橈骨遠位端骨折診療GL2017_表紙1

Size: px
Start display at page:

Download "橈骨遠位端骨折診療GL2017_表紙1"

Transcription

1

2 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン 2017 ( 改訂第 2 版 )

3 Japanese Orthopaedic Association(JOA)Clinical Practice Guideline on the Management of Distal Radius Fractures, 2nd Edition The Japanese Orthopaedic Association, 2017 Published by Nankodo Co., Ltd., Tokyo, 2017

4

5 監修 日本整形外科学会日本手外科学会 編集 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会 診療ガイドライン 2017( 第 2 版 ) 策定組織 < 日本整形外科学会 > 理事長丸毛啓史東京慈恵会医科大学教授 < 日本手外科学会 > 理事長矢島弘嗣市立奈良病院院長 < 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会 > 担当理事 金谷 文則 琉球大学教授 委員長 市村 正一 杏林大学教授 < 日本手外科学会橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会 > 担当理事渡邉健太郎名古屋掖済会病院副院長砂川融広島大学教授 < 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会 > 委員長 安部 幸雄 済生会下関総合病院科長 統括および治療 / その他の骨折, 治療法 委員 泉山 公 南多摩病院部長 治療 / 手術療法 / プレート固定 今谷 潤也 岡山済生会総合病院部長 治療 / 手術療法 / プレート固定 金城 養典 清恵会病院副部長 治療 / 治療総論 川崎 恵吉 昭和大学講師 治療 / 手術療法 / プレート固定 児玉 成人 滋賀医科大学講師 治療 / 保存療法 清水 隆昌 奈良県立医科大学助教 機能評価 / 予後 長尾 聡哉 みつわ台総合病院副部長 治療 / 手術療法 / 手術療法総論 仲西 康顕 奈良県立医科大学助教 機能評価 / 予後 藤原 浩芳 京都府立医科大学准教授 診断 三浦 俊樹 JR 東京総合病院部長 リハビリテーション iv

6 森谷浩治新潟手の外科研究所部長疫学 門馬秀介昭和大学助教治療 / 手術療法 / 経皮的鋼線固定, 創外固定 <アドバイザー > 金谷 文則 琉球大学教授 澤泉 卓哉 日本医科大学前教授 < 構造化抄録作成協力 >( 五十音順 ) 青木 光広 秋田 鐘弼 麻田義之 浅見昭彦 阿達 啓介 尼子 雅敏 新井 健 有野浩司 飯島 英二 飯田 博幸 池上博泰 池田和夫 池田 全良 石垣 大介 石川浩三 石河利之 石田 治 石突 正文 石津恒彦 磯貝典孝 市川 亨 伊藤 博紀 稲垣克記 稲垣弘進 稲田 有史 射場 浩介 伊原公一郎 今村宏太郎 入江 徹 岩倉菜穂子 岩崎倫政 岩瀬嘉志 岩本 幸英 内尾 祐司 内田和宏 内田 満 内山 茂晴 浦田 士郎 浦部忠久 恵木 丈 江尻 荘一 大泉 尚美 大井宏之 大江隆史 大谷 和裕 大野 義幸 岡﨑真人 岡本雅雄 冲永 修二 奥田 良樹 長田伝重 長田龍介 小野 浩史 面川 庄平 柿木良介 垣淵正男 笠井 時雄 加地 良雄 柏 克彦 香月憲一 加藤 貞利 加藤 博之 金谷耕平 釜野雅行 亀井 譲 亀渕 克彦 亀山 真 河井秀夫 川勝 基久 河野 正明 川端秀彦 木原 仁 木村 理夫 木森 研治 清川兼輔 金 潤壽 草野 望 楠瀬 浩一 工藤文孝 國吉一樹 久保田雅仁 黒川 正人 桑田憲幸 光嶋 勲 河野慎次郎 五谷 寛之 後藤 渉 小畠康宣 小林 明正 小林 由香 近藤 真 齋藤育雄 齋藤 知行 酒井 昭典 酒井和裕 坂井健介 酒井 直隆 坂野 裕昭 笹 益雄 サッキャイソラマン 佐藤 和毅 佐藤 信隆 佐野和史 沢辺一馬 重冨 充則 篠原 孝明 柴田 実 島田賢一 島田 幸造 清水 弘之 白井久也 鈴木修身 鈴木 克侍 鈴木 茂彦 鈴木正孝 角 光宏 関 敦仁 関谷 勇人 千馬誠悦 副島 修 高木 誠司 高岸 憲二 高木理彰 高瀬勝己 高原 政利 高山真一郎 瀧川宗一郎 武石明精 田崎 憲一 田嶋 光 田尻康人 多田 薫 多田 博 建部 将広 田中克己 田中寿一 v

7 田中利和 田中 英城 谷口泰徳 谷野善彦 玉井和夫 千野 博之 土田芳彦 坪川直人 津村 弘 鶴田 敏幸 寺田信樹 寺本憲市郎 土井一輝 峠 康 戸羽直樹 戸部正博 鳥谷部荘八 鳥山 和宏 中尾悦宏 長岡正宏 仲尾保志 仲沢 弘明 中島祐子 中土幸男 中道健一 中村英次郎 中村俊康 南野光彦 西浦康正 西川 真史 西田圭一郎 西田 淳 西脇正夫 根本 孝一 根本 充 野口政隆 信田進吾 橋詰 博行 橋本一郎 長谷川健二郎 服部泰典 原 章 原田香苗 原 友紀 日高典昭 日高 康博 平瀬雄一 平田 仁 平地一彦 平原 博庸 福本恵三 藤井裕子 藤岡宏幸 藤尾 圭司 普天間朝上 別府諸兄 堀井恵美子 牧 信哉 牧野仁美 牧 裕 正富 隆 松崎 浩徳 松下和彦 松村崇史 松村 一 三上 容司 水関隆也 光安廣倫 三浪明男 宮坂 芳典 宮﨑洋一 村上隆一 村瀬 剛 村田 景一 村松慶一 百瀬敏充 森田哲正 森田 晃造 森友寿夫 矢島弘嗣 安田匡孝 山内 健二 山内大輔 山﨑京子 山下優嗣 山中 一良 山本謙吾 山本真一 湯川昌広 横井 達夫 吉川泰弘 吉本信也 若林良明 和田 卓郎 vi

8 日本整形外科学会診療ガイドライン改訂にあたって 診療ガイドライン ( 以下, ガイドライン ) は, 医療者と患者さんが特定の臨床状況において, 適切な診療の意思決定を行うことを支援する目的で系統的に作成された文章 です. こうしたガイドライン自体は古くから存在していますが, わが国では, 厚生省 ( 当時 ) の医療技術評価推進検討会 ( 年 ) の報告書を踏まえて, 科学的根拠に基づく医療 (evidence-based medicine: EBM) を普及させるための一つの方策として, エビデンスに基づくガイドラインの策定が推進されました. そこで, 日本整形外科学会では,2002 年にガイドラインの作成対象として, 日常診療で遭遇する頻度の高い 11 疾患を選び, ガイドライン作成を開始しました. 現在までに,16 疾患のガイドラインを出版あるいは公開しており, 新たに 2 疾患のガイドライン作成が進行しています. ガイドラインには, その時の最新のエビデンスを含めた客観的信頼性の高い診療情報が記載されます. しかし, ひとたび出版, 公開されたガイドラインは, 日々進歩していく医療から取り残されていきます. 診療ガイドラインが賞味期限付きの 生もの といわれるのはこのためで, 定期的な改訂が必要です. 日本整形外科学会では, 運動器医療に携わる他学会とも連携し, 診療ガイドライン委員会ならびに各診療ガイドライン策定委員会主導のもと, 順次改訂作業を進めています. 本ガイドラインが整形外科診療の質の向上や EBM の実践に役立ち, 患者さんの疾患への理解を通じてインフォームド コンセントに基づいた最適な治療法を選択する際の参考になれば幸いです 年 4 月 日本整形外科学会理事長 丸毛 啓史 vii

9 運動器疾患ガイドライン策定の基本方針 2011 年 2 月 25 日 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会 1. 作成の目的本ガイドラインは運動器疾患の診療に従事する医師を対象とし, 日本で行われる運動器疾患 の診療において, より良い方法を選択するための1つの基準を示し, 現在までに集積されたその根拠を示している. ただし, 本書に記載されていない治療法が行われることを制限するものではない. 主な目的を以下に列記する. 1) 運動器疾患の現時点で適切と考えられる予防 診断 治療法を示す. 2) 運動器疾患の治療成績と予後の改善を図る. 3) 施設間における治療レベルの偏りを是正し, 向上を図る. 4) 効率的な治療により人的 経済的負担を軽減する. 5) 一般に公開し, 医療従事者間や医療を受ける側との相互理解に役立てる. 2. 作成の基本方針 1) 本ガイドラインはエビデンスに基づいた現時点における適切な予防 診断と適正な治療法の適応を示すものとする. 2) 記述は可能な限りエビデンスに基づくことを原則とするが, エビデンスに乏しい分野では, 従来の治療成績や理論的な根拠に基づいて注釈をつけた上で記述してもよい. 3) 日常診療における推奨すべき予防 診断と治療法をエビデンスに基づいて検証することを原則とするが, 評価が定まっていない, あるいはまだ普及していないが有望な治療法について注釈をつけて記載してもよい. 3. ガイドラインの利用 1) 運動器疾患を診療する際には, このガイドラインに準拠し適正な予防 診断 治療を行うことを推奨する. 2) 本ガイドラインは一般的な記述であり, 個々のケースに短絡的に当てはめてはならない. 3) 診療方針の決定は医師および患者のインフォームド コンセントの形成の上で行われるべきであり, 特に本ガイドラインに記載のない, あるいは推奨されていない治療を行う際は十分な説明を行い, 同意を得る必要がある. 4) 本ガイドラインの一部を学会方針のごとく引用し, 裁判 訴訟に用いることは本ガイドラインの主旨ではない. 4. 改訂本ガイドラインは, 運動器疾患診療の新たなエビデンスの蓄積に伴い随時改訂を行う. viii

10 改訂第 2 版の序 ガイドラインのない診療は, 羅針盤のない航海のようなものである. 様々な局面に遭遇した際にどちらを向いて進んでいけばよいのか? 行き先を指示してくれるのが診療ガイドラインと言ってよいであろう. 故澤泉卓哉前委員長をはじめとした橈骨遠位端骨折のエキスパートの諸兄により作成された 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン 2012 は, 珠玉の診療指針として輝きを放ち続け, 本邦での橈骨遠位端骨折の治療レベルの向上に貢献してきたことは間違いない. 一方で昨今の医学, 医療の進歩はとてつもなく速く, それは手外科の分野においても例外ではない. 橈骨遠位端骨折の分野においても, 高齢化, 核家族化, 早期社会復帰への要望など社会構造の変化に伴う手術適応の変化,CT, MRI, 超音波機器を使用した診断, 治療への応用, 鏡視下手術の発展, 様々な種類の内固定材料の開発と臨床での使用, 内固定術の普及に伴う種々の合併症の発覚, 後療法の早期化などに加え, エビデンスレベルの高い文献が次第に発表されるなど過去 5 年間の診療内容の進歩により, ガイドラインの改訂が必要となった 年 4 月の沖縄での日本手外科学会学術集会時にて, 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定 ( 改訂 ) 委員会が立ち上げられた. 前回のガイドライン作成では 2008 年までに発表された文献が検索, 採用されており, 今回は前回採用された文献に加え,2009 年以降, 新たに発表された文献が検索の対象となった. これらの文献をみるとこの 5 年間に診断, 治療法ともに様々な変化をみせていた. また文献のエビデンスレベルも向上し, 客観的評価, 特に患者立脚型評価を記載する文献が増加しており,5 年間というガイドライン見直しの期間は適切であることを実感した. しかし, 橈骨遠位端骨折という外傷治療の分野では, 内科における薬物治療のような明確な比較対照の研究デザインが困難であり, エビデンスレベルの高い文献は必ずしも多くないという事実も再認識した. 今後, 論文を作成しようとする医師はしっかりとした論文構成が必要と感じた. 本ガイドラインは前版同様, 日常診療で感じた疑問に対する回答を Q&A 形式で記載した. クリニカルクエスチョンは上記変化を考慮し, 修正, 追加が必要であった. その内容は現段階での up to date であると作成に携わった委員全員が自負するものである. ただし実際の診療方針は, 医師と患者が相談したうえで決定していくものであり, 本ガイドラインはあくまで診療においての指標のひとつであると認識していただきたい. 最後に本ガイドラインの作成に多大なご支援とご尽力を賜りました日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 日本手外科学会ならびに代議員の方々, 頻回の委員会開催に協力していただきました日本整形外科学会事務局ならびに財団法人国際医学情報センター (IMIC) の諸氏に深謝いたします 年 4 月 日本整形外科学会橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定 ( 改訂 ) 委員会委員長安部幸雄 ix

11 初版発行時の編集 監修 日本整形外科学会日本手外科学会 編集 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会 初版診療ガイドライン策定組織 < 日本整形外科学会 > 理事長岩本幸英 < 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会 > 担当理事 久保 俊一 委員長 金谷 文則 < 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会 > 担当理事 金谷 文則 委員長 澤泉 卓哉 委員 泉山 公 長田 伝重 面川 庄平 坂野 裕昭 戸部 正博 長尾 聡哉 南野 光彦 西浦 康正 森友 寿夫 x

12 <アブストラクト作成担当 >( 五十音順 ) 青木 光広 秋田 鐘弼 浅見昭彦 麻生邦一 安部 幸雄 尼子 雅敏 新井 健 有野浩司 飯島 英二 池田 和夫 池田全良 石川浩三 石川 淳一 石黒 隆 石田 治 石突正文 泉山 公 磯貝 典孝 市川 亨 伊藤聰一郎 稲垣 克記 稲垣 弘進 稲田有史 伊原公一郎 今枝 敏彦 今谷 潤也 今村宏太郎 岩本幸英 内尾 祐司 内田 満 内山茂晴 浦部忠久 恵木 丈 大井 宏之 大野和裕 岡 義範 岡本 雅雄 冲永 修二 荻野利彦 奥津一郎 長田 伝重 小田 良 越智光夫 落合直之 小野 浩史 面川 庄平 貝田英二 柿木良介 香月 憲一 勝見 泰和 加藤貞利 加藤博之 金谷 文則 釜野 雅行 亀山 真 河井秀夫 河野 正明 川端 秀彦 菊地淑人 北山吉明 木原 仁 木森 研治 清重佳郎 草野 望 久保 俊一 光嶋 勲 五谷寛之 小林明正 小林 誠 近藤 真 蔡 詩岳 酒井昭典 酒井 和裕 酒井 直隆 坂田悍教 坂野裕昭 佐久間雅之 佐々木 孝 貞廣哲郎 澤泉卓哉 重冨 充則 島田 幸造 清水克時 清水弘之 白井 久也 末永 直樹 鈴木茂彦 鈴木正孝 鈴木 康 関谷 勇人 千馬誠悦 副島 修 高岸 憲二 高瀬 勝己 髙原政利 武石明精 田崎 憲一 多田 博 田中克己 田中英城 谷口 泰徳 帖佐 悦男 坪川直人 津村 弘 鶴田 敏幸 寺田 信樹 土井一輝 戸部正博 中尾 悦宏 長尾 聡哉 長岡正宏 中島英親 長野 昭 中道 健一 南野光彦 西浦康正 西川 真史 西田 淳 根本孝一 野口政隆 信田 進吾 橋詰 博行 長谷川健二郎 服部泰典 浜田 良機 日高 典昭 日高康博 平瀬雄一 平田 仁 平地 一彦 福居顯宏 福本恵三 藤岡 宏幸 藤原 浩芳 堀井恵美子 前田 登 牧 裕 牧野 正晴 政田和洋 松下 隆 松末 吉隆 松村 崇史 松村 一 丸山 優 三上 容司 水関 隆也 水谷一裕 三浪明男 南川 義隆 三原 誠 宮坂芳典 村瀬 剛 村松 慶一 百瀬 敏充 森友寿夫 矢島弘嗣 安田 匡孝 梁瀬 義章 山中一良 山本謙吾 吉川 泰弘 吉積 佳世 龍順之助 和田卓郎 渡邉健太郎 渡部 欣忍 xi

13 日本整形外科学会診療ガイドライン策定にあたって 高齢社会を迎えたわが国では,2010 年時点の平均寿命が男性 79.6 歳, 女性が 86.4 歳,65 歳以上の高齢者人口が2,956 万人に及んでいます.1947 年時点の平均寿命は男性 50.1 歳, 女性 54.0 歳でしたから, わずか 60 余年の間に平均寿命が男女とも約 30 年も延長したことになります. 急激な高齢化により疾病構造も様変わりし, 骨粗鬆症や変形性関節症, 腰部脊柱管狭窄症などが, 整形外科の主要疾患に仲間入りしました. 一方, 診断 治療技術も近年めざましい進歩をとげました. 画像診断をはじめとする診断技術の進歩により病変の早期かつ正確な診断が可能となり, 数々の優れた薬剤や高度な手術法の開発により優れた治療成績が得られるようになったのです. しかし一方で, 幾多の診断技術や治療法のオプションの中から, 個々の患者さんのために最も適切な方法を選ぶにあたり, 何らかのガイドラインが必要になってきました. ほとんどの患者さんが求めている医療は, 安全で確実な医療, すなわち標準的な医療です. 日本整形外科学会では, 運動器疾患の患者さんに標準的な医療を提供するために, 各疾患に対するエビデンスに基づいた ガイドライン を策定し, 時間が経過したものについては改訂作業を進めています. この診療ガイドラインが, 医療の現場, および医師教育の場で十分に活かされ, 運動器医療の向上につながっていくことを願ってやみません 年 1 月 日本整形外科学会理事長 岩本 幸英 xii

14 初版の序 わが国は超高齢社会を迎えた. この流れには今後ますます拍車がかかると予想されている. 橈骨遠位端骨折は全骨折の中に占める割合が 16 ~ 20% とされている. 特に骨粗鬆症を基盤として高齢者を中心に発生する最も発生頻度の高い骨折のひとつであり, 当然ながら発生数も増加していくであろうことは論を俟たない. 高齢者の活動性の増加などから治療に対する希望や要求も変わってきている. したがって医師もこの骨折の知識と理解をより深めて実際の診療にあたらなければならない. そのような流れの中から日本整形外科学会でも事業の一環として橈骨遠位端骨折診療ガイドラインを策定することとなった. 実際の策定作業は日本手外科学会から選出された 12 名の委員と担当理事が 2007 年から作業を開始し, このたび出版の運びとなった. 橈骨遠位端骨折に関する最初の文献はAbraham Collesが1814 年に記載した. 当時は麻酔法や無菌手術法も確立しておらず,X 線の発見より80 年前の時代であったことから, たとえ変形が残存しても機能的には支障をきたさないと述べられている. 変形の残存と機能について新たな議論が展開されるようになったのはそれから 1 世紀以上経ってからのことである. 以後さまざまな治療法が報告されてきたが, 特に最近 10 年間ではこの骨折の診断や治療法, 患者の認識が大きく変化してきた. また, しっかりした研究デザインでエビデンスレベルの高い文献が散見されるようになってきたのはこの数年であることを策定作業中に文献を通して実感した. 本ガイドラインも, 策定する段階では最も新しい文献の中から回答を得てきたが, 今後もますます診断 治療が進歩することが予想されるため, 数年後には新たな内容を盛り込んで改訂していかなければならないと考える. 本ガイドラインは, 現在の日常診療で必要になると予想される質問に対する回答という形で過去の文献の中から抽出して記載したものである. 実際の診療方針は, 医師と患者で相談しながら決定していくものであり, あくまでも診療にあたっての指標のひとつとしてとらえていただきたい 年 1 月 日本整形外科学会橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会委員長澤泉卓哉 xiii

15 目 次 前文 1 第 1 章橈骨遠位端骨折の疫学 9 CQ 1. 橈骨遠位端骨折の発生状況は? 10 CQ 2. 橈骨遠位端骨折の発生にかかわる危険因子は? 12 CQ 3. 橈骨遠位端骨折に対して行われる治療法の傾向は? 14 CQ 4. 橈骨遠位端骨折と他の骨脆弱性骨折の発生に関連はあるか? 15 第 2 章診断 17 CQ 1. 推奨できる骨折型分類はあるか? 18 CQ 2. 単純 X 線計測値の基準は? 21 CQ 3. 単純 X 線正面 側面像の 2 方向以外にどのような撮影方法が有用か? 23 CQ 4. 関節内骨折の診断に CT は有用か? 25 CQ 5. 不顕性骨折の診断に有用な検査法は? 27 CQ 6. TFCC 損傷の合併率とその診断方法は? 28 CQ 7. 舟状月状骨靱帯損傷の合併率とその診断方法は? 29 CQ 8. 尺骨茎状突起骨折の合併率は? 31 第 3 章治療 治療総論 34 CQ 1. 関節外骨折に対して手術療法は保存療法より有用か? 34 CQ 2. 関節内骨折に対して手術療法は保存療法より有用か? 37 CQ 3. 関節外骨折における徒手整復後の残存変形は許容できるか? 39 CQ 4. 関節内骨折における徒手整復後の残存変形は許容できるか? 41 CQ 5. 橈骨遠位端骨折の合併症と発生率は? 保存療法 45 CQ 1. 高齢者に徒手整復は必要か? 45 CQ 2. 徒手整復に finger trap は有用か? 47 CQ 3. 徒手整復に麻酔は有用か? 48 CQ 4. 外固定の範囲とその期間は? 50 xiv 目次

16 CQ 5. 外固定時の手関節と前腕の肢位は? 51 CQ 6. 保存療法の合併症は? 52 CQ 7. 整復評価に超音波検査は有用か? 手術療法 手術療法総論 57 CQ 1. 適切な手術時期はいつか? 57 CQ 2. 高齢者に手術療法は有用か? 59 CQ 3. 関節内骨折の手術で透視下整復は有用か? 62 CQ 4. 関節内骨折に関節鏡視下手術は有用か? 経皮的鋼線固定 66 CQ 1. 経皮的鋼線固定は有用か? 66 CQ 2. 経皮的鋼線固定の合併症は? 創外固定 70 CQ 1. 創外固定は有用か? 70 CQ 2. 創外固定の合併症は? プレート固定 75 CQ 1. 背側ロッキングプレート固定は有用か? 75 CQ 2. 掌側ロッキングプレート固定は有用か? 77 CQ 3. ノンロッキングプレート固定は有用か? 81 CQ 4. 角度固定型 ( 単方向性 ) 掌側ロッキングプレート固定は有用か? 84 CQ 5. 角度可変型 ( 多方向性 ) 掌側ロッキングプレート固定は有用か? 86 CQ 6. 掌側ロッキングプレートに骨 ( 人工骨 ) 移植は有用か? 88 CQ 7. 関節内粉砕骨折に複数プレートは有用か? 90 CQ 8. 掌側ロッキングプレート固定後の外固定は有用か? 92 CQ 9. 掌側ロッキングプレートの抜去は必要か? 94 CQ 10. 掌側ロッキングプレート固定の術後合併症は? 96 CQ 11. 掌側ロッキングプレート固定に合併する腱損傷の診断に対して, 超音波検査は有用か? その他の骨折, 治療法 103 CQ 1. 超音波パルスや電気刺激は骨癒合促進に有用か? 103 CQ 2. 髄内釘固定は有用か? 105 CQ 3. 合併する遠位橈尺関節不安定症の診断と治療は? 107 CQ 4. 合併する TFCC 損傷は治療すべきか? 110 CQ 5. 合併する尺骨茎状突起骨折に内固定は有用か? 113 CQ 6. 合併する尺骨遠位端骨折に内固定は有用か? 115 CQ 7. 合併する手根骨間靱帯損傷は治療すべきか? 117 CQ 8. 変形治癒に対する矯正骨切りの適応は? 119 CQ 9. 方形回内筋の修復または温存は有用か? 121 xv

17 第 4 章リハビリテーション 123 CQ 1. 手関節以外のリハビリテーションは有用か? 124 CQ 2. リハビリテーションプログラムの指導は有用か? 125 CQ 3. 受傷後 6 ヵ月までに手関節機能は十分に回復するか? 128 第 5 章機能評価, 予後 131 CQ 1. 一般的に用いられている評価法は? 132 CQ 2. 妥当性の検証されている評価法は? 135 CQ 3. 変形治癒は機能的予後に影響するか? 137 CQ 4. 骨折の不安定性 ( 再転位 ) を予測する患者因子, 骨折因子は存在するか? 140 索引 142 xvi 目次

18 前 文 1 ガイドラインの作成方法 改訂の経緯, 手順 橈骨遠位端骨折診療ガイドラインは日本整形外科学会の事業のひとつであり, 実際の委員選出や策定作業は日本手外科学会のもとで行った.2012 年版はこの事業のひとつとしてはじめて作成された. 一方, 医療技術の進歩は目覚ましく 2012 年版出版後も様々な新しい見解, 技術が発表され改訂の必要性はすでに前版出版以前から指摘されており, 今回日本整形外科学会の意向により 5 年の歳月を経て 2014 年より橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定 ( 改訂 ) 委員会を組織し, 前版の改訂, すなわち橈骨遠位端骨折診療ガイドライン 2017 の作成に着手した. 作成に際し, 指標となったのが Minds 診療ガイドライン作成の手引き 2014( 以下 Minds 2014) という手引書である. これは公益財団法人日本医療機能評価機構が行っている EBM 普及推進事業 (Minds) によるガイドライン作成の手順である. Minds 2014 で強調されているのが エビデンス総体 の重要性である. これはひとつの臨床上の問題 ( クリニカルクエスチョン :CQ) に対して収集し選択したすべての研究報告を, アウトカムごと, 研究デザインごとに評価し, その結果をまとめたものをエビデンス総体と呼び, これを構成する臨床研究の文献を検索 収集し, 評価 統合することにより偏り (bias) をできるだけ排除するものである. さらにガイドラインの作成にあたっては 益と害のバランス にも配慮した. これは介入 ( 治療 ) によってもたらされる結果としての患者アウトカムには, 期待される効果 ( 益 ) のみではなく, 有害な事象 ( 害 ) も含まれる. さらには患者にとっての不利益として, 費用負担の増加や身体的あるいは精神的な負担なども, 推奨作成において考慮することとなった. 2 文献検索と結果 前版は1988 ~ 2008 年までに発表された文献を抽出しており, 今回は表 1~3 で示した検索式を用いて,2009 ~ 2014 年の 6 年間において橈骨遠位端骨折に関する文献を言語は日本語, 英語, 種はヒトに限定して抽出した. 初期抽出にて日本の文献は医学中央雑誌から 913 編, 海外文献は MEDLINE から 1,184 編,Cochrane review( 言語, 種, 限定なし ) から 171 編, 計 2,268 編の文献が抽出された. これらに対し小児 (15 歳以下 ), 看護分野, 基礎研究, 柔整師からの文献を除去し, 最終的に 1,389 件の文献を採択した. これに前回のガイドライン 2012 作成の際に採用し 1

19 表 1 検索式 ( 医学中央雑誌 ) #1 ( 橈骨 /TH or 橈骨 /AL) or とう骨 /AL or どう骨 /AL or ぎょう骨 /AL or ( 橈骨 /TH or radius /AL) #2 遠位 /AL or distal /AL #3 ( 骨折 /TH or fracture /AL) or ( 骨折 /TH or 骨折 /AL) #4 #1 and #2 and #3 #5 #4 and (CK= ヒト ) #6 #4 not (CK= イヌ, ネコ, ウシ, ウマ, ブタ, ヒツジ, サル, ウサギ, ニワトリ, 鶏胚, モルモット, ハムスター, マウス, ラット, カエル, 動物 ) #7 #5 or #6 #8 #7 and (PT= 原著論文, 会議録除く ) #9 #7 and (PT= 解説, 総説, 図説, 講義, 一般, 座談会,Q&A, 症例検討会 ) #10 #8 or #9 表 2 L1 L2 L3 L4 L5 L6 L7 L8 検索式 (MEDLINE) S RADIUS FRACTURES+NT/CT S L1 AND DISTAL? S (RADIUS?(3A)DISTAL?) AND (FRACTURES, BONE+NT/CT OR FRACTURE FIXATION+NT/CT OR BONE SCREWS/CT) S RADIUS(3A)DISTAL?(3A)FRACTURE? S L2 OR L3 OR L4 S L5/HUMAN OR (L5 NOT ANIMALS+NT/CT) S L6/ENG OR (L6 AND JAPANESE/LA) S L7 AND /PY NOT EPUB?/FS 表 3 検索式 (Cochrane) #1 MeSH descriptor: [Radius Fractures] explode all trees #2 (#1 and distal * ) #3 MeSH descriptor: [Fractures, Bone] explode all trees #4 MeSH descriptor: [Fracture Fixation] explode all trees #5 MeSH descriptor: [Bone Screws] explode all trees #6 ((radius * near/3 distal * ) and (#3 or #4 or #5 or fracture * )) #7 #2 or #6 Publication Year from 2009 to 2014 た 311 編の文献を加え, 計 1,700 編の文献に対し構造化抄録を作成することとした. 2 前文

20 3 クリニカルクエスチョン (CQ) の設定 今回のガイドラインにおける CQ の設定に際し, まず前版のガイドラインの CQ の妥当性について検討した. 現状にそぐわないものは除外し, 多種多彩なロッキングプレートの出現, 髄内釘といった新しい内固定材料が使用されていることなど, 新たな CQ を追加した. 4 構造化抄録の作成と文献の批判的吟味 新たな 1,389 編の文献の構造化抄録の作成は 231 名の日本手外科学会代議員に依頼した. 再度採用した 311 編の文献は委員会にて対応した. 構造化抄録のフォームは Minds 2014 を考慮して図 1のようなフォームを作成した. このフォームには文献の研究デザインに加え, エビデンス総体の決定に必要不可欠であるバイアスリスク, 非直接性, 非一貫性, 不精確, 出版バイアスなどを盛り込み Minds 2014 仕様とした. 作成された構造化抄録をもとに, 各項目の担当委員が文献内容を批判的に吟味した.Minds 2014 では文献をアウトカムごとにまとめエビデンス総体を評価することが求められている. そこでアウトカムは文献において出現頻度の多い,1) 握力,2) 関節可動域,3) 単純 X 線評価,4)DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,5)Mayo Wrist Score, を採用した. 文献の選択は,1) これらアウトカムの項目の記載のある文献,2) 対象症例 20 手以上 ( 比較対照は 20 手 vs. 20 手以上 ),3) 経過観察期間 6 か月以上,4) エビデンスの高い文献, を原則とし文献を取捨選択した. 合併症に関する文献は原則全て採用した. 以上の過程を経て, 各 CQ において 10 編前後選択した. ただし, 比較対照研究については CQ に対応する文献が少ない場合は各群 20 手に満たない文献でも採用することとした. 5 エビデンスの強さ 推奨の強さ 選択された文献をアウトカムごとに横断的に評価し, 表 4のような表から エビデンス総体 を決定した. エビデンス総体のエビデンスの強さの評価と定義は表 5 に従って決定した. こののち各 CQ に推奨文を作成し, 推奨の強さは表 6の定義に従い, 委員会メンバー全員による投票 (Delphi 法 ) により決定した. この際, 橈骨遠位端骨折の治療は保存療法, 手術療法を問わず, 様々な医師 ( 手外科医, 整形外科医, 形成外科医, 外科医, 外傷医, 研修医など ) によって行われている現状を踏まえるとともに, ガイドラインとして, 患者を含めた一般の方々にも読んでいただくことに配慮した. 5. エビデンスの強さ 推奨の強さ 3

21 図 1 構造化抄録フォーム 4 前文

22 表 4 エビデンス総体評価シート エビデンス総体リスク人数 ( アウトカム率 ) アウトカム 研究デザイン / 研究数 バイアスリスク * 非一貫性 * 不精確 * 非直接性 * その他 ( 出版バイアスなど ) * 上昇要因 ( 観察研究 )* 対照群分母 対照群分子 (%) 介入群分母 介入群分子 (%) 効果指標 ( 種類 ) 効果指標信頼区間統合値 エビデ重要性ンスの強さ ** *** コメント DASH Mayo 握力可動域 X 線評価 表 5 推奨度作成のための, エビデンス総体の総括 ( アウトカム全般のエビデンスの強さ ) A( 強 ) : 効果の推定値に強く確信がある B( 中 ) : 効果の推定値に中程度の確信がある C( 弱 ) : 効果の推定値に対する確信は限定的である D( とても弱い ): 効果の推定値がほとんど確信できない 表 6 推奨の強さ 1( 強い ): 実施する / 実施しないことを強く推奨する 2( 弱い ): 実施する / 実施しないことを弱く推奨する ( 提案する ) 3( なし ): 明確には推奨できない 6 注意事項 1 不安定型骨折の定義 本ガイドラインでは不安定型橈骨遠位端骨折に関する記載がある. 不安定型骨折とは臨床的に許容できる変形を保存療法では保持できない骨折であるが, 不安定型橈骨遠位端骨折の定義や保存療法の限界となる数値については研究者により異なるため, ここでは国内でよく用いられてきた佐々木の定義, 国外でよく用いられてきた Cooney の定義を紹介する. 6. 注意事項 5

23 佐々木の不安定型 Colles 骨折の判定基準 (RJ01441, RJ01681) 1) 粉砕型で転位があり, 本来不安定な骨折. 整復時に整復位を保つには十分な安定性がない. 関節面に及ぶ高度な粉砕がある. 高度の転位(dorsal tilt 20 または radial shortening 10mm) があり, ギプス固定では整復位の保持困難が予想される. 2) 粉砕型でギプス固定後 dorsal tilt 5 または radial shortening 5mm の再転位を生じたもの. Cooney の不安定型骨折の判定基準 (RF01742) 20 以上の背屈変形もしくは高度な関節内障害があり, 整復位を保つのが困難な高度粉砕型骨折. 2 文献の研究デザインの表記について 本版は各文献を CQ, アウトカムに応じて横断的に評価しエビデンスの総体を決定したため, 前版のごとく各文献のエビデンスレベルは評価していない. しかしエビデンス総体の決定に際し,RCT のような介入研究は初期評価 A から, 観察研究は初期評価 C から開始し, 各項目に応じて評価を下げるという作業を行った. そこで文献の研究デザインを明記しておく必要性があると判断し, 各文献の末尾に研究デザインを以下のごとく表記した. systematic review:review meta-analysis literature review < 介入論文 > randomized clinical trial 無作為化比較対照試験 :RCT non-randomized clinical trial 非無作為化比較対照試験 :N-RCT controlled clinical trial 比較対照試験 :CCT < 観察論文 > cohort study case control study 症例対照研究 :CCS case series 3 Mayo Wrist Score の表記 手関節機能評価のひとつである Mayo Wrist Score は前版では Cooney の評価, あるいは修正版を Mayo wrist score 改編版, と記載していたが, 本版では Mayo Wrist Score に統一した. 6 前文

24 4 高齢者, 成人の定義 本ガイドラインにおいて, 高齢者, 成人, という言葉が頻回に登場する. その定義において以下のごとく取り決めた. 高齢者 : 採用した個々の文献における高齢者の定義が様々であること, 例えば閉経後の女性を, 骨脆弱性を有すると判断し 50 歳以上を高齢者と定義する文献もあれば 65 歳以上,70 歳以上を高齢者と定義した文献もある. さらに活動性と暦年齢は必ずしも相関しない, といった理由から, 本ガイドラインにおける高齢者とはあくまで文献に則った取扱いとした. 成人 : 骨端線の閉鎖した, と考えられる 16 歳以上および, 高齢者を含んだ年齢を成人とした. 7 利益相反 1 利益相反の申告 ガイドライン策定委員会全員の自己申告により利益相反の状況を確認した結果, 担当理事およびいずれの委員にも申告された企業はなかった. 2 利益相反への対策 意見の偏りを最小限にする目的で, すべての推奨決定は各章の担当者ではなく, 委員会全員の投票とし, 全体のコンセンサスを重視した. 8 資金 本ガイドラインの作成に要した資金は日本整形外科学会および日本手外科学会より拠出されたものであり, その他の組織 企業からの支援は一切受けていない. 9 まとめ 本ガイドラインは前版同様, 臨床, 実践の場において橈骨遠位端骨折の診断 治療に携わる医師を支援することを目的として作成した. 現段階での最新の診断 9. まとめ 7

25 治療技術とそのエビデンスを提供するものとして有用なものと自負しているが, 実際, どのように使用するかはこの本を手にとった各自の裁量に委ねなければならない. 日本手外科学会の代議員の方々に構造化抄録を作成していただき, 本委員会のメンバーで幾度となく点検して作成した本誌を, ぜひ何度も読み返し日常診療に生かしていただきたい. 橈骨遠位端骨折という日常ありふれた外傷でありながら, 手術療法を必要とする分野であるせいか, 洗練されたプランニングにより作成された文献は少なく, 特に海外と比較し本邦では症例数の多い文献をみることが少なかった. 本邦でも多施設共同研究などの必要性を痛感させられた一面であり, 今後論文を作成される方々はぜひ考慮していただきたい. 診療ガイドラインの取り扱いについて, その法的側面として, 実際に行った治療がガイドラインと齟齬があっても注意義務違反は問われないが, 説明義務違反は問われる という現状がある. したがって, 医師は最新版の診療ガイドラインの存在と内容を知っておき, 必要に応じて患者に説明する必要がある. そして推奨に則らない診療を行うときは, その理由をカルテに記載しておくことが強く勧められている, という現状をしっかりと認識しておかなければならない. 本ガイドライン最終案を2016 年 12 月 16 日 ~ 2017 年 1 月 13 日まで, 日本整形外科学会ならびに日本手外科学会のホームページに掲載しパブリックコメントを募集した. 会員の方々より多くの提言や助言をいただき, 委員会で議論し修正を行った. この場を借りて深謝申し上げたい. 必ずしもすべての意見を反映するにはいたらなかったが, いただいた提言 助言は今後の改訂に向けた問題提起とする所存である. 最後に本ガイドライン作成期間中に, 前委員会の委員長であられ, 今回の委員会にも多大な助力をいただいた澤泉卓哉前日本医科大学教授が急逝されるという悲劇に直面した. 本書を先生のご霊前にお届けすることにより, 様々なご指導をいただいたお礼とさせていただきたい. また作成に際し, 厚いご協力をいただいた国際医学情報センターの水野友里子氏, 逸見麻理子氏, および南江堂に紙面をお借りして深謝する. 文献 1 ) RJ01441 佐々木孝. 臨整外 2002;37: ) RJ01681 佐々木孝ほか. 日手会誌 1986;3: ) RF01742 Cooney WP 3rd et al. J Bone Joint Surg Am 1979;61: 前文

26 第 1 章 橈骨遠位端骨折の疫学

27 Clinical Question 1 橈骨遠位端骨折の発生状況は? 解説 1 発生率諸外国における成人 (16 歳以上 ) の橈骨遠位端骨折の年間発生率は人口 1 万人あたり 人 ( 男性 人, 女性 人 ) であり, 女性は男性の 倍も多く発生している (R2F00016,R2F00483,R2F00013,R2F00543,R2F00481). 本邦における全年齢を対象とした橈骨遠位端骨折の疫学調査でも, 人口 1 万人あたりの発生率は 人, 性差も男性 : 女性 =1:3.2 で諸外国と大差ない (R2J00024, RJ00483,RJ01470). 橈骨遠位端骨折の発生率は加齢とともに増加し,70 歳以上では若年に比べて男性で 2 倍, 女性で 17.7 倍となるものの,80 歳を超えたあたりがピークとなり, 以後は減少に転じる (R2F00016,R2F00483,R2F00499,RJ00483). 発生率の経年的な動向に関しては増加 (R2F00483,R2F00543,RJ00483), 不変 (R2F00013), 減少 ( R2F00016) と一貫性がみられず, 本邦の調査でも発生率に経年的な増減は認められていない (R2J00024). 2 受傷機転立位からの転倒 ( 低エネルギー骨折 ) が最多であり, 原因の 49 77% を占める (R2F00013,R2F00450,R2F00481). 低エネルギー骨折は女性で有意に多く発生し, 転落 交通事故などの高エネルギー骨折は男性に多い (R2F00499,R2F00481). 本骨折の受傷場所は屋外, 受傷時期は冬季が多いことも特徴である (R2F00013, R2J00024,RJ01470,RJ01535,R2F00481). なお, 利き手 非利き手での発生に差はない (R2F00450). 3 骨折形態骨折の転位方向は背側が圧倒的に多く (R2F00013,R2F00481),AO 分類では関節外骨折である A 型が 54 66%, 部分関節内骨折である B 型が 9 14%, 完全関節内骨折である C 型が 25 32% を占める (R2F00013,R2F00450). 年齢とともに A 型と C 型の発生率は増加し, 受傷外力が強くなるほど C 型が増えるが,B 型の発生に年齢や受傷外力の影響はみられない (R2F00013,R2F00450). また, 有意に A 型は女性,B 型は男性に多く発生する (R2F00481). 文献 1 ) R2F00016 Wilcke MK, et al. Acta Orthop 2013;84:292 2 ) R2F00483 Tsai CH, et al. Osteoporos Int 2011;22: ) R2F00013 Sigurdardottir K, et al. Acta Orthop 2011;82:494 4 ) R2F00543 Mellstrand-Navarro C, et al. Bone Joint J 2014;96-B:963 5 ) R2F00481 Flinkkilä T, et al. Osteoporos Int 2011;22: ) R2J00024 佐久間真由美ほか.Osteoporo Jpn 2012;20:245 7 ) RJ00483 萩野浩. 整 災外 1999;42: ) RJ01470 Sakuma M, et al. J Bone Mineral Metab 2008;26: 第 1 章橈骨遠位端骨折の疫学

28 9 ) R2F00499 Diamantopoulos AP, et al. PLoS One 2012;7:e ) R2F00450 Koo OT, et al. Orthop Surg 2013;5:209 11) RJ01535 菅原長弘ほか. 山形病医誌 2009;43:19 Clinical Question 1 11

29 Clinical Question 2 橈骨遠位端骨折の発生にかかわる危険因子は? 解説橈骨遠位端骨折の発生にかかわる危険因子としては高齢 (R2F00477,R2F00679) や女性 (R2F00679), 低体重 (R2F00477),BMI 低値 (R2F00477), 独居 ( R2F00477), グルココルチコイドの使用歴 (R2F00477), 骨粗鬆症や骨量減少 (R2F00106, R2F00477,R2F00568,R2F00475,R2F00679), 氷晶雨や路面の凍結, 低気温といった気象 (R2F00498,R2F00481), 中手骨における骨皮質の多孔性や橈骨遠位端部の骨微細構造の劣化 (R2F00500,R2F00585,R2F00332), 血清ビタミンD 低値 ( R2F00126), 片脚起立時間が 15 秒未満 (R2F00475), 骨芽細胞分化にかかわる RUNX2の11A 対立遺伝子を保有 (R2F00501), テストステロン低値 (R2F00531) などが指摘されている ( 表 1). なお, 高エネルギー骨折の危険因子は男性 ( オッズ比 7.01), 田舎暮らし ( オッズ比 2.08), 夏季 ( オッズ比 2.38) と報告されている (R2F00499). また, 本骨折では早期閉経 (R2F00126,R2F00568), 中手骨や𦙾骨遠位部における皮質骨の菲薄化 (R2F00500,R2F00585) との関連も指摘され, 男性においては都会暮らし (R2F00499), 女性では骨折の既往 (R2F00126,R2F00568) との関係もみられる. 表 1 橈骨遠位端骨折発生の危険因子 危険因子 高齢女性低体重 BMI 低値独居グルココルチコイドの使用歴骨粗鬆症や骨量減少の有病率氷晶雨や路面の凍結, 低気温といった気象中手骨における骨皮質の多孔性や橈骨遠位端部の骨微細構造の劣化血清ビタミン D 低値片脚起立時間 15 秒未満 RUNX2 の 11A 対立遺伝子の保有テストステロン低値 オッズ比またはハザード比 * 4.86 * * * * * 年齢や BMI, 骨密度などの交絡因子を調整したあとのオッズ比またはハザード比 12 第 1 章橈骨遠位端骨折の疫学

30 文献 1 ) R2F00477 Øyen J, et al. Osteoporos Int 2010;21: ) R2F00679 Harness NG, et al. J Hand Surg Am 2012;37: ) R2F00106 Øyen J, et al. BMC Musculoskelet Disord 2011;12:67 4 ) R2F00568 Øyen J, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93:348 5 ) R2F00475 Sakai A, et al. Osteoporos Int 2010;21:733 6 ) R2F00498 Giladi AM, et al. Plast Reconstr Surg 2014;133:321 7 ) R2F00481 Flinkkilä T, et al. Osteoporos Int 2011;22: ) R2F00500 Dhainaut A, et al. PLoS One 2013;8:e ) R2F00585 Rozental TD, et al. J Bone Joint Surg Am 2013;95:633 10) R2F00332 Christen D, et al. J Bone Miner Res 2013;28: ) R2F00126 Øyen J, et al. Bone 2011;48: ) R2F00501 Morrison NA, et al. PLoS One 2013;8:e ) R2F00531 Risto O, et al. Aging Male 2012;15:59 14) R2F00499 Diamantopoulos AP, et al. PLoS One 2012;7:e43367 Clinical Question 2 13

31 Clinical Question 3 橈骨遠位端骨折に対して行われる治療法の傾向は? 解説橈骨遠位端骨折の 70 90% は保存的に治療され, 特に 60 歳以上に対しては有意に保存療法が選択されている (RJ01535,R2F00450,R2F00554). 一方, 手術療法が治療法全体に占める割合は 20 30% になっており, この割合には経年的な増加がみられる ( R2F00783,R2F00543,R2F00016,R2F00554,R2F00577). 男女間で選択される治療法の差は非常に少ないものの, 手術療法に女性が占める割合は男性よりも高い ( 男 : 女 =1: )[R2F00783,R2F00543]. 手術療法が最も増加している世代は 歳であり ( 特に 60 歳未満 ), 年の間に 41% も増加していた (R2F00543). 近年, 手術療法の内容にも劇的な変化がみられており, 年でプレートによる観血的整復内固定 (open reduction and internal fixation: ORIF) が創外固定の 2 倍にまで増加し, この変化は女性で著しい (R2F00783). プレート増加 創外固定減少の傾向は各年代で等しく認められ (R2F00016), 特に 歳では 年の間でプレート使用は 4.4 倍となり, 創外固定の使用は 77% も減少するなど顕著である (R2F00543). なお, 経皮的鋼線固定の実施状況に変化はみられていない (R2F00783). 治療法の選択は患者や実施者の状態に影響される. 患者が高齢や男性, 黒人, 併存疾患を有する場合は有意に ORIF が選択されず, 社会経済上位者に対しては ORIF が施行されやすい (R2F00577). その一方で, 人種間では治療法の選択に差はないとする報告もある (R2F00554). 術者の年齢は有意に手術療法の選択と関連しており, 若い術者, 特に 40 歳以下ほど創外固定や経皮的鋼線固定と比べて ORIF を施行する傾向にある. このように ORIF を選択する割合は術者の年齢とともに直線的に減少する ( R2F00715). 米国手外科学会員に代表される手外科を専門とする医師はそれ以外の医師と比べて有意に ORIF を施行し ( 約 倍 ), それには地域や手外科の修練状況も大きく関与している (R2F00715,R2F00577,R2F00554,R2F00650). 言い換えると一般整形外科医は手外科医よりも有意に保存療法を選択していることになる ( オッズ比 5. 7 )( R2F00554). 文献 1 ) RJ01535 菅原長弘ほか. 山形病医誌 2009;43:19 2 ) R2F00450 Koo OT, et al. Orthop Surg 2013;5:209 3 ) R2F00554 Chung KC, et al. J Bone Joint Surg Am 2009;91: ) R2F00783 Mattila VM, et al. J Trauma 2011;71:939 5 ) R2F00543 Mellstrand-Navarro C, et al. Bone Joint J 2014;96-B:963 6 ) R2F00016 Wilcke MK, et al. Acta Orthop 2013;84:292 7 ) R2F00577 Chung KC, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93: ) R2F00715 Waljee JF, et al. J Hand Surg Am 2014;39:844 9 ) R2F00650 Chung KC, et al. J Hand Surg Am 2011;36: 第 1 章橈骨遠位端骨折の疫学

32 Clinical Question 4 橈骨遠位端骨折と他の骨脆弱性骨折の発生に関連はあるか? 解説橈骨遠位端骨折の受傷後 1 年以内に続発する大腿骨近位部骨折は人口 1 万人あたり 84.6 人にのぼり, 非骨折群と比べると 5.67 倍の発生率になる. 多変量解析でも橈骨遠位端骨折後に大腿骨近位部骨折が有意に発生すると報告されている ( ハザード比 3.45)(R2F00785). この大腿骨近位部骨折は橈骨遠位端骨折の受傷後 1 ヵ月以内での発生が最多となっており, ほかの主要な骨脆弱性骨折も橈骨遠位端骨折の受傷後 10 年以内に発生する危険性が有意に高くなっている (R2F00106). 文献 1 ) R2F00785 Chen CW, et al. J Trauma Acute Care Surg 2013;74:317 2 ) R2F00106 Øyen J, et al. BMC Musculoskelet Disord 2011;12:67 Clinical Question 4 15

33

34 第 2 章 診 断

35 Clinical Question 1 推奨できる骨折型分類はあるか? 解説 橈骨遠位端骨折の骨折型の分類については, 海外では AO 分類 ( 図 1,RJ01678), Frykman 分類,Melone 分類,Cooney 分類,Mayo 分類,Fernandez 分類などが頻用され, エビデンスの検討が行われている. いずれの分類法においても, 検者間および同一検者内でのばらつきは比較的少なく, 分類法による差は明らかではない. また, 検者が経験のある整形外科医や手外科専門医であるほど, 検者間および同一検者内の再現性は良好であった. 国内では AO 分類に加えて斎藤分類が用いられることが多いが, その再現性について統計学的なエビデンスの報告はない. 本ガイドライン作成のため過去 17 年間 (1998 ~ 2014 年 ) にわたって収集した文献 5,325 編のうち各分類法の使用頻度は, 国内外で AO 分類が最も多く, 近年よく用いられている. 次いで Frykman 分類, 斎藤分類であるが, ともに近年減少している. その他は Melone 分類,Cooney 分類, Mayo 分類,Fernandez 分類などがある. なお, 治療に直結した分類法について検証した文献はない. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (6) 橈骨遠位端骨折 55 例について, 手関節単純 X 線正面 側面像を用いて, 外傷医 45 名が AO 分類,Frykman 分類,Fernandez 分類および Older 分類に従って分類を行い, 検者間および同一検者内での再現性について検討した.AO 分類はほかと比較して再現性が高かった (RF01721 CCS). 橈骨遠位端骨折 98 例について, 手関節単純 X 線正面 側面像を用いて, シニアレジデント 3 名が AO 分類,Frykman 分類,Fernandez 分類に従って分類を行い, 検者間および同一検者内での再現性について検討した.Fernandez 分類はほかと比較して再現性が高かった (R2F00423 CCS). 橈骨遠位端骨折 200 例について, 手関節単純 X 線正面 側面像を用いて, 経験の異なる整形外科医 6 名が,Frykman 分類,AO 分類に従って分類を行い, 検者間および同一検者内での再現性について検討した.Frykman 分類は AO 分類と比較して再現性が高かった (RF00626 CCS). 橈骨遠位端骨折 55 例について, 手関節単純 X 線正面 側面 斜位像を用いて, 手外科医 2 名と放射線科医 2 名が Mayo 分類,AO 分類,Frykman 分類,Melone 分類を用いて分類を行い, 検者間および同一検者内での再現性について検討した. Mayo 分類は他と比較して再現性が高かったが, どの分類も fair(k 係数 0.21 ~ 0.4) から moderate(k 係数 0.41 ~ 0.6) の再現性があった (RF00890 CCS). 橈骨遠位端骨折 43 例について, 手関節単純 X 線正面 側面像を用いて,10 年以上経験がある整形外科医 5 名が Cooney 分類,AO 分類,Frykman 分類を用いて分類 18 第 2 章診断

36 A 関節外骨折 A1 A2 A3 A1 尺骨関節外骨折で橈骨骨折はない橈骨関節外骨折で骨折線は単純橈骨関節外骨折で骨折線は粉砕 A2 A3 B 関節内部分骨折 : 骨折線は関節面にかかっているが骨幹端部や骨端部の連続性は保たれている B1 B1 橈骨関節内部分骨折 (sagittal) B2 橈骨関節内部分骨折 ( 背側 Barton) B3 橈骨関節内部分骨折 ( 掌側 Barton, Smith 骨折 Thomas 分類 Ⅱ 型 ) B2 B3 C 関節内完全骨折 : 骨折は関節面と骨幹端部にあり骨幹部と連続性が断たれている C1 C2 C3 C1 C2 C3 橈骨関節内完全骨折で関節面および骨幹端部の骨折線は単純である橈骨関節内完全骨折で関節面の骨折線は単純だが骨幹端部の骨折線は粉砕している橈骨関節内完全骨折で関節面および骨幹端部の骨折線は粉砕している 図 1 橈骨遠位端骨折 AO 分類 ( 堀内行雄 :MB Orthop 2000;13(6):1-12; 図 5) を行い, 検者間および同一検者内での再現性について検討した.Cooney 分類はほかと比較して再現性が高かったが, どの分類も fair(k 係数 0.21 ~ 0.4) から moderate(k 係数 0.41 ~ 0.6) の再現性があった (RF01163 CCS). 橈骨遠位端骨折 30 例の手関節単純 X 線正面 側面像を, 経験の異なる整形外科医 32 名と非臨床医 4 名が,AO 分類と関節面の転位の有無について判定を行い, 検者間および同一検者内での再現性について検討した. 経験のある整形外科医ほど再現性に優れていた (RF00757 CCS). Clinical Question 1 19

37 文献 1 ) RJ01678 堀内行雄.MB Orthop 2000;13:1 2 ) RF01721 Ploegmakers JJ, et al. Injury 2007;38: ) R2F00423 Siripakarn Y, et al. J Med Assoc Thai 2013;96:52 4 ) RF00626 Illarramendi A, et al. Int Orthop 1998;22:111 5 ) RF00890 Andersen DJ, et al. J Hand Surg Am 1996;21:574 6 ) RF01163 Jin WJ, et al. J Hand Surg Eur Vol 2007;32:509 7 ) RF00757 Kreder HJ, et al. J Bone Joint Surg Br 1996;78: 第 2 章診断

38 Clinical Question 2 単純 X 線計測値の基準は? 解説 単純 X 線計測値を求めるには, 正しい手関節単純 X 線正面, 側面像の 2 方向撮 影を行う必要がある ( 図 2). 手関節正面像は, 肩関節を 90 外転し, 肘関節を台と 同じ高さで 90 屈曲位にして, カセットを手掌下において背掌側方向に撮影する. 側面像は, 体幹に上腕をつけて肘関節を 90 屈曲にして橈尺側方向に撮影する. このとき手関節が掌屈, 背屈, 橈尺屈しないように注意する (RF01441). 骨折の転位の程度を評価する単純 X 線計測値として, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt), 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri), 尺骨変異 (ulnar variance:uv) がよく用いられ, 健側値を基準とする場合が多い.PT は手関節側面像における橈骨骨軸への垂線と橈骨関節面とのなす角で表され (RF01441),volar tilt や palmar angulation と呼ばれることもある. またマイナスの場合は dorsal tilt と表現することがある.RI は手関節正面像における橈骨長軸への垂線と橈骨関節面とのなす角で表され (RF01441),radial tilt と呼ばれることもある.UV は手関節正面像における橈骨尺側関節面と尺骨関節面の高さの差を表し, 尺骨関節面のほうが高い ( 尺骨が長い ) 場合は ulnar plus variance と表す. なお, 橈骨遠位端長 (radial length:rl) は手関節正面像において, 橈骨長軸に垂直な線で橈骨茎状突起先端を通る線と尺骨関節面に引いた線との距離を表す. 手関節健側の単純 X 線計測値の平均は,PT が平均 8 ~ 15,RI が平均 23 ~ 27, UV が平均 +1 ~ 2 mm である. サイエンティフィックステートメント 健側単純 X 線計測値は,PT が平均 14.5 ± 4.3 (0 ~ 22 ),RI が平均 20 (16 ~ 28 ), RL が平均 11 ~ 12 mm であった (RF01441 review). 図 2 手関節単純 X 線計測値 Clinical Question 2 21

39 文献 観察論文 (3) 橈骨遠位端骨折 60 例の健側単純 X 線計測値は,PT が平均 11 (1 ~ 21 ),RI が平均 23 (13 ~ 30 ),RL が平均 13 mm であった (RF01722 CCS). 橈骨遠位端骨折 54 例の健側単純 X 線計測値は,PT が7.9±4.l (0 ~ 15 ),RI が 26.6 ± 2.9 (20 ~ 30 ),RL が 13.2 ± 1.8 mm(8 ~ 18 mm) であった (RF00408 CCS). 橈骨遠位端骨折 126 例の健側単純 X 線計測値は,PT が 13.9 ± 4.7 (2 ~ 28 ),RI が 25.4 ± 3.0 (11 ~ 33 ),UV が +1.5 ± 1.4 mm( 1 ~ 5 mm),rl が 9.3 ± 4.1 mm (3 ~ 15 mm) であった (RJ01055 case series). 1 ) RF01441 Metz VM, et al. Orthop Clin North Am 1993;24:217 2 ) RF01722 Gartland JJ, et al. J Bone Joint Surg Am 1951;33:895 3 ) RF00408 Smilovic J, et al. Croat Med J 2003;44:740 4 ) RJ01055 南野光彦ほか. 日手会誌 2000;17:16 22 第 2 章診断

40 Clinical Question 3 単純 X 線正面 側面像の 2 方向以外にどのような撮影方法が有用か? 解説 単純 X 線正面 側面像の 2 方向以外に, 手関節斜位像,X 線装置の管球を遠位に 30 傾斜した正面像, 管球を遠位に 15 または 22 傾斜した側面像は, 関節内骨折の評価に有用である. 手関節を 75 掌屈し, 橈骨遠位端背側骨皮質を接線方向から撮影する軸射像 (skyline view: スカイラインビュー ) は, 骨片の整復程度やスクリューの背側骨皮質突出を評価できる. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (7) 橈骨遠位端関節内骨折 15 例に対して, 手関節単純 X 線正面, 側面, 斜位像を用いて, 橈骨関節面の関節面離開 (gap) と関節面段差 (step-off) を計測し, 検者間および同一検者内での再現性について検討した.gap については CT が優れていたが, step-off については, 単純 X 線 3 方向と CT とで有意な差を認めなかった (RF00944 CCS). 手関節周辺骨折 61 例に対して, 手関節単純 X 線正面, 側面, 斜位像と CT を行い, 橈骨遠位端骨折の有無を検討した結果, 単純 X 線は CT と同様に骨折の診断に有用であった (RF00092 case series). 新鮮凍結上肢 7 肢, 橈骨遠位端関節内骨折の骨折型モデル 15 種類を用いて X 線学的検討を行った結果, 手関節単純 X 線正面 側面像に,X 線装置の管球を遠位に 22 傾斜した側面像を加えることにより, 月状骨窩の骨片の陥没程度をより正確に評価できた (RF00917 case series). 解剖屍体 50 肢の橈骨遠位端関節面の解剖的,X 線学的検討を行った.X 線装置の管球を遠位に 30 傾斜した正面像は橈骨掌背側縁を明瞭に描出し, 月状骨窩関節面の背尺側骨片 (die-punch 骨片 ) の評価に役立ち, 管球を遠位に 15 傾斜した側面像は橈骨関節面や掌背側縁を明瞭に描出することができた (RF00889 case series). 手術を行った橈骨遠位端骨折 30 例で,X 線装置の管球を遠位に 15 傾斜した側面像は通常の側面像より橈骨関節面や掌背側縁および関節内骨折の評価に優れていた (RJ01233 CCS). 橈骨遠位端関節内骨折 189 例に対して, 通常の側面像と X 線装置の管球を遠位に 15 傾斜した側面像において2 名の検者が4 回ずつ橈骨遠位端掌側傾斜を測定した. 遠位に 15 傾斜した側面像の方が, 橈骨関節面と手根骨やプレートの遠位スクリューと重ならないため検者間信頼性が高かった (R2F00220 CCS). スクリューを刺入した骨モデルを用いて, 手関節を 75 掌屈し背側骨皮質を接線方向から撮影する skyline view と通常の側面撮影, 回内斜位撮影とでスクリューの背側骨皮質突出の検出率を比較した.skyline view は回内斜位撮影, 側面撮影よりスクリューの背側骨皮質突出を検出するのに優れていた (R2F00740 CCS). Clinical Question 3 23

41 文献 1 ) RF00944 Katz MA, et al. J Hand Surg Am 2001;26:415 2 ) RF00092 Welling RD, et al. AJR Am J Roentgenol 2008;190:10 3 ) RF00917 Lundy DW, et al. J Hand Surg Am 1999;24:249 4 ) RF00889 Mekhail AO, et al. J Hand Surg Am 1996;21:567 5 ) RJ01233 森田晃造ほか. 日手会誌 2006;23:854 6 ) R2F00220 Rajabi B, et al. Hand Surg 2011;16:259 7 ) R2F00740 Riddick A P, et al. J Hand Surg Eur Vol 2012;37: 第 2 章診断

42 Clinical Question 4 関節内骨折の診断に CT は有用か? 推奨文関節内骨折の診断に CT は有用であり強く推奨する. 推奨の強さエビデンス総体の総括 1( 強い ) B( 中 ) 解説 CT は関節内骨折に対する診断や治療方法の選択に有用で, 再現性に優れてい る. 特に冠状断像や矢状断像が有用で, さらに 3D-CT を加えることでより正確で 詳細な関節内骨折の評価が行える. ただし,CT 検査による放射線被曝のリスクよりも, 得られる情報の有益性が勝ると医師が判断した場合に行うべきである. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (5) 橈骨遠位端関節内骨折 117 例について, 整復後に単純 X 線のみの場合と CT を追加した場合とで骨折評価 [ 関節面段差 (step-off) や関節面離開 (gap), 関節面中央の陥没骨折の有無,3 つ以上の粉砕骨片の有無 ] が変わるかを検討した.CT を併用することで, より正確な骨折評価が得られた (R2F00564 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 15 例について, 手関節単純 X 線正面 側面 斜位像を用いて, 橈骨関節面の gap や step-off の計測と治療法の選択を行い, さらに 2 ~ 4 週間後, 単純 X 線像に CT( 水平断, 矢状断, 冠状断 ) を加えて同様の計測と検討を行った.CT は単純 X 線像と比較して優れた再現性があり,CT を加えたことで再現性が高くなった (RF00944 cohort study). 橈骨遠位端骨折が疑われた 22 例について, まず手関節単純 X 線正面 側面 斜位像で骨折の有無を検討し, その後 CT で骨折の有無を検討した.CT は単純 X 線像で骨折を認めた 16 例に加え, さらに 3 例の骨折を認めた (RF00871 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 30 例について, まず手関節単純 X 線正面 側面像と 2D-CT ( 冠状断, 矢状断 ) を用いて, 冠状面における骨折線の有無, 橈骨関節面中央部の関節内骨片の陥没の有無, 粉砕の程度の評価と治療法を選択し,2 週間後に単純 X 線像と3D-CTで,4 週間後に単純 X 線像と2D-CTと3D-CTで同様の評価を行った.3D-CT は関節内骨折の評価の再現性が高く,2D-CT は 3D-CT を組み合わせることにより再現性が高められた (RF00727 cohort study). 手関節単純 X 線正面 側面像で, 橈骨手根関節面に骨折が認められた橈骨遠位端骨折 121 例について, 単純 X 線像と CT を用いて, 橈骨尺側切痕 (sigmoid notch) に骨折があるかを比較検討した. 検出率は, 単純 X 線が 66.9%,CT が 81.9% で CT Clinical Question 4 25

43 が優れていた.CT と比較して, 単純 X 線の感度は 74.7%, 特異度は 68.2%, 陽性予 測率は 91.4%, 陰性予測率は 37.5%, 偽陽性率は 31.8%, 偽陰性率は 25.3% であった (R2F00172 case series). 文献 1 ) R2F00564 Arora S, et al. J Bone Joint Surg Am 2010;92: ) RF00944 Katz MA, et al. J Hand Surg Am 2001;26:415 3 ) RF00871 Johnston GH, et al. J Hand Surg Am 1992;17:738 4 ) RF00727 Harness NG, et al. J Bone Joint Surg Am 2006;88: ) R2F00172 Heo YM, et al. Clin Orthop Surg 2012;4:83 26 第 2 章診断

44 Clinical Question 5 不顕性骨折の診断に有用な検査法は? 解説 臨床的に骨折が疑われ, 単純 X 線像で明らかな骨折線を認めない不顕性骨折の 診断に,MRI は有用である. サイエンティフィックステートメント 文献 観察論文 (2) 臨床的に新鮮手関節周辺骨折が疑われ, 単純 X 線正面 側面像で明らかな骨折線を認めない 56 例に対して MRI 検査を行った結果, 橈骨遠位端骨折を 11 例 (19.6%) に, 舟状骨骨折を 7 例に, それ以外の骨折を 2 例に認めた (RF01718 case series). 臨床的に手関節部骨折が疑われ, 単純 X 線像で明らかな骨折線を認めない 125 例に対してMRI 検査を行った結果, 骨折を78 例に認め, うち橈骨遠位端骨折は42 例 (33.6%) に認めた (RF01719 case series). 1 ) RF01718 Mack MG, et al. Eur Radiol 2003;13:612 2 ) RF01719 Pierre-Jerome C, et al. Emerg Radiol 2010;17:179 Clinical Question 5 27

45 Clinical Question 6 TFCC 損傷の合併率とその診断方法は? 解説 橈骨遠位端骨折における三角線維軟骨複合体 (triangular fibrocartilage complex:tfcc) 損傷の診断には, 手関節鏡,MRI, 手関節造影などが用いられている. 各検査方法における TFCC の合併率は, 手関節鏡では 42.0 ~ 73.1%,MRI では 45.0%, 手関節造影では 13.6% と検査法により異なる. なお,TFCC 損傷による遠位橈尺関節 (distal radioulnar joint:druj) 不安定性を評価する方法として, 徒手的な DRUJ ballottement test が知られているが, 橈骨遠位端骨折に伴う場合, 橈骨骨折自体の安定性に大きく影響を受けるため, 橈骨の内固定後に行われている. しかし, 検者の主観や経験に大きく依存し, 客観的評価は困難という問題点がある. サイエンティフィックステートメント 文献 観察論文 (6) 手術療法を行った橈骨遠位端骨折 154 例 169 手 (32 手が関節内骨折 ) について, 手関節鏡で外傷性 TFCC 損傷を 71 手 (42.0%) に認めた (RJ01163 case series). 手術療法を行った橈骨遠位端骨折 118 例 ( 関節内骨折 88 例, 関節外骨折 30 例 ) について, 手関節鏡で TFCC 損傷 54 例 (45.8%) を認めた (RF00898 case series). 鏡視下手術を行った橈骨遠位端骨折 264 手において,TFCC 損傷は 162 手 (61.4%) に認め, 外傷性断裂は 106 手 (40.2%) であった (R2J00407 case series). 橈骨遠位端骨折 89 例 (AO 分類 A2:4 例,A3:10 例,C1:2 例,C2:24 例,C3:49 例 ) について手関節鏡を行い,TFCC 損傷 (59%), 舟状月状骨靱帯損傷 (54.5%), 月状三角骨靱帯損傷 (34.5%) を認めた. 骨折型との統計学的関連は認めなかった (R2F00829 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 60 例についてMRIを行い,TFCC 損傷 27 例 (45.0%) を認めた ( RF01168 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 22 例について, 手関節造影と手関節鏡を行った. 橈骨手根関節の手関節造影で 3 例 (13.6%) の遠位橈尺関節への漏出像を認め, 手関節鏡ではさらに 1 例を含む 4 例の関節円板 (articular disc) 断裂を認めた (RF00638 case series). 1 ) RJ01163 河野正明ほか. 日手会誌 2005;22:14 2 ) RF00898 Richards RS, et al. J Hand Surg Am 1997;22:772 3 ) R2J00407 安部幸雄. 整 災外 2014;57:165 4 ) R2F00829 Ogawa T, et al. BMC Sports Sci Med Rehabil 2013;5:19 5 ) RF01168 Bombaci H, et al. J Hand Surg Eur Vol 2008;33:322 6 ) RF00638 Grechenig W, et al. Invest Radiol 1998;33: 第 2 章診断

46 Clinical Question 7 舟状月状骨靱帯損傷の合併率とその診断方法は? 解説 橈骨遠位端骨折における舟状月状骨 (scapholunate:sl) 靱帯損傷の診断には, 単純 X 線正面像での健側との比較, 手関節鏡,MRI, 手関節造影などが用いられている. 各検査方法における SL 靱帯損傷の合併率は, 単純 X 線像では 4.7 ~ 41.1%, 手関節鏡では 26.3 ~ 54.5%,MRI で 6.7 ~ 28.9%, 関節造影では 36.4% である. なお, 単純 X 線正面像による SL 靱帯損傷の診断については,SL 間距離を 3 mm 以上とすることが多いが, 個人差があるため, 健側との比較も重要である. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (9) 橈骨遠位端骨折 95 例で, 単純 X 線正面像でSL 間距離が2 mmを超え,sl 靱帯損傷と診断した症例は 39 例 (41.1%) であった (RF00019 case series). 保存療法を行った橈骨遠位端骨折 424 例 429 手で,SL 靱帯損傷の臨床症状があり, 単純 X 線正面像で SL 間距離が 3 mm 以上で,SL 靱帯損傷と診断した症例は 20 手 (4.7%) であった (RF00891 cohort study). 839 例の橈骨遠位端骨折のうち, 受傷当初の X 線写真にて舟状月状骨解離を認めたものは 215 例 (25.6%) であった (R2F00850 case series). 手術療法を行った橈骨遠位端骨折 118 例 ( 関節内骨折 88 例, 関節外骨折 30 例 ) について, 手関節鏡で SL 靱帯損傷は 31 例 (26.3%) に認めた (RF00898 case series). 橈骨遠位端骨折に合併する手根骨間の靱帯損傷を手関節鏡視下に評価した.SL 靱帯損傷の合併率は 264 関節中 91 関節 (34.5%) であった (R2J00407 case series). 橈骨遠位端骨折 89 例 (AO 分類 A2:4 例,A3:10 例,C1:2 例,C2:24 例,C3:49 例 ) について手関節鏡を行い,TFCC 損傷 (59%),SL 靱帯損傷 (54.5%), 月状三角骨靱帯損傷 (34.5%) を認めた. 骨折型との統計学的関連は認めなかった (R2F00829 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 60 例について MRI を行い,SL 靱帯損傷 4 例 (6.7%) を認めた (RF01168 case series). 橈骨遠位端骨折 21 例についてMRIを行い,SL 靱帯損傷 6 例 (28.9%) を認めた (RF01743 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 22 例について, 手関節造影と手関節鏡を行った. 橈骨手根関節の手関節造影で 8 例 (36.4%) の SL 間から手根中央関節への漏出像を認めたが, 手関節鏡では 1 例 ( 偽陽性 ) を除く 7 例 (31.8%) で SL 靱帯損傷を認めた (RF00638 case series). Clinical Question 7 29

47 文献 1 ) RF00019 Laulan J, et al. Acta Orthop Belg 1999;65:418 2 ) RF00891 Tang JB, et al. J Hand Surg Am 1996;21:583 3 ) R2F00850 Gunal I, et al. Eur J Orthop Surg Traumatol 2013;23:877 4 ) RF00898 Richards RS, et al. J Hand Surg Am 1997;22:772 5 ) R2J00407 安部幸雄. 整 災外 2014;57:165 6 ) R2F00829 Ogawa T, et al. BMC Sports Sci Med Rehabil 2013;5:19 7 ) RF01168 Bombaci H, et al. J Hand Surg Eur Vol 2008;33:322 8 ) RF01743 Spence LD, et al. Skeletal Radiol 1998;27:244 9 ) RF00638 Grechenig W, et al. Invest Radiol 1998;33: 第 2 章診断

48 Clinical Question 8 尺骨茎状突起骨折の合併率は? 解説 橈骨遠位端骨折における尺骨茎状突起骨折の合併率は 51.8 ~ 65.9% である. サイエンティフィックステートメント 文献 観察論文 (4) 橈骨遠位端骨折 160 例 166 骨折で尺骨茎状突起骨折 86 骨折 (51.8%) の合併を認めた. 内訳は茎状突起長の 25% 未満が 4 骨折,25 ~ 49% が 21 骨折,50 ~ 74% が 16 骨折,75 ~ 99% が 10 骨折,100% 以上 ( 茎状突起から骨頭にかけての骨折 ) が 35 骨折であった (RF00963 case series). 保存療法を行った橈骨遠位端骨折 126 例で尺骨茎状突起骨折 83 例 (65.9%) の合併を認めた (RJ01055 case series). 橈骨遠位端骨折 50 例で尺骨茎状突起骨折 27 例 (54.0%) の合併を認めた (RF01087 case series). 掌側ロッキングプレート固定を行った橈骨遠位端骨折 118 例において尺骨茎状突起骨折 68 例 (58%) の合併を認めた (R2F00948 CCS). 1 ) RF00963 May MM, et al. J Hand Surg Am 2002;27:965 2 ) RJ01055 南野光彦ほか. 日手会誌 2000;17:16 3 ) RF01087 Lindau T, et al. J Hand Surg Br 1997;22:638 4 ) R2F00948 Zenke Y, et al. J Bone Joint Surg Br 2009;91:102 Clinical Question 8 31

49

50 第 3 章 治 療

51 3.1. 治療総論 Clinical Question 1 関節外骨折に対して手術療法は保存療法より有用か? 推奨文青壮年者および活動性の高い高齢者の不安定型関節外骨折 * に対して手術療法は保存療法より有用である. (* 不安定型骨折の定義については p.5 前文 6. 注意事項 1) 不安定型骨折の定義 を参照 ) 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 橈骨遠位端骨折では, 関節外骨折と関節内骨折とでは病態, 治療成績が大きく 異なることからこれらを分けて考える. また, 高齢者は背景に骨粗鬆症があること, 活動性が低いため変形が残存しても機能障害が比較的生じにくいことから高齢者と青壮年者を分けて考える. 青壮年における治療法について述べる. 成人における手術療法と保存療法の比較研究では, 最終経過観察時の X 線評価は手術療法が優れており, 機能評価は両者に有意差はないとする高いエビデンスの文献がある. 一方, 近年の内固定材料の進歩により, 特に早期機能回復の点で手術療法は有用であるとする高いエビデンスの文献がある. また低いエビデンスではあるが, 高度な変形が残存すると握力の低下, 可動域制限, 疼痛などの臨床症状が残存する可能性を指摘する文献もある. 以上より, 活動性の高い青壮年において手術療法は有用であると考えられ, 推奨度を 2 とした. 高齢者における報告では, 変形が残存しても患者の主観的評価は良好で, 手術療法と保存療法で臨床成績に有意差はないとする高いエビデンスの文献がある. また, 高齢者の不安定型骨折に対する掌側ロッキングプレートと保存療法の比較でも臨床成績に有意差はない. よって高齢者における手術療法は保存療法より必ずしも有用であるとはいえない. ただし年齢のみで判断するのではなく, 高齢者でも活動性の高さや社会的背景, 健康状態, 早期の機能回復の有利性に配慮して, 手術療法が有用と考えられる場合には青壮年と同様に手術を考慮してもよい. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (6) 高齢者 (60 歳以上 ) の不安定型橈骨遠位端骨折に対するギプス固定, 掌側ロッキングプレート固定,non-bridging 創外固定,bridging 創外固定および経皮的鋼線固定 34 第 3 章治療

52 に関する systematic review を行った. ギプス固定は手術療法よりも X 線評価で劣 るものの, 機能的には有意差がなかった. また, 合併症はギプス固定が最も少なく, 掌側ロッキングプレート固定は再手術を要する重大合併症が多かった (R2F00642 review). 成人 ( 平均 60 歳 ) の背側転位型関節外骨折に対するbridging 創外固定 59 例とギプス固定 66 例の治療成績を, 平均経過観察期間 8 年の無作為化比較試験で検討した.X 線像上の整復位の保持については創外固定の方が有意に良好であったが, 機能評価 (Gartland and Werley の評価, 握力, 関節可動域 ) に有意差はなかった (RF01127 RCT). 成人 ( 平均 53 歳 ) の関節外骨折において, ギプス固定 59 例と創外固定 54 例を比較した. 術後 2 年の最終経過観察時の機能評価で有意差はなく,X 線評価では創外固定が良好な傾向を示したが有意差はなかった (RF01284 RCT). 成人 ( 平均 60 歳 ) の関節外骨折に対して, 徒手整復 ギプス固定による保存療法 50 例と経皮的鋼線固定 48 例を比較検討した. 術後 1 年の最終経過観察時で両者の機能評価に有意差はなかった.X 線評価 ( 側方偏位, 橈骨短縮 ) では, 経皮的鋼線固定が有意に優れていた (RF01101 RCT). 成人不安定型関節外骨折に対する経皮的鋼線固定 29 例と掌側ロッキングプレート固定 27 例を術後 6 週,3,6 ヵ月で比較した. 術後 3,6 ヵ月の機能評価 [DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,Gartland and Werley の評価 ] において掌側ロッキングプレート固定は経皮的鋼線固定よりも有意に良好であり, X 線評価もすべての経過中で有意に良好であった (R2F00250 RCT). 60 歳以上の骨脆弱性橈骨遠位端関節外骨折 40 例に対して, ギプス固定または創外固定を無作為に割り付け, その治療成績を比較した.X 線評価は創外固定群で有意に良好であったが, 患者立脚型評価 [SF-36(36-Item Short-Form Health Survey), Horesh Demerit Point System] は 2 群間で有意差はなかった (RF01611 RCT). 観察論文 (2) 青壮年者 (65 歳未満 )216 例の橈骨遠位端関節外骨折について前向きに調査した. 尺骨変異 (ulnar variance:uv) が 3 mm 以上の群では 3 mm 未満の群より患者立脚型評価 [PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation),DASH スコア ] において有意に不良であった. 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) が 15 未満の群は 15 以上の群より PRWE が高かった. 遺残変形を許容範囲群と非許容範囲群に分類し比較した結果, 患者立脚型評価 (PRWE,DASH スコア ) において非許容範囲群は有意に不良であった (RF01040 cohort study). 高齢者 (70 歳以上 ) のAO 分類 AおよびC 橈骨遠位端骨折において, ギプス固定 61 例と掌側ロッキングプレート固定 53 例の比較を行った. 関節外骨折における両者の X 線評価では掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが, 最終経過観察時の関節可動域, 握力,DASH スコア,PRWE,Green and O Brien の評価で 2 群間に有意差はなかった. 疼痛 (visual analogue scale:vas) はギプス固定が有意に低値であった (RC00291 CCS) 治療総論 35

53 文献 1 ) R2F00642 Diaz-Garcia RJ, et al. J Hand Surg Am 2011;36:824 2 ) RF01127 Young CF, et al. J Hand Surg Br 2003;28:422 3 ) RF01284 Kreder HJ, et al. J Orthop Trauma 2006;20:115 4 ) RF01101 Stoffelen DV, et al. J Hand Surg Br 1999;24:89 5 ) R2F00250 McFadyen I, et al. Injury 2011;42:162 6 ) RF01611 Moroni A, et al. Scand J Surg 2004;93:64 7 ) RF01040 Grewal R, et al. J Hand Surg Am 2007;32:962 8 ) RC00291 Arora R, et al. J Orthop Trauma 2009;23: 第 3 章治療

54 Clinical Question 2 関節内骨折に対して手術療法は保存療法より有用か? 推奨文転位のある関節内骨折に対して手術療法は保存療法より有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 青壮年者の関節内骨折においては, 掌側ロッキングプレートが保存療法より 優れていたという高いエビデンスがあること, 関節内に 2 mm 以上の関節面段差 (step-off) がある場合は変形性関節症を発生する可能性が高いことから, 手術療法 が推奨される. また, 高齢者においても低いエビデンスではあるが, 手術療法が保存療法より優れているという報告があること, 成人の比較研究においても同様の結果であることより, 手術療法を考慮してもよいと考えられ, 推奨度を 2 とした. ただし,CQ3-1-1 と同様に, 個人の活動性や社会的背景, 健康状態などを総合的に考慮して治療法を選択する必要がある. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (1) 青壮年の橈骨遠位端関節内 (AO 分類 B または C) 骨折に対して掌側ロッキングプレート 32 例と保存療法 32 例を比較した. 術後 6 週, 最終経過観察時の握力, 可動域において掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった. 最終経過観察時の DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,Green and O Brien の評価ともに掌側ロッキングプレート固定のほうが有意に良好で,X 線評価 [ 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri), 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt), 橈骨遠位端長 (radial length:rl)] においても有意に良好であった (R2F00356 RCT). 観察論文 (4) 青壮年者 (50 歳未満 ) の橈骨遠位端骨折 169 例を受傷後 18 ヵ月以上で評価した. 受傷後平均 4.9 年において,step-off の残存は手関節可動域制限と巧緻運動障害に関連していた. 関節面離開 (gap) の残存は予後に影響がなかった (RF01112 case series). 高齢者 (55 歳以上 ) の転位のある関節内骨折に対して, 徒手整復 ギプス固定 23 例と経皮的鋼線固定 23 例の治療成績を比較検討した. 経皮的鋼線固定は徒手整復 ギプス固定よりも Sarmiento により修正された Gartland and Werley の評価, X 線評価 (PT,RI,RL) で有意に優れていた (RF00553 CCS). 成人 ( 平均 64 歳 ) のAO 分類 A3,C1,C2 橈骨遠位端骨折に対して髄内釘 50 例, 3.1. 治療総論 37

55 文献 掌側ロッキングプレート 40 例, 保存療法 46 例の治療成績を比較検討した.Mayo Wrist Score において髄内釘固定および掌側ロッキングプレート固定は有意差がなかったが, 保存療法は有意に劣っていた (R2J00706 CCS). 高齢者 (75 歳以上 ) の AO 分類 A および C 橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定の利点と問題点を保存療法と比較し検討した. 最終経過観察時の DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,Mayo Wrist Score に差はなかった. まず徒手整復 外固定の保存療法を試み, そのなかで骨折型や個人の活動性などを総合的に考慮したうえで手術適応を明確にするべきである (R2J00192 CCS). 1 ) R2F00356 Sharma H, et al. J Orthop Sci 2014;19:537 2 ) RF01112 Gliatis JD, et al. J Hand Surg Br 2000;25:535 3 ) RF00553 Board T, et al. Injury 1999;30:663 4 ) R2J00706 黒田司. 日手会誌 2012;29:62 5 ) R2J00192 児玉成人ほか. 日手会誌 2013;30:5 38 第 3 章治療

56 Clinical Question 3 関節外骨折における徒手整復後の残存変形は許容できるか? 推奨文青壮年者では徒手整復 ギプス固定後の palmar tilt は 10 未満かつ ulnar plus vari ance は健側と比較し 2 mm 以下の差異であればほぼ許容される. 高齢者では許容される値は青壮年の基準値より大きい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 青壮年者の不安定型骨折で高度な変形が残存した場合, 低いエビデンスではあ るが, 握力の低下, 可動域制限, 疼痛などの臨床症状が残存するという報告がある. よって青壮年で徒手整復後の残存変形が高度な場合には, 手術療法による解剖学的整復位の再獲得が望ましい. 一方, 高齢者においては, 変形が残存しても患者の主観的評価は良好であるとする低いエビデンスの文献がある. また, 不安定型骨折に対する掌側ロッキングプレートと保存療法の比較においても臨床成績に有意差がない. 以上より, 高齢者における残存変形の許容範囲は青壮年の基準値よりも大きい. 全年齢の患者において, 徒手整復後の残存変形が許容されるか否かは, 活動性や健康状態なども考慮したうえで総合的に判断する必要がある. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (9) 成人 ( 平均 54 歳 ) の背屈転位型橈骨遠位端関節外骨折に対する保存療法 54 例の X 線評価および機能評価を検討した.X 線評価と機能評価に有意な相関があった. 許容範囲の X 線指標は, 橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt:dt) は 10 未満, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) の損失は 3 以下, 橈骨短縮は 2 mm 以下であった (RF00408 case series). 青壮年者 (65 歳未満 )216 例の橈骨遠位端関節外骨折について前向きに調査した. 尺骨変異 (ulnar variance:uv) が 3 mm 以上の群では 3 mm 未満の群より患者立脚型評価 [PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation),DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア ] において有意に不良であった.RI が 15 未満の群は 15 以上の群より PRWE が高かった. 変形が許容範囲群と非許容範囲群に分類し比較した結果, 患者立脚型評価 (PRWE,DASH スコア ) において非許容範囲群は有意に不良であった (RF01040 cohort study). 青壮年者 (50 歳未満 ) の橈骨遠位端骨折 169 例を受傷後 18 ヵ月以上, 平均経過観察 3.1. 治療総論 39

57 文献 期間 4.9 年で評価した. 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt) が 10 以上の症例では日常生活動作, 就労, 手関節外観に影響があった.RI は影響がなかった.UV は治療成績に影響を及ぼさなかったが, 外観においては有意差を認めた (RF01112 case series). 高齢者 (50 歳以上 ) の橈骨遠位端骨折に対する保存療法 74 例において,X 線評価と DASH スコアの相関性について検討した.X 線評価 (UV,PT,RI) における骨折整復の許容性と DASH スコアは相関しなかった (RF00379 case series). 高齢者 (50 歳以上 ) の橈骨遠位端骨折に対するギプス固定 74 例について, 整復許容群 (DT < 10,PT < 20 )47 例と, 非許容群 (DT > 10,PT > 20 )27 例に分類し臨床成績を比較した.SF-12(12-Item Short-Form Health Survey),DASH スコア, 患者満足度で両群に有意差はなかった (RF00981 CCS). 高齢者 (70 歳以上 ) のAO 分類 AおよびC 橈骨遠位端骨折において, ギプス固定 61 例と掌側ロッキングプレート固定 53 例の比較を行った. 関節外骨折における両者の X 線評価では掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが, 最終経過観察時の関節可動域, 握力,DASH スコア,PRWE,Green and O Brien の評価で 2 群間に有意差はなかった. 疼痛 (visual analogue scale:vas) はギプス固定が有意に低値であった (RC00291 CCS). 成人 ( 平均 62 歳 ) のAO 分類 AおよびC 橈骨遠位端骨折の保存療法 260 例において,X 線評価の転位の程度と臨床成績の相関を検討した.X 線評価 (UV,PT,RI) における転位の残存の程度は, 長期の臨床成績にほとんど影響を及ぼさなかった (R2F00748 case series). 成人 ( 平均 65 歳 ) の橈骨遠位端関節外骨折に対する保存療法 385 例において, QuickDASH スコアと X 線評価が相関するかどうかを検討した結果, 有意な相関はなかった (R2F00752 case series). 成人 ( 平均 50 歳 ) の橈骨遠位端骨折手術患者 50 例, 平均経過観察期間 2.4 年で SF-36(36-Item Short-Form Health Survey) を用いて評価し X 線評価との関連を調査した.X 線評価 (RI,PT,UV) における転位の残存の程度と SF-36 に有意な相関はなかった (RF00344 case series). 1 ) RF00408 Smilovic J, et al. Croat Med J 2003;44:740 2 ) RF01040 Grewal R, et al. J Hand Surg Am 2007;32:962 3 ) RF01112 Gliatis JD, et al. J Hand Surg Br 2000;25:535 4 ) RF00379 Jaremko JL, et al. Clin Radiol 2007;62:65 5 ) RF00981 Anzarut A, et al. J Hand Surg Am 2004;29: ) RC00291 Arora R, et al. J Orthop Trauma 2009;23:237 7 ) R2F00748 Finsen V, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013;38:116 8 ) R2F00752 Bentohami A, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013;38:524 9 ) RF00344 Fernandez JJ, et al. Clin Orthop Relat Res 1997;341:36 40 第 3 章治療

58 Clinical Question 4 関節内骨折における徒手整復後の残存変形は許容できるか? 推奨文青壮年者では X 線評価で 2 mm 未満の gap,step-off の残存は許容される. 高齢者では関節面の残存変形の許容範囲は青壮年の基準値より大きい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 X 線評価で関節内に 2 mm 以上の関節面段差 (step-off) の残存は,X 線像上の変 形性関節症の発生に関連するという高いエビデンスがあり, 手術療法による解剖学的整復位の再獲得が望ましい. 関節面離開 (gap) と関節症の発生については関連したという報告と関連しなかったという報告があり, いずれも観察研究のみでエビデンスは低く, 許容範囲について明確に結論はできない. 一方,X 線像上の変形性関節症の発生と臨床症状の発症の明らかな相関性はないというエビデンスもあるため, 関節面の転位の残存が臨床症状に影響する可能性は限定的であることに留意する必要がある. 特に活動性の低い高齢者では臨床症状が発症しない可能性が高く, 許容範囲は青壮年の基準値より大きい. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (8) step-off と外傷後関節症に関するエビデンスを評価した. 橈骨遠位端骨折において 2 mm 以上の step-off は早期の外傷後関節症の発生と強い相関を示した. 一方, 外傷後 5 年以内では画像上の関節症は臨床症状に明確には関連しなかった (R2F00883 review). 成人で 2 mm 以上の転位のある橈骨遠位端関節内骨折についてギプス固定 33 例と観血的手術 ( 創外固定またはノンロッキングプレート固定, 経皮的鋼線固定 )57 例を比較した.Sarmiento により修正された Gartland and Werley の評価,X 線評価ともに観血的手術群はギプス固定群よりも優れていた (RF00558 CCS). 成人 ( 平均 50 歳 ) の橈骨遠位端骨折手術患者 50 例, 平均経過観察期間 2.4 年で SF-36 (36-Item Short-Form Health Survey) を用いて評価し X 線評価との関連を調査した. X 線評価における1 mm 以上の転位の残存は,SF-36 の低値と関節症の発生に有意に関連していた (RF00344 case series). 青壮年者 (50 歳未満 ) の橈骨遠位端関節内骨折 76 例を平均経過観察期間 4.9 年で評価した.step-off の残存は手関節可動域制限と巧緻運動の困難さに関連していたが,step-off の程度と予後は相関していなかった.gap の残存が 2 mm 以下,2 ~ 3.1. 治療総論 41

59 文献 4 mm,4 mm 以上の 3 群に分類して検討した結果,gap の大きさはいずれの臨床評 価にも影響しなかった (RF01112 case series). 成人 ( 平均 62 歳 ) の AO 分類 A および C 橈骨遠位端骨折における保存療法 260 例に おいて,X 線上の転位の程度と臨床成績の相関を検討した.gap,step-off の転位の残 存の程度は長期的な臨床成績にほとんど影響を及ぼさなかった (R2F00748 case series). 青壮年者 (40 歳以下 ) の橈骨遠位端骨折 106 例について, 受傷後平均 38 年で X 線評価および機能評価を行い検討した. 関節内骨折の 68% に関節症の進行を認めたが DASH スコアは同年代の健常者に比べて差がなく, 患者立脚型評価 (Patient Evaluation Measure) の低下は10% 以下であった. 関節内骨折の整復が不十分であっても長期間で症状を有する変形性関節症を生じるとは限らない (RF00793 case series). 成人での橈骨遠位端関節内骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行った 93 例について調査した.1 mm 以上の関節面転位の残存は, 術後 3 ヵ月では有意にミシガン手の質問票 (Michigan Hand Outcomes Questionnaire) に影響を及ぼしていたが, 術後 1 年で差はなくなり, 臨床成績は年齢と収入だけに影響されていた (RF01027 CCS). 高齢者 (50 歳以上 ) の橈骨遠位端骨折における保存療法 74 例について, 転位の残存と DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアとの関連性について調査した. 関節面に 1 mm 以上の gap や step-off が残存しても DASH スコアに影響はなかった (RF00379 cohort study). 1 ) R2F00883 Giannoudis P V, et al. Injury 2010;41:986 2 ) RF00558 Kapoor H, et al. Injury 2000;31:75 3 ) RF00344 Fernandez JJ, et al. Clin Orthop Relat Res 1997;341:36 4 ) RF01112 Gliatis JD, et al. J Hand Surg Br 2000;25:535 5 ) R2F00748 Finsen V, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013;38:116 6 ) RF00793 Forward DP, et al. J Bone Joint Surg Br 2008;90:629 7 ) RF01027 Chung KC, et al. J Hand Surg Am 2007;32:76 8 ) RF00379 Jaremko JL, et al. Clin Radiol 2007;62:65 42 第 3 章治療

60 Clinical Question 5 橈骨遠位端骨折の合併症と発生率は? 解説 橈骨遠位端骨折の合併症 ( 合併損傷を除く ) として様々な病態が報告されてい る. そのほとんどは症例報告で, 頻度についての疫学的な報告は少ない 1~4). 過去の報告に記載された橈骨遠位端骨折の合併症とその頻度は以下のごとくで ある. 手根管症候群 正中神経障害 :0 ~ 22% 1 ~ 12) 2, 4, 13, 14) 変形性手関節症 変形性遠位橈尺関節症 :7 ~ 65% 1, 4, 10, 15 ~ 21) 長母指伸筋 (EPL) 腱皮下断裂 :0.8 ~ 4.9% 1 ~ 3, 22) 屈筋腱皮下断裂 :0.4 ~ 12% 2, 4) 遷延治癒 偽関節 :0.7 ~ 4% 2, 4) 許容できない変形治癒 :5.3% コンパートメント ( 区画 ) 症候群 :0.4 ~ 0.7% 2~4) 骨萎縮 骨密度の減少 :0.2% 4) 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome:crps) 反射性交感 1, 2, 4, 23, 24) 神経性ジストロフィー (reflex sympathetic dystrophy:rsd):0.3~35% その他に, 頻度は少ないものの, 橈骨神経障害 4), 尺骨神経障害 (Guyon 管症候群を含む ) 4),Dupuytren 拘縮 2, 4), 手根不安定症 4), 血管損傷 動静脈瘻 3, 25), 腱鞘炎 腱炎 2, 4, 17), 腱陥入 腱絞扼 26), 肺塞栓 27) などの報告があり, 注意を要する. サイエンティフィックステートメント 橈骨遠位端骨折の各種合併症の発生頻度について文献的 review を行った. 合併症として,EPL 腱断裂 (3%), 手根管症候群 (2 ~ 14%), 橈骨神経障害, 橈骨動脈損傷,CRPS(8 ~ 35%) などがある (R2F00283 literature review). 橈骨遠位端骨折の合併症について文献的 reviewを行った. 合併症として, 正中神経障害 (0 ~ 17%),EPL 断裂 (3%), 遷延治癒 偽関節,CRPS, 関節症, 変形治癒, 腱障害 ( 断裂, 運動制限, ばね現象, 腱鞘炎 ),Dupuytren 拘縮などがある. (R2F00202 literature review). 橈骨遠位端骨折の軟部組織合併症について文献的 review を行った. 合併症として, 正中神経障害 (4%), 尺骨神経障害,CRPS, コンパートメント症候群,EPL 腱損傷, 屈筋腱損傷, 遠位橈尺関節不安定症などがある (R2F00203 literature review). 橈骨遠位端骨折の各種合併症の発生頻度について過去の報告 ( 後ろ向き研究のみ ) をまとめたところ, 合併症として神経障害 (0 ~ 17%), 腱障害 (0 ~ 5%), 遷延治癒および偽関節 (0.7 ~ 4%), 変形治癒 (5%),RSD などの疼痛症候群 (0.3 ~ 8%) などの記載があった (RF00946 literature review) 治療総論 43

61 文献 1 ) R2F00283 Meyer C, et al. Instr Course Lect 2014;63:113 2 ) R2F00202 Turner RG, et al. Hand Clin 2010;26:85 3 ) R2F00203 Davis DI, et al. Hand Clin 2010;26:229 4 ) RF00946 McKay SD, et al. J Hand Surg Am 2001;26:916 5 ) R2J00690 藤井裕子ほか. 日手会誌 2012;28:417 6 ) R2F00742 Ng CY, et al. J Hand Surg Eur Vol 2012;37:464 7 ) R2F00789 Niver GE, et al. Orthop Clin North Am 2012;43:521 8 ) R2J00206 後藤真一ほか. 日手会誌 2014;30:723 9 ) R2F00351 Itsubo T, et al. J Orthop Sci 2010;15:518 10) R2J00746 丹羽智史ほか. 日手会誌 2013;30:45 11) RJ00498 林未統ほか. 整 災外 2002;45: ) RJ01120 林未統ほか. 日手会誌 2003;20:390 13) R2J00528 矢野公一ほか. 中部整災誌 2012;55:915 14) R2J00420 佐竹寛史ほか. 整形外科 2013;64:441 15) R2J00037 長尾聡哉ほか. 骨折 2009;31:490 16) R2J00761 久我研作ほか. 日手会誌 2014;30:519 17) R2J00192 児玉成人ほか. 日手会誌 2013;30:5 18) R2J00392 白川健ほか. 整 災外 2009;52: ) R2J00636 水沢慶一ほか. 日手会誌 2010;26:460 20) R2F00671 Roth KM, et al. J Hand Surg Am 2012;37:942 21) R2J00473 文浩光ほか. 中四整外会誌 2011;23:333 22) R2J00100 橋本忠晃ほか. 整形外科 2011;62:531 23) R2F00091 Jellad A, et al. Arch Phys Med Rehabil 2014;95:487 24) R2F00507 Dilek B, et al. Rheumatol Int 2012;32:915 25) R2F00273 O Toole RV, et al. Injury 2013;44:437 26) R2F00991 Okazaki M, et al. J Hand Surg Eur Vol 2009;34:479 27) R2J00088 江口英人ほか. 神奈川整災外研会誌 2012;25:39 44 第 3 章治療

62 3.2. 保存療法 Clinical Question 1 高齢者に徒手整復は必要か? 推奨文高度な転位を伴う高齢者の橈骨遠位端骨折に対しては徒手整復を行うことを提案する. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 高齢者の橈骨遠位端骨折に対して正確な解剖学的整復を目的として徒手整復を 必要とするか否かは議論の分かれるところである. 実際に徒手整復施行の有無で手関節機能や患者立脚型評価に差はないが, 患者の活動性などの諸条件を十分考慮する必要がある. 一方で, 高度な変形は手関節機能や患者立脚型評価を有意に悪化させるという報告もあることから, 現時点では活動性の高い高齢者には徒手整復を試みたほうがよいといえる. また, 手術が必要な場合でも, 手術待機期間中に高度な転位を残したままにすることは, 患者の苦痛が持続するだけでなく, 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome:crps) などの合併症を引き起こす可能性がある. その観点からも徒手整復することが望ましい. したがって, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 65 歳以上の高齢者橈骨遠位端骨折 30 例で徒手整復後に外固定した群と徒手整復せずに外固定した群を前向き比較検討した結果, 臨床評価, 合併症, 整容において差はなかった (RC00058 review). 介入論文 (2) 中等度から高度に転位した橈骨遠位端骨折に保存療法を施行した 83 例のうち, 徒手整復を行った 62 例 ( 平均 61.7 歳 ) と徒手整復を行わなかった 21 例 ( 平均 61.5 歳 ) の治療成績を比較した. 徒手整復の有無にかかわらず日常生活上支障のないレベルまで回復しており, 手関節可動域や DASH(disability of the arm, shoulder and hand) スコアに有意差はなかった (R2F00244 N-RCT). 不安定型骨折や徒手整復後の整復位が不良な75 例に対し, 手術に同意した40 例 ( 男性 6, 女性 34 例 ) は手術療法を行い, 手術に同意しなかった 35 例 ( 男性 5, 女性 30 例 ) には保存療法を行った. 平均年齢は保存療法 75.8 歳, 手術療法 71.5 歳であった. 受傷後 6 ヵ月までの治療成績は保存療法を行った群が劣っていたが, 受傷後 保存療法 45

63 文献 年では 2 群間に有意差はなかった (R2F00232 N-RCT). 観察論文 (2) 徒手整復および外固定で保存療法を行った 75 歳以上の不安定型橈骨遠位端骨折 62 例に対し,X 線評価,QuickDASH スコアを調査した. 変形が高度でも患者の主観的評価は高く, 生活に支障をきたさないため, 治療方法の選択においては日常生活の活動性など患者側の諸条件を十分考慮して決定すべきである (R2J00005 case series). 橈骨遠位端骨折を受傷した 50 ~ 70 歳の女性に対し, 徒手整復および外固定で整復位を許容できた 34 例と高度変形 [ 尺骨変異 (ulnar variance) 3 mm, 橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt) 15 ] と愁訴が残存した 13 例を DASH スコア,visual analogue scale(vas), 臨床評価で比較した. 高度変形群は受傷後 1 年で治療成績が有意に劣っていたが, 受傷後 2 ~ 4 年では治療成績は有意に改善していた (R2F00737 case series). 1 ) RC00058 Handoll HHG, et al. Cochrane Database Syst Rev 2008:CD ) R2F00244 Neidenbach P, et al. Injury 2010;41:592 3 ) R2F00232 Chan YH, et al. Hand Surg 2014;19:19 4 ) R2J00005 南野光彦ほか.MB Orthop 2010;23:1 5 ) R2F00737 Brogren E, et al. J Hand Surg Eur Vol 2011;36: 第 3 章治療

64 Clinical Question 2 徒手整復に finger trap は有用か? 推奨文 finger trap を用いた徒手整復は考慮してもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 3( なし ) C( 弱 ) 解説 徒手整復に finger trap を用いるべきか否かについては整復度に差はなく, 現時 点では結論が出ていない. したがって, 明確な推奨はできない. しかし,finger trap を用いた牽引は暴力的な整復を回避でき, 患者にとって愛護的な可能性がある. サイエンティフィックステートメント 文献 橈骨遠位端骨折における徒手整復と finger trap を併用した整復の間で X 線学的整復位および疼痛に有意差は見られなかった (RF00394 review). 介入論文 (1) 橈骨遠位端骨折 225 例において, 徒手整復に finger trap を使用した群と使用しなかった群の治療成績を比較した.X 線指標 ( 橈骨遠位端背側傾斜 :dorsal tilt, 橈骨短縮長 :radial shortening) および疼痛に有意差はなかった (RF01735 RCT). 観察論文 (3) 転位のある橈骨遠位端骨折に対し finger trap を用いて整復を行った後ろ向き研究 (R2F01138:43 例,R2F00082:63 例,RJ01447:50 例 case series) において, 良好な整復位が得られた. 1 ) RF00394 Handoll HHG, et al. Cochrane Database Syst Rev 2003:CD ) RF01735 Earnshaw SA, et al. J Bone Joint Surg Am 2002;84:354 3 ) R2F01138 Kodama N, et al. J Hand Surg Am 2014;39: ) R2F00082 Wichlas F, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2013;133: ) RJ01447 高畑智嗣. 臨整外 2004;39: 保存療法 47

65 Clinical Question 3 徒手整復に麻酔は有用か? 推奨文麻酔の有無は整復の成否を左右しないが, 患者の苦痛の軽減を考慮すれば麻酔を行うことが望ましい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 1( 強い ) B( 中 ) 解説 無麻酔下徒手整復と静脈内区域麻酔, 血腫内局所麻酔薬浸潤麻酔 (hematoma block, いわゆる血腫麻酔 ), あるいは吸入や静脈内麻酔による全身麻酔など何らかの麻酔を用いた徒手整復を比較した文献では, 各方法での整復の成否に差はなかった. しかし, 整復時の疼痛および簡便性を考慮して, 血腫麻酔を推奨するものが多かった. ただし, 実際には血腫麻酔は完全な除痛効果が得られるとは限らず, また筋弛緩が十分に得られないため, 整復が不十分なことがあることも考慮すべきである. 麻酔薬に関しては静脈内区域麻酔と血腫麻酔においては lidocaine を使用しているが, その量や濃度にいまだ一定の見解はない. また, 伝達麻酔による整復を比較検討した文献もないため, 麻酔法や麻酔薬の種類や量においては今後さらなる検討が必要である. しかし, 現時点では患者の苦痛の軽減という観点からは何らかの麻酔を行うことが推奨される. したがって, 推奨度を 1 とした. サイエンティフィックステートメント 橈骨遠位端骨折の徒手整復について, 無麻酔下徒手整復 19 例と静脈内区域麻酔下徒手整復 19 例を比較し, 整復度に差はなかった. しかし, 整復中に痛みを訴えた患者は無麻酔群のほうが有意に多かった (RF00394 review). 橈骨遠位端骨折の徒手整復において静脈内区域麻酔と血腫麻酔を比較し, 整復の成功率, 疼痛の程度および安全性で有意差はなかった (RF00004 review). 介入論文 (2) 橈骨遠位端骨折の整復時の血腫麻酔の有用性を検証した.propofol 静脈麻酔群と 2% lidocaine 10 ml 血腫麻酔群各 48 例を疼痛, 整復度で比較し, その結果と安全性から血腫麻酔が推奨された (R2F00439 RCT). 橈骨遠位端骨折の整復時に血腫内 lignocaine 注射 (2%,5 ml) と Entonox (medical 50% nitrous oxide and 50% oxygen mixture) 吸入のどちらが疼痛軽減に有用かを検討した. 血腫内麻酔群 34 例,Entonox 吸入群 33 例を無作為に振り分け, 整復中の疼痛と整復度を比較した結果, 血腫麻酔が推奨された (R2C00047 RCT). 48 第 3 章治療

66 文献 観察論文 (2) 橈骨遠位端骨折 35 例の徒手整復に血腫麻酔 (2% lidocaine 10 ml) を使用し, 使用 前と比較して有意に除痛効果が得られた.hematoma block は安全で, 迅速にでき, 骨折の整復も良好であった (RF01679 case series). 橈骨遠位端骨折 40 例の徒手整復に静脈内区域麻酔 (0.5% lidocaine 20 ml) を使用 し,37 例で疼痛なく整復可能であった (RJ01076 case series). 1 ) RF00394 Handoll HHG, et al. Cochrane Database Syst Rev 2003:CD ) RF00004 dukamp A. Accid Emerg Nurs 2000;8:233 3 ) R2F00439 Myderrizi N, et al. Med Arh 2011;65:239 4 ) R2C00047 Man KH, et al. Hong Kong J Emerg Med 2010;17:126 5 ) RF01679 Ogunlade SO, et al. West Afr J Med 2002;21:282 6 ) RJ01076 高畑智嗣. 日手会誌 2001;18: 保存療法 49

67 Clinical Question 4 外固定の範囲とその期間は? 解説 橈骨遠位端骨折における外固定の範囲や期間についてのエビデンスは限定的で, 現時点で結論は出ていない. 橈骨遠位端骨折の保存療法において, 外固定期間は 4~ 6 週とされているが,Cochrane Database(2008) によれば,3 ~ 4 週と 5 ~ 6 週の外固定期間で治療成績を比較し, 疼痛や患者立脚型評価, 合併症では差はなかったが,3 および 6 ヵ月の握力と手関節可動域の回復は 3 ~ 4 週の外固定のほうが有意に早かった. しかし,3 年後の追跡調査では差がなかった. また, 外固定範囲は同様にsugar tong splint 固定と前腕ギプス固定を比較し, 橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt) の平均値には統計学的有意差があったが, 許容しがたい背屈変形や短縮の発生に有意差はなかった. また, 上腕ギプス群と前腕ギプス群の比較では 6 週の時点では前腕ギプス群のほうが解剖学的整復位は有意によかったが, 手関節機能評価や合併症に有意差はなかった. また, 別の文献では, 前腕ギプス 40 例,sugar tong splint 固定 30 例, 前腕スプリント 31 例で X 線評価, 手関節機能評価を比較し, その治療成績に差はなかった. これらの結果からも外固定の範囲と期間に関しては, 骨折型, 不安定性, 年齢や活動性を考慮して決定すべきである. サイエンティフィックステートメント 文献 3 ~ 4 週と 5 ~ 6 週の外固定期間で治療成績を比較し, 疼痛や合併症, 患者立脚型評価では差はなかったが,3 および 6 ヵ月の握力と手関節可動域の回復は 3 ~ 4 週の外固定のほうが有意に早かった. しかし,3 年後の追跡調査では差がなかった. また, 外固定範囲は同様に sugar tong splint 固定と前腕ギプス固定を比較し, 橈骨遠位端背側傾斜の平均値には統計学的有意差があったが, 許容しがたい背屈変形や短縮の発生には有意差はなかった. また, 上腕ギプスと前腕ギプス群の比較では 6 週の時点では前腕ギプス群のほうが整復位保持に優れていたが, 手関節機能評価や合併症に有意差はなかった (RC00058 review). 介入論文 (1) 18 歳以上の転位のある橈骨遠位端骨折に対し徒手整復を行い, 外固定を前腕ギプス 40 例,sugar tong splint 固定 30 例, 前腕スプリント 31 例に振り分けた.X 線評価, 手関節機能評価を 8 週,6 ヵ月で比較したが, いずれにおいても有意差はなかった. しかし,sugar tong splint 固定で矯正損失が大きい傾向にあった (R2F00150 RCT). 1 ) RC00058 Handoll HHG, et al. Cochrane Database Syst Rev 2008:CD ) R2F00150 Grafstein E, et al. CJEM 2010;12: 第 3 章治療

68 Clinical Question 5 外固定時の手関節と前腕の肢位は? 解説 橈骨遠位端骨折, 特に背屈転位型骨折 (Colles 骨折 ) の場合, 徒手整復後の外固 定の肢位は軽度掌屈位から中間位とされているが, 固定肢位について比較したエビデンスの高い文献は前版と同じく渉猟しえなかった. 唯一,Cochrane Database (2008) において, 前腕の固定肢位については 3 文献, 手関節の固定肢位についても 2 文献で検討しているが, その結論は出ていない.Cotton-Loder 肢位 ( 手関節最大掌屈 尺屈位, 前腕回内位 ) は手指自動屈曲が制限されるだけでなく, 手指浮腫の増強, 手関節拘縮, 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome: CRPS) などの合併症が起こりやすく, 行うべきではない. また,1990 年のGupta による背屈位ギプス固定についての追試は散見されるが, この方法は経験と技術が必要で, 治療成績も観察研究に限られる. また, 不適切な背屈位固定は再転位を助長する可能性があり, 注意を要する. サイエンティフィックステートメント 文献 前腕の固定肢位については Gibson(1983),Wahlstrom(1982),Wilson(1984) の文献で合計 150 例の Colles 骨折に対し X 線指標, 手関節機能, 合併症について検討しているが, 固定範囲の条件の違い, あるいは, 文献により評価していない項目もあり, どの固定肢位がよいかについては結論が出ていない.Wilson らは前腕回内位と回外位の比較で X 線指標, 手関節機能に差はなかったと報告している (RC00058 review). 観察論文 (2) 橈骨遠位端骨折 120 例 123 手について変形の程度および保存療法時の手関節固定角度を調査した. 初療時のギプス固定角度が強いほど, 手関節可動域が悪化する傾向があり, 手関節を 30 以上掌屈位で固定すると中手指節 (MP) 関節屈曲が不十分となり伸展拘縮が生じやすい (RJ00897 case series). 背屈転位型橈骨遠位端骨折 86 例に対し, 徒手整復後背屈位ギプス固定を行い, 施行症例の約 90% が保存療法で治癒し, 臨床成績もおおむね良好であった (R2J00406 case series). 1 ) RC00058 Handoll HHG, et al. Cochrane Database Syst Rev 2008:CD ) RJ00897 瀧川宗一郎ほか. 東日整災外会誌 1998;10:374 3 ) R2J00406 高畑智嗣. 整 災外 2014;57: 保存療法 51

69 Clinical Question 6 保存療法の合併症は? 解説 文献 橈骨遠位端骨折の保存療法の合併症については様々な病態が報告されている. しかし, 保存療法のみに注目した合併症の発生率についてはほとんど記載がない. review において, 橈骨遠位端骨折の合併症の一部として, 保存療法の合併症の記載があり, それによれば, 主たるものとして, 骨関節合併症では変形性手関節症, 変形治癒, 手関節拘縮, 手指拘縮, 神経合併症では手根管症候群, 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome:crps), 腱合併症としては長母指伸筋 (EPL) 腱皮下断裂が報告されている 1~7).McKay らは前向きコホート研究において 124 例の保存療法のうち,26 例 (21%) に合併症が発生したと報告しているが 5), 詳細についての記載はない.Sharma らは RCT で保存療法 32 例において, 手根管症候群 7 例 (22%), 重度手指拘縮 10 例 (31%), 変形治癒 12 例 (38%), 尺側部痛 12 例 (38%) の合併症が発生したと報告している 4).review において保存療法における EPL 腱皮下断裂のみ発生率の記載があり,0.07 ~ 0.88% 2) あるいは 3% 3) と報告されている. 以下に観察研究 (case series あるいは case report) における保存療法の合併症を記載する. 4, 8 ~ 20) 手根管症候群 正中神経障害 (2 ~ 22%) 変形性手関節症 変形性遠位橈尺関節症 (0.8 ~ 80%)[ これらはX 線像上の関 10, 11, 21 ~ 25) 節症変化であり, 無症状の例も含まれている ] 7, 12, 24, 26 ~ 52) EPL 腱皮下断裂 (0.4 ~ 4.9%) 11, 13, 14, 53, 54) 手関節拘縮 手指拘縮 (0.8 ~ 31%) 8, 9, 11, 12, 14, 26, 53, 55 ~ 58) CRPS(2 ~ 26%) 4, 13, 17, 26, 53, 59 ~ 64) 許容できない変形治癒 (15.6 ~ 37.5%) 8, 59, 65 ~ 67) 偽関節 (2%) 10, 11, 13) 腱鞘炎 ばね指 (2.2 ~ 3.1%) )4, 8, 24) 尺側部痛 (2 ~ 37.5% 68 ~ 70) 骨萎縮 骨密度の減少 (0.2%) 皮膚障害 (7%) 53) 25, 50, 71 ~ 78) 屈筋腱皮下断裂 その他, 頻度の少ないものとして, 尺骨神経障害 79), 橈骨神経障害 11), 手根不安定症 11), 尺骨頭掌側亜脱臼 80), 遅発性動静脈瘻 81) などの報告がある. 1 ) R2F00202 Turner RG, et al. Hand Clin 2010;26:85 2 ) R2F00203 Davis DI, et al. Hand Clin 2010;26:229 3 ) R2F00283 Meyer C, et al. Instr Course Lect 2014;63:113 4 ) R2F00356 Sharma H, et al. J Orthop Sci 2014;19: 第 3 章治療

70 5 ) RF00946 McKay SD, et al. J Hand Surg Am 2001;26:916 6 ) RF01053 Gehrmann SV, et al. J Hand Surg Am 2008;33:421 7 ) RJ01073 清重佳郎. 日手会誌 2001;18:15 8 ) R2F00150 Grafstein E, et al. CJEM 2010;12:192 9 ) R2F00232 Chan YH, et al. Hand Surg 2014;19:19 10) R2F00563 Egol KA, et al. J Bone Joint Surg Am 2010;92: ) R2F00718 Lutz K, et al. J Hand Surg Am 2014;39: ) R2F00748 Finsen V, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013;38:116 13) R2F00969 Tan V, et al. J Hand Surg Am 2012;37:460 14) RF00558 Kapoor H, et al. Injury 2000;31:75 15) RF01145 Bienek T, et al. J Hand Surg Br 2006;31:256 16) RF01730 Stewart HD, et al. Injury 1985;16:289 17) R2F00086 Megerle K, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2013;133: ) RJ00176 中村光伸ほか. 関東整災外会誌 1998;29:374 19) RJ00498 林未統ほか. 整 災外 2002;45: ) RJ00817 東良和ほか. 中部整災誌 2006;49: ) R2F00576 Arora R, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93: ) RF00793 Forward DP, et al. J Bone Joint Surg Br 2008;90:629 23) RF01044 Foldhazy Z, et al. J Hand Surg Am 2007;32: ) RF01127 Young CF, et al. J Hand Surg Br 2003;28:422 25) R2J00528 矢野公一ほか. 中部整災誌 2012;55:915 26) R2F00165 Brogren E, et al. Clin Orthop Relat Res 2013;471: ) R2F00671 Roth KM, et al. J Hand Surg Am 2012;37:942 28) R2F00737 Brogren E, et al. J Hand Surg Eur Vol 2011;36:568 29) RF00121 Skoff HD. Am J Orthop 2003;32:245 30) R2F00991 Okazaki M, et al. J Hand Surg Eur Vol 2009;34:479 31) R2J00239 安部幸雄ほか.MED REHABIL 2012;145:23 32) R2J00260 岳原吾一ほか. 関節の外科 2010;37:77 33) R2J00392 白川健ほか. 整 災外 2009;52: ) R2J00636 水沢慶一ほか. 日手会誌 2010;26:460 35) R2J00761 久我研作ほか. 日手会誌 2014;30:519 36) R2J00473 文浩光ほか. 中四整外会誌 2011;23:333 37) RJ00188 遠藤寛興ほか. 岩手病医会誌 2002;42:121 38) RJ00328 畑中渉ほか. 骨折 2003;25:821 39) RJ00532 松本和ほか. 整形外科 2002;53: ) RJ00608 田口学ほか. 整外と災外 2005;54:143 41) RJ00766 矢野智則ほか. 中部整災誌 2002;45:737 42) RJ00786 清水隆昌ほか. 中部整災誌 2004;47: ) RJ00853 村上大気ほか. 鳥取赤十字病医誌 2007;16:25 44) RJ00857 平野裕司ほか. 島根医 2000;20:178 45) RJ00876 近藤喜久雄ほか. 東海整外外傷研会誌 2005;18:82 46) RJ00926 大滝宗典ほか. 東日整災外会誌 2007;19:111 47) RJ00933 森優ほか. 東北整災外会誌 2004;48:58 48) RJ00939 鵜木栄樹ほか. 東北整災外紀 1999;43:264 49) RJ01030 吉川泰弘ほか. 日手会誌 1998;15:250 50) RJ01079 織田道広ほか. 日手会誌 2001;18:498 51) RJ01104 香月憲一ほか. 日手会誌 2002;19:375 52) RJ01403 畑中渉ほか. 北海道整外外傷研会誌 2003;19:27 53) R2F00033 Kilic A, et al. Acta Orthop Traumatol Turc 2009;43: 保存療法 53

71 54) R2F00401 Jongs RA, et al. J Physiother 2012;58:173 55) R2F00091 Jellad A, et al. Arch Phys Med Rehabil 2014;95:487 56) R2F00507 Dilek B, et al. Rheumatol Int 2012;32:915 57) R2J00390 久保田聡ほか. 神奈川整災外研会誌 2012;24:193 58) RJ00147 松村崇史ほか. 漢方と最新治療 2002;11:311 59) RF00909 Segalman KA, et al. J Hand Surg Am 1998;23:914 60) RF00024 Arslan H, et al. Acta Orthop Belg 2003;69:23 61) RF00661 Bushnell BD, et al. J Am Acad Orthop Surg 2007;15:27 62) RF01273 Thivaios GC, et al. J Orthop Trauma 2003;17:326 63) RF01353 Ring D, et al. J Surg Orthop Adv 2004;13:161 64) RJ00096 戸部正博ほか.MB Orthop 2005;18:41 65) RF00292 Prommersberger KJ, et al. Chir Main 2002;21:113 66) RF01107 Smith VA, et al. J Hand Surg Br 1999;24:601 67) RF01651 Shin EK, et al. Tech Hand Up Extrem Surg 2005;9:21 68) RF00815 van der Poest Clement E, et al. J Bone Miner Res 2000;15:586 69) RJ00725 奥田敏治ほか. 中部整災誌 1997;40:897 70) RJ01363 奥田敏治ほか. 別冊整形外 1998;33:94 71) R2F00214 Ishii T, et al. Hand Surg 2009;14:35 72) R2F01217 Huh SW, et al. J Plast Surg Hand Surg 2014;48:350 73) R2J00100 橋本忠晃ほか. 整形外科 2011;62:531 74) R2J00270 木下豪紀ほか. 関東整災外会誌 2011;42:203 75) RF00921 Wada A, et al. J Hand Surg Am 1999;24:534 76) RJ00785 佐藤敦ほか. 中部整災誌 2004;47: ) RJ00852 峯牧子ほか. 中部整災誌 2008;51:155 78) RJ00963 飯野潤二ほか. 日災医会誌 1997;45:296 79) R2F00622 Gong HS, et al. J Hand Surg Am 2010;35:233 80) R2J00420 佐竹寛史ほか. 整形外科 2013;64:441 81) RF01391 Bederman SS, et al. J Trauma 2007;63:30 54 第 3 章治療

72 Clinical Question 7 整復評価に超音波検査は有用か? 推奨文橈骨遠位端骨折の整復評価に超音波検査は用いてもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 3( なし ) C( 弱 ) 解説 橈骨遠位端骨折の整復状態については,X 線透視を用いて確認するのが一般的 である. しかし,X 線透視装置が必要で, 少なからず利便性に欠けるだけでなく, 患者および医療従事者の被曝も問題となる. 超音波検査は骨表面の形状より, 転位の状況や整復状態の描出が推測可能であり, 特に救急対応時にはその場で施行できる簡便性もあり有用であるという文献が散見される. しかし,X 線透視のように整復中に骨折部および全体の骨形態を確認できるわけではなく, また, 関節面の評価ができない欠点もある. したがって, 超音波検査は X 線透視による評価に勝るものでないため, 状況によっては考慮してもよい. いずれも観察研究のため, エビデンスは低く, 明確に推奨することはできない. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (3) 整復評価に超音波検査を用いた 62 例 ( 平均年齢 62 歳 ) を, 徒手整復後に単純 X 線検査で整復状態を評価した 102 例と比較した. 超音波検査群が X 線検査群に比べ, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt) はより改善し, また手術に至った例が有意に少なく, 整復状態も良好であった (R2F00532 case series). 超音波を使用して救急室で整復することが有用か否かを検証するため, 転位のある橈骨遠位端骨折に対し, 超音波を使用して救急室で整復を行った 46 例と, 超音波を使用せずに整復した 44 例の整復度を X 線写真にて比較した. 整復の成功率は超音波使用群で 83%, 非使用群で 80% と差がなかった (R2F00605 case series). 橈骨遠位端骨折に対する整復の成否を評価するため, 超音波検査を使用した 43 例を,X 線透視 35 例, 何も使用せず徒手整復を行った 22 例と比較した. 骨折部の転位距離は超音波像と X 線像で有意差はなかった. 一方,3 群での X 線指標は, 整復前, 整復後に有意差はなかった. ただし, 超音波による整復評価では何も使用せず行った整復法よりは成功率が高かった (R2F01138 case series) 保存療法 55

73 文献 1 ) R2F00532 Ang SH, et al. Am J Emerg Med 2010;28: ) R2F00605 Chinnock B, et al. J Emerg Med 2011;40:308 3 ) R2F01138 Kodama N, et al. J Hand Surg Am 2014;39: 第 3 章治療

74 3.3. 手術療法 手術療法総論 Clinical Question 1 適切な手術時期はいつか? 推奨文早期に手術を行うことが望ましい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 適切な手術時期に関するエビデンスは観察研究が数編あるのみである. その結 果は 早期手術が望ましい と結論づけるものと 待機手術でも成績は変わらない とするものに分かれ, 見解は一致していない. 一般的には日数の経過とともに骨新生が進み, 骨片の可動性が低下するとされることから, 受傷後早期ほど整復操作を行いやすく, 良好な整復位を得やすくなると予想される. 以上よりできるだけ早期, 遅くとも受傷後 3 週以内に手術を施行することが望ましいと考えられ, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (3) 受傷後 21 日以上経過してから角度固定型掌側ロッキングプレート固定を施行した橈骨遠位端骨折 40 例 ( 遅延群 ) と受傷後 21 日未満で手術を施行した 75 例 ( 早期群 ) の術後成績を比較検討した. 遅延群で合併症 ( 腱刺激症状, 感覚神経障害 ) を 2 例に生じたため QuickDASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアに有意差を認めたが, 前述の 2 例を除外すると有意差はなかった. また,X 線評価の推移にも有意差はなかった (R2F01097 CCS). 受傷後 15 日以上経過してから掌側ロッキングプレート固定を施行した橈骨遠位端骨折 20 例 ( 遅延群 ) と受傷後 15 日未満で手術を施行した 19 例 ( 早期群 ) の術後成績を関節外骨折, 関節内骨折に分けてそれぞれ比較検討した. 関節外骨折では遅延群の橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt) が, 関節内骨折では遅延群の PT, 尺骨変異 (ulnar variance:uv) および関節面離開 (gap) が有意に劣っており, 早期手術が必要と考えられた (R2J00756 CCS). 掌側ロッキングプレート固定を施行した背側転位型橈骨遠位端骨折 20 例において, 術前の PT,UV, および受傷から手術までの期間と術後の PT,UV の相関を調査した. 受傷から手術までの期間と PT の矯正損失の間に有意な相関を認めたこ 3.3. 手術療法 / 手術療法総論 57

75 とから, 手術までの待機期間は短いほうが矯正損失を少なくできると考えられる (RJ01682 case series). 文献 1 ) R2F01097 Weil YA, et al. Injury 2014;45:960 2 ) R2J00756 有薗行朋ほか. 日手会誌 2014;30:471 3 ) RJ01682 仲西康顕ほか. 日手会誌 2009;25: 第 3 章治療

76 Clinical Question 2 高齢者に手術療法は有用か? 推奨文活動性が高い, または早期に患肢の使用を要する高齢者には手術療法を提案してもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 高齢者は橈骨遠位端骨折後に変形が残存しても主観的評価は手術と遜色がない と報告されている. 一方で, 変形の程度と臨床成績は相関しているという報告もあり, 高齢者橈骨遠位端骨折に対する手術の是非についてはいまだ一定の見解を得ていない. しかしながら, 高齢者でも活動性が高い, 下肢機能が低く上肢を支持として使用しなければならない, 患肢が利き手, あるいは独居や介護者といった早期に患肢の使用を要する, などの身体的 社会的背景を考慮し, 掌側ロッキングプレートなどの強固な内固定を選択してもよいと考えられる. 以上より, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 60 歳以上の不安定型橈骨遠位端骨折に対するギプス固定, 掌側ロッキングプレート固定,non-bridging 創外固定,bridging 創外固定および経皮的鋼線固定に関する systematic review を行った. ギプス固定では X 線計測値が不良であるものの, 機能的には手術療法との差はなかった. また, 合併症はギプス固定が最も少なく, 掌側ロッキングプレート固定は再手術を要する重大合併症が多かった (R2F00642 review). 成人橈骨遠位端骨折における過去の文献の review より, 高齢者では保存療法による骨折部の短縮 角状変形 粉砕を生じることが多く, 再転位により再整復を要する例が若年者と比較して多いとされている. 一方で, 解剖学的整復が術後成績向上に寄与するとされている (R2C00038 literature review). 成人橈骨遠位端骨折における過去の文献の review より, 骨粗鬆症による骨脆弱性を有する高齢者橈骨遠位端骨折の整復 外固定は必ずしも満足な結果が得られず, より解剖学的な整復および信頼できる内固定が望ましいとされている (R2C00021 literature review). 高齢者橈骨遠位端骨折の手術に関する文献の review を行った. 身体的要求の低い高齢者では変形を残しても保存療法が好ましく, 活動的な高齢者に対しては掌側ロッキングプレート固定が推奨される (RF01053 literature review) 手術療法 / 手術療法総論 59

77 介入論文 (1) 60 歳以上の骨脆弱性橈骨遠位端関節外骨折 40 例について, 無作為にギプス固定を行った群または創外固定を行った群へ割り付け, その治療成績を比較した.X 線評価は創外固定群で有意に良好であったが, 患者立脚型評価 [SF-36(36-Item Short- Form Health Survey),Horesh Demerit Point System] は 2 群間で有意差はなかった ( RF01611 RCT). 観察論文 (6) 65 歳以上の橈骨遠位端骨折に対してギプス固定を行った 46 例と手術 ( 掌側ロッキングプレートまたは創外固定 + 経皮的鋼線固定 ) を行った 44 例の術後成績を比較した.X 線評価, 握力は手術群が有意に優れていたが, 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ) および DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアは 2 群間で有意差はなかった (R2F00563 CCS). 橈骨遠位端骨折 70 例に掌側ロッキングプレート固定を行い, その術後成績を 70 歳以上と 70 歳未満に分けて調査した. 握力は 70 歳未満群が有意に優れていたが, 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ) および Gartland and Werley の評価に有意差を認めず, 高齢者に対しても良好な術後成績が得られていた (R2J00160 CCS). 55 歳以上の橈骨遠位端骨折 53 例に対して, 手術介入 [ 経皮的鋼線固定, 観血的整復固定 (open reduction and internal fixation:orif),orif + 創外固定 ] の有無によって術後成績に違いがあるかを調査した.X 線評価のうち橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt) にのみ有意差を認めたが, 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ), 握力, ほかの X 線評価 [ 橈骨短縮 (radial shortening), 関節面離開 (gap), 関節面段差 (step-off)], 患者立脚型評価 [DASH スコア,PRWE(Patient Rated Wrist Evaluation),MASS07] および医療者側評価 (Gartland and Werley の評価,Jebsen- Taylor テスト ) に有意差はなかった (R2F00158 CCS). 60 歳以上の橈骨遠位端骨折 52 例にギプス固定による保存療法を施行し,X 線評価 [ 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt), 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination: RI), 尺骨変異 (ulnar variance:uv)],dash スコア, および Mayo Wrist Score の相関を調査した.X 線評価のうち PT および UV は DASH スコア,Mayo Wrist Score のいずれとも相関しており,PT 5 以上,UV 3 mm 以下ならば良好な臨床成績が期待できる (R2F00355 case series). 70 歳以上の高齢者橈骨遠位端骨折に対してギプス固定を行った 61 例と掌側ロッキングプレート固定を行った 53 例の治療成績を比較した. 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ), 握力, 患者立脚型評価 (DASH スコア,PRWE) および医療者側評価 (Green and O Brien の評価 ) のいずれも 2 群間で有意差はなかった. 疼痛はギプス固定群で,X 線評価は掌側ロッキングプレート固定群で有意に良好であった (RC00291 CCS). 徒手整復 外固定施行後に骨折部の再転位を生じた 60 歳以上の不安定型橈骨遠位端骨折 20 例に対するプレート固定の術後成績は良好で, 合併症も若年者と変わりなかった (RF00957 case series). 60 第 3 章治療

78 文献 1 ) R2F00642 Diaz-Garcia RJ, et al. J Hand Surg Am 2011;36:824 2 ) R2C00038 Hoare CP, et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2014:CD ) R2C00021 Handoll HHG, et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013:CD ) RF01053 Gehrmann SV, et al. J Hand Surg Am 2008;33:421 5 ) RF01611 Moroni A, et al. Scand J Surg 2004;93:64 6 ) R2F00563 Egol KA, et al. J Bone Joint Surg Am 2010;92: ) R2J00160 細見僚ほか. 日手会誌 2010;26:576 8 ) R2F00158 Synn AJ, et al. Clin Orthop Relat Res 2009;467: ) R2F00355 Kodama N, et al. J Orthop Sci 2014;19:292 10) RC00291 Arora R, et al. J Orthop Trauma 2009;23:237 11) RF00957 Jupiter JB, et al. J Hand Surg Am 2002;27: 手術療法 / 手術療法総論 61

79 Clinical Question 3 関節内骨折の手術で透視下整復は有用か? 推奨文関節内骨折に対する術中透視下整復は有用であり, 強く推奨する. 推奨の強さエビデンス総体の総括 1( 強い ) B( 中 ) 解説 関節内骨折に対して,X 線透視下整復により良好な術後成績が得られることは 広く知られており, その低侵襲性から整復の第一選択であることはいうまでもない. したがって, 推奨度を 1 とした. しかしながら, 許容できる整復位 (CQ3-1-4 参照 ) が得られない場合は, 透視下のみに固執することなく, 関節面の鏡視下または直視下整復も試みるべきである. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (1) 橈骨遠位端関節内骨折 40 例に対して関節鏡視 X 線透視併用または X 線透視単独での整復を無作為に割り付け, 経皮的鋼線固定および bridging 創外固定を追加してその術後成績を比較した. 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ),X 線評価, DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア, および Mayo Wrist Score のいずれも関節鏡視 X 線透視併用が優れていたが,X 線透視単独でも良好な術後成績が得られていた (RF00794 RCT). 観察論文 (4) 透視下整復および掌側ロッキングプレート固定を施行した AO 分類 C3 の橈骨遠位端骨折 78 例について術後 X 線評価 [ 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt), 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri), 尺骨変異 (ulnar variance:uv), および矯正損失 ],DASH スコア, および Mayo Wrist Score を調査した. また, 関節面の透視下整復の程度を確認するために関節鏡視下評価を施行した. いずれの臨床評価においても術後成績は良好で, 関節面の整復も関節面離開 (gap) は平均 1.1 mm, 関節面段差 (step-off) は平均 0.2 mm と良好に整復されていた (R2J00668 case series). 透視下整復および掌側ロッキングプレート固定を施行した橈骨遠位端関節内骨折 44 例について術後 X 線評価 (PT,RI,UV,gap,step-off),DASH スコア, および Mayo Wrist Score を調査したところ, いずれの臨床評価においても術後成績は良好であった (R2J00462 case series). 透視下整復および掌側プレート固定を施行した橈骨遠位端関節内骨折 81 例における平均 9 年の経過観察において,X 線評価 (PT,RI,UV), 疼痛 (visual analogue 62 第 3 章治療

80 文献 scale:vas),dash スコアを調査するとともに, 関節鏡を用いて関節面の状態を 評価した. 関節面の整復が不良な症例ほど関節症性変化を伴ってはいたものの, 臨 床成績には影響せず, 術後成績は良好に維持されていた (R2F00075 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 30 例に対して関節鏡視下または X 線透視下に整復および bridging 創外固定を施行し, 術後成績を比較した. 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ) は関節鏡視下整復が優れていたが,X 線評価,DASH スコア, および Knirk and Jupiter の関節症評価に有意差はなく, 関節鏡視下整復 透視下整復のいずれの臨床評価も良好であった (RF00225 CCS). 1 ) RF00794 Varitimidis SE, et al. J Bone Joint Surg Br 2008;90:778 2 ) R2J00668 坂野裕昭ほか. 日手会誌 2011;27:579 3 ) R2J00462 坂野裕昭. 整外最小侵襲術誌 2009;52:35 4 ) R2F00075 Lutz M, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2011;131: ) RF00225 Ruch DS, et al. Arthroscopy 2004;20: 手術療法 / 手術療法総論 63

81 Clinical Question 4 関節内骨折に関節鏡視下手術は有用か? 推奨文関節内骨折に対する関節鏡視下整復は有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 近年, 橈骨遠位端関節内骨折に対する関節鏡視下整復の報告が増加してきてい る. 関節鏡を使用することにより, 関節内骨片の関節面離開 (gap) 関節面段差 (step-off) の程度や骨片の回旋などを正確に把握できるだけでなく, 固定後の整復 の評価も可能なことから, 関節内骨折の整復には有用である. しかしながら, 治療に際し手関節鏡の設備が必要であり, かつその手技には熟練を要することから, 本骨折の手術に携わるすべての医師が施行可能ではないのが現状である. 以上より, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 膝関節 足関節および足部 股関節 肩関節 肘関節 手関節における関節鏡補助下骨接合術に関する文献のreviewを行った. 橈骨遠位端関節内骨折においては, いずれの文献も症例数は多くないもののその術後成績は良好であった (R2F00912 literature review). 介入論文 (2) 70 歳未満の橈骨遠位端関節内骨折 96 例を無作為に関節鏡視下または直視下に割り付けて整復し, 経皮的鋼線固定および bridging 創外固定を追加, その術後成績を比較した. 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ), 握力,X 線評価および医療者側評価 (Gartland and Werley の評価,Green and O Brien の評価 ) のいずれも関節鏡視下整復が優れていた (RF00693 RCT). 橈骨遠位端関節内骨折 40 例に対して関節鏡視 X 線透視併用または X 線透視単独での整復を無作為に割り付け, 経皮的鋼線固定および bridging 創外固定を追加してその術後成績を比較した. 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ),X 線評価, DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア, および Mayo Wrist Score のいずれも関節鏡視 X 線透視併用が優れていた (RF00794 RCT). 観察論文 (6) 65 歳以上の橈骨遠位端関節内骨折 32 例に対して透視下整復ののちに掌側ロッキングプレートを仮固定し, 関節鏡視下整復を追加してプレートで本固定した. 術後の Mayo Wrist Score は良好であった (R2J00011 case series). 64 第 3 章治療

82 文献 単純 X 線撮影で gap step-off が 1 mm 以上であった橈骨遠位端関節内骨折 117 例 に対し, 透視下整復を施行したのちに関節鏡を施行した. 透視下整復後の約 15% に追加鏡視下整復を要した (R2J00543 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 121 例に可能な限りの透視下整復を行ったのちに関節鏡を施行したところ,24.7% の症例に 2 mm 以上の gap step-off が残存しており, そのほとんどで鏡視下整復の追加により転位を整復できた (R2J00288 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 44 例に透視下整復を行い,gap step-off を 1 mm 以内に整復したのちに関節鏡を施行したところ,step-off は良好に整復されていたものの, 約 25% で 1 mm 以上の X 線透視では同定できない gap が残存していた (R2J00462 case series). 透視下整復 掌側ロッキングプレート固定を施行した橈骨遠位端関節内骨折 70 例の術前 術後の単純 X 線およびCT でのgap step-off を計測するとともに, 透視下整復後の関節鏡視所見と比較した. 透視下整復後 1 mm 以上の gap が残存した例は約 57%,1 mm 以上の step-off が残存した例は約 21% であった. また, 関節鏡での gap および step-off の同定は感度 :90%, 特異度 :70% であった (R2F00352 case series). 橈骨遠位端関節内骨折 30 例に対して関節鏡視下または X 線透視下に整復および bridging 創外固定を施行し, 術後成績を比較した. 関節可動域 ( 前腕回内外, 手関節掌背屈 ) は関節鏡視下整復が優れていたが,X 線評価,DASH スコア, および Knirk and Jupiter の関節症評価に有意差はなく, 関節鏡視下整復 透視下整復のいずれの臨床評価も良好であった (RF00225 CCS). 1 ) R2F00912 Atesok K, et al. Knee Surg Sports Traumatol Arthrosc 2011;19:320 2 ) RF00693 Doi K, et al. J Bone Joint Surg Am 1999;81: ) RF00794 Varitimidis SE, et al. J Bone Joint Surg Br 2008;90:778 4 ) R2J00011 安部幸雄.MB Orthop 2010;23:51 5 ) R2J00543 片山健ほか. 中部整災誌 2013;56:951 6 ) R2J00288 安部幸雄ほか. 骨折 2010;32:17 7 ) R2J00462 坂野裕昭. 整外最小侵襲術誌 2009;52:35 8 ) R2F00352 Ono H, et al. J Orthop Sci 2012;17:443 9 ) RF00225 Ruch DS, et al. Arthroscopy 2004;20: 手術療法 / 手術療法総論 65

83 経皮的鋼線固定 Clinical Question 1 経皮的鋼線固定は有用か? 推奨文経皮的鋼線固定は, ほかの手術療法よりその利点が上回る場合に有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 安価で簡便な経皮的鋼線固定は青壮年や小児において保存療法より画像評価, 機能評価ともに優れるという報告が以前は多くなされていた. しかし, 近年は掌側ロッキングプレートの出現によって, 経皮的鋼線固定による治療の報告は減少している. 良好な初期固定性を有する掌側ロッキングプレートとの比較研究において, 経皮的鋼線固定は術後 6 ヵ月までの臨床成績が劣るものの, 術後 12 ヵ月以上になると臨床成績に両者間での有意差はなくなっていた. このように経皮的鋼線固定の臨床成績は劣るものではないが, 前版のガイドラインでも記述されているように高齢者に対する経皮的鋼線固定の適応は限定されること, また, 粗鬆骨における固定力不足, 刺入鋼線の弛みや鋼線露出による感染, 早期の社会復帰が困難などの欠点もあり, 現在ではその適応は限られているといってよい. ただし, その有用性は決して否定できるものではなく, 臨床的には多発外傷で緊急の場合や患者の全身状態が悪く長時間の麻酔が制限される場合, 夜間などでロッキングプレートの手配や準備ができない状況下などにおいては治療選択肢のひとつになりうるため, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 成人の AO 分類 A3,C2,C3 骨折に対する経皮的鋼線固定 (179 例 ), 創外固定 (140 例 ) と各種プレート固定 (328 例 ) の臨床成績を術後 3,6 ヵ月,1 年で比較したメタ解析である. プレート固定はその他の固定法と比較して, 術後 3,6 ヵ月の DASH スコアにおいて有意に良好であった. しかし, 術後 12 ヵ月以降になると 3 群間で有意差はなくなった (R2F01123 meta-analysis). 介入論文 (5) 成人の不安定型関節外骨折に対して経皮的鋼線固定 (29 例 ) と掌側ロッキングプレート固定 (27 例 ) を施行した症例の臨床成績を術後 6 週,3,6 ヵ月で比較検討した. 掌側ロッキングプレート固定を施行した症例の術後 3,6 ヵ月の DASH(disability of 66 第 3 章治療

84 文献 the arm, shoulder and hand) スコアおよび Gartland and Werley の評価は経皮的鋼 線固定を施行した症例よりも有意に良好であった (R2F00250 RCT). 成人の AO 分類 A3,C2,C3 骨折に対して経皮的鋼線固定 (64 例 ) と角度固定型掌側ロッキングプレート固定 (66 例 ) の臨床成績を比較検討した. 術後 6 週までは掌側ロッキングプレート固定における関節可動域 ( 前腕回内外 手関節掌背屈 ) 画像評価 医療者側評価 (Mayo Wrist Score) および患者立脚型評価 (DASH スコア ) は, 経皮的鋼線固定を施行した症例よりも有意に良好であった. 握力は全経過で有意に掌側ロッキングプレート固定が良好であった. 掌側ロッキングプレート固定の治療成績は術後 1 年までの全経過で経皮的鋼線固定よりも良好であることから, 早期の社会復帰を希望する患者には勧められる (R2F00589 RCT). 成人 AO 分類 A2,C3 骨折に対する経皮的鋼線固定 (230 例 ) と掌側ロッキングプレート固定 (231 例 ) の臨床成績を比較検討した. 患者立脚型評価法である DASH スコアおよび PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) に関して, 術後 3,6,12 ヵ月で両者間の有意差はなかった. また QOL(quality of life) に関係した健康度を示す EuroQol や合併症の発生頻度にも有意差はなかった. なお, 経皮的鋼線固定には掌側ロッキングプレート固定と比べて, 安価で, 特別な手術機材を必要としない利点もある (R2F01068 RCT). 成人の AO 分類 A2,A3,C1,C2 骨折に対して経皮的鋼線固定を施行した 22 例と掌側ロッキングプレート固定を施行した 23 例の術後成績を比較した.DASH スコアは術後 12 週までは掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが, その後に有意差はなくなった. 握力, つまみ力, 関節可動域は掌側ロッキングプレート固定が術後 9 週まで有意に良好な値を示した. ただし, 術後 1 年では手関節可動域の尺屈のみが有意に良好であった. 画像評価は両群間で有意差がなかった. 掌側ロッキングプレート固定は経皮的鋼線固定よりも早期の機能回復が良好であるものの, 術後 1 年で治療成績の差は認められなかった (RC00280 RCT). 40 ~ 60 歳の Fernandez 分類 Ⅲ 型 (AO 分類 C) 骨折に対して, 経皮的鋼線固定を施行した 57 例と掌側ロッキングプレート固定を施行した 57 例の臨床成績を術後 1 年で比較した. 両群間に DASH スコアの有意差はなかったが,Mayo Wrist Score, 画像評価において掌側ロッキングプレート固定は有意に良好であった. 両群間で手関節掌背屈の可動域に有意差はなかったが, 前腕回内外と握力において掌側ロッキングプレート固定は経皮的鋼線固定よりも有意に優れていた (R2F01016 RCT). 1 ) R2F00250 McFadyen I, et al. Injury 2011;42:162 2 ) RC00280 Rozental TD, et al. J Bone Joint Surg Am 2009;91: ) R2F00589 Karantana A, et al. J Bone Joint Surg Am 2013;95: ) R2F01016 Bahari-Kashani M, et al. Trauma Mon 2013;17:380 5 ) R2F01068 Costa ML, et al. BMJ 2014;349:g ) R2F01123 Kasapinova K, et al. Prilozi 2014;35: 手術療法 / 経皮的鋼線固定 67

85 Clinical Question 2 経皮的鋼線固定の合併症は? 解説 文献 経皮的鋼線固定の合併症を明記した最新の文献はないが, 合併症の記載を確認 できた文献より抽出した発生頻度を以下に示す. ただし, 鋼線に関連する合併症以外は一般的な橈骨遠位端骨折に伴って起こりうる合併症が含まれている. 鋼線刺入部周囲感染 2 ~ 40% 1 ~ 20) 2, 4, 5, 7, 10 ~ 12, 17, 18, 20 ~ 23) 橈骨神経障害 0~ 12% ( このうちの多くは橈骨神経浅枝障害 ) 2, 3, 5, 10, 14, 18, 23) 正中神経障害 2 ~ 3% 4, 16, 20, 22) 関節拘縮 0.4 ~ 6.0% 2, 3, 7, 9, 17, 21) 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome:crps)0~11% 1, 2, 9, 12, 19, 24) 腱断裂 1 ~ 6% 9, 17, 25) 矯正位損失, 変形治癒 1% 5, 7, 9, 10, 20, 23) 鋼線埋没 迷入 0 ~ 9% 最も報告が多かった合併症は刺入した鋼線周囲の感染であった. 神経障害では橈骨神経障害が最多であり, 鋼線を抜去することで多くの症例が自然に軽快していた. 経皮鋼線固定に特有な合併症は鋼線の埋没や迷入であった. その他, 尺骨神経障害 18) 12,, 骨萎縮, 再骨折 14) などの報告がある. 1 ) R2F00019 Desai A, et al. Acta Orthop Belg 2009;75:310 2 ) R2F00023 Hollevoet N, et al. Acta Orthop Belg 2011;77:180 3 ) R2F00142 Dzaja I, et al. Can J Surg 2013;56:378 4 ) R2F00237 Das AK, et al. Indian J Orthop 2011;45:422 5 ) R2F00250 McFadyen I, et al. Injury 2011;42:162 6 ) R2F00358 Lakshmanan P, et al. J Orthop Surg(Hong Kong)2010;18:85 7 ) R2F00459 Saddiki R, et al. Orthop Traumatol Surg Res 2012;98:61 8 ) R2F00490 Sadighi A, et al. Pak J Biol Sci 2010;13:706 9 ) R2F00522 Subramanian P, et al. Tech Hand Up Extrem Surg 2012;16:120 10) R2F00589 Karantana A, et al. J Bone Joint Surg Am 2013;95: ) R2F00780 Hull P, et al. J Trauma 2011;70:125 12) R2F01068 Costa ML, et al. BMJ 2014;349:g ) R2F01099 Mirhamidi SM, et al. Int J Clin Exp Med 2013;6:133 14) R2F01152 Tronci V, et al. Acta Biomed 2013;84:38 15) R2J00779 亀山真. 日創外固定骨延長会誌 2010;21:103 16) R2C00063 Mardani KM, et al. Shiraz E-Med J 2011;12:155 17) RF00751 Lenoble E, et al. J Bone Joint Surg Br 1995;77:562 18) RF00977 Harley BJ, et al. J Hand Surg Am 2004;29:815 19) RF01045 Oshige T, et al. J Hand Surg Am 2007;32: ) RJ01150 多田博. 日手会誌 2004;21:549 21) R2F00517 Chen Y, et al. Surg Radiol Anat 2010;32: 第 3 章治療

86 22) R2J00833 外間浩.MB Orthop 2014;27:19 23) RF00714 Strohm PC, et al. J Bone Joint Surg Am 2004;86-A: ) R2J00139 佐竹寛史ほか. 東日整災外会誌 2014;26:90 25) R2J00613 笠島俊彦ほか. 日手会誌 2009;25: 手術療法 / 経皮的鋼線固定 69

87 創外固定 Clinical Question 1 創外固定は有用か? 推奨文創外固定は, ほかの手術療法よりその利点が上回る場合に有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 創外固定は低侵襲で比較的強い固定力が得られる利点があり, 手関節を固定す る bridging 創外固定と, 固定しない non-bridging 創外固定の 2 種類がある. 両者の臨床成績を比較した報告において有意差はないが,non-bridging 創外固定は骨片の大きさや骨折型によってその適応が制限され, また術者の技術を必要とする. 一方,bridging 創外固定は手関節可動域訓練の開始がnon-bridging 創外固定よりも遅れるものの, 粉砕骨折や開放骨折など様々な骨折型にも用いられ, その手技は簡便である. 掌側ロッキングプレートと創外固定の臨床成績の比較では, 術後 6 ヵ月までは掌側ロッキングプレート固定が DASH(disability of the arm, shoulder and hand) スコア, 握力, 関節可動域の点において創外固定よりも有意に良好であるが, 12 ヵ月以降になると両者間で有意差はなくなる. したがって, 創外固定の適応は, 開放骨折や軟部組織の状態が不良な場合, およびプレートが準備できない状況などにある. 一方, 創外固定ピンの露出による感染や神経障害, 関節拘縮などの欠点もあるため, その使用は限定的であることから推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 成人の AO 分類 A から C 骨折に対して,non-bridging と bridging 創外固定を比較した 8 文献 (1,151 例 ) より臨床成績を比較検討した. 高齢者では両群間において骨折型や機能評価, 画像評価の有意差はなかった. しかし, 全年齢層を対象にすると non-bridging 創外固定は bridging 創外固定と比較して橈骨遠位端長 (radial length: RL) の保持と術後早期の可動域に関しては良好な成績であった. なお,non-bridging 創外固定は技術的に熟練した治療者が行うべきである (R2F00246 review). 成人の AO 分類 A から C 骨折に対して創外固定 (351 例 ) と各種プレート固定 (356 例 ) の臨床成績 (9 文献,707 例 ) を比較したメタ解析である. プレート固定が創外固定よりも DASH スコア, 尺骨変異 (ulnar variance:uv) と感染率において有意に良好であった (R2F00271 meta-analysis). 70 第 3 章治療

88 成人不安定型骨折 (AO 分類 C3) に対して創外固定 (365 例 ) と各種プレート固定 (373 例 ) の臨床成績 (10 文献,732 例 ) を比較したメタ解析である. プレート固定 は術後 3 ヵ月までは DASH スコア, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) において創外固定より有意に良好であった (R2F00293 meta-analysis). 成人不安定型骨折に対し創外固定 (417 例 ) と各種プレート固定 (407 例 ) の臨床成績 (11 文献,824 例 ) を術後 3,6 ヵ月と 1 年で比較したメタ解析である. プレート固定を施行した症例では術後 3 ヵ月までの握力と可動域, そして術後 1 年間の全経過観察において DASH スコア,RI が創外固定を施行した症例よりも有意に良好であった. また, 創外固定はプレート固定よりも感染率が高かった (R2F00462 metaanalysis). 成人の AO 分類 A3,C2,C3 骨折に対する経皮的鋼線固定 (179 例 ), 創外固定 (140 例 ) と各種プレート固定 (328 例 ) の臨床成績を術後 3,6 ヵ月,1 年で比較したメタ解析である. プレート固定群ではノンロッキングやロッキング, 背側設置や掌側設置など多様なプレートが使用されていたが, この各種プレート固定群はその他の固定法群と比較して, 術後 3,6 ヵ月において DASH スコアが有意に優れていた. しかし, 術後 1 年以降になると 3 群間で臨床成績の有意差がなくなるため, 特にどの固定法を強く推奨するという結果は導き出せなかった (R2F01123 metaanalysis). 成人不安定型骨折に対する bridging 創外固定および経皮的鋼線固定 (90 例 ) と掌側ロッキングプレート固定 (84 例 ) の臨床成績 (3 文献,174 例 ) を術後 3,6 ヵ月と1 年で比較したメタ解析である. 掌側ロッキングプレート固定 (84 例 ) はいずれの時期においても DASH スコアが有意に低かったが, 握力, 可動域に関して有意差はなかった. 画像評価では掌側ロッキングプレート固定が橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt) で有意に良好であった以外に有意差はなかった. 全経過を通して, 掌側ロッキングプレート固定では創外固定よりも有意に良好な機能回復が認められたが, 臨床的に差異が明らかなのは術後 3 ヵ月間のみであった (R2F01124 metaanalysis). 介入論文 (2) 70 歳以下の不安定型骨折 (AO 分類 AおよびC1) に対しbridging 創外固定に経皮的鋼線固定を追加した 30 例と掌側ロッキングプレート固定 33 例の臨床成績を術後 3,6,12 ヵ月で比較検討した.DASH スコア,PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) と握力においては, 掌側ロッキングプレート固定が術後 3 ヵ月と 6 ヵ月で有意に良好であったが,12 ヵ月では差がなかった. 関節可動域は掌側ロッキングプレート固定が術後 3 ヵ月で手関節尺屈以外の全てで, 術後 6 ヵ月では手関節背屈, 前腕回内外で創外固定と比較し有意に良好であったが, 術後 12 ヵ月では有意差は認められなかった. 最終調査時の画像評価では, 橈骨短縮や背屈転位といった矯正損失が掌側ロッキングプレート固定で有意に少なかった. なお, 創外固定は平均 5 週で抜去されていた (R2F00010 RCT). 成人の不安定型骨折 (AO 分類 A2,A3,C1,C2,C3) に対して,bridging 創外固定と経皮的鋼線固定を併用した 54 例と掌側ロッキングプレート固定 50 例との臨床成績を比較した. 術後 16 週のQuickDASHスコア, 握力, 関節可動域, 画像評価のすべてにおいて, 両者間で有意差はなかった. 術後 26 週では掌側ロッキングプ 3.3. 手術療法 / 創外固定 71

89 文献 レート固定を施行した症例が Mayo Wrist Score, 関節可動域 ( 手関節背屈および橈屈, 前腕回内 ), 握力 ( 健側比 ) において有意に良好であった. しかし, 術後 52 週になると Mayo Wrist Score, 関節可動域 ( 前腕回外 ) のみが有意に優れていた. 画像評価では UV に関して全経過観察期間を通して掌側ロッキングプレート固定群が有意に良好であった (R2F00704 RCT). 観察論文 (1) 65 歳以上の不安定型骨折 (AO 分類 A2,A3,C1,C2,C3) に non-bridging 創外固定 (25 例 ) と角度固定型ロッキングプレート固定 (25 例 ) を使用し術後臨床成績を比較検討した. 画像評価では術後整復位維持は角度固定型ロッキングプレート固定が non-bridging 創外固定よりも有意に優れていた. 両群ともに握力の回復が不良であったが,Mayo Wrist Score に関して両群間で有意差はなかった (R2J00007 case control study). 1 ) R2F00010 Wilcke MK, et al. Acta Orthop 2011;82:76 2 ) R2F00246 Modi CS, et al. Injury 2010;41: ) R2F00271 Esposito J, et al. Injury 2013;44:409 4 ) R2F00293 Cui Z, et al. Int Orthop 2011;35: ) R2F00462 Wang J, et al. Orthop Traumatol Surg Res 2013;99:321 6 ) R2F00704 Williksen JH, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2F01123 Kasapinova K, et al. Prilozi 2014;35:225 8 ) R2F01124 Walenkamp MM, et al. Strategies Trauma Limb Reconstr 2013;8:67 9 ) R2J00007 坂野裕昭.MB Orthop 2010;23:15 72 第 3 章治療

90 Clinical Question 2 創外固定の合併症は? 解説 文献 創外固定に伴う合併症を明記した最新の文献はない. 合併症の記載を確認でき た文献から抽出した発生頻度を以下に示す. ただし, 創外固定ピンに関連する合併症以外は一般的な橈骨遠位端骨折に伴って起こりうる合併症が含まれている. ピン刺入部周囲感染 0 ~ 27% 1 ~ 35) 1 ~ 4, 6, 8, 13, 19, 22 ~ 25, 28 ~ 30, 32, 35 ~ 37) 橈骨神経障害 0 ~ 13% 1, 3, 8, 13, 15, 23 ~ 25, 32, 36, 38, 39) 正中神経障害 2 ~ 29% 11, 13, 17, 18, 23, 25, 34, 35, 40, 41) 関節拘縮 0 ~ 20% 1, 9, 10, 12, 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome:crps)0 ~ 10% 13, 15, 18 ~ 20, 22, 24, 26, 28, 31 ~ 33, 36) 13, 17, 22, 29, 31, 33) 長母指伸筋 (EPL) 腱断裂 1% 1 ~ 3, 8, 10, 11, 13, 17, 20, 31, 33, 34, 38 ~ 40, 42 ~ 44) 矯正位損失, 変形治癒 2 ~ 21% 7, 13, 40) ピン折損 1 ~ 5% コンパートメント症候群 2% 20) 最も報告の多い合併症はピン周囲の感染であった. このピン周囲感染は多くの報告で創外固定の抜去時期 ( 平均 5 6 週 ) まで注意深く観察されたのち, 創外固定を抜去することで重度の障害にまで至らなかったとしている. 次に報告の多い合併症は神経障害であり, その多くは橈骨神経浅枝の障害でピン抜去とともに改善していた. non-bridging 創外固定では正中神経障害の報告があった. 矯正位損失, 変形治癒の報告も多数認めたが, 最終的には許容可能な範囲の変形であった. なお,nonbridging 創外固定においては EPL 腱断裂やピン折損が特徴的な合併症であった. その他,bridging 創外固定では中手骨骨折 12) が報告されている. 1 ) R2F00006 Abramo A, et al. Acta Orthop 2009;80:478 2 ) R2F00010 Wilcke MK, et al. Acta Orthop 2011;82:76 3 ) R2F00014 Landgren M, et al. Acta Orthop 2011;82:610 4 ) R2C00056 Ismat UM. J Postgrad Med Inst 2012;26:311 5 ) R2F00064 Drobetz H, et al. ANZ J Surg 2011;81:46 6 ) R2F00224 Estrella EP, et al. Hand Surg 2012;17:173 7 ) R2F00246 Modi CS, et al. Injury 2010;41: ) R2F00271 Esposito J, et al. Injury 2013;44:409 9 ) R2F00431 Pradhan RL, et al. Kathmandu Univ Med J(KUMJ)2009;7:369 10) RF00558 Kapoor H, et al. Injury 2000;31:75 11) R2F00561 Hove LM, et al. J Bone Joint Surg Am 2010;92: ) R2F00627 Aktekin CN, et al. J Hand Surg Am 2010;35:736 13) R2F00653 Richard MJ, et al. J Hand Surg Am 2011;36: 手術療法 / 創外固定 73

91 14) R2F00659 Grewal R, et al. J Hand Surg Am 2011;36: ) R2F00704 Williksen JH, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2F00718 Lutz K, et al. J Hand Surg Am 2014;39: ) R2F00723 Andersen JK, et al. J Hand Surg Eur Vol 2009;34:475 18) R2F00907 Siripakarn Y, et al. J Med Assoc Thai 2013;96:446 19) R2F01092 Kulshrestha V, et al. Indian J Orthop 2011;45:527 20) R2F01105 Jorge-Mora AA, et al. J Hand Microsurg 2012;4:50 21) R2J00007 坂野裕昭.MB Orthop 2010;23:15 22) R2J00021 坂野裕昭.MB Orthop 2014;27:37 23) R2J00154 佐藤光太朗ほか. 日手会誌 2010;26:30 24) R2J00210 伊藤聰一郎ほか. 日生体電気物理刺激研会誌 2013;27:25 25) R2J00572 佐藤光太朗ほか. 東日整災外会誌 2011;23:263 26) R2J00591 栗山幸治ほか. 日手会誌 2009;25:342 27) R2J00779 亀山真. 日創外固定骨延長会誌 2010;21:103 28) R2C00021 Handoll HHG, et al. Cochrane Database of Systematic Reviews 2013:CD ) RF00013 Atroshi I, et al. Acta Orthop 2006;77:445 30) RF00207 Westphal T, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2005;125:507 31) RF00760 McQueen MM. J Bone Joint Surg Br 1998;80:665 32) RF00977 Harley BJ, et al. J Hand Surg Am 2004;29:815 33) RF01126 Krishnan J, et al. J Hand Surg Br 2003;28:417 34) RF01127 Young CF, et al. J Hand Surg Br 2003;28:422 35) RJ01150 多田博. 日手会誌 2004;21:549 36) R2F00611 Mirza A, et al. J Hand Surg Am 2009;34:603 37) R2F00259 Jeudy J, et al. Injury 2012;43:174 38) R2F00462 Wang J, et al. Orthop Traumatol Surg Res 2013;99:321 39) R2F00293 Cui Z, et al. Int Orthop 2011;35: ) R2F00645 Kurylo JC, et al. J Hand Surg Am 2011;36: ) R2J00613 笠島俊彦ほか. 日手会誌 2009;25:836 42) R2J00377 林淳慈ほか. 骨折 2013;35:801 43) R2F01145 Shaftel ND, et al. J Hand Surg Eur Vol 2014;39:429 44) R2F00761 Farah N, et al. J Hand Surg Eur Vol 2014;39: 第 3 章治療

92 プレート固定 Clinical Question 1 背側ロッキングプレート固定は有用か? 推奨文背側ロッキングプレート固定は, 他の手術療法よりその利点が上回る場合に行うことを考慮してもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) D( とても弱い ) 解説 背側ロッキングプレート固定とほかの治療法との比較研究は, 掌側ロッキング プレート固定との比較の 2 編のみである. いずれも掌側ロッキングプレートと背側ロッキングプレートのどちらを使用するかは術者の判断により決定されており, エビデンスレベルの低い症例比較であった. しかし, 背側ロッキングプレート固定は, 掌側からでは整復困難な背側転位例や背側骨片の粉砕例などに限定した場合に有用な可能性がある. 背側ロッキングプレートは転位した背側骨片を直接的に整復, 固定できるといった利点を有する反面, 合併症として長母指伸筋 (EPL) などの伸筋腱障害の発生が懸念されるが, 最近ではこの点を考慮した, プレート厚が薄くデザイン性に優れたものが使用できるようになってきている. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (2) AO 分類 C3 背側転位型粉砕骨折においてロッキングプレートを使用して治療した背側ロッキングプレート固定 22 例, 掌側ロッキングプレート固定 19 例を比較した. X 線評価では差がなかったが, 手関節可動域の背屈 ( 術後 1,3,6 ヵ月 ),Gartland and Werley の評価および握力 ( 術後 3,6 ヵ月 ) では背側ロッキングプレート固定が, 手関節可動域の掌屈 ( 術後 1,3,6 ヵ月 ) では掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった. しかし, 術後 9,12 ヵ月時には両群間における有意差はなくなっていた (R2F00644 CCS). 橈骨遠位端骨折においてロッキングプレートを使用して治療した背側ロッキングプレート固定 39 例と掌側ロッキングプレート固定 266 例を比較した.DASH (disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア, 握力,X 線評価では差がなかったが,Gartland and Werley の評価 ( 術後 6,12 ヵ月 ) と手関節可動域の掌背屈および尺屈と前腕回外可動域 ( 術後 6 ヵ月 ) では掌側ロッキングプレート固定が有意に 3.3. 手術療法 / プレート固定 75

93 良好であった. ただし, 合併症の発生率については掌側ロッキングプレート固定 (15%) が背側ロッキングプレート固定 (5%) より高かった (R2F00253 CCS). 文献 1 ) R2F00644 Chou YC, et al. J Hand Surg Am 2011;36:974 2 ) R2F00253 Matschke S, et al. Injury 2011;42: 第 3 章治療

94 Clinical Question 2 掌側ロッキングプレート固定は有用か? 推奨文掌側ロッキングプレートは初期固定性に優れていることから早期の機能回復には有用であるが, 合併症には十分留意すべきである. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) A( 強 ) 解説 現在, 掌側ロッキングプレート固定は本骨折に対する最も一般的な手術療法と なっている. 掌側ロッキングプレート固定の治療成績はギプス固定のみならず, 経皮的鋼線固定,bridging 創外固定などの主な手術療法よりも優れており, その傾向は術後 6 ヵ月までの比較的早期に強いことが明らかとなった. したがって, 青壮年者のみならず活動性の高い高齢者や独居など社会的背景により早期に手関節の機能を回復する必要性のある患者では極めて有用な治療法といえる. 掌側ロッキングプレート固定の利点は, ほかの術式より初期固定性が良好なこと, 早期から手が使用可能なこと, 異物の体外露出もないことなどである. 一方, 本法の欠点としては屈筋腱や伸筋腱障害, 神経障害などの二次的手術を要する合併症が多いこと, さらにプレート抜去の必要性や高コストといった点もあげられる. したがって, 推奨度を2とした. これらの合併症を回避するためには, 局所解剖や使用するプレートの特徴を熟知したうえで, 正確な手技と正しい手順に基づいた手術が行われるべきである. サイエンティフィックステートメント 成人不安定型骨折に対するbridging 創外固定および経皮的鋼線固定 90 例と掌側ロッキングプレート固定 84 例の臨床成績 (3 文献,174 例 ) を術後 3,6 ヵ月,1 年で比較したメタ解析である. 掌側ロッキングプレート固定 (84 例 ) はいずれの時期においてもDASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアが有意に低かったが, 握力, 可動域に関しては有意差がなかった.X 線評価では掌側ロッキングプレート固定が橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt) で有意に良好であった以外, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri), 尺骨変異 (ulnar variance:uv), 橈骨遠位端長 (radial length:rl) に有意差はなかった. 全経過を通して, 掌側ロッキングプレート固定は創外固定よりも有意に良好な機能回復を示したが, 臨床的に違いが明らかなのは術後 3 ヵ月間のみであった (R2F01124 meta-analysis). 60 歳以上の不安定型骨折に対する5つの治療法 ( 掌側ロッキングプレート固定, non-bridging 創外固定,bridging 創外固定, 経皮的鋼線固定およびギプス固定 ) に 3.3. 手術療法 / プレート固定 77

95 関する 21 文献,1,010 例の systematic review である. ギプス固定では X 線評価が不良であるものの, 機能的には手術療法との差はなかった. 一方, 合併症はギプス固定で最も少なかったのに対して, 掌側ロッキングプレート固定は再手術を要する重大な合併症が多かった (R2F00642 review). 介入論文 (13) 50 歳以上の背側転位型骨折に対する経皮的鋼線固定 20 例と掌側ロッキングプレート固定 20 例を比較した.DASH スコア, 握力, 可動域には両群間に有意差はなかった.X 線評価では UV の矯正のみ掌側ロッキングプレート固定のほうが有意に優れていた (R2F00023 RCT). 成人の不安定型関節外骨折に対する経皮的鋼線固定 29 例と掌側ロッキングプレート固定 27 例を術後 6 週,3,6 ヵ月で比較した. 掌側ロッキングプレート固定は DASH スコアおよび Gartland and Werley の評価が 3,6 ヵ月において経皮的鋼線固定よりも有意に良好であり,X 線評価でもすべての経過中で有意に良好な成績であった (R2F00250 RCT). 成人の AO 分類 A3,C2,C3 骨折に対して経皮的鋼線固定 64 例と掌側ロッキングプレート固定 66 例を比較した. 掌側ロッキングプレート固定の治療成績は術後 1 年までの全経過で経皮的鋼線固定より良好であったが, 有意差があるのは 6 週時のみであった. 握力は全経過で有意差をもって掌側ロッキングプレート固定が良好であった. 可動域については,6 週の時点では手関節掌背屈, 前腕回内外で掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが,12 週以降では有意差はなかった.X 線評価でも 1 年後の PT と RL は掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった. 術後早期の治療成績と X 線評価において掌側ロッキングプレート固定が優れるため, 早期の社会復帰を希望する患者には勧められるが, 最終結果として経皮的鋼線固定を否定できる要素もない (R2F00589 RCT). 成人 AO 分類 A2,C3 骨折に対する経皮的鋼線固定術 230 例と掌側ロッキングプレート固定 231 例を比較した. 患者立脚型評価法であるDASHスコアおよび PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) では 3,6,12 ヵ月で有意差はなかった. また QOL(quality of life) に関する健康度を示す EuroQol, 合併症の発生頻度にも有意差はなかった. 経皮的鋼線固定は安価で, 特別な手術機材を必要としない利点がある (R2F01068 RCT). 成人のAO 分類 A2,A3,C1,C2 骨折に対する経皮的鋼線固定 22 例と掌側ロッキングプレート固定 23 例を比較した.DASH スコアは術後 12 週までは掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが, その後に有意差はなかった. 握力, ピンチ力, 関節可動域は掌側ロッキングプレート固定が術後 9 週まで有意に良好な値を示した. ただし, 術後 1 年では手関節可動域の尺屈のみが有意に良好であった.X 線評価では両群に有意差はなかった. 掌側ロッキングプレート固定は経皮的鋼線固定よりも早期の機能回復が良好であるが, 術後 1 年ではほぼ差はない (RC00280 RCT). 40 ~ 60 歳の Fernandez 分類 Ⅲ 型 (AO 分類 C) 骨折に対する経皮的鋼線固定 57 例と掌側ロッキングプレート固定 57 例を術後 1 年で比較した.DASH スコアに差はなかったが,Mayo Wrist Score,X 線評価では掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった. 関節可動域では手関節掌背屈には有意差はないが, 前腕回内外と 78 第 3 章治療

96 握力では掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった (R2F01016 RCT). 40 ~ 80 歳の転位の大きい関節内骨折に対して,bridging 創外固定に経皮的鋼線固定を追加した 39 例と掌側ロッキングプレート固定 36 例を比較した.6 ヵ月後の最終調査時,Green and O Brien の評価および握力で掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが, 関節可動域,X 線評価,Knirk and Jupiter の関節症評価には有意差はなかった (R2F00259 RCT). 成人の AO 分類 A2,A3,C1,C2,C3 骨折に対して,bridging 創外固定に経皮的鋼線固定を追加した 54 例と掌側ロッキングプレート固定 50 例を比較した. 術後 16 週では QuickDASH スコア, 握力, 関節可動域,X 線評価のすべてにおいて有意差はなかった.26 週では掌側ロッキングプレート固定において,Mayo Wrist Score, 関節可動域 ( 手関節背屈および橈屈, 前腕回内 ), 握力 ( 健側比 ) で有意に良好であったが, 術後 52 週では,Mayo Wrist Score, 関節可動域のうち前腕回外のみ有意に良好であった.X 線評価では UV が全経過観察期間で掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった (R2F00704 RCT). 成人の AO 分類 A から C 骨折に対して,bridging 創外固定に経皮的鋼線固定を追加した 38 例と掌側ロッキングプレート固定 39 例の臨床成績を術後 3,6 ヵ月,1 年で比較した. 全経過中で DASH スコア, 握力,X 線評価では有意差はなかった. 関節可動域については掌側ロッキングプレート固定が,3 ヵ月後の手関節背屈 橈屈および前腕回内外,6 ヵ月後の手関節背屈と前腕回内,1 年後の前腕回内で有意に良好であった (RC00282 RCT). 成人の不安定型背側転位型 (AO 分類 AおよびC1) 骨折に対するbridging 創外固定に経皮的鋼線固定を追加した 30 例と掌側ロッキングプレート固定 33 例の臨床成績を術後 3,6,12 ヵ月で比較した.DASH スコア,PRWE と握力においては, 掌側ロッキングプレート固定が術後 3,6 ヵ月で有意に良好であったが,12 ヵ月では差がなかった. 関節可動域は 3 ヵ月後では手関節尺屈以外のすべてで,6 ヵ月後では手関節背屈, 前腕回内外で掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが, 12 ヵ月後では有意差はなかった. 最終調査時の X 線評価では, 橈骨短縮や背屈転位といった矯正損失が掌側ロッキングプレート固定で有意に少なかった (R2F00010 RCT). 25 ~ 89 歳の AO 分類 A2,A3,B1.1,B1.2 といった比較的単純な骨折型の症例に対して, 髄内釘と掌側ロッキングプレート固定の治療成績を比較した. 術後 6 週では DASH スコア,Mayo Wrist Score, 関節可動域において髄内釘が有意に良好であったが,3 ヵ月 ~ 1 年では有意差はなかった.X 線評価は全経過において同等であった (R2F00758 RCT). 30 歳代後半 ~ 60 歳代の AO 分類 B,C に対する保存療法 32 例と掌側ロッキングプレート固定 32 例を術後 6 週,3,6,12,18,24 ヵ月で比較した. 最終調査時 DASH スコア,Green and O Brienの評価ともに掌側ロッキングプレート固定の方が有意に良好であった. 握力, 関節可動域ともに 6 週の時点でも最終調査時でも掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった. 最終調査時の X 線評価では RI,PT, RL で掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であった (R2F00356 RCT). 65 歳以上の AO 分類 A から C 骨折に対して, 掌側ロッキングプレート固定 36 例と保存療法 37 例を術後 6,12 週,6,12 ヵ月で比較した.DASH スコアおよび PRWE 3.3. 手術療法 / プレート固定 79

97 では,12 週までは掌側ロッキングプレート固定が有意に良好であったが,6,12 ヵ 月では有意差はなかった. 握力は掌側ロッキングプレート固定が全経過で有意に 良好であったが, 関節可動域は全経過で有意差はなかった.X 線評価では掌側ロッ キングプレート固定が全例で良好な整復位が得られており, 保存療法の全例で変形 治癒 [ 橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt:dt)> 10, 橈骨短縮 > 2 mm, 関節面段差 (step-off)> 1 mm] をきたしていた. 術後 12 ヵ月における矯正損失は DT,RI,UV において有意に掌側ロッキングプレート固定で少なかった (R2F00576 RCT). 文献 1 ) R2F01124 Walenkamp MM, et al. Strategies Trauma Limb Reconstr 2013;8:67 2 ) R2F00642 Diaz-Garcia RJ, et al. J Hand Surg Am 2011;36:824 3 ) R2F00023 Hollevoet N, et al. Acta Orthop Belg 2011;77:180 4 ) R2F00250 McFadyen I, et al. Injury 2011;42:162 5 ) R2F00589 Karantana A, et al. J Bone Joint Surg Am 2013;95: ) R2F01068 Costa ML, et al. BMJ 2014;349:g ) RC00280 Rozental TD, et al. J Bone Joint Surg Am 2009;91: ) R2F01016 Bahari-Kashani M, et al. Trauma Mon 2013;17:380 9 ) R2F00259 Jeudy J, et al. Injury 2012;43:174 10) R2F00704 Williksen JH, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) RC00282 Egol K, et al. J Bone Joint Surg Br 2008;90-B: ) R2F00010 Wilcke MK, et al. Acta Orthop 2011;82:76 13) R2F00758 Safi A, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013;38:774 14) R2F00356 Sharma H, et al. J Orthop Sci 2014;19:537 15) R2F00576 Arora R, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93: 第 3 章治療

98 Clinical Question 3 ノンロッキングプレート固定は有用か? 推奨文ノンロッキングプレート固定の有用性は限定的である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 3( なし ) C( 弱 ) 解説 本邦では 2002 年に Kamano らが背側転位型橈骨遠位端骨折に対する掌側ノン ロッキングプレート固定をはじめて報告し, 良好な機能評価と X 線評価を示し合併症もなかったとしている. しかし, これまでにノンロッキングプレート固定が経皮的鋼線固定や bridging および non-bridging 創外固定よりも有用であるという比較研究はない. 一方,2000 年に掌側ロッキングプレート固定が報告されてからはノンロッキングプレート固定との比較研究が国内外で多数報告され, 掌側ロッキングプレート固定の優位性を示す報告が多い. 背側ノンロッキングプレート固定との比較研究では機能評価および X 線評価ともに掌側ロッキングプレート固定が優位であったとされる. また, 掌側ノンロッキングプレート固定との比較研究では, 機能評価に有意差はなく X 線評価において有意にノンロッキングプレート固定が矯正損失をきたしたとする報告が多い. また, 患者の身体的 経済的負担を考慮しても, ほかの手術法と比較してノンロッキングプレート固定が推奨されるエビデンスはない. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (1) 55 歳以上の高齢者の背側転位型橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定 22 例と掌側ノンロッキングプレート固定 31 例を無作為割り付けで選択し, 比較した. 術前と術後最終調査時のX 線評価 [ 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt: PT), 橈骨遠位端長 (radial length:rl), 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination: RI)] や Gartland and Werley の評価において有意差はなかった. しかし関節可動域は手関節掌屈のみ掌側ロッキングプレート固定群が有意に良好であった. 両群とも腱障害や神経障害をきたした症例はなかった (RF01684 RCT). なお, 本報告における掌側ロッキングプレートは本邦ではすでに販売停止となった Distal Radius Plate ( マティス社, 東京 ) であり, 現在広く用いられているアナトミカルロッキングプレートとは仕様が異なる. 観察論文 (9) 成人の背側転位型橈骨遠位端骨折において, 掌側ノンロッキングプレート固定 手術療法 / プレート固定 81

99 例と掌側ロッキングプレート固定 30 例を比較した.DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,Mayo Wrist Score,Green and O Brien の評価,Gartland and Werley の評価のすべてにおいて有意差はなかった. 掌側ノンロッキングプレー ト固定群で有意に優れていたのは前腕回内可動域のみであった. 掌側ロッキングプ レート固定群で有意に優れていたのは術後の PT と RI であった. 海綿骨移植を併用 したのは, 掌側ノンロッキングプレート固定群 25 例, 掌側ロッキングプレート固定 群 13 例で有意差を認めた (R2F00468 CCS). 成人の不安定型橈骨遠位端骨折において, 掌側ノンロッキングプレート固定 30 例と掌側ロッキングプレート固定 50 例を比較した.Mayo Wrist Score に有意差はなかった.X 線評価で尺骨変異 (ulnar variance:uv) の矯正損失のみ掌側ロッキングプレート固定が有意に小さかった. 掌側ノンロッキングプレート固定では骨癒合完成まで UV が増加する (RJ01215 CCS). 成人のAO 分類 C 骨折において, 掌側ノンロッキングプレート固定 57 例と掌側ロッキングプレート固定 43 例を比較した.Mayo Wrist Score および関節可動域の背屈, 橈屈, 尺屈, 回外において掌側ロッキングプレート固定が有意に優れていた. 斎藤評価および握力に有意差はなかった. 手術時と骨癒合時の X 線評価の比較では, 掌側ノンロッキングプレート固定において UV と PT で有意差をもって矯正損失をきたした (RJ01240 CCS). 成人のAO 分類 C 型骨折における掌側ノンロッキングプレート固定 31 例と掌側ロッキングプレート固定 37 例を比較した.Mayo Wrist Score, 関節可動域, 握力, 術後合併症において有意差はなかったが,X 線評価では UV と PT の術後整復位維持は掌側ロッキングプレート固定群が有意に良好であった. 特に背側転位型骨折と 60 歳以上の症例においてその傾向が強かった (RJ01241 CCS). 60 歳以上の女性で背側転位型骨折と掌側転位型骨折を含む症例群を対象に, 掌側ノンロッキングプレート固定 21 例と掌側ロッキングプレート固定 42 例を比較した. 掌側ノンロッキングプレート固定は背側転位型, 掌側転位型,AO 分類 C のいずれも UV,PT の矯正損失が有意に大きかった. 関節可動域は手関節背屈が掌側ロッキングプレート固定で有意に良好であったが, 握力,Mayo Wrist Score では有意差はなかった (RJ01466 CCS). 成人の AO 分類 A から C 骨折において, 掌側ノンロッキングプレート固定 32 例と角度可変型掌側ロッキングプレート固定 32 例を比較した.Mayo Wrist Score で有意差はなかった.X 線評価において PT,RI,UV のいずれも角度可変型掌側ロッキングプレート固定群が有意差をもって矯正損失が少なかった (RJ01661 CCS). 成人の背側転位型 AO 分類 C 型骨折において背側ノンロッキングプレート固定 40 例と掌側ロッキングプレート固定 53 例を比較した. 斎藤評価と握力は有意差がなかった.Mayo Wrist Score, 手関節背屈, 前腕回外で掌側ロッキングプレート固定が有意に優れていた. 術直後と骨癒合時の X 線評価の比較では, 背側ノンロッキングプレート固定においてUVとPTで有意差をもって矯正損失をきたした (RJ01677 CCS). 成人の背側転位型橈骨遠位端骨折に対し, 掌側ノンロッキングプレート固定を行った 33 例の臨床成績を調査した. 平均年齢は 54 歳 (23 ~ 75 歳 ), 術後平均経過観察期間 14 ヵ月 (12 ~ 30 ヵ月 ) であった.Gartland and Werley の評価で excellent 第 3 章治療

100 文献 例,good 20 例,fair 1 例であった.X 線評価で PT,RI,RL,UV は術前と比較し, 最終調査時に有意に改善した. 合併症は認めなかった (RF00358 CCS). 成人の背側転位型橈骨遠位端骨折に対し, 背側ノンロッキングミニプレート固定を行った34 例 35 手 (8 例で掌側支持プレート固定の追加,19 例に関節面の直下の骨欠損に対して腸骨から骨移植の追加 ) の臨床成績を調査した. 平均年齢は 39 歳 (17 ~ 67 歳 ), 術後平均経過観察期間は 36 ヵ月 (7 ~ 69 ヵ月 ) であった.Mayo Wrist Score で excellent 12 例,good 4 例,fair 8 例であった.PT は平均 6 であり, 関節面段差 (step-off) は 18 骨折中 3 例 (2 例が 1 mm,1 例が 2 mm) に認めた. 関節症性変化は 25 ヵ月以上追跡できた関節内骨折 10 例中 6 例に確認できた (Knirk and Jupiter による関節症評価で grade 1 が 5 例,grade 2 が 1 例 )(R2F00993 CCS). 1 ) RF01684 Koshimune M, et al. J Hand Surg Br 2005;30:499 2 ) R2F00468 Osti M, et al. Orthopedics 2012;35: ) RJ01215 古田和彦ほか. 日手会誌 2006;23:287 4 ) RJ01240 亀井秀造ほか. 日手会誌 2006;23:883 5 ) RJ01241 川崎恵吉ほか. 日手会誌 2006;23:888 6 ) RJ01466 門馬秀介ほか. 関東整災外会誌 2008;39:137 7 ) RJ01661 瀬戸信一朗ほか. 日手会誌 2008;25:106 8 ) RJ01677 高井盛光ほか. 骨折 2009;31:233 9 ) RF00358 Kamano M, et al. Clin Orthop Relat Res 2002;397:403 10) R2F00993 Hems TE, et al. J Hand Surg Eur Vol 2010;35: 手術療法 / プレート固定 83

101 Clinical Question 4 角度固定型 ( 単方向性 ) 掌側ロッキングプレート固定は有用か? 推奨文角度固定型 ( 単方向性 ) 掌側ロッキングプレートは固定性に優れ, 早期の社会復帰に有用であるが, 合併症には十分留意すべきである. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) A( 強 ) 解説 ここではプレートと遠位ロッキングスクリューとの角度が定方向性である角度 固定型 ( 単方向性 ) 掌側ロッキングプレート (fixed angle locking plate / monoaxial locking plate:mlp) を検討した. 掌側ロッキングプレートは当初 MLPが作製され, その後ロッキングスクリューの挿入方向に自由度がある角度可変型 ( 多方向性 ) 掌側ロッキングプレート (variable angle / polyaxial locking plate:plp) が作製された.MLP は, ロッキングスクリューとプレート連結部の角度安定性があり, 保存療法における外固定, 経皮的鋼線固定, 創外固定, ノンロッキングプレート,PLP に比べて固定性は良好である. また, ピンや鋼線などの体外への異物露出がなく, 早期の機能評価や最終的な X 線評価も良好であることから, 早期の社会復帰には有用である, との報告が多い. しかし,1 年以降の機能評価に関しては, 保存療法, 経皮的鋼線固定および創外固定追加, ノンロッキングプレート, 背側プレートと比べても, 有意な差が証明されていない. また, 屈筋腱や伸筋腱損傷, 神経障害などの合併症や, プレート抜去のための再手術とそれに伴う患者の負担, 医療費の増大などの欠点もある. 以上より, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (7) 背側転位型橈骨遠位端関節外骨折に対する MLP 群 (27 例 ) と経皮的鋼線固定群 (29 例 ) を, 術後 6 週,3,6 ヵ月で比較した.MLP は DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアと Gartland and Werley の評価において術後 3,6 ヵ月で有意に良好で,X 線評価もすべての経過中で有意に良好であった (R2F00250 RCT). AO 分類 A3,C2,C3 橈骨遠位端骨折に対するMLP 群 (66 例 ) と経皮的鋼線固定群 (64 例 ) を, 術後 6,12 週,1 年で比較した.MLP のほうが有意に良好なものは, 全経過中の握力,6 週での手関節背屈と前腕回内外と DASH スコア,1 年での橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilit:pt) と橈骨遠位端長 (radial length:rl) であった (R2F00589 RCT). 84 第 3 章治療

102 文献 粉砕型橈骨遠位端骨折に対する MLP 群 (36 例 ) と創外固定群 (39 例 ) を, 術後 6 週, 6 ヵ月で比較した.MLP のほうが有意に良好なものは,6 週,6 ヵ月の Green and O Brien の評価,6 ヵ月の握力であった. 全期間において関節可動域と X 線評価には有意な差はなかった (R2F00259 RCT). 不安定型橈骨遠位端骨折に対する MLP 群 (50 例 ) と経皮的鋼線固定に創外固定追加群 (54 例 ) を, 術後 16,26,52 週で比較した.MLP のほうが有意に良好なものは, 26 週の Mayo Wrist Score, 可動域 ( 手関節背屈, 橈屈, 前腕回内 ), 握力,52 週の Mayo Wrist Score, 可動域 ( 前腕回外 ), 全期間での尺骨変異 (ulnar variance:uv) であった ( R2F00704 RCT). 転倒 ( 高エネルギー外傷を除く ) による 50 歳以上の背側転位型橈骨遠位端骨折に対する MLP 群 (20 例 ) と経皮的鋼線固定群 (20 例 ) を, 術後 5 週,3 ヵ月,1 年以上で比較した.MLP のほうが有意に良好なものは,1 年以上での UV のみで, 全期間の DASH スコア, 握力, 関節可動域には差がなかった (R2F00023 RCT). 高齢者の背側転位型橈骨遠位端骨折に対する MLP 群 (22 例 ) とノンロッキングプレート群 (31 例 ) を, 術後 6 ヵ月以上 ( 平均 12 ヵ月 ) で比較した.X 線評価 臨床評価 (Gartland and Werleyの評価, 関節可動域 ) ともに有意な差はなかった (RF01684 RCT). 65 歳以上の AO 分類 A および C 骨折に対する MLP 群 (36 例 ) と保存療法群 (37 例 ) を,6,12 週,6,12 ヵ月で比較した. 握力は全経過で MLP が有意に良好であったが, 可動域は全経過で有意差はなかった.DASH スコアと PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) は, 術後 12 週までは MLP が有意に良好であったが, 術後 6 ヵ月以降では有意差はなかった.X 線評価では, 術後 12 ヵ月における橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt:dt), 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri),uv の矯正損失は MLP で有意に少なく, 保存療法群の全例で変形治癒 [DT > 10, 橈骨短縮 > 2 mm, 関節面段差 (step-off)> 1 mm] をきたしていた (R2F00576 RCT). 1 ) R2F00250 McFadyen I, et al. Injury 2011;42:162 2 ) R2F00589 Karantana A, et al. J Bone Joint Surg Am 2013;95: ) R2F00259 Jeudy J, et al. Injury 2012;43:174 4 ) R2F00704 Williksen JH, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2F00023 Hollevoet N, et al. Acta Orthop Belg 2011;77:180 6 ) RF01684 Koshimune M, et al. J Hand Surg Br 2005;30:499 7 ) R2F00576 Arora R, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93: 手術療法 / プレート固定 85

103 Clinical Question 5 角度可変型 ( 多方向性 ) 掌側ロッキングプレート固定は有用か? 推奨文角度可変型 ( 多方向性 ) 掌側ロッキングプレートは多様な骨折型に有用であるが, 手術手技が若干煩雑なことに留意すべきである. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 ここでは, ロッキングスクリューの挿入方向に自由度がある角度可変型 ( 多方向 性 ) 掌側ロッキングプレート (variable angle / polyaxial locking plate:plp) につ いて検討した.PLP は開発から間もないためかエビデンスの高い文献は少ない. PLP はそのスクリュー刺入方向の自由度から, プレート設置位置にも自由度が得られ, 種々の骨折型への応用が期待されている. 高齢者や AO 分類 C3 骨折に対しては, 自由にロッキングスクリューを軟骨下や各骨片に狙って挿入でき, 関節辺縁骨折に対しては, プレートを十分な支持 (buttress) 効果が得られるように設置することも可能である. 一方, 角度固定型 ( 単方向性 ) 掌側ロッキングプレート (fixed angle locking plate / monoaxial locking plate:mlp) に比べて,X 線透視 手術時間の延長, 煩雑な手術手技, 角度安定性 ( スクリューとプレートとの間の固定力 ) の低下に伴う遠位ロッキングスクリューの使用本数の増加やそれに伴うコスト上昇, などの欠点がある. ただし,PLP と MLP との間で,X 線評価と機能評価において有意な差はない.PLP は, ノンロッキングプレート固定, 経皮的鋼線固定や創外固定と比べて固定性が高く,X 線評価も良好であることから,MLP と同様に早期の社会復帰には有用である. 以上より, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (3) 関節外と橈骨遠位端単純関節内骨折に対するPLP 群 (31 例 ) と髄内釘群 (31 例 ) を, 術後 6 週,3,12 ヵ月で比較した. 関節可動域,DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,Mayo Wrist Score は,6 週では髄内釘が良好であったが,3,12 ヵ月では有意な差はなかった.X 線評価は全期間で有意な差はなかった (R2F00758 RCT). 橈骨遠位端関節内骨折 (AO 分類 C1,2,3) に対する PLP 群 (22 例 ) と背側ロッキングプレート群 (20 例 ) を, 術後 6 週,3,6,12 ヵ月で比較した.PLP のほうが有意に良好なものは, 全期間での手関節掌背屈と握力,3 ヵ月以降の前腕回内外,6 ヵ月までの疼痛スコアであった.12 ヵ月での X 線評価では, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar 86 第 3 章治療

104 文献 tilt:pt) 以外は有意な差はなかった (R2F00894 RCT). 橈骨遠位端関節内骨折 (AO 分類 B,C1,C2) に対するPLP 群 (39 手 ) と経皮的鋼線固定群 (38 手 ) を術後 12 ヵ月で比較した.PLP 群のほうが,AO 分類 C における Mayo Wrist Score と橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) が有意に良好であったが,AO 分類 B における DASH スコア,Mayo Wrist Score と X 線評価には有意な差はなかった (R2F01152 N-RCT). 観察論文 (4) 橈骨遠位端骨折に対するPLP 群 (65 例 ) とMLP 群 (42 例 ) を術後 7 ヵ月以降 ( 他覚的評価は 4 ヵ月以降 ) で比較した.X 線評価, 疼痛 (visual analogue scale:vas), Mayo Wrist Score,DASH スコアともに有意な差はなかった (R2F00806 CCS). 橈骨遠位端骨折に対する PLP 群 (41 例 ) と MLP 群 (41 例 ) を術後 6 ヵ月以降で比較した.PT の矯正損失は MLP が有意に少なかった.Mayo Wrist Score と合併症の発生率は, 有意な差がなかった (R2J00616 CCS). 高齢者の橈骨遠位端骨折に対する PLP 群 (25 例 ) と MLP 群 (21 例 ) を術後 6 ヵ月以降で比較した.MLP 群は PT の保持が有意に良好で,PLP 群は手関節背屈, 前腕回内外の改善が有意に良好であった (R2J00085 CCS). 橈骨遠位端骨折に対するPLP 群 (32 例 ) と掌側ノンロッキングプレート群 (32 例 ) を術後 12 ヵ月で比較した.PT の矯正損失はPLPが有意に少なかったが,Mayo Wrist Score には有意な差がなかった (RJ01661 CCS). 1 ) R2F00758 Safi A, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013;38:774 2 ) R2F00894 Jakubietz MG, et al. J Orthop Surg Res 2012;7:8 3 ) R2F01152 Tronci V, et al. Acta Biomed 2013;84:38 4 ) R2F00806 Marlow WJ, et al. Acta Orthop Belg 2012;78:309 5 ) R2J00616 川崎恵吉ほか. 日手会誌 2010;26:23 6 ) R2J00085 浅野研一ほか. 骨折 2014;36:188 7 ) RJ01661 瀬戸信一朗ほか. 日手会誌 2008;25: 手術療法 / プレート固定 87

105 Clinical Question 6 掌側ロッキングプレートに骨 ( 人工骨 ) 移植は有用か? 推奨文高度に骨が脆弱な症例や骨折部に大きな空隙を生じた場合に, 骨 ( 人工骨 ) 移植は有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 掌側ロッキングプレート固定における骨 ( 人工骨 ) 移植が有用であるという研究, あるいは不要であるという比較研究の報告はわずかである. 人工骨の使用の有無により,X 線評価で有意に矯正損失を生じた, もしくは生じなかったという, 相反する報告がそれぞれ少数存在し, いまだ結論には至っていない. 以前は骨補填に対して自家骨移植が行われていたが, 最近は生体親和性, 骨伝導能に優れた人工骨が出現し, またその形状や硬度も選択可能となった. 人工骨移植は自家骨移植に比べて, 採骨に伴う合併症 ( 採骨部痛, 神経血管損傷など ) を回避でき, 人工骨の多くは将来的に自家骨に置換され, さらに固定性が増加するという, 大きな利点が存在する. 掌側ロッキングプレートの固定性が十分であることから, 橈骨遠位端骨折の全例に人工骨を使用する必要はなく, 骨粗鬆症を有する高齢者, 骨折部の空隙, 関節面および骨幹端の皮質骨の粉砕, などで必要に応じて使用されるべきである. 一方, 人工骨移植を行うことの欠点としては, コストの上昇と異物反応 ( たとえばアレルギーなど ) である点, などが考えられる. 以上より, 推奨度を 2 とした. 現在日本国内で販売されている人工骨 ハイドロキシアパタイト (hydroxyapatite:hap): 非置換材料 ( ハードタイプ ) b 型リン酸三カルシウム ( b-tricalcium phosphate:b-tcp): 吸収置換型材料 ( ハードタイプ ) a 型リン酸三カルシウム ( a-tricalcium phosphate:a-tcp): 硬化型材料 ( ペーストタイプ ) HAP+ タイプⅠコラーゲン : 複合材料 ( スポンジタイプ ) サイエンティフィックステートメント 介入論文 (1) 65 歳以上の橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行った 50 例のうち, 人工骨 (a-tcp) を移植した25 例と移植しなかった25 例を, 術後 12 ヵ月で比較した.X 線評価も機能評価, 握力, 関節可動域, 疼痛 (visual analogue scale: 88 第 3 章治療

106 文献 VAS),Mayo Wrist Score,DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアのいずれも 2 群間に差はなかった (R2F00569 RCT). 観察論文 (3) 橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行った 143 手のうち, 自家骨移植を追加した 38 手と, 骨移植をしなかった 105 手を比較した. 移植群で, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt) の矯正損失が有意に少なかったが, 関節可動域, 疼痛,Hand20 には有意な差がなかった (R2J00604 CCS). 50 歳以上の骨幹端の粉砕を伴う橈骨遠位端骨折に対して掌側ロッキングプレート固定を行った 25 手のうち, 人工骨 (HA) 移植を行った 7 例と行わなかった 18 例を比較した. 非移植群で尺骨変異 (ulnar variance:uv) が有意に増加したが, 関節可動域, 握力, 斎藤の評価に有意な差はなかった (R2F00217 CCS). CT 矢状断像上で背側に 20 mm 2 の骨欠損を生じた橈骨遠位端骨折に対して, 掌側ロッキングプレート固定を行った 24 例のうち, 人工骨移植 (a-,b-tcp) を行った 3 例と行わなかった 21 例を, 術後平均 6.8 ヵ月で比較した.X 線評価, 関節可動域, 握力,Hand20 において 2 群間に有意な差はなかった (R2J00564 CCS). 1 ) R2F00569 Kim JK, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93:609 2 ) R2J00604 渥美覚ほか. 日手会誌 2009;25:690 3 ) R2F00217 Goto A, et al. Hand Surg 2011;16:29 4 ) R2J00564 丹羽智史ほか. 東海整外外傷研会誌 2012;25: 手術療法 / プレート固定 89

107 Clinical Question 7 関節内粉砕骨折に複数プレートは有用か? 推奨文複数プレートは, 掌側ロッキングプレート単独では固定性が不十分と考えられる場合には有用であるが, 合併症には十分留意すべきである. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 橈骨遠位端骨折に対する複数プレートの使用については,Medoff の fragmentspecific fixation(fsf) 法が提唱されている. しかし, 複数プレートの有無による比較研究は少なく, エビデンスレベルも高くない. 現在本邦では,FSF 法に用いられているプレートシステムの代わりに, ほかのプレートを使用して,2 ヵ所以上の部位 ( 掌側, 背側, 橈側 ) に設置して固定する方法が報告されている. 複数プレート群は, 創外固定群や掌側ロッキングプレート単独群と比較して, その優劣は報告者によって異なっており結論は出ていない. 複数プレートを使用することは, 手技の煩雑さ, 複数部位の展開による腫脹の増大や手術時間の延長, 腱障害 ( 橈側や背側プレートによる伸筋腱 ) や神経障害 ( 橈側プレートによる橈骨神経浅枝 ), コストの上昇, などの欠点もあるが, 固定性は増加し, 特に掌側ロッキングプレートのみでは対処困難な関節内粉砕骨折例には有用である. 以上より, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (2) 65 歳以下の不安定型橈骨遠位端骨折に対して治療した FSF 群 (26 例 ) と徒手整復後の創外固定群 (24 例 ) を, 術後 1 年で比較した.DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアとX 線評価には差はなかったが, 握力, 関節可動域, 変形癒合による再手術の頻度については,FSF 群が有意に優れていた (R2F00006 RCT). 65 歳以下の不安定型橈骨遠位端骨折に対して行った FSF 群 (26 例 ) と徒手整復後の創外固定群 (24 例 ) の報告 (R2F00006) の, さらに中長期経過 ( 術後 3 ~ 7 年 ) を調査した. 術後平均 5 年で両群間のQuickDASHスコア, 握力, 可動域,X 線評価に有意な差はなかった (R2F00014 RCT). 観察論文 (2) AO 分類 C3 背側転位型橈骨遠位端骨折に対して背側 + 橈側または掌側からロッキングプレートを用いて固定した 2 枚プレート群 (22 例 ) と, 掌側のみの 1 枚プレート群 (19 例 ) を, 術後 3,6,9,12 ヵ月で比較した. 術後 3,6 ヵ月でのみ,2 枚プレー 90 第 3 章治療

108 文献 ト群は手関節背屈可動域, 握力,Gartland and Werley の評価が,1 枚プレート群は手関節掌屈が有意に良好であったが,9,12 ヵ月ではその差はなくなっていた. X 線評価は有意な差がなかった.2 枚プレート群の 1 例で反射性交感神経性ジストロフィーを,1 枚プレート群の 4 例で一過性の正中神経領域のしびれを生じていた (R2F00644 CCS). AO 分類 C3 橈骨遠位端骨折に対して角度可変型ロッキングプレートを用いた背側および橈側からの 2 枚プレート固定群 (21 例 ) と, 掌側からの 1 枚プレート群 (30 例 ) を比較した.2 枚プレート固定群のほうが橈骨長の矯正損失は有意に少なかったが, 手関節背屈可動域が有意に劣っていた (R2J00655 CCS). 1 ) R2F00006 Abramo A, et al. Acta Orthop 2009;80:478 2 ) R2F00014 Landgren M, et al. Acta Orthop 2011;82:610 3 ) R2F00644 Chou YC, et al. J Hand Surg Am 2011;36:974 4 ) R2J00655 泉山公ほか. 日手会誌 2010;27: 手術療法 / プレート固定 91

109 Clinical Question 8 掌側ロッキングプレート固定後の外固定は有用か? 推奨文掌側ロッキングプレート固定後は, 術後の疼痛緩和目的や合併損傷例では短期間の外固定が有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 掌側ロッキングプレートの固定力は良好で, 通常術後外固定を行わなくても手 術で得られた橈骨の整復位を保持することができる. しかし, 術後 6 週までの外固定の有無は関節可動域, 握力,Mayo Wrist Score,DASH(disability of the arm shoulder and hand) スコアのいずれにも影響しないことが示されている. 術後疼痛の緩和目的や尺骨茎状突起骨折 三角線維軟骨複合体損傷などの合併損傷がある場合, プレートの固定性に不安のある症例には短期間の外固定は有用であるため, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (2) 掌側ロッキングプレート固定後,1 週間外固定を行った15 例と外固定を行わなかった15 例を比較した. 術後 6 ヵ月までの評価で関節可動域, 握力,DASH スコア,X 線評価に有意差がなかった. ただし, 疼痛 (visual analogue scale:vas) に関しては外固定を行った群のほうが良好な結果であった (R2J00629 RCT). 掌側ロッキングプレート固定後, 外固定を 1 週行った群 28 例と 6 週行った群 26 例を比較した. 術後 3,6 ヵ月の両時点で関節可動域, 握力,Mayo Wrist Score,DASH スコアに両群間の有意差はなく,6 週間の外固定は術後成績に影響しなかった (RF00743 RCT). 観察論文 (3) 不安定型橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレート固定を行った 40 例中 37 例に外固定を行わず術直後から手関節可動域訓練を行った. 平均 11 ヵ月 (6 ~ 18 ヵ月 ) までに X 線評価上矯正損失はなく,Mayo Wrist Score で excellent 29 例,good 10 例,fair 1 例であり, 術直後より可動域訓練を行っても良好な臨床成績が得られた ( RJ01285 case series). 掌側ロッキングプレート固定後 2 週間の外固定を行った固定群 41 例と術後 2 日からリハビリテーションを開始した早期群 44 例を比較した. 手関節掌背屈可動域, 握力,DASH スコアの経時的変化 (4,8,12 週 ) において 2 群間に有意差はみられ 92 第 3 章治療

110 文献 なかった (R2J00580 CCS). 掌側プレート固定後 1 週間で可動域訓練を行った 14 例と,6 週間の外固定後に可動域訓練を開始した患者 9 例を比較した. 手関節背屈 40, 掌屈 40 の機能的可動域を獲得するまでの期間は早期運動群のほうが短かったが, 術後 6 ヵ月での最終的な関節可動域, 握力には有意差はなかった (R2F00339 CCS). 1 ) R2J00629 古田和彦ほか. 日手会誌 2010;26:245 2 ) RF00743 Lozano-Calderon SA, et al. J Bone Joint Surg Am 2008;90: ) RJ01285 長田伝重ほか. 日整会誌 2006;80:422 4 ) R2J00580 竹内佳子ほか. 日ハンドセラピィ会誌 2013;6:3 5 ) R2F00339 Valdes K. J Hand Ther 2009;22: 手術療法 / プレート固定 93

111 Clinical Question 9 掌側ロッキングプレートの抜去は必要か? 解説 一般に国内では内固定材料を抜去することが多いのに対し, 国外ではむしろ内 固定材料を抜去しないことが多い. 特に米国では保険制度上, 固定材料の抜去は術後合併症が発生した場合に限られ, 掌側ロッキングプレートの抜去も合併症の発生が危惧される場合に考慮される. 近年, 国内外ともに掌側ロッキングプレート固定後の屈筋腱損傷が多数報告され, プレート抜去時の術中所見より損傷原因はプレート遠位縁と屈筋腱が接触するためと考えられている. 早期のプレート抜去は屈筋腱断裂の発生回避に有用であると予想される. しかしながら, プレート抜去例を抽出した観察研究ではプレート抜去前後で臨床成績に有意な差を認めていない. しかし, 屈筋腱とプレート遠位縁の接触を示唆する所見を有し, 屈筋腱損傷が危惧される場合はプレート抜去を考慮するべきである. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (4) 不安定型橈骨遠位端骨折の手術療法に用いた掌側ロッキングプレートを抜去した24 例において, 抜去直前と抜去後 4 週目に斎藤の評価法 (1983),VAS(visual analogue scale),x 線側面像から橈骨月状骨角, 有頭月状骨角, 橈骨舟状骨角を比較検討した. プレート抜去後の臨床成績には有意な差を認めなかったが, 手関節掌屈時の VAS, 手関節掌屈可動域, 有頭月状骨角は有意 ( p<0.05) に改善していた (R2J00039 case series). 橈骨遠位端骨折に対し, 掌側ロッキングプレート固定後 6 ヵ月以上経過観察が可能であった 20 例において長母指屈筋 (FPL) 腱の腱刺激症状と腱断裂との関係について評価した. 平均年齢 61.8 歳,AO 分類 A2:4 例,A3:3 例,B1:1 例,B3:3 例, C1:4 例,C2:2 例,C3:3 例, 平均経過観察期間は 13.1 ヵ月であった. 結果,20 例中 10 例に腱刺激症状を認め, その発生時期は術後 1 ~ 8 ヵ月 ( 平均 3.1 ヵ月 ) であった. 母指自動屈曲時の疼痛, 手関節部に腱刺激症状を有した 10 例中 8 例にプレート抜去を行い,8 例中 3 例に腱の部分損傷を認めた (R2J00054 case series). 橈骨遠位部にプレートを 1 mm 以内に密着すること, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt) が 5 以上の整復固定をすること, 軟部組織によりプレート最遠位部を被覆すること, 以上の3 項目に留意し, プレート固定を施行した126 例中 36 例にプレート抜去を行った. プレート最遠位部が被覆できず,PT が 5 未満の 1 例に FPL 腱断裂を認めた (R2J00165 case series). 橈骨遠位端骨折にプレート固定を行い骨癒合後抜去した 27 例 28 手において超音波検査を行い,FPL 腱とプレートまでの距離と, プレートによる FPL 腱の圧迫の有無を調査した. さらに, プレート抜去時には FPL 腱とプレート遠位部の間の介在組織を観察し, 介在組織がない, または FPL 腱とプレートが直接接触している 94 第 3 章治療

112 ものを高リスク群, 介在物のあるものを低リスク群として調査した.FPL 腱 プ レート間の距離 ( 超音波 ) と介在組織厚 ( 術中 ) に相関関係を認めた (r =-0.619, p=0.0003). 距離 0.7 mm 未満を FPL 腱損傷の高リスクとすると, その検出感度は 95%, 特異度は 88% であり, 距離 0.9 mm 未満の感度は 100%, 特異度は 44% であっ た ( R2J00179 case series). 文献 1 ) R2J00039 古田和彦ほか. 骨折 2010;32:255 2 ) R2J00054 多田薫ほか. 骨折 2011;33:783 3 ) R2J00165 岩田勝栄ほか. 日手会誌 2011;28:5 4 ) R2J00179 平野知恵子ほか. 日手会誌 2012;29: 手術療法 / プレート固定 95

113 Clinical Question 10 掌側ロッキングプレート固定の術後合併症は? 解説 掌側ロッキングプレート固定の術後合併症について文献内に記載を認めた各合 併症とその発生頻度は以下のごとくである. 長母指伸筋 (EPL) 腱断裂 伸筋腱断裂 0 ~ 30% 1 ~ 47) 1, 3, 5, 7~12, 14, 18, 20~22, 25, 27, 30, 31, 34, 35, 38, 39, 44, 48~97) 手根管症候群 正中神経障害 0~9.9% 6, 9 ~ 12, 18, 20 ~ 25, 31, 42 ~ 44, 47 ~ 49, 53 ~ 55, 58, 59, 62, 63, 66, 長母指屈筋 (FPL) 腱断裂 0 ~ 9.3% 68 ~ 70, 73, 75, 77, 78, 82, 85, 87, 92, 94, 95, 98 ~ 155) 複合性局所疼痛症候群 (complex regional pain syndrome:crps) 反射性交感 3, 5, 8, 10, 12, 13, 21, 25, 27, 31, 34, 38, 44, 47, 50, 55, 57, 64, 68, 69, 72, 76, 77, 神経性ジストロフィー 0 ~ 8.7% 79, 82, 87 ~ 89, 97, 153, 156 ~ 165) 11, 18, 31, 39, 45, 50, 64, 71, 77, 95, 97, 136, 166 ~ 170) スクリューの関節内穿破 関節内刺入 0~7.1% 9, 10, 12, 31, 40, 44, 55, 67, 68, 70, 72, 89, 94, 97, 136, 139, 156, 160, 163, 165, 171) 感染 0 ~ 5.6% 橈骨神経浅枝障害 0 ~ 0.7% 94) 掌側プレートによる伸筋腱断裂は EPL 腱断裂の報告が多く, 総指伸筋腱, 固有示指伸筋腱断裂の報告もある 19, 36). 損傷原因はスクリューの背側突出が多い 97, 166, 168). また, 術中のドリル操作による損傷 断裂と, 骨折に伴う特発性伸筋腱断裂とを鑑別する手段はない. 神経障害については正中神経障害の報告が多いが, プレート固定によるものか, 骨折に伴う合併症や潜在していた障害かの鑑別は困難であった. その他, 橈骨神経浅枝領域の感覚障害 94), 一過性の前骨間神経麻痺の症例報告がある 125). 屈筋腱断裂では FPL 腱断裂が最も多く. 次いで示指深指屈筋腱断裂の報告が多い. 橈骨遠位掌側部の形状は関節縁に向かって弧状を呈しており, 皮質骨の峰状の隆起部位, いわゆる watershed line の中央 ~ 尺側に屈筋腱は走行する. 掌側ロッキングプレート固定後に屈筋腱断裂を生じた症例では, プレート抜去時の術中所見からプレート遠位縁と屈筋腱との接触が損傷原因であるとする報告が多い. プレートと屈筋腱との接触の要因は遠位骨片の背屈転位や短縮, プレート設置位置の不良, プレートと骨の形状の不一致, 遠位設置型掌側ロッキングプレート, プレート遠位最掌側部の軟部組織による被覆不足が示唆され, 多くの因子が関係し一要因のみに限定されていない 19, 98 ~ 124, 138). CRPSの報告は介入研究, 観察研究ともに国内より国外での報告例が多く, 平 63, 66, 82, 126 ~ 均発生率は国外 3.7%, 国内 1.3% であった. その他, インプラント折損 129), 異所性骨化 130) 131,, 肺塞栓 132), 異物残存 133), 血腫 134) の合併症報告がある. 96 第 3 章治療

114 文献 1 ) R2F00040 Sugun TS, et al. Acta Orthop Traumatol Turc 2012;46:22 2 ) R2F00073 Konstantinidis L, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2010;130:751 3 ) R2F00074 Sonderegger J, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2010;130: ) R2F00146 Valbuena SE, et al. Chir Main 2010;29:109 5 ) R2F00215 Yasuda M, et al. Hand Surg 2009;14:93 6 ) R2F00218 Sahu A, et al. Hand Surg 2011;16:113 7 ) R2F00221 Moriya K, et al. Hand Surg 2011;16:263 8 ) R2F00227 Loveridge J, et al. Hand Surg 2013;18:159 9 ) R2F00253 Matschke S, et al. Injury 2011;42:385 10) R2F00281 Johnson NA, et al. Injury 2014;45:528 11) R2F00292 Kwan K, et al. Int Orthop 2011;35:389 12) R2F00362 Phadnis J, et al. J Orthop Surg Res 2012;7:4 13) R2F00468 Osti M, et al. Orthopedics 2012;35: ) R2F00560 Gruber G, et al. J Bone Joint Surg Am 2010;92: ) R2F00712 Fowler JR, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2F00845 Kim JK, et al. Clin Orthop Relat Res 2013;471: ) R2F00998 Sugun TS, et al. J Hand Surg Eur Vol 2011;36:320 18) R2F01078 Lebailly F, et al. Eur J Orthop Surg Traumatol 2014;24:877 19) R2J00048 前田利雄ほか. 骨折 2011;33:280 20) R2J00075 森田晃造ほか. 骨折 2012;34:767 21) R2J00139 佐竹寛史ほか. 東日整災外会誌 2014;26:90 22) R2J00151 国立真以ほか. 日手会誌 2009;25:805 23) R2J00181 板寺英一ほか. 日手会誌 2012;29:246 24) R2J00192 児玉成人ほか. 日手会誌 2013;30:5 25) R2J00198 近藤秀則ほか. 日手会誌 2013;30:337 26) R2J00199 田口学ほか. 日手会誌 2014;30:492 27) R2F00296 Pretell MJ, et al. Int Orthop 2012;36: ) R2J00331 木佐貫修ほか. 骨折 2011;33:548 29) R2J00345 上野幸夫ほか. 骨折 2012;34:209 30) R2J00349 中道亮ほか. 骨折 2012;34:225 31) R2J00426 近藤秀則ほか. 整外 Surg Tech 2014;4:146 32) R2J00453 岡崎大紀ほか. 整外と災外 2014;63:44 33) R2J00475 高橋基城ほか. 中四整外会誌 2013;25:313 34) R2J00488 小田智之ほか. 中部整災誌 2010;53:27 35) R2J00495 渡邉益宜ほか. 中部整災誌 2010;53:891 36) R2J00550 國分直樹ほか. 東海整外外傷研会誌 2010;23:94 37) R2J00564 丹羽智史ほか. 東海整外外傷研会誌 2012;25:119 38) R2J00620 田口学ほか. 日手会誌 2010;26:116 39) R2J00645 岡崎真人ほか. 日手会誌 2010;27:61 40) R2J00652 川崎恵吉ほか. 日手会誌 2010;27:234 41) R2J00653 山口和男ほか. 日手会誌 2010;27:239 42) R2J00667 河本正昭. 日手会誌 2011;27:575 43) R2J00681 藤原達司ほか. 日手会誌 2011;28:203 44) R2J00695 川崎恵吉ほか. 日手会誌 2012;28:465 45) R2J00715 前田利雄ほか. 日手会誌 2012;29:242 46) R2J00741 小島安弘ほか. 日手会誌 2013;30: 手術療法 / プレート固定 97

115 47) R2J00747 大野克記ほか. 日手会誌 2013;30:48 48) R2F00010 Wilcke MK, et al. Acta Orthop 2011;82:76 49) R2F00033 Kilic A, et al. Acta Orthop Traumatol Turc 2009;43:229 50) R2F00062 Patel S, et al. Ann R Coll Surg Engl 2014;96:49 51) R2F00190 Lee SK, et al. Eur J Orthop Surg Traumatol 2013;23:407 52) R2F00257 Gong HS, et al. Injury 2011;42: ) R2F00298 Zehir S, et al. Int Orthop 2014;38: ) R2F00356 Sharma H, et al. J Orthop Sci 2014;19:537 55) R2F00367 Matschke S, et al. J Orthop Trauma 2011;25:312 56) R2F00444 Giannotti S, et al. Musculoskelet Surg 2013;97:61 57) R2F00457 Chappuis J, et al. Orthop Traumatol Surg Res 2011;97:471 58) R2F00481 Flinkkila T, et al. Osteoporos Int 2011;22: ) R2F00567 Soong M, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93:328 60) R2F00589 Karantana A, et al. J Bone Joint Surg Am 2013;95: ) R2F00606 Sato K, et al. J Hand Surg Am 2009;34:27 62) R2F00646 Yu YR, et al. J Hand Surg Am 2011;36: ) R2F00653 Richard MJ, et al. J Hand Surg Am 2011;36: ) R2F00704 Williksen JH, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2F00721 Wong TC, et al. J Hand Surg Eur Vol 2009;34:173 66) R2F00775 Figl M, et al. J Trauma 2010;68:992 67) R2F00780 Hull P, et al. J Trauma 2011;70:125 68) R2F00781 Lattmann T, et al. J Trauma 2011;70: ) R2F00894 Jakubietz MG, et al. J Orthop Surg Res 2012;7:8 70) R2F01068 Costa ML, et al. BMJ 2014;349:g ) R2F01097 Weil YA, et al. Injury 2014;45:960 72) R2F01124 Walenkamp MM, et al. Strategies Trauma Limb Reconstr 2013;8:67 73) R2F01152 Tronci V, et al. Acta Biomed 2013;84:38 74) R2F01163 Ahsan ZS, et al. Hand(N Y)2012;7:276 75) R2J00085 浅野研一ほか. 骨折 2014;36:188 76) R2J00154 佐藤光太朗ほか. 日手会誌 2010;26:30 77) R2J00210 伊藤聰一郎ほか. 日生体電気物理刺激研会誌 2013;27:25 78) R2J00231 田中聡一ほか. 臨整外 2013;48:689 79) R2J00297 森谷史朗ほか. 骨折 2010;32:244 80) R2J00313 山口和男ほか. 骨折 2010;32:693 81) R2J00329 辻英樹ほか. 骨折 2011;33:539 82) R2F00353 Abe Y,et al. J Orthop Sci 2013;18:398 83) R2J00366 吉川泰弘ほか. 骨折 2013;35:257 84) R2J00382 吉川泰弘ほか. 骨折 2014;36:184 85) R2J00401 森谷浩治ほか. 整 災外 2013;56:173 86) R2J00423 森谷浩治ほか. 整形外科 2014;65:107 87) R2J00616 川崎恵吉ほか. 日手会誌 2010;26:23 88) R2J00628 戸部正博ほか. 日手会誌 2010;26:242 89) R2J00698 牧野仁美ほか. 日手会誌 2012;28:478 90) R2J00699 佐藤光太朗ほか. 日手会誌 2012;28:571 91) R2J00707 上野幸夫ほか. 日手会誌 2012;29:67 92) R2J00710 善財慶治ほか. 日手会誌 2012;29:79 93) R2J00725 河村真吾ほか. 日手会誌 2013;29:513 94) R2J00731 三竹辰徳ほか. 日手会誌 2013;29:695 95) R2J00746 丹羽智史ほか. 日手会誌 2013;30:45 98 第 3 章治療

116 96) R2J00759 細川高史ほか. 日手会誌 2014;30:483 97) R2J00760 今谷潤也ほか. 日手会誌 2014;30:487 98) R2C00053 Bentohami A, et al. J Hand Surg Eur Vol 2013:epub 99) R2F00271 Esposito J, et al. Injury 2013;44: ) R2F00283 Meyer C, et al. Instr Course Lect 2014;63: ) R2F00293 Cui Z, et al. Int Orthop 2011;35: ) R2F00462 Wang J, et al. Orthop Traumatol Surg Res 2013;99: ) R2F01031 Asadollahi S, et al. J Orthop Traumatol 2013;14: ) R2J00103 建部将広. 整外 Surg Tech 2014;4: ) R2F00231 Chiu YC, et al. Hand Surg 2013;18: ) R2F00836 Ward JP, et al. Bull NYU Hosp Jt Dis 2012;70: ) R2F01037 Lifchez SD. Plast Reconstr Surg 2010;125:21 108) R2F01077 Cho CH, et al. Clin Orthop Surg 2012;4: ) R2F01084 Adham MN, et al. Hand(N Y)2009;4: ) R2F01146 Nagura I, et al. Kobe J Med Sci 2012;58:82 111) R2F01217 Huh SW, et al. J Plast Surg Hand Surg 2014;48: ) R2J00114 森重昌志ほか. 整外と災外 2013;62: ) R2J00128 川口誠司ほか. 中部整災誌 2010;53: ) R2J00204 原敬ほか. 日手会誌 2014;30: ) R2J00229 加藤直樹ほか. 臨整外 2013;48: ) R2J00266 大場良輔ほか. 関東整災外会誌 2009;40: ) R2J00446 山下尚寛ほか. 整外と災外 2013;62: ) R2J00492 井上淳ほか. 中部整災誌 2010;53: ) R2J00493 望月正孝ほか. 中部整災誌 2010;53: ) R2J00501 兵田暁ほか. 中部整災誌 2010;53: ) R2J00510 金澤智子ほか. 中部整災誌 2011;54: ) R2J00524 若林徹ほか. 中部整災誌 2012;55: ) R2J00585 三宅啓介ほか. 日形会誌 2012;32: ) R2J00879 緒方正明ほか. 中部整災誌 2012;55: ) R2F01012 Kanatani T, et al. Kobe J Med Sci 2012;58:96 126) R2J00353 田口学ほか. 骨折 2012;34: ) R2F00934 Khan SK, et al. Strategies Trauma Limb Reconstr 2012;7:45 128) R2J00206 後藤真一ほか. 日手会誌 2014;30: ) R2J00438 井上三四郎ほか. 整外と災外 2011;60: ) R2F00703 Ifedi BO, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2J00064 渡邊牧人ほか. 骨折 2012;34: ) R2F00113 Igeta Y, et al. BMC Res Notes 2014;7:36 133) R2F00143 Lucchina S, et al. Chin J Traumatol 2010;13: ) R2F00070 Hoang-Kim A, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2009;129: ) R2C00048 Han SL, et al. Int J Clin Pract 2012;66: ) R2F00638 Soong M, et al. J Hand Surg Am 2011;36:3 137) R2F00686 White BD, et al. J Hand Surg Am 2012;37: ) R2F01098 Dy CJ, et al. Instr Course Lect 2014;63:27 139) R2F01205 Glueck DA, et al. Hand(N Y)2009;4: ) R2J00070 辻英樹ほか. 骨折 2012;34: ) R2J00079 近藤秀則ほか. 骨折 2013;35: ) R2J00156 多田薫ほか. 日手会誌 2010;26:43 143) R2J00166 安岡寛理ほか. 日手会誌 2011;28:9 144) R2J00172 森田晃造ほか. 日手会誌 2012;28: 手術療法 / プレート固定 99

117 145) R2J00203 頭川峰志ほか. 日手会誌 2014;30: ) R2J00343 亀山真ほか. 骨折 2012;34:25 147) R2J00369 山田宏毅ほか. 骨折 2013;35: ) R2J00374 吉田紘二ほか. 骨折 2013;35: ) R2J00407 安部幸雄. 整 災外 2014;57: ) R2J00451 倉明彦ほか. 整外と災外 2013;62: ) R2J00503 山崎豊弘ほか. 中部整災誌 2010;53: ) R2J00506 大島隆司ほか. 中部整災誌 2011;54: ) R2J00523 岩田浩和ほか. 中部整災誌 2012;55: ) R2J00538 川島健志ほか. 中部整災誌 2013;56: ) R2J00647 土肥大右. 日手会誌 2010;27:70 156) R2F01117 Kato S, et al. Nagoya J Med Sci 2014;76: ) R2F00038 Orhun H, et al. Acta Orthop Traumatol Turc 2011;45: ) R2F00071 Figl M, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2009;129: ) R2F00908 Fok MW, et al. J Wrist Surg 2013;2: ) R2F01105 Jorge-Mora AA, et al. J Hand Microsurg 2012;4:50 161) R2J00283 佐竹信爾ほか. 骨折 2009;31: ) R2F00335 Dhainaut A, et al. J Clin Densitom 2010;13: ) R2J00336 上野幸夫ほか. 骨折 2011;33: ) R2J00596 太田剛ほか. 日手会誌 2009;25: ) R2J00685 上野幸夫ほか. 日手会誌 2012;28: ) R2F00962 Pace A, et al. J Hand Surg Am 2010;35: ) R2J00362 今谷潤也ほか. 骨折 2013;35:20 168) R2J00722 長谷川康裕ほか. 日手会誌 2013;29: ) R2J00723 森谷史朗ほか. 日手会誌 2013;29: ) R2J00767 神田俊浩ほか. 日手会誌 2014;30: ) R2J00043 川崎恵吉ほか. 骨折 2011;33: 第 3 章治療

118 Clinical Question 掌側ロッキングプレート固定に合併する腱損傷の 11 診断に対して, 超音波検査は有用か? 解説 超音波検査は腱の形態, 滑走, 周囲組織の状態の観察が可能である. 腱損傷を有 する症例において, プレート抜去前の超音波検査で得られた所見と術中の肉眼的所見は一致しており, 有用である. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (4) 橈骨遠位端骨折にプレート固定を行い骨癒合後抜去した 27 例 28 手に超音波検査を行い, 長母指屈筋 (FPL) 腱とプレートまでの距離と, プレートによる FPL 腱の圧迫の有無を調査した. さらに, プレート抜去時には FPL 腱とプレート遠位部の間の介在組織を観察し, 介在組織がない, または FPL 腱とプレートが直接接触しているものを高リスク群, 介在物のあるものを低リスク群として調査した.FPL 腱 プレート間の距離 ( 超音波 ) と介在組織厚 ( 術中 ) に相関を認めた. 距離 0.7 mm 未満を FPL 腱損傷の高リスクとすると, その検出感度は95%, 特異度は88% であり, 距離 0.9 mm 未満の感度は 100%, 特異度は 44% であった (R2J00179 case series). 橈骨遠位端骨折に掌側ロッキングプレート固定を行った 30 例 30 手を対象とした. 術後超音波検査でインプラントの設置状態を, 近位設置型 7 例, 近位突出型 15 例, 遠位設置型 8 例に分類し,FPL 腱とインプラントの位置関係および腱の圧排の有無を検討した. 骨折型は AO 分類で A3:12 例,B3:6 例,C1:3 例,C2:3 例, C3:6 例であった.FPL 腱とインプラントの最小距離は遠位設置型で有意に小さく, FPL 腱とインプラントの接触は近位設置型では認めず, 近位突出型で 6 例 (40%), 遠位設置型で5 例 (62.5%) に認めた.FPL 腱のインプラントによる圧排は, 遠位設置型の 5 例のみに認め, うち 1 例でプレート抜去時に FPL 腱が部分断裂していた ( R2J00343 case series). 橈骨遠位端骨折に掌側ロッキングプレート固定を行った 20 例において, プレート抜去前と抜去後 3 週目に前腕回外 手関節軽度背屈位での超音波長軸像を観察した. また, 母指屈伸時のプレートと FPL 腱による轢音の有無を観察した. 平均年齢 59.7 歳, 骨折型は AO 分類 A3:1 例,B2:1 例,C1:12 例,C2:5 例,C3:1 例であった. 結果,20 例中 13 例に FPL 腱の圧排を,2 例に轢音を認めた. 轢音を認めた 2 例中 1 例でプレート抜去時の術中所見において FPL 腱と示指深指屈筋腱の部分断裂を認めた (R2J00647 case series). 橈骨遠位端骨折に対し, 掌側ロッキングプレート固定を行った 30 例のうち, 母指指節間 (IP) 関節の深屈曲時に FPL 腱走行部の不快感, 摩擦感, 引っ掛かり, いずれかの症状を有した 5 例 ( 平均年齢 45.2 歳 ) と前述の症状を有さない 25 例 ( 平均年齢 60.3 歳 ) を対象とした. 超音波短軸像によるプレート最掌側部位から FPL 腱までの距離, 単純 X 線側面像によるプレート最掌側部位と橈骨最掌側縁までの距離を 3.3. 手術療法 / プレート固定 101

119 計測し比較検討した. 超音波短軸像から得たプレート最掌側部位と FPL 腱の距離 が 0.5 mm の場合, 感度 80% 特異度 84% でともに高く, 単純 X 線側面像から得ら れた最掌側部位と橈骨最掌側縁までの距離の感度 60% 特異度 40% より優れてい た ( R2J00776 case series). 文献 1 ) R2J00179 平野知恵子ほか. 日手会誌 2012;29:229 2 ) R2J00343 亀山真ほか. 骨折 2012;34:25 3 ) R2J00647 土肥大右. 日手会誌 2010;27:70 4 ) R2J00776 服部惣一ほか. 日整外超音波研会誌 2012;23: 第 3 章治療

120 3.4. その他の骨折, 治療法 Clinical Question 1 超音波パルスや電気刺激は骨癒合促進に有用か? 推奨文超音波パルス, 電気刺激ともに骨癒合の促進に有用であり, 使用を考慮してもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 超音波パルスや電気刺激は骨癒合を促進し, 遷延治癒例や新鮮骨折の治療に使 用されている. 橈骨遠位端骨折に使用する場合には, 創外固定やギプスなどの外固定除去時期を早める効果がある. また, 電気刺激は浮腫の軽減や早期の機能回復に有用とされている. ただし, 橈骨遠位端骨折の発生部位は海綿骨の豊富な骨幹端部であり, 遷延癒合例自体が少ない. また費用対効果を考慮すると適応が開放骨折や高度粉砕骨折例などに限られるため, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (3) 背屈転位型の橈骨遠位端骨折に対し徒手整復 ギプス固定で治療した 60 例 61 手において 30 手に超音波パルスを使用し,31 手はプラセボ対照群とした.1 日 20 分, 10 週間使用し, 骨癒合までの期間は超音波使用群 (61 ± 3 日 ) がプラセボ群 (98 ± 5 日 ) より有意に短かった. 超音波使用群では矯正損失がプラセボ群より少なかった ( RF00687 RCT). 喫煙の有無における超音波治療の有用性について検討した. 徒手整復, ギプス固定で治療した橈骨遠位端骨折の骨癒合期間は, 超音波治療群ではプラセボ対照群と比較し喫煙者で 51%, 非喫煙者で 34% の期間短縮が得られた (RC00050 RCT). 閉経後女性の橈骨遠位端骨折に対しギプス固定治療中の電気刺激の有用性を調査した. 関節外骨折 60 例のうち 30 例に 10 日間電気刺激を行い, 刺激を行わない対照群と比較した. ギプス除去後 2 ~ 3 日間の疼痛, 手の周囲径, 手関節, 前腕の可動域, 合併症を調査したところ, 刺激群は浮腫の軽減, 手関節掌背屈, 前腕の回外の可動域改善に有用であった (R2F00515 RCT). 観察論文 (1) 高齢者の関節内粉砕骨折に対し, 交流電気刺激付き創外固定 (45 例 ) の仮骨形成の観察と, 掌側ロッキングプレート固定 (71 例 ) と比較した橈骨短縮量を検討した. 電気刺激群において 3 ~ 4 週で仮骨を観察し, 通常の骨折治癒過程より早いと判 3.4. その他の骨折, 治療法 103

121 断した. 橈骨短縮量は創外固定が掌側ロッキングプレート固定に比し有意に小さ かった (R2J00210 case series). 文献 1 ) RF00687 Kristiansen TK, et al. J Bone Joint Surg Am 1997;79:961 2 ) RC00050 Cook SD, et al. Clin Orthop Relat Res 1997;337:198 3 ) R2F00515 Lazovic M, et al. Srp Arh Celok Lek 2012;140:619 4 ) R2J00210 伊藤聰一郎ほか. 日生体電気物理刺激研会誌 2013;27: 第 3 章治療

122 Clinical Question 2 髄内釘固定は有用か? 推奨文髄内釘は, 適応を選べば有用であり行うことを提案する. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 ここでいう髄内釘とは, 本邦で唯一使用可能な MICRONAIL (Microport Orthopaedics, Japan) である. 髄内釘固定は関節外骨折, 単純関節内骨折に選択すればギプス固定より臨床成績が優れており, 掌側ロッキングプレート固定とほぼ同等の治療成績が得られる. ただし, 橈骨神経浅枝障害は合併症として注意する必要がある. また, 抜釘は困難であり, 骨癒合後に抜釘の必要性を考慮する患者に対する使用は慎重に検討しなければならない. したがって, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (2) 不安定型橈骨遠位端骨折に対し,non-bridging 創外固定 (30 例 ) と髄内釘固定 (31 例 ) を比較した. 術後 12 週の時点で DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア, 患者満足度,X 線評価上の整復位に差はなく, 握力は髄内釘固定が優れていた. 手術時間は創外固定が有意に短かった (R2F00902 RCT). 関節外, 単純関節内骨折に対し髄内釘固定 (31 例 ) と角度可変型掌側ロッキングプレート固定 (31 例 ) の治療成績を比較した. 術後 6 週,3,12 ヵ月で X 線検査, 関節可動域,DASH スコア,Mayo Wrist Score を評価した.6 週では髄内釘固定のほうが関節可動域,DASH スコア,Mayo Wrist Score において優れ,3 および 12 ヵ月では有意差はなかった. 髄内釘の欠点は橈骨神経浅枝障害と, 適応が限定されることである (R2F00758 RCT). 観察論文 (2) 髄内釘固定 (31 例 ) とギプス固定 (32 例 ) による不安定型橈骨遠位端関節外骨折および単純関節内骨折における治療成績を比較した. 握力, 関節可動域,X 線検査, DASH スコア, 合併症について 1,2,4,6,12 ヵ月で観察した. 手関節掌背屈は髄内釘固定において2,6,12 ヵ月時点で有意に良好であった. 経過を通して握力, DASH スコアは髄内釘固定が有意に良好であった. 転位, 合併症はギプス固定に有意に多く発生していた (R2F00969 CCS). 橈骨遠位端関節外骨折, 単純関節内骨折 (AO 分類 A3, C1, C2) に対する髄内釘固定 (52 手 ), 掌側ロッキングプレート固定 (40 手 ), ギプス固定 (46 手 ) の治療成績を 3.4. その他の骨折, 治療法 105

123 比較した. 髄内釘固定, 掌側ロッキングプレート固定の整復位維持は良好で, ギプ ス固定では有意な矯正損失を認めた. 関節可動域, 握力,Mayo Wrist Score は髄内 釘固定および掌側ロッキングプレート固定において良好で, ギプス固定では劣っ ていた (R2J00706 CCS). 文献 1 ) R2F00902 Schonnemann JO, et al. J Plast Surg Hand Surg 2011;45:232 2 ) R2F00758 Safi A, et al. J Hand Surg Eur 2013;38:774 3 ) R2F00969 Tan V, et al. J Hand Surg Am 2012;37:460 4 ) R2J00706 黒田司. 日手会誌 2012;29: 第 3 章治療

124 Clinical Question 3 合併する遠位橈尺関節不安定症の診断と治療は? 解説 遠位橈尺関節 (distal radioulnar joint:druj) の不安定性の診断について, 主 観的評価として徒手検査法である DRUJ ballottement test がある. 画像診断では, X 線検査,CT,MRI, 関節造影, 関節鏡がある. 橈骨遠位端骨折に合併する急性のDRUJ 不安定症の原因には橈骨尺側切痕 (sigmoid notch) や尺骨頭の骨折, 三角線維軟骨複合体 (triangular fibrocartilage complex:tfcc) 損傷や尺骨茎状突起骨折があるが, これらのすべてが DRUJ の不安定性に関与するわけではない. 橈骨遠位端骨折の整復固定後に徒手検査法で DRUJ の不安定性を認める際には尺骨骨折の骨接合や TFCC 断裂の修復術を考慮すべきであるが, 術中の評価は徒手検査,X 線検査に限られ, 客観的かつ正確に不安定性を評価できないことが, 手術療法の必要性を明確に決定できない要因である. 術前の X 線で, 遠位骨片の橈側への転位, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) の減少, 高度の橈骨短縮, 尺骨茎状突起骨片の橈側への 4 mm 以上の転位は,TFCC の尺骨小窩断裂, ひいては DRUJ の不安定性を示唆させる所見と報告されている. また, 尺骨茎状突起基部あるいは骨幹部骨折にはTFCC 尺骨小窩断裂が合併することや,TFCC 自体が骨片に付着している可能性がある. これらの所見より, 術前に DRUJ の不安定性を疑い, 術中に徒手検査とともに DRUJ への関節鏡で尺骨小窩部分を鏡視して判断するのが確実と考える. 不安定性を認めれば尺骨の骨接合や TFCC の縫合を考慮するが, その方法, 時期ともに, エビデンスのある報告はない. 慢性期の DRUJ 障害として, 橈骨遠位端変形治癒では橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt:dt)25 以上, 短縮 5 mm 以上で DRUJ の機能障害がおこるとされている. 治療としては TFCC 再建術, 尺骨短縮術,Sauvé-Kapandji(S-K) 法や Darrach 法, 棚形成術などが行われている.S-K 法や Darrach 法, 棚形成術は DRUJ 関節面の破壊が著しい場合に適応となる救済手術であり, 除痛効果や術後の回旋運動の改善は得られるものの, 青壮年者では長期成績がよくないとの報告もある. サイエンティフィックステートメント 画像診断では,DRUJ の関節適合性は CT によって良好に描出できる.TFCC 損傷の診断は関節造影,MRI では正確な部位診断は不十分であり, 関節鏡が最良とされ, 橈骨遠位端骨折時にも関節鏡検査が必要である.TFCC 損傷に伴う DRUJ 不安定症は修復により良好な治療成績が報告されているが, 治療が不必要とする意見もある.DRUJ の安定機構とその障害は様々であり, 障害の治療の必要性も明らかになっていない (RF00073 review) その他の骨折, 治療法 107

125 1 診断観察論文 (3) 51 例の橈骨遠位端骨折 ( 平均年齢 41 歳 ) において,43 例に TFCC の断裂を認めた (24 例 : 周辺部,10 例 : 実質部,9 例 : 周辺部と実質部の合併 ).1 年後, 周辺部断裂 11 例のうち10 例にDRUJの不安定性を認めた. これらの最終成績はGartland and Werley の評価にて不良な傾向にあった. この不安定性は X 線検査では診断できなかった. 尺骨茎状突起骨折の合併あるいはその偽関節はむしろ不安定性のない群に多かった (RF00931 case series). DRUJ 不安定症の診断には CT が用いられ,epicenter method, radioulnar line method, modified radioulnar line method の 3 つがその判定方法として提唱されているが, いずれの方法も症状と関連しない偽陽性が多く, 両側を撮影することと身体所見との対比が重要である (RF00361 case series). 橈骨遠位端骨折における骨片の転位の程度, 尺骨茎状突起骨折の有無と TFCC 尺骨小窩断裂との関連を 29 例において X 線所見と鏡視所見にて検討した. 遠位骨片の橈側への転位,RI の減少, 橈骨短縮の増大, 尺骨茎状突起骨片の橈側への 4 mm 以上の転位は TFCC 尺骨小窩断裂を示唆させる所見であった. 橈側転位はロジスティック回帰分析にて独立した危険因子であった.DT, 尺骨変異は TFCC 尺骨小窩断裂とは相関していなかった (R2F00427 case series). 2 治療観察論文 (5) 骨粗鬆のない橈骨遠位端骨折 76 例において DRUJ 不安定性のみられた 27 例の成績は疼痛 (visual analogue scale:vas),gartland and Werley の評価において不良であった.17 例に DRUJ の疼痛を認めた. この不安定性は X 線検査では証明できなかった (RF00351 CCS). 橈骨遠位端関節内骨折において,DRUJ の解剖学的整復が不十分な場合, 手関節の機能低下の原因になっていた. また, 尺骨茎状突起骨折の合併は DRUJ における機能障害を引き起こす一因となっていた (RF01096 case series). 橈骨遠位端骨折に合併した DRUJ 不安定症 30 例の治療成績を調査した. 橈骨は掌側ロッキングプレートで固定し,TFCC は直視下修復を行った. 平均 43 ヵ月の追跡調査では Gartland and Werley の評価にて excellent 88.6%, good 5.7%, fair 5.7% であった (R2F00521 case series). 橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレート固定を行い, 術中に尺骨頭の不安定性を評価した84 例を12 ヵ月以上追跡調査した. 術後は4 週間の外固定を行った.84 例中 19 例に尺骨頭の不安定性を認め,65 例において安定していた. これら 2 群間に可動域, 握力,Mayo Wrist Score,DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,VAS で有意差はなかった (R2F00375 cohort study). S-K 法は有用ではあるが, 絶対的ではない. 術後の前腕回旋運動の改善は明らかであるが, 疼痛の改善は確実ではない. 職場復帰は, 重労働に従事している人ほど復帰が困難であった. 特に青壮年者で成績が悪く, 手関節に大きな負担のかかる青壮年者に対する S-K 法の適応は限られたものである (RF00771 case series). 108 第 3 章治療

126 文献 1 ) RF00073 Lindau T, et al. Acta Orthop Scand 2002;73:579 2 ) RF00931 Lindau T, et al. J Hand Surg Am 2000;25:464 3 ) RF00361 Pan CC, et al. Clin Orthop Relat Res 2003:148 4 ) RF00351 Lindau T, et al. Clin Orthop Relat Res 2000:229 5 ) RF00771 Carter PB, et al. J Bone Joint Surg Br 2000;82: ) RF01096 Stoffelen D, et al. J Hand Surg Br 1998;23:507 7 ) R2F00521 Argintar E, et al. Tech Hand Up Extrem Surg 2010;14:226 8 ) R2F00427 Nakamura T, et al. J Wrist Surg 2014;3:12 9 ) R2F00375 Kim JK, et al. J Orthop Trauma 2013;27: その他の骨折, 治療法 109

127 Clinical Question 4 合併する TFCC 損傷は治療すべきか? 推奨文合併する TFCC 損傷すべてを修復する必要はなく,DRUJ の不安定性を認める場合には縫合することを考慮してもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 橈骨遠位端骨折に合併する三角線維軟骨複合体 (triangular fibrocartilage complex:tfcc) 損傷の頻度は骨折型を問わずおよそ 60% 程度と報告されている. 実質部の断裂は放置してもかまわず, 後日, 手関節尺側部痛が発現したら手術を考慮する. 周辺部断裂のうち, 尺骨小窩断裂は遠位橈尺関節 (distal radioulnar joint: DRUJ) の不安定性をきたし, 長期的に治療成績の不良をきたすため, 一期的に修復を勧める意見もある. しかし手関節鏡で TFCC 尺骨小窩断裂を確認し, なおかつ前向き研究にて治療, 非治療を比較検討した文献はなく, 一期的縫合の必要性についてのエビデンスに乏しい. その他の周辺部断裂については, 一期的修復は非修復と比較し成績は良好であったとするものの, 観察論文であり, やはりエビデンスに乏しい. したがって推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (1) 尺骨茎状突起骨折を伴った橈骨遠位端関節外骨折 41 例に対し,2 年間の追跡調査を行った.22 例は橈骨を徒手整復後, ギプス固定を行い,19 例は橈骨を徒手整復後, 尺骨茎状突起骨折を固定し TFCC 断裂を縫合あるいは放置とした.2 群間に有意差はなく, 橈骨の関節外骨折において TFCC 損傷を修復する優位性はない (RF00047 RCT). 観察論文 (10) 橈骨遠位端骨折 86 例 ( 平均年齢 52.1 歳 ) に対し2 年 6 ヵ月の追跡調査を行った. TFCC 損傷合併は42 例で, このうち1 26 例は実質部断裂で放置,2 11 例は尺骨茎状突起骨折とTFCC 尺骨茎状突起からの剝離断裂で骨折を引き寄せ鋼線締結 (tension band wiring) にて固定,3 5 例は骨折がなく,TFCC 尺骨茎状突起からの剝離断裂で鏡視下縫合を行った.1 は2,3 と比較し機能評価は有意に良好であり,TFCC 実質部損傷は放置してもよい (RJ01089 case series). 橈骨遠位端骨折 59 例のうちDRUJ 不安定性を認めTFCC 損傷部を縫合した群 13 例, 損傷は認めたものの DRUJ の不安定性はなく縫合しなかった群 32 例, 損傷を認 110 第 3 章治療

128 めなかった群 14 例の 3 群を比較検討した. 尺側部痛は縫合群で少なかった.DRUJ 不安定性の残存は放置群, 非損傷群の 6 ~ 7% に残存したものの症状との関連は不明であった (R2J00193 CCS). 掌側ロッキングプレート固定を行い,TFCC 損傷のPalmer 分類 1B を合併していた 35 例 ( 追跡期間は 33.5 週 ) を対象とした. 内訳は尺骨茎状突起骨折のみ 16 例, 尺骨茎状突起骨折に TFCC 1D 損傷を合併した 2 例, 尺骨小窩断裂を合併した 10 例, 尺骨茎状突起骨折と TFCC 尺骨小窩断裂 7 例であった. これらに対し尺骨茎状突起骨折は引き寄せ鋼線締結を行い,TFCC 尺骨小窩断裂は縫合した. 尺側部痛は 3 例に残存し, 斎藤の評価では excellent 31 例,good 4 例であった (R2J00145 case series). 掌側ロッキングプレート固定を行い TFCC 周辺部断裂を合併していた 23 例 ( 平均年齢 61 歳 ) を対象とした. 内訳は尺骨茎状突起からの剝離断裂 16 例 ( 縫合 3 例 ), 尺骨小窩断裂 3 例 ( 縫合 3 例 ), 橈側部断裂 2 例 ( 経皮的鋼線固定 1 例, ギプス固定 1 例 ), 遠位部断裂 1 例 ( 放置 ), 背側部 ~ 尺骨茎状突起からの剝離断裂 1 例 ( 縫合 ) であった. 21 例の Mayo Wrist Score による成績は excellent 18 例,good 3 例であった.Good の 3 例はすべて放置群であり, 不良例をつくらないという観点から縫合は有意義と考えられた (R2J00084 case series). 橈骨遠位端骨折 91 例 ( 橈骨の骨接合はロッキングプレート 87 例,non-bridging 創外固定 2 例, 経皮的鋼線固定 2 例 ) を 4 群に分類した. 内訳は1 TFCC 剝離損傷と尺骨茎状突起骨折に経皮的鋼線固定 16 例,2 TFCC 断裂のみを縫合した 16 例,3 尺骨茎状突起骨折のみを外固定 16 例,4 TFCC 損傷, 尺骨茎状突起骨折ともになし 43 例であった.123は術後 3 週間, 外固定を行った.4 群間で疼痛, 機能評価に有意差はなかった (R2J00066 case series). 橈骨遠位端骨折に合併した TFCC 損傷放置例の長期経過を調査した.38 例を 13 ~ 15 年間追跡した. 握力は不安定群が 83%, 安定群が 103% であった.Gartland and Werley の評価は不安定群で 5, 安定群で 1,DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアは不安定群 14 に対し安定群 5 であった (R2F00681 case series). 掌側ロッキングプレート固定 38 例 ( 平均年齢 73.4 歳 ) に対し, 平均経過観察期間 24.4 週の追跡調査を行った. 尺骨茎状突起骨折は 22 例に, 尺骨遠位部骨折は 4 例に合併していた.TFCC 損傷は 34 例 (89%) に合併しており, 内訳は Palmar 分類 2C 2 例, 尺骨茎状突起骨折のみ 5 例, 尺骨小窩断裂 4 例, 尺骨茎状突起骨折と尺骨小窩断裂 4 例, 尺骨茎状突起骨折と 2C 断裂 2 例, 尺骨茎状突起骨折と TFCC 橈側部分断裂 3 例,1D 断裂 14 例であった. これらの治療成績は握力 73% で, 斎藤の評価にて excellent 35 例,good 3 例であった (R2J00013 case series). 掌側ロッキングプレート固定 41 例 ( 平均年齢 58.1 歳 ) のうち,TFCC 損傷合併 30 例, 合併なし 11 例を調査した.41 例のうち尺骨茎状突起骨折を合併したのは 26 例 (64%) で, このうち TFCC 損傷は 21 例に合併していた.TFCC 損傷の内訳は穿孔 14 例, 橈側縁断裂 11 例, 尺骨小窩断裂 8 例で, 尺骨小窩断裂は縫合した. 最終成績は Mayo Wrist Score にて 83.5 点であった (RJ01534 case series). 橈骨遠位端骨折 60 例 ( 平均年齢 59 歳 ) において TFCC 損傷合併の傾向を調査した. TFCC 断裂の合併は 37 例 (61.7%) で, このうち外傷性断裂は 27 例 (Palmer 分類 1A:21 例,1B:2 例,1A+1B:3 例,1D:1 例 ), 変性断裂は 10 例であった.TFCC 3.4. その他の骨折, 治療法 111

129 文献 損傷なしあるいは治療例の握力は健側比 86% に対し, 損傷あり, 未治療例の握力は 73% と有意に劣っていた (RJ01236 case series). 橈骨遠位端骨折 264 関節のうち TFCC 損傷の合併は 162 関節 (61.4%) であった. このうち外傷性断裂は 106 関節 (40.2%) であった.TFCC 実質部断裂は搔爬し, 背側部, 尺骨茎状突起剝離断裂は関節包縫合を行い, 尺骨小窩断裂は修復した. 橈骨遠位端骨折に掌側ロッキングプレート固定を行った145 例のMayo Wrist Scoreは excellent 112 例,good 31 例,fair 2 例であった (R2J00407 case series). 1 ) RF00047 af Ekenstam F, et al. Acta Orthop Scand 1989;60:393 2 ) RJ01089 河野正明ほか. 日手会誌 2002;18:564 3 ) R2J00193 領家幸治ほか. 日手会誌 2013;30:26 4 ) R2J00145 森谷浩治ほか. 日手会誌 2009;25:361 5 ) R2J00084 安部幸雄. 骨折 2014;36:179 6 ) R2J00066 小原由紀彦ほか. 骨折 2012;34:475 7 ) R2F00681 Mrkonjic A, et al. J Hand Surg Am 2012;37: ) R2J00013 森谷浩治.MB Orthop 2010;23:65 9 ) RJ01534 小原由紀彦ほか. 埼玉医会誌 2008;43:313 10) RJ01236 安部幸雄. 日手会誌 2006;23:868 11) R2J00407 安部幸雄. 整 災外 2014;57: 第 3 章治療

130 Clinical Question 5 合併する尺骨茎状突起骨折に内固定は有用か? 推奨文 DRUJ の不安定性がある場合には内固定を行うことを考慮してもよい. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 尺骨茎状突起骨折に対する内固定を考慮する際, 最も重要となる判断基準 は遠位橈尺関節 (distal radioulnar joint:druj) の不安定性である. 尺骨茎状突起基部あるいは骨幹端部を含んだ骨折には三角線維軟骨複合体 (triangular fibrocartilage complex:tfcc) が骨片に付着している可能性がある. 橈骨遠位端骨折に対してまず骨接合を行ったのちに, 術中 DRUJ の不安定性を徒手検査などで精査する. 診断については CQ3-4-3 を参照されたい. 明らかな健側との差を認めた場合, まず尺骨茎状突起基部あるいは骨幹端部を含んだ骨折に対し骨接合を行う. どのような固定法がよいか, に関するエビデンスはない. 骨接合後も不安定性が残存しているようであれば TFCC 損傷の修復を考慮する. しかしすべての DRUJ 不安定性が愁訴を生じるわけではなく, また橈骨に対しロッキングプレート固定を行えば, たとえ DRUJ に不安定性を認めても成績は良好であったとする報告もあり, 上記処置の適応は限定的であるべきかもしれない ( 青壮年, 利き手などに適応となる ).DRUJ に不安定性を認めない尺骨茎状突起骨折はたとえ偽関節になってもほとんど愁訴がみられないとされているが, 時に疼痛の原因となることもしばしば経験するところである. 総じて, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 橈骨遠位端骨折を掌側プレート ( ノンロッキングかロッキングかの記載なし ) で固定したあと,DRUJ が安定していれば尺骨茎状突起骨片の大きさにかかわらず内固定は行わない. 不安定性があれば内固定を行うか, もしくは前腕回外位で安定性が得られれば, 前腕回外位での外固定を行う. ただし, 今後の無作為化試験が必要と述べている (R2F01046 review). 観察論文 (4) 橈骨遠位端骨折における骨片の転位の程度, 尺骨茎状突起骨折の有無と TFCC 尺骨小窩断裂との関連を 29 例において X 線所見と鏡視所見にて検討した. 遠位骨片の橈側への転位, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) の減少, 橈骨短縮の増大, 尺骨茎状突起骨片の橈側への 4 mm 以上の転位は,TFCC 尺骨小窩断裂を示 3.4. その他の骨折, 治療法 113

131 文献 唆させる所見であった. 橈側転位はロジスティック回帰分析にて独立した危険因子であった. 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt), 尺骨変異 (ulnar variance: UV) は TFCC 尺骨小窩断裂とは相関しなかった (R2F00427 case series). 118 例の掌側ロッキングプレート固定において 50 例は尺骨茎状突起骨折がなく,41 例は基部骨折を,27 例は先端部の骨折を合併していた. この3 群間において臨床的,X 線学的において最終成績に有意差はなかった. 最終的に 5 例 (4.2%) に尺側部痛を認めたが, 尺骨茎状突起偽関節と尺側部痛の関連性を認めず, 橈骨の短縮に伴う UV の増加が尺側部痛の原因となっていた (R2F00948 CCS). 橈骨遠位端骨折を掌側ロッキングプレートにて固定する際に, 合併する尺骨茎状突起基部骨折を固定した20 例と, 放置した28 例の2 群間で, 関節可動域, 握力, DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア, 尺側部痛の有無,Mayo Wrist Score を比較した.Mayo Wrist Score にて excellent は固定群 15 例, 放置群 21 例,good は固定群 5 例, 放置群 7 例で差がなく, またその他の項目でも 2 群間で有意差を認めなかった. ただし,12 週までの記録では放置群が固定群と比較し握力で有意に優れていた (R2F00225 CCS). 橈骨遠位端骨折を尺骨茎状突起骨折の合併, 治療に応じて 3 群に分類し比較した. 内訳は1 尺骨茎状突起骨折なし, 橈骨は経皮的鋼線固定あるいは創外固定 (30 例 ), 2 尺骨茎状突起骨折あり, 橈骨は創外固定 (31 例 ),3 尺骨茎状突起骨折あり, 橈骨は経皮的鋼線固定 (30 例 ), であった. 術後 24 ヵ月の時点で尺骨茎状突起骨折を合併した群は, 橈骨遠位端骨折単独群と比較して疼痛,DASH スコアにおいて不良であった. この結果は尺骨茎状突起の骨折型とは関連性はなかった. 尺骨茎状突起骨折を合併した症例は軟部組織損傷がより重度なため, この結果になったと考えられた ( R2F00891 CCS). 1 ) R2F01046 Wysocki RW, et al. J Hand Surg Am 2012;37:568 2 ) R2F00427 Nakamura T, et al. J Wrist Surg 2014;3:12 3 ) R2F00948 Zenke Y, et al. J Bone Joint Surg Br 2009;91:102 4 ) R2F00225 Zenke Y, et al. Hand Surg 2012;17:181 5 ) R2F00891 Belloti JC, et al. J Orthop Sci 2010;15: 第 3 章治療

132 Clinical Question 6 合併する尺骨遠位端骨折に内固定は有用か? 推奨文内固定あるいは一期的切除を考慮してもよいが明確な推奨はできない. 推奨の強さエビデンス総体の総括 3( なし ) D( とても弱い ) 解説 尺骨遠位端骨折の手術療法の必要性は尺骨茎状突起骨折同様, 遠位橈尺関節 (distal radioulnar joint:druj) の不安定性の有無が適応の判断となる. 内固定材 料として様々なプレートが使用されているが, 材料による優劣を示したエビデンスはない. 高齢者においては橈骨の骨接合とともに尺骨遠位端の一期的切除により良好な成績が得られることもある. さらに高齢者においては橈骨のみ骨接合を行い, 尺骨は術後 2 週間程度の外固定により良好な成績を得ることもある. 以上より合併する尺骨遠位端骨折に対する内固定を推奨する明確な根拠はない. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (3) 手術療法を行った橈骨遠位端骨折に合併した尺骨遠位端骨折 41 例に対して 4 ヵ月以上の追跡調査を行った. 内訳は尺骨茎状突起骨折 37 例, 尺骨頭 骨幹端部骨折 4 例であった. このうち尺骨頭 骨幹端部骨折の 1 例のみ内固定を行い, あとは放置した. 茎状突起骨折の 22 例で偽関節となった. 最終成績は Mayo Wrist Score にて excellent 5 例,good 30 例,fair 5 例,poor 1 例であった. 尺側部痛と尺骨茎状突起骨折偽関節との関連性はなかった. 橈骨遠位端骨折に合併した尺骨遠位端骨折の治療は,DRUJ の高度の不安定性をきたす例, 尺骨の骨片の高度の不安定性を示す例, DRUJ の関節面段差 (step-off) を認めた例以外に内固定は不要であった (R2J00721 case series). 尺骨遠位端の粉砕骨折を伴った70 歳以上の橈骨遠位端骨折 23 例に対し, 掌側ロッキングプレート固定とともに尺骨遠位端切除を行った. 平均 19 ヵ月の追跡調査において, 最終の平均値は前腕回内外可動域 164, 握力健側比 69% となり, 全例 ADL(activities of daily living) は受傷前のレベルに復帰した.Gartland and Werley の評価にて excellent 15 例,good 8 例であった. 高齢者では尺骨遠位の一期的切除術の成績は良好であった (R2F00760 case series). 65 歳以上の橈骨遠位端骨折に合併した不安定型尺骨遠位端骨折の治療成績を調査した. 橈骨は掌側ロッキングプレートにて固定した. 最初の 29 例は尺骨遠位端骨折をノンロッキングプレートで固定し, 後半の 32 例は放置した. 手術例は術後 2 週 3.4. その他の骨折, 治療法 115

133 間シーネ固定を行い, 続く 1 週間は着脱可能なスプリントで固定した. 尺骨の非手 術例は術後 4 週間, 上腕からのギプス固定を行った. 両群の最終成績に有意差はな く,DRUJ の関節症変化もなかった. 非手術群で 1 例に変形治癒を認めたが, 成績 は Gartland and Werley の評価にて good であった.65 歳以上では橈骨遠位端骨折 に合併した尺骨遠位端骨折は保存的に治療可能であった (R2F00690 CCS). 文献 1 ) R2J00721 大塚純子ほか. 日手会誌 2013;29:485 2 ) R2F00760 Yoneda H, et al. J Hand Surg Eur 2014;39:293 3 ) R2F00690 Cha SM, et al. J Hand Surg Am 2012;37: 第 3 章治療

134 Clinical Question 7 合併する手根骨間靱帯損傷は治療すべきか? 推奨文靱帯修復を行うことを考慮してもよいが明確な推奨はできない. 推奨の強さエビデンス総体の総括 3( なし ) C( 弱 ) 解説 橈骨遠位端骨折に合併する舟状月状骨 (scapholunate:sl) 靱帯損傷の頻度は, X 線検査や手関節鏡による評価で 13.4 ~ 48.2% と報告されている.SL 靱帯損傷を 放置した場合, 同部の疼痛が残存し成績低下の原因になっていたとする観察研究が ある. また手関節鏡視下に評価し SL 間の不安定性の高度であった断裂例の非治療 例は, 治療例と比較して成績が劣っていたとする文献もあるが, これらはいずれも 観察研究であり, 文献数も少なく治療の必要性を明確に推奨することはできない. サイエンティフィックステートメント 観察論文 (3) 839 関節の橈骨遠位端骨折のうち, 受傷当初の X 線像にて舟状月状骨解離 (scapholunate dissociation:sld) を認めたものは 215 関節 (25.6%), 整復後も SLD が残存したものは 112 関節 (13.4%) であった. 追跡調査が可能であった 93 関節のうち 79 関節でSL 部分に疼痛を認め, 成績低下の原因となっていた (R2F00850 case series). 橈骨遠位端骨折 112 例のうち SL 靱帯損傷を合併した 54 例 ( 平均年齢 63 歳, 関節外骨折 15 例, 関節内骨折 39 例 ) において, 靱帯損傷の Geissler 分類による重症度は grade Ⅰ:28 関節,Ⅱ:3 関節,Ⅲ:19 関節,Ⅳ:4 関節であった.grade Ⅲの非治療例 (14 例 ) は手関節掌背屈制限, 握力低下を認めたが, 一方 grade Ⅲ,Ⅳ の治療例 (7 例 ) の成績は良好であった (RJ01527 case series). 橈骨遠位端骨折に合併する手根骨間の靱帯損傷を手関節鏡視下に評価した.SL 靱帯損傷の合併率は 264 関節中 91 関節 (34.5%),Geissler 分類による重症度は grade Ⅰ:50 関節,Ⅱ:9 関節,Ⅲ:25 関節,Ⅳ:7 関節であった. 月状三角骨靱帯損傷の合併率は 43 関節 (16.3%),grade Ⅰ:35 関節,Ⅱ:7 関節,Ⅲ:1 関節であった. 三角線維軟骨複合体損傷も含めた総合成績は145 関節でMayo Wrist score にて excellent 112 関節,good 31 関節,fair 2 関節,DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアは平均 4.1 点であった (R2J00407 case series) その他の骨折, 治療法 117

135 文献 1 ) R2F00850 Gunal I, et al. Eur J Orthop Surg Traumatol 2013;23:877 2 ) RJ01527 安部幸雄ほか. 骨折 2009;31:158 3 ) R2J00407 安部幸雄. 整 災外 2014;57: 第 3 章治療

136 Clinical Question 8 変形治癒に対する矯正骨切りの適応は? 解説 橈骨遠位端骨折変形治癒に対する矯正骨切りには, 橈骨の短縮に対する矯正, 軸 転位や回旋転位に対する矯正, 関節面の変形矯正があるが, 変形があるからといって必ずしも有症状になるとは限らず, 青壮年者の方が高齢者と比較し有症状になりやすい. 何らかの症状を有する症例は矯正骨切りの適応となる. 矯正骨切りは手関節痛や前腕の回旋制限などを改善させるために, 橈骨の短縮変形では橈骨の延長や尺骨の短縮が, 軸転位や回旋転位では開大式楔状骨切り (open wedge osteotomy) や閉鎖式楔状骨切り (closed wedge osteotomy) などが選択される. すでに遠位橈尺関節 (distal radioulnar joint:druj) の関節症変化がみられる場合は,Sauvé-Kapandji 法や尺骨頭形成を併用する必要性も考慮する. 橈骨の矯正骨切りにはコンピュータ補助手術が導入され, より正確かつ簡便な方法が可能となってきている. 関節面に対する矯正骨切りは 2 mm 以上の関節面離開 (gap), 関節面段差 (stepoff) の残存とともに, 疼痛などの症状を認め, 特に青壮年においては将来的な関節症変化の進展を防止する目的で適応となる. 関節軟骨の再建が困難な場合は骨軟骨移植 ( 肋軟骨や膝関節軟骨 ) を施行した報告もみられる. 矯正骨切りの治療成績は良好であるものの健側には及ばず, 正常なレベルへの機能回復を保障するものではなく, あくまでも正確な初期治療が重要である. 高度な関節変形や関節軟骨欠損では全手関節固定や, 今後本邦でも可能となるであろう人工手関節置換の適応となる. サイエンティフィックステートメント 橈骨遠位端関節外骨折変形治癒に対する矯正骨切りの適応として, 疼痛, 関節可動域制限, 整容的問題, 活動性が高く将来的に症状悪化が予想される青壮年者があげられる. 到達目標は橈骨手根関節, 手根中央関節,DRUJ の正常な動きを獲得することであるとしている. 手関節の掌背屈変形,DRUJ の不適合について, それぞれに有用な矯正骨切りや短縮術をあげている. 関節内骨折では 1 ~ 2 mm 以上の関節面段差 (step-off) が X 線上の関節症変化や臨床上不良な結果につながる. 関節内の骨切りの目標は機能的で痛みのない手関節を維持し関節の適合性を回復させ, 関節軟骨を維持することにある. 骨切りはなるべく早期に行うことが良好な成績につながる. コンピュータ補助手術も有用である (RF01464 review). 観察論文 (6) 橈骨遠位端関節外骨折変形治癒に対して開大式楔状骨切りを施行した 31 例の追跡調査 ( 平均 7 年 ) を行った. 平均で橈骨遠位端長 (radial length:rl)5mm, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt)25, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri) 9 の改善を得た. 可動域は前腕回内 10, 回外 20, 手関節背屈 10, 掌屈 20 の改善 3.4. その他の骨折, 治療法 119

137 文献 を認めた. 機能的には良好であったが健側には及ばなかった. 握力は健側比 82%, DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアは 21 であった.5 例で移植骨が吸収され再手術が必要であった.1 例で関節症のため全手関節固定が行われた. 矯正骨切りの成績は良好であったが, 健側には及ばないため, 変形治癒をきたさない初期治療が重要であった (RF01607 case series). 橈骨遠位端骨折変形治癒 30 例のうち, 神経伝導速度検査により 19 例で手根管症候群に該当する異常を認めた. このうち 7 例が感覚異常を訴えた.X 線像による変形程度と神経症状の関連性はなかった. 橈骨の矯正骨切りにより全例で症状は改善した. 変形治癒に伴う臨床上, 症状に現れない正中神経障害は高い確率で存在した. 矯正骨切りのみでこれらの症状は改善した (R2F00086 case series). すべての変形治癒が有症状のために矯正手術が必要となるわけではない. 矯正手術を希望した 38 例と矯正手術を希望しなかった 65 例の比較検討を行った. 平均年齢は手術例 46 歳, 非手術例 59 歳で有意差を認めたが, 性別, 変形程度には有意差を認めなかった. 年齢のみが矯正手術を必要とする因子であった (R2F00031 CCS). 橈骨矯正骨切りを施行した22 例に対し平均 13 年の追跡調査を行った. 平均値で手関節掌背屈は健側比 72.5%, 握力は 71%,DASH スコアは 16 であった. アライメントは維持されていたが, 有症状の関節症変化を 13 例に認めた (R2F00729 case series). 掌側転位型の変形治癒に対し開大式楔状骨切りを施行した 28 例の追跡調査 ( 平均 25 ヵ月 ) を行った. 平均値にて VAS(visual analogue scale) は術前 45 が術後 3 に改善し, 前腕回外は術前 16 が術後 80 へ,DASH スコアは術前 55 が術後 9 へ改善した.X 線評価では PT は術前 32 が術後 10 へ,RI は術前 17 が術後 21 へ, 尺骨変異 (ulnar variance:uv) は術前 5.9mm が術後 0.1 mm へ変化し, 骨癒合は 52 日で得られた. 合併症はなく,Mayo Wrist Score による評価は excellent 16 例,good 10 例,fair 2 例であった (R2F00606 cohort study). 変形治癒が上肢機能に及ぼす影響を受傷後 2 年間調査した.123 例における初期治療はギプス固定が46 例, 創外固定や経皮的鋼線固定が77 例であった. 固定後 3,6 ヵ月,1,2 年でDASH スコアを調査した. 変形治癒の定義は短縮変形 (UV 1 mm), 背屈変形 [ 橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt) 10 ] とした. 患者は1 変形なし 35 例,2 短縮または背屈変形 65 例,3 短縮および背屈変形 23 例, の 3 群に分類した.DASH スコアは3にて経時的に悪化し,1,2 とは有意差を認めた (R2F00165 cohort study). 1 ) RF01464 Slagel BE, et al. Orthop Clin North Am 2007;38:203 2 ) RF01607 Krukhaug Y, et al. Scand J Plast Reconstr Surg Hand Surg 2007;41:303 3 ) R2F00086 Megerle K, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2013;133: ) R2F00031 Hollevoet N, et al. Acta Orthop Belg 2013;79:643 5 ) R2F00729 Lozano-Calderon SA, et al. J Hand Surg Eur 2010;35:370 6 ) R2F00606 Sato K, et al. J Hand Surg Am 2009;34:27 7 ) R2F00165 Brogren E, et al. Clin Orthop Relat Res 2013;471: 第 3 章治療

138 Clinical Question 9 方形回内筋の修復または温存は有用か? 推奨文方形回内筋の修復または温存は, 早期の機能回復に有用であり推奨する. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレートにて固定を行う際, 方形回内筋 を温存した, いったん切離し修復した, 切離したまま, の比較研究がある. 術後早期 (6 週以内 ) において温存群が切離縫合群より, あるいは修復群が非修復群より疼痛, 関節可動域, 握力, 手関節機能などで良好であったとする報告がある.6 週以降の経過において有意差はみられなかった. したがって, 手関節の最終経過観察時において有意差はないが, 早期の機能回復に方形回内筋の温存は有用と考えられることを考慮し, 推奨度を 2 とした. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (2) 橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレート固定を施行した際の, 方形回内筋の温存群と切離 縫合群との前向き比較研究である. 温存群 56 手, 切離 縫合群 43 手において, 術後 1 週と 3 週における前腕回内外の可動域,VAS(visual analogue scale) で, 温存群が良好で, 日常生活動作への復帰は温存群 3.1 週, 切離縫合群 5.7 週であった (R2J00628 RCT). 掌側ロッキングプレート固定における方形回内筋修復群 (62 例 ) と非修復群 (50 例 ) との比較では, 術後 1 年において疼痛, 前腕回内外,DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコアに有意差はなく修復する利点を見い出せなかった (R2F00374 N-RCT). 観察論文 (3) 掌側ロッキングプレート固定における方形回内筋温存群 (30 例 ) と切離縫合群 (35 例 ) を比較した. 術後 1,2,6 週にて疼痛, 関節可動域, 握力, 手関節機能で温存群が良好であった.3,12 ヵ月では有意差はなかった. 合併症,X 線所見では差を認めなかった (R2F01157 CCS). 掌側ロッキングプレート固定における方形回内筋修復群 (33 例 ) と非修復群 (24 例 ) で関節可動域, 握力,VAS を比較調査した.1 年以上の経過観察において, 術後 6 週の時点でのみ握力, 掌屈で修復群が良好であった (R2F00707 CCS). 背屈転位型の橈骨遠位端骨折に対し掌側ロッキングプレート固定の際に, 方形回内 3.4. その他の骨折, 治療法 121

139 筋切離修復群 (36 例 ) と温存群 (30 例 ) の治療成績を比較した. 平均 22.7 ヵ月の追 跡にて両群間に可動域, 握力,DASH スコア,VAS, 整容面で有意差を認めなかっ た ( R2F00368 cohort study). 文献 1 ) R2J00628 戸部正博ほか. 日手会誌 2010;26:242 2 ) R2F01157 Fan J, et al. Chin Med J(Engl)2014;127: ) R2F00707 Tosti R, et al. J Hand Surg Am 2013;38: ) R2F00374 Hershman SH, et al. J Orthop Trauma 2013;27:130 5 ) R2F00368 Zenke Y, et al. J Orthop Trauma 2011;25: 第 3 章治療

140 第 4 章 リハビリテーション

141 Clinical Question 1 手関節以外のリハビリテーションは有用か? 推奨文固定中の手関節以外のリハビリテーションは拘縮予防に有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) C( 弱 ) 解説 橈骨遠位端骨折の治療中には肩や手指の拘縮も生じることがあり注意が必要で ある. 手関節部の固定期間中でも手関節以外のリハビリテーションとして患側の肩, 肘, 手指の可動域訓練や健側の筋力強化 可動域訓練を行うことは拘縮予防や早期回復が期待できるため推奨する. サイエンティフィックステートメント 文献 介入論文 (2) 6 週間の創外固定を行った橈骨遠位端骨折患者で, 創外固定器装着中から 45 分の手指の可動域訓練を週 3 回行った群 11 例と行わなかった対照群 11 例を比較した.12 週までの調査期間にリハビリテーションの早期介入は対照群と比較して手指の可動範囲が有意に改善していたが, 握力には差がなかった (R2F00169 RCT). ギプスによる保存療法を行った橈骨遠位端骨折患者で健側の手関節 手指の筋力, 可動域訓練が患側の筋力, 関節可動域の改善にどう影響するかを調査した. 骨折後 12 週では, 健側の訓練を行った群 27 例では行わなかった群 24 例よりも患側の握力および関節可動域が有意に改善していた (R2F00090 RCT). 観察論文 (1) 手術後あるいは保存療法としてギプス固定を行った橈骨遠位端骨折 22 例について, 受傷後早期 ( 平均 4.5 日 ) から肩, 肘, 手指の自動可動域訓練の作業療法を行った 8 例 ( 早期群 ) とギプス固定 ( 平均 27.8 日 ) 除去後から作業療法を行った 14 例 ( 対照群 ) を比較した. 肩, 肘の拘縮は早期群では生じなかったが, 対照群では 14.3% に生じていた. 手指拘縮は早期群の 12.5%, 対照群の 78.6% に生じていた. 早期群は対照群と比較してギプス除去直後の手関節可動域が有意に大きかった (RJ00676 CCS). 1 ) R2F00169 Kuo LC, et al. Clin Rehabil 2013;27: ) R2F00090 Magnus CR, et al. Arch Phys Med Rehabil 2013;94: ) RJ00676 大野英子ほか. 総合リハ 2006;34: 第 4 章リハビリテーション

142 Clinical Question 2 リハビリテーションプログラムの指導は有用か? 推奨文患者へのリハビリテーションプログラムの指導は機能回復に有用である. 推奨の強さエビデンス総体の総括 2( 弱い ) B( 中 ) 解説 橈骨遠位端骨折後, リハビリテーションプログラムを患者本人に指導し自宅で 練習した場合には, 作業療法士が介入して通院リハビリテーションを行った場合と比べて優るとも劣らない成績が得られる. また, クリニカルパスは掌側ロッキングプレート固定後のリハビリテーション指導の手段として利用することもできる. 骨折後には患者本人がリハビリテーションの具体的な内容を理解し行えるように指導することは機能回復に有用であり推奨する. ただし, 通院でのリハビリテーションは拘縮が強い症例などには有用であり, また患者の満足度も高い. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (5) 掌側ロッキングプレート固定を行った橈骨遠位端骨折患者 94 例の後療法において, 自宅練習の指導のみを行った 48 例と作業療法を行った 46 例とを比較し, 作業療法が術後成績に及ぼす効果を検討した.3 ヵ月での握力, つまみ力,6 ヵ月での握力, 手関節背屈可動域,Mayo Wrist Score は自宅練習群の方が作業療法を行った群に比して有意に良好な結果であった.DASH(disability of the arm shoulder and hand) スコアには有意差はなかった (R2F00574 RCT). 掌側ロッキングプレート固定を受け術後 2 週間外固定を行った橈骨遠位端骨折患者を, 術後 1 週から医師が指導した自宅での自動運動療法を 1 日 2 回 (1 回約 20 分 ) 行った 23 例 ( 自宅療法群 ) と, セラピストに 1 回 20 ~ 30 分間, 合計 12 回のリハビリテーションを受けた 23 例 ( セラピスト群 ) の 2 群に分けて比較した.6 週間のリハビリテーション後, 両群とも臨床成績が改善していたが, 自宅療法群では握力が健側の 54%, 手関節可動域が健側の 79% に回復し,PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) も平均 18.5 点であるのに比較して, セラピスト群は握力が 32%, 手関節掌背屈可動域が 52% と有意に低く,PRWE は平均 36.1 点であり自宅療法群が有意によい結果であった (RC00267 RCT). 経皮的鋼線固定後あるいは保存療法としてギプス固定を行った橈骨遠位端骨折患者について, 外固定除去後に, セラピストの指導を受けて肩, 肘, 手関節, 手指関節の自動運動やストレッチ体操, 握力のリハビリテーションを行った 28 例 ( リハ Clinical Question 2 125

143 文献 ビリ群 ) と, リハビリテーションを何も行っていない28 例 ( リハビリなし群 ) を比較した. 治療開始 3,6 週後で握力や手関節可動域には両群間で有意差がなかった. ただし, リハビリなし群と比べるとリハビリ群では全例治療に満足し, 疼痛や QuickDASH スコアが有意に優れていた (RC00268 RCT). 保存療法を行った橈骨遠位端関節外骨折患者において, ギプス除去後にセラピストの指導で自宅での手関節自動運動のみを行った群 18 例と, セラピストによるリハビリテーション (6 週間 ) を併用した群 (23 例 ) を比較した. ギプス除去後 6 週と24 週で両群間の手関節可動域, 握力,PRWE に有意な差はなかった (RF00208 RCT). ギプス固定による保存療法を行った橈骨遠位端骨折例について, 受傷後から肩, 肘, 手関節, 手指の自動運動 (1 日 3 回 ) の指導のみを行った群 14 例と, 受傷後から自動運動 (1 日 3 回 ) 指導に加えてギプス除去後に作業療法 ( 週 2 回, 合計平均 37.5 回 ) を加えた群 16 例を前向きに比較した. 受傷後 5 週,3,9 ヵ月のどの時点でも可動域と握力に関して両群間に有意差はなかった (RF00631 CCT). 観察論文 (4) 掌側プレート固定を行った橈骨遠位端骨折症例において, クリニカルパスを導入し作業療法士により術翌日から早期リハビリテーションを行った 50 例を, パス導入以前の症例で手術直後からは作業療法を行わなかった非施行群 43 例と比較した. 両群において術後 12 週での手関節可動域, 手指拘縮, 握力に有意な差はなかった (R2J00623 CCS). ギプス固定により保存的に治療した橈骨遠位端骨折 110 例について, ギプス除去後に指示されたプログラムで手指, 手関節, 肘, 肩関節の自主練習だけを行った 70 例 ( 単独群 ) と, ギプス除去後 4 ~ 6 週で手関節拘縮が強いときにセラピストによるリハビリテーションも併用して行った 40 例 ( 併用群 ) とを比較した.35 週後, 併用群は全例治療に満足していたが, 両群とも臨床成績は改善し, 握力と手関節可動域は両群間で有意差はなかった (RF00188 CCS). 橈骨遠位端骨折に対する掌側プレート固定後, 外固定を 1 週間以上行ってから作業療法を開始した非早期群 28 例,1 週以内に作業療法を開始した早期群 29 例,1 週以内にクリニカルパス (3 日目から術後 6 週まで可動域訓練 ) を利用し作業療法を開始したパス群 45 例を比較した. 早期群とパス群では非早期群と比して有意に良好な可動域を示していた. パスを使用した群では最大可動域に到達する時期が早かった (R2J00625 CCS). 橈骨遠位端骨折に対する掌側ロッキングプレート固定後で外来用リハビリテーションクリニカルパスを利用したパスあり群 36 例と, パスなし群 52 例との間で手関節可動域, 握力,DASH スコアを6 ~ 12 ヵ月まで比較し調査した. パスあり群では手関節可動域と握力が術後 1 ~ 3 ヵ月後の早期に,DASH スコアが術後 1 ヵ月時点において有意に良好な結果であった. しかし, 最終的にはどの指標にも有意差がなくなっていた (R2J00799 CCS). 1 ) R2F00574 Souer JS, et al. J Bone Joint Surg Am 2011;93: ) RC00267 Krischak GD, et al. Arch Phys Med Rehabil 2009;90:537 3 ) RC00268 Kay S, et al. Aust J Physiother 2008;54: 第 4 章リハビリテーション

144 4 ) RF00208 Maciel JS, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2005;125:515 5 ) RF00631 Christensen OM, et al. Int Orthop 2001;25:43 6 ) R2J00623 後藤真一. 日手会誌 2010;26:132 7 ) RF00188 Oskarsson GV, et al. Arch Orthop Trauma Surg 1997;116:373 8 ) R2J00625 桂理ほか. 日手会誌 2010;26:225 9 ) R2J00799 杉野健作ほか. 日臨整誌 2010;35:174 Clinical Question 2 127

145 Clinical Question 3 受傷後 6 ヵ月までに手関節機能は十分に回復するか? 解説 橈骨遠位端骨折後 6 ヵ月までに機能回復は大きく進み, さらに骨折後 1 年以上 にわたり緩徐に回復が続く. 患者満足度の観点からは骨折後 6 ヵ月の時点で手関節背屈可動域と握力は十分に回復するが, 加齢は回復を遅らせる要因である. 握力の回復は可動域の回復よりも時間がかかる傾向がある. また, 変形治癒例では握力と可動域が正常まで回復することは困難な場合がある. サイエンティフィックステートメント 介入論文 (1) 転位のある橈骨遠位端関節内骨折患者を対象にギプス固定 16 例または創外固定 17 例を 6 週間行い, 術後 2 年までの握力変化を比較した. 固定開始後より握力強化の理学療法を行ったが, 握力回復には 1 年かかった. 創外固定を行った女性での回復が遅かった (RF01609 RCT). 観察論文 (9) ギプス固定, 経皮的鋼線固定, プレート固定を受けた橈骨遠位端骨折患者 42 例を対象に PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) を用いて 6 ヵ月までの変化を前向きに検討した. 疼痛も機能障害も 3 ヵ月では軽度,6 ヵ月では最小限にまで改善していた (R2F00929 cohort study). 橈骨遠位端骨折に対してギプスによる保存療法または経皮的鋼線固定や創外固定による手術療法を行った 123 例を対象に受傷後 2 年まで前向きに DASH(disability of the arm shoulder and hand) スコアによる機能評価を行った.DASH スコアは受傷後 6 ヵ月までに大きく改善し, その後も改善が続いていた.X 線評価上変形治癒のない例, 橈骨の 1 mm 以上の短縮または 10 以上の橈骨遠位端背側傾斜 (dorsal tilt:dt) が残る変形治癒例, 両方の変形のある変形治癒例の受傷後 6 ヵ月での DASH スコアは各々,13,16,23 であった. 受傷 2 年では 1 mm 以上の短縮と 10 以上の DT を有する変形治癒例の DASH スコアは 23 であり, 変形のない例の 9.9 と比べて改善が劣っていた (R2F00165 cohort study). 掌側ロッキングプレート固定を行った橈骨遠位端骨折患者 125 例を対象に, 患者満足度が得られるのに必要な握力, 鍵つまみ力, 手関節可動域のカットオフ値に関して術後 3 ヵ月時点でのミシガン手の質問票 (Michigan Hand Outcomes Questionnaire:MHQ) を用いて調査した. 患者が不満足から満足と感じるカットオフ値は握力 65%, 鍵つまみ力 87%, 手関節可動域 95% の回復と判明した (R2F00338 cohort study). 保存療法を行った橈骨遠位端骨折 87 例を対象に長期成績 [9 ~ 13 年 ( 平均 11 年 )] を調査した. 最終時 X 線上,DT は 60 歳未満では平均 13,60 歳以上で平均 18 残存していた. 受傷後 6 ヵ月で握力は健側の約 77%, 手関節可動域は健側の約 86% 128 第 4 章リハビリテーション

146 文献 まで回復していた. 受傷後 6 ヵ月までは手関節可動域のほうが握力と比較して回復が早かった.60 歳以上の患者は握力も可動域も回復が遅かった (RF01044 case series). 手術療法 ( プレート固定 18 例, 創外固定 9 例, 経皮的鋼線固定 8 例, 関節鏡視のみ 1 例 ) を行った橈骨遠位端骨折 36 例の成績を調査した. 術後 6 ヵ月間機能訓練を行った結果, 関節可動域がほぼ正常に回復するまでには, 前腕回内外が術後約 1 ヵ月, 手関節掌背屈は術後 3 ~ 4 ヵ月を要した. 握力は術後 3 ヵ月で健側の57.1%, 6 ヵ月では 69.8% まで回復した (RJ00964 case series). 保存療法または手術療法を行った橈骨遠位端骨折 36 例の成績を調査した. 外固定除去後に機能訓練を行い, 最終調査時 ( 平均 6.3 ヵ月 ) では握力は 14.6 kg( 健側比 66.6%), 可動域は背屈が 55.4 ( 健側比 92%), 掌屈が 41.6 ( 健側比 78%), 回内が84.5 ( 健側比 95%), 回外が88.6 ( 健側比 98%) に回復した (RJ01643 case series). 掌側ロッキングプレート固定を行った橈骨遠位端骨折 49 例の成績を調査した. 術後外固定を行わず機能訓練を行った結果, 手関節可動域は背屈と掌屈がそれぞれ, 術後 3 ヵ月で 67 と 60,6 ヵ月で 73 と 64,1 年で 75 と 66 であった. 一方, 握力は術後 3 ヵ月で健側の63 ~ 78%,6 ヵ月で78 ~ 90%,1 年で85 ~ 99% であった (RF01683 case series). 掌側ロッキングプレート固定を行った橈骨遠位端骨折 53 例を対象に手関節可動域, 握力,DASH スコアを用いて成績を左右する因子を調査した. 術後 6 ヵ月では高齢であるほど手関節可動域と DASH スコア (70 歳以上では平均 20.6,69 歳以下では平均 8.12) が不良であった. また, 術後橈骨遠位端掌側傾斜の矯正が少ないほど掌屈可動域と DASH スコアが不良であった (R2J00666 case series). 掌側ロッキングプレート固定を行った橈骨遠位端骨折 122 例を対象に機能回復遅延に影響する因子を前向きに検討した. 術後 6 ヵ月では手関節可動域に関しては骨折型が, 握力に関しては加齢と低骨密度が,MHQ による機能評価に関しては高エネルギー外傷と骨折の重症度とが関係していた. 術後 12 ヵ月では, 握力と MHQ 評価に関して加齢と低骨密度が関係していた (R2F00719 case series). 1 ) RF01609 Lagerstrom C, et al. Scand J Rehabil Med 1999;31:55 2 ) R2F00929 Kasapinova K, et al. Prilozi 2009;30:185 3 ) R2F00165 Brogren E, et al. Clin Orthop Relat Res 2013;471: ) R2F00338 Chung KC, et al. J Hand Ther 2009;22:302 5 ) RF01044 Foldhazy Z, et al. J Hand Surg Am 2007;32: ) RJ00964 安部幸雄ほか. 日災医会誌 1999;47:542 7 ) RJ01643 中村智. 日手会誌 2008;24:919 8 ) RF01683 Osada D, et al. J Hand Surg Am 2008;33:691 9 ) R2J00666 古田和彦ほか. 日手会誌 2011;27:571 10) R2F00719 Roh YH, et al. J Hand Surg Am 2014;39:1465 Clinical Question 3 129

147

148 第 5 章 機能評価, 予後

149 Clinical Question 1 一般的に用いられている評価法は? 解説橈骨遠位端骨折の治療成績を判定するための総合的な評価基準には複数の評価方法が存在する. 評価基準は患者立脚型評価と医療者側評価に分類される. 今回のガイドライン作成にあたって対象とした2009 ~ 2014 年までの文献で, 最も使用頻度が高かった評価法は, 患者立脚型評価では DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア, 医療者側評価では Mayo Wrist Score であった. また, 患者立脚型評価と医療者側評価の両方が用いられていた文献が 93 編存在した. 前版 (1998 ~ 2009 年 ) と比較すると, 従来から用いられてきた医療者側評価と合わせて患者立脚型評価での報告の頻度が増えている ( 表 1). 1 患者立脚型評価患者立脚型評価とは, 患者自身が自身の症状をアンケート形式で回答し点数化するものである. DASH スコア DASH は,30 項目に及ぶ上肢の日常生活動作の不自由度と疼痛を含む評価法である. 評価の対象に年齢制限は設けられていないが, 一般的には 18 ~ 65 歳を対象としている (Institute for Work & Health QuickDASH は DASH の評価項目のうち 11 項目を抽出した簡易版である. 橈骨遠位端骨折において,DASH スコアが治療成績とよく相関するとの報告 (R2J00744) や, 65 歳以上の高齢者にとって, 質問内容が回答しやすい (R2J00072) などの報告がある. 表 1 各評価法が用いられた文献数 評価方法 1998 ~ ~ 2013 患者立脚型評価 DASH(QuickDASH) (20) PRWE Hand MHQ 6 7 SF 医療者側評価 Mayo Wrist Score Gartland and Werley 斎藤の評価法 (1983) 日本手外科学会 手関節機能評価 1 24 (Cooney の評価法の改変 ) PRWE:Patient-Rated Wrist Evaluation,MHQ:Michigan Hand Outcomes Questionnaire ( ミシガン手の質問票 ),SF-36:36-Item Short-Form Health Survey 132 第 5 章機能評価, 予後

150 PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) PRWE は, 手関節痛と手関節を使用する生活動作に関する質問票である. 前述の DASH が上肢全体を対象とする評価であるのに対して,PRWE は手関節に特異的な評価であるため, 手関節の症状が反映されやすく, 橈骨遠位端骨折後の治療成績を評価するのに適しているとする報告がある (R2J00162). Hand20 Hand20 は, 日本で開発されたイラストつきの 20 項目の質問からなる上肢機能評価の質問票であり, 質問項目が直感的に理解しやすく高齢者にも回答しやすい (R2H00001). MHQ(Michigan Hand Outcomes Questionnaire) MHQ は利き手を考慮した手に関する質問票で, 両手, 片手を使用する生活動作や疼痛, 仕事, 整容面, 満足度を含む評価法である. SF-36(36-Item Short-Form Health Survey) SF-36 は, 個人の健康に関連した生活の質を評価するものである.1 身体機能, 2 日常役割機能 ( 身体 ),3 日常役割機能 ( 精神 ),4 全体的健康感,5 社会生活機能,6 体の痛み,7 活力,8 心の健康, からなる 8 つの健康概念を測定する. 国民標準値が設定されている. MHQ および SF-36 の使用に関しては使用許諾が必要である. 2 医療者側評価医療者側評価は, 患者の症状や身体所見,X 線像をもとに医療者側が評価し患者の状態を数値化するものである. Mayo Wrist Score(Cooney の評価 ), およびその改変版国際的に使用されている手関節機能評価法であり, 橈骨遠位端骨折治療の機能評価法としても最も使用頻度が高い.Cooney が Green and O Brien score を元に改変し,1987 年に自身の論文のなかで公表した.Cooney 自身 (1994,1996 年 ) や Krimmer(2000 年 ) による複数の改変版が存在し, 評価項目や excellent の基準が版ごとに多少異なっている. Gartland and Werley の評価, および斎藤の評価 (1983) Gartland and Werley の評価, 斎藤の評価は橈骨遠位端骨折に特有の評価基準である. 自覚的評価として疼痛や脱力, 生活動作や労働力低下などの項目を有し, 他覚的評価として手関節の可動域や握力,X 線評価, 合併症の項目を含む. 日本手外科学会手関節機能評価 (Cooney の評価法の改変 ) Mayo Wrist Score をもとに, 日本手外科学会により 2006 年に公表された. 元々の Mayo Wrist Score とは評価項目および点数配分, 総合的な成績判定基準が異なる. 各評価法のウェブサイト 文献を表 2に表す. Clinical Question 1 133

151 表 2 各評価法のウェブサイト及び文献 DASH 日本語版, QuickDASH 日本語版 PRWE 日本語版 Hand20 MHQ SF-36 Mayo Wrist Score Cooney WP, Bussey R, et al. Difficult wrist fractures. Perilunate fracture-dislocations of the wrist. Clin Orthop Relat Res Jan; (214): Gartland and Werley の評価 Gartland JJ, Werley CW. Evaluation of healed Colles fractures. J Bone Joint Surg (Am)1951;33: 斎藤の評価法 (1983) 斎藤英彦 : 治療成績評価法. 橈骨遠位端骨折 - 進歩と治療法の 選択 -( 斎藤英彦ほか編 ), 第 1 版, 金原出版, Saito H, et al: Classification of fractures at the distal end of the radius with reference to treatment of comminuted fractures. In Boswick JA, editor. Current concepts in hand surgery. Philadelphia: Lea & Febiger; p 日本手外科学会 手関節障害 の機能評価表 (Cooney の評価 法の改変 ) 文献 1 ) R2J00744 岡崎敦ほか. 日手会誌 2013;30:38 2 ) R2J00072 古田和彦ほか. 骨折 2012;34:736 3 ) R2J00162 高田逸朗ほか. 日手会誌 2010;27:74 4 ) R2H00001 Suzuki M, et al. J Bone Joint Surg Br 2010;92: 第 5 章機能評価, 予後

152 Clinical Question 2 妥当性の検証されている評価法は? 解説 妥当性とは, 検者が測定しようと思っている事象をどれだけ的確に測定できる かということである. 疾患の重篤性や, 治療効果を評価する際に, 用いる評価法の妥当性が検証されていることは重要である. 従来, 橈骨遠位端骨折の治療成績は主に医療者側評価によって行われてきた. これらは疼痛や脱力などの主観的評価, 握力や可動域などの客観的評価, 復職状況などの社会的評価や X 線画像評価を総合的に評価するものである. しかし, これら医療者側評価の妥当性についてはまだ十分に検証されていない. また, 医療者側評価だけでは, 患者の実際の生活の質 (quality of life:qol) を詳細に評価できないことが指摘されるようになってきた. これに対して 1990 年代頃から, 医療者側ではなく, 患者の視点に立ち, 患者の QOLを評価する患者立脚型評価が開発されてきた. 現在, 橈骨遠位端骨折患者に対して妥当性の検証されている患者立脚型評価法は,DASH(disability of the arm, shoulder and hand),prwe(patient-rated Wrist Evaluation), ミシガン手の質問票 (Michigan Hand Outcomes Questionnaire:MHQ),Hand20,SF-36(36- Item Short-Form Health Survey) である. これらの評価法は信頼性や反応性についても検証されており, 治療の有用性や, 異なる治療法を比較するために有用な評価法であると考えられる. サイエンティフィックステートメント 90 例の上肢疾患を有する患者のDASHスコアとSF-36の関連性 ( 級内相関係数 0.36 ~ 0.62) から,DASH スコアの妥当性が検証された (RF01727). 上肢の筋骨格系に問題を有する労働者 270 例について,DASH スコアの妥当性, 信頼性が検証された (RF01728). 手術療法を要した橈骨遠位端骨折 107 例について,DASH スコア German version の信頼性, 妥当性が検証された (RF01729). 患者の疼痛と日常生活動作を定量化するためにPRWE が考案され, 橈骨遠位端骨折患者 101 例を用いた分析から,PRWE は十分な信頼性と妥当性を有していた (RF01253). 99 例の橈骨遠位端骨折患者に対してスウェーデン版 PRWE での評価が行われ, 良好な反応性, 妥当性, 信頼性が報告されている (R2F00511). 橈骨遠位端骨折 59 例に対して, 受傷時, 受傷後 3,6 ヵ月の PRWE,DASH スコア, SF-36が計測され, その分析から PRWE の反応性が最も高く, 続いて DASHスコア, SF-36 の順であった (RF00929). 200 例の手外科疾患症例に対して,MHQの妥当性, 信頼性が検証された (RF01726). 橈骨遠位端骨折 47 例に対して, 受傷後 3,6 ヵ月,1 年の時点でMHQと客観的所 Clinical Question 2 135

153 文献 見が計測され,MHQ は客観的所見と同様に, 手の機能改善をよく反映していた (RF01028). 橈骨遠位端骨折 30 例を含む上肢運動器疾患患者 431 例に対して,Hand20 の妥当性を検証し,DASH スコアと比較して評価項目記入の欠損が少なかったと報告している (R2H00001). 筋骨格系疾患を有する労働者 53 例に対して,SF-36 を含む 5 つの健康感の変化を評価する尺度を計測し,SF-36 が最も良好な反応性と信頼性を示した (RF01724). 橈骨遠位端骨折 21 例について,SF-36 を含む 3 種類の質問票と理学的所見を計測し, 治療後 3 ヵ月での SF-36 の日常役割機能と体の痛みは有意に改善した (RF01725). 手術療法を要した橈骨遠位端骨折 50 例の最終調査時 ( 平均 2.4 年 ) にSF-36が計測され, 関節内変形治癒はSF-36の身体的健康度, 精神的健康度に関与していた (RF00344). 1 ) RF01727 SooHoo NF, et al. J Hand Surg Am 2002;27:537 2 ) RF01728 Kitis A, et al. Appl Ergon 2009;40:251 3 ) RF01729 Westphal T, et al. Z Orthop Ihre Grenzgeb 2002;140:447 4 ) RF01253 MacDermid JC, et al. J Orthop Trauma 1998;12:577 5 ) R2F00511 Wilcke MT, et al. Scand J Plast Reconstr Surg Hand Surg 2009;43:94 6 ) RF00929 MacDermid JC, et al. J Hand Surg Am 2000;25:330 7 ) RF01726 Chung KC, et al. J Hand Surg Am 1998;23:575 8 ) RF01028 Kotsis SV, et al. J Hand Surg Am 2007;32:84 9 ) R2H00001 Suzuki M, et al. J Bone Joint Surg Br 2010;92:963 10) RF01724 Beaton DE, et al. J Clin Epidemiol 1997;50:79 11) RF01725 Amadio PC, et al. J Hand Surg Am 1996;21:781 12) RF00344 Fernandez JJ, et al. Clin Orthop Relat Res 1997;341: 第 5 章機能評価, 予後

154 Clinical Question 3 変形治癒は機能的予後に影響するか? 解説 橈骨遠位端骨折の変形治癒は大きく分けて 2 種類存在する. 関節を支える部分 が変形する関節外変形治癒と, 関節そのものが変形する関節内変形治癒である (CQ3-4-8 参照 ). これらはいずれも, 高齢者や, 長期の経過観察における機能的予 後との間に明確な関連性が示されていない. しかし, 青壮年, 活動性の高い患者や, 短, 中期の経過観察では, 機能的予後に影響すると考えられるため, 変形治癒を予防できる治療法の選択が望ましい. サイエンティフィックステートメント 観察論文 ( 関節外骨折変形治癒,8) 50 歳以上 ( 平均年齢 68.5 歳 ) の橈骨遠位端骨折 74 例に対して, 保存療法 ( ギプス固定 6 週間以内 ) を行った.X 線評価における整復位の許容範囲を 6 つの指標 [ 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri)>15, 橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt:pt)10 PT 20, 橈骨長 (radial height:rh)>5 mm, 尺骨変異 (ulnar variance:uv)> 5 mm, 関節面段差 (step-off)<1 mm, 関節面離開 (gap)<1 mm] で定めた. 受傷後 6 ヵ月で,6 指標すべてが許容範囲内であったのは 21 例 (29%) のみで,52 例 (71%) で少なくとも 1 つが,32 例 (44%) で 2 つ以上が許容範囲を逸脱した. いずれの指標も患者立脚型評価 [DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア,SF-12(12-Item Short-Form Health Survey)] と相関を認めず, 53 例 (72%) で患者満足度は高かった (RF00379 cohort study). 50 歳以下 [ 平均年齢 35 歳 (17 ~ 49 歳 )] の橈骨遠位端骨折 169 例に対して, 保存療法 (45 例 ) または手術療法 ( 経皮的鋼線固定 16 例, 創外固定 61 例, 鋼線固定と創外固定併用 4 例, 鋼線固定 10 例, スクリュー固定 30 例, ノンロッキングプレート固定 3 例 ) を行った. 平均経過観察期間 4.9 年 (1.5 ~ 8.7 年 ) で,PT が 10 以下となった群のみ, 患者立脚型評価 (Patient Evaluation Measure Questionnaire for Hand Surgery:PEM) における日常の活動性, 仕事といった評価項目で影響がみられた. 手関節痛の発生頻度や強さには影響がなかった (RF01112 case series). 平均年齢 52 歳の橈骨遠位端骨折 120 例で,PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) と, 骨折型 (AO 分類 ), 教育レベル, 性別, 保険加入の有無, 年齢, 受傷時の橈骨短縮 (radial shortening:rs), 整復後の RS との関連性を検討した. 治療法は保存療法, 手術療法 ( 経皮的鋼線固定, 創外固定, 内固定など ) が半数ずつ選択された. 受傷 6 ヵ月後の PRWE は, 保険加入の有無と最も強く相関し, 続いて教育レベル, 受傷時の RS と相関を認めた. また, 手関節の障害程度 ( 可動域, 握力, 巧緻性の障害 ) と中等度相関した (RF00846 cohort study). 平均年齢 46 歳 (18 ~ 76 歳 ) の橈骨遠位端骨折で, 経皮的鋼線固定を行った30 例 (AO 分類 A2 5 例,A3 9 例,C1 4 例,C2 12 例 ) で,PRWE,X 線評価, 臨床評価の Clinical Question 3 137

155 関連性を検討した. 術後 1 年で,PRWE と相関を認めたものは RS,PT,1 mm 以 上の gap の残存であった (RF00592 cohort study). 平均年齢 58 歳 (18 ~ 89 歳 ) の関節外橈骨遠位端関節外骨折に対して, 保存療法 140 例, 手術療法 82 例 ( 骨折観血的手術 17 例, 経皮的鋼線固定 40 例, 鋼線固定と創外固定併用 12 例, 創外固定 1 例, 記載なし 12 例 ) を行い, このうち評価不可能であった 6 例を除外した 216 例で検討した.X 線評価の許容範囲 (PT 10,RI 15,RS < 3 mm) を定めたところ, 受傷後 1 年で,65 歳未満では, 変形を認めた群で DASH スコア,PRWE が不良であった. 一方 65 歳以上では, 両群間に有意差を認めなかった. 年齢と関係なく, 許容範囲からの逸脱は DASH スコア,PRWE の不良と相関を認めた. 特に 65 歳以上では, 変形治癒に伴い患者立脚型評価が不良となる患者の割合が,65 歳未満と比較して,3 ~ 4 倍ほど少なくなる傾向にあった (RF01040 cohort study). 平均年齢 60 歳 (18 ~ 86 歳 ) の橈骨遠位端骨折に対して,6 週間のギプスシーネ固定による保存療法を行った 235 例で, 術後 3,6 ヵ月における X 線評価と医療者側評価の関連性を検討した.Sarmiento により修正されたLidstörmのX 線評価で, 整復位を excellent,good,fair,poor の 4 群に分類し,Gartland and Werley の評価で,excellent または good となった割合 (%) を求めた. 受傷後 3 ヵ月では, 整復位 excellent 群で65%, 整復位 poor 群で25% とX 線評価と医療者側評価の間に関連性を認めたが, 受傷後 6 ヵ月では, 有意差を認めなかった ( 整復位 excellent 群で 75%, 整復位 poor 群で 81%)(RF01730 case series). 40 歳以下 [ 平均年齢 25 歳 (16 ~ 40 歳 )] の橈骨遠位端骨折 106 例 ( 関節内骨折 40 例, 関節外骨折 66 例 ) に対して, 保存療法を 105 例, 手術療法 ( スクリュー固定 ) を 1 例に施行した.Jupiter and Fernandez の指標に従い, 関節外骨折後の変形治癒 (RI < 20,PT<0,RS 2 mmのいずれか 1つを認めるもの ) を定めたところ,69 例 (65%) で 1 つ以上の指標が変形治癒となり, このうち 19 例 (18%) で 3 つの指標すべてが変形治癒となった. 平均経過観察期間 38 年 (33 ~ 42 年 ) で, 関節外骨折後の変形治癒と DASH スコア,PEM に有意な相関を認めなかった (RF00793 case series). 平均年齢 63 歳 (19 ~ 88 歳 ) の橈骨遠位端骨折 123 例 ( 関節外骨折 88 例, 関節内骨折 35 例 ) に対して,46 例で整復後にギプス固定,77 例で整復後に手術療法 ( 創外固定 63 例, 経皮的鋼線固定 9 例, 創外固定と経皮的鋼線固定併用 5 例 ) を行った. 1 mm 以上のRS と 10 以下のPT の両方を認める変形治癒群のみ, 受傷から2 年で DASH スコアが改善しなかったが, どちらか単独の変形治癒の群は DASH スコアが改善した (R2F00165 cohort study). 観察論文 ( 関節内骨折変形治癒,6) 18 歳以上 ( 平均年齢 49 歳 ) の橈骨遠位端骨折で, 徒手整復後に整復位を得られず, 掌側ロッキングプレート固定によって治療された 93 例 (AO 分類 A 42%,B 9%,C 49%) をミシガン手の質問票 (Michigan Hand Outcomes Questionnaire:MHQ) で評価した. 術後 3 ヵ月では,1 mm 以上の gap,step-off が予後不良因子となったが, 術後 1 年では, 関節内変形治癒は予後不良因子とならず, 高年齢と低収入が予後不良因子となった (RF01027 cohort study). 平均年齢 50 歳 (18 ~ 85 歳 ) の橈骨遠位端骨折 50 例 (AO 分類 A2 1 例,A3 12 例, B2 3 例,C1 12 例,C2 12 例,C3 10 例 ) に対して, 手術療法 ( 創外固定と鋼線固定 138 第 5 章機能評価, 予後

156 文献 併用 24 例, ノンロッキングプレート固定 20 例, 鋼線固定 4 例, 創外固定 2 例 ) を施行した. 最終調査時 [ 平均経過観察期間 2.4 年 (4 ~ 63 ヵ月 )] で 1 mm 以上の関節内変形治癒を認めた群は, 最終経過観察時の SF-36(36-Item Short-Form Health Survey) の値が有意に低かった (RF00344 case series). 平均年齢 32 歳 (17 ~ 42 歳 ) の関節内橈骨遠位端骨折 16 例 (AO 分類 B2 1 例,B3 3 例,C1 1 例,C2 10 例,C3 1 例 ) に対して, 手術療法 ( ノンロッキングプレート固定 2 例, 鋼線固定 14 例 ) を施行した. 平均経過観察期間 15 年 (13 ~ 17 年 ) における Musculoskeletal Functional Assessment(MFA) は, すべての患者で健常者と有意差なく,Hand Function Sort(HFS) は 14 例 (88%) で日常生活に支障がない状態であった. 平均経過観察期間 7 年で行った先行研究と比較し, 関節症変化が進行していたが, 機能的予後との間に相関を認めなかった (RF01014 case series). 40 歳以下 [ 平均年齢 25 歳 (16-40 歳 )] の橈骨遠位端骨折 106 例 ( 関節内骨折 40 例, 関節外骨折 66 例 ) に対し, 保存療法を 105 例, 手術療法 ( スクリュー固定 ) を 1 例に施行した. 術後平均経過観察期間 38 年 (33 ~ 42 年 ) で, 関節内骨折 40 例のうち, 27 例 (68%) で関節症変化が出現したが, 最終経過観察時のDASHスコア,PEM は 90% 以上が健常者と同じレベルを保持していた (RF00793 case series). 平均年齢 38 歳 (17 ~ 60 歳 ) の関節内橈骨遠位端骨折 81 例 (AO 分類 C1 10 例,C2 46 例,C3 25 例 ) に対して, 腸骨移植を併用した掌側ノンロッキングプレート固定を行った. 平均経過観察期間 9 年 (6 ~ 18 年 ) で, 健側と比較し gap,step-off の残存で有意差を認め, これら変形治癒は関節症の進行と相関を認めた. 関節症変化は, 掌背屈の可動域減少と相関を認めたが, 痛みの程度,DASH スコア, 握力, 橈尺屈の可動域とは相関を認めなかった (R2F00075 case series). 平均年齢 46 歳 (18 ~ 76 歳 ) の橈骨遠位端骨折に対して, 経皮的鋼線固定を行った 30 例 (AO 分類 A2 5 例,A3 9 例,C1 4 例,C2 12 例 ) を用いて,PRWE,X 線評価, 臨床成績の関連性を検討した. 術後 1 年で,PRWE と相関を認めたものは RS, PT,1 mm 以上の gap であった (RF00592 cohort study). 1 ) RF00379 Jaremko JL, et al. Clin Radiol 2007;62:65 2 ) RF01112 Gliatis JD, et al. J Hand Surg Br 2000;25:535 3 ) RF00846 MacDermid JC, et al. J Clin Epidemiol 2002;55:849 4 ) RF00592 Karnezis IA, et al. Injury 2005;36: ) RF01040 Grewal R, et al. J Hand Surg Am 2007;32:962 6 ) RF01730 Stewart HD, et al. Injury 1985;16:289 7 ) RF00793 Forward DP, et al. J Bone Joint Surg Br 2008;90:629 8 ) RF01027 Chung KC, et al. J Hand Surg Am 2007;32:76 9 ) RF00344 Fernandez JJ, et al. Clin Orthop Relat Res 1997;341:36 10) RF01014 Goldfarb CA, et al. J Hand Surg Am 2006;31:633 11) R2F00075 Lutz M, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2011;131: ) R2F00165 Brogren E, et al. Clin Orthop Relat Res 2013;471:1691 Clinical Question 3 139

157 Clinical Question 4 骨折の不安定性 ( 再転位 ) を予測する患者因子, 骨折因子は存在するか? 解説 骨折後の不安定性 ( 再転位 ) を予測する患者因子として, 年齢, 性別, 利き手, 受傷機転, 喫煙歴や飲酒歴, 骨折既往, 骨粗鬆症などがある. さらに骨折因子として, 骨折型, 骨折の転位や粉砕の程度, 靱帯損傷やほかの骨折など合併損傷の有無が存在し, 治療因子として, 麻酔や徒手整復の方法, 外固定の方法や部位が再転位を予測する可能性がある. これらの因子が複合的に影響しあって, 骨折部の再転位が起こるとされている. 現在まで提示されてきた予測因子は, 年齢, 受傷時の骨折部の粉砕, 骨折部の著しい軸転位, 尺骨骨折の合併, 関節内骨折などである. これらの予測因子を伴う骨折に対しては, 保存療法中に再転位を起こす可能性が高いと考えられる. 再転位を防ぐために, 受傷直後から手術療法を選択するか, あるいはある程度の再転移に許容して疼痛や可動域制限が生じた際に矯正手術を行うか, などを念頭に置いて治療方針を決定することが望ましい. サイエンティフィックステートメント 平均年齢 62 歳 (18 ~ 97 歳 ) の橈骨遠位端骨折に対して, 背側シーネ固定を用いて保存療法を行った 267 例で検討を行った. 受傷後 8 週で,4 mm 以上の橈骨短縮 (radial shortening: RS), または 30 以上の橈骨背屈変形を整復後の再転位と定義したところ, 受傷時 5 mm 以上の RS が再転位の最も重要な予測因子であり, 続く因子は骨折部の粉砕, 年齢であった. 受傷時に5 mm 以上のRSを認めると,80% 以上の確率で再転位を起こすことがわかった (RF01732 cohort study). 平均年齢 54 歳 (13 ~ 93 歳 ) の橈骨遠位端骨折に対して, 前腕ギプス固定を用いて保存療法を行った 112 例で検討を行った. 整復後の再転位の危険性 (Stewart のスコア ) は, 年齢 (60 歳以上 ), 受傷時 - 20 以上の橈骨遠位端掌側傾斜 (palmar tilt: PT), 骨折部の背側粉砕, 関節内骨折, 尺骨骨折の 5 つの因子と強く相関した.5 つの因子のうち,3 つ以上の因子を有する骨折は不安定であり, ギプス固定中に再転位する可能性が高かった (RF00531 cohort study). 平均年齢 57 歳 (23 ~ 80 歳 ) の橈骨遠位端骨折に対して, 上腕からのスプリント固定 2 週間, 前腕ギプス固定 2 週間による保存療法を行った105 例のうち, 追跡調査が可能であった 80 例で検討を行った. 年齢, 骨折部の粉砕, 尺骨変異 (ulnar variance:uv) または RS を因子とした Mackenney の公式, および Adolphson の公式をもとに, 受傷時の骨折部不安定性スコアを算出した. 整復位の許容範囲 [ 15 <PT<20, 橈骨遠位端尺側傾斜 (radial inclination:ri)>15,rs<5 mm, 関節面段差 (gap)<2 mm] を定めたところ, 不安定性スコアが低いと判定された症例の約半数が, 最終経過観察時 (3 ~ 7 ヵ月 ) には整復位の許容範囲を逸脱し, 実際は不安定であった ( RF01383 Cohort). 140 第 5 章機能評価, 予後

158 文献 5.5 年以上の追跡が可能であった, 平均年齢 59 歳 (14 ~ 100 歳 ) の橈骨遠位端骨折 4,024 例で, 整復後 2,6 週, 骨癒合時における再転位の予測因子を検討した. 受傷時に転位のある骨折群 (UV>3 mm,pt< 10 ) と, 転位の軽度な骨折群 (UV 3 mm,pt 10 ) に分類し, 多変量解析を用いて解析を行ったところ, 再転位の予測因子は, 年齢, 骨折部の粉砕, 受傷時のUVであった (RF00730 cohort study). Lafontaine 因子 ( 年齢 60 歳, 受傷時 PT 20, 骨折部の背側粉砕, 関節内骨折, 尺骨骨折の合併 ) を3つ以上含み, 不安定性を有する平均年齢 60 歳 (16 ~ 87 歳 ) の橈骨遠位端骨折 50 例に対して, 整復後にsugar tong splint 固定を用いて保存療法を行った. 整復不良 [ 橈骨長 (radial height:rh) の損失 2 mm,ri の変化量 5,PT の損失 10,step-off 残存 1 mm] の予測因子は年齢のみであった. Lafontaine 因子を3つ以上含む不安定型橈骨遠位端骨折で, 整復後再転位する確率が 50% である年齢は 58 歳であり, 年齢が高くなるほど再転位の確率は上昇した (RF00982 cohort study). 平均年齢 65 歳の橈骨遠位端関節外骨折に対して,6 週間のギプス固定を行った 71 例を用いて再転位の予測因子を検討した. 不安定性 ( 再転位 )[PT< 15,PT > 20,UV > 4 mm,ri < 10 ] の予測因子は, 早期転位 (1 週間 ) では受傷時の RS と PT であったが, 晩期転位 (6 週間 ) では, 受傷時の RS と PT に加えて, 年齢と受傷時の RI が予測因子となった (RF00202 cohort study). 1 ) RF01732 Abbaszadegan H, et al. Acta Orthop Scand 1989;60:646 2 ) RF00531 Lafontaine M, et al. Injury 1989;20:208 3 ) RF00730 Mackenney PJ, et al. J Bone Joint Surg Am 2006;88: ) RF01383 Jeong GK, et al. J Trauma 2004;57: ) RF00982 Nesbitt KS, et al. J Hand Surg Am 2004;29: ) RF00202 Leone J, et al. Arch Orthop Trauma Surg 2004;124:38 Clinical Question 4 141

159 索 引 和文索引 あ行遠位橈尺関節 28, 107, 110 か行外固定 50, 92 開大式楔状骨切り 119 角度可変型掌側ロッキングプレート 84, 86 角度固定型掌側ロッキングプレート 84 合併症 43, 52, 96 観血的整復内固定 14 関節外骨折 34 関節鏡視下手術 64 関節内骨折 25, 37 危険因子 12 機能的予後 137 経皮的鋼線固定 66, 68 舟状月状骨解離 117 手関節機能 128 手根骨間靱帯損傷 117 手術時期 57 受傷機転 10 掌側ロッキングプレート固定 77, 96, 101 人工骨移植 88 髄内釘固定 105 スカイラインビュー 23 成人 7 創外固定 70, 73 た行多方向性掌側ロッキングプレート 84, 86 単純 X 線計測値 21 単方向性掌側ロッキングプレート 84 超音波検査 55 超音波パルス 103 高エネルギー骨折 10 拘縮予防 124 高齢者 7, 45, 59 骨移植 88 骨折形態 10 さ行再転位 140 斎藤の評価 133 佐々木の不安定型 Colles 骨折の判定基準 6 三角線維軟骨複合体 28, 110 残存変形 39, 41 低エネルギー骨折 10 手関節機能 128 電気刺激 103 橈骨遠位端尺側傾斜 21 橈骨遠位端掌側傾斜 21 橈骨遠位端長 21 透視下整復 62 徒手整復 45 な行日本手外科学会手関節機能評価 133 軸射像 23 尺骨遠位端骨折 115 尺骨茎状突起骨折 31, 113 尺骨変異 21 舟状月状骨 29, 117 ノンロッキングプレート固定 81 は行背側ロッキングプレート固定 75 発生率 索引

160 不安定型骨折 5 複合性局所疼痛症候群 45, 51 複数プレート 90 不顕性骨折 27 プレート抜去 94 閉鎖式楔状骨切り 119 変形治癒 119, 137 方形回内筋 121 ま行麻酔 48 ら行リハビリテーション 124 リハビリテーションプログラム 124 欧文索引 Gartland and Werley の評価 133 Hand Mayo Wrist Score 6, 133 Mayo 分類 18 Melone 分類 18 MHQ(Michigan Hand Outcomes Questionnaire) 133 monoaxial locking plate(mlp) 84 non-bridging 創外固定 70, 73 open reduction and internal fixation(orif) 14 open wedge osteotomy 119 palmar angulation 21 palmar tilt(pt) 21, 39 polyaxial locking plate(plp) 84, 86 PRWE(Patient-Rated Wrist Evaluation) 133 AO 分類 10, 18 bridging 創外固定 70, 73 closed wedge osteotomy 119 complex regional pain syndrome(crps) 45, 51 Cooney の不安定型骨折の判定基準 6 Cooney 分類 18 CT 25 DASH(disabilities of the arm, shoulder and hand) スコア 132 distal radioulnar joint(druj) 28, 107, 110 DRUJ ballottement test 28, 107 DRUJ 不安定性 28, 113 Fernandez 分類 18 finger trap 47 fixed angle locking plate 84 Frykman 分類 18 radial inclination(ri) 21 radial length(rl) 21 radial tilt 21 scapholunate(sl) 29, 117 scapholunate dissociation(sld) 117 SF-36(36-Item Short-Form Health Survey) 133 skyline view 23 TFCC 損傷 28, 110 triangular fibrocartilage complex(tfcc) 28, 110 ulnar plus variance 21 ulnar variance(uv) 21, 39 variable angle locking plate 84, 86 volar tilt

161 橈骨遠位端骨折診療ガイドライン 2017( 改訂第 2 版 ) 2012 年 3 月 1 日 第 1 版第 1 刷発行 2013 年 5 月 1 日 第 1 版第 2 刷発行 2017 年 5 月 10 日 改訂第 2 版発行 The Japanese Orthopaedic Association, 2017 定価は表紙に表示してあります. 落丁 乱丁の場合はお取り替えいたします. ご意見 お問い合わせはホームページまでお寄せ下さい. 監修日本整形外科学会日本手外科学会編集日本整形外科学会診療ガイドライン委員会橈骨遠位端骨折診療ガイドライン策定委員会発行者小立鉦彦発行所株式会社南江堂 東京都文京区本郷三丁目 42 番 6 号 ( 出版 ) ( 営業 ) ホームページ 印刷 製本小宮山印刷工業装丁土屋みづほ Printed and Bound in Japan ISBN 本書の無断複写を禁じます. ( 社 ) 出版者著作権管理機構委託出版物 本書の無断複写は, 著作権法上での例外を除き禁じられています. 複写される場合は, そのつど事前に, ( 社 ) 出版者著作権管理機構 (TEL ,FAX , [email protected]) の許諾を得てください. 本書をスキャン, デジタルデータ化するなどの複製を無許諾で行う行為は, 著作権法上での限られた例外 ( 私的使用のための複製 など ) を除き禁じられています. 大学, 病院, 企業などにおいて, 内部的に業務上使用する目的で上記の行為を行うことは私的使用には該当せず違法です. また私的使用のためであっても, 代行業者等の第三者に依頼して上記の行為を行うことは違法です.

162

手関節骨折治療CI_f.indd

手関節骨折治療CI_f.indd 手関節骨折治療におけるデジタル C- アームとエコーの有用性 手関節骨折治療におけるデジタル C- アームとエコーの有用性 1 100 Central Depression 3 9 現在の橈骨遠位端骨折治療の方向性 監修にあたり QOL X 1 2 高精細 100 万画素イメージを用いた Central Depression 型橈骨遠位端粉砕骨折への挑戦 はじめに Angular Stability

More information

対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復

対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復 石川県立中央病院整形外科 堀井健志高田宗知島貫景都菅沼省吾虎谷達洋引地俊文安竹秀俊 対象 :7 例 ( 性 6 例 女性 1 例 ) 年齢 : 平均 47.1 歳 (30~76 歳 ) 受傷機転 運転中の交通外傷 4 例 不自然な格好で転倒 2 例 車に轢かれた 1 例 全例後方脱臼 : 可及的早期に整復 骨折型 :Pipkin 分類 Pipkin. JBJS 39-A. 1957 Type 1 Type

More information

04_手関節正面像における.indd

04_手関節正面像における.indd Arts and Comparison between the standardized and the Nagasawa technique in the plain P-A radiograph of normal wrist 1 62273 2 1 39792 3 3 1 2 3 Key words: wrist, radiography, standardized technique, Nagasawa

More information

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形

本研究の目的は, 方形回内筋の浅頭と深頭の形態と両頭への前骨間神経の神経支配のパターンを明らかにすることである < 対象と方法 > 本研究には東京医科歯科大学解剖実習体 26 体 46 側 ( 男性 7 名, 女性 19 名, 平均年齢 76.7 歳 ) を使用した 観察には実体顕微鏡を用いた 方形 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 坂本和陽 論文審査担当者 主査副査 宗田大星治 森田定雄 論文題目 An anatomic study of the structure and innervation of the pronator quadratus muscle ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 方形回内筋は浅頭と深頭に区別され, 各頭がそれぞれ固有の機能をもつと考えられている しかし,

More information

Ⅰ はじめに 柔道整復師が取り扱う骨折や脱臼などの外傷の治療の基本原則は非観血的療法である その中で通常は 観血的療法の適応となる外傷でも非観血的療法を行なう場合がある 今回は 観血的療法を選択すること が多い中手指節関節 以下 MCP関節 脱臼を伴った示指基節骨骨折に対し非観血的療法を行った症例を

Ⅰ はじめに 柔道整復師が取り扱う骨折や脱臼などの外傷の治療の基本原則は非観血的療法である その中で通常は 観血的療法の適応となる外傷でも非観血的療法を行なう場合がある 今回は 観血的療法を選択すること が多い中手指節関節 以下 MCP関節 脱臼を伴った示指基節骨骨折に対し非観血的療法を行った症例を 示指基節骨骨折を伴った中手指節関節脱臼の1例 田村 哲也 下小野田 一騎 末吉 祐介 山際 まどか 岡田 尚之 了德寺大学 健康科学部整復医療 トレーナー学科 了德寺大学 健康科学部医学教育センター 要旨 今回我々は比較的まれであり 観血的療法を選択することの多い中手指節関節 以下 MCP関節 脱臼を 伴った示指基節骨骨折の症例に対して 非観血的療法を行い良好な結果を経験したため報告する 症例は 歳女性

More information

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文

博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 博士論文 考え続ける義務感と反復思考の役割に注目した 診断横断的なメタ認知モデルの構築 ( 要約 ) 平成 30 年 3 月 広島大学大学院総合科学研究科 向井秀文 目次 はじめに第一章診断横断的なメタ認知モデルに関する研究動向 1. 診断横断的な観点から心理的症状のメカニズムを検討する重要性 2 2. 反復思考 (RNT) 研究の歴史的経緯 4 3. RNT の高まりを予測することが期待されるメタ認知モデル

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 (ICD10: C81 85, C96 ICD O M: 9590 9729, 9750 9759) 治癒モデルの推定結果が不安定であったため 治癒モデルの結果を示していない 203 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 71 68 50 53 52 45 47 1993 1997 1998 2001 2002 2006 2002 2006 (Period 法 ) 43 38 41 76

More information

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ

10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) (Period 法 ) Key Point 1 10 年相対生存率に明らかな男女差は見られない わずかではあ (ICD10: C91 C95 ICD O M: 9740 9749, 9800 9999) 全体のデータにおける 治癒モデルの結果が不安定であるため 治癒モデルの結果を示していない 219 10 年相対生存率 全患者 相対生存率 (%) 52 52 53 31 29 31 26 23 25 1993 1997 1998 01 02 06 02 06 (Period 法 ) 21 17 55 54

More information

心房細動1章[ ].indd

心房細動1章[ ].indd 1 心房細動は, 循環器医のみならず一般臨床医も遭遇することの多い不整脈で, 明らかな基礎疾患を持たない例にも発症し, その有病率は加齢とともに増加する. 動悸などにより QOL が低下するのみならず, しばしば心機能低下, 血栓塞栓症を引き起こす原因となり, 日常診療上最も重要な不整脈のひとつである. 1 [A] 米国の一般人口における心房細動の有病率については,4 つの疫学調査をまとめた Feinberg

More information

5 月 22 日 2 手関節の疾患と外傷 GIO: 手関節の疾患と外傷について学ぶ SBO: 1. 手関節の診察法を説明できる 手関節の機能解剖を説明できる 前腕遠位部骨折について説明できる 4. 手根管症候群について説明できる 5 月 29 日 2 肘関節の疾患と外傷 GIO: 肘関節の構成と外側

5 月 22 日 2 手関節の疾患と外傷 GIO: 手関節の疾患と外傷について学ぶ SBO: 1. 手関節の診察法を説明できる 手関節の機能解剖を説明できる 前腕遠位部骨折について説明できる 4. 手根管症候群について説明できる 5 月 29 日 2 肘関節の疾患と外傷 GIO: 肘関節の構成と外側 日付 時限 4 月 10 日 2 変形性関節症 ( 総論 ) GIO: 変形性関節症について学ぶ SBO: 1. 変形性関節症の病態について説明できる 変形性関節症の成因について説明できる 変形性関節症のX 線所見を説明できる 4. 変形性関節症の治療について説明できる 4 月 17 日 2 骨 関節の炎症 (RA 感染症 ) GIO: 骨 関節感染症および関節リウマチを理解する SBO: 1. 化膿性骨髄炎を説明できる

More information

10035 I-O1-6 一般 1 体外衝撃波 2 月 8 日 ( 金 ) 09:00 ~ 09:49 第 2 会場 I-M1-7 主題 1 基礎 (fresh cadaver を用いた肘関節の教育と研究 ) 2 月 8 日 ( 金 ) 9:00 ~ 10:12 第 1 会場 10037

10035 I-O1-6 一般 1 体外衝撃波 2 月 8 日 ( 金 ) 09:00 ~ 09:49 第 2 会場 I-M1-7 主題 1 基礎 (fresh cadaver を用いた肘関節の教育と研究 ) 2 月 8 日 ( 金 ) 9:00 ~ 10:12 第 1 会場 10037 登録番号 演題番号 セッション区分 セッション名 日にち 時間 会場 10000 I-P2-2 ポスター 2 小児 2( 骨折合併症 骨端症 ) 2 月 8 日 ( 金 ) 17:30 ~ 17:55 ポスター会場 10001 I-O18-2 一般 18 脱臼 靱帯損傷 2 月 8 日 ( 金 ) 17:16 ~ 18:05 第 3 会場 10002 I-O5-1 一般 5 野球肘 1( 健診 )

More information

< AE8C608A4F89C836362D322E696E6462>

< AE8C608A4F89C836362D322E696E6462> 整形外科と災害外科 66:(2)289~293, 2017. 289 伊東孝浩 上田幸輝 水城安尋 溝口孝 佐々木大 田中宏毅 内村大輝 萩原博嗣 はじめに 当院における大腿骨転子部骨折後のカットアウト症例についてその詳細を検討した. 方法 2012 年 1 月 ~2015 年 12 月までに当院で髄内釘による治療を行った大腿骨転子部骨折は 343 例で, 追跡しえた症例のうち, ラグスクリューがカットアウトした

More information

アクソス ロッキングプレート カタログ

アクソス ロッキングプレート カタログ AxSOS 3Ti Locking Plate System アクソスロッキングプレートシステム モルフォメトリックなプレートデザイン 特徴的なスクリュー 機能的な手術器械 アクソスロッキングプレートシステム 緒言 アクソスロッキングプレートシステムはストライカー社の SOMA TM Bone Database を用いてデザインされた長管骨専用のモノアクシャルロッキングプレートシステムです 本システムは上腕骨近位

More information

原因は不明ですが 女性に多く 手首の骨折後や重労働を行う人に多く見られます 治療は安静や飲み薬で経過を見ますが しびれが良くならない場合 当科では 小さな傷で神 経の圧迫をとる手術を行っており 傷は 3 ヶ月ぐらい経過するとほとんど目立ちません 手術 時間は約 30 分程度ですが 抜糸するのに約 1

原因は不明ですが 女性に多く 手首の骨折後や重労働を行う人に多く見られます 治療は安静や飲み薬で経過を見ますが しびれが良くならない場合 当科では 小さな傷で神 経の圧迫をとる手術を行っており 傷は 3 ヶ月ぐらい経過するとほとんど目立ちません 手術 時間は約 30 分程度ですが 抜糸するのに約 1 疾患について 1.母指 CM 関節症 CM 関節 指の付け根の関節 この病気は 物をつまむ時やビンの蓋を開ける時など 親指に力を必要とする動作で痛みが出 ます 進行すると親指が開きにくくなり 関節の変形は外見からも分かるようになります 病気の起こる原因として親指のCM関節はよく動く関節であり 5 本の指の中で最も良く使う 指のためゆるみが生じやすく そのため関節の軟骨がすりへっておこると言われています

More information

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 )

要望番号 ;Ⅱ 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 ) 未承認薬 適応外薬の要望 ( 別添様式 1) 1. 要望内容に関連する事項 要望 者 ( 該当するものにチェックする ) 優先順位 学会 ( 学会名 ; 日本ペインクリニック学会 ) 患者団体 ( 患者団体名 ; ) 個人 ( 氏名 ; ) 2 位 ( 全 4 要望中 ) 成分名 ( 一般名 ) 塩酸リドカイン 販売名 0.5%/1%/2% キシロカイン 要望する医薬品要望内容 会社名 国内関連学会

More information

きた (Howard et al.1989, Cooney et al.1980, Porter et al.1987 ほか ) その結果どのような固定法を用いたことよりも どれだけ良好な整復位が得られ そして保持されたかによって最終成績が決定されることが明らかとなった たとえ徒手整復 ギプス固定で

きた (Howard et al.1989, Cooney et al.1980, Porter et al.1987 ほか ) その結果どのような固定法を用いたことよりも どれだけ良好な整復位が得られ そして保持されたかによって最終成績が決定されることが明らかとなった たとえ徒手整復 ギプス固定で 橈骨遠位端骨折 2004 年度版命題 橈骨遠位端関節外骨折 関節内骨折の治療アルゴリズムは? 骨移植の適応は? また移植骨は何が最適か ( 自家骨 オスフェリオン バイオペックス ) 尺骨茎状突起骨折は内固定すべきか? 関節内骨折の整復の許容範囲と整復方法 担当辻英樹 2005 年度改訂版付記事項 Plate 固定の変遷と update 最近提唱されている Three column theory とそれに基づいた治療法

More information

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に

高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に 高齢者におけるサルコペニアの実態について みやぐち医院 宮口信吾 我が国では 高齢化社会が進行し 脳血管疾患 悪性腫瘍の増加ばかりでなく 骨 筋肉を中心とした運動器疾患と加齢との関係が注目されている 要介護になる疾患の原因として 第 1 位は脳卒中 第 2 位は認知症 第 3 位が老衰 第 4 位に関節疾患 5 位が骨折 転倒であり 4,5 位はいずれも運動器が関係している 骨粗しょう症のメカニズムの解明

More information

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号

資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 <その他分野 ( 消化器官用薬 解毒剤 その他 )> 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 資料 3 1 医療上の必要性に係る基準 への該当性に関する専門作業班 (WG) の評価 < 代謝 その他 WG> 目次 小児分野 医療上の必要性の基準に該当すると考えられた品目 との関係本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル ( 要望番号 ;II-231) 1 医療上の必要性の基準に該当しないと考えられた品目 本邦における適応外薬ミコフェノール酸モフェチル

More information

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M

婦人科63巻6号/FUJ07‐01(報告)       M 図 1 調査前年 1 年間の ART 実施周期数別施設数 図 4 ART 治療周期数別自己注射の導入施設数と導入率 図 2 自己注射の導入施設数と導入率 図 5 施設の自己注射の使用目的 図 3 導入していない理由 図 6 製剤種類別自己注射の導入施設数と施設率 図 7 リコンビナント FSH を自己注射された症例の治療成績は, 通院による注射症例と比較し, 差があるか 図 10 リコンビナント FSH

More information

Microsoft Word - cjs63B9_ docx

Microsoft Word - cjs63B9_ docx 日本人の年齢別推算糸球体濾過量 (egfr) の検討 ~ 協会けんぽ東京支部 76 万人の健診データから ~ 渋谷区医師会 望星新宿南口クリニック院長高橋俊雅 協会けんぽ東京支部保健グループ岡本康子 尾川朋子 目的 企画総務グループ馬場武彦 概要 推算糸球体濾過量 (egfr) は 慢性腎臓病 (CKD) の診断 治療に広く利用さ れているが 個々人の egfr を比較できる年齢別 egfr( 標準値

More information

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の [web 版資料 1 患者意見 1] この度 高尿酸血症 痛風の治療ガイドライン の第 3 回の改訂を行うことになり 鋭意取り組んでおります 診療ガイドライン作成に患者 市民の立場からの参加 ( 関与 ) が重要であることが認識され 診療ガイドライン作成では 患者の価値観 希望の一般的傾向 患者間の多様性を反映させる必要があり 何らかの方法で患者 市民の参加 ( 関与 ) に努めるようになってきております

More information

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4

10038 W36-1 ワークショップ 36 関節リウマチの病因 病態 2 4 月 27 日 ( 金 ) 15:10-16:10 1 第 5 会場ホール棟 5 階 ホール B5(2) P2-203 ポスタービューイング 2 多発性筋炎 皮膚筋炎 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:4 10001 P1-089 ポスタービューイング 1 関節リウマチの治療 :DMARDs NSAIDs 4 月 26 日 ( 木 ) 13:20-14:40 - ポスター 展示会場ホール E B2 階 ホール E 10002 P2-041 ポスタービューイング 2 関節リウマチの治療評価と予測 2 4 月 27 日 ( 金 ) 12:40-14:00 - ポスター 展示会場ホール E B2 階 ホール

More information

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会

標準的な健診・保健指導の在り方に関する検討会 第 3 章保健指導対象者の選定と階層化 (1) 保健指導対象者の選定と階層化の基準 1) 基本的考え方生活習慣病の予防を期待できる内臓脂肪症候群 ( メタボリックシンドローム ) の選定及び階層化や 生活習慣病の有病者 予備群を適切に減少させることができたかを的確に評価するために 保健指導対象者の選定及び階層化の標準的な数値基準が必要となる 2) 具体的な選定 階層化の基準 1 内臓脂肪型肥満を伴う場合の選定内臓脂肪蓄積の程度を判定するため

More information

手指中節骨頚部骨折に対する治療経験 桐林俊彰 1), 下小野田一騎 1,2) 3), 大澤裕行 1) 了德寺大学 附属船堀整形外科 了德寺大学 健康科学部医学教育センター 2) 3) 了德寺大学 健康科学部整復医療 トレーナー学科 要旨今回, 我々は初回整復後に再転位を生じた右小指中節骨頚部骨折に対

手指中節骨頚部骨折に対する治療経験 桐林俊彰 1), 下小野田一騎 1,2) 3), 大澤裕行 1) 了德寺大学 附属船堀整形外科 了德寺大学 健康科学部医学教育センター 2) 3) 了德寺大学 健康科学部整復医療 トレーナー学科 要旨今回, 我々は初回整復後に再転位を生じた右小指中節骨頚部骨折に対 手指中節骨頚部骨折に対する治療経験 桐林俊彰 1), 下小野田一騎 1,2) 3), 大澤裕行 1) 了德寺大学 附属船堀整形外科 了德寺大学 健康科学部医学教育センター 2) 3) 了德寺大学 健康科学部整復医療 トレーナー学科 要旨今回, 我々は初回整復後に再転位を生じた右小指中節骨頚部骨折に対し再整復を行い, 背側からのアルフェンス ポリキャストを織り交ぜたシーネ固定を用い経過観察したところ,

More information

m A, m w T w m m W w m m w K w m m Ⅰはじめに 中手指節関節 以下 MP関節屈曲位でギプス固定を行い その直後から固定下で積極的に手指遠位指 節間関節 以下 DI P関節 近位指節間関節 以下 PI P関節の自動屈伸運動を行う早期運動療法 以下 ナックルキャストは

m A, m w T w m m W w m m w K w m m Ⅰはじめに 中手指節関節 以下 MP関節屈曲位でギプス固定を行い その直後から固定下で積極的に手指遠位指 節間関節 以下 DI P関節 近位指節間関節 以下 PI P関節の自動屈伸運動を行う早期運動療法 以下 ナックルキャストは 手指基節骨骨折に対するナックルキャスト固定下での早期運動療法を行った1例 下小野田 一騎 皆川 英成 関口 勲 了德寺大学 健康科学部医学教育センター 医療法人社団了德寺会 上青木整形外科 要旨 今回われわれは挫創を伴う転位の著明な手指基節骨基部骨折に対し 中手指節関節 以下 MP関節屈 曲位ギプス固定を行い その直後から固定下で積極的に手指遠位指節間関節 以下 DI P関節 近位指節 間関節 以下

More information

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or 33 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 2015 年第 2 版 NCCN.org NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) の Lugano

More information

1 経 緯

1 経 緯 平成 25 年 12 月 25 日現在 肢体不自由 ( 人工関節等置換者 ) の障害認定基準の見直しについて 厚生労働省社会 援護局障害保健福祉部企画課 1 経 緯 2 肢体不自由 ( 人工関節等置換者 ) の障害認定基準の見直しについて 現在の取扱い 身体障害者手帳の認定では 肢体不自由における人工関節等を置換している方は 1 股関節 膝関節に人工関節等を置換している場合は一律 4 級 2 足関節に人工関節等を置換している場合は一律

More information

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類

未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類 未承認薬 適応外薬の要望に対する企業見解 ( 別添様式 ) 1. 要望内容に関連する事項 会社名要望された医薬品要望内容 CSL ベーリング株式会社要望番号 Ⅱ-175 成分名 (10%) 人免疫グロブリン G ( 一般名 ) プリビジェン (Privigen) 販売名 未承認薬 適応 外薬の分類 ( 該当するものにチェックする ) 効能 効果 ( 要望された効能 効果について記載する ) ( 要望されたについて記載する

More information

TheShoulderJoint,2005;Vol.29,No.3: はじめに a 転位骨片を伴う関節窩骨折に対しては直視下に整復, 内固定を施行した報告が多いが, 鏡視下での整復固定の報告は比較的稀である. 今回我々は転位骨片を伴う関節窩骨折に腋窩神経麻痺を合併した1 例に対し,

TheShoulderJoint,2005;Vol.29,No.3: はじめに a 転位骨片を伴う関節窩骨折に対しては直視下に整復, 内固定を施行した報告が多いが, 鏡視下での整復固定の報告は比較的稀である. 今回我々は転位骨片を伴う関節窩骨折に腋窩神経麻痺を合併した1 例に対し, 転位骨片を伴う関節窩骨折に腋窩神経麻痺を合併した 1 例 昭和大学藤が丘病院 永 井 英 牧 内 大 輔 西 中 直 也 山 口 健 上 原 大 志 山 口 重 貴 昭和大学藤が丘リハビリテーション病院 筒 井 廣 明 三 原 研 一 鈴 木 一 秀 保 刈 成 大 田 勝 弘 松 久 孝 行 TheAnteriorDislocationoftheShoulderwithSeverely DisplacedAnterior

More information

はじめに難聴の重症度をいくつかのカテゴリーに分類する意義は 難聴そのものの程度と それによってもたらされる障害を 一般的な言葉で表し 難聴に関する様々な記述に一定の客観性 普遍性を持たせることにあると考えられる 仮にこのような分類がないと 難聴に関する記述の際に数値を示すか あるいは定量的な裏付けの

はじめに難聴の重症度をいくつかのカテゴリーに分類する意義は 難聴そのものの程度と それによってもたらされる障害を 一般的な言葉で表し 難聴に関する様々な記述に一定の客観性 普遍性を持たせることにあると考えられる 仮にこのような分類がないと 難聴に関する記述の際に数値を示すか あるいは定量的な裏付けの 難聴対策委員会報告 難聴 ( 聴覚障害 ) の程度分類について 難聴対策委員会 担当理事内藤泰委員長川瀬哲明委員小林一女鈴木光也曾根三千彦原田竜彦米本清 1 はじめに難聴の重症度をいくつかのカテゴリーに分類する意義は 難聴そのものの程度と それによってもたらされる障害を 一般的な言葉で表し 難聴に関する様々な記述に一定の客観性 普遍性を持たせることにあると考えられる 仮にこのような分類がないと 難聴に関する記述の際に数値を示すか

More information

1508目次.indd

1508目次.indd 成人の溶連菌感染の診断 國島広之 成人の溶連菌感染の診断についてご教示ください 日常診療において 成人で咽頭痛 扁桃に膿栓 高熱を認める場合があります 1. 成人における溶連菌感染の頻度 2. 感染の迅速診断キットの有用性 3. 成人においても治療はペニシリンの10 日間服用が基本処方でしょうか 4. センタースコアは 成人にも適応できますか 國島 5 15% 10% 5 15% 國島 59

More information

第 43 回日本肩関節学会 第 13 回肩の運動機能研究会演題採択結果一覧 2/14 ページ / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学会 ポスター 運動解析 P / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学

第 43 回日本肩関節学会 第 13 回肩の運動機能研究会演題採択結果一覧 2/14 ページ / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学会 ポスター 運動解析 P / ポスター会場 第 43 回日本肩関節学 第 43 回日本肩関節学会 第 13 回肩の運動機能研究会演題採択結果一覧 1/14 ページ 10000 10/21 1607-1647 第 2 会場 第 43 回日本肩関節学会 一般口演 肩鎖関節脱臼 2 G1-O-37 10001 10/22 0930-1018 第 2 会場 第 43 回日本肩関節学会 一般口演 腱板断裂 7 G2-O-15 10002 10/21 1730-1800 第 2

More information

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用

(3) 摂取する上での注意事項 ( 該当するものがあれば記載 ) 機能性関与成分と医薬品との相互作用に関する情報を国立健康 栄養研究所 健康食品 有効性 安全性データベース 城西大学食品 医薬品相互作用データベース CiNii Articles で検索しました その結果 検索した範囲内では 相互作用 販売しようとする機能性表示食品の科学的根拠等に関する基本情報 ( 一般消費者向け ) 商品名蹴脂粒食品の区分 加工食品 ( サプリメント形状 その他 ) 生鮮食品機能性関与成分名キトグルカン ( エノキタケ抽出物 ) 表示しようとする機能性本品はキトグルカン ( エノキタケ抽出物 ) を配合しており 体脂肪 ( 内臓脂肪 ) を減少させる働きがあります 体脂肪が気になる方 肥満気味の方に適しています

More information

はじめに 転位の大きな大腿骨頚部骨折は, 高エネルギー外傷によっておこることや, 合併症の多い人におこることが多く, 治療も難しい

はじめに 転位の大きな大腿骨頚部骨折は, 高エネルギー外傷によっておこることや, 合併症の多い人におこることが多く, 治療も難しい ORIF or Arthroplasty for Displaced Femoral Neck Fractures in Patients Younger Than 65 Years Old An Economic Decision Analysis Eric Swart, MD et al. Investigation performed at the Department of Orthopaedic

More information

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2

平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2 平成 28 年度診療報酬改定情報リハビリテーション ここでは全病理に直接関連する項目を記載します Ⅰ. 疾患別リハビリ料の点数改定及び 維持期リハビリテーション (13 単位 ) の見直し 脳血管疾患等リハビリテーション料 1. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅰ)(1 単位 ) 245 点 2. 脳血管疾患等リハビリテーション料 (Ⅱ)(1 単位 ) 200 点 3. 脳血管疾患等リハビリテーション料

More information

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性

糖尿病診療における早期からの厳格な血糖コントロールの重要性 2018 年 12 月 19 日放送 急性胆管炎 胆嚢炎診療ガイドライン 2018 国際医療福祉大学消化器外科教授吉田雅博ガイドラインの作成経過急性胆道感染症 ( 急性胆管炎 急性胆囊炎 ) は急性期に適切な対処が必要であり 特に 急性胆管炎 なかでも重症急性胆管炎では急性期に適切な診療が行われないと早期に死亡に至ることもあります これに対し 2005 年に出版されたガイドライン初版によって世界に向けて診断基準

More information

診療のガイドライン産科編2014(A4)/fujgs2014‐114(大扉)

診療のガイドライン産科編2014(A4)/fujgs2014‐114(大扉) !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! α!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

More information

<4D F736F F D DC58F4994C5817A F938C91E F C A838A815B83588CB48D652E646F63>

<4D F736F F D DC58F4994C5817A F938C91E F C A838A815B83588CB48D652E646F63> [PRESS RELEASE] 2010 年 6 月 8 日東京大学医学部附属病院 骨折治癒を大幅に早める治療薬を開発 リコンビナントヒト線維芽細胞増殖因子 -2 (rhfgf-2) 製剤の臨床試験 骨折治癒を早める薬剤は社会的要請が高いにもかかわらず 現在まで国内外を通じて臨床応用されているものはありません 当院整形外科 脊椎外科 ( 教授中村耕三 ) は 線維芽細胞増殖因子 -2(FGF-2)

More information

助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで

助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちで 助成研究演題 - 平成 27 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 改良型 STOPP を用いた戦略的ポリファーマシー解消法 木村丈司神戸大学医学部附属病院薬剤部主任 スライド 1 スライド 2 スライド1, 2 ポリファーマシーは 言葉の意味だけを捉えると 薬の数が多いというところで注目されがちですけれども それに加えて 潜在的に不適切な処方が含まれていることが問題として取り上げられるようになっています

More information

日本皮膚科学会雑誌第117巻第14号

日本皮膚科学会雑誌第117巻第14号 1 QOL 3 Visual analogue scale VAS 4 2 5 1 表 1 患者背景 背景因子 (n= 143) 例数 背景因子 (n= 143) 例数 性別 年齢 平均値 ±SD 50.4±15.6 最少 19 最高 86 男性 女性 30 歳未満 30~39 歳 40~49 歳 50~59 歳 60~69 歳 70 歳以上 98(68.5%) 45(31.5%) 13( 9.1%)

More information

の内外幅は考慮されず 側面像での高さのみで分類されているため正確な評価ができない O Driscoll は CT 画像を用いて骨片の解剖学的な位置に基づいた新しい鉤状突起骨折の分類を提案した この中で鉤状突起骨折は 先端骨折 前内側関節骨折 基部骨折 の 3 型に分類され 先端骨折はさらに 2mm

の内外幅は考慮されず 側面像での高さのみで分類されているため正確な評価ができない O Driscoll は CT 画像を用いて骨片の解剖学的な位置に基づいた新しい鉤状突起骨折の分類を提案した この中で鉤状突起骨折は 先端骨折 前内側関節骨折 基部骨折 の 3 型に分類され 先端骨折はさらに 2mm 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 志村治彦 論文審査担当者 主査宗田大副査星治 森田定雄 論文題目 Joint capsule attachment to the coronoid process of the ulna: an anatomic study with implications regarding the type 1 fractures of the coronoid process

More information

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業)

厚生労働科学研究費補助金(循環器疾患等生活習慣病対策総合研究事業) 厚生労働科学研究費補助金 ( 循環器疾患 糖尿病等生活習慣病対策総合研究事業 ) 分担研究報告書 健康寿命の全国推移の算定 評価に関する研究 評価方法の作成と適用の試み 研究分担者橋本修二藤田保健衛生大学医学部衛生学講座 教授 研究要旨健康寿命の推移について 平均寿命の増加分を上回る健康寿命の増加 ( 健康日本 21( 第二次 ) の目標 ) の達成状況の評価方法を開発 提案することを目的とした 本年度は

More information

MedicalStatisticsForAll.indd

MedicalStatisticsForAll.indd みんなの 医療統計 12 基礎理論と EZR を完全マスター! Ayumi SHINTANI はじめに EZR EZR iii EZR 2016 2 iv CONTENTS はじめに... ⅲ EZR をインストールしよう... 1 EZR 1...1 EZR 2...3...8 R Console...10 1 日目 記述統計量...11 平均値と中央値... 11...12...15...18

More information

018_整形外科学系

018_整形外科学系 整形外科学系 よき臨床医の育成を最優先し 幅広い分野で高度の整形外科医療を学べます 日本大学医学部附属3病院をはじめ 実践的で臨床教育にすぐれた関連病院が多数あり 多数の臨床経験を積むことができます 研究面では自由 創造性を重視して指導しています 国際性を尊重し 海外留学を奨励しています 龍 順之助 整形外科分野主任教授 関節班 日本有数の人工関節手術数 特に両側同時人工膝関節置換が世界的に有名 龍教授

More information

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果

2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果 2015 年 11 月 5 日 乳酸菌発酵果汁飲料の継続摂取がアトピー性皮膚炎症状を改善 株式会社ヤクルト本社 ( 社長根岸孝成 ) では アトピー性皮膚炎患者を対象に 乳酸菌 ラクトバチルスプランタルム YIT 0132 ( 以下 乳酸菌 LP0132) を含む発酵果汁飲料 ( 以下 乳酸菌発酵果汁飲料 ) の飲用試験を実施した結果 アトピー性皮膚炎症状を改善する効果が確認されました なお 本研究成果は

More information

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴

3) 適切な薬物療法ができる 4) 支持的関係を確立し 個人精神療法を適切に用い 集団精神療法を学ぶ 5) 心理社会的療法 精神科リハビリテーションを行い 早期に地域に復帰させる方法を学ぶ 10. 気分障害 : 2) 病歴を聴取し 精神症状を把握し 病型の把握 診断 鑑別診断ができる 3) 人格特徴 専門研修プログラム整備基準項目 5 別紙 1 専門技能 ( 診療 検査 診断 処置 手術など ) 1 年目 1 患者及び家族との面接 : 面接によって情報を抽出し診断に結びつけるとともに 良好な治療関係を維持する 2. 診断と治療計画 : 精神 身体症状を的確に把握して診断し 適切な治療を選択するとともに 経過に応じて診断と治療を見直す 3. 疾患の概念と病態の理解 : 疾患の概念および病態を理解し

More information

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E >

<4D F736F F F696E74202D AAE90AC94C5817A835F C581698FE39E8A90E690B6816A2E > 労災疾病等 13 分野医学研究 開発 普及事業 第 2 期 ( 平成 21 年度 ~ 平成 25 年度 ) 分野名 働く女性のためのメディカル ケア 働く女性における介護ストレスに関する研究 - 女性介護離職者の軽減をめざして - 働く女性健康研究センター 主任研究者中部労災病院女性診療科 神経内科部長上條美樹子 研究の目的 現代社会においては女性労働力の確保は経済復興の大きな柱と考えられ 育児休暇制度や勤務形態の工夫など

More information

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究

9 中止基準 ( 研究対象者の中止 研究全体の中止について ) 10 研究対象者への研究実施後の医療提供に関する対応 通常の診療を超える医療行為 を伴う研究を実施した場合 研究実施後において 研究対象者が研究の結果より得られた利用可能な最善の予防 診断及び治療が受けられるように努めること 11 研究 倫理審査書類 ( 研究計画書 ) チェックシート 研究計画書には 原則として以下の項目を含めてください 申請時 提出は不要です 2017.5.2 1 研究の名称 ( 標題 ) 2 研究の実施体制 ( 研究組織 ) 多施設共同研究の場合 共同研究機関の研究者名 役割も詳細に記載 3 研究の背景及び意義 研究を実施する意義 必要性に関して 文献等を用いて研究の 科学的合理性の根拠 と 本研究で得られる成果

More information

161013_pamph_hp

161013_pamph_hp H I V / エイズ の 基礎知識 公 益 財 団 法 人 エイズ 予 防 財 団 もくじ H I V / エ イズ の 理 解と早 期 検 査 1981年に新しい病気として登場した も よその国の病気でもなく 日本でも HIV感染症は 瞬く間に世界中に広が 誰もがかかり得る感染症です しかし りました それから30数年 素晴らしい HIVの感染経路は限られていますので 治療法 ART が確立され

More information

腰痛診療GL_表紙01

腰痛診療GL_表紙01 腰痛診療ガイドライン 2012 Japanese Orthopaedic Association(JOA)Clinical Practice Guideline for the Management of Low Back Pain The Japanese Orthopaedic Association, 2012 Published by Nankodo Co., Ltd., Tokyo, 2012

More information

表紙.indd

表紙.indd 教育実践学研究 23,2018 1 Studies of Educational Psychology for Children (Adults) with Intellectual Disabilities * 鳥海順子 TORIUMI Junko 要約 : 本研究では, の動向を把握するために, 日本特殊教育学会における過去 25 年間の学会発表論文について分析を行った 具体的には, 日本特殊教育学会の1982

More information

2009年8月17日

2009年8月17日 医師 2,000 人超の調査結果を多数掲載中です https://www.facebook.com/medpeer 2013 年 8 月 1 日 メドピア株式会社 マイコプラズマ感染症診断における迅速診断キットの使用状況 について 半数以上はキットを使用していない 医師約 6 万人が参加する医師専用サイト MedPeer ( メドピア https://medpeer.jp/) を運営するメドピア 株式会社

More information

下腿鋭的外傷で出血性ショックを呈した 1 例 札幌徳洲会病院整形外科加藤康寛 工藤道子 森利光 放射線科渡邉尚史 片田竜司 症例は 48 歳女性 仕事中に鋭利なキッチンばさみが左下腿後面に刺さり受傷 近医へ救急搬送され 外来処置を行い入院となる 入院後 疼痛が増強し左下腿の著明な腫脹を認めた 血圧が

下腿鋭的外傷で出血性ショックを呈した 1 例 札幌徳洲会病院整形外科加藤康寛 工藤道子 森利光 放射線科渡邉尚史 片田竜司 症例は 48 歳女性 仕事中に鋭利なキッチンばさみが左下腿後面に刺さり受傷 近医へ救急搬送され 外来処置を行い入院となる 入院後 疼痛が増強し左下腿の著明な腫脹を認めた 血圧が 指尖部損傷サルベージ手術の 1 例 函館五稜郭病院整形外科佐藤攻 症例 31 歳男性 左中指指尖部損傷 作業中パンを切る機械で左中指切断 他 医で骨接合 ( ピンニング ) と皮膚縫合を受けた 手術後 18 時間以上経過してか ら紹介受診となった 切断レベルは Ishikawa Zone 2であった 治療経過 当日再手術を施行 末節骨と爪床はそのまま Compo site raft gとし て利用

More information

日本臨床倫理学会 日本版 POLST(DNAR 指示を含む ) 作成指針 POLST(Physician Orders for Life Sustaining Treatment) 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示書 これは日本臨床倫理

日本臨床倫理学会 日本版 POLST(DNAR 指示を含む ) 作成指針 POLST(Physician Orders for Life Sustaining Treatment) 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示書 これは日本臨床倫理 日本版 POLST(DNAR 指示を含む ) 作成指針 POLST(Physician Orders for Life Sustaining Treatment) 生命を脅かす疾患 に直面している患者の 医療処置 ( 蘇生処置を含む ) に関する医師による指示書 これはによる POLST(DNAR 指示を含む ) の作成指針です. 患者さんのために POLST(DNAR 指示を含む ) を作成する医師であれば,

More information

(Carpus. Wikipedia Kienbock は外傷後の月状骨軟化症の X 線所見と臨床症状を詳細に報告した 彼は 外力により月状骨の血行が途絶 軟化 圧壊すると考えた 以来 Kienbock 病の病因に関しては大き

(Carpus. Wikipedia   Kienbock は外傷後の月状骨軟化症の X 線所見と臨床症状を詳細に報告した 彼は 外力により月状骨の血行が途絶 軟化 圧壊すると考えた 以来 Kienbock 病の病因に関しては大き Kienbock 病 : キーンベック病 (130612) 研修に来ていた研修医が実際に自ら経験した病気 勉強になったのでまとめてみようと思う 20 代男性 大学生でテニス部 最終診断がつく 3 ヵ月前から 左手に荷重がかかった時などに軽度の痛みを認めていた ある朝起きた時に激痛になっており 特に誘因も無いため寝違えたかと思ったとのこと 持続痛と軽度の腫脹あり 手背中央に指 1 本で示せるくらいの圧痛点あり

More information

<4D F736F F D204E AB38ED2976C90E096BE A8C9F8DB88A B7982D1928D88D38E968D >

<4D F736F F D204E AB38ED2976C90E096BE A8C9F8DB88A B7982D1928D88D38E968D > Cooper Genomics 社 Serenity 検査について 検査概要 検査名称 :Serenity Basic / Serenty24 検査機関 :Cooper Genomics 社 ( イギリス ) 検査実施国 : イギリス検体 : 血液 10ml 検査対象 妊娠 10 週目以降 ( 採血時 ) で単胎または双胎妊娠の妊婦 Serenity Basic 検査項目 21 トリソミー ( ダウン症候群

More information

3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台

3 医療安全管理委員会病院長のもと 国府台病院における医療事故防止対策 発生した医療事故について速やかに適切な対応を図るための審議は 医療安全管理委員会において行うものとする リスクの把握 分析 改善 評価にあたっては 個人ではなく システムの問題としてとらえ 医療安全管理委員会を中心として 国府台 医療に係る安全管理のための指針 1. 趣旨本指針は 医療法第 6 条の 10 の規定に基づく医療法施行規則第 1 条の 11 の規定を踏まえ 国立研究開発法人国立国際医療研究センター国府台病院 ( 以下 国府台病院 という ) における医療事故防止について組織的に検討し 患者の立場に立ち 患者が安心して医療を受けられる環境を整えるための基本姿勢を示すものである 2. 医療に係る安全管理のための基本的考え方

More information

Vol.56 2014夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入 認定資格 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会指導医 専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 外科医長 渡邉 卓哉 東海中央病院では 3月から腹腔鏡下鼠径ヘルニ ア修復術を導入し この手術方法を

Vol.56 2014夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入 認定資格 日本外科学会専門医 日本消化器外科学会指導医 専門医 消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 外科医長 渡邉 卓哉 東海中央病院では 3月から腹腔鏡下鼠径ヘルニ ア修復術を導入し この手術方法を とうかい Vol.56 公 立 学 校 共 済 組 合 東 海 中 央 病 院 いぎやま こみち 鵜 沼 小 伊 木 町 伊 木 山 のふもと あじさいの 小 径 です 表 紙 写 真 募 集 のお 知 らせ 過 去 のとうかいはこちらからご 覧 になれます http://www.tokaihp.jp/tokai/ INDEX Vol.56 2014夏号 最先端の腹腔鏡下鼠径 ヘルニア修復術を導入

More information

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1

JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1 JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) 独立行政法人国際協力機構 評価部 2014 年 5 月 1 JICA 事業評価ガイドライン ( 第 2 版 ) ( 事業評価の目的 ) 1. JICA は 主に 1PDCA(Plan; 事前 Do; 実施 Check; 事後 Action; フィードバック ) サイクルを通じた事業のさらなる改善 及び 2 日本国民及び相手国を含むその他ステークホルダーへの説明責任

More information

結果 上記の運動の概念を得た 2010 年 10 月以降に治療を行った PIP 背側脱臼損傷 19 指のうち 6 指に ORIF を施行した 結果 PIP 関節伸展平均 -2 度 屈曲平均 96 度であった 考察 掌側板と側方支持機構や伸筋腱は吊り輪状に連結しており リンクした運動をしている PIP

結果 上記の運動の概念を得た 2010 年 10 月以降に治療を行った PIP 背側脱臼損傷 19 指のうち 6 指に ORIF を施行した 結果 PIP 関節伸展平均 -2 度 屈曲平均 96 度であった 考察 掌側板と側方支持機構や伸筋腱は吊り輪状に連結しており リンクした運動をしている PIP 主題 1. 指骨骨折の治療 T1-1. 手指基節骨 中手骨骨折のナックルキャストによる保存的早期運動療法小郡第一総合病院整形外科坂本相哲 土井一輝 服部泰典 はじめに 基節骨 中手骨骨折治療の重要点は 回旋変形をきたさないこと 関節拘縮 腱癒着を予防することである 観血的治療により骨折の解剖学的整復ができても 関節拘縮や腱癒着を生じると著明な機能障害が残存する 石黒らが発表したナックルキャストによる保存的早期運動療法はこれらの問題を回避することができ

More information

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な

4 研修について考慮する事項 1. 研修の対象者 a. 職種横断的な研修か 限定した職種への研修か b. 部署 部門を横断する研修か 部署及び部門別か c. 職種別の研修か 2. 研修内容とプログラム a. 研修の企画においては 対象者や研修内容に応じて開催時刻を考慮する b. 全員への周知が必要な 新井病院 医療安全管理者の業務指針 新井病院医療安全管理者業務指針 1. はじめに医療機関の管理者は 自ら安全管理体制を確保するとともに 医療安全管理者を配置するにあたっては 必要な権限を委譲し また 必要な資源を付与して その活動を推進することで医療機関内の安全管理につとめなければならない 2. 医療安全管理者の位置づけ医療安全管理者とは 病院管理者 ( 病院長 ) の任命を受け 安全管理のために必要な権限の委譲と

More information

rihabili_1213.pdf

rihabili_1213.pdf Ⅰ 総 論 A モデル システム開発の研究検証結果より 九州労災病院 勤労者予防医療センター 豊永 敏宏 1 再就労とリハビリテーション 発症前に就業していた障害者の最大の QOL 生活の質 の獲得は再就労である そして それを支援するのが 障害者の QOL 向上を目的とするリハビリテーション医学である 図 1 リハビリテーション医学とは 日本リハビリテーション医学会作成 解説 脳卒中で緊急入院し

More information

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり

学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり 学位論文の内容の要旨 論文提出者氏名 庄司仁孝 論文審査担当者 主査深山治久副査倉林亨, 鈴木哲也 論文題目 The prognosis of dysphagia patients over 100 years old ( 論文内容の要旨 ) < 要旨 > 日本人の平均寿命は世界で最も高い水準であり, 高齢者の人口は全人口の約 25% を占め, 介護の問題なども含め, 高齢化は深刻な問題である. 平均寿命の延伸とともに,100

More information

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ

4 月 17 日 4 医療制度 2( 医療計画 ) GIO: 医療計画 地域連携 へき地医療について理解する SBO: 1. 医療計画について説明できる 2. 医療圏と基準病床数について説明できる 3. 在宅医療と地域連携について説明できる 4. 救急医療体制について説明できる 5. へき地医療につ 日付 時限 4 月 3 日 4 医療と社会ガイダンス GIO: 社会と医療の関係について理解する 内 容 SBO: 1. 医師としての公衆衛生の必要性を説明できる 2. 社会医学の概念について説明できる 3. 健康 疾病 障害の概念を説明できる 4. 社会構造 環境要因と健康 疾病との関連を説明できる 5. 予防医学について説明できる 4 月 4 日 5 医療制度 1( 医療施設 ) GIO: 医療施設について理解する

More information

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた

助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のた 助成研究演題 - 平成 23 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 東京大学医学系研究科重症心不全治療開発講座客員研究員 ( 助成時 : 東京大学医学部附属病院循環器内科日本学術振興会特別研究員 PD) 加藤尚子 私は 重症心不全の集学的治療確立のための QOL 研究 という題目で ファイザーヘ ルスリサーチ振興財団より助成をいただきました 本日はその結果を報告したいと思います

More information

4 表2 CE角 dysplastic Y軟骨閉鎖 18 3LO 8例 Y軟骨未閉鎖 1L4 8例 例 58例 例 46例 例 26例 24例 78例 例 表3 治療前の病変程度とCE角 dysplastic 8

4 表2 CE角 dysplastic Y軟骨閉鎖 18 3LO 8例 Y軟骨未閉鎖 1L4 8例 例 58例 例 46例 例 26例 24例 78例 例 表3 治療前の病変程度とCE角 dysplastic 8 4 表2 CE角 dysplastic Y軟骨閉鎖 18 3LO 8例 Y軟骨未閉鎖 1L4 8例 13 8 32例 58例 55 2 16例 46例 22 7 65 7 70例 26例 24例 78例 20 3 18 8 60 9 128例 表3 治療前の病変程度とCE角 dysplastic 8例 20 5 12例 30 8 19例 48 7 A B C 39例 10例 79例 3例 30 0

More information

i ii iii iv v vi vii viii ix x xi xii xiii xiv xv xvi 2 3 4 5 6 7 $ 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 $ $ $ 18 19 $ 20 21 22 23 24 25 26 27 $$ 28 29 30 31 $ $ $ 32 33 34 $ 35 $ 36 $ 37 38 39 40 $ 41 42 43 44

More information

9 i 9 1 2 3 4 5 6 ii 7 8 9 10 11 12 .......................................... iii ... 1... 1........................................ 9 iv... v 3 8 9 3 vi vii viii ix x xi xii xiii xiv 34 35 22 1 2 1

More information

7 i 7 1 2 3 4 5 6 ii 7 8 9 10 11 1 12 13 14 iii.......................................... iv................................................ 21... 1 v 3 6 7 3 vi vii viii ix x xi xii xiii xiv xv 26 27

More information

当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸

当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸 当院人工透析室における看護必要度調査 佐藤幸子 木村房子 大館市立総合病院人工透析室 The Evaluation of the Grade of Nursing Requirement in Hemodialysis Patients in Odate Municipal Hospital < 諸言 > 近年 透析患者数は毎年 1 万人ずつ増加しているといわれており 2008 年度におけるわが国の透析患者数は

More information

セッション 6 / ホールセッション されてきました しかしながら これらの薬物療法の治療費が比較的高くなっていることから この薬物療法の臨床的有用性の評価 ( 臨床的に有用と評価されています ) とともに医療経済学的評価を受けることが必要ではないかと思いまして この医療経済学的評価を行うことを本研

セッション 6 / ホールセッション されてきました しかしながら これらの薬物療法の治療費が比較的高くなっていることから この薬物療法の臨床的有用性の評価 ( 臨床的に有用と評価されています ) とともに医療経済学的評価を受けることが必要ではないかと思いまして この医療経済学的評価を行うことを本研 助成研究演題 - 平成 22 年度国内共同研究 (39 歳以下 ) 加齢黄斑変性の治療の対費用効果の研究 柳靖雄 ( やなぎやすお ) 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科 視覚矯正科講師 ( 助成時 : 東京大学大学院医学系研究科外科学専攻眼科 視覚矯正科特任講師 ) スライド-1 まず始めに このような機会を与えていただきましたファイザーヘルスリサーチ振興財団の皆様と選考委員の先生方に感謝申し上げます

More information

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱

子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱 第一総則 子宮頸がん予防措置の実施の推進に関する法律案要綱 一目的 けいりこの法律は 子宮頸がんの罹患が女性の生活の質に多大な影響を与えるものであり 近年の子宮頸が んの罹患の若年化の進行が当該影響を一層深刻なものとしている状況及びその罹患による死亡率が高い 状況にあること並びに大部分の子宮頸がんにヒトパピローマウイルスが関与しており 予防ワクチンの 接種及び子宮頸部の前がん病変 ( 子宮頸がんに係る子宮頸部の異形成その他の子宮頸がんの発症前にお

More information