untitled

Similar documents
地方公共団体の現状 ( 技術者 点検方法 ) 町の約 3 割 村の約 6 割で橋梁保全業務に携わっている土木技術者が存在しない 地方公共団体の橋梁点検要領では 遠望目視による点検も多く ( 約 8 割 ) 点検の質に課題あり 市区町村における橋梁保全業務に携わる土木技術者数 分類市 3 8% 92%

<4D F736F F F696E74202D F81798E9197BF A93B CC98568B8089BB91CE8DF482CC967B8A698EC08E7B82C982C282A282C4>

Microsoft Word - 01_建議(本文)(0414修正)

Microsoft PowerPoint - 新潟県道路メンテナンス会議説明資料

道路の老朽化対策に関する取組みの経緯 笹子トンネル天井板落下事故 [H ] トンネル内の道路附属物等の緊急点検実施 [H ] : ジェットファン 照明等 道路ストックの集中点検実施 [H25.2~] : 第三者被害防止の観点から安全性を確認 道路法の改正 [H25.6] :

Microsoft Word - 01_建議(本文)(0414修正)

§1 業務概要

講習会を企画する際に留意すべき点を挙げる 1) 定期点検要領 ( 案 ) への理解を深めること 2) メンテナンスサイクルという概念への理解 メンテナンスサイクルを定着させること 3) 受講者となる地方自治体職員の技術レベルを把握すること 4) 地方自治体職員が受講したい研修を自分で選ぶことが出来る

資料 7-1 特殊車両の通行に関する指導取締要領の一部改正について 国土交通省関東地方整備局道路部交通対策課 1 (1) 特殊車両通行許可制度 2

橋 梁 長 寿 命 化 修 繕 計 画

高浜町 橋梁長寿命化修繕計画 ( 第 2 期 ) 高浜町建設整備課

<322E318AEE91628E9197BF2E786C73>

< CF68A4A94C5288D828DAA91F292AC825189F196DA816A2E786477>

< F2D81698F CA7816A91E F189EF8B638E9F91E62E6A>

untitled

豊中市千里地区歩路橋長寿命化修繕計画 平成 29 年 8 月 豊中市

<8BB497C092B78EF596BD89BB8F C7689E681798CF6955C A5F F9096BC>

資料 1 3 小規模附属物点検要領 ( 案 ) の制定について Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

インフラ老朽化対策 10

近畿地方整備局福知山河川国道事務所 資料配付 配布日時 平成 22 年 10 月 28 日 14 時 00 分 件 名 まいづる国道 27 号舞鶴市市場 いちばあおばの青葉 おおはしにおける 大橋高欄 遮音壁取替工事のおしらせ ~ 昼間片側交互通行規制を行います ~ 概 要 福知山河川国道事務所では

<4D F736F F D2091E682508FCD816091E682528FCD95F18D908F912E444F43>

<4D F736F F F696E74202D F93B DB915382CC8DC58BDF82CC986291E B EF8B63816A205B8CDD8AB78

H28秋_24地方税財源

<4D F736F F F696E74202D20824F82565F8E9197BF335F F93B DB915382CC8DC58BDF82CC986291E B E

平成23年度

様式 1-1 池田町橋梁長寿命化修繕計画 平成 25 年 4 月 池田町役場建設水道課

社会資本の維持管理 更新 社会資本は日々の生活を支えるとともに 産業 経済活動の基盤であり 社会資本がその役割を十分果たすことができるよう 適切な維持管理 更新が必要 道路分野 河川分野 港湾分野 橋梁点検堤防巡視床版の打ち替え トンネル補修排水機場の補修水中溶接による電気防食の施工 1

義務化 支援策研究所及び土木研究所と連携した研究開発を推進 道路の老朽化対策の本格実施に関する取組状況 道路の老朽化対策の本格実施に関する提言 これまでの取組内容 [ 点検 診断] [ 措置] [ 予算] [ 体[ 技[ 国[ 記 橋梁 ( 約 70 万橋 ) トンネル ( 約 1 万本 ) 等は

Microsoft PowerPoint - 2_資料(最終訂正版1)

図 維持管理の流れと診断の位置付け 1) 22 22

- 目次 - 1. 長寿命化修繕計画の背景と目的 相馬市の概要 計画


社会資本整備審議会道路分科会建議 道路の老朽化対策の本格実施 に関する提言 平成 26 年 4 月 14 日 社会資本整備審議会道路分科会 1

本日の流れ 1. はじめに : 老朽化の取り組みの背景 2. 道路施設の老朽化を巡る動向について (1) 老朽化を巡る現状 (2) メンテナンスサイクルを確定 (3) メンテナンスサイクルを回す仕組みを構築 3. 北海道開発局が管理する道路施設の老朽化の現状と老朽化対策 (1) 道路施設の老朽化の現

Microsoft PowerPoint - 予防保全の取組みv3.pptx

22年5月 目次 .indd

相馬市 橋梁長寿命化修繕計画 平成 28 年 12 月 福島県 相馬市建設部土木課

市民皆様が安心して利用していただくために 佐伯市橋梁長寿命化修繕計画 佐伯市建設課 2018 年 12 月

資料 5 公共施設更新コスト試算 1 試算ケース ケース1: 旧耐震基準のうち 築 60 年以上は建替え それ以外は大規模改修 新耐震基準は老朽箇所修繕 耐用年数を 60 年と想定した場合 旧耐震基準の施設のうち 築 60 年以上の施設は 築 60 年が経過した施設から建替える 建替え対象以外の旧耐

Microsoft Word - 【外務省】インフラ長寿命化(行動計画)

<4D F736F F F696E74202D B182EA82A982E782CC95DC D836C A195E28DB2816A2E >

<4D F736F F F696E74202D20312D335F93B998488D5C91A295A88AC7979D959489EF93798CA4835A837E B90E096BE8E9197BF2E B8CDD8AB

別紙 割引停止措置等の実施方法について 高速道路 6 会社では 平成 29 年 4 月 1 日から車両制限令違反者に対する大口 多頻度割引の割引停止措置等を見直すにあたり NEXCO3 社ではETCコーポレートカード利用約款を改正し 首都高速道路 阪神高速道路 及び本州四国連絡高速道路 では 各社の

<4D F736F F D F30318BB497C092B78EF596BD89BB8F C7689E CF8D58292E646F63>

技術でつなぐ 100年橋梁 Inherited a bridge to after 100 years しっかりとした管理で後世に残す 100年橋梁を目指して 日本橋梁建設協会は平成26年に創立50周年を 迎えた この50年間に協会会員によって約23,000 橋の鋼橋を建設してきた わが国の鋼橋建設

目 次 1. 長寿命化修繕計画の背景と目的 背景 目的 2 1) 持続可能な維持管理体制の確立 2 2) 対症療法的な修繕から 予防保全的な修繕への転換 2 2. 長寿命化修繕計画の対象 ウイング21 大型ボックスカルバート 岩岳トンネル

PowerPoint プレゼンテーション

橋梁長寿命化修繕計画 ( 案 ) 平成 25 年 3 月 那覇市役所 建設管理部道路管理課

台東区橋梁長寿命化修繕計画 平成 30 年 3 月 台東区

資料 1 北海道道路メンテナンス会議 設立趣意書 我が国の道路施設等は 高度経済成長期における集中的な整備等を経て順次ストックとして蓄積され その機能を発揮してきたところである 今後 これらの補修や更新を行う必要性が急激に高まってくることが見込まれており 国 地方とも厳しい財政状況にあるなか いかに

平成 26 年度公共事業事後評価調書 1. 事業説明シート (1) ( 区分 ) 国補 県単 事業名道路事業 [ 国道橋りょう改築事業 ( 国補 )] 事業箇所南巨摩郡身延町波高島 ~ 下山地区名国道 300 号 ( 波高島バイパス ) 事業主体山梨県 (1) 事業着手年度 H12 年度 (2) 事

ii 21 Sustainability

<4D F736F F D AB93EA8CA793B EF8B B4B96F FC90B394C5816A2E646F6378>

勝浦市橋梁長寿命化修繕計画 平成 25 年 3 月 勝浦市都市建設課

<4D F736F F D2093B998488E7B90DD8AEE967B B835E8DEC90AC977697CC2E646F63>

国土技術政策総合研究所研究資料

PowerPoint プレゼンテーション

<ハード対策の実態 > また ハード対策についてみると 防災設備として必要性が高いとされている非常用電源 電話不通時の代替通信機能 燃料備蓄が整備されている 道の駅 は 宮城など3 県内 57 駅のうち それぞれ45.6%(26 駅 ) 22.8%(13 駅 ) 17.5%(10 駅 ) といずれも

4 健全度の把握及び日常的な維持管理に関する基本的な方針 健全度の把握の基本的な方針橋梁の長寿命化を図るため 定期点検要領に基づき5 年に1 回の定期点検を実施していきます また 定期点検の結果に基づく診断結果 ( 健全度 ) を長寿命化修繕計画に反映させていきます 日常的な維持管理に関する基本的な

<4D F736F F F696E74202D20819C817593B998488D5C91A295A882CC98568B8089BB82C98AD682B782E98EE DD E >

スライド 1

< F2D8F C7689E F97702E6A7464>

Microsoft PowerPoint - 02 関(HP用).pptx

笹子トンネル天井板落下事故 2012 年 12 月 2 日中央自動車道上り線笹子トンネル天井板のコンクリート板が約 130m にわたって崩落死亡者 9 名負傷者 2 名 Wikipedia より 原因 : 複合的な要因ずさんな点検天井板の設計の未熟さ施工不良 老朽化したインフラ施設に対する維持管理の

Microsoft PowerPoint - 03_HP掲載資料(詳細).pptx

資料 4 安全 安心の確保 ~ 道路の防災 震災対策 ~ Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism

0 事前準備 公共施設等の更新費用比較分析表作成フォーマット の作成に当たっては 地方公共団体の財政分析等に関する調査研究会報告書 公共施設及びインフラ資産の更新に係る費用を簡便に推計する方法に関する調査研究 における更新費用試算ソフト ( 以下 試算ソフト という ) を用います 試算ソフトは今回

スマートICの事業費の基準について

災害復旧制度の目的と沿革 目的 自然災害により被災した公共土木施設を迅速 確実に復旧する 対象施設 河川 海岸 砂防設備 林地荒廃防止施設 地すべり防止施設 急傾斜地崩壊防止施設 道路 港湾 漁港 下水道 公園 沿革 古くは明治 14 年より予算補助の形での国庫補助 明治 32 年 災害準備基金特別

1 見出し1

Microsoft Word _tomei_shuchu_WEB

<4D F736F F D CF6955C A97A4914F8D E738BB497C092B78EF596BD89BB8F C7689E D96A2969E816A>

岡崎市橋梁長寿命化修繕計画

高齢者住宅施策の現状と今後の方向性

スライド 1

☆表紙・目次 (国会議員説明会用:案なし)

1 見出し1

1 見出し1

1 首都直下地震の概要想定震度分布 (23 区を中心として震度 6 強の想定 ) 首都直下地震 想定震度分布 出典 : 中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ 首都直下地震の被害想定と対策について ( 最終報告 ) ( 平成 25 年 12 月 ) 2

目 次 Ⅰ. はじめに 1 Ⅱ. 本州四国連絡高速道路株式会社の役割 2 Ⅲ. 計画の範囲 2 1. 対象施設 2 2. 計画期間 2 Ⅳ. 対象施設の現状と課題 3 1. 高速道路の課題 3 2. 点検 診断 / 修繕 更新等 5 3. 基準類の整備 7 4. 情報基盤の整備と活用 8 5. 個別

中央建設業審議会による提言について ( 平成 24 年 3 月 14 日 ) 建設産業における社会保険の徹底について ( 提言 ) 建設産業においては 下請企業を中心に 雇用 医療 年金保険について 法定福利費を適正に負担しない企業 ( すなわち保険未企業 ) が存在し 技能労働者の医療 年金など

多様な入札 契約特集 2. 技術提案 交渉方式について 技術提案 交渉方式は, 品確法 第 18 条の規 定により, 発注者が, 当該工事の性格等により, 仕様を確定することが困難な場合に適用される 今回のケースでは, 北側復旧ルートは 1 日も早い完成が望まれるが, 本トンネルの十分な調査が完了し

Microsoft PowerPoint - 講演資料.ppt

Microsoft Word - 表紙

PowerPoint プレゼンテーション

平成 29 年度事業報告 ( 平成 29 年 4 月 1 日から平成 30 年 3 月 31 日まで ) 平成 29 年度事業の概要 当会計年度における県内の経済は 公共投資では大型案件の増加等により 景気は回復基調にありましたが 県が行う土木事業については 減少傾向にありました 平成 29 年度の

<817995F18D908E968D A B7B8E7392CA8A CF092CA88C D834F C982C282A282C481698CF6955C A>

施策の体系 本目標3 地域力と行政の連携がつくる人と地球に優しいまち179

各取組は PDCA サイクルを回し効果を評価し 目標が達成できない見通しとなったときは さらなる総量の縮減や取組 体制の強化等 基本方針等を見直します [ 図表 40] [ 図表 40:PDCA サイクル ] 計画修正 Action 計画修正 Action Plan Check 計画等修正 Acti

<4D F736F F F696E74202D EF8B638E9197BF82CC B A6D92E894C5816A E >

<4D F736F F D205B8A6D92E894C55D8E528C6093B9838A836A B B8D488E96928B96E B18ED490FC8B4B90A72E646F6378>

<4D F736F F D205B95BD90AC E93785D8AEE91628E9197BF8DEC90AC977697CC817C8E7392AC91BA AD6938C2E646F6378>

スライド 1

(第14回協議会100630)

一太郎 10/9/8 文書

3 流動比率 (%) 流動資産流動負債 短期的な債務に対する支払能力を表す指標である 平成 26 年度からは 会計制度の見直しに伴い 流動負債に 1 年以内に償還される企業債や賞与引当金等が計上されることとなったため それ以前と比べ 比率は下がっている 分析にあたっての一般的な考え方 当該指標は 1

橋りょうの予防保全型管理について

様式 ( その2) 状況写真 ( 損傷状況 ) 部材単位の判定区分がⅡ Ⅲ 又はⅣの場合には 直接関連する不具合の写真を記載のこと 写真は 不具合の程度が分かるように添付すること 上部構造 ( 主桁 ) 判定区分: Ⅰ 写真 1 床版 01 上部構造 ( 横桁 ) 判定区分: Ⅲ 写真 2 竪壁 0

< F2D E968BC681698E968CE3816A817A C8250>

公共工事等における新技術活用システムについて 別添 公共工事等に関する優れた技術は 公共工事等の品質の確保に貢献し 良質な社会資本の整備を通じて 豊かな国民生活の実現及びその安全の確保 環境の保全 良好な環境の創出 自立的で個性豊かな地域社会の形成等に寄与するものであり 優れた技術を持続的に創出して

Transcription:

県内国道の老朽化の現状報告 平成 27 年 2 月 18 日 関東地方整備局高崎河川国道事務所道路構造保全官牧野光芳

老朽化の現状 老朽化対策の課題 全国約 70 万橋の橋梁のうち 7 割以上となる約 50 万橋が市町村道にあり 建設後 50 年を経過した橋梁 (2m 以上 ) の割合は 10 年後には 43% と増加 緊急的に整備された箇所や水中部など立地環境の厳しい場所などの一部も構造物で老朽化による変状が顕在化し 地方公共団体管理橋梁では最近 5 年間で通行規制が 2 倍以上に増加 道路種別別橋梁数 市町村道約 520,000 橋 ( 約 75%) 50 年経過橋梁の割合 平成 25 年 18 % 橋梁 (2m 以上 ) 約 70 万橋 50 年経過橋梁 ( 約 71,000 橋 ) 10 年後 高速自動車国道約 14,000 橋 ( 約 2%) 直轄国道約 30,000 橋 ( 約 4%) 補助国道約 30,000 橋 ( 約 4%) 都道府県道約 100,000 橋 ( 約 15%) 平成 35 年 43 % 50 年経過橋梁 ( 約 171,000 橋 ) みはらしはし 重大な損傷の事例 ( 橋梁 ) 鋼製杭橋脚腐食 しんやました 見晴橋 ( 市道新山下第 8 号線 ) は 37 歳で損傷を発見 建設年度不明を除く この他 古い橋梁など記録が確認できない建設年度不明橋梁が約 30 万橋ある 1

地方公共団体管理橋梁では最近 5 年間で通行規制等が 2 倍以上に増加 2

3

4

道路の老朽化対策に関する取組みの経緯 笹子トンネル天井板落下事故 [H24.12.2] トンネル内の道路附属物等の緊急点検実施 [H24.12.7] : ジェットファン 照明等 道路ストックの集中点検実施 [H25.2~] : 第三者被害防止の観点から安全性を確認 道路法の改正 [H25.6] : 点検基準の法定化 国による修繕等代行制度創設 定期点検に関する省令 告示公布 [H26.3.31] :5 年に 1 回 近接目視による点検 道路の老朽化対策の本格実施に関する提言 [H26.4.14] 道路メンテナンス会議設立 [H26.4~] : 地方公共団体の取組みに対する体制支援 定期点検要領通知 [H26.6.25] : 円滑な点検の実施のための具体的な点検方法等を提示 定期点検に関する省令 告示施行 [H26.7.1] :5 年に 1 回 近接目視による点検開始 5

6

最後の警告 - 今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切れ 静かに危機は進行しているすでに警鐘は鳴らされている行動を起こす最後の機会は今 高度成長期に一斉に建設された道路ストックが高齢化し 一斉に修繕や作り直しが発生する問題について 平成 14 年以降 当審議会は 今後適切な投資を行い修繕を行わなければ 近い将来大きな負担が生じる と繰り返し警告してきた しかし デフレが進行する社会情勢や財政事情を反映して その後の社会の動きはこの警告に逆行するものとなっている 即ち 平成 17 年の道路関係四公団民営化に際しては高速道路の管理費が約 30% 削減され 平成 21 年の事業仕分けでは直轄国道の維持管理費を10~20% 削減することが結論とされた そして 社会全体がインフラのメンテナンスに関心を示さないまま 時間 が過ぎていった 国民も 管理責任のある地方自治体の長も まだ橋はずっとこのままであると思っているのだろうか この間にも 静かに危機は進行している 道路構造物の老朽化は進行を続け 日本の橋梁の 70% を占める市町村が管理する橋梁では 通行止めや車両重量等の通行規制が約 2,000 箇所に及び その箇所数はこの 5 年間で 2 倍と増加し続けている 地方自治体の技術者の削減とあいまって点検すらままならないところも増えている 今や 危機のレベルは高進し 危険水域に達している ある日突然 橋が落ち 犠牲者が発生し 経済社会が大きな打撃を受ける そのような事態はいつ起こっても不思議ではないのである 我々は再度 より厳しい言い方で申し 上げたい 今すぐ本格的なメンテナンスに舵を切らなければ 近い将来 橋梁の崩落など人命や社会システムに関わる致命的な事態を招くであろう と 平成 24 年 12 月 中央自動車道笹子トンネル上り線で天井板落下事故が発生 9 人の尊い命が犠牲となり 長期にわたって通行止めとなった 老朽化時代が本格的に到来したことを告げる出来事である この事故が発した警鐘に耳を傾けなければならない また昨今 道路以外の分野において 予算だけでなく メンテナンスの組織 体制 技術力 企業風土など根源的な部分の変革が求められる事象が出現している これらのことを明日の自らの地域に起こりうる危機として捉える英知が必要である 2005 年 8 月 米国ニューオーリンズを巨大ハリケーン カトリーナ が襲い 甚大な被害の様子が世界に報道された 実はこの災害は早くから想定されていた ニューオーリンズの巨大ハリケーンによる危険性は 何年も前から専門家によって政府に警告され 前年にも連邦緊急事態管理庁 (FE MA) の災害研究で その危険性は明確に指摘されていたのである にもかかわらず投資は実行されず 死者 1330 人 被災世帯 250 万という巨大な被害を出している 来るかもしれないし すぐには来ないかもしれない という不確実な状況の中で 現在の資源を将来の安全に投資する決断ができなかったこの例を反面教師としなければならない 橋やトンネルも 壊れるかもしれないし すぐには壊れないかもしれない という感覚があるのではないだろうか 地方公共団体の長や行政も まさか自分の任期中は という感覚はないだろうか しかし 私たちは東日本大震災で経 験したではないか 千年に一度だろうが 可能性のあることは必ず起こると 笹子トンネル事故で すでに警鐘は鳴らされているのだ 道路先進国の米国にはもう一つ学ぶべき教訓がある 1920 年代から幹線道路網を整備した米国は 1980 年代に入ると各地で橋や道路が壊れ使用不能になる 荒廃するアメリカ といわれる事態に直面した インフラ予算を削減し続けた結果である 連邦政府はその後急ピッチで予算を増やし改善に努めている それらの改善された社会インフラは その後の米国の発展を支え続けている 笹子トンネル事故は 今が国土を維持し 国民の生活基盤を守るために行動を起こす最後の機会であると警鐘を鳴らしている 削減が続く予算と技術者の減少が限界点を超えたのちに 一斉に危機が表面化すればもはや対応は不可能と なる 日本社会が置かれている状況は 1980 年代の米国同様 危機が危険に 危険が崩壊に発展しかねないレベルまで達している 笹子の警鐘 を確かな教訓とし 荒廃するニッポン が始まる前に 一刻も早く本格的なメンテナンス体制を構築しなければならない そのために国は 道路管理者に対して厳しく点検を義務化 し 産学官の予算 人材 技術のリソースをすべて投入する総力戦の体制を構築 し 政治 報道機関 世論の理解と支持を得る努力 を実行するよう提言する いつの時代も軌道修正は簡単ではない しかし 科学的知見に基づくこの提言の真意が この国をリードする政治 マスコミ 経済界に届かず 危機感を共有 できなければ 国民の利益 は確実に失われる その責はすべての関係者が負わなければならない 社会資本整備審議会道路分科会建議 道路の老朽化対策の本格実施に関する提言 ( 平成 26 年 4 月 14 日 ) 7

維持管理における技術基準の体系 8

維持管理における技術基準の体系 9

維持管理における技術基準の体系 10

老朽化対策の概要 11

群馬県内の取り組みと 国土交通省管理国道の状況

地域メンテナンス協議会 ( 仮称 ) について 地方公共団体の三つの課題 ( 人不足 技術力不足 予算不足 ) に対して 国が各都道府県と連携して 支援方策を検討するとともに それらを活用 調整するため 地域メンテナンス協議会 ( 仮称 ) を設置 現状の問題点 地方公共団体における三つの課題 ( 人不足 技術力不足 予算不足 ) により 点検が進まない 点検結果の妥当性確認ができない 適切な修繕等が実施できない 新たな対応案 国が各都道府県と連携し 地域メンテナンス協議会 ( 仮称 ) を設置 メンテナンス業務の地域一括発注を実施 道路メンテナンス技術集団 ( 仮称 ) の技術支援調整を実施するなど 各種支援制度の活用 調整等を協議会がマネジメント メンテナンスを回す仕組みの概念図 地域メンテナンス協議会 ( 仮称 ) ( 事務局 : 国の事務所 県 ) が様々な支援策をマネジメント 技術支援調整 技術力不足 道路メンテナンス技術集団 ( 仮称 ) 地方公共団体向け研修の充実 修繕等代行 跨道橋の点検受託等 人不足 メンテナンス業務の地域一括発注 点検結果の確認 ( 一定の品質確保 ) 支援実施状況や配分方針の共有 活用する支援メニューの調整優先順位を踏まえた点検計画の調整 予算不足 健全度 ( 点検結果 ) 重要度に応じたさらなる重点配分 道路メンテナンス技術集団 ( 仮称 ) の支援を受けた点検等 大規模修繕を対象とした新たな支援制度の検討 12

全国に先がけ 群馬県内の全道路施設で 5 ヵ年の点検計画を策定 < 道路管理者別内訳 > 道路管理者 道路橋 道路トンネル シェッド 大型カルバート 歩道橋 門型標識 東日本高速道路 ( 株 ) 509 橋 25 箇所 0 基 164 基 0 橋 63 基 国土交通省 282 橋 3 箇所 14 基 12 基 64 橋 33 基 群馬県 3,218 橋 65 箇所 63 基 6 基 118 橋 13 基 市町村 11,399 橋 44 箇所 6 基 10 基 36 橋 3 基 計 15,408 橋 137 箇所 83 基 192 基 218 橋 112 基 年度別の計画は別紙を参照 13

群馬県 道路橋点検計画 平成 26 年 11 月 28 日現在 ( 単位 : 橋 ) 管理者名 H 26 H 27 H 28 H 29 H 30 合計 東日本高速道路 ( 株 ) 12 5 95 68 329 509 国土交通省 49 37 49 73 74 282 群馬県 1,000 900 211 540 567 3,218 35 市町村計 883 3,163 2,088 2,070 3,195 11,399 合計 1,944 4,105 2,443 2,751 4,165 15,408 14

15 高崎河川国道事務所管内道路橋の管理概要 河川高崎国道事務所は 一般国道 3 路線を ( 総延長 209.9km) を管理しています 計画の対象橋梁 路線名国道 17 号国道 18 号国道 50 号合計 延長 (km) 132.0 42.1 35.8 209.9 長寿命化修繕計画は 高崎河川国道事務所が管理する道路橋 271 箇所を対象にします 管理橋梁数 ( 路線別 ) 管理橋梁数 ( 管内別 )

16 管内橋梁の管理規模 高崎河川国道事務所が管理する道路橋は 271 橋あり そのうち鋼橋が 47% PC 橋が 29% RC 橋が 18% を占めています 橋種別の橋梁箇所数 構造形式別の橋梁箇所数 管理橋梁 鋼橋 PC 橋 RC 橋その他 管理橋梁桁橋床版橋 トラス橋 アーチ橋 ラーメン橋 その他 271 橋 47% 29% 18% 6% 271 橋 63% 27% 1% 2% 1% 6% 平成 26 年 4 月時点 一つの橋で橋種が複数の場合は その他 として計上しています 一つの橋で構造形式が複数の場合は その他 として計上しています 平成 26 年 4 月時点 橋種別の橋梁箇所数 構造形式別の橋梁箇所数 全橋梁 271 箇所 全橋梁 271 箇所

17 管内橋梁の管理規模 高崎河川国道事務所が管理する道路橋は 橋長 15m(14.5m) 未満の橋梁が 30% 100m 以上の橋梁が 2 4% となっています 橋長 100m 以上の橋梁数は全体の 24% だが 延べ橋長では 80% を占めています 橋長階級区分別の橋梁箇所数 延長 管理橋梁 15m 未満 15~20m 未満 20~30m 未満 30~50m 未満 50~100m 未満 100~200m 未満 200m 以上 箇所比 30% 8% 16% 13% 9% 11% 13% 延長比 2% 1% 5% 5% 7% 18% 62% 橋長階級区分別の箇所数 橋長階級区分別の延長 全橋梁 271 箇所 全橋梁 271 箇所

18 橋梁の建設後の経過年数 現在 高崎河川国道事務所が管理する道路橋 271 箇所のうち 一般に高度経済成長期と言われる 1955 年から 1 973 年にかけて 全体の 39% である約 107 箇所が建設されています 今後これらの高齢化が一層進展していくことから 集中的に多額の修繕 掛替え費用が必要となることが懸念されます 橋梁数 % 建設年度別の橋梁箇所数の分布 高度成長期建設 107 箇所 % 建設年度

19 高崎河川国道事務所が管理する建設後 50 年以上経過した橋梁数の全体に占める割合は 現在の 25% から 20 年後には 56% まで急激に増加します 建設後の経過年数内訳 ( 平成 26.4 月時点 ) 全橋梁 271 箇所 建設後 50 年以上の橋梁箇所数の増加 ( 平成 26.4 月時点 ) 現在 2014 年 10 年後 2024 年 20 年後 2034 年 全橋梁 271 箇所 全橋梁 271 箇所 全橋梁 271 箇所

20 管内橋梁の定期点検の実施状況 定期点検の実施状況 橋梁定期点検要領 ( 案 ) 平成 16 年 3 月 に基づき平成 15 年度より管理橋梁の点検を実施 年間点検数は概ね 50~60 橋 平成 26 年度は橋梁定期点検要領 平成 26 年 6 月 に基づき実施 定期点検の実施数 H26.4 月時点

21 点検の方法 定期点検は 近接目視により行うことを基本とする そのため 橋梁の架橋条件 ( 橋の下が河川 道路 鉄道など ) や橋の形式により近接目視が可能な点検方法により行います

22 管内橋梁の対策の実施状況 橋梁補修 対策の実施状況 1 巡目の点検にて 要対策とされた 92 箇所について 速やかに補修が必要とした箇所等 72 箇所を完了 残る未対策箇所については 5 年以内に対策を完了するように計画的に取り組みます 橋梁補修の実施状況 H26.4 月時点 全橋 定期点検 要対策橋 対策完了 済 ( 平成 25 年度末 ) 271 箇所 264 箇所 92 箇所 72 箇所 対策不要 未対策 ( 平成 25 年度末 ) 172 箇所 20 箇所

国道の点検調書

23

24

25

26

27

28

29

30

31

32

33