第1章 電子顕微鏡のハードウェア

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1 鉄鋼 金属セミナー 微少部 界面の観察及び分析手法 電子顕微鏡の基本構成と拡張機能 津野勝重 1997 年 11 月 7 日日本電子 ( 株 ) 大阪支店会議室 目次 はじめに第 1 章電子顕微鏡の基本構成 1.1. 電子銃 電界放射電子銃 熱電子銃 輝度 1.2. 照射レンズ系 Butler 型加速電界レンズ 照射系による縮小像の形成 照射ビーム径の評価 1.3. 偏向系と補正系 偏向コイル スティグメータ 1.4. 結像レンズ系 拡大像と回折図形の像 投影レンズの歪および S 字歪収差 第 2 章超高分解能と無収差化への試み 第 3 章電子顕微鏡の拡張機能 3.1. 走査像観察装置と STEM 3.2. エネルギー分散型 X 線分析装置 (EDX) 3.3. イメージングエネルギーフィルタ (ESI) 3.4. 高感度 高ダイナミックレンジ像観察記録装置 冷却 CCD カメラ イメージングプレート 参考文献 1

2 はじめに 電子の波長は光に比べて著しく短いことから透過型電子顕微鏡 (TEM) は光学顕微鏡に代わる超顕微鏡として開発された 今日では高分解能観察だけでなく 物質と電子の相互作用を利用する微少領域の分析装置として発展を続けている TEM はその観察倍率範囲の広さ (50 倍 ~100 万倍 ) 明視野 暗視野に始まり 結晶構造像や ローレンツ電子顕微鏡にいたるまでの手法の多様さ 空間の位置情報にとどまらず 電子線回折による結晶構造の解析 エネルギーロス電子を利用した分析 その他電子線と試料との相互作用によって発生する X 線 光電子 2 次電子の利用などその応用範囲の広さは他の装置の追随を許さない また それぞれの手法が持つ 学問としての奥の深さ 解析によって得られる情報の多様さなど大きな魅力を持つ装置である 以下では まず電子顕微鏡の基本構成について述べ ついで拡張機能のいくつかについて紹介する 第 1 章電子顕微鏡の基本構成 図 1 電子顕微鏡の鏡筒断面図の一例 (JEM-2000FX) 電子顕微鏡の基本構成は図 1 に示すように (1) 電子銃 (2) 照射光学系 (3) 偏向系 (4) 補正系 (5) 結像光学系 (6) 観察記録系である 第 1 章はこれらの各要素の物理を示す ハードウェアとしての電子顕微鏡の物理は真空中の電子の運動に始まる しかし 電子顕微鏡の中の電子は 3 度物質と相互作用する 電子の放射 試料通過と検出である これらのうち電子の放射について詳しく述べる [1],[2],[3] 1.1. 電子銃 金属中の自由電子は原子核と電子殻の作る正の電荷中心の間を動き回っているが 金属の外に出ることはない 金属内に束縛された 1 個の自由電子を真空中に取り出すのに必要な 2

3 最小のエネルギー 即ち Fermi 準位 1 の電子を真空準位まで励起するエネルギーが仕事関数 Φ である 金属表面近傍では自由電子が動き回れる領域が途切れるため正電荷が浸み出し 真空中の電子はこの正電荷の力を受ける これをイメージポテンシァルと呼ぶ 金属中に束縛された電子を真空中に取り出すには 仕事関数とイメージポテンシアルの合成エネルギーがバリアとなるが このバリアを乗り越える運動エネルギーを金属中の電子に与えなければならない このためには熱 光や電子を金属に当てる方法があるが 電子顕微鏡では図 2 に示す 3 つの方式が一般的である 温度が上がると Fermi 準位より高いレベルに持ち上げられバリアを越える電子も出てくる これが第一の方法である熱電子放射である 熱電子放射はバリアを越えたところで突然生ずるので エネルギー分布は仕事関数に対応する低エネルギー側で突然増大し 熱によって生じた金属内電子密度のエネルギー分布の形に習ってそれより高エネルギー側で減少する このエネルギー幅は 1eV より小さい 測定されているエネルギー幅は 1-2eV で 放射電流量に強く依存する その理由は Boersch 効果といって 空間における電子の密度が高いと Coulomb 相互作用に 図 2 電子放射の方式 縦軸はエネルギー (ε) で 左側は金属 中央は真空 右側は放射電子のエネルギー分布を表している 横軸は中央の図では金属の表面からの距離 x であるが 左右の図では電子の数である よって電子の間でエネルギーのやりとりが行われ 電子の速度が変化することによる Boersch 効果によってエネルギー幅が決まってい る場合には左右対称な分布となる 第二の方法は陰極に強電界 E を加えて電界によるポテンシァル (-Ex) とイメージポテンシャルの合成によって仕事関数のバリアを低くし 小さい熱エネルギーでバリアを乗り越えさせる Schottky 放射である [2] 図 3 は図 2 に示した 3 種類の電子放射の方式について 1 絶対零度では金属中の電子エネルギーの上限は Fermi 準位 である 3

4 陰極から陽極までの電極形状と 陰極の先端形状を示している 陰極と陽極の距離は加速電圧によって決められ 電子放射の方式にはよらない 強電界は陰極先端を鋭くして電界を集中させることによって与えられ 特別な高電圧をかけるわけではない 陰極形状が熱電子放射の場合に比べて鋭い理由である ただあまり鋭いと熱によって変形するので 陰極材料の仕事関数 加熱温度 先端形状の微妙なバランスで形状が決まる Schottky 放射のエネルギー分布はこの放射が熱電子放射の一種であるため 熱電子放射と同様に低エネルギー側で鋭く立ち上がる この方式では電子が収束することなく発散するため Boersch 効果が熱電子銃に比べて低く抑えられ エネルギー幅は 0.2~1eV 程度と小さい 熱電子放射では電子ビームがいったん収束するため 電子の密度が高くなる場所が生ずる 第三の方法ではさらに陰極先端径を小さくして強電界をかける こうするとバリアが低くなるだけでなく幅が極端に薄くなる バリアの幅が 1nm より薄いと電子はバリアを乗り越えなくとも通り抜けることが出来る その理由は量子力学的に説明される 電子は Heisenberg の不確定性原理によってその位置に不確かさがある もしこの不確かさがバリアの幅より大きくなれば 電子はある確率で金属の外に浸み出す この方式をトンネル放射と言う [3] トンネル放射では 室温の場合 ( これを冷電界放射という ) に電子は Fermi 面近傍から多く放射され バリアの厚くなる低エネルギー側ほど放射が少ない このためエネルギー分布の形は熱電子放射の場合とは逆に高エネルギ図 3 電子銃の陰極とその先端形状ー側で鋭く 低エネルギー側に尾を引く その幅は 0.2 から 0.5eV である エネルギー幅の最低値は放射の方式によって決まるが 最大値は真空に出てからの Boersch 効果で決まる 陰極近傍に超高真空が要求されるが これが満たされない場合にトンネル放射電流が不安定になる場合があり この解決策として熱を加える熱電界放射もある この場合には Fermi 準位からバリアの頂上までに存在する電子のトンネル放射も加わるため高エネルギー側にも尾を引き 左右対称な形に近づく 従ってエネルギー幅は必然的に冷電界放射の場合より大きい Schottky 放射は熱電子のみ 冷電界および熱電界放射はトンネル電子のみと考えるのが純粋の場合であるが Schottky 放射と熱電界放射の境界はあいまいで 第一陽極電圧 陰極の温度や先端径の大きさなどの条件の違いによって容易に両者が混在するので共に熱電界放射として論じている場合もある 電界放射電子銃 4

5 [3,4] トンネル放射 1928 年に Fowler と Nordheim は電界と温度の影響の下での金属からの電子放射を波動力学を用いて解析し有名な Fowler-Nordheim の式を導いた この式は J T1 =CE 2 exp(-d/e) (1) と書かれる CとDを物質定数と考えることができる タングステンの場合 C=3.2x10-7 (A/V 2 ), D=6.5x10 10 (V/m) である 放射電流密度 J T1 は 電界 Eに対してドラスティックに増大する 表 I に示すように 1x10 9 (V/m) の電界では (A/m 2 ) の電流密度しか得られないが 5x10 9 (V/m) では 10 9 (A/m 2 ) もの電流密度が得られる 従って表 I に示すように電界のわずかな変化が 放射電流密度の大きな変化をもたらす 表 I. Fowler-Nordheim 方程式による電界 E と放射電流密度 J の関係 E(V/m) 1x10 9 3x10 9 5x10 9 7x10 9 9x10 9 J(A/m 2 ) 5.28x x x x x10 12 [2] Schottky 放射図 2に示したように 電界は金属の外のポテンシァルを直線的に減少させる 電界を強くするに従って直線の傾斜が大きくなる 金属と真空のバリアはイメージポテンシァルによって滑らかになっているので 全ポテンシァルのバリアが低くなると同時に薄くなる Schottky 放射は強電界によってエネルギーバリアを低めるため チップ先端径は1 m 以下に鋭くしてある ( 図 3 参照 ) 日比によるポイントフィラメント [12] は Schottky 放射を利用することによって明るい光源を得ることに成功したが なお Wehnelt を必要とした Swanson 等はW 線の表面を ZrO で覆った所 Wの (100) 面の仕事関数が 2.8eV という低い値になった [2] 他の結晶面の仕事関数は高いままであったので 電子放射範囲が Wehnelt を用いなくとも狭められ しかも 1800Kと言う比較的低温で熱電子放射が実現した Wehnelt を用いないので 負のバイアスによって電子のスピードが抑制されることもなく 空間電荷の制限を受けにくい優れた方式である 低仕事関数面の (100) は 側面にも存在するので ここからの電子放射を押さえる目的でサプレッサー電極が陰極の側面に置かれ 負の電圧が印加される 電界放射電子銃の虚光源電界放射電子銃には Schottky 放射による熱電子と トンネル放射によるトンネル電子を用いる 2 方式がある ここでは両方式に共通な虚光源の形成について述べる トンネル放射を行わせるためには 10 9 V/m もの強電界を必要とする これを実用的な電圧 ( 数 kv) の印加で実現するため 陰極先端半径を 0.1 m と小さくする 図 4 はトンネル放射の電子軌道と その陰極先端の拡大図を示している 電子は陰極先端から発散し 第 1 陽極に達するまでの間に光軸と交わることがない Schottky 放射の場合も同様である このように陰極先端から電子が放射状に発散するので電界放射電子銃の光源径は陰極先端径であると考えやすいが 実は真空中に放射されたビームを陰極方向に外挿して求められる 電子は放射状に発散しているため表面に垂直に放射しているビームは陰極材料先端半球の中心の一点から放射されているようにみえる 実際には表面から種々の方向に発散しているので これを半球の中心に外挿すると ある広がりを持つ これが電界放射電子銃の光源とみなされる 実際にこの光源から電子が出ているわけではないので 虚光源 ( ハ ーチャルクロスオーハ ー ) と呼ばれる 5

6 ここでは表面上の 1 点から -90, -45, 0, 45, 90 の各方向に出たビームを描いてある 2 電子の初速度は Maxwell 分布を持ち 表面に沿った方向 ( 90 ) にも放射される これは電子の熱運動のためであるが 絶対零度においても統計的分布を持つ 図には各ビームを半球の中心方向へ外挿した線も示してある 陰極面に垂直 (0 ) に出たビームを外挿すると 半球の中心で 1 点に交わる 陰極表面に沿って出たビームは中心から離れた点に交わるため光源に広がりができる これが虚光源 3 で実は陰極結晶表面の回折図形の虚像である 一方 球の半径の途中の面上に陰極表面の虚像がある 光源として虚回折図形が選ばれたのはその方が小さいからである このように陰極先端近傍に回折と像が形成されるのは電界がレンズ作用を持っているためで このレンズの収差と放射電子の角度分布が虚光源の大きさを決める 陰極先端の半径は 0.1 m であるが 虚光源はこれより小さく およそ 20nm 程度である 虚光源がこれだけ小さくなる理由は図から明らかに 電界が半球から放射状に拡がり ビームも放射状に発散していることによる 熱電子銃 [14] 熱電子放射と空間電荷の制限熱電子放射電流密度 J T0 は陰極温度が高いほど また仕事関数が小さいほど増す タングステンの場合 T=300 K では J T0 =1.6x10-65 A/m 2, 図 4 電界放射電子銃における電子軌道 静電ポテンシャルは 500V ステップで描いてある 計算の条件は 陰極先端径 0.1 m 陰極温度 300K 仕事関数 4.3eV とした これはトンネル放射の場合であるが Schottky 放射では陰極先端半径 0.4 m, 陰極温度 1800 K, 仕事関数 2.8eV とすれば良い T=3000 K で J T0 =1.5x10 5 A/m 2 となる 単金属ではタングステンが唯一の熱電子放射材料で その他の金属は熱電子放射が起こる前に溶解する 熱電子放射材料として多くの金属間化合物が研究されたが 現在電子顕微鏡で広く利用されているのは LaB 6 である LaB 6 の仕事関数は 2.6V 1850K で使用される 放射電流密度には限界がある [3] 放射された電子が陰極近傍に短時間ではあるが滞在し 電子は次々と放射されているので 定常的に電子が空間に存在する これを空間電荷と呼ぶ 空間電荷はその周りに電界を作る これは減速場として働き 電子の放射を妨げる 2 90 方向 ( 陰極表面に平行方向 ) に放射された電子は強い電界によってすぐに曲げられるので 図でははるかに小さい角度で放射されたように見える 3 虚の意味は実際に電子線が狭い領域に集中しているわけではなく 遠くから眺めたときにそのように見えることを表している 虚光源の利点の一つは Boersch 効果を避けられることである 後で示す熱電子銃の実光源では 実際にビームが狭い領域に集中するため この効果が避けられない 6

7 つまり一種のネガティブフィードバック系を作っており 熱電子放射電流が安定な 1 つの理由になっている 陰極付近では電子の速度が遅いため ビーム電流が小さい場合でも空間電荷の影響が無視できない 空間電荷による電流制限 J c は Child と Langmuir によって検討された 図 5 は放射電流を陰極温度に対して定性的に示したが J c が J T0 よりも小さければ 電流密度は空間電荷制限の下にあり 逆であれば温度制限領域下にある 図 5 熱電子放射における空間電荷制限の影響 熱電子は陰極の加熱によって放射されるので トンネル電子のように電界が鋭く集中した場所だけから放射される訳ではなく 陰極のあらゆる面から放射される このため 単に陽極と陰極が向き合う構造では陰極の広範図 6 熱電子放射のバイアス電圧依存性な面から出た電子による空間電荷ですぐに電子の発生が抑制され 全電流は多く取れても電流密度は低く抑えられる そこで電子放射を陰極先端だけに制限するために 陰極と陽極の間に Wehnelt と呼ばれる負の電圧を印加した電極を用いる ( 図 3 参照 ) Wehnelt の電圧 ( これをバイアス電圧という ) を高めていくと図 6 に示すように 電子放射が零となる電圧があり これをカットオフ電圧と呼んでいる Wehnelt は電子放射の領域を制限して空間電荷制限が起こるのを防ぎ なるべく多くの電流を狭い領域から取り出して明るい光源を得るために必要である しかし負のバイアスを加えるため 電子が陽極に向かって加速されるのを妨げ 結果的に陰極付近に電子を留まらせて空間電荷を作る この弱点を強電界の印加によって解消したのが Schottky 放射である 熱電子放射の実光源熱電子放射では陰極の形は重要でなく 電子放射はそのあらゆる部分から生ずる しかし これでは放射電流は多くなっても電流の大部分が勝手な方向に散って明るい光源とならないので陰極近傍に負の電圧を印加した電極である Wehnelt を用いて余分な電子の放射を抑制する 図 7 は熱電子放射を行う LaB 6 電子銃のポテンシャル分布と電子軌道である 上の図に見られるように 陰極の側面から放射された電子は光軸に近づく方向に曲げられやがて光軸と交わった後 再び光軸から離れる 実際にビームが交差して小さなまとまりを作っているので これを実光源 ( クロスオーバー ) と呼んでいる クロスオーバーの形成は Wehnelt によって与えられた負の電圧による 熱電子だから実光源を作っているわけではない 中心近傍から出たビームが光軸と交わる位置と周辺から出たビームの交わる位置 7

8 は著しくずれているが ビーム径が最小となった位置 ( 陰極先端から約 1.5mm) を選ぶとクロスオーバー径はおよそ 3 m である 図 7 の下の図は 1V ステップでポテンシャルを描いたが 電子が放射される一番外側近傍のポテンシャルから負になっている 初期エネルギーがほとんど零の電子ビームは 負の電界に覆われた陰極表面からは出ることが出来ない 陽極の正電界にさらされた頂面近傍のごく狭い領域からだけ電子放射がおこる これが Wehnelt の役割である 図 6 からわかるように 図 7 の条件は最も輝度が高くなるバイアス電圧より高電圧の場合である 電圧を下げると輝度が高くなるが輝度最高値付近までクロスオーバー径は 3 m 程度を維持しそれより小さいバイアスで輝度が低下するとともに光源径も大きくなる しかし全電流はなおも増え続ける バイアス電圧を浅くした場合はクロスオーバーに全電流が集まらず 中心部に電流の集中した明るい場所 外側に電流密度 図 7 熱電子放射電子銃の電子軌道 上の図は縦軸が横軸の 5 倍に拡大されている また下の図の横軸は上の図の 10 倍であるが 縦横同倍率である 陰極の先端半径は 5 m 90 のコーンを持つ 陰極温度は 1850K 仕事関数 2.6eV Wehnelt 先端面と陰極頂点の距離 0.6mm Wehnelt 電圧 600V である の小さい暗い領域ができる ここは通常絞りでカットされる さらにバイアスを浅くすると多くの電子が陰極の広範な部分から放射されるが光軸中 心付近に集まらず リング状のビームが形成される この場合には電界が零となる領域が陰極先端から遠ざかっている この状態は 未飽和 と呼ばれており ビームのパターンが環状になる 電子放射の方式と電子銃の種類をまとめると表 II のように表される 即ち放射電子には熱電子とトンネル電子の別があり その放射の方式は熱電子放射 Schottky 放射 トンネル放射の 3 種類がある 熱電子放射を用いる電子銃は熱電子銃と呼ぶが Schottky 放射とトンネル放射はその共通項である強電界に着目し 電界放射電子銃 (FEG:Field Emission Gun) と言う 熱電子銃は実光源 FEG は虚光源を作ることに特徴がある ただ 日比陰極 [12] とも呼ばれるポイント陰極は 強電界を与えて Schottky 放射を行わせるにも拘らず 8

9 実光源を形成するので 熱電子銃に分類される 表 II 電子放射の方式と電子銃の対応表 熱電子 熱電子放射 タンク ステンヘアヒ ン 実光源 熱電子銃 LaB 6 Schottky 放射ホ イント Zr/O/W(100) 虚光源 電界放射電子銃 トンネル電子 トンネル放射 W(100)+O 2 熱電界放射 (FEG) W(310) 冷電界放射 輝度 高い倍率で試料を観察したり 微少領域での分析を行うには明るい光源が必要である 光源の明るさは 輝度で表現される 電子顕微鏡の倍率を高くして試料を観察するには 試料上の電流密度をしだいに高くしてやらなければならない 蛍光板あるいはフィルムの一定の面積を明るく照らすには一定の電子が必要で 倍率が高いときにはこの電流は狭い試料領域内に注がれなければならないからである しかしながら 電子レンズによってビームを絞ると照射角が大きくなる 電子レンズの収差は照射角を大きくすると著しく増大するため 照射角には限界がある 照射角を大きくしないで明るい像を得るには 単位立体角当りの電流密度である輝度の高い光源を必要とする 輝度は光軸の周りの単位立体角当りの電流密度として定義され平均輝度とよばれる 虚光源上における平均輝度 B は B=I/( 2 r 2 eff) (2) と表される ここで はビームの半角 2 は立体角 I はこの立体角内に含まれるビーム電流 r eff は光源径である 4 図 8 は FEG と LaB 6 をそれぞれ搭載した 200kV の TEM について実測で求めたプローブ電流を光源の直径に対して示してある 輝度の高い光源である FEG は LaB 6 に対して約 2 桁高い電流を照射する事が出来る これに対し立体角 光源径を無限小にしたときの輝度は軸上輝度とよばれる 軸上輝度は J 0 と加速電圧 V r に比例する これは電子銃の理論的に期待される最高の輝度で 電子レンズ系をど のように変化させても一定不変に保たれ 軸上輝度不変の法則と呼ばれる 図 8 200kV 電子顕微鏡のプローブサイズと対応するプローブ電流 (JEM2010F のカタログより ) 4 輝度には光源径が含まれることに注意しなければならない 電流密度を高めても同時に光源径が大きくなったのでは輝度は向上しない 光源径は陰極先端の大きさではないので 陰極先端径を小さくしたからといって光源径が小さくなることは保証されない 放射状にビームが発散すると 試料上の電流が少ないという理由で 電子の軌道を光軸方向に引き寄せるため磁界を加えることが行われている しかし 第 7 図から想像できるように 軌道を放射状から変化させると 虚光源の大きさが大きくなることが予想される この場合 電流は大きくなるが 輝度が低下する 磁界の重畳を行う場合はあくまでも 陰極先端近傍のレンズ作用の収差を低減することを目的にして 輝度の向上を図らなければならない 9

10 1.2. 照射レンズ系 照射レンズ系は電子線を所定の加速電圧に加速 収束して試料上にあてるが 倍率に応じて照射領域の大きさを変えなければならない 分析電子顕微鏡として利用する場合は 数ナノメーターあるいはサブナノメータに細く絞ったビームを試料上の一点に照射する 電子回折においても 視野制限絞りによる回折領域の選択ばかりでなく 照射領域の限定によって極微少領域の電子回折が行われる 図 9, 図 10 は 熱電子銃を用いた場合と FEG を用いた場合の照射光学系を模式的に示したものである 熱電子銃では陰極とウェネルトに 図 9 熱電子銃を用いた照射光学系 図 10 電界放射電子銃を用いた照射光学 よってまず実像 ( クロスオーバー ) が形成される 加速電界レンズ ( ガンレンズ ) はこれを単独で像にすることが出来ず 虚像を形成する この虚像は 第 1 コンデンサレンズによって強縮少される 第 2 コンデンサレンズ近くに置かれたコンデンサ絞りによってビームの領域が制限され 試料上に照射されるビームの角度が決定される 第 2 コンデンサレンズは一般的には実像を作らず 弱いレンズとして虚像を形成し 対物レンズの試料より前方の磁界が試料の後方数ミリの位置に光源の像を形成する 走査透過電子顕微鏡 (STEM) や分析の場合にはこれを試料上に結ばせる 一方 FEG の場合には 陰極と引き出し電極によって電子は放射状の軌道を描き これを後方に延長した点を虚光源としている この光源の実像が 引き出し電極ー陽極間の加速電界レンズによって形成される 光源のサイズはすでに十分小さいので 第 1 コンデンサレンズによって強縮小する必要はない 第 2 コンデンサレンズと対物レンズの働きは熱電子銃の場合と同じである FEG の光源径は 0.01 m オーダーで 数 m の大きさに達する熱電子銃の場合とは比較にならないほど小さい 図では両者の光源径を同じ程度に描いているので FEG の場合に試料上のビーム径が大きく見えている 200kV 以上では Wehnelt あるいは引き出し電極と陽極の間に加速管と呼ばれる多数段の電極が用いられる 多段にして徐々に加速するのは 放電の危険を避けるためである 商 10

11 用電子顕微鏡の場合 1 段で最終加速電圧まで加速する最高の電圧は 120kV である しかし 加速管のレンズ作用は非常に小さい Butler 型加速電界レンズ [1] 陰極を出た電子の受けるレンズ作用は (1) 陰極と陽極の間の加速電界レンズ作用 (2)200kV 以上の加速電圧では加速管による電界レンズ作用が加わり 最終的に (3) コンデンサレンズの磁界によって電子は試料上に収束する (1) について熱電子銃の場合は図 7 に示したとおりであるが FEG の場合は図 4 に示した陰極から電子を引き出す陰極 第一陽極間のレンズ作用の他にこれを所定の加速電圧に持ち上げるあるいは 最初の加速電極までの間の加速電界レンズ作用が問題になる 図 11 は Butler 型として知られる電極の断面である この電極の形状は各陽極に空けた穴によるアパーチャーレンズ作用を受けないようにする為に 穴の周辺でポテンシァルの変化がゼロになる電極形状で 3 次曲線によって表現されている 照射系による縮小像の形成と照射ビーム径の評価 ここでは電子銃によって形成された ( 虚 ) 光源像をどのように縮小して試料に照射するかについて述べる 収差を省略した光源の像をガウス像と呼んでいる 図 10 に示す FEG の系における加速電界のレンズ作用を考えてみよう まず陰極ー第 1 陽極間のレンズ作用によって虚光源が陰極先端部からその半径程度後方に生ずる これは前に説明した この点を物面とし図 11 Butler 型電極と陰極の関係て第 1 と第 2 陽極間のレンズ ( ガンレンズ ) は実像を形成する しかしSEMのように加速電圧が小さい場合には虚像となる 5 このレンズはかなり弱いレンズである 第 2コンデンサレンズ (CL2) 以下は Lab 6 の場合もFEGの場合も共通である Lab 6 の場合は CL1 の作る実像 FEGの場合は加速電界レンズの作る実像を物面として CL2 と対物レンズ (OL) の2 段レンズ系によって縮小像が試料面上に作られる 上で述べたのは倍率計算によって光源の縮少像の大きさ ( ガウス径 D g ) を求めるもので これは D g = M OL M CL D cross (3) とあらわされる ここで D cross は第 1.2. 節で求めたクロスオーバー径である これに球面収差 軸上色収差および電子波の干渉効果による絞りの縁によるぼけ D s,d c,d d が重なる 実際のビーム径をこれらぼけの原因になるものの根二乗平均をとって近似的に表現する D = (D g2 +D s2 +D c2 +D d2 ) 1/2 (4) それぞれの項が作るビームの広がりは 3 球面収差による拡がり D s = (1/2)C st i (5a) 色収差による拡がり D c = C ct i ( V/V r ) (5b) 回折収差によるボケ D d = 1.22 / i (5c) 5 引きだし電圧が 4kV 程度の場合 40-50kV の加速電圧で虚像から実像に変わる 11

12 図 12 超高分解能ポールピースを用いた場合の照射角に対するプローブ径 (JEM2010F のカタログより ) 図 13 分析ポールピースを用いた場合の照射角に対するプローブ径 (JEM2010F のカタログより ) と表される i は収差を試料面に換算して求めた場合には試料面 z o におけるビームの角度である V r は加速電圧 Vは電圧の変動分 は V r に対する波長で 6 = h / [2meE(1+eE/2mc)] 1/2 = (1. 5/V r ) 1/2 (nm) (6) で与えられる C st,c ct は系全体の球面収差係数と色収差係数である 電子銃 コンデンサレンズ 対物レンズの3 段系を考えると C st = C sol +M OL4 (C scl +M CL4 C sgun) (7a) C ct = C col +M OL2 (C ccl +M CL2 C cgun) (7b) C sol 等の記号は OL 等の球面収差係数を表す コンデンサレンズが2 段ないし3 段の場合も上式を拡張して用いればよい レンズ系の縮小率が大きければ 電子銃やコンデンサレンズの作る収差の影響は無視できるほど小さい このように電子銃 コンデンサレンズ 対物レンズの夫々について光学特性を求めておけば 系全体でのビーム径を求めることができる 図 12,13 は超高分解能構成と分析構成の 2 種類の対物レンズの場合について 夫々の寄与と最終分解能を示したものである 最小分解能 d が大きなαにおいて得られる方が大きな電流を得る事が出来る 1.3. 偏向系と補正系 これまでは軸対称系を主として扱ってきたが この節では非軸対称系について考える この系にはプリズムと多極子がある 電子顕微鏡で利用されているプリズム光学系には電子線エネルギー分析装置がある 偏向コイルは最も簡単なプリズム光学系で 電子顕微鏡ではビームの移動と傾斜に用いられる 多極子としては 4 極子を用いた非点補正が利用されている 偏向コイル 6 de Broglie 方程式 = h/p = h/mv 100kV では =0.0037nm である 12

13 電子顕微鏡の偏向コイルは通常 2 段で構成され ビームの水平移動と傾斜照明に用いられる 長さ L の範囲にわたって紙面の手前から奥に向かう一様磁界に対し z 軸に沿って入射した電子ビームは図 14に示すようにサイクロトロン半径と呼ばれる半径 R の円弧を描く 電子ビームの偏向量が小さいときには 偏向角 を次のように近似できる L/R = LBe/mv 0 = LB[(2m/e)V r ] -1/2 (8) 偏向を実現する手段には図 15 に示すサドルコイルまたはトロイダルコイルが用いられる サドルコイルの作る磁界の分布はこれが自由空間にあれば Biot-Sabart の法則で決まるが 磁界レンズヨークの内側に配置される場合には鏡像効果 7 により およそ 2 倍の磁界強度が得られる コイルをこの図に示すように 120 の範囲にわたって図 14 一様磁界による電子ビームの偏向巻いた場合に一様場が得られる x 方向と y 方向の 2 方向必要なので これらを同一の場所に置くためには コイルの半径を変えなければならない 電子ビームの偏向角はコイルの半径が大きいほど小さくなるが 外側の鉄心に近ずくので大きくなる効果もある 従って 両コイルの半径を適当に調整すると 単位起磁力あたりの偏向角である偏向感度を x,y 両方向で同一にすることができる この図はおおむねそのような条件で描いてある トロイダルコイルは軟磁性フェライトコアにコイルを巻いたものが用いられる サドルコイルの場合と比較して 空間にゆとりのない場所に用いられる コイルに通じる電流の向きを逆にして コイル対と 90 の方向に磁界を発生させる 磁界の一様性が高く コイルの巻き精度に依存しない特徴がある スティグメータ 非点は 4 極子場で作られるので 4 極子場を与えてこれを補正することができる この非点補正装置はスティグメータと呼ばれ 1961 年頃から商用の電子顕微鏡に組み込まれている その構造は 8 本の小さなソレノイドコイルを 45 ずつの角度で配置したものである 8 個の極を有しながら 8 極子でないのは 隣合う 2 つの極が同極性で 電流比率を変えることによっ図 15 偏向コイルの構造て発生する磁界の方向をコントロールしているからである 電子顕微鏡のスティグメータは単に 8 極のソレノイドが用いら 7 磁性体を鏡と考えて 鏡に映ったコイルの像も磁界を作るとして全コイルの作る磁界を積算する 磁性体はコイルの両側にあるので 2 枚の鏡の間に置かれた物体の像が無限に続くように コイルが無限に続く ただ 遠く離れたコイルの作る磁界は弱くなるので 全体としてコイル単独の場合の 2 倍程度の強さになる コイルの磁界生成に対する磁性体の効果を近似的に計算する手法である 13

14 れているだけで 高次の項を多く含まないようにするなどの配慮は行われていない [6,7] 1.4. 結像レンズ系 電子顕微鏡のレンズ系の中で最も重要なレンズは対物レンズである 図 16 は左側に 1000kV 電子顕微鏡について対物レンズの構成要素を示し 右側に磁束の流れを示した 対物レンズが重要なのはこのレンズが電子顕微鏡の分解能を決めるからである 分解能はレンズの球面収差係数 Cs 軸上色収差係数 Cc によって決められるが それらはレンズのギャップに挿入する試料ホルダーの寸法や試料傾斜角とも密接に関係している 分解能については 2 章で 詳しく述べるので ここではその他の結像レンズ系について記す 図 16 磁界レンズの構造と磁力線 (JEM-ARM1000) 拡大像と回折図形 Ruska が光学顕微鏡の倍率を越える電子顕微鏡を完成したとき 結像レンズ系は対物レンズと投影レンズの 2 段であった [11] 倍率を変えて観察を行うためには少なくとも 2 段のレンズ系が必要である事は 光学顕微鏡の時代から知られていた 電子に対する磁界のレンズ作用が光に対するガラスレンズと同じように各レンズの倍率の積になるかどうかを Ruska は実験で確かめている [11] その後レンズを 3 段にした直接の理由は更なる倍率の増大であったと想像されるが 図 17 3 段結像レンズ系による電子顕微鏡像と回折図形からの像の形成 電子顕微鏡はレンズ系を 3 段にする事によって 実用的な装置として完成した その理由は 2 つあり 1 つは歪収差の補正が種々の倍率で可能になったこと もう 1 つは電子回折装置としての利用である 図 17 は 3 段レンズ系における像モードと電子回折モードの比較である 両者の違いは中間レンズの励磁条件にある 電子回折図形は試料後方の電子源のクロスオーバー面で最もシャープに観察される 照射ビームが光軸と平行の場合 この面は対物後焦点面に一致する 8 回折モードにおける中間レンズは回折図形を投影レンズの物面に映し出す 像モードでは中間レンズは対物レンズの作る拡大像を投影レンズの物面 ( 中間レンズから b i ) に拡大または縮小するので 像モードと回折モードでは中間レンズの物 8 この点は誤解が多いので注意が必要である 電子回折図形の像は 対物レンズ後焦点面に出来るとは限らない 回折は試料によって生じ 試料は偏向コイルのようにビームを曲げる働きをする 回折図形がシャープに観察されるのは入射ビームが最も細くなる面で これは電子源のクロスオーバー面である 14

15 面までの距離 (a i ) が大きく異なる 回折モードの方が a i が長い (39) 式からわかるように b i を一定とすれば a i の大きい回折モードの方が中間レンズ焦点距離 f i が長い つまりレンズの励磁が弱い 回折図形を拡大すると像は縮小される 逆に拡大像を作るときは 回折図形は縮小される 図 18 有限要素法で求めた対物レンズから投影レンズまでの磁束密度分布 ( 左 ) と光軸上磁界分布 ( 右 ) この図は実際の寸法に比例するように描かれている (JEM100CX の投影レンズ改造 ) 投影レンズの歪およびS 字 [16] 歪収差 ここでは代表的な低倍収差である歪収差と S 字歪収差についてそれらとレンズの関係を述べる 図 15 は 100kV 電子顕微鏡の結像レンズ系 即ち対物レンズ (OL) 第一中間レンズ (IL1) 第二中間レンズ (IL2) および投影レンズ (PL) のうち PL を 3 磁極型のものと交換した系について レンズ内の磁束密度の分布 ( 左側 ) と光軸上磁界分布 ( 右側 ) を示している 低倍における歪収差は IL1 IL2 と PL の励磁によって変化するが S 字歪収差は投影レンズのみによって決まり 倍率によってほとんど変化しない 投影レンズを 3 磁極型にした理由は S 字歪収差を補正する目的からである この収差は磁界レンズに特有で レンズ内で電子が螺旋運動をすることにその原因がある 従って磁界の極性を反転させてその符号を変えることによってのみ収差のキャンセルが可能となる 3 磁極型レンズでは中央の磁極の上下に 2 組のコイルが置かれ 互いに逆向きの電流を通す このようにすると軸上の磁界分布は中央の磁極中心付近で 零となり 両側の磁極との間に逆向きの磁界が発生する 中央の磁極付近では磁界分布は激しく変化する 図 19 は図 18 の投影レンズについて求めた光学特性の実測値である 9 投影焦点距離 f p は励磁の強さに対して一旦極小を示した後増大する ベル型の場合この値は k 2 =1 であった 注目すべきことはこの励磁において歪収差が零となることである レンズの励磁が弱い場合 外側の軌道ほど早く収束するので糸巻き歪みとなる 励磁が大きくなると (k 2 >1) 焦点を結んだ後においてもなおレンズ磁界が残り 再びビームは軸方向に向かう このとき f p は最小値より増大し 外側ビームは再び収束方向に向かうため樽型歪みとなる このように焦点距離と歪み収差は密接な関係にある 9 歪み及び S 字歪み収差を収差係数ではなく フィルム面上直径 100mm の円周上における歪み量 X または Y を円の半径 X で割った値で表示している 収差 1% は半径 50mm の円周上で 0.5mm のずれに相当するので (75) 式から 0.5=Ex50 3 従って E=4x10-6 mm -2 となる 15

16 今考えている投影レンズでは レンズ磁界はその符号を無視すれば 2 つのピークを有する 2 つのレンズと考えることもできる f p が最小 E=0 となる条件は近軸軌道が 2 つめのレンズの中心付近を通る条件である 上に示した例では 2 つのレンズが近接しているが 歪み収差についてはこれは収差キャンセルの必要条件ではなく 2 つのレンズが離れている IL と PL の場合にも成り立つ つまり 歪み収差零は軌道が PL の中心付近を通るときに実現する 10 一方 S 字歪収差はもっと複雑である ここに示したレンズでは歪み収差とほぼ同じ励磁において S 字歪収差も零になっている 実は両収差は同一条件下で自動的に零になるのではなく 同時に零になるようにレンズを設計してある 軌道は f p 最小の条件の下では第 2 の磁界ピークの中心付近で零となるため 相対的に第 1 の磁界を通るときに比べて第 2 の磁界を通過するときは軌道が低くなる 収差は軌道の高さと磁界強度の積に比例するので 第 1 ギャップの磁界と第 2 ギャップの磁界の極性を反転させて 両者間で収差をキャンセルさせる しかし第 2 ギャップでは軌道が低くなるので 収差に対する第 2 の磁界分布の寄与が小さくなる そこで図 15 から見て取れるように投影レンズの上側磁極の穴径を大きくし 下側磁極のそれを小さくした非対称なレンズを用いて中心より上側に発生する磁界の強度を弱くそしてなだらかな分布 下側の磁界強度を強くその変化を急峻にすることによって 収差の大きさの両ギャップでのバランスを調整した こうして S 字歪収差が零となる条件をひずみ収差零の条件と一致するように調整してある 電子顕微鏡の基本構成としては 投影レンズの後方に像観察及び像記録系を有する 標準的な構成では像観察には大蛍光板を像観察室から直視する機構 10 倍のルーペを用いて小蛍光板の像を拡大観察する機構 カメラ室において写真フィルム図 19 3 磁極投影レンズの焦点距離に露光する機構を有する しかし最近では像観察 f p 歪み収差 X/X S 字歪収差 Y/X のは TV カメラに 像記録は冷却スロースキャン CCD 実測値カメラまたはイメージングプレートに置き換わりつつあり アナログ記録からディジタル記録へ また暗室作業の解消へと向かっている 第 2 章超高分解能と無収差化への試み Scherzer は 1936 年に次の条件をすべてみたした場合 球面収差係数 C s は必ず正の値を取り零にはできないことを証明した [4] これは光学顕微鏡における分解能の限界を示した Abbe の定理 [9] に相当する電子顕微鏡の限界を与える重要な定理である その条件とは (1). 場が軸対称であるとき (2). 物面と像面がいずれも実 (real) であるとき (3). 静電界または静磁界のとき (4). 場が連続しているとき 10 これが有名なディストーションフリー条件で この条件を満たすと投影レンズの励磁を変化させて 倍率を変えても歪み収差を発生しない 16

17 (5). 電子の速度が零にならないとき (6). 空間電荷が存在しないとき である 通常の磁界型電子レンズはこれらの条件を全て満たしている 軸上色収差についても 球面収差と同様の条件のもとで零または負にすることが出来ないことが証明されている C s が零に出来ないことから いかに C s の小さいレンズを設計するかが重要と考えられた Riecke と Ruska によって高分解能電子レンズポールピースとして有名なコンデンサオブジェクティブレンズが 1960 年代に提案された [11] が 実際の高分解能化には寄与しなかった 実際の試料についての高分解能像観察は まず非点収差や試料のドリフト対策から始まった これらが一応の解決を得 0.2nm 以下の格子像分解能が得られると 結晶構造像を得るに必要な粒子分解能の必要性が言われるようになった 高分解能を得るための指針は Schelzer の分解能 d s = 0.61(C s 3 ) 1/4 (9) であった より高い分解能を得るためにまず を下げることが近道と考えられ 超高圧電子顕微鏡が 70 年代に高分解能観察に用いられた さらに 80 年代は対物レンズの最適化設計による C s の改善が行われた 実際の電子顕微鏡レンズの設計法は文献 [7] を参照されたい C s の極限に関しては古くから Tretner の限界が知られていた これは 1/2 C s = 2.2V r / B m ( m) (10) と与えられるが 式の中にレンズのギャップ中に作られる最大磁束密度 B m が含まれており この値の限界が予測できないため C s の限界を知ることは出来なかった 筆者は数値シミュレーションによって多数のレンズの C s を計算し 新しい限界を提案した [17] それは 1/2 C s = 1.34V r / B s (11) と与えられる ここで B s は対物レンズポールピース材料の飽和磁束密度で 物質定数である (78) と の加速電圧依存性から分解能に直すと d s = 4.65(B s V r ) -1/4 (nm) (12) と表される この式では V r と B s 図 20 Scherzer 分解能の限界によって限界が与えられる 例えば B s =2.35T を持つ鉄コバルト合金のパーメンダーを用いた場合 分解能の限界は加速電圧に対して図 20 で与えられる 市販の電子顕微鏡の値を四角印で示してある 現状と限界の差を大きいとみるか小さいと考えるかは利用者によって異なるが 500kV 以下の電子顕微鏡において 0.1nm の分解能を得ることは出来ない Scherzer の分解能はコントラストが周波数によって反転しないため 直観的に像解釈がしやすいが コントラストの周波数による反転を許すインフォーメーションリミットの分解能定義が 80 年代に入って用いられるようになった 11 インフォーメーションリミットの 11 この場合には 分解能を議論するうえでコントラスト伝達関数においてエンベロープ関数の減衰のみを考慮すれば良い これには 2 つの寄与があり 電子線のエネルギーの広がりによるものと 電子源が有限の大きさをもつことによるビームの入射角の広がりである ただ 後者に関してはデフォーカスを適当に選べば減衰がない条件を選ぶことが出来るので 装置に課せられた課題は エネルギー幅によ 17

18 分解能を向上させるには 対物レンズの C c を小さくすると共に 電子線のエネルギー幅を小さくすることが課題となる 図 21 は種々の電子源に対して横軸に C c 縦軸に分解能を示した 曲線 A-D に用いた Q を決める条件を表 III に示した 電子源として LaB 6 を用いた場合 E/E=5x10-6 として 0.1nm の分解能を得るためには C c =0.3mm を達成しなければならない 一方 FEG を用いると E/E=1.5x10-6 として分解能 0.1nm は C c が 1mm より小さければ達成される 試料ホルダーなどの条件を考慮して可能性のある C c =0.6mm の場合で d e =0.08nm という サブオングストローム分解能の可能性がある 曲線 C は高圧安定度と電流安定度を現状より 1 桁向上させた場合で 若干の向上が期待できる 曲線 D は電子源の改良によって E/E=1.5x10-7 にまで減少した場合を示している これは 200kV に対して エネルギー 図 21 表 III に示した種々の条件におけるインフォーメーションリミットの分解能 ここでは 情報限界として E =1/e2=0.135 を用いた また加速電圧は 200kV である 幅 30meV に相当するが このようなエネルギー幅をもつ電子源は GaAs などの半導体からの光電子放射や Eu( ユーロ ピウム ) の磁性を利用したトンネル放射の場合に可能性がある この場合 0.03nm もの高分解能が期待される このレベルでは 原子内の電子雲の構造を観察できる可能性が出てくる 12 もう 1 つ重要な因子は Boersch 効果で これによるエネルギーの広がりを防ぐため 電流密度は十分小さくしなければならないので 超高感度検出器と 長時間露光に耐える装置の安定度が必要になる エネルギー幅の小さい照射ビームを得るためモノクロメータを利用することも出来る 以上のように インフォーメーションリミットの分解能は 電子顕微鏡の総合技術の進歩によって確実に向上が期待される 複数枚の画像を合成することによって高分解能を得る方法も考案され その各々の画像を取得するための装置のコントロールや装置の使用条件を厳密に設定する必要から コンピュータと連動したオペレーションの自動化や 収差係数の自動計測が行われるようになった 斜め照射法 [10] によって実際的な試料で 0.12nm といった高分解能が 200kV の電子顕微鏡で得られるようになった このような分解能を得るには 装置に対して厳しい要求がある それは コマフリー軸 13[15] と電圧軸が大きくずれないこと 3 回対称非点 [15] が小さい るフォーカスの広がりのみである この寄与による分解能は d e =( QC c /2) 1/2 と表される ここで Q は Q=[( V/V) 2 +(2 I/I) 2 +( E/E) 2 ] 1/2 である 前の 2 つの項は装置の高圧とレンズ電流の変動 3 番目が電子線のエネルギー幅である これらのうち第 1 および 2 項は装置製作上の技術的問題で 第 3 項に比べて十分小さくすることができる 12 試料内での非弾性散乱によるエネルギー幅の広がりをエネルギーフィルターで取り除かなければこのような分解能を得ることは出来ないが オメガフィルターを用いればよい また 観察対象がこのレベルの分解能では 単原子やせいぜい原子クラスターになるので 試料による非弾性散乱は考慮する必要がないかも知れない 13 軸上こま収差が零となる光軸 電圧軸と外れる場合が多い 18

19 こと 少なくとも 4 枚の像を合成する必要からより長時間の装置安定度が求められることなどである 表 III 図 21 の分解能を計算するために与えた高圧 レンズ電流 エネルギーの変動量 A B C D V/V 1x10-6 1x10-6 1x10-7 1x10-7 I/I 5x10-7 5x10-7 5x10-8 5x10-8 E/E 5x x x x10-7 一方 先に示した Scherzer の条件のどれかを外して収差の補正装置を作る努力も続けられた 成果を上げた方法は (1) と (4) である 日比野は薄膜に電圧を加えて不連続場を作り球面収差を正から負に連続的に変えることに成功した [18] 多極子レンズを用いた球面収差の補正装置 [19] では電界または磁界のみで 4 極子と 8 極子を組み合わせて作ることが出来 また 6 極子を用いる方法もある 色収差も併せて補正するためには電界と磁界を組み合わせた多極子を用いなければならない Zach は 4 極子と 8 極子の組み合わせによる補正レンズを作って低加速 SEM に応用し 球面収差と色収差を補正し 1kV で 2nm の分解能を得ることに成功した [20] 同様に Heider らは 6 極子を用いた球面収差補正レンズで 200kVTEM の分解能を 0.25nm から 0.20nm にまで向上させた このほかに注目されている方法は (5) で ミラー電界を利用した補正法が提案されている [21] 収差補正による超高分解能化は 1990 年代に入って実用段階に達した 図 22 走査像観察装置 TV カメラ EDS 及び EELS を備えた 200kV 電子顕微鏡 19

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以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (ex. 2 dx d x x, x 2 dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-1) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( x や x, x などがすべて 1 次で なおかつ 以下 変数の上のドットは時間に関する微分を表わしている (e. d d, dt dt ) 付録 E 非線形微分方程式の平衡点の安定性解析 E-) 非線形方程式の線形近似特に言及してこなかったが これまでは線形微分方程式 ( や, などがすべて 次で なおかつそれらの係数が定数であるような微分方程式 ) に対して安定性の解析を行ってきた しかしながら 実際には非線形の微分方程式で記述される現象も多く存在する

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