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1 平成 29 年度海外炭開発支援事業海外炭開発高度化等調査 インドネシアにおける長期電力計画の進捗と石炭輸出動向調査 平成 30 年 3 月

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3 はじめに 海外炭開発高度化等調査は 我が国への海外炭の安定的かつ低廉な供給確保に資するため 主要産炭国の石炭生産動向やインフラ整備状況及び主要消費国の石炭消費動向等に係る最新の情報収集 分析を実施し 本邦民間企業等へ情報提供することを目的としている インドネシアは 2014 年世界第 1 位の石炭輸出国だが 石炭価格の低迷により 2014 年以降は生産量及び輸出量は減少している しかし 同国は 我が国にとっては豪州に次ぐ第 2 位の石炭輸入相手国であり 2015 年には 全体輸入量の約 20%(3,260 万トン ) を輸入している インドネシア国の埋蔵量は 6,100kcal/kg 以上の高品位炭埋蔵量は僅か 10% 弱であり 今後の生産動向を調査することは 高品位炭を多く輸入している我が国に取っては重要である 一方 インドネシア政府は 長期電力計画及び 35 GW 電力計画を推進しており インドネシア国内では 電力を主として国内需要は年々高まっている 国内の石炭需要の増加に伴い 石炭の輸出量は 今後 更なる減少が予想されている よって 今後の国内電力計画の動向 稼動 新設の石炭火力発電所の動向 それを踏まえた石炭輸出動向についての調査をおこなった また環境問題を踏まえ 低品位の石炭輸出は減少する可能性があり その点についても調査を行なった その他 輸出規制や外資規制 ロイヤルティのアップ 石炭の高付加価値化などの問題もあり 鉱業法や税法など投資動向に係る動きを注視する必要があり 輸出に影響のある石炭政策の最新の動向や石炭探鉱開発権益 資産の売買動向についても調査を行なった 本調査結果が 我が国の石炭需要家や商社をはじめ インドネシアの石炭に関心を持つ企業等の参考になれば幸甚である 平成 30 年 3 月 独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構石炭開発部

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5 要約 2017 年 ~2026 年までの長期電力計画によると 2026 年に生産される発電総量は 561,841GWh 2017 年 266,625GWh の 2.1 倍に達する 2026 年の燃料ソース別割合では 石炭 51% ガス 27% 水力 12% 地熱 9% である 2015 年から 2019 年までに 35GW の発電設備計画が進められている 2017 年 11 月時点での 35GW の進捗状況は 計画段階 7.0GW(19%) 調達段階 4.6GW(13%) 売電契約段階 8.3GW(23%) 着工済み段階 15.3GW(43%) 商業運転/ 受領証明段階 0.78GW(2%) である 石炭火力発電所の発電設備容量は 2007 年 12,014MW であったが 2016 年には 29,880MW と 2.5 倍に増加した 総計 2017 年 ~2026 年の間に 31,937MW の石炭発電設備容量が増加する計画である インドネシアの石炭生産量は 2013 年がピークで 4.74 億トン その後 4.5~4.6 億トンの間で推移し 2017 年は 4.61 億トンであった 輸出量については 2013 年が初めて 4 億トンを超え 4.02 億トンの最高値を記録したが その後は微減が続き 2017 年は 3.64 億トンまで減少した 現在 石炭生産量にキャップをかぶせる政策が考えられている 国内消費者への石炭輸送は 地域によって輸送手段が異なり 西スマトラ 南スマトラでは 鉄道が整備され カリマンタン島では河川を利用した運搬形態がとられている 山元から河川の集積地までの運搬はトラックによる道路輸送であり その後はバージ輸送によって消費地まで運ばれる これまで高品位炭を生産してきた地域での高品位炭の生産量は減少しており また 高品位炭が多く賦存するとされている中央カリマンタン州とパプア地域は石炭開発が遅れており 依然石炭輸送インフラが貧弱なため 順調な開発が進んでいない よって 日本向け高品位炭の供給については これまでどおりの供給を楽観視できない 2018 年 ~2026 年までの石炭輸出量を高品位炭 低品位炭に分けて検討した 石炭生産量の見通しに関しては 以下の Case 1 と Case 2 を設定した Case 1: 石炭生産量のキャップ 4 億トンを 2019 年から始める Case 2: 石炭生産量のキャップ 4 億トンを 2025 年から始める また 石炭消費量については 石炭火力発電所の建設計画遅延を考慮し 以下のようにシナリオ P とシナリオ S を設定した 1

6 シナリオ P:RUPTL 1 計画ベース シナリオ S:RUPTL 計画の年増加率をスローダウンさせるその結果 高品位炭 低品位炭ともに Case 2 の方が輸出量の減少スピードが小さく また シナリオ S の方が シナリオ P よりも多くの輸出量が期待できる インドネシアでは 輸出規制 外資規制 ロイヤルティのアップ 石炭の高付加価値化 生産制限 輸出制限などの政策が検討されており 今後の石炭輸出への影響を見守る必要がある また BHP Billiton は 2016 年 6 月にインドネシアで 75% の権益 ( 原料炭 一般炭 ) を所有していた炭鉱群を PT. Adaro Energy に売却し インドネシアから撤退するなど 炭鉱権益の刷新が進行中である 1 Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik( 電力供給事業計画 :Electricity Supply Business Plan) 2

7 Summary The total power generation in 2026 is expected to reach 561,841GWh, an increase of 110% from 266,625GWh in 2017, under the long-term power plan extending from 2017 to By fuel source, coal, gas, hydropower, and geothermal heat account are expected to account for 51%, 27%, 12%, and 9% of the total, respectively, in A power generation plant plan (35GW) covering 2015 to 2019 is underway. The progress of the 35GW plan was as follows as of November 2017: 7.0 GW (19%) in the planning stage, 4.6GW (13%) in the procurement stage, 8.3GW (23%) in the Power Purchase Agreement (PPA) signed/financial closed Stage, 15.3GW (43%) in the Construction stage, and 0.78GW (2%) in the Certificate of feasible operation/commissioning stage. The power generation capacity of coal-fired power plants stood at 12,014MW in 2007 and had increased by 150% to 29,880MW in Plans call for an increase of the 31,937MW capacity from 2017 to Coal production in Indonesia hit its peak in 2013 at 474 million tons and has since been in the range of 450 million to 460 million tons (461 million tons in 2017). The coal export volume surpassed 400 million tons for the first time in 2013, exceeding it by 4.02 million tons, and has since declined gradually, reaching 364 million tons in A policy to put a cap on coal production has been studied. The means of transporting coal to domestic consumers differs by region. Railway is used in western and southern Sumatra, and rivers are used on Kalimantan in Indonesian. The coal is transported by trucks on roads from the mines to the stockyard facing to the river and then loaded onto barges for conveyance to the consumption sites. The areas producing high-grade coal are producing less of it, and coal development is lagging behind in Central Kalimantan and Papua, the regions believed to have many high-grade coal reserves. The infrastructure for coal transportation remains meager, which impedes the steady progress of coal development. We cannot optimistically expect high-grade coal to be supplied to Japan in the volumes it has been in the past. The coal export volumes from 2018 to 2026 are examined for high- and low-grade coal. The future outlook of the coal production volume is forecast in two scenarios, Case 1 and Case 2 below. Case 1: A cap of up to 400 million tons is imposed in 2019 and thereafter. 3

8 Case 2: A cap of up to 400 million tons is imposed in 2025 and thereafter. The coal consumption volume is examined in two scenarios, P and S, in consideration of the delay of the coal-fired power plant construction plan. Scenario P: based on the RUPTL 2 plan Scenario S: a slower annual rate of increase versus the RUPTL plan As a result, both high- and low-grade coal export volumes decrease more slowly in Case 2, and the export volume is expected to be bigger in Scenario S than in scenario P. Indonesia is considering various regulations on exportation and foreign investment such as a royalty increase, value addition to coal, and production and export restrictions, so the impacts of such regulations on coal exportation need to be watched. Coal mining concession are also changing. BHP Billiton, for example, sold a 75% mining concession in a group of Indonesian coal mines (coking coal and thermal coal) to PT. Adaro Energy in June 2016 and withdrew from the country. 2 Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik (Electricity Supply Business Plan) 4

9 目次 第 1 章 インドネシアの長期電力計画の動向及び今後の見通し 計画進捗での問題点と今後の見通し... 1 第 2 章 35GW 電力計画の進捗動向及び今後の見通し 当初計画と実績対比 計画進捗での問題点と今後の見通し 第 3 章 石炭火力発電所の稼動 新設の見通し 発電設備容量推移 石炭発電量推移 建設計画の実績と将来計画 土地収用 環境問題の現状 石炭灰問題 日本企業が参入している石炭火力発電所 第 4 章 石炭需給動向の現状及び見通し 主要石炭会社 ( 生産トップ 10) の概要 ( 資本形態 生産量 輸出量 傘下の炭鉱 輸出インフラ等 ) 投資金額と将来計画 課題 新規炭鉱開発 インフラ開発見込みに基づく供給能力の見通し PTBA 動向 ( 高付加価値化政策を背景とした国営企業のホールディングカンパニ ー化 ) 第 5 章 石炭火力発電所で使用する国内石炭の供給動向 石炭消費量推移 ( 産業別 炭質別 ) 石炭輸送インフラ整備状況 国内炭の道路 鉄道 バージ等による輸送状況 道路 鉄道 港等の輸送インフラ整備状況 ( 計画含む ) 国内炭の輸送コスト ( トラック バージ 鉄道 ) 第 6 章 石炭の炭質を含む輸出の動向及び今後の見通し 高品位炭の需要の推移と将来的な供給力見込み ( 日本他向け等の高品位炭 ) i

10 6.2 環境問題を踏まえた低品位炭の輸出動向 州別輸出量推移 仕向地別輸出量推移 ( 褐炭含む ) 仕向地別 FOB 価格 FOB コスト構成 ( 生産 選炭 輸送 港湾料等 ) 今後の輸出 ( 高品位炭 低品位炭 ) 見通し 第 7 章 その他石炭輸出に影響を及ぼす石炭政策 税法の動向 輸出規制 外資規制 ロイヤルティのアップ 石炭の高付加価値化 輸出制限政策 山元石炭火力発電所の発電単価政策 第 8 章 石炭探鉱開発権益の買収等の動向 石炭探鉱開発権益 資産の売買動向 外国資本による炭鉱権益獲得状況 第 9 章 まとめ ii

11 図目次 図 エネルギー 電力計画の概要... 1 図 一次エネルギーの予想... 2 図 年 2050 年におけるエネルギーバランス... 3 図 RUKN による 2025 年ソース別発電計画... 5 図 RUPTL による 2016 年ソース別発電計画... 5 図 ソース別発電設備容量の推移... 6 図 操業形態別発電容量の推移... 7 図 操業形態別設備容量 ( 左 ) 燃料ソース別発電容量( 右 )... 7 図 発電量の推移... 8 図 セクター別電力消費量... 9 図 年 RUPTL の成立の流れ 図 インドネシア長期電力計画 図 燃料ソース別発電割合 (2017 年及び 2026 年 ) 図 燃料ソース別消費計画 図 PLN セクター別電力販売計画 図 年におけるセクター別電力販売計画の割合 図 PLN 地域別電力販売計画 図 年における地域別電力販売計画の割合 図 年 ~2026 年までの地域別電力需要の年平均増加率 図 年 ~2026 年までの新規発電所ソース別建設計画 図 新規建設計画 78GW の燃料別内訳 図 年 ~2026 年までの新規発電所の操業形態別建設計画 図 建設計画の 78GW の企業別内訳 図 発電設備容量の推移 図 電力需要予測での RUKN 及び RUPTL の比較 図 発電設備容量の 2011 年 RUPTL 計画と実績 図 発電量の 2011 年 RUPTL 計画と実績 図 政府補助金の推移 図 GW 電力計画の概要 図 GW 電力計画の形態別割合 図 GW で建設される発電所の地域別設備容量 図 GW ソース別発電計画 図 年別発電計画 ( 発電設備容量 ) 図 発電容量増設計画と発電源構成割合 iii

12 図 スマトラの発電所建設計画 図 ジャワの発電所建設計画 図 カリマンタンの発電所建設計画 図 スラウェシの発電所建設計画 図 年 9 月時点での 35GW 計画の進捗状況 図 年 4 月時点での 35GW 電力計画の進捗状況 図 年 11 月時点での 35GW 電力計画の進捗状況 図 地域別 35GW 電力計画の進捗状況 図 GW 電力計画の進捗状況 図 発電設備容量 図 ソース別発電設備容量 図 石炭発電設備容量推移 図 石炭発電量推移 図 石炭消費量の推移 図 ジャワ島における石炭火力発電所の位置 図 ジャワ島以外の石炭火力発電所の位置 図 インドネシアにおける石炭火力発電所建設計画 図 地域別石炭火力発電所建設計画 図 石炭火力発電所の高効率化計画 図 超々臨界発電所建設計画の位置 図 RUPTL における化石燃料発電に伴う CO2 の発生量 図 石炭灰の用途 図 歩道ブロックへの有効利用 図 日本での石炭灰発生量及び使用料 利用率 図 年度利用種別使用量 図 Central Jawa プロジェクト位置図 図 Tanjung Jati B 発電所位置及び状況 図 Cirebon 発電所位置及び発電所の状況 図 Lontar 発電所拡張 No.4 プロジェクト位置と既存発電所 図 既存の 330MW 3 基 図 インドネシアの出炭量 輸出量 国内消費の推移 図 炭鉱形態別石炭生産量の推移 図 年形態別出炭量の割合 図 年州別石炭生産量 図 生産トップ 10 の生産量推移 図 年 10 炭鉱総量に対する各炭鉱の割合 iv

13 図 KPC 炭鉱の石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 KPC の販売割合 図 Bumi Resources 傘下の企業 図 炭鉱及び鉱山の位置 図 炭鉱のインフラ状況 図 Adaro 炭鉱の石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 Adaro Indonesia 販売先の割合 図 炭鉱位置 図 石炭輸送状況 図 石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 炭鉱位置 図 インフラ状況 図 鉱区位置 図 石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 Bumi Resources 傘下の企業 図 炭鉱及び鉱山の位置 図 North Pulau Laut Coal Terminal(NPLCT) 図 鉱区位置 図 石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移 図 炭鉱位置 図 Floating Transfer Station (FTS) の Bulk Sumatra 図 PTBA 炭鉱位置 図 PTBA の石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 販売先の割合 図 PTBA の資本形態 図 Ombilin 炭鉱の鉄道状況 図 南スマトラの鉄道状況 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 販売先の割合 図 ITM の炭鉱位置 図 石炭輸送状況 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 PT. Borneo Indobara(BIB) の炭鉱位置 図 鉱区図 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 炭鉱位置 v

14 図 インフラ状況 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 炭鉱位置 図 石炭輸送状況 図 鉱物石炭における投資額の推移 図 投資計画 図 石炭販売量 収益 図 出炭計画 図 石炭輸送量 図 銘柄別販売計画 図 PTBA のグループ企業 図 稼動発電所と発電計画 図 鉄道 港新設計画 図 Cat-THR の試験装置 図 産業別石炭消費量の推移 図 年 2016 年の石炭消費量 図 セメント会社の位置 図 セメントの生産量 消費量 輸出入量 図 設備稼働率 図 セメント生産量 設備容量の将来計画 図 石炭インフラの位置の概略図 図 バージによる石炭輸送システム 図 Lahat 県の石炭輸送 図 一般道でのトラック輸送 トラックの待機状況 図 Servo 道路 図 Servo 道路の状況 ( 左 ) と Jetty ストックヤードの状況( 右 ) 図 Hasnur 道路 図 石炭専用道路の状況 図 石炭専用道路 図 西スマトラの鉄道路線図 図 Palembang 鉄道ルート 図 Tarahan 鉄道ルート 図 石炭専用列車 図 石炭輸送ルート 図 コンテナへの石炭積み込み 図 Simpang での石炭コンテナ状況 vi

15 図 コンテナのトラックへの積替え状況 図 石炭ターミナルと Jetty の位置 図 石炭ターミナルと Jetty の状況 図 トラックの石炭アンローディングの状況 図 石炭受入量 図 石炭積替地点 図 フローティング クレーン及び Taboneo の状況 図 Mahakam 川でのバージ石炭運搬量 図 主要な石炭積出港 石炭ターミナル 図 Tanjung Bara Coal Terminal の状況 図 Bontang Coal Terminal(BoCT) 図 Balikpapan Coal Terminal 図 South Pulau Laut Coal Terminal 図 Tarahan Coal Terminal 図 洋上石炭積替地点 図 消費者側港湾設備 図 石炭専用道路建設計画 図 建設中の道路と完成した道路の状況 図 Muara Lematang から Tanjung Api Api までの新道路 図 中央カリマンタンでの道路計画 図 東カリマンタンの道路計画 図 スマトラ島の鉄道計画 図 カリマンタン島での鉄道建設計画 図 東カリマンタンでの鉄道計画 図 鉄道の建設計画 図 PTBA 新規鉄道計画 図 Kapuas 県の石炭輸送プロジェクト 図 Kalimantan Industrial Port の概要 図 石炭積出港建設計画 図 PTBA 全体コストの内訳 図 A 炭鉱コスト内訳 図 コールターミナルからの石炭輸送状況 図 高品位炭 低品位炭別の輸出の推移 図 石炭の品位別 地域別の資源量 図 州別輸出量の推移 図 年州別 企業形態別輸出量 vii

16 図 インドネシア石炭の仕向地別輸出量の推移 図 年仕向地別輸出量 図 過去 9 年間の HBA の推移 図 仕向地別 FOB 価格 図 高品位炭の仕向地別 FOB 価格 図 低品位炭の仕向地別 FOB 価格 図 炭鉱のコストの構成 図 Tanjung Enim 炭鉱 (PTBA) の Tarahan 港 FOB 価格構成 図 A 炭鉱の FOB コスト 図 石炭生産 輸出 国内消費 図 政府計画と実績対比 図 インドネシア石炭鉱業協会による生産量 輸出量 国内消費の予想 図 DEN が公表した石炭の生産量 消費量 輸出量見通し 図 高品位炭の輸出実績 図 低品位炭の輸出実績 図 高品炭と低品位の割合 図 石炭生産量の見通し (Case1 Case2) 図 今後の輸出量の見通し 図 高品位炭と低品位炭の輸出量の見通し 図 年時の見通し 図 DMO に係る各種法律 図 山元発電の売電価格 図 非山元発電の売電価格 図 山元石炭価格の法 規則関連 viii

17 表目次 表 予想に当たっての前提... 2 表 BAU KEN でのエネルギーバランスの推移... 3 表 PLN での燃料別消費量の推移... 9 表 RUPTL 作成時の基本的ファクター 表 RUPTL2016 と RUPTL2017 の比較 表 クラッシュプログラムの概要 表 GW 発電計画の発電量 伝送ライン 変電所の状況 表 略語のまとめ 表 GW 計画の進捗状況の定義 表 GW 発電計画スタート時の進捗状況 表 ジャワ島における主要石炭火力発電所一覧 表 ジャワ島以外の主要石炭火力発電所一覧 表 超々臨界石炭火力発電所計画 表 大気汚染の各国の基準値 表 年度の分野別の内容内訳 表 各発電所の概要 表 発電所の概要 表 Tanjung Jati B 発電所の概要 表 発電所の概要 表 発電所の概要 表 発電所の概要 表 炭鉱別出炭量の推移 表 炭鉱データ 表 KPC 石炭資源量 埋蔵量 表 KPC 資本形態 表 石炭品質 表 Adaro 炭鉱の資源量 埋蔵量 表 Adaro Indonesia 資本構成 表 PT.Adaro Indonesia 傘下炭鉱 表 従来の銘柄 表 現在の銘柄 表 石炭資源量 埋蔵量 表 資本構成 表 今後の資本構成 ( 予定 ) ix

18 表 傘下の炭鉱 表 石炭品質 表 資源量 埋蔵量 表 資本構成 表 石炭品質 表 資源量 埋蔵量 表 資本形態 表 洋上での積替設備 表 石炭品質 表 PTBA 石炭資源量 埋蔵量 表 株保有企業の上位 30 社 表 PTBA 港の概要 表 石炭品位 表 資源量 埋蔵量 表 ITM 傘下炭鉱 表 資本形態 表 石炭品質 表 石炭資源量 埋蔵量 表 資本形態 表 石炭品質 表 石炭資源量 埋蔵量 表 BSSR グループの炭鉱 表 AGM の資本形態 表 石炭品質 表 石炭資源量 埋蔵量 表 資本形態 表 石炭品質 表 石炭鉱業契約 (CCoW) 炭鉱の開発状況 (2017 年 3 月 27 日現在 ) 表 CCoW における新規炭鉱のリスト 表 東カリマンタン新規炭鉱 表 PLN 長期契約概要 表 発電所への供給状況及び計画 表 品位別石炭消費量 表 企業別セメント及びクリンカの設備容量 表 Tarahan 港の設備概要 表 トラック輸送コストの比較 x

19 表 発電所までの距離 表 Suralaya 発電所に輸送される石炭価格 表 トラックとベルトコンベのコスト比較 表 HS コードによる低品位炭分類 表 インドネシアでの品位別発熱量の定義 表 炭鉱開発関連コストの内訳 表 B 炭鉱の FOB コスト 表 C 炭鉱の FOB コスト 表 D 炭鉱の FOB コスト 表 E 炭鉱の FOB コスト 表 F 炭鉱 FOB コスト 表 剥土比による剥土コストの変化 表 シナリオ P 及びシナリオ S の石炭国内消費量 表 ロイヤルティ実績と計画 表 石炭ロイヤルティ 表 山元発電の売電価格 表 非山元発電の売電価格 表 山元価格計算式 表 年第 466 号と 2015 年第 953 号の変更点 表 炭鉱売買時の評価内容 表 年時点での日本企業による炭鉱資産獲得状況 ( 一部 ) 表 外国資本による炭鉱権益獲得比率 xi

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21 インドネシア全土 主要産炭州の県 Nunukan Kota Tarakan Tana Tidung Malaysia Malinau Bulungan 東 Kalimantan 中央 Kalimantan 北カリマンタン xvi

22 Malaysia 北 Kalimantan Berau 西 Kutai 東 Kutai Kutai Kartanegara Bontang 中央 Kalimantan Samarinda 南 Kalimantan Paser Balikpapan Penajam Paser Utara 東カリマンタン 中央 Kalimantan Tabalong 東 Kalimantan 北 Hulu Sungai 中央 Hulu Sungai Balangan 南 Hulu Sungai Kota Baru Barito Kuala Tapin Banjar Banjar Masin Banjar Baru Tanah Laut Tanah Bumbu Kota Baru 南カリマンタン xvii

23 Murung Raya 東 Kalimantan 西 Kalimantan Katingan Gunung Mas 北 Barito Kapuas 西 Barito Lamandau 東 Kota Waringin Kota Baru 東 Barito Sukamara 西 Kota Waringin Seruyan Pulang Pisau 南 Kalimantan 中央カリマンタン Jumbi Musi Rawas Musi Banyuasin Banyuasin Lubuk Linggau Empat Lawang Lahat Prabumulih Muara Enim Palembang Ogan Ilir Ogan Komering Ilir Bengkulu OKU 東 OKU Pagar Alam 南 OKU Lampung OKU: Ogan Komering Ulu 南スマトラ xviii

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25 略語集 (1) 略号 英文 尼文 日本語 1 ADB Asian Development Bank アジア開発銀行 2 Adb Air Dry Base 気乾ベース 3 AGM PT. Antang Gunung Meratus Antang Gunung Meratus 炭鉱会社 4 AMDAL Analisis Mengenai Dampak Lingkungan Hidup 環境影響評価 5 Ar As Received 到着ベース 6 Bappenas Badan Perencanaan Pembangunan Nasional 国家開発計画庁 7 BAU Business as usual case 通常ビジネスベース 8 BCM Bulk Cubic Meter 体積 立方メートル 9 BCT Balikpapan Coal Terminal Balikpapan 石炭ターミナル 10 BoCT Bontang Coal Terminal Bontang 石炭ターミナル 11 BP British Petroleum 英国石油会社 12 BPL National Land Agency 国家土地庁 13 BSSR PT. Baramulti Suksesarana 炭鉱会社 14 Cat-THR Catalytic Hydrothermal Reactor 触媒水熱反応炉 15 CBU Continuous Barge Unloader (CBU) 連続バージ荷揚設備 16 CCoW Coal Contract of Work 石炭鉱業契約 17 COD Commercial Operation Day 運転開始日 18 COP Conference of the Parties 締約国会議 19 COW Contract of Work 鉱業契約 20 CPP Coal Processing Plant 石炭プロセシング設備 21 CPP` Coal Power Plant 石炭火力発電所 22 DEN DEN: Dewan Energi Nasional 国家エネルギー審議会 23 DMO Domestic Market Obligation 国内供給義務 24 DWT Deadweight tonnage 載貨重量トン 25 FC Floating Crane 浮上クレーン 26 FOTP Floating Offshore Transfer Platform 洋上浮上式積替設備 27 FTS Floating Transfer Station 浮上積替設備 28 GAR Gross as received 到着ベースの総発熱量 29 GC New Castle Global Coal Index New Castle 港 Global Coal インデックス 30 GHG Green House Gas 温室効果ガス 31 HBA Harga Batubara Acuan 石炭指標価格 32 HPB Harga Patokan Batubara 石炭基準価格 33 HS Code Harmonized Commodity Description Coding System HS コード 物品固有分類番号 34 IBT/PLCT Indonesia Bulk Terminal/Plau Laut Coal Terminal インドネシア石炭ターミナル /Laut 島石炭ターミナル 35 ICI Indonesia Coal Index インドネシア石炭インデックス 36 IGCC Integrated coal Gasification Combined Cycle 石炭ガス化複合発電 37 IO non BBM Independ Operation non Bahan Bakar Minyak 石油以外の燃料による許可を得た区域内発電 38 IPCC In-Pit Crushing and Conveying ピット内クラッシング ベルトコンベア設備 39 IPP Independent Power Producer 独立系発電事業者 40 ITM PT. Indo Tambangraya Megah Indo Tambangraya Megah 炭鉱会社 xx

26 略語集 (2) 略号 英文 尼文 日本語 41 IUP Izin Usaha Pertambangan 鉱業ライセンス 42 IUPK Izin Usaha Pertambangan Khusus 特別鉱業許可 43 Jetty Jetty 桟橋 44 KAI PT. Kereta Api 国営鉄道会社 45 KEN Kebijakan Energi Nasional 国家エネルギー政策 46 KK Kontrak Karya(Contract of Work) 鉱業契約 47 KP Kuasa Pertambangan 採掘権 48 KPC PT. Kaltim Prima Coal Kaltim Prima Coal 炭鉱会社 49 MEMR Ministry of Energy and Mineral Resources エネルギー 鉱物資源省 50 MMPP Mine Mouth Power Plant 山元発電所 51 NAF Non-Acid Forming 非酸性岩石 52 NEX New Castle Export Index New Castle 港輸出インデックス 53 NPLCT North Pulau Laut Coal Terminal 北 Laut 島石炭ターミナル 54 PAF Potentially Acid Forming 酸性岩石 55 Platts Platts Index Platts インデックス 56 PLN Perusahaan Listrik Negara 国営電力会社 57 PLTA Pusat Listrik Tenaga Air 水力発電所 58 PLTD Pusat Listrik Tenaga Diesel ディーゼル発電所 59 PLTGU Pusat Listrik Tenaga Gas & Uap ガス火力発電所 60 PLTGU/MG Pusat Listrik Tenaga Gas & Uap/Mesin Gas コンバインド蒸気ガス / ガスエンジン発電所 61 PLTM/MH Pusat Listrik Tenaga Mini/Mikro Hidro ミニ水力発電所 62 PLTMG Pusat Listrik Tenaga Mesin Gas ガスエンジン発電所 63 PLTP Pusat Listrik Tenaga Panas Bumi 地熱発電 64 PLTS Pusat Listrik Tenaga Surya 太陽光発電所 65 PLTU Pusat Listrik Tenaga Uap 石炭火力発電所 66 PMA Perusahaan Penanaman Modal Assign インドネシア現地法人 67 PMO Project Management Office 事業管理事務所 68 PPA Purchase Power Agreement 電力購入契約 69 PPU Private Power Utilities 自家発電所 70 PTBA PT. Tambang Batubara Bukit Asam 国営石炭公社 71 RKL Rencana Pengelolaan Lingkungan Hidup 環境管理計画 72 RPJMN Rencana Pembangunan. Jangka Menemgah Nasional 国家中期開発計画 73 RPL Rencana Pemantan Lingkungan Hidup 環境モニタリング計画 74 RUEN RUEN: Rencana Umum Energi Nasional 国家エネルギー計画 75 RUKN RUKN: Rencana Umum Ketenagalistrikan Nasional 国家電力総合開発計画 76 RUPTL RUPTL: Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik 電力供給事業計画 77 SC Super Critical 超臨界 78 SCP Sand Compaction Pile Method 砂パイル工法 79 SLO Sertifikat Laik Operasi 運転資格 80 TMCT Tanah Merah Coal Terminal Tanah Merah 石炭ターミナル 81 UBC Upgrade Brown Coal 褐炭改質 82 USC Ultra Super Critical 超々臨界 xxi

27 Link 集 大分類 中分類 WEB 箇所 和名 Web サイト 1 エネルギー 鉱物資源省 2 エネルギー 鉱物資源省 鉱物石炭総局 3 エネルギー 鉱物資源省 電力総局 4 エネルギー 鉱物資源省 新エネ 再生可能エネ 省エネ総局 5 エネルギー 鉱物資源省 石油ガス総局 6 エネルギー 鉱物資源省 研究開発庁 7 エネルギー 鉱物資源省 研究開発庁 tekmira 8 エネルギー 鉱物資源省 地質庁 9 エネルギー 鉱物資源省 人材育成庁 鉱物石炭人材育成センター 10 エネルギー 鉱物資源省 人材育成庁 電力 新エネ人材育成センター 11 エネルギー 鉱物資源省人材育成庁 坑内採掘技術センター 39 PT. Indonesia Power Indonesia Power 40 PT. Jawa Power Paiton 石炭火力発電所 41 PT. Kaltim Prima Coal, 42 PT. Kideco Jaya Agung, 43 PT. PJB Pembangkitan Jawa Bali 44 PT.Trubindo Coal Mining PT. Indo Tambangraya Megah 12 南スマトラ州政府 ule=content&id=1 13 南カリマンタン州政府 14 東カリマンタン州政府 15 森林環境省 16 森林環境省 固体廃棄物 危険廃棄物 危険物質管理総局 17 工業省 18 工業省 金属機械 輸送機器 電気産業総局 19 運輸省 20 運輸省 鉄道総局 21 運輸省 海運総局 22 運輸省 道路総局 23 インドネシア石炭鉱業協会 24 インドネシア鉱業協会 25 PTBA 26 Asian Center for Energy ASEAN エネルギー協力の事務局 27 BAPPENAS インドネシア政府国家開発計画庁 28 BPPT インドネシア技術評価応用庁 29 DEN (Dewan Energi Nasional) 国家エネルギー審議会 30 PLN( 国営電力会社 ) 31 PT. Cirebon Electric Power Cirebon 石炭火力発電所 32 PT. Adaro Indonesia 33 PT. Antang Gunung Meratus PT. Baramulti Suksessarana 34 PT. Arutmin Indonesia, 35 PT. Berau Coal, 36 PT. Borneo Indobara PT. Golden Energy Mines 37 PT. Bumi Resources 38 PT. Indominco Mandiri, PT. Indo Tambangraya Megah spx xxii

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29 第 1 章インドネシアの長期電力計画の動向及び今後の見通し 1.1 計画進捗での問題点と今後の見通し エネルギー 電力政策 (1) 政策の種類インドネシアでの国家エネルギー政策 電力政策は 政府 国会で採決され 決定される 当然ながら 根底にあるのは 1945 年に制定された憲法である インドネシアでは 国家エネルギー審議会 (DEN: Dewan Energi Nasional) が エネルギー計画を作成する エネルギー政策は まず KEN(Kebijakan Energi Nasional) と呼ばれる国家エネルギー政策が決定され 国会の承認を得た上で その後 RUEN(Rencana Umum Energi. Nasional) と呼ばれる国家エネルギー計画が 政府レベルで作成される 続いて インドネシアの電源開発計画は エネルギー 鉱物資源省 (MEMR: Ministry of Energy and Mineral Resources ) の電力総局で 国家電力総合開発計画 ( RUKN: Rencana Umum Ketenagalistrikan Nasional) が作成され この計画に基づいて PLN(Perusahaan Listrik Negara: 国営発電公社 ) が 電力供給事業計画 (RUPTL: Rencana Usaha Penyediaan Tenaga Listrik:( 英文 )Indonesia's Electricity Supply Business Plan) を作成する 図 にエネルギー 電力計画の概要を示す 出典 : 資料を元に作成 図 エネルギー 電力計画の概要 (2) 国家エネルギー政策 (KEN) KEN は 国益を満たすエネルギー供給の保障 をビジョンとし エネルギー供給能力の向上 エネルギー生産の最適化 省エネルギー を主要政策とし作成されてきた 2014 年インドネシア国家エネルギー審議会 (DEN) は 2050 年までのエネルギー計画 (KEN) を作成している 基本的な考えは以下の通りである エネルギー弾性値 ( エネルギー消費の伸び / 経済成長率 ): 経済成長目標に合うよう 1

30 2025 年に弾性値を 1 以下とする エネルギー強度 ( 単位 GDP のエネルギー使用量 ):2025 年までに年 1% で減少させる ( 省エネルギーの促進 ) 電化率を 2015 年に 85% 2020 年には 100% に近づける 家庭用ガスの使用率を 2015 年に 85% にする 原子力発電所に対する姿勢は 最終的な選択肢と位置づけ 導入の可能性を残す ただ 長期的には原発の導入は必要とする 国内で産出する石炭や天然ガスは 国内の需要の増加を見込み 段階的に輸出を減少 最終的に完全に停止する また KEN で示されている将来のエネルギー予測では BAU(Business as usual case) シナリオ 国家エネルギーシナリオ (KEN) の 2 つのシナリオが作成されているので 以下に紹介する 予想に当たっての人口 国内総生産 (GDP) 電化率などの前提条件を表 に示す 表 予想に当たっての前提 単位 人口 百万人 伸び率 % GDP Billion USD 年平均成長率 % 一人当たりの GDP USD 1,514 2,089 2,928 4,080 7,796 13,000 都市化率 % 電化率 % 100 出典 :DEN 図 に BAU KEN の一次エネルギーの予想を示す 2013 年は 169Mtoe であったが 2025 年の BAU の予想では 417Mtoe(2.5 倍 ) KEN の予想では 362Mtoe(2.1 倍 ) に増加し 2050 年には BAU1,286Mtoe(7.6 倍 ) KEN は 885Mtoe(5.2 倍 ) に達する 出典 :DEN 図 一次エネルギーの予想 2

31 表 には BAU KEN でのエネルギーバランスの推移を示す また 図 には BAU KEN それぞれの 2025 年 2050 年でのエネルギーバランスを示す 2050 年では BAU のケースの場合 石炭 41% ガス 21% 石油 28% 新 再生可能エネルギー 10% であるが KEN ケースでは石炭 25% ガス 24% 石油 20% 新 再生可能エネルギー 31% となり 新 再生可能エネルギーが多く見込まれている (BAU) 表 BAU KEN でのエネルギーバランスの推移 石炭 35% 36% 38% 40% 40% 41% ガス 21% 21% 21% 21% 22% 21% 石油 33% 30% 28% 27% 27% 28% 新 再生可能エネルギー 11% 13% 13% 12% 11% 10% 計 100% 100% 100% 100% 100% 100% (KEN) 石炭 30% 30% 30% 29% 26% 25% ガス 23% 22% 23% 23% 25% 24% 石油 29% 24% 22% 21% 20% 20% 新 再生可能エネルギー 19% 24% 25% 27% 29% 31% 計 101% 100% 100% 100% 100% 100% 出典 :DEN 2025 年 BAU 2050 年 BAU 新 再生可能エネルギー, 13% 石油, 30% 417 Mtoe 石炭, 36% 石油, 28% 新 再生可能エネルギー, 10% 1286 Mtoe 石炭, 41% ガス, 21% ガス, 21% 石炭ガス石油新 再生可能エネルギー 2025 年 KEN 石炭ガス石油新 再生可能エネルギー 2050 年 KEN 新 再生可能エネルギー, 石炭, 30% 24% 362 Mtoe 石油, 24% ガス, 22% 新 再生可能石炭, 25% エネルギー, 31% 885 Mtoe 石油, 20% ガス, 24% 石炭ガス石油新 再生可能エネルギー 石炭ガス石油新 再生可能エネルギー 出典 :DEN 図 年 2050 年におけるエネルギーバランス 3

32 インドネシアはバリで開催された気候変動枠組み条約第 13 回締約国会議 (COP13) のホスト国を務めたが この会議では バリ行動計画 が採択され 発展途上国にも CO2 排出削減努力が促された インドネシアでの温室効果ガスに関する発言は ユドヨノ大統領に始まる 2009 年 9 月 ピッツバーグの G20 において ユドヨノ大統領は地球温暖化ガス (GHG) を 2020 年までに 26% 削減 また 国際社会からの支援が受けられる場合には 41% 削減を目標とすると宣言した これを踏まえたロードマップの策定や GHG 削減国家行動計画の法制化が行われ 脱石油として再生可能エネルギーの強力推進と国内石炭資源の有効利用の政策が取られた また 2015 年 11 月 パリで開催された COP21 を受け インドネシアは 2030 年までに BAU ベースでの 29% の CO2 ガスの削減目標を打ち出した 達成の目標のために以下の政策が示されている 国家森林計画を作成し 森林の効率的な管理 劣化する環境の再生 農業 漁業の振興 省エネルギー クリーンエネルギー 再生可能エネルギーの利用促進 産業廃棄物の見直しと有効利用 土地の有効活用と遊休地の利用計画 (3) RUEN RUKN RUPTL での基本方針以下に RUEN RUKN RUPTL の基本方針を示す (a) 国家エネルギー計画 (RUEN) 2014 年作成された国家エネルギー政策に基づいて 国家エネルギー計画 (RUEN) が作成された 国家エネルギー計画の主要骨子は以下の通りであるが 石炭火力による発電は 今後も有効な発電と前向きに捉えられている 石炭火力発電インドネシアは 今後も石炭火力発電所の建設を継続する 石炭は 発電のベースロード電源として有用である 新たな石炭火力発電所には CCT 技術を導入し 石炭のクリーンな使用 発電効率のアップに努める ガス発電 水力発電発電のピーク電源を補う目的で使用する ピーク時の石油の使用を抑える 新 再生可能エネルギー発電 CO2 削減のため 新 再生可能エネルギーの使用を促進する 原子力発電原子力の導入に当っては 原子力以外の電力ソースで 需要を賄うことができない場合のみ 導入を検討する また CO2 などの環境負荷の影響も考慮する 導入する場合は 事前に法規の整備が不可欠である 4

33 (b) 国家電力総合開発計画 (RUKN) エネルギー 鉱物資源省の電力総局は 国家エネルギー計画に基づいて 国家電力総合開発計画 (RUKN) を作成する 国家からエネルギー 鉱物資源省へ降りてきて より具体的な政策が作成される 現在 RUKN では 2014 年 ~2035 年までの電力計画が示されている 石炭の役割を見るために 2025 年の電力のソース別発電割合を図 に示す 2025 年における発電量は 石炭 50% 新 再生可能エネルギー 25% ガス 24% 石油 1% である 石炭が圧倒的に多く 重要な電力ソースと位置づけられている 石炭 50% 新 再生可能エネルギー 25% 2025 年 石油 1% ガス 24% 出典 :RUKN 図 RUKN による 2025 年ソース別発電計画 (4) 電力供給事業計画 (RUPTL) PLN は エネルギー 鉱物資源省の電力総局が作成した 国家電力総合開発計画 (RUKN) に基づいて 電力供給事業計画 (RUPTL) を作成する 最も新しい計画は 2017 年 3 月エネルギー 鉱物資源省大臣規制の 2017 年第 1415 号として発令され 2017 年 ~2026 年までの発電電力量計画が示されている RUPTL による 2026 年のソース別発電割合を図 に示す 石炭の割合は RUKN の計画とほぼ同じとなっているが 新 再生可能エネルギーが 2% 程度増加している 石炭, 50.44% 2026 年 新 再生可能エネルギー, 26.72% 石油, 0.39% ガス, 22.45% 出典 :RUPTL 図 RUPTL による 2016 年ソース別発電計画 5

34 1.1.2 インドネシアにおける電力供給の現状 (1) 発電設備容量 (a) ソース別発電設備容量図 に 2007 年 ~2016 年までのソース別発電設備容量を示す 全体の発電設備容量は 2007 年は 30,853MW であったが 2016 年は 59,658MW に 1.9 倍に増加している また 石炭火力発電所の割合は 39% から 50% へ増加している 70,000 60,000 50,000 MW 40,000 30,000 20,000 10, 石炭ガス石油水力地熱その他 再生可能エネルギー 年石炭ガス石油水力地熱 その他 再生可能エネルギー ( 単位 :MW) 計 石炭比率 , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % , , , , , , % 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 ソース別発電設備容量の推移 (b) 操業形態別の発電設備容量また 図 に発電設備容量を PLN IPP( 独立系発電事業者 ) PPU(Private Power Utilities: 自家発等 ) IO non BBM( 石油以外の燃料による許可を得た区域内発電 ) の操業形態別に分けた 2013 年 ~2016 年の年末実績と 2017 年 9 月実績を示す PLN が多くを占め IPP が続いている 近年は IPP の増加に伴い PLN の割合は減少している 6

35 GW (9 月 ) PLN IPP PPU( 自家発 ) IO non BBM( 区域内 ) ( 単位 GW) (9 月 ) PLN IPP PPU( 自家発 ) IO non BBM( 区域内 ) 計 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 操業形態別発電容量の推移 (c)2017 年 9 月の発電設備容量の詳細 2017 年 9 月時点での発電設備容量を ソース別 操業形態別に図 に示す 全体の設備容量は 60.1GW 操業形態別では PLN 41.4GW(69%) IPP 13.9GW(23%) PPU 2.4GW(4%) IO non BBM 2.4GW(4%) である また ソース別では 石炭 29.8GW(50%) ガス 15.8GW(27%) 新 再生可能エネルギー 7.2GW(12%) 石油 6.2GW(11%) である 石炭の発電に占める役割は大きい PPU( 自家発 ), 2.4, 4% IPP, 13.9, 23% IO non BBM( 区域内 ), 2.4, 4% 新 再生可能エネルギー, 7.2, 12% 石油, 6.2, 11% 単位 :GW PLN, 41.4, 69% ガス, 15.8, 27% 2017 年 9 月 2017 年 9 月 石炭, 29.8, 50% 単位 :GW 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 操業形態別設備容量 ( 左 ) 燃料ソース別発電容量 ( 右 ) 7

36 (2) 発電量 電力消費量実際の発電量と消費量は以下の通りである (a) ソース別発電量図 に 2007 年 ~2016 年までの発電量の推移をソース別に示す 全体の発電量は 2007 年 142,411GWh の発電量であったが 2016 年には 242,652GWh の 1.7 倍に増加している 石炭の割合を見てみると 2007 年は 44% であったが 2016 年には 55% と増加している 300, , ,000 GWh 150, ,000 50, 石炭石油ガス水力地熱新 再生可能エネルギー他 ( 単位 :GWh) 年 石炭 石油 ガス 水力 地熱 新 再生可能石炭計エネルギー他比率 ,902 18,140 42,056 11,286 7, ,441 45% ,493 20,826 47,225 11,528 8, ,436 41% ,914 19,856 50,282 11,384 9, ,798 42% ,477 19,007 55,390 17,456 9, ,786 40% ,090 22,839 57,478 12,419 9, ,419 44% ,166 21,583 54,077 12,799 9, ,318 51% ,252 20,362 58,050 16,923 9, ,191 51% ,532 23,039 60,537 15,162 10, ,555 52% ,657 30,911 48,807 13,741 10, ,654 55% ,381 20,800 55,828 19,370 10, ,652 56% 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 発電量の推移 (b) セクター別電力消費量図 にセクター別電力消費量を示す 各セクター共に電力消費量は 増加しているが 2016 年を見てみると 住宅 (43%) 続いて 工業(32%) 商業(18%) これら 3 セクターで全体の 92% を占める 8

37 GWh 250, , , ,000 50, 住宅工業商業道路社会公共輸送 ( 単位 :GWh) 年 住宅 工業 商業 道路 社会 公共 輸送 総計 ,325 45,803 20,524 2,586 2,909 2, , ,184 47,969 22,845 2,761 3,082 2, , ,945 46,204 24,715 2,888 3,384 2, , ,825 50,985 27,069 3,000 3,700 2, , ,112 54,725 30,093 3,068 3,994 2, , ,133 60,176 30,880 3,141 4,496 3, , ,211 64,381 34,369 3,251 4,939 3, , ,086 65,909 36,128 3,394 5,446 3, , ,682 64,079 36,773 3,448 5,941 3, , ,635 68,145 39,852 3,498 6,631 4, ,004 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 セクター別電力消費量 (3) PLN での発電燃料の消費量表 に PLN で使用される発電燃料の消費量を示す 石炭は 2007 年 2,147 万トン消費されていたが 石炭火力発電所の新規建設に伴い 2016 年には 5,056 万トンが消費され 2.4 倍に増加している また ディーゼル 石油燃料などの石油系燃料は 減少しているが ガスは 2007 年から比べると 2016 年は 3 倍に増加している 表 PLN での燃料別消費量の推移 ディーゼル産業用ディーゼル石油燃料石炭年 HSD IDO MFO ガス (ton) (KL) (KL) (KL) (MMSCF) ,466,348 7,874,290 13,558 2,801, , ,999,521 8,127,546 28,989 3,163, , ,604,464 6,365,116 11,132 3,032, , ,958,699 6,887,455 6,895 2,430, , ,434,163 8,943,880 13,923 2,509, , ,514,791 6,625,335 4,065 1,585, , ,601,034 6,291,667 3,221 1,179, , ,604,981 6,330,517 3,849 1,096, , ,995,169 4,377,068 2, , , ,556,446 3,719, , ,125 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia

38 年から 2026 年までの長期電力計画 (RUPTL2017) (1) 成立までの流れインドネシアの長期電力計画は PLN が作成する RUPTL で示される 2017 年に成立した RUPTL の流れを図 に示す 2007 年の 30 号法令 ( エネルギー ) 2009 年の第 30 法令 ( 電力 ) を元に 2014 年 79 号政府法令で国家エネルギー政策が作成され その後 2017 年の大統領令で 2017 年の国家エネルギー計画 (RUEN) と電力については エネルギー 鉱物資源省電力総局によって 国家電力計画 (RUKN) が作成されている これらは すべて国会の承認を受け発行されている そして 最終的には PLN によって 2017 年の電力供給事業計画が作成された 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 年 RUPTL の成立の流れ 2017 年の RUPTL では 2017 年 ~2026 年までの長期電力計画が示されているが 作成に当っての基本的なファクターを表 に以下に示す 人口は 2017 年の 2.61 億人から 2026 年には 2.87 億人 2,500 万人増加を見込んでいる 経済成長率は 2017 年 5.1% 2018 年 5.5% であるが 2019 年から 6% を超え 最高値としては 6.5% が見込まれている インフレ率は 2017 年 ~2024 年までは 3.8% であるが 2025 年 2026 年は 3.6% に下がる 電化率は 2026 年にはほぼ 100% が計画されている 10

39 表 RUPTL 作成時の基本的ファクター 年 / 種別 人口 ( 百万人 ) 人口増加率 % 経済成長率 % インフレ率 % 電化率 % 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) (2) ソース別発電量計画 RUPTL による 2017 年 ~2026 年までのインドネシアの燃料ソース別の長期電力計画を図 に示す 2026 年に生産される発電総量は 561,841GWh 2017 年 266,625GWh の 2.1 倍に達する 石炭が最も多く ガス 水力 地熱が続く 600,000 GWh 500, , , , ,000 0 輸入その他 ( 太陽光 バイオ等 ) MFO( 石油 ) HSD( ディーゼル ) 水力地熱ガス ( 含 LNG) 石炭 ( 単位 :GWh) 年 石炭 148, , , , , , , , , ,393 ガス ( 含 LNG) 68,912 76,168 89,622 99, , , , , , ,128 地熱 12,395 14,752 17,311 20,166 22,408 26,885 31,186 40,398 46,701 50,500 水力 17,002 17,721 19,730 20,854 24,663 30,477 37,277 46,059 65,672 69,110 HSD( ディーゼル ) 9,984 6,779 3,613 2,745 1,652 1,628 1,699 1,773 1,874 1,976 MFO( 石油 ) 7,750 7,196 2,552 2,127 1, その他 ( 太陽光等 ) 352 1,002 3,123 3,426 4,313 4,411 4,424 4,436 6,330 6,330 輸入 1,919 1,954 1,944 1, 合計 266, , , , , , , , , ,841 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 インドネシア長期電力計画 図 に 2017 年及び 2026 年の燃料ソース別発電割合を示す 2026 年では石炭 51% ガス 27% 水力 12% 地熱 9% である 石炭の割合は ガス及び新 再生可能エネルギーの増加によって 2017 年の 55% から 2026 年には 51% へ減少する 11

40 MFO( 石油 ), その他 ( 太陽光 バイオ等 ), 352, 輸入, 1,919, 水力, 220, 0% 1% 69,110, 12% MFO( 石油 ), 7,750, 3% HSD( ディーゼル ), 9,984, 4% 水力, 17,002, 6% 地熱, 12,395, 5% ガス ( 含 LNG), 68,912, 26% 地熱, 50,500, 9% 石炭, 148,311, 55% ガス ( 含 LNG), 150,128, 27% 輸入, 184, 0% 2017 年 2026 年 HSD( ディーゼル ), 1,976, 0% その他 ( 太陽光 バイオ等 ), 6,330, 1% 石炭, 283,393, 51% 単位 :GWh 単位 :GWh 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 燃料ソース別発電割合 (2017 年及び 2026 年 ) 図 には燃料ソース別の燃料消費量を示す 石炭は 2017 年 8,500 万トンであるが 2026 年には 1 億 5,300 万トンへ増加する ガス バイオマス燃料が増加するが ディーゼル 石油燃料の消費量は減少する Mt 石炭 燃料種類 石炭 (Mt) ディーゼル HSD( 千 kl) 2,762 1,896 1, 石油燃料 HFO( 千 kl) 1,898 1, ガス (TBTU) ,112 1,193 バイオマス ( 千トン ) ,243 1,246 1,248 1,248 1,248 1,248 1,248 1,248 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 燃料ソース別消費計画 12

41 (3) PLN 電力販売計画 (a) セクター別販売計画図 に 2017 年 ~2026 年までの PLN の電力販売計画をセクター別に示す この電力販売計画は PLN と PLN の傘下企業 IPP から購入する電力を含んでいる 全体の電力販売計画では 2017 年 233.8TWh 2026 年には 480.2TWh に増加する 年平均 8.3% の増加率である TWh ( 単位 :TWh) 年 / セクター 年平均増加率 (%) 住宅 工業 商業 公共 計 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 住宅工業商業公共 図 PLN セクター別電力販売計画 図 には 2026 年におけるセクター別電力販売計画の割合示す 住宅 39% 工業 35% 商業 20% 公共 6% である 公共, 28.8, 6% 商業, 97.4, 20% 住宅, 187.8, 39% 工業, 166.2, 35% 2026 年 単位 :TWh 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 年におけるセクター別電力販売計画の割合 13

42 (b) 地域別電力販売計画図 には PLN 地域別電力販売計画を示す 全体では 8.3% の年平均の増加率であるが 地域差が見られる Maluk 12.1% Sulawesi 11.7% Sumatra 11.2% Kalimantan 10.1% Papua 10.5% と 10% 以上の高い伸び率を示しているが Jawa-Bali は 7.2% 程度となっている これは 地方では電化率の上昇に伴って 電力消費量が急激に上がるためと思われる TWh ( 単位 :TWh) 年 / 地域 年平均増加率 (%) Jawa-Bali Sumatra Kalimantan Sulawesi Nusa Tenggara Maluku Papua 誤差 計 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) Jawa Bali Sumatra Kalimantan Sulawesi Nusa Tenggara Maluku 図 PLN 地域別電力販売計画 図 に 2026 年における地域別電力販売計画の割合を示す Jawa-Bali 68% Sumatra 19% Kalimantan 5% Sulawesi 6% で全体の 98% を占め Nusa Tenggara Maluk Papua は 2% に過ぎない 14

43 Sulawesi, 27.8, 6% Kalimantan, 23.4, 5% Nusa Tenggara, 6.2, 1% Maluku, 2.8, 0% Papua, 3.7, 1% Sumatra, 92.4, 19% Jawa Bali, 326.6, 68% 2026 年単位 :TWh 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 年における地域別電力販売計画の割合 図 に 2017 年 ~2026 年までの地域別電力販売計画の年平均増加率を図に示した 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 年 ~2026 年までの地域別電力需要の年平均増加率 (4) 発電所建設計画 (a) ソース別発電所建設計画 RUPTL2017 では 2017 年 ~2026 年の間に 78GW の発電所が建設される計画である 図 に 2017 年 ~2026 年までに建設予定の新規発電所をソース別に分けて示す 発電所建設は 2019 年までの 35GW 計画の影響もあり 2019 年の建設計画が最も大きく 18,666MW に及ぶ また 2025 年には 11,300MW と 2 番目に多い発電所の建設計画となっている 15

44 MW 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, ,688 5,956 18,666 6,584 11,305 7,914 7,860 7,292 5,548 4,060 その他の発電太陽光発電水力発電マイクロ水力発電ディーゼル発電ガスガス火力発電地熱発電石炭火力発電 ( 単位 :MW) 年 合計 石炭火力発電 , , ,000 1,000 6,065 地熱発電 ガス火力発電 150 1,750 1, ,360 ガス 814 2, ,831 PLN ディーゼル発電 0 マイクロ水力発電 水力発電 ,149 太陽光発電 ,000 2,040 その他の発電 0 合計 1,322 4,451 3,773 1,502 2,943 1,715 1,904 1,527 1, ,984 石炭火力発電 ,834 3,915 2,771 3,750 1, ,775 25,872 地熱発電 , ,800 ガス火力発電 500 4, ,490 3, ,435 PLN ガス 子会ディーゼル発電 0 社 + マイクロ水力発電 ,644 IPP 等 水力発電 , ,068 6,255 太陽光発電 ,000 1,900 その他の発電 ,224 合計 1,367 1,506 14,894 5,081 4,971 6,146 3,645 5,765 9,518 4,000 56,893 石炭火力発電 1,163 1,079 10,131 4,593 3,801 3,830 2,200 1, ,775 31,937 地熱発電 ,015 2, ,290 ガス火力発電 150 2,250 6, ,490 3, ,795 ガスガス 922 2, ,594 合計 ディーゼル発電 マイクロ水力発電 ,693 水力発電 ,280 1,035 1,585 1,247 2, ,404 太陽光発電 , ,940 その他の発電 ,224 合計 2,688 5,956 18,666 6,584 7,914 7,860 5,548 7,292 11,305 4,060 77,873 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 年 ~2026 年までの新規発電所ソース別建設計画 16

45 また 図 に新規建設計画 78GW の燃料別内訳を示す 燃料別発電所の建設計画を見てみると 石炭火力発電 41% ガス火力発電 24% 地熱発電 8% 水力発電 11% ガス 7% 太陽光 5% マイクロ水力 2% であり 石炭火力発電が多くの部分を占める 太陽光発電, 5% マイクロ水力発電, 2% その他の発電, 2% ガス, 7% 水力発電, 11% 地熱発電, 8% 78GW 石炭火力発電, 41% ガス火力発電, 24% 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 単位 :MW 図 新規建設計画 78GW の燃料別内訳 (b) 操業形態別発電所建設図 には 操業形態の発電所建設計画を示す 2019 年には IPP の建設が多く 2025 年には 所属未定の発電所の建設が多くなる MW 20,000 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, ,688 5,956 18,666 11,305 7,914 7,860 7,292 6,584 5,548 4,060 所属未定 IPP PLN ( 単位 :MW) 合計 PLN 1,322 4,451 3,773 1,502 2,943 1,715 1,904 1,527 1, ,984 IPP 1,366 1,506 14,893 5,000 4,390 4,373 2,673 2,595 2,290 2,975 42,061 所属未定 , ,170 7,228 1,025 14,829 計 2,688 5,957 18,666 6,583 7,914 7,861 5,548 7,292 11,305 4,060 77,874 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 年 ~2026 年までの新規発電所の操業形態別建設計画 また 図 には新規建設予定の 78GW の操業形態別の割合を示す IPP54% 17

46 PLN27% 所属未定 19% であり IPP が半数以上を占める 所属未定, 14,829, 19% 78GW PLN, 20,984, 27% IPP, 42,061, 54% 単位 :MW 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 建設計画の 78GW の企業別内訳 (c) インドネシアの発電設備容量推移 RUPTL による 2017 年 ~2026 年までの発電所建設計画と 2016 年の発電所設備容量から作成した 2017 年 ~2026 年まで発電設備容量の推移を図 に示す 2016 年の設備容量は 59,741MW から 2026 年には 137,618MW と 2.3 倍増加する 160, , , ,000 MW 80,000 60,000 40,000 20, ( 単位 :MW) 年毎の増加量 2,689 5,957 18,667 6,583 7,914 7,861 5,549 7,292 11,305 4,060 電力設備容量 59,741 62,430 68,387 87,054 93, , , , , , ,618 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 発電設備容量の推移 (5) RUPTL2016 と RUPTL2017 の比較表 に RUPTL2016 と RUPTL2017 の比較を示す 経済成長率は RUPTL2016 では 6.7% であるが RUPTL2017 では 6.2% に下方修正されている また RUPTL2017 では 電化率ほぼ 100% を目標に掲げている 建設予定の発電設備容量は RUPTL2016 では 18

47 80.5GW であるが RUPTL2017 では 77.9GW に減少している また 伝送ライン 変電所の計画を見てみると RUPTL2017 方が RUPTL2016 よりも低く計画されている 表 RUPTL2016 と RUPTL2017 の比較 インドネシア全体スマトラジャワ - バリ東インドネシア 単位 RUPTL RUPTL RUPTL RUPTL RUPTL RUPTL RUPTL RUPTL 経済成長率 % 電力成長率 % 電化率 % 発電所建設容量 MW 80, , , , , , , ,726.0 伝送ライン kms 67, , , , , , , ,894.0 変電所 MVA 171, , , , , , , ,272.0 電力新規契約数 百万 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) (6) 電力需要予測での RUKN 及び RUPTL の比較図 に RUKN RUKN RUPTL RUPTL におけるそれぞれの 2016 年 ~2026 年電力需要予測を示す RUKN の計画が最も高く 続いて RUKN RUPTL となり RUPTL が最も低い値となっている Twh RUKN RUPTL RUKN RUPTL ( 単位 :TWh) RUKN RUKN RUPTL RUPTL 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 電力需要予測での RUKN 及び RUPTL の比較 19

48 1.1.4 長期電力計画の進捗状況と今後の見通し (1) クラッシュプログラム長期電力計画の頓挫の例として 2006 年から進められたクラッシュプログラムが挙げられる クラッシュプログラムは インドネシアの経済成長と同時に急増する電力需給の改善を図る目的で また 同時に石炭火力発電や再生可能エネルギーによる非石油燃料発電所の開発を加速するため インドネシア政府が 海外からの投資を募り進められた電源開発計画であった 表 にクラッシュプログラムの概要を示すが クラッシュプログラムは第 1 次および第 2 次の 2 つの計画が示された 第 1 次クラッシュプログラムは 2006 年に計画が発表されたが 電源は全て石炭火力となっており 開発規模は約 10,000MW であった 当初 2009 年までの開発計画であったが 建設が遅れ そのほとんどが完成しなかったため 計画は数回延長されている その後 クラッシュプログラムに続き 第 2 次クラッシュプログラムが策定された その内容は 電源開発規模は第 1 次クラッシュプログラムと同様に約 10,000MW の新規発電所計画であるが 地熱や水力の開発を促進したものとなっていた しかしながら この計画もうまく進まなかった 結果的には 2 つのクラッシュプログラムにおいて 計画された発電所は 僅かであり インドネシアの電力開発は 大きな挫折を経験することになる その後 Joko Widodo( ジョコ ウィドド : 以後ジョコウィ ) 大統領が新しく就任し 新たな電源開発が提唱され その結果として これまでの第 1 次クラッシュプログラム 第 2 次クラッシュプログラムは 新たな 35GW プログラムに引き継がれることになる 表 クラッシュプログラムの概要 第 1 次クラッシュプログラム 第 2 次クラッシュプログラム 開発計画年 開発方式 PLN 100% PLN 37.6% IPP 62.4% 電源開発量 約 10,000MW 10,153MW ( 内訳 ) ジャワ バリ 7,490MW ( 内訳 ) ジャワ バリ 5,770MW ジャワ バリ以外 2,445MW ジャワ バリ以外 4,383MW 背景 ( 目的 ) 緊急電源開発 ( ジャワ バリ中心 ) 脱石油政策 緊急電源開発 電源の多様化 再生可能エネルギーの導入 電源種別 石炭 100% 再生可能エネルギー :51% ( 内訳 ) 地熱 39% 水力 12% 化石燃料 :49% ( 内訳 ) 石炭 33% ガス 16% 法的根拠 開発所要資金 大統領令 (No.71/2006) (No.59/2009) 大統領令 (No.4/2010) エネ鉱物資源大臣令 (No.2/2010) エネ鉱物資源大臣令 (No.15/2010) で見直し 電源 :80 億 USD 電源 :160 億 USD 送電設備 : 4 億 USD 20

49 (2) 電力計画の進捗状況と問題点と今後の見通し (a) 電力計画の進捗状況インドネシア長期電力計画は RUPTL によって示されているが その目標は毎年変更されるので 電力計画の進捗状況としては 2011 年に示された RUPTL の 2011 年 ~2016 年計画と実際の結果とを比較した まず 発電設備容量の 2011 年 RUPTL 計画と実績比較を図 に示す 2012 年の達成率は 97.4% 2013 年の達成率は 99.1% であるが その後は 発電所の建設がスムーズに行かず 2014 年には 95.4% 2016 年には 87.7% まで下がっている ( 単位 :MW) 2011 年 RUPTL 計画 実績 達成率 ,673 39, % ,443 45, % ,455 50, % ,623 53, % ,533 55, % ,018 59, % 出典 :2011 年 RUPTL Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 発電設備容量の 2011 年 RUPTL 計画と実績 次に発電量の 2011 年 RUPTL 計画と実績を図 に示す 2011 年の達成率は 115.9% と実績は計画を上回っているが その後 計画を下回り 2016 年の達成率は 88.9% まで落ち込んでいる 21

50 ( 単位 :GWh) 年 / 発電量 2011 年 RUPTL 実績 達成率 , , % , , % , , % , , % , , % , , % 出典 :2011 年 RUPTL Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 発電量の 2011 年 RUPTL 計画と実績 (b) 電力計画の問題点と今後の見通しインドネシアの経済発展のためには 健全な電力産業の成長が不可欠であり 長期的な視野での電力計画が必要である しかしながら クラッシュプログラムで経験したように インドネシアの電力開発は スムーズに進んでいるとは言いがたく 以下に示す問題点が指摘されている 電力への補助金 PLN の財務体質の脆弱性 発電所建設に伴う認可手続き 法制度の障害 政府保証 土地収用問題 ローカル コンテンツ 環境対策 以下に それぞれの問題点と今後の見通しについて記す 1) 電力への補助金公共インフラの費用を一部政府が肩代わりすることは 先進途上国では よく行われていることであり インドネシアでも同様の政策が取られ インドネシアの電力料金やガソリンなどには 政府補助金が注がれている 政府補助金は 安い電気代 ガソリン代等の浪費に 22

51 つながり その結果 補助金の増大を招く悪循環の危険もはらんでいる 電力の補助金の場合は 電力料金と発電コストの差額を政府が補填するという方法が取られているが 石油などの燃料の高騰により インドネシアでの補助金の総額は 10 年前 70 億 USD を超えていた PLN は国営電力会社であり 政府の意向を汲んで 電気料金を上げられない状況にあり 財務上の大きな課題となっている 電力料金への補助金が嵩むと 国が進める発電計画への予算が削られ スムーズな発電所建設に困難をきたしてきた こういう現状を踏まえ インドネシア政府は 補助金の削減を進めてきた 図 に 2013 年 ~2017 年 (2017 年は見込み ) の補助金の推移を示す 電力と石油他に分けているが 2013 年には 電力で 75 億 USD 石油他で 154 億 USD 総計で 229 億 USD の補助金が注がれていたが 2015 年から減少に転じ 2017 年は 電力 33 億 USD 石油他 24 億 USD 総計で 57 億 USD まで減少しており 今後も補助金の削減は続くものと思われる ( 単位 : 百万 USD) 電力 7,461 7,313 4,285 4,358 3,324 石油他 15,439 17,951 4,506 3,620 2,364 計 22,900 25,264 8,791 7,978 5,688 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 政府補助金の推移 2)PLN の財務体質の脆弱性 PLN はインドネシア電力開発の中心であり 長期的な電力開発計画を達成するためには 財務体質の安定が不可欠である PLN は 発電所の建設のほかにも電力の配電部門も担っており 発電計画を達成するためには 多額の費用を要する しかし 現在の PLN の財務状況は 負債が多く債務超過の危機にさらされている 2017 年 9 月 財務省は 国営電力会社 PLN に対して 財務リスクが高まっているとして 公式的な警告文を発している そのため PNL は 発電効率のアップ IPP からの電力購入価格の引き下げ また 国内石炭価格の低下を強く望んでいる 23

52 3) 発電所建設に伴う認可手続き 法制度の障害インドネシアの認可制度は 中央政府に続き 地方政府の認可も必要となるため 認可取得に時間がかかることは 従前から指摘されていた課題である インドネシアでは 1990 年代に施行された地方分権法によって 地方の権限が大きくなったため 地方自治体独自の法規則を制定している そのため 発電所建設の認可の権限が 中央の各省庁や地方自治体に分散しており その結果として 認可に時間を要するという大変非効率的な行政の状況となっていた ただ ジョコウィ政権は 中央政府の許可も地方政府の許可も一箇所でできる窓口を設け 一度申請すれば政府がフォローする体制を作った また IPP 企業からは 納税に伴う法運用に対して 透明性がなく 使い道がはっきりしないとの声が挙がっていたが ジョコウィ政権は これらの声に対しても インドネシア全国規模での法制度改革に乗り出している 4) 政府保証インドネシアの IPP は多くの外国企業を呼び込む必要がある 外国企業の積極的な参入には政府保証が必要である IPP 企業は オフテーカ リスクを政府保証でカバーすることによって 金融機関とのプロジェクト ファイナンスを引き出すことができる そのため 政府保証は IPP 実施のための必須条件である これまでは 財務省による政府保証が付与されてきたが 2013 年バンテン石炭火力発電 IPP 以降 政府保証なしで実施される IPP も出てきている 結果的には インドネシアでの IPP 事業のリスクを高めており 今後の発電計画での課題の一つと言える 政府保証については 今後の動きを注視する必要がある 5) 土地収用問題セクター法 ( 電力法 ) に基づき IPP 案件では 用地取得義務は電力事業者が負うことになっているが クラッシュプログラム それに続く 35GW 発電計画等の国家優先事業においては 政府が用地取得を支援してきた しかしながら 土地収用に対して政府の責任が明確化されていないため IPP 企業が実施すべき土地収用は 大きな負担となり事業の遅延を招いている 伊藤忠商事 ( 株 ) 電源開発( 株 ) PT. Adaro Energy が建設を進めている中部ジャワでの IPP 案件は 日本とインドネシアは EPA(Economic Partnership Agreement: 経済連携協定 ) のもと 2011 年建設開始予定であったが 工事が本格的に始まったのは 2016 年と 5 年のプロジェクト遅延を余儀なくされている 2015 年 8 月 28 日 ジョコウィ大統領は 事業予定地を訪問し 建設開始 を宣言し 大統領の強いイニシアティブによって 収用プロセスの加速が進められた経緯がある 6) ローカル コンテンツインドネシアでは 国内産業の育成と保護の観点から インフラ設備の一部の調達は 国内企業に限定するという法律が施行されている 発電所を建設する IPP 事業においても 本法律の範疇にあり 現在の規則では 全体に占める 38.1% の設備機器をインドネシア国内 24

53 の企業から調達する必要がある しかしながら 38.1% もの大きな部分を国内企業から調達することは技術的レベルから困難な状態にある この法律は 当然ながら 超々臨界 (USC) の石炭火力発電所の高度な機材にも適用されているが 超々臨界の設備は これまで以上に高度であり インドネシア国内での調達は 困難な状態であると言われている そのため 高効率な石炭火力発電所やその他 高品位の環境設備を導入する場合は 本制度の見直しが必要となる こういう状況の中 インドネシア政府内では IPP 企業と個別に話し合いが行われており 事業がスムーズに進む均衡点を設定し 事業の早期完成を行う動きが活発になっている (c) 環境対策インドネシアでの火力発電所建設に対する住民の反対は根強く 地域住民から建設中止を求めた訴訟が行われるケースが少なくない 特に石炭については 粉塵 煤煙 SOX NOX 重金属などについての規制が設けられており 石炭火力発電所建設に当っては 環境対策を十分に行い 地域住民の理解得る必要がある 近年 環境保護団体の動きが活発であり また 地球温暖化での石炭に対する風当たりが強まっていることも相まって 地域住民への環境対策の公開説明会は厳しさを増しているが IPP 企業は 定期的に NGO や住民と会談を継続している 25

54 第 2 章 35GW 電力計画の進捗動向及び今後の見通し 2.1 当初計画と実績対比ジョコウィ大統領は電力需要に備えたクラッシュプログラムが順調に進まないため 新たに 35GW 電力計画を立ち上げている この計画では 2015 年から 2019 年までに 35GW の発電設備を新たに計画する 当初計画 (1) 発電計画 (a) 全体計画図 GW 電力計画の概要を示す 総発電容量は 35GW 送電線は 42,360kms 変電所数は 996 箇所に及ぶ また PLN において 450 億 USD IPP において 430 億 USD 総計で 880 億 USD が必要とされている また 計画に際しては Bappenas が作成する国家中期開発計画 (RPJMN:Rencana Pembangunan. Jangka Menemgah Nasional) における経済成長率を 6.7% 電力需要増加率 8.8% を採用している 発電建設計画 ( ) 35.5 GW 電化率 97,2% PLN: 発電容量送電線変電所数 : GW : 42,000 kms : 996 locations IPP 発電容量変電所数 : 25.3 GW : 360 kms 必要額 450 億米ドル USD 必要額 430 億米ドル USD 経済成長率 6,7% (Draft RPJMN Bappenas) 電力需要増加率 8,8%. 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 GW 電力計画の概要 また 35GW の構成は PLN は 10.23GW(29%) IPP は 25.3GW(71%) である ( 図 2.1-2) 26

55 35GW 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 GW 電力計画の形態別割合 (b) 地域別発電計画また 35GW において建設される発電所の地域別発電計画について図 に示す Jawa-Bali 20,891MW Sumatra 8,740MW Kalimantan 1,871MW Sulawesi 2,704MW Nusa Tenggara 701MW Maluku 279MW Papua 342MW である ( 単位 :MW) Jawa-Bali Sumatra Kalimantan Sulawesi Nusa Tenggara Maluku Papua 計 PLL 5,019 1, , ,223 IPP 15,872 7, ,305 計 20,891 8,740 1,871 2, ,528 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 GW で建設される発電所の地域別設備容量 27

56 (c) ソース別発電計画図 に 35GW 電力計画のソース別発電計画を示す 石炭火力が最も多く 52.3% 続いてガス 38.6% 水力 6.7% 地熱 1.6% 石油 0.2% その他 0.6% である その他の中には ソーラー 風力 バイオなどの新 再生可能エネルギーが含まれている ( 単位 :MW) 発電の種類 MW MW 割合 石炭 石炭火力 15,799 18, % 石炭火力 ( 山元 ) 2,940 水力 水力発電 1,060 2, % マイクロ水力発電 312 揚水発電 1,040 地熱 地熱 % ガス ガス , % コンバインド / ガスエンジン 1,947 コンバインド蒸気 / ガスエンジン 9,220 コンバインド蒸気 / 蒸気ガスエンジン 450 ガスエンジン 1,779 石油 ディーゼル % その他 その他 % 計 35,836 35, % 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 GW ソース別発電計画 (d) 年別の発電計画図 に年別発電計画を示す 2016 年 2.3GW 2017 年 5.8GW 2018 年 8.8GW 2019 年 19GW と 2019 年に発電所の完成時期が集中している 28

57 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 年別発電計画 ( 発電設備容量 ) (e)35gw+ 建設中の 7.4GW の発電所建設 35GW 発電計画は 2015 年時点で建設中の 7.4GW の発電設備容量に 35GW の発電設備を新たに 2019 年までに建設するというもので 合計では 42.4GW となる ただ 具体的な数字は 42.9GW とする資料となっている 図 に 42.9GW とした発電容量増設計画を示す 石炭火力発電が 6 割を占める 発電所の数では PLN 156 IPP 135 総計で 291 である 19,320 9,240 4,130 3,710 6,550 ( 図 2.1-6) 29

58 発電所の設備容量 ( 単位 :MW) 計 PLN 2,660 2,350 4,830 3,780 4,410 18,030 IPP 1,470 1,360 1,720 5,460 14,910 24,920 計 4,130 3,710 6,550 9,240 19,320 42,950 発電所の数 計 PLN IPP 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 発電容量増設計画と発電源構成割合 表 に 42.9GW 発電計画の発電量 伝送ライン 変電所の状況を地域別に示す 建設される発電所の発電容量は Jawa-Bali が圧倒的に多く 23,863MW で全体の 55% を占める ただ 発電所の数は Jawa-Bali 以外が多くなる これは 小容量の発電所が数多く建設されているためである また 伝送ラインは Jawa-Bali は既に伝送ライン建設が進んでいるため 全体の 24% と少ないが Sumatra Kalimantan Sulawesi & Nusa は これまで伝送ラインの敷設が少なかったため多くの割合を占める 表 GW 発電計画の発電量 伝送ライン 変電所の状況 単位 西東 Sumatra Kalimantan Sulawesi& Maluku Jawa-Bali Jawa-Bali Nusa Papua 計 発電量 MW 14,090 9,773 11,327 2,852 4, ,940 伝送ライン KMS 6,865 4,320 19,305 7,883 7,207 1,017 46,597 変電所 MVA 41,841 24,242 32,406 3,910 5, ,789 単位 西東 Sumatra Kalimantan Sulawesi& Maluku Jawa-Bali Jawa-Bali Nusa Papua 計 発電サイト サイト 伝送ライン ライン 変電所 箇所 ,375 単位 西東 Sumatra Kalimantan Sulawesi& Maluku Jawa-Bali Jawa-Bali Nusa Papua 計 発電量 百万 USD 13,313 11,297 14,631 5,007 6,443 1,276 51,967 伝送ライン 百万 USD 5,942 5,942 変電所 百万 USD 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 (f) 発電所の建設計画位置発電所の建設計画位置をスマトラ ジャワ カリマンタン スラウェシに分けて 図 ~ 図 に示す 図中には石炭火力発電所以外の発電所も含まれる また 表 に図中の発電形式の略語をまとめた 30

59 表 略語のまとめ 略語 尼語 日本語 PLTU Pusat Listrik Tenaga Uap 石炭火力発電所 PLTGU Pusat Listrik Tenaga Gas & Uap ガス火力発電所 PLTA Pusat Listrik Tenaga Air 水力発電所 PLTMG Pusat Listrik Tenaga Mesin Gas ガスエンジン発電所 PLTGU/MG Pusat Listrik Tenaga Gas & Uap/Mesin Gas コンバインド蒸気ガス / ガスエンジン発電所 PLTP Pusat Listrik Tenaga Panas Bumi 地熱発電所 PLTM/MH Pusat Listrik Tenaga Mini/Mikro Hidro ミニ水力発電所 PLTD Pusat Listrik Tenaga Diesel ディーゼル発電所 PLTS Pusat Listrik Tenaga Surya 太陽光発電所 出典 : 資料を元に作成 31

60 32 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 スマトラの発電所建設計画

61 33 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 ジャワの発電所建設計画

62 34 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 カリマンタンの発電所建設計画

63 35 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 スラウェシの発電所建設計画

64 (2) 35GW 発電計画の進捗状況の分類発電所建設の進捗状況は 表 に示す 5 段階の内容によって分類されている 表 GW 計画の進捗状況の定義 分 類 内 容 状 況 計画段階 まだ計画中である 調達段階 契約調整中 建設は始まっていない 売買契約 (PPA 3 ) PPA が既に結ばれている 着工済み段階 建設が始まっている 建設中 商業運転 受領証明段階 商業運転の証明書を取得している (COD) 完成 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 35GW 発電計画スタート時の発電所進捗情況を表 に示すが 既に建設が始まっている 7.4GW 以外に 35GW が計画されている すべて 着工済み段階までには 至っておらず 発電プロジェクトを建設の計画段階 調達段階 売電契約段階からスタートすることとなる 表 GW 発電計画スタート時の進捗状況 石炭 地熱 天然ガス ガスタービン / ガスエンジン ミニ水力 水力 揚水発電 その他 ( 単位 :GW) 計画段階 調達段階 売電契約段階 着工済み段階 商業運転 / 受領証明段階総計 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 計 実績対比 (1) 各時点での進捗状況 (a)2016 年 9 月 2016 年 9 月 8 日 東京で開催されたクリーン コール デー国際会議 (CCD 国際会議 2016) で エネルギー 鉱物資源省電力総局が発表した 2016 年 8 月の時点での 35GW の発電所の建設進捗状況をソース別に図 に示す 計画段階 (22%) 調達段階(30%) 売電契約 (PPA) 段階 (24%) 着工済み段階(23%) 商業運転 受領証明(COD: Commercial Operation Day/SLO: Sertifikat Laik Operasi) 段階 (1%) である 着工済み段階と商業運 3 PPA: Power Purchase Agreement( 電力購入契約 ) 36

65 転 受領証明段階を建設が始まった段階とすれば その他の計画段階 調達段階 売電契約段階を合わせて 建設がまだ始まっていない段階とすることができる 今回の時点では 建設が始まった段階は 24% 建設が始まっていない段階は 76% となり計画は遅れていた 石炭火力発電所も 75% の建設がまだ 始まっていない状況であった ( 以後 着工済み段階と商業運転 受領証明段階を合わせて建設が始まった状態 計画段階 調達段階 売電契約段階を合わせて建設がまだ始まっていない状態と呼ぶ ) 12,000 10,762 10,000 8,000 7,871 8,641 8,190 太陽光発電バイオマス発電 MW 6,000 風力発電水力発電マイクロ水力発電 4,000 地熱発電揚水発電 2, ガスエンジンガス火力発電コンバインドサイクル / ガスエンジンコンバインドサイクル発電 石炭火力発電 計 着工済み段階, 8,190, 23% 商業運転 / 受領証明段階, 164, 1% 計画段階, 7,871, 22% 売電契約段階, 8,641, 24% 調達段階, 10,762, 30% ( 図 ) 単位 :MW 37

66 計画 段階 調達 段階 売電契約段階 着工済み段階 商業運転 / 受領証明段階 ( 単位 :MW) 石炭火力発電 3,800 3,150 7,798 4,965 19,713 コンバインドサイクル発電 1,950 4,285 1,250 7,485 コンバインドサイクル / ガスエンジン 450 1,700 2,150 ガス火力発電 ,043 ガスエンジン ,330 揚水発電 1,040 1,040 地熱発電 マイクロ水力発電 水力発電 風力発電 バイオマス発電 太陽光発電 2 2 計 7,871 10,762 8,641 8, ,628 % 22.1% 30.2% 24.3% 23.0% 0.5% 100.0% 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 (CCD 国際会議 2016) 図 年 9 月時点での 35GW 計画の進捗状況 計 (b)2017 年 4 月 2017 年 4 月の状況を図 に示す PLN IPP に分けて示している 全体の進捗状況を見てみると建設が始まった状態は 32% に上昇している PLN での建設が始まった状態の割合は 42% IPP では 28% である IPP は売買契約段階が 38% とあり 今後建設が始まる発電所が多くあるということを意味し 今後の早期着工に期待が持てる 着工済み段階, 3,915, 40% 売電契約段階, 0, 0% 商業運転 / 受領証明段階, 168, 2% PLN 9.7GW 調達段階, 2,699, 28% 計画段階, 2,891, 30% 単位 :MW 着工済み段階, 6,656, 26% 商業運転 / 受領証明段階, 539, 2% 売電契約段階, 9,793, 38% IPP 26GW 計画段階, 2,733, 10% 調達段階, 6,311, 24% 単位 :MW 商業運転 / 受領証明段階, 707, 2% 計画段階, 5,624, 16% 着工済み段階, 10,571, 30% 売電契約段階, 9,793, 27% 全体 35.7W 調達段階, 9,010, 25% 単位 :MW ( 図 ) 38

67 ( 単位 :MW) PLN IPP 計 % 計画段階 2,891 2,733 5,624 16% 調達段階 2,699 6,311 9,010 25% 売電契約段階 0 9,793 9,793 27% 着工済み段階 3,915 6,656 10,571 30% 商業運転 / 受領証明段階 % 総計 9,673 26,032 35, % 出典 :PLN 図 年 4 月時点での 35GW 電力計画の進捗状況 (c)2017 年 11 月電力総局が発表した 2017 年 11 月の状況を図 に示す 建設が始まった状態の割合が 45% に増加している しかし 計画段階 19% 調達段階 13% 売電契約段階 23% と建設がまだ始まっていない状態が 55% と多い 2019 年までに 35GW すべての発電所の稼動が始まるという目標からすると 残り期間が 2 年半弱であるため 大変厳しい状況にあることは否めない 商業運転 / 受領証明段階, 783, 2% 計画段階, 6,970, 19% 35GW 調達段階, 4,563, 13% 着工済み段階, 15,266, 43% 売電契約段階, 8,255, 23% 単位 :MW ( 単位 :MW) 発電量 % 計画段階 6, % 調達段階 4, % 売電契約段階 8, % 着工済み段階 15, % 商業運転 / 受領証明段階 % 総計 35, % 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 年 11 月時点での 35GW 電力計画の進捗状況 図 には 11 月の Tempo 4 に記載された地域別の 35GW 電力計画の進捗状況を示す 5 東 西 Jawa の場合 建設が始まった状態の割合は 50% を超えるが Sumatra Sulawesi Maluk/Papua では 20% 台である また Kalimantan が 59% と最も高い 4 インドネシアの地元紙 5 電力総局と Tempo では多少数字が異なる部分もある 39

68 14,000 12,000 10,000 MW 8,000 6,000 4,000 2,000 0 中部 Jawa 西 Jawa 東 Jawa/Bli /Nusa Tenggara Sumatra Kalimantan Sulawesi Maluk /Papua 計画段階調達段階売電契約段階着工済み段階商業運転 / 受領証明段階 出典 :Tempo 中部 Jawa 西 Jawa 東 Jawa/Bli /Nusa Tenggara Sumatra Kalimantan Sulawesi 図 地域別 35GW 電力計画の進捗状況 Maluk /Papua ( 単位 :MW) 計画段階 100 1,000 1,073 2, , ,970 調達段階 , ,563 売電契約段階 2,005 4, , ,255 着工済み段階 3,067 6, ,603 1, ,617 商業運転 / 受領証明段階 総計 5,672 13,225 2,813 9,040 2,544 3, ,169 建設が始まった段階 3,067 6,780 1,012 2,035 1, ,381 建設が始まった割合 54% 51% 36% 23% 59% 26% 23% 41% 計 (2) 進捗状況の比較図 には 2016 年 9 月 ( 電力総局 ) 2017 年 4 月 (PLN) 2017 年 11 月 ( 電力総局 ) 時点での建設が始まった状況の割合を示す 2014 年の計画段階の 0% から 2016 年 9 月には 23% 2017 年 4 月には 32% 2017 年 11 月には 45% とまで増加している 伸び率は次第に上昇している 40

69 ( 単位 ;MW) 2016 年 9 月 2017 年 4 月 2017 年 11 月 計画段階 7, % 5, % 6, % 調達段階 10, % 77% 9, % 68% 4, % 55% 売電契約段階 8, % 9, % 8, % 着工済み段階 8, % 23% 10, % 32% 15, % 商業運転 / 受領証明段階 % % % 45% 総計 35, % 100% 35, % 100% 35, % 99.8% 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局図 GW 電力計画の進捗状況 41

70 2.2 計画進捗での問題点と今後の見通し 計画進捗での問題点と改善処置インドネシアでの電力開発の問題点は 電力への補助金 PLN の財務体質の脆弱性 発電所建設に伴う認可手続き 法制度の障害 政府保証 土地収用問題 ローカル コンテンツ 環境対策などが挙げられているが 35GW 電力計画でも 土地収用 政府保証 ローカル コンテンツ 認可手続きの複雑化 マルチ融資などの問題が浮上している よって インドネシア政府は 35GW 電力計画を実施するに当たり 以下の改善点を示している 土地収用の強化 1ha 以上の土地購入には特別委員会の開催による監査が必要であるが 5ha 以上に変更し 5ha 以下であれば直接土地所有者から購入できるようにする 政府保証 35GW 発電計画への資金に対する 財務省からの政府保証の実施に向けて 財政基盤を強化する ローカル コンテンツ現状では産業省大臣規則 2012 年 54 号によって 35MW 以下の発電所は 60~70% 100MW を越えると 30% のローカル コンテンツが課せられているが 超々臨界の発電所では 技術的な課題もあり 個別の発電所建設に応じて見直す 認可手続きの簡素化発電所建設の認可にあたり 中央政府 地方政府の両方の認可が必要であるが 中央政府への一本化を行うなど 認可プロセスの簡素化を試みる エネルギー 鉱物資源省内にプロジェクト管理室を設置 35GW の発電計画を一括管理する機関として エネルギー 鉱物資源省内にプロジェクト管理室 (PMO: Project Management Office) を設置し 国家電力開発実施ユニット (Implementation unit of the National Electricity Development Program(UP3KN) が置かれた PLN 内に IPP 調達専門室を設置 35GW 発電計画で 10MW の建設を行う PLN 内に IPP 調達専門室を設置し 外部からのコンサルタント雇用を促進し 計画 調達 契約等の実務処理の敏速化を図る マルチ バイの開発融資 PLN 発電計画に対するマルチ バイでの開発融資 (WB, ADB, JICA,CDB etc.) また インドネシア政府は クラッシュプログラムの苦い経験から 35GW 電力計画の入札では 価格だけではなく 技術的評価も盛り込むようになった 具体的には 入札時での技術の指定と絞込み 土地収用も含めた入札の実施 PLN 電力引き取り価格上限設定など IPP 建設促進に向けた新たな動きとして注目され 新技術を導入する IPP 企業にも配慮さ 42

71 れた内容となった 今後の見通し 2017 年 11 月時点での 35GW の進捗状況は 計画段階 7.0GW(19%) 調達段 4.6GW (13%) 売電契約段階 8.3GW(23%) 着工済み段階 15.3GW(43%) 商業運転/ 受領証明段階 0.78GW(2%) である 建設が始まった発電所は 45% まで増加しているが 全体の 55% の発電計画は 建設がまだ始まっておらず 石炭火力発電所の建設期間には 3~5 年の年月がかかることを考慮すると 2018 年までの 35GW 発電計画の達成は 非常に難しい状況にある また 35GW 発電計画では 2016 年には 2.3GW 2017 年には 5.8GW となっているが これまでの実績として完成した発電所 ( 商業運転 / 受領証明段階 ) は 0.78GW と僅かである 43

72 第 3 章石炭火力発電所の稼動 新設の見通し 3.1 発電設備容量推移 操業形態別発電設備容量 2017 年 11 月の操業形態別発電設備容量を図 に示す インドネシア全体では 60,163MW である 内訳は PLN( 国営電力会社 )41,409MW(70%) IPP( 独立発電事業者 )13,298MW(22%) PPU( 自家発電業者 )2,434MW(4%) IO non BBM ( 石油以外の燃料による許可を得た区域内発電 )2,392(4%) である IO non BBM( 区域内 ), 2,392, 4% PPU( 自家発 ), 2,434, 4% IPP, 13,298, 22% 60,163 MW PLN, 41,409, 70% 単位 :MW 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 発電設備容量 ソース別発電設備容量図 にソース別発電設備容量を示す 石炭 29,800MW(50%) ガス 16,800(28%) 新 再生可能エネルギー 7,200(12%) 石油 6,200(10%) である 石油, 6,200, 10% 新 再生可能エネルギー, 7,200, 12% ガス, 16,800, 28% 60,163 MW 単位 :MW 石炭, 29,800, 50% 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 ソース別発電設備容量 44

73 3.1.3 石炭発電設備容量推移図 に石炭発電設備容量推移を示す 2007 年は 12,014MW であったが 2016 年には 29,880MW と 2.5 倍に増加している 1 年間の平均増加率は 10.65% である 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 石炭発電設備容量推移 45

74 3.2 石炭発電量推移図 に石炭発電量推移を示す 2007 年は 63,902GWh であったが 2016 年には 135,381GWh と 2.2 倍に増加している 1 年間の平均増加率は 8.7% である 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 石炭発電量推移 また 図 に石炭消費量の推移を示す 2007 年は 3,242 万トンであったが 2016 年は 7,540 万トンと 2.4 倍に増加している 1 年間の平均増加率は 9.8% である 出典 :Handbook of Energy & Economic Statistics of Indonesia 2017 図 石炭消費量の推移 46

75 3.3 建設計画の実績と将来計画 石炭火力発電所の現状と計画図 にはジャワ島の石炭火力発電所の位置を示す ( 図中の黄色部は 現在計画案及び建設中の発電所位置を示す ) また ジャワ島における石炭火力発電所の一覧表を表 に示す 出典 : 資料を元に作成 図 ジャワ島における石炭火力発電所の位置 47

76 表 ジャワ島における主要石炭火力発電所一覧 発電所名 ユニット設備容量番号 (MW) 操業開始 所有者 備考 Suralaya Indonesia Power Indonesia Power Indonesia Power Indonesia Power Indonesia Power Indonesia Power Indonesia Power Indonesia Power Labuan PLN PLN Lontar PLN PLN PLN PLN 建設中 Indramayu PLN PLN PLN 4 1, PLN 計画中 Cilacap IPP(PJB JV) IPP(PJB JV) IPP(PJB JV) Adipara PLN Tanjung Jati B PLN(Central Jawa Power) PLN(Central Jawa Power) PLN(Central Jawa Power) PLN(Central Jawa Power) 5 1, PLN(Central Jawa Power) 計画中 (Jawa 4) 6 1, PLN(Central Jawa Power) 計画中 (Jawa 4) Central Jawa Adaro 伊藤忠 J パワー計画中 Adaro 伊藤忠 J パワー計画中 Rembang PLN PLN Paiton PJB PJB Jawa Power Jawa Power Paiton Energy Paiton Energy Paiton Energy Pacitan PLN PLN Cirebon Cirebon Electric Power Tanjung Awar-Awar 2 1, Cirebon Electric Prasarana PLN PLN 計画中 (Jawa 1) Pelabuhan Ratu PLN PLN PLN Jawa 5 1, PLN 計画中 Jawa 6 1, PLN 計画中 Jawa 7 1, PLN 計画中 Jawa 8 1, PLN 計画中 Jawa 12 1, /23 PLN 計画中 Jawa 13 1, PLN 計画中 出典 : 資料を元に作成 48

77 表 には ジャワ島以外の主要石炭火力発電所の一覧表を示す また 図 には ジャワ島以外の石炭火力発電所の位置を示す ( 図中の黄色部は 現在計画中 建設中の発電所位置 ) ただ ユニット番号 操業開始日のデータは入手していない 表 ジャワ島以外の主要石炭火力発電所一覧 地域 発電所名 設備容量 (MW) 備考 スマトラ Labuhan Angin 2 115MW Tarahan 2 100MW Bukit Asam 4 65MW Ombilin 2 100MW Simpang Blinbing 2 135MW Keban Agung 2 135MW 建設中 Banjar Sari 2 100MW カリマンタン Pangkaln Bun(IPP) 2 6MW Embalut(IPP) MW Asam-asam 2 55MW スラウェシ Tawaeli Palu 2 15MW(IPP) Amurang 2 25MW Kendari 2 10MW Barru 2 50MW Jeneponto 2 100MW(IPP) 出典 : 資料を元に作成 出典 : 資料を元に作成 図 ジャワ島以外の石炭火力発電所の位置 49

78 3.3.2 石炭火力発電所の将来計画 (1) RUPTL による石炭火力発電所計画 (a) 操業形態別石炭火力発電所建設計画図 に 2017 年 ~2026 年までの操業形態別石炭火力電所建設計画を示す 総計では 2017 年 ~2026 年の間に 31,937MW の石炭火力発電設備容量が増加する計画である この内 PLN は 6,065MW(19%) IPP 他は 25,872MW(81%) であり PLN の割合は少ない また PLN における 2025 年 2026 年の石炭火力発電所の建設はゼロとなる 2017 年 ~2019 年の 3 年間の建設計画として 12,373MW( 全体 31,937MW の 38%) が示されているが これは 2019 年までに新たに 35GW 増加させるというジョコウィ大統領の政策によるものである ( 単位 :MW) 合計 PLN , , ,000 1,000 6,065 IPP 他 ,834 3,915 2,771 3,750 1, ,775 25,872 計 1,163 1,079 10,131 4,593 3,801 3,830 2,200 1, ,775 31,937 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 図 インドネシアにおける石炭火力発電所建設計画 (b) 地域別石炭火力発電所建設計画図 に地域別石炭火力発電所の建設計画を示す 石炭火力の発電所は 山元石炭火力発電所と通常の石炭火力発電所に分けて示している 地域別に見てみると Jawa が最も多く 17.2GW(54%) 続いて Sumatra が 8.1GW(25%) Kalimantan が 4GW(12%) Sulawesi が 2.8GW(9%) である 山元石炭火力発電所の割合は 全体で 7.4GW(23%) Sumatra Kalimantan が多く それぞれ 5.7GW 1.7GW である Jawa Sulawesi には石炭産地が無く 山元石炭火力発電所の建設計画は無い 50

79 ( 単位 :GW) Jawa Sumatra Kalimantan Sulawesi 計 % 石炭火力 % 山元石炭火力 % 計 % % 54% 25% 12% 9% 100% 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) を元に作成 図 地域別石炭火力発電所建設計画 51

80 3.4 土地収用 環境問題の現状インドネシアでは 石炭火力発電所建設に対して 土地収用 環境問題が発生し 地元住民の反対運動が発生しているため 石炭火力発電所の建設が計画どおりに進んでいない 中部ジャワの石炭火力発電所は 2011 年 4 月に行われた国際入札で 電源開発 (J パワー ) と伊藤忠商事が現地の石炭企業の PT. Adaro Energy と組んで優先交渉権を獲得し 同年 10 月に同 JV が国営電力会社 PLN と契約を結んだが 土地収用 環境問題で住民運動が始まり 建設が始まったのは 2016 年 6 月と 5 年間遅れた 土地収用問題インドネシアでの土地収用に関しては 法的整備が遅れていたため 石炭火力発電所の建設ばかりではなく 道路 港湾など公共インフラの建設でも大きな障害となっていた 2006 年の第 6 号大統領令で土地収用の方向性 ( 旧土地収用法 ) が示されたが 土地収用の細かい規定が示されておらず また 用地取得の責任について必ずしも明確に定められていなかったため 土地収用は 依然として大きな課題とされてきた その後 インドネシア政府は 土地収用の改革に乗り出し 2010 年の 13 号大統領令により 政府が用地取得に責任を持つことが明確に定められた その後 2012 年 第 2 号法令が制定され 土地収用の手続きが明確化された この法令は 新土地収用法と呼ばれている その後 2012 年の第 71 号大統領令が発行され 詳細な実施プロセス 所管する関連機関が明確化されている 新土地収用法によって以下の内容が改善された 新土地収用プロセスの明確化土地収用のプロセスとして計画 準備 遂行 譲渡の 4 つに区分された 計画段階は 開発事業者が事業計画による土地収用計画を作成する 準備段階は 土地収用計画を地方自治体が受理し 地方政府は 当該地域への通知 事前調査 公聴会を開催する その後 土地収用の遂行 譲渡が行われる 土地収用に関する窓口の一本化計画は 開発事業者 準備は 地方自治体が行うが 土地収用に関する遂行 譲渡手続き 補償 交渉については ワンストップで国家土地庁 (BPN:National Land Agency) が実施する 独立した鑑定士 (Appraiser) のによる補償額算定の実施国家土地庁は 鑑定士から補償額の算定結果が提出された後 30 日以内に補償に関する交渉を実施しなければならない 交渉内容に合意しない場合 補償対象者は交渉期間から 14 日以内に地区裁判所に提訴することができる 交渉決裂の場合の訴訟プロセスの明確化補償対象者から地区裁判所に提訴が行われた後 地区裁判所は 30 日以内に補償の形式 金額に関する判断を下さなければならない 地区裁判所の判決に不服の場合 補償対象者は 14 日以内に控訴することにより 高等裁判所 (Supreme Court) に諮ることができる 高等裁判所は地区裁判所と同様 30 日以内に補償の形式 金 52

81 額に関する判断を下さなければならない 高等裁判所での決定は最終決定となり 補償対象者はこの決定に従う必要がある その後 2015 年の 38 号大統領令が発行されたが 従来の新土地収用法の基本路線を踏襲しており 用地取得は土地関連法令 ( 新土地収用法および実施細則 ) に基づき実施することが規定されている 政府契約機関は 開発事業者の準備期間中に 事業用地候補を決定し 用地取得計画および ( 用地取得を含む ) 予算計画を作成する必要があり 同計画をベースに入札が行われることとなっている 環境問題インドネシアでの環境対策は 1997 年に環境管理法 (1997 年法律第 23 号 ) が制定され その後 環境保護 管理法 (2009 年法律第 32 号 ) によって 中央政府および地方政府に対して戦略的環境計画を策定することを求めている また 2012 年政令第 27 号によって 環境ライセンスに関する内容が規定された 現在 インドネシアにおける全ての事業活動は その開始に当たって 環境ライセンス を取得する必要がある ある事業が環境に対して重大な影響を及ぼすと予想される場合 環境影響評価 ( AMDAL: Analisis Mengenai Dampak Lingkungan Hidup) 環境影響評価 ( ANDAL: Analisis Dampak Lingkungan Hidup ) 環境管理計画(RKL: Rencana Pengelolaan Lingkungan Hidup) 環境モニタリング計画(RPL: Rencana Pemantan Lingkungan Hidup) を作成 承認を受けることが求められ 承認された場合には 環境ライセンス が与えられる エネルギー 鉱物資源省でも 2009 年大臣令 30 号 2012 年大臣令 14 号が公布され 地方政府 中央政府の責任が明確化されている さらに 2016 年大臣令第 10 号では 石炭火力発電所に特化した運転ライセンスが整備され 石炭火力発電所の操業前での取得が義務化された 石炭火力発電所に係る環境への地元住民の不安は大きく 石炭火力発電所建設においては 地域住民の理解が不可欠であり そのためには 大気汚染 水質汚染に対する万全な対策が望まれている また 2015 年 11 月 30 日の COP21 を受けて インドネシア政府は 2030 年 29% の CO2 排出削減目標を決定した CO2 排出量を現在の約 4 億トンから約 2.8 億トンまで下げる目標を立てている こういう状況を踏まえ インドネシア政府は 石炭のクリーンユースに取り組んでおり 石炭火力発電所においては CCT(Clean Coal Technology) 技術の導入 特に発電効率を上げるために従来の亜臨界 (Sub Critical) から超臨界 (SC:Super Critical) 超々臨界 (USC:Ultra Super Critical) の石炭火力発電所建設に大きく舵を切っている 図 に石炭火力発電所の高効率化計画を示すが 今後 超臨界 (SC) 超々臨界(USC) の発電所が建設され 将来的には IGCC(Integrated coal Gasification Combined Cycle: 石炭ガス化複合発電 ) の発電所がインドネシアで計画されている 53

82 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 石炭火力発電所の高効率化計画 今後の超々臨界の発電所建設計画を表 に 発電所位置を図 に示す 表 超々臨界石炭火力発電所計画 プロジェクト名 位置 発電容量 (MW) Jawa1 西 Jawa(Cirebon) 1 1,000 Jawa4 中央 Jawa(Tanjung Jati) 2 1,000 Jawa5 西 Jawa(Banten) 2 1,000 Jawa6 西 Jawa 2 1,000 Jawa7 Banten 2 1,000 Jawa8 中央 Jawa 1 1,000 中部ジャワ 中央 Jaw(Batang) 2 1,000 Jawa12 Jakarta 特区 2 1,000 Jawa13 中央 Jawa 2 1,000 Indoramayu4 西 Jawa Indoramayu 1 1,000 Indoramayu5 西 Jawa Indoramayu 1 1,000 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 出典 : 資料を元に作成 図 超々臨界発電所建設計画の位置 54

83 また 超々臨界の石炭火力発電所の採用によって CO2 排出量は CO2 トン /MWh から CO2 トン /MWh へ減少する 図 に RUPTL で示された 2017 年 ~2026 年までのソース別 CO2 の発生量を示す 2020 年を超えて CO2 発生量が抑制され 2025 年には 減少する 亜臨界の発電所から超々臨界の発電所へ変わって行く時期と関連している 百万トン ( 単位 : 百万トン ) 石炭 ガス 石油 計 出典 :2017 年 RUPTL(2017 年 ~2026 年 ) 石炭ガス石油 図 RUPTL における化石燃料発電に伴う CO2 の発生量 また 表 に各国の 大気汚染の基準値を示す インドネシアは 各国と比べて汚染物質の基準値が緩く今後の課題となる 表 大気汚染の各国の基準値 各国 粉塵 SOx NOx mg/nm 3 mg/nm 3 mg/nm 3 備考 日本磯子火力実績値 規定は条件で異なる モンゴル 1, EU 産業排出指令 :2010/75/EU 2016 年 1 月施行 中 全体 火力発電所における大気汚染物質排出基準 国 北京等重点地域 (GB13223) 2011 年 インド 環境保護法 (1986) に基づくルール改正 (SO3305) 2015 年 2017 年 1 月 ~ 新設 フィリピン インドネシア 150(100) (750) ( ) は 2008 年 12 月以降に建設された発電 所に適用 ベトナム 650 揮発分 10% 以上 ,000 揮発分 10% 以下 タイ 出典 : 資料を元に作成 55

84 3.5 石炭灰問題 概要インドネシアにおいて 2015 年に石炭火力発電所から排出される石炭灰は総計で 438 万トンであった しかしながら そのほとんどが有効利用されず 発電所近郊に放置され その処理は 石炭火力発電所の大きな重荷になっている その最大の理由は インドネシアでは石炭灰が有害廃棄物の分類 B3 に指定されており 原料としての利用が制限されてきたためである しかしながら 近年石炭灰の有効利用に向けて 石炭灰を分類 B3 から外す動きが出てきており エネルギー 鉱物資源省 環境森林省 公共事業省は協力協定を締結し その活動を推し進めている 石炭灰はセメントの原料以外にも土木資材 建築資材としての用途が可能である ( 図 参照 ) また 農業での肥料 水産での漁礁としその用途は拡大している 他原料との混合 出典 : 環境森林省 図 石炭灰の用途 石炭灰の利用用途石炭灰の利用分野は以下の通りである セメント分野 土木分野 建築分野 農林水産分野 (1) セメント分野セメント分野では セメント原材料 セメント混合材 コンクリート混和材の利用が可能である 56

85 (a) セメント原材料セメントは 石灰石 粘土 けい石 鉄原料をロータリーキルンにて約 1,450 で焼成し セメントクリンカが製造され クリンカに石膏を混ぜてセメントになる 石炭灰は粘土と組成が類似するため 粘土の代替として石炭灰の使用可能である ただし石炭灰は粘土に比較してシリカ (SiO2) の量が少ないため 粘土代替としての使用量は 40~50% が上限といわれている (b) セメント混合剤セメント混合材は, セメントクリンカ製造後 石膏と一緒に石炭灰を混ぜるものである フライアッシュ混合セメントの名称で販売される 混合に際しては フライアッシュの品質変動がコンクリートに影響を与えるため 仕様が管理された JIS 規格を合格した石炭灰だけが使用されている (c) コンクリート混和材コンクリートの製造時に混和材として利用する 混和材は粉末度の調整などにより 生コン等の品質を改善することができる コンクリート混和材として使用されているフライアッシュは 一般的に JIS 規格品となっており 粒子が球形であることから ベアリング効果により生コンの流動性を高め 単位水量の削減に寄与できる フライアッシュを用いたコンクリートの硬化後の特徴としては 十分な湿潤養生を行った場合 セメントの水和によって生じた水酸化カルシウムと反応して 不溶性の化合物を作り ( ポゾラン反応 ) それによって長期材齢の強度 水密性 化学的な作用に対する抵抗性が高まる 従って フライアッシュは マスコンクリートや水理構造物など 乾燥しにくいコンクリート構造物用への使用に適する利点がある (2) 土木分野土木分野では 地盤改良材 土木工事用 道路路盤材 アスファルト フィラー材としての利用が可能である (a) 地盤改良材深層及び浅層混合処理工法の固化材としてセメントに石炭灰を混合したものを使用し 低強度から高強度までの幅広い地盤改良ができる 特に 低強度の地盤改良では大幅なコスト削減が可能である 表層処理工法では固化材として石炭灰にセメント 水等を混合したものを使用して 軟弱土の物性を改善し 混合直後に重機が走行できるなど 従来の固化材にない改良効果が期待できる SCP 工法で用いる砂の代替材として石炭灰にセメント ベントナイト 水を混合して造粒したものが使用されている 海砂と同等の締固め効果及び施工性が期待でき 天然資源の消費抑制が図られる 57

86 (b) 土木工事用盛土材 埋戻材は 石炭灰にセメント 水を混合して製造しており 軽量で粉塵発生がなく通常の土質材料と同様に施工でき 土砂採取に伴う環境破壊を抑制できる 裏込材 充填材は 石炭灰にセメント 水を加えてスラリー状にしたものであり 軽量で流動性に優れているため 荷重の軽減 施工性の向上が図られるとともに砂の代替材として石炭灰を利用しているので天然資源の消費抑制となる (c) 道路路盤材路盤材として石炭灰にセメント 石膏 水を加えて造粒したものを使用し 締固めることにより高強度の良質な路盤ができる (d) アスファルト フィラー材フィラー材についてはアスファルト舗装要綱で JIS 灰の使用が認められており ボールベアリング効果によりアスファルト量を低減できる (3) 建築分野建築分野では 建材ボード 人工軽量骨材 コンクリート 2 次製品の利用が可能である (a) 建材ボードフロアボードとして フライアッシュを主原料 (60%) とし 火山礫などその他ガラス繊維を強化材として加え フェノール樹脂を添加し プレス加工したものが加工性に富み かつ 不燃性のフロア材として実用化されている (b) 人工軽量骨材主原料としてフライアッシュを 副原料として粘結剤や比重調整剤を混合し 水を添加した小粒型の人工軽量骨材である 構造用軽量コンクリート用骨材や外壁材並びにプレキャストコンクリート等コンクリート二次製品用骨材として使用されている (c) コンクリート 2 次製品コンクリート二次製品 ( コンクリートブロック等 ) に用いられるコンクリート用混和材として利用されている また 粘土瓦 れんが タイルなどの窯業製品の粘土代替原料に利用されている (4) 農林水産分野農林水産分野では 肥料 融雪材 魚礁 土壌改良材としての利用が可能である (a) 肥料 融雪材フライアッシュ クリンカアッシュともに特殊肥料の指定を受けている 石炭灰を主原料としたけい酸加里肥料の工業化が成功し 加里質普通肥料として認可されている この肥料 58

87 は フライアッシュ中のけい酸を有効に利用するために苛性加里等を加えて焼成した緩効性加里肥料で 肥効が長続きし 根を丈夫にする等の特徴がある (b) 魚礁石炭灰の環境改善の効果としては 泥の堆積抑制 親水性向上効果 透水性の改善 貧酸素水塊の発生抑制があり 柔軟性のある生態系の構築 ( 生物の増加 多様性 ) が可能とされている 人工漁礁は 既に実用化段階であるが 海洋で大規模人工湧昇流を発生させるための人工海底山脈築造による新しい漁場開発への研究も進められ 実用化の段階にある 石炭灰を大量に配合した大型コンクリートブロックが用いられ 生態系の構築と製造コスト低減に寄与している (c) 土壌改良材クリンカアッシュは 透水性 保水性に優れるため ゴルフ場等で土壌改良材として利用されている インドネシアでの石炭灰利用状況公共事業省では 石炭灰有効利用技術の確立に向けた研究に取り組んでいる また 一部の発電所で比較的性状が良質なフライアッシュについては セメント会社や生コン会社向けをはじめとする有効利用が進んでいるが ボトムアッシュの有効利用が今後の課題である 図 に石炭灰の歩道ブロックへの有効利用を示す 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 歩道ブロックへの有効利用 59

88 3.5.4 日本での利用状況図 に日本での石炭灰発生量 使用量 利用率を示す 2015 年度における石炭灰の発生量は 1,271 万トン 使用量は 1,247 万トンであるが 近年大きな変化は無い 利用率は 97%~98% を維持している 石炭の使用量は 1 億 1,321 万トンである 約 10% が石炭灰として発生する 千トン 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2, 発生量使用量利用率 99% 98% 98% 97% 97% 96% ( 単位 : 千トン ) 年度 発生量 10,952 11,903 11,572 12,655 12,893 12,615 12,715 使用量 10,668 11,522 11,371 12,357 12,492 12,378 12,466 利用率 97% 97% 98% 98% 97% 98% 98% 石炭使用量 95, ,212 99, , , , ,217 出典 : 石炭灰全国実態調査報告書 ( 平成 27 年度実績 ):Japan Coal Energy Center 図 日本での石炭灰発生量及び使用料 利用率 図 に 2015 年度の利用種別の使用量を示す セメント分野が最も多く 863 万トン (69%) 続いて 土木分野 170 万トン (14%) 建築分野 60 万トン (5%) 農林水産分野は 僅か 14 万トン (1%) である その他 ( 下水汚染処理 製鉄など ) は 138 万トン (11%) である 農林水産分野, 141, 1% 建築分野, 606, 5% 土木分野, 1704, 14% 1,247 万トン その他, 1380, 11% セメント分野, 8635, 69% 出典 : 資料を元に作成 ( 単位 : 千トン ) 図 年度利用種別使用量 60

89 また 2015 年度の分野別の内訳は表 の通りである 石炭灰は 74% が電気事業 ( 石炭火力発電所 ) から 残りの 26% は一般産業からの石炭灰である 消費先の産業別ではセメントが 69.3% 土木 13.7% 建築 4.9% 農林水産分野 1.1% である 表 年度の分野別の内容内訳 分野 分類 電気事業 一般産業 計 % セメント分野 セメント原材料 6,199 2,282 8, % セメント混合剤 % セメント混和材 % 計 6,342 2,293 8, % 土木分野 地盤改良材 % 土木工事用 % 道路路盤材 % アスファルト フィラー材 % その他 % 計 1, , % 建築分野 建材ボード % 人工軽量骨材 % コンクリート 2 次製品 % 計 % 農林水産分野 肥料 融雪材 % 漁礁 % 土壌改良剤 % 計 % その他 下水汚染処理剤 % 製鉄用 % その他 1, , % 計 1, , % 総計 9,165 3,301 12, % % 73.5% 26.5% 100.0% 出典 : 石炭灰全国実態調査報告書 ( 平成 27 年度実績 ):Japan Coal Energy Center 61

90 3.6 日本企業が参入している石炭火力発電所日本は 国の成長戦略 国際展開戦略の一環として 日本の 強みのある技術 ノウハウ を最大限に活かして 世界の膨大なインフラ需要を積極的に取り込むことにより 日本の力強い経済成長につなげていくこととしている このような背景から インドネシアでは日本企業が参入する石炭火力発電所が増えている 参入では 建設設備における日本企業以外のローカル コンテンツが課題の一つとなる 日本企業が参入している主要な石炭火力発電所は 以下の通りである Paiton 発電所 Central Jawa プロジェクト Tanjung Jati B 5 号機 6 号機拡張事業 Cirebon 発電所拡張 No.2 プロジェクト Lontar 発電所拡張 No.4 プロジェクト Indoramayu 発電所拡張 No3 No4 プロジェクト Paiton 発電所東ジャワ Probolinggo 県 Paiton に位置する インドネシア第 2 の都市スラバヤから東方 2 時間の距離である Paiton 発電所には 1PJB Paiton 2Jawa Power 3Paiton Energy の発電所が稼動している PJB Paiton は ユニット 1 ユニット 2 を所有している また Paiton Energy は Paiton I( ユニット 7 ユニット 8) と Paiton Ⅲ( ユニット 9) を所有し Jawa Power は Paiton II(Paiton ユニット 4 ユニット 5) を所有している PJB Paiton は 400MW 2 の発電容量を有し オーナーは PLN 1993 年に運転を開始している Paiton Energy は 三井物産が 40.5% フランス/ エンジー (Engie: 旧 GDF スエズ ) が 40.5% 東京電力が 14% 現地株主であるサラトガ社(PT. Saratoga) が 5% 出資している Paiton I (1,230MW:615MW 2 基 ) と Paiton Ⅲ (815MW) は 其々 1999 年と 2012 年に運転開始し 合計発電容量は 2,045MW である Paiton Ⅲは超臨界の発電能力を持つ PT. Jawa Power は Paiton II 610MW 2 の発電容量を有し Siemens Project Ventures GmbH 50% YTL Power International and Marubeni Corporation 35% インドネシア国内企業 PT. Bumipertiwi Tatapradipta 15 % の資本構成である 丸紅が資本参加を行っている発電所である PT. Jawa Power のユニット 5 とユニット 6 は それぞれ 2000 年 7 月及び 11 月に運転開始している また PJB Paiton PT. Paiton Energy PT. Jawa Power の発電所の概要と写真を表 に一括してそれぞれ示す 62

91 表 各発電所の概要 (PJB Paiton) 項目 内容 地点 東ジャワ Probolinggo 県 Paiton 発電方式 亜臨界石炭火力発電 出力 400MW 2 燃料 インドネシア産亜瀝青炭 スキーム BOOT(Build-Own-Operate-Transfer) 方式 出資者 PT. PLN Persero( インドネシア国営電力会社 ) 電力販売先 販売先 :PLN 運転開始 1993 年運転開始 保守運営 PT. Pembangkitan Jawa Bali (PT. PJB) 契約 30 年 (PT. Jawa Power) 項目 内容 地点 東ジャワ Probolinggo 県 Paiton 発電方式 亜臨界石炭火力発電 出力 Paiton II 610MW 2 燃料 インドネシア産亜瀝青炭 スキーム BOOT(Build-Own-Operate-Transfer) 方式 Siemens Project Ventures GmbH 50% 出資者 YTL Power International and Marubeni Corp 35% PT. Bumipertiwi Tatapradipta 15 % 電力販売先 販売先 :PLN 運転開始 2000 年 7 月及び 11 月 保守運営 PT. Jawa Power 契約 PPA30 年 (PT. Paiton Energy) 項目 内容 地点 東ジャワ Probolinggo 県 Paiton 発電方式 亜臨界石炭火力発電 出力 PaitonⅠ610MW 2 Paiton III 815MW) 燃料 インドネシア産亜瀝青炭 スキーム BOOT(Build-Own-Operate-Transfer) 方式 三井物産 40.5% 出資者 フランス / エンジー (Engie: 旧 GDF スエズ )40.5% 東京電力 14% 現地株主であるサラトガ社 (PT. Saratoga)5% 電力販売先 販売先 :PLN 運転開始 Paiton I 1999 年 Paiton III 2012 年 保守運営 PT. Paiton Energy 契約 2001 年から 40 年間 Central Jawa プロジェクト Central Jawa プロジェクトは中部ジャワ州バタン県の発電所計画である 2010 年 10 月に PT. Adaro Power (34%)(Adaro Energy の子会社 ) と電源開発 (34%) 伊藤忠商事 (32%) が出資して 超々臨界圧石炭火力発電所の建設を目的に PT. Bhimasena Power Indonesia を設立した 当初予定では 2016 年後半に 1,000MW ユニットが操業を 63

92 開始し その後 2017 年に 2 番目の 1,000MW ユニットの操業が計画されていた しかし 土地所有者や環境団体の反対のため 土地収用がなかなか進まず工期が遅れていたが 2016 年 2 月にインドネシアの最高裁判所は反対派のインドネシア共和国土地収用法の適応に係る違法性に関する訴訟を棄却した これにより 最初の 1,000MW ユニットは 2020 年に操業開始の計画となった なお 同プロジェクトでは 2016 年 6 月 3 日に総額約 34 億 USD 相当のプロジェクトファイナンスベースの融資契約 ( 以下 : 融資契約 ) を 株式会社国際協力銀行 (JBIC) 三井住友銀行 三菱東京 UFJ 銀行 みずほ銀行 三井住友信託銀行 三菱 UFJ 信託銀行 新生銀行 農林中央銀行 DBS 銀行 華僑銀行 (Oversea-Chinese Banking Corporation) と締結している 図 にプロジェクト位置を 表 には 発電所の概要を示す 出典 : 電源開発 ニュースリリース 6 図 Central Jawa プロジェクト位置図 表 発電所の概要 項目 内容 地点 中部ジャワ州バタン県 発電方式 超々臨界圧 (USC:Ultra Super Critical) 石炭火力発電 出力 200 万 kw(100 万 kw 2) 燃料 インドネシア産亜瀝青炭 スキーム BOOT(Build-Own-Operate-Transfer) 方式 電源開発 :34% 出資者 PT. ADARO POWER:34% 伊藤忠商事 :32% 電力販売先 販売先 :PLN( インドネシア国営電力会社 ) および契約期間 期間 : 運転開始後 25 年間 保守運営 BPI(PT. BHIMASENA POWER INDONESIA) 工程 ( 予定 ) 平成 32 年 (2020 年 ) 6 月 :1 号機運転開始平成 32 年 (2020 年 )12 月 :2 号機運転開始 出典 : 資料を元に作成

93 3.6.3 Tanjung Jati B 5 号機 6 号機拡張事業 Tanjung Jati B 発電所は 中部ジャワ州ジェパラ県に位置する石炭火力発電所である 現在 2,640MW(660 4 基 ) のユニットが操業中である 4 基のプラントは 2 つのフェーズで建設されており 現在は 1,000MW 2 の超々臨界圧石炭火力発電所を建設する第 3 フェーズが計画されている 出資者は 住友商事 (50%) ケービング ネザーランド (25%)( 関西電力子会社 ) ユニトラ ペルサダ エネルジア(25%) である 第 3 フェーズ (1,000MW 2) は 2013 年から 2022 年までの PLN 長期計画に記載されており PLTU Jawa4(5 号機 6 号機を建設 ) と呼ばれている 第 3 フェーズは 25 年間の BOT(Build Operate and Transfer) スキームとし その後 PLN に移管される計画である 総プロジェクト費用は 5,000 億円と予想されているが 2017 年 2 月時点での資金調達は 億 USD であると発表されている 建設箇所は 既存発電所に隣接して建設されるため 土地収用の問題は無く 2017 年 8 月にユニットの建設が始まり 2021 年に完成見込みである 図 に発電所の位置と状況を 表 に発電所の概要をそれぞれ示す 出典 : 住友商事 ニュースリリース 7 図 Tanjung Jati B 発電所位置及び状況 表 Tanjung Jati B 発電所の概要 項目 内容 事業位置 中部ジャワ州ジェパラ県 発電形式 容量 USC 1,000MW 2 基 開始時期 2016 年 完成時期 2020 年 事業会社 ブミ ジャティ パワー社 売電先 PLN 出資者 ケービング ネザーランド社 ( 関電子会社 ):25% 住友商事 :50% ユニトラ ペルサダ エネルジア :25% 出典 : 資料を元に作成

94 3.6.4 Cirebon 発電所拡張 No.2 プロジェクト Cirebon 発電所は 西ジャワ州チレボンに位置する石炭火力発電所である 2012 年 10 月に操業を開始しており 現在は 660MW のユニットが操業中である Cirebon 発電所拡張 No.2 プロジェクトでは 1,000MW のユニットを建設する予定である 同プロジェクト費用は 20 億 USD と推定され 2020 年に操業予定とされている さらに Cirebon 発電所拡張 No.3 プロジェクトが計画されており 1,000MW のユニットを建設予定であり 費用は 21 億 USD と推定されている No.2 3 の拡張計画に向けて丸紅 (35%) インディカ エネルギー (25%) サムターン(20%) 韓国中東電力(10%) 中部電力(10%) が出資し コンソーシアムである Cirebon energy Prasarana (CEPR) を設立した なお CEPR は丸紅主導であり 米国のグローバルエンジニアリング会社の Black & Veatch とエンジニアリング契約を締結している Cirebon 発電所位置及び発電所も状況を図 に発電所の概要を表 にそれぞれ示す 出典 : 丸紅 ニュースリリース 8 Cirebon Electric power HP 9 図 Cirebon 発電所位置及び発電所の状況 項目事業会社出資比率所在地発電設備容量総事業費売電先売電期間出典 : 資料を元に作成 表 発電所の概要内容 PT. Cirebon Energi Prasarana 丸紅 35% Indika 25% Samtan 20% Komipo 10% 中部電力 10% インドネシア西ジャワ州 Cirebon 1,000MW 約 20 億 USD PLN 25 年間

95 3.6.5 Lontar 発電所拡張 No.4 プロジェクト Lontar 発電所は バンテン州に位置する石炭火力発電所である 現在 945MW のユニットが操業中である 同発電所では 3 ユニットが操業しており ユニット 1(2011 年開始 ) ユニット 2(2012 年開始 ) ユニット 3(2013 年開始 ) であり 3 ユニットの建設費用は 8 億 5,000 万 USD とされている 同発電所は IHI がボイラーを供給するユニット 4 を計画している 同計画の発電容量は 315MW と小型であるが 超々臨界圧石炭火力発電所であるとされている 図 Lontar 発電所拡張 No.4 プロジェクト位置と既存発電所の状況を 表 発電所の概要をそれぞれ示す 出典 : 住友商事 ニュースリリース 10 POWER ENGINEERING INTERNATIONAL 11 図 Lontar 発電所拡張 No.4 プロジェクト位置と既存発電所 項目出資会社所在地発電設備容量発電方式売電先ボイラー納入会社出典 : 資料を元に作成 表 発電所の概要 内容 Black & Veatch International Company ( アメリカの大手エンジニアリング ) PT. Satyamitra Surya Perkasa( インドネシア土木会社 ) ジャワ島バンテン州 315MW 超々臨界圧 (USC:Ultra Super Critical) 石炭火力発電 PLN IHI Indoramayu 拡張 No3 No4 プロジェクト Indoramayu 発電所は西ジャワ州 Indoramayu 県に位置し 330MW 3 基が現在稼働中であるが 新たに 1,000MW 2 基 (4 号時 5 号機 ) の増設が計画されている 発電方式は

96 超々臨界圧である 2010 年 JICA による実施可能性調査が行われ JICA はインドネシア政府の要請を受けて 資金 FS を行ってきており 建設資金は円借款が予定されている 図 には発電所の位置と既存 330MW 3 基の状況を 表 には新規発電所の概要を示す 出典 :PLN 資料 図 既存の 330MW 3 基 項目出資比率所在地発電設備容量総事業費発電方式売電先出典 : 資料を元に作成 表 発電所の概要内容国際協力機構ジャワ島西ジャワ州 Indoramayu 1,000MW 2 基 2 億 USD 超々臨界圧 (USC:Ultra Super Critical) 石炭火力発電 PLN 68

97 第 4 章石炭需給動向の現状及び見通し 4.1 主要石炭会社 ( 生産トップ 10) の概要 ( 資本形態 生産量 輸出量 傘下の炭鉱 輸出インフラ等 ) 石炭生産の現状 (1) インドネシア全体 (a) 生産量 輸出量 国内消費図 にインドネシアの出炭量 輸出量 国内消費の推移を示す 出炭量は 2013 年の 4 億 7,400 万トンをピークに減少している 輸出量も同じく 2013 年の 4 億 200 万トンをピークに減少している 国内消費は 2012 年 7,900 万トン その後は微増となり 2016 年は 9,000 万トンであった ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 インドネシアの出炭量 輸出量 国内消費の推移 (b) 企業別出炭量インドネシアの炭鉱企業は 政府との契約の違いなど操業形態によって 石炭鉱業契約 (CCoW) の第一世代 第 2 世代 第 3 世代の炭鉱 また 石炭採掘のライセンスを得て石炭採掘を行う IUP 炭鉱 それに国営炭鉱公社 (PTBA) に分けられる インドネシアの石炭生産量の 2005 年から 2016 年までの実績を表 に示す 69

98 表 炭鉱別出炭量の推移 ( 単位 : 千トン ) 炭鉱名 PTBA 8,606 9,292 8,555 10,099 10,830 11,919 12,389 13,728 13,601 15,621 18,580 18,780 PT.Adaro Indonesia 26,686 34,368 36,037 38,482 40,590 42,199 47,667 44,560 53,800 55,321 52,590 50,766 PT.Allied Indo Coal, PT.Arutmin Indonesia 16,757 16,234 15,394 15,735 19,298 20,426 22,832 26,410 27,143 32,310 25,370 28,364 PT.Berau Coal 9,197 10,533 11,811 13,052 14,336 17,383 19,444 20,900 23,945 24,224 27,010 25,449 PT.Indominco Mandiri 5,752 10,302 11,455 10,797 12,396 14,252 14,765 14,710 15,191 14,979 13,190 15,362 PT.Kaltim Prima Coal 32,000 35,301 38,754 36,288 38,154 39,951 40,452 41,240 53,416 52,335 55,060 57,617 PT.Kideco Jaya Agung 18,217 18,900 20,541 21,900 24,692 29,049 31,395 34,630 37,300 39,999 39,670 32,124 PT.Multi Harapan Utama 2,060 1,074 1,080 1,872 1,528 1,832 1,311 1, ,992 2,690 1,694 PT.Tanito Harum 2,100 2,710 2,690 2,557 3,239 3,513 2,469 3,350 2,512 1, st Generation 112, , , , , , , , , , , ,115 PT.Antang Gunung Meratus 1, ,404 3,490 4,268 4,830 6,530 6,485 PT.Bahari Cakrawala Sebuku 3,000 3,495 3,382 3,531 1,982 1,104 1, PT.Borneo Indobara ,219 1,182 1,118 2,754 3,780 4,045 4,626 6,280 7,463 PT.Jorong Barutama Greston 3,475 3,092 2,676 2,419 3, ,426 1,260 1,215 1,307 1, PT.Kartika Selabumi Mining 1,200 1, PT.Mandiri Intiperkasa 1,082 1,165 1,854 1,995 2,451 2,979 3,074 2,660 3,649 4,858 4,170 3,446 PT.Marunda Graha Mineral 829 1,367 1,452 1, , ,286 1,717 1, PT.Riau Bara Harum ,265 2,218 1,551 1,170 1, PT.Trubaindo Coal Mining 5,000 4,284 3,555 4,544 5,183 5,545 7,021 8,300 8,657 7,089 7,320 5,242 2nd Generation 16,185 16,001 15,427 16,205 16,675 16,216 19,989 22,040 24,446 24,755 27,010 24,290 PT.Asmin Coalomdo Tuhup 216 1,740 2,857 3,230 1,911 1, ,048 PT.Asmin Bara Boronag 327 2,000 3,090 3,720 PT.Bangun Banua Persada Kalimantan PT.Baramarta 1,286 2,256 3,723 4,335 3,252 2,527 4,433 3,690 1,609 1,411 1,700 1,624 PT.Bara Sentosa Lestari 4 50 PT.Batu Alam Selaras PT.Baturona Admulya ,100 1, PT.Baramulti Suksessarana 27 0 PT.Baramutiala Prima 583 PT.Bharinto Ekatama 2,080 2,523 2,770 2,109 PT.Dhama Puspita Mining PT.Firman Ketaun Perkasa ,265 2,860 2,002 1,802 1,750 1,541 PT.Guning Bayan Prartama Coal 4,300 5,156 4,532 3,459 4,142 4,053 3,458 3,440 3,453 3, PT.Insani Bara Perkasa ,007 2,249 4,222 4,260 4,260 3,384 3,110 3,176 PT.Intitirta Perima Sakti 0 PT.Indexim Coalindo 120 2, ,600 2,788 PT.Interex Sacra Raya PT.Kadya Caraka Mulia PT.Kalimantan Energi Lestari ,991 2,045 2,070 1,786 PT.Karya Bumi Baratama 629 PT.Lianggan Cemerlang, PT.Lana Harita Indonesia 5,752 1,685 1,480 1,302 1,397 1,977 2,239 2,970 3,300 3,465 2,990 3,149 PT.Lahai Coal PT.Mahakam Sumber Jaya 2,304 2,926 2,936 3,058 4,537 5,303 7,983 9,270 9,695 6,604 3,570 3,226 PT.Multi Tambang Jaya Utama PT.Nusantara Temal coal , ,446 1, PT.Perkasa Inakerta 523 1,144 2,012 2,685 3,129 2,540 2, PT.Pesona Khatulistiwa Nusantara ,300 1,220 4,847 4,170 2,060 1,165 PT.Pendopo Energi Batubara PT.Sumber Kurnia Buana 1,298 1,341 1,526 1,018 1, PT.Santan Batubara 1,249 1,992 1,725 2,670 1, PT.Senamas Energindo Mulia PT.Singulurus Pratama Coal 478 1,095 1,748 2,300 2,719 2,317 1,720 1,158 PT.Suprabari Mapanindo Mineral 110 PT.Tamban Damai 180 1,044 1,160 1,610 1,128 PT.Tanjung Alam Jaya 1,587 1,466 1,465 1,654 1, PT.Teguh Sinar Abadi 209 1,021 1,092 1, PT.Wahana Baratama Mining 772 2,887 2,574 4,234 3,780 3,070 2,035 1,470 1,129 3rd Generation 18,346 16,463 18,267 20,810 27,101 33,377 44,913 47,350 53,927 42,919 32,980 33,314 Total of CCoW 147, , , , , , , , , , , ,719 KP, IUP Others 9,518 25,310 36,834 52,363 45,615 49,883 95, , , , , ,501 Total 165, , , , , , , , , , , ,000 出典 :Indonesia Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 70

99 (c) 作業形態別出炭量図 には 操業形態別の石炭生産量の推移を示す 第一世代 第 2 世代の炭鉱は すべて操業段階に入っており 近年新規炭鉱からの石炭生産は見込めないが 第 3 世代には 開発中の炭鉱が残っており 今後の出炭増が期待できる IUP は 2011 年以降 続々と新しい炭鉱が開発されたため 大幅な生産量の増加となっている PTBA 出炭量は毎年増加している 千トン 500, , , , ,000 0 IUP(KP) PTBA 第三世代 第二世代 第一世代 ( 単位 : 千トン ) 年 IUP(KP) 9,518 25,310 36,834 52,363 45,615 49,883 PTBA 8,606 9,292 8,555 10,099 10,830 11,919 第三世代 18,346 16,463 18,267 20,810 27,101 33,377 第二世代 16,185 16,001 15,427 16,205 16,675 16,216 第一世代 112, , , , , ,605 計 165, , , , , ,000 年 IUP(KP) 95, , , , , ,501 PTBA 12,389 13,728 13,601 15,621 18,580 18,780 第三世代 44,913 47,350 53,927 42,919 32,980 33,314 第二世代 19,989 22,040 24,446 24,755 27,010 24,290 第一世代 180, , , , , ,115 計 353, , , , , ,000 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 炭鉱形態別石炭生産量の推移 図 に 2016 年における操業形態別の生産量の割合を示す 第一世代が最も多く 2.12 億トン (47%) 続いて IUP 1.67 億トン (37%) 第 2 世代 3,300 万トン (7%) 第 3 世代 2,400 万トン (5%) PTBA 1,800 万トン (4%) であった 第一世代が多くを占める 71

100 IUP(KP), 167,501, 37% 2016 年 4.56 億トン 第一世代, 212,115, 47% PTBA, 18,780, 4% 第三世代, 33,314, 7% 第二世代, 24,290, 5% ( 単位 : 千トン ) 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 年形態別出炭量の割合 (d)2016 年州別及び企業形態別出炭量図 に 2016 年における州別 操業形態別生産量を示す 州別では東カリマンタン 南カリマンタンで 全体の 84% の生産を占める また 企業形態別では CCoW が 59% IUP( 国内資本 ) が 35% PTBA が 4% IUP( 外国資本 ) が 2% である 千トン 180, , , , ,000 80,000 60,000 40,000 20,000 0 CCoW PTBA IUP ( 外国資本 ) IUP ( 国内資本 ) ( 図 4.1-4) 72

101 ジャンビ, 5,977, 1% 南スマトラ, 32,550, 7% ベンクル, 3,166, リアウ, 536, 0% 1% 西スマトラ, 321, 0% アチェ, 623, 0% IUP ( 国内資本 ), 158,235, 35% 中央カリマンタン, 12,325, 3% 北カリマンタン, 16,085, 4% 南カリマンタン, 152,651, 33% 2016 年 4.56 億トン 東カリマンタン, 231,765, 51% 単位 : 千トン IUP ( 外国資本 ), 9,266, 2% PTBA, 18,780, 4% 2016 年 4.56 億トン CCoW, 269,719, 59% 単位 : 千トン ( 単位 : 千トン ) 地域 CCoW PTBA IUP IUP ( 外国資本 ) ( 国内資本 ) 計 東カリマンタン 157,514 4,798 69, ,765 南カリマンタン 98,947 1,596 52, ,651 中央カリマンタン 6,439 5,886 12,325 北カリマンタン 4,611 11,474 16,085 南スマトラ 1,579 18,780 2,871 9,320 32,550 ジャンビ 629 5,348 5,977 リアウ ベンクル 3,166 3,166 西スマトラ アチェ 計 269,719 18,780 9, , ,000 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 年州別石炭生産量 (e) 炭鉱データ炭鉱のデータを表 にまとめた また 今回の現地調査で訪問した東カリマンタンの PT. Raja Kutai Baru Makmur (RKBM) について その概要を添付資料 1 に記した 73

102 表 炭鉱データ No.1 州 石炭企業 / 炭鉱 操業形態 開発発熱量全硫黄灰分全水分生産量 ( 万トン ) 輸出量備考 Blook/Area/Product 段階 kcal/kg(ad) (adb)(%) (adb)(%) (ar)(%) Aceh PT Media Djaya Bersama IUP P Riau PT Abadi Batubara Cemerlang CCoW( 第 3 世代 ) FS 4,400-5, PT Riau Baraharum CCoW( 第 2 世代 ) P 5,700-6, ,312, ,408 1,176,937 1,000, , ,254 PT Bangun korin Utama IUP P 6,400-7, PT Bukit asam (Persero) Tbk IUP P BA45, BA50, BA55, BA64, IPC53 5,300-7, ,085 16,365 19,282 9,589 8,664 9,049 West Sumatra PT Karbindo Abesyapradhi IUP P KA01, KA02, KA03, KA04 5,300-6, PT Lumpo IUP C 6,307-7, PT Prima Perkasa Abadi IUP E 5,500-7, PT Asia Multi Investama IUP P E5000, E4000 5, PT Beruang Putih IUP P 7, PT CitraTobindo Sukses Perkasa IUP P 5,300-5,500 < 0.5 < 6 45 PT Dwi Ghita Karya Mandiri IUP P 5, PT Intitirta Primasakti CCoW( 第 3 世代 ) P Block A, B 4,303-5, Jambi PT Karya Bumi Baratama CCoW( 第 3 世代 ) C 5,200-5, PT Kuansing Inti Makmur IUP P Kim East, West 5, PT Minemex Indonsia IUP P 5, PT Nusantara Termal Coal CCoW( 第 3 世代 ) P West, East Area 5,300-5, PT Sarolangun Bara Prima IUP P 5, PT Sarwa Sembanda Karya Bumi CCoW( 第 3 世代 ) C Durian Luncuk, senami, Kilangan 4,586-5, PT Bukit Bara Utama IUP P 6, PT Bukit Sunur IUP P Spec.1, Spec.2, Spec.3 5,000-6, PT Cipta Buana Seraya IUP P 6,300-7, Bengkulu PT Delapan Paser Sejahter IUP P Low, edium Rank 5,100-5, PT Kaltim Global IUP P 5, PT Kusuma Raya Sejahtera IUP P 6, PT Rekasindo Guriang Tandang IUP P 5, Lampung PT Saptajaya Menjak Sengewari IUP P 6,140-6,478 N/A PT Adimas baturja cemerlang CCoW( 第 3 世代 ) C 4, PT Banyan kolindo Lestari IUP C 5, PT Bara Alam Utama IUP P BAU Coal 5,100 Low Sulphur, Normal Sulphur 5,100 < 4, > 0.5 or 07 >09 8 > > 28 PT Baramutiara Prima CCoW( 第 3 世代 ) C 5, PT Batualam Selaras CCoW( 第 3 世代 ) P Kikim Block, SP-6 Block 4,782-6, South Sumatra West Kalimantan East Kalimantan PT Baturona Adimulya CCoW( 第 3 世代 ) P 5, ,160, , , , PT Dianrana Petrojasa IUP P 5, PT Gorby Energy IUP C 5, PT Gorby Putra Utama IUP P 5, PT Selo Argodedali CCoW( 第 3 世代 ) C Batumarta, Muncak Kabau 3,398-5, PT Selo Argokencono Sakti CCoW( 第 3 世代 ) C Mangus, Burung, Keban, Benakat 5,178-5, PT Triaryani IUP P 4,463-5, N/A PT Tenaga Perkasa Nasional IUP E Sample-1,2 7,306-7, PT Yamabhumi Palaka CCoW( 第 3 世代 ) FS 7, PT Ade Putera Tanrajeng IUP C 5,100-5, PT Adimitra Baratama Nusantara IUP P ABN56-HS, ABN-56-RS, ABN 58, ABN 59 6,100-6, PT Alam Tabang Raya Pratama IUP E 6, 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 74

103 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 No.2 州 石炭企業 / 炭鉱 操業形態 開発発熱量全硫黄灰分全水分生産量 ( 万トン ) 輸出量備考 Blook/Area/Product 段階 kcal/kg(ad) (adb)(%) (adb)(%) (ar)(%) PT Apira Utama IUP P 3, CV Ardi Utama IUP P 6,000-6, PT Bara Kumala Sakit IUP P 5, PT Bara Tabang IUP P 4, PT Baramulti Suksessarana Tbk IUP P Block1, 2, 4, 8 5,100-5, PT Batubara Selaras Sapta CCoW( 第 3 世代 ) E 4, PT Berau Bara Energi IUP P 5, PT Berau Coal CCoW( 第 1 世代 ) P Mahoni, Mahoni B, Agathis, Sungkai 5,000-5, ,465,380 24,224,108 26,549,555 19,987,709 21,125,667 22,683,744 PT Berkah Bhumi Abadi IUP E 6, PT Bhakit Energi Persada IUP C Sample-1,2 5,212-5, PT Bharinto Ekatama CCoW( 第 3 世代 ) P 6,600-6, PT Bina Insan Sukses Mandiri IUP P Borehole, Shipment 5,023-5, PT Binamitra Sumberarta IUP P 4, PT Bumi Enggang Khatulistiwa IUP P 3, PT Bumi Laksana Perkasa CCoW( 第 3 世代 ) FS 3,156-5, PT Delta Samudera IUP C 5,011-5, PT Dermaga Energi IUP E 3, PT Dharma Puspita Mining CCoW( 第 3 世代 ) P Upper, Lower Seam 4,179-8, PT Diva Kencana Boreno IUP P 6, PT Dua Putri Kutor IUP E 6, PT Fajar Bumi Sakit IUP P 6,500-6, PT Fajar Sakit Prima IUP P 4, PT Firman Ketaun Perkasa CCoW( 第 3 世代 ) P 5,700-6, ,002,507 1,233,429 1,217,460 1,947,692 1,583,833 1,063,743 PT Ganda Alam Timur IUP P 5, East Kalimantan PT Gunung Bara Utama IUP C 5, PT Gunungbayan Pratamcoal CCoW( 第 2 世代 ) P Block 1,2 6,100-7, ,453,348 1,554, ,773 1,063, ,033 20,041 PT Guruh Putra Bersama IUP P 5,100-5, PTHarsco Mineral IUP P 6, PT Index Coalindo CCoW( 第 2 世代 ) P 4,300-6, ,379 1,891,267 1,315, ,540 1,278,157 1,180,942 PT Indo bara Pratama IUP C 4, PT Indominco Mandiri CCoW( 第 1 世代 ) P IM_6350, IM_EAST, IM_WP, IM_6250 5,850-6, PT Insani Baraperkasa CCoW( 第 3 世代 ) P 4,890-6, ,806,727 3,417,690 3,165,930 3,686,232 3,311,442 3,107,592 PT Interex sacra Raya CCoW( 第 3 世代 ) P West, East 5,100-6, PT Jembayan Muarabara IUP P 5, PT Kaltim Jaya Bara IUP C Nyapa West, East 5,800-5, PT Kaltim Prima Coal CCoW( 第 1 世代 ) P Prima, Pinang, Melawan 5,693-7, ,415,507 43,603,726 50,359,639 45,283,525 43,413,881 37,345,543 PT Kartika Selabumi Mining CCoW( 第 2 世代 ) P 7,461-8, PT Kendilo Coal Indonesia CCoW( 第 1 世代 ) P Bindu, Betitit 5,568-5, PT Kideco jaya Agung CCoW( 第 1 世代 ) P Roto, SM 4,200-4, ,021,421 30,251,585 23,213,136 24,001,269 21,939,735 14,604,196 PT Kitadin IUP P EMB, TDM 5,850-6, CV Labbaika IUP P 5,003-5, PT Lanna Harita Indonesia CCoW( 第 3 世代 ) P Lanna Harita Coal 5000, ,000-5, ,299,544 2,469,671 2,473,524 3,288,211 1,973, ,675 PT Lazuardi cemerlang IUP E 5,900-7, CV Mahakam Sarana Abadi IUP E 6,938-7,338 N/A PT Mahakam Sumber Jaya CCoW( 第 3 世代 ) P 5,700-6, ,695,121 4,209,845 3,366,879 9,932,230 2,945,924 3,469,508 PT Mamahak Coal Mining IUP P West, East Block 7,526-7, PT Mandira mitra Coalindo IUP P 5,000-5,500 below PT Mega Alam Sejahtera IUP P 4,800-5, PT Multi Harapan Utama CCoW( 第 1 世代 ) P Teluk Dalam, Gitan 5,000-5, PT Nuansacipta Coal Investment CCoW( 第 1 世代 ) P NCI Coal 4,200-5,

104 No.3 州 石炭企業 / 炭鉱 操業形態 開発発熱量全硫黄灰分全水分生産量 ( 万トン ) 輸出量備考 Blook/Area/Product 段階 kcal/kg(ad) (adb)(%) (adb)(%) (ar)(%) PT Pancaran Surya Abadi IUP P 5, PT Parisma Jaya Abadi IUP P 7,437 N/A PT Perdana Maju Utama IUP P 5,400-5, PT Pola Andhika Realtor IUP P 7, PT Pratama Sumber Bumibara IUP C Block 1,2,3 4,058-5, PT Raja Kutai Baru Makmur IUP P Sample-1,2 5,390-5, PT Rantaupanjang Utama Bhakti IUP P 5, PT Rinjani Kartanegara IUP P 6,140-6,478 N/A CV Sanga-Sanga Perkasa IUP P 6, PT Santan batubara CCoW( 第 3 世代 ) P 5, ,720, ,027-1,712, ,411 - East Kalimantan PT Silau Kencana IUP E 3, PT Sinar Kumala Naga IUP P 5, PT Singlurus Pratama CCoW( 第 3 世代 ) P Sungai Merdeka, Argosari, Margo Mulyo, Mutiara 6,080-6, ,718,911 2,263,493 1,480,686 2,743,488 2,154,046 1,570,663 PT Sumber Api IUP E 3, PT Tambang Batubara Harum IUP C 5,400-5, PT Tambang Damai CCoW( 第 3 世代 ) P 6,400-6, , ,206 1,185, , , ,944 PT Tanito Harum CCoW( 第 1 世代 ) P 6,000-6, ,353,957 1,593, , , ,891 14,422 PT Teguh Sinarabadi CCoW( 第 3 世代 ) P 5,600-6, , , , , , ,419 PT Tekno Orbit Persada IUP C 5, PT Trubaindo Coal Mine CCoW( 第 2 世代 ) P North, South1-2 Block 6,694-7, PT Usaha Kawan Sejati IUP P 5,462-5, PT Anugerah Alam Katingan IUP E 7, PT Anugerah Manuhing IUP E 7,283 N/A CV Aqso Indoprtama IUP E 6, PT Asmin Bara Bronng CCoW( 第 3 世代 ) P 7, ,641,248 2,491,725 1,395,452 1,395,452 PT Asmin Bara Jaan CCoW( 第 3 世代 ) P Hintuk, Bahandang, Miyangum 5,184-6, PT Bara Utama Persada Raya IUP C 5, PT Barito Corindo Mineral IUP C 4,700-5, PT Batubara Bandung Pratama IUP P 6,500-6, PT Batubara Duaribu Abadi CCoW( 第 3 世代 ) C Block A, B 5,276-6, PT Borneo Bara Prima IUP E S-1, 2, 3 7,525-8, PT Citra Surya Makmur Perkasa IUP P 5, PT Energy Batubara Indonesia IUP P DGL, UKB, AJP, SRI 5,422-5, PT Fatahillah Makmur Perkasa IUP P 5, Central Kalimantan PT Garuda Chindo Fatahillah Perkasa IUP P 5, PT Jangkar Prima IUP P 5,300-5, PT Kaltim Chindo Prima Indonesia IUP P 5, PT Katingan Ria IUP C 4, PT Marunda grahamineral CCoW( 第 2 世代 ) P Premium, Thermal 7, ,179,875 1,775, , ,228 1,351,878 1,011,440 PT Multi Tambangjaya Utama CCoW( 第 3 世代 ) P 6,800-7, PT Padang Anugerah IUP P 5,800-6, PT Panca Gemilang Semesta IUP P 6, PT Rimau Energy Mining IUP P 5,500-5, PT Rimau Tangguh Perkasa IUP E 5, PT Senamas Energindo Mineral IUP P 6, PT Suprabari Mapanindo Mineral CCoW( 第 3 世代 ) P Sekako, Lemo, Pendreh, Mosak 4,627-6, PT Telen Orbit Prima IUP P 6, PT Trisula Kencana Sakti IUP P 5,700-6, PT Adaro Indonesia CCoW( 第 1 世代 ) P Paringin, Tutupan, Wara 4,959-5, South Kalimantan PT Alam Duta Kalimantan IUP P 5, PT Amanah Anugerah Adi Mulia IUP P 6,300-7, PT Antang Gunung Meratus CCoW( 第 2 世代 ) P Tanjung, Warukin Formation 5,000-6, 出典 :Indonesia Coal Book 2016/17 76

105 出典 :Indonesia Coal Book 2016/17 No.4 州 石炭企業 / 炭鉱 操業形態 開発発熱量全硫黄灰分全水分生産量 ( 万トン ) 輸出量備考 Blook/Area/Product 段階 kcal/kg(ad) (adb)(%) (adb)(%) (ar)(%) PT Anugerah Bara Hampang IUP P 5,700-6, PT Anzawara Satria IUP P 5,200-5, PT Bahari Cakrawala Sebuku CCoW( 第 2 世代 ) P Tutupan, Wara 5,850-6, , PT Bangun Banua Persada Kalimantan CCoW( 第 3 世代 ) P 5,800-7, , , PT Banjar Intan Mandiri CCoW( 第 3 世代 ) P 5,700-6, PT Bara Pramulya Abadi CCoW( 第 3 世代 ) C Tanjung, Warukin 4,239-7, PD Baramarta CCoW( 第 3 世代 ) P Block Ⅰ, Ⅱ, Ⅲ 5,985-7, PT Bhumi Rantau Energi IUP P 5, PT Boreneo Indobara CCoW( 第 2 世代 ) P BIB 4000, ,300-5, ,716,701 4,295,831 6,278,020 2,981,787 4,038,328 4,390,527 PT Ekasatya Yanatama CCoW( 第 3 世代 ) P 6,662-7, PT Energi Batubara Indonesia IUP P DGL, UKB, AJP, SRI 5,422-5, PT Energi Batubara Lestari IUP P 5,300-5, PT Exploitasi Energi Indonesia Tbk IUP P 6, PT Fajar Mineral Alami International IUP P 6,100-6, PT Global Multi Energi IUP C 5,370-7, PT Jorong Barutama Greston CCoW( 第 2 世代 ) P 5, South Kalimantan PT Kadya Caraka Mulya CCoW( 第 3 世代 ) P 6,100-6, , , ,357 55, PT Kalimantan Energi Lestari CCoW( 第 3 世代 ) P 6,300-6, ,330,128 1,931,792 1,317,920 1,229,413 1,883,710 1,240,344 PT Lestrari Cipta Persada IUP P PCN, ASTRI 5,300-5, PT Mantimin Coal Mining CCoW( 第 3 世代 ) P Upa, Batutangga 5, PT Merge Mining Indonesia IUP P 6, CV Putri Ahdadia IUP P 5, PT Roda Niaga IUP E 5, PT Semesta Centramas IUP P 5, PT Senamas Energindo Muila CCoW( 第 3 世代 ) P 6, PT Sumber Kurnia Buana CCoW( 第 3 世代 ) P 6,100-7, , PT Suryaraya Cahaya IUP C 6,193-7, PT Suryaraya Permata Khatulistiwa IUP C 6,910-7, PT Tanjung Alam Jaya CCoW( 第 3 世代 ) P 6,225-6, , ,889 16, ,263 33,071 40,721 PT Transcoal Minergy IUP C Seam S5, S6 6,655-6, PT Tri Tunggal Pitriati IUP P 5, PT Tunas Inti Abadi IUP P 5, PT Wahana Baratama Mining CCoW( 第 3 世代 ) P 5,900-6, ,070, ,313 1,411,326 2,992, , ,789 PT Baradinamika Mudasukses IUP P Benuang, Betung 6,100-7, PT Delma Mining Corporation CCoW( 第 3 世代 ) C Tnah Kuning, Mangkupadi 4,949-5, PT Duta Tambang Rekayasa IUP P 6, North Kalimantan PT Duta Tambang Sumber Alam IUP C 6, PT Garda Tujuh Buana IUP P 4, PT Persona Khatulistiwa Nusantara CCoW( 第 3 世代 ) P Kelubir, Sekayan 5,197-5, ,540,392 4,077,116 1,920,121 3,347,573 4,003,945 1,758,269 PT Pipit Mutiara Jaya IUP P Bebatu, Sebakis 5,800-6,

106 4.1.2 主要石炭生産トップ 10 の概要図 に主要石炭会社 ( 生産トップ 10) の 2011 年から 2016 年までの生産量の推移を示す 生産トップ 10 の炭鉱で インドネシア全体の出炭量の 50%~57% を占める 2016 年の生産量では PT. Kaltim Prima Coal(KPC) が最も多く 5,761 万トン 続いて PT. Adaro Indonesia 5,076 万トン PT. Kideco Jaya Agung 3,212 万トン PT. Arutmin Indonesia 2,836 万トン PT. Berau Coal 2,545 万トン PTBA 1,878 万トン PT. Indominco Mandiri 1,536 万トン PT. Borneo Indobara 746 万トン PT. Antang Gunung Meratus 648 万トン PT. Trubindo Coal Mining 524 万トンである これら 10 炭鉱のうち 7 炭鉱は 1,000 万トンを超えており 更に 2,000 万 ~3,000 万トンクラスが 3 炭鉱 5,000 万トンクラスは 2 炭鉱ある 300 百万トン 軸ラベル Trubindo Coal Mining Antang Gunung Meratus Borneo Indobara Indominco Mandiri, PTBA Berau Coal, Arutmin Indonesia, Kideco Jaya Agung, Adaro Indonesia Kaltim Prima Coal, ( 単位 : 百万トン ) 主要石炭会社名 PT. Kaltim Prima Coal, PT. Adaro Indonesia PT. Kideco Jaya Agung, PT. Arutmin Indonesia, PT. Berau Coal, PTBA PT. Indominco Mandiri, PT. Borneo Indobara PT. Antang Gunung Meratus PT. Trubindo Coal Mining 計 全体の出炭量 トップ 10 が占める割合 56.7% 51.2% 50.1% 54.9% 54.6% 54.3% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 生産トップ 10 の生産量推移 図 に 2016 年における 10 炭鉱の総出炭量に占める各炭鉱の割合を示す PT. Kaltim Prima Coal(KPC) が 23% を占め PT. Adaro Indonesia 21% PT. Kideco Jaya Agung 13% PT. Arutmin Indonesia 11% PT. Berau Coal 10% PTBA 8% PT. Indominco Mandiri 78

107 6% PT. Borneo Indobara 3% PT. Antang Gunung Meratus 3% PT. Trubindo Coal Mining 2% である Antang Gunung Borneo Indobara Meratus 3% 3% PTBA 8% Indominco Mandiri, 6% Berau Coal, 10% Trubindo Coal Mining 2% Kaltim Prima Coal, 23% Arutmin Indonesia, 11% Kideco Jaya Agung, 13% Adaro Indonesia 21% 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 年 10 炭鉱総量に対する各炭鉱の割合 (1) PT. Kaltim Prima Coal(KPC) (a) 概要 PT. Kaltim Prima Coal(KPC) 炭鉱は東カリマンタンの東 Kutai 県の Sangatta 地域に位置し 東カリマンタンの州都 Samarinda から北方 180km に位置する 1982 年 4 月にインドネシア政府と 2021 年までの 30 年間の CCoW の契約を行っている 1991 年 210 万トンの石炭を採掘し 本格的な炭鉱の操業が始まったが 現在では 年間 5,000 万トンを越えるインドネシアでは最大の炭鉱である 当時は外国企業の BP( 英国石油 ) とリオティントが KPC 炭鉱の株をそれぞれ 50:50 所有していた これら2 企業は海外資本企業であるため インドネシアの国内企業へ権益の 51% を売却しなければならなかったため 2005 年 10 月 18 日に PT. Bumi Resources が KPC 炭鉱の株をすべて買収した 当時はかなり安価な金額で買収し また PT. Bumi Resources に一部シンガポールの資本が入っていたため 石炭業界ではかなり問題視された買収であった 現在の採掘区域は Sangatta 地域と Bengalon 地域に分かれており Bengalon 地域は Sangatta 地域から北へ 25km に位置する 石炭生産は Sangatta 地域から始まり Bengalon 地域からの石炭生産は 2005 年からである Sangatta 地域の石炭は 13.2km のベルトコンベアで KPC 炭鉱が建設した Tanjug Bara 石炭積出港まで輸送され 石炭専用船に積込まれる 港の手前にはストックヤードがあり スタッカー リクレーマが稼動している 貯炭容量は 120 万トンとかなり大きい ストックヤードからは 2km のベルトコンベアが海上へ敷設され シッパーで石炭は石炭専用船へ積込まれる コンベアの能力は 4,000 トン / 時と大きい 石炭専用船はケープサイズの 220,000DWT への対応が可能である KPC 炭鉱のメリットは 採掘現場が海岸に近く 港 79

108 までの石炭輸送コストが安いことである KPC 炭鉱の石炭銘柄は Prima Pinang Melawan の 3 種類に分けられている Prima Pinang は高発熱量を有するが Melawan は低発熱量である しかしながら Melawan には灰分が他の銘柄よりも低いという長所がある (b) 石炭資源量 埋蔵量表 に KPC 炭鉱の石炭資源量 埋蔵量を示す 全体の資源量は 76.7 億トン 埋蔵量は 8.8 億トンである 表 KPC 石炭資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 鉱区 資源量埋蔵量確定推定予想計確定推定計 Sangatta 2,534 2,361 1,308 6, Bengalon , 計 3,090 2,779 1,801 7, 出典 :Financial Result August 2017 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) KPC 炭鉱の 2011 年から 2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移を図 に示す KPC 炭鉱の石炭生産量は 2013 年から年間 5,000 万トンを超えており 2016 年の生産量は 5,700 万トン 輸出量は 5,000 万トン 国内消費は 600 万トンであった 輸出が 86% を占める 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 KPC 炭鉱の石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 80

109 2016 年の石炭販売先の割合を図 に示す 国内消費は 14% である 主にインド (35%) 日本 (19%) 中国(16%) への輸出で 7 割を占める その他 フィリピン (5%) タイ(4%) 香港 (2%) マレーシア(2%) へ輸出されている タイ 4% フィリピン 5% 香港 2% 中国 16% マレーシア 2% その他 3% 国内消費 14% 日本 19% インド 35% 出典 :KPC Annual Report 2016 図 KPC の販売割合 (d) 資本形態表 に KPC の資本形態を示す KPC は PT. Bumi Resources 傘下の炭鉱であるが 現在は 中国 インド (Tata グループ ) の資本も入っている Investments Limited は Tata の企業であり 30% を取得している その他 PT. Sitrade Coal(26%) PT. Bumi Resources(25%) Mountain Netherlands Investment B.V.(19%) を所有する 表 KPC 資本形態 企業名 保有率 PT. Sitrade Coal 26% PT. Bumi Resources 25% Investments Limited 30% Mountain Netherlands Investment B.V. 19% 出典 :KPC Annual Report 2016 (e) 傘下の炭鉱図 に PT. Bumi Resources 傘下の企業を示す KPC は PT. Bumi Resources 傘下の石炭企業である PT. Bumi Resources は Coal, Oil & Gas と Mineral Non-Coal に分かれて 石炭以外のビジネスも行っている 石炭では KPC 炭鉱の他 PT. Arutmin Indonesia(Arutmin 炭鉱 ) PT. Pendopo Energi Batubara(Pendopo 炭鉱 ) を所有する また 金属鉱山では PT. Gorontalo Minerals( 金 銅 ) PT. Citra Palu Minerals( 金 ) PT. Dairi Prima Minerals 鉱山 ( 鉛 亜鉛 ) が傘下の鉱山である 81

110 PT BUMI RESOURCES TBK. Coal, Oil&Gas Mineral, Non Coal 石炭 KPC PT Bumi Resources Minerals Tbk 石炭 Arutmin Gorontalo Minerals Gold & Copper Mining (in exploration stage) Citra Palu Minerals Gold Mining (in exploration stage) 金 銅 金 石炭 Pendopo Energi Batubara Coal (in exploration stage) Dairi Prima Minerals Zinc,Lead (in exploitation stage) 鉛 石油 Gallo Oil (Jersey) Oil Production (in exploration stage) 石油 Bumi Japan Marketing Services Darma Henwa Contract Mining (associated company) コントラクタ IndoCoal Resources (Cayman) Ltd IndoCoal KPC Resources (Cayman) Ltd 出典 :Bumi Resources Report 2017 図 Bumi Resources 傘下の企業 (f) 炭鉱位置石炭鉱山 KPC 炭鉱 Arutmin 炭鉱 Pendopo 炭鉱 また 金属鉱山の Gorontalo Minerals 鉱山 ( 金 銅 ) Citra Palu Minerals 鉱山 ( 金 ) Dairi Prima Minerals 鉱山 ( 鉛 亜鉛 ) の位置を図 に示す 82

111 出典 :Bumi Resources 資料を元に作成 図 炭鉱及び鉱山の位置 (g) インフラ状況図 に KPC 炭鉱の石炭輸送インフラ状況を示す 採掘地域は Bengalon 地域と Sangatta 地域があるが Bengalon 地域には 石炭専用輸送道路が建設され また Sangatta 地域にはベルトコンベアが敷設されている 出典 :KPC Annual Report 2016 図 炭鉱のインフラ状況 (h) 石炭品質表 に石炭品質を Prima Pinang Melawan の銘柄に分けてそれぞれ示す Prima の石炭が最も発熱量が高く 6,650kcal/kg 続いて Pinang の石炭が 6,150kcal/kg である Melawan の石炭は 発熱量がさがり 5,250kcal/kg となる 灰分 硫黄分は Melawan の石炭が最も少なく 灰分 3.5% 硫黄分 0.2% と高品質である 83

112 表 石炭品質 会社名 KPC 製品名 Prima Pinang Melawan 全水分 Ar (%) 固有水分 Adb (%) 灰分 Adb (%) 全硫黄 Adb (%) 揮発分 Adb (%) 固定炭素 Adb (%) 発熱量 GAR (kcal/kg) 6,650 6,150 5,250 発熱量 NAR (kcal/kg) 6,350 5,838 4,921 発熱量 Ar (kcal/kg) 発熱量 Adb (kcal/kg) 7,000 6,548 5,693 HGI 炭素 daf (%) 水素 daf (%) 窒素 daf (%) 酸素 daf (%) 硫黄 daf (%) 初期変形点 ( ) 軟化点 ( ) 1,230 1,180 1,160 融点 ( ) 1,300 1,250 1,180 溶流点 ( ) 1,350 1,300 1,210 SiO2 db (%) Al2O3 db (%) TiO2 db (%) Fe2O3 db (%) CaO db (%) MgO db (%) Na2O db (%) K2O db (%) Mn3O4 db (%) P2O5 db (%) SO3 db (%) 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (2) PT. Adaro Indonesia (a) 概要 PT. Adaro Indonesia(Adaro 炭鉱 ) は 南カリマンタンに位置し 1982 年にインドネシア政府と CCoW を契約した第一世代の炭鉱である スペインの企業が 石炭探査 炭鉱開発準備を始め インドネシアでは 外資を取り入れた炭鉱開発の先駆的炭鉱といえる 探査が進むにつれて膨大な石炭埋蔵量が確認され 日本の企業もその存在を既に把握していた しかしながら 石炭発熱量が 5,000kcal/kg 程度と低く 当時の高カロリーの石炭を標榜していた日本企業は あまり関心を示さなかった その結果 日本企業が炭鉱権益を取得することは無く 日本以外の国の企業によって 炭鉱開発が進められてきた 現在では年間 5,000 万トン以上の石炭生産量を誇る炭鉱になっている 当初から Adaro 炭鉱の石炭が世界の石 84

113 炭市場で流通できるのか 懸念されていたのは 事実であるが Adaro 炭鉱は 企業戦略そしてマーケティングに力を入れ 顧客を確保した上で炭鉱開発を進めている マーケティングでの最大の利点は 灰分が 3% 硫黄分が 0.2% と極端に低いことであり 将来的な環境対策を見越して販売先を広げてきている 石炭埋蔵量は まだ多く残っており 今後 30 年以上の長期計画を立てている Adaro 炭鉱には Paringin Tutupan Wara の鉱区があり これらの鉱区で採掘された石炭は 原炭のまま 80km 離れた石炭積出 Jetty の Kelanis までトラック輸送される Kelanis はバリト川に隣接しており ここで 石炭は バージに積込まれ バリト川を下り Banjarmasin 沖の外洋まで輸送されている PT. Adaro Indonesia は Adaro 炭鉱以外にも炭鉱を所有しており 最近では中央カリマンタンに BHP が所有していた MetCoal の 100% を保有している (b) 石炭資源量 埋蔵量炭鉱の資源量は 億トン 埋蔵量は 億トンである 鉱区別に見てみると Tutupan が最も多く 資源量 億トン 埋蔵量 億トンである ( 表 参照 ) 表 Adaro 炭鉱の資源量 埋蔵量 ( 単位 ) 百万トン ) 鉱区 資源量埋蔵量確定推定予想計確定推定計 Paringin , Tutupan 1, , , , Wara , 計 2, , , , , , 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) Adaro 炭鉱の 2011 年から 2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移を図 に示す Adaro 炭鉱の石炭生産量は 2013 年から年間 5,000 万トンを超えており 2016 年の生産量は 5,100 万トン 輸出量は 4,000 万トン 国内消費は 1,300 万トンであった 85

114 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 Adaro 炭鉱の石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 に 2017 年上期の石炭販売先の割合を示す 国内消費が最も多く 23% 続いてマレーシア (14%) 中国(11%) 日本(10%) 韓国(8%) 台湾(7%) 香港(7%) インド (6%) スペイン(4%) 米国(4%) である インド 6% スペイン米国 4% 4% その他 6% 国内消費 23% 香港 7% 台湾 7% 韓国 8% 日本 10% 出典 :PT. Adaro Indonesia 公式 Web サイト 中国 11% マレーシア 14% 図 Adaro Indonesia 販売先の割合 (d) 資本形態 PT. Adaro Indonesia の資本形態は PT. Alam Tri Abadi(61.16%) PT. Viscaya Investments ( 33.00% ) PT. DiaLia Setyamukti ( 5.838% ) Coaltrade Services International Pte. Ltd.(0.002%) である ( 表 参照 ) 86

115 表 Adaro Indonesia 資本構成 企業名 保有率 PT. Alam Tri Abadi 61.16% PT. Viscaya Investments 33.00% PT. DiaLia Setyamukti 5.838% Coaltrade Services International Pte. Ltd % 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (e) 傘下の炭鉱 PT. Adaro Indonesia は 傘下炭鉱として Adaro 炭鉱以外に PT. Balangan Coal 南スマトラに PT. Mustika Indah Permai (WIP) と PT. Bukit Enim Energi (BEE) 中央カリマンタンに PT. Adaro MetCoal Companies (AMC) 東カリマンタンに PT. Bhakti Energi Persada (BEP) を所有する 表 に傘下炭鉱の位置する州 株のシェア 資源量 埋蔵量を示した一覧を示す Balangan Coal 炭鉱は Adaro 炭鉱に近接して位置する PT. Adaro MetCoal Companies (AMC) の鉱区は中央カリマンタンに位置し 原料炭が生産される Lahai Maruwai Pari Kalteng Sumber Barito Juloi Ratah の 7 つの石炭契約 (CCoW) で構成されている これまで BHP ビリトンとの合弁事業において権益の 25% を保有していたが 2016 年 10 月には BHP ビリトンが保有する権益を買収し 100% の権益となっている PT. Bhakti Energi Persada (BEP) は 東カリマンタン Muara Wahau 地区に位置し 7 つの鉱区で構成されている 褐炭に近い石炭であるが 推定資源量は 79 億トンである すべての石炭は硫黄と灰分は少ないが 含水率は高い 表 PT.Adaro Indonesia 傘下炭鉱 炭鉱名 州 % 資源量 埋蔵量 PT. Balangan Coal 南カリマンタン 75% 3.3 億トン 1.84 億トン PT. Mustika Indah Permai(WIP) 南スマトラ 75% 2.9 億トン 2.54 億トン PT. Bukit Enim Energi (BEE) 南スマトラ 61% 探査中 PT. Adaro MetCoal Companies(AMC) 中央カリマンタン 100% 12.7 億トン PT.Bhakti Energi Persada (BEP) 東カリマンタン 10.20% 79 億トン 出典 :Adaro Indonesia 公式 Web サイト (f) 炭鉱位置図 に PT. Adaro Indonesia 及び傘下の炭鉱の位置を示す 87

116 出典 :PT. Adaro Indonesia 資料を元に作成 図 炭鉱位置 (g) インフラ状況図 に Adaro 炭鉱からの石炭の輸送状況を示す Adaro 炭鉱で採掘された石炭は 60 トンを 2 台連結したトラック ( 合計 120 トン ) で Tanjung の Adaro 炭鉱から約 80km 離れた Kelanis に位置する Jetty まで輸送される ここで石炭はバージに積込まれ バリト川を下り 外洋に向けて石炭は輸送される この後 石炭は 3 つのケースで消費地まで輸送される 1 つ目のケースは Kelanis から 250km 離れた Taboneo 石炭積替地点 ( アンカーリッジ ) にて石炭専用船に積替えられ その後 海外 国内の消費地へ輸送されるケースである 2 つ目のケースは バージで直接輸送されるケースである ジャワ スマトラなどの国内消費地へは 石炭専用船に積替えられることなく バージのままで消費地まで運搬されることもある 3 つ目のケースは 中継基地まで輸送するケースである PT. Adaro Indonesia は カリマンタン島の南東の Laut 島に Plau Laut Coal Terminal(Indonesia Bulk Terminal:IBT) を所有しており 石炭輸送の中継基地として使用している 石炭は 一旦 IBT に陸揚げされ その後 ストックヤードでブレンドなどの処理が行われ 改めて 石炭専用船やバージへ積込まれる 88

117 出典 :PT. Adaro Indonesia 資料を元に作成 図 石炭輸送状況 (h) 石炭品質 Adaro 炭鉱の石炭品質は 発熱量は低いものの灰分 硫黄分が少ないという利点を有しているため 世界中 各方面から人気がある石炭となっている 石炭品質は採掘区域によって異なるため 採掘区域が変われば 炭鉱の石炭銘柄の品質も変わってくる Adaro 炭鉱でも採掘区域の変更により商品として銘柄の品質が多少変わってきている Adaro 炭鉱はこれまで Tutupan 鉱区の石炭が主流であったが 近年 Paringin 鉱区 Wara 鉱区の石炭も採掘されている Paringin 鉱区は 炭鉱操業開始から 8 年程度採掘された後 10 年近く採掘されなかったが 7 年前から採掘が再開され また 新鉱区の Wara 鉱区からも 9 年前に採掘が開始されている Adaro 炭鉱の石炭の銘柄としてはこれまで E4000 E4700 E5000 の 3 種類の銘柄が示されていたが 現在は ENVIROCOAL4000 と ENVIROCOAL の 2 銘柄となっている 表 には 従来の銘柄 E4000 E4700 E5000 の石炭品質を 表 には 現在の銘柄 ENVIROCOAL4000 と ENVIROCOAL の石炭品質を示す 89

118 製品名 E4000 E4700 E5000 工業分析HGI 元素分析硫黄 daf (%) (還元表 従来の銘柄 全水分 Ar (%) 固有水分 Adb (%) 灰分 Adb (%) 全硫黄 Adb (%) 揮発分 Adb (%) 固定炭素 Adb (%) 発熱量 GAR (kcal/kg) 4,000 4,700 5,000 発熱量 NAR (kcal/kg) 3,620 4,363 4,668 発熱量 Ar (kcal/kg) 発熱量 Adb (kcal/kg) の成分分析炭素 daf (%) 水素 daf (%) 窒素 daf (%) 酸素 daf (%) )灰融点 ( ) 1,175 1,175 1,175 軟化点 ( ) 1,150 1,150 1,150 SiO 2 db (%) 溶流点 ( ) 1,200 1,200 1,200 Al 2 O 3 db (%) TiO 2 db (%) Fe 2 O 3 db (%) CaO db (%) MgO db (%) Na 2 O db (%) K 2 O db (%) Mn 3 O 4 db (%) P 2 O 5 db (%) SO 3 db (%) 出典 ::PT. Adaro Indonesia 90

119 業分析表 現在の銘柄 工全水分 Ar (%) 固有水分 Adb (%) 製品名 ENVIROCOAL4000 ENVIROCOAL 灰分 Adb (%) 3 2.5~3 全硫黄 Adb (%) ~0.15 揮発分 Adb (%) 41 42~43 固定炭素 Adb (%) 発熱量 GAR (kcal/kg) 4,000 4,850~4950 発熱量 NAR (kcal/kg) 3,620 4,550~4,650 発熱量 Ar (kcal/kg) - - 発熱量 Adb (kcal/kg) - - HGI 元素分析(daf (%) ~0.2 )炭素 daf (%) 水素 daf (%) 5 5 窒素 daf (%) 酸素 daf (%) 硫黄 融点 ( ) 1,175 1,175 軟化点 ( ) 1,150 1,150 還元溶流点 ( ) 1,200 1,200 灰の成分分析SiO2 db (%) Al2O3 db (%) ~15.2 TiO2 db (%) ~0.9 Fe2O3 db (%) ~16 CaO db (%) ~15 MgO db (%) Na2O db (%) ~0.3 K2O db (%) Mn3O4 db (%) P2O5 db (%) SO3 db (%) ~74 出典 ::PT. Adaro Indonesia (3) PT. Kideco Jaya Agung, (a) 概要 PT. Kideco Jaya Agung(Kideco 炭鉱 ) は インドネシアで 3 番目の出炭量を誇り 東カリマンタン州南部の Pasir 県に位置する Balikpapan から南西方向 直線で 50km の距離である 会社の主要な株主は 韓国の Samtan Co., Ltd. とインドネシアの Indika Group である 1982 年に炭鉱開発を手がけた当時の Korea-Indonesia Resources Development Co., Ltd を通じて PT. Kideco Jaya Agung は インドネシア政府と CCoW 契約を行っている 第一世代の炭鉱である 探査が終了後 1989 年から炭鉱の建設を始め 1993 年に最初の石炭が生産されている その年の生産量は 130 万トンであったが 同年 インドネシア政府と 30 年の採掘契約を行い 現在 2023 年までの採掘権を得ている Samtan Co., Ltd. は 91

120 韓国内に炭鉱を保有していたが 海外の炭鉱開発に舵を切り インドネシアの政策として外資を取り入れた炭鉱開発が始まった当初からインドネシアの炭鉱開発に参加している 日本は出遅れた感があるが 韓国炭鉱会社にとっては 海外で石炭開発の成功例といえる 開発当初は韓国内の坑内採掘の炭鉱技術者が炭鉱現場に派遣されていた 採掘現場は 現在 Roto North Roto South Roto Middle Susubang Samurangau の 5 つのピットに分かれている 石炭は 発熱量は 4,670~5,692kcal/kg と亜瀝青炭に属するが 灰分 2.5%~4.2% 硫黄分 0.1%~0.12% である 露天採掘が行われ 採掘された石炭は 石炭専用道を通って Tanah Grogot 近郊の石炭積出し設備 Tanah Merah Coal Terminal(TMCT) まで輸送され ここからバージへ積み込まれる 石炭は 海外へ輸出されているが 国内では Paiton 火力発電所 5-6 号 7-8 号 Suralaya 火力発電所 Newmont Nusa Tenggara 火力発電所 Cilacap 火力発電所等へ石炭を供給している また PT. Jaya Samudra Karunia と PT. Kartika Samudra Adijaya の船会社が 船舶の配船と消費者への船舶輸送を担当している (b) 石炭資源量 埋蔵量表 に Kideco 炭鉱の石炭資源量 埋蔵量を示す 石炭は Roto South Roto North Roto Middle Susubang Samarangau に分けて示しているが 資源量は 総計で 億トン 埋蔵量は 6.5 億トンである 表 石炭資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 鉱区 資源量埋蔵量確定推定予想計確定推定計 Roto South Roto North Roto Middle Susubang Samarangau 計 , 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) Kideco 炭鉱の 2011 年から 2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移を図 に示す 2014 年 4,000 万トンの最高生産量を記録したが その後は 減少している 92

121 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 (d) 資本形態現在の資本構成は 表 の通り Santan Co., Ltd 49.0% PT. Indika Inti Corpindo 46.0% PT. Muji Inti Utama 5% である 表 資本構成 企業名 保有率 Santan Co., Ltd 49.0% PT. Indika Inti Corpindo 46.0% PT. Muji Inti Utama 5.0% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 しかしながら 2017 年 9 月 PT. Indika Inti Corpindo は Santan Co.,Ltd から 40% の株式を PT. Muji Inti Utama から 5% の株式を買収すると発表した 合計で PT. Kideco Jaya Agung の株が 45% 増加し 全体で 91% の株を保有することになる 株式の売買は 2017 年内には 終了すると見られているが 売買契約が達成されれば 資本構成は 表 の通りとなり PT. Kideco Jaya Agung の経営権は完全に PT. Indika Inti Corpindo の傘下となる 逆に Santan Co.,Ltd の株式は 9% に減少し PT. Kideco Jaya Agung への影響力は大幅に低下する 表 今後の資本構成 ( 予定 ) 企業名 保有率 Santan Co.,Ltd 9.0% PT. Indika Inti Corpindo 91.0% 出典 :TEX Report 93

122 (e) 傘下の炭鉱 PT. Kideco Jaya Agung は PT. Indika Inti Corpindo の傘下炭鉱となる PT. Indika Inti Corpindo は 表 に示すように PT. Kideco Jaya Agung を含め 4 つの炭鉱を保有することになる 中央カリマンタンの Palangkaraya には PT. Multi Tambangjaya Utama 東カリマンタンの Kutai Timur 県に PT. Santan Batubara と Mitra PT. Energi Agung である 表 傘下の炭鉱 炭鉱名 位置 概要 PT. Kideco Jaya Agung 東カリマンタン Pasir 県 Pasir 県で操業中 PT. Multi Tambangjaya Utama PT. Santan Batubara Mitra PT. Energi Agung 出典 :PT. Indika Inti Corpindo 中央カリマンタン Palangkaraya 東カリマンタン東 Kutai 県 東カリマンタン東 Kutai 県 2012 年設立の第 3 世代 CCoW を保有する炭鉱 原料炭を生産 Ampah の北東約 30km Banjarmasin の北約 250km に位置する 年間 300 万トンの石炭輸送道路と年間 5.0 百万トンのバージ港を計画している 1998 年に設立 69.8% 所有 第 3 世代 CCoW の下で 2028 年まで石炭鉱業権を保有 石炭資源は 2 億 2,220 万トンに達し 埋蔵量は 3,060 万トン 2012 年に設立された IUP 炭鉱 (f) 炭鉱位置 PT. Kideco Jaya Agung の位置及び PT. Indika Inti Corpindo の傘下炭鉱その他 3 炭鉱 PT. Kideco Jaya Agung PT. Multi Tambangjaya Utama PT. Santan Batubara の炭鉱位置を図 炭鉱位置に示す 出典 : 資料を元に作成 図 炭鉱位置 94

123 (g) インフラ状況図 にインフラ状況を示す 採掘された石炭は ピット近郊の原炭ストックヤードまで 30 トンのトラックで輸送されるが その距離は 3~11km と短い 原炭ストックヤードには クラッシャーが設置され 50mm アンダーまでクラッシングされる 原炭ストックヤードの容量は 30 万トンである 原炭ストックヤードから石炭は 39km の石炭専用道路を通って石炭積出港の Tanah Merah Coal Terminal(TMCT) まで輸送される TMCT には 70 万トンのストックヤードが整備され 5 つのリクレーマが稼動している 1 基のリクレーマの能力は 1,500 トン / 時 その他基のリクレーマの能力は 1,200 トン / 時である TMCT でのバージ積込み用の積込設備は 4 基設置されその能力は総計 82,000 トン / 日である バージサイズは 8,000~12,000 トンと大型バージが使用されている 出典 : 資料を元に作成 図 インフラ状況 (h) 石炭品質 Kideco 炭鉱の石炭品質を表 に示す 発熱量は 4,340~5,470kcal/kg の幅がある 硫黄分は 0.1% から 0.12% 灰分についても 2.5~4.2% と非常に少ない 表 石炭品質 区域 全水分 (%) 灰分 (%) 硫黄分 (%) 発熱量 (kcal/kg) Roto South ,470 Roto North ,870 Roto Middle ,730 Susubang ,430 Samarangau ,240 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 95

124 (4) PT. Arutmin Indonesia (a) 概要 PT. Arutmin Indonesia(Arutmin 炭鉱 ) は 1981 にインドネシア政府から探査 炭鉱開発の許可を得ると共に 1987 年には 30 年の採掘契約を行った第一世代の炭鉱である 当初は BHP ビリトンが開発に着手し石炭を採掘していたが 現在は Bumi Resources に経営が移り 石炭開発が継続されている 炭鉱は南カリマンタンに位置し 鉱区は Senakin Satui Mulia Kintap Asam-Asam Batulicin の 6 箇所に分かれている 1989 年 Senakin 鉱区で 石炭の採掘が始まり その後 1991 年には Satui 鉱区 1999 年には Mulia 鉱区 2011 年には Kintap 鉱区 2013 年には Batulicin 鉱区 2014 年には Asam-Asam 鉱区でも石炭生産が始まっている Senakin 鉱区の石炭は 地質的に Tanjung 層群に属し 発熱量が高い瀝青炭であるが 炭層傾斜は 15 度と大きく すぐに剥土比が上がってしまうという問題がある その他の鉱区の炭層傾斜はやや緩傾斜になるものの 発熱量に関しては 若干下がる ただ Arutmin 炭鉱の鉱区は 海岸線までの距離が 20km 以内と比較的近い位置に炭層が広がっており 石炭の輸送コストを抑えることができる 石炭輸送インフラは トラックとバージである 採掘された石炭は 原炭ストックパイルへ集められ クラッシング後 石炭専用道路を通って 石炭積出し用桟橋 Jetty まで輸送される Jetty では コンベアによってバージへ積み込まれる また Arutmin 炭鉱は Laut 島の北岸に石炭ターミナルを保有し 石炭専用船への積替えを行っている (b) 石炭資源量 埋蔵量表 に Arutmin 炭鉱の資源量 埋蔵量を示す また 図 には鉱区の位置を示す 鉱区は Senakin Satui Batulicin Mulia Asam-Asam Sarongga の広範囲に分布している 資源量は 全体で 23.7 億トン 埋蔵量は 3.97 億トンである 表 資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 鉱区 資源量 埋蔵量 Senakin Satui Batulicin Mulia Asam-Asam Sarongga U/G 計 2, 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 96

125 出典 :Bumi Resources Report 2017 図 鉱区位置 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) Arutmin 炭鉱の 2011 年から 2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移を図 に示す 2014 年 3,200 万トンと最大の出炭量であったが 2015 年は 2,500 万トンへ減少し 2016 年は 再び 2,800 万トンへ増加している 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 97

126 (d) 傘下の炭鉱 PT. Arutmin Indonesia(Arutmin 炭鉱 ) は PT. Bumi Resources 傘下の炭鉱である 図 に PT. Bumi Resources 傘下の企業を示す PT. Bumi Resources は Coal, Oil & Gas と Mineral, Non-Coal に分かれて 石炭以外のビジネスも行っている 石炭では PT. Arutmin Indonesia の他 KPC 炭鉱 PT. Pendopo Energi Batubara(Pendopo 炭鉱 ) を所有する また 金属鉱山では PT. Gorontalo Minerals( 金 銅 ) PT. Citra Palu Minerals ( 金 ) PT. Dairi Prima Minerals 鉱山 ( 鉛 亜鉛 ) が傘下の鉱山である PT BUMI RESOURCES TBK. Coal, Oil&Gas Mineral, Non Coal 石炭 KPC PT Bumi Resources Minerals Tbk 石炭 Arutmin Gorontalo Minerals Gold & Copper Mining (in exploration stage) Citra Palu Minerals Gold Mining (in exploration stage) 金 銅 金 石炭 Pendopo Energi Batubara Coal (in exploration stage) Dairi Prima Minerals Zinc,Lead (in exploitation stage) 鉛 石油 Gallo Oil (Jersey) Oil Production (in exploration stage) 石油 Bumi Japan Marketing Services Darma Henwa Contract Mining (associated company) コントラクタ IndoCoal Resources (Cayman) Ltd IndoCoal KPC Resources (Cayman) Ltd 出典 :Bumi Resources Report 2017 図 Bumi Resources 傘下の企業 (e) 炭鉱位置 Arutmin 炭鉱 KPC 炭鉱 Pendopo 炭鉱 Gorontalo Minerals 鉱山 ( 金 銅 ) Citra Palu Minerals 鉱山 ( 金 ) Dairi Prima Minerals 鉱山 ( 鉛 亜鉛 ) の位置を図 に示す 98

127 出典 :Bumi Resources 資料を元に作成 図 炭鉱及び鉱山の位置 (f) 資本形態表 に PT. Arutmin Indonesia の資本構成を示す PT. Bumi Resources が 70% Bhira Investment Ltd. が 30% を保有する 表 資本構成 企業名 保有率 PT. Bumi Resources 70% Bhira Investment Ltd. 30% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (g) インフラ状況各鉱区で採掘された石炭は トラックで鉱区近郊に建設された Jetty まで輸送され バージに積込まれる また Senakin 鉱区には選炭場が設けられ 灰分が少ない高品質の石炭を提供している 選炭場には Jig プラント ( 処理能力 320 万トン / 年 ) 重液プラント(220 万トン / 年 ) が稼動し その回収率は 80% である Arutmin 炭鉱は Laut 島の北岸に石炭ターミナルを建設している このターミナルは North Pulau Laut Coal Terminal(NPLCT) と呼ばれ その処理能力は 年間 1,400 万トンである 1994 年に稼動しているが 各鉱区のバージに積込まれた石炭は このターミナルで一旦陸揚げされ その後 ブレンドや品質管理の処理が行われた後 石炭専用船に積込まれ 海外輸出されている 国内用の石炭は バージにて そのまま 消費地へ輸送される ( 図 参照 ) 99

128 出典 :PT. Arutmin Indonesia 図 North Pulau Laut Coal Terminal(NPLCT) (h) 石炭品質表 に Arutmin 炭鉱の石炭品質を鉱区別に示す Senakin Satui Batulicin の発熱量は 6,141~6,729kcal/kg と高カロリーで 灰分 硫黄分はやや高目であるが Mulia Asam-Asam Sarongga の発熱量は 4,168~5,025kcal/kg と低カロリーで灰分 硫黄分は低い 表 石炭品質 品名 発熱量全水分固有水分灰分揮発分固定炭素硫黄分 Kcal/Kg ar %, ar %, adb %, adb %, adb %, adb, %, adb Senakin 6, Satui 6, Batulicin 6, Mulia 5, Asam-Asam 4, Sarongga 4, 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (5) PT. Berau Coal (a) 概要 PT. Berau Coal(Berau 炭鉱 ) は 東カリマンタン州の北部 北カリマンタン州と隣接した Berau 県に位置する 東カリマンタンの州都サマリンダから 300km の距離である Berau 県庁 Tanjung Redeb が最寄りの町であるが 鉱区周辺はいくつの川の支流があり 炭鉱へのアクセスは 水上交通が便利である PT. Berau Coal は 1983 年に設立され インドネシア政府と CCoW を締結した第一世代の炭鉱である 石炭採掘は 1995 年に Lati 鉱区から始まり その後 1996 年には Binungan 鉱区 2000 年には Sambarata 鉱区でも採掘がスタートしている 石炭の品質は 亜瀝青炭に属し 灰分は低いが 硫黄分は他のインドネシアの石炭に比べて 少し高目である 100

129 PT. Berau Coal の経営は これまで PT. Berau Coal Energy(90%) 双日(10%) であったが 2017 年 7 月 PT. Berau Coal Energy の 84.74% を取得している Asia Resource Minerals (ARMS) 社が Sinar Mas Group 傘下の投資会社によって買収されたため PT. Berau Coal の経営は Sinar Mas Group が行うこととなった 具体的には Sinar Mas Group で炭鉱事業を展開している PT. Golden Energy Mines の傘下となり 双日も経営から手を引いている 炭鉱には Lati 鉱区 Binungan 鉱区 Sambarata 鉱区があり それぞれ 原炭ストックヤードを持っている 採掘現場からストックヤードまでの距離は 4.5km~13km と近い ストックヤードには 750 トン / 時のクラッシャーが Lati 鉱区には 4 基 Binungan 鉱区には 3 基 Sambarata 鉱区には 2 基配備されている 50mm アンダーまでクラッシングされる その後 石炭は Lati 鉱区は Lati Port Binungan 鉱区は Binungan Port Sambarata 鉱区は Suaran Port へトラック輸送される Lati Port Binungan Port Suaran Port のストックヤードは それぞれ 53 万トン 44 万トン 49 万トンである ここでは 品質管理 ブレンドが行われ 消費者向けの銘柄の品質を維持している 港では 5,000~8,000 トンのバージに石炭が積込まれる (b) 石炭資源量 埋蔵量表 に Berau 炭鉱の資源量 埋蔵量を鉱区別に また 図 には 鉱区の位置を示す Berau 炭鉱全体では 資源量 34 億トン 埋蔵量 5.7 億トンと豊富な石炭資源を有する 最も資源量 埋蔵量が多い鉱区は Binungan であり 資源量 21.7 億トン 埋蔵量 3.6 億トンである 表 資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 鉱区 資源量埋蔵量確定推定予想計確定推定計 Lati Binungan 1, , Sambarata その他 計 1,418 1, , 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 101

130 出典 :PT. Berau Coal 図 鉱区位置 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) Berau 炭鉱の 2011 年から 2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移を図 に示す 2015 年の生産量は 2,700 万トンの最高を記録したが 2016 年は 2,500 万トンへ減少している Berau 炭鉱の石炭は 低灰分 低硫黄 発熱量 4,900~ 5,500kcal/kg とインドネシアのおける典型的な亜瀝青炭として広く輸出されている 石炭の最大輸出先は 現在中国であるが 続いて台湾 韓国へ輸出されている 石炭の販売契約は 長期契約が主流であり 主に石炭火力発電所への供給が多い 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量推移 102

131 (d) 傘下の炭鉱 PT. Berau Coal は Sinarmas グループの PT. Golden Energy Mines 傘下になった PT. Golden Energy Mines の傘下の炭鉱としては PT. Berau Coal の他 南カリマンタンに PT. Borneo Indobara Indonesia(BII) を スマトラに PT. Kuansing Inti Makmur(KIM) PT. Era Mitra Selaras(EMS) を 中央カリマンタンには PT. Trisula Kencana Sakti (TKS) を保有する (e) 炭鉱位置図 に炭鉱位置を示す PT. Berau Coal は 東カリマンタン州の北部 北カリマンタン州と隣接した Bera 県に位置する 東カリマンタンの州都サマリンダから 300km の距離である 出典 : 資料を元に作成 図 炭鉱位置 (f) 資本形態表 に PT. Berau Coal の資本形態を示す PT. Berau Coal Energy が 100% を所有する 表 資本形態企業名保有率 PT. Berau Coal Energy 100% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (g) インフラ状況石炭はトラックで石炭積込み Jetty まで輸送され バージに積み込まれる バージは Sulawesi 海の石炭積替えポイント (Anchorage) で石炭専用船へ積替えられる Lati 鉱区 103

132 からの距離は 81.4km Sambarata 鉱区からの距離は 108.2km Suaran 鉱区からの距離は 54.4km である クレーンが取り付けられている石炭専用船の場合は バージから直接クレーンを使用して石炭は 石炭専用船へローディングされるが クレーンが設置されていない船舶に対しては 洋上積替設備が配備されている 洋上積替設備は FOTP(Floating Offshore Transfer Platform) Floating Crane(FC) Floating Transfer Station(FTS) と呼び名が変わっているが 当初 18,000 トン / 日の積替能力が 設備の大型化により 32,000 トン / 日まで能率が向上している 表 に設備の概要を 図 に Floating Transfer Station(FTS) の Bulk Sumatra の設備外観を示す 表 洋上での積替設備 洋上積替設備 稼動日能力 ( 年 ) ( トン ) 船舶のクレーン Geared Vessel 当初から 12,000 Floating Offshore Transfer Platform(FOTP) Derawan ,000 Floating Crane(FC) Blitz ,000 石炭積込設備 Floating Transfer Station(FTS) Bulk Java ,000 Floating Transfer Station(FTS) Bulk Borneo ,000 Floating Transfer Station(FTS) Bulk Celebes ,000 Floating Transfer Station(FTS) Bulk Sumatra ,000 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 出典 :Berau Coal 図 Floating Transfer Station (FTS) の Bulk Sumatra (h) 石炭品質 Berau 炭鉱の石炭品質を表 に示す Mahoni Mahoni B Agathis Sungkai Eboni の 5 つの銘柄を有する 発熱量は GAR5,000~5,700kcal/kg であり インドネシアにおける典型的な亜瀝青炭の炭質である 灰分は 5% とインドネシアの中では低いが 硫黄分はほぼ 1% とインドネシアの中では 高い方である 104

133 表 石炭品質 Mahoni Mahoni B Agathis Sungkai Eboni 全水分 Ar % 固有水分 adb % 灰 分 adb % 全硫黄 adb % 発熱量 Ar kcal/kg 5,500 5,300 5,100 5,000 5,700 発熱量 Adb kcal/kg 5,900 5,750 5,650 5,500 6,100 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (6) PTBA (a) 概要 PTBA の歴史は古く オランダ統治下の時代に 西スマトラの Ombilin 炭鉱 南スマトラの Tanjung Enim 炭鉱で石炭生産が既に始まっている 日本は第二次世界大戦中 3 年間 Ombilin 炭鉱の炭鉱開発を行った経緯があり 主に旧北海道炭鉱汽船 ( 株 ) の技術者が炭鉱開発を行っていた 戦後も小規模に石炭生産は行われていたが 1981 年 3 月 国営炭鉱として PT. Bukit Asam(PTBA) が設立され Ombilin 炭鉱での坑内採掘 Tanjung Enim 炭鉱での大規模露天掘り採掘が始まった 2002 年 12 月にはインドネシア証券取引に上場し 35% の株が民間へ開放されている 現在 PTBA は西スマトラに Ombilin 炭鉱 西スマトラに Tanjung Enim 炭鉱 リアウ州に Peranap 炭鉱 東カリマンタンに Palaran 炭鉱 南カリマンタンに Tabalong 炭鉱を所有している この内 Palaran 炭鉱と Tabalong 炭鉱は PTBA が 51% の権益を保有する PT. International Prima Coal(PIC) が操業している Ombilin 炭鉱は坑内採掘であるが 現在休止中である PTBA は西スマトラに Teluk Bayu 港 南スマトラに Kertapati 港 ランプンに Tarahan 港を所有し Ombilin 炭鉱の石炭は Teluk Bayu 港まで また Tanjung Enim 炭鉱の石炭は Kertapati 港 Tarahan 港までそれぞれ鉄道輸送され バージや石炭専用船へ積込まれ 国内消費地 又は海外へと輸出されている PTBA の石炭は Tanjung Enim 炭鉱に隣接する PLN の石炭火力発電所 (65MW 4 基 ) に供給されるほか 2012 年 6 月には PTBA の自家発電所としての石炭火力発電所 (10MW 2 基 ) が完成し供給を始めている また Tarahan 港に隣接して 自家発電所 (8MW 2 基 ) が稼動している さらに Tanjung Enim 炭鉱の近郊に Banjarsari(110MW 2 基 ) の山元石炭火力発電所を建設し 2015 年 5 月から商業運転を開始している PTBA は 石炭火力発電建設を積極的に推し進めており この他 Banko Tengah 石炭火力発電所 (620MW 2 基 ) Peranap 石炭火力発電所 Sumsel 9 火力発電所 (600MW 2 基 ) の計画がある 2016 年の PTBA の石炭生産量は 1,878 万トンであった 105

134 (b) 石炭資源量 埋蔵量 PTBA が保有する鉱区の石炭資源量 埋蔵量を表 に示す Tanjung Enim 炭鉱が最も多く 資源量 47.1 億トン 埋蔵量 29 億トンである Tanjung Enim 炭鉱の西方に位置する Lahat 鉱区の資源量は 24.8 億トンと見込まれており Tanjung Enim 炭鉱の資源量と合わせると 71.9 億トンとなる Ombilin 炭鉱の埋蔵量は少ないが発熱量が高い Peranap 炭鉱の埋蔵量は 6.7 億トンと見込まれている Peranap 炭鉱の石炭は発熱量が低い カリマンタンには Sanga Sanga 炭鉱と Tabalong 炭鉱があるが 資源量 埋蔵量共に多くない 表 PTBA 石炭資源量 埋蔵量 ( 単位 :10 億トン ) 州 鉱区名 資源量 埋蔵量 スマトラ Tanjung Enim 炭鉱 Lahat 鉱区 2.48 Ombilin 炭鉱 Peranap 炭鉱 カリマンタン Sanga Sanga 炭鉱 Tabalong 炭鉱 計 出典 :PTBA 資料 (c) 炭鉱位置 PTBA の炭鉱位置を図 に示す Tanjung Enim 炭鉱 Ombilin 炭鉱 Peranap 炭鉱は スマトラに位置し Sanga Sanga 炭鉱 Tabalong 炭鉱はカリマンタンに位置する 出典 :PTBA 資料 図 PTBA 炭鉱位置 106

135 (d) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) PTBA の石炭生産量は 年々増加しており 2016 年は 1,878 万トンであった 図 に 2011 年 ~2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費 石炭販売量を示す PTBA の石炭生産は 現在 Tanjung Enim 炭鉱と Sanga Sang 炭鉱の 2 炭鉱からであるが そのほとんどは Tanjung Enim 炭鉱からの生産量である Ombilin 炭鉱は現在休止しており また Peranap 炭鉱 Tabalong 炭鉱開発はこれからであり 生産までには至っていない 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 PTBA の石炭生産量 輸出量 国内消費量 販売量 図 に 2017 年上半期の販売先の割合を示す 国内が主力であり販売量の 64% は国内ユーザー向けである 国内では PLN が多く その他 セメント会社 冶金会社 パルプ会社 製紙会社などへ販売している 輸出は インドが最も多く その他 カンボジア ベトナム フィリピンが多い 中国はそれほど多くない 107

136 マレーシア 1% ベトナム 4% カンボジア 4% フィリピン 2% タイ 1% 日本 1% 中国 5% インド 18% 国内消費 64% 出典 :PTBA Corporate Presentation Q 図 販売先の割合 (e) 資本形態 PTBA の資本形態は 国営企業であるが 2002 年 12 月にはインドネシア証券取引に上場し 35% の株が民間へ開放されている 35% の株主には 国内企業の他 海外企業も名を連ねている 株主の割合を図 示すが インドネシア政府 65.02% 自社株 8.51% 国内企業 10.61% 海外企業 2.93% その他 12.93% である ただ その他に含まれる国内企業 海外企業は示されていない 海外企業, 2.93% その他, 12.93% 国内企業, 10.61% 自社株, 8.51% インドネシア政府, 65.02% 出典 :PTBA Corporate Presentation Q 図 PTBA の資本形態 また 表 株保有企業の上位 30 社を示す 108

137 表 株保有企業の上位 30 社 資本保有先 保有率 国内外 1 インドネシア政府 65.02% 国内 2 TAMBANG BATU BARA BUKIT ASAM (PERSERO), 8.51% 国内 3 BPJS KETENAGAKERJAAN -JHT 2.32% 国内 4 PT. TASPEN (PERSERO) -THT 1.54% 国内 5 PT. PRUDENTIAL LIFE ASSURANCE -REF 1.09% 国内 6 PT. AIA FINL -UL EQUITY 0.98% 国内 7 PEMERINTAH PROPINSI SUMATERA SELATAN 0.93% 国内 8 BBH BOSTON S/A VANGRD EMG MKTS STK INFD 0.63% 海外 9 BPJS KETENAGAKERJAAN -JKK 0.47% 国内 10 JPMCB NA RE-VANGUARD TOTAL INTERNATIONAL 0.45% 海外 11 PT. AIA FINL -SYARIAH EQ 0.40% 国内 12 PAMAPERSADA NUSANTARA, PT 0.39% 国内 13 BPJS KETENAGAKERJAAN -BPJS 0.37% 国内 14 ASURANSI JIWA MANULIFE INDONESIA, PT % 国内 15 CITIBANK NEW YORK S/A EMERGING MARKETS C 0.32% 海外 16 REKSA DANA SAM INDONESIAN EQUITY FUND % 国内 17 PEMERINTAH DAERAH KABUPATEN MUARA ENIM 0.30% 国内 18 DZ PRIVATBANK S.A 0.30% 海外 19 PT. AXA MANDIRI FINANCIAL SERVICES S/A MA 0.24% 国内 20 SSB 2Q27 S/A ISHARES CORE MSCI EMERGING 0.24% 海外 21 CITIBANK NEW YORK S/A THE EMERGING MARKE 0.23% 海外 22 RD PREMIER ETF INDO STATE-OWNED COMPANI 0.22% 国内 23 PT. PRUDENTIAL LIFE ASSURANCE -REP 0.22% 国内 24 RBC IST AC RBC EMERGING MARKETS DIVIDEND 0.22% 海外 25 HSBC BANK PLC S/A SAUDI ARABIAN MONETARY 0.20% 海外 26 ALLIANZ LIFE IND -SMARTLINK RUPIAH EQUI 0.18% 国内 27 UBS AG LDN BRANCH A/C CLIENT % 海外 28 PT. PRUDENTIAL LIFE ASSURANCE -SEF 0.17% 国内 29 CITIBANK LONDON S/A STICHTING PGGM DEPOS 0.16% 海外 30 PT. AIA FINL -INV 0.16% 国内 小計 87.07% その他 12.93% 計 % 出典 :PTBA Corporate Presentation Q (f) 傘下の炭鉱 PTBA は Tanjung Enim 鉱区に PT. Bukit Kendi(75%) PT. Bukit Asam Banko(65%) の傘下企業を持つ また スマトラ以外にもカリマンタンの石炭開発も手がけており 傘下企業として PT. International Prima Coal(51%) が石炭を開発している (g) インフラ状況 1) 鉄道 PTBA は Ombilin 炭鉱 Tanjung Enim 炭鉱にも鉄道インフラが完備している これは 炭鉱の歴史が古く 当初は鉄道が石炭の輸送手段の主流だった影響によるものだと思われる 109

138 Ombilin 炭鉱の鉄道は 炭鉱が位置する Sawah Lunto から北回り路線が選択されている これは 山岳地域のために 傾斜が緩い経路が選択されているためである 多少の傾斜があるので 歯車とラック式の走行装置 ( アプト式 ) が採用されている ただ 2010 年からは石炭輸送はすべてトラックに切り替えられている ( 図 参照 ) 出典 : 運輸省 図 Ombilin 炭鉱の鉄道状況 Tanjung Enim 炭鉱の鉄道輸送インフラは Palembang 位置する Kertapati 港とランプン州に位置する Tarahan 港の二つの輸送経路を持つ 現在の Kertapati までの輸送距離は 190km 石炭輸送能力は 370 万トンである 同様に Tarahan までの距離は 410km 輸送能力は 1,800 万トンである 現在鉄道は複線工事が進められており 完成すると Kertapati までの輸送能力は 500 万トンへ Tarahan までの輸送能力は 2,500 万トンまで増加する ( 図 参照 ) 110

139 出典 : 資料を元に作成 図 南スマトラの鉄道状況 2) 港湾 PTBA は 3 つの大型港を保有している その概要を表 に示す Tarahan 港では 石炭を RCD(Rotary Car Dumper) でアンローディグしている No1~No4 まで RCD が設置されているが No1 No2 は 1 つの貨車を No3 No4 は 2 つの貨車を同時に回転しアンローディングをすることができる Tarahan 港はケープサイズの船舶 (Max.20.5 万 DWT) へのシッピングが可能であるが Teruk Bayur 港はパナマックス程度 Kertapati 港は 8,000 トンのバージへの積み込みとなる バージへ積込まれた石炭は そのままバージで国内のユーザーへ輸送され 輸出の場合は Palembang 沖の外洋のアンカーリッジ ( 積替地点 ) の Tanjung Kapek で石炭専用船に積替えられる 表 PTBA 港の概要 港湾名 積出能力 ストックパイル 積出可能な船舶 Tarahan 港 2,500 万トン 86 万トン 205,000 DWT Kertapati 港 370 万トン 5 万トン 8,000 DWT Teruk Bayur 港 250 万トン 9 万トン 80,000 DWT 出典 :PTBA Corporate Presentation Q (h) 石炭品質表 に石炭品質を銘柄別に示す IPC は 東カリマンタンで石炭採掘を行っている PT. International Prima Coal(PIC) の石炭銘柄である BA45~BA64 の 5 つの銘柄は Bukit Asam 炭鉱で採掘された石炭である Bukit Asam 炭鉱の発熱量は 4,200~ 6,400kcal/kg であるが 6,400kcal/kg の石炭は現在採掘されておらず ほとんどの石炭は 5,000kcal/kg 以下の発熱量が低い石炭が主流となっている 灰分は低いが 硫黄分はインドネシアでは高めの約 1% である 111

140 品名 発熱量 全水分 表 石炭品位 固有水分 灰分 揮発分 固定炭素 硫黄分 灰の温度 ( ) kcal/kg kcal/kg 軟化溶流 %,ar %,adb %,ar %,ar %,ar %,adb 融点 adb ar 点点 IPC53 5,300 4, BA 45 5,464 4, ,216 1,384 1, BA 48 5,733 4, ,216 1,384 1, BA 50 6,111 5, ,323 1,381 1, BA 55 6,513 5, ,308 1,388 1, BA 64 7,070 6, ,466 1,491 1, 出典 :PTBA Corporate Presentation Q HGI (7) PT. Indominco Mandiri (a) 概要 PT. Indominco Mandiri(Indominco 炭鉱 ) は PT. Indo Tambangraya Megah(ITM) 傘下の炭鉱である ITM の設立会社は タイの Banpu グループである PT. Indominco Mandiri は 1988 年インドネシア政府と CCoW 契約を行い 1990 年から探査を開始 1995 年には操業を開始 1998 年に最初の石炭が採掘されている 1998 年には 東ブロックでの炭鉱開発が始まり 30 年の採掘計画をインドネシア政府と締結し 現在は 2028 年までの石炭採掘が認められている 炭鉱の鉱区は 東カリマンタン州の東 Kutai 県 Kutai Kartanegara 県 Bontang 市に広がっている 最初の開発は インドネシアの財閥 Salim グループが行っていたが その後 Banpu グループに買収された タイでは 国内での石炭需要の高まりと同時に インドネシアへの投資が加速されていた 採掘は露天採掘であるが 採掘内にクラッシャーとベルトコンベアを導入し 採掘の効率化を図っている (In-Pit Crushing and Conveying:IPCC) 原炭ストックヤードには 10 万トン クラッシング後のヤードには 18 万トンの石炭を貯炭できる 採掘された石炭はトラックで 35km 離れた石炭積出港 Bontang Coal Terminal(BoCT) まで 石炭専用道路を通って輸送される その後 ここで一旦貯炭され品質管理が行われた後 石炭専用船に積込まれる BoCT は PT. Indominco Mandiri が建設した港であり 35 万トンのストックヤードを完備している 石炭はパナマックス 95,000DWT までの船舶への積込みが可能である 石炭の銘柄は IM6350 IM EAST IM WP IM6250 の 4 種類が生産されている (b) 石炭資源量 埋蔵量 Indominco 炭鉱の資源量 埋蔵量を表 に示す 2016 年末では資源量 7 億 198 万トン 埋蔵量は 5,990 万トンである 112

141 表 資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 鉱区 資源量 埋蔵量 2015 年末 年末 出典 :ITM Annual Report2016 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 に 2011 年 ~2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費 石炭販売量を示す 生産量は 2011 年より増加している 2016 年の出炭量は 1,500 万トン 輸出量は 1,400 万トンであった 国内消費は 160 万トンと多くない 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 に 2017 年 1 月 ~9 月までの販売先を示す 販売量は 総計で 1,650 万トン 国内へは 100 万トンと 6% に過ぎない 残りは輸出されているが 日本が最も多く 23% 中国 19% タイ 13% インド 10% 韓国 7% フィリピン 7% と続いている 113

142 香港, 0.2, 1% イタリア, 0.2, 1% 台湾, 0.6, 4% その他, 1.5, 9% 日本, 3.7, 23% フィリピン, 1.2, 7% 韓国, 1.2, 7% インド, 1.6, 10% 中国, 3.1, 19% インドネシア ( 国内消費 ), 1.0, 6% 出典 :ITM Presentation タイ, 2.2, 13% ( 単位 : 百万トン ) 図 販売先の割合 (d) 傘下の炭鉱 PT. Indominco Mandiri は PT. Indo Tambangraya Megah(ITM) 傘下の炭鉱である ITM は PT. Indominco Mandiri 以外に PT. Trubaindo Coal Mining PT. Bharinto Ekatama PT. Kitadin PT. Jorong Barutama Greston の炭鉱を有する 表 にこれらの炭鉱の位置する州 埋蔵量 生産量示す 表 ITM 傘下炭鉱 ( 単位 : 百万トン ) 会社名 州 2016 年 2015 年 2016 年資源量埋蔵量生産量 PT. Trubaindo Coal Mining 東カリマンタン PT. Bharinto Ekatama 東カリマンタン PT. Kitadin 東カリマンタン PT. Jorong Barutama Greston 南カリマンタン 出典 :ITM Annual Report2016 (e) 炭鉱位置 ITM の傘下炭鉱の位置を図 に示す 東カリマンタンに多い 114

143 出典 : 資料を元に作成 図 ITM の炭鉱位置 (f) 資本形態資本形態を表 に示す PT. Indo Tambangraya Megah が 99.99% PT. Toba Sejahtra が 0.01% の株を保有する 表 資本形態企業名保有率 PT. Indo Tambangraya Megah 99.99% PT. Toba Sejahtra 0.01% 計 100% 出典 :Indonesia Coal Book 2016/17 (g) インフラ状況図 に Indominco 炭鉱のインフラ状況を示す 切羽で採掘された石炭は まずは 原炭ストックパイルに輸送され 貯炭される その後 クラッシングされ 一時貯炭されるが その後 石炭はトラックで 35km 離れた石炭積出港 Bontang Coal Terminal(BoCT) まで 石炭専用道路を通って輸送される BoCT は PT. Indominco Mandiri が建設した港であり 35 万トンのストックヤードを完備している ここで一旦貯炭され品質管理が行われた後 石炭専用船に積込まれる BoCT では パナマックス 95,000DWT までの船舶への積込みが可能である BoCT は Indominco 炭鉱以外の石炭も取り扱っている 石炭は BoCT へトラックで運ばれる場合とバージで運ばれる場合がある バージの場合は アンローディグが必要であるが 連続してアンローディングが可能な Continuous Barge Unloader (CBU) が設置されている 115

144 出典 :ITM Annual Report2016 図 石炭輸送状況 (h) 石炭品質 Indominco 炭鉱の石炭品質を表 に示す 発熱量は 5,500kcal/kg を超えており 良質の石炭であるが 灰分 硫黄分が多少高い石炭も産する 表 石炭品質 品名 発熱量全水分固有水分灰分揮発分固定炭素硫黄分 HGI kcal/kg (ar) %,ar %,adb %,adb %,adb %,adb %,adb IM6350 6, IM East 5, IM WP 5, IM6350 5, 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (8) PT. Borneo Indobara(BIB) (a) 概要 PT. Borneo Indobara Indonesia(BIB 炭鉱 ) は Golden Energy Mines が 経営権を持つ炭鉱である ただ BIB 炭鉱自体は Golden Energy Mines の企業 PT. Roundhill Capital Indonesia(RCI) がシェアを有する Golden Energy Mines は Sinarmas グループに属し インドネシアにおいて石炭開発等を行っている会社である BIB 炭鉱以外にも スマトラに PT. Kuansing Inti Makmur(KIM) PT. Era Mitra Selaras(EMS) を 中央カリマンタンには PT. Trisula Kencana Sakti(TKS) を保有する PT. Borneo Indobara は 1990 年に設立され 1994 年には インドネシア政府と CCoW の契約を行った第二世代の炭鉱である 1996 年概査が終了 1999 には探査が 2001 年には FS が完了している 2004 年から炭鉱の建設を行い 2005 年から石炭の採掘が始まり 2006 年から商業ベースの生産を開始している また インドネシア政府とは 30 年間の採掘契約を行っており 2036 年まで 石炭を採掘する権利を有している 炭鉱は 南カリマンタン州の Tanah Bumbu 県に位置する 南カリマンタン州都 Banjarmasin から南西に約 116

145 200km の距離である 鉱区の最南部から 5km で海岸線に繋がっているため 石炭輸送コストはかなり割安となる 鉱区の最北部から海岸線の距離も 35km と近い 鉱区は 南東側の Sebamban ブロック 南西側の Batulaki ブロック 北東側の Kusan ブロックと Gilimulya ブロック そして 北側の Pasopati の 5 つのブロックに分かれる (b) 石炭資源量 埋蔵量 BIB 炭鉱の各ブロックの埋蔵量を表 に示す 資源量の合計は 億トン 埋蔵量の合計は 5.75 億トンである Kusan ブロック Gilimulya ブロックに埋蔵量が多い 表 石炭資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 鉱区 資源量埋蔵量確定推定予想計確定推定計 Batulaki Sebamban Kusan Gilimulya Gilimulya High Coal 計 , 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 に 2011 年 ~2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費 石炭販売量を示す 生産量は年々増加している 2016 年は 746 万トンまで増加している 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 117

146 (d) 傘下の炭鉱 PT. Borneo Indobara Indonesia(BIB) は PT. Berau Coal で述べたとおり Sinarmas グループの PT. Golden Energy Mines 傘下の炭鉱である PT. Golden Energy Mines の傘下の炭鉱としては 東カリマンタンの PT. Berau Coal の他 スマトラに PT. Kuansing Inti Makmur(KIM) PT. Era Mitra Selaras(EMS) を 中央カリマンタンには PT. Trisula Kencana Sakti(TKS) を保有する (e) 炭鉱位置 PT. Borneo Indobara の炭鉱位置を図 に示す 南カリマンタン州 Satui 県に位置する 出典 : 資料を元に作成 図 PT. Borneo Indobara(BIB) の炭鉱位置 (f) 資本形態 PT. Borneo Indobara の資本形態表 に示す PT. Borneo Indobara は Sinarmas グループの PT. Roundhill Capital Indonesia が 99.07% を所有する 表 資本形態 企業名 保有率 PT. Roundhill Capital Indonesia 99.07% PT. Gerak Bangun Jaya 0.60% Individual 0.33% 計 100% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (g) インフラ状況 BIB 炭鉱の鉱区図を図 に示す 炭鉱で採掘された石炭は 石炭専用道路を通って 南の海岸線の港まで輸送される 現在 Abidin 港と Bunati 港の 2 港所有するが 採掘現 118

147 場から Abidin 港までの距離は 13km Bunati 港までの距離は 24km と輸送距離は非常に短い Abidin 港は Satui 県の Satui 川に接し Bunati 港は Angsana 県に位置する 2 港にはそれぞれ 1,000 トン / 時間のクラッシャーが配備され 2 港合計で 20 万トンのストックパイルを有する 港から石炭はバージに積込まれ 沖合の石炭積替地点 (Anchorage) にて 石炭専用船へ積替えられる 出典 :PT. Borneo Indobara Indonesia(BIB) 図 鉱区図 (h) 石炭品質 BIB 炭鉱の石炭の品質を表 に示す 発熱量は GAR(Gross as received: 到着ベースの総 ( 高位 ) 発熱量 ) で 4,000~4,200kcal/kg であるが 灰分 硫黄分は低い 表 石炭品質 品名 発熱量全水分固有水分灰分揮発分固定炭素硫黄分 HGI kcal/kg (ar) %,ar %,adb %,ar %,ar %,ar %,adb BIB4200 4, BIB4000 4, 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (9) PT. Antang Gunung Meratus(AGM) (a) 概要 PT. Antang Gunung Meratus(AGM 炭鉱 ) は PT. Baramulti Suksesarana(BSSR) グループが経営する炭鉱である 株式の 100% は BSSR グループが保有する BSSR グループは スマトラ カリマンタンに複数の炭鉱を所有するインドネシア中堅の国内資本の石炭生産会社である AGM 炭鉱は 南カリマンタン州都 Banjarmasin から北東 100km に位 119

148 置し 低灰分 低硫黄の石炭を生産しており BSSR グループの中核炭鉱である AGM 炭鉱は 1994 年にインドネシア政府と CCoW 契約を行った第二世代の炭鉱である インドネシア政府から 1999 年から 2029 年までの 30 年間 採掘する権利を得ている 2016 年の出炭量は 648 万トンであった 採掘鉱区は 南カリマンタン Banjar Tapin Hulu Sungai Huru Sungai の地域を跨ぎ 南西から北東方向に 70km に渡って広がっている 採掘区域は ブロックⅠ~Ⅵまでの 6 つのブロックに分かれ Ⅰ Ⅱ Ⅴ Ⅵのブロックの石炭は始新世の Tanjung 層に ブロックⅢ Ⅳは 中新世の Warukin 層に属する 採掘された石炭は まずは Ida Manggara の原炭ストックヤードへ運ばれ その後 Lok Bantar の石炭積出し Jetty にて小型のバージに積込まれる 小型バージは Sungai Putting 港で大型バージに積替えられ その後 国内消費地へ輸送されるが 一部は Banjarmasin 沖の外洋で石炭専横船に積替えられ輸出される 出光興産 ( 株 ) は 2012 年 11 月に BSSR 社の 3% の株式を取得し 炭鉱経営に参加している (b) 石炭資源量 埋蔵量 AGM 炭鉱の資源量 埋蔵量を表 に示す 鉱区は Tanjung と Warukin に分かれている 資源量は合計で 8.6 億トンである 埋蔵量は 8,100 万トンである 表 石炭資源量 埋蔵量 ( 単位 : 百万トン ) 資源量埋蔵量鉱区確定推定予想計確定推定計 Tanjung Warukin 計 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 に AGM 炭鉱の 2011 年 ~2016 年までの石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) を示す 生産量 販売量共に増加しており 2016 年の石炭生産量は 648 万トン 輸出量は 542 万トン 国内消費は 132 万トンであった 輸出が約 8 割を占める 120

149 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) (d) 傘下の炭鉱 PT. Antang Gunung Meratus は PT. Baramulti Suksesarana(BSSR) グループが経営する炭鉱である BSS グループの炭鉱を表 に示す スマトラに 6 炭鉱 南カリマンタンに 2 炭鉱 北カリマンタンに 2 炭鉱 東カリマンタンに 1 炭鉱を所有する 表 BSSR グループの炭鉱 炭鉱名 州 Inti Bumi Sukses Perkasa(IBSP) スマトラ Sumber Mineral Perdana(SMP) スマトラ Bumi Sekundang Enim Energy(BSEE) スマトラ Batu Alam Selaras(BAS) スマトラ Muara Alam Sejahtera(MAS) スマトラ Prima Mulia Sarana Sejahtera(PMSS) スマトラ Antang Gunung Meratus(AGM) 南カリマンタン Sumber Kurnia Buana(SKB) 南カリマンタン Mitrabara Adiperdana(MA) 北カリマンタン Baradinamika Mudasukses(BDMS) 北カリマンタン Baramulti Suksessarana(BSSR) 東カリマンタン 出典 :AGM 資料 (e) 炭鉱位置 PT. Baramulti Suksesarana の炭鉱位置を図 炭鉱位置に示す 121

150 出典 : 資料を元に作成 図 炭鉱位置 (f) 資本形態表 に示すように PT. Antang Gunung Meratus は PT. Baramulti Suksesarana (BSSR) グループが経営する炭鉱である 株式の 100% は BSSR グループが保有する 表 AGM の資本形態企業名保有率 PT. Baramulti Suksesarana(BSSR) 100% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (g) インフラ状況 AGM 炭鉱のインフラ状況を図 に示す AGM 炭鉱で採掘された石炭は まずは1 Ida Manggala のストックパイルまで輸送される その後 2Lok Buntar までトラック輸送 そして Lok Buntar から3S.Puting までの 29km の運河を通るバージ輸送となる 3 S.Puting では大型バージに積替えられ 国内消費地へ輸送されるが 一部は Banjarmasin 沖の外洋の積替え地点 (Anchorage) で石炭専用船に積替えられ輸出される 122

151 出典 : 資料を元に作成 図 インフラ状況 (h) 石炭品質 AGM 炭鉱の石炭の品質を表 に示す Tanjung 層と Warukin 層を比べると Tanjung 層の発熱量は 6,200~6,700kcal/kg と高いが Warukin 層は 5,000~5,800kcal/kg と低い 全水分は Tanjung 層は 10-12% 程度であるが Warukin 層は 24-43% と高い 表 石炭品質 層名 発熱量全水分固有水分灰分揮発分固定炭素硫黄分 kcal/kg (ar) %,ar %,adb %, adb %, adb %, adb %,adb Tanjung 6,200~6,700 10~12 7~10 10~16 38~45 38~46 0.5~1.5 Warukin 5,000~5,800 24~43 15~20 2~9 38~45 35~40 0.1~2.5 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (10) PT. Trubaindo Coal Mining (a) 概要 PT. Trubaindo Coal Mining(Trubaindo 炭鉱 ) は PT. Indo Tambangraya Megah(ITM) 傘下の炭鉱である 前述した PT. Indominco Mandiri 同じ炭鉱企業に属し ITM が 100% の株式を保有する PT. Trubaindo Coal Mining は 1990 年インドネシア政府と CCoW 契約を交わし 現在 2005 年から 2035 年までの 30 年間の採掘権利を得ている 炭鉱は 東カリマンタン州都 Samarinda から西方 300km Kutai Barat 県に位置し 鉱区は Muara Lawa Bentian Besar Muara Pahu Damai 地域に広がっている 採掘地域は Kutai 炭田の新生代の始新世から鮮新世に属する 石炭発熱量は 6,300~7,000kcal/kg と高カロリーである 2015 年の出炭量は 732 万トンであったが 2016 年の出炭量は 524 万トンと減少している 123

152 鉱区は 北部地域と南部地域に分かれている 北部地域は 北ブロックと東ブロックの採掘区域を 南部地域は 南ブロックⅠ(Dayak Besar) 南ブロックⅡ(Biangan) 南ブロックⅢ(SB3) の採掘区域を有する 現在採掘されている区域は 北ブロックと南ブロック Ⅰ(Dayak Besar) 南ブロックⅡ(Biangan) である 石炭は トラック輸送 バージ輸送で Mahakam 川の河口の石炭ターミナルへ輸送され 石炭専用船へ積み込まれ 国内海外へ輸出されている 国内の消費地へは そのままバージで運搬される場合もある (b) 石炭資源量 埋蔵量表 に石炭資源量 埋蔵量を示す 2016 年末の資源量は 3.9 億トン 埋蔵量は 4,000 万トンである 表 石炭資源量 埋蔵量 鉱区 資源量 埋蔵量 2015 年末 年末 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (c) 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 図 に 2011 年 ~2016 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費 石炭販売量を示す 2015 年は生産量 販売量共に増加しており 2015 年の石炭販売量は 760 万トンと最高であったが 2016 年は 580 万トンへ減少している この原因は 雨季の長雨により採掘可能な日が制限されたためである 百万トン 生産量輸出量国内消費販売量 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 販売量 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭生産量 販売量 ( 輸出量 国内販売量 ) 124

153 (d) 炭鉱位置 Trubaindo 炭鉱の炭鉱位置を図 に示す 東カリマンタンに位置する 東カリマンタン州都 Samarinda から西方 300km Kutai Barat 県に位置する 出典 : 資料を元に作成 図 炭鉱位置 (e) 資本形態表 に資本形態を示す PT. Indo Tambangraya Megah が 99.9% を所有する 表 資本形態企業名保有率 PT. Indo Tambangraya Megah 99.99% PT. Kitadin 0.01% 計 100% 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 (f) インフラ状況図 に Trubaindo 炭鉱の石炭輸送インフラ状況を示す 採掘された石炭は 原炭ストックヤード ( 原炭貯炭容量 50 万トン クラッシング後の貯炭容量 12 万トン ) にてクラッシングされ 60 トントラック又は 2 台連結したダブルトラック (120 トン ) で 37km 離れた Muara Bunyut の石炭積込 Jetty まで運ばれる Jetty には 36 万トンのストックヤードが整備され 2,000 トン / 時間の速度でバージへ積込まれる バージの大きさは 8,000~ 10,000 トンである その後 バージは Mahakam 川を下り Bontang の Bontang Coal Terminal(BoCT) 又は Balikpapan Coal Terminal(BCT) へ輸送され 石炭専用船へ積替えられる 国内の消費地へは そのままバージで運搬される 125

154 出典 :ITM Annual Report2016 図 石炭輸送状況 (g) 石炭品質表 に石炭品質を北地域 南地域ブロック 1 南地域ブロック 2 に分けて示す 発熱量は ADB(Air Dry Base) にて 6,694~7,397kcal/kg と高い また 灰分 硫黄分が低く良質な石炭と評されるが 南地域ブロック 1 については硫黄分が 2% を超えている 表 石炭品質 品名 発熱量全水分固有水分灰分揮発分固定炭素硫黄分 kcal/kg (adb) %,ar %,adb %,adb %,adb %,adb %,adb 北地域 6, 南地域ブロック 1 7, 南地域ブロック 2 7, 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 126

155 4.2 投資金額と将来計画 課題 投資金額の実績図 に鉱物石炭総局における投資額の推移を示す 2016 年の総額は 72.3 億 USD であった 投資額は 2015 年減少したが 2016 年は再び増加している 1COW( 鉱業契約 ) 2CCoW( 石炭鉱業契約 3IUP( ライセンス企業 ) 国営企業 4サービス企業 ( コントラクタ等 ) 5 精錬所の 5 つに分類されているが 石炭は CCoW と IUP( ライセンス企業 ) 国営企業に含まれる COW は鉱物を生産する企業 サービス企業は 石炭の剥土や採炭 石炭輸送を行うコントラクタであるが 金属鉱山のコントラクタも含まれる 精錬所は 鉱物を精錬する工場の建設であり 鉱物に対する付加価値の義務化政策から投資が行われている 炭鉱への投資は 第 1 世代 第 2 世代共に 炭鉱建設 インフラ整備も終了しており 今後の大型投資は期待できない 第 3 世代については まだ少し建設中の炭鉱もあり 投資が行われる予定である IUP については 炭鉱開発や炭鉱拡大を行っている企業が多くあり 今後の投資が見込まれる 投資額が伸びている企業は サービス企業である サービス企業は トラックなどの重機の更新が必要であり また 生産量拡大に伴う新規の設備投資も行わなければならない そのため 更新時期 新設時期が重なると高額の投資が必要となる 9.00 Billion USD COW( 鉱業契約 ) CCOW( 石炭鉱業契約 IUP( ライセンス企業 ) 国営企業 サービス企業 ( コントラクタ等 ) 精錬所 計 ( 単位 :10 億 USD) 企業分類 COW( 鉱業契約 ) CCoW( 石炭鉱業契約 ) IUP( ライセンス企業 ) 国営企業 サービス企業 ( コントラクタ等 ) 精錬所 総数 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 2016 年年次報告書 図 鉱物石炭における投資額の推移 127

156 4.2.2 投資計画エネルギー 鉱物資源省が発表している 2017 年 ~2019 年までの投資計画を図 に示す エネルギー 鉱物資源省全体では 2017 年 580 億 USD 2018 年は 611 億 USD に増加し 2019 年は 573 億 USD へ減少する 2015 年の実績 55 億 USD 2016 年の実績 514 億 USD と比べると増加している 鉱物石炭の全体に占める割合は 12%~14% と少なく石油ガスの 25% 割程度であるが 総額としては増加している 10 億 USD 年 2018 年 2019 年 石油ガス電力鉱物石炭新 再生可能エネルギー計 (10 億 USD) 2017 年 2018 年 2019 年 石油ガス 電力 鉱物石炭 新 再生可能エネルギー 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省 2016 年年次報告書 図 投資計画 投資の課題インドネシアにおける投資の課題としては 人件費の高騰 インフラの未整備 行政手続きの煩雑さなどが以前から指摘されている 特にインフラについては 道路 電力 鉄道 港湾などが貧弱で 投資の足かせとなっている また 外国資本に対する規制としては 一部 外国資本の投資が規制 禁止されていること ( ネガティブリスト ) 外資の出資比率が制限されること 外国人の土地所有が禁止されていること 資本金に関する規制があることなどが挙げられる 土地所有権は インドネシア国民 ( 個人 ) にのみ認められており 法人は所有権に代わる権利を得たうえで 発電所 工場を建てるなどして操業する必要がある こういう中 ジョコウィ政権は 許認可手続きの簡素化や法的不透明性の解消といった政策を打ち出し 海外からの投資を促進している 大統領主導で設立されたワンストップサービスによる認可の時間短縮 土地収用における大幅な法律改正など積極的な投資促進政策が打ち出されている 電力関係では 35GW の発電増強計画を打ち出され IPP による発電所建設計画が スタートしたが 手続きの簡素化 窓口の一本化 専門部署の設置など改 128

157 善のための諸政策が行われている インドネシアでの投資を管轄する機関は以下の通りである 投資調整庁 (BKPM) 1973 年設立 いずれの省にも属さない大統領直轄の政府機関 外国投資 国内投資に関する法律 法令等に基づき 石油 ガス 金融分野を除く 外資 内資による投資案件に関する許認可 ( 投資許認可書発給業務 ) 投資政策の検討 策定 投資プロモーション ワン ドア サービスの調整 及び関連事項についての各省庁との調整業務 相談業務等を担当 輸出 投資拡大国家チーム輸出 投資の拡大の為の政策案作成 輸出 投資の拡大過程で生じた問題の解決策の検討 決定 規制緩和 観光 貿易 投資促進活動の統合 投資拡大を目指した政府便宜の供与や取り消しの検討 見直し 推薦等を担当 ワンドア統合サービス (PTSP) 機関ワンドア統合サービス (PTSP) とは 投資に必要な許認可等の供与権限を有する担当省庁 / 部署からその権限を投資管轄機関に委任 集中させて 許認可等の申請から発行までのプロセスを一カ所に集約することにより 投資家が一カ所で手続きを済ませられるようにする制度で 手続きの簡素化 手続き所要日数の短縮 低コスト化と手続き料金の明確化 手続き手順の透明化 法的確実性等を実現しようとするものである 自由貿易地域管理庁インドネシア政府は 2011 年 2 月 4 日付政令第 5 号にて バタム ビンタン カリムン各都市に自由貿易地域 / 港管理庁を設置した これら地域の投資関連 輸出入関連 工業分野等の許認可やリコメンデーション類の付与権限が段階的に委譲されている インドネシアの 2017 年第 2 四半期 (4~6 月 ) の外国直接投資 (FDI) は前年同期比 10.6% 増 国内直接投資 (DDI) は 16.7% 増で いずれも堅調に推移した 国 地域別では中国からの投資が急増した インドネシア政府は外国投資のさらなる拡大に向けて 投資ネガティブリストの改定を含む投資制度の見直しを検討している 129

158 4.3 新規炭鉱開発 インフラ開発見込みに基づく供給能力の見通し 新規炭鉱開発 (1) CCoW の新規炭鉱表 に 2017 年 11 月の石炭鉱業契約 (CCoW) 炭鉱の開発状況を示す 第一世代 9 炭鉱と第二世代の 12 炭鉱すべて生産段階に入っている 第三世代は進行中の 74 の炭鉱のうち 生産段階は 57 炭鉱であり 今後 17 炭鉱が生産段階へと移る これらの炭鉱から生産が開始されれば 石炭供給量は増加する 表 石炭鉱業契約 (CCoW) 炭鉱の開発状況 (2017 年 3 月 27 日現在 ) 年 認可数 中止 進行中 概査 探査 FS 建設 生産 第一世代 1981~ 第二世代 第三世代 1997~ 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 表 に CCoW における新規炭鉱のリストを示す 建設中の炭鉱は 8 炭鉱 FS 中の炭鉱は 6 炭鉱 探査中の炭鉱 2 炭鉱 (1 炭鉱は不明 ) である 表 CCoW における新規炭鉱のリスト ( 建設中の 8 炭鉱 ) 世代 資本 州 県 契約日 鉱区面積 (ha) Bara Pramulya Abadi 3 国内 南カリマンタン Tabalong 20-Nov ,490 Batubara Duaribu Abadi 3 国内 中央カリマンタン Barito Utara, Barito Selatan 20-Nov ,200 Delma Mining Corporation 3 国内 東カリマンタン Bulungan 20-Nov ,900 Maruwai Coal 3 外国 東 南カリマンタン Murung Raya, Kutai Barat 19-Feb ,600 Sarwa Sembada Karya Bumi 3 外国 シ ャンヒ Batanghari, Sarolangun 13-Oct ,400 Selo Argodedali 3 国内 南スマトラ ランフ ン Ogan Komering Ulu, Ogan Komering Ulu Timur 20-Nov ,950 Selo Argokencono Sakti 3 国内 南スマトラ ランフ ン Musi Banyuasin 13-Oct ,930 (FS 中の 6 炭鉱 ) 世代 資本 州 県 契約日 鉱区面積 (ha) Interex Sacra Raya 3 外国 東カリマンタン Pasir, Tabalong 20-Nov ,590 Abadi Batubara Cemerlang 3 国内 リアウ Palalawan, Sengingi, Indragiri Hulu 13-Oct ,470 Bumi Laksana Perkasa 3 国内 東カリマンタン Kutai Timur 20-Nov ,330 Intitirta Primasakti 3 国内 南スマトラ シ ャンヒ Sarolangun, Batanghari, Musi Banyuasin 20-Nov ,100 Juloi Coal 3 外国 中央カリマンタン Murung Raya 06-Sep ,340 Kalteng Coal 3 外国 中央カリマンタン Murung Raya 19-Feb ,600 Yamabhumi Palaka 3 国内 西カリマンタン Sintang 20-Nov ,860 ( 探査中の 2 炭鉱 ) 鉱区面積世代資本州県契約日 3 炭鉱あるが 1 炭鉱は不明 (ha) Pari Coal 3 PMA 中央 東カリマンタン Barito Utara, Kutai Barat 19-Feb , Ratah Coal 3 PMA 中央 東カリマンタン Murung Raya, Kutai Barat 06-Sep , 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 130

159 (2) IUP( 東カリマンタンでの新規炭鉱 ) 今回の調査では 東カリマンタンの炭鉱状況について調査している 表 に東カリマンタンでの新規炭鉱を県別に示す すべて IUP 炭鉱である 表 東カリマンタン新規炭鉱 県名 炭鉱名 県名 炭鉱名 Kutai Kartanegara PT. Kaltim Batu Mamunggal Berau PT. Sungai Berlian Bakti PT. Pancaran Surya Abadi PT. Borneo Brikoks Industry PT. Afira Utama PT. Berau Bara Energi PT. Arya Benua Etam PT. Mega Alam Sejahtera PT. Bukit Mmenjangan Lestari PT. Bara Jaya Utama PT. Borneo Minerals Penajan Paser Utara PT. Pasir Prema Coal Indonesia PT. Gunuh Putra Bersama Paser PT. Energi Bumi Tanah Paser PT. Bintang Prima Energi Pratama PT. Belengkong M R PT. Parisma Jaya Abadi PT. Satria Mahkota Gotek PT. Pinapan Gali Mas PT. Pasee Boen Energi PT. Gunung Harang Sejahtera PT. Sarana Daya Hutama PT. Kemilau Ridang Abadi PT. Berkah Bumi Adbadi PT. Alamjaya Bara Pratama PT. Pola Andhika Realtor PT. Bringin Jaya Abadi PT. Tunas Muda Jaya 西 Kutai PT. Diva Kencana Borneo PT. Gema Bima Permata PT. Harindo Wahana PT. Koperasi Gapera PT. Mamahak Coal Mining PT. Borneo Surya Abadi PT. Karya Borneo Agung PT. Viracon Primer Coal PT. United Coal PT. Surana Daya Hutama PT. Bira Insan Sarana Mandiri PT. Primkoppol Resort Paser PT. Agri City Kaltim PT. Koperasi Mufakat Taka PT. Bumi Enggang Khatulistiwa PT. Daya Taka Kreasi Bersama PT. Farham Fadilah Lestari Samarinda 市 PT. Transisi Energi Satunama PT. Bangun Olah Sarana Sukses PT. Panca Prima mining PT. Graha Pance Karsa PT. Bara Energi Kaltim 出典 : 東カリマンタン州エネルギー鉱物資源局 131

160 4.4 PTBA 動向 ( 高付加価値化政策を背景とした国営企業のホールディングカンパニー化 ) PTBA の概要と石炭販売及び収益 (1) 概要 PTBA は 1876 年西スマトラ州 Ombilin 炭鉱で石炭開発が始まったのが その起源とされている 1919 年 オランダ統治下では Tanjung Enim 地域の Air Laya で最初の露天採掘が始まっている 1950 年 PTBA は正式に国営炭鉱としてスタートするが その名称は PN Tambang Arang Bukit Asam(TABA) であった その後 1981 年 3 月 2 日 社名を現在の PT. Tambang Bukit Asam(PTBA) に変更しているが この日は PTBA の創立記念日となっている 2002 年 12 月 23 日には 株式の 35% を民間に開放している また 1991 年から 1995 年までは 政府が行っていた石炭鉱業契約 (CCoW) の業務を政府代行として行っていた 現在は 石炭事業に係るホールディングカンパニーとして幅広く事業を展開し ワールドクラスの石炭会社を目指している PTBA の事業は多岐にわたる 石炭採掘事業 石炭トレーダ 発電事業 流通事業 投資事業 それぞれに子会社が事業を行っている PTBA の石炭資源量は 47.1 億トン 埋蔵量は 29 億トンと桁違いに大きい 現在採掘している区域は Muara Tiga Besar Air Laya Banko Barat の 3 区域 Air Laya の発熱量は高く Muara Tiga Besar Banko Barat の発熱量は低い 高発熱量の Air Laya の石炭は少なくなってきているが これまで社宅 ゲストハウスであった区域 ( ベースキャンプ ) の石炭を採掘する計画があり 住宅の移動を予定している 今後は Air Laya 新区域の採掘により 発熱量の高い石炭の採掘が今後再開されることになる 山元のストックヤードは 100 万トン 石炭は Palembang の Kertapati 港まで 190km Bandar Lampung の Tarahan 港まで 410km の距離である 現在複線化が進行中であり 完了すれば Kertapati 港へは 現在の 370 万トンから 500 万トンへ Tarahan 港へは 現在の 1,800 万トンから 2,500 万トンへ増える予定である また 石炭に付加価値をつける研究は行っているが 商業段階ではない (2) 石炭販売量 収益図 に PTBA の石炭販売量 収益を示す 石炭販売量は 年々増加しており 2011 年 1,340 万トンであったが 2016 年は 2,080 万トン 1.6 倍に増加している 売上高は 2016 年は 億 USD 純利益は 1.52 億 USD に増加している 132

161 単位 年 1~9 月 販売量 百万トン 売上高 百万 USD ,031 1, 純利益 百万 USD 出典 :PTBA Corporate Presentation Q 図 石炭販売量 収益 (3) 出炭計画図 に PTBA の出炭計画を示す 2018 年は 2,500 万トン 2019 年は 2,700 万トン 2020 年からは 3,200 万トンが計画されている 出典 :PTBA 資料 図 出炭計画 図 には石炭輸送量を輸送先別に示す Tanjung Enim の石炭は Tarahan までの輸送が最も多く 続いて Kertapati 港である また 近隣の Banjarsari 発電所 Tanjung Enim 発電所の他 Batraja セメントにも供給されている 133

162 百万トン Tanjung Enim~Tarahan Tanjung Enim~Kertapati Banjarsari 発電所 Batraja セメント Tanjung Enim 発電所 ( 単位 : 百万トン ) Tanjung Enim~Tarahan 港 Tanjung Enim~Kertapati 港 Banjarsari 発電所 Batraja セメント Tanjung Enim 発電所 計 出典 :PTBA 資料 図 石炭輸送量 (4) 銘柄別販売計画図 に銘柄別販売計画を示す 主力銘柄は 5,000kcal/kg の BA50 であり 全体の 6 割程度を占める 2006 年 4 月から日本が要求する高発熱量 (6,200kcal/kg) の石炭は生産しておらず 日本へは輸出していない 4,500~5,000kcal/kg の石炭を中国 インドへ輸出している ただ 2018 年からベースキャンプの採掘によって 6,400kcal/kg の石炭を日本へ輸出する計画である 日本のユーザーは 双日 伊藤忠 出光興産 JX Nippon Oil & Energy Corp Crown Resources がある 現在の問題は 発熱量が下がっていること 最大で 5,000kcal/kg 程度である 2017 年の見込みでは BA50(5,000kcal/kg) が 17.5 百万トン BA48(4,800kcal/kg) が 5.9 百万トンである BA48 の輸出先は中国 インドである PTBA は 60% を国内 40% 輸出を目指している 韓国へは 1 回だけ輸出したことがある また 遠距離ではあるがベラルーシへも輸出した実績がある 台湾はドラゴングループへ輸出を 5 年間続けている ベトナムとも石炭輸出の交渉を行っている ベトナムはトレーダを通じてでないと輸出できないが マレーシアは直接電力会社と取引可能である ジョコウィ統領は ユーザーとの直接取引を望んでいる 134

163 百万トン Bukitasam 48 Bukitasam 50 Bukitasam 55 GAR 6100 Bukitasam 64 Bukitasam 67 Semi ANS ( 単位 : 百万トン ) BA BA BA BA BA BA Semi ANS 計 出典 :PTBA 資料 図 銘柄別販売計画 (5) その他の戦略 PTBA は カリマンタンで炭鉱買収を進めており 石炭販売量の拡大を目指している また Air Laya の Bucket Excavator はすべて廃止され 新たにロシア製の電気駆動の 30 トンのダンプトラックを導入予定である ( ベラルーシ製 ) Ombilin 炭鉱のサワルーン坑 (OmbilinⅠ) は生産を中止しているが その理由は 坑内採掘であるため 採掘コストが高いためである ただ 坑道は維持しており 残っている可採石炭埋蔵量の 30 万トンはいつでも採掘することができる Ombilin Ⅲは ロシア 中国の企業からの投資を期待している CBM の試掘が始まっている PTBA のグループ企業 PTBA のグループ企業を図 に示す 本業の1 石炭事業の他 2 貿易 トレード事業 3 発電事業 4 流通事業 5ガス事業 6 投資事業の 6 つの事業を展開している 135

164 出典 :PTBA 資料 ( ) の数字は PTBA のシェアの割合を示す 図 PTBA のグループ企業 (a) 石炭事業 PT. Bukit Kendi(75%) PT. International Prima Coal(51%) PT. Bukit Asam Banko (65%) の 3 社を有する PT. Bukit Kendi と PT. Bukit Asam Banko は南スマトラ Tanjung Enim で石炭採掘を行っている PT. International Prima Coal は東カリマンタンで石炭採掘を行っている PT. International Prima Coal は PT. International Prima Cemerlang PT. Tabalong Prima Resources PT. Mitra Hasrat Bersama の 3 炭鉱を有する (b) 貿易 トレード事業 PTBA グループで 石炭の貿易 トレード事業は PT. Bukit Asam Prima(99.99%) が担当している PTBA は国内の石炭を購入し販売しており 石炭取引ビジネスへも参入している 2015 年は 146 万トン 2016 年は 120 万トンの買い付けを行い販売している 2017 年は 302 万トンを予定している 傘下に PT. Bukit Prima Bahari PT. Pelabuhan Bukit Prima PT. Anthrakas PT. Panajam International Terminal を有する (c) 発電事業 PTBA グループは発電事業を展開している PT. Bukit Pembangkit Innovative(59.75%) PT. Huadian Bukit Asam Power を有する (d) 流通事業 PT. Bukit Asam Transpacific Railway(10%) は Tanjug Enim から Tarahan 及び Kertapati までの新規鉄道建設計画を進めている会社である 136

165 (e) ガス事業 PT. Bukit Asam Metana Enim (99.99%) PT. Bukitsam Metana Ombilin (99.99%) PT. Bukit Asam Metana Peranap (99.99%) の 3 社はガス事業を行っている (f) 投資事業 PT. Bukit Multi Investama (99.86%) と PT. Bukit Energi Investama (99,28%) の 2 社は 投資事業を行っている PT. Bukit Multi Investama は 傘下企業 PT. Bumi Sawindo Permai PT. Satria Bahana Sarana PT. Bukit Asam Medika の 3 社を有する PT. Bukit Energi Investama は 傘下企業 PT. Bukit Energi Service Terpadu を有する 発電所の稼動状況及び建設計画 PTBA は発電ビジネスを展開している 主に PT. Bukit Pembangkit Innovative が発電計画 建設 運転まで一括して行っている 発電所は現在 Tarahan 港に1Tarahan Port CPP(Coal Power Plant)(2 8MW) Tanjung Enim 炭鉱には2Tanjung Enim CPP(3 10MW) と3Banjarsari MMPP( 山元発電 )(2 110MW) が稼動している 今後の建設計画は Sumatra 島に4Banjarsari MMPP(2 300MW) 5Sumsel8 MMPP(2 620MW) 6Sumsel 9&10 MMPP(1,800MW) 7Kuala Tanjung CPP(2 350 MW) 8Peranap MMPP(600-1,200MW) が計画され Bangka 島には9Bangka(8MW) Kalimantan 島には108MW の発電所が 3 箇所 Halmahera 島には11Halmahera Timur CPP(2 40 MW) の建設が計画されている 図 に稼動発電所と発電計画を示す 出典 :PTBA 資料を元に作成 図 稼動発電所と発電計画 137

166 4.4.4 鉄道増強計画 Tanjug Enim 炭鉱から Tarahan 港 Kertapati 港までは鉄道の複線化が進められており 工事が完成すると Kertapati までの輸送能力は 500 万トンへ Tarahan までの輸送能力は 2,500 万トンまで増加する さらに PTBA は以下の工事を計画している Tanjung Enim - Parajin: 10 Mt (2022 年 ) の鉄道新設 Parajin 港 Kramasan 港 (Jetty) の建設 Tanjung Enim から Serengen までの鉄道新設 Serengen 港の新設これらの工事により Tanjung Enim から Serengen 港まで新しい鉄道にて 2022 年には 750 万トン 2012 年には 1,500 万トン 2024 年 ~2035 年までは 2,750 万トン 2037 年 ~ 2041 年までは 3,000 万トンの石炭輸送を見込んでいる 図 に鉄道 港新設計画を示す 鉄道新設 拡張計画の中心的企業は PT. Bukit Asam Transpacific Railway である 出典 :PTBA 資料を元に作成 図 鉄道 港新設計画 石炭供給契約 PTBA は 自社で採掘された石炭を国内の石炭ユーザーに対して 長期的に供給する義務があり PLN などの発電会社 肥料会社に対して 長期契約を結んでいる を示す 138

167 表 PLN 長期契約概要 ( 単位 : 百万トン ) 企業名 契約期間 石炭総量 PLN PT. Indonesia Power 2013~2022 年 52 PT. Huadian Bukit Asam Power 25 年間 150 PT. Bukit Pembenkit Innovative 30 年間 36 インドネシア肥料 30 年間 69 Cilacap 発電所 4 年間 5 出典 :PTBA 資料 また 個別発電所への供給状況を表 に示す 現在は Tanjung Enim Power Plant (3 10MW) Trahan Port Power Plant(3 8MW) Banjarsari Power Plant(2 110MW) へ石炭を供給しているが 今後は Sumsel 8 Power Plant(2 620MW) Peranap Power Plant(2 300MW) Sumsel 6 Power Plant(2 300MW) への供給が始まり 1 つの発電所に対して 年間 300~500 万トンの石炭を供給することになり 石炭生産量を増やす必要がある 表 発電所への供給状況及び計画 発電所名 状況 供給量 Tanjung Enim Power Plant(3 10MW) 運転中 15 万トン / 年 Trahan Port Power Plant(3 8MW) 運転中 10 万トン / 年 Banjarsari Power Plant (2 110MW) 運転中 100 万トン / 年 Sumsel 8 Power Plant (2 620MW) 計画 540 万トン / 年 Peranap Power Plant (2 300MW) 計画 420 万トン / 年 Sumsel 6 Power Plant (2 300MW) 計画 300 万トン / 年 出典 :PTBA 資料 石炭利用技術 PTBA は 鉱区内の膨大に賦存する褐炭 低品位炭の有効活用の手段として 石炭のガス化を通じ 石炭からメタノール ポリプロピレン ガソリンなどの製造によって 石炭を付加価値の高い製品へと替えることを大きな企業戦略としている 石炭液化 ガス化などの FS 調査はこれまで豪州の Ignite Energy Resources 社 日本の出光興産 (JOGMEC 事業 ) との間で行われている Ignite Energy Resources 社は褐炭を合成原油に加工する Cat-THR (Catalytic Hydrothermal Reactor) 技術の普及に向けた共同開発を PTBA へ提案しており 既に PTBA のサンプル炭が豪州の Ignite Energy Resources へ送付されている 出光興産は PTBA の石炭を長年輸入しており 両者は良好な関係を保持している そのため PTBA の保有する低品位炭の高度利用に関するさまざまな協力についての関係が深い ( 図 参照 ) 139

168 出典 :Ignite Energy Resources Website 図 Cat-THR の試験装置 現在インドネシアにて具体的に進んでいる石炭ガス化案件は PTBA が南スマトラのタンジェンエニムの褐炭原料ベースで検討している以下の 3 案件である いずれも FS が行われている PTBA/ チャンドラアスリ : ケミカル製品製造 PTBA/ プスリ : 肥料製造 PTBA/ プルタミナ :DME 製造 PTBA の今後の戦略 (1) 経営の多角化 PTBA は 2019 年度までに非石炭事業での売上比率を 30% まで伸ばす計画である 経営の多角化を行うことで 厳しい石炭業界での生き残りの機会を増やすとしている 電力事業はその主力の事業と位置づけられている 同社はパーム農園の取得も計画しており そこからのバイオマス発電所事業にも興味を示している 今後の企業の柱として 石炭だけではなく 環境対策も視野に入れたエネルギーの総合企業を目指している そのため 今後は バイオマス発電 石油化学生産 パーム農園などの事業に取り組むとしている 既に 発電事業として 南 Sumatra の Banjarsari 発電所 (100MW 2 基 ) が営業運転を開始しており 今後 Sumsel VIII 発電所 (600MW 2 基 ) などの開発が始まる (2) 国営企業の統合 PTBA を含む国営企業は より効率的な企業運営と採算性の向上を目指して統合の準備が進められている 幹事会社は PT. Indonesia Asahan Aluminum(Inalum: インドネシア国営企業省国営アルミニウム精錬会社 ) として PTBA PT. Aneka Tambang(ANTAM) 140

169 PT. Timah によって形成される Inalum はまだ 上場していないので 100% 国営企業である PT. Timah と ANTAM は上場しているので 100% 国営ではない この 2 社は 過去 3 年間赤字を続けている ホールディング会社の名前は PT. New Resources Indonesia となる模様である 国営企業が統合されれば Papua で銅採掘を行っている PT. Free Port Indonesia(FPI) もこのホールディング会社の傘下となる そうなれば PT. Free Port Indonesia の 51% は国が持つことになる Inalum の株主総会が開催され この国営企業のホールディング化が話し合われる予定である ホールディング化の目的は 各社が持っている技術部門 営業部門を統合することで より効率的に 競争力のある総合資源会社へ変貌である ただ 大きな目的は PT. Free Port Indonesia を CCoW から IUP に変更するとしている インドネシア政府は KPC 炭鉱 Arutmin 炭鉱 Adaro 炭鉱も CCoW から IUP に変更する意向を持っている この計画に対して インドネシア政府は強硬な姿勢を示しており 炭鉱会社が同意しなければ 鉱区を国が没収し その後 PTBA がその炭鉱を管理することも考えられる その場合 石炭が残っていれば デュー ディリジェンス (Due diligence) を計算して 没収企業へは Inalum PTBA から資金を支払うことになる または 国に没収されて後 新たな入札を行い 新しい炭鉱経営企業を探すこともありうる 2017 年 12 月の報道によると インドネシアのジョコウィ政権が進める国営企業改革が本格的に始動しており 鉱業分野での PTBA PT. Aneka Tambang(ANTAM) PT. Timah Inalum の4 社が持ち株会社の下で経営統合に言及している 資金調達などを一本化し M&A( 合併 買収 ) を通じて国際競争力を高める狙いがあり その動向が注目されている インドネシアでは国営企業の経営効率の悪さが指摘されており 鉱業を手始めに今後 金融やエネルギーなど主要な産業分野で国営企業の再編が進められている 141

170 第 5 章石炭火力発電所で使用する国内石炭の供給動向 5.1 石炭消費量推移 ( 産業別 炭質別 ) 石炭消費量の推移図 に産業別石炭消費量の推移を示す 2011 年は 6,612 万トンの石炭消費量であったが 2016 年の石炭消費量は総計で 9,055 万トン 1.37 倍増加している 百万トン 石炭火力金属 冶金セメント 繊維 肥料 パルプブリケットその他 ( 単位 : 百万トン ) 石炭火力発電所 金属 冶金 セメント 繊維 肥料 パルプ ブリケット その他 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 産業別石炭消費量の推移 図 に 2015 年 2016 年の石炭消費量を DMO と実績に分けて示す 2015 年では DMO の方が 実際の消費よりも多いが 2016 年は DMO よりも実際の消費が多くなっている 2016 年のセクター別消費量の割合を見てみると電力が最も多く 7,540 万トン (83.3%) 続いてセメント 1,054 万トン (11.6%) この二つで消費量の 94.9% を占める 残りで多いセクターは 繊維 220 万トン (2.4%) 肥料 131 万トン (1.4%) である 製紙 金属 冶金はそれぞれ 65 万トン (0.7%) 39 万トン (0.4%) と僅かである 142

171 百万トン セメント 12% 肥料 2% 金属 冶金 0% 製紙 1% 繊維 3% 2016 年 9,055 万トン ブリケット 0% 2015 年 2015 年 電力 82% ( 単位 : 百万トン ) 2015 年 2016 年 DMO 実績 実績実績 DMO 実績 (%) (%) 電力 % % 金属 冶金 % % 肥料 % % セメント % % 繊維 % % 製紙 % % ブリケット % % 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 年 2016 年の石炭消費量 表 に品位別石炭消費量を示す 各産業幅が広いが 電力については 4,500kcal/kg 程度が主流であり 6,150kcal/kg の消費量は僅かと予想される 金属 冶金は 発熱量の高い石炭が通常使用されるが 肥料 繊維 製紙は 電力と同じくらいの 4,500kcal/kg の発熱量が見込まれる セメントでの石炭は 概ね 5,000~5,700kcal/kg 水分 20~30% で 発熱量はある程度高い石炭が使用されている 表 品位別石炭消費量セクター品位 (kcal/kg) 2016 年 ( 百万トン ) 電力 3,800~6, 金属 冶金 4,200~7, 肥料 4,200~4, セメント 4,900~6, 繊維 4,200~5, 製紙 4,200~5, ブリケット > 3, 計 出典 ; エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 143

172 5.1.2 セメント産業の動向 (1) 全体概要インドネシアのセメント消費量は 2016 年 6,200 万トン クリンカは 5,300 万トンであった セメントはクリンカに石膏等を混合し粉砕により製造するが セメント中のクリンカは 85% 程度である セメント産業の 2016 石炭消費量は 1,054 万トンである 通常 クリンカ製造に使用する石炭は クリンカ 1 トン当り 0.25 トンである セメント生産量は 年率 6~7% の伸びを示しているが 国内向けだけでは生産能力が過剰のため 一部は輸出されている セメント産業で使用される石炭の品質は 5,000~5,700kcal/kg 水分 20~30% で 発熱量はある程度高い石炭が使用されている 石炭の調達は セメント会社が入札を行い実施されている (2) セメント会社の設備容量と企業の位置表 に企業別セメント及びクリンカの設備容量を 図 にセメント会社の位置をそれぞれ示す 主要セメント会社は 合計で 14 社ありインドネシア全土に工場を展開している クリンカの設備容量は 2016 年は 7,265 万トン 2017 年は 7,515 万トンである セメントの設備容量は 2016 年は 9,225 万トン 2017 年は 1 億 255 万トンである 表 企業別セメント及びクリンカの設備容量 ( 単位 : 千トン ) 企業名 クリンカセメント 2016 年 2017 年 2016 年 2017 年 PT. Semen Padang 8,160 8,160 10,200 10,200 PT. Semen Gresik 11,760 11,760 14,700 18,800 PT. Semen Tonasa 6,300 6,300 7,400 7,400 PT. Indocement Tunggal Prakarsa 18,000 18,000 22,500 24,500 PT. Holcim Indonesia 10,480 10,480 13,100 13,100 PT. Semen Baturaja 2,700 2,700 3,850 3,850 PT. Lafarge Cement Indonesia 1,200 1,200 1,600 1,600 PT. Semen Kupang PT. Semen Bosowa Maros 4,600 4,600 5,700 5,700 PT. Cemindo Gemilang 3,000 3,000 3,600 4,400 PT. Jui Shin Indonesia 1,500 1,500 2,000 2,000 PT. Sinar Tambang Arthalestari 1,550 1,550 2,000 2,000 PT. Semen Jawa 1,600 1,600 1,800 1,800 PT. Conch Cement Indonesia 1,500 4,000 3,400 6,800 合計 72,650 75,150 92, ,550 出典 : セメント協会 144

173 出典 : セメント協会 図 セメント会社の位置 (3) セメントの生産量 消費量 輸出入量図 にセメントの生産量 消費量 輸出入量を示す 2007 年のセメント生産量は 3,503 万トンであったが 2016 年は 6,130 万トン 1.7 倍に増加している 消費量は 2007 年 3,276 万トン 2016 年は 6,180 万トン 2016 年は 2007 年に比べて 1.9 倍増加している 輸出入量は両方とも 2007 年に比べると大幅に減少している 輸出量は 2007 年 292 万トンであったが 2016 年は 53 万トンまで減少している 輸入量は 2007 年 141 万トンであったが 2016 年は 87 万トンまで減少している 145

174 ( 単位 ; 千トン ) 生産量 35,033 38,533 36,884 37,844 45,238 53,254 57,739 59,984 59,141 61,304 消費量 32,763 36,539 37,667 39,180 46,990 54,315 58,023 59,910 61,994 61,807 輸出量 2,929 1,641 1, 輸入量 1,410 1,532 1,383 1,597 1, ,517 2,044 1, 出典 : セメント協会 図 セメントの生産量 消費量 輸出入量 (4) 設備稼働率図 に設備稼働率を示す 設備稼働率は 2007 年 ~2011 年までは 70~80% 2012 年 ~2013 年は 90% を超えていたが 2014 年以降は 設備の完成が続いたため低くなり 2016 年は 66% まで下がってきている ( 単位 : 千トン ) 設備容量 44,890 44,890 43,257 53,010 54,320 57,696 60,996 69,450 82,850 92,250 生産量 35,033 38,533 36,884 37,844 45,238 53,254 57,739 59,984 59,141 61,304 稼働率 78% 86% 85% 71% 83% 92% 95% 86% 71% 66% 出典 : セメント協会 図 設備稼働率 146

175 (5) セメント生産量 設備容量の将来計画図 にセメント生産量 設備容量の将来計画を示す 設備については 2020 年まで拡張される計画であるが 2021 年以降は 1 億 900 万トンを維持し 新しい設備の登場は無い ( 老朽化した設備が廃棄され新しい設備が新しく稼動することはありえる ) また 需要の増加に伴って生産量も増加し 2026 年には 1 億 100 万トンとなる その結果 設備稼働率は 大幅に改善され 2026 年には 93% という高い稼働率を示すことができる 百万トン % 80% 60% 40% 20% 0% 設備容量消費予測稼働率 ( 単位 : 千トン ) 設備容量 生産量 稼働率 67% 63% 66% 68% 70% 73% 76% 80% 84% 88% 93% 出典 : セメント協会 図 セメント生産量 設備容量の将来計画 147

176 5.2 石炭輸送インフラ整備状況 全体概要インドネシアにおける石炭輸送インフラは 地域によって整備状況が大きく異なっている 西スマトラ 南スマトラでは 鉄道が整備されているが カリマンタン島では河川を利用した運搬形態がとられている 山元から河川の集積地までの運搬はトラックによる道路輸送であり その後はバージ輸送である 図 にインドネシア全体の石炭輸送状況を示す 石炭輸送に利用されている河川は カリマンタン島では Barito 川 Mahakam 川である Barito 川は中央カリマンタンから南カリマンタンの Banjarmasin まで流れる大河であり また Mahakam 川は中央カリマンタンから東カリマンタンの Samarinda に及んでいる 両河川ともに河口近くの川幅は 500m に及ぶインドネシア最大の大規模河川である 南スマトラでは Musi 川の一部が石炭輸送に利用されているが Barito 川 Mahakam 川に比べると小さく スマトラ島には 大規模河川は存在しない 鉄道については現在 スマトラ島の Padang Tanjung Enim の PTBA の炭鉱で鉄道が整備されているが その他の地域で鉄道輸送は行われていない PTBA だけが鉄道輸送を行っている理由は PTBA の炭鉱の近くに石炭輸送を行えるような大きな河川がなかったこと 炭鉱開発が戦前のオランダ統治時代に始まり 当然ながら石炭輸送は鉄道によるとの思想のもとに 港までの鉄道が敷設されたことが挙げられる また 南スマトラの Lahat から Palembang までの鉄道では PTBA 以外の炭鉱企業も石炭輸送を行っている 道路については 炭鉱が石炭専用道路を所有している炭鉱もあれば 一般道路を利用して石炭を運んでいる炭鉱もある しかしながら 一般道路の使用については地方政府が道路破損などの影響が大きいことから次第に制限し 最近では石炭輸送の全面禁止を打ち出すようになってきている 民間企業の石炭専用道路としては 南スマトラの PT. Servo Meda Sejahtera の道路 (Servo 道路 ) 南カリマンタンの Hasnur 道路などが石炭輸送に利用されているが 他にも炭鉱企業が建設した道路は少なくない 港に関しては 東カリマンタンの Bengalon Bontang Samarinda Balikpapan 南カリマンタンの Banjarmasin ランプンの Tarahan 西スマトラの Padang ベンクルの Bengkulu に石炭ターミナルが建設されている インドネシアでは 炭鉱開発以前に森林伐採業者により 大型トラック 原木トレーラー 河川積出場という一連のシステムが確立されており 炭鉱開発では これら既存の設備やシステムを踏襲した炭鉱開発が多く行われてきた インドネシアにおける石炭輸送インフラの問題点として 以前から鉄道や道路の整備が遅れていることが指摘されている インドネシアでは バージ積込みまでの短距離の道路と Jetty を建設すれば 石炭輸送が可能となり 少ない投資額で石炭を輸送することができた しかしながら 最近になって 河川に近い炭鉱が少なくなり また 石炭採掘地域が内陸部へ奥部化しているため 鉄道や大型長距離道路のような新たな石炭輸送インフラが望まれているところである 148

177 大規模河川であっても 上流部になると川幅 水深も小さくなり 大型バージの運行は困難である 特に 良質な石炭を産出する中央カリマンタンの炭鉱開発は 石炭輸送インフラの遅れにより 未だに本格的な開発が始まっていない 出典 : 資料を元に作成 図 石炭インフラの位置の概略図 バージによる石炭輸送システムバージによる石炭輸送はインドネシアで最も一般的な石炭輸送手段であり カリマンタン島の Mahakam 川 Barito 川 スマトラ島の Musi 川において多くのバージによる石炭輸送が実施されている 図 にバージによる石炭輸送システムを示す まず 炭鉱から採掘された石炭は山元のストックパイルに集積される ここでは クラッシングが行われ 石炭の粒度調整が行われることが多い その後 トラックにて石炭専用道路等を通って Jetty と呼ばれるバージ専用の積込設備に運搬される ここでバージに積込まれた石炭は外洋まで河川を下り 外洋の積替ポイントにて石炭専用運搬船へ積替られ国内の需要家へ または海外へ輸出されている 国内の場合 バージでそのまま目的地に行くことが多い 149

178 出典 : 資料を元に作成 図 バージによる石炭輸送システム 150

179 5.3 国内炭の道路 鉄道 バージ等による輸送状況 道路による石炭輸送 (1) 一般道路炭鉱大手は 石炭専用道路を所有しているため 一般道路を石炭輸送として利用することは無いが 南スマトラ 南カリマンタンの中小炭鉱は 長年一般道路を使用している しかしながら 石炭輸送に伴う交通渋滞 騒音 粉塵 道路の損傷などの問題から 近年トラックでの石炭輸送が制限されている 図 に示すように南スマトラ Lahat 県では Palembang までの 230km の一般道路での石炭輸送を行っているが 現在は途中の Prabumulih までは夜間も走行可能であるが Prabumulih から Palembang までは夕方 6 時から翌朝 6 時までの夜間走行ができない 同様なことは 南カリマンタン Banjarmasin でも行われており 夜間の Banjarmasin の石炭輸送トラックの通過は禁止されている 東カリマンタンでは 一般道での石炭輸送は基本的には禁止されている 図 一般道でのトラック輸送 トラックの待機状況を示す 出典 : 資料を元に作成 図 Lahat 県の石炭輸送 図 一般道でのトラック輸送 トラックの待機状況 (2) 石炭専用道路南スマトラの PT. Servo Meda Sejahtera の道路 (Servo 道路 ) 南カリマンタンの PT. 151

180 Hasnur Jaya Energi の道路 (Hasnur 道路 ) は 石炭輸送道路として使用されている これらの道路では 近隣の複数炭鉱から石炭が集まり輸送されている (a)servo 道路図 に Servo 道路の状況を示す 南スマトラの Lahat から Musi 川の河岸 Muara Lematang までの 110km を結ぶ石炭専用道路である 運搬能力は年間 1,500 万トンである 従来地方政府が建設を始めた道路であったが その後 PT. Servo Meda Sejahtera が建設を引き継いでいる 完成後は道路の陥没などで使用できない時期もあったが その後 韓国資本の PT. Titan Infra Energy(TIE) に経営が移り道路の補修が行われたため 現在は輸送の問題は無い TIE は PT. Duta Alam Sumatra のコントラクタとして Lahat の炭鉱開発に参加しているが 自社炭鉱として PT. Bara Anugrah Selaras (BAS) と PT. Banjarsari Pribumi (BP) の炭鉱を所有する Lahat 県は 南スマトラの東部に位置し 東部の海岸線から遠距離であり 西部にはスマトラの山脈が縦断しているため 石炭は近郊の石炭火力発電所以外は Palembang へ輸送されている 石炭はインドネシア国内へ向けが多いが 一部輸出もされている 石炭は褐炭から亜瀝青炭まで賦存し埋蔵量は多い 既に生産段階に入った炭鉱では PT. Bara Alam Utama PT. Muara Alam Sejatera Golden Great Borneo PT. Aman Toebillah Putara PT. Dizamatra Powerrindo などの炭鉱があり 年間 30~100 万トンの石炭を産出している PT. Bara Alam Utama は豪州資本が入っている 出典 : 資料を元に作成 図 Servo 道路 Muara Lematang は Musi 川の河口から 200km 上流に位置し 水深が深く 8,000 トンのバージが使用できる Muara Lematang には Jetty 及びストックヤードが建設されており ストックヤードは広さ 50ha 30 万トンの貯炭能力を有する ( 図 参照 ) 152

181 出典 :PT. Titan Infra Energy(TIE) 資料 図 Servo 道路の状況 ( 左 ) と Jetty ストックヤードの状況 ( 右 ) (b)hasnur 道路図 に Hasnur 道路の状況を示す 南スマトラの州都 Banjarmasin から北西に 50km の Tatakan から Barito 川支流の河岸 Puting までの 56km の石炭専用道路である Puting の Jetty で石炭は バージに積込まれ その後 Barito 川の本流に出て Banjarmasin や Banjarmasin 沖の積替え地点まで運ばれ石炭専用船へ積替えられる PT. Hasnur Jaya Energi は Tatakan 近郊に PT. Energi Batubara Lestari(EBL) 炭鉱を所有しているが 本炭鉱の石炭の他 通行料を取って他の炭鉱の石炭輸送にも道路を開放している EBL 炭鉱周辺には PT. Tanjung Alam Jaya PT. Sumber Kurnia Buana PT. Antang Gunung Meratus PT. Baramarta などの炭鉱がある Hasnur 道路ができるまでは 南側を通る一般道路が使用されていたため 交通渋滞 騒音 粉塵 道路の損傷など問題が発生していた Puting の石炭積込み能力は年間 3,380 万トンである PT. Hasnur Jaya Energi は 8 隻の専用バージを保有しており 現在の年間輸送能力は 2,400 万トンである 出典 :Hasnur 資料 図 Hasnur 道路 153

182 (3) 炭鉱所有の石炭専用道路第一世代の炭鉱は自前の石炭専用道路を建設しているところが多いが それは 炭鉱開発地域には道路インフラが整っていない未開拓地であったことが影響している 当然ながらインドネシアでは中小の炭鉱であっても自己資金で道路建設を行う企業は少なくない 大手炭鉱の例として Adaro 炭鉱をあげる Adaro 炭鉱では 切羽で採掘された石炭は 60 トンを 2 台連結したトラック ( 合計 120 トン ) で 約 80km 離れた Kelanis に位置する Jetty まで輸送される 石炭専用道路はすべて舗装されている 1 日 15 万トン近くの石炭を輸送するため 300 台の石炭輸送トラックが 80km の距離を数往復する分刻みの運行となっている 図 に石炭専用道路の状況を示す Kelanis には 7 つのホッパーがあり クラッシングを行う 能力は 1 台が 2,000 トン / 時間 年間 7 台合計で 6,000 万トンのクラッシング可能である 一次クラッシャーで<100mm 2 次クラッシャーで<50mm へ破砕する 毎日 15 万トンを処理しており クラッシングされた石炭は 35 万トンのストックパイルに貯炭される Jetty は 2 台設置されており 1 台の Jetty にコンベアが 3 台設置でき 3 台同時に積込むことができる 図 石炭専用道路の状況 北カリマンタンの T 炭鉱の石炭専用道路は 5km と短いが 道路インフラがまったく無い未開地であるため 炭鉱に近い河川まで石炭専用道路を建設している 図 に石炭専用道路の状況を示す ここでは 石炭輸送道路は舗装されておらず土の道路である 154

183 図 石炭専用道路 鉄道による石炭輸送 (1) PTBA の石炭鉄道輸送石炭の鉄道輸送は 南スマトラ 西スマトラの 2 箇所だけである 両方とも PTBA で採掘された石炭の運搬のために鉄道が敷設されているが 南スマトラの Lahat~Palembang 線では PTBA 以外の炭鉱も石炭輸送に鉄道を利用している また 西スマトラの鉄道は Ombilin 炭鉱が採掘を休止しているので 現在鉄道輸送は行われていない 両炭鉱とも鉄道建設は 炭鉱開発が始まった戦前のオランダ統治時代に始まり 石炭輸送は鉄道によるとの思想のもとに 港までの鉄道が敷設されている (a) 西スマトラの石炭輸送鉄道 PTBA は 西スマトラ Sawah Lunto に Ombilin 炭鉱を有する Ombilin 炭鉱は オランダ統治下時代に坑内採掘から始まった炭鉱であるが その後は 露天採掘も併用して石炭採掘が行われてきた 大型トラックが無く 道路インフラが整備されていない時代のため 鉄道が石炭輸送手段として建設されている 鉄道は炭鉱のある Sawah Lunto から西スマトラの州都 Padang までの約 100km の距離である 図 に西スマトラの鉄道路線図を示す Sawah Lunto の Ombilin 炭鉱から Solok 経由が Padang までの最短距離であるが 山岳地帯のため Padang Panjang 経由の比較的地形がなだらかなルートが選択されている Padang には PTBA 所有の Teluk Bayur 港が建設されており 石炭の他 セメントやゴムなどの農業品も取り扱っている 155

184 出典 : 資料を元に作成 図 西スマトラの鉄道路線図 (b) 南スマトラの石炭輸送鉄道 PTBA は 南スマトラの Tanjung Enim に Tanjung Enim 炭鉱を所有する Tanjung Enim 炭鉱も Ombilin 炭鉱と同じくオランダ統治下に採掘を始めた炭鉱で 現在は年間 1,900 万トン程度の石炭を産出し PTBA の中心的存在の炭鉱である 鉄道は Palembang の Kertapati 港から西方の Lubuklinggau を結ぶ約 330km の鉄道と Prabumulih から Tarahan までを結ぶ鉄道に分かれている Tanjung Enim 炭鉱からの石炭は Palembang の Kertapati 港まで輸送するルートと Tarahan の Tarahan 港まで輸送するルートの二つを有する Tanjung Enim までの鉄道は Prabumulih から Lubuklinggau 寄りの地点で支線に分かれ接続されている 1)Palembang 鉄道ルート図 に Palembang までの鉄道ルートを示す Palembang の Kertapati 港から Lubuklinggau までを結んでいる 石炭以外にも 旅客 セメント 農業品なども輸送している Tanjung Enim からの石炭は支線で連結されており Tanjung Enim から Kertapati までの輸送距離は 190km 年間 370 万トンの石炭を輸送することが可能である また Kertapati 港で石炭は バージ積込まれ Tanjung Kampe 石炭積替ポイントで石炭専用船へ積替えられる 156

185 出典 : 資料を元に作成 図 Palembang 鉄道ルート 2)Tarahan 鉄道ルート図 に Tarahan までの鉄道ルートを示す Tanjung Enim 炭鉱から Prabumulih を経由して Tarahan の Tarahan 港までを結んでいる Tanjung Enim 炭鉱から Tarahan 港までの輸送距離は 410km 年間 1,800 万トンの石炭を輸送することが可能である Tarahan 港では 最大 205,000DWT への石炭専用船への積みが可能である 出典 : 資料を元に作成 図 Tarahan 鉄道ルート 図 に石炭専用列車の状況を示す 157

186 図 石炭専用列車 (2) 鉄道コンテナを使用した石炭輸送システム (PTBA 以外の石炭輸送 ) PT. RMK Energy は 鉱山機械などの輸入販売を行ってきた会社であるが 南スマトラの石炭輸送サービスを行っている これまで 南スマトラ州の Muara Enim 県 Lahat 県 Musi Rawas 県の石炭は PTBA 以外はトラック輸送で Palembang 近郊の Jetty まで輸送されていたが PT. RMK Energy は 鉄道コンテナを使用した石炭輸送システムを提供している Lahat から Simpang までの鉄道輸送である PT. RMK Energy は Simpang に石炭ターミナルと Jetty を建設している ここでは 2017 年 350 万トン程度の石炭取扱いを見込んでいる 鉄道は Palembang 鉄道ルートを利用しているが この石炭輸送の特徴は 石炭輸送にコンテナを使用していることである 石炭を鉄道コンテナに積込み そのまま運搬 Simpang では コンテナごとトラックに積まれて石炭ターミナルへ輸送される (a) 石炭輸送ルート図 に石炭輸送ルートを示す 現在石炭積込設備は Lahat と Banjar Sari に建設されている 石炭はコンテナに積込まれ その後 Palembang 鉄道ルートで Palembang の一つ手前の Simpang まで運ばれる Lahat からの距離は 180km Banjar Sari からの距離は 143km である コンテナは列車から直接トラックへ積込まれ Simpang から 8km 離れた Musi 川沿いの石炭ターミナルへ輸送される PT. RMK Energy が建設した石炭ターミナルでは 2017 年 350 万トンの石炭のバージへ積込みを見込んでいる コンテナを使用することで 石炭輸送の効率化を図っている 158

187 出典 :PT. RMK Energy 資料 図 石炭輸送ルート (b) 石炭コンテナ Lahat の石炭積込設備でのコンテナへの石炭積込み状況を図 に示す コンテナの最大積載容量は 30 トンである 図 コンテナへの石炭積み込み Simpang でのコンテナの状況を図 に示す 鉄道が複線となっており コンテナは積卸し専用の引込み線で トラックへ積込まれる 出典 :PT. RMK Energy 図 Simpang での石炭コンテナ状況 159

188 列車に搭載されたコンテナは 専用のコンテナ積替車によってトラックへ積込まれる ( 図 参照 ) 出典 :PT. RMK Energy 図 コンテナのトラックへの積替え状況 (3) PT. RMK Energy の石炭ターミナルと Jetty PT. RMK Energy は Simpang から 8km 離れた Musi 川沿いに石炭ターミナルと Jetty を建設している 図 に石炭ターミナルと Jetty の位置を示す Palembang の市街に近い位置である 出典 : 資料を元に作成 図 石炭ターミナルと Jetty の位置 また 石炭ターミナルと Jetty の状況を図 に示す ストックヤードの容量は 150 万トンである ストックヤードへのベルトコンベアの容量は 1,200 トン / 時 バージへ積込みのベルトコンベアの能力は 1,200 トン / 時 一度に 2 つのベルトコンベアを使用すること 160

189 ができるため 合計で 2,400 トン / 時の積込みが可能である 現在 50ha であるが 拡張に向けた 120ha の土地を確保している 現在の主要ユーザーは以下の通りである PT. Sinar Baru Wijaya Perkasa PT. Bara Alam Utama PT. Golden Great Borneo 出典 :PT. RMK Energy 図 石炭ターミナルと Jetty の状況 トラックの石炭アンローディングの状況を図 に示す リアサイドからのアンローディングとなる 出典 :PT. RMK Energy 資料 図 トラックの石炭アンローディングの状況 石炭ターミナルの 2014 年 ~2017 年までの石炭受入量を図 に示す 2016 年は 203 万トンであるが 2017 年は 350 万トンを見込んでいる 161

190 ( 単位 : 千トン ) ( 見込み ) 受入量 1,206 2,001 2,037 3,500 出典 :PT. RMK Energy 資料 図 石炭受入量 バージによる輸送状況 (1) 全体概要インドネシアは河川を利用しての石炭輸送が主流であるが 利用される河川は カリマンタン島では Mahakam 川と Barito 川 スマトラ島では Musi 川である インドネシアでは 石炭生産量の増加に伴い 運行するバージ数も増え続けているが バージの混雑などによる運行障害は 特に発生していない バージ増に伴う影響が懸念されていた時期もあったが Mahakam 川 Barito 川共に 予想に反してこれまでバージによる石炭輸送は 順調に行われている 橋げたへの追突事故に対しては 橋げたに柵を設置 タグボートのガイドの人数を増やすなどの対策が取られている また 上記三大河川を石炭輸送に利用している炭鉱は 中小の炭鉱が多く 生産トップ 10 での河川利用は PT. Adaro 炭鉱と PT. Antang Gunung Meratus(AGM) の 2 炭鉱が Barito 川を PT. Trubaindo Coal Mining 炭鉱が Mahakam 川を PTBA が Musi 川を利用しているに過ぎない 生産トップ 10 では KCM Indominco Mandiri など バージは使用せず炭鉱が所有している港から直接石炭を積出している バージ輸送の問題点としては 河川上流部でのバージ輸送の難しさである Mahakam 川 Brito 川では 片道 4 日も要する上流部からも石炭が出荷されている そういった上流部では 水深が 2.0~2.5m 幅が 50m 程度の水域もあり 乾季には数週間にわたって降雨がないことも珍しくない そのため 当該流域の最大船型である 8,000DWT(300ft) 型バージ ( 満載喫水 :5.0~5.5m 幅:24.4m) での石炭輸送は困難である そのため 3,000 トン~ 4,000 トンの小型のバージを上流で使用し 輸送中間点にストックヤードを建設 そこからは大きなバージへ積替える輸送システムが採用されている さらに 大型のバージが使用できるところまでの道路 鉄道建設も計画されているが まだ 実現していない また 平坦な Mahakam 川河口部については 土砂の堆積が多く 定期的な浚渫が必要となっている 特に乾季の低潮 (Low Water) 時には 最小水深が 4m 程度にまで低下する 162

191 ことも珍しくない そのため 多くのバージ会社は季節や天候を考慮し 積載量を加減することにより 喫水を調節しているのが現状である さらに Mahakam 川を利用したバージの石炭専用船への荷役は Muara Jawa と Muara Berau 海域で行われているが 季節によって場所を変更する必要性に直面している 洋上で荷役を実施するためには 気象 海象が安定していることが条件となることから 西風の弱い乾季 ( 概ね 1~6 月 ) は Muara Jawa 海域にて 西風が強まる雨季 ( 概ね 7~12 月 ) は Muara Berau 海域に石炭の積替え場所を変更しなければならない 荷役海域の切り替えは特定の期日を定められている訳ではなく 当該海域の状況からサマリンダ港湾事務所 (Samarinda Port Authority) が判断している Barito 川の上流 Muara Teweh に位置する Hasan Basri 橋は 雨季の場合 川の水位が上がり バージに積込まれた石炭が橋に当るため 通行できなくなる日が少なくない また PT. Adaro Indonesia 炭鉱から年間 5,000 万トンの石炭が輸送されてくるため Taboneo 石炭積替地点は 常に 50 隻以上の石炭専用船で混雑している バージの洋上での石炭積替え方式には フローティング クレーンを利用する方法と 大型石炭船が持つクレーンを使用する方法がある また フローティング クレーンによる荷役には グラブのみを利用する方式と グラブでの荷揚げとコンベヤでの積込を組み合わせた方式の 2 種類がある 荷役効率は 前者が 400~500 トン / 時であるのに対して 後者は 1,300 トン / 時程度と高い 図 に Muara Jawa Muara Berau Taboneo 石炭積替地点を示す また 図 には フローティング クレーンのグラブのみ クラブトとコンベヤでの積込の状況及び Taboneo の船舶の混雑状況を示す 出典 : 資料を元に作成 図 石炭積替地点 163

192 クラブ式 クラブ式 + コンベア式 Taboneo 積替え地点 図 フローティング クレーン及び Taboneo の状況 (2) Mahakam 川でのバージ輸送量 Mahakam 川は 川幅が約 500m の大河であり利用するバージは 1 日当り 600~700 隻に上る 1 隻ごとに品名 数量 行先等が記載された書類をサマリンダ港湾事務所に提出し 許可を得ることが必要である バージ輸送で石炭は 50% 以上を占めており 他にパーム油 木材等種々の物品がバージで輸送されている 2016 年 1 月 ~2017 年 9 月までの Mahakam 川での石炭輸送量を図 に示す 2016 年に Mahakam 川をバージで運搬された石炭の量は 9,990 万トンである また 2017 年 1 月 ~9 月の輸送量は 7,799 万トンである 2016 年 1 月 ~9 月の 7,209 トンと比べてみると 590 万トン (8.2%)2017 年が増加している 164

193 年 2016 年 ( 単位 : 千トン ) 月 バージ輸送量バージ輸送量年月 ( トン ) ( トン ) 1 月 6,685 1 月 8,472 2 月 7,660 2 月 7,383 3 月 8,796 3 月 8,381 4 月 6,479 4 月 8,771 5 月 8, 年 5 月 9,174 6 月 8,479 6 月 7,638 7 月 7,789 7 月 8,985 8 月 8,298 8 月 9,067 9 月 9,339 9 月 10, 月 8, 月 9, 月 9,284 計 99,894 77,993 出典 : サマリンダ港湾事務所 図 Mahakam 川でのバージ石炭運搬量 港湾 (1) 石炭ターミナル (a) 港の位置インドネシアには 多くの石炭積出港 石炭ターミナルが建設されている 第一世代の炭鉱は インフラがまったく無い状況から石炭開発をスタートしたため 自社の石炭積出港 石炭ターミナルを準備し 炭鉱開発をスタートさせている 図 に主要な石炭積出港 石炭ターミナルを示す 165

194 港名 ( 石炭積出港 石炭ターミ取扱量州利用者ナル ) ( トン / 日 ) 1 Tanjung Bara Coal Terminal East Kalimantan KPC 70,000~80,000 2 Bontang Coal Terminal(BoCT) East Kalimantan Indominco 50,000 3 Balikpapan Coal Terminal East Kalimantan 一般向け 40,000 4 Tanah Merah Coal Terminal East Kalimantan Kideco 80,000 5 Taping Coal Terminal(river) South Kalimantan Hasnur 一般向け 30,000 6 North Pulau Laut Coal Terminal South Kalimantan Arutmin 35,000~40,000 7 South Pulau Laut Coal Terminal South Kalimantan 一般向け 35,000~40,000 8 Tarahan Coal Terminal Lampung PTBA 25,000~30,000 9 Kertapati Jetty (river) South Sumatra PTBA 5,000~6, Pulau Baai Coal Terminal Bengkulu 一般向け 10, Teluk Bayur Coal Terminal West Sumatra 一般向け 8,000 出典 : 資料を元に作成 図 主要な石炭積出港 石炭ターミナル (b) 石炭積出港 石炭ターミナルの概要主要な港の概要を以下に示す 1)Tanjung Bara Coal Terminal KPC 炭鉱が所有する石炭積出港で 1992 年から運用を開始している この港の特色は山元からの石炭を全長 13.4km のベルトコンベア ( 最大能力毎時 2,300 トン ) で港まで輸送していることである 貯炭場の容量は 50 万トンであり 貯炭場にはスタッカー リクレーマーが配備されている 荷役は陸上輸送用コンベアから船用コンベアを経て 2 基のシップローダーを通じて行われる ( 毎時 4,700 トン ) バースは水深 17.25m 全長 300m 最大でケープサイズの石炭専用運搬船にも対応可能である ( 図 参照 ) 166

195 出典 :KPC Web Site 図 Tanjung Bara Coal Terminal の状況 2)Bontang Coal Terminal(BoCT) BoCT は PT. Indominco Mandiri が建設した石炭積出港であり Indominco Mandiri 炭鉱専用の石炭積出港である 港までの輸送は 35km の石炭専用道路を利用し 45 トン 2 両編成のトラックにて行われている 35 万トンのストックヤードを完備し ここで一旦貯炭され品質管理が行われた後 石炭専用船に積込まれる BoCT ではパナマックス 95,000DWT までの船舶への積込みが可能である BoCT は Indominco 炭鉱以外の石炭も取り扱っており 石炭は BoCT へトラックで運ばれる場合とバージで運ばれる場合がある バージの場合は アンローディグが必要であるが 連続してアンローディングが行える Continuous Barge Unloader (CBU) が設置されている ( 図 参照 ) 出典 :Banpu Web Site 図 Bontang Coal Terminal(BoCT) 167

196 3)Balikpapan Coal Terminal PT. Bayan Resources グループが所有する石炭積出港である 1995 年の運用開始以来 15,000~90,000 DWT の船舶への対応実績を持つ バージ (2,000~12,000 DWT) で運搬された石炭を 2 基のグラブ クレーン ( 定格容量 760 トン / 時 ) で陸揚げし 港湾内の貯炭場にて保管後 船舶に積込む 同ターミナルは一般企業も使用可能である 貯炭場と荷役設備とを結ぶベルトコンベアーシステムは定格容量 4,000 トン / 時である ( 図 参照 ) 出典 :PT. Bayan Resources Web Site 図 Balikpapan Coal Terminal 4)Tanah Merah Coal Terminal Tanah Merah Coal Terminal(TMCT) は PT. Kideco Jaya Agung, 専用の石炭積出港である TMCT には 70 万トンのストックヤードが整備され 5 つのリクレーマが稼動している 1 基のリクレーマの能力は 1,500 トン / 時 その他のリクレーマの能力は 1,200 トン / 時である バージ積込み用の積込設備は 4 基設置され その能力は総計 82,000 トン / 日である バージサイズは 8,000 トン~12,000 トンと大型バージが使用されている 5)North Pulau Laut Coal Terminal(NPLCT) NPLCT は PT. Arutmin の専用積出港として建設され 1994 年より運用されている 南カリマンタンの西方 Laut 島北端に位置し バースは水深 18.0m 全長 276m 最大で 15 万 DWT 級のケープサイズまで対応できる この島は地理的にはインドネシアの中心に位置し Jawa 海を経て首都 Jakarta シンガポール方面へも容易にアクセス可能であり Makassar 海峡を経て中国 日本へもアクセスできる 積替用バースが計 3 ヵ所 (7,000 DWT 用 2 3,500 DWT 用 1) あり その積替能力は毎時 2,000 トンである 6)South Pulau Laut Coal Terminal(SPLCT) SPLCT は Indonesia Bulk Terminal(IBT) とも呼ばれている NPCT と同じ Laut 島に位置するが NPCT とは反対の南側に位置する IBT は 1990 年創設され 東南アジアの大型バルク港としての貨物の積込および荷揚げ設備を保有している 石炭に関しては東南アジアで最大の一般利用が可能なターミナルであり 顧客は PT. Adaro Indonesia PT. 168

197 Multi Harapan Utama PT. Marunda Graha Minerals 等がある ( 図 参照 ) 出典 :Banpu Web Site 図 South Pulau Laut Coal Terminal 7)Tarahan Coal Terminal PTBA が所有する石炭積出港である Tanjung Enim 炭鉱から 410km の距離を鉄道により運ばれた石炭は この港から石炭専用運搬船やバージへ積込まれる ストックヤードは 4 箇所あり全体で 86 万トンがストックできる Jetty は 3 箇所あり No1 は小型船舶 No2 はパナマックスの 8 万 DWT No3 はケープサイズの 万 DWT の船舶への積出が可能である 主に西ジャワのスララヤ火力発電所へ輸送されているが 日本を始め 海外へも輸出されている 年間取扱量を 2,500 万トンへ拡張する計画がある 図 に Tarahan Coal Terminal Tarahan の全景を 表 に設備概要を示す 出典 :PTBA 資料 図 Tarahan Coal Terminal 169

198 表 Tarahan 港の設備概要項目概要敷地面積 50.5 ha アンローディング設備 4 unit Rotary Car Dumper (1,650 3,000 トン / 時間 ) Stockpile 1 ( 60,000 ton) Stockpile 2 (250,000 ton) ストックパイル Stockpile 3 (250,000 ton) Stockpile 4 (300,000 ton) 2 Unit Shiploader (Jetty 1 : 5,000 トン / 時間, 80,000 DWT; Jetty 3 : 6,000 トン / 時間 205,000 DWT) 積込設備水深 : -20 MLWS Barge loader (Jetty 2 : 1,000 トン / 時間 300 フィート ) Crushing (Primary & Secondary) : 4 unit コール ハンドリング設備 Screening (-50mm & -32mm) : 4 unit Automatic Sampling & Analysis : 2 unit 総設備容量 2,500 万トン / 年 出典 :PTBA 資料 (2) 洋上石炭積替え地点 (Anchorage) インドネシアにおいて 大型港湾設備を持たない炭鉱は Jetty にて石炭をバージに積込み 一旦外洋まで石炭を輸送し 洋上での石炭専用船へ積替えを行っている この石炭積替え地点は 政府が設定管理しており 外洋でも決められている 管理は 運輸省海運総局の各地方に設置されている港湾事務所で管理している 図 に主要な洋上石炭積替地点を示す 170

199 港名 州 利用者 取扱量 ( トン / 日 ) 1 Tarakan East Kalimantan MIP, Adani 8,000~10,000 2 Murara Pantai East Kalimantan Berau Coal 12,000~20,000 3 Murara Berau East Kalimantan 複数社 8,000~10,000 4 Murara Jawa East Kalimantan 複数社 8,000~10,000 5 Teluk Adang East Kalimantan Kideco 8,000~12,000 6 Teluk Apar East Kalimantan 複数社 8,000~10,000 7 Tanjung Petang South Kalimantan Arutmin 他 8,000~12,000 8 Sebuku South Kalimantan Bahari Cakrawala 8,000~12,000 9 Tanjung Pemancingan South Kalimantan Arutmin 他 5,000~7, Muara Satui South Kalimantan Arutmin 他 8,000~10, Jorong South Kalimantan Jorong Barutama 8,000~12, Taboneo South Kalimantan Adaro 他 8,000~20, Tanjung Kampe South Sumatra PTBA 他 8,000~10, Muara Sabak Jambi Titan Mining 6,000~7, Muara Bangkong Riau RBH 7,000~8, Muara Sungai Pakning Riau Manunggal Inti 10,000 出典 : 資料を元に作成 図 洋上石炭積替地点 (3) 国内消費地の港国内の石炭消費地へは 主にバージで石炭は輸送されるが 消費地にも石炭をアンローディグする港湾設備 石炭ターミナルが建設されている 図 には 消費者側の港湾の建設情況を示す 発電所 セメント企業が独自で建設した港もあるが 石炭ターミナル以外 171

200 に周辺消費者のための港としての機能も果している港も少なくない 港名 州 利用者 取扱量 ( トン / 日 ) 1 Suralaya Banten PLN 20,000~25,000 2 Cigading Banten KS, Indocement 10,000 3 Ciwandan Banten 一般向け 6,000 4 Cirebon West Java 一般向け 6,000 5 Tanjung Jati B Central Java PLN 6,000 6 Tuban East Java Semen Gresik 8,000~7,000 7 Paiton PLN East Java PLN 10,000~12,000 8 Paiton, Paiton Energy East Java Paiton Energy 10,000~12,000 9 Paiton Jawa Power East Java Jawa Power 40,000~45, Cilacap Central Java Pelindo III 6,000 出典 : 資料を元に作成 図 消費者側港湾設備 172

201 5.4 道路 鉄道 港等の輸送インフラ整備状況 ( 計画含む ) インドネシアでの石炭輸送に伴う道路 鉄道港湾の整備状況は十分であるとはいい難く 長年に亘って 大きな課題であるとされてきた しかしながら インフラの整った地域での石炭採掘には限度があり 今後は採掘地域の内陸部への移動 奥部化に伴って 鉄道 道路 港湾など大規模なインフラ整備が必要になると思われる 本項では 現在の石炭輸送の整備状況と今後の計画について 道路 鉄道 バージ 港湾に分けて紹介する 道路の整備状況と計画 (1) 道路の整備状況道路の石炭輸送は 山元の採掘現場から河川までの中間的な役割であり その輸送距離には限度がある 南スマトラでは 230km のトラック輸送が行われているが 本来は鉄道などの輸送手段に変更すべきである この地域では 近隣に大型バージが通れる河川が存在しないため トラック輸送での輸送距離が長くなっている Serbo 道路などの石炭専用道路が民間で建設されたことやコンテナによる鉄道輸送が行われていることは 明るい話題ではあるが まだ 十分だとは言えない 南カリマンタン 東カリマンタンにおいて 100km を越える道路輸送は珍しいが 河川から離れた炭鉱にとって長距離の道路建設は大きな負担となっている 近隣の炭鉱が共同で利用できるアクセス道路の建設が待たれているところであるが 現状はあまり進んでいるとは言いがたい また 中央カリマンタン 東カリマンタンの奥部においては 水深が 2.0 ~2.5m 幅が 50m 程度の水域もあり 乾季には数週間にわたって降雨がないことも珍しくない そのため 当該流域の最大船型である 8,000DWT(300ft) 型バージ ( 満載喫水 :5.0 ~5.5m 幅:24.4m) での石炭輸送は困難である そのため 3,000~4,000 トンの小型のバージを上流で使用し 輸送中間点にストックヤードを建設 そこからは大きなバージへ積替える手段がとられている 特にこの周辺には良質な石炭 ( 発熱量 GAR6,000kcal/kg を越える ) が産出され 製鉄の PCI 炭に利用されている この地域の石炭埋蔵量は多いことから今後の需要はかなり高まるものと思われるが 残念ながら石炭のアクセス道路が十分と言えず インフラ整備の遅れが開発の足かせとなっている (2) 新規道路計画 (a) 南スマトラでの道路建設 PT. RM Energy は 鉄道以外にも南スマトラ Lahat から Simpang までの石炭専用道路を建設中であり 既に 30% が完成している 図 に石炭専用道路建設計画を示すが 総延長は Lahat から Palembang 近郊の Simpang に位置する PT. RM Energy が所有する石炭ターミナルまでの 155km である 第一ステージで 135km 第二ステージで 20km を予定している 既に全線の建設許可は政府から受けている また 図 に建設中の道路と完成した道路状況を示す 173

202 出典 :PT. RMK Energy 資料 図 石炭専用道路建設計画 出典 :PT. RMK Energy 資料 図 建設中の道路と完成した道路の状況 また 図 に新道路を示す Muara Lematang 近傍から Musi 川河口部の Tanjung Api Api までの道路建設と Tanjung Api Api 港の港湾建設が計画されている 出典 : 資料を元に作成 図 Muara Lematang から Tanjung Api Api までの新道路 174

203 (b) 中央カリマンタンの道路計画図 に示すように Barito 川上流部の Puruk Cahu Muara Teweh 近傍では 石炭産地から Barito 川までの道路整備が計画されている 出典 : 資料を元に作成 図 中央カリマンタンでの道路計画 (c) 東カリマンタンでの道路計画図 に示すように東カリマンタンでは PT. Bhakti Energi Persada(BEP) 炭鉱の石炭専用道路と東カリマンタンの内陸部 Tabang から Mahakam 川沿いの Muara Kaman までの石炭専用道路の計画が進んでいる 1PT. Bhakti Energi Persada(BEP) 炭鉱の石炭専用道路東 Kutai 県の Muara Wahau に位置する BEP 炭鉱から海岸部の Lubuk Tutung を結ぶ幅 10m 125km の石炭専用道路である Lubuk Tutung から炭鉱側 30km は既に土地買収が終了しているが 30km から 90km は生産林が広がっているので 森林環境省からの許認可が必要である 90km から 125km は土地買収中である Lubuk Tutung には 港湾を建設予定であり 既に 400ha の土地を確保している 2Tabang から Muara Kaman までの石炭専用道路 Tabang は東カリマンタンの内陸部に位置し Mahakam 川の上流になるので 大型バージの運行が困難である それで Tabang から大型バージが就航できる Mahakam 川沿いの Muara Kaman までの 100km の石炭専用道路が計画されている Tabang 周辺の数箇所の炭鉱が共同で利用する計画である 175

204 出典 : 資料を元に作成 図 東カリマンタンの道路計画 鉄道の整備状況と計画 (1) 鉄道の整備状況インドネシアの鉄道は 運輸省鉄道総局が管理している 鉄道総局では 長期計画 中期計画 短期計画を作成し 短期計画では 毎年計画が見直されている 通常は 計画策定後 ポテンシャルやルート選定の FS エンジニアリング等が行われる 2030 年までの国家鉄道マスタープランが既に作成されている マスタープランは公表されており ジャワ スマトラ カリマンタン毎に作成されている 1999 年 6 月にインドネシアの国鉄は 政府が 100% 株式を持つインドネシア鉄道会社 (KAI:PT. Kereta Api) へ移管され インドネシア鉄道は KAI が管理することとなった 上下分離方式が 採用され インフラ計画は政府が 車両及び駅設備に関しては KAI が資産保有および保守整備を行っている 軌条の幅は 1,067mm と 1,435mm の 2 種類があり KAI は 1,067mm 民間は 1,435mm を使用している 軌道幅が異なるので 個別に鉄道を施設している 民間による鉄道は マスタープラン外であり 個別に中央及び州政府の投資部門に申請し 最終的に運輸局が許可する 一つの州内では各州の運輸局が 2 つ以上の州にまたがる場合は 中央政府が担当する インドネシアの総鉄道敷設距離は 8,529km(2008 年 ) で日本の 23,435km(2006 年 ) の 1/3 程度である 主にジャワ島とスマトラ島の一部に鉄道は 敷設されているが ジャワ島以外は 人口が少ないため鉄道整備は進んでいない 石炭輸送についても鉄道輸送は 西スマトラ 南スマトラ周辺に限られており 石炭輸送に関する鉄道整備は遅れている その要因はバージ輸送が可能であったことに起因すると思われるが 他の産炭国と比べても鉄道 176

205 整備はかなり遅れており インドネシアでの石炭開発の大きな課題と言える カリマンタンについては 2011 年に鉄道ネットワークのマスタープランが作成されているが 資金 予算上の問題があり計画通りには進展していない また 地盤は泥岩が多いため 路盤改良等で工事費が高くつく自然条件のハンデもある しかしながら 土地収用等の鉄道建設に向けた準備が開始されている マスタープランは 開発会議での州政府からの要望により修正されることも多いが 現在の鉄道建設の順番としては 最初に 人の移動が多いバンジャルマシン-サマリンダ間から工事を始めるとされている (2) 新規鉄道計画 (a) 2030 年までの国家鉄道マスタープラン鉄道総局が作成した 2030 年までの国家鉄道マスタープランの内 スマトラ島 カリマンタン島の鉄道敷設計画を図 図 に示す スマトラ島では ランプン- 南スマトラのパレンバン 北スマトラ-アチェの南部 西スマトラ州パダン-Ombilin に鉄道が整備されているが これらの鉄道は繋がっていない 最終的にアチェからランプンまでスマトラを縦断するトランス スマトラ計画されている 東海岸沿いと中央部を通る 2 ルートとなっているが 中央部は山間部もあるため 沿岸が先に設置される計画である 出典 : 運輸省鉄道総局 図 スマトラ島の鉄道計画 カリマンタン島では 石炭専用鉄道の計画が盛り込まれている 中央カリマンタンから東部の Sangatta Samarinda Balikpapan と南部では Banjarmasin を結ぶルートが予定されている 177

206 カリマンタン島での石炭専用鉄道が完成すれば 中央カリマンタン 東カリマンタン内陸部 奥部の石炭を河川状況に影響されることなくスムーズに輸送することができるので 炭鉱開発が促進され 石炭市場に大きなインパクトを与えることになる また 2030 年までに完成予定のルートは Banjarmasin から Samarinda Sangatta までのルートとされ 東海岸での鉄道敷設が優先されている 出典 : 運輸省鉄道総局 図 カリマンタン島での鉄道建設計画 (b) 東カリマンタン鉄道計画東カリマンタンには以下の 3 線の鉄道が民間ベースで計画されている ( 図 参照 ) いずれも中カリマンタンの産炭地 Puruk Cahu を基点としている Bengalon-Puruk Cahu 線 Balikpapan-Puruk Cahu 線 Batanjung-Puruk Cahu 線 1)Bengalon-Puruk Cahu 線 Kutai 県 Wahau 郡にある低品位炭地域から東 Kutai 県 Bengalon までの 130km 区間の鉄道建設計画である この Wahau 地区では PT.MEC(Minerals Energy Commodities) が炭鉱開発を進めており 子会社である PT. Trans Kutai Kencana(TKK) が鉄道建設を進めている インドとアラブの国と関連がある 2)Balikpapan-Puruk Cahu 線 Balikpapan と中央カリマンタンの Puruk Cahu までを結ぶ総延長 240km の鉄道計画で 178

207 ある 工事第一期目は Balikpapan~ 西 Kutai 間の 183 km 同第二期目が西 Kutai~Puruk Cahu 間の 60km である ロシアの鉄道企業シベリア鉄道の子会社がインドネシアに PT. Kereta Api Borneo(PT. Borneo Russian Railway と同じ会社 ) を設立し事業を進めている PT. Kereta Api Borneo は東カリマンタン州政府との間で MOU を締結し FS は既に終了しているが 現在のところ事業の進捗状況は不明である 3)Batanjung-Puruk Cahu 線 中央カリマンタンの Puruk Cahu から南下して ジャワ海に面した Batanjung までの約 350km に及ぶ鉄道である 既に用地買収が一部始まっている 出典 : 資料を元に作成 図 東カリマンタンでの鉄道計画 (3) ベンクルまでの鉄道計画南スマトラの鉄道は現在 Palembang-Prabumulih-Lubuklinggan まで敷設され 国営企業 (KAI:Kereta Api Indonesia) が運営している Lubuklinggan からも石炭が積込まれ Palembang まで運ばれている 新規鉄道は図 5.4-9に示すように Lubuklinggau から手前の Kota Padang から Bengkulu までの 168km の鉄道である 山越えであるが 森林区域は無く比較的許可を取りやすい 鉄道建設を計画している会社は PT. Trans Retan Nusantara である まだ 土地買収は終わっていないが トンネルが 1km 必要となる PTBA も 10% 株を持っているので Tanjung Enim 炭鉱の石炭を Bengkulu へ運ぶことも可能である PT. Trans Retan Nusantara の親会社は PT. Piakindo である PT. Piakindo は 投資会社であるが 炭鉱投資も行っている 南スマトラに PT. Mura Migas PT. Mura Reksa CBM PT. Mura Perkasa PT. Nusantara Bara Resources の 4 炭鉱を所有している 水分が 40%-50% あり 発熱量は 3,000kcal/kg 程度 硫黄分は 0.5% 灰分は 7% である 発熱 179

208 量が低いので改質も考えている 埋蔵量は 2 億トン以上確認されている PT. Piakindo が所有する 4 炭鉱は Kota Padang まで 40km である 既に道路が建設され 30 トントラックでの石炭輸送が可能である 鉄道が完成すれば自社炭鉱の石炭を Kota Padang までトラック輸送して 鉄道で Bengkulu まで運ぶ計画である Bengkulu の Pulau Baai 港には Jetty があり 700 トン / 時間のコンベアが使用されているが 鉄道の開通に合わせて 新しい Jetty を建設予定である Pulau Baai 港は現在 3 万トンの石炭専用船が最大であるが 浚渫することによって 6 万トンまで拡大することが可能である 出典 :PT. Piakindo 資料 図 鉄道の建設計画 180

209 (4) PTBA 鉄道計画 PTBA 新規鉄道計画を図 に示す 現在 既存鉄道は 複線化が進められており 完成すると Palembang 鉄道ルートでは 現在の年間 350 万トンから 500 万トンへ Tarahan 鉄道ルートでは 現在の 1,800 万トンから 2,500 万トンまで運搬能力が増加する また 新規鉄道として 以下の 5 路線が計画されている 1Tanjung Enim から Srengsem までの新路線 Tanjung Enim から Srengsem までの新路線は 2022 年 750 万トン 2024 年 ~2035 年 2,500 万トン 2036 年 2,750 万トン 2037 年 ~2041 年 3,000 万トンを見込んでいる 2 既存鉄道から Parijin までの新路線既存鉄道から Parijin までの新路線は 2022 年 1,000 万トンを予定している 3 既存鉄道から Keramasan までの新路線 Keramasan までの新路線では Keramasan Port からバージ輸送が計画されている 4 既存鉄道から Srengsem への連絡路線既存路線と Srengsem への連絡鉄道である 5Tanjung Enim から Tanjung Api Api までの新路線 Tanjung Enim から Tanjung Api Api まで鉄道を建設する ただ PTBA の資料から現在消えており 計画中断の可能性が高い 出典 :PTBA 資料 図 PTBA 新規鉄道計画 181

210 5.4.3 バージ輸送 港湾の整備状況と計画 (1) バージ輸送 港湾の整備状況インドネシアでは大きな河川を 石炭輸送に利用している 石炭生産量の増加と共に運行するバージの数も多くなってきたが 現在のところ バージが増えたことによる大きな障害は発生しておらず Barito 川 Mahakam 川共にバージの数が今後増えたとしても 余裕があることが今回の調査で判明した しかしながら 上流部に位置する炭鉱は 河川の川幅 水深ともに小さくなるため 大型バージが使用できず 中間地点までの小型バージ その後の大型バージと 2 段階に分ける必要があるなど すべてが順調というわけではない また Mahakam 川の河口付近は 土砂の堆積している箇所があり 浚渫を余儀なくされている現状も無視できない 港湾については その絶対数が不足しており また 位置も偏在しているため輸出される石炭の多くが洋上にて石炭専用船へ積込まれている 洋上での積替え作業は 効率が悪く また 天候に左右されるため リスクが高く石炭の安定供給からするとしっかりとした港湾が必要である また 地方政府による輸出手続きの管理が遅れ 杜撰な対応が多いため 長い間 実際の輸出量よりも税関を通る書類上の輸出量は少なくなっており 大きな問題となっている (2) バージ輸送 港湾の新規計画 (a) 中央カリマンタン Kapuas 県の河川による石炭輸送プロジェクト中央カリマンタンの Kapuas 県において 河川による石炭輸送プロジェクトが進められている 事業を進めている中心的企業は PT. Lima Mineral Nusantara(LMN) である LMN は 石炭 鉱物資源のトレーダであるが 一部石炭開発にも業務を広げている 現在 中央カリマンタン州政府が運営する会社である PT. Banama Tingang Makmur と協力して 中央カリマンタンの石炭輸送の開発を行っている これは 中央カリマンタン政府から要請された案件でもある カリマンタンの南北を流れる川として 西側から Kahayan 川 Kapuas 川 Barito 川が存在するが LNM のプロジェクトは Kapuas 川を利用しての石炭輸送プロジェクトである 現在 Barito 川は 南カリマンタン 中央カリマンタン 東カリマンタン内陸部など多くの炭鉱の石炭輸送として使用され Adaro など大手炭鉱から中小炭鉱まで多くのバージが Barito 川で運行されている Kapuas 県の炭鉱の中で Barito 川に近い炭鉱は Barito 川を利用できるので 輸送インフラに関して問題ないが Barito 川から遠い炭鉱も多く これらの炭鉱は 石炭輸送道路が長距離となり大きな投資が炭鉱開発の足かせとなっていた そのため Kapuas 県に流れる Kapuas 川を利用しての石炭輸送プロジェクトを中央カリマンタン政府は立ち上げている Kapuas 川の利用は 石炭専用道路を作る必要がなくなり 道路建設より Kapuas 川を利用したほうが経済的である Kapuas 県の北部炭鉱地域から Kapuas 川の河口 Batanjung までの輸送距離は 400km である 182

211 石炭輸送プロジェクトには Kapuas 川の浚渫 川幅の拡張 Batanjung の石炭ターミナルの建設を含むが 河川の浚渫は一部始まっており また 石炭ターミナルへのアクセス道路の建設 用地買収が行われている 図 に Kapuas 県石炭輸送状況を示す 緑色の部分が Kapuas 県であり Banjarmasin がある南カリマンタンに隣接している 出典 :PT. Lima Mineral Nusantara 資料 図 Kapuas 県の石炭輸送プロジェクト (b) 東カリマンタンでの新港建設計画 (Kalimantan Industrial Port:KIP) 図 に示すように東カリマンタン州 Penajam Pasir Utara 県の Penajam に新港 Kalimantan Industrial Port の建設計画が進められている FS を行っている会社は PT. Piakindo である PT. Piakind は 投資会社であるが 炭鉱投資の他 港湾 FS も行っている 港の位置は Balikpapan から Balikpapan 湾を挟んで反対側となる PT. Bayan Resources の Balikpapan Coal Terminal は Balikpapan と同じ側に位置する 港湾を中心に工業パークを建設予定で 港湾と陸地を含めた面積 250ha の土地が確保されている 港湾には石炭ターミナルが計画され PT. Kereta Api Borneo が計画している Balikpapan-Puruk Cahu 鉄道計画 ( 全長 240km) は この石炭ターミナルを基点として 183

212 いる この付近には炭鉱が多くあり それらの炭鉱の石炭を取り扱うことができる 石炭ターミナルの石炭は海外 国内消費地へ輸送される計画である KIP の湾を挟んで向側の地域には Buluminung Industrial Zone が計画され テクノ パークが予定されている 出典 :PT. Piakindo 資料 図 Kalimantan Industrial Port の概要 (c) インドネシア政府による石炭積出港建設計画インドネシア政府は 石炭輸送の効率化と石炭の安定供給 さらに政府による正確な石炭管理を目指して 新しい石炭積出港を建設予定である 図 に石炭積出港建設計画を示す 港はスマトラ カリマンタンの広い箇所に分散させると共に 総積載能力は 226 百万トンとしている 184

213 ( 単位 : 百万トン ) 州 地域 積込能力 アチェ South Aceh 0.5 西スマトラ Padang 3.0 リアウ Riau Bay 2.0 ジャンビ Jambi Bay 2.0 ベンクル Bengkulu Port3 3.0 南スマトラ Tanjung Api Api 6.4 ランプン Existing PTBA 2.0 Balikpapan Bay 57.8 東カリマンタン Adang Bay 34.0 Berau Bay 34.0 Maloy Bay 6.5 Tabon/Plau Laut 55.8 南 / 中央カリマンタン Sungai Danau 13.5 Batu Licin 5.5 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 石炭積出港建設計画 185

214 5.5 国内炭の輸送コスト ( トラック バージ 鉄道 ) 国内炭の輸送手段は トラック バージ 鉄道 場合によってはベルトコンベアが使用されるなど様々である また 石炭以外に露天採掘の場合は剥土を行わなければならず 剥土の運搬費用もコストとして計上される 輸送コストは 炭鉱の規模 採掘現場の自然条件 運搬距離や運搬設備の規模によって大きく変わるため 炭鉱毎の評価が必要である (1) 全体のコストに占める輸送コストの割合 図 に PTBA の全体コストの内訳を示す 港での FOB 価格は 42USD/ トンであるが その中で 石炭輸送に占める割合は 15.9USD/ トン (37%) と最も高い PTBA では石炭輸送を鉄道で行っている 車両レンタル, USD 0.4, 1% 重機レンタル, USD 0.9, 2% 減価償却費, USD 1.3, 3% 予備品 設備費, USD 0.4, 1% その他, USD 2.1, 5% 運搬費 ( 鉄道 ) 港湾, USD 15.9, 37% 労務費, USD 5.6, ロイヤルティ 管理費, USD 4.7, 11% コントラクター ( 剥土 採炭 ), USD 11.6, 27% 出典 :PTBA Corporate Presentation Q 図 PTBA 全体コストの内訳 また 図 には 南カリマンタンの大手炭鉱である A 炭鉱の内訳を示す 輸送費は全体の 20% となっている A 炭鉱での石炭輸送はトラック バージにて行われている プロセッシング 10% 固定費 5% 輸送費 20% 剥土 石炭採掘 35% 燃料費 30% 出典 :A 炭鉱資料 図 A 炭鉱コスト内訳 186

215 (2) トラック輸送コスト表 トラック輸送コストの比較を示す 南カリマンタン Lahat 地区から Palembang までの 230km の一般道を使用してのトラック輸送が行われている 大まかな輸送コストは 23USD/ トン言われている また A 炭鉱では大型トラックによって石炭専用道路を使用している B 炭鉱は南スマトラの一般道を使用している C 炭鉱 D 炭鉱は南カリマンタンの炭鉱で Jetty までの輸送距離は 20~30km と短い E 炭鉱は 大手の炭鉱であり 8km の距離を 30 トントラックで輸送する 1km 当りのコストを見てみると A 炭鉱 E 炭鉱など大手の炭鉱は大型トラックを使用した石炭輸送道路を使用しているので効率的である D 炭鉱が 1km 当たりのコストが高い 表 トラック輸送コストの比較 1km 当たり輸送距離輸送コストトラックサイズ州の輸送コスト km USD/ トン トン USD/ トン km Lahat 南スマトラ A 炭鉱 南カリマンタン B 炭鉱 南スマトラ C 炭鉱 南カリマンタン D 炭鉱 南カリマンタン E 炭鉱 北カリマンタン 出典 : 資料を元に作成 (3) 鉄道輸送コストインドネシアでは PTBA の Tanjung Enim 炭鉱が石炭の鉄道輸送を行っている Tarahan と Kertapati の 2 路線がある Tanjung Enim から Tarahan まで 410km の距離がある 1 ユニット 50 トンのワゴンが 60 両連結されており 1 ユニットで約 3,000 トンの石炭を輸送する Tanjung Enim から Kertapati で 190km の距離がある 45 トンワゴンが 33 両連結され 1 ユニット約 1,500 トンの石炭を輸送する Tanjung Enim から Tarahan まで輸送時間は 1 ユニット 20 時間 1 日 18 ユニット 合計で約 54,000 トン Tanjung Enim から Kertapati まで 1 日 7 ユニット 合計で 10,000 トン輸送する Tanjung Enim からの輸送コストは 15.9USD/ トンである この価格には 港でのローディンコストが含まれている 港湾でのローディンコストは 2USD/ トンと言われており 1 トン当りの鉄道輸送コストは 13.9USD/ トンである 豪州の鉄道輸送費 7USD/ トンと比べると高い Tarahan までの 410km では 1 トンの 1km 当りの鉄道輸送コストは 0.03USD となる (4) バージ輸送コスト (a) 石炭火力発電所への輸送距離及び輸送状況国内の石炭火力発電所は ジャワ島に集中している 石炭の産地は スマトラ島 カリマ 187

216 ンタン島であるため 石炭は主にバージを使用してジャワ島の石炭火力発電所へ輸送される 石炭専用船で輸送される石炭もあるが それは一部に限られている 表 にスマトラ島 カリマンタンの港 積替地点から西ジャワの Suralaya 発電所と東ジャワの Paiton 発電所までの距離を示す カリマンタン島からの石炭は Paiton よりも Suralaya の方が遠くなる 表 発電所までの距離 ( 単位 :km) 石炭ターミナル 州 発電所 Suralaya Paiton Tarahan ランプン 96 1,000 Kertapati 南スマトラ 610 1,365 Taboneo 南カリマンタン IBT 南カリマンタン 1, Tanah Merah Coal Terminal 東カリマンタン 1, Tanjung Bara Coal Terminal 東カリマンタン 1,720 1,100 出典 : 資料を元に作成 また 参考までに 図 に港 積替地点から Suralaya 発電所と Paiton 発電所までの石炭輸送状況を示す 出典 : 資料を元に作成 図 コールターミナルからの石炭輸送状況 (b) バージ輸送コスト表 には Suralaya 発電所へ輸送されている石炭の価格についてまとめた FOB 価格と輸送コスと CIF 価格を炭鉱別に示している Suralaya 発電所は スマトラに近く カリマンタンから離れているので 輸送費は南スマトラの炭鉱からが安く カリマンタンからは割高となっている 石炭輸送価格は 3USD/ トンから 11USD/ トンまで幅がある 1km 当 188

217 りのコストは 0.008~0.031USD/ トン km である 表 Suralaya 発電所に輸送される石炭価格 船舶 購入価格 輸送費 CIF 価格 総価格 距離 1km 当りの 炭鉱名 地域 積載量 FOB コスト トン USD/ トン USD/ トン USD/ トン USD km USD/ トン km a 炭鉱 南スマトラ 13, , b 炭鉱 1 南カリマンタン 9, ,271 1, b 炭鉱 2 南カリマンタン 7, ,865 1, c 炭鉱 1 南カリマンタン 11, , c 炭鉱 2 南カリマンタン 9, , d 炭鉱 混合炭 40, ,611,663 e 炭鉱 南スマトラ 7, , f 炭鉱 南カリマンタン 7, , g 炭鉱 南スマトラ 7, , h 炭鉱 不明 7, ,794 出典 : 資料を元に作成 (5) ベルトコンベアの輸送コスト北カリマンタンのある炭鉱では ストックヤードから Jetty までの輸送をトラック輸送からベルトコンベアに切り替えている その場合の輸送コストの比較を表 に示す ベルトコンベアに変えることにより コストは 1/5 程度に下がっている 表 トラックとベルトコンベのコスト比較 トラック USD/km トン BC USD/km トン トラック使用量 管理費 0.11 燃料費 0.06 電気代 0.03 計 出典 : 資料を元に作成 (6) 道路 鉄道 バージ輸送 ベルトコンベアの比較 1km 当りの輸送コストを比較すると 概ね道路 0.1USD/ トン km 鉄道 0.03USD/ トン km バージ 0.01~0.03USD/ トン km ベルトコンベア 0.03USD/ トン km である 189

218 本の石炭輸入量(貿易統計)第 6 章石炭の炭質を含む輸出の動向及び今後の見通し 6.1 高品位炭の需要の推移と将来的な供給力見込み ( 日本他向け等の高品位炭 ) 高品位炭の需要の推移インドネシアの石炭需要を発熱量別に分けたデータは無いため 高品位炭の需要については JETRO の貿易統計を利用することとした 国内需要は 2016 年 9,000 万トンであるが 金属 冶金以外高品位炭は使用されていない 日本の貿易統計では石炭を HS コードにより分けているが 表 に示すとおり 無水無鉱物質ベースでの揮発分が 14% を超え 含水無鉱物質ベースでの発熱量が 5,833kcal/kg 以上の石炭を瀝青炭 14% 以下を無煙炭に分類されている よって 無煙炭と瀝青炭を高品位炭とし HS コードでのその他の石炭 亜炭褐炭の石炭を低品位炭とした HS コードの英語標記では Anthracite Coal と Bituminous Coal のデータが高品位炭 Coal Other Than Anthracite Or Bituminous と Lignite のデータが低品位炭となる 表 HS コードによる低品位炭分類 品名 HS コード用途区分高品位炭その他のもの 一般炭低品位炭無水無鉱物質ベースでの無煙炭揮発分が 14% 以下の石炭をいう瀝青炭無水無鉱物質ベースでの揮発分が 14% を超え 含水無鉱物質ベースでの発熱量が 5,833kcal/kg 以上の石炭をいう その他の石炭 亜炭褐炭 粉状にしてあるかないかを問わないものとし 凝結させたものを除く 灰分の含有量が乾燥状態において全重量の 8% 以下のもの 無煙炭日強粘結性のコークス用炭 原料炭 その他のもの 原料炭 その他のもの 強粘結性のコークス用炭 原料炭 その他のコークス用炭 原料炭 灰分の含有量が乾燥状態において全重量 一般炭 の 8% 以下のもの その他のもの 一般炭 高品位炭は HS コード Anthracite Coal と Bituminous Coal 低品位炭は HS コード Coal Other Than Anthracite Or Bituminous と Lignite 出典 : 財務省貿易統計資料から作成 一般炭 図 に示すとおり インドネシアからの輸出量を低品位炭 高品位炭に分け 高品位炭の輸出推移を高品位炭の需要の推移とした 2008 年の高品位炭の輸出は 1 億 3,600 万トン 輸出の 67.7% を占めていたが 2011 年には 1 億 7,200 万トンに増えてはいるが 輸出に占める割合は 48.7% と半分を割り込んでいる 高品位炭の輸出量は 2013 年の 1 億 7,400 万トンをピークに 2016 年は 1 億 2,900 万トンまで減少している 輸出に占める割合は毎年低下し 2016 年は 35% 2017 年 1 月 ~6 月を見ると 29.9% まで低下している 現在 世界の石炭マーケットの傾向として 埋蔵量が多く 発熱量が低い石炭の需要が徐々に増加し 高品位炭の供給量は低下している 特にインド 中国は 低品位炭の需要が旺盛で 輸入量を増やしている 190

219 ( 単位 : 千トン ) (6 月まで ) 高品位炭 136, , , , , , , , ,993 63,226 低品位炭 64,892 77, , , , , , , , ,219 計 201, , , , , , , , , ,445 高品位炭の割合 67.7% 67.0% 60.1% 48.7% 42.3% 41.1% 36.4% 37.3% 35.0% 29.9% 出典 : 貿易統計 図 高品位炭 低品位炭別の輸出の推移 将来的な供給力見込み ( 日本向け等高品位炭 ) (1) インドネシアの品位別埋蔵量表 にインドネシアでの品位別発熱量の定義を示す 品位は 低発熱量 中発熱量 高発熱量 超高発熱量の 4 つに分類されている 貿易統計の HS コードでの高品位炭は インドネシアの分類では 高発熱量 超高発熱量に近いと思われる 表 インドネシアでの品位別発熱量の定義 ADB(Air Dry Base) GAR(Gross As Received) 低発熱量 <5,100kcal/kg <4,700kcal/kg 中発熱量 5,100~6,100kcal/kg 4,700~5,700kcal/kg 高発熱量 6,100~7,100kcal/kg 5,700~6,600kcal/kg 超高発熱量 >7,100kcal/kg >6,600kcal/kg 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 インドネシアの石炭の品位別 地域別の資源量を図 に示す インドネシアの石炭資源量は 1,266 億トンである この内 インドネシア石炭基準で 7,100 kcal/kg を超える超高品位炭が 21 億トン 6,100~7,100 kcal/kg の高品位炭が 91 億トン賦存しているとされているが インドネシアの石炭資源量は 低品位炭 中品位炭が圧倒的に多く 高品位炭 超高品位炭の割合は それぞれ 7% 2% と全体の資源量の 9% に過ぎない また 高品位 191

220 炭 超高品位炭の資源量はカリマンタンに多く 高品位炭では全体の 89% を 超高品位炭では全体の 99% をカリマンタンが占める 百万トン 90,000 80,000 70,000 60,000 50,000 40,000 30,000 20,000 10,000 0 カリマンタンスマトラその他総計 低発熱量中発熱量高発熱量超高発熱量 ( 州別資源量の比較 ) 高発熱量 ; ; 7% 超高発熱量 ; ; 2% 1,266 億トン 低発熱量 ; ; 27% 中発熱量 ; ; 64% ( 品位別全体量の割合 ) ( 単位 : 百万トン ) カリマンタン スマトラ その他 総計 低発熱量 7, , , 中発熱量 50, , , 高発熱量 8, , 超高発熱量 2, , 計 68, , , 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 図 石炭の品位別 地域別の資源量 (2) 高品位炭の将来の供給力 ( 日本向け高品位炭 ) インドネシアの高品位炭は 資源量的にも多くは無い これまで インドネシアの高品位炭は カリマンタンの Samarinda 近郊の炭鉱 KPC 炭鉱の Sangatta 鉱区などから産出され その他 西スマトラの PTBA の Ombilin 炭鉱 PT. Allied Indo Coal(AIC) ベンクル 192

221 近郊の炭鉱からも供給されていたが 現在 KPC 炭鉱では Sangatta 鉱区から発熱量が低い Bengalon 鉱区へ石炭産出現場が移りつつあり また Samarinda 近郊の炭鉱の高品位炭もだんだん少なくなってきており インドネシア全体での高品位炭の供給は厳しい状況になってきている また 高品位炭が多く賦存するとされている中央カリマンタン州とパプア地域は石炭開発が遅れており 依然石炭輸送インフラが貧弱なため 順調な開発が進んでいない よって 日本向け高品位炭の供給については これまでどおりの供給を楽観視することはできず 新しい高品位炭の発掘や ある程度発熱量が低い石炭の積極活用などの方策を考える必要がある 特に今後日本への高品位炭の安定的な供給を可能にするためには 中央カリマンタンへの投資による石炭輸送インフラ整備が重要である 193

222 6.2 環境問題を踏まえた低品位炭の輸出動向 最近の環境問題 (1) 環境対策の現状インドネシアでの環境問題は 水質と森林破壊が大きな課題であり 各炭鉱は 炭鉱の開発前に環境影響調査とその対策を政府に提出する義務がある 酸性水の対策として大手炭鉱は PAF(Potentially Acid Forming: 酸性の岩石 ) NAF (Non-Acid Forming: 酸性ではない岩石 ) を把握して埋め戻しており PAF を一番下に埋めて 地上近くは NAF を埋めることで 酸性水の発生を抑えている ただ 小規模の炭鉱はそういう区別をしておらず 採掘した後 植林をせずそのまま炭鉱を閉める炭鉱が過去には多かった そういう炭鉱では雨が降ると酸性水が発生し大きな問題となっている 多くの炭鉱は 環境影響評価において ストックヤードでの微粉炭 (Fine Coal) 処理に対して 沈殿池を作り排水基準値を厳守すると示しているが そのまま 垂れ流している炭鉱が後を立たない ストックヤードで雨が降ると微粉炭が川まで流れ堆積し 社会問題となっている また 騒音については 最近 発破の音が問題に上がっている ( 騒音の基準は 85db 以下 ) さらに 粉塵に対しては 散水車を頻繁に走らせることが重要である また 低品位炭の生産が増加するにつれて 自然発火の発生が頻発し 煙害などの問題が発生している (2) 環境省の管理状況東カリマンタン州の環境局は 1 年に 1 回すべての炭鉱の検査を行い 炭鉱のランク付けを行っている ランクは検査結果の優秀な炭鉱から金 緑 青 赤 黒の色分けで示され 最も優秀な炭鉱は金色の旗が与えられる 評価結果は 新聞で公開され地域住民へ周知され 1 年間炭鉱の入り口に色別の旗を掲げなくてはならない 炭鉱が環境の基準値を守らなかった場合は まずは口頭で改善を求め 改善されなければ 注意勧告の書面が送られる 改善が無い場合は 一時的な操業停止が通達される さらに 改善されない場合は 環境許可が撤廃され 炭鉱は 事実上閉鎖に追い込まれる 環境省は 炭鉱の操業を中止させる権限を持つ 炭鉱自体はエネルギー 鉱物資源省が管理しているが 環境省は エネルギー 鉱物資源省の意向に従う必要は無く 東カリマンタン州の環境局管内で 炭鉱閉鎖に追い込まれた炭鉱は これまでに 10 炭鉱以上に上る 環境問題を踏まえた低品位炭の輸出動向 (1) 各国の環境対策の影響中国は環境対策の一環として 硫黄分や灰分を多く含む低品位炭の輸入制限に踏み切っている 北京など大都市では灰分の含有率が 16% 硫黄の含有率で 1% を超える石炭は使用が禁じられている インドネシアの石炭は 灰分 硫黄分が低いので 中国が実施している輸出規制の影響は少ないと考えられるが インドネシアで生産される石炭の発熱量は

223 年の輸出炭の平均発熱量 5,700~5,800 kcal/kg が 2020 年には 5,100~5,200 kcal/kg に低下するとの予測もあり 輸出される石炭の発熱量は確実に低下する 発熱量の低い石炭は 既設ボイラー等への適合性の問題や自然発火をしやすいといった特性があり輸送上 貯炭上での問題点を抱えている それで インドネシアでは今後の低品位炭の輸出に関して 自然発火対策を強化する必要がある (2) 自然発火対策の現状低品位炭は 分子が連結されていない部分が多く 構造的に酸素と結合し易い特徴がある それに比べて 無煙炭 瀝青炭は炭化が進んでいるので 分子は細かく連結されており 酸素と結合できる分子がほとんどない 石炭貯炭時 石炭輸送時の自然発熱現象は 酸化反応による発熱量が貯炭パイルあるいは船倉からの放熱を上回ったときに起こる インドネシア石炭輸送時の事例としてはインドネシアからスペインまで輸送していた石炭専用船の石炭が自然発火を起こし 船舶が炎上した事故が挙げられる また インドネシアから近隣のタイやシンガポールへは バージによって石炭が運搬されるが バージが炎上したとの報告が確認されている また インドネシア低品位炭 (4,500~5,500 kcal/kg) を輸入している中国秦発集団有限公司の貯炭場においてインドネシア炭の自然発火が発生した例がある インドネシアが実施している輸出用の貯炭場での自然発火対策は 散水と填圧である 散水は適時行い ブルドーザーによる填圧を常時行っている また 貯炭場の温度測定も実施されている 国内の PLN など国内石炭火力発電所で使用する場合は 自然発火のしやすい石炭を優先的に使用し また 長く貯炭しない対策が取り入れられている (3) 環境問題を踏まえた低品位炭の輸出動向インドネシアの低品位は それ自体灰分 硫黄分が少なく 環境にやさしい石炭と言われており 輸出に対する環境問題での大きなマイナス面は 少ないと思われるが 既設ボイラー等への適合性の問題や自然発火をしやすいといった問題を抱えており 輸出に少なからず影響が出ている よって 輸送 貯炭での確実な対応が重要となる 195

224 6.3 州別輸出量推移図 に Indonesian Coal Book 2016/17 に掲載されている 2011 年 ~2015 年までの州別石炭輸出量の推移を示す 輸出総量は エネルギー 鉱物資源省との数字と異なる 東カリマンタン州 南カリマンタン州からの輸出がほとんどで スマトラからの輸出は僅かである 百万トン 南カリマンタン中央カリマンタン東カリマンタン北カリマンタン リアウ南スマトラベンクルジャンビ ( 単位 : 百万トン ) 南カリマンタン 中央カリマンタン 東カリマンタン 北カリマンタン リアウ 南スマトラ ベンクル ジャンビ 計 出典 :Indonesian Coal Book 2016/17 図 州別輸出量の推移 図 に 2016 年の州別 操業形態別の輸出量を示す 総計では 3.31 億トンとなっており エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局の公式データと異なる 州別で見てみると 南カリマンタンと東カリマンタンで全体の 89% を占める また 作業形態別では CCoW が 62% 国内資本 IUP35% で 97% を占める 196

225 百万トン CCoW PTBA IUP ( 外国資本 ) IUP ( 国内資本 ) ( 州別輸出量 ) IUP ( 国内資本 ), , 35% IUP ( 外国資本 ), 3.32, 1% PTBA, 6.97, 2% CCoW, , 62% 単位 : 百万トン ( 全量の企業形態別輸出量 ) ( 単位 : 百万トン ) CCoW PTBA IUP IUP ( 外国資本 )( 国内資本 ) 計 東カリマンタン 南カリマンタン 中央カリマンタン 北カリマンタン 南スマトラ ジャンビ リアウ ベンクル 西スマトラ アチェ 計 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 年州別 企業形態別輸出量 197

226 6.4 仕向地別輸出量推移 ( 褐炭含む ) 図 に JETRO の貿易統計によるインドネシア石炭の仕向地別輸出量の推移を示す 2002 年 ~2016 年 2017 年は 1 月 ~6 月までの実績を示したが Indonesian Coal Book 2016/17 エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局のデータとは異なる 2008 年までは 日本が首位であったが 2009 年以後は インド 中国が首位となり 韓国への輸出量も増加している 中国インド韓国日本台湾タイフィリピン香港 マレーシアスペインパキスタン米国ベトナムイタリアその他 ( 単位 : 百万トン ) (1 月 ~6 月 ) 中国 インド 韓国 日本 台湾 タイ フィリピン 香港 マレーシア スペイン パキスタン 米国 ベトナム イタリア その他 世界 出典 : 貿易統計 図 インドネシア石炭の仕向地別輸出量の推移 198

227 図 に 2016 年の仕向地別輸出量を示す 中国 インド 韓国 日本 台湾 タイ マレーシア フィリピン 香港などへ輸出されている インド 中国 韓国 日本で全体の輸出量の 74% を占める ベトナム, 2.9, 1% 米国, 0.5, 0% パキスタン, 1.5, スペイン, 5.0, 1% イタリア, 1.1, 0% 0% 香港, 9.4, 3% その他, 5.5, 1% フィリピン, 17.8, 5% マレーシア, 17.4, 5% タイ, 16.5, 4% 台湾, 20.4, 6% 中国, 106.6, 29% 日本, 33.1, 9% 出典 : 貿易統計 韓国, 36.4, 10% インド, 94.8, 26% 単位 : 百万トン 図 年仕向地別輸出量 199

228 6.5 仕向地別 FOB 価格 政府による FOB 価格統制インドネシア政府は石炭価格の指標を打ち出している その算出方法は ICI(Indonesia Coal Index) Platts 等の 4 つの国際価格指標の単純平均値を基に算出 1ヵ月ごとに設定している 基準となる石炭の性状は以下のとおりである 発熱量 6,322kcal/kg(gar) 全水分 8% 全硫黄 0.8% 灰分 15% この石炭指標価格は英語表記では Indonesian Coal Price Reference(ICPR) で示され インドネシア語標記では通称 HBA(Harga Batubara Acuan) とも呼ばれている また 当初の計算式は以下の通りである HBA = 25% ICI + 25% Platts + 25% NEX + 25% GC (USD/ トン ) HBA = Harga Batubara Acuan (USD/ トン ) ICI = Indonesia Coal Index (USD/ トン ) Platts=Platts Index (USD/ トン ) NEX = New Castle Export Index (USD/ トン ) GCNC = Global Coal New Castle Index (USD/ トン ) HBA を設定後 これに基づいて 8 種類の基準銘柄炭がベンチマークとして設けられ発熱量 全水分 灰分の比率計算式によって 8 種類の価格が決定される 基準銘柄 No1~No7 までの石炭基準価格 (HPB) は下記の式により算出される 標準炭の価格 =( 基準炭価格 K A)-(B+U) K: 標準炭発熱量 /6,322* A:(100- 標準炭全水分 )/(100-8*) B:( 標準炭全硫黄 -0.8*) 3 U:( 標準炭灰分 -15*) 0.3 *: 基準炭性状の値 また 基準銘柄 No8 については 上記の式の A を下記に変更する A:(100- 標準炭全水分 )/(100-8/FKA) FKA:(((100-8)/(100- 標準炭全水分 )) 100- 標準炭全水分 )+(100-8))/100 この基準銘柄炭価格は石炭基準価格と呼ばれており インドネシア標記では HPB(Harga 200

229 Patokan Batubara) と呼ばれている これら 8 種類の価格をベンチマークとしてその他 61 種類の石炭価格が決定される 現在では 発熱量 2,900kcal/kg の石炭にも石炭価格が決定されている HBA の計算式は インドネシアの石炭の実情にあった価格として見直しが行われている 具体的には Index の重み付けの改定として ICI は現行 25% から増加させ Platts New Castle Export Index New Castle Global Coal Index を減少させている 石炭指標価格 (HBA) と石炭基準価格 (HPB) は毎月エネルギー 鉱物資源省から公表されていたが 現在は 石炭指標価格 (HBA) のみである 図 に 2009 年 1 月 ~2018 年 1 月までの過去 9 年間の HBA 価格の推移を示す 2011 年 2 月に 127USD/ トンの最高値を示したが それ以後は 価格が下がり 2016 年 5 月 51USD/ トンに底値となり その後上昇している 2018 年 1 月の価格は 95.54USD/ トンである 出典 : エネルギー 鉱物資源省 図 過去 9 年間の HBA の推移 仕向地別の FOB 価格 (1) 輸入全体の FOB 価格図 に貿易統計からまとめた仕向地別の FOB 価格を 2015 年 2016 年 2017 年 1 月 ~6 月に分けて示した インドネシアの FOB 価格は世界の石炭マーケットに合わせて 政府が HBA 価格を決定しているため FOB 価格は 市場価格と連動し 価格は変動する 2015 年から 2016 年は市場での石炭価格が下降していた時期であり 2015 年よりも 2016 年の価格が全般的に低 201

230 い しかしながら 2016 年末から 2017 年にかけて石炭価格は上昇し 現在は高止まりしているため 2017 年 1 月 ~6 月までの FOB 価格は 2015 年 2016 年に比べてかなり上昇している 国別の FOB 価格の違いを見てみると低品位炭の輸入が多いインド 中国の FOB 価格は他の国に比べて低く 日本 イタリアなどのように高品位炭を輸入している国は高い価格となる ( 単位 :USD/ トン ) 国別 (1 月 ~6 月まで ) 中国 インド 韓国 日本 台湾 タイ フィリピン 香港 マレーシア スペイン パキスタン 米国 ベトナム イタリア ニュージーランド シンガポール 出典 : 貿易統計 図 仕向地別 FOB 価格 202

231 (2) 高品位炭の FOB 価格貿易統計 HS コード Anthracite Coal と Bituminous Coal のデータを纏め 高品位炭のデータとし 図 に高品位炭の仕向地別 FOB 価格としてまとめた 2015 年 2016 年 2017 年 1 月 ~6 月に分けて示している 高品位炭では 日本 フィリピン イタリアが高く 80USD/ トン程度である 韓国 マレーシア 香港 タイは高品位炭の中でも 低い方の石炭を輸入しているため FOB 価格は低い ( 単位 :USD/ トン ) 国別 (1 月 ~6 月まで ) 中国 インド 日本 韓国 台湾 マレーシア フィリピン 香港 タイ イタリア ベトナム 米国 パキスタン スペイン シンガポール 出典 : 貿易統計 図 高品位炭の仕向地別 FOB 価格 203

232 (3) 低品位炭の FOB 価格貿易統計 HS コード Coal Other Than Anthracite Or Bituminous と Lignite のデータを低品位炭のデータとして 図 に低品位炭の仕向地別 FOB 価格としてまとめた 2015 年 2016 年 2017 年 1 月 ~6 月に分けて示している 低品位炭でも日本 香港 米国は高い FOB 価格を示す 中国 インド タイ ベトナムは低い FOB 価格である ( 単位 :USD/ トン ) 国別 (1 月 ~6 月まで ) 中国 インド 韓国 日本 台湾 タイ フィリピン 香港 マレーシア スペイン パキスタン 米国 ベトナム イタリア ニュージーランド 出典 : 貿易統計 図 低品位炭の仕向地別 FOB 価格 204

233 6.6 FOB コスト構成 ( 生産 選炭 輸送 港湾料等 ) FOB コストについてインドネシアの炭鉱の FOB コストは 山元から石炭を輸送し 港湾や Jetty において バージ 石炭運搬船に積込むまでの費用である 海外へ輸出する場合は 港湾で直接石炭専用船に積込まれる場合と Jetty から積替ポイントまで輸送し石炭専用船へ積込まれる場合があるが 積替えポイントまで輸送する場合は 積替コストまで FOB に含まれる 港 積替ポイントから消費地までの輸送費 輸送先での荷揚げ費用は FOB 価格に含まない 炭鉱を開発する場合は 探査 炭鉱建設 重機の購入 インフラ整備など多額の資本が必要とするため その分をリターンして回収する利益が必要である ただ FOB コストには 初期投資のリターンまで含めたビジネス資料の入手は難しい また 炭鉱によって FOB コストの積上方式も異なり その内部まで公表していない よって 本調査では 生産 選炭 輸送 港湾のコストを中心に報告する 炭鉱開発関連コストの内訳 (1) 全体のコスト内訳表 に炭鉱開発 操業におけるコストの内訳を示す 全体のコストは 投資に係るリターンを含んだコストと炭鉱の操業に係るコストに分かれる また 炭鉱の操業に係るコストは 剥土費 採炭費 ハンドリング費 輸送費 Jetty 港でのローディング費などの直接コストと一般管理費 ロイヤルティ その他税金 CSR 環境対策積などの間接コストに分かれる 投資コスト 炭鉱の操業にかかるコスト 表 炭鉱開発関連コストの内訳炭鉱開発のための投資設備購入費インフラ整備費土地収用費減価償却費直接コスト 1 剥土費 2 採炭費 3 貯炭場管理費 4 山元から Jetty 港湾までの輸送費 5Jetty 港湾でのハンドリング費 6Jetty から洋上への輸送費 7 洋上での積替費用間接コスト一般管理費ロイヤルティその税金 CSR 福祉費事務所経費 205

234 (2) 投資コスト炭鉱開発の投資コストは 炭鉱の開発規模 海岸や河川までの距離などの立地条件 その他 炭層の賦存状況などの自然条件 さらには 土地収用状況 地域住民の動向など色々な要素が絡み合うため 一概に投資コストを判断することは難しい 炭鉱開発の総投資額が数十億 USD に達することもある 設備の減価償却費は投資コストに含まれ 数十年で返還する場合が多い (3) 直接コスト炭鉱は石炭を採掘して輸送するビジネスであり インドネシアでの直接コストの構成は図 の通りである ただ 本構成は一般的なコスト構成であり 炭鉱ごとのコスト構成は複雑であり 炭鉱ごとの考察が必要となる 1 剥土費石炭の上盤 又は合盤の岩石を取り除く費用 表土は一時的に保管し 石炭採掘後 地表表面に埋め戻す 1BCM 12 (1m 3 ) 当りの費用で示す 重機の燃料費 メンテナンス費 採掘現場の排水費 泥岩処理などが含まれる 2 採炭費石炭を採掘する費用 石炭 1 トン採掘する費用で表す 3 貯炭場管理費山元貯炭場では クラッシャーが整備されクラッシングして石炭の粒度を揃えることが多い また クラッシング後 山元で選炭することもある 貯炭場の排水 填圧などの管理費 設備の燃料費 選炭費 トラック 鉄道への積込費などが含まれる 4 山元から Jetty 港湾までの輸送費山元貯炭場から Jetty 港湾までは 主にトラック 鉄道が使用されるが 山元から Jetty 港湾までの輸送に係る費用 5Jetty 港湾でのハンドリング費 Jetty 港湾では 受け入れ石炭の混炭などの品質管理や石炭の管理 自然発火対策 バージ 船舶へローディングが行われるが 石炭積込みまで含めた石炭のハンドリング費用 6Jetty から洋上への輸送費 Jetty から洋上積替ポイントまでのバージによる石炭輸送費用 7 洋上での積替費用洋上でのバージから石炭専用船への積替費用 12 Bulk Cubic Meter:1m 3 の容積 206

235 山元 4トラック鉄道等 1 剥土 2 採炭 3 貯炭場 5 港湾 積込場 5 船舶バージ 4 トラック 5Jetty 6 バージ 7 洋上積替ポイント 出典 : 資料を元に作成 図 炭鉱のコストの構成 (4) 間接コスト一般管理費 ロイヤルティ その税金 CSR 福祉費 事務所経費などが含まれる CCoW のロイヤルティは 13.5% であったが 現在 CCoW の企業は政府と再交渉を行っており ロイヤルティの低減などが話し合われている また ロイヤルティの他に 各種税金が課せられており 企業の大きな負担となっている CSR 環境対策は最近コストが上昇しているが 炭鉱企業は積極的に対応している 炭鉱の FOB コスト炭鉱が公表している FOB コストは 炭鉱ごとの構成要素が大きく異なっており 簡単に各炭鉱を比較するとはできないが 採炭 輸送 積込みの大まかなコストは把握することができる 以下に炭鉱別に FOB コストを示す (1) PTBA 南スマトラの Tanjung Enim で石炭を採掘している PTBA は Tanjung Enim 炭鉱から Tarahan 港まで鉄道輸送しているが 2017 年第 3 四半期の Tarahan 港での FOB コストは 42USD/ トンである 図 に FOB コストの内訳を示す 鉄道輸送が最も大きく 15.9USD/ トン (37%) 続いて 剥土 採炭コスト 11.6USD/ トン (27%) ロイヤルティ 税金 4.7USD/ トン (11%) 労務費 5.6USD/ トン (13%) 原価償却費 1.3USD/ トン (3%) 重機レンタル料 0.9USD/ トン (2%) 車両レンタル 0.4USD/ トン (1%) 予備品 設備費 0.4USD/ トン (1%) である 鉄道輸送コストには Tarahan 港でのローディンコスト 2USD/ トンが含まれており 1 トン当りの鉄道輸送コストは 13.9USD/ トンと思われる また PTBA のコスト構成は 労務費 原価償却費などは 示されているが 一般管理費 CSR 福祉費などはその他に含まれていると思われる 207

236 車両レンタル, USD 0.4, 1% 重機レンタル, USD 0.9, 2% 減価償却費, USD 1.3, 3% 予備品 設備費, USD 0.4, 1% その他, USD 2.1, 5% 運搬費 ( 鉄道 ) 港湾, USD 15.9, 37% 労務費, USD 5.6, ロイヤルティ 管理費, USD 4.7, 11% コントラクター ( 剥土 採炭 ), USD 11.6, 27% 出典 :PTBA Corporate Presentation Q 図 Tanjung Enim 炭鉱 (PTBA) の Tarahan 港 FOB 価格構成 (2) A 炭鉱 ( 南カリマンタン ) 南カリマンタンの大手炭鉱である A 炭鉱の Banjarmasin 沖 Taboneo 積替えポイントでの FOB コストは 34USD/ トンである 図 に内訳を示す 本炭鉱の構成要素の特徴として燃料費が示されており 10.2USD/ トン (30%) である 剥土 石炭採掘コストは 11.9USD/ トン (35%) 輸送費は 6.8USD/ トン (20%) プロセシングは 3.4USD/ トン (10%) であるが これらは 燃料費を差し引いたコストと思われる 固定費 1.7USD/ トン (5%) には 一般管理費 ロイヤルティ CSR などが含まれている 輸送費にはトラックでの山元から Jetty までの陸上輸送 Jetty から Taboneo 積替ポイントでの Barito 川のバージ輸送コストを含んでいる 陸上輸送コストは 5USD/ トン Jetty でのハンドリングコストは 4USD/ トン Barito 川のバージ輸送 5USD/ トン Taboneo での洋上積替コストは 3USD/ トン程度である 固定費, USD 1.7, 5% プロセッシング, USD 3.4, 10% 輸送費, USD 6.8, 20% 剥土 石炭採掘, USD 11.9, 35% 燃料費, USD 10.2, 30% 出典 :A 炭鉱資料 図 A 炭鉱の FOB コスト 208

237 (3) B 炭鉱 ( 南スマトラ ) 南スマトラの中堅炭鉱の FOB コストを表 に示す 総計で 20.63USD/ トンである 剥土費 2.14USD/ トンとかなり低いが 剥土比が低いためと思われる トラック輸送は 10.9USD/ トン CPP (Coal Processing Plant) での石炭ハンドリング 1.14USD/ トンである 間接コストは 0.78USD/ トンと少ない 表 B 炭鉱の FOB コスト 構成要素 コスト (USD/ トン ) 直接コスト 採掘 剥土費 2.14 石炭採掘費 1.66 石炭トラック輸送 10.9 CPP(Coal Processing Plant) 1.14 バージ積込 4.01 小計 間接コスト 一般管理費他 0.78 計 出典 : 資料を元に作成 (4) C 炭鉱 ( 南カリマンタン ) 南カリマンタンの中堅炭鉱の FOB コストを表 に示す 総計で 29.6USD/ トンである 剥土費 14.3USD/ トンとかなり高いが 剥土比が高いためと思われる トラック輸送は 4.1USD/ トンである 間接費では一般管理費の他 減価償却費が加算されている 表 C 炭鉱の FOB コスト 構成要素 コスト (USD/ トン ) 直接コスト 剥土費 14.3 採炭費 1.2 輸送費 4.1 間接コスト 一般管理費 4.5 減価償却費 3.2 その他 2.3 計 29.6 出典 : 資料を元に作成 (5) D 炭鉱 ( 北カリマンタン ) 北カリマンタンの中堅炭鉱の FOB コストを表 に示す 総計で 21.37USD/ トンである 剥土費 4.84USD/ トン 採炭費は 0.78USD/ トンである 山元から Jetty までの輸送費は 4.56USD/ トン Jetty でのバージ見込み その後のバージ輸送 石炭専用船への積込みがトータルで 4.29USD/ トンである 間接コストは 6.9USD/ トンである 209

238 表 D 炭鉱の FOB コスト 構成要素 コスト (USD/ トン ) 直接コスト 剥土費 4.84 採炭費 0.78 切羽から Jetty までの運搬コスト 4.56 バージ積込み / バージ輸送石炭専用船へのアンローディング 4.29 間接コスト一般管理費 /CSR/ 環境対策費 / その他 6.9 出典 : 資料を元に作成 計 (6) E 炭鉱 ( 南カリマンタン ) 南カリマンタンの中堅炭鉱の FOB コストを表 に示す 総計で 29.18USD/ トンである 剥土費 採炭費合わせて 1.39USD/ トンと低い値である 山元から Jetty までの輸送費は 15.9USD/ トンと輸送距離が長い バージへ輸送 石炭専用船への積込み費は合わせて 3.56USD/ トンである 一般管理 その他で 4USD/ トンが計上されている 表 E 炭鉱の FOB コスト 構成要素 コスト (USD/ トン ) 直接費 剥土 採炭費 1.39 石炭輸送費 15.9 プロセシング ローディング 4.33 バージ輸送費 3.56 間接費 一般管理費 その他 4.0 計 出典 : 資料を元に作成 (7) F 炭鉱 ( 南カリマンタン ) 南カリマンタン大手炭鉱の FOB コストを表 に示す トータルの FOB コストは 29.9USD/ トンである 本炭鉱の構成要素の特徴としてコントラクタ費 燃料費 労務費が計上されている コントラクタ費には剥土 採炭の他 輸送のコントラクタも含まれる そのため コントラクタ費の中に輸送費は含まれているため 輸送コストの提示はない 表 F 炭鉱 FOB コスト 構成要素 コスト (USD/ トン ) 直接費 コントラクタ費 15.2 設備メンテナンス費 6.0 燃料費 4.5 労務費 2.4 間接費 一般管理費他 1.8 計 29.9 出典 : 資料を元に作成 210

239 6.6.4 FOB コスト構成のまとめ各炭鉱のヒアリングの結果 FOB コストに占める各構成にて必要なコストは 以下の通りである 1 剥土費剥土費は 石炭と岩石の比からなる剥土比で変わってくるが 今回の調査では 2~14USD/ トンである 表 にインドネシア政府が公表した剥土の増加に伴う剥土費の変化を示すが 剥土比が 5~6 になると剥土費は 13.5~16.2USD/ トン程度となる 表 剥土比による剥土コストの変化 剥土比 剥土コスト (USD/ トン ) 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 2 採炭費採炭費は 0.78~1.66USD/ トンである 通常 1USD/ トン以下が多いと思われる 3 山元から Jetty 港湾までの輸送費 1km 当りの輸送コストを比較すると 道路 0.1USD/ トン km 鉄道 0.03USD/ トンkm ベルトコンベア 0.03USD/ トン km である 南スマトラのように 230km 石炭輸送費は 20USD/ トンを超えている PTBA の鉄道輸送コストは 13.9USD/ トンである 石炭専用道路での大型トラックでの輸送は割安となる 4Jetty 港湾でのハンドリング費主に 2~4USD/ トン程度である 5Jetty から洋上への輸送費バージ輸送費は 0.01~0.03USD/ トン km である 河川輸送費 2~4USD/ トン程度である Barito 川 250km 輸送でおおよそ 5USD/ トンのコストがかかる 6 洋上での積替費用主に4USD/ トン程度である 211

240 6.7 今後の輸出 ( 高品位炭 低品位炭 ) 見通し 石炭生産 輸出量 国内消費の実績図 に 2010 年 ~2017 年までの石炭生産量 輸出量 国内消費を示す 2010 年 ~ 2016 年まではエネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局が発表したデータを 2017 年についてはマスコミ報道のデータを使用している インドネシアの石炭生産量は 2013 年がピークで 4.74 億トン その後 4 年間は 4.5~4.6 億トンの間で増減している 輸出量については 2013 年が初めて 4 億トンを超え 4.02 億トンの最高値を記録したが その後は微減が続き 2017 年は 3.64 億トンまで減少した 国内消費については 当初予定ほど需要の伸びが大きくなく 2010 年から毎年 100~700 万トン程度の増加 (2010 年 ~2017 年の平均年間増加率は 5.9%) に止まり 2017 年の国内消費量は 9,700 万トンであり 1 億トンを未だ超えていない ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 マスコミ報道 図 石炭生産 輸出 国内消費 政府方針インドネシア政府は 将来の石炭の国内消費量の増加に備えて 石炭生産にキャップをかぶせる政策に舵を切っている 2015 年に発表された石炭生産計画では 2014 年 4.58 億トンあった生産量を 2015 年には 4.25 億トン 2016 年には 4.19 億トン 2017 年には 4.13 億トン 2018 年には 4.08 億トン 2019 年には 4 億トンにまで減少させる方針を打ち出している 国内消費は 石炭火力発電所の建設に伴い増えると予想され 国内需要に対しては 212

241 輸出を減少させて対応するとしている 図 に 2015 年から 2019 年までの 政府計画と 2015 年から 2017 年までの実績を入れた対比図を示す 2015 年の石炭生産量は計画の 4.25 億トンに対して実績は 4.61 億トンで 3,600 万トン多い生産量であった 同様に 2016 年 2017 年もそれぞれ 3,700 万トン 4,800 万トン多くなっている 輸出量については 2015 年の 3.23 億トンの計画に対して 実績は 3.74 億トンで 5,100 万トン多くなっている 同様に 2016 年 2017 年もそれぞれ 5,800 万トン 7,200 万トン計画よりも多く輸出されている 国内消費は逆に 2015 年 1.02 億トンの計画に対して 実績は 8,700 万トンと 1,500 万トン未達 同様に 2016 年 2017 年もそれぞれ 2,100 万トン 400 万トン未達 計画を達成していない 百万トン 計画 実績 計画 実績 計画 実績 実績 計画 計画 生産量計画生産量実績輸出量計画 輸出量実績国内消費計画計画国内消費実績 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 計画 実績 増減 輸出量 計画 実績 増減 国内消費 計画 実績 増減 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 ( マスコミ報道 :2017 年実績のみ ) 図 政府計画と実績対比 エネルギー 鉱物資源省以外の関連機関が公表している輸出見通し石炭の輸出見通しについては エネルギー 鉱物資源省以外にもインドネシア石炭鉱業協会 国家エネルギー審議会 (DEN:Dewan Energi Nasional) が公表している 以下にそ 213

242 の内容を示す (1) インドネシア石炭鉱業協会図 にインドネシア石炭鉱業協会が発表している 2017 年から 2024 年までの生産量 輸出量 国内消費見通しを図 に示す 尚 本データは 2017 年 4 月に発表されている 生産量は政府方針に従って減少し 2020 年以降は 3.87 億トンのキャップをかぶせている 国内消費量は石炭火力発電所の稼動と共に増え続け 2020 年には 1.36 億トン 2024 年は 1.85 億トンに達する 生産量が 3.87 億トンと一定であるため 国内消費の増加に伴い輸出量は減少し 2020 年には 2.51 億トン 2024 年には 2.02 億トンまで減少する ( 単位 : 百万トン ) 生産量 輸出量 国内消費量 出典 : インドネシア石炭鉱業協会 図 インドネシア石炭鉱業協会による生産量 輸出量 国内消費の予想 (2) 国家エネルギー審議会 (DEN:Dewan Energi Nasional) DEN が 2017 年 1 月に公表した石炭生産量 国内消費量 輸出量の見通しを図 に示す 国内消費はガス化 DME 電力 産業の和である 2015 年から 2050 年までの予想が示されているが 出炭量は政府方針に従い 2018 年から 4 億トンのキャップとしている 国内消費量は石炭火力発電所の稼動と共に増え続け 2020 年には 1.80 億トン 2030 年は 2.57 億トン 2046 年には 4 億トンに達する 生産量が 4 億トンと一定であるため 国内消費の増加に伴い輸出量は減少し 2020 年には 2.2 億トン 2030 年には 1.47 億トンまで減少し 2046 年には輸出ゼロとなる 214

243 百万トン 輸出 産業 電力 2046 年国内消費は 4 億トン ガス化 DME 電力産業輸出計 ( 単位 : 百万トン ) 生産量 国内 ガス化 消費量 DME 電力 産業 小計 輸出量 出典 : 国家エネルギー審議会 (DEN) 図 DEN が公表した石炭の生産量 消費量 輸出量見通し 今後の輸出 ( 高品位炭 低品位炭 ) 見通し (1) 高品位炭 低品位炭の輸出実績 (a) 貿易統計による高品位炭の輸出実績貿易統計での高品位炭 (HS コード Anthracite Coal と Bituminous Coal ) の輸出実績を図 に示す 高品位炭の輸出は 2002 年 7,000 万トンであったが 8 年後の 2010 年には 1.79 億トン 2.6 倍に増加している その後 2011 年と 2012 年は減少したものの 2013 年には 1.74 億トンまで回復している ただ その後は減少し 2014 年 1.48 億トン 2015 年 1.36 億トン 2016 年には 1.29 億トンまで減少している 国別に見てみると 中国は 2013 年まで 3,000~4,000 万トン輸入していたが 2014 年 2,400 万トン 2015 年 1,300 万トンと減少 2016 年には 2,600 万トンまで戻している インドについては 2014 年までは 2,000~3,000 万トンの輸入量であったが 2015 年には 3,800 万トンへ増加し 2016 年は 2,700 万トンへ落ち込んでいる 215

244 百万トン 月 ~6 (6 月 ) 中国 インド 日本 韓国 台湾 マレーシア フィリピン 香港 タイ イタリア ベトナム 米国 パキスタン オランダ スペイン シンガポール チリ スイス 英国 その他 出典 : 貿易統計 図 高品位炭の輸出実績 ( 単位 : 百万トン ) (1 月 ~6 月 ) 中国 インド 日本 韓国 台湾 マレーシア フィリピン 香港 タイ イタリア ベトナム 米国 パキスタン オランダ スペイン シンガポール チリ スイス 英国 その他 計 (b) 貿易統計による低品位炭の輸出実績貿易統計での低品位炭 (HS コード Coal Other Than Anthracite Or Bituminous と Lignite) の輸出実績を図 に示す 低品位炭の輸出は 低品位炭が持つ自然発火し易いというリスクや水分が多い石炭輸送は不経済との観点から 輸出されることは無かった しかし インド 中国を中心に 2010 年当たりから GAR ベースで 3,000~3,500kcal/kg の石炭も盛んに輸出されるようになっている 2002 年の輸出量は 300 万トンに過ぎなかった 216

245 輸出量は 2010 年には 1,200 万トン 4 倍に増加している その後も低品位炭の輸出は増え続け 2014 年には 2.59 億トンに達している 2015 年は 2.29 億トンへ減少したが 2016 年には 2.4 億トンへ再び増加している 中国は 2010 年 3,000 万トンに達し 2011 年には 6,900 万トン 2012 年には 7,500 万トン 2013 年には 8,900 万トンまで増加している その後 2014 年は 7,500 万トン 2,015 年は 6,000 万トンまで減少したが 2016 年は再び 8,100 万トンまで回復している インドは 2008 年には 1,000 万トンを超えており 2010 年には 3,100 万トン その後も増え続け 2014 年には最大の輸出量 1.06 億トンを記録している その後は 2015 年 8,500 万トン 2016 年 6,700 万トンまで減少している 原因はインド政府が打ち出した国内炭の積極的な利用拡大が挙げられる 出典 : 貿易統計 図 低品位炭の輸出実績 ( 単位 : 百万トン ) (1 月 ~6 月 ) 中国 インド 韓国 日本 台湾 タイ フィリピン 香港 マレーシア スペイン パキスタン 米国 ベトナム イタリア ニュージーランド その他 計

246 (c) 高品位炭と低品位炭の比率の割合図 に 2008 年 ~2016 年及び 2017 年 1 月 ~6 月までの高品位炭と低品位炭の輸出量の割合を示す 2008 年の高品位炭の占める割合は 67.7% であったが 年々減少し 2016 年には 35% まで低下している 2017 年の 1 月 ~6 月では 7 割が低品位炭の輸出となっている この要因は 中国 インドの影響が大きいのは明白であるが 今後もこの傾向は続くものと思われる ( 単位 : 百万トン ) 2017 (1~6 月 ) 高品位炭 低品位炭 計 高品位炭の割合 67.7% 67.0% 60.1% 48.7% 42.3% 41.1% 36.4% 37.3% 35.0% 29.90% 低品位炭の割合 32.3% 33.0% 39.9% 51.3% 57.7% 58.9% 63.6% 62.7% 65.0% 70.10% 計 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 100% 出典 : 貿易統計 図 高品炭と低品位の割合 (2) 今後の輸出 ( 高品位炭 低品位炭 ) 見通し (a) 検討及び解析の条件インドネシアからの輸出量を高品位炭 低品位炭の見通しを解析する方法として 以下の条件設定を行った 政府方針である石炭生産量のキャップ 4 億トンを 2019 年から始める Case1と 2025 年から始める Case2 に分けて検討する その理由は インドネシア政府は 2019 年 4 億トンのキャップ計画を変更していないこと また 実績は 生産量が減っていないため 4 億トンのキャップはずれ込む可能性が高いことが挙げられ試算として 7 年後 218

247 の 2025 年からとした RUPTL で示されている石炭火力発電所建設に伴う石炭需要量を参考に 国内消費量の見通しを検討する 石炭火力発電所の建設を計画どおりの Case P と発電所計画のスピードをスローダウン Case S に分けて検討する 生産量 国内消費量の差を石炭輸出量とする これまでの低品位炭 高品位炭の輸出実績から高品位炭 35% 低品位炭 65% の割合での見通しを検討する 予想期間は 2017 年 RUPTL の期間 2017 年 ~2026 年までとする (b) 石炭生産量の見通し石炭生産量は以下の Case1 と Case2 を設定した Case1: 石炭生産量のキャップ 4 億トンを 2019 年から始める Case2: 石炭生産量のキャップ 4 億トンを 2025 年から始める Case1 と Case2 の場合の 2017 年から 2026 年まで石炭生産量を図 に示す 4 億トンまでの削減量は毎年同じ削減率としている ( 単位 : 百万トン ) Case Case 出典 : 資料を元に作成 図 石炭生産量の見通し (Case1 Case2) (c) 国内消費量の見通し国内消費量については 産業別に以下のように設定した 電力 2017 年 RUPTL の石炭火力発電所建設計画に基づいた石炭消費量を使用するが 石炭 219

248 火力発電所の建設計画遅延を考慮し 以下のようにシナリオ P とシナリオ S を設定した シナリオ P:RUPTL 計画ベース シナリオ S:RUPTL 計画の年増加率を 7.3% から 6.04% にスローダウンさせるセメント 2026 年までのセメント生産予想を参考とし セメント生産量増に合わせて石炭消費量を調整した 金属冶金 肥料 繊維 製紙 ブリケット金属冶金 肥料 繊維 製紙は量が少なく 変動があまり無いため 2017 年から 2026 年の間に 1 割増と設定した ブリケットは一定とした シナリオ P 及びシナリオ S の 2017 年 ~2026 年までの石炭消費量を表 に示す 表 シナリオ P 及びシナリオ S の石炭国内消費量 シナリオ P 石炭消費量 ( 単位 : 百万トン ) 電力 金属冶金 肥料 セメント 繊維 製紙 ブリケット 計 シナリオ S 石炭消費量 ( 単位 : 百万トン ) 電力 金属冶金 肥料 セメント 繊維 製紙 ブリケット 計 出典 : 資料を元に作成 (d) 今後の輸出量見通しの解析結果図 に解析結果による今後のインドネシアからの輸出量見通しを示す Case1 の場合は 2019 年から出炭量は 4 億トンになり 2026 年まで同じであるので 輸出量は シナリオ P では 2019 年の 2.95 億トンから国内消費の増加に伴って減少し

249 年には 2.36 億トンまで減少する また シナリオ S では 2019 年の 2.99 億トンから 2026 年は 2.53 億トンに減少する Case2 の場合は出炭量が 2025 年に 4 億トンになり 2025 年までは 出炭量を高く維持できるため 2019 年の輸出量は シナリオ P では 3.4 億トン シナリオ S では 3.44 億トンである 2026 年は シナリオ P では 2.36 億トン シナリオ S では 2.53 億トンである Case1 Case2 ではそれぞれシナリオ S とシナリオ P を設定した 2026 年を見てみると 石炭火力発電所の建設が RUPTL の計画どおりの場合の輸出量は 2.36 億トン スローダウンした場合の輸出量は 2.53 億トン スローダウンした場合のほうが 1,800 万トン多く輸出可能である ( 図 6.7-9) 221

250 ( 単位 : 百万トン ) 輸出量 Case1 シナリオP Case1 シナリオS Case2 シナリオP Case2 シナリオS Case1 生産量 シナリオP 国内消費 輸出量 Case1 生産量 シナリオS 国内消費 輸出量 Case2 生産量 シナリオP 国内消費 輸出量 Case2 生産量 シナリオS 国内消費 輸出量 出典 : 資料を元に作成 図 今後の輸出量の見通し (e) 高品位炭と低品位炭の輸出量の見通し図 に高品位炭 低品位炭の輸出量の見通しをそれぞれ示すが 高品位炭と低品位炭共に Case2 の方が輸出量の減少スピードが小さい 高品位炭では シナリオ P の場合 2026 年の高品位炭の輸出量は 2017 年の 1.27 億トンから 7,950 万トンに減少する (Case1 Case2 も同じである ) また シナリオ S の場合は 8,470 万トンに減少する シナリオ S の方がシナリオ P よりも 520 万トン多く輸出可能である 低品位炭では シナリオ P の場合 2026 年の低品位炭の輸出量は 現在の 2.37 億トンから 1.48 億トンに減少する (Case1 Case2 も同じである ) また シナリオ S の場合は 1.57 億トンに減少する シナリオ S の方がシナリオ P よりも 1,000 万トン多く輸出可能である 222

251 百万トン Case1 シナリオ P 高品位 Case2 シナリオ P 高品位 Case1 シナリオ S 高品位 Case2 シナリオ S 高品位 ( 高品位炭の輸出見通し ) 百万トン Case1 シナリオ P 低品位 Case2 シナリオ P 低品位 Case1 シナリオ S 低品位 Case2 シナリオ S 低品位 ( 低品位炭の輸出見通し ) ( 単位 : 百万トン ) Case1 シナリオP 高品位 Case1 シナリオS 高品位 Case2 シナリオP 高品位 Case2 シナリオS 高品位 Case1 シナリオP 低品位 Case1 シナリオS 低品位 Case2 シナリオP 低品位 Case2 シナリオS 低品位 出典 : 資料を元に作成 図 高品位炭と低品位炭の輸出量の見通し 223

252 6.7.5 過去の計画との対比 2010 年にエネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局が発表した石炭生産量 消費量 輸出量を図 に示す ハイペースのシナリオ 1 でも生産量が 4.75 億トンになるのは 2025 年である 実際は既に 2013 年に 4.74 億トンを達成しており 如何に石炭生産がハイペースで進んだかが判断できる ( 単位 : 百万トン ) シナリオ 1 生産 BAU 輸出 BAU 国内向け BAU シナリオ 2 生産管理 輸出管理 国内向けの増加 BAU:Business as Usual 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 年時の見通し 224

253 第 7 章その他石炭輸出に影響を及ぼす石炭政策 税法の動向 7.1 輸出規制 外資規制 輸出規制インドネシアの輸出規制としては 1 国内供給義務 (DMO:Domestic Market Obligation) 2 高付加価値の義務化 3 輸出税 4 輸出業者への輸出登録の義務付け 5 輸出港を 14 港へ制限 6 石炭輸出に関する L/C 決済の義務化があげられる 以下にその概要を示す (1) 国内供給義務 (DMO) (a) 鉱業法と DMO 1) 概要石炭の生産に関連する主な法令は 新鉱業法 (2009 年 1 月 14 日 :2009 年大統領令第 4 号 ) である 同法は 旧鉱業法 (1967 年大統領令第 11 号 ) に代わり 採掘権や 採掘事業参入のための手続を明確化したものである 本鉱業法は 以下に関する規定が含まれている 採鉱地域の決定 鉱物と石炭鉱業の経営活動 鉱物と石炭の採鉱業者 ( 鉱業に従事するための要件と許可証 ) 採鉱活動終了後の跡地再生活動 鉱物および石炭の国内への優先供給 旧 Contract of Work と Coal Contract of Work に準じる投資計画変更の処理 中央と地方政府の鉱業からの収入の透明性 新鉱業法が石炭の流通に大きな影響を及ぼしているのは 同法で規定されている国内への石炭優先供給の規定である 同法では エネルギー鉱物資源大臣が大臣令を以って 国内で生産される石炭のうち 国内に供給されなくてはならない量 (DMO: Domestic Market Obligation) を定めることができるとしている また 新鉱業法が旧法と比較して大きく改善されている点は 特に許可証発給関連制度の簡素化及び外国投資家と国内投資家が同等に扱われるようになった点である すなわち 新鉱業法の実施により 従来国内投資家又は限られた少数の外国大手投資家しか取得できなかった KP( Kuasa Pertambangan 採鉱権 ) 又は KK(Kontrak Karya/Contract of Work/COW/ 鉱業事業契約 ) は 新たな鉱業事業許可証 (Izin Usaha Pertambangan/IUP) として外国投資家にも発給されるようになった また 国家戦略上重要な意味を持つ大規模採鉱事業の場合 特別鉱業事業許可証 (Izin Usaha Pertambangan Khusus/IUPK) が必要となる 2) 新鉱業法に伴って制定された細則以下に 4 つの重要な細則が施行された 1 鉱業及び石炭事業の事業活動に関する細則 (2010 年 2 月 1 日 :2010 大臣国規則 22 号 ) 事業者が鉱業を実施する場合の炭鉱事業全般の事項を制度化した法律であり 鉱業事業 225

254 者の資格 鉱業地域の区別 鉱業運営権限などが定められている 鉱業活動に関わる政府権限 州政府の権限 県 市政府の権限の区分が整理されている 2 鉱区のリースに関する細則 (2010 年 2 月 1 日 :2010 大臣省令 23 号 ) 事業者が鉱業を始める場合の鉱区の取得方法 鉱業事業許可条件などを法制化した法律であり 事業者の権利義務などが定められている 鉱業事業許可 (IUP) 特別鉱業事業許可 (WIUP) など鉱業ライセンスの内容が明確になった また 鉱業事業活動のための土地の使用の規定も定められている DMO はこの細則に記載されている 3 鉱業及び炭鉱事業の査察に関する細則 (2010 年 :2010 大臣省令 55 号 ) 鉱業事業活動を管理する内容を定めた法律であり 指導 監督 地域社会保護の規定が示されている また 違反行為の捜査や行政処分の実施方法 罰則規定が法制化されている 4 採炭期間終了後の土地再生に関する細則 (2010 年大臣省令 78 号 ) 鉱業事業活動終了後の採掘地域の再生 リクラメンション 環境対策などの規制が定められている 特に鉱物 石炭資源利用の最適化を目指し 自然環境と鉱業活動との調和が法制化の目的である 5 国内供給優先と需要側の買取りを義務付けに関する細則 (2009 年 : 大臣省令 34 号 ) DMOの細則が記載されている 3)DMO に係る法及び規則 DMO に係る各種法律を図 にまとめた 出典 : 資料を元に作成 図 DMO に係る各種法律 226

255 4)DMO の規定事項 課題国内供給義務の規定事項 課題を以下に示す ( 規定事項 ) 主要原則は 国内需要を優先すること 国内石炭需要について短期 中期 長期見通しの確定 年間の石炭生産量の確定および輸出管理 大臣が石炭国内供給義務 (DMO) に関する方針を策定し 関係の州知事 県知事 市長と調整する 石炭国内供給義務 (DMO) を決定するに当たり 大臣は国民議会に諮る ( 課題 ) 国内供給を満たす品位がない場合はトランス クォータ制度がある 石炭品位を満たさない石炭会社は満たす会社から石炭を購入し ユーザーへ売ることができる その場合の購入価格は HBA(Harga Batubara Actun: 石炭指標価格 ) よりも高くなる 低品位炭と高品位炭とのトランス クォータでは DMO の不平等が生まれている 政府は課題を受け 国内供給義務 (DMO) の見直しで国内優先を検討中である これまで DMO によって国内供給量が各炭鉱に割り当てられてきたが 石炭品質が合わない場合は他の炭鉱にお金を支払って供給するという歪が生じており もっとフレキシブルな方法で 国内供給を確保したいとしている (2) 輸出税 (a) 鉱物への輸出税インドネシア政府は増大している未処理鉱物資源の安易な海外流出を防止すると共に 鉱物精錬所の建設資金の一部として有効活用するために輸出税を発行した 輸出税は鉱物資源輸出税という名のもと 中味の詳細は財務大臣令 鉱物輸出管理制度の詳細は商業省の大臣令で規制されている 本輸出税は鉱物資源に対する高付加価値義務に関する大臣令 ( エネルギー鉱物資源大臣令 2012 年第 7 号 ) 基づく鉱物資源輸出規制の一環である 商業省は 2012 年 5 月 7 日付けで鉱物資源輸出に関する大臣令を (2012 年 29 号 ) を公布し 財務省も大臣令 (2012 年 75 号 ) 出し 2012 年 5 月 16 日から正式に施行されている 対象となる鉱物は 14 種 鉱産物としては 65 品目に上る ( 金属鉱物 21 品目 非金属鉱物 10 品目 岩石鉱物 34 品目 ) 税率は 20% 品目ごとに税率の差がある 課税価格の決定に当たっては暫定的に過去 3 ヵ月の FOB 価格が参考にされている (b) 石炭への輸出税石炭への輸出税は 2005 年当時の財務省によって施行されたことがある 内容は石炭の輸出に対して一律 5% の輸出税 (export-tariff) を課すというものである 目的は以下の通り 227

256 であった 国の収入を大きくする 国内の需要に対する優先供給確保 第 2 次 第 3 次産業 ( 加工産業 ) を促進する 付加価値を付ける しかし 2006 年最高裁判所の決定によって石炭輸出税は廃止となっている その後も 世界市場で鉱物製品の価格が高騰し鉱山 炭鉱が多大な利益を得ており この状況下で政府は 石炭税を課して その利益の一部を国に納めさせようと試みたが まだ実現には至っていない 国家エネルギー政策 国家エネルギー総合計画では 石炭価格が高額になった場合 国が税金を付加する権利を有することとなっており 輸出税の導入がしばしば浮上している ただ 現在は 石炭価格が課税するまでの高価格にはなっていないと判断され 課税はされていない 税の適用はエネルギー 鉱物資源省と財務省の管轄であるが 石炭への輸出税が実施されれば 中国 インド 日本などインドネシアから石炭を輸入している国への影響は大きい (3) 輸出業者への輸出登録の義務付け 商務省令 2014 年第 39 号 石炭輸出登録法案 が 2014 年 7 月 14 日に施行された この規制によって 2014 年 9 月 1 日から石炭を輸出する場合は商務省から輸出登録の認証取得が必要となった CCoW 企業は税金の納付の証明書 非課税収入 ( 課税収入 ) へのロイヤルティの証明所の提出が必要であり IUP 企業はこれらの証明書の他に C&N(Clean and Clear) の証明書 納税者番号 (TIN) 企業謄本(TDP) 石炭生産 販売 輸送計画案が必要となった (4) 輸出港を 14 港へ制限インドネシアでは統計上計上されない石炭輸出量が 3,000 万トンあり インドネシア政府はその対策に乗り出している 具体的には 違法な石炭輸出を防止するために 政府が石炭輸出の実績を持つ 14 の港湾の再整備を行うというもので 港湾での石炭輸出管理が強化されるため 違法な輸出は減少できるとしている (5) 石炭輸出に関する L/C 決済の義務化商務省が進める石炭輸出に関する L/C 決済を促進する 外資規制石炭鉱業契約 (CCoW) では 外国企業はインドネシア政府と直接鉱業契約を結ぶため 228

257 外国企業は安心して炭鉱開発への投資ができた また 契約では 概査 探査 FS 建設 生産まで一つのパッケージでの契約であったため インドネシアの法律が途中変更されてもそれに従う必要はなかった しかしながら 2009 年に 新鉱業法 ( 大統領令 2009 年第 4 号 ) が施行されて以降 自国の鉱物資源に対する様々な資源ナショナリズム的な保護政策が打ち出されるようになり 次第に外資規制が強化されている 新鉱業法では 企業は鉱業事業許可 (IUP:Izin Usaha Pertambangan) を取得することが必要とされ 鉱業の実施は許可制となった そのため 外国企業はインドネシアの法律に従うことが義務付けられ 途中の法律の変更にも対応する必要が出てきた 新鉱業法 の中で規定されている外資規制は 5 年後に 20 % の譲渡という記載しかなかった しかしながら その後の法律によって 外資企業は商業生産が開始してから 5 年経過後に株式の 20 % を国内投資家に譲渡しなければならず また 商業生産開始後 10 年後には 51 % 以上の株式 (7 年後には 30 % 8 年後には 30 % 9 年後には 40 % 10 年後には 51 %) がインドネシアの株主に保有されるよう 現地投資家への株式譲渡を継続することが義務付けられている 229

258 7.2 ロイヤルティのアップ 鉱物へのロイヤルティインドネシア政府は 税外収入拡大を目的に 鉱物資源採掘のロイヤルティ引き上げを検討している 対象鉱物は 金 銀 銅 ニッケルなどの鉱物である 提案での引き上げ率は 銅は現行 3.75% から 4% へ 金は現行 1% から 3.75% へ 銀は現行 1% から 3.25% へ ニッケルは現行 0.95% から 2% である 表 に示すように 2016 年度の鉱物 石炭関連のロイヤルティによる税外収入は 8 億 6,950 万 USD であった また 2017 年は 12 億 5,540 万 USD 2019 年は 10 億 4,370 万 USD を見込んでいる 政府は 税外収入の拡大に向け 汚職撲滅委員会 (KPK) や財政開発監督庁 (BPKP) と協議を重ね また 地方政府に対しても税外収入拡大に向けて監視を強化するよう指示している 表 ロイヤルティ実績と計画 ( 単位 : 百万 USD) 実績計画年 ロイヤルティ , , ,043.7 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 石炭へのロイヤルティ表 に示すとおり石炭へのロイヤルティは CCoW13.5% IUP3%~7% である しかしながら CCoW 企業は現在政府と新しい CCoW の契約を更新中しており その中でロイヤルティは炭鉱の状況や石炭価格を配慮して変更されている 石炭ロイヤルティのアップは 2013 年と 2015 年に政府方針が示されたことがあるが 石炭業界の反対もあって実現していない インドネシアの炭鉱企業は 現在のロイヤルティを他の国と比べても妥当な比率であると考えている 表 石炭ロイヤルティ 種別 内容 税率 CCoW 一律 13.50% IUP 露天採掘 <5,100kcal/kg 3% 5,100~6,100kcal/kg 5% 6,100kcal/kg< 7% 坑内採掘 <5,100kcal/kg 2% 5,100~6,100kcal/kg 4% 6,100kcal/kg< 6% 230

259 7.3 石炭の高付加価値化鉱物資源に対する高付加価値義務に関する大臣令が 2012 年 2 月 6 日付けで発行された (2012 年大臣令 7 号 ) 本法令は 2009 年 1 月 14 日に発令された新鉱業法及びその細則となる 鉱業及び石炭事業の事業活動に関する細則 (2010 年 2 月 1 日 :2010 大臣国規則 22 号 ) の詳細規定となるもので 高付加価値化が義付づけられる鉱物 精錬加工などの具体的な内容と違反者への罰則規定などが定められている 2014 年 1 月以降実施すべきとされた 石炭についてはその法案の中味についての議論が遅れており 当時鉱物資源との同時発行には間に合わなかった それで 当初 対象となる鉱物には石炭は含まれておらず 実施される鉱物資源は金属鉱物 非金属鉱物 鉱石となった 金属鉱物では 銅 金 銀 錫 鉛 亜鉛 クロム モリブデン 白金族金属 ボーキサイト 鉄鉱石 砂鉄 ニッケル コバルト マンガン アンチモンが対象となり これらの副産物鉱物も対象となった 銅 金及び銀は 99% 以上などの純度の製精錬 加工が義務付けられ この基準を満たさないものは 2014 年 1 月以降輸出が禁止されることとなった 違反者には 1 警告 2 事業停止 3 鉱業事業許可 (IUP) の取り消しの罰則が 各 IUP の発行権限者 ( 大臣 州又は県知事 ) により与えられる 石炭はそのままの状態で使用でき 鉱物資源のように精錬を行って金属の純度を上げる性質のものでは無く 本質的に製品までのプロセスが鉱物と異なるものである そのため 石炭については現在も同法の適用外となっている しかし 最近 石炭への付加価値義務が議論され 石炭の液化 ガス化 改質など石炭の高付加価値化を促進しようという動きもある インドネシアではこれまで 多くの高付加価値化の協力事業が海外企業と進められてきた 石炭の改質では 豪州の企業によって東カリマンタン州の Gunung Bayan 炭鉱で 改質炭の商業化が進められた また 日本からは 神戸製鋼が南カリマンタン州の Satui 炭鉱で UBC (Upgrade Broun Coal) の実証プラントによる試験を行った 石炭スラリーでは日揮の実証プラントが また 石炭ガス化では IHI の実証プラントが建設されている その他 PTBA は 豪州の Ignite Energy Resources 社と褐炭を合成原油に加工する Cat- THR(Catalytic Hydrothermal Reactor) 技術の普及に向けた共同開発を行っている これらの付加価値技術の実施義務が施行され 石炭の輸出にブレーキがかかれば 日本をはじめ石炭輸入国への影響は大きいと思われる 231

260 7.4 輸出制限政策 概要インドネシア政府は 国内の石炭埋蔵量を長期的に維持していくため 2014 年から石炭輸出制限及び石炭生産制限計画の草案を作成している 国内需要以上の石炭が今後も輸出され続ければ 将来インドネシアの石炭資源が枯渇すると懸念している 国内消費量は現在 1 億トンに満たないが 今後国内で石炭火力発電所の増加 また 石炭のガス化などの石炭化学の進展によって 国内での石炭需要は増加する そのため 将来の需要増加に備えたいとしている 現在 3 億トンを越える石炭が輸出されているが これらの石炭を将来の国内消費に回したい考えである その方策として インドネシアでの石炭生産にキャップをかぶせ 生産量を制限する政策が考えられている その量は 4 億トンとされている 石炭は国内優先に使用され 残った石炭が輸出となる DEN が 2017 年 1 月に公表した石炭輸出量見通しでは インドネシアでは今後国内での石炭消費が増え続け 2046 年 4 億トンとなり その時点で輸出量はゼロになっている 生産制限の現状新規制は石炭生産に対して 石炭の生産制限を設けることによって 中央政府又は地方政府は 石炭採掘権の保有者に対し 石炭生産量の最大値を設定するとのことができるとされている 輸出量を減らすための生産制限であるが 東カリマンタンでは すでに生産制限が始まっている 2016 年は制限無しであったが 2017 年は制限の指示が出され 7 月から適用されている うまく機能しているかどうかは明白ではないが 政府が生産量の指示を炭鉱へ行う動きが出始めている エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局が発表している石炭生産見通しは の中期開発計画 (RPJMN) に基づいているが 2015 年から 2019 年まで少しずつ減少させ 2017 年 4 億 1,300 万トン 2018 年に 4 億 600 万トン 2019 年には 4 億トンが計画されている しかし 実際には 石炭価格が上昇したこともあり 増産やこれまで生産していなかった炭鉱が生産を開始する等で生産量は計画通り減少していない 炭鉱会社の反応 (1) 政府方針について炭鉱会社は 政府の生産制限に対して 基本的には反対の立場を取っているが 一定の理解も示している インドネシアでは 国家エネルギー計画 KEN RUEN に示された国家の大方針は重要とされ 各会社はその方針に沿って生産計画を立て 自由勝手に行うことはできない また 政府には 生産制限を定める権利があり 政府指示が出されれば それに従うしかないとする炭鉱会社は少なくない 過去の例として 鉱物資源において付加価値の義務化政策が施行された時もニッケルなどの鉱山会社はそれに従っている 232

261 ただ 生産量が減れば国家収入が減ることになり インドネシア政府にとってマイナスとの意見もある 2015~2019 の中期開発計画に比べて 実際の石炭生産量は増えている 2017 年の計画は 4 億 1,300 万トンであったが 実際は 4 億 6,100 万トンの石炭が生産された 生産が増えれば国家収入も増加する それで 政府は生産量の増加を黙認する面も無いわけではない また 石炭生産量は中央政府の方針の以外にも 地方政府の意向も汲み取る必要があり その実施に当っては簡単ではないとの声も多い (2) 炭鉱会社の対応炭鉱会社は石炭生産量を毎年政府と話し合って決めている 仮に 計画よりも低い生産量を政府が提示してきた場合は 当然ながら反対することができる 結果的には両者が納得した生産量が決定されるが 利益が減るような生産制限には承諾しないとしている 収益が生まれなければ 炭鉱会社は これまでの投資を回収できず倒産してしまう 炭鉱会社は 政府に対して経済的な支援を求めながら生産性の向上を図って 生産量の制限に備えなければならない 炭鉱会社が 石炭を販売する場合 輸出と国内供給のどちらに軸足を置くかは 石炭の販売価格次第としている インドネシアの石炭価格は HBA HPB で設定されるが 国際インデックスよりも HBA HPB が高い場合があり その場合は 海外輸出よりも国内販売のほうが高く売れる 2047 年輸出量がゼロになっても 国内価格で利益がでれば 政策に反対しないとの炭鉱会社もある 233

262 7.5 山元石炭火力発電所の発電単価政策 山元石炭火力発電所及び非山元火力発電所の発電炭価 2017 年省令第 19 号 ( 発電所での石炭利用に関する省令 ) が交付され 独立発電事業者 (IPP) 石炭火力発電所の売電価格は 発電原価を超えない水準に制限されることとなった この省令は IPP が国営電力会社 (PLN) に売電する際に適用される 表 及び図 に山元発電の売電価格を示す 山元発電では 発電原価が全国平均の発電原価を上回る場合は 売電価格は全国平均の発電原価の 75% となる 下回る場合の売電価格は地方の発電原価の 75% である 表 山元発電の売電価格 条 件 価 格 山元発電 発電原価が全国平均の発電原価を上回る場合売電価格は全国平均の発電原価の 75% 発電原価が全国平均の発電原価を下回る場合売電価格は地方の発電原価の 75% 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 山元発電の売電価格 表 及び図 に非山元発電炭価 ( 山元発電以外の売電価格 ) を示す 非山元発電の場合は 発電原価が全国平均の発電原価を上回る場合は 売電価格は 10 万 kw 以上の発電所では全国平均の発電原価と同水準以内 10 万 kw 未満の発電所では入札または企業間交渉により決定する 下回る場合の売電価格は地方の発電価格となる 234

263 表 非山元発電の売電価格 条件発電原価が全国平均の発電原価を上回る場合非山元発電発電原価が全国平均の発電原価を下回る場合出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 価 100MW 以上売電価格は全国平均価格売電価格は地方の発電価格 格 100MW 以下入札または企業間交渉売電価格は地方の発電価格 出典 : エネルギー 鉱物資源省電力総局 図 非山元発電の売電価格 石炭火力発電所の発電原価の全国平均は現在 7.5 セント /kwh 程度で 今後は価格がこの水準以下に制限されることになる 売電価格は 2015 年省令第 3 号では 山元発電 6.9~ 8.2 セント /kwh 山元発電以外 6.31~11.82 セント /kwh となっていた 山元発電所での石炭価格 (1) 概要山元の石炭価格を安価に購入し 電力コストを抑える目的で 山元発電所に供給する石炭の価格は従来 3,000 kcal/kg 未満について山元コスト+マージンと定義されていた (3,000 kcal/kg 以上は HBA で定義されている ) しかしながら 新規定は CCoW IUP 権者のコスト平均値を参考に 品位に関係なく 山元発電所用途に特化して 炭鉱からの移動距離 235

264 剥土比などのパラメーターによって数値化されることになった (2) 山元発電所の石炭価格に関する法 規制山元石炭火力発電所に関してはこれまで 色々な法 規制が施行されている 以下にそれらをまとめた 1 石炭の基準価格に関する鉱物石炭総局長規制 (2011 年総局長令第 515 号 ) 2PLN の火力発電所用の石炭価格に関する省令 (2011 年大臣省令第 617 号 ) 3 山元石炭火力発電所に関する大臣省令 (2011 年大臣省令 1348 号 ) 4 山元価格に関する大臣省令 (2014 年大臣省令第 10 号 ) 5 山元価格に関する鉱物石炭総局長規制 (2014 年鉱物石炭総局長規則第 479 号 ) 6 山元価格に関する鉱物石炭総局長規制 (2015 年鉱物石炭総局長規則第 466 号 ) 7 山元価格に関する鉱物石炭総局長規制 (2015 年鉱物石炭総局長規則第 953 号 ) これらの法 規則の関連を図 山元石炭価格の法 規則関連に示す 出典 : エネルギー 鉱物資源省鉱物石炭総局 図 山元石炭価格の法 規則関連 (3) 山元石炭価格に対する政策変更 (a) これまでの規定山元石炭火力発電所に関する規制 (2011 年大臣令規 1348 号 ) によって以下のように決められた 236

265 山元価格 3,000kcal 以上 HBA 3,000kcal 以下採掘コスト+25% マージン (b) 新規定山元価格に関する 2015 年鉱物石炭総局長規則第 466 号によって表 に示す計算式が示された 表 山元価格計算式 剥土の平均運搬距離 (JOB) 1.5 km 剥土比 (SR) 4 BCM/ トン 石炭の平均運搬距離 (JBB) 5 km 直接生産経費 費用内訳単位単価計算式価格 1 剥土コスト USD/BCM SR 剥土運搬コスト USD/BCM/km JOB 採炭コスト USD/ トン 石炭採掘現場から山元貯炭場までの運搬コスト山元貯炭場から PLTU までの運搬コスト 間接経費 USD/ トン /km JBB 1.40 USD/ トン 石炭管理コスト USD/ トン 減価償却費 USD/ トン 一般 管理費用 環境コスト リクラメーションコスト USD/ トン 保安 健康コスト USD/ トン CSR コスト USD/ トン 土地借用コスト USD/ トン オーバーヘッド USD/ トン 固定財産 USD/ トン ロイヤルティ USD/ トン 20.3% 20.3% (1~13) 小計 USD/ トン 1~14 までの総計 利益 25% 小計 利益率 7.04 石炭基礎価格 USD/ トン小計 + 利益 また その後 新しく山元価格に関する 2015 年鉱物石炭総局長規則第 953 号が施行されており 表 に示す内容に変更されている 全体的に価格を抑える方向へ変更されているが その理由として 当時の石炭価格の低下が挙げられ 市場価格よりも山元火力発電所の石炭購入価格が高くならないように調整されたといえる 237

266 表 年第 466 号と 2015 年第 953 号の変更点 費用内訳 単位 旧単価 新単価 直接生産経費 1 剥土コスト USD/BCM 剥土運搬コスト USD/BCM/km 採炭コスト USD/ トン 石炭採掘現場か山元貯炭場までの運搬コスト USD/ トン /km 山元貯炭場から PLTU までの運搬コスト USD/ トン 0.18 間接経費 6 石炭管理コスト USD/ トン 減価償却費 USD/ トン 一般 管理費用 8 環境コスト リクラメーションコスト USD/ トン 保安 健康コスト USD/ トン CSR コスト USD/ トン 土地借用コスト USD/ トン オーバーヘッド USD/ トン 固定財産 USD/ トン ロイヤルティ USD/ トン 20.3% 20.3% 15 利益 USD/ トン 25% 25% (4) 現在の動向エネルギー 鉱物資源省と PLN は山元価格で施行された新価格計算式を巡り 意見の食い違いが出ている PLN は 25% のマージンは高すぎると主張している よって インドネシア政府は 山元発電所と企業間取引に任せ 政府は関与しないとの方針をだしているが 山元石炭価格の決定については 未だに論争中であり 最終的な結論はでていない 238

267 第 8 章石炭探鉱開発権益の買収等の動向 8.1 石炭探鉱開発権益 資産の売買動向 炭鉱の権益取得 (1) 全体概要インドネシア憲法第 33 条には 地下に賦存する天然資源は国家が管理し 国民のために最大限利用するものと 定めている この規定を達成するために鉱業基本原則に関する 1967 年法律第 11 号 ( 旧鉱業法 ) が布告された 同法律は 主として中央集権的規定からなり 外資が事業活動を行う上でインドネシア政府と鉱業契約 (COW:Contract of Work) を契約することが定められている 石炭の場合は 石炭鉱業契約 (CCoW:Coal Contract of work) として 企業はインドネシア政府と契約を交わして炭鉱開発を行うこととなる これら鉱業契約では 契約上の問題が発生した場合に鉱業事業者がインドネシア政府を国際調停機関に提訴することが可能である ただ 2009 年 1 月第 4 号政令として新鉱業法 ( 鉱物石炭法 ) が制定され CCoW は残すものの 鉱業契約はライセンス方式となり IUP(Izin Usaha Pertambangan) に変更となった CCoW は移行期を経て最終的には IUP にすべて変わることになる 炭鉱の権益取得についても本法律で新たな規制が設けられている 特に 2010 年 2 月 1 日 :2010 大臣令規則 23 号細則 ( 鉱区のリースに関する規定 ) では 事業者が鉱業を始める場合の鉱区の取得方法 鉱業事業許可条件などが法制化され また 事業者の権利義務などが定められている 新鉱業法では 鉱業事業許可 (IUP) 特別鉱業事業許可(WIUP) など鉱業ライセンスの内容や 鉱業事業活動のための土地の使用の規定も定められている (2) 炭鉱開発権益取得の手順新鉱業法での炭鉱の権益取得に関する手続きを以下に示す 国民に対する公告 権限に応じる知事や県長 / 市長の推薦 入札委員会の結成 入札委員会での入札文書の準備具体的な内容は以下の通りである a. 事前資格審査の公開的公告 ; b. 事前資格文書の配布 ; c. 事前資格文書の受け付け ; d. 事前資格審査 ; e. 事前資格文書の検証や確認 ; f. 事前資格審査結果の決定 ; g. 事前資格審査結果の発表 ; h. 合格参加者への招待 ; i. 入札文書の配布 ; j. 入札説明 ; k. 値付け文書の準備 l. 値付けの受け付け m. 封筒の開封 n. 順位の決定 o. 入札勝ち取りの決裁や発表 p. 不服の申し立て機会を与える事 q. 勝ち取り者への決裁書作成 239

268 8.1.2 資産の売買動向石炭資産売買時の評価内容を表 に示す 石炭品位 石炭埋蔵量 インフラ 地表利用方法 剥土比が評価対象となる これらの他に 市場までの距離 鉱区オーナーの資質 インドネシアでの J/V の可否 探査の状況を加味する必要がある 表 炭鉱売買時の評価内容要素評価内容市場形成が困難で膨大な資源量の腑存が確認されている低品位炭を対象とすることで 石炭品位鉱区取得コストの低減を図る 石炭埋蔵量埋蔵量 ( 又は 資源量 ) の推定精度を評価して買収価格に反映できる基準を設定する 鉱区からの石炭の搬出コストが低くなるようなインフラ条件を確認する 地表利用状況露天掘削に伴い地表購入が必要となるので 地表購入費用を低くして 採炭コストを抑インフラえるためには 地表権買収コストが高い椰子油プランテーションや住居が少ない鉱区を選定する 地表購入費用を低くして 採炭コストを抑えるためには 地表権買収コストが低い椰子地表利用状況油プランテーションや住居が少ない鉱区を選定する 採炭コストに直接影響する剝土比を出来るだけ低くなるような鉱区を選定する 目安と剝土比して剝土比は 5 以下とする 採掘計画によって剝土比の低下は可能 ( 但し 埋蔵量の低下を招く ) 出典 : 資料を元に作成 インドネシアではこれまで多くの炭鉱の売買が行われてきた その中で特に大きな話題としては PT. Bumi Resources による KPC 炭鉱の買収がある 現在の KPC 炭鉱は 年間 5,000 万トンを越えるインドネシアでは最大の炭鉱であるが 開発当時は外国企業の BP( 英国石油 ) とリオティントが KPC 炭鉱の株をそれぞれ 50:50 所有していた これら 2 企業は海外企業であるため インドネシアの国内企業へ権益の 51% を売却しなければならなかったため 2005 年 10 月 18 日に PT. Bumi Resources が KPC 炭鉱の株をすべて買収した 買収額は 30 億 USD と言われているが 当時はかなり安価な金額で買収し また Bumi Resources に一部シンガポールの資本が入っていたため 石炭業界ではかなり問題視された買収であった その他 中小の企業についても炭鉱の売買が行われてきたが その買収額は 数億 USD 程度であるが 中には 百万 USD~11 百万 USD 程度の安価な買収額の実績もある 買収時の評価資源量で買収額を割ってみると 1 トン当り 0.09~2.74USD の買収額である 240

269 8.2 外国資本による炭鉱権益獲得状況 海外企業が取得する際の制限事項やインセンティブインドネシアでの直接外国投資は一般に 2007 年 No.25 法 (2007 投資法規 ) と施行規定によって定められている 直接投資に関する全事項はインドネシア投資調整委員会 (Badan Koodinasi Penanaman Modal BKPM ) によって監視されている 海外投資の出願と海外投資の認可に関するガイドラインそして手順について 2007 年投資法の施行規定を BKPM が出している しかし 海外投資の全ての分野が 2007 年投資法に従う訳ではなく BKPM の管轄に含まれるわけではない 多くの分野 ( 銀行 金融 保険 鉱業 そして石油ガスなど ) では全て 又は 一部が異なる法規制度の支配を受ける 2007 年投資法の重要な特徴は海外投資を国有化しない 又は 海外投資をコントロールする権利を破棄するとのインドネシア政府の保証である 例外は法によって国有化やコントロールが国家的な利益になると規定されている場合であり その場合には国際法の原理に従って決定され そして相互に合意した補償を支払う この保証には海外投資家が外資企業のマネジメントを指定する権限 そして資金 ( 税後利益 海外駐在者所得や固定資産の売却 ) を本国へ送還する権利を確保することを伴っている 石炭鉱業は インドネシア政府によって海外からの直接投資が開かれている インドネシアにおいて海外投資家は 投資法に基づいてインドネシア現地法人 (Perusahaan Penanaman Modal Assign or PMA Company ) を通して投資を行う 鉱業を行うために設立された PMA 会社は エネルギー 鉱物資源省と BKPM が発行する外資ライセンスが必要となる 石炭鉱山に対する規制新鉱業法の中で規定されている外資規制は 5 年後に 20% の譲渡という記載しかなかった しかしながら その後の法律によって 外資企業は商業生産が開始してから 5 年経過後に株式の 20% を国内投資家に譲渡しなければならず また 商業生産開始後 10 年後には 51 % 以上の株式 (7 年後には 30% 8 年後には 30% 9 年後には 40% 10 年後には 51%) がインドネシアの株主に保有されるよう 現地投資家への株式譲渡を継続することが義務付けられた 外国資本による炭鉱権益取得状況 (1) PT. Adaro Indonesia 及び Banpu グループ BHP Billiton は 2016 年 6 月にインドネシアで 75% の権益 ( 原料炭 一般炭 ) を所有していた炭鉱群を Adaro Energy に売却し インドネシアから撤退した BHP Billiton は 原料炭価格の低迷により 事業のポートフォリオの見直しの一環であるとの発表をしているが 外国資本に厳しい強制的な資本移行法令による 将来的な安定操業に懸念したことも 241

270 理由にあると言われている また インドネシアにおける石炭開発で存在感を示している外資がタイ資本の BAMPU である これまで 大規模炭鉱である Indominco の権益を 99.99% 所有するほか Kitadin Trubaindo Bharinto Jorong といった中規模炭鉱の 99% 以上の権益を取得している (2) 日本による炭鉱権益の取得日本もインドネシア権益取得には存在感を示している 1980 年代に双日 ( 日商岩井 ) が Berau Coal に資本参加したのをはじめ 伊藤忠商事は 中央カリマンタン州の原料炭炭鉱の権益を取得している ただ 双日は 2017 年炭鉱権益を売却している 出光興産 三井松島産業は 炭鉱権益を取得するのではなく 炭鉱操業会社の株式を取得する方法で参画し 石炭独占販売権を取得している その他には JXTG エネルギーが西パプア州で Glencore とともに原料炭鉱区の権益を取得しているが 表立った動きはない 伊藤忠商事の炭鉱買収は 豪州子会社が行っており Marunda Graha Mineral (23.5%) Suprabari Mapanindo (23.5%) に資本参加している 日本の会社でも豪州籍のある子会社がインドネシアの鉱区を所有した場合は豪州籍の資本と見なされる こういう例は多く その結果 インドネシアの外資は豪州資本が大きな割合を示す 現在の日本企業による炭鉱権益獲得比率一部の状況を表 に示す 表 年時点での日本企業による炭鉱資産獲得状況 ( 一部 ) 企業段階操業会社 ( 炭鉱 ) 炭鉱位置 ( 州 ) 炭種権益 (%) 伊藤忠商事操業 PT. Marunda Graha Mineral 中央カリマンタン原料炭 23.5 伊藤忠商事操業 PT. Suprabari Mapanindo 中央カリマンタン原料炭 23.5 三井松島産業 開発 PT. Gerbang Daya Mandiri 東カリマンタン 一般炭 株式 30% (GDM) 出光興産 操業 PT. Baramulti Suksessarana 南カリマンタン 一般炭 株式 3% (AGM) 出光興産 操業 PT. Mitrabara Adiperdana 北カリマンタン 一般炭 株式 12% (Malinau) JXTG エネルギー 開発 現地会社 西パプア州 一般炭 新たな石炭事業参入の方法として JOGMEC は 東カリマンタン州において 共同探鉱 (JV 調査 ) を実施し 石炭販売権オプションを取得した 2016 年に入札によって伊藤忠商事 (ITOCHU Indonesia) に販売権を譲渡している (3) 外資企業の権益のまとめその他 モーリシャス バージン諸島 シンガポールなどに登記する投資家の参入も多い 2016 年時点での外国資本による炭鉱権益獲得比率の状況を表 に示す 242

271 243 企業名 契約形態 出典 : Indonesian Coal Book 2016/2017 表 外国資本による炭鉱権益獲得比率 Australia Mauritius Singapore Seychelles Japan Netherland Korea British Virgin Island Cayman Caymnd Islands Island PT Anungerah Alam Katingan PT Anungerah Alam Manuhing PT Arutmin Indonesia PKP2B PT Bahari Cakrawala Sebuku PKP2B PT Baramultiara Prima PKP2B PT Berau Coal PKP2B PT Borneo Bara Prima IUP PT Bumi Barito Mineral IUP PT Garda Tujuh Buana IUP PT Interex Sacra Raya PKP2B PT Joloi Coal PKP2B PT Kalimantan Energi Lestari PKP2B 99 1 PT Kalteng Coal PKP2B PT Kaltim Prima Coal PKP2B PT Karya Bumi Baratama PKP2B PT Kidec Jaya Agung PKP2B PT Lahai Coal PKP2B PT Lanna Harita Indonesia PKP2B PT Marunda Graha Mineral PKP2B PT Maruwai Coal PKP2B PT Multi Harapan Utam PT Multi Tambangjaya Utama PKP2B PT Pari Coal IUP PT Ratah Coal PKP2B PT Singlurus Pratama IUP PT Sumber Barito Coal PKP2B PT Suprabari Mapanind PKP2B 注 ) 赤字は日本の豪州子会社が出資 Thailand Indonesia

272 (4) 最近の炭鉱権益に関する情報最近の炭鉱権益に関する情報を以下にまとめる (a) 国有企業の統合に伴う企業買収インドネシアでは より効率的な企業運営と採算性の向上を目指し国営企業の統合の動きがある PT. Indonesia Asahan Aluminium(Inalum: インドネシア国営企業省国営アルミニウム精錬会社 ) を幹事会社として PTBA PT. Aneka Tambang(ANTAM) PT. Timah を傘下にホールディングを形成する ホールディング化により 各社が持っている技術部門 営業部門を統合することで より効率的に競争力のある統合資源会社へ変貌させることを目的にしている (b)pt. Kideco Jaya Agung 炭鉱の買収 PT. Indika Energy は インドネシア第 3 位の石炭会社である PT. Kideco Jaya Agung 株式 45% を買収した 内訳は 韓国の Samtan Co Ltd から 40% インドネシアの PT. Muji Inti Utama から 5% である 株式買収額は約 756 億円と発表されている PT. Indika Energy は 既に 46% 所有しており これにより保有率が 91% になり経営権を完全に掌握することになる 韓国の Samtan Co td 社の保有率は 49% から 9% に下がり影響力が低下する (c)pt Bayan Resources インドネシアの準大手石炭会社の PT. Bayan Resources の株式をイタリア大手の電力会社のエネル (Enel SpA) の子会社 Enel Investment Holding B.V. が 10% 保有しているが その株式を PT. Bayan Resources の創立者であり支配株主の Dato Low Tuck Kwong 氏が買い戻している (d)pt. Baramulti Suksessarana グループ韓国の GS グループ (GS Group) は PT. Baramulti Suksessarana グループの権益を 14.74% 取得した 権益 14.74% の内 GS グループの GS Energy Corporation が 9.74% GS Global Corporation が 5% である 買収額は 4,500USD である PT. Baramulti Suksessarana グループも株式は インドの Tata Power Company も 26% を保有している GS グループは権益 14.74% を取得することで PT. Baramulti Suksessarana グループで生産された石炭 150 万トンを調達できることになる (e)transcoal Minergy(TCM) プロジェクト TCM の株式は現在豪州の Pan Asia Corporation limited が 75% 複数のインドネシア企業が 25% を保有しているが 英国の Polo Resources Ltd は シンガポールの Universal Coal Resources Pte Ltd を通じて 本プロジェクトに参入する Polo Resources Ltd は Universal Coal Resources Pte Ltd の償還可能な転換社債 (Redeemable Convertible Note) を 500 万シンガポール ドルで引き受けることで合意しており これにより Universal Coal Resources Pte 244

273 Ltd 社を通じて間接的に TCM プロジェクトに参画する TCM プロジェクトは 南カリマンタン州 Tanah Bumbu 県の炭鉱開発で 150~200 万 / 年の輸出向け高品位一般炭 ( 発熱量は 6,200kcal/kg 超 ) が 30 年以上生産される計画である 輸出先はアジア各国を対象としている (f)pt. Bumi Barito Mineral(BBM) プロジェクト豪州の Cokal Limited は 中央カリマンタン州で原料炭開発を計画している PT. Bumi Barito Mineral(BBM) 原料炭プロジェクトに投資し プロジェクトの権益はコカール社が 60% インドネシアの複数企業が 40% となった 同鉱区で生産した原料炭を日本や中国をはじめとしたアジア地域に輸出する (g) 豪州の TerraCom Limited プロジェクト豪州の TerraCom Limited は 中央カリマンタン州 Muara Teweh 近郊の炭鉱を買収した 具体的な炭鉱名は明らかにされていないが 現時点で 50~70 万トン / 年の原料炭生産規模を有し石炭輸送用道路やバージ積み込み施設などへの距離は近い また 今回の買収に加えて 同炭鉱周辺の未開発鉱区を買収することにしており その結果 同炭鉱の原料炭生産能力は 120~150 万トン / 年になる見込みである 同炭鉱で生産された石炭は日本を始めとするアジア各国への輸出が計画されている 245

274 第 9 章まとめインドネシアは 我が国にとって豪州に次ぐ第 2 位の石炭輸入相手国であり 我が国の石炭安定提供の面からすると 大変重要な国である インドネシアの石炭産業はこれまで順調に成長を続け 今日では 豪州と並んで世界の石炭マーケットを牽引している インドネシアの国内消費は 電力 セメント 冶金 パルプ 繊維などの分野で消費されてきたが 主体はあくまでも輸出であり 国内消費量の数倍の石炭が輸出され 世界の石炭需給に大きく貢献してきた また インドネシアの石炭は 発熱量は低いものの 灰分 硫黄分が他の国の石炭と比べて低いという大きな利点を有しており 国際マーケットの中では 環境的に優れた石炭ということで評価も高い また 東南アジア諸国での石炭需要は今後益々高まって行くことが予想され 各国のインドネシア石炭の輸出動向対する関心は高く 今後のインドネシアの輸出政策に注目が集まっている 一方 インドネシアでは 急激な経済成長に伴うエネルギーの増加に対して 石炭をエネルギー供給の柱としており 35GW 電力開発計画などに見られるように 石炭火力発電所の建設が予定され それに伴い石炭の国内消費量は 今後増加することが見込まれている こういう状況にあって インドネシア政府は 自国の石炭資源の確保に大きく舵を切り 様々な保護主義的な政策を打ち出している 石炭生産量のキャップや輸出規制などは その政策の一部であるが 国家エネルギー審議会 (DEN) が 国家エネルギー計画 (RUEN) で公表した石炭需給計画では 2018 年から石炭生産量に 4 億トンのキャップをかぶせ それ以降は国内消費に回した石炭の残りが輸出されるとしており 国内消費が 4 億トンに達する 2046 年では 輸出はゼロとの見通しとなっている こういう状況を踏まえ 本調査では インドネシアの長期電力計画の動向を始め 国内石炭の消費量 インフラを含めた石炭供給動向 インドネシアからの炭質を含めた輸出見通しについての調査を行い インドネシアから日本への安定供給について検討した 今回の調査では 政府発表 現地ヒアリング マスコミ報道などの現状データを基に調査したが 今後の調査としては 2019 年に予定されている大統領選挙やインドネシアが直面している当初見込みよりダウンしている経済成長の今後の動き さらには 環太平洋パートナーシップ (TPP:Trans- Pacific Partnership) 協定の進展なども考慮する必要がある 今後ジャワ島での新規の石炭火力発電所建設計画はしばらく先送りするとの政府報道もあり また 2019 年大統領選挙後の新政権の政策は 石炭輸出にも大きく影響してくる 2007 年に日本とインドネシアは 経済連携協定 (EPA) を締結しており 将来的には TPP 参入可能性もありえる これらの動きが今後の石炭輸出にどういう形で影響が出てくるのかしっかりと見極める必要がある また インドネシア商業省は 2017 年 10 月主要産物 ( 天然パーム油 石炭 ) の輸出において 国内海運業者と保険会社の利用を義務付ける法案を提出した 両業界ともコスト増に繋がり経済全体に影響すると指摘しているが 今後の進展に注意を要する インドネシア国内には 中央カリマンタンを中心にまだ かなりの高品位石炭が埋蔵されている また インドネシアでまだ開発されていない低品位炭の活用も今後期待できる 日 246

275 本にとって インドネシアの石炭は今後も重要であり 石炭を輸入するためには インドネシア国内でのインフラの整備 低品位炭の利用技術提供など トータル的な戦略が益々重要になってくると思われる 247

276 添付資料 1 PT. Raja Kutai Baru Makmur(RKBM) 1. 全体概要 Samarinda の南西に位置する RKBM 炭鉱において インドネシアの炭鉱の操業状況の現状を調査した 2. 炭鉱位置下図に炭鉱位置を示す 東カリマンタン州都 Samarinda の南西に位置し 車で 1 時間程度である 炭鉱の位置 3. 鉱区 2008 年に KP の資格を取得し 2010 年から石炭生産を行っている 現在は IUP 炭鉱に移行している 鉱区は No1 と No2 に分かれており No1 の採掘期限は 2018 年であるが 現在両鉱区を対象として 2028 年前の採掘期間の延長を申請中である 4. 石炭採掘 2016 年の石炭生産量は 150 万トン 2017 年も 150 万トンを予定している これは 州政府からの生産量の制限指示によるもので RKBM 炭鉱は政府指示に従い 大きな問題は無い 炭層は 5 層あり主炭層の厚さは 5~6m である 炭層傾斜は 15 度程度と採掘には問 248

277 題ない 現在は 4,000~4,200kcal/kg 3,800~4,000kcal/kg 3,400~3,800kcal/kg の 3 種の石炭を採掘している 剥土比は 1/3~1/6 である剥土 採炭 石炭プロセシング バージ積込はすべて コントラクタの PT. Petro Naga Jaya(Petrona) が行っている また 石炭販売も Petrona が行う RKBM は 鉱区管理 政府への採掘申請などを行うだけである 人員は 27 名である こういう形態の炭鉱は Surat Printer Kerja(SPK) と呼ばれ インドネシアの炭鉱では 少なくない炭鉱形態である 採炭状況は下図のとおり 採掘切羽 5m の炭層 4. 石炭輸送ピットは現在 3 箇所 ストックヤードから 300m 500m 5km それぞれ離れているが 2 つのピットは ストックパイルに非常に近い 5km 離れたピットは Suratan ピットと呼ばれ 運搬は PT. Rana Harita の石炭専用道路を使用している PT. Rana Harita は石炭運搬のために RKBM の鉱区を通る必要があり RKBM の許可を取り 石炭専用道路を建設している その見返りとして RKBM はこの道路を無料で使用する権利を得ている 5. ストックヤードクラッシングを行うストックヤードが設置されている 貯炭容量は 30 万トンである ストックヤードには 固定式のクラッシャーの他 移動式クラッシャーが稼動している これは バックホーのバケットにビットが付いたローラが取付けられ 石炭をバケットですくい上げる度にクラッシングが行われる 能力は 200 トン / 時間である 固定式のクラッシャーに比べ 移動でき機能的に優れている クラッシングのサイズは 100mm アンダーである バックホーのバケットとスタックヤードの状況を下図に示す 249

278 バケットに取り付けられたローラビットストックヤード (30 万トン ) 6. 石炭輸送 Jetty では トラックが直接バージの中に入りこみ石炭を積込んでいる ベルトコンベアの設備は無い バージの大きさは水深が 6mしかないため 最大 270 フィートのバージまでで 石炭積載量は 5,500 トンのバージとなる バージへの積み込み時間は 11 時間 20 トントラックが使用され 1 バージ 250 台分のトラックにて積込む ストックヤードからの距離は 500m と近い バージは Muara Jaya まで 14 時間 Muara Berau まで 20 時間にて 石炭積替地点まで運ばれる 石炭は主に中国へ輸出される バージ会社は PT. Rusianto Baru Sodara である Jetty の状況を以下に示す バージ積込 7. 保安成績保安成績で示されている色は現在 青色 (3 番目 ) 3 年間青色である 8. 石炭販売 RKBM は 石炭トレーダに販売している 250

279 平成 29 年度海外炭開発支援事業海外炭開発高度化等調査 インドネシアにおける長期電力計画の進捗と石炭輸出動向調査 平成 30 年 3 月発行発行 : 東京都港区虎ノ門 2 丁目 10 番 1 号虎ノ門ツインビルディング おことわり : 本レポートの内容は 必ずしも独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありません 正確な情報をお届けするように最大限の努力を行っておりますが 本レポートに基づきとられた行動の帰結につき 独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責を負いかねます なお 本報告書の内容を引用等する際は あらかじめ独立行政法人石油天然ガス 金属鉱物資源機構の許可を受けてください

280 この印刷物は環境保護のため 古紙配合率 100% 再生紙を使用しております

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Slide 1 インドネシアの石炭政策 総局長 Dr. バンバン スティアワン インドネシア 日本石炭セミナー 2009 年 3 月 27 日 東京 インドネシア共和国エネルギー鉱物資源省鉱物 石炭 地熱総局 1 内容 現在の状況 生産と輸出 基本法について 石炭資源と埋蔵量 2009 年法律第 4 号 新鉱業法 ( 鉱物石炭鉱業法 ) について 主な規定 重要な諸問題 移行期間 需給政策 規定 国内供給義務 (Domestic

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