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1 アフガニスタン国 コミュニティ運営による初等教育プロジェクト 第 2 年度 下期活動報告書 (2012 年 8 月 ~2013 年 1 月 ) 2013 年 3 月 < 学年末試験を受ける 2 年生の生徒 > 公益財団法人ケア インターナショナルジャパン

2 Ⅰ 事業の概要 学校設立や教師育成などを通じて 2,550 名の子どもたちに教育の機会を 1. 背景 / 課題アフガニスタンは経済指標が世界でも最も低い国です その原因は タリバン政権時代を含む長い紛争にあります 子どもたち 特に女子は タリバンの支配下にあった 1990 年代半ばから 2001 年までの間 同国の一番の被害者であり 女子は学校へ行くこと そして教鞭をとることを禁じられ 公式な教育を受けることができませんでした 1990 年の終わりまでに 通学できた女子は全体のわずか 5% に過ぎません 事業地の1つ パルワン州 の様子 2. 事業の目的本事業では 遠隔農村地域であり 行政サービスや学校が不足しているパルワン州とカピサ州の女子に対して 良質な初等教育を提供することを目指します 女性の学校運営委員や教師の育成及び能力向上を図り 女子が就学し易い環境を促進します 女性の学校運営委員や教師がお手本となることで 自主性や意思決定能力など 女子が社会活動へ参加できる能力を向上することも大きな目的の一つです 3. 目標と期待される成果本事業では 5 年間で 2,550 名 ( 女子は 70% 以上 ) へ教育機会を提供し 女性の学校運営委員及び教師の育成を行い 女性が社会活動へ参加する能力の向上を目指します ( 期待される成果 ) 1 コミュニティが運営する学校として 85 校 ( 教室 ) が設立される 2 85 名の教師が育成される 3 コミュニティで構成される学校運営委員会メンバー 228 名の能力が向上する 4. 事業期間 2011 年 2 月 ~2015 年 12 月 (5 年間 ) 5. 対象者 直接受益者 : 2,550 名の男女 (7~9 歳 ) ( うち女子は約 7 割 :1,785 名 ) 間接受益者 : 1 85 名の教師 ( 女性は約 3 割 :25 名 ) 名の学校運営委員会メンバー ( 女性は約 5 割 :114 名 ) 3 教育省の職員 20 名 パルワン州カピサ州 6. 事業の実施体制 2

3 子どもたちが継続してコミュニティが運営する学校で勉強し 小学校の 卒業資格 を受けるためには 効率的な事業の実施体制が必要です 当事業では 当財団ならびに CARE アフガニスタンが 地域住民 学校運営委員会 教師や教育省と協力し 持続的な運営管理体制を構築します Ⅱ 第 2 年度 後期の活動概要期の活動概要と成果 (2012 年 8 月 ~2013 年 1 月 ) コミュニティが運営する学校 50 校で 1,486 名の子ども達が 1 2 年生を修了 2011 年 3 月に設立した 30 校に通学する 887 名 (7 割 :651 名が女子 ) は 2 年生を修了し 2012 年 3 月に設立した 20 校に通学する 599 名 (7 割 :421 名が女子 ) は 1 年生を修了しました 期末試験においては 全員が平均 80 点以上の優秀な成績を得て 無事に進級を果たしました また創造性のあふれる詩 手芸品や絵も製作することができました このような状況をみて 両親や地域住民は子ども達に教育機会を提供することの重要性を再確認しました そして両親は 子どもたちが毎日通学し 家でも読書や宿題ができるように 子どもにお願いする家庭の農作業や家事の手伝いの量を調整するなど 変化が生まれました また両親や地域社会の協力のお陰で 出席率も高く退学した生徒はいませんでした 各生徒の成績は 教育省に提出され 生徒が家庭の事情で他地方や公立学校に転校しなくてはならない場合にも 転校手続きが迅速にできるように配慮されています 50 名の教師の指導能力が改善 向上 2011 年 3 月に開設した 30 校の学校で指導する 30 名の教師は 2 年間の指導経験を経て 指導能力が大きく向上しました 2012 年 3 月に開設した 20 校の学校で指導する 20 名の教師も 基礎教授法 識字 算数 副教科指導法など 4 種類の小学生指導法に関する研修と これまでの復習を行う追加研修も修了しました 教育省職員からは これら 50 名の教師が教科書を読み上げているのみでなく 生徒が学習内容を真に理解できるように 生徒による発表 グループ討議をさせ 小テスト等も実施していることについて 高い評価を得ました 保護者も授業見学を通じて教師の指導を確認しており 信頼できる地元の教師に指導してもらえるので 本当にありがたい と感謝の気持ちを示してくれました 学校運営委員会 の学校運営能力と自立性の向上 2011 年及び 2012 年から活動を始めた学校管理委員会 50 組織 ( メンバー 150 名 うち半数は女性 ) は 必要な研修をすべて受講し 順調に学年末まで学校の運営管理に従事しました 授業のモニタリング 教師の指導状況の確認 生徒の状況確認 家庭訪問の他 学校行事についても企画運営しています 12 月の修業式には教育局 公立学校教師 地域住民も参加し 行政と住民が皆で協力して子ども達の教育に取り組むことを約束する機会にもなりました また 12 月には 窓やドアが壊れていた教室を修繕し 子ども達の学習環境を整えましたが これらの修繕作業も学校運営委員会が住民と協力してボランティアで取り組みました 3

4 子どもの基礎学力の向上により 家族や地域にも変化が 6ページの アフガニスタンからのストーリー からも分かる通り 当事業で設置された学校で 読書き 算術を習得し 保健衛生などの知識を得た子ども達は 家庭や地域生活の中で学習した知識を活用しています ある生徒は 下痢になった妹に 学校で学んだ通りに経口補水液を作り飲ませてあげることで 妹の命を救うことができました また 読み書きのできない父に代わり 父親の商店の経営で必要となる仕入表の作成や収支計算をしてあげている生徒もいます 村人も こういった子ども達の成長を確認するなかで 教育の重要性をより深く理解するようになっています 地域住民は以前にも増して 地域運営による学校運営に熱心になっています 新たな村でより多くの学校を設立し より多くの子どもが学校に行けるようになるように 学校運営委員会は村の長老などと協力して努力しています 地域住民は 多くの子どもが通学できることが 子どもの将来と社会の発展のためにとても大切だと考えています Ⅳ 課題 当事業を開始してから すでに 2 年が経過しました 皆様の温かいご支援のお陰で 無事に 1,486 名 ( 女子 7 割 :1,072 名 ) の子どもが読書き 算術を習得し 保健衛生 栄養など多くの知識を得ています 子どもが学校教育で得た知識を家庭生活でも活用している状況を見て 27 の村の人々 ( 約 17,906 名 ) は 教育が必要不可欠であることを理解するようになりました しかしながら 未だに対象地域では未就学の子どもが多数いるため 今後も当事業を 3 年間は継続し 未就学の子ども達に学習機会を提供していくことが現地の住民 行政から求められています 今後も アフガニスタン教育省との協議を継続し なるべく多くの子どもが被益するように活動を進めていく予定です Ⅴ 今後の活動計画 第 3 年度 上期 (2013 年 2 月から 2013 年 7 月 ) の活動計画は 以下の通りです * 新設 20 校で 600 名の生徒が 1 年生の学習を開始 * 既存 50 校 1486 名の生徒が進級 (20 校の 599 名が 2 年生 30 校の 887 名が 3 年生 ) * 新任教師 20 名及び既存教師 50 名を対象とした研修の実施 * 新規 20 校の学校運営委員会を対象とした研修の実施及び既存 50 校の学校運営委員会のモニタリング * 70 校の約 2,100 名の生徒を対象とした中間試験の実施 * 学校運営委員会 教育省 CARE による合同モニタリングの実施以上 4

5 活動写真 活動写真 授業の様子 算数の計算をする女の子 学校運営委員と保護者が協力して 算数科の研修を受ける教師たち トイレを設置する様子 学校運営委員会への研修 教育局によるモニタリング 5

6 アフガニスタンからのストーリー 当事業開始からすでに 2 年が経過し 子どもたちはより積極的に 学校教育で得た知識を 家庭や地域で活用しています そして子ども達の成長ぶりに感銘した村人は 自分たちの村だけでなく より多くの村で未就学の子どもたちが学習機会を得られるように努力するようになりました 父親の商売の収支計算も手伝えるようになったソワイラちゃん ソワイラちゃんが生活する Qule Bahlol 村の多くの人たちは 貧しい生活をしています 農業や小規模の商いが主な生計手段です 当事業が開始されるまでは 4 キロも離れた学校しかなかったため 多くの子ども達が通学できずにいました そのため 2 年前に学校ができて 通学学校に行くことができるようになった時は 夢が実現したように嬉しかったとのことです ソワイラちゃんのお父さんは小さな商店を開いていますが 読み書きができないため お金を数えたり町で仕入れをしたりするときにいつも困っていました 以前は村の聖職者 ( ムッラ ) に仕入リスト作りや収支計算を頼んでやってもらっていたのですが ムッラが村を離れてしまい お父さんはムッラがいないと商売ができなくなってしまうと とても心配していました ソワイラちゃんは 心配しているお父さんを助けたかったので 一生懸命勉強して 読み書き 計算を覚えました 今はソワイラちゃんが お父さんの仕入リストを作り 収支計算をしています ソワイラちゃんは 勉強が本当に楽しくて 特に図書室から本を借りて村の友だちと一緒に読めることが嬉しくて仕方がないそうです そして 日本でご支援をしてくださる方々に心からお礼をお伝えしたいと話してくれました 自分の村の成功例を示して 他の村で CBS の開設に成功したアジズさんしたアジズさん カピサ州 Mahmud Raqi 郡 Barekzay 村で学校運営委員を務めるアジズさんは 以前サウジアラビアで働いていました その時に サウジアラビアの子ども達が学校に通う様子を見て 自分の村の子どもたちも通学できるようにアフガ二スタンに戻ったら頑張りたいと思っていました 帰国後 カピサ州教育課に学校設立を要請しましたが 資金不足により不可能とのことでした その時 当事業による学校がアジズさんの住む村で始まることになり 以来 積極的に学校設置に関わり 学校運営委員にもなりました アジズさんは 自分の村だけでなく 近隣の村でも未就学の児童が多数いることを知っていましたので 近隣の村への設置についても促しましたが 隣村の人たちは反対しました でも 最初は反対していた隣村の人たちに 教育の大切さを分かってもらえるように アジズさんは隣村の村人を自分の村の学校に招待しました 隣村の人たちはアジズさんの村の子どもが学校に行き 両親のために読書きを助け 兄弟姉妹の健康管理までできるようになっている姿をみて 教育の重要性を理解するようになりました また学校にある図書室に 野菜と栄養を示したポスターや 救急治療法を示したブックレットもあることを知った隣村の村人たちは 自分の村でも同様に開設して欲しいと考えるようになりました そして 最終的には 近隣の村にも学校が開設されることになりました アジズさんは 今後もより多くの未就学の子たちが学校に行けるように 頑張りたいと言っています アフガニスタンの辺境の地の子どもたちに教育の機会を提供してくれた日本の人たちに心から感謝していますと話してくれました 6

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