平成17年度第1回構造工学論文集編集小委員会資料リスト

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1 構造工学論文集 Vol.62A(216 年 3 月 ) 土木学会 丸鋼鉄筋が用いられた RC 橋脚のアンボンド補強鉄筋 による耐震補強設計法の検討 A study on seismic retrofitting design method by unbonded reinforcing rebar for RC bridge piers with round rebars 西城能利雄, 佐藤孝司 *, 西弘明 ** Norio Saijoh, Kouji Sato, Hiroaki Nishi ( 国研 ) 土木研究所寒地土木研究所 ( 北海道札幌市豊平区平岸 1 条 ) *( 国研 ) 土木研究所寒地土木研究所 ( 北海道札幌市豊平区平岸 1 条 ) ** 博士 ( 工学 ),( 国研 ) 土木研究所寒地土木研究所 ( 北海道札幌市豊平区平岸 1 条 ) As a way of performing rational aseismic retrofitting for RC bridge piers whose rebars are round, we proposed a technique for unbonded the axial rebars, which can be done when RC concrete lining is conducted. It was clarified that the unbonded retrofitting did not inhibit the rocking behavior of the existing round rebars.this study proposes an evaluation method for a seismic retrofitting design for existing RC bridge piers, in which round rebar reinforcement was used. The rocking behavior of the existing round rebars was used in the proposed unbonded retrofitting. The studied evaluation method was based on the rotational angle at the base of the bridge pier, which corresponds to the allowable elongation of the rebars installed in the axial direction. Key Words: RC bridge pier, round rebar, unbonded reinforcing rebar, aseismic retrofitting design method キーワード : 鉄筋コンクリート橋脚, 丸鋼鉄筋, アンボンド補強鉄筋, 耐震補強設計法 1. はじめに これまで多くの適用実績を有する RC 橋脚について, 耐震性能評価や耐震補強技術に関する検討が行われてきた. 現在の RC 構造には, 異形鉄筋を用いることが通常であり, これらの検討の多くも異形鉄筋が配置された RC 橋脚を対象に行われたものであるが,197 年以前に建設された橋脚には丸鋼鉄筋が使用されてきた実績がある. ここで, 桑木野ら 1) は丸鋼鉄筋橋脚の変位は軸方向鉄筋の抜出しによる回転変位が 9 割と支配的で, 異形鉄筋と比較して緩やかに耐力が低下し, 履歴曲線は終局においてスリップ型になることなどを確認している. 過年度研究 2) においては, 丸鋼鉄筋橋脚は軸方向鉄筋の伸出しによるロッキング ( 橋脚基部の回転運動 ) 挙動が卓越し, 異形鉄筋が用いられた場合と比較し最大耐力は僅かに劣るものの, 変形性能に優れることなどを確認している. 連絡著者 / Corresponding author saijiyou-n22aa@ceri.go.jp 丸鋼鉄筋橋脚の耐震補強として, これらの保有性能を活かし, 変形性能を阻害しない方法も有効であると考えられる. 一方,RC 橋脚の軸方向鉄筋の付着を制御することで高い耐震性を確保する研究が実施されている. 川島ら 3) は実験より橋脚の主鉄筋をアンボンド化することで最大耐力や剛性, 履歴吸収エネルギーをそれほど低下させずに変形性能が向上するとしている. 家村ら 4) は実験より橋脚内部配置した芯材の付着特性が橋脚の復元力特性に影響し, 芯材をアンボンド化することで芯材のひずみは平滑化され, 大変形領域で弾性挙動を示す二次剛性が復元特性に付与するとしている. 睦好ら 5) は実験より RC 柱部材において軸方向鉄筋の付着を除去するとした場合, せん断破壊が生じにくくなり高いじん性を得ることができるが, エネルギー吸収能が低下するとしている. これらの研究成果は主として新設橋脚を対象とした研究であ -328-

2 表 -1 実験ケース一覧 (1) 無補強供試体 使用鉄筋鉄筋比設計計算上の耐力 軸方向帯鉄筋鉄筋 pt pw s Pu Ps (%) (%) (%) (kn) (kn) Ps / Pu 柱部コンクリート圧縮 強度 (N/mm 2 ) PR SS4 ctc2 SR PR SR235 ctc25 SR 実験時軸力 (kn) PR-3 18 PR-4 18 PR-5 36 表 -2 実験ケース一覧 (2) 補強供試体 柱部コンクリート既設部鉄筋補強部鉄筋補強部鉄筋比設計計算上の耐力圧縮強度 (N/mm 2 ) 軸方向軸方向帯鉄筋帯鉄筋鉄筋鉄筋 pt pw s Pu Ps (%) (%) (%) (kn) (kn) Ps / Pu 既設部補強部 8-13 ctc25 12-D1 D1ctc25 SR235 SR235 SD295 SR ctc25 12-D13 D1ctc25 SR235 SR235 SD345 SR ctc25 12-D13 D1ctc25 SR235 SR235 SD345 SR pt: 軸方向鉄筋比,pw: 帯鉄筋比, s: 横拘束筋の体積比 Pu: 道路橋示方書 6) に基づく曲げ終局耐力 Ps: 道路橋示方書 6) に基づくレベル Ⅱ タイプ I 地震動に対するせん断耐力 PR-3 PR-4 PR-5 PR-1 PR-2 帯鉄筋 軸方向 帯鉄筋 軸方向 表 -3 鉄筋の材料特性 (1) 適用 鉄筋 直径 材種 降伏点 (N/mm 2 ) 引張 強さ (N/mm 2 ) 軸方向 25 SS 帯鉄筋 SR 軸方向 SR235 帯鉄筋 表 -4 鉄筋の材料特性 (2) 適用 鉄筋 直径 材種 降伏点 (N/mm 2 ) 引張 強さ (N/mm 2 ) 既設部 φ9 SR 補強部 D1 SD 既設部 φ13 SR 補強部 D1 SD 既設部 φ9 SR 補強部 D1 SD 既設部 φ13 SR 補強部 D13 SD り, 軸方向鉄筋のアンボンド化を既設橋脚の耐震補強に適用した検討事例は少ない. 以上を踏まえ, 丸鋼鉄筋橋脚の変形性能を活かした耐 震補強方法として, 一般的な耐震補強工法である RC 巻立て工法において, 軸方向鉄筋のアンボンド化 ( 以降, アンボンド補強鉄筋 と略す ) を試み, その耐震性能を縮小橋脚供試体による正負交番載荷実験で把握した. ロッキング挙動を呈する補強供試体の挙動を踏まえると, 耐震補強設計において, 現行道路橋示方書 6) を適用することは適切でないものと考えられる. 本研究では実験結果に基づき, 丸鋼鉄筋橋脚のアンボンド補強鉄筋による耐震補強設計法について検討した. 本論文では, その概要を述べる. 2. 正負交番載荷実験概要 本章では, 耐震設計法の検討に際して対象とした橋脚供試体の正負交番載荷試験の概要について述べる. 2.1 供試体および実験ケース表 -1, 表 -2 に実験ケースの一覧を示す.PR-1 PR- 2 は無補強供試体を用いたケースであり,PR-3 PR-4 PR-5 は PR-2 をアンボンド補強鉄筋により補強したケースである. ここで, アンボンド化は柱部のみであり, 軽量巻管 ( シース ) を用いて行った. 供試体の設計にあたっては, 丸鋼鉄筋が用いられていた 197 年代頃までの RC 橋脚の配筋を想定し,1/4 のスケールで供試体の諸元を設定した. 供試体の配筋仕様お -329-

3 27 柱主鉄筋を溶接 φ25 荷重載荷方向 @15=45 75 (PR-1) φ9 φ @2= @25= @15= @15=45 75 B 面 2@26= R 面 L 面 φ9 F 面 6 4 2@26=52 4 B 面 R 面 L 面 ひずみゲージ軸方向鉄筋 帯鉄筋 (PR-1) (PR-2) φ9 F 面 27 柱主鉄筋を溶接 φ13 荷重載荷方向 @26= (PR-2) φ @25=5 6@25= D1( アンボンド ) 柱主鉄筋を溶接 荷重載荷方向 @26=52 4 D @25=5 6@25= B 面 R 面 D1 F 面 L 面 (PR-3) B 面 ひずみゲージ R 面 L 面 (PR-4,PR-5) 既設部 D1 F 面 補強部 軸方向鉄筋鉄筋 帯鉄筋 27 D13( アンボンド ) 柱主鉄筋を溶接 荷重載荷方向 @26=52 4 D @25=5 6@25= (PR-3) 図 -1 供試体配筋図 (PR-4,5) よび配筋図を表 -3, 表 -4, 図 -1 にそれぞれ示す. 供試体の柱部の断面寸法は 6 6mm であり, 柱高さは 1,8mm である. 補強部は厚さ 8mm の RC 巻立てとした. なお, 軸方向鉄筋は鉄筋組立時に上下端を 6 6mm の鋼板に溶接した. 2.2 実験方法実験装置および供試体の設置状況を図 -2 に示す. 上部工死荷重反力を想定した鉛直荷重をピン支承を介して柱部天端に載荷し, 一定に保持した. 水平方向の交番荷重は, 基部から高さ 2,15mm の位置のピン支承の中心部に水平方向のジャッキにより載荷した. せん断スパン比 図 -2 実験装置 ( 単位 :mm) -33-

4 伸出し量 d d (mm) 3 25 荷重載荷方向ー + 2 変位計 15 傾き 741 傾き 721 5mm 5mm 図 -3 橋脚基部の回転角の測定方法 1 軸方向鉄筋伸出し 伸出し長 回転角 θ ls2 柱 回転角回転角 θ y フーチング 2 軸方向鉄筋はらみ出し発生 3 残留浮き上がり発生 5 軸方向鉄筋破断 回転角 θ ls3 4 残留スウェイ発生 図 -4 ロッキング挙動が卓越する橋脚の損傷形態 は 3.8 である. 載荷は変位制御により実施した. 設計計算上の曲げ降伏耐力の 5% の水平荷重を 1 サイクル載荷してコンクリートにひび割れを導入した後, 水平力載荷点位置での基準水平変位 δ y の整数倍ごとに各ステップにおいて 3 サイクルの繰り返し載荷を実施した. ここで基準変位 δ y は無補強である既設丸鋼橋脚供試体の基準変位 2.7mm とした. 載荷点における水平変位および水平荷重を, それぞれ変位計およびロードセルにより計測した. また, 図 -1 に示すように軸方向鉄筋および帯鉄筋のひずみをひずみゲージにより計測した. 橋脚基部の回転角を得るために, 図 -3 に示すように設置した変位計によって鉛直変位を測定した. 2.3 実験結果本実験の範囲で得られた主な知見は以下のとおりである. 1) 無補強供試体 PR-1,PR-2 はともに大きな変位まで安定した履歴ループを維持し, 高い変形性能を示す. 2) 無補強供試体 PR-1,PR-2 はともに軸方向鉄筋の伸出しによるロッキング挙動が卓越する 回転角 θ(rad) 図 -5 伸出し量と回転角の関係 (PR-3) 3) 補強供試体 PR-3~PR-5 は, 無補強供試体と比較し, 耐力が向上するとともに, 同程度の変形性能が確保されている. これより, アンボンド補強鉄筋は既設部の丸鋼鉄筋の伸出しによる柱部のロッキング挙動を阻害していない 損傷形態ロッキング挙動が卓越する場合の橋脚の損傷は, 図 -4 に示すように進展するものと推定した. 1 軸方向鉄筋の伸出しによるロッキング挙動 ( 橋脚基部の回転運動 ) が卓越 2 軸方向鉄筋が伸出し後の圧縮特性挙動時に復元できず, 鉄筋のはらみ出しが発生 3 さらに圧縮特性挙動時に残留浮き上がりが発生 4 残留浮き上がりの状態で載荷を受けると軸方向鉄筋のスウェイ ( 橋脚基部の平行運動 ) 変位が卓越 5 最終的には軸方向鉄筋が破断し, 耐力が低下 ロッキング挙動に伴う軸方向鉄筋の伸出し量ロッキング挙動に伴う軸方向鉄筋の伸出し量は, フーチングと橋脚基部の相対鉛直変位の測定結果から式 (1), (2) により算出される. d d = θ W s 2 + d t + d c 2 (1) θ = d t d c W d (2) ここに,d d は橋脚基部の鉛直変位から算出したフーチング内および柱部からの軸方向鉄筋の伸出し量,θ は橋脚基部における回転角,Ws は最外縁に位置する引張側と圧縮側の軸方向鉄筋の距離,d t および d c はそれぞれ基部正面および背面に設置した変位計による鉛直変位, W d は基部正面および背面に設置した鉛直方向の変位計の距離である 浮き上がり量 PR-3 におけるフーチングおよび柱部からの軸方向鉄筋の伸出し量 d d と橋脚基部における回転角 θ の関係を図 -5 に示す. 図中には伸出し長と回転角の関係の傾きを示しており, その傾きは, 引張側最外縁鉄筋から橋脚基 -331-

5 浮き上がり量 (mm) 柱基部からの高さ (mm) 柱基部からの高さ (mm) 浮き上がり量 d s (mm) 柱基部からの高さ (mm) 1 8 荷重載荷方向ー 負 27δy 荷重載荷方向負 1δy 正 1δy 正 27δy 回転角 θ(rad) 図 -6 浮き上がり量と回転角の関係 (PR-3) 部の回転中心までの距離を表している. なお, 橋脚基部の回転中心の定義は 3.3 節で後述する. 図より, 傾き ( 回転中心までの距離 ) は一定のまま, 伸出し長が大きく縦にシフトする挙動が見られる. これは, フーチング内および柱部から伸出した軸方向鉄筋の局所的な座屈による橋脚基部の浮き上がりと考えられる. 浮き上がり量は式 (3) より算出される. d s = d d W p θ (3) ここに,d s は橋脚基部の浮き上がり量,W p は引張側最外縁鉄筋から橋脚基部の回転中心までの距離である. PR-3 における浮き上がり量 d s と回転角 θ の関係を図 -6 に示す. 図により, 載荷に伴い浮き上がりは増加する傾向にあることがわかる. 回転角 において浮き上がり量が最大値を示し, さらに載荷すると浮き上がりは に戻らずに残留することがわかる スウェイ変位 PR-3~PR-5 における橋脚基部からの高さとその位置での水平変位の関係を図 -7 に示す.PR-5 においては, 載荷点変位の増加に伴うスウェイ変位による残留が見られない. これは, 浮き上がり発生後, 軸力が他ケースより小さいため, スウェイ時の水平分力も小さくなることが影響したものと考えられる.PR-3,PR-4 においては, 載荷点変位が小さい範囲ではスウェイ変位はほぼゼロであるが, 載荷点変位の増加に伴いスウェイ変位は徐々に増加し, 最終的に正載荷方向または負載荷方向へ増加し残留することがわかる スウェイ変位と浮き上がり量の関係各載荷サイクルにおける最大変位時 ( 基部回転最大時 ) のスウェイ変位と浮き上がり量の関係を図 -8 に示す. ここで, スウェイ変位には柱の下端から高さ 5mm の位置に設置した変位計による水平変位の測定結果を用いた. また, 残留浮き上がり基準は.1mm 以上とした.PR-2,PR-5 では浮き上がり残留後, スウェイ残留は生じているものの, 僅かである. それに対して,PR- 3,PR-4 では浮き上がり残留後, 正または負側にスウェイ残留が増大する傾向にある 載荷点変位 (mm) 負 27δy PR-3 荷重載荷方向 負 1δy 載荷点変位 (mm) 5 負 36δy PR-4 正 1δy 荷重載荷方向 負 1δy 正 1δy 正 27δy 載荷点変位 (mm) PR-5 図 -7 柱基部からの高さと水平変位の関係 PR-2 PR-3 PR-4 PR-5 残留浮き上がり基準 図 -8 浮き上がりと残留スウェイの関係 3. アンボンド補強鉄筋による耐震補強設計法 正 36δy スウェイ変位 (mm) 図 -9 に丸鋼鉄筋が用いられた既設 RC 橋脚のアンボンド補強鉄筋による耐震補強設計のフローを示す. これ以降はフロー図に従い, 耐震補強設計の考え方を述べ -332-

6 3.6 アンボンド長設定 STRAT 3.7 軸方向鉄筋抜出し判定定着長 滑出し長 YES 軸方向鉄筋引張応力 = 鉄筋降伏応力 3.2 軸方向鉄筋の許容伸出し長設定 3.3 各限界状態での基部回転角設定 ( 耐震補強後照査時 ) 3.1 限界状態設定 NO ( 既設照査時 ) 軸方向鉄筋引張応力 = 残留付着応力 σ sy は鉄筋の降伏強度 (N/mm 2 ),φ は鉄筋径 (mm) である. また, 丸鋼鉄筋降伏時の伸出し長はフーチング部および柱部に対するひずみを高さ方向に積分した式 (5)(6) で表される. L d dy = 2 εdy d dy = L f εdy = ε sy L(L f L, L p L) (5) L p + εdy = ε sy L ε sy 2L {(L L f) 2 + (L L p ) 2 } (L-L f, L-L p ) (6) NO 3.6 許容伸出し長時の既設部と補強部の軸方向鉄筋回転角比較既設部回転角 < 補強部回転角 YES 3.4 骨格曲線 ( 荷重 - 変位関係 ) 設定 3.5 水平耐力 地震時慣性力比較残留変位判定 ここに,d dy は丸鋼鉄筋降伏時の伸出し長 (mm),ε sy は鉄筋の降伏ひずみ,L f はフーチングの実定着長 (mm),l p は柱部の実定着長 (mm) である. アンボンド補強鉄筋の場合, アンボンド区間においてコンクリートの付着がないことから, 鉄筋降伏時の伸出し長は式 (7) で表される. d dy = ε sy L (7) アンボンド補強鉄筋による耐震補強実施 NG 耐震補強実施要否 END 図 -9 アンボンド補強鉄筋による耐震補強設計フロー図 る. なお, 図中には以降の見出し節を記載している. 3.1 限界状態設定耐震補強設計における各限界状態は, 既設部および補強部の軸方向鉄筋の伸出し長が以下に達した状態と設定した. 初降伏限界 : 降伏伸出し長に達した状態耐震性能 2: 復旧性より残留浮き上がり時の許容伸出し長に達した状態耐震性能 3: 落橋防止の観点より軸方向鉄筋の破断時の許容伸出し長に達した状態ここで, 許容伸出し長の算出式は後述する. 3.2 軸方向鉄筋の許容伸出し長設定 鉄筋降伏時の伸出し長既設部の丸鋼鉄筋降伏時には, 鉄筋降伏応力と丸鋼とコンクリートとの付着応力が釣り合うと考えると, 丸鋼鉄筋の定着長は式 (4) で表される. L = σ sy φ (4) 4τ ここに,L は丸鋼鉄筋とコンクリートとの定着長 (mm), OK ここに,L はアンボンド長 (mm) である 耐震性能 2 3 時の伸出し長 (1) 伸出し長と滑り出し長の関係耐震性能 2 および 3 における限界状態時の伸出し長は, すべりが発生した鉄筋の長さおよび平均ひずみから式 (8) で表される. d d = ε L n (8) ここに,ε はすべりが発生した鉄筋の平均ひずみ,L n は滑り出し長 ( すべりが発生した鉄筋の長さ ) である. なお, アンボンド補強鉄筋の場合,L n はアンボンド長である. (2) ひずみおよび滑り出し長と伸出し長の関係式 (8) より求めた滑り出し長と伸出し長との関係を図 -1 に示す. 伸出し長の大きな領域に対しては,PR-1 におけるフーチング内および柱部の高さ 1,8mm までのひずみ分布データを用いた. 滑り出し長は, 伸出し長が 1mm 程度まで急増していることがわかる. ここで, 滑り出し長と伸出し長の関係の近似曲線は式 (9),(1) で表される. L n = 75e.26d d(d d 1mm) (9) L n = 1d d (d d 1mm) (1) 図 -11 に, 軸方向鉄筋のひずみと伸出し長との関係を示す. 赤線は近似曲線を示している. 伸出し長が 5mm 程度まで, ひずみは急増し,2μ 程度に達する. その後, -333-

7 ひずみ (με) 滑り出し長 (mm) PR-1 PR-2 PR-3 供試体名 表 -5 既設部軸方向鉄筋の伸出し長, 滑り出し長, ひずみ 伸出し長 (mm) ひずみ (μ) 滑り出し長 (mm) 浮き上がり時 鉄筋破断時 PR PR PR PR PR 伸出し長 (mm) 図 -1 滑り出し長と伸出し長との関係 伸出し長 (mm) 図 -11 ひずみと伸出し長との関係 伸出し長が 1mm 程度までひずみは急激に減少し, 1μ 程度まで低下するが, 伸出し長が 1mm 程度以上ではひずみが残留する傾向が見られる. ここで, 伸出し長が 1mm を超えた場合のデータ数は少ないが, 伸出し長の増加に伴い, 滑り出し長は増加する傾向にある. また, ひずみは伸び出し長が 1mm 以下の場合と比較して収束する傾向が見られる. (3) 限界状態を推定するパラメータロッキング挙動が卓越する橋脚の限界状態は, 橋脚基部における軸方向鉄筋の伸出しに伴うはらみ出しに起因し, 抵抗パラメータは軸方向鉄筋自体の抵抗のみであると考えられる. 軸方向鉄筋自体の抵抗については, 柱部材のオイラーの弾性座屈理論を適用するものとすると, 座屈時ひずみは式 (11) のように表される. ε cr = π2 4 ( φ 2 ) L cr PR-1 PR-2 PR-3 (11) ここに,ε cr は軸方向座屈時ひずみ,L cr は有効座屈長, φ は軸方向鉄筋径である. ここで, 有効座屈長を伸出し長と考えると,ε cr は式 (12) で表される. 供試体名 表 -6 補強部軸方向鉄筋の伸出し長, 滑り出し長, ひずみ 伸出し長 (mm) ε cr = C 1 ( φ C 2 ) (12) d dcr ここに,d dcr ははらみ出し時の伸出し長,C 1,C 2 は係数ある. よって, 式 (12) より ひずみ (μ) d dcr = ε cr L n (13) ε cr = C 1 ( φ C 2 ) L n (14) 以上より, 軸方向座屈時ひずみ ε cr は φ/ln をパラメータとして表され, その式 (14) 中の係数 C 1,C 2 を各限界状態に対して推定する. 表 -5, 表 -6 には各実験ケースにおける各限界状態での軸方向鉄筋の伸出し長, 滑り出し長およびひずみを示す. なお,PR-1 は軸方向鉄筋が損傷しなかったため, 限界状態の伸出し長, 滑り出し長を想定している. 伸出し長は実験計測値から算出し, 滑り出し長は補強部の場合には, アンボンド長とし, その他は式 (13) より算出した. ひずみについては,PR-1 以外の既設部は残留ひずみ 1,μ とし, それ以外は式 (13) より算出した. 図 -12 に各実験ケースにおける残留浮き上がり時および鉄筋破断時の軸方向鉄筋のひずみと φ/ln の関係を示す. 図中の赤線は式 (14) を用いた近似式である. ここで, 係数 C 2 は各限界状態で同じ値とし, 残留浮き上がり時の /2.3 を採用した. 以上より,ε cr は式 (15) にように表される. ε cr = C ( φ ) L n 滑り出し長 (mm) ( アンボンド長 ) 浮き上がり時 鉄筋破断時 PR PR PR (15) ここに,ε cr は限界状態時ひずみ,C は限界状態時の係数,φ は軸方向鉄筋径 (mm),ln は限界状態時の滑り出し長 (mm) である

8 ひずみ (με) ひずみ (με) 相関係数.723 y=71248x 1/2.3 u p 1 8 PR-1( 既設部 ) 6 PR-2~PR-5( 既設部 ) 4 PR-3~PR-5( 補強部 ) 2 近似式..5.1 φ/ln.15.2 h ( 残留浮き上がり時 ) d d θ 相関係数 -.21 y=999x 1/2.3 6 PR-1( 既設部 ) 4 PR-2~PR-5( 既設部 ) 2 PR-3~PR-5( 補強部 ) 近似式..5.1 φ/ln.15.2 ( 鉄筋破断時 ) 図 -12 ひずみと φ/ln との関係 なお, 各限界状態での係数 C は図 -12 に示した近似式 (y=a x 1/2.3 ) の定数 a より決定し, 残留浮き上がり時は 71, =1/14, 破断時は 9, =1/11 とした. 式 (15) を展開すると, 滑り出し長は式 (16) のように表される. L n = C 2.3 ε cr 2.3 φ (16) 図 -11 に示したように丸鋼鉄筋を用いた場合には, 限界状態時の伸出し長 ( 許容伸出し長 ) が 1mm 以上となると, 限界状態時のひずみは ε cr=1μ 程度となる. よって, 式 (16) は簡易的に式 (17),(18) で表される. ( 耐震性能 2)L n2 = 92φ (17) ( 耐震性能 3)L n3 = 16φ (18) また, 同様に許容伸出し長は式 (13) より, 式 (19),(2) のように表される. ( 耐震性能 2)d dcr2 =.92φ (19) ( 耐震性能 3)d dcr3 = 1.6φ (2) アンボンド補強鉄筋の許容伸出し長は式 (21),(22) で表される. 図 -13 柱基部からの高さと水平変位の関係 表 -7 引張側最外縁鉄筋から橋脚基部の回転中心までの距離 W p 実験から求まるコンクリート距離 W p1(mm) 表面までの距離負載荷正載荷 W p2(mm) 供試体名 Wp3 ( 耐震性能 2) d dcr2 = L n 14 ( φ ) L n ( 耐震性能 3) d dcr3 = L n 11 ( φ ) L n 圧縮側引張側鉄筋間距離 W p3(mm) PR PR PR W p2 (21) (22) 3.3 各限界状態での基部回転角設定 橋脚基部の回転中心橋脚供試体のロッキング挙動時変形図を図 -13 に示す. ここで, 図中の u p は軸方向鉄筋の伸出しにより水平荷重載荷点位置に生じる変位,h は橋脚基部から水平荷重載荷点までの高さである. 図より, 引張側最外縁鉄筋から橋脚基部の回転中心までの距離 W p は式 (23) で表される. W p = d d (23) θ 図 -5 には伸出し長と回転角の関係の傾きを示しているが, その傾きは, 式 (23) からも引張側最外縁鉄筋から橋脚基部の回転中心までの距離 W p1 を表していることがわかる. 引張側最外縁鉄筋から橋脚基部の回転中心までの距離に関して, 表 -7 に実験から求められた距離 W p1, 設計上の圧縮側と引張側の鉄筋間 W p2, 引張鉄筋から圧縮側コンクリート表面までの距離 W p3 を示す.W p1 は W p3 に近い値となっており, ここでは, 圧縮コンクリート最外 -335-

9 縁を橋脚基部の回転中心と定義する 橋脚基部の回転角実験供試体と実橋脚では, 回転角が同一でも軸方向鉄筋の伸出し長は大きく異なるものと考えられる. また, 実橋脚においても断面寸法により伸出し長が異なることとなり, 鉄筋降伏時, 限界状態時の回転角を許容回転角として直接求めることはできない. そのため, 各限界状態における許容伸出し長を実験結果より設定し, 式 (24) より各限界状態の回転角を設定することとする. θ = d d W p (24) 各限界状態における橋脚基部回転角は下式で表される. ここに,θ y は降伏限界時の橋脚基部回転角,θ ls2 は耐震 ( 降伏限界 ) θ y = d dy W p (25) 図 -14 柱基部の軸方向鉄筋配置および力のつり合い 鉄筋の応力度 σs σsy Ps1 Ps2 ws1 ws2 Psi -wsi.5w.5w w.5wc Pc wc ( 耐震性能 2) θ ls2 = d dcr2 W p (26) ( 耐震性能 3) θ ls3 = d dcr3 W p (27) 性能 2 の橋脚基部の回転角,θ ls3 は耐震性能 3 の橋脚基部の回転角,d dy は降伏限界時の伸出し長 ( 式 (5) または式 (6) より算出,( アンボンド補強鉄筋の場合は式 (7) より算出 )),d dcr2 は耐震性能 2 の軸方向鉄筋の許容伸出し長 ( 式 (19) または (21) から算出 ),d dcr3 は耐震性能 3 の軸方向鉄筋の許容伸出し長 ( 式 (2) または (22) から算出 ) である. なお, アンボンド補強鉄筋を用いた場合の各限界状態は, 既設部の丸鋼鉄筋とアンボンド補強鉄筋のうち, 先に各限界状態に至る時点の回転角と定義する. 3.4 骨格曲線設定 橋脚耐力および水平変位図 -14 に橋脚基部における軸方向鉄筋配置の一例を示す. 軸方向鉄筋の引張力および各軸方向鉄筋の引張力は式 (28),(29) で表される. 但し, コンクリートの圧縮領域に入る鉄筋は考慮しない. m P s = i=1 P si (28) P si = α i n i σ sy A s (29) ここに,P s は軸方向鉄筋の引張力 (N),P si は橋脚基部回転中心より i 列目の軸方向鉄筋の引張力 (N),m は鉄筋の列数,α i は i 列目の鉄筋の補正係数,n i は i 列目の鉄筋本数,σ sy は鉄筋の降伏強度 (N/mm 2 ),A s は鉄筋 1 本の断面積 (mm 2 ) である. 式 (29) の中の補正係数 α i は, 各軸方向鉄筋の伸出し長の軸方向鉄筋降伏時の伸出し長に対する比で, 式 (3), (31) で表される. この補正係数は図 -15 に示す軸方向鉄筋応力度と伸出し長の関係を反映する係数である. 図 -15 軸方向鉄筋の応力度と伸び出し長の関係 α i = d di d dy (ddy ddi) (3) α i = 1(ddcr3 ddi>ddy) (31) ここに,d dy は鉄筋降伏時の伸出し長 (mm),d di は i 列目の軸方向鉄筋伸出し長 (mm) である.i 列目の軸方向鉄筋伸出し長 d di は式 (32) で表される. d di = θ x i (32) ここに,x i は i 列目の鉄筋のコンクリート圧縮縁からの距離 (mm) である. 以上より, ある回転角 θ の時のコンクリート圧縮領域 Wc は式 (33) で表される. W C = P c σ ck W (33) ここに,Wc はコンクリート圧縮領域 (mm),p c はコンクリート圧縮力 (N),σ ck はコンクリートの圧縮強度 (N/mm 2 ),W は柱部断面幅である. 次に, コンクリート圧縮領域の中心に圧縮力が集中しているとし, 図 -14 に示すように橋脚基部図心周りの曲げモーメントの釣り合いより, 耐力を式 (34) より求める. m P si W si + P c ( W W c ) = P 2 h h (34) i=1 d dy d dy ddt2 d dcr2 ddt3 d dcr3 伸び出し長 d -336-

10 載荷荷重 (kn) 載荷荷重 (kn) 載荷荷重 (kn) ここに,Wsi は図心から鉄筋位置までの距離 (mm),w は柱部断面幅,P h は橋脚耐力 (N),h は柱部基部から水平荷重載荷点までの高さ (mm) である. また, ある回転角 θ の水平変位 δ を式 (35) より求める. δ = θ h (35) ここに,δ は軸方向鉄筋の伸出しにより水平荷重載荷点位置に生じる変位である 回転中心位置の違いによる影響図 -16 には実験結果および から求められる耐力と変位関係を示す. 実験値は黒実線, 橋脚基部の圧縮側をコンクリート端とした場合の計算値が赤実線である. いずれのケースにおいても, 実験値に対して計算による耐力の評価が過大となっている. そこで, 圧縮側かぶりコンクリートが損傷を受けたとして, かぶりコンクリートを無視した場合の耐力を算定した. かぶりコンクリートの損傷を考慮することで, PR-3,PR-4 において計算による最大耐力は実験値に概ね近似できている. 一方,PR-5 において耐力が過大評価となっているが, これは軸力が影響したものと考えられる. 以上より, 各限界状態における回転中心を以下に設定した. 降伏限界時 : 最外縁圧縮端耐震性能 2,3: 損傷進行に伴うかぶりコンクリートの剥落を考慮して最外縁圧縮鉄筋位置 3.5 地震時保有水平耐力法による静的照査骨格曲線の設定以降, 現行道路橋示方書 6) に基づき静的照査法である地震時保有耐力法により照査を行う. ここで, 前述のように許容伸出し長の推定式の精度が耐震性能 2 の残留浮き上がり時の相関係数が約.7 であり, ばらつきが 3% 程度あるため, 許容塑性率算出の安全係数を 1.3 とすることで設計上安全側な評価なるように配慮した. 3.6 アンボンド補強鉄筋長の設定丸鋼鉄筋が用いられた既設 RC 橋脚の耐震性能照査において, 耐震補強が必要とされ, アンボンド補強鉄筋による RC 巻立て工法を適用する場合, アンボンド補強鉄筋の長さを設定する必要がある. この場合, 丸鋼鉄筋が用いられた既設 RC 橋脚の変形性能を阻害させない補強, かつ経済性を考慮しなければならない. そこで, アンボンド補強鉄筋長は耐震性能 2 における補強部照査による補強部回転角が, 既設部照査による既設部回転角より僅かに大きくなるように設定する. 以上,3.1 から 3.6 より, アンボンド補強鉄筋による耐震補強設計法 ( これ以降は 提案設計法 と略す ) と現行道路橋示方書 6) における考え方の相違を表 -8 に示 す 載荷点変位 (mm) PR-3 PR-4 実験値 計算値 ( コンクリート端 ) 計算値 ( 圧縮鉄筋 ) 載荷点変位 (mm) 実験値 計算値 ( コンクリート端 ) 計算値 ( 圧縮鉄筋 ) -18 計算値 ( コンクリート端 ) 計算値 ( 圧縮鉄筋 ) 載荷点変位 (mm) 実験値 PR-5 図 -16 載荷荷重と水平変位の関係 3.7 軸方向鉄筋の抜け出し判定実験では, 柱の上端およびフーチング下端部において定着鋼板と鉄筋を溶接しているため, 鉄筋の 伸出し は生じるものの 抜け出し は生じないことが前提となる. 実橋脚では, 通常, 軸方向鉄筋のフーチングへの定着はフックを設けており, 過年度の実験 7) からフックにより充分な強度を確保できることが確認されたため, 抜け出し が生じることはないものと考えられる. ただし, 載荷が進むと滑り出し長は増加することがわかっており, -337-

11 項目 表 -8 提案設計法と現行道路橋設計法の比較 設計対象 平面保持の仮定 変位算出 限界状態設定方法 塑性ヒンジの生成 提案設計法 ロッキング挙動が卓越する RC 橋脚丸鋼のため, 鉄筋とコンクリートの間の滑出し発生により不成立 橋脚基部回転角より算出 軸方向鉄筋の伸出しによる橋脚基部の回転運動に着目し, 橋脚基部の許容回転角設定 なし 現行設計法 ( 道路橋示方書 ) 異形鉄筋を使用した RC 橋脚 鉄筋とコンクリートの完全付着により仮定成立 軸方向の引張鉄筋ひずみおよび塑性ヒンジ長より算出 はらみ出し考慮した軸方向の引張鉄筋ひずみおよび塑性ヒンジ長より許容変位量設定 はらみ出しを考慮して範囲設定 耐震性能 2 残留浮き上がり エネルギー吸収が安定 耐震性能 3 軸方向鉄筋の破断時 かぶりコンクリート剥離軸方向鉄筋のはらみ出し 柱天端部にフックが設けられていない場合には, 滑り出し長が柱の軸方向鉄筋を含めた長さに達すると抜け出しが生じると考えられる. したがって, 実橋脚においては柱部の定着も含めた定着長 L と滑り出し長 Ln に関して留意が必要である. 抜け出しの判定 ( 抜け出さないことの判定 ) としては, 前項で求めた限界状態時の伸出し長よりも定着長が長ければ, 抜け出しが生じないことになる. 抜け出しの判定は, 式 (36),(37) で表すことができる. ( 耐震性能 2)L n = 92φ < L (36) ( 耐震性能 3)L n = 16φ < L (37) ここに,φ は軸方向鉄筋径 (mm),ln は各限界状態時の滑り出し長 (mm) で,L はフーチングと柱の定着長である. 抜け出しが生じる場合には, 鉄筋の引張抵抗は, 引張応力からコンクリートとの付着応力による抵抗に変わる. 別途実施した丸鋼鉄筋の引抜実験 8) より丸鋼鉄筋とコンクリートとの付着はすべり量の増加に従い, 平均付着応力度は減少していき, ただし, 付着応力度は無くならず.34N/mm 2 程度で残留する結果となっている. ここで, 表 -5, 表 -6 より限界状態時の伸び出し長は, 1mm 以上程度であることがわかっており, 抜け出す場合の平均付着応力度は, 残留する平均付着応力度の値に近いと考えられる. したがって, 抜け出しが生じる場合には, 鉄筋の付着応力度による抵抗と鉄筋引張応力度との釣り合いより鉄筋とコンクリートの付着が減少し, 平均付着応力度が残留するため, その残留する平均付着応力度は見かけの鉄 筋の降伏強度として評価し, 式 (38) で表される. ここで, 残留する付着応力度は安全側に.3N/mm 2 とした. σ sy = 4Lτ φ = 1.2L φ (38) ここに,σ sy は見かけの鉄筋の降伏強度 ( 残留する平均付着応力度 ),L はフーチングと柱の定着長,τ は鉄筋の付着応力度,φ は軸方向鉄筋径である. 以上より, 抜け出しが生じる場合には, 式 (29) 中の降伏強度を見かけの鉄筋の降伏強度として橋脚耐力を算出する. アンボンド補強鉄筋においても同様であり, 鉄筋の 伸出し は生じるものの鉄筋の 抜け出し を生じないことが前提となる. 3.8 提案設計法の適用範囲 許容伸出し長の制限設計法の検討にあたって対象とした実験で用いた軸方向鉄筋の径は 4 種類 (φ13,φ25,d1,d13) であり, 太径鉄筋については確認していない. 提案式 (17)~(2) により, 丸鋼鉄筋の径別の各限界状態時における滑り出し長と伸び出し長の試算を実施した. その結果, 現段階においては実験を行った φ25 の破断伸び出し長 4mm 程度であった. また, 既設橋において太径鉄筋の使用実績は多くないと考えられることから許容伸び出し長を 4mm 以下に制限する アンボンド長の制限提案式 (21),(22) により, アンボンド補強鉄筋の各限界状態時における許容伸び出し長の試算を実施した. その結果, アンボンド長を長く設定すると, 限界状態時の伸び出し長も長く評価される. またアンボンド長が長い場合には, アンボンド区間の中間部において鉄筋とシースとの干渉などの問題も発生することが想定できる. そこで, アンボンド鉄筋においても伸び出し長を 4mm 程度に抑え, 過度にアンボンド長を長く設定することを避けるべきであるが, 既設鉄筋 ( 丸鋼鉄筋 ) の伸び出し長を 4mm に抑えることで, 間接的にそれよりも外側にあるアンボンド補強鉄筋の伸び出し長も抑えられることになると考えられる. また, 図 -12 のひずみと φ/ln との関係より, 実験のパラメータ φ/ln 範囲でアンボンド長に制限を設けるものとする. 実験でのパラメータ φ/ln の範囲は.5~.15 であり, 特にアンボンド長が長いと細径の鉄筋でも許容伸出し長を長く評価することになる. 実験での確認範囲であるパラメータ φ/ln を用い, アンボンド長を φ/.5(2φ) 以下に制限する アンボンド補強鉄筋のフーチングへの定着長実験において, アンボンド補強鉄筋は, フーチング内に 4φ(φ は鉄筋径 ) の埋め込み長を確保し, 柱天端は溶接していることから, 抜け出しが生じていないと考えられる. そのため, 実橋脚においては同様にフーチング内 -338-

12 浮き上がり 破断 ( 既設 ) 浮き上がりなし 破断なし 破断 ( 補強 ) (PR-1) 浮き上がり 破断 (PR-3) 浮き上がり 破断 (PR-2) 図 -17 載荷荷重と載荷点変位の関係 ( 丸鋼鉄筋供試体 ) (PR-4) 浮き上がり 破断 には 4φ の定着長, 柱には 4φ の定着長もしくはフック等を設け 抜け出し が生じない構造とする必要がある. 4. 実験結果との比較 図 -17, 図 -18 に各実験ケース (PR-1~PR-5) の載荷荷重 - 荷重点変位の関係についての実験結果と計算結果を示す. 赤実線の計算結果は鉄筋とコンクリートの材料試験結果を用いて道路橋示方書 6) に基づいて算出した骨格曲線を示している. そのプロットは原点に近いほうから, 設計上の降伏変位 δ y, 耐震性能 2 の限界状態に相当する変位 δ ls2, 耐震性能 3 の限界状態に相当する変位 δ ls3 である. 緑実線の計算結果は, 本提案設計法より算出した骨格曲線を示しており, そのプロットは原点に近いほうから, 降伏時, 残留浮き上がり時, 軸方鉄筋破断時 ( 既設部または補強部のうち, 先に限界状態に至った方 ) の許容伸出し長である.PR-2 においては, 軸方向鉄筋比が小さく終局耐力よりもひび割れ耐力が大きくなるが, ここでは降伏耐力を終局耐力に等しいものとした. なお, 各図中には損傷発生時を記載しているが, 残留浮き上がりの発生時は浮き上がりが.1mm 以上生じたサイクルとしている. (PR-5) 図 -18 載荷荷重と載荷点変位の関係 ( アンボンド補強鉄筋供試体 ) 図 -17 より,PR-1,PR-2 の無補強の丸鋼鉄筋供試体の場合, 提案設計法による計算値は H24 道示による計算値と比較して, 耐力に大きな違いはないが, 耐震性能 3 における変位は実験値よりも過大となっている. しかし, 許容塑性率算出時には耐震性能 3 の変位に対して安全係数を考慮するため, 耐力を本提案設計法により設計した場合でも実験より過大な設計とならないと言える. 図 -18 より, 初期剛性に着目すると, 補強供試体 PR- 3~PR-5 においては PR-1,PR-2 と比較して小さくなる傾向にある. これは, 橋脚断面を増し厚したことで, 橋脚自体の剛性が増し, 曲げ挙動ではなく, 安定したロッキング挙動となり, 見掛け上の剛性が小さくなるものと考 -339-

13 えられる.PR-2 においては本提案設計法よる計算結果より実験時の方が早い段階で軸方向鉄筋に損傷が発生しているが,PR-3~PR-5 においては本提案設計法よる計算結果の方が実験時より早い段階で損傷が発生している. 既設丸鋼鉄筋橋脚をアンボンド補強鉄筋で補強した場合, 提案設計法は概ね実験値を再現できている. 変位は小さく評価されているが, 設計上安全側の評価となっているため問題ないものと考えられる. ここで, 道路橋示方書 6) に基づく骨格曲線は本提案設計法による骨格曲線と比較して耐力が大きく, 変形量が小さい. これは補強後の PR-3~PR-5 の設計耐力が補強前のひび割れ耐力より大きく設定されていることによると考えられる. また, 終局変位に関しては, 道示では軸方向の引張鉄筋が終局ひずみに達した時点で評価していることから小さくなっているものと考えられる. 5. まとめ 本研究では, 実験結果に基づき, 既設丸鋼鉄筋橋脚のアンボンド補強鉄筋による耐震補強設計法について検討した. 本設計法における考え方を整理すると以下のとおりである. (1) 軸方向鉄筋の許容伸出し長を復旧性より浮き上がり時とした耐震性能 2, 落橋防止の観点より鉄筋破断とした耐震性能 3 と定義する. (2) 軸方向鉄筋の許容伸出し量は橋脚基部の回転角 θ を用いて評価する. (3) 丸鋼鉄筋橋脚のロッキング挙動を有する場合の抵抗特性評価において, 補強部軸方向鉄筋の伸出し長をアンボンド長とする. (4) 本提案設計法による計算結果は, 概ね実験値を再現できており, 変位は小さく評価されているものの, 設計上安全側の評価となる. 参考文献 1) 桑木野耕介, 伊東典紀, 大郷貴之 : 丸鋼鉄筋を用いた RC 部材の変形性能に関する実験的研究, コンクリート工学年次論文報告集,Vol.37,No.2,pp ,215 2) 澤松俊寿, 岡田慎哉, 角間恒, 西弘明 : 軸方向鉄筋比の小さい鉄筋コンクリート橋脚の水平方向の抵抗特性に関する実験的検討, 構造工学論文集,Vol.6A, pp , ) 川島一彦, 細入圭介, 庄司学, 堺淳一 : 塑性ヒンジ区間で主鉄筋をアンボンドした鉄筋コンクリート橋脚の履歴特性, 土木学会論文集,No.689/I-57,pp.45-64, ) 家村浩和, 高橋良和, 曽我部直樹 : 付着剥離芯材を用いた UBRC 橋脚の弾塑性復元力特性, 土木学会論文集,No.774/V-65,pp.59-72, ) 睦好宏史, 牧剛史,Govinda Raj PANDEY, 杉田清隆 : 鉄筋の付着を制御することによる RC 柱部材の耐震性状改善に関する研究, 土木学会論文集,No.82,V- 69,pp , ) 日本道路協会 : 道路橋示方書 同解説 V 耐震設計編, 212 7) 西弘明, 岡田慎哉, 澤松俊寿, 角間恒 :RC 構造物における丸鋼の定着強度に関する実験的検討, 土木学会北海道支部論文報告集,Vol.69,A-56,212. 8) 西城能利雄, 岡田慎哉, 角間恒, 西弘明 :RC 構造物における丸鋼の付着強度に関する実験的検討, 土木学会北海道支部論文報告集,Vol.71,A-8,215. (215 年 9 月 25 日受付 ) (216 年 2 月 1 日受理 ) -34-

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