黒毛和種牛への細胞質の影響一般論文黒毛和種牛の細胞質が枝肉形質に及ぼす影響日高健雅 1 福馬敬紘 1 井原紗弥香 2 今井佳積 2 尾形康弘 3 吉上渉 4 5 松重忠美 1 広島県立総合技術研究所畜産技術センター, 庄原市広島県立総合技術研究所保健環境センター, 広島

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ゆうりゅうたけはな
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1 一般論文黒毛和種牛の細胞質が枝肉形質に及ぼす影響日高健雅福馬敬紘井原紗弥香今井佳積尾形康弘 3 吉上渉 4 5 松重忠美広島県立総合技術研究所畜産技術センター, 庄原市広島県立総合技術研究所保健環境センター, 広島市南区広島県立総合技術研究所西部工業技術センター生産技術アカデミー, 東広島市広島県北部家畜保健衛生所, 庄原市広島県西部家畜保健衛生所, 東広島市 ( 受付, 受理 ) 要約広島県の黒毛和種牛 ( 和牛 ) の枝肉形質とミトコンドリア (mt)d-loop 領域の関連を調査した. 広島県の和牛群の D-loop 領域は,44 の変異を認め 4 のハプロタイプが判明した. ハプロタイプは非加重結合法により 6 つの mt タイプ (Ⅰ~Ⅵ) に分類された. 枝肉重量 (CW), ロース芯面積 (LMA), バラの厚さ (RT), 皮下脂肪 (SFT), 歩留まり (YE), 脂肪交雑 (BMS) の育種価を 6 タイプ間で BLUP 法により比較した.CW,RT,SFT,YE において mt タイプ間に有意差を認めた.CW では Ⅰ と Ⅴ 間に,RT では Ⅲ と Ⅴ 間に,SFT では Ⅰ と Ⅴ および Ⅱ と Ⅴ 間に有意差を認めた (P < 0.05). また,YE では Ⅰ と Ⅲ,Ⅰ と Ⅴ, Ⅱ と Ⅲ,Ⅱ と Ⅴ 間に有意差を認めた (P < 0.05). 以上から, 和牛において細胞質が枝肉形質に影響を及ぼすことが明らかになった.. 日本畜産学会報 85 (), 33-39, 04 細胞内に存在するミトコンドリアは, 核 DNA とは別の 998, 003) などが報告されている. 一方で,Tess と遺伝子を有しており, 哺乳動物では母親からのみ遺伝する Robison(990) は, 肉用牛の生産における細胞質の影ことが知られている (Kaneda ら 995 ; Shitara ら 998). 響調査において, 核などによる効果に混同され誤った細胞ウシのミトコンドリア DNA(mtDNA) は, 約 6 kbp 質の効果が現れる場合があることから, 細胞質の遺伝的なの環状 DNA で, 個の rrna, 個の trna, 3 個のタ影響は小さく重要ではないと報告している. このように, ンパク質をコードする遺伝子からなり, この他に D-loop 母方からのみ遺伝する細胞質内の mtdna も産子の発育 (displacement loop) と呼ばれる複製開始起点となる塩等に影響する可能性が示唆されているが, 詳細については基配列を持つ. 不明な点が多い. 哺乳動物の体細胞では, 一つの細胞内に約 0 3 個そこで本研究では, 細胞質内の mtdna に着目し, (Takamatsu ら 00) の mtdna が存在するが, 卵子 mtdna が繁殖雌牛の産子の発育産肉能力に及ぼす影響には 0 5 個 (Michaels ら 98 ; May-Panloup らを調査した. 005) の mtdna が存在している. 一方, 精子では 50 なお, 我々は万頭以上の雌牛の血統情報と産肉成績 ~75 個しか存在せず, 受精後は消滅して後代へは遺伝しデータを保有している. そこで mtdna が母性遺伝するないことが報告されている (Meirelles ら 00). 特徴を活かし, 母牛の血統情報を基に mtdna タイプがウシの核移植産子でも, 受精胚と同様にドナー細胞由来判明した雌牛の母系の家系図を作成することで, より多くの mtdna は発生段階で徐々に消失し, レシピエント卵の各 mtdna タイプの繁殖雌牛の産肉成績データを比較子由来の mtdna に均一化されるため, 核移植産子のできるため, 繁殖雌牛の産肉成績データを分析に用いた. mtdna はほぼレシピエント卵子由来となることが知られ材料および方法ている (Takeda ら 999). 近年, 細胞質内に存在する mtdna が経済形質に影響. DNA サンプルを及ぼすとの報告があり, 乳牛において生乳生産量に細胞広島県内 ( 以下, 県内 ) 繁殖雌牛群の mtdna タイプ質が影響していること (Boettcher 996), 肉用牛にお解析用の DNA サンプルは子牛市場に出荷されるウシからいて mtdna のタイプで分けた群間に脂肪交雑評点など採取した. サンプル数は母集団の統計的データ解析に必要の経済形質に有意な差が認められたこと (Mannen らな数とし, 年間に市場出荷される子牛約 3,000 頭の連絡者 : 日高健雅 (fax : , t-hidaka87640@pref.hiroshima.lg.jp) 日畜会報 85 ():33-39, 04 33

2 日高福馬井原今井尾形吉上松重割に当たる 350 頭とした.. DNA の調整血液から採取した白血球に ProtenaseK(0 mg/µl) 0 µl, % SDS6 µl, 0 PCR Buffer 40 µl, 蒸留水 38 µl を加え,50 で晩加温した. その後 95 で 5 分加熱後クロロホルム処理, エタノール沈殿を行い,DNA を抽出した ( 古川と平本 004). 得られた DNA は吸光度を測定し 0 ng/µl に希釈調整した. 3. 塩基配列の決定塩基配列の解析は安部ら (003) の報告によって実施した.Anderson ら (98) によって決定されたウシ mtdna の塩基配列 (GenBank accession numbers V00654) の番号に基づき,D-loop 領域 579 bp から 354 bp の領域を対象に行った. 領域の増幅は PCR 法により行い, プライマーの塩基配列はフォワードを ATATCACCATC- GGACAAC, リバースを CCTAGATGAGTCTCCCAAC とした. 反応産物は QuickStep PCR purification kit (Edge Biosystems, Boston, NA, USA) を用いて精製し, シーケンス反応のテンプレート DNA とした. シーケンス反応は,Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction Kit ver.3.(applied Biosystems, 東京 ) を用いてプロトコルに従い行った. プライマーは Bmit0F (GAAAC TGCAGTCTCACC),Bmit04F(TATGCC- CCAT GCATATAAGCAA),Bmit06F(TGGCTAATC- AGCCCATGCTCA) を使用した. 精製した DNA は ABIPRISMTM377DNA Sequencer(Applied Biosystems, 東京 ) で電気泳動し,Sequencing Analysis 3. (Applied Biosystems, 東京 ) により塩基配列を解析し, これを基に UPGMA 法 (Sokal と Michener 958) により系統樹を作成した. 4. 育種価予測値および経済形質育種価予測値は,mtDNA タイプが判明したウシが所属する家系の全牛のデータを用いた. 経済形質の調査項目は, 枝肉重量, ロース芯面積, バラの厚さ, 皮下脂肪厚, 推定歩留, 脂肪交雑評点の 6 項目とした. 5. mtdna タイプと経済形質との関連調査 ) 県内の繁殖雌牛群の mtdna タイプの分布状況県内で飼養されている繁殖雌牛群における mtdna タイプの分布状況調査のため, 子牛市場に出荷された子牛の血液を採材し,mtDNA のタイプ分けを行った. また, 広島県内の黒毛和種繁殖雌牛の飼養が盛んな S 市,M 市,J 町と広島県平均の mtdna タイプの分布の有意差検定にはχ 検定を適用した. ) 繁殖雌牛群の家系の mtdna タイプと育種価予測値の比較検討県内繁殖雌牛,9 頭分の血統情報を用いて, 繁殖雌牛群の家系を系統解析するとともに, タイプが判明した雌牛の枝肉形質に及ぼす効果 (BLUE) を比較し,mtDNA タイプが経済形質に及ぼす影響を調査した. 各 mtdna タイプ間の統計的比較には,GraphPad Prism 5.0 software(graphpad Inc., San Diego, CA, USA) を用いた.BLUE を一元の分散分析 (One-way ANOVA) によって比較し, 各区の多重比較は Tukey によって実施した. なお, 動物を使用した各実験においては, 獣医師の監督の下, 動物倫理に十分に配慮し, 適切な使用環境で実施した. 結果 mtdna タイプと経済形質との関連調査 ) 県内の繁殖雌牛群の mtdna タイプの分布状況突然変異の箇所と内容を表に示した. 表は Anderson ら (98) が報告したウシの mtdna の塩基配列番号, 変異内容を示し, わかりやすいようにそれぞれの変異にアルファベットで記号をつけた ( 表 ). この記号をもとに D-loop のハプロタイプを表に示した. D-loop 領域の変異を調べたところ 44 ヵ所で突然変異を認め, これらの変異から 4 のハプロタイプが判明した. このハプロタイプの塩基配列に基づき系統樹を作成したところ, これらのハプロタイプは 6 つのタイプに区分できた ( 図 ). タイプⅠは表における変異 BUY を持つ個体からなる群で, タイプⅡは IU を持つが B は持たない群, タイプⅢは D, タイプⅣは M, タイプⅤは f, タイプⅥは R を持つ群となっている. タイプⅠが 59.7%(09 頭 ) と最も多く, タイプⅡが 0.6%(37 頭 ), タイプⅢは.7%(6 頭 ), タイプⅣが 0.9%(38 頭 ), タイプⅤが 0.3%(36 頭 ), タイプⅥ が 6.9%(4 頭 ) であった ( 表 3). 県内の黒毛和種繁殖雌牛の飼養が盛んな S 市 (05 頭 ), M 市 (38 頭 ),J 町 (38 頭 ) を比較すると,S 市においてタイプⅡが県平均と比較して有意に多く,M 市ではタイプⅤ,Ⅵが多い傾向を示した ( 表 3). ) 繁殖雌牛群の家系における mtdna タイプの枝肉形質に及ぼす効果の比較検討広島県内で飼養され,mtDNA タイプが判明し育種価が算出されている雌牛,3 頭の枝肉形質に及ぼす効果 (BLUE) を調査した. 枝肉重量, バラの厚さ, 皮下脂肪厚, 推定歩留の 4 形質において,mtDNA タイプの有意な効果が認められた ( 表 4). 枝肉重量では, タイプⅠとタイプⅤの間に,3.9 kg の差 (P < 0.05) が認められた. バラの厚さでは, タイプ ⅢとⅤの間に 0. cm の差 (P < 0.05) が認められた. 皮下脂肪厚では, タイプⅤがタイプⅠおよびⅡとの間にそれぞれ 0. cm, 0.09 cm の差 (P < 0.05) が認められた. 推定歩留では, タイプⅢがタイプⅠおよびタイプⅡとの間にそれぞれ-0.6%,-0.5%, タイプⅤがタイプⅠおよびタイプⅡとの間にそれぞれ-0.5%,-0.4% の差 (P < 0.05) が認められた. 日畜会報 85 ():33-39, 04 34

3 Table Sites and types of variants detected in D-loop region of Japanese Black cattle Location of variant and polymorphic event Notation of polymorphism Location of variant and polymorphic event Notation of polymorphism G C A B C D E F H I J K L M N O P Q R S U V W X Y insertion C G deletion insertion A A G C T T C A G a b c d e f g h i j l p q r s t u y α γ σ Sites are numbered according to Anderson et al. (98) Table Definition of mitochondria displacement loop haplotypes and their respective frequencies Haplotype Number of cows Haplotype Number of cows BILUY IUY 5 BIUWY qiuy BIUY 46 afdkny 6 BUY lmy ebinuy 3 MY 3 ebiuy 6 smy efbiuvy 3 bcmy fbiuvy tmy fbiuy 5 MUY fhbiuy ef 6 gbiuy efiny 3 hbiuy 8 efny hybiuy efw hσbiuy f ibiuy 3 fny 3 pbiuy ecry 8 sbiuy ejcry ubiuy EORY γbiuy ercry diuy 5 eαcry fiuy 6 Total 350 ロース芯面積および脂肪交雑評点では, タイプ間に有意差は認めなかった ( 表 4). 考察万年ら (000) が調査した宮崎県, 兵庫県, 岩手県における mtdna タイプの分布では, タイプは 5 つに分類されており, 各県のタイプⅠ~Ⅴの分布割合 (%) はタイプⅠから順に宮崎県 (64.4,.9,.0, 0.7, 0.9), 兵庫県 (6.8, 4., 0.8, 3.6, 9.8), 岩手県 (63.,.9, 0.6, 8.4, 4.9) と報告している. 県内で飼養される黒毛和種繁殖雌牛の mtdna タイプは 6 タイプに分類された.mtDNA タイプの分布状況調査では, 広島県はタイプⅡが 0.6% と多く, タイプⅣが 0.9% と少ない傾向を示すなど, 万年らが報告した宮崎県, 兵庫県, 岩手県と比較して異なる分布割合を示した. また県内においてタイプごとの分布割合に地域差が認められ,S 市ではタイプⅡが多く,M 市ではタイプⅤおよび Ⅵが多くなっていた. 万年らは, タイプⅠは黒毛和種にのみ観察されるタイプ, タイプⅢ~Ⅵはヨーロッパ品種に高頻度に観察されるタイプ, タイプⅡはその中間に位置するタイプである ( 万年ら 000) と報告している. このことから, 広島県は黒毛和種とヨーロッパ品種の中日畜会報 85 ():33-39, 04 35

4 日高福馬井原今井尾形吉上松重 Figure Phylogenetic tree showing the relationship between the nucleotide sequences of the mitochondrial displacement loop of Japanese Black cattle. Haplotypes are shown by notations defined in Table. 間タイプである系統が他県より多く存在することを示された. 広島県は古くから和牛改良に取り組み, 明治時代には県内に国立の種牛牧場が設立され, 洋種の雄および雌牛が輸入され改良が進められた ( 和田 000). この種牛牧場からは県内に, 隣県よりも多数の雌牛が譲渡されている. このような, 畜産が主要な産業である市町においては, 和牛の経済的性格が役牛から肉牛へ転換した後も, 複数の雌系統を維持し続け, 広島県内の系統間交配による改良を継続し, 広島県外からの繁殖雌牛を導入してこなかった. このように洋種と掛け合わせた雌牛を多く県内に普及させたこと, その雌系統を維持し続けたことが, 中間タイプであるタイプⅡが多いという広島県内の mtdna タイプの分布の特徴に影響していると考えられた. 日畜会報 85 ():33-39, 04 36

5 また, 広島県内で mtdna タイプ分布割合に地域差がある原因として, 繁殖雌牛集団の形成過程の影響が考えられる.S 市は特に種牛牧場からの雌牛を中心に系統維持に努めてきた地域であり, 現在も古くからの系統が維持されている. そのため, 洋種導入の影響が強く残り, 黒毛和種とヨーロッパ種の中間のタイプ Ⅱ が多くなっていると考えられる. Table 3 Frequencies of mtdna types of three Japanese Black cattle populations and random sampling in Hiroshima (%) mtdna Type Hiroshima c S c M c J c Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ a b a, b indicate statistically significant differences (P < 0.05) between Hiroshima and S. c Hiroshima = overall mean of Hiroshima prefucture ; S, M and J show the city or town in Hiroshima. 一方,M 市は, 近年宮崎県などから雌牛を多数導入している. 宮崎県は他県と比較してもタイプⅤが多く存在しており,M 市がタイプⅤ 及びⅥが多くなっている原因の一つと考えられる. このように,mtDNA タイプの分布割合の違いが, 地域の雌牛の特性に現れている可能性があり, ウシの育種改良において mtdna のような雌の遺伝情報を活用できる可能性が示唆された. mtdna タイプの経済形質への影響調査は, 雌牛の枝肉形質に及ぼす効果 (BLUE) を用いて実施した. Mannen ら (998) はタイプⅣが,BMS, LMA にプラスの効果があると報告している. 一方で, 辻 (000) は, 宮崎県, 兵庫県, 岩手県の集団による mtdna タイプによる経済形質への効果を分析したが,3 県に共通する結果は得られず,Mannen ら (998) が報告したタイプⅣの効果も抽出できなかったと報告している. ミトコンドリアは, 細胞のエネルギー生産に携わっている細胞内小器官であり, 細胞に生命活動に必要な ATP を供給する. ミトコンドリアの ATP 合成能を考えると, ミトコンドリアがエネルギー代謝に関連する形質に影響を及ぼしている可能性は否定できない. 今回, 我々も,3 頭の雌牛群のデータを用い分析を Table 4 Differences between the effects (BLUE b ) of mitochondrial types on six carcass traits of Japanese Black cow in Hiroshima Types a CW c, kg LMA c, cm RT c, cm SFT c, cm YE c, % BMS c, unit Ⅰ vs Ⅱ Ⅰ vs Ⅲ * 0.0 Ⅰ vs Ⅳ Ⅰ vs Ⅴ 3.9* * -0.5* Ⅰ vs Ⅵ Ⅱ vs Ⅲ * 0.04 Ⅱ vs Ⅳ Ⅱ vs Ⅴ * -0.4* 0.00 Ⅱ vs Ⅵ Ⅲ vs Ⅳ Ⅲ vs Ⅴ * Ⅲ vs Ⅵ Ⅳ vs Ⅴ Ⅳ vs Ⅵ Ⅴ vs Ⅵ a Types are defined by the phylogenetic tree in Figure b BLUE = best linear unbiased estimates c CW = carcass weight ; LMA = longissimus muscle area ; RT = rib thickness ; SFT = subcutaneous fat thickness ; YE = yield estimate ; BMS = beef marbling score *:P < 0.05 日畜会報 85 ():33-39, 04 37

6 日高福馬井原今井尾形吉上松重行った結果,4 つの枝肉形質 (CW, RT, YE, SFT) に有意差が認められ,mtDNA が雌牛の産肉能力に影響を及ぼしている可能性が考えられた. しかし,Mannen ら (998) が有意差を報告している形質である LMA や BMS においては, 有意な差を認められず, 共通する分析結果は認められなかった. 核の DNA, 飼養管理, 年次など様々な効果が mtdna の効果より大きいため,mtDNA の効果を把握しきれなかった可能性が考えられた. 各環境要因を均一化できる間接検定などの結果を活用するなど, 環境要因を排除できる実験系の利用が必要と思われる. 以上のことから, 細胞質に存在する mtdna が繁殖雌牛の産肉能力に影響を及ぼすことが考えられた. 文安部亜津子, 安田康明, 志賀一穂, 長谷川清寿, 山田彰司, 佐々木恵美, 安部茂樹.003. 体細胞核移植技術によって作出された黒毛和種種雄牛のミトコンドリア DNA D-loop 領域多型による個体識別. 島根県畜産試験場研究報告 36,38-4. Anderson S, de Bruijn MH, Coulson AR, Eperon IC, Sanger F, Young IG. 98. Complete sequence of bovine mitochondrial DNA. Journal of Molecular Biology 56, Boettcher PJ, Freeman AE, Johnston SD, Smith RK, Beitz DC, Mcdaniel BT Relationships between Polymorphism for mitochondrial deoxyribonucleic acid and yield traits of holstein cows, Journal of Dairy Science 79, 古川恵, 平本圭二.004.DNA マーカーを指標とした牛の育種手法の開発に関する研究 ( 第報 ). 岡山県総合畜産センター研究報告 5, Kaneda H, Hayashi J, Takahama S, Taya C, Lindahl KF, Yonekawa H Elimination of paternal mitochondrial DNA in intraspecific crosses during early mouse embryogenesis, Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 9, 万年英之, 川崎純一, 石田孝史, 向井文雄, 辻荘一.000. 黒毛和種集団におけるミトコンドリア DNA の多様性, 日本畜産学会報 7,J470-J474. Mannen H, Kojima T, Oyama K, Mukai F, Ishida T, Tsuji S Effect of mitochondrial DNA variation on Carcass traits of Japanese black cattle. Journal of Animal Science 76, 献 Mannen H, Morimoto M, Oyama K, Mukai F, Tsuji S Identification of mitochondrial DNA substitutions related to meat quality in Japanese Black cattle. Journal of Animal Science 8, Mannen H, Tsuji S, Loftus RT, Bradley DG Mitochondrial DNA variation and evolution of Japanese Black Cattle (Bostaurus). Gnenetics 50, May-Panloup P, Vignon X, Chretien MF, Heyman Y, Tamassia M, Malthièry Y Reynier P Increase of mitochondrial DNA content and transcripts in early bovine embryogenesis associated with upregulation of mttfa and NRF transcription factors. Reproductive Biology and Endocrinology 3, 65. Meirelles FV, Bordignon V, Watanabe Y, Watanabe M, Dayan A, Lobo RB, Garcia JM, Smith LC. 00. Complete replacement of the mitochondrial genotype in a Bos indicus calf reconstructed by transfer to a Bos Taurus oocyte. Genetics 58, Michaels GS, Hauswirth WW, Laipis PJ. 98. Mitochondrial DNA copy number in bovine oocytes and somatic cells. Developmental Biology 94, Shitara H, Kaneda H, Sato A, Iwasaki K, Hayashi J, Taya C, Yonekawa H. 00. Non-invasive visualization of sperm mitochondria behavior in transgenic mice with introduced green fluorescent protein (GFP). Federation of European Biochemical Societies Letters 500, 7-. Sokal RR, Michener CD A statistical method for evaluating systematic relationships. University of Kansas Science Bulletin 8, pp Takamatsu C, Umeda S, Ohsato T, Ohno T, Abe Y, Fukuoh A, Shinagawa H, Hamasaki N, Kanga D. 00. Regulation of mitochondrial D-loops by transcription factor A and single-stranded DNA-binding protein, European Molecular Biology Organization Reports 3, Takeda K, Takahashi S, Onishi A, Goto Y, Miyazawa A, Imai H Dominant distribution of mitochondrial DNA from recipient oocyte in the bovine embryos and offspring after nuclear transfer. Journal of Reproduction and Fertility 6, Tess MW, Robison OW Evaluation of cytoplasmic genetic effects in beef cattle using an animal model. Journal of Animal Science 68, 辻荘一.000. ミトコンドリア D-loop 領域の変異による黒毛和種集団の遺伝的構造と経済形質の解析, 畜産技術協会委託研究報告書,pp 和田政美.000. 国立七塚原種牛牧場,In: 七塚原と和田彦次郎. pp 七塚原地人協会, 広島. 日畜会報 85 ():33-39, 04 38

7 Effect of cytoplasm on carcass traits of Japanese Black cattle Takemasa HIDAKA, Takahiro FUKUMA, Sayaka IHARA, Kazumi IMAI, Yasuhiro OGATA 3, Wataru YOSHIGAMI 4 and Tadami MATUSHIGE 5 Hiroshima Prefectural Technology Research Livestock Technology Research Center, Shobara , Japan Hiroshima Prefectural Technology Research Public Health and Enbironment Center, Minami, Hiroshima , Japan 3 Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Western Region Industrial Research Center, Higashihiroshima , Japan 4 Northern Center for Livestock Hygiene Service, Hiroshima Prefecture, Shobara 77-00, Japan 5 Western Center for Livestock Hygiene Service, Hiroshima Prefecture, Higashihiroshima , Japan Corresponding : Takemasa HIDAKA (fax : +8 (0) , t-hidaka87640@pref.hiroshima.lg.jp) The aim of this study was to know the relationships between carcass traits and mitochondrial displacement loop (D-loop) variations of Japanese Black cattle in Hiroshima prefecture. The D-loop region of female Japanese Black cattle in Hiroshima prefecture was sequenced and revealed 4 mitochondrial haplotypes defined by 44 polymorphic sites. The haplotypes were classified into six mitochondrial types (types to 6) using the unweighed pair-group method with arithmetic means. The breeding values of carcass weight (CW), longissimus muscle area (LMA), rib thickness (RT), subcuta- neous fat thickness (SFT), yield estimate (YE), and beef marbling score (BMS) were compared among the six mitochondrial types by BLUP procedures. Significant differences among mitochondrial types were detected for CW, RT, SFT and YE. Significant differences were observed between mitochondrial types I and V for CW (P < 0.05), between types III and V for RT (P < 0.05), and between types I and V, and II and V for SFT (P < 0.05). Significant differences were also found between types I and III, I and V, II and III, and II and V for YE (P < 0.05). These results suggest that cytoplasmic genetic effects are important sources of variation for carcass traits in Japanese Black cattle. Nihon Chikusan Gakkaiho 85 (), 33-39, 04 Key words : carcass trait, cytoplasm,japanese Black cattle, mitochondrial displacement loop. 日畜会報 85 ():33-39, 04 39

広島総技研畜技セ研報 Bull,Hiroshima Pref. Tech.Res.Ins. Livest.Tech.Res.Cent. ISSN 広島県立総合技術研究所畜産技術センター研究報告 Bulletin Hiroshima Prefectural Technology

広島総技研畜技セ研報 Bull,Hiroshima Pref. Tech.Res.Ins. Livest.Tech.Res.Cent. ISSN 1882-4862 広島県立総合技術研究所畜産技術センター研究報告 Bulletin Hiroshima Prefectural Technology Research Institute Livestock Technology Research Center