第 5 学年 1 組 道徳学習指導案 平成 28 年 2 月 23 日 ( 火 ) 第 5 校時 在籍児童数 計 36 名 場 所 5 年 1 組教室 3 階学習センター 指 導 者 教 諭 木元 智子 (T1) 主幹教諭 川島 実 (T2) 1 主題名相手の立場も考えて 相互理解, 寛容 2 教材名 すれちがい ( 出展 : 学研みんなのどうとく ) 3 主題設定の理由 (1) ねらいとする道徳的価値について本主題は 高学年における内容項目 B 相互理解, 寛容 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに 謙虚な心をもち広い心で自分と異なる意見や立場を尊重すること を深めることを意図したものである 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに 自分とは異なる意見や立場も広い心で受け止めて相手への理解を深めることで 自らを高めていくことができる 異なった意見や立場をもつもの同士がお互いを尊重し広がりと深まりのある人間関係を築くためにも欠かすことのできないことである また 寛大な心をもって他人の過ちを許すことは自分に対して謙虚であるからこそできることである そのような謙虚で寛容な心をもった児童を育てようとする内容項目である これは 中学年の内容項目 B 相互理解, 寛容 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに 相手のことを理解し 自分と異なる意見も大切にすること を受け さらに中学校の内容項目 B 相互理解 寛容 自分の考えや意見を相手に伝えるとともに それぞれの個性や立場を尊重し いろいろなものの見方や考え方があることを理解し 寛容の心を持って謙虚に他に学び自らを高めていくこと につながっていく 高学年では自分も過ちを犯すことを自覚し 寛大な心をもって他人の過ちを許すことができることや自分に対して謙虚であるからこそ他人に対して寛容になれることに気付くことが求められる 相手の意見や立場を考えて過ちを許すことは わたしたちの日常生活を円滑で快適なものとするために重要であり 自己の成長を図る上でも欠かすことのできないものである しかし 児童の発達段階を考えると自分の立場を守るため つい他人の過ちや失敗を一方的に非難したり自分本位に陥りやすい弱さをもっている児童も多いと考えられる そこで お互いにかけがえのない存在であることを自覚し 広い心で相手に接し 自分と異なる意見や立場を尊重し寛容の精神を持った人間の育成を図りたいと考え 本主題を設定した (2) 児童の実態について 5 年生としての生活も残り 2 ヶ月となり 本学級の児童は 高学年としての自覚を持ち児童会や委員会活動 学校行事などの活動をしている 特に 3 学期に入ってからの鼓笛の引継ぎでは下学年に教えたり 6 年生からの引継ぎとしてあいさつ運動で校門前に立ったりと 全校にかかわる活動を通して学校のリーダーとしてさらに意欲的に活動に取り組む姿が見られる しかし 友だちとも声を掛け合い協力して取り組む一方 友だちと意見が合わず円滑に活動することができずに行き詰まってしまうことも少なくない また 今まで仲の良い人間関係を継続する一方 相手の至らない点に目がいってしまい 相手の言動を素直に受け入れようとしなかったり 一方的に相手を責めてしまったりする姿も見られた この時期の児童は 相手の立場や気持ちを理解することの大切さは理屈としては分かってはいる しかし 自分の意にそぐわないと 相手の失敗を責め立てたり 腹を立てたりして 相手を許さないといった態度を取ることがある そこで 相手の立場や意見を認め 許すことのできる寛容の心の大切さについて考えさせ 本時の学習を通し深化させていきたい - 1 -
(3) 教材について本教材は ピアノの稽古に一緒に行く約束をしたよし子とえり子の話である それぞれの思いで行動した結果 心がすれ違ってしまう どう考えて行動すればよかったのか 同じ出来事を二人がそれぞれの立場から書いた日記でそれぞれの思いを知ることができる そこで 本時では よし子の日記を読んで話し合うグループとえり子の日記を読んで話し合うグループとに分かれて授業を展開する それぞれの立場で話し合うことで 相手の立場を考えない自分本位な考え方に十分に共感させ 人間理解を図る その後 両グループを交流させ 二人はどうすればすれちがいにならなかったのかを議論する この過程を通して 相手の立場に立って考えることの大切さをつかませ 寛容な心をもって相手を許せる精神を持てるようにし ねらいとする価値に迫りたい (4) 指導の工夫 1 指導方法を多様化するための工夫 事前に寛容に関するアンケートを実施し導入で活用し 主題に対する問題意識を高める それぞれの立場でワークシートに記入することで 自分と異なる意見を謙虚に聞き お互いの立場を大切にしようとする気持ちを高め 全児童を参画させる 2 子どもの主体的な参加を促す工夫 コース別の話し合い活動を通して 自分の考えを友だちの考えと比べながら聞き 考えを深める 3 多様で柔軟な指導の充実を図る工夫 教材追求の視点として学習課題を設定し 問題解決的な学習を展開する 教師の協力的指導により よし子側とえり子側に分かれての追求を行う わたしたちの道徳 (p.80) を利用することにより 相手の立場を推し量り 時には相手に譲りながらお互いの願いの実現を図る方法を見つけようとする 4 研究主題とのかかわりと他の教育活動等との関連 心豊かにかかわり自他共によりよく生きようとする児童の育成ー自己の生き方についての考えを深める道徳の時間の充実ー = 道徳科への移行をふまえて = (1) 研究主題とのかかわり本時では お互いの立場や事情を理解し 広い心で自分と異なる意見や立場を尊重することの大切さについて学んでいく わたしたちが社会生活を送る上で 相手の立場を理解し 尊重することは重要なことである このことを本資料の二人の日記から探らせ 相手の立場に立って考え 相手を理解し寛容な心を持ってよりよく生きようとすることの必要性を考えさせ ねらいとする価値に迫れるようにする (2) 他の教育活動等との関連 (4 月 ) 道徳の時間 ( 年間 ) 学級開き 学級目標 (4 月 ) 朝マラソン 友だちの意見に耳を傾け 教材名 持久走大会 なわとび大 お互いのよいところを尊 台湾からの転入生 会等へ向けて目標を立て 重していくことを学級の 相手の立場を推し量り 年間を通して目標に向け 約束とする どうすることが本当にあ て練習を重ねる (7 月 ) いてのためになるのか考 ともに生きよう ( 総合 ) 林間学校 え行動しようとする心情 様々な人と助け合いなが 規律ある集団生活を体験 を育てる らよりよく生きようとす することにより 節制 ることに気付く 協力 公徳などの望まし (12 月 ) (3 月 ) い生活態度を身に付け 教材名 卒業を祝う会 - 2 -
る 銀のろうそく立て 友だちと協力し 計画 (9 月 ) 広い心で自分と異なる立 分担をし 会の実践をす 運動会 場の人も受け入れようと る 他学年との交流を深め する心情を育てる 運営や準備などに積極的に参加し 協力し合う態度や責任のある態度を育てる 家庭 地域社会との関連 学級通信 懇談会等で 子どもたちのよりよい行いや取組を紹介していく また 道徳の授業を中心とした学級での取組の様子も伝えていく わたしたちの道徳 を通して 家庭でも相手の立場を理解し 広い心を持って生活する大切さについて話し合ってもらう 5 本時の学習指導本時のねらい 自分と異なる意見や立場を受け入れることの難しさやよさを知り 広い心で相手を大切にしようとする心情を育てる 6 本時の学習指導過程 段階 学習活動 ( 主な発問 ) 予想される児童の反応 指導上の留意点 時間 評価 導 気 1 アンケートの結果 友だちとけんかしてし 自分たちの現状を知ることで本時の 3 入 づ から自分たちの現状 まったことがある 学習に関心を持たせる く について話し合う なんとなく 距離を取ってしまったことがある 2 教材 読み聞かせの前に 登場人物 条件 5 展 と すれちがい の登 情況をおさえさせ 資料の世界へ誘 開 ら 場人物 条件 情況 う え を知り よし子の日 る 記グループとえり子の日記グループに分かれて教師読み聞かせを聞く 登場人物 よし子えり子 条件 情況 二人は仲よし ピアノの稽古に一緒に行く約束 - 3 -
えり子が電話する約束 一緒に行けなかった よし子 もうつきあいたくない えり子 もう 2 度と一緒に行かない 学習課題 二人の心がすれちがわないために どんな考えが大事なのだろうか 深 よし子の日記 (T1) えり子の日記 (T2) 26' め T1 よし子の日記を読み聞か T2 えり子の日記を読み聞かせる る せる 3 それぞれの立場からこうなってし 3 それぞれの立場からこうなってよ った原因を考え お互いにどうすれば え しまった原因を考え お互いにどし よかったの か自分の考えをまとめ話 り うすればよかったのか自分の考え子 し合いをする 子 をまとめ話し合いをする の 原因はなんだろうか 相手にどうし の 原因はなんだろうか 相手にどう日 てもらえばよかったのでしょうか 日 してもらえばよかったのでしょ 記 記 うか コ 1 自分の考えをまとめる コ 1 自分の考えをまとめる 2グループで話し合う 2グループで話し合う ス ス ( よし子 ) ( えり子 ) 原因はえり子が電話をかけてこ 原因は よし子に電話をかけたのに なっか たから 出なかっ た えり子がきちんと電話をかけて よし子が待ち合わせを勝手に決めた くればよかった から よし子にあやまったのに許してく れない 意図 : 相手の責任だと思っている 意図 : 相手の責任だと思っている自 自分本位な思いを考えさせ 分本位な思いを考えさせせる る お互いの日記を読んで 原因はなんだろうか 自分はどうすればよかったのか考えてみましょう 3よし子 えり子を混ぜたグループで話し合う 自分がえり子の状況を知らないで 一 よし子が30 分も待っていてくれたことを知方的に時間を伝えてしまった らなかった えり子さんは電話をしてくれていた 家に帰ってすぐに電話をすればよかった お母さんに任せないで 電話の近くで 出かけている間にお母さんに電話をしてもら待っていればよかった えばよかった えり子さんは全速力で走ってきてくれ よし子さんが聞いてくれるまで話せばよかっていた 一方的に時間を指定したことた をあやまればよかった えり子さんに話を最後まで聞けばよかった 意図 : 自分の立場を主張するだけでなく 相手の立場を気付かせるようにする - 4 -
お互いの情況を板書しながら整理し 相手の状況を知ることでよし子 えり子の立場か ら行動を振り返らせる ( ユニバーサルデザインの視点 ) すれちがいしないた 理由をきちんと聞く 意図 : 相手の立場や状況を理解し めには どんな考え 素直にあやまる 接することの大切さに気付 方が大切でしょう 人のせいにしないで相 かせる か 手のことを考える 自分の行動を振り返 相手にも事情があったことに気付 る き 相手の立場を理解することにつ 相手の立場を考えて行 いて考えることができたか 動する ( ワークシート 観察 発表 ) 4 今日の学習を振り 友だちの理由をきちん 教材を通して捉えた価値理解に基づ 8' 返り 相手の立場を と聞く き 自己を見つめ 自己の生き方を 考えて人と接するた 仕方のなかったことは 振り返らせる 見 めに どうしたらい 許す これまでの自分を見つけていくこと つ いのか書いてみまし きちんと聞いてもらえ で自分の課題やよさが自ら捉えられ め ょう るように誠実な態度で るようにする る 話す 相手の立場を考えて生活しようとす 素直にあやまる る意欲を高めることができたか ( ワークシートの記述 ) 5 わたしたちの道 認め合い 受け入れる 詩を読み 印象深く締めくくる 3 あ 徳 80ページを今 ことが大切 ねらいとする価値を印象深く捉える 終 た 日の学習を言葉の意 相手の気持ちに寄り添 ことができたか 末 た 味を考えながら読 って考えることが大 ( 音読 態度 表情 ) め む 切 る 7 評価の視点 自分本位な考えから相手を一方的に攻めるのではなく 相手の状況に気付き 相手の話を聞こうとする気持ちを持つことができたか 相手の立場や気持ちも受け入れ 広い心で人に接しようとする気持ちを持つことができたか - 5 -
- 6-8 板書計画二人の心がすれちがわないために どんな考えが大事なのだろうか すれちがいよし子えり子二人は仲よしピアノの稽古に一緒に行く約束えり子が電話をする約束もう二度と飯田さんとけいこにいくものか もうえり子さんとはつきあいたくない ピアノの練習母電話はかかってこなかったと思うことづて 二時ごろいつもの場所で 三十分待ってもえり子さんは来なかった三時近く遅くなったいいわけ知らん顔約束を破っておいて親せきのおじさんが来た おつかいをたのまれた 電話をかけた 四時にしよう全速力で走る二時四十分広場に着くスーパーは混雑早く電話をしたいわたしの言い分も聞いてくれたっていいじゃない 勝手に自分の都合で二時なんて決めて相手の立場に立って考え 相手の立場を理解する 人をさそっておいて電話もせず 来もしない
教材分析表 ( よし子の日記グループ ) ねらい 授業者の意図 自分と異なる意見や立場を受け入れることの難しさやよさを知り 広い心で相手を大切にしようとする心情を育てる 自分と異なる意見にも耳を傾け 相手の立場や気持ちを認めることの大切さについて理解させたい 発問 : 意図 : すれちがいしないためにはどんな考え方が大切でしょうか 相手の立場や状況を理解し 接することの大切さに気付かせる 価値理解 人間理解 他者理解 よし子とえり子の状況を整理し お互いに自分に足 りなかった気持ちを考えさせる 発問 : 今日の学習を振り返 り 相手の立場を考えて人と接するため 発問 : お互いの日記を読んで 原因はなんだろうか に どうしたらいい 自分はどうすればよかったのか考えてみましょ のか書いてみましょ う う 意図 : 相手の事情を知らず 自分本意の考えをしてい 意図 : 相手の立場や考えが たことに気付かせる 自分と違う場合に 人間理解 他者理解 相手にどのように接してきたかを振り返らせることにより 価値についての深まりを図る 自己理解 価値理解 よし子の立場 えり子の立場を混ぜたグループで話し合いをする 発問 : 原因はなんだろうか 相手にどうしてもらえばよかったのでしょうか 意図 : 相手の責任だと思っている自分本位な思いを考えさせる 他者理解 人間理解 - 7 -
教材分析表 ( えり子の日記グループ ) ねらい 授業者の意図 自分と異なる意見や立場を受け入れることの難しさやよさを知り 広い心で相手を大切にしようとする心情を育てる 自分と異なる意見にも耳を傾け 相手の立場や気持ちを認めることの大切さについて理解させたい 発問 : すれちがいしないためにはどんな考え方が大切でしょうか 意図 : 相手の立場や状況を理解し 接することの大切さに気付かせる 価値理解 人間理解 他者理解 よし子とえり子の状況を整理し お互いに自分に足 りなかった気持ちを考えさせる 発問 : 今日の学習を振り返 り 相手の立場を考えて人と接するため 発問 : お互いの日記を読んで 原因はなんだろうか に どうしたらいい 自分はどうすればよかったのか考えてみましょ のか書いてみましょ う う 相手の事情を知らず 自分本意の考えをしてい 意図 : たことに気づかせる 意図 : 相手の立場や考えが自分と違う場合に 人間理解 他者理解 相手にどのように接してきたかを振り返らせることにより 価値についての深まりを図る 自己理解 価値理解 よし子の立場 えり子の立場を混ぜたグループで話し合いをする 発問 : 原因はなんだろうか 相手にどうしてもらえばよかったのでしょうか 意図 : 相手の責任だと思っている自分本位な思いを考えさせる 他者理解 人間理解 - 8 -