第 1 個人住民税の現年課税化についての検討 1 個人住民税の現年課税化に係る議論の背景 (1) これまでの経緯個人所得課税において 給与等は原則として 所得税 ( 国税 ) は 所得の発生した年に課税 納税が行われるいわゆる 現年課税 であるのに対し 個人住民税 ( 地方税 ) は前年の所得を基準

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個人住民税の現年課税化に係る課題について

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資料3

第16回税制調査会 別添資料1(税務手続の電子化に向けた具体的取組(国税))

参考 平成 27 年 11 月 政府税制調査会 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する論点整理 において示された個人所得課税についての考え方 4 平成 28 年 11 月 14 日 政府税制調査会から 経済社会の構造変化を踏まえた税制のあり方に関する中間報告 が公表され 前記 1 の 配偶

第14回税制調査会 総務省説明資料(・地方税務手続の電子化等2・個人住民税2)

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特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 2 個人住民税関係事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 高島市は 個人住民税関係事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしか

平成19年度分から

Microsoft Word - ③(様式26号)特別徴収実施確認・開始誓約書

中小法人の地方法人二税の eltax の利用率 70% 以上という目標達成に向けて 下記の eltax の使い勝手改善等の取組を進めるとともに 地方団体の協力を得つつ 利用勧奨や広報 周知等 eltax の普及に向けた取組を一層進める また 中小法人の地方法人二税の eltax の利用率の推移等を踏

個人住民税の特別徴収税額決定通知書(納税義務者用)の記載内容に係る秘匿措置の促進(概要)

平成19年度税制改正.xls

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1: とは 居住者の配偶者でその居住者と生計を一にするもの ( 青色事業専従者等に該当する者を除く ) のうち 合計所得金額 ( 2) が 38 万円以下である者 2: 合計所得金額とは 総所得金額 ( 3) と分離短期譲渡所得 分離長期譲渡所得 申告分離課税の上場株式等に係る配当所得の金額 申告分

Microsoft PowerPoint 寄附金控除制度概要.ppt

[2] 株式の場合 (1) 発行会社以外に譲渡した場合株式の譲渡による譲渡所得は 上記の 不動産の場合 と同様に 譲渡収入から取得費および譲渡費用を控除した金額とされます (2) 発行会社に譲渡した場合株式を発行会社に譲渡した場合は 一定の場合を除いて 売却価格を 資本金等の払戻し と 留保利益の分

Microsoft Word - 資料6-1 個人住民税の特別徴収に係るQ&A(事業者向け)

( 別添 ) 個人住民税の現年課税化に係るこれまでの議論 これまでの議論の中で 大きな比重を占めているのは 特別徴収義務者の事務負担軽減である そのためにもわかりやすいシステム設計とICTを使った事務の軽減を考えなければならない したがって パソコンやスマホを使用してできる所得税及び個人住民税の計算

個人住民税 特別徴収 に係る Q&A 問 1 個人住民税の 特別徴収 とはどんな制度ですか? 答 1 従業員の方々の納税の便宜を図る目的から 事業者の方が 毎月の給与を支払う際に所得税などのように 個人住民税を徴収して ( 天引きして ) 納入していただく制度です 従業員の所得税は給与から源泉徴収し

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目 次 1 実施計画策定の目的 1 2 本市の現状 2 (1) 給与所得者に対する特別徴収の実施率 (2) 特別徴収未実施事業者の把握 (3) 個人住民税の収入状況等 3 本市の取組み 3 (1) 対象事業者の選定 (2) 指定予告通知等の発送 (3) 特別徴収義務者の指定及び特別徴収税額の通知 (

【日証協】マイナンバー利活用推進小委員会提出資料

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【別紙】リーフレット①

はしがき 配偶者控除 と 配偶者特別控除 は 昭和 36 年と昭和 62 年の税制改正で導入された歴史ある制度です ここ数年 配偶者控除の改正について様々な議論が行われてきましたが 平成 29 年度税制改正において 就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から配偶者控除と配偶者特別控除の見直し

改正された事項 ( 平成 23 年 12 月 2 日公布 施行 ) 増税 減税 1. 復興増税 企業関係 法人税額の 10% を 3 年間上乗せ 法人税の臨時増税 復興特別法人税の創設 1 復興特別法人税の内容 a. 納税義務者は? 法人 ( 収益事業を行うなどの人格のない社団等及び法人課税信託の引

住民税 所得税の税率国から地方への税源移譲に伴い 平成 19 年度から住民税所得割の税率が 10% に統一され 所得税の税率が 4 段階から 7 段階の累進税率に改正されています 住民税については平成 19 年度分 ( 平成 19 年 6 月納付分 ) 所得税については平成 19 年分 ( 平成 1

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3 平成 25 年 4 月に給与の支給規程を改訂し 平成 24 年分 10 月にまでさかのぼって実施する こととなり 平成 25 年 4 月の給与支給日に支払うこととなった平成 24 年 10 月から平成 25 年 3 月までの給与改訂差額 A 3 1 給与所得の収入金額の収入すべき時期は 契約又は

出先機関名市立病院事務局総務課 編集年度分類記号種別 書 目 24 C36 3 所得税 県市町村税関係 全 1 冊の 1 冊 索引番号 完結年月日文書番号 件 名 備 考 平成 24 年 3 月分住民税の納入について ( 伺い ) 平成 24 年 3 月分所得税の

B 事例 1: 日本赤十字社と公益財団法人公益法人協会ともに 所得控除方式 を適用し ffff た場合に還付される税金について 前提 1 寄附先の名称等 ( 弊協会の他に 東日本大震災の義援金として日本赤十字社に寄附したものと仮定 ) 名称金額備考 日本赤十字社 ( 東日本大震災義援金 ) 30,0

市 県民税 ( 住民税 ) 市民税は 県民税と合わせて住民税と呼ばれ 住民のみなさんがそれぞれの税の負担能力に応じて分担し合うという性格をもつ税金で 個人が負担する個人市民税と 会社などが負担する法人市民税があります 市民税には 均等の額によって納めていただく均等割と 個人の所得に応じて納めていただ

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

個人住民税の現年課税化に関する過去の議論 長期税制のあり方についての答申 ( 抄 ) 政府税制調査会 S43.7 住民税は 前年の所得を基礎として課税するいわゆる前年所得課税のたてまえをとっている 所得発生の時点と税の徴収の時点との間の時間的間隔をできるだけ少なくすることにより 所得の発生に応じた税

第5回基礎問題小委員会 礎5-4

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

2018 年版 初めての 年末調整セミナー 概要編 ハッピーニャーゴ 担当講師 : 平賀信幸 社会保険労務士ファイナンシャルプランナー (CFP 1 級 FP 技能士 )

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 7 鳥取市個人住民税事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 鳥取市は個人住民税事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり, その取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を及ぼしかねないことを認識し,

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ご注意ください! ワンストップ特例の申請には マイナンバーの記載と添付書類の提出が必要です 1. 寄附金税額控除に係る申告特例申請書 にマイナンバー ( 個人番号 ) を記入して下さい 記入にあたっては 下記及び別紙記入例を参考にご記入下さい 2. 本人確認と個人番号確認の書類を手元に用意して下さい

総論 Q1 民間事業者はどのような場面でマイナンバーを扱うのですか A1 民間事業者でも 従業員やその扶養家族のマイナンバーを取得し 給与所得の源泉徴収や社会保険の被保険者資格取得届などに記載し 行政機関などに提出する必要があります 原稿料の支払調書などの税の手続では原稿料を支払う相手などのマイナン

マイナンバーシンポジウム in 愛媛 平成 24 年 5 月 26 日 税理士菅浩一郎 ( 四国税理士会副会長 ) 日本税理士会連合会

目次 1. 年末調整とは 2. 平成 30 年分の留意点 3. 給与所得者の扶養控除等 ( 異動 ) 申告書の書き方 4. 給与所得者の配偶者控除等申告書の書き方 5. 給与所得者の保険料控除申告書の書き方 2

公共債の税金について Q 公共債の利子に対する税金はどのようになっていますか? 平成 28 年 1 月 1 日以後に個人のお客様が支払いを受ける国債や地方債などの特定公社債 ( 注 1) の利子については 申告分離課税の対象となります なお 利子の支払いを受ける際に源泉徴収 ( 注 2) された税金

特定個人情報保護評価書 ( 基礎項目評価書 ) 評価書番号評価書名 3 個人住民税に関する事務基礎項目評価書 個人のプライバシー等の権利利益の保護の宣言 羽島市は 個人住民税に関する事務における特定個人情報ファイルの取扱いにあたり 特定個人情報ファイルの取扱いが個人のプライバシー等の権利利益に影響を

はじめてのマイナンバーガイドライン(事業者編)

特別徴収事業者特別徴収事業者であることであること が入札参加申請入札参加申請の要件要件に加わりますわります 個人住民税の特別徴収制度は 地方税法や各市町村の条例等で定められており 所得税の源泉徴収をしている従業員がいる場合は 特別徴収することが義務づけられています 伊佐市では 法令遵守の観点から こ

第4回マイナンバー・税務執行ディスカッショングループ 論点整理

Q1 市県民税 ( 住民税 ) とはどんな税金ですか? A1 その年の1 月 1 日現在 市内に住所がある個人に対し 前年中の所得 ( 給与 年金 営業 不動産 譲渡などの所得 ) に応じて課税されます また その年の1 月 1 日現在市内に住所がなくても 市内に事務所 事業所又は家屋敷があれば課税

(2) 源泉分離課税制度源泉分離課税制度とは 他の所得と全く分離して 所得を支払う者 ( 銀行 証券会社等 ) がその所得の支払の際に 一定の税率で所得税を源泉徴収し それだけで所得税の納税が完結するものです 1 対象となる所得代表的なものとして 預金等の利子所得 定期積金の給付補てん金等があります

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社長必見≪ここがポイント≫マイナンバーガイドライン(事業者編)

資料9

特別徴収制度説明会

平成18年度地方税制改正(案)について

[Q1] 復興特別所得税の源泉徴収はいつから行う必要があるのですか 平成 25 年 1 月 1 日から平成 49 年 12 月 31 日までの間に生ずる所得について源泉所得税を徴収する際 復興特別所得税を併せて源泉徴収しなければなりません ( 復興財源確保法第 28 条 ) [Q2] 誰が復興特別所

2 税金から控除される額 市区町村や都道府県に対する寄附金は 特定寄附金 と呼ばれ 所得税や住民税を計算するときに 寄附金控除が適用され 税が軽減されます 所得税の控除 総所得金額等の 40% が限度 2,000 円 所得税率 住民税の控除基本控除 総所得金額等の 30% が限度 2

(4) 今月下旬に所得税法施行令を改正するとともに 法令解釈通達を発遣し 上記のとおり 保険年金 に係る所得税の取扱いを変更いたします 取扱い変更後 所得税の還付の手続きが可能となります なお 納税者の方々には 次の点にご注意いただく必要があります 所得税が納めすぎとなっていた場合の還付手続きには

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税法実務コース 海外勤務者と外国人の出国 入国 滞在時の国際税務 学習スケジュール 回数学習テーマ内容 第 1 回 第 2 回 第 3 回 第 1 章 第 2 章 第 3 章 第 4 章 第 5 章 第 6 章 第 7 章 第 8 章 テーマ 1 居住者 非居住者判定テーマ 2 課税範囲についてテー

申告者と配偶者の合計所得金額の入力フォーム 申告者 ( 給与の支払いを受ける人 ) の事業所得 雑所得 配当所得 不動産所得 その他の所得の収入金額と必要経費を入力して合計所得金額を計算します 申告者の合計所得金額が 900 万円を超えると 配偶者控除または配偶者特別控除の控除額が変動します 申告者

1. 復興基本法 復興の基本方針 B 型肝炎対策の基本方針における考え方 復旧 復興のための財源については 次の世代に負担を先送りすることなく 今を生きる世代全体で連帯し負担を分かち合うこととする B 型肝炎対策のための財源については 期間を限って国民全体で広く分かち合うこととする 復旧 復興のため

所得控除 基礎控除 配偶者控除などの下記の表に記載されたものをいいます それぞれ一定の要件を満たしている場合は 課税所得金額を計算する際に それぞれの控除が受けられます 個人の県民税 個人の市町村民税 12

Microsoft Word - 給与幕僚Ⅲ 平成30年配偶者控除改正に伴う事前準備のご案内

障財源化分とする経過措置を講ずる (4) その他所要の措置を講ずる 2 消費税率の引上げ時期の変更に伴う措置 ( 国税 ) (1) 消費税の軽減税率制度の導入時期を平成 31 年 10 月 1 日とする (2) 適格請求書等保存方式が導入されるまでの間の措置について 次の措置を講ずる 1 売上げを税

過納金とは 納付納入の時にはそれに対応する租税債務が存在していたが 結果的に不適法な納付納入となった場合における地方公共団体の徴収金のことであり 1 納付納入の時には一応適法であったものが その申告 更生 決定又は賦課決定が誤って過大にされていたため 後になって減額更正 減額の賦課決定又は賦課決定の

第 8 章 税 金 外国人の方であっても, 一定の要件に当てはまる場合には, 税金を納める必要があります 例えば, 日本国内で働いて得た収入があると, 原則として所得税を納めなければなりません また,1 月 1 日現在で日本に住所がある方は, 前年の所得について課税される住民税を納めなければなりませ

13) 利子等の支払調書 ( 及び同合計表 ) ( 所得税法第 225 条第 1 項第 1 8 号 ) 14) 納税証明書の交付請求 ( 国税通則法第 123 条第 1 項 ) 15) 電子申告 納税等開始 ( 変更等 ) 届出 ( 国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省

2 税務署への提出方法の選択 画面において 書面提出 をクリックする 3 申告書等印刷を行う際の確認事項 画面において ご利用のパソコンの環境が推奨環境を満たしていることを確認の上 ご利用のパソコンの環境 (O S/ ブラウザ /PDF 閲覧ソフト ) が以下の推奨環境を満たしている をチェックする

1. 口座管理機関 ( 証券会社 ) の意見概要 A 案 ( 部会資料 23: 配当金参考案ベース ) と B 案 ( 部会資料 23: 共通番号参考案ベース ) のいずれが望ましいか 口座管理機 関 ( 証券会社 ) で構成される日証協の WG で意見照会したところ 次頁のとおり各観点において様々

株式等の譲渡(前年からの繰越損失を譲渡所得及び配当所得等から控除)編

平成19年度市民税のしおり

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債券税制の見直し(金融所得課税の一体化)に伴う国債振替決済制度の主な変更点について

健康・医療・介護分野におけるICTの活用について

「2 所得税及び復興特別所得税の確定申告書データをお持ちでない方」からの更正の請求書・修正申告書作成編

1 個人住民税とは 1 2 特別徴収とは (1) 特別徴収と普通徴収 1 (2) 特別徴収義務者の指定 1 3 特別徴収の流れ (1) 給与支払報告書の提出 2 (2) 特別徴収税額決定通知書等の送付 6 (3) 納期と納入方法 6 (4) 税額の変更通知 7 4 随時の手続き ( 納税義務者に異動

ったと判断します なお 一時的に認定基準月額以上の収入がある月があっても 認定基準年額を超えるまでの間は認定できます また 勤務した月の給与が翌月以降に支払われる場合でも 原則 勤務月の収入として取扱います 継続して認定できる事例 認定基準月額未満であるので 継続して認定できます 認定基準月額以上の

2. 改正の趣旨 背景の等控除は 給与所得控除とは異なり収入が増加しても控除額に上限はなく 年金以外の所得がいくら高くても年金のみで暮らす者と同じ額の控除が受けられるなど 高所得の年金所得者にとって手厚い仕組みとなっている また に係る税制について諸外国は 基本的に 拠出段階 給付段階のいずれかで課

08_個人住民税賦課関連事務_H3006_xlsx


上場株式等の住民税の課税方式の実質見直し


第2回税制調査会 総2-2

3.e-Tax や確定申告書等作成コーナーをどのようにして知りましたか < 複数回答 > ( 件 ) 4. 利用した ( 利用予定 ) 手続 < 複数回答 > ( 件 ) 贈与税については 平成 24 年分の申告から e-tax を利用して提出 ( 送信 ) できるようになりました 2

退職金についての市県民税はどうなるの? 私は平成 28 年 4 月に退職しました 勤続 30 年で退職金は 2,100 万円ですがこの退職 金に対する市県民税はいくらですか 通常の市県民税の課税は前年中の所得に対し翌年課税されるしくみになっていますが 退職金に対する課税については 他の所得と分離して


1 検査の背景 (1) 租税特別措置の趣旨及び租税特別措置を取り巻く状況租税特別措置 ( 以下 特別措置 という ) は 租税特別措置法 ( 昭和 32 年法律第 26 号 ) に基づき 特定の個人や企業の税負担を軽減することなどにより 国による特定の政策目的を実現するための特別な政策手段であるとさ

マイナンバーの告知と本人確認(3) サラリーマン(給与)、パート・アルバイト、年金受給者の場合

女性が働きやすい制度等への見直しについて

個人市民税 控除・税率等の変遷【市民税課】

税法実務コース 所得税 学習スケジュール 回数 学 習 テ ー マ 内 容 第 1 章 テーマ1 所得税の仕組みテーマ2 所得税額の計算テーマ3 非課税所得 所得税の仕組み 税額計算 所得税が課税されないものについて学習します テーマ1 各種所得金額の計算の概要テーマ2 利子所得テーマ3 配当所得

この特例は居住期間が短期間でも その家屋がその人の日常の生活状況などから 生活の本拠として居住しているものであれば適用が受けられます ただし 次のような場合には 適用はありません 1 居住用財産の特例の適用を受けるためのみの目的で入居した場合 2 自己の居住用家屋の新築期間中や改築期間中だけの仮住い

( 参考 ) 平成 29 年度予算編成にあたっての財務大臣 厚生労働大臣の合意事項 ( 平成 29 年 12 月 19 日大臣折衝事項の別紙 ) < 医療制度改革 > 別紙 (1) 高額療養費制度の見直し 1 現役並み所得者 - 外来上限特例の上限額を 44,400 円から 57,600 円に引き上

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第 2 金融資産性所得に対する個人住民税の課税時期と課税団体についての検討 1 年の途中で出国した者のキャピタルゲインに対する個人住民税の課税のあ り方 (1) 非居住者に対する個人所得課税の基本的な仕組みについて非居住者に対する個人所得課税については 個人住民税 ( 地方税 ) と所得税 ( 国税

Transcription:

第 1 個人住民税の現年課税化 についての検討

第 1 個人住民税の現年課税化についての検討 1 個人住民税の現年課税化に係る議論の背景 (1) これまでの経緯個人所得課税において 給与等は原則として 所得税 ( 国税 ) は 所得の発生した年に課税 納税が行われるいわゆる 現年課税 であるのに対し 個人住民税 ( 地方税 ) は前年の所得を基準として翌年度に課税する 翌年度課税 となっている この個人住民税の仕組みは 課税団体を明確化しつつ 納税義務者や企業 地方団体の事務負担に配慮したものであるが 定年退職等により前年に比べて収入が大きく減少した者にとっては負担感が重くなるなどの課題が指摘されてきたところである この課題に対し 個人住民税の現年課税化については 古くは 長期税制のあり方についての答申 ( 昭和 43 年 7 月政府税制調査会 ) において 住民税は 前年の所得を基礎として課税するいわゆる前年所得課税のたてまえをとっている 所得発生の時点と税の徴収の時点との間の時間的間隔をできるだけ少なくすることにより 所得の発生に応じた税負担を求めることとするためには現年所得課税とすることが望ましいと考えられるので この方法を採用する場合における源泉徴収義務者の徴収事務 給与所得以外の者に係る申告手続等の諸問題について 引き続き検討することが適当である とされている 近年においても 政府税制調査会が平成 17 年 6 月にまとめた 個人所得課税に関する論点整理 の中で 個人住民税は 納税の事務負担に配慮して 前年の所得を基礎として課税するいわゆる前年所得課税の仕組みを採っているが 本来 所得課税においては 所得発生時点と税負担時点をできるだけ近づけることが望ましい 近年の IT 化の進展 雇用形態の多様化等 社会経済情勢の変化を踏まえ 納税者等の事務負担に留意しつつ 現年課税の可能性について検討すべきである とされており 本年度の政府税制調査会においても 第 24 回総会 ( 平成 27 年 10 月 23 日 ) 等において 個人住民税の現年課税化について議論が出たところである なお 平成 24 年 8 月に成立した 社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法等の一部を改正する等の法律 ( 以下 税

制抜本改革法 という ) においては 個人住民税の所得割における所得の発生時期と課税年度の関係の在り方については 番号制度の導入の際に 納税義務者 特別徴収義務者及び地方公共団体の事務負担を踏まえつつ 検討する ( 第 7 条第 2 号ニ (3)) とされ 引き続き検討を行うべき課題として位置づけられている また 個人住民税の現年課税化については これまで関係団体から様々な意見が寄せられている 東京地方税理士会 ( 神奈川県と山梨県の税理士会 ) からは 平成 27 年度税制改正に関する意見書 ( 平成 26 年 3 月 ) の中で 源泉徴収 年末調整を行う必要があることから 給与の支払者の事務負担が増大するという問題や 現年課税への経過年度の取扱いに検討の余地はあるが 将来の現年課税制度導入のための具体的検討を進めることが望ましい という意見が また 日本商工会議所からは 平成 28 年度税制改正に関する意見 ( 平成 27 年 9 月 16 日 ) の中で 個人住民税の現年課税化が検討されているが 事業者に対し 所得税に加え 個人住民税についても 源泉徴収事務や年末調整事務を課すことが必要となる 現状以上の納税事務負担の増加を強いる個人住民税の現年課税化には反対である といった意見が さらに 全国町村会からは 平成 27 年度政府予算編成及び施策に関する要望 ( 平成 26 年 7 月 3 日 ) の中で 個人住民税の現年課税化については 町村や事業主の事務負担が増加することなどから 慎重に検討すること といった意見が寄せられている このように 個人住民税の現年課税化については古くから議論されてきている問題であり 過去の個人住民税検討会においても 平成 18 年度から平成 26 年度までの検討会において 個人住民税所得割の現年課税化の導入について議論を行ってきた その際 税の徴収という極めて実務的な問題であり 抽象的 理念的な検討では課題等がはっきりしないと考えられることから 個人住民税の現年課税化を行うとした場合に考えられる具体的な方式案 (1 所得税方式 2 市町村精算方式 ) に基づいて実際に個人住民税の現年課税を行った場合を想定して それぞれ実務上発生するとみられる負担とその対応策について検討を行ってきた 昨年度の議論では 個人住民税の現年課税化を行った場合 特別徴収義務者においてより大きな事務負担が生じるとされている所得税方式についての課題について 実務的な観点から議論を行い 以下の論点 ( ア~エ ) を整理した

特別徴収義務者に発生する事務( 所得税方式 ) ア 1 月 1 日現在の住所地把握イ源泉徴収する住民税額の算定 徴収ウ年末調整エ各市町村への納入 ( 参考 ) 市町村に発生する事務 ( 市町村精算方式 ) 源泉徴収税額と確定税額との差額について 納税義務者に追徴又は還付また 昨年度の個人住民税検討会においては 今後の課題 として 平成 28 年 1 月からのマイナンバー利用開始を控え 民間にマイナンバーの利用が開放されることとなれば 例えば 特別徴収義務者がマイナンバーを利用して従業員の1 月 1 日の住所地を現在よりも正確かつ迅速に把握することができるようになる 特別徴収義務者がマイナンバーを利用できる環境が整備されれば 現年課税に係る事務負担が軽減される可能性がある論点も見込まれる マイナンバー活用に必要となるシステムのあり方やその導入コストの分担も検討する必要がある ことから 今後 マイナンバー制度の導入状況やマイナポータルの議論の進捗状況を踏まえつつ 引き続き検討を進めていくことが必要とした (2) 本年度の個人住民税検討会における検討本年度の検討会では 昨年度までに行った検討結果を踏まえつつ マイナンバー利用開始後の企業や市区町村に発生する事務負担がどうなるか といった点を含め 実務的な観点から議論を行った 本報告書は その検討内容をとりまとめたものである なお 本検討会において 現年課税 とは ある所得発生年分の税負担について 時間的間隔を置かず その年分の所得を基に決定すること という意味で使用することとする このほか 地方税においては 地方税の徴収について便宜を有する者にこれを徴収させ 且つ その徴収すべき税金を納入させること を 特別徴収 と定義している ( 地方税法 ( 昭和 25 年法律第 226 号 ) 第 1 条第 1 項第 9 号 ) ところであるが 個人住民税に現年課税を導入し その源泉徴収を行うことについては 現行の個人住民税における特別徴収と区別す

るため 源泉徴収 という用語を用いることとする ただし 源泉徴収を行う 義務を負う者は 特別徴収を行う義務を負う者と同一であることから 引き続 き 特別徴収義務者 という用語を用いることとする 2 マイナンバー導入と現年課税化 (1) マイナンバー導入に伴う事務の変化平成 28 年 1 月からマイナンバーの利用が始まり 地方税分野においてもその活用が期待されているところである また 前述のとおり 税制抜本改革法において 個人住民税の所得割における所得の発生時期と課税年度の関係の在り方については 番号制度の導入の際に 納税義務者 特別徴収義務者及び地方公共団体の事務負担を踏まえつつ 検討する と規定されていることも踏まえ 本検討会では マイナンバーの利用開始を契機とした 特別徴収義務者や市区町村に発生する事務負担について検討した また 昨年度の報告書でも触れられているように マイナンバーは現行では行政機関等のみが利用事務実施者として法令で規定された利用事務に利用できることとされているが 民間にマイナンバーの利用が開放されることとなれば 例えば 特別徴収義務者がマイナンバーを利用して従業員の1 月 1 日の住所地を現在よりも正確かつ迅速に把握することができるようになることも考えられる そうなれば 従業員から毎月徴収した住民税額の誤納入の問題については 一定の前進が見込まれることとなる (2) マイナンバー導入自体から生じる事務負担マイナンバー導入に伴い 特別徴収義務者に発生する事務負担としては以下のようなものが考えられる マイナンバー利用開始前 マイナンバーを管理するためのシステムの導入 設備の改修など 社内への周知徹底 業務フローの見直し マイナンバー管理者向けの研修の実施 マイナンバー利用開始後 従業員やその家族のマイナンバーの取得

従業員等のマイナンバー管理 提出書類への従業員等のマイナンバー記載 ( 具体例 ) マイナンバーを付した書類の作成にあたっては 物理的安全措置を講じることが必要となる また 従業員の異動届などを発送する際 その方法によっては 追加の費用負担が発生する 住民税の 特別徴収の決定 変更通知書 が平成 29 年 5 月以降 マイナンバー付きで送付されてくる 市区町村ごとに送られてくるものの受取の負担に加え マイナンバーが付番されているため 管理のための負担も増大する 次に 市区町村がマイナンバー利用開始前に行うべき準備等としては以下のようなものが考えられる マイナンバーを利用 管理するためのシステム改修 セキュリティ対策 各手続におけるマイナンバー( 個人番号 ) 法人番号の利用に係る所要の条例 規則等の改正 行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律施行規則 ( 平成 26 年内閣府 総務省令第 3 号 ) に規定する 個人番号利用事務実施者が適当と認めるもの 等についての告示等 マイナンバーの利用等に関する広報 (3) マイナンバー時代における個人住民税の現年課税化の課題マイナンバー時代には 確定申告書や住民税申告書の情報 給与支払報告書等の関係資料の記載内容 市町村の有する住民情報等を 番号をキーとして名寄せや突合を行うことができ 納税義務者の所得情報をより的確かつ効率的に把握することが可能となるといった役割が期待される一方で マイナンバー時代においても個人住民税を現年課税化 ( 所得税方式 市町村精算方式 ) した場合に生じると考えられる課題について 以下のような意見が出された なお 個人住民税の現年課税化を行う場合 所得税方式 市町村精算方式のいずれの方式を採る場合においても 特別徴収義務者の利便性を考慮し 所得控除等の控除額を所得税と統一することで 所得税 個人住民税の課税標準に適用する税率のみが異なる形にすることが望ましいという意見があった

所得税方式の場合 企業等における年末調整で精算されるため 住民税申告を行う者や所得税の源泉徴収票が税務署に提出される者以外の所得情報や扶養情報については 市区町村に提出する仕組みを設けない場合には 市区町村において管理しないことになる 市区町村において 社会福祉部門への情報連携の際 所得情報等の提供ができなくなってしまう 市区町村において 重複扶養や被扶養者の所得超過等の情報把握ができなくなってしまう 市町村精算方式の場合 従業員の所在する市区町村ごとに給与支払報告書等による報告が必要となるため 特別徴収義務者 市区町村の双方において 現状と同様の対応が必要な上に 市区町村において精算業務が発生し 事務負担が増加する また マイナンバー導入との関係については 昨年度とりまとめた課題 ( ア ~ウ ) に対して 下記のような意見があった ア 1 月 1 日現在の住所地把握 短期間のパート アルバイトはマイナンバーの提出をためらうことも考えられ その取得をすることも相当の事務負担になる マイナンバーを取得しても企業の側において1 月 1 日時点の住所地把握はできず 事務負担の軽減とはならない イ源泉徴収する住民税額の算定 徴収 手作業 システム導入のどちらにおいてもマイナンバーを記載するための事務負担は増加する ウ年末調整 仮に 市区町村ごとに年末調整に必要な書類のマイナンバー記入箇所が異なる場合 企業側はマイナンバー記入の負担がさらに増大することとなる 給与以外の所得については 企業側は それらの所得を把握する立場にない上 マイナンバーを利用することもできないため把握することができない こうした意見も踏まえつつ 今後 マイナンバーの定着が進むとともに 近年急速に進展している地方税における電子化 ( 給与支払報告書 特別徴収税額通知等 ) による事務の一層の省力化が期待される中で これらの課題 ( ア~ウ )

について どのような解決策が考えられるか 納税実務の実情把握や関係者間での議論を引き続き進めていく必要がある なお エ各市町村への納入 については (4) でも後述するが 仮に 一ヶ所の納税先に一括して納入できれば マイナンバーによって市区町村側が 1 月 1 日時点の住所地を把握して 各団体向けの納入金額を受け取る仕組みとすることで 事務負担を軽減することができるのではないか という意見が出された (4) 考え得る方策についての委員からの提言 (3) で述べたような課題を解決するための方策として以下のような提案があった 特別徴収義務者からの納税者情報を一括して受け付け マイナンバーをキーに1 月 1 日現在の居住市区町村への割振り 送付を行うシステムを構築するとともに システムを所管する組織に源泉徴収事務の総合サポートセンターとしての法的役割を付与する ( これにより 特別徴収義務者においては 市区町村ごとに源泉徴収税額を振り分けて納入する必要がなくなる ) 所得税方式の場合 所得税と同様に一定金額以下の給与収入の者について源泉徴収票の提出を不要とすると 市区町村の税務当局は 社会福祉部門等への情報提供ができなくなるため 年末調整済の年間税額やその算出根拠 住基ネットの基本 4 情報 ( 氏名 住所 生年月日 性別 ) 被扶養者のマイナンバーなどの情報を特別徴収義務者から提出してもらう制度を設けて それらの情報を収集することとする必要がある なお その情報収集の仕組みによっては 社会福祉部門等の各種制度において 従来の所得情報から年間税額に基準を変更するなど情報連携の内容を変更する必要が生じることも考えられる 市町村精算方式の場合 従前と同様な給与支払報告書を上記のシステムによって提出する仕組みとすることが考えられる これらの方策を講じる際には電子化が前提となるため 小規模な特別徴収義務者に対しては 電子化の普及状況等を勘案し 報告内容についてできる限り簡略化するとともに 報告データ作成のためのツールについては Web 上 フリーソフト 民間商品等を活用できるようにすることも必要になるのではないかと考えられる

3 今後の課題 (1) 特別徴収義務者におけるマイナンバー導入による事務負担の変化現行の個人住民税に係る特別徴収においても 市区町村ごとに書類が届く時期が異なるため 各市区町村の書類が到着しているかどうかのチェック作業の負担が大きいなど 企業担当者からは現行の特別徴収事務が非常に大きな負担となっているとの声が上がっており これに加え 現年課税化が実現した場合には 短期間のパート アルバイトが多い業種や労働者の入れ替わりが多い事業者は1 月 1 日時点の住所地を確認するだけでも 事務負担が大きくなるとの意見があった マイナンバーの利用が始まったとしても 自治体側の所得の紐付け作業は簡素化されるかもしれないが 企業側においては マイナンバーの記入 管理など むしろ総じて事務負担の増加が想定される との意見も出された (2) 切替年度に関する論点本年度の検討会では 個人住民税の現年課税化を行う場合の切替年度の税負担のあり方についても検討が行われた この点に関しては 切替前後 2ヶ年度分のうち いずれかの年度分 ( 例えば 税額の高い年度分 ) を徴収すればよいという考え方や 所得課税の公平確保のためには2ヶ年度分とも徴収すべきという考え方などが従来から存在し これまでのところ この点について十分に検討 整理が深められている状況にはない このうち 前者のような取扱いを検討する場合においても 切替に係るある年度について 給与所得以外の所得 ( 事業所得 不動産所得 雑所得等 ) を引き続き課税対象にしつつ 給与所得のみを当該年度だけ非課税にすることは 同一年における所得間や納税者間の課税の公平性を担保できず 採用しがたいものと考えられる また 全ての種類の所得を通じてどちらかの年度分を徴収しないこととすることについては 世代間の損得や所得課税の公平の観点からの慎重な検討が必要と考えられる との意見があった 今後 切替年度の取扱いについて検討する際には ある年度に2ヶ年度分を納税してもらうことが納税者に受け入れられるか という論点や 全ての種類

の所得について個人住民税を課税しない年度を設ける場合に予想される様々な論点 ( 世代間の公平性 資産性所得などの年度間変動が大きい所得の取扱い 分離課税との関係 福祉施策等に必要となる所得把握の方策 統計データが不連続となる年度の発生など ) について 慎重な検討が必要と考えられる (3) まとめ本年度の検討会においては 所得税方式を基にして マイナンバー利用開始後の企業と市区町村に発生する事務負担や 負担軽減策も含めた現年課税化のあり方を中心に実務的な観点から議論を行った また 切替年度の取扱いについても議論が行われた 今後さらに議論を深めていくに当たっては 本検討会で洗い出された課題について 特別徴収義務者 地方団体及び納税義務者の理解が得られる案とすることができるかという観点から 十分に検討していくことが必要である 特別徴収義務者に生じると懸念されている現年課税化に伴う事務負担の問題については マイナンバーの活用によって改善や解決が期待できるものばかりではないこと また マイナンバーの導入は 特に導入初期段階においては 企業の実務負担を伴うものであることが 本年度の検討会を通じて確認されたが 今後 特別徴収義務者がマイナンバーを利用して必要な情報を入手できるような仕組みが整備されれば 現年課税に係る事務負担が軽減される可能性がある論点も見込まれる その場合においても 必要なシステムのあり方やコストについて検討する必要があることから 今後のマイナンバー制度の運用状況やマイナポータルの進捗状況等を踏まえつつ 引き続き検討を進めていくことが必要である