 構造形式 構造概略 ( 断面形状 材料 ) 施工方法 構造詳細の設定 構造詳細 ( 断面形状 材料 配筋 ) No 照査 Yes 構造 材料 施工方法 施工計画 図 3.1 設計作業の流れ 2

3 3.2 構造物の概要 一般通常の鉄道構造物として使用されているコンクリート系構造を用いた構造物の分類を, 図 3.2 に示す. 構造計画を行うためには, 構造物に関する設計, 施工, 維持管理などに関する広範な知識が必要である. ましてや, 過去の事例の改善や, 過去の事例によらない構造検討を行うためには, 過去の事例の経緯や, 照査のための設計標準の根拠などに対する十分な知識が必要不可欠である. そこで, 本節では, 敢えて鉄道構造物に適用されているコンクリート構造物に関する一般的な事項を示すこととした. これらの一般的な事項は, これまでの限定された使用材料と過去の照査技術を基本とした実績に基づき経験的に適用されている事項, 照査技術の制約による事項などが多く含まれている. したがって, これらは, 創造性のある構造形態の検討を行う場合に制約となる事項になることを否定できない. 制約となる事項に対しては, 新しい材料の使用や技術の導入, 高度な照査技術の利用, 種々の構造体を組合わせた構造形態の利用などによって解消することが可能な事項もある. そのため, 設計にあたっては, 制約となる事項に対して常にその妥当性の検証を行い, 適宜, 解消するのがよい. ただし, 逆に, これまでの照査や施工技術は, 一つのシステムとして生じうる問題の顕在化を, 抑制する機能を果たしてきている可能性は否定できない. そのため, 新たな取り組みを行う場合には, これまで顕在化してこなかった問題が生じる可能性があるため, その問題の探求と対策を合わせて検討しなければならない. 高架橋 桁式高架橋 スラブラーメン式 ラーメン高架橋 ビームスラブ式 壁式 フラットスラブ式 連続アーチ高架橋 鉄筋コンクリートプレストレストコンクリート構造鋼とコンクリートの合成構造 架道橋跨線橋河川橋梁 ボックスカルバート桁 スラブ桁ホロースラブ桁 T 形桁 (I 形桁 ) 箱形桁 アーチ 下路桁 (U 形桁 ) 斜張橋 トラス 上路トラス ランガー 下路トラス その他, 跨線人道橋など 図 3.2 コンクリート系構造の分類 3

4 3.2.2 桁構造 (1) 構造形式と適用範囲 RC 構造,PRC 構造,PC 構造, 鋼とコンクリートの合成構造は, 種々の形式として橋梁などに適用される. 各形式で一般的に適用されるスパンを表 3.1 に示す. 表 3.1 を用いることによりスパンなどの設計条件が定まれば, 一般的に用いられている構造形式を容易に設定することが可能である. なお, 表 3.1 は, 桁に対する経済性を意思決定要因とした場合のものであるが, 桁形式の検討にあたっては, 下部構造の設定を合わせて実施し, 橋梁全体系として評価して選定しなければならない. なお, アーチ橋, トラス橋, ランガー橋および斜張橋は, 表 3.1 で示した一般的な桁構造を適用することが妥当ではない長スパンの橋梁に適用され, 近年は, 照査技術や施工技術などの進歩により, 長大化の傾向にある. 支間長 (m) 形式 RCスラブ RCT 型 RC 箱型 PC PRCI 型 PC PRC 箱型 PCU 型 H 鋼埋込桁 SRC 下路桁 表 3.1 各形式の一般的なスパン 桁高スパン比 1/10 ~ 1/15 1/9 1/5 ~ 1/12 1/12 ~ 1/17 1/13 ~ ~ 1/12 1/17 1/10 ~ 1/14 1/15 ~ 1/27 1/9 ~ 1/18 (2) 桁式構造の検討桁構造の検討にあたっては, 桁下空頭制限, 架設の制約の有無, 地盤の良否, 橋脚高さなどの要因を考慮する必要がある. 桁式構造選定の流れを図 3.3 に示す. なお, 架設上の制約が無い場合は, 場所打ち施工が通例であり, 桁形式は T 型,I 形, 箱形とすると経済的な場合が多い. ただし, 橋脚の高さが高い場合や, 地盤が軟弱で支保工に杭が必要な場合には, 場所打ち施工と, 前後の高架橋上で製作架設を行う施工法との比較により, 桁形式を検討するのがよい. 1) 桁下空頭制限がある場合桁高さを極力小さくできる構造とする. それにより, 前後の高架橋または盛土を低くすることができるので効果が大きい下路橋が構造的には有利となり, 一般には,PC 下路桁, SRC 下路桁,H 鋼埋込み桁,PC スラブ桁,PCI 桁,PC 箱形桁の順で桁高さが高くなる. PC 下路桁は, 場所打ち, 押出し, 横取りのいずれの方法でも架設が可能であり, 連続桁とすることもでき, 施工上の制約条件に対して優位であるが, 経済性の面で他の形式に比 4

5 べて劣るとされている. PCI 形桁は, 主桁数を多くするほど, 桁高を低くすることが可能である. ただし,I 形桁は, 通常, 製作ヤードで製作し, クレーンまたはエレクションガーターで架設されるため, 場所打ちが可能であれば, 箱形桁を使用するのが有利な場合もある. 2) 架設上の制約がある場合架設位置の下が道路または鉄道で交通制限が困難な場合は, 押出し工法が適しており, 最近では,40mを一晩で架設した実績もある. ただし, 短時間の交通止めが可能であれば, PCI 形桁のクレーン架設, エレクションガーター架設を検討するのがよい. また, ガーター式支保工等の使用が可能であれば, 場所打ちして製作架設することも可能である. SRC 下路桁や,H 鋼埋込み桁は, 構造材として用いる鋼材を利用することで, 支保工を不要とすることが可能である. 5

6 START 大 SRC 下路桁 PC 下路桁 長い 連続桁が有利か Y RL~ 桁下の制限があるか N *1 スパンの長さ *2 *3 短い N Y あり 桁高制限 なし H 鋼埋込み桁 SRC 下路桁 PC 下路連続桁 SRC 桁 PC 桁 RC 下路桁 RC 桁 桁高制限の度合 桁高制限の度合 スパン 大 中 小 中 小 小 中 大 H 鋼埋込み桁 RC 下路桁 PCI 形桁 PC ホロースラブ桁 PC 箱形桁 スラブ桁 T 形桁 箱形桁 PC ランガー桁 SRC 下路桁,PC 下路桁 PCI 形桁,PC ホロースラブ桁 H 鋼埋込み桁 PC 箱形桁 架設工法 架設工法 総足場 クレーンエレクションガーター 横取り 縦取り 吊型枠 吊型枠 押出し工法 全ての種類の桁に可能 等断面桁 PCI 形桁 全ての種類の桁に可能 PC 箱形桁, I 形桁, 下路桁 H 鋼埋込み桁,SRC 下路桁 H 鋼埋込み桁,SRC 下路桁 PC 箱形連続桁 キャンチレバー工法 変断面桁 *1 選定にあたっては, 工期, 地質, 径間数, 高さ, 環境等を考慮する. *2 通常, 連続桁が有利であるが, 桁の伸縮量等の検討が必要である. *3 アーチ橋, 斜張橋は, 地形によっては有利となる場合がある. 図 3.3 一般的桁式構造の選定の流れ 2 ) を一部加筆 総足場 等断面桁変断面桁 6

7 (3) 構造形式と断面形状の設定単純桁等において, 経済性を意思決定指標とした場合には, 設計基準の構造性能を満足する桁形式や, スパン毎にほぼ最適な桁高さや主桁形状が決定される. そのため, 過去の設計事例を収集整理し, 桁高さとスパンの比などの関係で表したものを用いて, 断面形状を設定することが多い. 一般的な桁高さとスパンの比の関係を表 3.1 に示した. これによれば, 過去の事例に基づく構造概要を容易に得ることが可能である. なお, さらに簡易にすれば, 各断面の鉄筋比や単位体積あたりの鉄筋量を整理しておけば配筋量まで設定することが可能となる. ただし, これらは, 桁高制限, 施工方法などの制約条件, 列車荷重や列車本数, そして地震の影響による下部構造との関係などが異なると変化するので, 過去の事例の設計条件を明確に認識しておく必要がある. なお, このような情報は, 設計解の概略の妥当性の検証に用いることも可能である. 具体的には, 設計解がこのような情報と大きく異なる場合は, 設計計算のミスや経済性が劣るなど, なんらかの問題を内在していることを意味している場合が多いからである 高架橋 (1) 概要鉄道構造物においては, 道路と鉄道との立体交差と土地の有効利用等のために高架橋が建設されることが多く, また, 経済性, 騒音の大小, 耐震性の面からもコンクリート構造の高架橋が採用されている. 高架橋の構造形式を分類すると, 1 桁式高架橋 2 ラーメン高架橋 3 連続アーチ高架橋などがあり, 鉄道高架橋では, このうちラーメン高架橋が一般的に用いられている. ラーメン高架橋は, スパン等の制約がなければ高さ 20m 程度までは最も経済的な構造形式である. なお, 高架橋の設計には, 荷重に関するもののみでなく, 地質, 高架下の利用, 施工法, 工期, 外観等について考慮する必要がある. さらに, 用地に関する諸条件や将来の保守について検討しておくことも重要である. 鉄道高架橋は, 元来, 盛土構造であったが, 明治 37 年に本所 両国間に, レンガ造りの橋脚にスパン 6~18mの単純鋼桁が架設されたのが最初と言われている. 明治から昭和初期は海外から新しい材料や技術を導入した時期であり, 鋼トラス橋, レンガ造アーチ橋, 鉄筋コンクリート橋のような様々な材料で種々の形式の橋梁が建設された. 関東大震災以降は, アーチや単純桁構造に変わり, 耐震性や経済性を重視した鉄筋コンクリートの柱とスラブを一体化させたフラットスラブ式, あるいはビームスラブ式ラーメン高架橋が多く採用されるようになった. 7

8 このように, 元来, 高架橋は, 盛土構造の代替構造として誕生し進化したものであり, 材料, 設計, 施工の技術力の進歩とともに高架橋の形式がビームスラブ式ラーメン構造へと変化し, 現状に至っていることが分かる. 鉄筋コンクリートラーメン高架橋は, 鉄道のコンクリート構造物で最も代表的な構造形式であるので, その詳細を以下に示すこととする. (2) ラーメン高架橋の形式ラーメン高架橋の構造形式は, 図 3.2 に示すようにスラブ式, ビームスラブ式, 壁式, フラットスラブ式に大別される. スラブ式は, 主桁がスラブ形式であり, 施工が簡単である. ビームスラブ式は, 高架橋として現在最も多く用いられている形式であり, 他形式に比べ梁, 柱, スラブの構造要素が明解である. 壁式は, 支柱を壁構造とし, 橋軸方向の水平力を数箇所の橋脚で集中して受け, その他の支柱壁は橋軸方向には鉛直力のみを受ける構造として, 橋脚に比べ極端に小断面としている. 橋軸方向に剛性の小さい支柱で上部工を支持しているので, 温度変化, 乾燥収縮の影響が尐なく, 多径間の構造とできる利点がある. ただし, 主として橋脚で水平力を負担するため基礎構造に耐力, 剛性が求められる. フラットスラブ式は, 高架下が広く利用でき, 構造上縦横方向に多スパンとした方が有利であるため, 駅部で使用される場合があった. なお, 現状では, 駅部, 地盤を問わずビームスラブ式を適用する場合が大多数である. そこで, 以下にビームスラブ式ラーメン高架橋について説明する. (3) ラーメン高架橋の接続形式 ビームスラブ式ラーメン高架橋の接続形式としては図 3.4 および図 3.5 に示すような形 のものがある. ビームスラブ式ラーメン高架橋 張出し式フーチング連結張出し式ゲルバー桁式背割式単純支持形式 図 3.4 ビームスラブ式ラーメン高架橋の接続形式 8

9 (a) 張出し式 (b) フーチング連結張出し式 (c) ゲルバー桁式 (d) 背割式 図 3.5 ビームスラブ式ラーメン高架橋の接続形式 1) 張出し式連結構造が単純であり, 連結部の防水工の施工においても有利である. 構造上も各スパンモーメントおよび各支点モーメントが同程度となり, 鉄筋配置に無理がない. しかし, 高架橋間の不等沈下による高架橋接続部の目違いや, 活荷重による張出し桁のたわみによる目違いが列車走行性に及ぼす影響に留意する必要がある. 2) フーチング連結張出し式張出し式の端部柱をフーチングで剛結した形式. 特徴は, 張出し式と同じであるが, 端柱を剛結しているため, 高架橋間の不等沈下による高架橋接続部の目違いが生じない特徴がある. ただし, 端柱部を剛結するためフーチングが大きくなる. 3) ゲルバー桁式 ゲルバー桁と呼ばれている単純桁をラーメン構造間に挿入した形式. 地震時等に構造物 9

10 に変位が生じた場合も, 目違いが生じない利点がある. また, 柱を等間隔に配置できるので外観がよく, 高架下の利用上も有利である. 現状では, 鉄道 RC ラーメン高架橋で最も適用されている接続形式である. なお, ゲルバー桁の施工が高架橋施工完了後となるため工期が長くなる欠点がある. 4) 背割式ラーメン構造接続部の柱を同一のフーチングに剛結する構造. 連結部の柱が同一フーチング上であるので, 高架橋間の不等沈下による高架橋接続部の目違いが生じない. また, 柱をおおむね等間隔に配置できるので外観がよく, 高架下の利用上も有利である. 背割部の柱およびはりの施工が煩雑であり, 端スパンモーメントおよび第 2 支点のモーメントが他のスパン, 支点モーメントに比べて大きくなり, 鉄筋配置が不合理となる. 5) 単純支持形式張出しはりを橋台で受けた形式. 柱を等間隔に配置できるが, 張出し部に橋脚があるため高架下の利用上不利である. 張出し部を橋台で受けているため, 高架橋間の不等沈下による鉛直方向の目違いは現れないが, 高架橋と橋脚間の不等沈下に対する検討が必要となる. (4) ラーメン高架橋の形状 断面諸元 1) 高架橋の径間数, スパン線路方向径間数は, 多径間にすれば構造上の欠点となる接続部の継目が減じ, またラーメン高架橋全体の冗長性も増すため, 温度変化, 乾燥収縮の影響を考慮して多径間ラーメンとすることが望ましい. 高架橋のスパンに着目すると,1 スパンの長さも 5m,8m,10m と変化し, 近年では 10m 以上のスパンの高架橋の建設も多数行われつつある. これらは, 列車荷重などによるひび割れに対する照査方法, 収縮や温度変化の影響に対する照査方法などの照査技術の進歩と無関係ではなく, 施工技術や照査技術の進歩とともに構造形式が変化していくことを示している. ただし, 駅部の高架橋では, 高架下の利用などから 10m,12.5m とすることが多い. なお, 近年は, 技術開発, 照査や施工技術の進歩により, スパンの長大化, ビームスラブ式ラーメン高架橋に一部 CFT 部材を用いた鋼とコンクリートの複合構造の高架橋, スラブ式ラーメン高架橋などが採用されており, 多様化の傾向にある. 本来, 高架橋のスパンは, 高架橋の高さ, 基礎条件などの影響を受けるものである. 近年, 地盤条件が劣悪な地盤などに設置されることが多く, 杭基礎を有する場合が多いことから, 高架橋区間における全体工事費を指標として, 設計対象高架橋毎に適切な径間数, スパンの設定や構造形態を検討するのがよい. また, ビームスラブ式ラーメン高架橋では, 主ばり間隔は, 以下に示すように種々の構 10

11 造要素や高架橋の挙動に影響を与える. 主ばりは, 軌道や列車荷重に対するスラブの支持点となることによるスラブの断面形状や配筋詳細への影響 スラブの固定端モーメントの差による縦ばりのねじりモーメントにより主ばりのねじりと柱の曲げモーメントへの影響 主はりの配置間隔が柱の配置間隔となることにより, 地震作用による柱の軸力変動が変化することによる柱の変形性能への影響 ( 図 3.6 参照 ), 直接基礎を有するラーメン高架橋などでの基礎の安定への影響, 高架橋の水平剛性の変化による地震時の列車走行性に対する影響 これらに与える主ばり間隔の影響を最小とすることは, 相反する主ばり間隔を与えることになるため, 総合的に判断する必要がある. なお, 一般に, 柱間隔は, 高架橋の高さが 7~8m 程度では 2 線 2 柱式の場合で 4.8m~6m, 1 線 2 柱式の場合で 2.6~3.8m 程度である. 図 3.6 主ばりおよび柱の配置間隔 11

12 2) スラブ厚ビームスラブ形式の高架橋では, スラブのコンクリート体積や鉄筋の占める割合が構造全体の 30% 以上となるのが普通であるから, スラブ厚は高架橋の経済性という点から非常に重要である. スラブを薄くすれば, はりや柱も小さくできて地震の影響も減尐するので経済的となるが, 列車荷重を直接うけるスラブの厚さは施工性等を考慮して, 一般に 25cm 程度としている. なお,2 線 2 柱式高架橋で線路方向スパンが 10m 以上の場合では, 初期ひび割れの制御や経済性の観点から, スラブの中間に横ばり ( 子ばり ) を設けスラブ厚を小さくする方が有利とされている. 3) 縦桁縦ばりの桁高は, スパン, 荷重, 剛比 ( はり / 柱 ), 径間数等を考慮して定める. 一般に柱下端固定のビームスラブ式ラーメン高架橋の縦ばりの高さは,2 線 2 柱式で列車荷重が EA-17 の時, スパンの約 1/8~1/9 程度としている. 鉛直荷重に対しては, 柱の剛性に対してはりの剛性が大きくなれば, はりの正の曲げモーメントは増加し負の曲げモーメントは減尐する傾向にある. しかし, 多径間ラーメン高架橋では, 剛比が 3 程度以下になれば曲げモーメントは減尐する傾向にある. 剛比が 3 程度以上になれば, 曲げモーメントの増減する影響は著しく小さくなる. ただし, スパンの長大化に伴い死荷重, 活荷重が増加し, 結果として地震作用の影響が大きくなり, 縦ばりも地震の影響が支配的となる場合もあることを想定しておく必要がある. 縦ばりの幅は, 配筋上から, 柱の主筋の内側に縦ばりの軸方向鉄筋が入るようにすることが有利であるため, 一般に柱の幅より縦ばりの幅を 10cm 小さくしている場合が多い. なお, ビームスラブ式ラーメン高架橋においては, ハンチの有無が議論となることがある. 過去からの状況を説明すれば, 水平 鉛直ハンチの両方が設置された時代, 鉛直ハンチのみが配置された時代, 場合により鉛直ハンチも配置されない時代という流れにある. ラーメン高架橋には, その構造特性から常時や地震時に図 3.7 に示すような断面力が作用することになる. 構造計算においては, この断面力に対して極力合理的な断面耐力を与えるように配筋を行うことになる. 軸方向鉄筋量をスパン全長にわたり一定量とすると, 断面力が変化する場合には断面高さを変化させることになる. 一般には, 軸方向鉄筋量は, 構造細目から定まる 2 段程度とする制約条件から, 結果としてはりの端部の断面力の増加に対しては断面高さを大きくすることになる. したがって, ラーメン高架橋のはりは, 変断面部材として考えるのが構造設計上の合理性があると考える. なお, 図 3.8 は通常のラーメン高架橋の変断面 ( ハンチ ) を有限要素法でモデル化した計算結果である. これによると, 変断面となるラーメン高架橋のはり部材は, いわゆるハンチ始点からひび割れが発生することなる. その結果, はりの損傷は柱前面部で生じない 12

13 ような結果となり, 接合部の照査方法が確立していない現状では, 柱はり接合部の健全性 の確保を設計で対応していると考えることもでき, 一定の合理性を有しているものと考え られる. このことは, 地中ばり 柱接合部で袴部を設けていることにも通じるものである. 図 3.7 縦ばりの曲げモーメント 図 3.8 変断面 ( ハンチ ) の影響 13

14 引張鉄筋比 (%) 部材高さ (mm) 4) 柱高架橋の線路直角方向には, 単線の場合 1~2 柱式, 複線の場合 2~3 柱式などがある.1 柱式は, 避けにくい障害物と一部重なる場合や, スラブ式ラーメン高架橋など特別な場合に用いられる.3 柱式は, 高架下の空間を広く利用する関係で, 施工上の制約で, 施工を複数に分けて一部供用する場合や, 軌道間隔が広い場合に用いられる. 一般的には,2 柱式である. 柱の剛性を小さくすると下記のような利点があるが, 剛性が小さすぎると鉄筋の配置が困難となったり, 水平変位量が大きくなり後述する列車走行性に対する性能の低下を招くことになるので, それらに留意する必要がある. 1 温度変化や乾燥収縮による応力を減尐することができる. 2 水平力による曲げモーメントが柱の上下端にほぼ均等に分配される. 3 フーチングに移動, 回転が生じても, はりの曲げモーメントに与える影響が小さい. なお, 現在の設計標準によれば, 柱の配筋は地震作用の影響で決定され, その他の部材 の寸法などの決定要因となる. したがって, 高架橋の高さと柱の寸法や配筋の関係を知っ ておくと便利である. 参考までに, その一例を図 3.9 に示す. 1.2 ラーメン高架橋高さと引張鉄筋比の関係 ( 線路方向柱 ) 1600 ラーメン高架橋高さと部材高さの関係 ( 線路方向柱 ) ラーメン高架橋高さ (m) ラーメン高架橋高さ (m) (a) ラーメン高架橋高さと引張鉄筋比の関係 (b) ラーメン高架橋高さと部材高さの関係 図 3.9 高架橋の高さと柱寸法, 引張鉄筋比関係の関係 5) 中層ばり, 地中ばり高架橋の高さが高くなると, 水平力により水平変位量および柱上下端の曲げモーメントが大きくなる. このような場合, ラーメン高架橋の経済性を考慮して, 柱の中間に中層ばりを設け, ラーメン高架橋の剛性を増し, 水平変位量を減ずることができる. 過去を遡ると中層ばりは, 収縮や温度変化の影響に対する緩和対策という観点で配置されていた側面が多い. しかし, 現状では, 中層ばりの役目は, 構造物の地震時挙動の性能の合理化の観点と考えるのがよい. なお, 中層ばりを配置すると柱のせん断スパンが短くなり, 部材の変形性能を確保する 14

15 上で不合理となる場合がある. また, 中層ばりの剛性によっては, 柱の上下端の曲げモーメントのバランスが悪くなり配筋上も不合理となるばかりでなく, 部材の変形性能にも望ましくない影響を与えることになる ( 図 3.10). したがって, 中層ばりを配置する場合は, 配置位置や剛性を構造物の地震時の性能が向上するように適切なものとする必要がある. また, 地中ばりを配置しない場合は, 基礎の不同沈下の影響が直接上層ばりに生じるため, 基礎構造の沈下に対する信頼性も合わせて検討するのがよい. さらに, 地震作用に対しては, 柱上端の曲げモーメントが地中ばりがある場合に比べて増大することにも留意する必要がある. その他, 曲げモーメントの最大値は地中部で生じることになるため, 損傷部位の特定や修復性の観点から検討し, その適否を判断するのがよい ( 図 3.11). 図 3.10 中層ばりと柱の曲げモーメント 15

16 図 3.11 地中ばりの有無と曲げモーメント 6) フーチング直接基礎で, 独立フーチングとするとフーチングが大きくなるようなとき, 剛度の大きい地中ばりでフーチングを連結するのがよい. それにより柱下端のモーメントは, 地中ばりで負担することになり, フーチングを小さくすることが可能となる. また軟弱地盤の杭基礎の場合, フーチングの相対移動が起きないようにするために, 地中ばりで連結するのが通例である. 16

17 3.3 構造検討 一般事項構造検討にあたっては, まず構造物の検討に要する基本的な条件を確定しておく必要がある. 主要な条件を以下に示す. 関連法規や交差条件 要求性能( 構造性能に関する要求性能で安全性, 使用性, 復旧性など ) 構造条件列車荷重軌道構造 ( 軌道形式,RL~SL の距離など ) 軌道平面 縦断線形環境条件 ( 塩害の有無や程度など ) 施工条件( 施工期間, 施工環境など ) 環境条件( 騒音, 振動, 景観への配慮の程度, 高架下利用の有無など ) 維持管理条件 工期条件 経済条件 構造検討は, 路線計画と構造計画の, 両者の段階で行われる. 路線計画では, 路線事業費の算定などを主とした目的として行うため, それには構造物の建設費用も含まれていることから, 構造物の概要はこの段階でほぼ決定されることになり, 重要な段階であることは 2 章で示したとおりである. とくに, 河川, 道路, 既設鉄道などとの交差条件などは, 路線の高さ (RL) は上路形式や下路形式などの橋梁の形式や橋長などの橋梁の基本条件に影響を与え, 構造形式の概要は, この段階で決定される. 路線の高さ (RL) は, 連続立体交差の総延長や, 高架構造物の総延長に大きな影響を与えるため, コントロールポイントとなる交差箇所の構造検討は, 極めて重要である. なお, 交差条件は, 隣接する高架橋などのスパン, 橋梁の施工方法, 地中部材の設置位置など構造検討を行う上で最も重要な要素であるため, 構造検討にあたっては, 交差施設による制約条件をすべて確認しておく必要がある. また, 都市内の連続立体交差事業などでは, 路線周辺の環境条件などは構造物の施工条件や架設条件などの施工上の制約条件となり, これも構造検討の条件となる. このように, 構造検討にあたっては, 構造物の設計の制約条件となりうる事項を明確にして検討を行う必要がある. なお, 種々の制約条件を満足させるためには以下の方法があるが, いずれを採用するかは, 技術者の判断に委ねられている. 1 過去の事例に基づき, その実現性を判断して路線計画を行う. 2 土木技術の進歩や技術開発を含めて, 制約条件をクリアするため過去事例の改善や, 17

18 新たな構造形式の採用を検討し, 路線計画を行う 構造性能に関する検討 構造形式の検討 (1) 基本事項構造計画では, まず, 要求性能を満足するように構造形式を検討することになる. 設計標準に拠れば, 一般に, 構造性能として, 安全性, 使用性, 復旧性を満足し, かつ設計耐用期間において構造性能に影響を及ぼさないように, 構造性能の確保の観点としての耐久性を満足することが求められている. 表 3.2 に要求性能と性能項目の関係を示す. 表 3.2 要求性能と性能項目の関係 要求性能 性能項目 照査指標の例 考慮する作用 安全性 破壊力, 変位 変形 設計耐用期間中に生じるすべて疲労破壊応力度. 力の作用およびその繰返し *2 走行安全性変位 変形 発生頻度は尐ないが影響の大き *1 中性化深さ 塩化物イオ *3 公衆安全性い偶発作用ン濃度 乗り心地 変位 変形 使用性 *1 外観ひび割れ幅 応力度 設計耐用期間中に比較的しばし *1 水密性ひび割れ幅 応力度ば生じる大きさの作用 *1 騒音 振動 騒音レベル, 振動レベル 復旧性 損傷 変位 変形, 力, 応力度 設計耐用期間中に生じる作用 発生頻度は尐ないが影響の大き *3 い偶発作用 *1 必要に応じ設定される性能項目 *2 疲労破壊の照査で考慮する作用は, 変動の特性を考慮して別に定める. *3 必要に応じ考慮する作用 1) 構造計画では, これらの要求性能を満足すように, 構造形式を具現化することになる. なお, 一般には, 設計対象構造物の設計条件と類似する過去の事例を参考として設定される. しかし, 過去の事例との相違点がある場合は, この段階で相違点が構造体に及ぼす影響や改善策を, 過去の事例にとらわれずに原理原則に戻り, 検討するのがよい. その場合, 必ず複数案の検討を行うのがよい. 以下に, 構造性能の検討において, 配慮すべき事項と検討の考え方を示す. (2) 地盤条件と構造形式連続する構造物群の基礎構造は, 地盤沈下や地震時の水平変位などが構造物に及ぼす影響が同程度になるように, 可能な限り同一の支持条件となるように設定するのが原則である. ただし, 実際の地盤条件では, 連続する構造物群の中で支持層の深さや土質性状が異なるため, 同一の支持層とすることが困難な場合が多い. その場合は, 個々の構造物の沈 18

19 下や水平変位の影響を, 構造物群として連続する構造物と考えた場合の影響を考慮した上で, 支持層に応じた支持力に相応の構造形式の検討を行うのがよい 3 ). このことは, 構造性能の照査が, 常に構造物個々に実施されるという現状においては, 地盤条件と基礎および構造形式の検討は, 技術者が個々の構造物を一連の構造物群として考える視点が必要であり, 設計段階で重要な検討事項である. また, 支持層の違いにより不同沈下が懸念される場合には, 単純桁構造で, かつバラスト軌道などを採用して, 軌道構造による対応も含めて不測の事態に対する対応が可能な構造形式を検討するのがよい. なお, 断層近傍の構造物に関しては, 断層のずれを想定して, 分離した構造物とした事例などが過去からも採用されており, 断層近傍の構造物に関しては, 特段の配慮が必要であることを示唆しているものである. これらは, 近年, リダンダンシー ( 冗長性 ) とロバストネス ( 頑健性 ) として表現されているものと通じる考え方であり, 構造計画 ( 設計 ) においては配慮されるべき重要な事項である. これらの事項は, 必ずしも設計標準に規定される照査項目で得られる事項ではないが, 設計標準に規定される現状の照査技術の限界を補うべく, 技術者が設計段階で対応する事項である. このような検討に基づいて設定した構造形式は, 単に照査を満足するとして得られた構造形式に比べて, 構造物の建設費用が必ずしも最小とはならないため, 構造計画にあたって明確な意思決定要因として設定するのがよい. このことは, 著者が設計標準に規定された照査事項を満足することが, 必ずしもよい設計に繋がらないとすることの一つの例であり, 構造計画 ( 設計 ) が, 現状の照査技術を保管する役目も有していること意味している例もある. (3) 安全性と構造形式破壊および疲労破壊に対して安全性を満足する構造形式を検討しなければならない. これまでの実績を有する構造形式においては, 安全性を確保することは可能であり, 前節で示した過去の事例などを参考にして構造形式や断面緒元を設定すればよい. なお, 安全性を向上させるためには, 一部の部材が破壊しても構造物全体の崩壊が生じないような構造とするのがよく, この特性は冗長性や頑健性と呼ばれるものである. その意味において, 不静定構造物は静定構造物に比べて冗長性が高い構造形式である. 鉄道では, ラーメン高架橋がその代表例であり, 阪神大震災で想定以上の地震動を受けたにも関わらず, 曲げ破壊形態を有するラーメン高架橋が崩壊を免れたのがその一例と言える ( 写真 3.1). 19

20 写真 3.1 また, 支承構造などにおいて, 支承の縁端距離を確保しつつ, ストッパーの落橋防止構造としての機能を確保することも, 広義の意味でこの特性を考慮した事例と言える. この特性は, 現状の照査技術では照査することができないため, 構造計画段階での構造形式の検討に考慮しておくことは重要な事項である. なお, 新しい構造形式や過去の事例を改善した事例などは, 単に照査を満足するだけでなく, 冗長性や頑健性の面で, 過去の事例などと比較することが重要である. (4) 使用性と構造形式快適性や諸機能に対して, 使用性を満足する構造形式にしなければならない. 鉄道構造物としての快適性としては, 列車走行に対する乗り心地を確保することが必須であるが, これについては後述する. 快適性の中で, 外観に対する使用性を満足する構造形式としなければならない. 外観に対しては, ひび割れ幅の制限値に対して照査が行われる. この照査は, 単に快適性に対するものではないことに留意する必要がある. 先に示した表 3.1 に示すように RC 桁構造は, 一般に 25~30m 程度に適用されている. 基本的にはスパンが長大化しても, 概念的には RC 桁構造とすることは可能なはずである. しかし, 過去に RC 桁で 30m 程度となると, ひび割れを制御することが困難となるという事実に基づいて, 表 3.1 に示すように構造計画段階で RC 桁の適用スパンの限界を定めているのである. すなわち, 照査技術の限界を構造計画 ( 設計 ) で補っているのである. 外観のひび割れに対する照査は, このような状況を改善する目的で,RC 桁のスパンの上限のための照査として位置付けている側面がある. なお, 外観に対する照査の詳細は, いずれ説明する予定である. 外観のひび割れ幅には, コンクリートの収縮が大きく影響するが, 近年, コンクリートの収縮ひずみが増大している状況もあるため,RC 桁の選定などにあたっては, このような背景を十分に理解しておく必要がある. 後述する構造計画の留意点にもいくつかあるが, 構造計画 ( 設計 ) は, 照査技術の限界を補うという役割も担っていることを認識しておく必要があり, 設計標準に規定された照 20

21 査項目を満足することが直接よい設計に繋がらないとしたことや, 設計は照査技術を熟知 した上で行う行為であることも認識しておく必要がある. (5) 復旧性と構造形式復旧性は土木構造物としての性能であり, 構造物の損傷に対する修復の難易度 ( 修復性 ) のみならず, 被災後の復旧資材の確保, 復旧技術の開発等のハード面や, 復旧体制の整備等のソフト面の構築状況により復旧性は大きく左右される. 設計標準では, 構造物を対象とした物理的な限界状態を設定して照査を行うこととしており, 主として構造物の修復性を対象としている. これらの限界状態は, 被災時や被災後のハードやソフト面での対応を前提として設定するものである. そのため, 構造計画では, 土木構造物の復旧に関わるハードとソフトの両面を考慮し, 検討を行う必要がある ( 図 3.12). 復旧性 修復性構造物の損傷の限界状態 ハード面復旧資材復旧技術 ソフト面 支援体制 図 3.12 復旧性と修復性 構造物の修復性は, 構造形式によって左右されるため, 建設地点の復旧活動の環境等を考慮して, 構造物が損傷を受けた場合の修復や機能回復ができるだけ容易となるような構造形式を検討する必要がある. たとえば, 河川と交差する長大橋梁と, 側道を有する高架橋の, 被災時の復旧の難易度を考えてみる. 前者は, 復旧活動が困難であることを前提として, 極力, 損傷しない要求性能を規定するか, 損傷箇所を容易に点検できる構造形式を検討することになる. これは, 過去の許容応力度法による設計標準に記載されていた長大橋梁の設計水平震度の割増などの規定からも, 同様の思想を読み取ることができ, 性能照査型設計体系は, その種の判断を技術者に委ねていることを認識しておく必要がある. 後者は, 復旧活動が容易であることを前提とした構造形式を検討することになる. そのために, 地震時の列車走行安全性の確保を考慮して, 免震や制震構造等を用いて構造物の損傷を制御する方法の検討などが考えられる. なお, 同一の構造形式であっても, 構造物が損傷を受けた場合, 修復に要する期間や工事費は, 損傷の大きさだけでなく損傷が生じた部位によっても大きく異なると考えられる. したがって, 構造物の損傷想定個所を, 点検や修復工事が実施し易い個所に想定することが望ましい. 21

22 (6) 地震作用と構造形式 1) 復旧性と構造形式地震作用に対しては, 構造物は, 復旧性と安全性が要求される. これらの要求性能を満足させた設計は, 似て非なるものである. 復旧性は, 中小の地震から大地震までの損傷に対して修復性に優れた構造形式が要求されるが, 安全性は, 地震時損傷が生じても破壊や崩壊を免れることのみが構造形式に要求されるからである. 具体的には, 地震時に安全性のみを確保するためであれば, 基礎構造の損傷を許容してもよいが, 地震後の復旧性を確保するためには, 基礎構造の損傷を許容すると修復が困難となり, 復旧性を確保できないことになるという事例を考えると容易に理解できる. したがって, 復旧性を満足するためには, 構造形式や損傷部位を特定できるように構造計画を行う必要がある. 桁式高架橋とラーメン高架橋を比較すると, 阪神大震災などの復旧活動の実績から考えると, いずれも復旧性は確保できるものの, 桁式高架橋においては, 支承構造等に損傷部位が局所化されることから, 比較的容易に復旧が可能である. また, ラーメン高架橋は, 不静定構造物であり, 元来, 桁式高架橋のような静定構造に比べ, 冗長性の面で優れていると考えるのが自然であるが, 一方, 損傷部位が分散されることから, 修復性は桁式高架 1) 橋に比べて劣ると考えられる. 設計標準では, これの事項を勘案して, 推奨される性能レベルが, 図 3.13 のように規定されている. 22

23 構造物の復旧性 損傷レベル 1 損傷レベル 2 桁 1 2 スラブ 1 2 構造要素の 支承 1 2 損傷レベル く体 ( 橋脚 ) 1 2~3 く体 ( 橋台 ) 1 2 基礎部材 1 2 (a) 桁式橋脚 構造物の復旧性 損傷レベル 1 損傷レベル 2 支承 1 2 スラブ 1 2 構造要素の 上層はり 1 2 損傷レベル その他のはり 1 2~3 柱 1 2~3 基礎部材 1 2 (b) ラーメン高架橋図 3.13 推奨される性能レベル 2) 構造物の縁端距離構造物の縁端距離に配慮する. 現状の設計標準では, 支承の損傷レベルの照査は, 支承が支持する上部構造の移動が自由であるか否かを考慮することになっている. したがって, 平面形状で上部構造の縁端位置を決定する場合には, 支承の損傷レベルと移動量の関係を想定して隣接する構造物の縁端距離を設定しておく必要がある ( 図 3.14). とくに, 耐震性の確保や向上の観点から, 分散支承や免震支承を用いた場合には, 地震作用に対する照査における上部構造の移動量を想定して構造物の縁端距離を設定しておく 23

24 必要がある. この移動量は, 基礎構造を含む下部構造の影響を受けるため, 構造計画段階で, 慎重に設定しておくのがよい. したがって, 連続立体交差などの構造物が連続して配置される場合には, 詳細設計に入る以前に, 平面形状の検討を全体にわたり実施しておくのが必須条件である. 常時 図 3.14 構造物の縁端距離 地震時 3) 構造物の地震時挙動橋梁構造物は, 地震時に, 地盤と構造物の相互作用によって応答が生じ, その挙動は本来極めて複雑である. そのため, 構造物の設計にあたっては, 技術者はその挙動を想定しなければならない. 現状の照査方法を適用することを前提とした場合に, 設計標準の 構造計画 として位置づけられている事項に, 以下の事項がある. 隣接する構造物との練成を考慮する. 構造物の剛性の中心と荷重作用の中心ができるだけ一致するようにする. この規定は, 現状の照査に用いる解析法が, 振動単位の設定に基づく 2 次元の静的または動的解析であることから規定されているものである. したがって, 構造計画段階でこれらの事項を軽視することは, 結果として現状の照査方法で照査を満足したとしても, それは必ずしも実際の挙動を反映した結果とならず, 不安全な構造物である可能性が高いことになることから, 地震作用に対する構造計画では, 照査技術との関係に留意しなければならない. このように, 従来から規定されていて経験的に遵守されている構造計画に関する事項には, 適用する照査技術のレベルも含まれたものであることに留意しなければならない. 近年では, 地盤や構造物を一体とした 3 次元解析法を用いた照査方法を適用することも可能であることから, 高度な照査技術の適用を前提とした構造計画を行い, これまでの設計と比較検討を行い, 合理的な構造形式を検討するのがよい. ただし, 構造物の回転中心と荷重作用の中心を極力一致させることは, 構造物の地震時挙動の明確化や, ねじりによる構造性能の低下の回避につながり, 地震時作用に対する構造物の挙動の観点からは, 有益な点が多いことは自明であり, 高度な解析法を駆使して照査を満足することを推奨しているわけはではないことを付記しておく. 24

25 なお, 鉄道高架橋では, 架道橋部などで, 比較的重量が大きい桁を支持するためにラーメン橋台が適用されていきている. このような構造は, その構造の特性から構造物の回転中心と荷重作用の中心を一致させることが困難であり, その地震時挙動はねじりも発生し複雑なものとなる 4 ) ( 図 3.15). これに対しては, 近年, いくつかの改善された事例があるので図 3.16 に示す. (b) は, ラーメン橋台の変わりに地中部を連結した橋脚を用いた構造である.(c) は, ラーメン橋台の代わりに, 架道部も含む連続桁橋梁とした構造である. いずれも得失はあるが, ラーメン橋台の問題の解決を試みた事例である ( 図 3.16). 図 3.15 ラーメン橋台の地震時挙動 (a) RC ラーメン橋台タイプ (b) 連結フーチングタイプ (c) 連続桁タイプ 図 3.16 架道橋部の構造例 25

26 4) ソフト面との連携地震作用に対する要求性能を確保するためには, 構造物のみで対応することが困難または合理的でない場合がある. たとえば, 前述した復旧性を確保するための, 復旧資材の確保や復旧支援体制や, 後述する列車走行性を確保するための地震早期探知システムによる列車運行の制御などがある. このように, 構造物のみで対処することが困難または合理的でない要求に対しては, 構造計画段階で, システムなどのソフト面との連携など, 条件を明確にして設計を行う必要がある. (7) 環境因子や気象条件と構造形式構造物の性能に対する経時変化の抵抗性を確保するための検討を行わなければならない. これは, 構造性能を確保するための前提条件となるものである. 考慮すべき因子としては, 中性化, 塩害, 凍害, 化学的侵食などがある. 環境作用と構造形態や形式の関係は, 現状では不明な部分が多いが, 主として, コンクリート構造と鋼構造などの比較として検討され, 構造材料の適否として扱われる. コンクリート構造は, 全ての環境作用に対して適用可能として扱われる. 気象条件に関しては, 積雪寒冷地においては, 直接構造形式には関連しないものの, 排雪作業の省力化の観点から, 貯雪機能を有する構造と, 非貯雪機能を有する構造がある. 前者は, 通常のビームスラブ式ラーメン高架橋で, 路盤コンクリートを配置して貯雪時の列車の走行を確保し降雪を構造物内に貯雪する構造である ( 図 3.17). 後者は, ビームスラブ式ラーメンの高架橋のスラブ部分が無い構造であり, 降雪を構造物直下へ促す構造である. この構造の場合は, 剛なスラブを有していないため, その影響を考慮した構造詳細の設定が必要となる. (a) 開床式タイプ 図 3.17 積雪地域のラーメン高架橋 (b) 開床式 ( 貯雪 ) タイプ また, 積雪寒冷地では, トラス橋, 斜張橋, ランガー橋など軌道上側に部材が配置され る構造形式においては, その部材に積雪し, それによる氷柱や氷塊の落下などが車両の走 行に影響を与えないように部材の形状の工夫など検討が必要となる ( 図 3.18). 26

27 氷柱, 氷塊の落下対策 図 3.18 積雪寒冷地の対策 構造詳細の検討 (1) 基本事項構造物の断面形状などの構造詳細は, 要求性能に対する照査方法に依存している. そのため, 照査を満足できるように構造詳細を設定しおくことが合理的である. そのためには, 構造詳細の決定要因を熟知した上で, 過去の類似条件の構造物の設計事例になどを参考にして構造詳細の設定に利用するのがよい. 以下に, 構造詳細を設定するにあたり, 必要とされる知識と, それに関する情報を示す. なお, 各構造形式の構造詳細の設定に関する知識は,3.2 構造物の概要に記載した事項が参考となる. ここでは, それ以外の事項を示すこととする. (2) 照査計算から定まる事項構造詳細の設定を行うにあたっては, 設計対象構造物の設計条件が与える影響を知っておくと便利である. その一例を以下に示す. RCT 型桁を対象とした軌道種別と鉄筋量の関係を図 3.19 に示す. スパンと鉄筋量を決定する限界状態との関係を図 3.20 に示す. このようなことを, 通常の設計の中で経験し, 記憶しておくことが重要である. なお, 参考までに, ビームスラブ式ラーメン高架橋の配筋量を決定する基本的な限界状態を示す ( 図 3.21). 構造計画段階では, 概略の計算行為により構造詳細を設定しておけば, 当たらずとも遠からずの解となる. 前述と同様に, この情報は, 設計解の概略の妥当性の検証に用いることも可能である. 具体的には設計解が, このような情報と大きく異なる場合は, 設計計算のミスや, 経済性が劣るなど, なんらかの問題を内在していることを意味している場合が多いからである. 27

28 鉄筋量 (cm 2 ) 鉄筋量 (cm 2 /m) 鉄筋量 (cm 2 ) 鉄筋量 (cm 2 /m) 500 スラブ軌道 + バラスト軌道 50 スラブ軌道 + バラスト軌道 設計条件 設計列車荷重 :EA17 想定列車本数 ( 本 / 日 ): 旅客 80, 貨物 40 高欄荷重 :1.0(tf/m) 構造物係数 :1.2 桁高スパン比 :1/ スパン (m) (a) 引張鉄筋量 図 3.19 軌道種別による影響 設計条件 設計列車荷重 :EA17 想定列車本数 ( 本 / 日 ): 旅客 80, 貨物 40 高欄荷重 :1.0(tf/m) 構造物係数 :1.2 桁高スパン比 :1/ スパン (m) (b) スターラップ量 5) 設計条件軌道構造 : スラブ軌道設計列車荷重 :EA17 想定列車本数 ( 本 / 日 ): 旅客 80, 貨物 40 高欄荷重 :1.0(tf/m) 構造物係数 :1.2 桁高スパン比 :1/ 使用 + 疲労 終局 使用 + 疲労 終局 スパン (m) (a) 引張鉄筋量 スパン (m) (b) スターラップ量 図 3.20 スパンと配筋量を決定する限界状態の関係 設計条件軌道構造 : スラブ軌道設計列車荷重 :EA17 想定列車本数 ( 本 / 日 ) : 旅客 80, 貨物 40 5) 高欄荷重 :1.0(tf/m) 構造物係数 :1.2 桁高スパン比 :1/11 28

29 (a) 線路方向 (b) 直角方向 図 3.21 各部材の一般的な決定要因 (3) 照査計算以外から定まる事項鉄筋コンクリート構造物は, 常に鉄筋を用いることで成立している. 配筋図を作成するとよく分かるが, 照査の計算で定まる鉄筋は, 全体の鉄筋量のほんの一部であり, 構造細目等により設定される鉄筋が極めて多いことに気が付くはずである. したがって, 断面詳細の設定にあたっては, 主要な構造細目の検証を行っておくことが重要である. そのうち, 重要な点を以下に示す. 1) 定着鉄筋コンクリート構造物は, 常に鉄筋を用いることで成立している. 照査では, 一般に, 鉄筋径と配置間隔などを必要とするため, 鉄筋断面積を主として算定する断面計算行為が 29

30 目的となってしまいがちである. しかし, この計算行為の前提条件として, 定着がある. とくにラーメン構造物では鉄筋の定着は部材の接合部になるため, 軸方向鉄筋の定着長によって部材の形状寸法が決定されることがある. したがって, 構造計画では, 使用する鉄筋径を設定して, 鉄筋の定着長を確保できるか否かを検証しておく必要がある ( 図 3.22). とくに, 近年, 高強度鉄筋や太径鉄筋が使用される傾向にある. そのため, このような場合は, 断面の設定と同時に定着の確保の妥当性を事前に検証しておくことは, とくに重要である. l d H l d 図 3.22 地中はりへの定着と断面高さ 2) 施工性前述のとおり断面計算の概念にたてば鉄筋量の設定が重要な課題となるが, この場合, 施工性に対する配慮も合わせて実施しておく必要がある. 設計標準では, ある断面での鉄筋のあきや配置段数の規定がなされているのみである. これら規定は, 別途, 規定されている構造物毎のコンクリートの標準配合に示されているスランプ等のコンクリートの施工性を確保するための特性が前提となっている. したがって, 単に断面計算の照査を満足すること目的として断面を縮小することは, 施工性の低下を招く場合もあることに留意する必要がある. そのため, とくに, ラーメン構造の部材接合部などは, 鉄筋が輻輳するため, 施工性を考慮して, 断面相互の鉄筋の配置関係などの配筋詳細を設定しておく必要がある ( 図 3.23). また, 近年は, 耐震性を確保し, 経済性を追求する結果としてコンクリート断面を極力縮小させ, 帯鉄筋量に依存した断面寸法となる傾向にある. そのため, 帯鉄筋を 1 段で 2 組や 3 組として用いることにもなり, 実際の鉄筋のあきが小さくなり施工性に支障をきたす場合もある. このようなことを回避するために, 断面形状の設定は, コンクリートの施工性を考慮して設定する必要がある. 30

31 図 3.23 ラーメン接合部の配筋詳細 ( 上層端部 ) 3) 使用材料性能照査型設計法では, 使用する材料なども自由に選定できるとされているが, 一般には, 照査基準の前提条件として標準的な使用材料が規定されており, 施工と密接に連動していることを認識しておく必要がある. とくに, コンクリートは事業者が定めている標準配合があり, 設計で用いるかぶりなどのコンクリートの諸特性と連動していることに留意する必要がある. しかし, 使用材料によって, 合理的な設計を行える場合があるので, その場合は, 使用材料の選定も含めて検討を行うのがよい. なお, 現状における PC,PRC 構造を除く RC 構造のコンクリートの品質は, 全ていわゆる耐久性を確保する観点から定まっているものであり, 強度はそれに付随して得られた値であることを認識しておくのがよい. (a) 塩害対策に対する使用材料の選定塩害地域における一般の鉄道コンクリート構造物では, 使用材料の選定の観点から以下の対策がある. 通常の使用材料を用いた, かぶりの増加による対策 使用するセメントや配合による対策 被覆材や塗装鉄筋による対策塩害対策の選択が, 構造形式や経済合理性に大きな影響を与える場合には, まず, 設計対象構造物の現位置やその近傍で, 既設構造物の劣化状況や維持管理履歴を利用したり, 塩分測定などを実施して塩害に対する環境の程度を把握することが重要である. それに基づいて, 構造形式と構造形式に応じた塩害対策工を検討するのがよい. なお, 使用するセメントや配合によって, 塩分拡散に対する抵抗性を向上させる場合には, それによってコンクリートの圧縮強度や収縮などの特性値が従来の標準とされている 31

32 コンクリートと異なり, 関連したコンクリートの設計値や, 施工時の留意事項に影響を与えることに留意しなければならない. たとえば,W/C を低下させることで対塩害対策を講じた場合は, 結果としてコンクリート圧縮強度が高くなる. これにより, 構造物の剛性なども変化することになる. さらに, 施工時において従来の標準とされている配合を用いた場合に比べて温度上昇が生じ, 温度ひび割れなどの発生の可能性が高くなり, 温度ひび割れに対する施工上の配慮や初期ひび割れに対する検討が必要になり, 施工方法まで含めて検討が必要になる. このように, 従来の構造を用いた場合でも使用材料が異なると, これまで経験上, 配慮しなくても問題が無かった事項が問題となることが想定されるため, 使用材料が与える影響に関して, 構造性能の照査はもとより施工に与える影響まで慎重に検討する必要がある. また, 表面被覆材などを用いる場合は, その材料が設計耐用期間に渡り品質が保証されているか十分に確認するとともに, 本体構造との一体性の確保の有無や, 一体性が必要とされる場合は, 適用部位に応じた応力や変位振幅の影響などを確認する必要がある. (b) 高強度鉄筋や太径鉄筋の使用地震作用により構造詳細が決定される部材に高強度鉄筋や太径鉄筋を使用すると, 標準的な鉄筋を使用した場合に比べて鉄筋量が減尐することから鉄筋の過密化の抑制になり, コンクリートの施工性が向上する. ただし, 高強度鉄筋や太径鉄筋を使用した場合には, 一般に定着長が長くなるため, 定着に関する検討もあらかじめ実施しておく必要があることは前述のとおりである. なお, 高強度鉄筋や太径鉄筋の使用によって過度に断面を縮小させた場合には, その結果, 部材接合部の形状が小さくなり, 従来の普通鉄筋の場合に比べて接合部の単位面積当りに入力される力が増大することがある. 現状の設計標準では, 接合部の照査方法は規定されておらず, 実験的検討に基づく構造細目として規定されているに過ぎない. 縦ばりや地中ばりなどの部位によっては, 接続される部材の断面形状を増大させて, 接合部の抵抗領域を増加させるなどの設計段階の配慮がなされているのが実態である. したがって, 従来よりも接合部が厳しい条件となる場合は, 接合部の性能の検討を行っておく必要がある ( 図 3.24). (a) 普通鉄筋 図 3.24 高強度鉄筋と接合部 (b) 高強度鉄筋 32

33 3.3.3 列車走行性に関する検討 (1) 形状寸法鉄道構造物は, 車両を安全に走行させるためにいかなる箇所においても建築限界を抵触しないように構造物の形状を設定しなければならない. なお, 軌道線形が曲線の場合は, 軌道中心線と構造物中心線を常に一致させることは困難である. この場合, 構造物全体として合理的になるように軌道中心線と構造物中心線の関係を定める必要がある ( 図 3.25 参照 ). なお, 軌道が曲線の場合には, 構造物の縁端の平面形状の設定には, 直線近似, 曲線近似などの方法があり, いずれも採用にあたっては曲線の程度と, 施工性を考慮して設定するのがよい. 近年,CAD の利用により精度の高い作図が行われるが, 実施工においては鉄筋の加工精度や型枠の施工精度は,CAD の精度を確保することが困難であり, 無理に施工精度を求めることが逆にかぶりの過多や不足を招くこともあるため, 施工精度を考慮して曲線における構造物の形状を決定する必要がある. 33

34 (a) 高架橋基本寸法設定法 (b) 調整桁基本寸法設定法 図 3.25 形状寸法の決定の例 (1 線 1 柱高架橋区間 ) 34

35 δ (2) 列車走行性鉄道構造物では列車走行安全性に対する性能が最も重要である. したがって, 設計にあたっては列車走行安全に対する検討を行う必要がある. これについては, 鉄道構造物等設計標準 同解説 ( 変位制限 ) に規定された要求性能を満足するように構造形式を検討することになる. 変位制限標準に規定されたたわみ, 目違い, 角折れの限界値を示す ( 図 3.26 参照 ). 目違い 平行移動 折れ角 折れ込み θ θ 図 3.26 列車走行性の照査項目 コンクリート構造物は, 鋼構造物等に比べると剛性が高くなることから列車走行性に対しては優位であり,PC 斜張橋などの長大橋梁を除けば, 設計の制約条件となることは尐ない. 一般に, 橋梁の動的応答の増幅は, 車両の速度, 車両長, 橋梁の固有振動数の関係で表すことができ, 橋梁のスパンと車両長さの比が整数倍のときに増幅率は増大する. しがって, 構造形式の検討や橋梁のスパンの設定にあたっては, 実際に走行する車両形態や速度を想定して, 橋梁のスパンと車両長さの比などを指標として, 列車走行時に共振等が生じないように検討する必要がある. (3) 地震時列車走行性地震時の列車走行性に関しては, 変位制限標準に規定された横振動や角折れ 目違いなどの限界値を満足できるように構造形式を検討しなければならない. 列車走行安全性は, 構造物の個々の剛性の確保のみならず, 連続する構造物の剛性や変形が著しく異なると, 極度に低下するため, 構造物群として性能を満足するように構造形式を検討しなければならない. 構造計画段階でその配慮を怠ると, 照査段階で列車走行安全性を満足せず, 場合によっては構造形式やスパンの変更を余儀なくされることがある. 例えば, 図 3.27 に示すように長短スパンの構造物が隣接する場合は, 平行移動や折れ込み等の制限値を満足しないことがある. その場合は, 図 3.27 に示すように, 制限値を満足するように構造形式や構造長を設定することになる. したがって, 列車走行安全性に対しては, 構造物長さや構造形式の設定要因となることに留意して, 構造物単体では無く, 連続した構造物群として, 性能を確保することを念頭において設計しなければならない. 35

36 図 3.27 地震時列車走行性と構造形態 (l1 < l2) 施工性に関する検討施工環境や施工期間などは, 一般に, 構造検討時の制約条件として扱うことになる. コンクリート構造物の施工にあたっては, 場所打ち工法の採用の適否が工期や経済性に大きな影響を与えるために, その適否を検討し, 場所打ち工法を採用できない場合はその他の架設 施工方法を検討し, 施工方法を設定し, 制約条件としなければならない. 桁の架設工法の分類と特徴を図 3.28 に示す. 鉄道構造物の多くは, 施工にあたって, 営業運転している線路構造物に平行に近接して施工したり, 立体交差して架設したりするため, 作業空間, 作業時間および資材の搬入方法などの諸条件が大きな制約となる. これらは, 構造形式の検討に影響する場合が尐なくない. そのため, 施工上の制約条件を明確にしておく必要がある. なお, 通常の使用材料を用いた構造形式や施工法を用いた実績のある構造物では, 経験的に施工性が一定のレベルで確保され, 大きな問題は発生しないことが多い. しかし, コンクリートの品質の変更や新たな使用材料を用いた場合や, 新たな構造形態とする場合には, これまで経験的に担保されていた施工時の問題点が顕在化する可能性があるため, コンクリートの品質の変化や構造形態の差異などが設計に及ぼす影響を検討することに合わせて, 初期ひび割れに対する検討など施工時に生じる課題を慎重に検討する必要がある. 36

37 架設工法 場所打ち架設工法プレキャスト桁架設工法張出し架設工法 ( カンチレバーエレクション ) 押出し架設工法移動支保工式架設工法 ビディ支保工架設桁式支保工架設はり 支柱式支保工架設エレクションガーダー式架設クレーン架設門型クレーン架設縦取り架設横取り架設場所打ち張出し架設ブロック張出し架設集中式押出し工法分散式押出し工法可動支保工移動吊り支保工 図 3.28 架設工法の分類と特徴 環境性に関する検討鉄道コンクリート構造物の環境に対する検討事項としては, 騒音 振動, 景観, 日照などがあり, これらの事項に関しては, 関連する法律などを遵守しなければならない. (1) 騒音 振動構造計画にあたっては, 騒音 振動に関する環境基準等に適合した構造物となるよう, 構造形式, 対策工等を決定する必要がある. 騒音 振動に対して, コンクリート構造物自身に起因する影響は尐ないとされている. 構造詳細に影響を与える要因としては, 消音バラストの設置や防振軌道の敷設など軌道構造の騒音振動対策があるために, それらを設計条件として考慮しておく必要がある. (2) 景観景観に対する配慮は, 設計の基本である 用 強 美 の一つの要素であり, 重要な項目である. 土木構造物は, そのスケールの大きさや, 供用期間の長さから, その存在が景観を創造してしまうのが事実であり, いわゆる景観を設計することと等価と考えられる. したがって, 設計にあたっては, 設計対象構造物が, 設計対象構造物の存在を含む景観に与える影響を十分に検討し, その適合性を判断した上で構造形態を検討し, その後に構造詳細の検討を行わなければならない. なお, 景観に対する設計では, 著者は, 以下に示す事項を基本事項としている. 1 計対象構造物の景観的役割の明確化 37

38 設計対象構造物の立地条件や周辺環境に対して設計対象構造物の存在が, 視覚的, 空間的に, 主役, 脇役, 地のいずれに適合させるべきか, その景観的役割を明確にする. 2 力学的合理性の追求土木構造物は, 長期にわたり存在する. そのため, 流行に流されない力学的合理性に基づく構造形態とする. 3 連続性, 水平性, 再起性の検討連続立体交差等の鉄道高架橋は, その機能上, 一定の連続性, 水平性, 再起性は確保された構造形態となる. しかし, それ故, この 3 要素が乱された場合の影響は大きいため, 徹底して配慮する. 構造物の景観に対する設計は, 概念的であるため技術者の感性によるところが大きい. しかし, いくつかの技術的テクニックを用いることで, 一定のレベルを確保することは可能である 6 ). 以下に, 連続立体交差事業に用いられる高架橋に対するテクニックの例を示す. なお, これらは景観設計の本質ではないことを付記しておく. 38

39 スパンを統一する. 桁高, 桁幅を統一する. 統一が困難な場合は, 滑らかな接続を図る. 滑らかな接続が困難場合は, 両者の間を明 確に区分できるような構造詳細とする. 最外縁の面が形成する線を揃える. 39

40 ハンチなど梁の連続性を保ち, 桁受け部の形状を整える. 架線柱は, 柱または橋脚位置と合わせ, 桁側面との連続性を確保する. 可能であれば, 高欄内に設置する. 40

41 3.3.6 維持管理性に関する検討鉄道コンクリート構造物は, 一般に設計耐用期間 100 年が設計条件となる. 設計耐用期間 100 年とすることは, メンテナンスフリーを意味するものではなく, いずれ性能に経時変化が生じるので, 維持管理が前提条件となる. また, 供用期間中の地震などの災害や長期間の使用による損傷も想定される. したがって, 維持管理を合理的に行えるように, 構造形式の検討にあたって, 点検口, 点検足場などの点検設備の設置や, 点検部位の設定など, 供用中の保守点検や補修の容易性についても検討する必要がある. 7) また, 構造計画段階で, 維持管理標準に基づき, 点検方法, 点検部位および点検サイクルなどの維持管理計画を策定し, 設計条件として位置づけ, 施工後の維持管理へ伝達することが重要である その他の配慮事項経済性を意思決定要因とする場合が多いが, 橋梁全体としての費用を算定する必要がある. 鋼構造物や鋼とコンクリートの複合構造物とコンクリート構造物の比較を行う場合や, 塩害地域などで塩害対策費を要する場合は, 初期建設費の他に, 維持管理費用なども含めて LCC などを意思決定要因とすることが合理的である. なお, この考え方は, 地震作用に対する修復性の検討に用いることも可能である. LCC の算定には, 一般に, 次式に示す要因を考慮するのがよい. LCC = C I + C M + C R + C F C I : 初期建設費 C M : 維持管理費 C R : 更新費 C F : 間接費 41

42 3.4 構造計画事例 種々の事業体で, 施工条件などの制約条件などから従来の構造形式の変更や改善が図ら れ, 種々の 設計 が具現化している. いくつかの例を以下に示す. CASE1 供用 100 年を経過した既設の鋼構造橋梁の架け替えとして, コンクリート構造を用いた橋梁を採用した事例である ( 写真 3.2,3.3). 塩害対策や強風対策を要する立地条件であること, 施工時の列車運行に対する支障を最小限にする必要があることなど, 種々の制約条件が課せられた橋梁である. 本橋梁は, 既設橋梁の補修履歴, 飛来塩分調査結果に基づく塩害対策, 風洞実験による強風対策などの結果が反映されている. 施工は, 列車運行に対する支障を最小限とするために, 横取り後の回転架設が採用されている. また, 橋梁の両端の堅固な地山を有効に利用して, 橋梁の橋軸方向の変位を制御した設計であるなど, 経済合理性の基で, 設計者の本橋梁に対する配慮が至るところに見受けられる事例である. ここに設計者に敬意を表する. 写真 3.2 写真 3.3 CASE2 1 スパンが 15mの RC はり式ラーメン高架橋を用いた事例である ( 写真 3.4). 鉄道高架橋では, 一般に, ビームスラブ式ラーメン高架橋が多用される. 本設計対象では, 立体交差化区間の支持層が深く杭長さが長いという条件であった. そのような条件下で, ラーメン高架橋のスパンを設計変数として経済合理性を比較した結果, 従来のビームスラブ式ラーメン高架橋に比べて優位となり, かつ景観にも優位であるとの判断で適用した事例である. 鉄道高架橋では, ビームスラブ式ラーメン高架橋が多用されるが, 設計条件に応じて設計を行うことで, その他の構造形態を具現化することが可能であることを示唆した例と考えられる. 42

43 写真 3.4 CASE3 鉄道 RC ラーメン高架橋内の架道橋に, アーチ部に RC 構造, 補剛桁に PC 下路構造, 鉛直材に S 構造を用いた PC 複合ランガー橋を用いた事例である ( 写真 3.5). 設計対象の架道橋は, 軟弱地盤上に設置される橋梁であった. そのため上部構造はコンクリート構造主体としつつも桁の重量を極力小さくすることが求められた. その上で, 当該高架橋のランドマーク性も付随的に要求されていた事例である. 過去の事例に基づけば, このような条件下では PC 下路桁を構造形式として選定することとなる. 当該橋梁では, 複合 PC ランガー橋を適用することで, 従来構造に比べて下部構造および基礎構造を含む工事費比較により経済合理性が優位と判断され適用された事例である. 本構造を適用することで, 前後の高架橋の高欄高さと架道橋部の補剛桁の高さを連続させるなど修景に対する効果もあり, 景観に対する配慮も行なわれた. なお, 国内では使用実績の無い構造形式であったため, 鉛直材とアーチ部の接合の性能の, 実験的かつ解析的な照査が実施されている. 写真

44 これらは, いずれもとくに特殊な構造形式ではないが, 過去の設計事例を尊重しつつも, 設計対象区間の特殊性を考慮して, 過去の設計事例に対する改善を図った事例である. 前述したが, 過去の事例等を参考にする場合には, 構造物の建設当時の工学的判断に適合しているものとみなすこと自体に一定の合理性はあるが, これらを参考とすることは新しい技術の導入や新しい構造形式の検討には障害となる場合いが多い. そのため, 過去の事例を参考とする場合には, その背景などを十分に分析して, 設計対象構造物への適用にあたっては, それに対して一歩でも改善し, かつ説明責任を果たすことが重要であり, その結果が技術の進歩やよい設計に繋がるものと考える. その意味においても,2 章で示した技術者の 設計姿勢 が重要である. 参考文献 1) 丸善 : 鉄道総合技術研究所編鉄道構造物等設計標準 同解説 ( コンクリート構造物 ), 平成 16 年 4 月 2) 技報堂 : コンクリート構造設計資料 ( 第二版 ), コンクリート構造設計研究会編, ) 丸善 : 鉄道総合技術研究所編鉄道構造物等設計標準 同解説 ( 基礎構造物 抗土圧構造物 ), 平成 9 年 3 月 4) 谷村幸裕, 渡邊忠朊, 蘆谷讓 : 鉄道 RC ラーメン橋台の三次元非線形地震応答解析, 土木学会論文集 E,Vol.64 No.3, ) 渡辺忠朊, 谷村幸裕, 西川佳祐, 佐藤勉 : 限界状態設計法による RC 桁のパラメータスタディ, 鉄道総研報告,Vol.8 No.8, ) 鉄道高架橋の景観デザイン : 景観デザイン研究会, ) 丸善 : 鉄道総合技術研究所編鉄道構造物等維持管理標準 同解説 ( 構造物編 ) コンクリート構造物, 平成 19 年 1 月 44

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