ROCKY NOTE 前立腺癌に対するリュープリン ( 内分泌療法 ) の効果 ( ) (100914) 参考文献を読んで内容を追加前立腺癌が発見され泌尿器科へ通院中の

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かおりいのら
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1 前立腺癌に対するリュープリン ( 内分泌療法 ) の効果 ( ) (100914) 参考文献を読んで内容を追加前立腺癌が発見され泌尿器科へ通院中の患者窓口で約 1 万円支払いを請求されて驚いたという内分泌療法が開始となったためだと思う前立腺癌を発見される高齢者は多くプライマリケア医も基本的な部分は抑えておく必要がある前立腺癌特に内分泌療法について勉強してみることにした薬価リュープリン注射用 mg( 懸濁用液付 ) 46,776 円作用機序高用量の LH-RH 又は高活性 LH-RH 誘導体であるリュープロレリン酢酸塩を反復投与すると初回投与直後一過性に下垂体 - 性腺系刺激作用 ( 急性作用 ) がみられた後下垂体においては性腺刺激ホルモンの産生放出が低下する更に精巣及び卵巣の性腺刺激ホルモンに対する反応性が低下しテストステロン及びエストラジオール産生能が低下する ( 慢性作用 ) リュープロレリン酢酸塩の LH 放出活性は LH-RH の約 100 倍でありその下垂体 - 性腺機能抑制作用は LH-RH より強いリュープロレリン酢酸塩が高活性 LH-RH 誘導体であり下垂体 - 性腺機能抑制作用が強い理由はリュープロレリン酢酸塩が LH-RH と比較して蛋白分解酵素に対する抵抗性が高いこと LH-RH リセプターに対する親和性が高いことなどによる更に本剤は徐放性製剤であるので常時血中にリュープロレリン酢酸塩を放出して効果的に精巣及び卵巣の反応性低下をもたらし下垂体 - 性腺機能抑制作用を示す ( リュープリン添付文書 ) そもそも内分泌治療の位置づけはどうなっているのだろうか参考文献 1 を参考にして病期による治療方針の概略を確認してみる (1)T1aN0M0

2 1)T1aN0M0,Gleason 6 T1a 癌の多くは高分化型で前立腺に限局しており PSA 監視療法以外に特に治療を必要としない患者の年齢が低くなると (50~60 歳 ) 期待生存期間が長くなるため前立腺全摘除術や放射線療法等の根治療法を検討する必要がある 2)T1aN0M0,Gleason 7 PSA 監視療法は選択肢の一つであるが患者の年齢が期待余命で 15 年以上ある場合には根治療法を考慮してもよい (2)T1b-2N0M0 1)T1b-2N0M0,Gleason 6,PSA 20ng/ml 根治療法 ( 前立腺全摘除術放射線療法 ) および PSA 監視療法が選択肢いずれの場合でも治療開始時で期待余命が 10~15 年以上望める場合には根治療法として前立腺全摘除術もしくは放射線療法が期待余命が 10 年以下の場合には内分泌療法や放射線療法が選択される 2)T1b-2N0M0,Gleason 7,PSA 20ng/ml Gleason 8 以上の限局性前立腺癌に対して PSA 監視療法は不適期待余命が 10~15 年以上望める場合には根治療法 ( 前立腺全摘除術放射線療法 ) を考慮した方がよい ( ただし低分化型局所前立腺癌において根治療法が生存率に関し有意に良好であることを示した論文はない ) 3)T1b-2N0M0,PSA 20ng/ml PSA の値のみで治療方針を決めることはできないが 20ng/ml を超えるとほとんどの論文で PSA 監視療法は対象外である画像上 T1b-2N0M0 であっても PSA が 20ng/ml を超える場合にはそれ以上の病期 ( 特に T3) である可能性が高いため手術の適応にあたっては慎重に考慮する特に PSA が 100ng/ml を超える場合にはほとんどの症例で遠隔転移が存在すると言われているため根治療法のみで制御することは難しくかりに根治療法を行ったとしてもその後内分泌療法が必要となる確率は極めて高い (3)T3N0M0 画像上もしくは DRE にて明らかに T3 と診断される場合の前立腺全摘除術の適応は切除断端リンパ節への微小転移等の観点から一般的には難しく特に T3b( 精嚢浸潤 ) の症例の成績は不良であるしかしながら T3 症例でも手術により根治できる症例があることも事実であること

3 から期待余命が 10 年以上望める場合には選択肢の一つとはなりうるただしこれらの症例については近年内分泌療法を併用した放射線治療の良好な成績が報告されているため今後のさらなる検討が期待される (4)T4N0M0, もしくは N1 もしくは M1 これらの進行性前立腺癌では局所療法では制御不能であるため期待余命に関わらず内分泌療法の適応となる ( 参考文献 2 より引用 ) 参考文献 1 3 に記載されている内分泌療法のポイントをまとめてみる内分泌療法に勝る化学療法は現時点では無い 1) 効果の持続は進行例では 2~3 年である 1)

4 erectile dysfunction(ed) や libido の低下など性関連の副作用が問題 1) 一般的な内分泌治療として luteinizing hormone-releasing hormone(lh-rh) アゴニストおよび antiandrogen 抗アンドロゲン剤の併用あるいは単独療法が行われる 1) 前立腺癌の内分泌療法には前立腺全摘除術抗アンドロゲン剤 LH-RH アゴニストおよび LH-RHa と抗アンドロゲン剤の併用療法である CAB(Combined Androgen Blockade) 療法などがあるが近年では CAB 療法が最も多く選択されている 2) LH-RH アゴニストを使用する場合投与初期に起こる一過性のテストステロン値上昇に伴うフレアアップ現象による尿路閉塞転移巣に由来する骨痛脊髄圧迫などが懸念される場合は抗アンドロゲン剤の併用を考慮すべきである 1) LH-RH アゴニストの有効性は去勢術と同等と考えられるが有意差は認めないものの抗アンドロゲン剤の単独療法の有効性は LH-RH アゴニストと比較して低いと報告されている ( 一方で非ステロイド性抗アンドロゲン剤は性関連の副作用が少なく対象によってはこれらの単独療法の有用性が指摘されている )1) CAB 療法に用いられる抗アンドロゲン剤はステロイド性アンドロゲン剤と非ステロイド性抗アンドロゲン剤の 2 種類に大別される 2) 最近の傾向として非ステロイド性抗アンドロゲン剤の使用が推奨されステロイド性抗アンドロゲン剤に対しては必ずしも肯定的な意見ばかりではない 2) 2000 年 Lancet に掲載された Maximum androgen blockade in advanced prostate cancer:an overview of the randomized trials という論文では前立腺癌に対する CAB 療法と去勢単独治療の生存率を 27 の無作為化比較試験約 8000 例のメタ解析で比較検討した結果が報告されているその結果 CAB 療法群全体と去勢単独治療群との間に生存率に有意差は認めなかった ( ただしステロイド性抗アンドロゲン剤はサイプロテロンというわが国では用いられていない薬剤で非ステロイド性抗アンドロゲン剤についてもフルタミドとニルタミドが用いられておりわが国で最も多く使用されているビカルタミドについての検討はなされていないと指摘されている )2) 生存期間延長の効果については現在大規模な検討が行われている 1) 化学内分泌療法が Stage IV に対して内分泌単独療法より有効かどうかの検討がなされている 1) 限局性の前立腺癌 (T1-T2) に対して内分泌療法が行われても経過観察と比較して生存率が改善していないという観察研究 ( 参考文献 4) もあるむしろ前立腺癌による死亡が増加傾向なのでショックもちろんコホート研究なので介入の結果を示しているわけではないことに注意が必要 Among patients with localized prostate cancer (median age, 77 years), 7867 (41%) received PADT,

5 and were treated with conservative management, not including PADT. During the follow-up period, there were 1560 prostate cancer deaths and deaths from all causes. Primary androgen deprivation therapy was associated with lower 10-year prostate cancer specific survival (80.1% vs 82.6%; hazard ratio [HR], 1.17; 95% confidence interval [CI], ) and no increase in 10-year overall survival (30.2% vs 30.3%; HR, 1.00; 95% CI, ) compared with conservative management. 低分化型腺癌では予後が改善しているようなので Gleason スコアが高いようなら限局性の癌でも内分泌療法の効果が期待できるのかもしれない However, in a prespecified subset analysis, PADT use in men with poorly differentiated cancer was associated with improved prostate cancer specific survival (59.8% vs 54.3%; HR, 0.84; 95% CI, ; P=.049) but not overall survival (17.3% vs 15.3%; HR, 0.92; 95% CI, ). ( 参考文献 4 より引用 ) 局所進行性前立腺癌に対する放射線療法に内分泌療法を追加した場合の効果を検討した RCT を読んでみた

6 PECO P:locally advanced prostate cancer E:addition of hormone treatment (HT) to exclusive radiotherapy C:exclusive radiotherapy O:Differences in primary (biochemical failure and clinical progression-free survival) and secondary outcomes (cancer-specific survival, overall survival [OS], recurrence patterns, and toxicity) were explored. つまり局所進行性前立腺癌 (T3) の患者に対して放射線療法に内分泌療法を追加すると放射線療法単独と比較して biochemical failure は減少するか無増悪進行生存率を改善するかどうかを検討した研究であることが分かる妥当か題名にも Meta-Analysis of Randomized Trials とあるように RCT のメタアナリシスであることが分かる結果結果は以下の通り biochemical failure 無増悪進行生存率ともに併用群で改善している無増悪進行生存に関しては NNT 13 とされておりそれなりに効果が期待できるかもしれない Seven trials (4387 patients) were gathered. Hormone suppression significantly decreased both biochemical failure (RR, 0.76; 95% CI, ; P <.0001) and clinical progression-free survival (RR, 0.81; 95% CI ; P..002), with absolute differences of 10% and 7.7%, respectively, which translates into 10 and 13 NNT. cancer-specific survival (RR, 0.76; 95% CI, ; P <.0001) and OS (RR, 0.86; 95% CI, ; P <.0001) were also significantly improved by the addition of HT, without significant heterogeneity, with absolute differences of 5.5% and 4.9%, respectively, which translates into 18 and 20 NNT.

( 参考文献 5 より引用 ) 手術が適応にならない場合の限局性前立腺がんの場合低分化型では内分泌療法の効果がある程度期待できる可能性があり局所進行性前立腺癌の場合でも放射線療法に内分泌療法を組み合わせることで放射線単独と比較して効果が期待できるということと思う因みに内分泌療法 + 放射線療法と内分泌療法単独を比較した RCT でも併用群で有効性が高くなるという論文を以前勉強した

7 ( 参考文献 5 より引用 ) 手術が適応にならない場合の限局性前立腺がんの場合低分化型では内分泌療法の効果がある程度期待できる可能性があり局所進行性前立腺癌の場合でも放射線療法に内分泌療法を組み合わせることで放射線単独と比較して効果が期待できるということと思う因みに内分泌療法 + 放射線療法と内分泌療法単独を比較した RCT でも併用群で有効性が高くなるという論文を以前勉強したこの論文も確認を前立腺癌に対するホルモン療法 + 放射線療法の効果 (SPCG-7/SFUO-3) 参考文献 1. 日本泌尿器科学会. 前立腺癌診療ガイドライン 2006 年版. 東京, 金原出版, 井川掌, 金武洋. 臨床病期診断.Modern Physician, 26(6) : , 本間之夫ら. 臨床現場における前立腺癌内分泌療法の実際. 泌尿器外科, 22(9) : , Lu-Yao GL, Albertsen PC, Moore DF, Shih W, Lin Y, DiPaola RS, Yao SL. Survival following primary androgen deprivation therapy among men with localized prostate cancer. JAMA Jul 9;300(2): Bria E, Cuppone F, Giannarelli D, Milella M, Ruggeri EM, Sperduti I, Pinnarò P, Terzoli E, Cognetti F, Carlini P. Does hormone treatment added to radiotherapy improve outcome in locally advanced prostate cancer?: meta-analysis of randomized trials. Cancer Aug 1;115(15):

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