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平成 30 年 7 月 27 日 ( 表題 ) 台風第 12 号の接近に伴う農作物被害技術対策情報について ( 担当 ) 佐賀北部農業技術者連絡協議会事務局 気象庁によると台風第 12 号は 現在 ( 平成 30 年 7 月 27 日 6 時 45 分 ) 硫黄島の南 東約 80km を北東に向かっ

作物ごとの対策については 以下のとおりです 水稲 水稲に対する日照不足の影響で最も懸念されることはいもち病の発病であり 出穂期以降では登熟障害 いわゆる白未熟の発生が懸念される また 大雨により河川の水位が高くなり 排水路の水が河川に放流できずに冠水被害をもたらすことがある これらを考慮して健全な生

予報 岡病防第16号

Ⅰ 収穫量及び作柄概況 - 7 -

今後の管理のポイント [懸案事項] ①早期作型における2番花 房の花芽分化遅延 ②炭そ病とハダニ類の発生 拡大 [対策] ①寒冷紗を被覆して 花芽分化を誘導する 2番花房 の花芽分化を確認して被覆を除去する 被覆期間の目安 9月25 10月20日 ②定期的に薬剤による防除を行う 特に葉かぎ後の 葉か

仙台稲作情報令和元年 7 月 22 日 管内でいもち病の発生が確認されています低温 日照不足によりいもち病の発生が懸念されます 水面施用剤による予防と病斑発見時の茎葉散布による防除を行いましょう 1. 気象概況 仙台稲作情報 2019( 第 5 号 ) 宮城県仙台農業改良普及センター TEL:022

圃場試験場所 : 県農業研究センター 作物残留試験 ( C-N ) 圃場試験明細書 1/6 圃場試験明細書 1. 分析対象物質 およびその代謝物 2. 被験物質 (1) 名称 液剤 (2) 有効成分名および含有率 :10% (3) ロット番号 ABC 試験作物名オクラ品種名アーリーファ

台風15号技術対策資料 H24年8月27日

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日照不足技術対策資料 H18,5.26

Microsoft Word - ⑦内容C【完成版】生物育成に関する技術.doc

病害虫発生予察情報(11月予報)

4. 台風通過後の対策として 適時適切な防除を心掛けること 特に 都道府県病害虫防除所から発表される発生予察情報に基づき適期防除に努めること 作目別対策 1. 園芸作物全般 (1) 事前の対策ア. 台風が接近する前に施設やほ場周辺の点検 排水路の清掃を行うこと イ. 温室 育苗 集荷施設等については

PowerPoint プレゼンテーション

5月の病害虫発生予想と防除のポイント

**************************************** 2017 年 4 月 29 日 日本植物病理学会殺菌剤耐性菌研究会 耐性菌対策のための DMI 剤使用ガイドライン 一般的な耐性菌対策 1. 薬剤防除だけに頼るのではなく 圃場や施設内を発病しにくい環境条件にする 1)


排水対策の実施例 暗渠がある場合排水がよいほ場 排水が悪いほ場 周囲明渠 弾丸暗渠 心土破砕は 2 ~5m おきに行う 周囲明渠は深さ 30 cmを確保する 周囲明渠は排水口に確実に接続する 弾丸暗渠本暗渠 暗渠がない場合排水がよいほ場 排水がよく 長辺が長いほ場 100m 以 ほ場内排水溝は4 ~

4 パイプ埋め込み部分が水で緩くならないよう ハウス周囲の排水溝を点検して手直しする 5 強風により 資材 木片 小石等が飛来して被覆資材が破損しないように 施設周辺を清掃しておく 6 生育中の野菜がない簡易パイプハウスなどでは被覆資材を巻き上げて軒の部分にくくり付ける 7 鉄道沿線や幹線道路沿いの

表紙

農業気象技術対策資料


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バンカーシート 利用マニュアル 2017年版(第一版)

元高虫防第 139 号令和元年 7 月 4 日 各関係機関長様 高知県病害虫防除所長 病害虫発生予察情報について 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報及び令和元年度予報 4 号 (7 月 ) を送付します 令和元年度病害虫発生予察 6 月月報 Ⅰ. 気象概況半旬 (6 月 ) 平均気温最高気温最低気

(Taro-0390\203T\203C\203l\203\212\203A.jtd)

Microsoft Word 予報第9号

Ⅱ 今後の管理について 1 水管理について (1) 気象変動に対応した水管理 幼穂形成期に入ったら間断かん水 出穂期から開花期にかけては湛水管理 その後は間断 かん水が水管理の基本になりますが 気象変動に対応した水管理を心がけましょう 1 減数分裂期の低温 減数分裂期 ( 葉耳間長 ±0cm 出穂期

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スプレーストック採花時期 採花物調査の結果を表 2 に示した スプレーストックは主軸だけでなく 主軸の下部から発生する側枝も採花できるため 主軸と側枝を分けて調査を行った 主軸と側枝では 側枝の方が先に採花が始まった 側枝について 1 区は春彼岸前に採花が終了した 3 区 4 区は春彼岸の期間中に採

1 著者が長い間研究してきた核果類(モモ スモモ オウトウ)のうち スモモとオウトウは結実が不安定で いかに安定して結実させるかが大きな課題になっている これに対し モモの結実確保は比較的容易だが 食味のばらつき を指摘されることが多い 品質の揃った果実を安定してとる モモではこれが課題であり 実現

日照不足技術対策資料 H18,5.26

Taro-02.台風対策(野菜)

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

新梢では窒素や燐酸より吸収割合が約 2 分の1にまで低下している カルシウム : 窒素, 燐酸, カリとは異なり葉が52% で最も多く, ついで果実の22% で, 他の部位は著しく少ない マグネシウム : カルシウムと同様に葉が最も多く, ついで果実, 根の順で, 他の成分に比べて根の吸収割合が高い

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図 2 水稲栽培における除草剤処理体系 追肥による充実不足 白粒対策 ~ 生育後半まで肥切れさせない肥培管理 ~ 図 3 追肥作業は 水稲生育中 後期の葉色を維持し 籾数及び収量の確保と玄米品質の維持に重要な技術です しかし 高齢化や水田の大区画化に伴い 作業負担が大きくなり 追肥作業が困難になりつ

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水稲いもち病当面の対策                   

麦 類 生 育 情 報

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カンキツの土づくりと樹勢回復対策 近年高品質果実生産のために カンキツ類のマルチ栽培や完熟栽培など樹体にストレスをかける栽培法が多くなっています それにより樹体への負担が大きく 樹勢が低下している園地が増えています カンキツ類を生産するうえで樹が適正な状態であることが 収量の安定とともに高品質生産の

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11月表紙

コシヒカリの上手な施肥

目 的 大豆は他作物と比較して カドミウムを吸収しやすい作物であることから 米のカドミウム濃度が相対的に高いと判断される地域では 大豆のカドミウム濃度も高くなることが予想されます 現在 大豆中のカドミウムに関する食品衛生法の規格基準は設定されていませんが 食品を経由したカドミウムの摂取量を可能な限り

営農のしおり(夏秋キク)

ネギ 防除法

「公印省略」

Taro-ホームページ原稿(暖候期対

ジベレリン協和液剤 ( 第 6006 号 ) 2/ 年 6 月 13 日付け 25 不知火 はるみ 3 回以内 水腐れ軽減 0.5 ~1ppm 500L/10a 着色終期但し 収穫 7 日前まで 果実 ぽんかん 水腐れ軽減 0.5ppm 500L/10a 着色始期 ~4 分

取組の詳細 作期の異なる品種導入による作期分散 記載例 品種名や収穫時期等について 26 年度に比べ作期が分散することが確認できるよう記載 主食用米について 新たに導入する品種 継続使用する品種全てを記載 26 年度と 27 年度の品種ごとの作付面積を記載し 下に合計作付面積を記載 ( 行が足りない

H25 農作物技術情報第5号 果樹(H )

表 30m の長さの簡易ハウス ( 約 1a) の設置に要する経費 資材名 規格 単価 数量 金額 キュウリ用支柱 アーチパイプ ,690 直管 5.5m 19mm ,700 クロスワン 19mm 19mm ,525 天ビニル 農 PO 0.1mm

平成19年度事業計画書

Taro 浸・冠水対策

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3 園芸作物 < 果菜類 > 1-1 トマト [ ハウス ] ア導入すべき持続性の高い農業生産方式の内容 トマトは主に道央 道南および道北の施設で栽培され 作型は促成 ( ハウス加温 マルチ ) 半促成 ( ハウス マルチ ) 抑制 ( ハウス ) などである 品種は 桃太郎 ハウス桃太郎 桃太郎

高温干ばつ対策 H20 7/25

PowerPoint プレゼンテーション

1 作物名     2 作付圃場 3 実施年度   4 担当

園芸殺菌剤 Z ボルドー [ 銅 和剤 ] 農林 産省登録有効成分 性状 第 号塩基性硫酸銅 58.0%( 銅として 32.0%) 淡 緑 和性粉末 45μm 以下 毒性 : 普通物 ( 毒劇物に該当しないものを指していう通称 ) 危険物 :- 有効年限 :5 年 包装 :500g 20

隔年結果

2 ブドウの病害虫

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あたらしい 農業技術 No.510 環境にやさしい柑橘の草生栽培 平成 20 年度 - 静岡県産業部 -

Ⅱ りんご生産情報 1 果実肥大 作業の進み (1) 果実肥大 9 月 11 日現在の果実肥大は 概ね平年並みから平年を上回っている 果実肥大 (9 月 11 日現在 横径 :cm 平年比:%) 地 域 年 つがる ジョナゴールド ふ じ 本 年 黒 石 平 年 (

作業別の留意事項 ここに紹介します留意事項は りんごを栽培する際に特に留意すべき内容を列記したものです また 栽培方法によっては該当しない内容も含まれます 実際の栽培にあたっては 地域の普及指導センターや JA 等に問い合わせいただき 園地条件や品種に適した施肥設計 栽培方法等に基づき栽培してくださ

30年防除基準.indb

農業技術支援室情報

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平成の主な気象災害

p1_10月月報用グラフ

わかっていること トマトすすかび病について

資料6 (気象庁提出資料)

出た ) 後に除草剤散布を行う b. 雑草の生育が早く 水稲の生育が回復するまでに処理適期を逃した場合は 中後期剤での処理に切り替える c. 散布時の水位や水温によっては薬害の発生が懸念されるので 使用基準を守って散布する 特に ジャンボ剤やフロアブル剤の場合は水位に注意する ウ生育回復後の水管理

Taro-農業被害の概要

1 台風通過後は降雨の状況に応じ 入排水を行なう 2 茎葉の損傷により根の老化が進むので台風通過後は毎日通水するなど間断通水の間隔を短くし 根の機能維持に努める また 可能であれば夜間通水を行なうなどきめ細かな水管理を実施する 3 塩水が水田に侵入した場合は 速やかに塩水を排出し 淡水の散水や入水に

Ⅲ-3-(1)施設花き

リンゴ黒星病、うどんこ病防除にサルバトーレME、フルーツセイバーが有効である

梢の発生が期待できるよう9月には必ず仕上げ摘果を徹底し 適正葉果比に仕上げましょう 着果量が中庸以上の樹では早生温州では9月中 普通温州では10 月上旬までに行いましょう(表2) ⑴着果過多樹着果量が多く肥大が悪い樹は 商品性の低い小玉果や傷果 病害虫被害果を中心に早急に

平成16年度農作物有害動植物発生予察情報

果樹の生育概況

(Microsoft Word - H24\202\324\202\307\202\244\213K\212i.doc)

H27年度2月表紙チンゲンサイ白さび病

メラレウカ苗生産技術の検討 供試品種は レッドジェム, レボリューションゴールド を用い, 挿し木を行う前日に枝を採取し, 直ちに水につけ持ち帰り, 挿し穂の基部径を 0.8~1.2mm,1.8~2.2mm,2.8~3.3mm で切り分けた後, 長さ約 8cm, 基部から 3cm の葉を除いた状態に

H26 中予地方局産業振興課普及だより 新技術情報 -1 いちご新品種 紅い雫 ( あかいしずく ) 1. 紅い雫 の来歴県農林水産研究所が育成したいちご新品種 紅い雫 は あまおとめ ( 母親 ) 紅ほっぺ ( 父親 ) の交配により誕生し 平成 26 年 6 月 25 日に品種登録出願されました

高品質米の生産のために

凛々子 に異変はないか 毎日観察しましょう 凛々子 の様子がおかしいと思ったら 病虫害か生育不良を疑いましょう 雨の多い梅雨時期には カビやウイルスによる感染で 病気になることがあります また 肥料が少なかったり 多かったりすると 生育不良が起こりやすくなります 毎日観察して 凛々子 に異変があった

窒素吸収量 (kg/10a) 目標窒素吸収量 土壌由来窒素吸収量 肥料由来 0 5/15 5/30 6/14 6/29 7/14 7/29 8/13 8/28 9/12 9/ 生育時期 ( 月日 ) 図 -1 あきたこまちの目標収量確保するための理想的窒素吸収パターン (

エチレンを特定農薬に指定することについてのこれまでの検討状況 1 エチレンについて (1) 検討対象の情報 エチレン濃度 98.0% 以上の液化ガスをボンベに充填した製品 (2) 用途ばれいしょの萌芽抑制のほか バナナやキウイフルーツ等の果実の追熟促進を目的とする 2 検討状況 (1) 農林水産省及

白 ネ ギ

9 月の技術対策 Ⅰ 安全 安心な農産物生産及び環境保全型農業の推進 1 安全 安心な農作物の生産 P1~2 2 農薬の飛散 ( ドリフト ) 防止 3 農産物の適切な取扱い 4 環境保全型農業への積極的な取組み 5 農作物残さ等の適正処理の推進 Ⅱ 台風対策 1 共通 P3~4 2 稲作 3 畑作


9 月の技術対策 Ⅰ 安全 安心な農産物生産及び環境保全型農業の推進 1 安全 安心な農作物の生産 P1~2 2 農薬の飛散 ( ドリフト ) 防止 3 農産物の適切な取扱い 4 環境保全型農業への積極的な取組み 5 農作物残さ等の適正処理の推進 Ⅱ 台風対策 1 共通 P3~5 2 稲作 3 畑作

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附則この要領は 平成 4 年 1 月 16 日より施行する この要領は 平成 12 年 4 月 3 日より施行する この要領は 平成 30 年 4 月 1 日より施行する 2

1 課題 目標 山陽小野田市のうち 山陽地区においては 5 つの集落営農法人が設立されている 小麦については新たに栽培開始する法人と作付面積を拡大させる法人があり これらの経営体質強化や収量向上等のため 既存資源の活用のシステム化を図る 山陽地区 水稲 大豆 小麦 野菜 農業生産法人 A 新規 農業

     くらぶち草の会の野菜、畑作栽培技術

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Transcription:

季節 季節情報 No.1 平成 30 年 5 月 29 日 梅雨期の農作物栽培技術対策について 岡山県農林水産総合センター岡山県農業気象技術連絡会議 梅雨期 梅雨入り ( 昨年 :6 月 20 日頃 平年 :6 月 7 日頃 ) 梅雨明け ( 昨年 :7 月 13 日頃 平年 :7 月 21 日頃 ) を迎えるにあたり 長雨及び日照不足による農作物への影響が懸念されます また 平成 30 年 5 月 24 日広島気象台発表の中国地方の 1 か月予報でも 向こう一か月は降水量は平年並みまたは多い確率ともに 40% 日照時間は平年並みまたは少ない確率ともに 40% と平年に比べ晴れの日が少なく 曇りや雨の日が多いとなっています つきましては 今後の気象状況や農作物の生育状況に十分注意し 本対策を参考に適切な技術指導をお願いします 1 水稲 (1) 全域 大雨等で冠水した場合は 水面上に葉が出るように排水に努める 湛水状態が続くと土壌中でガスの発生が多くなるので 梅雨の合間を見て中干しを行う 中干し後は間断かんがいにより 根腐れ防止に努める (2) 県南部 除草剤散布後に大雨が予想される場合は 散布時期を遅らせる ジャンボタニシの発生水田では 田植え後 20 日間の浅水管理や薬剤防除などの対策を行う (3) 県中部 県北部 低温が予想される場合は 穎花分化期 ( 出穂前 24 日頃 ) から 10cm 程度の深水管理を実施する さらに減数分裂期 ( 出穂前 12 日頃 ) に 17 以下の低温が予想される場合は 冷害の発生が懸念されるため 15cm 以上の深水にして幼穂を保護する 梅雨期後半は いもち病が発生しやすい気象条件になりやすく 苗箱施用した薬剤の効果が低下する時期なので 初発生を認めたら直ちに薬剤防除を行う また 補植用苗 余り苗は伝染源となるので 直ちにほ場から除去する 2 麦類 週間天気予報等を参考に計画的な収穫作業を行う 二条大麦の刈り遅れは退色粒 カビ粒 剥皮粒等の発生により品質が低下するので 遅滞なく刈り取る 小麦は 高水分の穀粒を収穫すると損傷粒が多くなり 刈り遅れると降雨にあう機会が増え 退色粒 発芽粒 くされ粒などが発生し品質が低下するので 適期収穫に努める 倒伏や病害等で品質低下がみられたほ場は必ず仕分け収穫を行う また 共同乾燥調製施設を利用する場合は 全体の品質を低下させないために必ず仕分け乾燥を行う 高水分時の乾燥は熱損粒が発生することが多いので 送風温度はやや低めから始め 水分の低下とともに徐々に温度を上げる - 1 -

3 大豆 播種や移植作業を円滑に行うため 早めにほ場の準備を行い 額縁明きょに加え ほ場内に排水溝を設置し 排水性を高める 大豆は播種直後にまとまった降雨があると発芽不良になりやすいので 降雨が予想される場合は播種を遅らせるなど 週間天気予報等に留意しながら播種を行う 播種と除草剤 ( 土壌処理剤 ) 散布は一貫作業で行い 初期の雑草発生を確実に抑える 降雨が続き 中耕 培土作業ができない場合は 必要に応じて除草剤 ( 茎葉処理剤 ) の散布を行う 4 果樹 (1) もも ももは湿害に弱いので 園地周辺の排水路や明きょの点検 整備を実施することで 停滞水を速やかに排除する 昨年 生理的落果が多かった園地では 核割れ対策のための防水マルチ (4 4 メートル 透湿性の多孔質資材 ) を硬核期前から敷設する 果実の品質低下を防ぐため 収穫の 20 日前から樹冠下に防水マルチを敷設する ただし 土壌が乾きすぎる場合はかん水する 収穫後には速やかにマルチを除去する 新梢が徒長して樹冠内が暗くなっている樹では 摘心や枝吊り等の枝管理を徹底して 結果部位の日当たりの向上に努める 雨が続き病害の発生が懸念されるので 袋掛け前の防除を徹底する (2) ぶどう ( ハウス栽培 ) ハウス内に雨水が入らないように点検 整備を行う また ハウス内の湿度が高くならないように換気に努める 加温機があるハウスでは稼動して 湿度の低下を図る 樹勢が低下している園では 結実後早めに摘粒や着果量の調節を行う 硬核期に梅雨の晴れ間の高温が予想される場合には シミ や 縮果症 などの生理障害が発生しやすいので 換気に努める アレキでは石灰乳 遮光材 寒冷紗による遮光やカサかけを行う 灰色かび病等の防除を徹底するとともに 裂果や腐敗果は除去する (3) ぶどう ( 簡易被覆栽培 ) 園内の停滞水を速やかに排除するため 園地周辺の排水路や明きょの点検 整備を実施する 開花期の天候が悪く結実が心配される場合は ジベレリンにフルメット液剤を加用して結実を確保する 花冠が残っていると灰色かび病が発生しやすいため できるだけ取り除く 樹勢が低下している園では 結実後は早めに摘粒や着果量の調節を行う 灰色かび病 べと病 晩腐病等の防除を徹底する また袋掛けを早めに実施する (4) なし 園内の停滞水を速やかに排除するため 園地周辺の排水路や明きょの点検 整備を実施する 梅雨期は新梢が徒長しやすいので 摘心 誘引などの枝管理を実施して 樹冠内部の日当たりをよくする 将来 側枝として活用できる発育枝は 6 月下旬 ~7 月上旬に 45 度程度に誘引する 変形果 小玉果がみられる園では 早めに結果量調節を行い 果実肥大を促す なお 結果量が少ない場合は新梢が徒長しないように枝管理を徹底する 袋掛け前までに黒星病等の防除を徹底する - 2 -

5 野菜 (1) トマト 雨よけなどの施設栽培では 施設内に雨水が浸入しないよう 施設周囲に排水溝を整備する 排水溝とその周囲にポリフィルムを敷設すると 土砂の流入を軽減できる 曇雨天が続く場合は 心止まりや根傷みに注意し 施肥量やかん水量を調節する 芽かぎ 誘引 追肥を遅れないように実施する ただし 降雨直前及び降雨中は芽かぎ 誘引をひかえる 5~6 段花房あたりに異常主茎による心止まりが発生する場合があるので 4~5 段花房あたりの腋芽を一つ残しておく 訪花昆虫を導入しているほ場でも 曇雨天が続き花質が低下した場合は 着果促進処理を行う また 灰色かび病やすすかび病 葉かび病等の早期防除を徹底する (2) きゅうり 停滞水による根腐れを防止するため ほ場やハウス周囲の排水溝を点検 整備し 排水対策を行う 梅雨期に定植する作型では 計画どおり定植できるように 早めに耕耘 畝立てを済ませ ポリマルチや古ビニ - ルで畝の表面を覆っておく 整枝 誘引を早めに行い 通風 採光を良くする ただし 降雨直前及び降雨中は 整枝 誘引をひかえる べと病 褐斑病 炭疽病 うどんこ病等の早期防除を徹底する 病害に侵された葉は早めに摘みとってほ場外に持ち出し 伝染源を除く (3) なす 停滞水による根腐れを防止するため ほ場周囲の排水溝を点検 整備し 排水対策を行う 光量不足になりやすいので 整枝 摘葉を適正に行い 採光をよくする ただし 降雨直前及び降雨中は整枝 摘葉をひかえる 肥切れをさせないよう追肥を行い 草勢を維持する 過湿状態から乾燥状態へと土壌水分の急激な変動によって日焼け果 つやなし果が発生しやすいので 土壌水分の管理に留意する 曇雨天が続き花質が低下した場合は 着果促進処理を行う また 灰色かび病や褐色腐敗病等の早期防除を徹底する (4) かぼちゃ 停滞水による根腐れを防止するため ほ場周囲の排水溝を点検 整備し 排水対策を行う 疫病 うどんこ病等の早期防除を徹底する 草勢が弱い場合には速効性肥料の追肥を行い 草勢を強めて果実の肥大を促す 追熟中に疫病等による腐敗果の発生が心配されるので 選果と貯蔵中の管理を厳重にする (5) いちご 育苗ポットの過湿による根腐れや疫病等の発生を抑えるため 育苗ポットの設置場所の排水対策を行う 具体的にはポットを並べる場所に傾斜をつけ 表面排水がスムーズになるように専用シート等を敷いて土の跳ね返りを防ぐ ポットの培土が固結するようなら ポットの腹をつまんで軽くほぐす 降雨の合間にうどんこ病 炭疽病等の防除を行う (6) アスパラガス 停滞水による根腐れを防止するため ほ場周囲の排水溝を点検 整備し 排水対策を行う 1 株あたり 4 本程度を立茎し 障害茎は直ちに立て替える - 3 -

倒伏防止と風通しをよくするため 茎葉 ( 親茎 ) が伸びきったら 晴天日に畝面から 140~150cm の高さで摘心する 立茎開始直前から定期的に茎枯病の防除を徹底する 茎枯病が発生した場合は 被害茎葉を地際部から抜き取り ほ場外に持ち出し処分する (7) だいこん ほ場周囲の排水溝を整備し 排水対策を徹底する 土づくりを十分に行い 播種準備を早めにして計画的に播種する 降雨の合間をみてキスジノミハムシや軟腐病等の適期防除に努める 6 花き (1) りんどう ほ場周囲の排水溝を点検 整備し 過湿による根の傷みを防ぐ 降雨後 ほ場内の停滞水を速やかに排除する 葉枯病 褐色病 灰色かび病等の病害が発生 増加しやすいので 薬剤散布による予防に努める 不要な側枝の発生等により過繁茂になっている部分は整理を行い 風通しを良くする カルシウム欠乏による葉先枯れの発生が見られるので 発生が予測される時はカルシウム剤の葉面散布を行っておく 急速に草丈が伸長する時期のため ネット上げ等の管理が遅れないようにする 降雨により支柱が傾いてネットが緩みやすくなるので 早めに補強 補修を行う (2) きく 小ぎく 停滞水による根腐れを防止するため ほ場やハウス周囲の排水溝を点検し 排水対策を行う 降雨が続くと根の機能が低下し 養分吸収が悪くなるので 葉面散布剤を適宜散布し 生育の促進を図る 梅雨期には黒斑病や白さび病等の病害が発生しやすいので 薬剤散布による予防に努める 親株も同様の病害が発生しやすいので 採穂前には必ず防除を行う (3) 施設花き ( トルコギキョウ等 ) 施設周辺の排水に努め 施設内への浸水を防止する 降雨後 ほ場内の停滞水を速やかに排除するよう努める 曇雨天が続くと灰色かび病等の病害が発生しやすいので 薬剤散布の実施や施設内の通風 換気を図る 葉先枯れが発生しやすい品目は 窒素過多にならないよう施肥に注意し 発生が予測される時はカルシウム剤の葉面散布を行う (4) 自家採種している品目 ( スイートピー ラークスパー等 ) 灰色かび病 うどんこ病等が発生しやすいので 薬剤散布の実施やハウス内の通風 換気を図る 7 飼料作物 (1) トウモロコシ 耐湿性が弱く 湿害により生育不良となるので 排水不良が懸念される水田転換畑等では あらかじめ排水溝の設置や既存排水路の掘り下げなど行い 地表水を迅速に排除し 湿害防止に努める - 4 -

追肥をする場合は 播種後 25~40 日目に窒素を成分量で 10a 当たり 5kg 程度施用する (2) ソルガム 耐湿性はやや弱いので 排水不良のほ場では あらかじめ排水溝の設置等により ほ場の地表水を迅速に排除し 湿害防止に努める 一番草の刈り取り高さは 10cm 程度とし 再生を図る 幼植物には 青酸含量が多いため 草高 60cm 以上になってから利用する 8 家畜 梅雨期の畜舎内は高温多湿になりやすいので 牛舎の開放 強制換気により畜舎内の通気を良くし 湿気がこもらないようにする 牛床の汚染は乳房炎発生などの疾病の原因となるので こまめな除ふんと消石灰等の散布 敷料の交換等により 牛床を乾燥させる 畜舎周辺の排水路 堆肥舎 尿溜などの点検整備 雨どいの修理 運動場のぬかるみ化防止や薬剤散布等を行い 衛生害虫の発生を防止する - 5 -