Gout and Nucleic Acid Metabolism Vol.39 No 総説 NLRP3 インフラマソームと痛風関節炎 三澤拓馬 1) 齊藤達哉 2) 審良静男 3,4) はじめに自然免疫機構は, パターン認識受容体と呼ばれるセンサー群を介して, 生体内に侵入した病原

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1 Gout and Nucleic Acid Metabolism Vol.39 No 総説 NLRP3 インフラマソームと痛風関節炎 三澤拓馬 1) 齊藤達哉 2) 審良静男 3,4) はじめに自然免疫機構は, パターン認識受容体と呼ばれるセンサー群を介して, 生体内に侵入した病原体の構成成分等を特異的に感知し, それらを排除するための炎症応答を惹起する 1). 生体防御応答における自然免疫機構の重要性に疑いの余地はない. しかしながら, 自然免疫機構の 暴走 は時として重篤な炎症性疾患の発症に大きく寄与してしまう. パターン認識受容体である NLR family, pyrin domain cantaining 3 (NLRP3) は, 過栄養により生体内に蓄積した刺激性の代謝物 ( 尿酸塩結晶や遊離脂肪酸等 ) に反応して,NLRP3 インフラマソームと呼ばれる複合体を形成し, 炎症性サイトカインInterleukin(IL)-1 βやil-18の産生を誘導する.nlrr3 インフラマソームの過度の活性化は, 痛風関節炎をはじめとした様々な炎症性疾患の発症と密接に関わっている. 本稿では, 筆者ら の研究成果を中心に, 尿酸塩結晶による NLRP3 インフラマソームの活性化メカニズムと, その痛風関節炎発症機構への関与について解説する. 背景 インフラマソーム とはプロテアーゼ Caspase-1 を活性化し, 炎症性サイトカインである IL-1 βや IL-18 の産生を制御するタンパク質複合体の総称である.Nod-like receptor ファミリーに属するパターン認識受容体 NLRP3 ( 別名 NALP3, Cryopyrin, CIAS) は, 下流のアダプター分子である apoptosis-associated speck-like protein containing a CARD (ASC) およびCaspase-1 と共に NLRP3インフラマソームを形成する ( 図 1) 2,3). 表 1 に示すように,NLRP3 インフラマソームは多種多様な刺激によって活性化する.NLRP3 インフラマソームの本来の役割は, 病原体からの生体防 表 1 NLRP3 インフラマソームを活性化する因子 (ATP) etc. Nigericin Valinomycin Maitotoxin Aerolysin etc. 1)Center for Genetics of Host Defense, UT Southwestern Medical Center Takuma Misawa 2) 徳島大学疾患酵素学研究センターシグナル伝達と糖尿病研究部門 Tatsuya Saitoh 3) 大阪大学免疫学フロンティア研究センター自然免疫学 Shizuo Akira 4) 大阪大学微生物病研究所自然免疫学 Shizuo Akira Key Words : NLRP3-inflammasome, microtubule, acetylation, mitochondria 連絡先 : 三澤拓馬 Center for Genetics of Host Defense, UT Southwestern Medical Center 5323 Harry Hines Blvd., Dallas, Texas , United State of America

2 図 1 NLRP3インフラマソームによる IL-1β/IL-18 の産生機構転写因子 Nuclear factor-kappa Bは Toll-like receptors や Tumor necrosis factor receptor super family を介したシグナルによって活性化し,IL-1 βや IL-18 前駆体, そしてNLRP3の発現量を高める.NLRP3インフラマソームが活性化すると, プロテアーゼCaspase-1 によって,IL-1βおよび IL-18の前駆体が切断され, 活性化型となる. 細胞外に放出された活性化型 IL-1βおよび IL-18は, その後の炎症応答を促進する. 御であると考えられるが, 一方で NLRP3 インフラマソームには過栄養に伴い体内に蓄積した代謝物 ( 尿酸塩結晶, コレステロール結晶, そして遊離脂肪酸等 ) に反応して過度に活性化し, 痛風関節炎や糖尿病といった様々な炎症性疾患の発症に大きく寄与してしまう 負 の側面も存在する 4-10). 図 2 には NLRP3 インフラマソームの活性化に起因する痛風関節炎の発症メカニズムを示した. マクロファージの貪食作用によって細胞内に取り込まれた尿酸塩結晶は,NLRP3 インフラマソームを活性化し,IL-1 βの産生を促進する.il-1 βは周囲の滑膜細胞に作用してケモカインの産生を誘導する. ケモカインの働きによって, 好中球等の 炎症性細胞が関節腔にリクルートされると, 炎症応答が過剰に惹起され, 関節組織傷害を伴った痛風関節炎症状が引き起こされる. かつては 贅沢病 とされた痛風関節炎も, 飽食と言われる現代社会においては非常に身近な疾患となり, その患者数は増加の一途を辿っている. そのため, 痛風関節炎の発症に大きく寄与する NLRP3 インフラマソームの適切な制御法の開発は重要な課題であると言える. そこで筆者らは, 天然化合物ライブラリーを用いたスクリーニング系を構築し,NLRP3 インフラマソームの活性を抑制する化合物の探索とその作用機序の解明に取り組んだ.

3 Gout and Nucleic Acid Metabolism Vol.39 No 図 2 痛風関節炎発症機構における NLRP3 インフラマソームの役割 マクロファージの貪食作用によって細胞内に取り込まれた尿酸塩結晶は NLRP3 インフラマソームを活性化して IL-1 β の産生を促す. 周囲の滑膜細胞は,IL-1 β の作用を受けてケモカインを産生し, 好中球等の炎症性細胞を間接腔にリクルートする. その結果, 炎症応答が増幅され, 組織傷害を伴った痛風関節炎が発症する. 微小管は NLRP3 インフラマソームの活性化を制御するスクリーニングの結果, 筆者らは古くから痛風関節炎の治療薬として用いられてきたコルヒチンが,NLRP3 インフラマソームの活性化を特異的に抑制することを見いだした 11). コルヒチンは微小管重合阻害剤としても広く知られている. 微小管はαおよびβチューブリンにより構成される管状の構造体であり, 細胞骨格の維持あるいはミトコンドリアや小胞体といったオルガネラの局在を規定する役割を担っている. 筆者らは微小管およびオルガネラの役割に着目し, コルヒチンが NLRP3 インフラマソームの活性化を抑制するメカニズムについて解析を進めた. 未刺激条件下のマクロファージにおいて, NLRP3 および ASC はそれぞれ小胞体とミトコンドリア上に主に局在している. 尿酸塩結晶でマクロファージを刺激すると, ミトコンドリアの局在 が微小管中心方向に大きく変化する. その結果, 小胞体とミトコンドリアの接触頻度が高まり, NLRP3 と ASC が近接する. 一方, コルヒチン処理によって微小管構造を破壊すると, 尿酸塩結晶の刺激に応じたミトコンドリアの局在変化が抑制され, それと一致するように NLRP3-ASC の近接頻度も減少する. これらのことから, 微小管はミトコンドリアの局在を制御することで,NLRP3 インフラマソームの活性化を促進していることが考えられる. ダイニンは, 微小管中心方向へ向けた細胞内物質輸送を制御する分子モータータンパク質である 12,13). 14) ダイニン特異的な阻害剤を用いてマクロファージを処理すると, 尿酸塩結晶の刺激に応じたミトコンドリアの局在変化,NLRP3-ASC の近接, そして IL-1 βの産生量が有意に低下する. つまり, 微小管を介したダイニン依存的なミトコンドリアの局在変化は,NLRP3 インフラマソームの活性

4 図 3 微小管を介した NLRP3 インフラマソームの活性化機構 NLRP3 インフラマソームの活性を促進する刺激によって, ミトコンドリアがダメージを受けると, 細胞内の NAD + レベルが低下し,NAD + 依存性脱アセチル化酵素である SIRT2 の働きが弱まる. その結果, 微小管のアセチル化が亢進すると, ミトコンドリア上の ASC と小胞体上の NLRP3 の近接頻度が高まり,NLRP3 インフラマソームの形成が促進される. その後, ミトコンドリア傷害により細胞内に蓄積した活性酸素種は NLRP3 インフラマソームの活性を更に増幅する. 化を促進している. アセチル化された微小管は NLRP3インフラマソームの活性化を亢進する微小管の構成因子であるαチューブリンは, 様々な翻訳後修飾を受けることで細胞内の物質輸送を制御している 15). 尿酸塩結晶でマクロファージを刺激すると, アセチル化されたαチューブリン ( 以下アセチル化 αチューブリン ) が顕著に増 加することが観察された. 興味深い事に, アセチル化 αチューブリンはミトコンドリア - 小胞体間の相互作用を高めることが報告されている 16). そこで筆者らは, アセチル化 αチューブリンの NLRP3 インフラマソーム活性化機構における役割について検証を行った. まず,αチューブリンに対する特異的なアセチル基転移酵素 MEC17 17) の発現量を RNAi により低下させると,αチューブリンのアセチル化が減少し, 尿酸塩結晶の刺激

5 Gout and Nucleic Acid Metabolism Vol.39 No に応じたミトコンドリアの局在変化と, それに起因する NLRP3 インフラマソームの形成が抑制される. つまり, アセチル化 αチューブリンは NLRP3 インフラマソームの活性化を促進している. 次に,NAD + 依存性脱アセチル化酵素 SIRT2 18) に対する特異的な阻害剤でマクロファージを処理すると,αチューブリンのアセチル化が亢進し, ミトコンドリアの局在変化が強く誘導される. 更に尿酸塩結晶でマクロファージを刺激すると, ミトコンドリア傷害に起因して,SIRT2 の補酵素である NAD + の量が大幅に減少する. これらの結果から,NLRP3 インフラマソームの活性化機構は図 3 の様に説明できる. まず, マクロファージの貪食作用によって細胞内に尿酸塩結晶が取り込まれると, ミトコンドリアが傷害を受ける. ミトコンドリア傷害によって細胞内の NAD + レベルが減少すると,SIRT2 の酵素活性が低下し,α チューブリンのアセチル化が亢進する. アセチル化 α チューブリンは, ダイニン依存的なミトコンドリアの局在変化を促進することで,NLRP3 と ASC の近接頻度を高め, その後の NLRP3 インフラマソームの形成を誘導する. ミトコンドリア傷害により細胞内に蓄積した活性酸素種は NLRP3 インフラマソームの活性を増幅し, その後の炎症応答を惹起する 19). おわりに過栄養により生じた尿酸塩結晶は, マクロファージによる IL-1βの産生を促進し, 好中球をはじめとした炎症性細胞を間接腔に集積させ, 痛風関節炎の発症を促進する. 古代ギリシャ時代の記録にも残されているように, コルヒチンは痛風関節炎の治療薬として長らく用いられてきた 20). これまでの認識において, コルヒチンは炎症性細胞の移動能を抑制することで抗炎症効果を発揮していると考えられてきた. そのような効果に加えて, コルヒチンは NLRP3 インフラマソームの形成を抑制することで, その後の炎症応答を緩和していることが考えられる. コルヒチンは痛風関節炎に対する有効な治療薬 であるが, 微小管構造を破壊することにより生じる副作用は強く, 長期にわたる服用が困難である. 本研究から,αチューブリンのアセチル化制御因子である MEC17 や SIRT2 が,NLRP3 インフラマソームの活性化に重要な役割を担っていることが明らかとなった. これらの因子は微小管の機能を特異的に調節するため副作用の少ない痛風関節炎治療薬を開発する上で, 理想的な分子標的になり得る. 最新の研究から, 筆者らはフィトケミカルであるレスベラトロールが, アセチル化 αチューブリン依存的な NLRP3 インフラマソームの活性化を抑制することを見いだした 21) ( 図 3). レスベラトロールは細胞毒性が非常に低いため, 長期に渡る服用が可能であり, 痛風関節炎の新たな治療薬として期待できる. この他にも, 筆者らは NLRP3 インフラマソームの活性を抑制する化合物を多数同定しており, 今後の解析を通じてそれらの作用機序を解明すると共に, 痛風治療薬としての可能性を検証してきたいと考えている. 著者のCOI(conflicts of interest) 開示 : 本論文内容に関連して特に申告なし. References 1. Takeuchi O & Akira S. Pattern recognition receptors and inflammation. Cell 2010 ; 140 : Núñez G. Intracellular sensors of microbes and danger. Immunol. Rev ; 243 : Strowig T, Henao-Mejia J, Elinav E & Flavell R. Inflammasomes in health and disease. Nature 2012 ; 481 : Martinon F, Pétrilli V, Mayor A, et al. Goutassociated uric acid crystals activate the NALP3 inflammasome. Nature 2006 ; 440 : Hornung V, Bauernfeind F, Halle A, et al. Silica crystals and aluminum salts activate the NALP3 inflammasome through phagosomal destabilization. Nat. Immunol ; 9 : Duewell P, Kono H, Rayner KJ, et al. NLRP3

6 inflammasomes are required for atherogenesis and activated by cholesterol crystals. Nature 2010 ; 464 : Masters SL, Dunne A, Subramanian SL, et al. Activation of the NLRP3 inflammasome by islet amyloid polypeptide provides a mechanism for enhanced IL-1β in type 2 diabetes. Nat. Immunol ; 11 : Vandanmagsar B, Youm YH, Ravussin A, et al. The NLRP3 inflammasome instigates obesity-induced inflammation and insulin resistance. Nat Med ; 7 : Wen H, Gris D, Lei Y, et al. Fatty acid-induced NLRP3-ASC inflammasome activation interferes with insulin signaling. Nat. Immunol ; 12 : Heneka, MT., Kummer, MP., Stutz, A., et al. NLRP3 is activated in Alzheimer's disease and contributes to pathology in APP/PS1 mice. Nature 2013 ; 493 : Misawa T, Takahama M, Kozaki T, et al. Microtubule-driven spatial arrangement of mitochondria promotes activation of the NLRP3 inflammasome. Nat. Immunol ; 14 : Howard J & Hyman AA. Dynamics and mechanics of the microtubule plus end. Nature 2003 ; 422 : Kardon JR & Vale RD. Regulators of the cytoplasmic dynein motor. Nat. Rev. Mol. Cell Biol ; 10 : Firestone AJ, Weinger JS, Maldonado M, et al. Small-molecule inhibitors of the AAA+ ATPase motor cytoplasmic dynein. Nature 2012 ; 484 : Wloga D & Gaertig J. Post-translational modifications of microtubules. J. Cell Sci ; 123 : Friedman JR, Webster BM, Mastronarde DN, et al. ER sliding dynamics and ER-mitochondrial contacts occur on acetylated microtubles. J. Cell Biol ; 190 : Akella JS, Wloga D, Kim J, et al. MEC-17 is an α -tubulin acetyltransferase. Nature 2010 ; 467 : North BJ, Marshall BL, Borra MT, et al. The human ortholog, SIRT2, is an NAD+-dependent tubulin deacetylase. Mol. Cell 2003 ; 11 : Naik E & Dixit VM. Mitochondrial reactive oxygen species drive proinflammatory cytokine production. J. Exp. Med ; 208, Cronstein BN & Terkeltaub R. The inflammatory process of gout and its treatment. Arthritis. Res. Ther ; 8 : S Misawa T, Saitoh T, Kozaki T, et al. Resveratrol inhibits the acetylated α-tubulin-mediated assembly of NLRP3-inflammasome. Int. Immunol ; dxv018.

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