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1 平成 23 年度高等学校授業力向上研修実践記録 言語活動で理解を深める授業 - 政治経済 日本経済の変化 の指導を通して - 県立村上高等学校 猪又慶太 Ⅰ 指導構想政治経済の目標においては 広い視野に立って, 民主主義の本質に関する理解を深めさせ, 現代における政治, 経済, 国際関係などについて客観的に理解させるとともに, それらに関する諸課題について主体的に考察させ, 公正な判断力を養い, 良識ある公民として必要な能力と態度を育てる とあり 自らが疑問を持ち考える力を養っていけるよう 授業を展開していきたい 大学進学を希望する生徒が多い中で 受験のためだけではなく 社会に出て活躍できる人材となってもらいたい 今回の単元は 現在の日本経済の成り立ちを学ぶという意味でも 今の世の中がどのような課程を経てきたのかを当時の様子を考えながら 授業を行いたい Ⅱ 学習指導案 1 単元名 ( 題材名 ) 第 2 編現代の経済第 3 章日本経済のあゆみと現状 1 日本経済の変化 2 対象クラス 日時平成 23 年度 10 月 18 日 ( 火 ) 第 4 時限 2 年 3 組 40 名 ( 男子 17 名女子 23 名 ) 生徒感 < 省略 > 3 指導目標 戦後から現在までの日本経済について 関心を高め 探求する態度を養う ( 関心 意欲 態度 ) 日本経済が復興し 現在に至るまでの課程を考察する ( 思考 判断 ) 関連するグラフや資料を理解し 考察した内容を表現する ( 資料活用の技能 表現 ) 戦後復興から高度経済成長期 バブル経済への流れについて 理解し 知識を身につける ( 知識 理解 )

2 4 指導と評価の計画 時学習内容学習活動評価と方法 第 1 時 戦後の復興から高度経 済成長へ 敗戦直後の状況からどのように戦後復 興 高度経済成長へと経済を発展させ たのか経過を理解する なぜ 高度経済成長を達成できたのか 第 2 時 ( 本時 ) 高度経済成長の要因と ゆがみ 石油危機とその克服 を理解する なぜ 高度経済成長が終わったのかを理解する 作業プリント 作業プリントを記入する 第 3 時 バブル経済と平成不況 バブル経済発生の過程を理解する ま た バブル崩壊後の経済状況を理解す る 第 4 時 IT 革命 経済のソフト化とサー ビス化 産業構造が変化する中で インターネ ット関連の企業が業績を伸ばしてき た 現代経済について考察する 5 評価規準 関心 意欲 態度思考 判断資料活用の技能 表現知識 理解 戦後から現在までの日 日本経済が復興し 現 関連するグラフや資料 戦後復興から高度経済 本経済について 関心 在に至るまでの課程を を活用し 考察した内 成長期 バブル経済ま を高め 探求している 主体的に考察している 容を適切に表現してい での流れについて 理 か か るか 解し 知識を身につけ ているか 6 本時の計画 (1) ねらい高度経済成長が実現した要因は何だったのだろうか その背景を考察させ 生活の変化にも着目したい 石油危機を期に高度経済成長期は終わり 安定成長期に入ることを理解させる (2) 本時における 研究テーマ に迫るための指導の構想主体的に活動させるために 作業プリントを用いて授業を進める また を交えて生徒と意見交換し クラス生徒全員が同じ疑問を共有できるよう配慮する なぜ 高度経済成長は実現したのか 自分なりの考えを持ち 当時の生活の変化をイメージさせ 主体的に成長過程を考察させる

3 (3) 展開時間 学習活動 教師の働きかけと予想される生徒の反応 支援 評価 留意点 導入 10 分 高度経済成長期がどのような時代だったのかをイメージさせる ( 自作プリント使用 ) 岩戸景気 オリンピック景気 いざなぎ景気の時に流行した物を見て 当時の様子を考えさせる 何人かにする ( 答えが出なそうな時は ヒントを与えたり 分かりそうな生徒に ) 展開 35 分 GNPが世界第 2 位となった要因はなんだったのかを考察させる 高度経済成長の要因をそれぞれ考える 経済の民主化 ( 既習事項なので 民主化された3つの事柄を ) 設備投資 ( 資料集のグラフを説明 ) 貯蓄率 ( 既習事項なので 信用創造について生徒に ) 良質な労働力( 金の卵 ) (2005 年 7 月 4 日付け新潟日報の記事を引用 ) 国民所得倍増計画 ( 資料集のグラフを説明 ) 輸出の増加 ( 既習事項なので 当時の為替レートを ) 日本の当時の様子や日本人の性格なども踏まえて一つずつ要因を取り上げる教員の一方的な授業にならないよう 生徒の様子を把握しておく資料の活用やをし 単調な授業にならないよう注意する 生活の変化 ( 自作プリント使用 ) 電化製品の登場により家庭生活が激変 三種の神器 (2005 年 2 月 23 日付け朝日新聞の記事引用 ) 3C 新三種の神器 電化製品を考えさせる ( 三種の神器の登場により 生活がどのように変化したのかを考察させる ) プリントにより考察生徒に 成長の裏側 公害の発生 ( 新潟水俣病を事例として挙げる ) 生活関連社会資本の整備遅れ 農山漁村の過疎化 ( 村上市も事例として挙げる ) 負の面についても考察 させる ( 簡潔に説明 )

4 第一次石油危機石油危機によって国内ではスタグフレ石油危機の原因となっーションが起き 74 年には戦後初のマた戦争については簡潔まとめイナス成長となり高度経済成長が終わに説明 10 分ったことを理解させる当時の日本の混乱について考察させる (4) 評価 高度経済成長を可能にした日本の当時の状況を考察できているか また 成長の裏にある問題を捉えているか ( 思考 判断 ) グラフなどのデータを読み取れているか ( 資料活用の技能 表現 ) ( 使用教材 ) (1) 教科書 高等学校現代政治 経済改訂版 清水書院 (2) 資料集 政治 経済資料 2011 とうほう (3) 新聞記事 金の卵 (2005 年 7 月 4 日 ( 月曜日 ) 付新潟日報 東京あの時ここで ) 三種の神器 (2005 年 2 月 23 日 ( 水曜日 ) 付朝日新聞 声 ) (4) 自作プリント [ 生活革命 ( 電化製品の登場 )] 1960 年代三種の神器 冷蔵庫 洗濯機 白黒テレビ画像 ( 年代 3C クーラー画像 ( カラーテレビ画像 ( 自動車画像 ( 現在新三種の神器 デジタルカメラ画像 ( DVDレコーダー画像 ( ハイビジョンテレビ画像 ( [ 高度経済銭長期に生まれたもの ] 岩戸景気 (1958~61 年 ) 東京タワー画像 ( 週刊少年マガジン画像週刊少年サンデー画像 ( とうほう 歴史資料館日本史のライブラリー ) オリンピック景気 (1963~64 年 ) 鉄腕アトム画像 ( 東京オリンピック聖火台画像 ( 新幹線画像 (

5 いざなぎ景気 (1965~70 年 ) ウルトラマン画像 ( 仮面ライダー カップヌードル画像 ( 第一学習社 最新日本史図表 ) 太陽の塔画像 ( マクドナルド画像 ( Ⅲ 授業の実際授業前は研究授業ということで 生徒は緊張している様子が見られたが 授業が始まると普段通りに授業に参加できていたようである 導入にプリントを利用したために生徒も発言しやすく また生徒の返答も的確なものが多くスムーズに進めることができた 高度経済成長期はどのような時代だったのかを 生徒なりにイメージさせながら授業を進めていくことができたのではないかと思う Ⅳ 実践の考察とまとめ 1 授業を終えて今回の研究授業では 自作プリントと資料集を教材として生徒自身に考えさせることを重点においた授業を目指した 導入でプリントを活用したことで 生徒は関心を持って授業に参加することができたと考えている また 高度経済成長期をイメージさせて授業を進めることができたことは良かったと思う 途中 間延びしてしまった感覚があるが ポイントごとにを入れることで 生徒を集中させ また以前の授業内容に振り返って復習させることもできた 1 時間を通して高度経済成長期とはどのような時代だったのかを自分達なりに考えることができたのではないかと思う 自分自身の反省として 課題はたくさんあるが今の私の現状なのだと考える 生徒がどれだけ時間内に集中して考察することができるか? これが今回の大きなテーマであったが 全体的には生徒が意欲的にイメージを持ち 授業を展開していくことができたと思う また 興味 関心は理解につながってくると考えると 小テストや考査の結果も踏まえて今回の授業の反省をしたい 2 研究協議会での主な論点良かった点 生徒へのが良い 面白い反応があった 導入でのが生徒に合っていた 例 サッカー関係はサッカー部に 高度成長の要因が適切にまとめられている 高度成長の要因はこのように先生が説明していくやり方がよいと思われる 耐久消費財の比較は写真があってよかった 浅間山荘事件とカップヌードルの関係など教科書にはない繋がりの説明があって面白い 貯蓄率のは信用創造を理解できているかということに繋がり 以前の授業内容を振り返ることができた 高度成長の影の部分にも触れたことはよかった 当時の人々の生活を表現した新聞記事は面白かった

6 改善すべき点 近未来と今との比較があってもよかった 識字率の高さはもっと強調してもよい 平均年齢が若かった 若者の多さを強調するべき 影 の部分についてはもう少し説明があれば尚よい 授業案の内容が時間内に終わらなかった ( 第一次石油危機の説明に時間不足 ) 授業のまとめ方( 中途半端な終わり方 次の授業につながる終わり方に 中途半端な板書で終わらない ) 3 今後の課題今回研究授業をさせていただいて 自分の授業力のなさを改めて実感した 授業内容の吟味もさることながら もっともっと世の中のことを語れるようになりたいと思う 特に言語活動を重視した授業を行うときに 生徒が聞いていて引きずり込まれる授業を教員は求められるのだと思う 授業にあたり 何を一番伝えようか? 何を考えてもらいたいのか? 授業者の伝え方によって生徒が受け取るものが違うわけなので 生徒がのめり込める空間作りが私にはまだまだ足りないと感じる 一方で言語活動については 以前からの多い授業をしていたので 研究授業といってもあまり違和感は覚なかった ただ プリントを用意したことで生徒の理解はより深まったと思う 補助教材の重要性を再確認することができたし また 受験対応のみならず 生徒へのを重視した授業を今後も継続していきたいと思いが強くなった 生徒個々の評価を具体的にどのように数値化していくのかが 今後の課題であろうと思う 観点別評価のポイントを挙げながらも どのように評価していくのかは不透明のままである 例えば 発言しなかった生徒の評価は低いのか? そうであれば全員にする必要がある 特に意欲 関心 態度をどのように評価していくのかを具体的に考えていきたいと思う