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2 一般論文 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 目次 肉用牛 乳酸発酵芋焼酎粕の給与が黒毛和種子牛に及ぼす影響宮谷さゆり 加藤聡 日高和幸 福永又三 1 宮崎県産牛肉のおいしさに関する実態調査 黒木信 中武好美 築城努 6 画像解析によるロース芯断面の脂肪交雑粒子に関する客観的評価法の検討 黒木信 中武好美 築城努 11 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 中武好美 鍋倉弘良 竹之山愼一 17 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 ( 第 2 報 ) 中武好美 鍋倉弘良 竹之山愼一 22 肥育期間の延長が黒毛和種去勢牛に及ぼす影響 中武好美 竹之山慎一 27 黒毛和種繁殖雌牛における分娩間隔延長要因の分析と対策 鍋西久 亀樋成美 坂口浩平 黒木幹也 中原高士 32 過剰排卵処理における発情開始から AI までの時間と産子の性比について 亀樋成美 重永あゆみ 鍋西久 黒木幹也 中原高士 37 FSH 単回投与法における ecg 投与および PRID 抜去時期の検討 坂口浩平 重永あゆみ 鍋西久 中原高士 40 FSH 製剤単回投与法 OPU における卵胞波調節法の検討 亀樋成美 重永あゆみ 鍋西久 黒木幹也 中原高士 43 乳用牛 乳用牛の受胎率に及ぼす諸要因 西村慶子 鶴田清秀 恒吉吉和 中園締二 46

3 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 飼料用ムギ類サイレージの栄養価および乳用牛への給与が乳生産に及ぼす影響 西村慶子 鶴田清秀 恒吉吉和 中園締二 50 圧ペン処理したモミ米の給与割合が乳用牛の第一胃内容液性状ならびに乳生産に及ぼす影響西村慶子 恒吉吉和 鶴田清秀 中園締二 中原高士 54 飼料草地 最大乾物収量をねらった周年作付体系確立試験 ( 第 2 報 ) 立山松男 東政則 小畑壽 58 飼料イネ ルリアオバ 2 回刈り栽培を基軸とする多収穫栽培技術の現地実証試験 ( 第 1 報 ) 立山松男 東政則 小畑壽 65 牧草及び飼料作物の冠さび病特性検定試験小畑壽 東政則 立山松男 72 牧草及び飼料作物の系統適応性検定試験小畑壽 東政則 立山松男 78 養豚 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 )) 宮﨑涼子 林礼華 金松尚裕 岩切正芳 81 規格外トマト給与による夏期の豚繁殖性向上試験林礼華 宮﨑涼子 金松尚裕 岩切正芳 90 養鶏 みやざき地頭鶏種鶏群の改良稲井耕次 原田晋平 津曲明美 神坂明茂 93 種鶏雌 ( 九州ロード ) の適正体重の検定稲井耕次 津曲明美 神坂明茂 97 メチオニン添加による みやざき地頭鶏 の夏季生産効率改善試験稲井耕次 津曲明美 101 飼料の差異によるみやざき地頭鶏への影響津曲明美 稲井耕次 竹之山愼一 105

4 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 発育関連遺伝子を指標とした地頭鶏の選抜試験 ( 第 1 報 ) 津曲明美 稲井耕次 高橋秀彰 111 環境衛生 製茶残渣の給与が肥育豚の発育及びふん尿からの悪臭発生に及ぼす影響について ( 第 1 報 ) 森弘 西礼華 岩切正芳 宮崎涼子 114 上野顕 ナノバブルオゾン処理が回分式活性汚泥処理及び高機能膜処理水の脱色に及ぼす効果について上野顕 森弘 原田晋平 119 博士論文 ( 要約 ) 乳用牛 飼料作物 地域資源を活用した発酵混合飼料の飼料特性ならびに乳用牛への給与技術の確立に関する研究西村慶子 123 気象表 2012 年 4 月 ~2013 年 3 月 127

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6 乳酸発酵芋焼酎粕の給与が黒毛和種子牛に及ぼす影響 乳酸発酵芋焼酎粕の給与が黒毛和種子牛に及ぼす影響 1) 宮谷さゆり 加藤聡 日髙和幸 福永又三 1) 宮崎県立農業大学校 Effect of feeding Shochu for Japanese Black Calves Sayuri MIYATANI,Satoshi KATO,Kazuyuki HIDAKA,Yuzoh FUKUNAGA < 要約 > 近年 飼料費の低減と自給率向上の観点からエコフィードを活用した家畜の飼養管理技術に注目が集まっている 前報で黒毛和種繁殖雌牛の乳酸発酵芋焼酎粕の長期給与が可能であることを報告したが 子牛では給与試験が行われていない そこで 本研究では乳酸発酵芋焼酎粕を黒毛和種子牛へ給与し その影響について調査した ( 試験 1) 黒毛和種去勢子牛及び雌子牛へ乳酸発酵芋焼酎粕を育成期にバケツで給与し 飼料摂取量 血液性状 発育を調査した 焼酎粕摂取率は低く個体差がみられたが 去勢子牛では乳酸発酵芋焼酎粕を給与した子牛が無給与の子牛より発育が良い傾向がみられた ( 試験 2) 黒毛和種雌子牛へ乳酸発酵芋焼酎粕を濃厚飼料 粗飼料と混合給与し 飼料摂取量 血液性状 発育 下痢の発生状況について調査した 飼料摂取率及び焼酎粕摂取率の差は認められず 増体は乳酸発酵芋焼酎粕を給与した子牛が無給与の子牛よりやや大きい傾向にあった 血液性状は 乳酸発酵芋焼酎粕を給与した子牛の総コレステロール値が 給与後僅かに正常値を上回った このことから 黒毛和種子牛において乳酸発酵芋焼酎粕は濃厚飼料の代替が可能であり 発育向上が期待された 宮崎県は焼酎生産が盛んであり 副産物である焼酎粕はメタン発酵 ペレット飼料化等の処理が行われているが その90% 以上が水分であるため処理には多く 響がないことを報告した 本試験では 黒毛和種子牛へ乳酸発酵芋焼酎粕を給与した場合の生体へ及ぼす影響を調査した のエネルギーを必要とし 低コストでの処理が検討さ れている 焼酎粕は水分含量の高さから変敗しやすいという欠点があるが 芋焼酎粕に市販のサイレージ調整用乳酸菌 (17g/t) と廃糖蜜 (9L/t) を添加して 乳酸発酵をさせる ( 以下 乳酸発酵芋焼酎 という ) ことで長期間の保存が可能であることが 黒木らにより報告されている 1) また 前報で乳酸発酵芋焼酎粕の黒毛和種繁殖雌牛への長期間給与により 繁殖性や体重 血液成分への影 試験方法 試験 1: 黒毛和種子牛への乳酸発酵芋焼酎粕給与 1 試験区分と供試牛供試牛は 場内飼養の黒毛和種去勢子牛 8 頭 雌子牛 4 頭を用い 濃厚飼料 0.15kgの代替として乳酸発酵芋焼酎粕を3.5L 給与した試験区と 乳酸発酵芋焼酎粕無給与の対照区とした 供試牛の概要を表 1に示した 乳酸発酵芋焼酎粕給与以外の飼養管理は同一とした 1

7 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 1 供試牛の概要区分牛番生年月日母牛産次血統 1 H 忠富士 2 H 忠富士去勢 3 H 福桜試験区 4 H 忠富士 5 H 福桜雌 6 H 福桜 7 H 福之国 8 H 忠富士去勢 9 H 忠富士対照区 10 H 第 1 花国 11 H 福之国雌 12 H 忠富士 2 給与飼料及び給与方法 給与飼料は県内酒造メーカーより排出された芋焼酎 粕に 乳酸菌 17g/t と廃糖蜜 9L/t を添加 調整した乳 酸発酵芋焼酎粕 えづけ飼料 濃厚飼料 チモシー 場内産イタリアン乾草を用い 表 2に給与飼料の成分を記載した 給与量は 宮崎牛飼養管理マニュアル 用いて給与設計を組み 4カ月齢以降から試験を開始した 飼料給与は 9 時と14 時の1 日 2 回とし 乳酸発酵芋焼酎粕は1.75L/ 回ずつ給与した 給与方法は 4カ月齢以降より乳酸発酵芋焼酎粕の入ったバケツを牛房内に設置し 自由採食とした 試験期間は 両区とも9カ月齢までとし 平成 21 年 4 月から平成 23 年 3 月まで行った 3 調査項目 (1) 飼料摂取量 : 飼料摂取量は 毎日残量を測定し調査した (2) 体重 体高 : 体重は 分娩後 3 日齢 2 週間毎に測定し 体高は 3 日齢 4 週間毎に測定した (3) 血液性状 :4 週毎に午前 9 時半から体重測定時に採血し 臨床検査機関に委託し検査を行った 試験 2: 黒毛和種雌子牛への乳酸発酵芋焼酎粕 1 試験区分と供試牛 混合給与 供試牛は 場内飼養の黒毛和種雌子牛 5 頭を用い 乳酸発酵芋焼酎粕を哺育期に1L/ 日 育成期に2L/ 日給与した試験区と 乳酸発酵芋焼酎粕無給与の対照区とした 供試牛の概要を表 3に示した 乳酸発酵芋焼酎粕給与以外の飼養管理は同一とした 表 3 供試牛の概要 区分 牛番 生年月日母牛産次 血統 1 H 福之国 試験区 2 H 秀菊安 //30 6 美穂国 対照区 4 H 福之国 5 H 勝平正 2 給与飼料及び給与方法給与飼料は 試験 1と同様である 飼料給与は 9 時と14 時の1 日 2 回とし 乳酸発酵芋焼酎粕を哺育期で0.5L/ 回 育成期に1.0L/ 回ずつ給与した 給与方法は 哺育期 育成期共に濃厚飼料と粗飼料に混合し給与した 試験期間は 平成 24 年 4 月から平成 25 年 3 月までである 3 調査項目 (1) 飼料摂取量 : 飼料摂取量は 毎日残量を測定し調査した (2) 体重 体高 : 体重は 分娩後 3 日齢 2 週間毎に測定し 体高は 3 日齢 4 週間毎に測定した (3) 血液性状 :4 週毎に午前 9 時半から体重測定時に採血し 臨床検査機関に委託し検査を行った 表 2 飼料成分値 (%) 飼料名 水分粗蛋白質粗脂肪可溶性無窒素物粗繊維可消化養分総量 乳酸発酵芋焼酎粕 濃厚飼料 ( 子牛用 )

8 乳酸発酵芋焼酎粕の給与が黒毛和種子牛に及ぼす影響 試験結果 試験 1: 黒毛和種子牛への乳酸発酵芋焼酎粕給与 (1) 飼料摂取量試験期間中の濃厚飼料摂取量は試験区が対照区より少ないが 濃厚飼料の代替として乳酸発酵芋焼酎粕を給与しているためである 粗飼料摂取量は 試験区が対照区より多くなった ( 表 4) 芋焼酎粕摂取率は去勢が64.3% 雌が47.4% と低く個体差がみられた (2) 発育去勢子牛における体重と体高は 試験区が標準値を大きく上回りし 対照区は標準の推移を示した このことから 試験区が対照区と比較して発育良好であることが確認された 雌子牛については 試験区 対照区共に標準の推移であった ( 表 5) (3) 血液性状焼酎粕給与後の血液性状は 雌雄どちらも試験区 対照区共に正常の範囲内であった ( 表 6) 表 4 飼料摂取量 区分 牛番号 濃厚飼料摂取量 (kg) 粗飼料摂取量 (kg) 焼酎粕摂取量 (kg) 焼酎粕摂取率 (%) 試験区対照区 去勢去勢 ± 24.5 ± ± 31.9 ± ± 雌雌 ± 33.7 ± ± 24.6 ± ± 表 5 発育 区分 去勢雌 体重 (kg) 体高 (cm) 試験開始時 40 週齢時 試験開始時 40 週齢時 試験区 96.8 ± ± ± ± 2.9 対照区 99.0 ± ± ± ± 4.8 標準値 試験区 80.6 ± ± ± ± 1.8 対照区 82.3 ± ± ± ± 5.8 標準値 表 6 血液性状 区分 総蛋白質 γ-gtp AST 総コレステロール BUN (g/dl) (U/l) (U/l) (mg/dl) (mg/dl) 去勢 試験区 6.6 ± ± ± ± ± 1.6 対照区 6.3 ± ± ± ± ± 1.0 雌 試験区 6.8 ± ± ± ± ± 0.5 対照区 6.3 ± ± ± ± ± 4.9 正常値 6.5 ~ ~ ~ ~ ~ 20.0 試験 2: 黒毛和種雌子牛への乳酸発酵芋焼酎粕混合給与 (1) 飼料摂取量飼料摂取量の平均は 試験区が6.00kg/ 日 対照区が4.67kg / 日と試験区が対照区と比較して多いが これは試験区は乳酸発酵芋焼酎粕を通常飼料に添加給与しているためである 試験区 対照区間での飼料摂取率に差は認められなかった ( 表 7) 3

9 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 7 飼料摂取率 区分 牛番号 飼料摂取量 (kg/ 日 ) 飼料摂取率 (%) 試験区 試験牛 試験牛 試験牛 平均 ±SD 6.00± ±1.04 対照区 対照牛 対照牛 平均 ±SD 4.67± ±1.13 (2) 発育 試験区の試験開始時体重は 58.0kg 体高が 80. 7cm 40 週齢で体重 254.3kg 体高 114.3cmと標準であった DGにおいては試験区が対照区よりやや高い傾向がみられた ( 表 8) (3) 血液性状 血液性状については 試験区の試験開始前と試 験終了後で総コレステロール値を除いて正常の範囲内にあったが 試験終了後の総コレステロール値は僅かに正常値を上回った ( 表 9) その他の項目については 試験区と対照区の間に差は認められなかった (4) 下痢の発生状況下痢の発生割合には個体差がみられたが 試験区と対照区の糞便スコアを比較してもほとんど差が認められなかったことから 乳酸発酵芋焼酎粕を給与することによって下痢が発生する可能性は低いと考えられた ( 表 10) 表 8 体測値 区分 牛番号 体重 (kg) 体高 (cm) 胸囲 (cm) 腹囲 (cm) 試験開始時 40 週齢時試験開始時 40 週齢時試験開始時 40 週齢時試験開始時 40 週齢時 DG 試験区 試験牛 試験牛 試験牛 平均 ±SD 58.0± ± ± ± ± ± ± ±6.3 対照区 対照牛 対照牛 平均 ±SD 64.9± ± ± ± ± ± ± ±2.7 表 9 血液成分値総蛋白質 γ-gtp AST 総コレステロール BUN β-ヒドロキシ酪酸区分 (g/dl) (U/l) (U/l) (mg/dl) (mg/dl) (μmol/l) 試験開始前 6.4 ± ± ± ± ± ± 試験区 9カ月齢時 6.5 ± ± ± ± ± ± 51.9 試験開始前 5.8 ± ± ± ± ± ± 43.8 対照区 9カ月齢時 6.3 ± ± ± ± ± ± 60.8 正常値 6.5 ~ ~ ~ ~ ~ 20.0 < 表 10 下痢の発生状況 区分 牛番号糞便スコア 日数割合 ( 日 ) (%) 試験区 試験牛 試験牛 対照区 対照牛 対照牛 糞便スコア : 糞便点数の合計 / 日数 100 考 察 乳酸発酵芋焼酎粕を黒毛和種子牛へ給与したと ころ 去勢子牛の体重 体高は乳酸発酵芋焼酎粕 を給与した子牛が標準値を大きく上回り 無給与の子牛は標準の推移を示した 雌子牛でもDGは乳酸発酵芋焼酎粕を給与した子牛が無給与の子牛よりやや高い傾向がみられた 同様に 胸囲 腹囲においても給与した子牛が無給与の子牛の伸びを上回ったことから 乳酸発酵芋焼酎粕は濃厚飼料の代替が可能であることが分かった 一方で 焼酎粕は乾物当たりの蛋白含量が高く 試験 2では乳酸発酵芋焼酎粕を給与した子牛の試験終了後の総コレステロール値は 僅かに正常値よりも高くなった よって 乳酸発酵芋焼酎粕は蛋白飼料として認識し 給与前に必ず給与設計を行い 過剰給与及び他の蛋白質含量の高い飼料との併用を避ける必要がある また 本試験は育成期のみを調査したものであり 乳酸発酵芋焼酎粕を給与した子牛が成牛なった際の繁殖成績や枝肉成績を引き続き調査する必

10 乳酸発酵芋焼酎粕の給与が黒毛和種子牛に及ぼす影響 要がある 参考文献 1) 黒木邦彦 工藤寛 森弘 工藤三 水谷政美 : 宮崎県畜産試験場研究報告第 21 号 (2008),5 8 2) 独立行政法人農業技術研究機構編 : 日本標準飼料成分表 (2008 年版 ) 3) 水谷政美 高山清子 山本英樹 越智洋 加藤聡 黒木邦彦 : 日本醸造学会誌 (2011), ) 川端健次 堤知子 山口浩 窪田力 加治佐修 横山喜世志 : 鹿児島県畜産試験場研究報告第 28 号 (1995) 5) 中尾ら : 宮崎大学農学部研究報告 49(2003) 5

11 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 宮崎県産牛肉のおいしさに関する実態調査 黒木信 中武好美 築城努 1) 1) 西諸県農林振興局 The Survey on taste of Miyazaki beef Shin KUROGI,Yoshimi NAKATAKE,Tsutomu TSUYUKI < 要約 > 宮崎県産黒毛和種牛肉の脂肪酸を主体とする おいしさ に関する実態を把握するため 県内の食肉処理場に出荷された一般牛および現場後代検定牛を対象にオレイン酸含有率を測定した結果 一般牛の平均値は 54.6 % で このうち 肉質等級が3 等級以上 かつ 牛肉中のオレイン酸含有率が 55 % 以上を占める割合は 46.5 % であった また 牛肉中のオレイン酸含有率は去勢より雌の方が高く 検定牛を系統別で比較すると鳥取系で高い値を示した 緒言 牛肉のおいしさは 外観ややわらかさ 多汁性 風味など複数の要因が関与していると考えられている 特に近年では 脂肪の質が重要視され 含有率が高くなると口溶けや舌触りが良くなり 好ましい風味をもたらすことから オレイン酸をはじめとする不飽和脂肪酸に注目が集まっている そこで 宮崎県産和牛肉のおいしさに関する実態を把握するために 近赤外線を利用して牛脂肪中のオレイン酸割合を推定することが可能な牛用脂質測定装置を用いて 一般出荷牛および現場後代検定牛のオレイン酸含有率などを測定した 調査方法 1 調査区分 (1) 一般出荷牛 2013 年 1 月から3 月にかけて県内の食肉処理場に出荷された黒毛和種肥育牛 525 頭 ( 去勢 384 頭 雌 141 頭 ) の枝肉成績を収集し 併せて牛用脂質測定装置 ( 相馬光学株式会社 ) を用いて第 6~7 肋骨間横断面の筋間脂肪オレイン酸含有率を測定した ( 図 1) (2) 現場後代検定牛 2010 年 11 月から 2013 年 3 月にかけて県内の食 肉処理場に出荷された黒毛和種産肉能力検定牛 294 頭 ( 去勢 200 頭 雌 94 頭 ) の枝肉成績を収集し 一般出荷牛と同様に牛用脂質測定装置を用いて第 6 ~7 肋骨間横断面の筋間脂肪オレイン酸含有率を測定し 枝肉形質との分析を行った なお 分析形質は 枝肉形質 6 項目 ( 枝肉重量 胸最長筋面積 バラの厚さ 皮下脂肪の厚さ 歩留基準値 BMS ナンバー ) と牛用脂質測定装置によって得られたオレイン酸含有率 ( オレイン酸推定値 ) を用いた また 産肉能力検定牛においては 系統別 ( 兵庫系 島根系 鳥取系 ) および Stearoyl-CoA Desatura se 遺伝子 ( 脂肪酸不飽和化酵素遺伝子 以下 SCD 遺伝子 ) 型別のオレイン酸含有率についての比較を行った 図 1 脂肪酸の測定 ( 牛用脂質測定装置 S-7030) 6

12 宮崎県産牛肉のおいしさに関する実態調査 調査結果 (1) 一般出荷牛 オレイン酸含有率の平均は 去勢 54.3 % 雌 % 全体 54.6 % で 雌が去勢よりも有意 (p<0.0 1) に高く 性による差が認められたが 枝肉重量 など枝肉形質との間に相関は認められなかった ( 表 1) 表 1 オレイン酸含有率と枝肉形質 項目 去勢 雌 全体 頭数 出荷月齢 ( ヶ月 ) 枝肉形質枝肉重量 (kg) ロース芯面積 (cm 2 ) バラの厚さ (cm) 皮下脂肪厚 (cm) 歩留基準値 (%) BMSナンハ ー オレイン酸含有率 (%) B A 同行異符号間に有意差あり (p<0.01) オレイン酸含有率 (%) 特に BMS ナンバーとオレイン酸含有率との間に 相関は認められず むしろ BMS ナンバーが上昇 するに連れ オレイン酸含有率は僅かに減少する傾向にあった ( 図 2) また オレイン酸の最大値 最小値 最頻度はそれぞれ 64.0 % 43.5 % 55.2 % で 一般出荷牛のうち 肉質等級が3 等級以上 かつ 牛肉脂肪中のオレイン酸含有率が 55 % 以上を占める割合は 46.5 % であった ( 表 2 図 3) y = x R² = BMS ナンハ ー 図 2 オレイン酸含有率と BMS ナンハ ーとの相関 表 2 オレイン酸含有率 55% 以上の割合条件 一般出荷牛のうち肉質等級 3 等級以上かつオレイン酸含有率 55% 以上 去勢 161 ( 41.9% ) 雌 83 ( 58.9% ) 全体 244 ( 46.5% ) 頭数 オレイン酸含有率 (%) 図 3 オレイン酸含有率の頻度分布 7

13 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) (2) 現場後代検定牛 検定牛のオレイン酸含有率の平均は 去勢 54.8 % 雌 56.1 % 全体 55.2 % で 一般牛出荷牛と同様に 雌が去勢よりも有意 (p<0.01) に高い値を示したが いずれの枝肉形質においても オレイン酸含有率との間に相関は認められなかった ( 表 3) また オレイン酸の最大値 最小値 最頻度はそれぞれ 65.4 % 45.1 % 54.1 % で一般出荷牛よりもオレイン酸含有率が高い傾向にあった ( 図 4) 検定牛のうち 肉質等級が3 等級以上 かつ 牛肉脂肪中のオレイン酸含有率が 55 % 以上を占める割合は 49.7 % で 検定牛の約半数を占めていた ( 表 4) なお 一般出荷牛同様 BMS ナンバーとオレイン酸含有率との間に相関は認めらず BMS ナンバーが上昇するに連れ オレイン酸含有率は減少するする傾向にあった ( 図 5) 表 3 オレイン酸含有率と枝肉形質 項目 去勢 雌 全体 頭数 出荷月齢 ( ヶ月 ) 枝肉形質枝肉重量 (kg) ロース芯面積 (cm 2 ) バラの厚さ (cm) 皮下脂肪厚 (cm) 歩留基準値 (%) BMSナンハ ー オレイン酸含有率 (%) B A 同行異符号間に有意差あり (p<0.01) オレイン酸含有率 (%) y = x R² = BMSナンハ ー 図 4 オレイン酸含有率の頻度分布 表 4 オレイン酸含有率 55% 以上の割合 120 条件 100 検定牛のうち肉質等級 3 等級以上かつオレイン酸含有率 55% 以上 去勢 89 ( 44.5% ) 雌 57 ( 60.6% ) 全体 146 ( 49.7% ) 頭数 オレイン酸含有率 (%) 図 5 オレイン酸含有率と BMS ナンハ ーの相関 8

14 宮崎県産牛肉のおいしさに関する実態調査 次に オレイン酸含有率を鳥取系 島根系 兵庫 系の3 大系統別で比較したところ 含有率は鳥取系 55.5 % 島根系 54.4 % 兵庫系 55.2 % で 鳥取系 が最も高く 鳥取系は島根系より有意 (p<0.05) に 高い値を示した また オレイン酸含有率が 55 % 以上の割合につ いても 鳥取系 兵庫系 島根系の順に高く 気高 系が高い割合を占めていた ( 表 5) 表 5 系統別のオレイン酸含有率 系統 n オレイン酸含有率 (%) 鳥取系 a ± 2.8 島根系 b ± 2.8 兵庫系 ± 2.8 田尻系 ± 2.8 熊波系 ± 3.0 オレイン酸含有率 55% 以上 鳥取系 61 ( 54.0% ) 島根系 18 ( 36.0% ) 兵庫系 67 ( 51.1% ) 同列異符号間に有意差有り (P<0.05) 脂肪酸組成に影響を与えるとされる SCD 遺伝子の遺伝子型頻度および遺伝子型別オレイン酸含有率について比較したところ 遺伝子型頻度は AA 型が 56.8 % で最も高く VV 型が 13.3 % と低い割合となっていた また 遺伝子型別オレイン酸含有率は AA 型が AV 型および VV 型よりも有意に高い (p<0.05) 値を示した ( 表 6) 考察 一般出荷された本県産和牛肉のオレイン酸含有率は 54.6 % で このうち 含有率 55 % 以上 かつ 肉質等級 3 等級以上の割合は 46.5 % で高い値を示した この値は オレイン酸を指標としてブランドを図っている牛肉の認証 ( 発生 ) 率が2 割程度しかないことを考えると高い水準にあると思われる また オレイン酸含有率を系統別で比較すると鳥取系が島根系より有意に高く オレイン酸は血統や系統により左右されることが示唆された また 脂肪酸組成に影響を与えると考えられる SCD 遺伝子型別のオレイン酸含有率を比較すると AA 型が AV 型 VV 型より含有率が有意に高く この結果は食味性の向上を図る上で 本県の肉用牛改良 特に種牛候補牛の選抜時において有効な指標となり得ると考える 今後は さらに脂肪酸データおよび枝肉情報を集積するとともに枝肉断面の画像情報や DNA 情報も含めデータベース化を図り それらを総合的に解析することにより 宮崎牛の新たな枝肉評価法 を構築し 将来的には本県種雄牛の選抜等に活用していきたいと考える 表 6 SCD 遺伝子型別頻度およびオレイン酸含有率 遺伝子型 n 遺伝子型頻度 (%) オレイン酸含有率 (%) AA a AV b VV b 同列異符号間に有意差有り (P<0.05) 9

15 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 参考文献 1) 浅田勉ら 黒毛和種における早期肥育に関する研究. 群馬畜試研報 11: ) 浅田勉ら 米ぬか添加が黒毛和種去勢牛の産肉性および枝肉脂肪の脂肪酸組成に及ぼす影響. 群馬畜試研報 14:9-20 3) 庄司則章ら 黒毛和種雌肥育牛における濃厚飼料 血漿 筋肉内脂肪の脂肪酸組成の関連性. 山形農研研報 1: ) 宮澤浩太ら 黒毛和種繁殖雌牛の SCD 遺伝子型調査. 群馬畜試研報 11: ) 横田祥子ら 黒毛和種牛肉の食味性に対する, BMSNo., 性, モノ不飽和脂肪酸割合の影響.. 肉用牛研究会会報 92:63 6) 中武好美ら 生米ぬかと湿熱加熱大豆給与が黒毛和種肥育牛に及ぼす影響. 宮崎畜試研報 25:

16 画像解析によるロース芯断面の脂肪交雑粒子に関する客観的評価法の検討 画像解析によるロース芯断面の脂肪交雑粒子 に関する客観的評価法の検討 黒木信 中武好美 築城努 1) 1) 西諸県農林振興局 Study of evaluation method objective about marbling particle cross section of rib eye by the image analysis Shin KUROGI,Yoshimi NAKATAKE,Tsutomu TSUYUKI < 要約 >ミラー型牛枝肉撮影装置を用いて枝肉断面を撮影し 枝肉形質との解析を行ったところ 脂肪交雑面積割合と BMS ナンバーとの間に高い相関が確認されたが 同じ階層の BMS ナンバーであっても最大最小値間に 20 % 程度のばらつきが見られた これら平均値からの差とあらさ指数 細かさ指数との相関分析を行ったところ 脂肪交雑粒子の粗さや細かさが BMS ナンバーの判定に影響を与える可能性が示唆された なお 脂肪交雑粒子の形状は 去勢が雌よりも粗く 雌が去勢よりも細かい傾向にあり 系統別で比較すると兵庫系で細かい傾向にあった 緒言 牛枝肉の評価は ( 社 ) 日本食肉格付協会の格付員の目視検査により行われ 形質の中でも脂肪交雑は価格に影響を及ぼす主な形質の一つとされている 脂肪交雑は枝肉断面の脂肪割合によって判定されるが 単に割合だけでなく 脂肪交雑の程度 ( 一般的に 粗ザシ 小ザシ と言われる ) も影響する考えらており 近年 枝肉断面の画像解析による客観的な評価法の検討が進められている そこで当場では 現場後代検定牛を対象に画像解析による牛枝肉の客観的評価法について検討した られた画像は画像解析ソフトウェア BeefAnalyzer Ⅱ ( 早坂理工株式会社 ) により解析を行った 分析形質は 枝肉形質 6 項目 ( 枝肉重量 (CW) 胸最長筋面積 (REA) バラの厚さ(RT) 皮下脂肪の厚さ (FST) 歩留基準値(YE) BMS ナンバーと画像解析形質 4 項目 ( 胸最長筋面積 (RE A) 胸最長筋内の脂肪交雑面積割合;Marbling pe rcent(mp) あらさ指数;Coarseness index of large r 10 marbling particles(cim) 細かさ指数;Finene ss index of marbling(fim)) を用いた なお あらさ指数は 口田ら (2002) の手法にならい 10 回の細線化処理によって算出した値を用いた 材料および方法 2007 年 1 月から 2013 年 6 月にかけて県内の食肉処理場で格付けされた黒毛和種産肉能力検定牛 ( 現場後代検定牛 )894 頭 ( 去勢 619 頭 雌 275 頭 ) について枝肉形質を調査するとともに枝肉左半丸の第 6~7 肋骨間横断面をミラー型牛枝肉牛撮影装置 (HK-333; 早坂理工株式会社 ) を用いて撮影し 得 図 1 牛枝肉断面の撮影 11

17 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 結果および考察 (1) 枝肉形質枝肉形質 6 項目及び画像解析形質 4 項目の平均値を表 1に示した 枝肉形質のうち 枝肉重量は去勢 473.9kg 雌 kg で去勢が雌より有意 (p<0.01) に大きく バラの厚さにおいても去勢 7.82cm 雌 7.69cm で去勢が有意 (p<0.05) に厚い傾向にあった また 胸最長筋面積は去勢 63.19cm 2 雌 65.11cm 2 で雌が去勢よりも有意 (p<0.01) に大きく 雌の方が皮下脂肪が厚いため 歩留基準値においても雌が高い傾向にあった 一方 BMS ナンバーについては 去勢 雌 6.08 で 性差は認められなかった (2) 画像解析形質画像解析によって得られた胸最長筋面積は去勢 cm 2 雌 66.73cm 2 で 枝肉形質と同様に雌が有意 (p<0.01) に大きく 格付け値と画像解析値との間に高い相関 (r=0.91) が認められた また 脂肪交雑面積割合は去勢 % 雌 % で去勢が雌より有意 (p<0.05) に高い値を示した あらさ指数は去勢 % 雌 % で 脂肪交雑粒子の形状は去勢が雌より有意 (p<0.01) に粗い傾向にあった 一方 細かさ指数は去勢 2.87 個 / cm 2 雌 3.07 個 / cm 2 で 雌が去勢より有意 (p<0.01) に細かい傾向にあった 表 1 枝肉形質と画像解析形質 ( 枝肉形質 ) 去勢 N=619 雌 N=275 全体 N=894 CW(kg) A B REA(cm 2 ) B A RT(cm) 7.82 a 7.69 b 7.78 FST(cm) 2.68 B 2.91 A 2.75 YE(%) B A BMS ナンハ ー ( 画像解析形質 ) REA(cm 2 ) B A MP(%) a b CIM(%) A B FIM( 個 /cm 2 ) 2.87 B 3.07 A 2.93 同行異符号間に有意差有り (A-B;p<0.01,a-b;p<0.05) 表 2 BMS ナンハ ー階層別 MP および CIM BMSナンハ ー 平均値 CIM(%) MP(%) 標準偏差 最大値 最小値 平均値 標準偏差 最大値 最小値 BMSナンハ ー 平均値 CIM(%) MP(%) 標準偏差 最大値 最小値 平均値 標準偏差 最大値 最小値 BMSナンハ ー 平均値 CIM(%) MP(%) 標準偏差 最大値 最小値 平均値 標準偏差 最大値 最小値

18 画像解析によるロース芯断面の脂肪交雑粒子に関する客観的評価法の検討 また BMS ナンバーと脂肪交雑面積割合との間に高い相関 (r=0.85) が認められたが 同じ階層の BMS ナンバーにおいて最小値と最大値間に最大で 20 % 程度のばらつきが認められた ( 図 2 表 2) このため 各階層の BMS ナンバーの脂肪交雑面積割合が平均値よりが高いものについて 平均値からの差とあらさ指数の相関分析を行ったところ 正の相関 (r=0.35) が認められた すなわち 脂肪交雑面積割合が平均値よりも高く BMS ナンバーが上位の階層へ移行してもおかしくないものについては 平均値からの差が大きくなるに連れ あらさ指数も高くなる傾向が認められた ( 図 3) 次に各階層の BMS ナンバーの脂肪交雑面積割合が平均値よりも低いものについて 平均値からの差と細かさ指数について相関分析を行ったところ 一定の傾向は認められず むしろ平均値からの差が大きくなるに連れ 細かさ指数は低くなる傾向にあった ( 図 4) しかしながら 脂肪交雑面積割合が一定の水準 (MP>57%) を満たしている条件下では 平均値からの差が大きくなるに連れ 細かさ指数が高くなる傾向が認められた また 同様の傾向は BMS ナンバーと細かさ指数との間にも認められ 脂肪交雑面積割合が一定の水準 (MP>58%) を満たしている条件下では BMS ナンバーが高くなるに連れ 細かさ指数が高くなる傾向が認められた ( 図 5 6) 図 2 BMS ナンハ ーと MP との相関 図 4 MP 平均値からの差と FIM との相関 図 3 MP 平均値からの差と CIM との相関 図 5 MP 平均値からの差と FIM との相関 (MP > 57%) 13

19 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 図 6 BMS ナンハ ーと FIM との相関 (MP > 58%) 図 7 MP と CIM ( 上 ;BMS ナンハ ー 8 MP55.1% CIM18.3% 下 ;BMS ナンハ ー 8 MP65.5% CIM33.2%) 図 8 MP と FIM ( 上 ;BMS ナンハ ー 4 MP39.1% FIM4.34 個 / cm 2 下 ;BMS ナンハ ー 11 MP59.9% FIM3.75 個 / cm 2 ) 14

20 画像解析によるロース芯断面の脂肪交雑粒子に関する客観的評価法の検討 これらの結果から 牛枝肉の格付け 特に枝肉価格に大きな影響を及ぼす脂肪交雑の判定は 主に脂肪交雑面積割によって決定されるが 同程度の脂肪面積割合においては脂肪交雑粒子の形状が脂肪交雑の判定に影響を与える可能性が示唆された 特に脂肪交雑粒子の形状が粗いものでは 同じ階層の BMS Sナンバーの脂肪交雑面積割合が平均値よりも高く より上位の階層に判定される脂肪割合であっても 下位の階層に判定される可能性が示唆された また あらさ指数が脂肪交雑に及ぼす影響ほど顕著ではないものの 脂肪交雑面積割合が高い水準を満たしている場合には 脂肪交雑粒子の細かさが脂肪交雑の判定に影響を与える可能性が示唆された これらは 脂肪交雑面積割合が50% 50% を下回るような低い条件下下では 脂肪交雑粒子の形状がいかに細かくても では 脂肪交雑粒子の形状がいかに細かくても 枝枝肉に経済的価値を付加するほどの肉のきめや締まり 肉色などを発現できないものと推察され 細かさ指数は高い脂肪交雑面積割合の条件下ではじめて小ザシとして認識され 枝肉に経済的な価値を付加できるものと考えられる ( 図 77 8) 8) 表 3 系統別の画像解析形質 系統 頭数 脂肪交雑面積割合 (MP) 兵庫系 ± ± 4.36 B 3.03 ± 0.49 A 島根系 ± ± 4.27 A 2.88 ± 0.44 B 気高系 ± ± 4.53 A 2.83 ± 0.43 B 同列異符号間に有意差有り (A-B:p<0.01) あらさ指数 (CIM) 細かさ指数 (FIM) (%) (%) ( 個 /cm 2 ) 次に画像解析形質を系統別に比較したところ 脂肪交雑面積割合は系統間に差は認められなかった あらさ指数は兵庫系があらさ指数は兵庫系が 16.94% 16.94% で 島根系で 島根系 18.31% 気高系 18.31% 18.45% 気高系よりも有意 18.45% よりも有意 (P<0.01)(P<0.01) に低い傾向にに低あった 一方 細かさ指数では兵庫系がい傾向にあった 一方 細かさ指数では兵庫系が 3.03 個 / 3.03 c m 個 2 / で 島根系cm2で 島根系 個 / 個 / cm cm2 気高系 2 気高系 個個 / cm2より / cm 2 も有意よりも有意 (P<0.01) (P<0.01) に高い値を示したに高い値を示した ( 図 9 表( 3) 図 9 表 3) これらのことから 脂肪交雑粒子の形状は血統や 系統によって異なる特徴を持ち 肉用牛の改良形質これらのことから 脂肪交雑粒子の形状は血統や系統によって異なる特徴を持ち 肉用牛の改良形質の一つとして利用可能であることが示唆された の一つとして利用可能であることが示唆された 図 9 系統別 CIM と FIM 15

21 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 以上の結果から 枝肉横断面の精細画像を取り込みそれらを解析することで 従来の枝肉形質だけでは評価できなかった脂肪交雑粒子の形状や脂肪交雑面積割合の客観的な評価が可能となった 今後は これらの成果を活用して 脂肪交雑面積割合は高水準を維持しつつ 脂肪交雑粒子の形状が細かい高品質な肉用牛の改良に向け 画像解析データをはじめ 枝肉情報 脂肪酸データ DNA 情報などを併せて収集 蓄積し データベース化を図り それらを総合的に解析することによって 宮崎牛の新たな枝肉評価法 として構築し 将来的には本県種雄牛の評価 選抜等に活用していきたいと考える 参考文献 1) 口田圭吾ら 枝肉横断面撮影装置の開発とその牛枝肉格付への応用. 第 98 回日本畜産学会大会一般講演 2) 口田圭吾ら 枝肉横断面撮影の開発と得られた画像を利用した BMS ナンバーの推定. 日本畜産学会会報 72: ) 口田圭吾ら 画像解析による黒毛和種の. 日本畜産学会会報 74: ) 長谷川未央ら 脂肪交雑粒子のあらさおよび胸最長筋の形状に関する画像解析値を用いた BMS ナンバーの推定. 日本畜産学会会報 75: ) 口田圭吾ら 牛脂肪交雑基準の評価に対する判定者間の偏差に関する検討. 日本畜産学会会報 75: ) 波通隆ら 牛枝肉横断面の高精細画像撮影装置の開発. 北海道立工業試験場報告.303:

22 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが 黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 中武好美 鍋倉弘良 1) 竹之山愼一 2) 1) 宮崎県畜産協会 2) 南九州大学健康栄養学部 The Effects of Feeding Dried Shochu By-Product on the Fattening of Japanese Black Cattle Yoshimi NAKATAKE,Hiroyoshi NABEKURA, Shin-ichi TAKENOYAMA < 要約 > 黒毛和種去勢牛において通常より3カ月早め生後 7カ月齢から肥育を開始し 通常より4 カ月出荷を早め24カ月齢で出荷する試験区 1と 肥育開始は通常と同じ生後 10カ月齢とし 24カ月齢で出荷する試験区 2および肥育開始を生後 10カ月齢 出荷を通常と同じ28カ月齢とした対照区を設け 以下の成績が得られた 肥育期間中のDGについて3 区を比較したところ 試験区 1で大きく試験区 2で小さい傾向にあった 濃厚飼料摂取量は 肥育期間の短い試験区 2で少ない傾向にあった また 粗飼料摂取量は両試験区とも少ない傾向にあり 肥育開始直後から摂取量の低下がみられた 枝肉成績において 両試験区で肉色が濃く 試験区 1においてはきめやしまりが良くない傾向にあった また 枝肉重量は両試験区とも対照区と比較して小さい傾向にあった 胸最長筋および皮下脂肪の脂肪酸組成については ともに対照区でオレイン酸含量が高い傾向にあった 胸最長筋 皮下脂肪および筋間脂肪のビタミンE 含量は試験区 1で高い傾向にあった 現在 黒毛和種牛の肥育においては 濃厚飼料を多給して28カ月齢以上で出荷する肥育方法が一般的に行われている 一方 増体量や飼料効率 胸最長筋における脂肪交雑量の増加は24カ月齢がピークであるとする報告もあるが 近年では出荷月齢の延長が脂肪の質に影響を与えるという報告もある また 輸入穀物価格の高騰および高止まりに加え 牛枝肉価格の低迷により肉用牛肥育経営は逼迫した状況が続いており 解決策が求められている そこで 肥育期間の短縮や出荷月齢の違いによる発育や枝肉成績 肉質および経済性に及ぼす影響について検討した 試験方法 1 試験区分供試牛は黒毛和種去勢牛 9 頭を用い 試験区分は 7カ月齢に肥育を開始し24カ月齢で出荷する試験区 1 10カ月齢に肥育を開始し24カ月齢で出荷する試験区 2 10カ月齢に肥育を開始し28カ月齢で出荷する対照区の3 区を設け それぞれ3 頭ずつ配置した 全頭とも福之国産子を用いた 試験区分を表 1に示した 2 給与飼料および給与方法濃厚飼料は全期間を通して主に市販の肥育用配合飼料を用い 粗飼料は前期に当場内産イタリアンラ 17

23 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) イグラス乾草 中期および後期に稲ワラを給与した 表 2に給与飼料の成分を示した 表 1 試験区分 区分頭数性別種雄牛 肥育開始月齢 肥育中期開始月齢 肥育後期開始月齢 肥育終了月齢 試験区 1 3 去勢 福之国 試験区 2 3 去勢 福之国 対照区 3 去勢 福之国 表 2 給与飼料の成分 ( 単位 :%) 区分 水分 粗蛋白質 粗脂肪 粗繊維 粗灰分 TDN 肥育用配合飼料 大麦圧ペン コーンミール 飼養管理試験開始前の予備期間中に全頭 除角と鼻環装着 5) 脂質含量 脂肪酸組成 遊離アミノ酸含量 ビタミンE 含有量 : 胸最長筋および皮下脂肪につ を行い 約 8 m2の牛房で単飼による個別給餌で飼養 いて分析した した 飼料給与時刻は9 時および16 時とし 水は自由摂 試験結果 取とした なお 牛床はコンクリート床にのこくずを敷き天井から直下型ファンで送風し その他は当場の通常管理とした 1 発育および増体成績表 3に肥育開始時の体型 表 4に肥育終了時の体型 4 調査項目 1) 体重 :4 週ごとに13 時に測定した 2) 体型 :12 週ごとに体重測定後測定した 3) 飼料摂取量および養分要求率 : 濃厚飼料摂取量は毎日 粗飼料摂取量は週ごとに測定した 養分要求率の基礎となる栄養価は 日本標準飼料成分表 (2001 年版 ) 2) を用いた 4) 枝肉成績 :( 社 ) 日本食肉格付協会の格付成績を用いた を示した 肥育開始時の体型は 試験区 1で開始時月齢が早いため 小さかった 図 1に体重の推移を示した 全期間を通して試験区 1でやや大きく推移し 試験区 2と対照区はほぼ同様に推移した 肥育終了時の体重は試験区 1が696.0 kg 試験区 2 が682.6 kg 対照区が771.3 kgであり 出荷月齢の早い試験区 1 2で小さく 対照区で大きい傾向にあったが 肥育期間中のDGは試験区 1が0.88 kg/ 日 試験区 2が0.82 kg/ 日 対照区が0.84 kg/ 日であり 試験区 1で大きい傾向にあり 試験区 2で小さい傾向にあった 表 3 開始時の体型 ( 単位 : 日 kg cm) 区分 日齢 体重 体高 体長 胸囲 腹囲 試験区 ± ± ± ± ± ± 7.5 試験区 ± ± ± ± ± ± 1.5 対照区 ± ± ± ± ± ±

24 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 800 (kg) 試験区 1 試験区 2 対照区 700 体重 週齢 図 1 体重の推移 表 4 終了時の体型 ( 単位 : 日 kg cm kg/ 日 ) 区分 日齢 体重 体高 体長 胸囲 腹囲 1 日当たり増体量 試験区 ± ± ± ± ± ± ± 0.08 試験区 ± ± ± ± ± ± ± 0.06 対照区 843 ± ± ± ± ± ± ± 飼料摂取状況表 5に濃厚飼料および粗飼料の摂取量を示した において粗飼料摂取量に個体差が見られた 図 2に試験期間中の粗飼料摂取量の推移を示した 濃厚飼料摂取量は 肥育期間の短い試験区 2で少なく DM 摂取量 TDN 摂取量 CP 摂取量も少ない傾向にあった 肥育期間としては同等である試験区 1と対照区では差は認められなかった 粗飼料摂取量は 濃厚飼料摂取量と同様に試験区 2で少なかったが 試験区 1でも少ない傾向にあった 試験区 1 試験区 1 2において肥育開始直後から摂取量の低下が見られた 表 6に飼料要求率を示した 飼料要求率 (DM) は試験区 1が10.77 kg/kg 試験区 2が9.39 kg/kg 対照区が10.09 kg/kgであり 試験区 2で低い傾向にあった 表 5 飼料摂取量 ( 単位 :kg) 区分 濃厚飼料粗飼料原物 DM TDN CP 原物 DM TDN CP 試験区 ± ± ± ± ± ± ± ± 9.5 試験区 ± ± ± ± ± ± ± ± 5.1 対照区 ± ± ± ± ± ± ± ± (kg) 試験区 1 試験区 2 対照区 2 粗飼 1.5 料摂取 1 量 週齢 図 2 粗飼料摂取量の推移 19

25 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 6 飼料要求量 ( 単位 :kg) 区分 DM TDN CP 試験区 ± ± ±0.05 試験区 ± ± ±0.03 対照区 ± ± ± 枝肉成績表 7に枝肉成績を示した 枝肉重量は肥育終了時体重と同様に試験区 1 2に比べて対照区が大きい傾向にあった また 胸最長筋面積は対照区で大き い傾向にあり 皮下脂肪厚は試験区 2で薄い傾向にあり 脂肪交雑 (BMS ) は対照区で高い傾向にあった 試験区 1において 肉色が濃く きめやしまりが良くない傾向にあった 表 7 枝肉成績 区分 枝肉重量胸最長筋面積バラの厚さ皮下脂肪厚歩留基準値脂肪交雑肉色しまりきめ脂肪色 (kg) (cm 2 ) (cm) (cm) (%) (BMS ) (BCS ) (BFS ) 試験区 ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± 0.0 試験区 ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± 0.0 対照区 ± ± ± ± ± ± ± ± ± ± 脂肪酸組成表 8に胸最長筋の脂質含量を示した 脂肪交雑 (BMS ) と同様に対照区が最も高く 次いで試験区 2 試験区 1の順であった 表 9 脂肪酸組成 ( 胸最長筋 ) ( 単位 :%) 表 8 胸最長筋の脂質含量 ( 単位 :%) 区分 脂質含量 試験区 ± 4.70 試験区 ± 3.86 対照区 ± 2.90 胸最長筋 区分 試験区 1 試験区 2 対照区 12: ± ± ± : ± ± ± : ± ± ± : ± ± ± :1(n-7) 4.94 ± ± ± 0.74 また 表 9 10に胸最長筋および筋間脂肪の脂肪酸組成を示した 牛肉のおいしさの要因の一つとして注目されているオレイン酸 (18:1(n-9)) は 胸最長筋において試験区 1が46.10 % 試験区 2が % 対照区が51.97 % で 対照区が高い傾向にあった 不飽和脂肪酸割合も同様に対照区が高い傾向にあった 筋間脂肪におけるオレイン酸 (18:1(n- 9)) は 試験区 1が46.77 % 試験区 2が49.28 % 対照区が50.65 % であり 試験区 1が低い傾向にあ 17: ± ± ± : ± ± ± :1(n-9) ± ± ± :2(n-6) 1.89 ± ± ± :3(n-3) 0.09 ± ± ± : ± ± ± :1(n-9) 0.33 ± ± ± :3(n-6) 0.00 ± ± ± :4(n-6) 0.00 ± ± ± c,11tCLA 0.18 ± ± ± 0.03 不飽和脂肪酸 ± ± ± 1.71 った 不飽和脂肪酸割合は胸最長筋と同様に対照区が高い傾向にあった 20

26 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 表 10 脂肪酸組成 ( 筋間脂肪 ) ( 単位 :%) 筋間脂肪 区分 試験区 1 試験区 2 対照区 12: ± ± ± : ± ± ± : ± ± ± : ± ± ± :1(n-7) 4.23 ± ± ± : ± ± ± : ± ± ± :1(n-9) ± ± ± :2(n-6) 1.69 ± ± ± :3(n-3) 0.10 ± ± ± : ± ± ± :1(n-9) 0.39 ± ± ± :3(n-6) 0.00 ± ± ± :4(n-6) 0.00 ± ± ± c,11tCLA 0.28 ± ± ± 0.06 不飽和脂肪酸 ± ± ± ビタミンE 表 11に胸最長筋 皮下脂肪および筋間脂肪のビタ ミンE 含量を示した 胸最長筋のα-トコフェロー ル含量は試験区 1が μg/100g 試験区 2が μg/100g 対照区が μg/100gであり 試 験区 2がやや低い傾向にあった 皮下脂肪 筋間脂 肪のα-トコフェロール含量は試験区 1で高い傾向に あった 表 11 ビタミンE ( 単位 :μg/100g) 区分胸最長筋皮下脂肪筋間脂肪 試験区 1 試験区 2 対照区 α-toc ± ± ± α-toc T ± ± ± γ-toc 9.30 ± ± ± 3.22 Total ± ± ± α-toc ± ± ± α-toc T ± ± ± 4.92 γ-toc ± ± ± Total ± ± ± α-toc ± ± ± α-toc T ± ± ± γ-toc 8.87 ± ± ± 9.58 Total ± ± ± 考察 両試験区において 1 日当たり増体量は対照区と比較して差は認められなかった しかし 試験区 2 においては濃厚飼料摂取量が対照区より少ない傾向にあり 粗飼料摂取量は両試験区ともに少ない傾向にあった このことから肥育期間の短縮は飼料費節減につながることが示唆された しかし 枝肉成績については両試験区とも枝肉重量が小さく しまりやきめが良くない傾向にあり 脂肪交雑は対照区が高い結果となった 今日の枝肉評価では 脂肪交雑重視となっているため 枝肉販売価格によっては飼料費が節減されていたとしても収益性が低くなる可能性が示唆された さらに 肥育開始月齢が早かった試験区 1においては 個体によっては飼料摂取量が低下し 増体量が減少する傾向にあった 脂肪酸組成における一価不飽和脂肪酸 ( 以下 M UFA) 割合は 牛肉のおいしさに関係するといわれている その割合の変動要因について 様々な報告が挙げられているが 岩本 ³) はと畜月齢を30カ月齢から34カ月齢に延長することで飼料効率は低下したが MUFA 割合は増加することを報告している 本調査においても と畜月齢が長かった対照区がM UFA 割合が高く 同様の結果となった ビタミンEは脂溶性ビタミンの1つで 抗酸化作用があり 肉色の保持等に効果があるといわれている 両試験区における枝肉成績において肉色が濃い傾向にあったが これは胸最長筋 皮下脂肪および筋間脂肪のα-トコフェロール含量が 対照区よりも高い傾向にあったことによると推察される 参考文献 1) 中武好美 森弘 竹之山愼一 : 宮崎県畜産試験場県研究報告 22(2009),1-8 2) 独立行政法人農業技術研究機構編 : 日本標準飼料成分表 (2009 年版 ) 3) 岩本英治 : ひょうごの農林水産技術 134( ),8 21

27 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが 黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 ( 第 2 報 ) 中武好美 鍋倉弘良 1) 竹之山愼一 2) 1) 宮崎県畜産協会 2) 南九州大学健康栄養学部 The Effects of Feeding Dried Shochu By-Product on the Fattening of Japanese Black Cattle Yoshimi NAKATAKE,Hiroyoshi NABEKURA, Shin-ichi TAKENOYAMA < 要約 > 増体系種雄牛を父にもつ黒毛和種去勢牛を7か月齢から肥育し24か月齢で出荷したところ 以下の成績が得られた 肥育期間中の濃厚飼料摂取量は対照区がやや多い傾向にあり 粗飼料摂取量は対照区が多かったが これは通常肥育の肥育前期における粗飼料摂取の差によるものと考えられた 肥育終了時の体重は 試験区 736.6±49.5kg 対照区 800.6±15.2kgであり 対照区が大きい傾向にあった 肥育期間中の1 日当たり増体量は試験区が0.95±0.08kg/ 日 対照区が0.87±0.04kg/ 日であり試験区が大きい傾向にあったが ばらつきがみられた 枝肉成績において枝肉重量は対照区が大きい傾向にあったが 試験区の枝肉重量は本県平均と同程度であった 胸最長筋面積は試験区 55.6cm2 対照区 73.3cmで試験区が小さかった 脂肪交雑 (BMS ) は試験区 3.6 対照区 5.3であり しまりやきめは試験区で良くない傾向にあった 胸最長筋におけるオレイン酸割合は試験区が48.07±1.7% 対照区が50.13±4.02% あり 試験区が低い傾向にあった 前報 1) で 福之国産子を用いた早期肥育 早期出荷を検討したところ 十分な枝肉重量を得られず また 肉質も良くない傾向にあった そこで 本試験においては増体系種雄牛である忠富士の産子を早期肥育 早期出荷する技術について検討した 試験方法 1 試験区分供試牛は黒毛和種去勢牛 6 頭を用い 試験区分は 7カ月齢に肥育を開始し24カ月齢で出荷する試験区 9カ月齢に肥育を開始し28カ月齢で出荷する対照区の2 区を設け それぞれ3 頭ずつ配置した 全頭とも忠富士産子を用いた 試験区分を表 1に示した 2 給与飼料および給与方法濃厚飼料は全期間を通して主に市販の肥育用配合飼料を用い 粗飼料は前期に当場内産イタリアンライグラス乾草 中期および後期に稲ワラを給与した 給与飼料の成分について表 2に示した 22

28 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 ( 第 2 報 ) 表 1 試験区分 区分 頭数 性別 種雄牛 肥育開始肥育終了月齢月齢 試験区 3 去勢 忠富士 7 24 対照区 3 去勢 忠富士 9 28 表 2 給与飼料の成分 ( 単位 :%) 区分水分粗蛋白質粗脂肪粗繊維粗灰分 TDN 肥育用配合飼料 大麦圧ペン コーンミール 飼養管理試験開始前の予備期間中に全頭 除角と鼻環装着 5) 脂質含量 脂肪酸組成 遊離アミノ酸含量 ビタミンE 含有量 : 胸最長筋および皮下脂肪につ を行い 約 8 m2の牛房で単飼による個別給餌で飼養 いて分析した した 飼料給与時刻は9 時および16 時とし 水は自由摂 試験結果 取とした なお 牛床はコンクリート床にのこくずを敷き天井から直下型ファンで送風し その他は当場の通常管理とした 1 発育および増体成績表 3に開始時の体型を 図 1に体重の推移を示した 4 調査項目 1) 体重 :4 週ごとに13 時に測定した 2) 体型 :12 週ごとに体重測定後測定した 3) 飼料摂取量および養分要求率 : 濃厚飼料摂取量は毎日 粗飼料摂取量は週ごとに測定した 養分要求率の基礎となる栄養価は 日本標準飼料成分表 (2001 年版 ) 2) を用いた 4) 枝肉成績 :( 社 ) 日本食肉格付協会の格付成績を用いた 肥育開始月齢の差から 試験区が対照区よりも体重 体高 体長 胸囲および腹囲が小さかった 体重は 試験区が246.0kg 対照区が314.3kgであった 表 4に終了時の体型を示した 肥育終了月齢の差から 試験区が対照区よりも体重 体高 胸囲および腹囲が小さかった 体重は 試験区が736.6kg 対照区が800.6kgであった 体長は試験区が対照区よりやや大きかったが バラツキがみられた また 全期間 DGも対照区より試験区が大きい傾向にあったが バラツキがみられた 表 3 開始時の体型 ( 単位 : 日 kg cm) 区分 日齢体重体高体長胸囲腹囲 試験区 ± ± ± ± ± ± 1.7 対照区 ± ± ± ± ± ± 5.2 表 4 終了時の体型 ( 単位 : 日 kg cm kg/ 日 ) 区分 日齢体重体高体長胸囲腹囲 DG 試験区 ± ± ± ± ± ± ± 0.08 対照区 ± ± ± ± ± ± ±

29 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 900 (kg) 体重 試験区 対照区 週齢 図 1 体重の推移 2 飼料摂取状況 が多く 粗飼料も対照区が多かった 表 5に濃厚飼料および粗飼料の摂取量 図 2に粗飼 表 6に飼料要求率を示した 飼料要求率 (DM) 料摂取量の推移を示した は試験区が8.11 kg/kg 対照区が10.16 kg/kgであ 全期間の濃厚飼料摂取量は 肥育期間が長い対照区 り 試験区が低い傾向にあった 表 5 飼料摂取量 ( 単位 :kg) 区分 前期中期濃厚飼料粗飼料濃厚飼料粗飼料 試験区 ± ± ,949.2 ± ± 49.8 対照区 ± ± 9.2 2,328.9 ± ± 20.6 区分 後期全期間濃厚飼料粗飼料濃厚飼料粗飼料 試験区 ± ± ,922.8 ± ± 32.3 対照区 1,207.9 ± ± ,422.3 ± ,234.1 ± 39.3 図 2 (kg/ 日 ) 粗飼料摂取量の推移 週齢 試験区 対照区 表 6 飼料要求量 ( 単位 :kg) 区分 DM TDN CP 試験区 8.11 ± ± ± 0.07 対照区 ± ± ±

30 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 ( 第 2 報 ) 3 枝肉成績 表 7 に枝肉成績を示した 枝肉重量は肥育終了時 体重と同様に 対照区が大きい傾向にあった 脂肪 交雑 (BMS ) は対照区が良い傾向にあった また きめやしまりは試験区が悪い傾向にあった 表 7 枝肉成績 胸最長筋と畜前体重枝肉重量バラの厚さ皮下脂肪厚歩留基準値脂肪交雑肉色区分面積しまりきめ 脂肪色 (kg) (kg) (cm 2 ) (cm) (cm) (%) (BMS ) (BCS ) (BFS ) 試験区 722.0± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.0 対照区 790.0± ± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.0 4 脂肪酸組成表 8に胸最長筋の脂質含量を示した 試験区より対照区が多かった 表 8 胸最長筋の脂質含量 ( 単位 :%) 区分脂質含量 試験区 28.5 ± 4.8 対照区 44.4 ± 10.8 また 表 9 10 に胸最長筋および筋間脂肪の脂肪 酸組成を示した 胸最長筋において オレイン酸割合は試験区より対照区が高く また 不飽和脂肪酸割合も対照区が高かった 筋間脂肪においても 試験区より対照区がオレイン酸割合 不飽和脂肪酸割合共に多かった 表 9 脂肪酸組成 ( 胸最長筋 ) ( 単位 :%) 区分 胸最長筋試験区対照区 ラウリン酸 12: ± ± 0.01 ミリスチン酸 14: ± ± 0.78 ミリストレイン酸 14: ± ± 0.13 パルミチン酸 16: ± ± 2.40 パルミトレイン酸 16:1(n-7) 3.27 ± ± : ± ± 0.08 ステアリン酸 18: ± ± 1.05 オレイン酸 18:1(n-9) ± ± 4.02 リノール酸 18:2(n-6) 1.88 ± ± 0.27 α-リノレン酸 18:3(n-3) 0.10 ± ± 0.02 アラキジン酸 20: ± ± 0.00 エイコセン酸 20:1(n-9) 0.34 ± ± 0.12 エイコサジエン酸 20:2(n-6) 0.03 ± ± 0.02 エイコサトリエン酸 20:3(n-6) 0.10 ± ± 0.03 アラキドン酸 20:4(n-6) 0.11 ± ± c,11tCLA 0.24 ± ± 0.06 不飽和脂肪酸 ± ± 4.26 表 10 脂肪酸組成 ( 筋間脂肪 ) ( 単位 :%) 筋間脂肪区分試験区対照区 ラウリン酸 12: ± ± 0.00 ミリスチン酸 14: ± ± 0.26 ミリストレイン酸 14: ± ± 0.33 パルミチン酸 16: ± ± 1.47 パルミトレイン酸 16:1(n-7) 4.45 ± ± : ± ± 0.12 ステアリン酸 18: ± ± 2.94 オレイン酸 18:1(n-9) ± ± 2.60 リノール酸 18:2(n-6) 1.79 ± ± 0.21 α-リノレン酸 18:3(n-3) 0.11 ± ± 0.01 アラキジン酸 20: ± ± 0.05 エイコセン酸 20:1(n-9) 0.50 ± ± 0.08 エイコサジエン酸 20:2(n-6) 0.02 ± ± 0.09 エイコサトリエン酸 20:3(n-6) 0.07 ± ± 0.03 アラキドン酸 20:4(n-6) 0.03 ± ± c,11tCLA 0.34 ± ± 0.05 不飽和脂肪酸 ± ± ビタミンE 表 11に胸最長筋 皮下脂肪および筋間脂肪のビタミンE 含量を示した 胸最長筋において 試験区は 702.2μg/100g 対照区は856.0μg/100g 皮下脂肪において 試験区が1566.8μg/100g 対照区が μg/100gであり いづれの部位も試験区より対照区が高い傾向にあった 筋間脂肪は 試験区が μg/100g 対照区が323.8μg/100gであり 試験区が高い傾向にあった 25

31 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 11 ビタミン E ( 単位 :μg/100g) 区分試験区対照区 α-toc ± ± 65.2 α-toc T 胸最長筋 ± ± 38.6 γ-toc 0.0 ± ± 0.0 Total ± ± 93.8 α-toc ± ± α-toc T ± ± 33.8 皮下脂肪 γ-toc 0.0 ± ± 0.0 Total ± ± α-toc ± ± α-toc T ± ± 40.6 筋間脂肪 γ-toc 0.0 ± ± 0.0 Total ± ± 考 察 増体系種雄牛を父牛に持つ黒毛和種去勢牛を生後 7カ月齢から肥育を開始し 24カ月齢で出荷したところ 枝肉重量は本県平均と同程度であったが きめやしまりが良くなく 胸最長筋におけるオレイン酸割合も低い傾向にあった これら肉質の低下は 前報の結果と同様であった また 胸最長筋面積が試験区で55.6cm 2 対照区で73.3cm2であり 試験区が小さい傾向にあったが これは 試験区では若齢より肥育を開始しており月齢が早い内から濃厚飼料給与量を増加させたことにより 粗飼料の摂取量が減少してしまい 胸最長筋の発育が十分にできなかったと推察された 早期出荷技術について 前報で課題となった枝肉重量の減少については 増体系種雄牛の産子を利用することで枝肉の平均重量と遜色ない成績となったが 肉質の低下については課題が残る結果となった 今後は 肥育の各ステージの期間やそれぞれの期間における粗飼料と濃厚飼料の比率等について再度検討する必要がある 参考文献 1) 肥育開始月齢および出荷月齢の違いが黒毛和種肥育牛に及ぼす影響 : 中武好美 鍋倉弘良 竹之山愼一 2) 独立行政法人農業技術研究機構編 : 日本標準飼料成分表 (2009 年版 ) 26

32 肥育期間の延長が黒毛和種去勢牛に及ぼす影響 肥育期間の延長が黒毛和種去勢牛に及ぼす影響 中武好美 竹之山愼一 1) 1) 南九州大学健康栄養学部 The Effects of Extended Fattening Period on the Japanese Black Steers Yoshimi NAKATAKE,Shin-ichi TAKENOYAMA < 要約 > 黒毛和種去勢肥育牛の肥育中期から出荷までの目標 1 日当たり増体量 ( 以下 DG) を慣行の70% に設定し 肥育期間を慣行の28カ月齢から6カ月間延長し34カ月齢で出荷したところ 以下の成績が得られた 1 肥育中期以降のDGは試験区で小さくなるが 肥育終了時の体重は両区間に差はなかった 2 飼料摂取量は試験区で有意に多くなった 3 試験区において延長した6カ月間における飼料要求率が高くなる傾向にあった 4 枝肉成績は 両区間に差は認められなかった 5 筋間脂肪におけるオレイン酸割合が試験区で有意に高くなった 近年 和牛肉に関する研究が多方面から進められており その中の一つとして 牛肉の脂肪の質が食べたときに感じるおいしさに関係していることが注目されている 牛脂肪は不飽和脂肪酸割合が高く 融点が低いほど風味が良いとされている 1) 脂肪の軟らかさは 脂肪酸組成によって決定される 牛脂肪の脂肪酸組成は 牛の品種や性別および血統に加えて 給与している飼料の種類や屠畜月齢等の飼養管理条件に左右されることが報告されている2) ものの 実際に同一飼料を給与して黒毛和種去勢牛の肥 勢牛 6 頭を用い 10カ月齢から肥育を開始し34カ月齢で出荷する試験区と10カ月齢から肥育を開始し28 カ月齢で出荷する対照区の2 区を設け それぞれ3 頭ずつ配置した 10から14カ月齢を肥育前期 15から 22カ月齢を肥育中期 以降 出荷までを肥育後期とした また 肥育前期は両区とも同じ飼料給与設計とした 出荷時の目標体重を同程度とするため 肥育中期以降は 試験区の目標 DGを対照区の70% とし 濃厚飼料給与量を決定した 試験区分を表 1に示した 育を行い 屠畜月齢を延長して肉質への影響を調査 した例は多くない そこで 肥育期間を慣行の28カ月齢から6カ月間延長し 34カ月齢で出荷し 発育と肉質への影響を調査した 2 給与飼料および給与方法 濃厚飼料は全期間を通して主に市販の肥育用配合 飼料を用い 粗飼料は前期に当場内産イタリアンラ 1 試験区分 試験方法 イグラス乾草とチモシー乾草 中期および後期に稲わらを給与した 表 2に給与濃厚飼料の成分を示した 供試牛は父牛が同一 ( 勝平正 ) である黒毛和種去 表 1 試験区分 区分頭数性別種雄牛肥育開始月齢肥育終了月齢目標 DG 試験区 3 去勢勝平正 慣行の 70% 対照区 3 去勢勝平正 慣行 27

33 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 2 主な給与濃厚飼料の成分 ( 単位 :%) 水分 粗蛋白質 粗脂肪 粗繊維 粗灰分 TDN 肥育用配合飼料 ( 前期用 ) 肥育用配合飼料 ( 中後期用 ) トウモロコシ圧ペン フスマ 飼養管理試験開始前の予備期間中に全頭 除角と鼻環装着を行い 約 8 m2の牛房で単飼による個別給餌で飼養した 飼料給与時刻は9 時および16 時とし 水と鉱塩は自由摂取とした なお 牛床はコンクリート床にのこくずを敷き天井から直下型ファンで送風し その他は当場の通常管理とした 2.0 kgであった 肥育前期におけるDGは両区間に差は認められなかった 肥育中期は試験区の目標 D Gを対照区の70% とし 濃厚飼料給与量を減らしているため 中期終了時の体重は試験区が600.0 kg 対照区が656.6 kgであり 対照区が大きい傾向にあり DGは試験区が0.68 kg/ 日 対照区が0.90 kg/ 日であり 対照区が有意に大きくなった 肥育後期終了時の体重は 試験区が776.0 kg 対照区が kg であり 両区間に差は認められなかったが D 4 調査項目 1) 体重 :4 週ごとに 13 時に測定した Gは試験区が0.49 kg/ 日 対照区が0.73 kg/ 日であり 対照区が有意に大きくなった 2) 体型 :12 週ごとに体重測定後測定した 3) 飼料摂取量および養分要求率 : 濃厚飼料摂取量は毎日 粗飼料摂取量は週ごとに測定した 養分要求率の基礎となる栄養価は 日本標準飼料成分表 (2009 年版 ) 3) を用いた 4) 枝肉成績 :( 社 ) 日本食肉格付協会の格付成績を用いた 5) 脂質含量 脂肪酸組成 : 胸最長筋 筋間脂肪 皮下脂肪について分析した 6) 画像解析 : ミラー型牛枝肉横断面撮影装置で枝肉の第 6-7 肋骨間断面を撮影し BeefAnalyz 体重 (kg) 試験区対照区 生後週齢 erⅡ で画像解析を行った 図 1 体重の推移 試験結果 1 発育および増体成績図 1に体重の推移 図 2に体高の推移を示した 肥 (cm) 試験区対照区 28 育中期から試験区の目標 DGを対照区の70% としているため 肥育中期以降の体重は試験区が対照区より小さく推移した 同様に体高も試験区がやや小さく推移する傾向にあった 表 3に各肥育期間終了時の体重とDGを示した 肥育開始時の体重は試験区が289.6 kg 対照区が29 体高 生後週齢 図 2 体高の推移

34 肥育期間の延長が黒毛和種去勢牛に及ぼす影響 表 3 体重とDGの推移 ( 単位 :kg kg/ 日 ) 肥育開始時前期終了時中期終了時後期終了時全期間区分体重体重 DG 体重 DG 体重 DG DG 試験区 ± ± ± ± a ± ± A ± A ± 0.03 対照区 ± ± ± ± b ± ± B ± B ± 0.03 A-B:p<0.01 a-b:p< 飼料摂取状況表 4に飼料摂取量を示した 濃厚飼料摂取量 ( 乾物 ) は 肥育前期では両区に差はなく 中期では試験区の1 日当たりの濃厚飼料給与量は対照区より少ないため 試験区の摂取量が有意に少なく 後期は試験区の肥育期間が6カ月間長くなっているため 試験区が有意に多くなった また 粗飼料摂取量 ( 乾物 ) は 肥育前期および中期では両区間に差は認められなかったが 後期では濃厚飼料の給与量が少ない試験区で多くなる傾向にあった 表 5に飼料要求率 ( 濃厚飼料乾物 ) を示した 肥育前期および中期では両区間に差は認められなかった 肥育後期において 対照区を出荷した28カ月齢までの飼料要求率は試験区 10.0 kg/kg 対照区 10.0 kg/kgであり 両区間に差は認められなかったものの 試験区において28カ月齢以降 延長した6カ月間の飼料要求率は14.8 kg/kgとなり 28カ月齢までの期間と比較して高い傾向にあった 肥育全期間を通すと 試験区 8.6 kg/kg 対照区 7.6 kg/kgとなり 試験区が有意に高くなった 表 4 飼料摂取量 ( 単位 :kg) 飼料名 区分 前期 DM TDN CP DM 中期 TDN CP 濃厚飼料 粗飼料飼料名 濃厚飼料 粗飼料 試験区 ± ± ± A ± A ± A ± 2.9 対照区 ± ± ± B ± B ± B ± 11.3 試験区 ± ± ± ± ± ± 6.8 対照区 ± ± ± ± ± ± 1.7 後期全期間区分 DM TDN CP DM TDN CP 試験区 A ± A ± A ± A ± A ± A ± 2.0 対照区 B ± B ± B ± B ± B ± B ± 15.0 試験区 ± ± ± ± ± ± 12.8 対照区 ± ± ± ± ± ± 6.9 A-B:p<0.01 表 5 飼料要求率 ( 単位 :kg/kg) 区分 試験区 4.8 ± ± ± ± a ± 0.4 対照区 4.8 ± ± ± b ± 0.1 a-b:p<0.05 前期 中期 後期 (~28 カ月齢 ) 後期 (28~34 カ月齢 ) 全期間 3 枝肉成績 表 6 に枝肉成績を示した 枝肉重量は試験区で kg 対照区で kg であり 肥育終了時の体重 ( 以下 BMSナンバー ) は両区ともに7.0であり差は認められず 肉色や脂肪色およびきめやしまりも両区間に差は認められなかった と同様に両区間に差は認められなかった 脂肪交雑 29

35 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 6 区分 枝肉成績 枝肉重量 胸最長筋面積 バラ厚皮下脂肪厚歩留基準値脂肪交雑肉色脂肪色きめしまり (kg) (cm 2 ) (cm) (cm) (%) (BMS ) (BCS ) (BFS ) 試験区 489.2± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.6 対照区 487.0± ± ± ± ± ± ± ± ± ±0.6 4 脂肪酸組成表 7に胸最長筋における脂質含量を示した 試験区 43.31% 対照区 48.94% であり 枝肉成績では同等であったものの 対照区が有意に高かった 表 8に胸最長筋 筋間脂肪および皮下脂肪における脂肪酸組成を示した 18:1(n-9)( 以下 オレイン酸 ) は 筋間脂肪において 試験区 53.94% 対照区 48.89% であり 試験区が有意に高く 胸最長筋 と皮下脂肪においても試験区が高い傾向にあった 表 7 胸最長筋の脂質含量 ( 単位 :%) 区分脂質含量試験区 a ± 1.73 対照区 b ± 2.43 a-b:p<0.05 また 一価不飽和脂肪酸も同様に全ての部位において試験区が高い傾向にあった 表 8 胸最長筋 筋間脂肪 皮下脂肪における脂肪酸組成 ( 単位 :%) 区分 胸最長筋筋間脂肪皮下脂肪試験区対照区試験区対照区試験区対照区 12: ± ± ± ± ± ± : ± ± a ± b ± ± ± : ± ± ± ± ± ± : ± ± a ± b ± ± ± :1(n-7) 4.49 ± ± ± ± A ± B ± : ± ± ± ± a ± b ± : ± ± ± ± A ± B ± :1(n-9) ± ± a ± b ± ± ± :2(n-6) 1.57 ± ± ± ± ± ± :3(n-3) 0.09 ± ± ± ± ± ± : ± ± ± ± ± ± :1(n-9) 0.51 ± ± ± ± a ± b ± :3(n-6) 0.12 ± ± ± ± ± ± :4(n-6) 0.07 ± ± ± ± ± ± c,11tCLA 0.29 ± ± ± ± ± ± 0.00 一価不飽和脂肪酸 ± ± ± ± ± ± 2.07 A-B:p<0.01 a-b:p< 画像解析表 9に画像解析結果を示した 胸最長筋における脂肪面積割合は試験区 53.56% 対照区 57.05% であり 両区間に有意な差は認められなかったものの 理化学分析による脂質含量と同様に対照区で高い傾向にあった あらさ指数や細かさ指数においても両 と 同程度の脂肪面積割合でも あらさ指数が高い個体はBMSナンバーが低く評価されているものがあった よって枝肉成績においてBMSナンバーは同等であったものの 脂質含量に差があったのは 脂肪交雑のあらさや細かさが格付成績に影響を及ぼした可能性が考えられた 区間に有意な差は認められなかったが 個別に見る 30

36 肥育期間の延長が黒毛和種去勢牛に及ぼす影響 表 9 画像解析結果 区分 脂肪面積割合あらさ指数細線化 10 あらさ指数 1~10 細線化 10 細かさ指数 (%) (%) (%) ( 個 /cm 2 ) 試験区 ± ± ± ± 0.17 対照区 ± ± ± ± 0.41 考 察 岩本は但馬牛去勢牛において屠畜月齢を 30 カ月齢 から34カ月齢に延長することで飼料効率は低下したが 一価不飽和脂肪酸割合は増加傾向にあった 4) と報告している 一価不飽和脂肪酸は牛肉のおいしさに影響を与えると考えられているが 肥育の進行に伴いその割合は増加すると言われている 本調査においても 28カ月齢屠畜の対照区よりも34カ月齢屠畜の試験区の方が一価不飽和脂肪酸が高い傾向にあった しかしながら 本調査において得られた牛肉の官能評価試験を行っていないため 今後 出荷月齢の違いが実際の食味に与える影響について検討する必要があると考える また 試験区で肥育後期の延長した6カ月間における飼料要求率が高くなる傾向にあった その原因の一つとして 体重が大きくなり 給与濃厚飼料の栄養成分充足率が低下したことが考えられ 肥育期間を延長するためには 飼料要求率を抑える効率的な飼料給与体系の開発が必要と考えられた 参考文献 1) 農林水産技術会議事務局 : 食肉の理化学的特性による品質評価基準の確立, 研究成果 193,6-18(1987) 2) 独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構編日本飼養標準 肉用牛 (2008 年版 ) 3) 独立行政法人農業技術研究機構編日本標準飼料成分表 (2009 年版 ) 4) 岩本英治 : ひょうごの農林水産技術 134( ),8 31

37 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 黒毛和種繁殖雌牛における分娩間隔延長要因の分析と対策 鍋西久 亀樋成美 坂口浩平 黒木幹也 中原高士 ( 宮崎県畜産試験場 ) Factorial analysis and practical approaches to improve reproductive performance in Japanese black cattle. Hisashi NABENISHI, Narimi KAMEBI, Kouhei SAKAGUCHI, Mikiya KUROGI and Takashi NAKAHARA < 要約 > 県平均の分娩間隔は約 414 日となっており 所得確保のためにも分娩間隔の短縮が急務である そこで 分娩間隔延長の要因を明らかにする目的で県内の人工授精成績を詳細に解析し 現状の把握と問題点の抽出を行った さらに 得られた結果から "1 年 1 産 " を実現するために考えられる対策について検討した 平成 12 年から 23 年までに人工授精された肉用牛繁殖雌牛延べ 101,416 頭の成績を用いて繁殖成績の現状を分析したところ 各農家の平均初回授精日数と分娩間隔との間には有意な正の相関が認められた (r=0.85, P<0.01) また 平均実空胎日数についても分娩間隔との間に有意な正の相関が認められたが (r=0.67, P <0.01) 受胎率は実空胎日数に影響せず 発情発見効率の低下が実空胎日数の延長に影響していることが明らかとなった 以上のことから 初回授精日数の短縮 発情発見効率の改善が分娩間隔を短縮するための近道になると考えられた そこで この二つの課題を解決するために 牛群の繁殖状況を把握し 発情や人工授精などの繁殖イベントを自発的に管理できる繁殖管理スマートフォンアプリと繁殖管理回転盤を開発した 本県は全国有数の畜産県であり 県内の農業産出額に占める畜産の割合は 55 % と重要な産業のひとつとして位置付けられている なかでも肉用繁殖雌牛の飼養戸数は 7,280 戸 飼養頭数は 78,800 頭で いずれも鹿児島県に次ぐ全国第 2 位で 肉用子牛の生産地として高い位置づけとなっている 一方で 肉用牛の初回人工授精受胎率は全国的に低下傾向にあり 近年では 60 % を下回っていることが報告されている 宮崎県内における肉用牛の平均分娩間隔も 413 日 (H24) となっており 繁殖経営の目標とされている 365 日 (1 年 1 産 ) にはほど遠い状況である 宮崎県では 平成 22 年の口蹄疫発生からの復興 さらに新たな成長に向け 畜産新生の取り組みを進めている そのなかで 宮崎県畜産新生プラン を策定し 肉用牛繁殖経営では "1 年 1 産 " を目指す 姿として 分娩間隔の短縮に取り組んでいる そこで 県内における肉用牛の繁殖成績改善を達成するため 分娩間隔延長の要因を明らかにする目的で県内の人工授精成績を解析し 現状の把握と問題点の抽出を行った さらに "1 年 1 産 " を実現するために考えられる対策について検討した Ⅰ. 宮崎県内における繁殖成績の現状調査対象は県内の肉用牛繁殖経営 594 戸で 平成 12 年から 23 年までに人工授精された肉用牛繁殖雌牛延べ 101,416 頭の成績を用いて繁殖成績の現状を分析し 分娩間隔に影響を与えている主要因の解析を行った さらに 繁殖成績が良好な農家とそうでない農家とを比較することで 分娩間隔が延長している農家ではどこに問題があるのか検討した 32

38 黒毛和種繁殖雌牛における分娩間隔延長要因の分析と対策 (1) 初回授精日数と分娩間隔との関係図 1-1 に初回授精日数と分娩間隔との関係を示した 初回授精日数と分娩間隔との間には有意な正の相関が認められ (r=0.85, P<0.01) 初回授精日数が短い農家ほど分娩間隔が短く 日数が長い農家ほど分娩間隔が延長していた た そのためには 分娩後 20 ~ 40 日までに初回発情を確認することが重要であり 早期に初回発情が回帰するような飼養管理が最低限求められる しかしながら 初回授精日数の長短に影響を及ぼしている主な要因は 農家の意識によるところが大きいのではないかと考えられた 平均分娩間隔 ( 日 ) (2) 実空胎日数と分娩間隔との関係図 2-1 に初回授精から受胎するまでの日数 ( 実空胎日数 ) と分娩間隔との関係を示した 実空胎日数と分娩間隔との間には有意な正の相関が認められ (r=0.67, P<0.01) 実空胎日数が短い農家ほど分娩間隔が短く 実空胎日数が長い農家ほど分娩間隔が延長しているという結果になった 平均初回授精日数 ( 日 ) 500 図 1-1 初回授精日数と分娩間隔との関係 また 分娩間隔が 365 日以下 (1 年 1 産 ) の農家で は初回授精日数は 2 ヶ月以内であるのに対し 425 日以上の農家では初回授精までに約 4 ヶ月も要して いることが明らかとなった ( 図 1-2) つまり 分 娩間隔の差は 分娩から初回授精までの日数の差とも言える結果となった 120 ( 日 ) 日 >425 分娩間隔 図 1-2 分娩間隔 365 日以下と 425 日以上農家の比較 したがって 分娩間隔が延長している農家において 分娩間隔を短縮するための最初の解決策は 初回授精までの日数を短縮することではないかと考えられ 平均分娩間隔 ( 日 ) ( 日 ) 平均実空胎日数 ( 日 ) 図 2-1 実空胎日数と分娩間隔との関係 日 >425 分娩間隔 図 2-2 分娩間隔 365 日以下と 425 日以上農家の比較 また 分娩間隔が 365 日以下 (1 年 1 産 ) の農家の 33

39 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 実空胎日数は一発情周期内であるのに対し 425 日以上の農家ではそれよりも約 1 ヶ月も延長していることが明らかとなった ( 図 2-2) 図 3-1 は受胎率と分娩間隔との関係を示したものであるが 受胎率は分娩間隔に影響せず 425 日以上の農家の受胎率も 分娩間隔が 365 日以下 ( 1 年 1 産 ) の農家とほとんど差がなく ( 図 3-2) 今回のケースでは分娩間隔の延長に受胎率は影響していないということが明らかとなった 500 く 発情発見効率が低い農家ほど分娩間隔が延長している結果となり 425 日以上の農家の発情発見効率は 365 日以下 (1 年 1 産 ) の農家よりも著しく低かった ( 図 4-2) 500 平均分娩間隔 ( 日 ) 400 平均分娩間隔 ( 日 ) 発情発見効率 (%) 図 4-1 発情発見効率と分娩間隔との関係 70 (%) 受胎率 (%) 図 3-1 受胎率と分娩間隔との関係 365 日 >425 分娩間隔 図 3-2 分娩間隔 365 日以下と 425 日以上農家の比較 図 4-1 は実空胎日数に影響するもう一つの要因である発情発見効率 (= 授精回数 / 初回授精から妊娠までの理論的な発情回数 100) と分娩間隔との関係を示したものである 発情発見効率と分娩間隔との間には有意な負の相関が認められ (r=-0.75, P< 0.01) 発情発見効率が高い農家ほど分娩間隔が短 100 (%) 以上のことから 分娩間隔が延長している農家では 受胎率が低いのではなく 発情発見効率が低いということが明らかとなった したがって 実空胎日数を短縮するための近道は 発情発見効率の改善に尽きる結果となった Ⅱ."1 年 1 産 " を実現するための繁殖管理ツール の開発 365 日 >425 分娩間隔 図 4-2 分娩間隔 365 日以下と 425 日以上農家の比較 (1) 繁殖管理スマートフォンアプリ 身近となっているスマートフォンを意識的な発情 管理を行うための繁殖管理ツールとして活用するた 34

40 黒毛和種繁殖雌牛における分娩間隔延長要因の分析と対策 め これまでになかったスマートフォン等の携帯端末用の繁殖管理アプリを開発した 繁殖管理アプリ開発のコンセプトは 繁殖管理のみに絞った " 単純な機能と簡単な操作性 " で スマートフォンの機能と機動性を生かすとともに 忙しい農家でも無理なく操作できるように入力作業を極力省くこと 普及性を高めるために低コスト化を図ることを念頭に置いた 一方で これまでの調査結果を反映させ 分娩間隔短縮の近道である分娩後初回授精日数の短縮と発情発見効率の改善を達成するために有効と考えられる機能を盛り込んだ 図 5-1 図 5-2 図 5-3 アプリ起動時 基本画面 詳細画面 AI 対象牛 AI 後妊鑑定待ち妊鑑 (+) 分娩前育成牛 よるデータ共有も可能となるほか 農家が入力したデータをテキスト形式で出力できるようにしたため 普及指導員やJAの技術員等が 繁殖改善のためのコンサルティングにも効果的に活用できるように設計している点も大きな特徴である ( 図 5-5) (2) 繁殖管理回転盤携帯端末を持っていない農家や携帯端末の取扱いに不安を唱える農家のため 繁殖管理アプリと同様の性能を持つアナログ的な繁殖管理ツール ( 繁殖管理回転盤 ) も新たに製作した ( 図 6) 繁殖管理回転盤自体は今から50 年近くも前にアメリカで開発され 様々な改良がなされ今日に至っている 一日に一目盛り回転させる手間は必要になるが ホワイトボードやノートでは実現できない牛群の繁殖状況の動きを直感的に知ることができる 図 5-4 図 5-5 繁殖記録画面 データ入出力 図 5. 開発したスマートフォンアプリの概要 開発した繁殖管理アプリは 起動時には発情予定牛 人工授精対象牛や分娩予定牛など その日に注意する牛のリストが表示される警告画面が必ず出るようにした ( 図 5-1) 警告画面を閉じるとアプリの基本画面になり 管理している牛の一覧が表示される ( 図 5-2) この画面では繁殖状況に応じて五色の色分けで表示される 色分けは 赤色 : 分娩後人工授精待ち 黄色 : 人工授精後妊娠鑑定待ち 緑色 : 妊娠鑑定済み (+) 灰色: 妊娠末期 白色 : 育成牛とし 特に赤色と黄色で表示されている牛について注意しなければならない 基本画面の牛の名号をタップすると その牛の繁殖状況が詳細に表示される ( 図 5-3) この画面から繁殖管理画面に進み 繁殖イベント ( 分娩 発情 人工授精 受精卵移植 妊娠鑑定 ) を選択 入力するが ( 図 5-4) 過去の繁殖状況( 産歴 種付記録 分娩間隔 ) を記録 確認することもできる さらに 複数の管理者 ( 例 : 家族 従業員間 ) に 図 6. 1 年 1 産 を実現するための繁殖管理回転盤今回製作した繁殖管理回転盤にもこれまでの調査結果を反映させ 繁殖管理 ( 分娩から妊娠が確定するまで ) のみに特化している点が大きな特徴であり "1 年 1 産 " を実現することを意識して製作した そのため 目盛り間隔が広いため視認性が高くシンプルな文字盤となっている 製作の背景と狙いは スマートフォンアプリの開発と同様であり 分娩日を起点として分娩後の経過日数の把握 発情予定牛 観察注意牛の表示や繁殖状況による色分けにより 牛群の繁殖状況の " 可視化 " を回転盤によって図っている 色分けは 四面がそれぞれ赤色 : 分娩後人工授精待ち 黄色 : 人工授精後妊娠鑑定待ち 緑色 : 35

41 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 妊娠鑑定済み (+) 白色: 発情予定牛からなる四角柱の牛 No.( 名号 ) タグによって行い 繁殖状況に応じてタグを回転させて色を変える仕組みである この回転盤を使用することで 牛群の繁殖状況が直感的に把握できるようになる Ⅲ. まとめこれまでの調査結果から 繁殖成績を改善するためには まず牛群の繁殖状況を農家自身が把握することが必要であり そのためのひとつの手段として今回紹介した繁殖管理ツールを提案することに至った 今回開発した繁殖管理ツールはいずれも製品化され 普及が広まりつつあるところである 36

42 過剰排卵処理における発情開始から AI までの時間と産子の性比について 過剰排卵処理における発情開始から AI までの時間 と産子の性比について 亀樋成美 重永あゆみ 1) 鍋西久 黒木幹也 中原高士 1) 延岡家畜保健衛生所 Effect of time lapse from the onset of estrus after superovulation treatment until insemination on calf sex ratio Narimi KAMEBI,Ayumi SHIGENAGA, Hisashi NABENISHI, Mikiya KUROKI, Takashi NAKAHARA < 要約 > 過剰排卵処理において発情開始から人工授精までの時間及び採胚成績は その後の産子の性比に関係が認められない 胚移植技術を効率的な家畜生産技術として活用するためには安定した採胚成績や受胎率に加え 胚の性比をコントロールする技術が求められている 人工授精 ( 以下 AI) では 歩数計から求めた発情開始から AI までの時間により性比が異なり 早い AI では雄比率が低く 遅い AI では雄比率が高い傾向があると報告されている ( 邉見 2011: 発情開始から 8 時間まで 0% 9~16 時間までは 75.0%) 1) しかし 過剰排卵処理における AI では 発情開始から AI までの時間と胚の性比についての知見は少ない そこで 本研究では過剰排卵処理における発情開始から AI までの時間と性比について検討した 試験方法 1 分析対象平成 20~23 年度までに当場で実施した黒毛和種の採胚成績 (23 頭 59 例 ) と移植後の産子 (180 頭 ) のデータを用いた 2 過剰排卵処理方法および産子の性について発情から 9~14 日目に卵胞刺激ホルモン ( 以下 FSH( アントリン R)) を 20~24AU 3 日間の漸減投与によって行い FSH 投与 3 日目の朝 夕にプロスタグランジン ( ジノプロスト製剤 以下 PG) を投与し 5 日目に AI を 1 回または 2 回行った AI 後 7 日目に胚を回収し 凍結保存 後移植した (180 頭のうち 10 頭は新鮮胚を移植 ) 移植後の出生報告から産子の性を特定した 3 試験区設定発情開始から AI までの平均時間以前 ( 早い AI) と以後 ( 遅い AI) に分けて比較した 発情開始から AI までの平均時間は 1 回 AI では 13 時間 ( 最小 0 時間 最大 22 時間 ) 2 回 AI のうち 1 回目までは 13 時間 ( 最小 3.5 時間 最大 22.5 時間 ) 2 回目までは 20 時間 ( 最小 6 時間 最大 36 時間 ) であった 4 調査項目 (1) 発情開始時刻および発情持続時間過剰排卵処理 30 日前から歩数計 ( 牛歩 : ( 株 ) コムテック ) を供試牛の前肢に装着し 発情開始は供試牛の歩数が過去 15 日間の同時刻における1 時間当たりの平均歩数を著しく上回った時刻 発情終了は歩数の増加がみられなくなる時刻とし 発情持続時間は発情終了開始から終了時刻までの時間とした (2) 採胚成績採胚成績には 回収総胚数 採胚時の胚のステージおよびランクを調査した 5 統計処理データは統計ソフト JMP を用い X 2 検定による有意差検定を行った 37

43 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 結果 今回 試験で用いた PG( ジノプロスト製剤 ) を 2 回投与 ( 午前 9 時 午後 15 時 ) する過剰排卵処理方法において 発情開始時刻は PG 投与後翌日の 14 時から翌々日の 6 時まで 16 時間の間 (PG 投与後 29~45 時間 ) で全体の 84% が出現しており 出現割合もばらついていた また 発情持続時間において 11 時間以上 13 時間未満で一番高い割合を示した (17%) が 全体的に大きくばらついていた ( 図 1) 産子の性比について 全体の産子の性比は雄 95 頭 (52.8%) 雌 85 頭 (47.2%) であった 発情開始から AI までの産子の性比において 1 回 AI における発情開始から AI までの時間による雄比率は 早い AI で 42.9% 遅い AI で 54.5% となり 性比に有意な差は認められなかった ( 表 1) また 2 回 AI においても発情開始から AI までの時間と産子の性比との間に特定の関係は認められなかった ( 表 2) さらに 発情持続時間や採胚時の胚のステージ ランクと性比との間にも特定の関係は認められなかった 以上のことから 過剰排卵処理による採胚においては 発情開始から AI までの時間により産子の性比に有意な差や傾向がないことが明らかとなった ( 表 3) 考察 子の受精能獲得時間 (Y 精子のほうが早く受精能を獲得する ) や生存率 (X 精子のほうが寿命が長い ) に差があることがあげられる 牛の排卵時期は 通常発情開始から約 32 時間後であるとされ 早い AI では卵管膨大部に X 精子よりも早く受精能獲得した Y 精子が到達するため その後排卵した卵子と受精するまで時間がかかり死滅するため 卵管膨大部に後から到達した X 精子が受精する割合が高まると考えられ 逆に 遅い AI では卵管膨大部到達後排卵までの時間が短いことから Y 精子が受精する割合が高まることから 遅い AI では雄比率が高いと考えられる 2) しかし 過剰排卵処理において発情開始から AI までの時間と産子の性比には差がみられなかった これらの要因として 通常の過剰排卵処理においての排卵は継続的に行われていることから X/Y 精子の受精能獲得時間 生存率の差と排卵とのタイミングによる産子の性比への影響が少なくなったためと推測される よって 今後は 性腺刺激ホルモン ( 以下 GnRH) を利用して排卵の同期化した場合の性比について検討する必要がある 体外受精由来胚においては 雌胚よりも雄胚の方が発育のスピードが早い傾向にあることが報告されているが 本研究においては 胚の発育速度を示す胚のステージと性比についても関係が認められなかった 3) 発情開始時刻 Martinez.F et al.(2004) は 発情観察により発情開始時刻を特定し 発情開始から AI までの時間により 2 区に分けた結果 早い AI(8~ 18 時間 ) では雄産子比率が低く (27.0%) 遅い AI(30 時間以上 ) では高い (72.1%) 2) と報告している また 邊見ら (2010) は 今研究と同様に歩数計を用いて発情開始時刻を特定し 発情開始から AIまでの時間により 3 区に分けた結果 早い AI では雄比率が有意に低いと報告している ( 早い AI(0~8 時間 ):0% 中間 AI(9~16 時間 ):75% 遅い AI(17~24 時間 ):46.7% (P<0.05)) 1) これら 発情から AI までの時間により産子の性比に差が見られる要因の一つとして X/Y 精 38

44 過剰排卵処理における発情開始から AI までの時間と産子の性比について 発情持続時間 後期桑実胚 53.8(57/106) 採胚時の 胚ステージ 初期胚盤胞 50.0( 31/62) 胚盤胞 60.0( 6/10) 拡張胚盤胞 50.0( 1/2 ) A 50.0( 1/2 ) 採胚時の 胚ランク A 53.2(83/156) B 50.0( 10/20) B 50.0( 1/2 ) 図 1 PG 投与後の発情開始時刻と発情持続時 間の割合 表 1 発情開始から AI までの時間と産子の性との関係発情開始から AI 授精回数雄比率 %( 頭数 ) までの時間 1 回 AI 早い AI( 13) 42.9( 8/14) 遅い AI(13<) 54.5( 15/33) 表 2 2 回 AI 時における発情開始から AI までの時間と産子の性との関係 AI 区分 1 回目 2 回目 早い ( 13h) 早い ( 13h) 早い ( 20h) 遅い (20h<) 雄比率 %( 頭数 ) 59.5(22/37) 41.7(10/24) まとめ 過剰排卵処理において発情開始から AI までの時間により産子の性比に有意な差や傾向はない 参考文献 1) 邉見広一郎ら : 歩数計測による発情開始から人工授精までの時間と発情同期化が黒毛和種子牛の性比に及ぼす影響 宮崎大学農学部研究報告 57 巻 (2011) 2)Martinez.F et al.:effect of the interval between estrus onset and artificial insemination on sex ratio and fertility in cattle:a field study. Theriogenology (2004) 3) 大久津昌治ら :PCR 法によるウシの初期胚と胎子の性判定 西日本畜産学会報 (1994) 遅い (13h<) 遅い (13h<) 早い ( 20h) 遅い (20h<) 54.5( 6/11) 54.1(33/61) 表 3 採胚成績と産子の性との関係雄比率 %( 頭数 ) 発情持続時間 ( 時間 ) ( 33/58) ( 40/84) ( 22/37) ( 20/41) 回収総胚数 ( 個 ) ( 55/98) ( 10/19) ( 10/22) 39

45 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) FSH 単回投与法における ecg 投与および PRID 抜去時期の検討 坂口浩平 重永あゆみ 1) 鍋西久 中原高士 1) 延岡家畜保健衛生所 Examination for the timing of administration of ecg and PRID removal in the FSH single dose. Kohei SAKAGUCHI, Ayumi SHIGENAGA, Hisashi NABENISHI, Takashi NAKAHARA < 要約 > 過剰排卵処理における卵胞刺激ホルモン (FSH) の単回投与法について さらなる採卵成績の向上に役立つ可能性が示唆された妊馬血清性性腺刺激ホルモン (ecg) の効果的な投与時期と卵胞波調整に使用するエストラジオールカプセル付き膣内挿入型プロゲステロン製剤 (PRID テイゾー ) 抜去時期について検討を行ったところ PRID 挿入日から数えて6 日目の午後に抜去することで未受精卵数が減少することが確認され また同時期の ecg 投与が採卵総数の増加に効果を示す可能性が示唆された ウシ体内胚生産における過剰排卵処理法として広く用いられている卵胞刺激ホルモン ( 以下 FSH) の漸減投与法と比較して生理食塩水を溶媒とした皮下単回投与法は同等の採卵成績を示すことがわかっている 1) これに妊馬血清性性腺刺激ホルモン ( 以下 ecg) を併用することで発育卵胞数および採卵総数が増加する傾向が認められたが 投与時期によっては受精タイミングのずれを引き起こす可能性が示唆された 2) そこで単回投与法における正常胚回収率の向上を目的として ecg の効果的な投与時期および前処理に用いるエストラジオールカプセル付き膣内挿入型プロゲステロン製剤 ( 以下 PRID) の適切な抜去時期について検討した 試験方法 1 試験区設定試験区は1 区 (ecg400iu をPRID 膣内挿入後 6 日目 ( 以下 day6) 朝に筋肉内投与 ) 2 区 (ecg400iu を day6 夕に筋肉内投与 ) 3 区 (ecg 非投与 ) を設け 表 1のとおり反転試験を行った また全区ともPRIDを day6 夕に膣内より抜去した 2 供試牛場内繋養の黒毛和種経産牛 3 頭を供試した 表 1 反転試験試験牛 1 回目 2 回目 3 回目 A 1 区 2 区 3 区 B 2 区 3 区 1 区 C 3 区 1 区 2 区 1 区 (ecg 朝投与 ) 2 区 (ecg 夕投与 ) 3 区 ( 非投与 ) 3 過剰排卵処理過剰排卵処理に伴う処置は 表 2に示すスケジュールに準じて行った 発情前後 3 日間を避けて PRID( テイゾー ) を膣内挿入 (day0) 後 プロスタグランジン ( 以下 PG ( エストラメイト3ml)) 投与および FSH の単回投与法により過剰排卵処理 (day4) 後 PRID を抜去 (day6 夕 ) し GnRH 製剤 ( イトレリン2.5ml) の筋肉内投与 (day7) により排卵を誘起 同一ロットの精液ストローを使用して定時 AI(day8) その7 日後 (day15) 定法により採卵を行った 採卵後はPGを頸部筋肉内投与 および2% イソジン液 50mlを子宮内へ注入した FSH 投与方法 :FSH( アントリンR lot )20auを50mlの生理食塩水に溶解し 頸部皮下 1カ所に投与 ecg 投与方法 :ecg( セロトロピン )1000iu 1 アンプルを5mlの生理食塩水で溶解し 400iu(2m l) を day6 朝 (1 区 ) day6 夕 (2 区 ) にそれぞれ頸部筋肉内投与 40

46 FSH 単回投与法における ecg 投与および PRID 抜去時期の検討 4 調査項目 (1) 採胚成績 (2) 発情開始時期歩数計 ( 牛歩 :( 株 ) コムテック ) もしくはヒートマーカーにより推定 (3) 超音波による卵巣所見 FSH 投与直前 (day4) からAI 翌日 (day9) まで,2 4 時間ごとに卵巣をエコーにて観察し, 大, 中, 小の各卵胞数の変化を記録 さらに採胚時の黄体数および遺残卵胞数も記録した 5 統計処理データは統計ソフト JMP を用い分散分析後に Tukey の HSD 検定を行った % の値については アークサイン変換をした後有意差検定を行った とができると示唆された 表 5 胚ランク別成績 区分 A 胚数 B 胚数 C 胚数 Aランク胚率 1 区 % 2 区 % 3 区 % 胚のランク別採胚成績を表 5に示した 有意差は認められなかったものの ecg の投与を 午前に行った1 区ではAランクの良質な胚の割合 が低く 一方で午後に行った2 区においては対照 区である3 区と比較してAランク胚の割合が高く なる傾向が見られた 結果および考察 各区の採卵成績を表 3に示した 有意差が認められなかったが ecg 投与とPR ID 抜去を同時に行った2 区で黄体数 採卵総数 正常胚数の増加傾向を示した その一方で 変性卵数や未受精卵数も増加傾向を示したため各試験区間での正常胚率に差は見られなかった 表 4のとおり 全 9 回の過剰排卵処理のうち7 回で発情確認から AI までの時間が 24 時間以内となっており 正常胚率についても 50% 以上の結果となった 表 4 採卵回別正常胚率 区分 試験牛 発情確認から AI までの時間 (h) 正常胚率 A % 1 区 B % C % A % 2 区 B % C % A % 3 区 B % C % PRID 抜去を day6 朝に行った試験では 発情確認から AI までの時間が 24 時間を超えるものが ecg 投与区の過剰排卵処理 6 回中 4 回で見られた 2) ことから ecg の投与によって発情開始時期が早まる可能性が高く それに対してPRID 抜去を半日遅らせることで受精のずれを改善するこ 図 1 平均卵胞数推移 41

47 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 図 1に FSH 投与後 AI 翌日までの卵巣における卵胞数の推移について示した 採卵総数 黄体数がともに多かった 2 区においては 他の試験区と比較して各卵胞数が高い値で推移しているが 各卵胞数の全体的な動向に差は見られず ほぼ同等であると考えられた なお 採卵日における遺残卵胞 ( 大卵胞 ) 数も差は認められなかった まとめ ecg は,FSH 様の作用と黄体形成ホルモン ( 以下 LH) 様の作用を合わせ持つ このことから,eCG 投与により非投与区と比較して早い LH 放出が起こるため 発情開始が早まると考えられる そのため 卵胞波の調整に用いる PRID の抜去を遅らせることにより発情時期を調整することが可能であることが示唆された ecg 投与の時期については 有意差が認められなったものの2 区において採胚総数 Aランクの良質胚割合において良好な結果が得られる傾向が認められたことから PRID 抜去と ecg の投与は day6 夕に同時に行うことが採胚成績の向上に結び付く可能性が高いと考えられた 参考文献 1) Superovulatory response in Japanese black cattle by a single subcutaneous administration of pure follicle-stimulating hormone dissolved in saline. Journal of Reproduction, Fertility and Development 23(1) )eCG 製剤を併用したFSH 単回投与による過剰排卵処理方法の検討. 重永あゆみ, 鍋西久, 鎌田博志, 中原高士. 宮崎県畜産試験場研究報告第 25 号 表 2 過剰排卵スケジュール Day0 Day4 Day5 Day6 Day7 Day8 Day15 AM PG (9:00) PRID in FSH(1shot) ecg(1 区 ) 採卵 PM PRID out (16:00) ecg(2 区 ) GnRH AI 表 3 採卵成績区分 黄体数 遺残卵胞数 採卵総数 正常胚数 変性卵数 未受精卵数 正常胚率 1 区 区 区

48 FSH 製剤単回投与法 OPU における卵胞波調節法の検討 FSH 製剤単回投与法 OPU における卵胞波調節法の検討 亀樋成美 重永あゆみ 1) 鍋西久 黒木幹也 中原高士 1) 延岡家畜保健衛生所 Examination of follicular wave control on OPU using a single-dose method of FSH. Narimi KAMEBI,Ayumi SHIGENAGA, Hisashi NABENISHI, Mikiya KUROKI, Takashi NAKAHARA < 要約 >FSH 製剤単回投与法 - 経膣採卵 (OPU) において 主席卵胞除去 (DFR) 処理による卵胞波調節の代替法を検討したところ 牛用腟挿入プロジェステロン 安息香酸エストラジオール配合剤 (PRID) 処理による卵胞波調節を用いても OPU 成績および胚発生成績に有意な差が認められなかった よって FSH 製剤単回投与法 -OPU 時の卵胞波調節法は PRID 処理で代替可能であり 手技の簡素化が図れた 我々は前年度の経膣採卵 ( 以下 OPU) 前卵胞刺激ホルモン ( 以下 FSH) 製剤投与法試験において OPU 前の FSH 製剤単回投与と漸減投与法を比較検討したところ 卵胞数推移 OPU 成績および胚発生成績に有意な差が認められず FSH 投与による回収 正常卵総数の増加も認められたことから FSH 製剤単回投与法を用いることにより胚生産性が向上し 手技の簡素化が図れ た 1) 本試験では FSH 製剤単回投与法 OPU 技術をさらに実用的なものとするため FSH 製剤単回投与前の卵胞波調節において 煩雑かつ機械的な作業が伴う主席卵胞吸引除去 ( 以下 DFR) をより簡便な手法である牛用腟挿入プロジェステロン 安息香酸エストラジオール配合剤 ( 以下 PRID) 処理による調節法で代替可能であるかを OPU 後の胚生産性について比較検討した 試験方法 1 供試牛場内繋養の黒毛和種繁殖雌牛 2 頭を供試した 2 試験区設定試験区 :PRID による調節法対照区 :DFR 及びエストラジオール ( 以下 EB) を除去した PRID 腟内挿入 ( 以下 PRID(EB 除去 )) 無処置区 : 卵胞波調節および FSH 投与なし OPU なお FSH 投与間隔は 3 週間以上とし OPU は反転試験を 2 回行った 3 FSH 投与方法単回投与法は FSH10AU を指定量の生理食塩水 (10ml) に溶解し 頸部皮下 1 カ所に投与した OPU は FSH 投与後 48 時間後に 家畜改良センターのマニュアル 2) に準じ 定法にて行った 4 経膣採卵 (OPU) OPU 試験スケジュールは 以下 ( 図 1) に示した 図 1 OPU 試験スケジュール (1) 試験区 (PRID 区 ) ア PRID 挿入の 4 日前にウェーブコントロールのため OPU を実施した ( 無処置区 ) イ PRID 挿入後 4 日目から FSH 投与 ( 単回投与 ) を行い 投与開始 48 時間後家畜改良センターのマニュアル 2) に準じ 定法にて行った OPU 時に PRID を除去した (2) 対照区 (DFR 区 ) ア. 卵胞吸引 (DFR) PRID(EB 除去 ) 挿入の 4 日前にウェーブコントロールのため OPU を実施した ( 無処置区 ) 43

49 宮崎県畜産試験場試験研究報告 第 26 号 2014 イ 卵胞吸引後 2 日目から FSH 投与(単回投与) 結 を行い 投与開始 48 時間後家畜改良センタ ーのマニュアル2 に準じ 定法にて行った 5 果 図 2 に 試験区 PRID 区 における PRID 挿 OPU 時に PRID EB 除去 を除去した 入前から OPU 時まで および対照区 DFR 区 体外培養 における DFR 前から OPU 時までの卵胞数 平均 2 回収した卵子は G1 G6 にランク分けし G1 G4 を体外胚培養に供した (1) 成熟培養 の推移を示した 試験区 PRID 区 においても対照区 DFR 区 と同様に FSH 単回投与前の卵胞波調節作用が認 回収した卵丘細胞卵子複合体 以下 COCs を 修正リン酸緩衝液 以下 m PBS で 3 回洗浄後 FSH Estrediol-17β ピルビン酸および抗生剤 められ FSH 投与から OPU までの卵胞数推移に 差はなかった また OPU 時の平均卵胞数では各試験区間に を添加した 5%FCS TCM199 でさらに洗浄し 同 有意差はないものの OPU 時の中卵胞数は試験 培養液で作成したドロップを成熟培地として 区 対照区ともに無処置区より増加傾向を示し %CO2 in air た 表1 湿潤条件下のインキ ュベータ内で 20~22 時間培養した (2) 媒精 黒毛和種凍結精液ストローを用いた 成熟培 養後の COCs を媒精液 IVF100 ペプチド研 で 胚発生成績において試験区 PRID 区 対照 区 DFR 区 無処置区に有意な差はなかった 特に FSH 投与による回収卵数 胚盤胞発生個 数の増加は認めらなかった 表2 洗浄後 定法に従い 6 時間媒精を行った (3) 発生培養 媒精後の COCs をピペッティングによって裸 化し 無血清培地 グルコース無添加 SOFaa-PVA に EGF IGF Ⅰ トランスフェリン セレンを 添加したものに培養 6 日目からグルコース 4.0mM を添加 を用い 5%CO2 5%O2 90%N2 の気相条件下のインキュベータ内で 8 日間培養 した 6 調査項目 (1 超音波による卵巣所見 試験区 PRID 区 において PRID 挿入前 PRID 挿入後 時間後 および OPU 時に超音波診断装置 HS-101V (株)本多電子 により卵巣所見を観察 対照区 DFR 区 においても 同様に DFR 前 DFR 後 時間後 および OPU 時に測定 を行った 卵胞所見は 大卵胞 10mm 以上 中卵胞 6~9mm 小卵胞 5mm 以下 に区分し 各卵胞個数と黄体所見を記録した (2 OPU 時の回収卵子の数およびグレード (3 媒精 48 時間後の分割率 5 日目の桑実胚率 6~8 日目の胚盤胞率 7 統計処理 データは統計ソフト JMP を用い分散分析後に Tukey の HSD 検定を行った %の値については アークサイン変換をした後有意差検定を行った 44 図 2 試験区 PRID および対照区 DFR にお ける OPU 時までの卵胞数 平均 の推移

50 FSH 製剤単回投与法 OPU における卵胞波調節法の検討 表 1 OPU 時の平均卵胞数試験区 例数 大 中 小 計 試験区 (PRID) 対照区 (DFR) 無処置区 表 2 胚発生成績 試験区 回収卵数 供試卵数 分割率 (%) 桑実胚率 (%) 胚盤胞発生率 (%) 媒精後 7 日目媒精後 8 日目 試験区 (PRID) 10.5± ± ± ± ± ±15.1 対照区 (DFR) 12.3±4.0 10± ± ± ± ±15.8 無処置区 11.1± ± ± ± ± ±6.6 考 察 PRID を用いた過剰排卵処理での卵胞波調節において FSH 単回投与法による採卵成績では 従来の漸減投与法と同等の成績が得られていることから 3) FSH 単回投与 OPU における卵胞波調節を PRID で可能であるかを従来の卵胞波調節法である主席卵胞除去 (DFR) で比較したところ 同等の OPU 成績と胚発生成績を示した さらに OPU 前の FSH 投与による中卵胞数の増加も試験区 (PRID) で認められたことから FSH 単回投与 OPU の前処理の簡易化が図れた よって OPU 前の機械的な作業が伴わず OPU が行えるため現地 OPU での活用が期待される まとめ FSH 単回投与 OPU において 主席卵胞除去 (DFR) 処理による卵胞波調節は牛用膣挿入プロジェステロン 安息香酸エストラジオール配合剤 (PRID) 処理で代替できる可能性が示された 参考文献 1) 重永あゆみ FSH 単回投与法を利用した OPU-IVF 方法の検討 宮崎県畜産試験場研究報告第 25 号 2) 独立行政法人家畜改良センター ウシ生体卵子吸引 体外受精技術マニュアル家畜改良センター技術マニュアル 19,200 3) 倉原貴美農林水産研究指導センター ウシ腟内留置型ホルモン製剤 (PRID) を活用した過剰排卵処理 45

51 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 乳用牛の受胎率に及ぼす諸要因 西村慶子 鶴田清秀 恒吉吉和 中園締二 The factor exerted on reproduction of a dairy cow Keiko NISHIMURA, Kiyoshide TSURUTA,Yoshikazu TSUNEYOSHI, Teiji NAKAZONO < 要約 > 乳用牛の受胎率に及ぼす要因として, 発情行動または分娩後の繁殖機能修復状況との関係を調べた 試験 1: 発情行動は歩数計型発情発見装置を用い, 歩数が著しく増加した日を発情日とし, 発情開始時刻, 発情持続時間および発情開始から人工授精までの時間を調査した 初産牛と2 産以上の経産牛は, 発情開始時刻および持続時間が異なることが示された さらに人工授精までの時間は, 初産牛で経産牛よりも長い傾向を示した 試験 2: 分娩後の子宮および卵巣動態は超音波型診断装置を用い, 分娩後 25,45および60 日に子宮内膜状況および黄体出現状況を調査した 分娩後 25 日目の子宮内にヒダが確認できた場合, または卵巣に黄体が確認できた場合に受胎までの日数が最も短かった このことから, 初産牛と経産牛では授精適期が異なることが明らかとなり, さらに分娩後の繁殖機能修復状況は受胎率に影響を及ぼすことが示された 近年, 飼料価格の高止まりと牛乳の消費低迷により酪農経営は圧迫されている状況の中, 乳用牛の受胎率低下の問題が指摘されている 受胎率の低下は, 乳用牛だけでなく肉用牛でも同様に認められており,1989 年の受胎率は, 乳牛 62.4 %, 肉用牛 67.5% であったのに対し,2007 年では, 乳牛 48.7%, 肉用牛 57.9% であることから, 乳用牛で大きな低下が認められている ( 家畜改良事業団 2007) このような乳用牛における受胎率の低下は, 生産性を低下させ酪農経営に影響を及ぼす要因の一つと考えられる 受胎率の低下を引き起こす要因の一つに, 牛の発情行動の不明瞭化が考えられている 乳量中心に改良された乳用牛を対象とした報告は少ない そこで, 本研究では受胎率改善に向けて基礎的知見を得るために, 乳用牛の発情行動および分娩後の生殖機能の動態が受胎率に及ぼす影響を調査した 試験方法 試験 1 泌乳牛の発情行動が受胎率に及ぼす影響供試牛は,2008 年 8 月から 2013 年 4 月に宮崎県畜産試験場内で分娩したホルスタイン種泌乳牛延べ 95 頭 ( 初産牛 45 頭,2 産以上の経産牛 50 頭 ) を用いた 発情行動は,24 時間の行動量をリアルタイムで把握できる歩数計型発情発見装置 ( 牛歩 : 株式会社コムテック, 宮崎 ) を用い, 歩数が著しく増加した日を発情日とした また, 歩数が増加した時間を発情開始時間とし, 発情開始時間から非発情時の歩数に戻った時間を発情持続時間とした ( 図 1) さらに, 発情時の歩数増加率は, 発情持続時間の総歩数を非発情時の同時間帯の総歩数で除して求めた 人工授精は, 発情開始時刻から 8-30 時間に子宮角付近に行い, 妊娠鑑定を人工授精から 35 日目に実施した 46

52 乳用牛の受胎率に及ぼす諸要因 試験 2 ぼす影響 発情開始時間 図 1 発情時の歩数グラフ 分娩後の子宮および卵巣動態が受胎率に及 供試牛, 発情行動の把握ならびに人工授精は試験 1 と同様である 発情持続時間 分娩後の子宮および卵巣動態は, 分娩後 25 日目 に超音波診断装置 ( 以下, 超音波 ) を用いて行った 子宮は, 妊娠角の子宮内膜の状態からヒダあり, ヒダなし, 貯留物およびエコージェニックラインの 4 種類に分類した ( 写真 1) 卵巣は, 黄体または卵胞の出現状態を調査した 表 1 泌乳牛の産次の違いと発情開始時刻との関係 発情開始時刻 初産牛 経産牛 0:00~6:00 19 (47.5) 14 (30.4) 7:00~12:00 6 (15.0) 10 (21.7) 13:00~17:00 5 (12.5) 11 (24.0) 18:00~23:00 10 (25.0) 11 (24.0) *( ) は割合を示す 泌乳牛の産次の違いと発情持続時間との関係を表 3, 発情持続時間と受胎率との関係を図 2 に示した 発情持続時間は, 初産牛の 80% で 6-11 時間, 経産 牛の 60% で 9-14 時間を示した 発情持続時間が 14 時間以内の場合, 初産牛では持続時間が長くなるの に伴い受胎率が高まり, 経産牛では持続時間の影響 はみられなかった しかし,15 時間以上であれば, 産次間の違いは認められなかった 表 2 泌乳牛の産次の違いが発情持続時間に及ぼす 影響 発情持続時間 初産牛 経産牛 1~4 2 (5.0) 5 (10.9) 5~7 14 (35.0) 5 (10.9) 8~10 17 (42.5) 11 (23.9) 11~13 6 (15.0) 20 (43.5) 14~16 1 (2.5) 5 (10.9) *( ) は割合を示す ヒダあり ヒダなし 貯留物空洞 エコージェニック 図 2 発情持続時間が受胎率に及ぼす影響 写真 1 子宮内膜の状況 結果と考察 試験 1 泌乳牛の発情行動が受胎率に及ぼす影響泌乳牛の産次の違いと発情開始時刻との関係を表 1に示した 初産牛の発情開始時刻は,0:00-6:00 に半数の牛で確認されたが, 経産牛には一定の傾向は認められなかった 泌乳牛の産次の違いと歩数増加率との関係を表 2, 歩数増加率と受胎率との関係を図 3 に示した 発情時の歩数増加率は, 初産牛および経産牛ともに約 70 % の牛で 2-5 倍を示した さらに, 両者とも増加率が高まるに伴い, 受胎率は高まった 47

53 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 3 泌乳牛の産次の違いと歩数増加率との関係 歩数増加率 初産牛 経産牛 1~2 9 (22.5) 12 (26.1) 3~4 21 (52.5) 18 (39.1) 5~6 6 (15.0) 10 (21.7) 7~8 2 (5.0) 3 (6.5) 9~10 2 (5.0) 3 (6.5) *( ) は割合を示す 試験 2 分娩後の子宮および卵巣動態が受胎率に及ぼす影響分娩後の子宮内膜状況が人工授精に及ぼす影響を表 5 に示した 受胎率は 泌乳牛 24 頭のうち, ヒダあり, ヒダなし, エコージェニックラインおよび貯留物の順に,37.5%,41.6%,8.3 % および 12.5% であった 初回人工授精までの日数は, ヒダあり, エコージェニックライン, ヒダなしおよび貯留物の順に短く, 最終人工授精までの日数でも同様であった なお, 人工授精の回数もヒダありよりも貯留液で多かったことから, 子宮内膜の状態が人工授精に影響を及ぼす可能性が推察された 図 3 歩数増加率が受胎率に及ぼす影響 泌乳牛の産次の違いおよび発情開始から人工授精 までの時間が受胎率に及ぼす影響を表 4 に示した 受胎率は初産牛で AI までの時間が 19 ~ 21 時間の 場合に最も高く, 経産牛で 13 ~ 15 時間の場合に最 も高い値を示した 表 4 泌乳牛の産次および発情開始から人工授精ま での時間が受胎率に及ぼす影響 発情開始時刻から人工授精までの時 初産牛 経産牛 (6/9) 69.2 (9/13) (4/8) (5/5) (8/11) 85.7 (6/7) (7/8) 60.0 (3/5) (1/1) 70.0 (7/10) (1/5) 66.7 (6/9) 表 5 す影響 子宮内膜の状 1 態 子宮内膜の状況が人工授精までの日数に及ぼ 人工授精頭数 初回人工授精までの日数 最終人工授精までの日数 ヒダあり ヒダなし エコージェニックライン 貯留液 妊娠角の分娩後 25 日目状態 分娩後の卵巣状態が人工授精に及ぼす影響を表 6 に示した 泌乳牛 21 頭のうち, 分娩後 25 日以内に 排卵した頭数は約半数を占めていた 初回人工授精までの日数および最終人工授精までの日数は, 黄体出現日数が早いほど短かった 以上から, 発情開始時刻および発情持続時間は, 産次数により時間が異なることが示された また, 産次数に関わらず, 明瞭な発情行動 ( 高い歩数増加率 ) を示す場合に, 受胎率は高まることが明らかとなった さらに, 発情開始から人工授精までの時間は, 初産牛よりも経産牛で短くすることで受胎率が高まることが示唆された 表 6 黄体出現日数が人工授精までの日数に及ぼす 影響 25 26~50 51 人工授精頭数 初回人工授精までの日数 最終人工授精までの日数

54 乳用牛の受胎率に及ぼす諸要因 以上のことから, 分娩後の子宮内膜状況および卵巣への黄体出現日数は, 人工授精までの日数に影響することが示され, 最終人工授精までの日数に最大で 100 日間の違いがあることが示された これらのことから, 泌乳牛は産次 ( 初産または経産 ) の違いが, 発情開始時間および持続時間に影響を及ぼし, 発情開始時刻から人工授精までの時間が受胎率に及ぼす影響は, 初産牛と経産牛で異なることが明らかとなった さらに, 分娩後 25 日目での子宮回復状況または黄体出現は, 受胎率に影響を及ぼす可能性が示された 文献 家畜改良事業団 平成 19 年度受胎成績. 49

55 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 飼料用ムギ類サイレージの栄養価および乳用牛への給与が乳生産に及ぼす影響 西村慶子 恒吉吉和 鶴田清秀 中園締二 Effect of oat or barly silage on Rumen Fermentation and Milk Production in Dairy Cows Keiko NISHIMURA, Yoshikazu TSUNEYOSHI, Kiyoshide TSURUTA, Teiji NAKAZONO, Takashi NAKAHARA < 要約 > 乳用牛における飼料用ムギ類サイレージの給与が, 第一胃内溶液性状ならびに乳生産に及ぼす影響を調べた 3 頭のホルスタイン種搾乳牛を用い, 対照区にはエンバク乾草であるオーツヘイを給与し, 試験区はエンバクサイレージ ( エンバク区 ) またはオオムギサイレージ ( オオムギ区 ) をオーツヘイに置き換えて給与した エンバクおよびオオムギサイレージの発酵品質は, 良好であった 飼料成分のうち TDN 含量はオーツヘイよりもエンバクおよびオオムギサイレージで高かった (P<0.05) これらを泌乳牛に給与した結果, 第一胃内 ph, 総 VFA 含量,VFA 構成比およびアンモニア態窒素含量に区間差は認められなかった また, 乾物摂取量, 乳量および乳成分にも区間差は認められなかった 以上の結果から, エンバクまたはオオムギサイレージはオーツヘイの代替飼料として泌乳牛に給与しても, 乳生産に影響を及ぼさないことが示された 輸入飼料価格の高止まりによる飼料コストの増加は酪農経営を圧迫する一つの要因である そこで自給飼料を積極的に利用する飼料給与体系が求められており, 限られた作付面積から最大研の飼料を得る必要がある 近年, 水田を高度利用するために, 飼料用イネ収穫後に飼料用ムギを作付する栽培体系の検討が行われている 飼料用ムギ類には, エンバク, オオムギ, コムギおよびライムギ等などがあり, これらは青刈り, 乾草あるいはサイレージに利用されてきた これまでコムギ, ライムギおよびハダカムギ等のサイレージ調製に関する報告がある (Zhang ら 1997; 浦川ら 2003b; 守谷ら 2008; 水流ら 2009) ものの, エンバクやオオムギのサイレージ調製に関する報告は少ない ( 服部ら 2006) さらに, 飼料用ムギ類サイレージの泌乳牛への給与が乳生産に及ぼす影響に関する報告はみられない そこで, 輸入乾草であるオーツヘイの代替飼料として飼料用ムギ類サイレージを利用するため, それ らの栄養価および泌乳牛への給与が乳生産に及ぼす影響を検討した 試験方法 1. 供試動物, 供試飼料および飼養管理本研究は 2011 年 11 月から 12 月にかけて宮崎県畜産試験場で実施した 飼料用ムギ類として, エンバクおよびオオムギを用いた サイレージ調製は, 乳酸菌 ( 畜草一号 ) を添加し, ダイレクト収穫機を用いて行った また, トウモロコシサイレージおよびイタリアンライグラスサイレージについては宮崎県畜産試験場内の圃場で栽培 収穫したものを用いた 給与飼料には, 対照区としてオーツヘイを混合した区 ( 以下, 対照区 ) を設定し, 試験区にはエンバクサイレージまたはオオムギサイレージを乾物ベースで 20% 混合した区 ( 以下, それぞれエンバク区およびオオムギ区 ) を設定した ( 表 1) 供試牛にはホルスタイン種泌乳牛 3 頭 ( 試験開始時の平均分娩後日数 139 ±11 日, 産次数 2 および 3 産 ) を用 50

56 飼料用ムギ類サイレージの栄養価および乳用牛への給与が乳生産に及ぼす影響 い, 予備期 10 日, 本期 3 日を 1 期とする 3 3 ラテ ン方格法により泌乳試験を実施した. 飼料の給与量 無脂固形分率および MUN) をコンビフォス (Foss Electric, HillerØd, Denmark) で分析した は前日摂取量の 110% とし,13:00 および 17:00 に半 量ずつ給与し, 飲水と鉱塩は自由摂取とした. 試料採取はTMR 調製ごとに行い, 各飼料の化学成分の測定に供した. 残食は 13:00 に回収した. 搾乳は 1 日 2 回 8:30 および 16:00 に行い, 乳量をミルキングパーラー内に設置したミルクメーターで毎日計量した. 牛乳の一定量 (500mL) を冷蔵保存 (4 ) し, 乳成分を本期間中毎日依頼した. 表 1 給与飼料の原料構成割合, 化学成分および栄 養価 エンバク区オオムギ区 対照区 配合割合エンバクサイレージ % 乾物 オオムギサイレージ オーツヘイ トウモロコシサイレージ イタリアンサイレージ ルーサン乾草 濃厚飼料 化学成分水分 (%) 粗タンパク質 (% 乾物 ) TDN 1 (% 乾物 ) 可消化養分総量 ( 設計値 ) 2. 試料の分析方法 飼料摂取量については本期に給与量と残食量を 秤量し, 乾物率を測定した後, 乾物摂取量を算出した. 供試飼料の乾物 (DM), 粗タンパク質 (CP), 粗灰分 (CA) 含量については, 常法により測定し ( 自給飼料利用研究会 2009), 耐熱性 αアミラーゼ処理中性デタージェント繊維 (andfom) 含量については,AOAC(2005) の方法により測定した 可消化養分総量 (TDN) 含量については, ルーメン ペプシン法 (Minson と McLeod 1972) により測定した 結果と考察 飼料用ムギ類サイレージの発酵品質を表 2 に示した エンバクサイレージおよびオオムギサイレージの ph, 有機酸組成および VBN 含量に差は認められず,V-SOCRE も同程度であった これは, コムギを飼料用イネ専用収穫機でサイレージ調製すると, 乳酸含量が高く酪酸含量が低い良好な発酵品質が得られることを報告した守谷ら (2008) と同様であり, 飼料用イネ専用収穫機で調製したエンバクおよびオオムギサイレージにおいても, 良好な発酵品質が得られることが示された さらに, 守谷ら (2008) は, コムギ中にはサイレージ発酵に十分な可溶性炭水化物を含んでいることが良好な発酵品質が得られた要因であると推察している エンバクおよびオオムギの可溶性炭水化物はそれぞれ 18.1% および 18.6% であり, サイレージ発酵に必要とされる 6-8% (Smith 1962) の条件をいずれも充足していたことが, 良好な発酵につながったと考えられた 表 2 飼料用ムギ類サイレージの発酵品質 エンバクサイレージ オオムギサイレージ 水分 (%) ph 有機酸組成 (% 新鮮物中 ) 乳酸 酢酸 プロピオン酸 酪酸 VBN/TN 1 (%) V-SCORE 全窒素中に占める揮発性塩基態窒素の割合 第一胃内溶液性状については, 遠心分離 (1500 g,20 分 ) した上清を用いて, 有機酸組成を高速液体クロマトグラフ (CTO-10AV; 株式会社島津製作所, 京都 ) による BTB ポストラベル法, アンモニア態窒素濃度を水蒸気蒸留法で測定した また, 乳成分含量 ( 乳脂肪率, 乳タンパク質率, 乳糖率, 飼料用ムギ類サイレージの飼料成分を表 3 に示した 乾物および有機物はオーツヘイよりもエンバクおよびオオムギサイレージで低く (P<0.05), 粗タンパク質は, オーツヘイ, エンバクサイレージおよ 51

57 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) びオオムギサイレージの順に高かった andfom に 処理間差は認められなかったが,ADFom はオーツ ヘイおよびオオムギサイレージよりもエンバクサイレージで高かった (P<0.05) ものの,ADL に差はみられなかった TDN 含量はオーツヘイよりもエンバクおよびオオムギサイレージで高かった (P<0.05) 表 3 飼料用麦類サイレージの飼料成分 エンバクサイレージ オオムギサイレージ - % 乾物 - オーツヘイ 乾物 (%) 27.1 b 27.2 b 86.3 a 有機物 87.3 b 86.7 b 95.1 a 粗タンパク質 7.9 ab 9.1 a 6.1 b andfom ADFom a 31.5 b 33.8 b ADL TDN a 59.7 a 50.8 b 1 耐熱性 α-アミラーゼ処理中性デタージェント繊維. 2 酸性デター ジェント繊維. 3 酸性デタージェントリグニン. 4 表 1 参照. ab P<0.05. 飼料用ムギ類サイレージの泌乳牛への給与が第一胃内溶液性状に及ぼす影響を表 4 に示した 第一胃内溶液の ph, 総 VFA 濃度および VFA 組成に区間差は認められなかった これは, エンバクおよびオオムギサイレージを泌乳牛に給与しても第一胃内の発酵状況は, オーツヘイを給与した場合と同等であることが示唆された さらに, 第一胃内アンモニア態窒素濃度についても区間差は認められず, エンバクおよびオオムギサイレージを給与しても第一胃内の窒素利用はオーツヘイと同程度であることが示された 飼料用ムギ類サイレージ混合 TMR の給与が泌乳牛の摂取量および乳生産に及ぼす影響を表 5 に示した 乾物摂取量, 乳量および乳成分に区間差は認められず, エンバクおよびオオムギサイレージを混合した TMR を泌乳牛に給与してもオーツヘイを混合した TMR と同等な乳生産となることが示された 表 4 飼料用ムギ類サイレージ混合 TMR の泌乳牛への給与が第一胃内容液性状に及ぼす影響 エンバク区オオムギ区 対照区 ph 総 VFA 1 (mmol/dl) VFA 組成 (mol %) 酢酸 プロピオン酸 酪酸 アンモニア態窒素 (mg/dl) 揮発性脂肪酸. 表 5 飼料用ムギ類サイレージ混合 TMR の給与が泌乳牛の摂取量および乳生産に及ぼす影響 表 6 飼料用麦類サイレージ混合 TMRの給与が泌乳牛の 摂取量および乳生産に及ぼす影響 エンバク区 オオムギ区 対照区 乾物摂取量 (kg/ 日 ) 乳量 (kg) FCM 1 (kg) 乳脂肪 (%) 乳タンパク質 (%) 乳糖 (%) 無脂固形 (%) 全固形 (%) MUN 2 (mg/dl) % 補正乳量. 2 乳中尿素態窒素. このことから, 飼料用イネ専用収穫機で収穫したエンバクおよびオオムギサイレージの発酵品質は良好であり, これらを含む TMR を泌乳牛に給与してもオーツヘイを含む TMR と同等な第一胃内の発酵環境および乳生産となることから, エンバクおよびオオムギサイレージはオーツヘイの代替飼料として利用できることが示された 参考文献 服部育男, 佐藤健次, 小林良次, 只野克紀, 上村慶次, 小原信孝, 伊藤尚勝 フレール型ロールベーラで収穫したイネ科飼料作物サイレージの発酵品質. 日本草地学会誌 52, Minson D J and McLeod M N The in vitro technique: Its modification for estimating digestibility of large numbers of tropical pasture samples. CSIRO 52

58 飼料用ムギ類サイレージの栄養価および乳用牛への給与が乳生産に及ぼす影響 Division of Tropical Crops and Pastures Technical Paper 8. Commonwealth Scientific and Industrial Research Organisation, Australia. 守谷直子, 石川哲也, 蔡義民, 吉田宣夫 飼料イネ専用収穫機で調製したコムギホールクロップサイレージの発酵品質. 日本草地学会誌 54, Smith LH(1962) Theoreitival carbohydrate requirement for alfalfa silage production. Agron. J. 54: 水流正裕, 百瀬義男, 高井智之, 中山利明, 渡辺晴彦.2009 フレール型収穫機で収穫 調製したイタリアンライグラス (Lolium multiflorum Lam.) およびライムギ (Sacale cereale L.) のロールベールサイレージ品質. 日本草地学会誌 54, 浦川修司, 吉村雄志, 山本泰也, 小出勇.2003b. 飼料イネ用ロールベーラのライムギ (Secale cereale L.), オオムギ (Hordeum vulgare L.), ライコムギ (Triticum so. X Secale sp.) への適応性. 日本草地学会誌 49, Zhang JG, Kumai S, Fukumi R, Hattori I, Kono T Effects of additives of lactic acid macteria and cellulases on the fermentation quality and chemical composition of naked barley (Hordeum vulgare L. emand Lam) straw silage. Grassland Science 43,

59 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 圧ぺん処理したモミ米の給与割合が乳用牛の第一胃内溶液性状ならびに乳生産に及ぼす影響 西村慶子 恒吉吉和 鶴田清秀 中園締二 中原高士 Effect of the Level of Supplemental Flaked Rice Grain on Rumen Fermentation and Milk Production in Dairy Cows Keiko NISHIMURA, Yoshikazu TSUNEYOSHI, Kiyoshide TSURUTA, Teiji NAKAZONO, Takashi NAKAHARA < 要約 > 乳用牛における圧ぺんモミ米の給与割合が, 第一胃内溶液性状ならびに乳生産に及ぼす影響を調べた.3 頭のホルスタイン種搾乳牛を用い, 対照区にはモミ米を給与せず (0% 区 ), 試験区は乾物ベースで濃厚飼料中の 20%(20% 区 ) および 40%(40% 区 ) をモミ米に置き換えて給与した. 給与飼料のデンプン含量は 0% 区,20% 区および 40% 区の順に 15.6%,21.2% および 22.5% であったが, 第一胃内 ph, 総 VFA 含量,VFA 構成比およびアンモニア態窒素含量に区間差は認められなかった. また, 乾物摂取量, 乳量および乳成分に区間差は認められなかった. 以上の結果から, 搾乳牛に給与する濃厚飼料の一部を圧ぺんモミ米で 40% まで代替することが可能なことが示唆された. わが国の飼料自給率が低いことや近年の輸入飼料の高騰と高止まりによる飼料コストの増大から, 畜産経営基盤の安定 強化のために, 国内産自給飼料を積極的に利用する給与体系の構築が求められており, 国内で生産可能な穀類の 1 つとして飼料用米の利用が検討されている. 一般に, 飼料用米を含む穀類はデンプン質を多く含み, 栄養価が高いものの, これらを乳用牛や緬山羊などの反芻家畜にそのまま給与すると, 未消化子実の排泄によって可消化エネルギー (DE) や可消化養分総量 (TDN) が低くなるため, 破砕などの物理的処理が必要である ( 阿部 2010; 阿部ら 1984). 飼料用米においても, 粉砕処理したモミ米や玄米では第一胃内の乾物消化率が高まること ( 永西ら 2002) や蒸気加熱圧ぺん, 破砕および粉砕した場合には DE および TDN 含量は大きく向上し, エネルギー摂取量を高めることができること ( 関ら 2010) が報告されている. このように, 飼料用米を粉砕や圧ぺん等の処理することでその栄養価は高 まると期待される. 前報 ( 西村ら 2012) では, 圧ぺん処理した飼料用モミ米 ( モミ米 ) の混合割合を変えて乾乳用牛に給与した場合の消化率, 養分摂取量, 第一胃内容物性状および窒素代謝を検討し, モミ米を濃厚飼料中に乾物ベースで 40% 置き換えて給与した乾草主体の TMR においては, 第一胃内 ph の急激な低下や窒素代謝に大きな影響は認められず,TDN 摂取量も同程度であったことを報告した. そこで, 本研究では, 搾乳牛への影響を検討するために, 圧ぺん処理したモミ米の混合割合を変えた TMR を給与した場合の第一胃内溶液性状および乳生産について調査した. 試験方法 1. 供試動物, 供試飼料および飼養管理本研究は2010 年 10 月から11 月にかけて宮崎県畜産試験場で行った. 飼料用米 ( モミロマン ) は宮崎県畜産試験場内の圃場で栽培し, 完熟期で収穫 乾 54

60 圧ペン処理したモミ米の給与割合が乳用牛の第一胃内容液性状ならびに乳生産に及ぼす影響 燥後, 圧ぺん処理したものを用いた. 対照区としてモミ米を含まない区 ( 以下,0% 区 ) を設定し, 試験区にはモミ米を乾物ベースで濃厚飼料中に 20% および 40% の 2 区 ( 以下, それぞれ 20% および 40% 区 ) を設定した ( 表 1). 給与飼料のうちイタリアンライグラス乾草については宮崎県畜産試験場内の圃場で栽培 収穫したものを用いた. 供試牛にはホルスタイン種泌乳牛 3 頭 ( 試験開始時の平均分娩後日数 139±11 日, 産次数 2および3 産 ) を用い, 予備期 1 0 日, 本期 3 日を1 期とする3 3ラテン方格法により泌乳試験を実施した. 飼料の給与量は前日摂取量の 110% とし,13:00および17:00に半量ずつ給与し, 飲水と鉱塩は自由摂取とした. 試料採取はTMR 調製ごとに行い, 各飼料の化学成分の測定に供した. 残食は13:00に回収した. 搾乳は1 日 2 回 8:30および16:00 に行い, 乳量をミルキングパーラー内に設置したミルクメーターで毎日計量した. 牛乳の一定量 (500m L) を冷蔵保存 (4 ) し, 乳成分を本期間中毎日依頼した. 2. 試料の分析方法飼料摂取量については本期に給与量と残食量を秤量し, 乾物率を測定した後, 乾物摂取量を算出した. 供試飼料の乾物 (DM), 有機物 (OM), 粗タンパク (CP), 粗脂肪 (EE), 粗灰分 (CA) 含量については, 常法により測定し ( 自給飼料利用研究会 2009), 耐熱性 αアミラーゼ処理中性デタージェント繊維 (a NDFom) 含量については,AOAC(2005) の方法により測定し, 非繊維性炭水化物 (NFC) 含量については, DM 含量からCP,EE,CAおよびaNDFom 含量を減じて算出し,SDCについては,DM 含量からCP,EE,CA,aND Fomおよび中性デタージェン不溶性タンパク質含量を減じて算出した. デンプン含量は総デンプン量測定キット (TOTAL STARCH ASSAY KIT, メガザイム社製 ) を用いて測定した. 第一胃内溶液性状については, 遠心分離 (1500 g,20 分 ) した上清を用いて, 有機酸組成を高速液体クロマトグラフ (CTO-10AV; 株式会社島津製作所, 京都 ) によるBTBポストラベル法, アンモニア態窒素濃度を水蒸気蒸留法で測定した. また, 乳成分含量 ( 乳脂肪率, 乳タンパク質率, 乳糖率, 無脂 固形分率およびMUN) をコンビフォス (Foss Electr ic, HillerØd, Denmark) で分析した. 表 1 養価 給与飼料の原料構成割合, 化学成分および栄 0% 区 20% 区 40% 区 飼料成分 ( 乾物 %) イタリアン乾草 圧ぺんトウモロコシ 圧ぺん大麦 大豆粕 ビートパルブ 圧ぺんモミ米 添加剤 化学成分および栄養価 ( 乾物中 %) 水分 (%) 有機物 粗タンパク質 粗脂肪 andfom NFC デンプン TDN( 推定値 ) モミ米. 2 耐熱性 αアミラーゼ処理中性デタージェント繊 維 ( 粗灰分含有せず ). 3 非繊維性炭水化物. 4 日本標準飼 料成分表 (2009 年版 ) 結果と考察 圧ぺんモミ米の給与割合が乳用牛の第一胃内容 液性状に及ぼす影響を表 2 に示した. 第一胃内容液 の ph, 総 VFA 濃度および VFA 組成に区間差は認 められなかった. 第一胃内の VFA 組成は, 黒毛和 種去勢牛においてデンプン水準が増加すると第一胃内プロピオン酸の比率が低下し, 酪酸の比率が増加する傾向を示すことが報告されている ( 高橋と阿部 1991). 前報 (2012) でも, 乾乳牛に圧ぺんモミ米を濃厚飼料中の 40% を置き換えて給与した場合, 飼料中のデンプン含量が増加することから, 第一胃内プロピオン酸比率の低下が認められた. しかし, 本研究では, 飼料中のデンプン含量が 0,10 および 20% の順に 15.6%,21.2% および 22.5% と増加したが, プロピオン酸比率の低下および酪酸比率の増加は認められなかった. これは, 牛の生理状態の違い ( 乾乳牛と泌乳牛 ) や, 給与形体の違い ( 制限と飽食 ) が影響を及ぼしたものと考えられ, 泌乳牛に濃厚飼料中の 40% を飼料用米に置き換えても, 第一 55

61 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 胃内溶液性状に影響を及ぼさないことが明らかとなった. 第一胃内アンモニア態窒素濃度についても区間差は認められなかった. 第一胃内アンモニア態窒素濃度は, 泌乳牛に易発酵性炭水化物であるショ糖を添加することで低下傾向を示すが,CP 水準を上げることにより増加することが報告 (Sannes ら 2002) されている. しかし, 本研究においては, 易発酵性炭水化物であるデンプンを多く含むモミ米の給与割合を増やしても第一胃内アンモニア態窒素濃度に区間差は認められず, 乾乳牛に給与した前報 (2012) でも, アンモニア態窒素濃度に区間差は認められなかった. これは, 飼料中の CP 含量が同程度であれば, モミ米の給与割合の増加によってデンプン含量を高めても ( 表 2), この程度の増量であれば第一胃内の蛋白質分解性には影響を及ぼさないことも考えられた. 圧ぺんモミ米の給与割合が乳用牛の乳生産に及ぼす影響を表 3 に示した. 乾物摂取量, 乳量および乳成分に区間差は認められなかった. Silverira ら (2007) は, 大麦の給与割合を変えて飼料中のデンプン含量を高めた飼料を泌乳牛に給与しても, 乳成分に影響を及ぼさないことを報告しており, 本研究での飼料用米の給与結果と一致した. 以上のことから, モミ米を濃厚飼料中に乾物ベースで 40% 置き換えて給与した乾草主体の TMR においては, 飼料中のデンプン含有率が多くなるが, 第一胃内 ph の急激な低下や乳生産に影響を及ぼさなかったことから, 濃厚飼料の一部を圧ぺんモミ米に代替し得ることが示唆された. なお, 本研究は乾草主体の TMR であったため, 今後はサイレージ主体の TMR での検討をする必要があると考えられる. 表 2 圧ぺんモミ米の給与割合の違いが第一胃内溶 液性状に及ぼす影響 0% 区 20% 区 40% 区 ph 総 VFA(mmol/dl) モル比 (mmol%) 酢酸 プロピオン酸 酪酸 アンモニア態窒素 (mg/dl) 表 3 影響 飼料用米の給与割合の違いが乳生産に及ぼす 0% 区 20% 区 40% 区 乾物摂取量 (kg/ 日 ) 乳量 (kg/ 日 ) 乳成分 (%) 乳脂肪 乳蛋白 乳糖 無脂固形 全固形 MUN(mg/dl) 参考文献 (1) 阿部亮 牧草 飼料作物の栄養科学 (5) 炭水化物 ( その3) 穀類デンプンの消化特性. 畜産の研究.64: (2) 阿部亮 岩崎薫 篠田満 反芻家畜による飼料の消化試験 : トウモロコシ子実の粉砕粒度と乳牛, 緬用による成分消化率,TDN 含量との関係. 日本畜産学会報,55: (3) 永西修 寺田文典 石川哲也 アミロースおよびタンパク質含有率の違いが玄米の第一胃内消化性に及ぼす影響. 日本草地学会誌,4 7: (4) 自給飼料利用研究会 三訂版粗飼料の品質評価ガイドブック 日本草地畜産種子協会. 東京. (5) 西村慶子 中原高士 中西良孝 圧ペン処理したモミ米の給与割合が乳用牛の養分摂取 第一胃内溶液性状ならびに窒素出納に及ぼす影響. 日本暖地畜産学会報,54(2): (6) 農業食品産業技術総合研究機構 日本標準飼料成分表 (2009 年版 ). 中央畜産会. 東京. (7)Sannes RA, Messman MA, Vagnoni DB Fo 56

62 圧ペン処理したモミ米の給与割合が乳用牛の第一胃内容液性状ならびに乳生産に及ぼす影響 rm of rumen-degradable carbohydrate and nit rogen on microbial protein synthesis and pr otein efficiency of dairy cows. Journal of Dairy Science, 85: (8) 関誠 小橋有里 島津是之 高橋英太 野中和久 乳牛用飼料としての飼料用玄米への加工処理法の違いが栄養価に及ぼす影響. 日本草地学会誌,56( 別 ):63. (9)Silverira C, Oba M, Yang WZ, Beauchemin KA Selection of barley grain affects ru minal fermantation, starch digestibility, a nd productivity of lactation dairy cows. Jo urnal of Dairy Sciense 90, (10) 高橋正宏 阿部亮 種種の飼料のルーメン内総繊維消化率におよぼすデンプン水準の影響. 日本草地学会誌,36:

63 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 最大乾物収量をねらった周年作付体系確立試験 ( 第 2 報 ) 立山松男 東政則 小畑寿 Establishment of a Year-round Planting System for Feed Crops for the Highest Dry Matter Yield (Vol.2) Matsuo TATEYAMA, Masanori HIGASHI, Hisashi OBATA < 要約 > 春夏作のトウモロコシ及び秋冬作のイタリアンライグラス主体の作付体系にトウモロコシの二期作を組み入れた栽培試験を3 年間実施した結果 乾物収量が44% 以上増加し TDN 収量でも47% 以上増加した また トウモロコシの二期作を3 年続けて実施した3 年 9 作体系が1 番収量は多くなったが TDN1kg 当たりの費用については トウモロコシとソルゴーの混播を組み入れた試験区及びトウモロコシの二期作を1 年目と3 年目に実施した試験区と同程度であった 現在 宮崎県内の自給粗飼料生産は 春夏作のトウモロコシと秋冬作のイタリアンライグラスを組み合わせた栽培体系が主体であるが 昨今の地球温暖化の影響でトウモロコシの二期作を組み入れた栽培体系の適応範囲が広がることが予想される そこで トウモロコシとイタリアンライグラス主体で単位面積当たりの収量が最大となる周年作付体系の確立を目的に試験を実施した 前回第 1 報として 平成 22 年度及び平成 23 年度に作付けした春夏作及び秋冬作飼料作物栽培試験について報告したが 今回は 平成 24 年度に作付けした春夏作と秋冬作飼料作物栽培試験結果及び3 年間の試験成績集積結果について第 2 報として報告する 方法 3 年 6 作体系を標準として 3 年 8 作体系 3 年 9 作体系の飼料生産の生産性等について比較検討を行った 1 試験期間及び試験区分作付計画は表 1のとおりで 平成 22 年度から平成 24 年度にかけて春夏作 ( トウモロコシ ソルゴー ) 及び秋冬作 ( イタリアンライグラス エンバク ) の作付けを行った 試験区分は 3 年 6 作体系のⅠ 区及びⅡ 区 3 年 8 作体系のⅢ 区及びⅣ 区 3 年 9 作体系 Ⅴ 区を設定した 2 栽培概要 (1) 供試品種表 2のとおりとした (2) 播種期平成 22 年春夏作 (Ⅰ~Ⅱ 区 )4/14 春夏作 (Ⅲ~Ⅴ 区 )4/14 8//3 秋冬作 11/30 平成 23 年春夏作 (Ⅰ~Ⅳ 区 )6/1 春夏作 (Ⅴ 区 )4/25 8/8 秋冬作 (Ⅰ~Ⅳ 区 )10/18 秋冬作 (Ⅴ 区 )11/17 平成 24 年春夏作 (Ⅰ 区 )5/22 春夏作 (Ⅱ 区 )5/23 春夏作 (Ⅲ~Ⅴ 区 )4/15 8/7 秋冬作 (Ⅰ 区 )10/10 秋冬作 (Ⅱ~Ⅴ 区 )11/19 (3) 播種方法 春夏作 施肥播種機(4 条 ) で条播 単播: トウモロコシ条間 75 cm 株間 20cm 設定 混播: 単播と同時ソルゴー 1 kg/10 a 58

64 最大乾物収量をねらった周年作付体系確立試験 ( 第 2 報 ) 秋冬作 ブロードキャスターで散播 単播: イタリアンライグラス 3kg/10 a 混播: イタリアンライグラス 1.5kg/10 a +エンバク 3kg/10 a (4) 施肥県施肥基準に準じて実施 (5) 除草剤 ( 春夏作 ) 播種後にアラクロール 43 % 乳剤及びアトラジン 40 % 水和剤を混合散布 表 1 作付計画 (3 年間 ) 年度 H22 H23 H24 H25 月 Ⅰ コーン イタリアン コーン イタリアン コーン イタリアン Ⅱ コーン & ソルゴー イタリアン ソルコ - イタリアン コーン & ソルゴー イタリアン Ⅲ コーン 不耕起コーン イタリアン コーン イタリアン コーン コーン イタリアン Ⅳ コーン コーン イタリ+エンバク コーン イタリアン コーン 不耕起コーンイタリアン+エンバク Ⅴ コーン 不耕起コーン イタリアン コーン 不耕起コーン イタリアン コーン コーン イタリアン 注. コーンはトウモロコシを示す. 表 2 供試品種草種 トウモロコシ ソルガム イタリアン エンバク グリーンデント115( 早生 ) Z-corn128( 遅播き 2 期作用 ) 兼用ソルゴー ( 早生 ) ワセユタカ ( 早生 ) タチアカネ ( 極早生 ) 品種パイオニア 30D44(2 期作用 ) スーハ ーシュカ ーソルコ ー ( 中晩生 ) 3 試験圃場面積及び機械倉庫から圃場 堆肥舎までの距離 1 試験区当たりの圃場面積は 40a とした 機械倉庫から圃場までの距離 :318 m 機械倉庫から堆肥舎までの距離 :334 m 堆肥舎から試験圃場までの距離 :130 m 4 試験に用いた主な機械 (1) マニュアスプレッタ- 積載重量 5t 用 2t 用 ( たい肥散布 ) (2) プラウ :3 連 幅 160cm ( 耕起 ) (3) ドライブハロー : 幅 350cm ( 整地 ) バーチカルハロ-: 幅 290cm ( 整地 ) (4) ライムソワ-: 幅 270cm 積載重量 500kg 用 ( 炭酸苦土石灰散布 ) (5) ブロ-ドキャスタ-: 積載重量 500kg 用 ( ヨウリン散布 追肥散布 牧草種子の播種 ) (6) 施肥播種機 :4 条 ( 長大作物種子の播種 基肥散布 ) (7) 改良型施肥播種機 :4 条 ( 長大作物種子の不耕起播種 基肥散布 ) (8) タイヤローラー : 幅 220cm( 播種後の鎮圧 ) (9) ブ-ムスプレイヤ-: 最大幅 10m 800L 用 ( 除草剤散布 ) (10) コーンハ-ベスタ-:2 条刈 ( 長大作物の刈り取り ) (11) モア-コンディショナ-: 幅 215cm ( 牧草の刈り取り ) (12) ジャイロテッダー : 幅 540cm( 牧草の反転 ) (13) ジャイロレーキ : 幅 250cm( 牧草の集草 ) (14) 細断型ロ-ルベ-ラ- 長さ 80cm ( 長大作物の梱包 ) (15) ロ-ルベ-ラ- 長さ 120cm ( 牧草の梱包 ) (16) 牽引式ラッピングマシン長さ 80cm ( ラップ ) (17) 自走式ラッピングマシン長さ 80cm ( ラップ ) (18) トラクタ-:50ps 69ps 80ps 115ps ( 機械牽引 機械動力 ) 5 調査内容 (1) 収量成績調査 ( 乾物収量 TDN 収量 ) 乾物収量は 坪刈り調査により生草収量を求め 調査試料の一部を乾熱通風乾燥して乾物率を算出し求めた またTDN 収量については化学分析値から求めた (2) 作業時間及び使用燃料調査作業時間については 作業前の機械調整時間 圃場での作業時間 作業後の機械整備時間等を計測した 59

65 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 使用燃料については 作業開始前に機械 ( トラクタ- 自走式ラッピングマシン) の燃料 ( 軽油 ガソリン ) を満タンにして作業を行い 作業終了後に再び満タンになるまで燃料を注入した量から求めた (3) 費用試算収量成績 ( 乾物収量 TDN 収量 ) 作業時間 使用燃料 資材費等からTDN 収量 1 kg 当たりに要した費用の試算を行った ( 機械の減価償却費を除く ) 労賃は 950 円 / 時間とした 結果 1 気象概要 (1) 平成 22 年の春夏作調査期間の気象は 平年と比べると4 月から6 月にかけて降水量が多く 平均気温も低く 日照時間が少なかった 二期作目の生育期間である8 月から 11 月にかけては 気温は平年並みであった 秋冬作の調査期間の気象は 12 月から1 月までは気温が低かったが 2 月から平年値を越えた (2) 平成 23 年春夏作調査期間の気象は 6 月の降水量が非常に多く日照時間が少なかった 二期作目の生育期間である8 月以降の気温は平年並みで推移した 秋冬作の調査期間の気象は 12 月から年明けにかけて気温が低かったが3 月から平年並みとなった (3) 平成 24 年春夏作調査期間の気象は 平均気温は 4 月から 10 月にかけて同程度からやや低い月もあった 降水量は平年より多い月が多かった 日照時間は平年より4 月は多く 5 月は同程度 6 月から9 月は少なかった 秋冬作の調査期間の気象は 平年と比べると 10 月の平均気温は同程度で 11 から1 月は低く2 月は高くなった 降水量は 10 月と1 月は少なかったが 月はやや多かった 2 年間とも収量に影響がある台風は来なかった 2 平成 24 年度作付け成績 (1) 春夏作試験成績 (10 a 当たり ) 乾物収量は Ⅲ 区 (2.52 t)>Ⅴ 区 (2.50 t)>Ⅳ 区 (2.19 t)>Ⅱ 区 (1.23 t)>Ⅰ 区 (0.64 t) の順番で多かった ( 表 3 図 1) TDN 収量は Ⅲ 区 (1.80 t)>Ⅴ 区 (1.79 t)>Ⅳ 区 (1.57 t)>Ⅱ 区 (0.77 t)>Ⅰ 区 (0.47 t) の順番で多かった ( 表 4 図 2) 作業時間の合計は Ⅰ 区 (182 分 )<Ⅱ 区 (249 分 ) <Ⅳ 区 (290 分 )<Ⅲ 及びⅤ 区 (339 分 ) の順番で短かった ( 表 5 図 3) 圃場での作業時間についてもⅢ 区及びⅤ 区が1 番長くなり収穫作業 耕起 整地作業に要する時間が長かった ( 表 6 図 4) TDN 1 kg 当たりの費用は Ⅲ 区 (27.1 円 )<Ⅴ 区 (27.3 円 )<Ⅳ 区 (30.1 円 )<Ⅱ 区 (38.5 円 )<Ⅰ 区 (61.4 円 ) の順番で安かった ( 表 8 図 6) 二期作区 (Ⅲ Ⅳ Ⅴ 区 ) のⅠ Ⅱ 区に比べて収量が多かったために TDN 1 kg 当たりの費用は安い結果となった また 二期作耕起区 (Ⅲ Ⅴ 区 ) よりも二期作不耕起区 (Ⅳ 区 ) の方が作業時間は短く省力化が図られたが TDN 収量が二期作耕起区の方が多かった為に TDN 1 kg 当たりの費用は二期作耕起区の方が安くなった (2) 秋冬作試験成績 (10 a 当たり ) 乾物収量は Ⅰ 区 (1.14 t)>Ⅴ 区 (0.80 t)>Ⅱ 区 (0.79 t)>Ⅳ 区 (0.75 t)>Ⅲ 区 (0.72 t) の順番で多かった ( 表 3 図 1) TDN 収量も同様に Ⅰ 区 (0.76 t)>Ⅴ 区 (0.57 t) >Ⅱ 区 (0.56 t)>Ⅳ 区 (0.52 t)>Ⅲ 区 (0.51 t) の順番で多かった ( 表 4 図 2) 作業時間の合計は Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 区が 158 分で Ⅰ 区が 229 分であった ( 表 5 図 3) 圃場での作業時間は 収穫作業 耕起 整地作業に要する時間が長かった ( 表 7 図 5) TDN 1 kg 当たりの費用は Ⅰ 区 (33.3 円 )<Ⅴ 区 (37.9 円 )<Ⅱ 区 (38.7 円 )<Ⅳ 区 (41.6 円 )<Ⅲ 区 (42.4 円 ) の順番で安く 収量性の差が出た結果となった ( 表 8 図 6) 60

66 最大乾物収量をねらった周年作付体系確立試験 ( 第 2 報 ) 3 3 年間の集計成績 ( 平成 22 年度から平成 24 年度 )(10a 当たり ) 乾物収量は 3 年 6 作体系のⅠ 区と比較すると トウモロコシとソルゴーの混播を組み入れたⅡ 区は 24 % 3 年 8 作体系のⅢ 及びⅣ 区は 45 % 前後 3 年 9 作体系のⅤ 区は 55 % 多くなった ( 表 3 図 1) TDN 収量は Ⅰ 区と比較するとトウモロコシとソルゴーの混播を組み入れたⅡ 区は 15 % 3 年 8 作体系のⅢ 及びⅣ 区は 49 % 及び 47 % 3 年 9 作体系のⅤ 区は 60 % 多くなった ( 表 4 図 2) 作業時間の合計は トウモロコシの二期作を実施したⅢ Ⅳ Ⅴ 区が多くなった ( 表 5 図 3) TDN 1 kg 当たりの費用は Ⅰ 区と比較すると トウモロコシとソルゴーの混播を組み入れたⅡ 区及びトウモロコシの二期作を組み入れたⅢ Ⅳ Ⅴ 区が安くなった ( 表 8 図 6) 表 3 試験区別の乾物収量 単位 :kg/10a 年度 区分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ H22 H23 H24 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 秋冬作 ( イタリアン ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 合計 Ⅰ 区を100% とした場合の割合 100% 124% 146% 144% 155% kg Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 図 1 試験区別の乾物収量 (10a 当たり ) H24 秋冬作 H24 春夏作 H23 秋冬作 H23 春夏作 H22 秋冬作 H22 春夏作 61

67 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 4 試験区別のTDN 収量 単位 :kg/10a 年度 区分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ H22 H23 H24 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 秋冬作 ( イタリアン ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 合計 Ⅰ 区を100% とした場合の割合 100% 115% 149% 147% 160% kg Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 図 2 試験区別の TDN 収量 (10a 当たり ) H24 秋冬作 H24 春夏作 H23 秋冬作 H23 春夏作 H22 秋冬作 H22 春夏作 表 5 試験区別の作業時間合計 単位 : 分 /10a 年度 区分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ H22 H23 H24 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ー ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 秋冬作 ( イタリアン ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 合計 Ⅰ 区を100% とした場合の割合 100% 105% 111% 114% 121% 注. 作業前後の機械調整 整備 機械倉庫から圃場間の移動時間を含む. 分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 図 3 試験区別の作業時間 (10a 当たり ) H24 秋冬作 H24 春夏作 H23 秋冬作 H23 春夏作 H22 秋冬作 H22 春夏作 62

68 最大乾物収量をねらった周年作付体系確立試験 ( 第 2 報 ) 分 表 6 H24 年春夏作圃場作業時間内訳 (10a 当たり ) 単位 : 分区分 Ⅰ 区 Ⅱ 区 ⅢⅤ 区 Ⅳ 区 150 堆肥散布 耕起 整地 ヨウリン 石灰 播種 基肥 鎮圧 除草剤 追肥 収穫 梱包 ラップ 合計 Ⅰ 区 Ⅱ 区 ⅢⅤ 区 Ⅳ 区 収穫 梱包 ラップ除草剤 追肥播種 基肥 鎮圧ヨウリン 石灰耕起 整地堆肥散布 図 4 H24 年度春夏作圃場作業時間内訳 (10a 当たり ) 表 7 H24 年秋冬作圃場作業時間内訳 (10a 当たり ) 単位 : 分 区分 Ⅰ ⅡⅢⅣⅤ 堆肥散布 6 6 耕起 整地 ヨウリン 石灰 3 2 基肥 4 4 播種 鎮圧 追肥 4 0 収穫 梱包 ラップ 合計 分 Ⅰ ⅡⅢⅣⅤ 収穫 梱包 ラップ追肥播種 鎮圧基肥ヨウリン 石灰耕起 整地堆肥散布 図 5 H24 年度秋冬作圃場作業時間内訳 (10a 当たり ) 63

69 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 8 TDN1kg 当たりの費用試算 単位 : 円 年度 区分 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ H22 H23 H24 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ -) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ -) 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ -) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 秋冬作 ( イタリアン ) 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) 合計 Ⅰ 区を100% とした場合の割合 100% 86% 85% 83% 89% 注. 機械減価償却費は含まず. 円 Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 図 6 TDN1kg 当たりの費用試算 (10a 当たり ) H24 秋冬作 ( イタリアン ) H24 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ) H23 秋冬作 ( イタリアン ) H23 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ) H22 秋冬作 ( イタリアン エンハ ク ) H22 春夏作 ( トウモロコシ ソルコ ) まとめ (1) 乾物収量については トウモロコシ二期作を実施したⅢ Ⅳ Ⅴ 区が Ⅰ 区比で 150 % 前後多く TDN 収量についても トウモロコシの二期作を実施したⅢ Ⅳ Ⅴ 区が Ⅰ 区比 149 % 147 % 160 % で多くなった (2) 作業時間の合計については 二期作を組み込んだⅢ Ⅳ Ⅴ 区が Ⅰ 区比 10 % から 20 % 程度多くなった (3)TDN 1kg 当たりの費用については トウモロコシとソルゴーの混播を1 年目に実施したⅡ 区及びトウモロコシの2 期作を1 年目及び3 年目に実施したⅢ Ⅳ 区がⅠ 区比で 85 % 程度となりで安かった 参考文献 1) 独立行政法人農業技術研究機構編日本標準飼料成分表 (2009 年版 ). 中央畜産会

70 飼料イネ ルリアオバ 2 回刈り栽培を基軸とする多収穫栽培技術の現地実証試験 ( 第 1 報 ) 飼料イネ ルリアオバ 2 回刈り栽培を基軸とする多収穫栽培技術の現地実証試験 ( 第 1 報 ) 立山松男 東政則 小畑寿 Establishment of Techniques of Highly Production for the Main Constituent of Rice Forage Ruriaoba for Double Harvesting( Vol.1) Matsuo TATEYAMA, Masanori HIGASHI, Hisashi OBATA < 要約 > ルリアオバ は生育が良好で 能力を発揮した場合には ミナミユタカ 以上の生育を示し収量も多くなったが 草丈が高くなり過ぎるとコンバイン型専用収穫機でのダイレクト収穫が困難であった 2 回刈りするために 1 番草をコンバイン型専用収穫機で早刈り ( 穂孕期 ) するとまだ水分が高くサイレージ品質が良くなかったが モアで収穫後 予乾して水分を 40 % 程度まで低下させると V-score が 75 以上に向上した また 1 番草を乳熟期まで生育させると再生が不良であった 後作の麦類は 排水不良の水田では湿害を受け 大麦は 10 月初旬に播種すると 年明けの出穂後に冷害を受け生育不良となった 飼料自給率の向上や水田フル活用の施策を受けて 限られた面積から最大限のエネルギー飼料を供給することが求められている そこで 九州沖縄農業研究センターが育種した飼料イネ2 回刈り専用品種 ルリアオバ 及び後作の麦類作付け体系による効率的かつ高品質な飼料生産体系を確立するとともに 牛への適正給与に向け栄養特性を調査するために現地栽培試験を実施した 今回は 平成 23 年度及び平成 24 年度に作付けした飼料イネ ルリアオバ 及び麦類の現地栽培試験の結果について第 1 報として報告する 方法 ルリアオバ 2 回刈りの収量性等を確認するために現地栽培試験を実施した また 対照として県内に広く普及している ミナミユタカ を設定した さらに平成 24 年度は 後作として秋冬作の麦類の栽培試験を実施した 1 飼料イネ ルリアオバ 現地栽培試験実施地区及び栽培方法 (1) 平成 23 年度試験国富町 ( 深水地区 ) H23/6/25 乾田直播 1 回収穫試験圃場面積ルリアオバ (20 a) ミナミユタカ (20 a) 串間市 ( 北方地区 ) H23/5/10 苗移植 1 回収穫試験圃場面積ルリアオバ (30 a) ミナミユタカ (30 a) 都城市高城町 ( 穂満坊地区 ) H23/5/23 乾田直播 2 回収穫試験圃場面積ルリアオバ (18 a) ミナミユタカ (7.4 a) (2) 平成 24 年度試験宮崎市佐土原町 ( 東上那珂地区 ) H24/4/25 苗移植 2 回収穫 ( 後作は大麦とエン麦付け ) 65

71 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 試験圃場面積 ルリアオバ (21 a) ミナミユタカ (4.2 a) 串間市 ( 北方地区 ) H24/5/8 苗移植 2 回収穫 試験圃場面積 ルリアオバ (37 a) ミナミユタカ (65 a) 都城市高城町 ( 穂満坊地区 ) H24/5/23 乾田直播 2 回収穫 ( 後作はエン麦 とイタリアンライグラス混播作付け ) 試験圃場面積 ルリアオバ (18 a) ミナミユタカ (7.4 a) (3) 肥培管理及び雑草対策 基本的に地域栽培基準及び農家の栽培方法に準じ て実施した 2 飼料イネ ルリアオバ 後作の麦類栽培試験実施 地区及び栽培方法 ( 平成 24 年度 ) (1) 大麦及びエン麦栽培試験 実施地区 宮崎市佐土原町 ( 東那珂地区 ) 播種期 H24/10/7 播種方法 専用播種機 (6 条 ) による条播 ( 条間 30cm) 草種 品種及び播種量 エン麦 : 九州 14 号 (10kg/10a) 大麦 : ワセドリ2 条 (7 kg/10a) 大麦 : 西海皮 67 号 (6 kg/10a) 肥培管理 基肥 硫安 16kg/10a(3.36Nkg/10a) 追肥 高度化成 30kg/10a(4.5Nkg/10a) H24/10/25 土壌改良材散布 排水対策 試験地外周に鍬で排水溝設置 (2) エン麦及びイタリアンライグラス 混播栽培試験 実施地区 都城市高城町 ( 穂満坊地区 ) 播種期 H24/11/2 播種方法 ブロードキャスタによる散播 草種 品種及び播種量 エン麦 : 九州 14 号 (10kg/10a) イタリアンライグラス : ワセユタカ (5 kg/10a) 肥培管理追肥硫安 40kg/10a(8.4Nkg/10a) 結果 1 気象概要 (1) 平成 23 年気象概要国富町周辺の気象は 6 月から 10 月の平均気温はほぼ平年並みで推移した 降水量は 平年と比べると6 月は多かったが 7 月から8 月は少なく 9 月から 10 月にはまた多くなった 夏期の日照時間は平年より少なかった 串間市周辺の気象は 5 月から8 月の平均気温は平年より高めで推移し 5 月から7 月の降水量は平年より多く 夏期の日照時間は平年より少なかった 都城市周辺の気象は 5 月から 10 月の平均気温はほぼ平年並みで推移し 降水量は 5 月から6 月は平年より非常に多く8 月は少なかったが 9 月は非常に多かった 5 月から 11 月の日照時間は 平年より少なかった (2) 平成 24 年気象概要宮崎市周辺の気象は 4 月から 10 月の平均気温は ほぼ平年並みで推移した 降水量は 平年と比べると6 月から9 月にかけて非常に多く 日照時間は6 月から8 月にかけて平年より少なかった 串間市周辺の気象は 5 月から 11 月の平均気温は ほぼ平年並で推移し 降水量は5 月は少なかったが 6 月から9 月にかけては非常に多かった 日照時間は平年より6 月から8 月は少なく 9 月以降は平年よりやや多かった 都城市周辺の気象は 5 月から 10 月の平均気温は ほぼ平年並みで推移し 降水量は 5 月は少なかったが 6 月から9 月にかけて平年より多かった 日照時間は6 月から8 月にかけて平年より少なかった 2 年間とも収量に影響が出る台風の来襲は無かった 66

72 飼料イネ ルリアオバ 2 回刈り栽培を基軸とする多収穫栽培技術の現地実証試験 ( 第 1 報 ) 2 平成 23 年度飼料イネ ルリアオバ 栽培試験成績 (1) 国富町 : ルリアオバ 及び ミナミユタカ の1 回刈り収量性の比較播種時期が大幅に遅れたため 当初計画していた 2 回刈りは実施できなかった 1 回刈りの試験結果は ルリアオバ の生育が ミナミユタカ よりも良好で 乾物収量も ルリアオバ が ミナミユタカ に比べて多くなった ( 表 1) 表 1 国富町現地試験収量調査成績 区分 調査時期調査時生育ステージ生重量 /10a 乾物重 /10a 草丈 cm かん長 cm 穂長 cm 茎数 / 株 ルリアオバ H 黄熟期 ミナミユタカ H 黄熟期 (2) 串間市 : ルリアオバ 及び ミナミユタカ の1 回刈り収量性の比較 ルリアオバ の生育が ミナミユタカ よりも良好で 乾物収量も ルリアオバ が ミナミユタカ に比べて多くなった ( 表 2) 乾物中の TDN 含量 CP 含量ともに ルリアオバ より ミナミユタカ の方が若干多かった ( 表 3) 8/1 調査時点の乾物中の硝酸態窒素含量が ルリアオバ は特に高く 8/23 調査時点では 低下したもののまだ高めであった ( 表 3) なお ルリアオバ の1 番草の収穫時期が降雨の影響 農家の作業上の影響で遅くなったため登熟が進み ( 乳熟期 ) 再生が不良となり 2 回目の収穫が出来なかった 表 2 串間市現地試験収量調査成績区分調査時期農家収穫時期調査時生育ステージ生重量 kg/10a 乾物重 kg/10a 草丈 cm かん長 cm 穂長 cm 茎数 / 株ルリアオバ H H 乳熟期 ミナミユタカ H H 乳 ~ 糊熟期 表 3 串間市現地試験一般成分分析結果 乾物中 % 区分 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 8/1 硝酸態窒素 8/23 硝酸態窒素 ルリアオバ ミナミユタカ (3) 都城市高城町 : ルリアオバ 及び ミナミユタカ の2 回刈り収量の比較 ルリアオバ の生育が ミナミユタカ よりも良好で 乾物収量も1 番草 2 番草とも ルリアオバ が ミナミユタカ に比べて多くなり ルリアオバ の合計乾物収量は2t 弱に達した ( 表 4) ルリアオバ の乾物中の TDN 含量は ミナミユタカ と同程度であった ( 表 5) 乾物中のCP 含量は 1 番草は ルリアオバ の方がやや少なかったが 2 番草は ルリアオバ が若干多くなった ( 表 5) ルリアオバ ミナミユタカ ともに1 番草の収量調査時 (8/8) の硝酸態窒素含量が多かった ( 表 5) ルリアオバ ミナミユタカ ともに2 番草の収量調査時 (11/7) の硝酸態窒素含量は少なくなった ( 表 5) 67

73 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 4 高城町現地試験収量調査成績 区分 調査時期農家収穫調査時生育ステージ生重量 kg/10a 乾物重 kg/10a 草丈 cm ルリアオバ1 H H 幼穂形成期 ルリアオバ2 H H 上旬 黄熟期 合計 平均 ミナミユタカ1 H H 幼穂形成期 ミナミユタカ2 H H 上旬 黄熟期 合計 平均 注. 品種の後の 1 は 1 番草 2 は 2 番草を示す. 表 5 高城町現地試験一般成分分析結果 乾物中 % 区分 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 ルリアオバ ルリアオバ ミナミユタカ ミナミユタカ 注. 品種の後の1は 1 番草 2は2 番草を示す. 3 平成 24 年度飼料イネ ルリアオバ栽培試験成績 (1) 宮崎市 : ルリアオバ 及び ミナミユタカ の2 回刈り収量性の比較乾物収量は 1 番草は ルリアオバ が多くなったが 2 番草は ミナミユタカ の方が多くなった ルリアオバ の合計乾物収量は 1.5 t 弱であった ( 表 6) ルリアオバ の乾物中の TDN 含量は 1 番草及び2 番草ともに ミナミユタカ と同程度であった ( 表 7) 乾物中の CP 含量は 1 番草 2 番草ともに ルリアオバ が高かった ( 表 7) ルリアオバ 1 番草の収穫は 農家所有コンバイン型専用収穫機 ( 細断型 ) で実施したが 草丈が高過ぎた ( 草丈 163.4cm) 為に 度々機械の目詰まり が発生して作業が中断し 走行速度を遅くした為に作業時間も長くなった (1 時間 11 分 /10a) また 高刈りも行った ( 刈高 18 cm~ 30 cm) 農家所有のコンバイン型専用収穫機 ( 細断 ) でダイレクト収穫した ルリアオバ 1 番草 ( 穂孕期 ) の調製 1ヶ月目及び3ヶ月目のサイレージ品質は V-score が 50 前後であったが ディスクモアで収穫後 予乾したサイレージの調製 1ヶ月目の V-score は 99.1 調製 3ヶ月目の V-score は 75.8 であった ( 表 8) 同じく農家所有のコンバイン型専用収穫機 ( 細断型 ) でダイレクト収穫した ルリアオバ 2 番草 ( 糊熟期から黄熟期 ) の調製 6ヶ月目の V-score は 74.1 であった ( 表 9) 表 6 宮崎市現地試験収量調査成績 坪刈り調査 全重調査 区分 調査時期 農家収穫時期調査時期ステージ生草重 kg/10a 乾物重 kg/10a 草丈 cm 茎数 / 株 生草重 kg/10a 乾物重 kg/10a ルリアオバ1 H /7/27 31 穂孕期 ルリアオバ2 H H 出穂 ~ 糊熟期 ( 参考 ) ルリアオバ3 H H 完熟期 合計 平均 (12) ( 参考 ) 合計 平均 (13) ミナミユタカ1 H /7/27 31 穂孕期 ミナミユタカ2 H H 糊熟 ~ 黄熟期 合計 平均 注 1. 品種の後の1は1 番草 2は2 番草 3は一部刈り取り時期を遅らせた2 番草を示す (30m2). 注 2. 全重調査は簡易体重計により ロール重量を測定した. 68

74 飼料イネ ルリアオバ 2 回刈り栽培を基軸とする多収穫栽培技術の現地実証試験 ( 第 1 報 ) 表 7 宮崎市現地試験一般成分分析 乾物中 % 区分 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 ルリアオバ ルリアオバ ( 参考 ) ルリアオバ ミナミユタカ ミナミユタカ 注. 品種の後の1は1 番草 2は2 番草 3は一部刈り取り時期を遅らせた2 番草を示す. 表 8 宮崎市ルリアオバ (1 番草 ) 現地栽培試験サイレージ分析結果 乾物中 % 区分 調査時期 ステージ 調製方法 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 ph V-score ルリアオバⅠ H 穂孕期 細断型 予乾 ルリアオバⅡ H 穂孕期 細断型 予乾 注 1. 収穫はH 区分の後のⅠは調製 1ヶ月目 Ⅱは調製 3ヶ月目. 注 2. 調製方法の細断型は コンバイン型専用収穫機で収穫後調製し 市販乳酸菌を添加. 予乾は モアで刈り取り後 予乾して調製. 表 9 宮崎市ルリアオバ (2 番草 ) 現地栽培試験サイレージ分析結果 乾物中 % 区分 調査時期 ステージ 調製方法 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 ph V-score ルリアオバ H 糊 ~ 黄熟期 細断型 ミナミユタカ H 糊 ~ 黄熟期 細断型 注 1. 収穫はH ( 調製後 6ヶ月目 ). 注 2. 調製方法は コンバイン型専用収穫機で収穫後調製し 市販乳酸菌を添加. (2) 串間市 : ルリアオバ 2 回刈りと ミナミユタカ 1 回刈りとの比較 ルリアオバ 2 回刈りの合計乾物収量は ミナミユタカ 1 回刈りの乾物収量は上回ったものの 1.3 t 程度に留まった ( 表 10) 特に 1 番草収穫後の再生が不良であった 原因としては 落水不十分な状態で収穫したためにトタラクター倒圧による株への影響等が考えられた ( 表 10) 乾物中の TDN 含量については ルリアオバ の 1 番草がやや高く 乾物中の CP 含量については ルリアオバ の2 番草が高くなった ( 表 11) 表 10 串間市現地試験収量調査成績 ( 串間市 :H 移植 ) 区分 調査時期 農家収穫時期調査時生育ステージ生草重 kg/10a 乾物重 kg/10a 草丈 cm 茎数 ルリアオバ1 H H 幼穂形成期 ルリアオバ2 H H 乳 ~ 糊熟期 合計 平均 ミナミユタカ H H 糊熟期 注. 品種の後の1は1 番草 2は2 番草を示す. 表 11 串間市現地試験一般成分分析結果 乾物中 % 区分 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 ルリアオバ ルリアオバ ミナミユタカ 注. 品種の後の1は1 番草 2は2 番草を示す. 69

75 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) (3) 都城市高城町 : ルリアオバ 2 回刈りと ミナミユタカ 1 回刈りとの比較 ルリアオバ の2 回刈りの合計乾物収量は ミナミユタカ の1 回刈りの乾物収量を上回ったものの 1.3 t 程度に留まった ( 表 12) 昨年と比較すると ルリアオバ ミナミユタカ ともに収量が大幅に減った 原因としては 播種後の長雨の影響や昨年 1 番草 の硝酸態窒素含量が高かった為に基肥を減らしたこと等による影響が考えられた 乾物中の TDN 含量 CP 含量ともに ルリアオバ の1 番草が高くなった ( 表 13) 表 12 都城市現地試験収量調査成績 ( 都城市高城町 :H 乾田直播 ) 区分 調査時期 農家収穫時期調査時生育ステージ生草重 kg/10a 乾物重 kg/10a 草丈 cm ルリアオバ1 H H 幼穂形成期 ルリアオバ2 H H 糊熟期 合計 平均 ミナミユタカ H H 糊熟期 注. 品種の後の1は1 番草 2は2 番草を示す. 表 13 都城市現地試験一般成分分析 乾物中 % 区分 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 ルリアオバ ルリアオバ ミナミユタカ 注. 品種の後の1は1 番草 2は2 番草を示す. 4 後作麦類の栽培試験成績 (1) 宮崎市佐土原町現地栽培試験 ( エン麦 大麦 ) 大麦の収量が上がらなかった原因としては 湿害による影響 農家希望により2 月までの収穫を見込んで 播種を早く行った為 (10/7) に年明けの出穂後に冷害にあったこと等が考えられた ( 表 14) 乾物中の粗脂肪含量 TDN 含量は 大麦 ( ワセドリ2 条 西海皮 67 号 ) よりもエン麦 ( 九州 14 号 ) が高い傾向が見られた ( 表 15) 麦類混合ロールベールサイレージの調製 2ヶ月目の平均 V-score は 96.9 で良好であった ( 表 16) (2) 都城市高城町現地栽培試験 ( エン麦及びイタリアンライグラスの混播 ) 調査時の生育ステージは エン麦 ( 九州 14 号 ) は開花期 イタリアンライグラスは出穂期であった また 乾物収量は 654kg/10a で 乾物中の CP は 6.56 % TDN は 71.4 % であった ( 表 17 18) 表 14 収量成績 ( 宮崎市佐土原町 :H 播種 : 麦専用播種機による条播 ) 坪刈り調査 全重調査 品種 草種 調査時期 生育ステージ かん長 cm 穂長 cm 生草重 kg/10a 乾物率 % 乾物重 kg/10a 生草重 kg/10a 乾物重 kg/10a 九州 14 号 エンバク 糊熟期 ワセドリ2 条 大麦 H 糊熟期 西海皮 67 号 大麦 糊熟期 表 15 一般成分分析 ( 佐土原町 ) 乾物中 % 区分 調査時期 生育ステージ 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 九州 14 号 糊熟期 ワセドリ2 条 H 糊熟期 西海皮 67 号 糊熟期

76 飼料イネ ルリアオバ 2 回刈り栽培を基軸とする多収穫栽培技術の現地実証試験 ( 第 1 報 ) 表 16 宮崎市麦類現地栽培試験サイレージ分析結果 乾物中 % 区分 地区名 調査時期 ステージ サンプル名 水分 CP EE NFE CF CA 麦 麦類 佐土原町 1 H 糊熟期 麦 麦 平均 乾物中 % 注 1. サンプルは ワセドリ2 条 西海皮 67 号 九州 14 サンプル名 TDN ME DCP 硝酸態窒素 ph V-score 号の混合ロールサイレージ. 麦 注 2. サンプルは調製 2ケ月目. 麦 麦 平均 表 17 収量成績 ( 都城市高城町 :H 播種 : 散播 ) 品種草種調査時期生育ステージかん長 cm 穂長 cm 草丈 cm 生草重 kg/10a 乾物率 % 乾物重 kg/10a 九州 14 号開花期 イタリアン エンバク混播 H ワセユタカ出穂期 表 18 一般成分分析 ( 高城町 ) 乾物中 % 区分 調査時期 水分 CP EE NFE CF CA TDN ME DCP 硝酸態窒素 イタリアン エンバク混播 H まとめ (1) ルリアオバ は生育が良好で 能力を発揮した場合には ミナミユタカ 以上の生育を示し 収量も多くなった しかし 草丈が高くなり過ぎるとコンバイン型専用収穫機での収穫が困難であった 参考文献 1) 独立行政法人農業 食品産業技術総合研究機構九州沖縄農業研究センターイネ発酵 TMR 研究チーム編稲発酵粗飼料品種 ルリアオバ の2 回刈り栽培マニュアル平成 23 年 3 月 (2)2 回刈りするために 1 番草をコンバイン型専用収穫機 ( ダイレクト収穫 ) で早刈り ( 穂孕期 ) すると水分が高くなり サイレージ調製 3ヶ月目の V-score が 50 前後であったが モアで収穫後 予乾して水分を 40 % 程度まで低下させると V-score が 75 以上に向上した また 1 番草を乳熟期まで生育させると再生しなかった (3) 後作の麦類は 沖積土壌で排水不良の水田では湿害を受けた また 大麦は 10 月初旬に播種すると 年明けの出穂後に冷害を受け生育不良となった 71

77 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 牧草及び飼料作物の冠さび病特性検定試験 小畑寿 東政則 立山松男 Characteristic Certification Tests for Crown Rust Sickness of Pasturage and Grains Hisashi OBATA Masanori HIGASHI and Matuo TATEYAMA < 要約 > 畜産草地研究所が育成したイタリアンライグラスと山梨県酪農試験場が育成したペレニアルライグラスについて冠さび病耐病性を検定した イタリアンライグラス那系 33 号は冠さび病に対して抵抗性がありやや強と判定した ペレニアルライグラスは検定した 2 系統ともにやや弱と判定した 冠さび病は 春と秋にイタリアンライグラスやエンバクなど牧草や飼料作物に発生し 著しく蔓延する場合がある 耐病性の劣る品種は 株が黄褐色を呈して減収し 乾物収量や消化率等に影響を与えることから牧草 飼料作物の重要な病害となっている 当場は昭和 51 年より国及び国の指定を受けた育種試験地で育成された牧草及び飼料作物の耐病性に 6 施 肥 ( kg/a) (1) 元 肥 牛糞堆肥 300, ヨーリン 2, 苦土石灰 10 化成肥料 N=0.3, P=0.3, K=0.24 (2) 追 肥 ( 1 番草収穫日 ) 化成肥料 N=0.4, P=0.0, K=0.4 7 試験規模 ついて検定し牧草育成の資料としている 条間 :0.6m 1 区 :0.3m (12+2)=2.5 m2 3 区制 Ⅰ イタリアンライグラス 試験方法 各区を条の横方向に連続接合して試験地とし 外周と最外区には感染源としてワセユタカ1 株を配置した 8 検定日 1 供試品種及び系統表 1のとおり8 品種 4 系統を共試した 2 試験場所西諸県郡高原町広原 5066 番地宮崎県畜産試験場畑地 3 号ほ場 ( 黒色火山灰土, 砂壌土 ) 3 播種期 1 回目 : 平成 24 年 10 月 10 日 2 回目 : 平成 25 年 1 月 25 日 4 播種法及び播種量播種法 : ペーパーポットで育苗播種量 :1ポットあたり15 粒 ~20 粒 5 移植日および移植法平成 24 年 10 月 25 日 1 条 12 株 +2 株 ( 感染源 ) 2 回目は直接畑に30cm 間隔で腐葉土を配置後 30 粒播種した 1 回目播種 1 平成 25 年 5 月 15 日,26 月 18 日 2 回目播種 1 平成 25 年 5 月 24 日 表 1 供試品種及び系統 番号 品種 系統名 備 考 1 那系 32 号 2N 育成 畜産草地研究所 2 那系 33 号 2N 育成 畜産草地研究所 3 はたあおば 2N 比較 市販品種 4 いなずま 2N 比較 市販品種 5 LN-IR01 2N 育成 畜産草地研究所 6 LN-IR02 2N 育成 畜産草地研究所 7 タチワセ 2N 比較 市販品種 8 びしゃもん 2N 比較 市販品種 9 優 春 2N 比較 市販品種 10 ニオウダチ 2N 比較 市販品種 11 ワセアオバ 2N 比較 市販品種 12 ワセユタカ 2N 標準 市販 感染源 72

78 牧草及び飼料作物の冠さび病特性検定試験 9 検定方法系統適応性検定試験実施要領の項目に準じて調査した 結果及び考察 1 気象概要平成 24 年 11 月から3 月までの降水量は平年よりやや多かったが 4 月から6 月まではかなり少なかった 平均気温は平年並みであったが 4 月から6 月の最高気温の平均は平年より4.3 高く最低気温の平均は 3.5 低い日格差の大きい年であり 牧草が冠さび病に罹病しやすい気象であった 2 生育状況 (1) 1 回目播種 ( 表 2) 播種 7 日目の10 月 17 日に全品種系統とも発芽した 発芽の勢いはワセユカがやや劣ったが ほかの品種系統は同程度であった 生育は各品種系統共に大きな差は認めなかったが いなずま と タチワセ LN-IR01 の草丈がやや高かった 最も低かったのは はたあおば であったが 那系 32 号 那系 33 号 も低かった 平成 24 年秋には冠さび病の罹病を認めなかった 平成 25 年 3 月 5 日に1 番草を刈り取り追肥した 再生草の出穂初めは LN-IR02 タチワセ 優春 が4 月 4 日で最も早く 那系 33 号 は4 月 8 日 LN-IR01 は4 月 9 日で 那系 32 号 が最も遅く 4 月 13 日であった (2) 2 回目播種 ( 表 3) 播種後 12 日目の2 月 6 日から8 日に出芽した 発芽は びしゃもん がやや劣ったが その他の品種系統に差は認めなかった 出穂初めは タチワセ が最も早く4 月 23 日で 次いで いなずま ワセアオバ (4/24) LN-IR02 ワセユタカ (4/2 6) はたあおば (4/27) 優春 (4/28) LN-IR 01 (4/29) 那系 33 号 (4/30) と続き 那系 32 号 びしゃもん ニオウダチ が最も遅く5 月 1 日であった 出穂始めの日から概ね9 日後 (7 日から 10 日後 ) が出穂日であった 表 2 1 回目の発芽および出穂 番号品種 系統名 発芽日 発芽良否 出穂初 1 那系 32 号 10 月 17 日 月 13 日 2 那系 33 号 10 月 17 日 月 8 日 3 はたあおば 10 月 17 日 月 5 日 4 いなずま 10 月 17 日 月 6 日 5 LN-IR01 10 月 17 日 月 9 日 6 LN-IR02 10 月 17 日 月 4 日 7 タチワセ 10 月 17 日 月 4 日 8 びしゃもん 10 月 17 日 月 7 日 9 優 春 10 月 17 日 月 4 日 10 ニオウダチ 10 月 17 日 月 6 日 11 ワセアオバ 10 月 17 日 月 9 日 12 ワセユタカ 10 月 17 日 月 7 日 注 : 発芽良否 :1 極不良 ~9 極良 表 3 2 回目の発芽および出穂 番号品種 系統名 発芽日 発芽良否 出穂日 1 那系 32 号 2 月 6 日 月 10 日 2 那系 33 号 2 月 7 日 月 9 日 3 はたあおば 2 月 7 日 月 4 日 4 いなずま 2 月 7 日 月 2 日 5 LN-IR01 2 月 6 日 月 7 日 6 LN-IR02 2 月 6 日 月 4 日 7 タチワセ 2 月 6 日 月 1 日 8 びしゃもん 2 月 7 日 月 9 日 9 優 春 2 月 7 日 月 6 日 10 ニオウダチ 2 月 6 日 月 10 日 11 ワセアオバ 2 月 6 日 月 4 日 12 ワセユタカ 2 月 8 日 月 28 日 注 : 発芽良否 :1 極不良 ~9 極良 3 冠さび病罹病状況 (1) 1 回目播種 ( 表 4) 冠さび病の初発は タチワセ が最も早く 4 月 20 日に病斑を確認した 続いて 那系 32 号 LN-IR0 1 LN-IR02 優春 ニオウダチ ワセアオ バ ワセユタカ の 7 品種系統が 4 月 23 日に確認 できた はたあおば いなずま びしゃも ん は 4 月 24 日に確認し 那系 33 号 は最も遅く 4 月 25 日に確認した その後の病斑の進展は穏やかで あった 最初の判定は 5 月 15 日から 17 日までに実施し 18 日 に刈り取った 再生草は 6 月の晴天時に病斑が進展 したので 6 月 18 日と 19 日に再度判定を実施した その後は降雨と高温で枯死した 最後まで青い葉が 残っていたのは 那系 33 号 であった 73

79 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) (2) 2 回目播種 ( 表 5) 冠さび病の初発は配置場所により差があり 1 回目播種イタリアンライグラスに近いところが早く罹病し 離れたところは遅くれた また 病斑の進展にも差があり罹病の早いところは5 月 24 日と25 日に調査したが 遠い所は罹病が少なく場所により大きな差があったため延期した しかし 調査後の降雨により倒伏し病斑の確認が困難となったため やむなく刈り取った 罹病の激しかった所は再生が悪く また6 月下旬の高温と降雨により冠さび病の発生が少ないまま生育も進まないため調査を打ち切った そのため 本調査は罹病調査が十分でないので参考値とする 4 冠さび病耐病性判定葉の罹病程度と株の罹病程度を勘案して表 4のとおり判定する なお 表 5の2 回目播種の判定は参考値である 強 該当無しやや強 那系 33 号中 LN-IR02 優春やや弱 ワセアオバ いなずま ニオウダチ LN-IR01 びしゃもん 那系 32 号 弱 はたあおば極弱 タチワセ ワセユタカ 表 4 1 回目播種イタリアンライグラスの冠さび病検定結果 番号 品種系統名 初発 葉毎の罹病程度 株毎の罹病程度 判 定 1 回目 2 回目最高 1 回目 2 回目最高 葉 株 総 合 1 那系 32 号 4 月 23 日 やや弱 やや弱 やや弱 2 那系 33 号 4 月 25 日 やや強 強 やや強 3 はたあおば 4 月 24 日 やや弱 弱 弱 4 いなずま 4 月 24 日 やや弱 やや弱 やや弱 5 LN-IR01 4 月 23 日 やや弱 やや弱 やや弱 6 LN-IR02 4 月 23 日 中 中 中 7 タチワセ 4 月 20 日 極弱 弱 極弱 8 びしゃもん 4 月 24 日 中 やや弱 やや弱 9 優 春 4 月 23 日 中 中 中 10 ニオウダチ 4 月 23 日 やや弱 やや弱 やや弱 11 ワセアオバ 4 月 23 日 中 やや弱 やや弱 12 ワセユタカ 4 月 23 日 極弱 極弱 極弱 表 5 2 回目播種イタリアンライグラスの冠さび病検定結果 ( 参考値 ) 番号 品種系統名 初発 葉毎の罹病程度 株毎の 判 定 ( 参考 ) 多発葉止め葉 最高 罹病程度 葉 株 総 合 1 那系 32 号 5 月 1 日 弱 弱 弱 2 那系 33 号 5 月 6 日 やや強 やや強 やや強 3 はたあおば 5 月 6 日 弱 やや弱 弱 4 いなずま 5 月 4 日 極弱 極弱 極弱 5 LN-IR01 5 月 3 日 弱 弱 弱 6 LN-IR02 5 月 4 日 やや強 中 中 7 タチワセ 5 月 2 日 中 やや弱 やや弱 8 びしゃもん 5 月 5 日 中 やや弱 中 9 優 春 5 月 7 日 中 やや弱 やや弱 10 ニオウダチ 5 月 4 日 中 やや弱 中 11 ワセアオバ 5 月 6 日 やや弱 やや弱 やや弱 12 ワセユタカ 5 月 5 日 極弱 極弱 極弱 74

80 牧草及び飼料作物の冠さび病特性検定試験 5 その他 (1) 生育調査播種後 65 日目の12 月 14 日に生育状況を調査した なお 施肥量が慣行の3 分の1であり 調査結果は参考値である 茎数は 那系 32 号 (147 本 ) が最も多く 次いで ワセアオバ (124 本 ) LN-IR02 (123 本 ) 優春 タチワセ (120 本 ) と続き 那系 33 (97 本 ) と LN-IR01 (94 本 ) は最も少なかった 草丈は いなずま (45.3cm) が最も高く タチワセ (43.4cm) LN-IR01 (42.8cm) と続き 那系 32 号 は36.3cmで10 番目 那系 33 号 は31.8cmで最も低かった ( 図 1) (2) 収量調査平成 25 年 3 月 5 日に1 番草の収量を調査した 草丈は80cm 前後で LN-IR01 は共試品種系統のなかで4 番目に高く LN-IR02 は7 番目で 那系 3 2 号 は10 番目 那系 33 号 は11 番目であった 生草収量は1アールあたり約 300kgで 最も多かったのは いなずま 次いで タチワセ であった 共試系統では LN-IR02 が6 番目に多く LN-IR0 1 は9 番目で 那系 32 号 は10 番目 那系 33 号 は最も少なかった 乾物率は14% から15% で 共試系統は14.6% から14. 8% であった 乾物収量は38.1kg/aから55.9kg/aで 那系 32 号 は39.2kg/a 那系 33 号 は38.1kg/aで最も少なかった ( 図 2) 2 番草以降は冠さび病の耐病性を検定したため収量性は調査できなかった cm ワセユタカ 那系 32 号 那系 33 号 はたあおば いなずま LN-IR01 LN-IR02 タチワセ 優春 びしゃもん ニオウダチ ワセアオバ 図 1 1 回目播種イタリアンの 65 日目の草丈 ワセユタカ 那系 32 号 那系 33 号 はたあおば いなずま LN-IR01 LN-IR02 タチワセ 優春 びしゃもん ニオウダチ ワセアオバ 図 2 1 回目イタリアン 1 番草の乾物収量 75

81 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) Ⅱ ペレニアルライグラス 試験方法 2 冠さび病罹病状況冠さび病の初発はイタリアンライグラス ワセユタカ (5/18) より11 日遅い5 月 29 日に ヤツカゼ 5 月 30 日に T-26 6 月 1 日に T-27 で確認した 1 供試品種及び系統表 1のとおり1 品種 2 系統を共試した 2 試験場所西諸県郡高原町広原 5066 番地宮崎県畜産試験場畑地 3 号ほ場 ( 黒色火山灰土砂壌土 ) 3 播種期及び播種法平成 21 年 12 月 15 日に播種された株を使用した 欠株には平成 24 年 4 月 9 日にペーパーポットに播種し5 月 8 日に補植した 4 施肥 (kg/a)) 平成 24 年 5 月 15 日化成肥料 N=0.3, P=0.3, K= 試験規模 1 区 10 株 :2.7m2,3 区制 6 検定日 1 平成 24 年 7 月 10 日 27 月 31 日 310 月 24 日 410 月 29 日 511 月 2 日 7 検定法牧草及びえん麦特性検定試験実施要領により実施した 表 1 供試品種及び系統番号品種 系統名備考 1 八ヶ岳 -T27 号 4N 中生山梨県酪農試 2 ヤツカゼ2 4N 中生市販品種 3 八ヶ岳 T-26 4N 中生山梨県酪農試 病斑の確認後はわずかに拡大したが 大きな拡大はなかった 10 月に長野県畜産試験場から冠さび病罹病ペレニアルライグラスの葉を持参し 上から散布することで罹病を促進した 3 冠さび病耐病性判定 (1) 平成 24 年度判定 7 月 10 日に1 回目 7 月 31 日に2 回目の罹病調査を実施した 10 月上旬までは同程度の罹病であったが 10 月下旬に病斑が拡大したため耐病性判定を調査した 11 月 2 日調査後には病斑の拡大はなく その後気温が低下したため罹病は減少した ヤツカゼ2 をやや弱 八ヶ岳 T-26 と 八ヶ岳 T-27 を中と判定した 耐病性判定結果中 : 八ケ岳 T-26 号 > 八ケ岳 T-27 号やや弱 : ヤツカゼ2 (2) 3 年間総合判定 3カ年間の罹病状況にバラツキがあった 平成 22 年度と23 年度の判定では T-26 と T-27 は ヤツカゼ2 より弱い傾向であったが 平成 24 年度は逆に ヤツカゼ2 が最も弱い傾向を示した 従って 総合判定は3 品種系統共に やや弱 とする 八ヶ岳 T-26 : やや弱八ヶ岳 T-27 : やや弱ヤツカゼ2 : やや弱 結果及び考察 1 生育状況生育は各品種系統共に同程度と思われたが 越夏性はヤツカゼ2が劣った 表 2 出穂及びその他病害の罹病程度 番号品種 出穂じゃ紋病 * 系統名 初め (7 月 31 日 ) 1 八ヶ岳 -T27 号 4 月 29 日 ヤツカゼ 2 5 月 6 日 八ヶ岳 T-26 4 月 30 日 5.0 * 罹病程度 :1 無, 極微 ~ 9 甚 76

82 牧草及び飼料作物の冠さび病特性検定試験 表 3-1 ペレニアルライグラスの冠さび病検定結果 番号品種系統名初発葉毎の罹病程度 ( 指数 )*1 判定 の日 7/10 7/31 10/24 10/29 11/2 葉 1 八ヶ岳 T-27 6 月 1 日 中 2 ヤツカゼ 2 5 月 29 日 やや弱 3 八ヶ岳 T-26 5 月 30 日 中 注 :*1 要領に示す値 (1~100 ) 表 3-2 番号品種系統名株毎の罹病程度 *2 判定従前判定総合判定 7/10 7/31 10/24 10/29 11/2 株 H23 H22 1 八ヶ岳 T 中弱やや弱やや弱 2 ヤツカゼ やや弱やや弱中やや弱 3 八ヶ岳 T 中弱やや弱やや弱注 :*2 罹病程度 1 無, 極微 ~9 甚 77

83 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 牧草及び飼料作物の系統適応性検定試験 小畑寿 東政則 立山松男 Test of Local Adaptability with New Varieties of Grasses and Forage Crops Hisashi OBATA Masanori HIGASHI and Matuo TATEYAMA < 要約 > 長野県畜産試験場が育成した 東山交 30 号 は乾性のスーダン型ソルゴーで 草丈 約 2.5m と大きいが対倒伏性や耐病性は他の比較品種と変わらず 再生性に優れ乾物収量が多 いことから 宮崎県への適応性は高いと評価した [ キーワード ] スーダン型ソルガム, 東山交 30 号, 涼風, ラッキーソルゴー, 耐倒伏性 国の指定を受けた育種試験地で育成された新系統について 宮崎県 ( 南九州 ) での適応性を検定した 試験方法 ソルガム有望系統 東山交 30 号 について 実際の栽培を想定した条播による生産力検定を実施した 1 系統 3 品種を共試し5 月 28 日に1 回目を播種したが出芽が悪かったため 6 月に新たに試験区を設置して再度播種した 収穫期は全品種が出穂した時と定められていたので8 月に1 番草 11 月に2 番草を調査した 1 供試品種及び系統 (1) 東山交 30 号 ( 育成系統 ) (2) 涼風 ( 農林登録品種比較品種 ) (3) T122( 標準品種ラッキーソルゴー ) (4) K70 ( 比較品種キングソルゴー ) 2 試験場所西諸県郡高原町広原 5066 番地宮崎県畜産試験場畑地 3 号ほ場 ( 黒色火山灰土砂壌土 ) 3 播種期平成 24 年 6 月 11 日 4 播種法及び播種量播種法 : 条播き播種量 :0.33kg/a(1 条 10g/4m) 5 施肥 (kg/a) 1 元肥牛糞堆肥 300, ヨーリン 6, 苦土石灰 10 化成肥料 N=0.6, P=0.6, K= 追肥 ( 1 番草収穫日 ) 化成肥料 N=0.36, P=0.0, K= 試験規模各区を条の横方向に連続接合して試験地とし 最外区には周辺効果を除外するために番外区 4 条を設けた 1 条間 :0.75m 1 区 :4m 4 条 =12m2 4 区制調査区は中央部 2 条の中央部 2mに設定した 2 収量調査面積 :1 区 3m2 4 区 (12m2) 7 管理除草剤は使用せず随時人力で除草した 出芽確認後 80 本 / m2に間引き及び補植した 8 検定方法系統適応性検定試験実施要領の項目に準じて調査した 78

84 牧草及び飼料作物の系統適応性検定試験 結果及び考察 1 気象概要 (6 月上旬から11 月上旬まで ) 栽培期間中の降水量が2,526mmで平年より987mm も多かった そのため日照時間は783 時間と125 時間も少なかった 平気気温は平年並み (-0.1 ) であったが 最高気温の平均は高く (+2.5 ) 最低気温の平均は低く (-2.5 ) 日格差の大きい年であった 台風は10 号が8 月 1 日夜に襲来し風速 11.9mを記録した 2 生育状況 (1) 出芽及び初期生育 ( 表 1) 播種後 4 日目の6 月 15 日に全品種系統とも出芽した 発芽後の初期生育は良好であったが 涼風とキングソルゴーが特に良く 次がラッキーソルゴーで検定系統の東山交 30 号は比較すると劣った (2) 茎数及び再生性 ( 表 2) 茎数を出芽後に80 本 / m2に間引き及び補植して調整したが 1 番草収穫時には東山交 30 号は50 本 / m2 ( ラッキーソルコ ー比 87%) と少なかった 再生時芽数は 100 本 / m2 ( 同 97%) と同程度で 2 番草収穫時茎数は47.3 本 / m2 ( 同 113%) であった 全系統品種ともに再生は良かった (3) 出穂期 ( 表 1) 東山交 30 号は比較品種のラッキーソルゴーと比べて1 番草の出穂が3 日早く 2 番草は6 日早かった (4) 穂先及び葉先までの高さ ( 表 3) 1 番草収穫時の止め葉先までの高さは東山交 30 号が240cmでラッキーソルゴーより16cm 高かった 2 番草収穫時には248cmで17cm 高く キングソル ゴーと同程度の大きさとなった また 穂先までの高さは257.1cmで最も高く キングソルゴーより13cm 高かった (5) 収量性 ( 表 4) 生草収量は1 番草と2 番草の合計で644.5/aとラッキーソルゴーの84% で少なかったが 乾物率が約 26% とラッキーソルゴーより6ポイント高く そのため乾物収量は167.5kg/aで8ポイント多かった (6) 耐倒伏性 ( 表 2) 8 月 2 日に九州南部を通過した台風 10 号の影響で 東山交 30 号は約 45 になびいた しかし 5 日後の8 月 6 日には全ての品種が直立に回復した また 折損は無かった 耐倒伏性は品種系統間に大きな差はなかった (7) 耐病性及び虫害 ( 表 3) ひょう紋病と紫斑点病に対しては 東山交 30 号の耐病性はラッキーソルゴーと同程度であったが すす紋病に対してはラッキーソルゴーよりやや強かった また 特記するべき虫害はなかった (8) 栽培期間播種から涼風とキングソルゴーが出穂した1 番草収穫期までに要した日数は73 日で 東山交 30 号は開花期であった 再生後キングソルゴーが出穂した2 番草収穫までは83 日で 東山交 30 号は未乳熟期であった 栽培期間の合計は156 日であった 3 まとめ東山交 30 号を宮崎畜試で栽培したところ 生育は良好であった 東山交 30 号は乾性のソルガムで九州南部の栽培には適応性があることが窺えた 事業名 : 平成 24 年度新たな農政水産政策を推進する実用化事業報告書課題名 : 多様な地域の飼料生産基盤を最大限活用できる飼料作物品種の育成 ( 課題番号 23036) 中課題名 : 再生性および機械踏圧耐性のスーダン型ソルガム品種の育成小課題名 : ソルガムの九州南部での適応性評価 79

85 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 1 生育調査 ( 出穂等 ) 1 番 草 2 番 草 出芽日初期生育 * 出穂始 出穂期 収穫時熟期 再生勢 * 出穂始め 出穂期 収穫時熟期 東山交 30 号 6/ /11 8/16 開花期 /17 10/22 未乳熟期 ラッキーソルコ ー 6/ /11 8/19 開花期 /19 10/28 出穂期 涼 風 6/ /15 8/20 開花期 /15 10/29 開花期 キンク ソルコ ー 6/ /12 8/20 開花期 /23 11/ 3 出穂期 * 注 : 初期生育と再生の勢いは指数 ( 極悪 1.0 ~ 極良 9.0) で示した 表 2 生育調査 ( 茎数 耐倒伏性) 単位 : 本 / m2 指数 1 番収穫 同穂数 出穂率 再生時 2 番収穫 同穂数 出穂率 倒 伏 の 程 度 * (8/22) (8/22) (9/21) (11/13) (11/13) (8/2*) (8/23) (11/13) 東山交 30 号 % % ラッキーソルコ ー % % 涼 風 % % キンク ソルコ ー % % * 注 : 倒伏の程度は指数 ( 無 1.0 ~ 甚 9.0) で示した 8/2 の倒伏は6 日後には全品種系統とも回復した 表 3 生育調査 ( 収穫時草高 耐病性 ) 単位 :cm 指数 1 番 草 2 番 草 ひょう紋病 * 紫斑点病 * すす紋病 * 虫害 止葉先 穂先 稈径 止葉先 穂先 稈径 8/23 8/23 11/13 11/13 11/13 東山交 30 号 ( 混合 ) ラッキーソルコ ー ( 混合 ) 涼 風 ( 混合 ) キンク ソルコ ー * 注 1: 止葉先高と穂先高は収穫後 刈り取った端から止め葉先及び穂先までの長さとした * 注 2: 病虫害は指数 ( 極微 1.0 ~ 極甚 9.0) で示した 8/23 のひょう紋病と紫斑点病は判別できず混合で示した 表 4 収量性単位 : kg /a 生草収量乾物率乾物収量 1 番 2 番合計 1 番 2 番平均 1 番 2 番合計東山交 30 号 ( 84) 25.7 % 26.1 % 25.9% (108 ) ラッキーソルコ ー ( 100) 19.6 % 19.4 % 19.5% (100 ) 涼風 ( 85) 21.0 % 22.3 % 20.8% ( 92 ) キンク ソルコ ー ( 118) 18.3 % 17.8 % 18.1% (108 ) 80

86 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 ) 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 ) 宮﨑涼子 林礼華 金松尚裕 岩切正芳 Project for reconstruction of pig farming(second Report). Ryoko MIYAZAKI, Ayaka HAYASHI, Takahiro KANEMATSU, Masayoshi IWAKIRI < 要約 > 口蹄疫からの再生 復興の支援として 独立行政法人家畜改良センター宮崎牧場から無償譲渡された発育と産肉能力の高いデュロック種系統豚 ユメサクラ の交配 選抜を行い 養豚農家のニーズにあったハイヘルス (AD PRRS フリー ) な優良種豚の供給を行っている さらに 西都 児湯地域に県内外から導入されているF1 雌豚にユメサクラを交配し ユメサクラとの相性となる繁殖成績およびその3 産目産子の産肉成績の性能を比較したところ いずれの系統においても繁殖成績 発育成績について 初産及び2 産目と同程度の良好な成績を示した 2010 年の口蹄疫で最も大きな被害を受けた西都 児湯地域では再生 復興プロジェクトの一環として特定疾病フリー豚を導入することで 衛生レベルの高い養豚地域を目指した産地づくりが進められている そのような中 独立行政法人家畜改良センター宮崎牧場から当支場に本県の口蹄疫復興支援として 発育と産肉能力の高いデュロック種系統豚 ユメサクラ の無償譲渡を受けた これを受けて 当支場では雄系品種の供給不足を解消するため ユメサクラ の交配 選抜を行い 2012 年から養豚農家のニーズにあったオーエスキー病および豚繁殖呼吸障害症候群の抗体陰性であるハイヘルスな優良種豚を供給している さらに 西都 児湯地域に県内外から導入されているハイヘルスな F1 雌豚 4 系統に ユメサクラ を交配し それらの 3 産目産子の産肉成績を調査するためにユメサクラとの組み合わせ検定試験を実施したので その概要の第 2 報を報告する 試験方法 試験 1 ハイヘルスな優良種豚の供給 1) 供試豚独立行政法人家畜改良センター宮崎牧場から導入したユメサクラ雄 7 頭 雌 25 頭から得られた産子を当支場で交配 選抜を行って造成された種豚群から 3 産目では雄 5 頭 雌 16 頭 4 産目では雄 10 頭 雌 24 頭を供試した 2) 検定 (1) 選抜計画表 1 に産子のユメサクラ標準選抜計画を示した 一次選抜は 体重 30kg 時に行い 社団法人日本養豚協会の子豚登記の条件を満たす子豚から 原則として乳頭数左右 6 対以上の子豚を母豚一腹当り雄 2 頭 雌 1 頭を選抜した 一次選抜豚は 産肉能力検定を実施し 検定終了は体重 105kg とした また 脚弱や生殖器形状の不良な豚は二次選抜時に独立淘汰を行った ユメサクラ供給数は 1 回転で 25 頭を供給し 年間 2 回転で 50 頭を 西都 児湯地域を優先として 県内全域に供給することを目標とした 81

87 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 1 標準選抜計画 ( 単位 : 頭 ) 出生 一次選抜 二次選抜 種豚供給 月齢 3 5 6~8 体重 (kg) 雄 雌 (2) 選抜形質 選抜形質は一日増体量 (DG; 体重 30~105kg 間 の一日増体量 ) 背脂肪厚(BF; 体重 105kg 時の 1/2 部位の背脂肪厚 ) ロース断面積(EM; 体長 1/2 部位のロース断面積 ) の 3 形質とした なお BF EMの測定には超音波測定機を用いた (3) 能力総合判定基準 能力総合判定は 選抜形質ごとの序列について 5 段階の均等割り当てを行うとともに 成績優秀な上 位から順次 5 点から 1 点の得点を与え 表 2 の項目 ごとの相対的重要度を乗じた後に合計することによ り算出した この得られた総合点の高い順に選抜し た 表 2 総合判定のための項目別相対的重要度表 項目 点 相対的重要度 最高点 DG 1~ BF 1~ EM 1~5 1 5 餌に切り替え 二次選抜を行った後に 雄は単飼 雌は 2 頭で配置した 表 3 飼料の種類および給与方法 区分 時期 飼料 TDN(%) DCP(%) 給与方法 餌付 ~ 離乳 人工乳 A 不断給餌 子豚 離乳 ~25kg 人工乳 B ~30kg 検定用 ~70kg 検定用 育成豚 70~110kg 検定用 種豚 種豚用 制限給餌 4) 衛生管理表 4 に衛生管理プログラムを示した ワクチネーションは 豚マイコプラズマ性肺炎 (SEP) サーコウイルス病 (PCV2) グレーサー病(HPS) 萎縮性鼻炎 豚丹毒 (ARBP SE) 豚胸膜肺炎(APP) の各ワクチンをプログラムに準じて接種した また 種雄豚は 5 6 月に ARBP SE 混合ワクチン 月に日本脳炎 豚パルボ (JEV PPV) 混合ワクチンを接種した 種雌豚は交配後 50 日と 90 日に ARBP SE 交配後 70 日と 90 日に大腸菌症下痢症 クロストリジウム混合ワクチン 月に JEV PPV を接種した 豚舎移動前後は オキシテトラサイクリン (OTC) 散およびチアムリン散を疾病予防の目的で投与した (4) 体型および肢蹄評価体型および肢蹄評価は独立淘汰とした 肢蹄評価は 独立行政法人家畜改良センターのスコアリング評価 ( 管囲 つなぎ ) を実施した 3) 飼養管理 (1) 飼料給与および飼養形態表 3 に給与した飼料の種類および給与方法を示した 一次選抜までの期間は 基本的に 2 腹 20 頭を群飼した 一次選抜終了後は 雄 2 頭 雌 4 頭の群飼で産肉能力検定を実施した 産肉能力検定が終了する体重 105kg 時から制限給 82

88 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 ) 表 4 衛生管理プログラム 接種投与 投与 対象 薬品名 区分 時期 量 疾病 種類 (ml) 貧血 アイアンシロップ 3 日齢 1 大腸菌 ゲンタリン 3 日齢 1 SEP 不活化ワクチン 1 3 週齢 2 子豚 PCV2 不活化ワクチン 3 週齢 1 HPS 不活化ワクチン 9 12 週齢 1 2) 調査項目豚体重 30kg 以降は 毎週 1 回 体重測定を行い DGを算出した また 105kg 到達時に 体重 体尺 ( 体高 十字部高 体長 胸囲 胸深 管囲前 管囲後 前幅 胸幅 後幅 ) を測定し EMは 超音波画像診断装置を用いて測定した と体検査成績である格付およびBFは 公益社団法人日本食肉格付協会の豚枝肉取引規格に従った 移動豚 種雄豚 ARBP SE 混合不活化ワクチン 6 12 週齢 1 APP 不活化ワクチン 6 9 週齢 2 OTC 散 用法 疾病予防 チアムリン散 用量 ARBP SE 混合不活化ワクチン 5 6 月 5 JEV PPV 混合生ワクチン 月 1 交配 50 ARBP SE 混合不活化ワクチン 5 日,90 日 (1) 繁殖成績総産子数 哺乳開始頭数 離乳頭数 離乳時育成率 生時総体重 3 週離乳時総体重 (2) 産肉成績 DG BF EM 種雌豚 JEV PPV 混合生ワクチン 月 1 大腸菌 交配 70 混不活化ワクチン 2 クロスト 日,90 日 試験 2 ユメサクラとの組み合わせ検定試験 1) 供試豚および試験区分 F1 母豚は 株式会社シムコ 全農畜産サービス株式会社 株式会社ファームテック プライフーズ株式会社ハイポーカンパニーの種豚 止め雄に ユメサクラ 6 頭を供試し 繁殖成績を比較した また その産子を用いて 系統ごとに雄 6 頭 雌 6 頭を供試豚とし 発育成績および産肉成績を比較した なお 産子の飼養管理は 体重 30kg まで場内で飼養し 30kg 以降は場内と一般生産者の実証農場で肥育試験を行った 肥育前期飼料から肥育後期飼料への切替時期を場内では従来の飼料給与体系と同様の体重 70kg とした さらに 特定疾病フリー地域では 発育が良好で出荷日齢が短縮傾向にある一方 脂肪付着の原因による上物率の低下が課題となっていることから 上物率の改善を図るために 肥育飼料 C72(TDN72%) と C78(TDN78%) の給与比較試験を行った 3) 飼養管理 (1) 飼料の種類および給与方法表 5 に給与した飼料の種類および給与方法を示した 表 5 飼料の種類および給与方法 区分 時期 飼料 TDN(%) DCP(%) 給与方法 餌付 ~ 離乳 人工乳 A 不断給餌 子豚 離乳 ~25kg 人工乳 B ~30kg 検定用 ~70kg 検定用 ~70kg 検定用 試験豚 70~110kg 検定用 ~110kg 検定用 種豚 種豚用 制限給餌 (2) 衛生管理表 6 に衛生管理プログラムを示した ワクチネーションは SEP PCV2 ARBP SE APP の各ワクチンをプログラムに準じて接種した 83

89 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 6 衛生管理プログラム 接種投与 投与 対象 薬品名 区分 時期 量 疾病 種類 (ml) 貧血 アイアンシロップ 3 日齢 1 大腸菌 ゲンタリン 3 日齢 1 SEP 不活化ワクチン 1 3 週齢 2 F1 子豚 PCV2 不活化ワクチン 3 週齢 1 ARBP SE 混合不活化ワクチン 6 12 週齢 1 APP 不活化ワクチン 6 9 週齢 2 OTC 散 用法 移動豚 疾病予防 チアムリン散 用量 ARBP SE 混合不活化ワクチン 5 6 月 5 種雄豚 JEV PPV 混合生ワクチン 月 1 ARBP SE 混合不活化ワクチン 交配 50 5 日,90 日 種雌豚 JEV PPV 混合生ワクチン 月 1 大腸菌 混合不活化ワクチン 交配 70 2 クロスト 日,90 日 4) 統計処理試験結果の差の検定は Tukey-kramer の方法による多重比較検定を用いた 試験結果および考察 試験 1 表 7 にユメサクラの繁殖成績を示した 離乳頭数は 3 産で 5.7 頭 4 産で 5.3 頭であり 育成率はそれぞれ 78.1% と 81.0% であった 表 8 にユメサクラの発育成績を示した 雄については 3 産で58 頭 4 産で 53 頭の産肉能力検定を行い 3 産ではDG BF EMにおいて 家畜改良センター宮崎牧場の最終世代豚と同程度の良好な成績を示した また DGについては 家畜改良増殖法の平成 32 年度目標値および豚産肉能力検定成績の成績判定基準 ( デュロック ) を達成した 4 産については DG が 3 産と比較してやや低い結果となったが EMに ついては ばらつきの少ない良好な成績であった 表 9 にユメサクラの体型成績を示した 社団法人日本養豚協会のデュロック ( 雌 ) 発育曲線値 6 か月と比較すると 豚体重 105kg 時 (5 か月齢未満 ) の体型成績であっても 胸囲 菅囲前 菅囲後 前幅 胸幅についてはこの値を上回る結果であった 表 10 に平成 26 年 1 月 15 日時点でのユメサクラの供給実績を示した 3 産目産子の供給実績は 西都 児湯地域に 3 戸に対して 3 頭 その他地域に 18 戸に対して 22 頭の供給を行った また 24 年度からの累計では延べ 61 戸に対して 88 頭の供給を行っており 今後供給予定を含めた頭数は 105 頭になり 当初目標の 100 頭を達成した なお 定期的に家畜保健衛生所における AD および PRRS のエライザ抗体検査を実施し 検査結果はすべて陰性であった 図 1にユメサクラの供給を行った生産者に対するアンケート結果を示した 産子の成績 雌への乗駕 飼いやすさ 外貌についてそれぞれ 1 非常に良い 2 良い 3 普通 4 悪い 5 非常に悪い の5 段階評価とし 15 戸 ( すべて雄の導入 項目ごとの回答戸数 7 ~15 戸 ) の回答を得た 各項目において 非常に良い 良い は 60~80% 台を占める一方 非常に悪い との意見が 10% 前後あるため 今後の育種改良の参考に供したい 産子成績 ( 増殖用 ) 産子成績 ( 止め雄 ) 雌への乗駕 飼いやすさ 外貌 図 1 アンケート結果 % 20% 40% 60% 80% 100%

90 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 ) 表 7 繁殖成績 産歴 調査頭 数 ( 頭 ) 総産子頭数 ( 頭 ) 哺乳開始頭数 ( 頭 ) 離乳頭数 ( 頭 ) 育成率 (%) 分娩時総体重 (kg) 3 週離乳時総体重 (kg) 3 産 ± ± ± ± ± ± 産 ± ± ± ± ± ±18.3 表 8 発育成績 3 産 4 産 調査頭数 ( 頭 ) DG(g) 105kg 到達生時 -105kg kg 日齢 ( 日 ) BF(cm) EM(cm 2 ) 雄 ±41.1 1,057± ± ± ±7.90 雌 ± ± ± ± ±1.68 雄 ± ± ± ± ±2.37 雌 ± ± ± ± ±1.44 表 9 体型成績 3 産 4 産 雄 雌 雄 雌 調査頭数 ( 頭 ) 体高 (cm) 64.2± ± ± ±1.7 十字部高 (cm) 67.2± ± ± ±2.0 体長 (cm) 107.1± ± ± ±3.4 胸囲 (cm) 109.0± ± ± ±3.5 胸深 (cm) 34.5± ± ± ±0.7 菅囲前 (cm) 19.6± ± ± ±0.7 菅囲後 (cm) 20.0± ± ± ±0.6 前幅 (cm) 32.8± ± ± ±1.1 胸幅 (cm) 29.0± ± ± ±0.8 後幅 (cm) 31.3± ± ± ±0.9 表 10 供給実績 供給戸数 供給頭数 ( 頭 ) ( 延べ 戸 ) 雄 雌 合計 西都 児湯地域 その他地域 合計

91 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 試験 2 表 12 に F1 雌豚の繁殖成績を示した 繁殖成績については 全項目において有意差は見られなかった 図 2 に産次における総産子数の推移を示した 表 13 に試験場での産子の発育成績および枝肉成績を示した 全項目において 有意差が見られなかったが 背脂肪が厚くなる傾向にあり 上物率が低い系統があった 図 3 に産次における出荷日齢の推移を示した 出荷日齢においては 平成 21 年度の系統間組合せ検定試験における LWD 肉豚 131 頭 ( 去勢 67 頭 雌 64 頭 ) の出荷日齢 日 ( 出荷体重 109.7kg) よりも早く 特定疾病フリーの効果が十分に表れた結果となっ た 表 14 に産子の体型成績を示した 全ての項目で有意差は見られず いずれの系統も体型がそろっていることが示唆された 表 15 に実証農場での産子の発育成績および枝肉成績について示した いずれの系統の出荷日齢 上物率も良好な成績を示した 表 16 に各系統における C72 と C78 給与試験成績を示した 各系統における全項目において 有意差が見られなかったが 全系統のDGにおいて C78 より C72 の方が高い傾向にあった 表 12 繁殖成績 A B C D 分娩腹数 ( 頭 ) 総産子数 ( 頭 ) 11.9± ± ± ± 3.7 哺乳開始頭数 ( 頭 ) 11.6± ± ± ± 産 離乳頭数 ( 頭 ) 10.4± ± ± ± 3.9 離乳率 (%) 91.4± ± ± ± 9.5 分娩時総体重 (kg) 18.5± ± ± ± 週離乳時総体重 (kg) 68.9± ± ± ±14.0 妊娠期間 ( 日 ) 116.4± ± ± ± 1.6 平均値 ± 標準偏差 表 13 発育成績および枝肉成績 ( 試験場 ) A B C D 調査頭数 ( 頭 ) 出荷日齢 ( 日 ) 144.8± ± ± ±9.3 出荷体重 (kg) 111.5± ± ± ± 産 DG(g) 761.1± ± ± ±42.0 上物率 (%) 枝肉重量 (kg) 73.2± ± ± ±2.3 枝肉歩留 (%) 65.6± ± ± ±1.4 BF(cm) 2.55± ± ± ±0.57 平均値 ± 標準偏差 DGは豚生時体重 ~105kg 成績は C72 と C78 給与比較試験平均 86

92 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 ) 頭 産 2 産 3 産 A B C D 日 産 2 産 3 産 A B C D 図 2 総産子数の推移 図 3 出荷日齢の推移 表 14 体型成績 A B C D 調査頭数 ( 頭 ) 体高 (cm) 63.1± ± ± ±1.6 十字部高 (cm) 67.5± ± ± ±2.2 体長 (cm) 107.5± ± ± ±2.3 胸囲 (cm) 111.7± ± ± ±2.9 3 産 胸深 (cm) 35.1± ± ± ±0.8 菅囲前 (cm) 18.1± ± ± ±0.7 菅囲後 (cm) 18.7± ± ± ±0.6 前幅 (cm) 34.0± ± ± ±1.1 胸幅 (cm) 30.3± ± ± ±1.3 後幅 (cm) 33.0± ± ± ±1.1 平均値 ± 標準偏差 87

93 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 15 発育成績および枝肉成績 ( 実証農場 ) A B C D 調査頭数 ( 頭 ) 出荷日齢 ( 日 ) 187.3±16.3 B 170.9±14.4 A 182.4±11.9 B 190.6±13.5 B 出荷体重 (kg) 119.2± ± ± ±2.7 2 産 DG(g) 639.3± ±52.0 A 648.0±46.3 B 624.0±49.5 B 上物率 (%) 枝肉重量 (kg) 76.8± ± ± ±2.7 枝肉歩留 (%) 64.4± ± ± ±1.4 BF(cm) 1.94± ±0.52 A 1.68±0.51 b 1.59±0.42 b 3 産 調査頭数 ( 頭 ) 出荷日齢 ( 日 ) 177.3± ± ± ±15.3 出荷体重 (kg) 111.1± ± ± ± 3.9 DG(g) 633.1± ± ± ±51.3 上物率 (%) 枝肉重量 (kg) 70.9± 2.6 a 69.4± ± 3.1 b 70.1± 3.1 枝肉歩留 (%) 63.8± 1.4 A 63.2± ± 1.6 B 63.5± 1.6 A BF(cm) 1.89±0.48 A 1.87±0.52 A 1.50±0.43 B 1.77±0.45 A 平均値 ± 標準偏差 DGは豚生時体重 ~105kg A-B 異符号間に 1% 水準で有意差あり a-b 異符号間に 5% 水準で有意差あり 88

94 養豚復興に向けたプロジェクト ( 第 2 報 ) 表 16 各系統における C72 と C78 給与試験成績 3 産 A B C72 C78 C72 C78 調査頭数 ( 頭 ) 出荷日齢 ( 日 ) 142.3± ± ± ±9.9 出荷体重 (kg) 111.2± ± ± ±3.1 DG(g) 770.7± ± ± ±58.8 上物率 (%) 枝肉重量 (kg) 72.9± ± ± ±2.7 枝肉歩留 (%) 65.6± ± ± ±1.3 BF(cm) 2.55± ± ± ±0.71 C D C72 C78 C72 C78 調査頭数 ( 頭 ) 出荷日齢 ( 日 ) 135.3± ± ± ±12.8 出荷体重 (kg) 110.0± ± ± ±2.1 3 DG(g) 811.3± ± ± ±52.3 産 上物率 (%) 枝肉重量 (kg) 73.4± ± ± ±1.9 枝肉歩留 (%) 66.1± ± ± ±1.3 BF(cm) 2.52± ± ± ±0.60 平均値 ± 標準偏差 DGは豚生時体重 ~105kg 考察参考文献 系統豚 ユメサクラ について 初産から 4 産まで調査を行った結果 いずれも発育が非常に良好で 産肉性に優れていることが示された また F1 雌豚 4 系統とユメサクラとの相性についても繁殖成績 発育成績において良好な成績を示したことから 系統豚ユメサクラは止め雄として広く利用できると思われる また F1 産子の上物率の改善を図るため 3 産目では肥育前期及び後期飼料の TDN を下げて比較検討を行ったが 逆に背脂肪が厚くなり上物率が低下した系統もみられ 脂肪付着を改善する成果は得られなかった 1) 一般社団法人日本養豚協会. 豚産肉能力検定規程. 豚産肉能力検定実施細則 ) 社団法人日本養豚協会. 各部の測定. 登録委員必携 ) 社団法人日本養豚協会. デュロック ( 雌 ) 発育曲線値登録委員必携 ) 中塩屋正志. ランドレース種の系統造成 ( 第 3 報 ). 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 23 号

95 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 規格外トマト給与による夏期の豚繁殖性向上試験 林礼華 金松尚裕 宮崎涼子 岩切正芳 Non-standard tomato Feeding Examination on Reproducting Pigs Ayaka HAYASHI, Takahiro KANEMATSU, Ryoko MIYAZAKI, Masayoshi IWAKIRI, < 要約 > 本県で排出される規格外トマトを乳酸発酵処理し通常配合飼料に添加して 夏期にお ける豚の繁殖性向上を試みた その結果 繁殖雌豚では乳酸発酵トマトを給与したところ離乳頭数が多くなる傾向があり 総離乳子豚体重が重くなった また 種雄豚では乳酸発酵トマトを給与したところ 精液採取量 精子活力 総精子数及び奇形率が良好な成績であった 以上の結果より 乳酸発酵させた規格外トマトは暑熱の影響で低下する豚の繁殖性を改善する可能性が示唆された クエン酸水で消毒後 直ちに冷却保存した 解凍し宮崎県都農町では 年間約 5000t 1) のトマトが生産たトマトを破砕機にかけて破砕したものに乳酸菌をされるが 生産および流通の過程で約 140t のトマト添加して乳酸発酵させたもの ( 乳酸発酵トマト ) をが へた取れやひび割れなどの理由により規格外と配合飼料に添加した みなされ廃棄されている また トマトには抗酸化試験区分は 繁殖雌豚では市販の繁殖飼料 (TD 作用のあるリコピンや美容に良いとされるビタミン N75%) のみの対照区 市販の配合飼料に乳酸発酵ト類 整腸作用のあるペクチンなど 2) 健康をサポーマトを一日 2l 添加給与する区 種雄豚では市販の繁トする成分が多く含まれている 殖飼料 (TDN75%) のみの対照区 市販の配合飼料そこで 大量の排出される規格外トマトの活用をに乳酸発酵トマトを一日 2l 添加給与する区の 4 区を図るために 暑さによる影響を受けやすい夏季に乳設け 各区繁殖雌豚は 5 頭 種雄豚は 3 頭を設置し酸発酵した規格外トマトを豚に給与し 繁殖成績にた なお 繁殖雌豚の対照区は 体調不良のため供及ぼす影響を調査した 試豚を 1 頭除外した 表 1 試験区分および供試頭数 試験方法 1 試験期間平成 25 年 8 月 7 日 ~ 平成 25 年 9 月 18 日 2 供試豚と供試飼料 試験区分試験区分及び供試頭数を表 1 に示した 供試豚は 繁殖雌豚交雑種 LW10 頭と種雄豚 D 種 6 頭で 繁殖雌豚は分娩予定日の 2 週間前から離乳まで 種雄豚は 8 月 12 日から 9 月 6 日まで乳酸発酵トマトを給与した 試験に使用した規格外トマトは 選果場で回収し 給与期間および給与飼料供試頭数繁殖雌豚5 種雄豚対照区通常配合飼料 5(4) 1 試験区 通常配合飼料 + 乳酸発酵トマト 2l/ 日添加 対照区通常配合飼料 3 試験区 通常配合飼料 + 乳酸発酵トマト 2l/ 日添加 1 繁殖雌豚の対照区は体調不良のため供試豚を 1 頭除 3 90

96 規格外トマト給与による夏期の豚繁殖性向上試験 3 供試豚の飼養方法供試豚について繁殖雌豚は分娩豚舎のストール内に飼養し 飼料は制限給餌で行った 種雄豚は種豚舎にて豚房に 1 頭ずつ飼養し 飼料は制限給餌で行った 4 調査項目繁殖成績については 総産子数 生産頭数 死産頭数 離乳頭数 離乳率 母豚飼料摂取量を調査し 乳のリコピン含量については 分娩後と離乳前の乳を用いて測定した 搾乳については 採取前 2 時間は子豚を母豚から隔離し採取直前に母豚にオキシトシンを 5ml 注射し 手絞りで乳汁を採取した 子豚の発育成績については 生時体重 1 週齢体重 2 週齢体重 3 週齢体重 6 週齢体重 総離乳時子豚体重を調査した 精液成績については 手圧法により採取したものを用いて 精液採取量 精子活力 精子濃度 奇形率 総精子数を調査した 種雄豚の血液成分については試験終了時の血清を用いてアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) ガンマグルタミールトランスペプチターゼ (γ-gt) について測定した 試験結果および考察 1 分娩成績表 2 に繁殖雌豚の分娩成績を示した 生産頭数は試験区が対照区よりも多く また 離乳率も高かった そのため離乳頭数では試験区で対照区よりも有意に多くなった 暑熱の影響を最も受けるほ乳中の母豚飼料摂取量は 試験区が対照区を上回った (P 値 :0.71) 2 乳のリコピン含量表 3 に乳のリコピン含量を示した トマトの成分であるリコピンについて サンプル数が十分でないが試験区で微量ながら乳への移 行がみられた 表 2 分娩成績 対照区 試験区 総産子数 ( 頭 ) 12.00± ±1.92 生産頭数 ( 頭 ) 11.25± ±1.52 死産頭数 ( 頭 ) 0.50± ±0.89 離乳頭数 ( 頭 ) 8.00± ±1.10 * 離乳率 (%) 75.46± ±6.05 母豚飼料摂取量 (kg/ 頭 ) 101.7± ±47.81 * *:p<0.05 表 3 乳中のリコピン含量 区分 豚番号 搾乳日 リコピン含量 (μg/100g) ( 分娩後日数 ) 対照区 1 19 検出せず 対照区 2 20 検出せず 試験区 試験区 2 3 検出せず 試験区 3 18 検出せず 試験区 子豚の発育成績表 4に子豚の発育成績を示した ほ乳中の 1 週齢から 3 週齢までの体重について 有意差は認められなかった しかし 離乳頭数が対照区に比較して試験区が多いので 総離乳時子豚体重では試験区で有意に重くなった その後の発育については 両区に大きな差は認められず 下痢等の発生も差はなかった 表 4 子豚の発育成績 対照区 試験区 生時体重 (kg) 1.64± ± 週齢体重 (kg) 3.15± ± 週齢体重 (kg) 4.67± ± 週齢体重 (kg) 6.72± ± 週齢体重 (kg) 14.08± ±3.81 総離乳時子豚体重 (kg) 53.95± ±7.84 * *:p<

97 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 4 精液の性状表 5に精液性状の成績を示した 精液採取量 総精子数について 対照区に比べ試験区で多くなる傾向はみられたが有意差は認められなかった また 試験区の方が精子活力は高くなり 精子濃度及び奇形率は低くなる傾向がみられたが有意差は認められなかった (P 値 : 精液採取量 0.12 総精子数 0.60 精子活力 0.11 精子濃度 0.52 奇形率 0.82) 表 5 精液性状 対照区 試験区 精液採取量 (ml) ± ± 精子活力 (%) 85.83± ±4.33 精子濃度 (10 7 /ml) 4.21± ±1.73 総精子数 (10 7 個 ) ± ± 奇形率 (%) 17.31± ± 種雄豚の血清成分分析結果表 6に血清成分分析結果を示した AST 値 γ-gt 値ともに試験区で高い値を示したが いずれも正常値の範囲内であり 乳酸発酵トマト給与による肝機能への影響は少ないと考えられる 表 6 血清成分分析結果 形率において 良好な成績であった 以上の結果から 乳酸発酵規格外トマトの豚のへの給与は 夏期のおける繁殖成績を改善することが期待されるため 機能性のある未利用飼料として有効であると考えられる 謝辞 本試験を遂行するにあたりトマトの提供等に多大なご協力を賜りました都農町および都農町内のトマト生産者の方々 また 乳及び血清の分析を始め多くの御指導と御助言を賜りました宮崎家畜保健衛生所の方々に心より感謝いたします 参考文献 1) 農林水産省. 平成 23 年産春野菜 夏秋野菜等の作付面積 収穫量及び出荷量. 2) 山田耕路, 高杉美佳子 (2008). 食品成分早わかりデータブック丸善株式会社. 対照区 試験区 AST(u/l) 29.67± ±10.97 γ-gt(u/l) 29.33± ±3.06 まとめ 乳酸発酵処理した規格外トマトを配合飼料に添加し豚に給与したところ 繁殖豚では離乳頭数 総離乳時子豚体重で対照区に比べ試験区で有意に多くなり 微量ながらトマトの成分であるリコピンの乳への移行も認められた また 種雄豚の精液性状では 試験区の方が精液採取量 精子活力 総精子数及び奇 92

98 みやざき地頭鶏種鶏群の改良 みやざき地頭鶏種鶏群の改良 稲井耕次 原田晋平 津曲明美 神坂明茂 1) 北諸県農林振興局 1) The breeding of grand parent stock for Miyazaki-Jitokko Koji INAI,Shinpei HARADA,Akemi TUMAGARI,Akishige KAMISAKA < 要約 > 雄系原種鶏である 地頭鶏 は コマーシャルに供している昭和 60 年に導入した地頭鶏群 (S60 群 ) の近交弊害を回避するため 既存群間で交配 選抜し 新たな種鶏群 (MIX 群 ) を作出した しかし 目標としてきたS60 群の増体成績に遠く及ばない状況であったことから このMIX 群に再び S60 群を交配させた種鶏群 ( 新 MIX 群 ) により目標に近づく増体成績が得られた 雌系原種鶏である 九州ロード は 産卵成績および増体を中心に維持 改良を実施し 14 及び25 週齢体重は年々増加した また 産卵成績については 50% 産卵到達日齢が延長したものの 卵重 53g 到達日齢は短縮してきた みやざき地頭鶏 の雄系原種鶏である地頭鶏は 昭和 60 年に導入した群 (S60 群 ) 平成 15 年に導入した群 (H15 群 ) 平成 23 年に導入した群 (H23 群 ) の3 種鶏群で維持している 現在 コマーシャルに供している種鶏群 (S60 群 ) の近交弊害を回避するため 3 種鶏群を組み合わせた新たな種鶏群 (MIX 群 ) を作出する さらに 漸次選抜 改良を行い これを新たな雄系原種鶏群としてのコマーシャル鶏に供用を図り みやざき地頭鶏 の安定生産を目指す また みやざき地頭鶏 は 全国的な市場ニーズの高まりから ひな供給の安定的な増加が求められている さらに 生産性を高めるために種鶏群の増体が大きな課題となっている そこで みやざき地頭鶏 の雌系原種鶏である九州ロード雌の増体 産卵率等を中心に選抜 改良を行い 能力向上を目指す である毛冠 顎髭の特徴を持つものの中から 150 日齢体重を基準に実施した なお 短脚のものは致死遺伝子を保持しているので排除した また 改良の目標としては実用鶏である種鶏群 (S 60 群 ) の成績とした (2) 交配様式 MIX 群作出については 平成 17 年に導入した群 (H1 7 群 ) の繁殖能力が著しく低かったため H17 群の雄と S60 群の雌を交配し 作出した雌にH15 群の雄を交配することで MIX 群を作出した 次に MIX 群を5 世代まで選抜 改良し 5 世代群の雌にS60 群の雄を交配させ 新 MIX 群を作出した ( 図 1) 試験方法 1 地頭鶏の改良 (1) 選抜条件地頭鶏の3 種鶏群とMIX 群の選抜は 地頭鶏の特徴 93

99 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) H15 (H17 S60 ) MIX MIX ( 初代 ~4 世代 ) S60 MIX (5 世代 ) 新 MIX 群 新 MIX ( 初代 ) 図 1 新 MIX 群の系統交配様式 2 九州ロード雌の改良 (1) 供試群 平成 18~21 年度までは大分県畜産試験場と種卵を交 換し 23 年度以降は当支場の種鶏群のみで試験を行っ た また 管理は64 週齢までケージ飼養により実施し た (2) 調査項目 14 週齢 25 週齢の体重 50% 産卵到達日齢 卵重 53g 到達日齢 卵重 産卵率とした 試験結果 1 地頭鶏の改良 MIX 種鶏群において 初代 ~5 代までの平均体重は安定した体重増加は認められず 雌雄共に個体によるバラツキが見られた そこで 増体性を高めるために 5 世代目の雌に S60 種鶏群の雄を再交配させた新 MIX 種鶏群では体重増加が認められた ( 表 1) また コマーシャル鶏に供しているS60 種鶏群は平均体重で個体毎のバラツキが大きかったものの ほぼ安定した発育能力を示した H15 種鶏群は発生群による差が大きく さらに 個体毎のばらつきが大きかった ( 表 2) 平成 23 年度に新たに導入したH23 種鶏群は バラツキが大きいものの 150 日齢到達羽数も徐々に多くなり ようやく増殖群として稼働できる状況になってき たが 平均体重はS60 種鶏群の水準には達していない結果であった ( 表 3) 2 九州ロード雌の改良増体能力の基準である25 週齢体重は 18 年度以降順調に増加し 24 年度餌付け群では2,840gに達した また 50% 産卵到達日齢は 年度毎にバラツキが見られ 24 年度は最長の185 日齢であった 種卵の基準となる卵重 53g 到達日齢は 年々短縮し 24 年度は最短の180 日齢であった また ヘンディ産卵率は 18 年度以降 70% 台で推移していたが 23 年度以降は60% 台に低下した 41 週齢の卵重は 18 年度以降漸次増加傾向にあり 24 年度は62.8gで最大となった ( 表 4) 考察 まとめ 1 地頭鶏の改良本試験の成績より MIX 種鶏群の雌にS60 種鶏群の雄を交配し 新 MIX 種鶏群を作出することで 既存の MIX 種鶏群よりも雌雄ともに増体が認められ コマーシャル鶏への供用に近づけた 今回は新 MIX 種鶏群初代であり 雄の個体数も少ないことから 継続的にさらに選抜改良を行っていく必要がある また 増体能力と併せて 形質 ( 毛冠 顎髭等 ) についても重視しながら改良を行うとともに 生産性で S60 種鶏群と同等以上の能力がある種鶏群に改良していく必要がある さらに 既存種鶏群 (S60 群 H15 群 H23 群 ) に関しては 年々増体能力が向上していることから 今後とも維持 改良を継続していく予定である 2 九州ロードの改良過去 6 年の改良で増体にかかる能力は向上している一方で 産卵成績は低下する結果となった しかし 卵重 53g 到達日齢は年々短くなり 50% 産卵到達日齢よりも早くなったことからスムーズな種鶏群の利用が可能となった 今後 地頭鶏同様に九州ロードの近交弊害も考慮し 大分県だけでなく熊本県を含めた3 県で種卵交換を行いそれぞれの特質をうまく活かすことで 更なる能力向上を目指していきたい 94

100 みやざき地頭鶏種鶏群の改良 表 1 MIX 群の交配経過と150 日齢平均体重 (kg) 測定日 交 配 体重 ( 羽数 ) 体重 ( 羽数 ) H H17 S (27) 1.12 (23) H H15 (H17 S60 ) 1.86 (70) 1.43 (56) 初代 H MIX MIX 1.88±0.24 (68) 1.29±0.19 (101) 2 代 H MIX MIX 1.83±0.18 (32) 1.35±0.21 (30) 3 代 H MIX MIX 1.87±0.24 (31) 1.36±0.17 (48) 4 代 H MIX MIX 1.76±0.23 (53) 1.34±0.16 (44) 5 代 H S60 MIX 2.20±0.20 (16) 1.57±0.17 (79) 新 MIX 表 2 S60 群とH15 群の150 日齢平均体重 (kg) S60 群 H15 群 測定日 体重 ( 羽数 ) 体重 ( 羽数 ) 体重 ( 羽数 ) 体重 ( 羽数 ) H (50) 1.43 (10) 1.52 (23) 1.12 (23) H (51) 1.56 (31) 1.62 (33) 1.20 (17) H (36) 1.76 (42) 2.02 (53) 1.47 (45) H ±0.25 (70) 1.63±0.21 (91) 2.08±0.24 (46) 1.45±0.19 (83) H ±0.24 (57) 1.65±0.15 (52) H ±0.29 (83) 1.58±0.25 (66) H ±0.20 (56) 1.61±0.20 (38) H ±0.31 (86) 1.58±0.17 (86) 2.13±0.24 (119) 1.47±0.17 (103) H ±0.30 (76) 1.59±0.18 (36) 1.96±0.27 (98) 1.38±0.16 (86) H ±0.26 (109) 1.76±0.20 (59) 表 3 H23 群の150 日齢平均体重 (kg) 測定日 体重 ( 羽数 ) 体重 ( 羽数 ) H ±0.30 (2) 1.21 (1) H ±0.19 (4) 1.23±0.07 (3) H ±0.30 (8) 1.25±0.29 (3) H ±0.38 (2) 1.16±0.04 (4) H ±0.11 (3) 1.21±0.24 (2) H ±0.22 (6) 1.17±0.30 (5) H ±0.51 (4) 1.13±0.19 (3) H ±0.15 (16) 1.13±0.12 (14) H ±0.34 (8) 0.92±0.21 (5) H ±0.42 (13) 0.96±0.26 (12) H ±0.27 (32) 1.26±0.18 (21) H ±0.38 (11) 1.18±0.12 (9) H ±0.31 (3) 1.18±0.71 (5) H ±0.21 (9) 1.34±0.15 (15) H ±0.24 (35) 1.33±0.20 (43) 95

101 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 4 九州ロード雌の成績 餌付 餌付 生存率 体重 (g) 50% 産卵 卵重 53g ヘンテ ィ 41 週齢 週 年度 羽数 (%) 14 週齢 25 週齢 到達日齢 到達日齢 産卵率 卵重 平均卵重 ( 羽 ) ( 日 ) ( 日 ) (%) (g) (g) ,444 2, ,580 2, ,551 2, ,558 2, ,700 2, ,673 2,

102 種鶏雌 ( 九州ロード ) の適正体重の検定 種鶏雌 ( 九州ロード ) の適正体重の検定 稲井耕次 津曲明美 神坂明茂 1) (1) 北諸県農林振興局 ) A test of desirable weight parent stock(kyusyu Rhode) Koji INAI,Akemi TUMAGARI and Akishige KAMISAKA < 要約 > みやざき地頭鶏 雌系原種鶏である九州ロードの飼養管理における体重調整は 種鶏場の経済性に大きく関与することから 適正体重の推移表を作成するため適正な飼料給与量を検討した その結果 4 月発生雛は12 月発生雛に比べ, 飼料摂取量が少なく 平均産卵率と生存率は高かった 飼料の総摂取量及び生産費は 24 週齢まで50% 以後 33 週齢まで75% 増体制限により 最も低い傾向にあった しかし 種卵適合卵の平均産卵率 試験期間中の生存率等を考慮すると従来の給与法が最も生産効率が良い結果であった このことから 従来の給与法による体重の推移表を作成し 種鶏場の指導に役立てる計画である みやざき地頭鶏 雌系原種鶏である九州ロードの飼養管理は コマーシャル鶏の安定供給に大きく影響する 特に その栄養管理は種卵の生産性及び種鶏場の経済性に大きく関与する しかしながら 九州ロードの適正管理の指標はまだ作成されていない そこで 種鶏場で指標となる種鶏雌の適正体重の推移表を作成し 種鶏場の生産性向上を図る目的で適正な飼料給与量を検討した なお 試験は4 月発生雛群と12 月発生雛群で実施した 試験方法 1 供試鶏 (1)4 月発生雛 ( 九州ロード ) 平成 22 年 4 月 21 日発生群を5 週齢から供試した (2)12 月発生雛 ( 九州ロード ) 平成 23 年 12 月 14 日発生群を5 週齢から供試した 2 飼養形態全期間平飼いとし ワクチネーション 衛生管理 等は当支場の慣行に従った 3 試験区分試験区は対照区 飽食区 試験 1~4 区とし 対照区は従来の給与法で雌 30 羽 雄 4 羽 飽食区は不断給餌で雌 30 羽 雄 4 羽を飼養した また 試験区は 14 週齢までに飽食区の平均体重の50% まで制限給餌により増体を制限し 下記に記述している条件で 体重が推移するように給与飼料の調整を行った なお 試験区は雌 30 羽 雄 4 羽の2 反復に設定した 試験区の給与条件試験 1 区 :22 週齢まで50% 体重 33 週齢までに75 % 体重雌 30 羽 ( 雄 4 羽 ) 2 反復試験 2 区 :22 週齢まで50% 体重 41 週齢までに85 % 体重雌 30 羽 ( 雄 4 羽 ) 2 反復試験 3 区 :24 週齢まで50% 体重 33 週齢までに75 % 体重雌 30 羽 ( 雄 4 羽 ) 2 反復試験 4 区 :24 週齢まで50% 体重 41 週齢までに85 % 体重雌 30 羽 ( 雄 4 羽 ) 2 反復 97

103 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 120 % 試験 1 区試験 2 区試験 3 区試験 4 区 週齢 図 1 試験区における体重推移のイメージ 4 試験期間 高くなった なお 全体の平均産卵率は対照区が最 (1)4 月発生雛 : 5 週齢 ~64 週齢 も良好な成績でった (2)12 月発生雛 : 5 週齢 ~70 週齢 2 12 月発生雛の成績 ( 表 3 4) 総産卵における50% 産卵到達日齢は飽食区 > 対照 5 調査項目 区 > 試験区の順に早く 試験 4 区が最も遅かった 産 産卵率 種卵適合率 50% 産卵到達日齢 飼料給 卵ピークは対照区が短く 試験 1 区が遅かった 産 与量等について調査した 卵率は 25~50 週齢間は対照区が高く 51 週齢以降 は試験区が高くなった なお 生存率は対照区が良 試験結果 1 4 月発生雛の成績 ( 表 1, 表 2) 総産卵における50% 産卵到達日齢では 対照区及び飽食区が早く 試験区はそれぞれ220 日以上となり 産卵ピークも約 10 週齢ほど遅くなった 平均産卵率は 対照区及び飽食区が25~50 週齢間は高かったが 逆に51 週齢以降は試験区が高い産卵率であった なお 生存率は試験 4 区が低い結果であった 種卵適合卵での成績では 50% 産卵到達日齢は対照区及び飽食区は185 日と早く 試験区は全区とも22 0を超える成績であった 平均産卵率も25~50 週齢間は対照区及び飽食区が高く 51 週齢以降は試験区が 好で 試験 1 区が最も低い結果であった 種卵適合卵における50% 産卵到達日齢は 対照区が最も早く試験 3 区が最も遅かった 産卵ピークは対照区が早く 試験 3,4 区が遅くなった 産卵率では 25~50 週齢間は対照区が最も良好な成績であったが 51 週齢以降は試験 1 2,3 区が高い値を示した なお 全体の平均産卵率は対照区が最も高く 飽食区が低く 試験区はその中間の成績であった 3 飼料給与量の成績 ( 表 5) 飼料費は当場で使用した市販飼料の単価を基準とし 表 5に基づき算出した 4 月発生雛では 1 羽当たりの総給与量は試験 3 区が最も少なく 飽食区が多い成績であった 1 羽当たりの飼料費でも試験 3 区が最も安く 飽食区が最も高く 98

104 種鶏雌 ( 九州ロード ) の適正体重の検定 なった 12 月発生雛では 1 羽当たりの総給与量は飽食区が多く 対照区及び試験 3 区が少なかった また 1 羽当たりの飼料費は 対照区 試験 1 及び3 区が安く 飽食区が最も高かった 表 4 種卵適合卵におけるデータ (120~490 日齢 ) 発生日 : 平成 23 年 12 月 14 日 50% 産卵到達日齢 ( 週齢 ) 産卵ピーク ( 週齢 ) 25~50 週齢平均産卵率 (%) 51 週齢以降平均産卵率 (%) 平均産卵率 (%) 対照区 157(23) 表 1 総産卵におけるデータ (120~448 日齢 ) 飽食区試験 1 区 215(31) 215(31) 発生日 : 平成 22 年 4 月 21 日 試験 2 区 221(32) 対照区 50% 産卵到達日齢 ( 週齢 ) 157(23) 産卵ピーク ( 週齢 ) 31 25~50 週齢平均産卵率 (%) 週齢以降平均産卵率 (%) 65.9 生存率 (%) 83.3 試験 3 区 試験 4 区 244(35) 214(31) 飽食区 148(22) 試験 1 区 222(32) 試験 2 区 220(32) 試験 3 区試験 4 区 229(33) 228(33) 表 5 給与飼料に関するデータ * 飼料費 : 中雛 83 円 /kg 大雛 76 円 /kg 成鶏 61 円 /kg で算出 4 月雛 (29~448 日齢 ) 12 月雛 (29~490 日齢 ) 総給与量 / 羽 (kg) 飼料費 / 羽 ( 円 ) 総給与量 / 羽 (kg) 飼料費 / 羽 ( 円 ) 対照区 表 2 種卵適合卵におけるデータ (120~448 日齢 ) 飽食区試験 1 区 発生日 : 平成 22 年 4 月 21 日 試験 2 区 対照区 50% 産卵到達日齢 ( 週齢 ) 185(27) 産卵ピーク ( 週齢 ) 32 25~50 週齢平均産卵率 (%) 週齢以降平均産卵率 (%) 41.2 平均産卵率 (%) 50.9 試験 3 区 試験 4 区 飽食区 185(27) 試験 1 区 223(32) 試験 2 区 222(32) 試験 3 区試験 4 区 232(34) 233(34) 考察 まとめ 対照区 飽食区 試験 1 区 試験 2 区 試験 3 区 試験 4 区 表 3 総産卵におけるデータ (120~490 日齢 ) 発生日 : 平成 23 年 12 月 14 日 50% 産卵到達日齢 ( 週齢 ) 157(23) 138(22) 178(26) 173(25) 173(25) 185(27) 産卵ピーク ( 週齢 ) ~50 週齢平均産卵率 (%) 週齢以降平均産卵率 (%) 生存率 (%) 本試験の成績より 飽食区 対照区に比べ試験区の生存率が低い傾向にあったことは 今回のような種鶏雌の急激な減量調整がストレスとなり 産卵成績や生存率に悪影響を及ぼすものと思われた また 飼料給与量において12 月発生雛は4 月発生雛に比べ飼料摂取量が多く 生存率において4 月発生雛は12 月発生雛に比べ高いことから 季節による飼料要求量と生存率の間にはストレスを含め 大きな関連があると思われた 14~24 週齢まで50% 体重に それ以降は33 週齢まで75% に制限する飼料給与管理は 1 羽当たりの総給与量 飼料費ともに低い傾向にあり コスト面から見ると最も良い結果であったが 種卵適合卵の平均産卵率 試験期間の生存率等を考慮すると従来から 99

105 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 実施している慣行の体系が最も生産効率に優れていると思われた このことから 慣行の体系による4 月発生雛と12 月発生雛の体重推移図を作成した ( 図 2) 今回作成した種鶏雌 ( 九州ロード ) の体重推移表は 種鶏場の生産性向上を目的とした指導の一助になると思われる (g) 図 2 適正体重の推移表 ( 対照区 ) H 発生 H 発生 W W 4 7 W 0 1 W 3 1 W 6 1 W 9 1 W 2 W 5 2 W 8 2 W 1 3 W 4 3 W 7 3 W 0 4 W 3 4 W 6 4 W 9 4 W 2 5 W 5 W 8 5 W 1 6 W 4 6 W 7 6 ( 週齢 ) W 0 7 みやざき地頭鶏 の需要が伸びている中 種鶏場の生産効率向上は雛の安定供給には不可欠であることから 飼料給与等の検討だけでなく 原種鶏の改良についても検討していく必要があると思われた 参考文献 1) 独立行政法人 農業 生物系特定産業技術研究 機構編 日本飼養標準 家禽 (2004 年版 ) 2) 田先 威和夫 山田 行雄 森田 琢磨 田中 克英 他 新編 養鶏ハンドブック (1988 年 3 版 ) 100

106 メチオニン添加による みやざき地頭鶏 の夏季生産効率改善試験 メチオニン添加による みやざき地頭鶏 の 夏季生産効率改善試験 稲井耕次 津曲明美 Forage Methionine Feeding Examination to Miyazaki Jitokko Stock in Summer Koji INAI and Akemi TUMAGARI < 要約 > みやざき地頭鶏 の飼料効率の向上や喧噪性の低減を目的として 夏季におけるメチオニンを増量する肥育試験を実施した その結果 市販配合飼料中のアミノ酸割合 ( 通常 ) に対する120,130% 水準のメチオニン添加において 雄では平均生体重の改善効果が見られなかったが 雌では肥育後半の増体が向上する傾向にあった しかし 150% 水準までメチオニンを多給すると 雄で増体の低下と死亡羽数の増加が顕著で 雌においても増体低下が見られ逆効果であった また 試験期間中の生存率は120,130% 区のメチオニン添加で向上する傾向にあり 逆に150% 添加ではは下回る成績であった また メチオニン添加による喧噪性の低減に及ぼす影響については 試験期間中つつき等の悪癖発生が認められなかったため 確認することはできなかった みやざき地頭鶏 は美味しさが消費者に広く認められ需要が高まり 生産量の拡大が望まれている しかし みやざき地頭鶏 は悪癖 ( つつき等 ) による事故が多発し また 夏季の暑さによる生産性低下するなど 生産農場における生産性の向上は大きな課題となっている 一方 アミノ酸の一種であるメチオニン増量することにより飼料効率の向上や喧噪性の低下が報告されている そこで 夏季における増体促進や悪癖 ( つつき等 ) の損耗防止を目的とし みやざき地頭鶏 におけるメチオニン添加の有効性について検討した 試験方法 1 試験期間 (1) 第 1 回平成 23 年 5 月 26 日 ~ 平成 23 年 10 月 25 日 ( 餌付け時からメチオニン添加 雄 120 日齢 雌 150 日齢解体 ) (2) 第 2 回平成 24 年 5 月 17 日 ~ 平成 24 年 10 月 15 日 ( 餌付け時からメチオニン添加 雄 120 日齢 雌 150 日齢解体 ) 2 供試鶏および材料試験区及び対照区のそれぞれ みやざき地頭鶏 の雄 24 羽 雌 24 羽を配置し 雌雄を分けて飼養管理した 飼料添加したメチオニンは DL -メチオニン ( 市販 ) を使用した 3 試験区分試験区は対照区 ( 市販飼料 ) メチオニン添加 120 % 区 130% 区 150% 区とし メチオニンの添加量は市販配合飼料中のアミノ酸割合に対しての増量とした 各試験区のアミノ酸割合は 表 1のとおり市販飼料中のアミノ酸割合に対するメチオニンを増量したときのアミノ酸割合を示した 101

107 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 1 市販飼料中のアミノ酸割合 (%) に対する各 試験区のアミノ酸割合 (%) 了時平均体重 損耗状況等を調査した (2) 解体成績 : と体重 もも肉 むね肉 ササミ 各区前期後期仕上げ 対照区メチオニン の平均重量と各部位のと体重に対する割合等を調査した ( 市販飼料 ) シスチン メチ+シス * アミノ酸割合 メチオニン+シスチン (%) 120% 区 対照区の120% % 区 対照区の130% % 区 対照区の150% 飼育管理 みやざき地頭鶏 飼養管理マニュアルを準じ 飼育密度は2 羽 / m2以内の飼養で 28 日齢以降は 平飼いとした 配合飼料は餌付けから 3 週齢まではブロイラー用 前期飼料 4 週齢以降はブロイラー用後期飼料 15 週齢以降はブロイラー用仕上げ飼料を給与し いず れも不断給餌及び自由給水とした また ワクチネーション 衛生管理等は当支場の 慣行に従った 5 調査項目 (1) 発育成績 :5 週齢以降 (2 週間隔 ) および終 試験結果 1 発育成績平均生体重は 雄でメチオニン添加による飼養成績の改善効果を認められなかったが 雌では20 週齢以降にメチオニン添加区が対照区を上回る傾向にあった ( 表 2) 通常の150% 水準でのメチオニン多給の平均生体重は 雄で9 週齢以降に増体低下 体型の異常 食欲不振 死亡羽数の増加が認められ 雌では11 週齢以降に増体低下が認められた ( 表 3,5) 平成 23 年試験の生存率は 雌雄ともにメチオニン添加区が対照区を上回った ( 表 4) 平成 24 年試験の生存率は 雄でメチオニン添加 120% 区が対照区を上回ったが 150% 区は対照区を大きく下回った 雌ではメチオニン添加区が対照区を下回った ( 表 5) 表 2 平均体重 (g) の推移 ( 平成 23 年 5 月発生群 ) 週齢 対照区 雄 120% 区 % 区 対照区 a a a 雌 120% 区 b b b 130% 区 ab ab b 注 ) 異符号間に有意差あり (P<0.05) 調査項目は 一元配置の分散分析を行い 有意性を検定した 表 3 平均体重 (g) の推移と生存羽数 ( 平成 24 年 5 月発生群 ) 週齢 対照区 a a a 生存羽数 雄 120% 区 a a b 生存羽数 % 区 b b ab 生存羽数 対照区 a a a a 生存羽数 雌 120% 区 b a a b 生存羽数 % 区 ab b b ab 生存羽数 注 ) 異符号間に有意差あり (P<0.05) 調査項目は 一元配置の分散分析を行い 有意性を検定した 102

108 メチオニン添加による みやざき地頭鶏 の夏季生産効率改善試験 2 解体成績 表 4 に平成 23 年 5 月発生群 表 5 に平成 24 年 5 月発生 群の解体成績及び損耗状況を示した 平成 23 年 5 月発生群では 雄で差は認められなかっ たが 雌では 120,130% 区が対照区より と体重 モモ肉及びムネ肉が大きくなる結果であった また つつき等の悪癖の発生は全区で認められなかったが 生存率では 120% 区 >130% 区 > 対照区の順に高い結果であった 平成 24 年 5 月発生群でも 雄では差が認められなかったが 雌では120% 区がと体重 モモ肉及びモモ肉が大きい結果であった しかし メチオニン添加を 150% まで増加させた区は 雌で対照区に比較してと体重 モモ肉及びムネ肉で優位に下回った なお 平成 24 年 5 月発生群においても悪癖の発生は認められなかったが 生存率では雄では120% 区が最もよく 雌では対照区がよい結果であった 考察 まとめ 今回の試験より メチオニン添加による増体効果は 雄では認められなかったが 雌では肥育後半に 表 4 解体成績および損耗状況 と体重 平成 23 年 5 月発生群 注 1) 数値は と体重を100としたときの割合 (%) ( ) 内は平均重量 (g) 注 2) 異符号間に有意差あり (P<0.05) 調査項目は 一元配置の分散分析を行い 有意性を検定した 表 5 解体成績および損耗状況 と体重に対する各部位の比率 平成 24 年 5 月発生群 注 1) 数値は と体重を100としたときの割合 (%) ( ) 内は平均重量 (g) 注 2) 異符号間に有意差あり (P<0.05) 調査項目は 一元配置の分散分析を行い 有意性を検定した 増体が良くなることから みやざき地頭鶏 では市販飼料に含まれるアミノ酸量に対するメチオニン添加量は120~130% が最適であることが示唆された また 損耗状態において この試験期間中つつき等の悪癖を確認できなかったため 悪癖防止の効果については明らかにできなかった 生存率ではメチオニン添加を120,130% 程度まで高めると 損耗防止効果があると思われた しかし メチオニンが過剰になると飼料摂取量が減少し 生産性が低下するとの報告がある 今回の試験でも 市販飼料に含まれるアミノ酸量に対するメチオニン添加量を150% に増量した場合 9 週齢以降から平均生体重の低下と死亡羽数が増加し 生産性を低下させることが明らかになった 特に 雄は平均体重の低下と死亡羽数の増加が顕著であることから 市販飼料中のアミノ酸量に対するメチオニン添加量を150% 以上にすることは好ましくないと思われた また 解体検査についても同様の成績が得られたことから 飼養改善効果を目的にメチオニンを添加する場合は 使用する飼料のアミノ酸含量を把握した上で添加することが重要であると思われた 損耗の状態 モモ肉ムネ肉ササミ悪癖生存率 (%) 対照区 (2957.7) 22.8 (673.2) 13.1 (387.5) 3.4 (99.8) 無 91.7 雄 120% 区 (3078.4) 22.4 (689.8) 13.4 (412.8) 3.6 (109.6) 無 % 区 (2994.6) 22.0 (660.2) 13.4 (401.0) 3.5 (106.2) 無 100 対照区 (2384.8) a 20.5 (487.9)a 15.8 (376.9) a 3.6 (86.7) 無 87.5 雌 120% 区 (2537.8) ab 19.4 (492.0)a 15.3 (387.2) ab 3.6 (91.5) 無 % 区 (2694.3) b 20.7 (557.9)b 15.7 (423.1) b 3.6 (96.2) 無 95.5 と体重 と体重に対する各部位の比率 損耗の状態 モモ肉ムネ肉ササミ悪癖生存率 (%) 対照区 (2866.1) 21.0 (601.1) 12.5 (357.1) 3.3 (95.4) 無 76.0 雄 120% 区 (2999.3) 22.4 (672.9) 13.0 (389.0) 3.5 (105.5) 無 % 区 (2807.8) 20.3 (571.1) 12.3 (344.4) 3.2 (91.1) 無 37.5 対照区 (2518.3)ab 19.5 (491.7) ab 14.5 (364.6)ab 3.5 (87.5) 無 73.9 雌 120% 区 (2723.7)a 19.9 (542.7) a 14.3 (389.0)a 3.5 (95.3) 無 % 区 (2271.7)b 20.3 (460.4) b 14.3 (324.3)b 3.8 (86.4) 無

109 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 参考文献 1) 科学飼料 第 53 巻 第 4 号 R.N.Dilgeret al:j. Nutrition,137,(8),1868(2007) p.8 2) 科学飼料 第 53 巻 第 5 号 T.G.Madsn&D. Hoehler:Feedstuffs,79,41(Oct.1),30(2007) p.2-3 3) 山梨県畜産試験場研究報告第 53 号 松下浩一 奥田美杉 浅川一満 4) 栄養生理研究会報 (1985) 奥村純市. 名古屋大学 農学部 5) 九農研 研究成果情報 ( 平成 11 年度 ) 西尾祐 介 104

110 飼料の差異によるみやざき地頭鶏への影響 飼料の差異によるみやざき地頭鶏への影響 津曲明美 稲井耕次 竹之山愼一 1) ( 1) 南九州大学 ) The effect of four sorts of feed in Miyazaki Jitokko Akemi TSUMAGARI, Koji INAI and Shinichi TAKENOYAMA < 要約 >みやざき地頭鶏のブランド力を高めるため 生産農場で用いられている市販の配合飼料が発育 肉質に及ぼす影響を調査した 増体成績は 13 週齢頃まで増体が異なったが その後は同水準で推移した さらに 正肉重量に差は認められず 飼料による増体への影響は小さいと思われた 肉質については 飼料の違いが肉色に影響する可能性のあることが示唆された 脂質含量は 雄に比較して雌が高い傾向を示し 遊離アミノ酸は雄において総遊離アミノ酸含量が高値を示す飼料があった さらに 官能試験の結果 柔らかさや総合評価において 飼料により異なる可能性が示唆された 以上の結果より 同一条件で飼育されたみやざき地頭鶏では 飼料の差異は増体への大きな影響はないものの 食味性に影響が及ぼすことが推察された このため 飼料の統一を図ることで みやざき地頭鶏の肉質を安定させ ブランド力を高められる可能性が示唆された 現在 宮崎ブランドであるみやざき地頭鶏の生産農場では 4 種類の市販配合飼料が用いられている そのため 生産農場によって給与飼料の成分が異なり 増体や肉質の斉一性に影響を及ぼしている可能性がある そこで本試験では 4 種類の飼料給与による みやざき地頭鶏 の増体 肉質等の状況を把握することを目的とし 肥育試験を行った 試験方法 1 試験期間平成 24 年 5 月 ~ 11 月 2 試験区分試験区は A B C Dの4 区とし それぞれにA~D 社の飼料を給与した 飼料給与期間は 各飼料を用いている生産農場に合わせ 表 1の通り設 定し 自由摂食 自由飲水とした 飼養管理につい ては みやざき地頭鶏飼養管理マニュアルに従った 表 1 飼料給与期間 ( 日齢 ) 区 前期 後期 仕上げ 試験期間 A 1 ~ ~ ~ 5 月 ~ B 1 ~ ~ ~ 6 月 ~ C 1 ~ ~ ~ 6 月 ~ D 1 ~ ~ ~ 6 月 ~ 3 供試材料 供試鶏は 5 ~ 6 月発生した みやざき地頭鶏 の雛を用い 雄は 4 か月間 雌は 5 か月間の肥育期 間とした 各区の羽数は 雄 12 羽 雌 12 羽の 2 反 復を配置し うち 5 羽は官能試験および成分分析に 用い 残りを解体成績の測定に用いた 解体後 成 分分析および官能試験に用いるため モモ肉を- 80 で凍結保存し 分析時には一昼夜解凍した 105

111 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 4 調査項目および方法 (1) 発育及び飼料の利用性 5 週齢時以降 2 週間ごとに体重測定を行った 同時に飼料摂取量を測定し 飼料要求率を算出した (2) 解体調査及び肉色正肉重量として と体 モモ肉 ムネ肉重量を測定した 肉色は 畜試鶏標準肉食計を用い モモ肉およびムネ肉を色が薄い順に1~6 段階で評価した にて加熱し 各種項目について評価を行った 結果 1 発育及び飼料の利用性各区の平均体重は 肥育前期に区間の差がみられたが 後半には同水準で推移した ( 図 1 2) 特に 雄で 13 週齢 雌で 11 週齢まで A 区がB 区より有意に大きかったが その後有意な差は認められなかった 飼料要求率は 雄でB 区 雌でC 区が最も良い成績となった ( 表 2) (3) 飼料及び筋肉中の脂質性状脂質は 主として Folch ら (1957) の方法に準じてクロロホルム メタノール (2:1 V /V) 溶液を用いて総脂質を抽出した 総脂質含量は 上記抽出液を用いて有機溶媒を除去し 重量法によって定量した 脂肪酸組成は 抽出した脂質の一部を用い Takenoyama ら (1999) の方法に準じて脂肪酸メチルエステル調整を行い キャピラリーカラムガスクロマトグラフィー (GC-14B) により測定した (4) 飼料 モモ肉の遊離アミノ酸遊離アミノ酸含量は Nishimura ら (1988) の方法に準じ 細切したモモ肉に 4 倍量の 2 % スルホサリチル酸溶液を加えホモジナイズし 遠心分離後の上清をフィルターろ過 (0.45 μm) したものをアミノ酸自動分析機 (JL-500) にて分析した (5) 官能検査モモ肉を一口大に切り 食肉に対して 1 % の割合で食塩にて味付けしたものを加熱した 加熱については パネル自身が同一条件にて炭火 表 2 飼料要求率 単位 ( kg / kg ) A 区 B 区 C 区 D 区 雄 雌 解体調査及び肉色 正肉重量は 雌雄とも 生体 と体 モモ肉およ びムネ肉重量において 有意な差は認められなかっ た ( 表 3) 肉色は 雌モモ肉においてC 区がB 区よ り有意に赤みが強かった (p<0.05) また 雌ムネ肉 においてA 区がD 区より有意に赤みが強かった (p< 0.05)( 表 4) 3 飼料及び筋肉中の脂質性状 (1) 飼料中の脂質含量 脂肪酸組成 飼料の脂質含量は 各区間に最大 % 最 小 5.77 % と約 5 % の違いがあった 脂肪酸組成は 特に D 区において リノール酸 (C18:2, n=6) が 高く 反対にパルミチン酸 (C16:0) ステアリン 酸 (C18:0) およびオレイン酸 (C18:1, n=9) が低 いという 他区と異なる特徴的な結果が得られた なお 他区の脂肪酸については大きな差異は認め られなかった ( 表 5) 106

112 飼料の差異によるみやざき地頭鶏への影響 (g) 4000 (g) A C B D A C B D ( 週齢 ) 図 1 雄の体重推移図 2 雌の体重推移 ( 週齢 ) 表 3 正肉重量 (g ± SE) 区 生体重 と体重 モモ肉 ムネ肉 雄 A ± ± ± ± 30.4 B ± ± ± ± 25.0 C ± ± ± ± 24.2 D ± ± ± ± 48.4 雌 A ± ± ± ± 13.0 B ± ± ± ± 26.4 C ± ± ± ± 27.0 D ± ± ± ± 13.5 表 4 肉色 区 モモ肉 ムネ肉 雄 A 4.9 ± ± 0.3 B 4.8 ± ± 0.2 C 4.3 ± ± 0.1 D 4.6 ± ± 0.2 雌 A 4.7 ± 0.1 ab 4.3 ± 0.1 a B 4.3 ± 0.3 a 3.6 ± 0.2 ab C 5.1 ± 0.1 b 4.1 ± 0.1 ab D 4.6 ± 0.1 ab 3.8 ± 0.1 b mean ± SE 同行の異符号間に有意差あり p<0.05 (2) モモ肉中脂質含量 雄モモ肉では A 区およびC 区の脂質含量が低 く B 区及びD 区が高い傾向にあった また 雄 モモ肉の脂質含量は 個体による違いが大きかっ た 雌モモ肉では 4 区間の大きな差異は認められなかった また 雌モモ肉においても 脂質含量の個体差が大きかった ( 表 6) (3) モモ肉中脂肪酸組成雄モモ肉中の脂肪酸組成は パルミチン酸 (16:0) とオレイン酸 (C18:1, n-9) とが相反した結果となった また リノール酸 (C18:2, n-6) 含量については B 区がD 区を上回っており 飼料中リノール酸 (C18:2, n-6) 含量を反映しない結果となった 雌モモ肉の脂肪酸組成は 雄での結果と同様パルミチン酸 (16:0)& パルミトレイン酸 (C16:1, n-7) とステアリン酸 (C18:0)& オレイン酸 (C18:1, n-9) とが相反した結果となった また リノール酸 (C18:2, n-6) 含量は D 区の雌モモ肉が4 区中わずかに高値を示した ( 表 6) 107

113 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 5 飼料中脂肪酸組成および脂質含量 (%) パルミチン酸 パルミトレイン酸 ステアリン酸 オレイン酸 リノール酸 脂質含量 A 前期 後期 B 前期 後期 C 前期 後期 D 前期 後期 表 6 モモ肉中脂肪酸組成および脂質含量 (%) パルミチン酸 パルミトレイン酸 ステアリン酸 オレイン酸 リノール酸 アラキドン酸 脂質含量 雄 A ± ± ± ± ± ± ± 3.80 B ± ± ± ± ± ± ± 5.07 C ± ± ± ± ± ± ± 4.88 D ± ± ± ± ± ± ± 4.29 雌 A ± ± ± ± ± ± ± 7.32 B ± ± ± ± ± ± ± 8.43 C ± ± ± ± ± ± ± 5.66 D ± ± ± ± ± ± ± mean ± SD 表 7 モモ肉中遊離アミノ酸含量 (mg/100mg) A B C D 雄 グルタミン酸 ± ± ± ± 3.20 総遊離アミノ酸 ± ± ± ± 7.74 雌 グルタミン酸 8.47 ± ± ± ± 2.10 総遊離アミノ酸 ± ± ± ± mean ± SD 4 遊離アミノ酸雄モモ肉の遊離アミノ酸含量は 総遊離アミノ酸含量においてC 区が他区と比較して約 20% 程度高い値を示した ただ 旨味に関わるとされるグルタミン酸では 明白な差異は認められなかった 雌モモ肉の遊離アミノ酸含量は 各区間の総遊離アミノ酸含量および各遊離アミノ酸含量に明白な差異が認められなかった また 雄の結果と比較して最大 30 % 程度低い値を示した ( 表 7) 5 官能評価モモ肉の官能評価を行った結果 雄モモ肉の加熱処理後の 香りの高さ については A B 区に比較してC D 区において 0.3 ~ 0.5 ポイント高い値を示した 食べた時の 多汁性 弾力性 旨味の強さ についてはD>C>B>Aの順となった 軟らかさ についてはC 区が高い値を示し 特にA 108

114 飼料の差異によるみやざき地頭鶏への影響 表 8 モモ肉の官能評価 A B C D 雄 香りの高さ 3.05 ± ± ± ± 0.19 多汁性 2.90 ± ± ± ± 0.20 弾力性 3.05 ± ± ± ± 0.19 旨味の強さ 3.14 ± ± ± ± 0.19 硬さ 2.48 ± 0.13 a 2.43 ± 0.21 a 3.05 ± 0.18 b 2.81 ± 0.16 ab 総合評価 3.19 ± ± ± ± 0.19 雌 香りの高さ 3.20 ± ± ± ± 0.14 多汁性 3.40 ± ± ± ± 0.18 弾力性 3.45 ± ± ± ± 0.15 旨味の強さ 3.35 ± ± ± ± 0.13 硬さ 3.20 ± ± ± ± 0.18 総合評価 3.70 ± 0.18 a 3.40 ± 0.18 ab 3.05 ± 0.18 b 3.70 ± 0.16 a mean ± SE 同行異文字間に有意差あり(p<0.05) B 区との間には有意な差が認められた (p<0.05) 雌モモ肉の 香りの高さ は 雄の場合と同様 C 区が高い値を示したが D 区は低い値となった 多汁性 および 旨味の強さ についてはC 区が低く D 区が高い値となった 弾力性 および 軟らかさ についてはB 区が低い結果となった 総合評価では AおよびD 区が高く 特にC 区との間に有意な差が認められた (p<0.05)( 表 8) 考察 現在 みやざき地頭鶏の生産農場で使用されている市販飼料は 大別して4 種類が用いられている そこで本試験では 4 種類の飼料を給与することによる みやざき地頭鶏 の発育 肉質への影響を調査した 増体成績は 13 週齢頃まで飼料の種類によって増体効率が異なる可能性が示唆されたが 肥育後期には同水準で推移した ただし 今回の試験では 鶏舎の都合上 A 区のみ1ヶ月早く試験を開始しており 発生時期による増体成績等への影響が否めない また 解体時の成績において 正肉重量に差が認められなかったことからも 飼料による増体への影響は小さいと思われた 肉色を調査した結果 雄において差は認められなかったが 雌モモ肉およびムネ肉では 各区で異なる成績となった この原因については不明であるが 飼料を給与する期間が雌では 150 日齢と長期間に及ぶので肉色に微妙に影響する可能性が示唆された 飼料中の脂質含量は 各飼料によって大きく異なっていた 特に D 区の飼料においては 前期および後期ともに低値を示し みやざき地頭鶏の増体および食肉への脂質の蓄積に影響を及ぼす可能性が示唆された また 脂肪酸組成において D 区はリノール酸 A 区はオレイン酸を多く含む飼料であり 脂肪酸の違いにより融点が異なることから 生産される食肉の脂肪融点に影響を及ぼし 食した際の美味しさに影響を及ぼす可能性が示唆された モモ肉の脂質含量は 雄でB D 区が高い傾向があったものの 雌雄とも個体差が大きく 飼料による影響は小さいと考えられた 脂肪酸組成については 従来リノール酸含量の高い飼料を与えた際にはモモ肉においてリノール酸が多く蓄積するという結果が得られている しかし 今回は雌において同等の結果が得られたが 雄では明白な差異は認められず 今後の検討課題であろうと考えられる 遊離アミノ酸は 雄においてC 区の総遊離アミノ酸含量が高値を示したが それぞれの遊離アミノ酸含量に大きな差は認められなかった また 雌にお 109

115 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) いても各区に明白な差異は認められなかったことから 今回用いた4 区の飼料の相違は みやざき地頭鶏の食肉中遊離アミノ酸に大きな影響を及ぼすことは少なく アミノ酸由来の旨味においてはどの飼料を用いても同等の食肉生産が可能であることが示された 官能試験の結果は 飼料の差異が雄の軟らかさや雌の総合評価等に影響する可能性が示唆された また 雄モモ肉では 多汁性 弾力性 および 旨味の強さ が 総合評価 の結果に反映されていた 雌モモ肉については 多汁性 および 旨味の強さ でC 区が低くD 区が高いことから 焼いた際に肉汁が放出され 焼いた際の香りとなったものと推察された また 弾力性 および 軟らかさ の結果から B 区が歯ごたえの軟らかい食肉であると推察された 以上の結果より 同一条件で飼育された みやざき地頭鶏 では 飼料の差異による発育への大きな影響はないものの 食味性に影響があることが明確になった そこで 宮崎の地域ブランドである みやざき地頭鶏 の給与飼料を統一することは 更なるブランド力向上に貢献することが考えられた しかし 今回の試験では同一条件下で飼料のみを 変えて飼育しているが 実際の農場では 飼料だけでない様々な外部要因が発育や食味性に影響していると推察される みやざき地頭鶏 の飼料を統一するためには 飼料の特質を考慮しつつ 農場に合った飼養管理を行う必要もあると考えられた 参考文献 Folch, J., Lees, M., Sloane, Stanley, G. H. ( 1957) A simple method for the isolation and purification of total lipids from animal tissues. J. Boil. Chem. 226, Nishimura, T., Rhue, M., R., Okitani, A., Kato, H. (1988) Components conditioning to the improvement of meat taste during storage. Agric. Biol. Chem. 52, Takenoyama, S., Kawahara, S., Murata, H., Yamauchi, K. (1999) Investigation of some preparation procedures of fatty acid methyl esters for capillary gas - liquid chromatographic analysis of conjugated linoleic acid in meat. Anim. Sci. J. 70,

116 発育関連遺伝子を指標とした地頭鶏の選抜試験 ( 第 1 報 ) 発育関連遺伝子を指標とした地頭鶏の選抜試験 ( 第 1 報 ) 津曲明美 稲井耕次 高橋秀彰 1) ( 1) ( 独 ) 農業 食品産業技術総合研究機構畜産草地研究所 ) Association between cholecystokinin type A receptor haplotypes and growth traits in the Jitokko breed. Akemi TSUMAGARI and Koji INAI,Hideaki TAKAHASHI < 要約 > 地頭鶏の発育性改良を目指して 鶏の発育関連遺伝子であるコレシストキニンA 受容体 (CCKAR) 遺伝子の一塩基多型 (SNP A または C) を指標とした地頭鶏原種鶏群の選抜実験を開始した 第 1 世代の DNA 選抜群を作出した結果 発育改善効果が期待される A アリルの頻度は 群全体で から に上昇した 選抜を行っていない原種鶏群 ( 対照 ) DNA 選抜群の 150 日齢体重を比較した結果 DNA 選抜群の雄の体重は 対照群よりも有意に (p<0.05) 重く 雌においても DNA 選抜群は重い傾向を示した 以上の結果より 地頭鶏の発育性改良に対する CCKAR 遺伝子 A アリルの選抜指標としての有用性が示唆された 近年 県内や首都圏を中心に宮崎のブランド地鶏として みやざき地頭鶏 の人気が高まり 生産拡大がより一層求められている 川南支場では 昭和 60 年に みやざき地頭鶏 の開発に着手して以来 より美味しく 増体の良い みやざき地頭鶏 づくりに取り組んできた しかし 原種鶏である 地頭鶏 は 元来小型の鶏で増体に課題があった このような中 秋田県の比内鶏において CCKAR 遺伝子の 5 非翻訳領域に存在する SNP(A または C) と発育形質との関連性が報告され (Rikimaru et al., 2012) ゲノム育種による鶏の発育性改良に活用されつつある そこで みやざき地頭鶏 の原種鶏として用いられている 地頭鶏 の発育形質の改良を目指して CCKAR 遺伝子の SNP を指標とした選抜実験を開始したので その概要を報告する 方法 1 試験期間平成 23 年 8 月 17 日 ~ 平成 24 年 9 月 14 日 2 材料および判定方法川南支場で飼育している地頭鶏の1 系統を材料とした 地頭鶏の翼下静脈より採取した血液から DNA を抽出し ミスマッチ増幅変異分析法を用いて CCKAR 遺伝子の SNP 型を判定した (Rikimaru et al., 2013) 3 試験区比内鶏では CCKAR 遺伝子の SNP のうち A アリルの方が C アリルよりも発育改善効果が高いことが報告されている (Rikimaru et al., 2012) 地頭鶏でも同様の効果を期待し A アリルの頻度を高める選抜を実施した 選抜前の鶏群 ( 雄 27 羽 雌 35 羽 ) の SNP 判定結果を基に A/A 型の雄 3 羽 雌 5 羽 および A/C 型の雄 1 羽 雌 12 羽を選抜し 1 群として飼育した その群から種卵を回収 孵化させて 111

117 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 雄 41 羽 雌 32 羽からなる 第 1 世代の DNA 選抜区を作出した 同日孵化した DNA 選抜を行っていない原種鶏群 ( 雄 76 羽 雌 36 羽 ) を対照区とした 4 調査項目両区の 150 日齢体重を比較した 表 1 選抜前原種鶏群の対立遺伝子頻度 遺伝子型 対立遺伝子頻度 A/A A/C C/C A C 雄 雌 全体 表 2 DNA 選抜区の対立遺伝子頻度 遺伝子型 対立遺伝子頻度 A/A A/C C/C A C 雄 雌 全体 期待値 表 日齢体重 (g) 対照区 DNA 選抜区 p 雄 ± ± 42.0* 雌 ± ± *) 有意差あり p<0.05 結果 1 選抜状況選抜前の鶏群の SNP 型を決定したところ A アリルの頻度は 雄 雌 集団全体で であった DNA 選抜区を作出した結果 A アリルの頻度は 雄 雌 集団全体で に上昇した 2 体重対照区と DNA 選抜区の 150 日齢体重を比較したところ 雄では DNA 選抜区の 2,341.7±42.0 g に対して 対照区は 2,201.9±34.4 g であり 両区間には有意差が認められた (P=0.014) 雌の体重は DNA 選抜区の 1,669.4±37.0 g に対して 対照区は 1,592.1±30.8 g であり 両区間には有意差が認められなかった (P=0.110) 考察 CCKAR 遺伝子の SNP 型をもとに DNA 選抜を行った結果 A アリルの頻度を上昇させることで 雄の体重は有意に増加し 雌で有意性は無いものの平均体重は増加していた このことから CCKAR 遺伝子は 地頭鶏の発育性改良のための選抜指標として有効であることが示唆された 今回は1 世代のみの選抜であったが 更に A アリルの頻度を高めることにより より迅速に地頭鶏の発育性改良が可能になると期待される 今後 A アリル固定鶏群を作出し 選抜の効果をさらに検証していくと共に コマーシャル鶏における効果についても検証する予定である 参考文献 1)Rikimaru K, M. Komatsu, K. Suzuki, Y. Uemoto, H. Takeda and H. Takahashi Association between 112

118 発育関連遺伝子を指標とした地頭鶏の選抜試験 ( 第 1 報 ) cholecystokinin type A receptor haplotypes and growth traits in Japanese Hinaidori crossbred chickens. Mol. Biol. Rep, 39: ) RikimaruK,HTakeda,YUemoto,MKomatsu,D Takahashi, K Suzuki and H Takahashi Effect of a single-nucleotide polymorphism in the cholecystokinin type A receptor gene on growth traits in the Hinai-dori chicken breed, J. Poult. Sci., 50:

119 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 製茶残渣の給与が肥育豚の発育及びふん尿からの悪臭発生に 及ぼす影響について ( 第 1 報 ) 森弘 西礼華 岩切正芳 宮﨑涼子 上野顕 Effect dried green tea leaves residue feed on fattening pig growth and disorder diffusion from the waste Hiromu Mori, Ayaka Nishi, Masayoshi Iwakiri, Ryoko Miyazaki, Akira Ueno 製茶残渣 2% を濃厚飼料に添加し LWD 去勢豚に体重 70~110kg の期間給与したところ日増体重は有意に低下したが飼料要求率に差はなく 枝肉成績については 背脂肪厚が有意に低く 格付けは良好であり ロース部のト リッフ ロスは低い傾向にあった 糞尿混合液 ( ふん 40g+ 尿 160g) からのアンモニアカ スの発生量については 24 時間までは 対照区に対して差はないが 24~48 時間の間では 対照区の 364.1mg に対して 254mg となり 48 時間の合計では 434.2mg に対して 350mg と低くなった これは 試験区において尿中の窒素が低かったことが要因として推定された 硫化水素ガスの発生濃度では 48 時間目で対照区の 17.67ppm に対して試験区において 5.3ppm と有意に低くかった 家畜の生産性には アンモニアカ スなどの阻害要因影響されるが茶葉には カテキンなどのホ リフェノールやタンニンなども含んでおり 整腸作用などの効果とともに 糞尿からの悪臭の発生抑制の可能性が示唆されている 1) ことから 肥育豚へ給与し 生産性の向上ともに糞尿から発生するアンモニアアカ スなどの抑制効果を明らかにし 地域耕種農家と連携した環境にやさしい養豚生産システムの確立を図る 合飼料 (CP11.8% TDN75%) のみを給与する対照区と 配合飼料に製茶残渣 2% を添加した試験区を設定し 発育成績 肉質成績及び出荷前の各区 3 頭づつの糞尿混合液 ( 糞 40g+ 尿 160g) からのアンモニアカ ス発性量及び硫化水素カ ス発生濃度について比較した なお 製茶残渣は 川南町内の製茶業者で製造された有機茶で 春及び秋の 2 番茶あるいは 3 番茶を加熱乾燥後粉砕したものを用いた ( 表 1) 試験方法 1 試験期間平成 25 年 12 月 10 日 ~ 平成 26 年 2 月 3 日 2 供試豚と供試飼料 試験区分供試豚は三元交配雑豚 LWD9 頭 ( 試験区去勢雄 6 頭 対照区同 3 頭 ) を用い 3 頭づつ群飼し 不断給餌 自由飲水とした 体重 70kg から 110kg まで市販の配 表 1 試験区分および供試頭数 区分 飼料 給与期間 供試頭数 ( 頭 ) 対照区 配合飼料 70kg LWD 去勢 3 試験区 配合飼料 + 製茶残渣 2% ~110kg LWD 去勢 6 114

120 製茶残渣の給与が肥育豚の発育及びふん尿からの悪臭発生に及ぼす影響について ( 第 1 報 ) 3 供試豚の飼養方法供試豚はウィンドレス豚舎スノコ式平飼いにて約 5.25 m2の豚房に各 3 頭を飼養し 飼料は不断給餌 自由飲水とした 4 調査項目発育成績については 試験期間における一日増体量 飼料摂取量及び飼料要求率等を調査し 出荷豚の枝肉については格付および背脂肪厚を調査した 肉色については 枝肉の第 9 胸椎部位のロース肉を厚さ 1cm 直径 5cm に切り出し 肉色を測定した 測定には 測色色査計 ZE-2000( 日本電色工業株式会社 ) を用い L 値 ( 明度 ) a 値 ( 赤色度 ) b 値 ( 黄色度 ) を測定した なお サンフ ル作成直後 1 日後 2 日後の 3 回に分けて測定し それぞれの値の推移を調査した ト リッフ ロスについては 枝肉の第 胸椎部位のロース肉を用いてト リッフ ロスを測定した 胸最長筋を筋繊維に沿って 2cm 2cm 2cm の立方体状にサンフ ルを切り出し 重量測定後サンフ ルをナイロンネットに入れ 紐で結び ヒ ニール袋に入れ密封する この際 袋の中に空気を入れ サンフ ルと袋が触れないようにした 4~5 の冷蔵庫内に紐で吊し 時間後のサンフ ル重量を測定して試料作成時に対する重量の減少の割合として求めた ふん及び尿は 出荷前 2 週間の豚について 午前中に豚房内で個体毎に採取し ph 水分 灰分を測定した なお 糞の ph については 糞 10g に対して蒸留水 20g を加えて測定した 悪臭カ スの測定には 糞 40g と尿 160g を混合して山本ら 2) の方法に準じて 30 の恒温槽で培養して発生するアンモニアカ スとして 24 及び 48 時間の発生量を測定するとともに 24 及び 48 時間目の ph アンモニアカ ス濃度及び硫化水素ガス ( ハネウェル社製カ ス測定装置 ) を測定した 試験結果および考察 表 2 に発育成績を示した 表 2 肥育豚の発育成績 対照区 試験区 開始体重 (kg) 67.0± ±1.7 終了体重 (kg) 110.0± ±1.1 肥育期間 ( 日 ) 36.3± ±8.0 一日増体量 (kg) 1.19±0.1a 0.99±0.1b 飼料摂取量 (kg) 134.7± ±8.9 飼料要求率 3.1± ±0.6 飼料効率 (%) 34.9± ± kg までの発育に要した日数は対照区の 36.3 日 に対して試験区は 43.7 日で 一日増体量については 5% 水準で対照区が有意に高かった 飼料要求率 飼 料効率については有意差はなかった ( 表 2) 2 枝肉成績 表 3 肥育豚の枝肉成績 対照区 試験区 枝肉重量 (kg) 70.4± ±0.6 枝肉歩留り (%) 64.0± ±0.9 脂肪色 2.0± ±0.1 サシ 3.0± ±0 背脂肪厚 ( cm ) 2.17±0.2 a 1.55±0.1 b 格付け 上 3/3 上 4/4 枝肉成績については サシのスコアが平均値では 対照区の 3.0 に対して 試験区で 2.0 と低い値となっ た 背脂肪厚については 対照区の 2.17cm 対して試 験区で 1.55cm と 5% 水準で有意に低くかった ( 表 3) 3 肉質成績 肉色については 赤方向を示す a 値が試験区で高 く 明るさ及び白色を示す L 値が対照区で高い傾向 を示した サシのスコアが低かった試験区が a 値が 高く L 値が低くなったと考えられた ( 表 4) 1 発育成績 115

121 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 表 4 肉色の推移 値 時間 対照区 試験区 ± ±1.1 L 値 ± ± ± ± ± ±0.8 a 値 ± ± ± ± ± ±0.6 b 値 ± ± ± ±0.3 ト リッフ ロスについては 対照区で 24 時間目 48 時 間目で であったが 試験区ではそれぞれ と低く 有意ではないが明らかに低い傾 向となった ( 図 1) 対照区 Drip loss(%) 10 試験区 hr 48hr 図 1ト リッフ ロスの推移 ( ロース部 ) 4 糞尿の成分糞尿の成分の比較では 糞においては成分に差はみられなかったが 窒素については 対照区の 1.5% に対して 0.95% と有意ではないが低い傾向となった このため 糞尿混合液中の窒素含有量は 200g 当たり 対照区の 2,793mg に対して 1,898mg となり有意ではないが試験区で低い傾向を示した ( 表 5) 表 5. 糞尿の成分 区 分 対照区 試験区 水分 (%) 74.5± ±0.21 ふん 灰分 (%) 4.1± ±0.20 有機物 *(%) 21.5± ±0.33 窒素 (%) 0.98± ±0.05 水分 (%) 97.1± ±0.63 尿 灰分 (%) 0.77± ±0.29 有機物 *(%) 2.1± ±0.60 窒素 (%) 1.5± ±0.19 混合液 窒素 **(mg/l) 2,793±424 1,898±266 * 有機物は全体から灰分と水分を除いて推定した ** 混合液の窒素は 糞 40g 尿 160g に含まれる窒素 量で比較した 5 糞尿の ph の変化 表 6 糞尿の ph の変化 区 分 対照区 試験区 糞 8.13±0.12A 6.48±0.10B 尿 7.90± ±0.58 0hr 7.98± ±0.55 糞尿混合 24hr 8.89± ± hr 8.99± ±0.09 糞の ph については 対照区の 8.13 に対して 試 験区では 6.48 と有意に低くなった 尿については中 性を呈しており 糞尿混合液は試験区が 7.80 対照 区が 7.98 と中性を示していた その後 30 の恒温 槽における培養により ph は上昇し 48 時間後では 試験区が 8.84 対照区が 8.99 となった ( 表 6) 6 糞尿混合液からの悪臭ガスの発生 糞尿混合液からのアンモニア態窒素の発生量は 24 時 までの発生量では 対照区 70.13mg に対して試験区 95.96mg と有意差はなかったが 24 時間目から 48 時間の培養では 対照区 mg に対して試験区 で mg と低い傾向を示していた 48 時間の合 計量では対照区の mg に対して mg と 低い傾向にあった ( 表 7) 116

122 製茶残渣の給与が肥育豚の発育及びふん尿からの悪臭発生に及ぼす影響について ( 第 1 報 ) 表 7 糞尿混合液からのアンモニアカ ス発生量 ( 単位 :NH4-Nmg) アンモニアカ ス濃度については アンモニア態窒素の揮発量と 同様の傾向を示し 48 時間後では 試験区でやや低 い傾向にあった ( 図 2) NH3(ppm) hr hr 図 2 糞尿混合液からのアンモニアカ ス濃度 対照区試験区 アンモニアカ スの発生量が低い傾向にあったことから試 験に供した試験豚 ( 各 6 頭 ) と同一の豚舎で飼われ ていた濃厚飼料のみの 2 頭について 48 時間での糞尿 からのアンモニアカ ス発生量と糞尿混合液の窒素含量について検討したところ正の相関があり 試験区におい糞尿中の窒素含有量低かっかことがアンモニアカ スの発生量の低下に関与したものと推定された 3) ( 図 3) NH4 ー N(mg) 時間対照区試験区 0~24hr 70.13± ± ~48hr ± ±60.29 合計 ± ± y = x R² = NH , , , ,000.0 窒素含量 (mg/200g) 図 3 糞尿混合液の窒素量とアンモニアカ ス発生量の関係糞尿混合液から発生する硫化カ ス濃度は 24 時間目で試験区で低い傾向がみられ 48 時間目では対照 区の 17.7ppm に対して試験区では 5.3ppm と 5% 水準で有意に低かった ( 図 4) H2S(ppm) 対照区 20.0 試験区 17.7 a b hr 48hr 注 )24 時間目は 1 検体のみの比較図 4 糞尿混合液からの硫化水素カ ス濃度 まとめ 肥育後期 ( 体重 75kg から 110kg) の LWD 去勢豚に濃厚飼料当たり 2% の製茶残渣を給与することにより 肥育豚の発育については 試験区が日増体重は有意に低かったが 飼料要求率に差はなく枝肉成績では 試験区の脂肪厚が有意に低く 格付けは良好であった また 冷蔵保存時のト リッフ ロスは低い傾向となり肉質は良好であった 糞と尿の性状については 糞のpH は試験区で有意に低くなったが 尿及び糞尿混合液については差はなく 24 時間及び 48 時間の培養後もともにアルカリ性を示し対照区と差はなかった 糞尿混合液からのアンモアニアカ スの発生量については 24 時間までは 対照区に対して差はないが 24~48 時間の間では 対照区の 364.1mg に対して 254mg となり 48 時間の合計では 434.2mg に対して 350mg であった その要因として試験区において尿中の窒素含量が低かったことが推定された 硫化水素カ スの発生濃度では 48 時間目で対照区の 17.67ppm に対して試験区において 5.3ppm と有意に低かった 以上のことから 製茶残渣給与により豚の糞尿混 117

123 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 合液からの悪臭低減の可能性が示唆された 今後は 製茶残渣給与割合の低減などの試験について検討する予定である 参考文献 1) 森井平和 :; 粉末茶給与が肉豚のと体形質及び糞便に及ぼす影響 ( 第 1 報 ), 奈良県畜産技術センター研究報告第 29 号,43-50, 平成 15 年 2) 山本朱美 伊藤念 古谷修 : 豚糞尿混合物からのアンモニア揮散量の in vitro 測定法, 日本畜産学会報,73(4), ,2002 3) 山本朱美 高橋栄二 古川智子 伊藤稔 石川雄二 山本克彦 山田未知 古谷修 : 肉豚へのアミノ酸添加低タンハ ク質飼料の給与による尿量 窒素排泄物量及びアンモニア発生量の低減効果. 日本養豚学会誌,9,1-7,

124 ナノバブルオゾン処理が回分式活性汚泥処理及び高機能膜処理水の脱色に及ぼす効果について ナノバブルオゾン処理が回分式活性汚泥処理及び 高機能膜処理水の脱色に及ぼす効果について 上野顕 森弘 原田晋平 中村淳美 ¹ (¹ 東臼杵農林振興局 ) Decolorize effect by nanobubble ozonize to Livestock waste water treated sequencing batch reactor and high-performance Membranes Akira UENO, Hiromu MORI, Sinpei HARADA, Atumi NAKAMURA 要約 畜産汚水処理水( 養豚 ) のナノバブルオゾン処理による脱色効果について検討したところ 回分式活性汚泥処理水では 36L に対して 0.7g/hr 反応させることにより 色度 200 以下に要する時間は夏季では 20~ 30 分であったが 冬季では 30 分以上を要し 冬季において処理水の色度 濁度及び亜硝酸性窒素が高くなっていることが要因と推定された また 高機能 (MF 膜 ) 処理により SS を除去することでオゾン処理による色度低下の反応時間は短縮され オゾン処理に要する電気代は低減された なお オゾン処理の効果は色度 400 程度から希釈して 250 程度に低減させることで色度 100 への到達時間は 20 分から 13 分程度となった 畜産処理汚水では 適正に処理し放流基準を満たしていても 黄褐色を呈して汚物感をもたれやすいため 効率的な脱色処理技術の確立が求められている このため 強い酸化力も持ち色度の改善に有効とされているオゾンを活用して 畜産活性汚泥処理水への効果的な利用技術を確立するため 季節による処理水の脱色効果の比較及び阻害要因の1つとされるSSの除去が可能な高機能膜 (MF 膜 ) 処理水に対する効果について検証した 試験方法 試験 Ⅰ 季節によるオゾン脱色の比較 1 調査期間平成 24 年 5 月から平成 25 年 5 月まで 2 調査対象施設の概要調査対象施設は 宮崎県畜産試験場川南支場の回分式活性汚泥処理施設 ( ラグーン方式 )( 以後 A と する ) 及び宮崎県児湯郡川南町にある母豚 80 頭一貫経営の養豚場に整備された 宮崎県方式低コスト浄化処理施設 2 農場 ( 以後 B 及び C とする ) において処理された活性汚泥処理水を使用した 3 試験方法 (1) オゾン脱色方法小型オゾン発生装置及び空気中の酸素を使用しオゾン (0.7g/hr) を発生させ ターボミキサーと微細気泡発生ノズルによって反応槽 ( 実行容積 36L) に投入した活性汚泥処理水と撹拌し脱色反応させた (2) サンプリング方法オゾン発生装置からオゾンが発生開始した時点を 0 分とし 5 分毎に反応槽からサンプリングを実施した (3) 調査項目及び方法水温 ph EC 色度 濁度 COD T-N NH4 -N NOx-N の測定を行った なお 各項目の測定方法は以下のとおり 1) 水温 : ポータブル ph メーター (TOA HM-21P) 119

125 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) ph:ph メーター (TOA HM-30G) EC:EC メーター (TOA CM-20S ) 色度 濁度:Drainage Analyzer(NIPPON DENSHOKU NDR-2000) T- N 及び NH4-N NOx-N: ケルダール法 +ブレムナー法試験 Ⅱ 高機能膜ユニット処理水の脱色効果 1 調査期間平成 25 年 6 月 ~ 平成 25 年 12 月 2 調査対象施設の概要 (1) 回分式活性汚泥処理施設 ( ラグーン方式 )1 農場において処理された活性汚泥処理水 ( 以後通常処理水とする ) を使用した (2) ユニット型膜分離装置 0.8 m2面積の精密ろ過膜 (MF 膜 0.4μm) の平膜 10 枚を有する膜分離タンクが設置してあり タンク内に曝気槽から曝気液を汲み上げろ過することで SS の無い処理水 ( 以後は膜処理水とする ) を生成する 3 試験方法 (1) サンプリング方法通常処理水は 90L 容量のタンク 2 個に活性汚泥をため沈殿させた上澄みを使用し 膜処理水は同時刻に活性汚泥を汲み上げ膜処理した処理水を採取した (2) 調査項目及び方法試験 Ⅰに同じ (2) サンプリング方法オゾン発生装置からオゾンが発生開始した時点を 0 分とし 5 分毎に反応槽からサンプリングを実施した (3) 調査項目及び方法試験 Ⅰに同じ 試験結果及び考察 試験 Ⅰ 図 1から図 4に A B 及び C 農場におけるオゾン処理での活性汚泥処理水の色度 濁度 NH4-N NO₃-N 及び NO₂-N を各農場それぞれ夏季 (5~9 月 ) 冬季(11 月 ~3 月 ) に分けて示した 色度 濁度ともに夏季よりも冬季の値が高く 夏季では色度 200 以下に低下するのに要した時間は 20~30 分であったが 冬季は 30 分以上を要し 40 分でも達しない場合もあった ( 図 1 図 2) 試験 Ⅲ 処理水の希釈による脱色効果 1 調査期間平成 25 年 6 月 ~ 平成 25 年 12 月 2 調査対象施設の概要試験 Ⅱ-(1) に同じ 3 試験方法 (1) 希釈方法処理水を水道水で 1.5 倍及び 2 倍に希釈し 無希釈の処理水も用いて脱色の推移を比較した NO₃-N 及び NO₂-N ともに夏季の B 及び C 農場に比べ冬季の値が高くなっており オゾン処理が経過しても数値の減少は見られなかった ( 図 3 図 4) 夏季に比べ冬季での処理水は 色度及び濁度 NO₂ -N が高くなる傾向が見られ オゾン処理による脱色効率が低下することが示唆された 2,3 ) 120

126 ナノバブルオゾン処理が回分式活性汚泥処理及び高機能膜処理水の脱色に及ぼす効果について ランニングコストを合計したコストでも MF 膜処理水が 29 円 /t 低くなった ( 表 1) 試験 Ⅲ 希釈処理水の色度は 無希釈 1.5 倍希釈 2 倍希釈の順で値が低くなった また オゾン処理による色度が 100 に低減する処理時間は 無希釈が約 25 分 1.5 倍希釈が約 13 分 2 倍希釈が約 10 分となり希釈するほど脱色の処理時間は短縮した ( 図 6) 試験 Ⅱ MF 膜によってSSを除去した膜処理水は 通常の処理水に比べて 色度は低くオゾン処理した際の色度が 100 までに達するまでの時間が通常処理水では 30 分要したのに対してMF 膜処理水では 15 分であった ( 図 5) ランニングコスト内訳でオゾン処理に要する電気代 ( オゾン処理については料金単価を 20 円 /kwh とした ) を試算すると色度 100 に達する電気代は 通常処理水では 103 円 /tに対してmf 考察 オゾン処理による脱色効率の阻害要因として 高い色度 濁度及び高濃度の NO₂-N による阻害が考えられる このため脱色には冬季を含めた浄化槽の適正な管理が重要である また 高機能膜 (MF 膜 ) 処理水でのオゾン処理では 膜処理水が通常処理水に比べ脱色効率がよかったことは 膜処理によって SS の除去により 色度 濁度の低減に寄与したことが要因だと考えられる 謝辞 最後になりますが 本研究の実施に当たり試験プラントの作成にご協力いただきました三桜電気工業株式会社及び株式会社戸上電機製作所のスタッフの膜処理水は 51 円 /tと大幅に軽減でき 浄化処理の皆様に感謝申し上げます 表 1 通常処理水と膜処理水でのオソ ン処理の 1 m3当たり処理時間 電気料金 ランニンク コストの比較 総電力量 料金単価 処理時 (36L) 処理時間 ( m3 ) 電気料金 浄化槽ランニンク 4) 合計 通常処理水 0.36kWh 20 円 /kwh 30min 14.3hr 103 円 /t 377 円 480 円 膜処理水 15min 7.1hr 51 円 /t 400 円 451 円 121

127 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) 参考文献 1) 下水道試験方法 :( 社 ) 日本下水道協会 ) オゾン処理技術の技術評価に関する報告書 : 日本下水道事業団 平成 21 年 4 月 3) 脇屋裕一郎 松尾俊徳 高柳典弘 卜部大輔 河原弘文 : 微細気泡オゾンを利用した畜産排水処理水の脱色効果 日本養豚学会誌 50(1) p ) 松葉賢次 岡田直子 甲斐敬康 水野和幸 : 養豚農家における高機能膜を利用した浄化処理機能向上技術の開発 ( 第 2 報 ) 宮崎県畜産試験場報告第 22 号 p

128 地域資源を活用した発酵混合飼料の飼料特性ならびに乳用牛への給与技術の確立に関する研究 博士論文要約 (Summary) 平成 23 年入学鹿児島大学連合農学研究科生物生産科学専攻氏名西村慶子タイトル地域資源を活用した発酵混合飼料の飼料特性ならびに乳用牛への給与技術の確立に関する研究キーワード ( 発酵 TMR) ( 地域飼料資源 ) ( 乳生産 ) 1. 緒論近年, 粗飼料と濃厚飼料を混合し, 発酵させた混合飼料 ( 発酵 TMR) の利用が酪農を中心に広がっており, その中で, 飼料自給率向上を図るため, 食品製造副産物を添加した発酵 TMR の調製が検討されている 宮崎県および鹿児島県を含む南九州には, 食品製造副産物の 1 つである焼酎粕やトウモロコシ, 飼料用イネ, 飼料用ムギなど様々な自給粗飼料とそれらのサイレージが地域の飼料資源として存在している しかしながら, それらを原料とした発酵 TMR の発酵品質や発酵に伴う化学成分の変動, 乳用牛に給与した場合の栄養代謝と生産性に及ぼす影響については詳細に検討されていない 本研究では, 地域飼料資源を主体とする乳用牛のための発酵 TMR の給与技術を確立することを目的とし, カンショ焼酎粕ケーキ (SDC), トウモロコシサイレージ (CS), 飼料用イネホールクロップサイレージ (RWCS) または飼料用ムギ類サイレージを利用した発酵 TMR を調製し, 発酵品質および発酵に伴う化学成分の変動を検討した また, それらの発酵 TMR を乳用牛に給与した場合の栄養代謝や乳生産に及ぼす影響を明らかにするとともに, 当該飼料の経済的評価を行った 2. 発酵 TMR の品質と発酵に伴う化学成分の変動 ( 第 2 章 ) 発酵 TMR は, 国内に賦存する未利用資源を飼料として活用出来, 牛による良好な嗜好性をもたらすと考えられる しかし, 発酵に伴う ph や有機酸組成の変動および化学成分の変動についての報告は少ない そこで, 南九州地域で代表的な食品製造副産物であるカンショ焼酎粕を脱水処理した SDC および水田の裏作物として利用されている飼料用ムギ類サイレージを発酵 TMR の原料として利用した場合の発酵品質と発酵に伴う化学成分の変動を明らかにした CS, イタリアンライグラスサイレージ, RWCS および稲わらを混合した自給粗飼料に対し, 乾物ベースで 10 および 20% を SDC で置き換えた混合サイレージを調製した 発酵品質は V-SCORE で 90 点以上となった SDC 混合割合の増加に伴い, サイレージ全体の粗タンパク質 (CP) 含量も高まった したがって, 発酵品質や栄養価値の面だけでなく,SDC 自体の保存性のためにも上記粗飼料との混合が有効であると考えられた SDC を乾物ベースで 10% 混合したサイレージを含み (TMR 中に 4% 含有 ), 主たる粗飼料源を CS または RWCS として発酵 TMR を調製した ( それぞれ,CS-TMR および 123

129 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) RWCS-TMR 区 ) その結果, 発酵 TMR の V-SCORE は RWCS-TMR 区よりも CS-TMR 区で有意に高かった (P<0.05) が, いずれも 80 点以上であった また, タンパク質画分は埋蔵期間よりも粗飼料源の違いにより変動するが, 繊維画分はこれらの影響を受けないことを示した エンバク乾草 (OH), エンバクサイレージ (OS) およびオオムギサイレージ (BS) を主体とする発酵 TMR( それぞれ,OH-TMR,OS-TMR および BS-TMR 区 ) を調製した その結果,OH-TMR 区の V-SCORE は OS-TMR 区および BS-TMR 区のそれらと比べて有意に高く (P<0.05),OH-TMR 区の発酵品質が優れることが判明した また,OS-TMR 区のタンパク質は埋蔵期間よりも混合する粗飼料源の違いによる影響を強く受けたが,BS-TMR 区のそれは粗飼料源と埋蔵期間の両方の影響を受けることが示唆された さらに,OS-TMR 区の繊維画分は粗飼料源と埋蔵期間の影響を受けなかったが,BS-TMR 区のそれは貯蔵期間よりも粗飼料源の影響を強く受けることが示唆された 3. 発酵 TMR を給与した乳用牛の栄養代謝 ( 第 3 章 ) 一般に, 牧草サイレージでは, 発酵に伴い, 糖類は有機酸, タンパク質は非タンパク態窒素に分解されるため, サイレージ調製後の栄養価が変動する 第 2 章では,SDC,CS, RWCS または飼料用ムギ類サイレージ (OS または BS) を混合した発酵 TMR の発酵品質は粗飼料源および埋蔵期間の影響を受けるが, 化学成分は埋蔵期間よりも粗飼料源の影響を強く受けることを示唆した しかし, それらを乳用牛に給与した場合の栄養代謝に及ぼす影響については詳細な報告が少ない そこで, 上記の発酵 TMR を給与した乳用牛の消化性, 第一胃内溶液性状および窒素利用性について検討した SDC 混合サイレージを乾乳牛に給与した場合,SDC の混合割合は消化性ならびに第一胃内溶液性状に影響を及ぼさなかったが, 泌乳牛に給与した場合,SDC の混合によって乾物および TDN 摂取量は増加した また,SDC を混合した発酵 TMR を乾乳牛に給与した場合, 粗脂肪の消化率と TDN 含量を除き, 消化性ならびに第一胃内溶液性状に飼料間差はなく, 泌乳牛の養分摂取量にも差はみられなかった さらに, 飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR を泌乳牛に給与した場合, CP の消化率を除き, 消化性, 第一胃内溶液性状および養分摂取量にも差が認められなかった このことから,SDC の混合は消化性ならびに第一胃内溶液性状に及ぼす影響はみられないものの, 養分摂取量が多くなることおよび SDC 混合発酵 TMR および飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR において, 粗飼料源の違いは部分的に消化性を変化させるが, 第一胃内環境および養分摂取量に影響を及ぼさないことが示された SDC 混合サイレージを乾乳牛に給与した場合,SDC の混合割合は窒素利用性に影響を及ぼさなかった また,SDC 混合発酵 TMR を乾乳牛に給与しても, 窒素利用性への影響はみられなかった しかし, 飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR を乳用牛に給与した場合,OH-TMR,OS-TMR または BS-TMR 区の間で糞中, 尿中あるいは乳中窒素割合に有意差が認められたが, 蓄積窒素割合, 尿中アラントイン排泄量および微生物態窒素合成量に飼料間差は認められなかった これらのことから, 発酵 TMR を乳用牛に給与した場合, 窒素利用性は粗飼料源の違いにより部分的に変化することが示された 124

130 地域資源を活用した発酵混合飼料の飼料特性ならびに乳用牛への給与技術の確立に関する研究 4. 発酵 TMR を給与した乳用牛の生産性 ( 第 4 章 ) TMR は分離給与に比べ摂取利用バランスや第一胃内発酵の安定化により乾物摂取量を高めることが出来, 現在の乳牛飼養において牛の能力を引き出すのに良い方法である これらを発酵させた発酵 TMR について, 第 2 章で SDC 混合サイレージ, 粗飼料源の異なる SDC 混合発酵 TMR および飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR の発酵品質は粗飼料源や埋蔵期間に影響されるが, 化学成分の変動に対しては粗飼料源の影響がより大きいことを示唆し, 第 3 章では, これらの飼料を乾乳牛または泌乳牛に給与した場合, 消化性および窒素利用性は粗飼料源の影響を受けるものの, 第一胃内溶液性状には顕著な変化が認められないことを明らかにし, 乳牛用飼料として利用できる可能性を示唆した しかし, 発酵 TMR を泌乳牛に給与した報告は少なく, 咀嚼行動や乳生産に及ぼす影響についても未解明な部分が多い さらに, 乳成分のうち, 機能性成分として注目されている共役リノール酸 (Conjugated linoleic acid: CLA) をはじめとする乳中脂肪酸の組成への影響についての報告はない そこで, 上記の発酵 TMR を泌乳牛に給与した場合の採食 反芻行動, 乳生産, 繁殖成績および乳中脂肪酸組成について検討した SDC 混合サイレージを含む TMR および SDC 混合発酵 TMR の粗飼料源を CS または RWCS とした場合, 泌乳牛の乳量, 乳成分および乳生産に対する飼料効率に影響を及ぼさなかった また, 飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR を泌乳牛に給与したところ, 粗飼料価指数 (Roughage value index :RVI) は OH-TMR 区よりも OS-TMR および BS-TMR 区で高い傾向を示した ( それぞれ,P<0.1 および P<0.01) が, 乳量, 乳成分および飼料効率は同程度となった さらに, これらの発酵 TMR を給与した泌乳牛の発情回帰日数, 人工授精回数および妊娠期間等の繁殖成績は慣行飼料を給与した他の乳用牛の場合とほぼ同様であった したがって,SDC 混合の混合割合および SDC 混合発酵 TMR の飼料構成ならびに飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR の主たる粗飼料源の違いは, 泌乳牛の乳生産および繁殖性に影響を与えないことが示唆された 粗飼料源が異なる SDC 混合発酵 TMR を泌乳牛に給与した場合の乳中脂肪酸組成については,CS-TMR 区よりも RWCS-TMR 区で短鎖脂肪酸が多かった (P<0.05) また, 飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR を泌乳牛に給与した場合の乳中 CLA 含量は,OH-TMR 区よりも OS-TMR 区または BS-TMR 区で高い傾向が認められた ( それぞれ P<0.1 および P<0.05) このことから, 乳中脂肪酸組成は主たるの粗飼料源の違いによって影響を受け, 機能性成分が向上する可能性が示唆された 5. 発酵 TMR の経済的評価 ( 第 5 章 ) 飼料自給率が低いわが国にとって, 近年の輸入飼料の高騰 価格高止まりによる飼料コストの上昇は, 畜産経営の悪化をもたらしている 畜産経営基盤の安定 強化のためには, 食品製造副産物や自給粗飼料を積極的に利用した国内産飼料の給与体系の構築が求められている 前章までに SDC,CS,RWCS または飼料用ムギ類サイレージを混合した発酵 TMR の発酵品質は良好であり, それらの発酵 TMR を乳用牛に給与した場合, 養分摂取, 第一胃内環境, 窒素出納および乳生産への大きな影響は認められないことを明らかにした しかしながら, 前章までに供試した給与飼料の生産コスト ( 飼料費 ) や乳生産効率など経済的な面からの検討はなされていない そこで, 前章までの各試験に供した各種発酵 TMR 125

131 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 (2014) について, 泌乳牛に給与した場合の経済性を評価した SDC 混合サイレージを含む TMR を泌乳牛に給与した場合,SDC の混合割合によって飼料費や乳飼比に違いは認められなかった SDC 混合発酵 TMR の粗飼料源を CS または RWCS とした場合,CS-TMR および RWCS-TMR 区の飼料費は同程度であったが, 乳飼比は後者よりも前者で低い傾向を示した (P<0.1) 飼料用ムギ類サイレージ主体発酵 TMR の場合,OH-TMR,OS-TMR または BS-TMR 区の間で飼料費および乳飼比に区間差は認められなかった このことから, 発酵 TMR は, 用いる粗飼料源の飼料単価の違いによって乳飼比を高める場合があるものの, 飼料費および粗収益に影響を及ぼさないことが示された 6. 結論 SDC,RWCS,OS および BS などの地域飼料資源を用いた発酵 TMR の発酵品質は良好であり, 発酵に伴う化学成分は, 主たる粗飼料源の違いによって変動することが明らかとなった これらの発酵 TMR のうち,SDC 混合サイレージを含む TMR や主たる粗飼料源を CS または RWCS とした SDC 混合発酵 TMR および OS あるいは BS を主体とする発酵 TMR を乳用牛へ給与した場合, 消化性および乳生産への影響は認められなかったことから, 乳用牛の飼料として有用であることが示唆された なお 本論文要約は鹿児島大学のリポジトリで公表している 126

132 気象表 平成 24 年度 (2012 年 4 月 2013 年 3 月 気象表 ) 宮崎県畜産試験場 ( 高原町 ) 年 月 旬 最低気温 平均気温 最高気温 積算降水量 積算日照時間 平均値 平年値 平均値 平年値 平均値 平年値 平均値 平年値 平均値 平年値 4 上 中 平下 成平均 合計 二四 5 上 年中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 上 中 平下 成平均 合計 二五 2 上 年中 下 平均 合計 上 中 下 平均 合計 年度平均 合計 気温は平均値 降水量と日照時間は合計値時間 平年値の計算期間 1974 年 ~2006 年 127

133 宮崎県畜産試験場試験研究報告第 26 号 平成 26 年 12 月印刷平成 26 年 12 月発行 発行者宮崎県畜産試験場 宮崎県西諸県郡高原町大字広原 5066 TEL(0984) FAX(0984) 印刷株式会社長崎印刷 宮崎県西諸県郡高原町大字後川内 18-2 TEL(0984) FAX(0984)

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