Microsoft Word - タマネギの栽培

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1 たまねぎ栽培の基本管理について 平成 27 年 8 月 27 日 芳賀農業振興事務所 月 旬上中下上中下上中下上中下上中下上中下上中下上中下上中下上中下上中下 主な作業 追 苗は早追追追 3 月中旬以降肥本定収床種生肥肥肥は腐敗防止のた定ぽ植穫準 準め追肥しない植備 2 備中追追追 週 生肥 肥 肥 間 前 ( ) 適宜薬剤防除 適宜薬剤防除 出荷 貯蔵 出荷 1 主な品種ソニック ( 早生 ) 七宝早生 7 号 ( 早生 ) アドバンス( 中早生 ) ターボ( 中生 ) コマンダー ( 中生 ) ターザン( 中生 ) 七宝甘-70( 中生 ) ネオアース( 中晩生 ) もみじ 3 号 ( 中晩生 ) ターザンやネオアース もみじ 3 号は貯蔵性にすぐれる 2 用意する種子量 ( 本ぽ 10a 当たり ) デシリットルデシリットル 地床育苗 :4 d l (2 缶 46,000 粒 )~6 d l (3 缶 69,000 粒 ) ( 参考 )2dl=100g セル育苗 :33600 粒 ( コート種子 ) 発芽不良や病害等を考慮し 苗不足とならないよう注意する たまねぎの発芽率は 70% 以上 ( 袋標記 ) 3 は種準備 は種 発芽適温:20 前後 は種時期:9 月中旬頃 ( 定植予定日の 55 日前がは種適期 ) を基本とする 播種時期が早いと抽台 ( トウ立ち ) が発生しやすく 遅いと小球 枯死株が発生しやすくなるので 適宜は種日を調節するが マルチ栽培の場合は露地栽培よりも3 8~10 条程度 ~7 日程度遅らせる 苗床準備: 肥よくで排水 保水性の良い場所を選定し 本ぽ 10aに対し 50~60 m2程度確保する ベッド幅 1~1.2m 高さ約 15cmの畝をたてる 床面は平らにし 水分のバラツキによる発芽不揃い 1

2 を防ぐ 大雨 台風に備え周囲に排水溝を作る 手播きの場合はうねの方向と垂直に播く 施肥例( 苗床 60m 2 (1.2m 50m) あたり ) 肥料名 施肥量 (kg) 備考 完熟堆肥ようりん苦土炭カル CDU 化成 S555 号 ph6.0~6.5 (6.0 以下では生育不良となる ) は 種 : 前日に十分かん水しておき 条間 8~10 cm 深さ 5~6mm 種子間 5~10mm 程度に条まきする 種子が隠れる程度に覆土し軽くおさえ 十分にかん水した 後 乾燥防止のためもみ殻を散らし 寒冷紗 遮光資材等で被覆する セルトレイ育苗では専用は種機により10aあたり448 穴で75 枚 (33,600 本 ) 用意する トレイを並べ シルバーポリを被覆する タマネギバエの防除を行う場合は以下のとおり 農薬名 使用時期 希釈倍数使用量 使用方法 使用回数 ダイアジノ は種時又 3~5kg/10a 作付前 : 全面土壌混和 2 回以内 ン粒剤 5 は定植時 又は作条土壌混和作物生育中 : 作条処理して軽く覆土 カルホス乳剤 定植前 500~1000 倍育苗箱 ( 約 c m 使用土壌約 土壌灌注 1 回 2L)1 箱当り 500mL 4 育苗管理 は種後 :6~7 日で発芽するので 発芽後は曇天又は夕方に被覆をとり除き徒長を防 止する 乾燥している場合にはかん水をする 中耕 : 除草を兼ねて本葉 1~2 葉期に軽く中耕し 固くなった土の表面を崩すこと で空気の供給を良くし生育を促す 間引き : 草丈が 5 cm程度となり 密生部分がある場合は 1 cm間隔となるよう間引く 追肥 : 葉色が薄くなり肥切れが心配な場合は 速効性肥料 液肥 葉面散布剤等で 適宜追肥する また 定植の 2 週間前にりん酸成分を葉面散布しておくと定 植時の発根が良くなる 2

3 5 定植準備 圃場耕起 : 定植後の活着促進と均一な生育を確保するため 土壌表層の凹凸やゴロ土が 無いよう ゆっくり丁寧に行って砕土する 土壌改良 : タマネギは肥沃な土壌で良く生育するため 水田転作畑等で初めて作付けす る場合は充分な土づくりが必要 ( 堆肥 ) 良質なものを 10a 当たり 2 トン程度投入する ( 石灰 ) 目標土壌 ph( 酸度 ) は 6~6.5 なので苦土炭カル等を適宜投入する ( 燐酸 ) 新作地 圃場を変える場合 ( 特に黒ボク土 ) 必ずようりん (80~100kg/ 10a) 等の燐酸資材を投入する 施肥量 : 生育に必要なトータル施肥量 施肥例は下表のとおり 10a あたりの施肥量 窒素 : りん酸 : 加里 =22kg:27kg:22kg 10a あたりの施肥例 施肥例 肥料名 現物量 窒素 りん酸 加里 (kg) 1 基肥 BB たまねぎ専用 追肥なし 2 基肥 CDU 化成 S555 苦土重焼燐 追肥 (2~3 回分 ) BB-S635 又はくみあい液肥 1 号 ( マルチ栽培の場合 ) 定植 定植適期 : 露地栽培では 10 月下旬 ~11 月上旬頃 マルチ栽培では 11 月 10 日頃を 栽植密度 通路幅 40cm 程度 目安とするが 気候や生育条件により調節する 大玉生産ではやや粗植 貯蔵向け栽培等でやや小ぶりの球に仕上 げる場合は やや密植でも可能 条数栽植本数ベッド幅 ( 株間 条間 ) 手植え 7 条 29,000 本 /10a 120cm(15cm 15cm) 機械植え ( セル苗 ) 4 条 22,000~26,000 本 /10a 80cm(13~15cm 20cm) ( 条数 通路幅のとりかたによって栽植本数はやや異なる ) 定植苗 : 手植えに用いる苗は 育苗日数 50~55 日後 葉 が 3~4 枚展開 太さ 5~7mm 程度の病害虫に犯 されていない健全苗を選んでおく 機械植えの苗は育苗日数 55 日前後 本葉 2~3 枚程度で定植する 3

4 茎の直径が 1cm 以上の苗が 10 以下の温度に 30 日以上さらされたときに花芽が分化し 抽台するので注意する 定植方法: できるだけ根を丸めず真っ直ぐに立て 苗が倒れないよう株元をしっかり押さえて 根と土が密着するように定植する 植え付け深さは葉梢部が半分埋まる程度とし 葉の根元まで深植しすぎないよう注意する [ 参考 ] 黒腐菌核病 乾腐病対策として定植苗の薬剤浸漬処理剤 対象病害農薬名使用時期希釈倍率使用方法使用回数 黒腐菌核 セイビアーフ 定植直前 500 ~ 5 分間苗根部 1 回 病 ロアブル 倍 浸漬 乾腐病 ベンレート水 移植直前 20 倍 3 分間苗根部 1 回 和剤 浸漬 その他 : 早植え等によるトウ立ち 定植遅れによる小球や枯死株を防止するため 苗 の生育 気象 圃場条件をみて適宜管理 ( 定植時期 かん水 ) を調節する 7 定植後の管理 追 肥 追肥時期 備考 早生 中生以降 1 回目 12 月中旬 1 月中旬 活着促進 2 回目 1 月上中旬 2 月中旬 抽台回避 ( 厳寒期の N 切れを回避 ) 3 回目 2 月上中旬 3 月上旬 止肥 ( 肥大促進 止め葉形成に影響 ) BB たまねぎ専用 464 を使用する場合には基本的に追肥は必要ないが 葉色等を見て 必要な場合は追肥をし 抽台回避 肥大促進を図る 3 月中旬以降は収穫遅れや腐敗球防 止のため追肥しない 肥料の効果を出すには適当な水分が必要なので 降雨後または適当 な降雨前に行う 土入れ : 追肥と同時期または直後に 雑草 霜柱による苗浮き等を防ぐため 土から 出た葉梢部に適宜土入れする 病害発生防止のため 葉折れや葉の首元の上 まで土を入れすぎないよう注意する 除草剤 : 定植後 土壌処理剤は 土壌水分が確保された状態で散布する 農薬名 使用時期 希釈倍数使用量 散布液量 使用方法 使用回数 ゴーゴーサ 定植後 ( 雑草発生前 ) 300 ~ 70 ~ 全面土壌 1 回 ン乳剤 30 但し収穫 60 日前まで 500ml/10a 100L/10a 散布 トレファノ 定植後 但し 収穫 ~ 100 全面土壌 2 回以内 サイド乳剤 日前まで 300ml/10a L/10a 散布 4

5 8 収穫 貯蔵 収穫適期 : 圃場全体の 80% 以上倒伏したのち 晴天の日を選んで収穫する ( 長雨が多 い時期なので 天候を予測しながら計画的に ) 圃場では 抜き取った球を 圃場で乾燥させ ある程度乾燥したらコンテナ積みを開始する 収穫の極端な遅れは腐敗球の多発を招くので 取り遅れにも注意する コ マンダー は他の中生品種よりやや早生なので 収穫適期を逃さないように する 貯蔵 : 通風の良い 直射日光があたらず高温とならない場所を確保する パイプハ ウスによる転がし乾燥の場合は 雨水の流入や湿気の上がりが無いよう古ビ ニール等を敷設し 周囲に排水溝を設置する コンテナ積みの場合は 4~5 段積以上にせず 下部に隙間をあけておくか井桁積みにする 貯蔵性が高い 品種を用い 糖度が高く硬くしまった球の方が貯蔵性が高い傾向がある 貯蔵する場合 倒伏が始まった頃に殺菌剤を散布すると貯蔵中の病害に有 効 9 病害虫防除 乾腐病 紅色根腐病 黒腐菌核病等の土壌病害が見られ 大きな被害が出ているほ場では太陽熱消毒 土壌還元消毒や下記農薬による土壌消毒を実施しましょう 農薬名対象病害虫希釈倍数使用量使用時期使用方法使用回数ガスタード乾腐病 20~30kg/10a は種又は定本剤の所定量 1 回微粒剤 / バス紅色根腐病 30kg/10a 植 21 日前を均一に散布アミド微粒までして土壌と混剤黒腐菌核病 30~60kg/10a 和する 5

6 べと病 湿度 95~100% 気温 10~20 ( 特に 15 前後 ) で葉上に露滴が形成されるときに発生しやすい 春秋に発生が見られ 秋期の発生量は少ないが 感染して越冬し 翌春の伝染源となる 症状は葉に黄色でだ円状の病斑が生じる 病斑上には白又は暗紫色のカビが生えていることが多い 病斑を形成した葉は その部分から折れやすくなり 枯死する 防除方法は年内も必ず防除し 春先以降は発生前から予防剤で防除 発病後は治療剤を散布ローテーションに組み入れる また 越年罹病株 ( 秋期に感染して2~3 月に発病する株 ) は3 月下旬までに抜き取り処分する 発病が見られた苗床やほ場では連作を避ける 卵胞子は長いもので 12~13 年間 感染能力を持ったまま土中で休眠している 薬剤散布は 多発すると効果がないので発病初期に徹底防除する べと病と白色疫病に登録のある農薬 農薬名 希釈倍数使用量 使用時期 使用回数 備考 ジマンダイセン水和剤 400~600 倍 収穫 3 日前まで 5 回以内 予防 プロポーズ顆粒 1000 倍 収穫 7 日前まで 3 回以内 治療 水和剤 リドミルゴールド MZ 1000 倍 収穫 7 日前まで 3 回以内 治療 ジマンダイセンとリドミルゴールド MZ は同一成分を含むため 使用回数に注意する 白色疫病 気温 15~20 で多雨の場合発生しやすい 葉の中央部付近に 不整形で周縁やや不鮮明な油浸状の病斑を生じ 葉が下垂したりよじれたりする 被害が進むと葉が白色の葉枯れ状となり 玉の肥大が阻害される べと病で見られるようなカビは生じない また 排水不良や降雨によって冠水するようなほ場は避ける 発生した苗床やほ場での連作を避け 発生ほ場ではユリ科以外の作物を3 ~4 年間輪作する 薬剤は上記のべと病の項目参照 6

7 軟腐病 高温 多雨条件で発生しやすい 初め下位葉の葉鞘部が灰白色ないし淡褐色に変わり 後に軟化して葉は倒伏する 軟化は鱗茎部に及び 独特の悪臭を放つ また 収穫後 貯蔵中にも発生する 病原菌は土壌中に長く残存し 降雨による泥の跳ね上がりにより感染する また 風雨等による傷口や害虫の食害痕からも侵入する 堆肥や窒素肥料の多用は茎葉の徒長 軟弱化を招いて多発しやすいので 適正な施肥に努め 特に3 月中旬以降の追肥は避ける 決定的な治療剤はないので銅剤により予防散布を心がける 収穫は晴天日に行い 貯蔵は風通しのよい 雨や直射日光の当たらない 涼しい場所を選ぶ 農薬名希釈倍数使用量使用時期使用回数備考コサイド DF 1000 倍 予防カスミンボルドー 1000 倍収穫 14 日前まで 5 回以内治療ナレート水和剤 800~1000 倍収穫 14 日前まで 3 回以内治療 灰色腐敗病 1~3 月の多雨の影響が大きい また 収穫直前に浸冠水を受けたり 降雨の中収穫すると発生が多くなる 3 月以降発生し始め 生育不良 下位葉の黄化 下垂 枯死 地際部の赤褐変 球表面の灰色のカビ発生等が主な症状 また 収穫後貯蔵中にも発病する 収穫後 首部を早く乾燥させるよう心掛け 球を詰めすぎないようにし 風通しよくする 窒素過多で発生が助長される 特に遅い時期での追肥は避ける 球肥大期 ~ 倒伏時にかけて薬剤防除を徹底し 侵入部位は首部からなので 首部に重点をおいて薬剤散布を行う また くず玉や罹病球を畑に放置すると次作に持ち越すので適宜処分する 農薬名 希釈倍数使用量 使用時期 使用回数 備考 ジマンダイセン水 400~600 倍 収穫 3 日前 5 回以内 予防 和剤 まで オンリーワンフロ 1000 倍 収穫前日ま 3 回以内 治療 アブル で ファンタジスタ顆粒水和剤 2000~3000 倍 収穫前日まで 5 回以内 治療 7

8 黒腐菌核病 春先に発生し 下葉が黄化して生育が進まずにひどい株は枯死する 抜き取った株の球の表面に黒い菌核が生じている 菌核は土壌中に長年残存するので 発生がひどい圃場は 圃場をかえ連作を避けるか たん水処理や土壌消毒を行う 乾腐病 下葉の湾曲 黄化 萎凋と症状が進み 茎盤から侵入した病原菌がりん茎の片側を腐敗させ 株が湾曲する症状となり やがて尻腐れ症状に進行する 28 で乾燥条件で発病しやすい 多発ほ場は連作をさける 紅色根腐病 外側の葉先が枯れ始め 次第に中心葉にむかって進行する 根は紅変し 内部が空洞化するなどの症状を呈する 土づくりに努めるとともに 根域の拡大を図る 発生が懸念される場合には ほ場の土壌消毒を行う 黒かび病 ( 貯蔵病害 ) 生育中や収穫直後よりも貯蔵中に被害が多くなることが多い 病原菌は クロコウジカビとして自然界に広く分布し 収穫時に葉鞘切断部から感染する 外皮をはぐと黒いすすが付いている 貯蔵時 高温多湿の場所に保存すると発生を助長するので 風通しの良い涼しい場所で保存する 貯蔵ハウスに日除け資材を展帳し できるだけ涼しくする 窒素過多で軟弱にならないよう 固く絞まったたまねぎを作るようにする 外皮に発生した黒かび病 黒かび病による内部の腐敗 8

9 タマネギバエ 体長 5~6mm の幼虫が土の中で茎盤に加害する 被害株は萎凋して枯死し 引っ張ると容易に途中から切れる 春と秋に2 回ずつ成虫の発生ピークが認められ 盛夏には休眠する 成虫は2か月程度生存し 200~300 個の卵を産む 幼虫は茎の下端発根部付近から食入する 蛹化は土中で行われる 未熟有機物を使用しない また 圃場周辺の雑草を除去する ネギアザミウマ 高温少雨の状態が続くと多発する 葉全体が白化し 球重が低 下する 発育期間が短く 20 で卵 7 日 幼虫 7 日 蛹 6 日で経 過し 約 20 日で成虫になる 卵は葉肉中に産み付けられ 蛹は 土壌表面に存在する 卵や蛹には薬剤効果はほとんど無いので 7 日間隔で連続散布する 薬剤抵抗性がつきやすいので防除日誌 を参考に系統の異なる薬剤によるローテーション散布を心掛け る 農薬名 希釈倍数 使用時期 使用回数 系統 備考 モスピラン水溶剤 2000 倍収穫 7 日前まで 3 回以内 ネオニコチノイド アザミウマ類で登録 ウララ DF 2000 倍収穫 7 日前まで 2 回以内 ピリジンカルボキサミド ディアナ SC 2500 ~ 収穫前日ま 2 回以内 スピノシン アザミウマ類 5000 倍 で で登録 ( 参考 ) 展着剤について たまねぎは ぬれ の悪い作物です 展着剤を活用しましょう 展着剤は 農薬を散布する際に散布対象への付着を容易にするために用いられる薬剤のこ とで 薬液を均一に付着させ農薬の効果を高める働きをする また 展着剤によっては浸 透性 ( 薬剤の植物組織への浸透を促進し効果を高める ) ものもある 写真提供 : HP 埼玉の農作物病害虫写真集 大阪府園芸植物病害虫図鑑 等より 9

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