日医工 MPI 行政情報 http://www.nichiiko.co.jp/stu-ge/ 高額療養費制度 (70 歳以上の負担上限改訂 ) 日医工株式会社学術部作成 :( 公社 ) 日本医業経営コンサルタント協会認定登録番号第 6345 寺坂裕美日医工医業経営研究所 ( 日医工 MPI) 監修 :( 公社 ) 日本医業経営コンサルタント協会認定登録番号第 4463 菊地祐男 資料 No.20170825-459
高額療養費制度とは 医療機関や薬局で支払った窓口 ( 自己 ) 負担額が歴月 1 ヶ月 ( 同月の 1 日 ~31 日まで ) で一定額を超えた場合に 超えた分の金額が支給される制度 < 50 歳 年収 600 万円の場合 > 差額ベッド代などは除く 医療費総額 100 万円 窓口負担上限額 1 窓口負担 (3 割 ) 30 万円 差額 この例では 300,000 ー 87,430 =212,570 円が支給される 2 1 ヶ月当たり窓口負担上限額 87,430 円 ( 計算式は次ページ参照 ) 年齢と所得に応じて窓口負担上限額が設定されている 保険者 3 支給 2 申請 保険者からあらかじめ限度額適用認定証が支給されていれば窓口での支払いは負担上限額までとなる 患者
国保の課税所得額は旧ただし書き所得 高額療養費制度 (70 歳未満 ) 健保によっては更に自己負担が軽減される独自の付加給付金がある 年収 1 ヶ月あたりの負担上限額 多数回該当 (4 ヶ月目から ) アイウエオ 健保 : 標準報酬月額 83 万円以上国保 : 年間課税所得 901 万円超 健保 : 標準報酬月額 53 万円以上国保 : 年間課税所得 600 万円超 健保 : 標準報酬月額 28 万円以上国保 : 年間課税所得 210 万円超 健保 : 標準報酬月額 26 万円以下国保 : 年間課税所得 210 万円以下 被保険者が市区町村民税の非課税者等 約 1160 万円以上 252,600 円 +( 医療費総額 -842,000) 1% 140,100 円 約 770 万円以上 167,400 円 +( 医療費総額 -558,000) 1% 93,000 円 約 370 万円以上 80,100 円 +( 医療費総額 -267,000) 1% 約 156 万円以上 57,600 円 約 156 万円未満 35,400 円 24,600 円 年収 600 万円の人で医療費総額が毎月 100 万円かかった場合 3 最初の3ヶ月 80,100 円 +(1,000,000 円 -267,000 円 ) 1% =80,100+733,000 1% =80,100+7,330 =87,430 円 / 月 4 ヶ月目以降 44,000 円 / 月 過去 12 ヶ月以内に 3 回以上 ( 連続でなくても良い ) 上限額に達した場合 4 回目以降 多数回 該当となり 上限額が下がる
高額療養費制度 (70 歳以上 ) は従来と変わらず 一般所得者の負担上限額が上がり 多数回該当時の上限額が設定された また 現役並み所得者の外来の負担上限額が上がった 平成 30 年 8 月 1 日から 現役並み所得者の細分化 ~ 平成 29 年 7 月まで 現在 平成 29 年 8 月 ~ 平成 30 年 7 月 平成 30 年 8 月 ~ 1 ヶ月あたりの負担上限額 1 ヶ月あたりの負担上限額 1 ヶ月あたりの負担上限額 外来 ( 個人ごと ) 外来 + 入院 ( 世帯ごと ) 多数回該当 (4 ヶ月目から ) 外来 ( 個人ごと ) 外来 + 入院 ( 世帯ごと ) 多数回該当 (4 ヶ月目から ) 外来 個人ごと 外来 + 入院 ( 世帯ごと ) 多数回該当 (4 ヶ月目から ) 現役並み所得者 ( 年収約 370 万円以上 ) 健保 : 標準報酬月額 28 万円以上国保 後期 : 課税所得 145 万円以上 80,100 円 +[1%] 1 57,600 円 80,100 円 +[1%] 1 年収約 1160 万円以上 年収約 770 万円以上 年収約 370 万円以上 252,600 円 +[1%] 2 140,100 円 167,400 円 +[1%] 3 93,000 円 80,100 円 +[1%] 1 一般所得者 14,000 円 57,600 円 18,000 円 57,600 円 ( 年収約 156 万 ~ 約 370 万円 ) 年収約 156 万円以上 12,000 円 年間上限 年間上限健保 : 標準報酬月額 26 万円以下約 370 万円未満国保 後期 : 課税所得 145 万円未満 144,000 円 144,000 円 住民税非課税 Ⅱ 住民税非課税 Ⅰ ( 年金 80 万円以下など ) 24,600 円 8,000 円 8,000 円 15,000 円 24,600 円 15,000 円 住民税非課税 Ⅱ 住民税非課税 Ⅰ ( 年金 80 万円以下など ) 8,000 円 24,600 円 15,000 円 4 一般所得者には 世帯収入の合計額が 520 万円未満 (1 人世帯の場合は 383 万円未満 ) の場合や 旧ただし書き所得 の合計額が 210 万円以下の場合も含まれる 1[1%]=( 医療費総額 -267,000 円 ) 1% 2[1%]=( 医療費総額 -842,000 円 ) 1% 3[1%]=( 医療費総額 -558,000 円 ) 1% 年収約 370 万円以上で外来 ( 個人ごと ) の設定がなくなる
医療保険制度における世帯の考え方 例 : 本人 50 歳 ( 国民健康保険加入 ) 父 75 歳 母 70 歳 妻 45 歳 ( 協会けんぽ加入 ) 子 17 歳 ( 妻の扶養 ) 住民票上の世帯 父 75 歳 後期高齢者医療制度 母が 75 歳になると後期高齢者医療制度になり 父と医療保険上の同一世帯となる 妻 45 歳 協会けんぽ 子 17 歳 本人 50 歳 国民健康保険 母 70 歳 本人の自己負担額だけでは高額療養費の対象にならない場合でも 医療保険における同一世帯である母の自己負担額を合算することで 対象となることもある 5
( 参考 ) 高額療養費制度 ( 世帯合算 ) 1 人 1 回分の自己負担で上限額を超えない場合でも 複数の医療機関の受診や 同じ医療保険上の世帯にいる人の受診について 窓口でそれぞれ支払った自己負担額を 1 ヶ月単位で合算することができる ただし 70 歳未満の受診は 1 レセプト当たり自己負担 21,000 円以上が合算対象となる 院外処方の場合は処方せん発行医療機関と薬局での自己負担合計が 21,000 円以上となれば合算対象となる 平成 29 年 8 月分 この例の場合 本人の自己負担額だけでは高額療養費の対象にならないが 医療保険における同一世帯である母の自己負担額を合算することで 対象となり一部が払い戻される 本人 50 歳ウ A 病院 ( 入院 ) 自己負担額 51,000 円 ( 医療費総額 170,000 円 ) 母 70 歳一般 D 診療所 ( 外来 ) 自己負担額 27,000 円 ( 医療費総額 135,000 円 ) B 診療所 ( 外来 ) 自己負担額 2,100 円 ( 医療費総額 7,000 円 ) C 薬局 ( 外来 ) 自己負担額 750 円 ( 医療費総額 2,500 円 ) E 薬局 ( 外来 ) 自己負担額 5,000 円 ( 医療費総額 25,000 円 ) F 病院 ( 入院 ) 自己負担額 50,000 円 ( 医療費総額 250,000 円 ) この例における合計支給額 49,770 円 詳細な計算式は次ページ 6 世帯合算における負担上限額の算出については 加入医療保険の事務所に要相談
( 参考 ) 世帯合算の計算例 平成 29 年 8 月分 本人 50 歳ウ B 診療所 ( 外来 ) 自己負担額 2,100 円 ( 医療費総額 7,000 円 ) 母 70 歳一般 E 薬局 ( 外来 ) 自己負担額 5,000 円 ( 医療費総額 25,000 円 ) A 病院 ( 入院 ) 自己負担額 51,000 円 ( 医療費総額 170,000 円 ) C 薬局 ( 外来 ) 自己負担額 750 円 ( 医療費総額 2,500 円 ) B 診療所 C 薬局分は 21,000 円未満なので合算できない 本人単独の自己負担額では高額療養費に該当しない D 診療所 ( 外来 ) 自己負担額 27,000 円 ( 医療費総額 135,000 円 ) F 病院 ( 入院 ) 自己負担額 50,000 円 ( 医療費総額 250,000 円 ) 170 歳以上の外来にかかった自己負担を個人単位で合算 27,000+5,000=32,000 32,000-14,000=18,000 支給額 1 270 歳以上の入院と外来にかかった自己負担を合算 14,000( 外来の限度額 )+50,000=64,000 64,000-57,600=6,400 支給額 2 370 歳以上の自己負担と 70 歳未満の自己負担を合算 51,000+57,600(70 歳以上限度額 )=108,600 80,100 +(170,000+135,000+25,000+250,000-267,000) 1% =80,100+3,130 =83,230 108,600-83,230=25,370 支給額 3 払戻額合計 18,000+6,400+25,370=49,770 B 診療所 C 薬局分は 21,000 円未満なので合算できない 7 母単独の自己負担額で高額療養費に該当し 更に自己負担額上限分を本人分に合算することができる
( 参考 ) 高額介護合算療養費制度平成 30 年 7 月末まで 医療保険と介護保険における1 年間 ( 毎年 8 月 1 日 ~ 翌年 7 月 31 日 ) の医療保険と介護保険の自己負担の合計額が高額な場合に自己負担を軽減する制度高額療養費制度と同様に医療保険上の世帯単位で合算できる平成 30 年 7 月末まで 後期 or 健保 or 国保 + 介護保険 (70 歳以上 ) 被用者保険又は国保 + 介護保険 (70 歳未満 ) 健保 : 標準報酬月額 83 万円以上国保 後期 : 課税所得 690 万円以上 年収約 1160 万円以上 212 万円 健保 : 標準報酬月額 53~79 万円国保 後期 : 課税所得 380 万円以上 年収約 770 万円以上 67 万円 141 万円 健保 : 標準報酬月額 28~50 万円国保 後期 : 課税所得 145 万円以上 年収約 370 万円以上 67 万円 健保 : 標準報酬月額 26 万円以下 国保 後期 : 課税所得 145 万円未満 年収約 156 万円以上 56 万円 60 万円 住民税非課税 Ⅱ 31 万円 住民税非課税 Ⅰ 年金収入 80 万円以下など 19 万円 34 万円 8 同一世帯に 70~74 歳と 70 歳未満が混在する場合は 高額療養費制度と同様 まず 70~74 歳の自己負担合算額に限度額を適用した後 残る負担額と 70 歳未満の自己負担合算額を合わせた額に限度額を適用
( 参考 ) 高額介護合算療養費制度平成 30 年 8 月以降 医療保険と介護保険における 1 年間 ( 毎年 8 月 1 日 ~ 翌年 7 月 31 日 ) の医療保険と介護保険の自己負担の合計額が高額な場合に自己負担を軽減する制度高額療養費制度と同様に医療保険上の世帯単位で合算できる 平成 30 年 8 月以降 70 歳以上の現役並み所得者について細分化し上限額を引き上げ 後期 or 健保 or 国保 + 介護保険 (70 歳以上 ) 被用者保険又は国保 + 介護保険 (70 歳未満 ) 健保 : 標準報酬月額 83 万円以上国保 後期 : 課税所得 690 万円以上健保 : 標準報酬月額 53~79 万円国保 後期 : 課税所得 380 万円以上健保 : 標準報酬月額 28~50 万円国保 後期 : 課税所得 145 万円以上健保 : 標準報酬月額 26 万円以下国保 後期 : 課税所得 145 万円未満 年収約 1160 万円以上 212 万円 212 万円 年収約 770 万円以上 141 万円 141 万円 年収約 370 万円以上 67 万円 67 万円 年収約 156 万円以上 56 万円 60 万円 住民税非課税 Ⅱ 31 万円 住民税非課税 Ⅰ 年金収入 80 万円以下など 19 万円 34 万円 9 同一世帯に 70~74 歳と 70 歳未満が混在する場合は 高額療養費制度と同様 まず 70~74 歳の自己負担合算額に限度額を適用した後 残る負担額と 70 歳未満の自己負担合算額を合わせた額に限度額を適用