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多核 NMR の応用 ~ 19 F NMRを用いた定量分析 ~ 第 1 回定量 NMRクラブ (2012/12/4) 産業技術総合研究所計測標準研究部門有機分析科バイオディカル標準研究室山﨑太一 1

定量 19 FNMR 法の開発目的 フッ素化合物は生化学におけるスクリーニングや材料科学におけるポリマー分析等幅広く用いられている 分子構造解析や酵素活性等の速度論解析に使用 19 FNMR を用いた高精度な定量法開発は重要! 1 H NMRと同等の検出感度 目的以外の成分にフッ素が含まれないことが多く スペクトル上で他の成分の影響を受けにくい 2

発表内容 1. 19 F NMR の特性 2. 定量分析法の検討 3. 標準物質を用いた分析法の評価 4. 解析法の最適化 5. まとめ 3

使用装置 測定装置 :Varian Inc. 製 VNS 600A 磁石 :14.1 T 1 H 共鳴周波数 :600 MHz 検出器 ( プローブ ):Dual broadband probe 測定核種 : 1 H- 19 F/ 15 N- 31 P 温度可変 :-5~80 4

1 H NMR と 19 F NMRの比較 1 H 19 F 共鳴周波数 600 MHz 564.48 MHz 核スピン 1/2 1/2 天然存在比 99.98 % 100.00 % 測定範囲 20 ppm 以下 200 ppm 以上 19 F NMR に 1 H NMR と類似かつ感度も良好 定量 NMR として有効 19 F を用いるメリット 天然存在比 100 % で同位体の影響がない 溶媒の影響を受けにくい 測定範囲が広いため シグナル分離が良好 多成分の一斉分析の可能性 5

オフレゾナンス効果とは? 励起中心から遠い位置のシグナルほどシグナル強度が減衰する ~ オフレゾナンス効果 ~ パルスは励起中心周波数付近ではほとんど励起できるが 励起中心から遠い位置 ( オフレゾナンス ) では 100 % 励起されない オフレゾナンス効果は NMR 活性な全ての核種で確認できるが 19 F NMR のように測定範囲が広い核種では影響が顕著に現れる 6

測定 解析条件 測定条件 測定核 : 19 F 測定温度 :25 測定スペクトル幅 :131578.9 Hz (233.1 ppm) 取り込み時間 :1 s 遅延時間 :60 s パルス幅 :14.4 s パルス角度 :90 積算回数 :32 7

測定対象 19 FNMR 測定における分子内積分比を比較し 測定法の確立を目指す測定法の確立を目指す 物質名 : ペルフルオロオクタンスルホン酸カリウム (PFOS-K) 分子式 :C 8 F 17 SO 3 K 分子量 : 538.214 構造式 : F F F F F F F F F F F F F F F F F 試料は NMIJ CRM 4220-a の原料 ( 高純度品 ) に用いられたものを使用 分子内に類似した複数の F を有するため 19 F NMR 測定のシグナル分離や積分比比較に適している O S O OK 2010 度から特化物の対象に指定 8

19 FNMR スペクトル (PFOS-K) 1 F 1 5 3 F F F F F F FF F F 6 4 F F F F F F 2 O S OK O シグナル 4 には 3 つのシグナルが重なっている 2 3 4 6 5 ( 40 ppm 超 9

オフレゾナンス効果 (PFOS-K) 120.00 F 数で規格化 00(%) (A/Am max)/f 数 1 100.0 80.00 60.0 40.00 20.0 00 0.0 0-50 -100-150 測定中心周波数 / ppm シグナルが測定中心周波数に近いときに対象シグナルの極大を持つ -200 シグナルごとに最大値を与える測定条件が異なる 10

19 FNMR スペクトル (PFOS-K) 120.0 120.0 (A/Am max)/f 数 100(%) 100.00 80.0 60.0 40.00 20.0 (A/Am max)/f 数 100(%) 100.00 80.0 60.0 40.00 20.0 0.0 0 0.0-50 -100-150 -200 0-50 -100-150 測定中心周波数 /pp ppm 測定中心周波数 / ppm -200 1 1 2 (2 3 4 6 4 5 34 6 5 ( 測定中心 測定中心 11

シグナル強度と再現性へのオフレゾナンス効果の影響 測定中心 40 ppm 面積値 /F 数 90 o シグナル No. 平均値 RSD / % 1 15054 0.11 2 14603 0.01 3 14186 0.12 シグナル1とシグナル6の比較約 10 % の差 4 14012 0.16 5 13820 0.10 6 13557 014 0.14 結果パルス角 90 の場合は面積値再現性分子内シグナル間差面積強度 再現性は十分だが 分子内シグナル間差があるため 90 1 <0.2 % <10 % 定量には工夫が必要 12

発表内容 1. 19 F NMR の特性 2. 定量分析法の検討 3. 標準物質を用いた分析法の評価 4. 解析法の最適化 5. まとめ 13

定量法案 シグナル A シグナル B 測定中心周波数 (2 つのシグナルの中心 ) // // シグナル A の信号強度とシグナル B の信号強度を比較 中心周波数の設定に問題が無いことが条件となる 14

測定結果 PFOS-K 比較シグナル 90 o 30 o A B シグナル A シグナル B (A-B)/A 100 シグナル A シグナル B (A-B)/A 100 の面積値 の面積値 (%) の面積値 の面積値 (%) 1 2 18251 18093 0.86 6826 6922 1.40 1 3 18147 17986 088 0.88 6811 6845 050 0.50 1 5 18126 18160 0.19 6816 6779 0.55 1 6 18064 18039 0.14 6761 6725 0.53 2 6 18230 18081 0.81 6680 6775 1.42 シグナル間の面積強度比を比較 90 : 約 1 % 30 : 約 2 % 程度で測定することが出来た 15

結果 測定条件を適切に設定することでオフレゾナンス効果を低減することができた 90 パルス照射のほうが30 パルスと比較するとより再現性が高い結果が得られた S/Nの影響と考えられ 高精度かつ短い測定時間で分析するためには90 パルスのほうが有効と考えられる 16

発表内容 1. 19 F NMR の特性 2. 定量分析法の検討 3. 標準物質を用いた分析法評価 4. 解析法の最適化 5. まとめ 17

分子間純度測定 ( 内標準法 ) 19 F NMR の特性を考慮し 提案した定量法を分子間測定へと応用し 測定法の有効性を検証 ~ 検討方法 ~ 標準物質間で比較 ( 一方を基準物質 他方を測定対象 ) することで 定量法の妥当性評価を行った 観測されるケミカルシフトの近い物質 遠い物質でそれぞれ検討し 幅広い環境に適応できる定量法 解析法を検討 18

基準物質 物質名 : クロルフェナピル CAS No. :122453-73-0 純度 :0.996 ± 0.005 g/g gg( (k = 2) Cl N O CF 3 N Br 19 FNMR スペクトル ( アセトン溶媒 ) = -57.2 ppm 19

測定対象 1 F 3 C O 物質名 : フルスルファミド CAS No. :106917-52-6 純度 :0.995 ± 0.006006 g/g (k = 2) Cl S HN O Cl 19 FNMR スペクトル ( アセトン溶媒 ) NO 2 = -63.7 ppm 20

19 FNMR スペクトル クロルフェナピル = -57.2 ppm) フルスルファミド = -63.7 ppm) 21

定量結果 1.006 1.004 中心値で約 0.4 % 程度の差 1.002 純度 (mg/mg) 1 0.998 0.996 0.994 TRM 90 30 0.992 099 0.99 0.988 標準物質の純度範囲 (k = 2) 標準物質の不確かさの範囲内で定量値が一致 22

測定対象 2 物質名 : ジフルベンズロン CAS No. :35367-38-5 純度 :0.998 ± 0.008 g/g gg( (k = 2) F F N O N O Cl 19 FNMR スペクトル ( アセトン溶媒 ) = -114.2 ppm 23

19 FNMR スペクトル クロルフェナピル = -57.2 ppm) 面積値は同程度だが シグナルの形状が異なるために S/Nに大きな差がある ジフルベンズロン = -114.2 ppm) 24

1.01 1.005 1 0.995 0.99 0.985 098 0.98 0.975 定量結果 中心値で約 2 % 程度の差 TRM 90 30 標準物質の純度範囲 (k = 2) 標準物質の認証純度と比較して大きな差が確認 S/N ベースライン ( 補正 ) 半値幅 積分区間などいくつかの要因が懸念 25

発表内容 1. 19 F NMR の特性 2. 定量分析法の検討 3. 標準物質を用いた分析法の評価 4. 解析法の最適化 5. まとめ 26

解析法の最適化 19 F NMRでは 1 H NMRと比較して半値幅の大きなシグナルが観測されることがある 19 FNMR では測定のスペクトル幅は広く 広い積分範囲ではベースラインの影響を受ける 1 H NMRにおける定量分析は十分広い積分範囲を設定し 精確に定量できるが 19 F NMRではシグナルごとの最適化が必要 固定範囲ではなく半値幅を基準? 27

測定対象物質 Cl N O CF 3 Br Cl F 3 C O S O F HN Cl N O F N O Cl N NO 2 クロルフェナピル (IS) フルスルファミドジフルベンズロン IS :Chlorfenapyl (0.996 kg/kg±0.005 kg/kg, 半値幅 :2 Hz) Analyte A:Flusulfamide (0.995kg/kg±0.006 kg/kg, 半値幅 : 2 Hz) Analyte B:Diflubenzurone (0.998 kg/kg±0.008 kg/kg, 半値幅 : 27 Hz) 28

フルスルファミド クロルフェナピル ( )/ フルスルファミド ( ) 1 1 Norm malized area 098 0.98 0.96 0.94 0.92 Norm malized area 098 0.98 0.96 0.94 0.92 0.9 0 100 200 300 400 500 600 Integral range (Hz) 0.9 0 10 20 30 40 50 60 Integral range ( FWHM (Hz)) 積分範囲の拡大とともに規格化面積値も増加 内標準と測定試料の面積変動が同等! 測定結果 ( 純度値 ) は変わらない 29

ジフルベンズロン クロルフェナピル )/ ジフルベンズロン ( ) 1 1 Norm malized area 098 0.98 0.96 0.94 0.92 Norm malized area 098 0.98 0.96 0.94 0.92 0.9 0 100 200 300 400 500 600 Integral range (Hz) 0.9 0 10 20 30 40 50 60 Integral range ( FWHM (Hz)) 積分範囲の拡大とともに規格化面積値も増加 内標準と測定試料の面積変動が異なる! 測定結果 ( 純度値 ) に影響 30

最適化後の定量結果 flusulfamide diflubenzurone integral range purity SD purity SD reference value 0.995 0.006 0.998 0.008 100 Hz 0.995 0.002 0.897 0.002 200 Hz 0.996 0.002 0.944 0.004 300 Hz 0.996 0.000 0.956 0.006 400 Hz 0.992 0.005 0.966 0.003 500 Hz 0.995 0.007 0.981 0.011 10 times to FWHM 0.988 0.001 0.986 0.001 20 times to FWHM 0.995 0.000 0.987 0.001001 30 times to FWHM 0.994 0.002 0.996 0.005 40 times to FWHM 0.994 0.002 1.000 0.008 50 times to FWHM 0.992 0.006006 1.008 0.007007 半値幅に差がない場合 積分方法の影響は小さい半値幅に差がある場合 積分方法の影響は大きい 半値幅の 30~40 倍で積分すると妥当な値が得られた 31

まとめ 19 F NMRでは測定周波数範囲が広く オフレゾナンス効果の影響を大きく受けるために影響を低減可能な測定法が必要 1 H NMRと比較してブロードなシグナルもあり 半値幅に対応した解析方法が有効 測定法及び解析法を最適化することで 0.5 % 程度の精度で測定が可能 32

今後の課題 ふっ素含有の様々な化合物の定量を試み 本法の妥当性を検証する 19 FNMR 用の内標準物質の開発 溶液中の成分定量への応用の応用 オフレゾナンス効果を低減させる工夫 33

ご静聴ありがとうございました 34