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葉酸とビタミンQ&A_201607改訂_ indd

BD( 寛解導入 ) 皮下注療法について お薬の名前と治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 薬の名前作用めやすの時間 1 日目

AC 療法について ( アドリアシン + エンドキサン ) おと治療のスケジュール ( 副作用の状況を考慮して 抗がん剤の影響が強く残っていると考えられる場合は 次回の治療開始を延期することがあります ) 作用めやすの時間 イメンドカプセル アロキシ注 1 日目は 抗がん剤の投与開始 60~90 分

減量・コース投与期間短縮の基準

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「             」  説明および同意書

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Microsoft Word - CDDP+VNR患者用パンフレット doc


佐賀県肺がん地域連携パス様式 1 ( 臨床情報台帳 1) 患者様情報 氏名 性別 男性 女性 生年月日 住所 M T S H 西暦 電話番号 年月日 ( ) - 氏名 ( キーパーソンに ) 続柄居住地電話番号備考 ( ) - 家族構成 ( ) - ( ) - ( ) - ( ) - 担当医情報 医

アセスメン EV( 即時性 ) EV( 遅延性 ) 静脈の炎症 フレア反応 ト 痛み 激しい痛みや灼熱感 通常 48 時間以 静脈に沿っ なし が数分から数時間以内に生じる 通常 薬剤投与中に刺入部周囲に起こる 内に発現する て硬結や痛みがある 発赤 針刺入部周囲に発赤が生じる 必ずしも EV が生

放射線併用全身化学療法 (GC+RT 療法 ) 様の予定表 No.1 月日 経過 達成目標 治療 ( 点滴 内服 ) 検査 処置 活動 安静度 リハビリ 食事 栄養指導 清潔 排泄 / 入院当日 ~ 治療前日 化学療法について理解でき 精神的に安定した状態で治療が

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( はい / ) 上記外来の名称 対象となるストーマの種類 7 ストーマ外来の説明が掲載されているページのと は 手入力せずにホームページからコピーしてください 他施設でがんの診療を受けている または 診療を受けていた患者さんを


1981 年 男 全部位 C00-C , , , , ,086.5 口腔 咽頭 C00-C

より詳細な情報を望まれる場合は 担当の医師または薬剤師におたずねください また 患者向医薬品ガイド 医療専門家向けの 添付文書情報 が医薬品医療機器総合機構のホームページに掲載されています

2017 年 9 月 画像診断部 中央放射線科 造影剤投与マニュアル ver 2.0 本マニュアルは ESUR 造影剤ガイドライン version 9.0(ESUR: 欧州泌尿生殖器放射線学会 ) などを参照し 前マニュアルを改訂して作成した ( 前マニュアル作成 2014 年 3 月 今回の改訂

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事例

米国で承認された エロツズマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 新潟県立がんセンター新潟病院内科臨床部長張高明先生です Q1: エロツズマブという薬が米国で承認されたと聞きましたが どのような薬ですか? エロツズマブについてエロツズマブは 患者さんで増殖しているがん

第16回日本臨床腫瘍学会学術集会 共催セミナー報告集

8 整形外科 骨肉腫 9 脳神経外科 8 0 皮膚科 皮膚腫瘍 初発中枢神経系原発悪性リンパ腫 神経膠腫 脳腫瘍 膠芽腫 頭蓋内原発胚細胞腫 膠芽腫 小児神経膠腫 /4 別紙 5( 臨床試験 治験 )

抗がん剤を受けられる皆様へ

透析看護の基本知識項目チェック確認確認終了 腎不全の病態と治療方法腎不全腎臓の構造と働き急性腎不全と慢性腎不全の病態腎不全の原疾患の病態慢性腎不全の病期と治療方法血液透析の特色腹膜透析の特色腎不全の特色 透析療法の仕組み血液透析の原理ダイアライザーの種類 適応 選択透析液供給装置の機能透析液の組成抗


がんの治療

(1) 使い方 がん化学療法説明書の紹介と 使い方 1 病院において説明書を用いて患者指導する 2 患者が保険薬局に説明書を持参し薬局薬剤師が確認する また 患者が持参しない場合においても 患者の聞き取りからレジメン名が把握できる場合は 当院薬剤部ホームページより説明書を選択し印刷する 3 説明書の

1. ストーマ外来 の問い合わせ窓口 1 ストーマ外来が設定されている ( / ) 上記外来の名称 ストマ外来 対象となるストーマの種類 コロストーマとウロストーマ 4 大腸がん 腎がん 膀胱がん ストーマ管理 ( 腎ろう, 膀胱ろう含む ) ろう孔管理 (PEG 含む ) 尿失禁の管理 ストーマ外

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福島県のがん死亡の年次推移 福島県におけるがん死亡数は 女とも増加傾向にある ( 表 12) 一方 は 女とも減少傾向にあり 全国とほとんど同じ傾向にある 2012 年の全のを全国と比較すると 性では高く 女性では低くなっている 別にみると 性では膵臓 女性では大腸 膵臓 子宮でわずかな増加がみられ

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はじめに この 成人 T 細胞白血病リンパ腫 (ATLL) の治療日記 は を服用される患者さんが 服用状況 体調の変化 検査結果の経過などを記録するための冊子です は 催奇形性があり サリドマイドの同類薬です は 胎児 ( お腹の赤ちゃん ) に障害を起こす可能性があります 生まれてくる赤ちゃんに

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健康な生活を送るために(高校生用)第2章 喫煙、飲酒と健康 その2

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レジメン名抗がん剤 ( 一般名 ) 抗がん剤 ( 商品名 ) 用量用法 1 クール適応 シタラビン (AraC) キロサイド注 75mg/ m2 静脈内注射 day 36, 1013, 17 20, メルカプトプリン (6MP) ロイケリン散 60mg/

この薬を使う前に 確認すべきことは? 患者さんや家族の方はこの薬の効果や注意すべき点などについて十分理解できるまで説明を受けてください 説明に同意した場合に使用が開始されます 次の人は この薬を使用することはできません 過去にイストダックス点滴静注用に含まれる成分で過敏な反応を経験したことがある人

がん化学(放射線)療法レジメン申請書

ポプスカイン0.75% 注シリンジ 75mg /10 院 Popscaine 75mg /10 院 / 筒 丸石 薬価 円 / 筒 効 硬膜外麻酔 用 ( 注 )1 回 150mg ( 本剤として20 院 ) までを硬膜外腔に投与 禁 大量出血やショック状態, 注射部位またはその周辺に

査を実施し 必要に応じ適切な措置を講ずること (2) 本品の警告 効能 効果 性能 用法 用量及び使用方法は以下のとお りであるので 特段の留意をお願いすること なお その他の使用上の注意については 添付文書を参照されたいこと 警告 1 本品投与後に重篤な有害事象の発現が認められていること 及び本品

3 病床数 施設 ~19 床 床 床以上 284 (3 施設で未回答 ) 4 放射線専門医数 ( 診断 治療を含む ) 施設 ~5 人 226 6~10 人 人

種の評価基準により分類示の包括侵襲性指行為の看護師が行う医行為の範囲に関する基本的な考え方 ( たたき台 ) 指示のレベル : 指示の包括性 (1) 実施する医行為の内容 実施時期について多少の判断は伴うが 指示内容と医行為が1 対 1で対応するもの 指示内容 実施時期ともに個別具体的であるもの 例

5. 乳がん 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専門 乳房切除 乳房温存 乳房再建 冷凍凝固摘出術 1 乳腺 内分泌外科 ( 外科 ) 形成外科 2 2 あり あり なし あり なし なし あり なし なし あり なし なし 6. 脳腫瘍 当該疾患の診療を担当している診療科名と 専

院内がん登録における発見経緯 来院経路 発見経緯がん発見のきっかけとなったもの 例 ) ; を受けた ; 職場の健康診断または人間ドックを受けた 他疾患で経過観察中 ; 別の病気で受診中に偶然 がん を発見した ; 解剖により がん が見つかった 来院経路 がん と診断された時に その受診をするきっ

1)表紙14年v0

ダラツムマブってどんな薬? 初発の患者さん ( 初めて治療を受ける患者さん ) の治験募集についてー 米国で承認された ダラツムマブ という新薬について Q&A 形式でご紹介します Q&A の監修は 名古屋市立大学病院血液 腫瘍内科診療部長飯田真介先生です Q1 ダラツムマブという薬が米国で承認され

平成29年度沖縄県がん登録事業報告 背表紙印字

外来在宅化学療法の実際

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094 小細胞肺がんとはどのような肺がんですか んの 1 つです 小細胞肺がんは, 肺がんの約 15% を占めていて, 肺がんの組 織型のなかでは 3 番目に多いものです たばことの関係が強いが 小細胞肺がんは, ほかの組織型と比べて進行が速く転移しやすいため, 手術 可能な時期に発見されることは少

外来がん化学療法看護

CQ1: 急性痛風性関節炎の発作 ( 痛風発作 ) に対して第一番目に使用されるお薬 ( 第一選択薬と言います ) としてコルヒチン ステロイド NSAIDs( 消炎鎮痛剤 ) があります しかし どれが最適かについては明らかではないので 検討することが必要と考えられます そこで 急性痛風性関節炎の

用法・用量DB

Ⅰ. 改訂内容 ( 部変更 ) ペルサンチン 錠 12.5 改 訂 後 改 訂 前 (1) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本剤の作用が増強され, 副作用が発現するおそれがあるので, 併用しないこと ( 過量投与 の項参照) 本剤投与中の患者に本薬の注射剤を追加投与した場合, 本

針刺し切創発生時の対応

7. 脊髄腫瘍 : 専門とするがん : グループ指定により対応しているがん : 診療を実施していないがん 別紙 に入力したが反映されています 治療の実施 ( : 実施可 / : 実施不可 ) / 昨年の ( / ) 集学的治療 標準的治療の提供体制 : : グループ指定により対応 ( 地域がん診療病

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STEP 1 検査値を使いこなすために 臨床検査の基礎知識 検査の目的は大きく 2 つ 基準範囲とは 95% ( 図 1) 図 1 基準範囲の考え方 2

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ヒアルロン酸ナトリウム架橋体製剤 特定使用成績調査

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がん化学(放射線)療法レジメン申請書

添付文書情報 の検索方法 1. 検索条件を設定の上 検索実行 ボタンをクリックすると検索します 検索結果として 右フレームに該当する医療用医薬品の販売名の一覧が 販売名の昇順で表示されます 2. 右のフレームで参照したい販売名をクリックすると 新しいタブで該当する医療用医薬品の添付文書情報が表示され

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

術後AC療法

いつも、大変お世話になっております

症例報告書の記入における注意点 1 必須ではない項目 データ 斜線を引くこと 未取得 / 未測定の項目 2 血圧平均値 小数点以下は切り捨てとする 3 治験薬服薬状況 前回来院 今回来院までの服薬状況を記載する服薬無しの場合は 1 日投与量を 0 錠 とし 0 錠となった日付を特定すること < 演習

<4D F736F F F696E74202D20322D CE899E82AA82F189BB8A7797C C A838B82CC96F08A E303

D961H は AstraZeneca R&D Mӧlndal( スウェーデン ) において開発された オメプラゾールの一方の光学異性体 (S- 体 ) のみを含有するプロトンポンプ阻害剤である ネキシウム (D961H の日本における販売名 ) 錠 20 mg 及び 40 mg は を対象として

10,000 L 30,000 50,000 L 30,000 50,000 L 図 1 白血球増加の主な初期対応 表 1 好中球増加 ( 好中球 >8,000/μL) の疾患 1 CML 2 / G CSF 太字は頻度の高い疾患 32

3. 安全性本治験において治験薬が投与された 48 例中 1 例 (14 件 ) に有害事象が認められた いずれの有害事象も治験薬との関連性は あり と判定されたが いずれも軽度 で処置の必要はなく 追跡検査で回復を確認した また 死亡 その他の重篤な有害事象が認められなか ったことから 安全性に問

TTP 治療ガイド ( 第二版 ) 作成厚生労働科学研究費補助金難治性疾患政策研究事業 血液凝固異常症等に関する研究班 ( 主任研究者村田満 ) 血栓性血小板減少性紫斑病 (thrombotic thrombocytopenic purpura:ttp) は 緊急に治療を必要とする致死的疾患である

...c.L.T...\1-4.S..-..

「手術看護を知り術前・術後の看護につなげる」

密封小線源治療 子宮頸癌 体癌 膣癌 食道癌など 放射線治療科 放射免疫療法 ( ゼヴァリン ) 低悪性度 B 細胞リンパ腫マントル細胞リンパ腫 血液 腫瘍内科 放射線内用療法 ( ストロンチウム -89) 有痛性の転移性骨腫瘍放射線治療科 ( ヨード -131) 甲状腺がん 研究所 滋賀県立総合病

SBOs- 3: がん診断期の患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 4: がん治療期 ; 化学療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 5: がん治療期 ; 放射線療法を受けている患者の心身の特徴について述べることができる SBOs- 6: がん治療期

付表 登録数 : 施設 部位別 総数 1 総数 口腔咽頭 食道 胃 結腸 直腸 ( 大腸 ) 肝臓 胆嚢胆管 膵臓 喉頭 肺 骨軟部 皮膚 乳房

Microsoft PowerPoint - 薬物療法専門薬剤師制度_症例サマリー例_HP掲載用.pptx

PowerPoint プレゼンテーション

5 がん化学療法に附随する消化器症状への対応 下痢, 便秘および 重篤な消化管症状への対応 後藤歩, 小栗千里, 光永幸代, 市川靖史 小林規俊, 前田愼, 遠藤格

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70% の患者は 20 歳未満で 30 歳以上の患者はまれです 症状は 病巣部位の間欠的な痛みや腫れが特徴です 間欠的な痛みの場合や 骨盤などに発症し かなり大きくならないと触れにくい場合は 診断が遅れることがあります 時に発熱を伴うこともあります 胸部に発症するとがん性胸水を伴う胸膜浸潤を合併する

付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 ): 施設 UICC-TNM 分類治療前ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 原発巣切除 ): 施設 UICC-TNM 分類術後病理学的ステージ別付表 食道癌登録数 ( 自施設初回治療 癌腫 UIC

Microsoft Word - JAID_JSC 2014 正誤表_ 原稿

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中医協総 再生医療等製品の医療保険上の取扱いについて 再生医療等製品の保険適用に係る取扱いについては 平成 26 年 11 月 5 日の中医協総会において 以下のとおり了承されたところ < 平成 26 年 11 月 5 日中医協総 -2-1( 抜粋 )> 1. 保険適

第15回日本臨床腫瘍学会 記録集

治療法 下記 FOLFIRI 療法 FOLFIRI + 療法 FOLFIRI + 療法 FOLFIRI + 療法 8~9 入 はじめに大腸癌 化学療法 手術後 再発 予防 補助化学療法 切除不能 進行再発大腸癌 対 全身化学療法 抗 剤治療 多 方法 基本 広 使 FOLFOX( ) 療法 FOLF

プラザキサ服用上の注意 1. プラザキサは 1 日 2 回内服を守る 自分の判断で服用を中止し ないこと 2. 飲み忘れた場合は 同日中に出来るだけ早く1 回量を服用する 次の服用までに 6 時間以上あけること 3. 服用し忘れた場合でも 2 回量を一度に服用しないこと 4. 鼻血 歯肉出血 皮下出

33 NCCN Guidelines Version NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines ) (NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン ) 非ホジキンリンパ腫 2015 年第 2 版 NCCN.or

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肝疾患に関する留意事項 以下は 肝疾患に罹患した労働者に対して治療と職業生活の両立支援を行うにあたって ガイド ラインの内容に加えて 特に留意すべき事項をまとめたものである 1. 肝疾患に関する基礎情報 (1) 肝疾患の発生状況肝臓は 身体に必要な様々な物質をつくり 不要になったり 有害であったりす

開発の経緯 ゲムシタビン点滴静注用 200mg 1g サンド は 後発医薬品として開発を企画し 規格及び試験方法を設定 加速試験を行い 平成 22 年 1 月に製造販売承認を取得した ( 薬食発第 号 ( 平成 17 年 3 月 31 日 ) に基づき承認申請 ) 製品の特徴及び有用

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鑑-H リンゼス錠他 留意事項通知の一部改正等について

1. 医薬品リスク管理計画を策定の上 適切に実施すること 2. 国内での治験症例が極めて限られていることから 製造販売後 一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は 全 症例を対象に使用成績調査を実施することにより 本剤使用患者の背景情報を把握するとともに 本剤の安全性及び有効性に関するデータを

表 1. 罹患数, 罹患割合 (%), 粗罹患率, 年齢調整罹患率および累積罹患率 ; 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く ; 部位別, 性別 B. 上皮内がんを含む 表 2. 年齢階級別罹患数, 罹患割合 (%); 部位別, 性別 A. 上皮内がんを除く B. 上皮内がんを含む 表 3. 年齢

保険薬局の登録 ~ クロザリルは CPMS に登録された保険薬局で調剤され 通院患者に渡されることにな っています CPMS 登録にあたり薬局には下記要件が求められます < 要件 1> 1) インターネットが使えること (ecpms(web site) にアクセス可能であること ) 2) 処方元の医

Transcription:

第 1 回がん化学療法医療チーム養成にかかる研修 確実 安全 安楽な 抗がん剤の投与管理 国立がんセンターがん対策情報センター / 中央病院がん看護専門看護師森文子 2007 年 3 月 19 日 ( 月 )

確実に 安全に 安楽に とは? 確実に 化学療法はがんの治療患者の受療目的に沿うこと 安全に 抗がん剤は細胞毒性薬剤薬剤を安全に取り扱う責任 安楽に 化学療法には有害反応がある苦痛を軽減し 治療完遂を目指す

抗がん剤投与前の看護の流れとチェック項目 治療計画の確認と調整 治療目的と目標効果判定の方法と時期 使用する薬剤のアセスメント それぞれの毒性 安定性 器材の選択に影響する特徴をアセスメントし 投与上の注意点や副作用対策を考える 患者の全身状態の確認 薬剤の減量や中止が考慮される既往歴や状態はないか? 検査データの確認 ( 治療方針決定前 当日 ) 患者の治療に対する理解とその内容の確認 初めての治療の場合 説明内容の配慮が必要治療目的 目標と治療計画の理解の確認投与スケジュール予測される副作用と対応策についての説明 2 クール目以降の患者さんの過去の治療中の副作用と対応 投与中の急性症状に対応するための準備 救急カート血管外漏出時の処置物品急性の悪心 嘔吐に対する対応物品と追加投与薬の指示確認

抗がん剤投与時の看護の流れとチェック項目 医師の指示と搬送された薬 患者の確認 薬剤の準備 薬剤のアセスメントに基づく注意事項を確認する 静脈投与ラインの確保 ( 血管確保 ) 血管外漏出のリスク因子を十分に考慮し 血管を選択する 静脈投与ラインの開通性の確認 必ず血液の逆流と自然滴下を確認する自然滴下確認時に 痛みや圧迫感を感じないか確認する いよいよ投与! 必要な前投薬は投与されたか 指示された投与速度の遵守ビシカント薬の場合の注意事項の確認調製から投与終了までの時間にも注意する 輸液ラインを清潔に管理する 抗がん剤に特有の急性反応をモニタリング 過敏症 / アナフィラキシー 血管外漏出インフュージョン リアクション 急性の悪心 嘔吐 急性反応への適切な対処について患者に説明する

抗がん剤投与後の看護の流れとチェック項目 生理食塩液でライン内の薬液をすべてフラッシュ 器具の抜去と止血 または長期留置静脈ラインのフラッシュ 保護 ( ケア ) ヘパリンロックの場合は陽圧フラッシュする抜針後は用手圧迫し しっかりと止血を確認する 抗がん剤投与に伴うすべての廃棄物を手順どおりに廃棄する 行った薬剤投与 教育 患者の反応の記録 有害反応の出現は? 具体的な症状は? どのように対応したか? 効果的な方法は? 患者に行った教育内容と反応は? 治療後に注意すべきことについて患者 家族と話し合う 遅発性の副作用対策について外来治療継続の場合の注意点について血管穿刺部位の観察 ( 数日間は注意すること )

確実 安全 安楽な抗がん剤の投与管理の実際 投与前 治療計画の確認と調整 使用する薬剤のアセスメント 薬剤の毒性に関する特徴 薬剤の安定性に関する特徴 器材の選択に影響する特徴 患者の全身状態の確認 患者の治療に対する理解と内容の確認 投与中の急性症状に対応するための準備

治療計画を理解する 目的 目標の把握 治療法によって異なるスケジュールの理解 複数の薬剤を併用 数ヶ月にわたり治療が行われることが多い 通常数クール連続で行われる CT X-P 等で治療効果の評価を行う レジメンの理解 抗がん剤 輸液 併用薬などの投与に関する時系列的な治療計画の確認 投与日の確認 :day1,day8,day15 投薬量の確認 : /m 2 ( 体表面積 ) /body

化学療法の目的 目標はどこか A 群 : 治癒を期待できる急性骨髄性白血病 急性リンパ性白血病 ホジキン病 非ホジキンリンパ腫 ( 中 高悪性度 ) 胚細胞腫瘍 絨毛がん ( 奏効率 80% % 以上 ) C 群 : 症状緩和が期待できる軟部組織腫瘍 頭頚部がん 食道がん 子宮がん 非小細胞肺がん 胃がん 大腸がん 膀胱がん 膵がん? ( 奏効率 30~60 60%) B 群 : 延命が期待できる乳がん 卵巣がん 小細胞肺がん 多発性骨髄腫 非ホジキンリンパ腫 ( 低悪性度 ) 慢性骨髄性白血病 骨肉腫 前立腺がん ( 奏効率 60~80 80%) D 群 : 効果の期待が少ない悪性黒色腫 肝がん 脳腫瘍 腎がん 甲状腺がん ( 奏効率 30% % 以下 )

使用する薬剤のアセスメント 薬剤の毒性に関する特徴 用量規制毒性 (Dose Limiting Toxicity:DLT) 最大耐用量 (Maximum Toleranted Dose:MTD) 出現しうる有害反応の頻度 対応 併用禁忌薬剤 注意を要する薬剤 体内動態 代謝 排泄経路 薬剤の安定性に関する特徴 保管 保存方法 光 温度 ph 濃度 溶解後経過時間 配合変化 器材の選択に影響する特徴 フィルター通過性 使用器材への薬剤の吸着 収着および有害物質の溶出 輸液ポンプやシリンジポンプの必要性

薬剤の情報源 添付文書 薬事法で規定された文書 : 用法 用量 使用上の注意 取り扱い上の注意など 20 項目 ) インタビューフォーム 日本病院薬剤師会の様式 添付文書の補完 定められた質問事項 様式に答えられている ) 医薬品 医療機器等安全情報 製薬会社共同で情報提供 厚生労働省 HP で参照 緊急安全情報 厚生労働省 製薬会社から緊急的に医師に知らせられる 日本医薬品集

薬剤情報の活用 : どこをみるか? 一番表の薬剤名周囲の情報は 特性 用法 取り扱い上の注意事項などの基本的事項がある 警告 併用禁忌 慎重投与に関する情報 取り扱いの注意 貯法 適応上の注意 副作用 禁忌 : 用量規制因子 用法 用量 : 何を基準に投与量を決めるか 使用器具について : 特殊な器具が必要か 過敏症状 使用中の注意 薬物動態 : 排泄経路により 腎機能や肝機能を考慮

併用禁忌薬剤の例 テガフール ギメラシル オテラシルカリウム配合剤 ( ティーエスワン TS-1 ) 併用禁忌薬剤 フッ化ピリミジン系抗がん剤 フッ化ピリミジン系抗真菌薬他の抗がん剤から変更する時の注意 他のフッ化ピリミジン系抗がん剤からTS-1 に変更する際 7 日間の休薬期間をあける

投与順序に注意が必要な抗がん剤 抗がん剤併用薬剤注意点 パクリタキセル ( タキソール ) シスプラチン ( ブリプラチン ランダ ) パクリタキセル シスプラチンの順で投与シスプラチンを先に投与すると パクリタキセルの排泄遅延が生じ有害事象が増強される ビンクリスチン ( オンコビン ) L- アスパラキナーゼ ( ロイナーゼ ) ビンクリスチン L-アスパラキナーゼの順で投与神経毒性の増強があるため 上記の順序での投与が推奨

投与時間に注意が必要な抗がん剤 抗がん剤投与時間注意事項 ゲムシタビン ( ジェムザール ) (GEM) 30 分点滴静注 60 分を超えて投与することで 骨髄抑制が増強されることがある シタラビン ( キロサイド ) (Ara-C) ( 注 : 大量療法時 ) 3 時間点滴静注 3 時間を越えて投与することで骨髄抑制が増強される 3 時間より短時間で投与されることで 中枢神経毒性が増強されることがある

調製後の薬剤の安定性 注射剤調整後の配合変化 安定性の問題から 溶解液や溶解液量に注意すべきものも多く また調整後できるだけ速やかに投与すべきものがある シクロホスファミド ( エンドキサン ) アムルビシン ( カルセド ) L- アスパラキナーゼ ( ロイナーゼ ) エトポシド ( ベプシド ) 溶解後室温で 3 時間安定 調製後できるだけ速やかに投与する 溶解後室温で 3 時間安定 調製後できるだけ速やかに投与する 生理食塩液で溶解すると塩析のため白濁する溶解後速やかに使用すること 100mgあたり250ml 以上の輸液に溶解して投与する ( 高濃度の希釈液は経時的に結晶が析出する ) 100mg/250ml 希釈液は24 時間安定 時間依存性に析出しやすいため注意が必要

器材選択に関する特徴 フィルター透過性 パクリタキセルの希釈液は過飽和状態にあるため パクリタキセルが結晶として析出する可能性あり 指定された 0.22 ミクロン以下のメンブランフィルターを用いたインラインフィルターを使用して投与する

使用器材に関連する問題 1 吸着 2 収着 3 溶出 投与薬剤がチューブ表面に吸着することによって 有効成分の損失が起こる チューブ表面やチューブ材質内部 ( 可塑剤 ) へ薬剤が吸収されること このために薬剤の有効成分の損失が起こる がん化学療法で特に問題とされるもの パクリタキセルに含まれるポリオキシエチレンヒマシ油などの可溶化剤が含まれる注射薬を点滴静脈注射した場合 チューブの成分の一部である DEHP が点滴液中に溶出し 体内に入る 溶出量は可溶化剤の含有量と 輸液セットが可溶化剤にさらされている時間によって異なる 可溶化剤の量が多く 投与時間が長いほど DEHP の溶出量は多い 1 2 によって体内に入る薬剤量が意図した投与量より少なくなる 3 は DEHP が輸液中に溶出し体内に入る

薬の吸着 収着 薬の吸着 収着 ( 物理学的配合変化 ) 投与薬剤がチューブ表面に付く 有効成分の損失吸着 薬剤有効成分 体内に入る薬剤量が意図した薬剤投与量より減少 輸液チューブ チューブ表面及びチューブ材質内部 ( 可塑剤 ) へ薬剤が吸収 有効成分の損失収着

可塑剤の溶出 可塑剤とは 環境ホルモンと言われている PVC の柔軟性を保持するために DEHP を添加 ( DEHP : フタル酸ジー 2 エチルヘキシル ) DEHP が点滴中に溶解し 体内に入る ポリオキシエチレンヒマシ油ポリソルベート 80 などの可溶化剤を用いた薬

DEHP: フタル酸ジ -2- エチルヘキシル PVC ( ポリ塩化ビニル ) の可塑剤 PVC 製の医療用具使用により 注射薬剤の吸着や収着 輸液セットからの DEHP の溶出の問題が注目されている (DEHP フリーの器材もある ) DEHP は環境ホルモンとしての疑いがあり 動物実験では肝機能障害 発がん性 催奇形性を示す報告がある 人体への影響も考えられる 点滴静脈注射用輸液セットのほとんどは PVC 製品 ポリオキシチレンヒマシ油やポリソルベート 80 などの可溶化剤を含む薬剤には PVC フリーもしくは DEHP 対策 PVC の輸液セットを用いる

ポリ塩化ビニル製輸液セットが 使用不可の抗がん剤 一般名商品名可溶化剤 パクリタキセル (PTX) エトポシド (VP-16) エノシタビン (BHAC) タキソールベプシドラステットサンラビン ポリオキシエチレンヒマシ油 ポリソルベート 80 ポリオキシエチレンヒマシ油

患者の全身状態の確認 過去の治療歴 初回治療の場合と治療経験がある場合の違い 今回の治療において生じたことやそれに対する対応は今後の治療において重要な情報となる 点滴に関する知識や過去の経験がどの程度あるか 現在の全身状態のアセスメント バイタルサイン PS( パフォーマンス ステータス ) 検査データ 現在出現している症状

患者の治療に対する理解と内容の確認 治療に対する理解 病気や治療に対する思い 治療の目的 目標 方法の理解 説明されている内容と指示内容 治療に関する承諾書 / 同意書 セルフケアについて 必要な知識 技術の習得を支援する 患者 家族のセルフケア能力と支援の必要度

急性症状として考えられるもの 過敏症 / アナフィラキシー インフュージョン リアクション 抗がん剤の血管外漏出 急性の悪心 嘔吐 腫瘍崩壊症候群

確実 安全 安楽な抗がん剤の投与管理の実際 投与時 医師の指示と搬送された薬 患者の確認 薬剤の準備 静脈投与ラインの確保 ( 血管確保 ) 静脈投与ラインの開通性の確認 安全な投与の実施 投与速度 順序 薬剤の安定性 配合変化 輸液ラインの清潔な管理 急性症状のモニタリングと患者教育

投与時 医師の指示と搬送された薬 患者の確認 ダブルチェックが望ましい 5Rの確認 Right drug 正しい薬剤 Right dose 正しい投与量 Right route 正しい方法 ( 経路 ) Right time 正しい時間 Right patient 正しい患者

投与時 : 静脈ラインの管理 CDC のガイドラインに基づいた対応 閉鎖式回路を用いて 三方活栓は最低限に 清潔操作で 血管確保部位の変更頻度 適切な防護用具を用いる 目の高さよりも低い位置で作業する 薬剤間のフラッシュ 安定性が確認されていないので 必ず行う

血管外漏出予防 : 静脈投与ラインの確保 適切な血管確保部位のアセスメント 適切な部位 避けた方がよい部位 血管確保が困難な場合 血管外漏出のアセスメント 危険因子を考慮した血管確保部位選択 ラインの確実な固定 ( 体動を妨げない )

血管外漏出予防 : 血管確保部位の選択 避けた方がよい部位 30 分以内に穿刺している血管 利き手側 肘関節窩 腋下リンパ節廓清や放射線照射を行っている患肢側 蛇行している血管 神経や動脈に隣接している部位 骨突出部位や関節付近 下肢静脈 出血斑や硬化組織のある部位

血管外漏出のリスク因子 高齢者 ( 血管の弾力性や血流量の低下 ) 栄養不良患者 糖尿病や皮膚結合織疾患等に罹患している患者 肥満者 ( 血管をみつけにくい ) 血管が細くてもろい患者 化学療法を繰り返している患者 多剤併用化学療法中の患者 循環障害のある四肢の血管 輸液等ですでに使用中の血管ルートの再利用

血管外漏出のリスク因子 抗がん剤の反復投与に使われている血管 腫瘍浸潤部位の血管 放射線治療を受けた部位の血管 ごく最近施行した皮内反応部位の下流の血管 同一血管に対する穿刺のやり直し例 24 時間以内に注射した部位より遠位側 創傷瘢痕がある部位の血管 関節運動の影響を受けやすい部位や血流量の少ない血管への穿刺例

血管外漏出予防 : 静脈投与ラインの開通性の確認と投与 投与開始前の開通性の確認 血液の逆流の有無 自然滴下の状態 ビシカント薬投与中の注意 輸液ポンプは使用しない 血液の逆流を確認しながら投与 血管確保部位周辺の状態を確認する 患者にも自覚症状がないか確認する

血管外漏出予防 : 投与後ラインの十分なフラッシュ 抜針時に残った抗がん剤が皮下漏出することを防ぐ 薬剤を最後まで確実に投与することにもなる 輸液ポンプ対応の輸液セットでは 15 20ml の薬液がルート内に残る 20 50ml の生理食塩液などでライン内を洗浄する

急性反応出現時 : 血管外漏出 針が抜けてる? 抗がん剤が漏れてる? ビシカント薬 1. すぐに針を抜かずに血液と薬液を吸引 2. ステロイド剤 (+ 鎮痛剤 ) 局注 3. 抜針 4. ステロイド軟膏塗布 5. 生理食塩液もしくは 点滴をすぐに止める 抗がん剤の種類は??? イリタント薬漏れた量は? 大量 記録 少量 ノンビシカント薬 0.1% リバノール湿布皮膚科 形成外科医へ相談 経過観察対症療法 : 消炎 鎮痛注射部位の変更

急性反応出現時 : インフュージョン リアクション 主な症状 頭痛咳 悪心発疹 悪寒 ( 戦慄 ) 掻痒感血管浮腫 ( 舌や咽頭の腫れ ) 発熱疼痛虚脱感血圧低下呼吸困難

急性反応出現時 : インフュージョン リアクション 注入速度を下げる または 投与を中止する 症状が消失しない 悪化するときは 抗ヒスタミン薬やステロイド薬 解熱鎮痛薬を投与する 重度の場合 症状に応じた対症療法 ルートも新しいものに変更するか 最も患者に近いハブから薬液を吸引した後に使用していたラインを用いる 症状が消失したら 25ml/h 以下の注入速度で慎重に投与を再開する

急性症状対応の準備 : 腫瘍崩壊症候群 腫瘍崩壊症候群とは 抗がん剤の投与により腫瘍が大量に崩壊し 腫瘍細胞から放出されたカリウム リン酸 尿酸などが血中に流入する その結果 電解質異常を生じ 重症の場合 急性腎不全に至る 血液中の腫瘍細胞の多い患者では 初回投与後 12 24 時間以内に高頻度 電解質 腎機能検査のチェック 高尿酸血症治療薬の投与 尿のアルカリ化 補液 ( 尿量確保のため ) 透析が必要になる場合もある

確実 安全 安楽な抗がん剤の投与管理の実際 投与後 ライン内の薬液のフラッシュ 器具の抜去と止血 長期留置ラインの管理 廃棄物の処理 治療後の注意事項について 患者 家族と話し合う 記録

欧米で推奨されている排泄物の取り扱い 抗がん剤投与後 48 時間以内は排泄物 ( 尿 便 吐物 汗 唾液など ) に注意が必要 患者が使用したリネンや衣類は他のものと分けて2 回洗濯する 男性の排尿時 便座に座って行う ( 周囲を汚染することを防止できる ) 排泄後はトイレを2 回流す 不必要な蓄尿はしない

確実 安全 安楽な 抗がん剤の投与管理の実際 R-CHOP 療法の場合

事例 45 歳 女性 診断 : びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫 (Diffuse large B-cell lymphoma : DLBCL) 初発 CD20 陽性 特に既往歴なし PS(Performance Status): 0 身長 :156cm 体重 :52kg

治療目的 : 治癒を期待する A 群 : 治癒を期待できる急性骨髄性白血病 急性リンパ 性白血病 ホジキン病 非ホジキンリンパ腫 ( 中 高悪性度 ) 胚細胞腫瘍 絨毛がん B 群 : 延命が期待できる乳がん 卵巣がん 小細胞肺がん 多発性骨髄腫 非ホジキンリンパ腫 ( 低悪性度 ) 慢性骨髄性白血病 骨肉腫 前立腺がん C 群 : 症状緩和が期待できる軟部組織腫瘍 頭頚部がん 食道がん 子宮がん 非小細胞肺がん 胃がん 大腸がん 膀胱がん D 群 : 効果の期待が少ない悪性黒色腫 膵がん (?) 肝がん 脳腫瘍 腎がん 甲状腺がん

R-CHOP 療法 ( 以下を 21 日毎に 6 8 回繰り返す ) R C H O P 薬剤名 : 商品名 ( 一般名 ) リツキサン ( リツキシマブ ) エンドキサン ( シクロホスファミド ) アドリアシン ( ドキソルビシン ) オンコビン ( ビンクリスチン ) プレドニゾロン ( プレドニゾロン ) 1 日投与量 (/m 2 ) 投与経路 投与日 375mg 点滴静注 day1 750mg 点滴静注 day3 50mg 点滴静注 day3 1.4mg ボーラス day3 100mg (/body) 内服 Day3-7

治療計画の例 R-CHOP 療法を 6 コース行う CHOP 療法でも効果があるとされていたが CD20 抗原陽性の B 細胞型リンパ腫で リツキシマブを追加したレジメンの方が治療効果が高いことが証明され DLBCL の標準的治療となっている 1 コース目は入院で行い 問題がなければ 2 コース目以降は外来通院で行う PET CT X-P などの画像で治療効果の評価を行う 薬剤の毒性判定は CTCAE ver.3 を用いる

画像評価などで効果判定1 コース目リツキサン投与Day1 CHOP Day3 Day21 投与治療後 7 日目ごろから骨髄抑制 脱毛などが出現しびれ 便秘にも注意 血管外漏出急性の悪心 嘔吐に注意 インフュージョン リアクション腫瘍崩壊症候群に注意 感染症による発熱 出血 貧血症状の苦痛があれば受診 Day1 R-CHOP 投与Day21 1 コース目と同様の副作用対策を行う 効果判定内容に応じて治療を追加 2 コース目以降 入院して治療退院外来通院で治療

バイタルサイン 自覚症状観察投与 30 内服解分前抗熱ヒ鎮ス痛タ薬ミン薬Day1 投与開始 25ml/h リツキサン投与開始リツキサン 確保 1 時間後 100ml/hへ 200ml/h へインフュージョハイリスクの時間帯ン リアクション2 時間後 与終了抜針 or ヘパロック投Day2 Day3 インフュージョン リアクションと腫瘍崩壊症候群に注意血管 プレドニゾロンの内服 (day7 まで ) 血管確保カイトリル投与オドンリコビアンシのンボ投ー与ラス投自然滴下でエ与血液の逆流を確認しながら実施アンドキサン投与投与終了抜針 急性の悪心 嘔吐血管外漏出の観察 対応

R-CHOP 療法 day1 * 体表面積 :1.5m: 2 ( 身長 156cm 体重 52kg の場合 ) * 静脈ラインは末梢からサーフローで確保 薬剤名投与量投与経路投与時間 1 カロナール (200mg) 2 錠内服 2 ポララミン (5mg) 1 錠内服 リツキサン投与 30 分前 3 リツキサン 生理食塩液 560mg 504ml 点滴静注 注入速度指示あり 4 生理食塩液 50ml 点滴静注ルート流し

R-CHOP 療法 day3 以降 薬剤名投与量投与経路投与時間 1 カイトリル生理食塩液 3mg/3ml 50ml 点滴静注 30 分 (2 回 / 日 ) 2 オンコビン生理食塩液 2mg 20ml ボーラス 3 アドリアシン生理食塩液 75mg 100ml 点滴静注 30 分 4 エンドキサン生理食塩液 1125mg 250ml 点滴静注 1.25 時間 プレドニゾロン 100mg 内服 ( 分 2) day3-7 の 朝昼

大まかな見通しを立ててみると 治療目的は 治癒を目指すこと 治療期間は概ね 18 週間 (4.5 か月 ) 必要 画像評価を行って 治療が追加される可能性もある 有害反応に十分注意して行うことで 日常生活を維持し 外来で治療を続けることができる ( セルフケアは大切 ) 家族 職場 学校などの理解を得て 社会的役割も果たしながら治療を完遂し 治癒を目指す

使用する薬剤のアセスメント 薬剤の毒性に関する特徴 用量規制毒性 (Dose Limiting Toxicity:DLT) 最大耐用量 (Maximum Toleranted Dose:MTD) 出現しうる有害反応の頻度 対応 併用禁忌薬剤 注意を要する薬剤 体内動態 代謝 排泄経路 薬剤の安定性に関する特徴 保管 保存方法 光 温度 ph 濃度 溶解後経過時間 配合変化 器材の選択に影響する特徴 フィルター通過性 使用器材への薬剤の吸着 収着および有害物質の溶出 輸液ポンプやシリンジポンプの必要性

使用する薬剤のアセスメントリツキサン 警告 インフュージョン リアクション 腫瘍量が多い ( 血液中 25,000/μL 以上 ) 脾腫を伴う 心機能 肺機能障害を有する 腫瘍崩壊症候群 用法 用量に関連する注意事項 調剤 :10 倍希釈とする ( 最終濃度 1mg/ml) 前投薬 :30 分前に抗ヒスタミン薬と解熱鎮痛剤 投与速度 : 注入速度に関連して血圧低下 気管支痙攣 血管浮腫等の症状が出現する 注入速度を守る

使用する薬剤のアセスメントエンドキサン アドリアシン 注意を要する副作用 DLT: 骨髄抑制 悪心 嘔吐 心筋障害 出血性膀胱炎 溶解後 3 時間以内に投与 遮光や PVC フリールートは不要 排泄経路にも注意! 唾液中にも含まれるので 嘔吐物の処理時は要注意 注意を要する副作用 DLT: 骨髄抑制 悪心 嘔吐 心筋障害 ( 総投与量に注意 : 最大 500mg/m 2 ) 脱毛 ビシカント薬! 血管外漏出対策が重要 輸液ポンプは用いない 遮光 PVC フリールートは不要

使用する薬剤のアセスメントオンコビン プレドニゾロン 注意を要する副作用 DLT: 末梢神経障害 しびれ 便秘対策必要 ビシカント薬! 血管外漏出対策が重要 ボーラス投与中のラインの開通性 挿入部の観察 遮光 PVCフリールートは不要 1 回最大投与量は2mg! 内服投与となる 患者教育と内服確認 悪心 嘔吐に対する対応策にもなる 不眠対策が必要になる場合がある

急性症状として考えられるもの インフュージョン リアクション 腫瘍崩壊症候群 抗がん剤の血管外漏出 急性の悪心 嘔吐

抗がん剤投与後遅れて出現するもの 骨髄抑制 白血球減少 血小板減少 貧血 脱毛 末梢神経障害 便秘 しびれ

治療前の患者教育 インフュージョン リアクション 血管外漏出 急性の悪心 嘔吐

治療後の患者教育 有害反応対策 骨髄抑制 脱毛 末梢神経障害 便秘 しびれ 外来通院治療継続のための指導 リツキサン 投与前の前投薬内服の注意 インフュージョン リアクションへの対応

治療前の患者教育 インフュージョン リアクション 初期症状 ( 寒気 悪心 嘔吐 頭痛 咽頭不快感 咳 発疹など ) について伝え 起こったときは報告してもらう 症状に対して 対応する準備があること 前投薬を確実に実施すること 特に 外来治療に移行してからは 自分で内服管理する必要がある 初回治療の場合 不安の緩和も大切

治療前の患者教育 血管外漏出 使用薬剤の危険性 血管や注射部位の状態について 注意すべき症状 ( 局所の発赤 腫脹 疼痛 灼熱感 圧迫感 しびれ ) を伝え 起こったらすぐに報告してもらう ルートの取り扱いと注射部位の安静 数日間局所を観察すること

治療前の患者教育 急性の悪心 嘔吐 悪心 嘔吐の出現の可能性 時期 対処方法について 適切に制吐剤を用いて対応できること 食事内容の配慮 ( 量を控えめにする 消化のよいもの 消化管の停滞時間が長いものは控える ) リラクセーション方法