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今さら? 今から! 猫のウイルス性疾患とつきあう 猫のウイルス性上気道疾患の症状と治療 相模が丘動物病院呼吸器科城下幸仁 Movie マークがある写真は 弊社ホームページ http://www.pharm-p.com/mvm.html にて動画でご覧いただけます Yukihito Shiroshita, D.V.M., Ph.D. 1993 年東京農工大学農学部獣医学科卒業 1994 1996 年東京農工大学家畜外科学研究室研究生 その後 2000 年に岐阜大学大学院連合獣医学研究科博士課程修了 ( 獣医学博士 ) 現在は相模が丘動物病院院長として主に呼吸器科の診療を行う傍ら 呼吸器疾患に関する各種学会 セミナーでの講演 雑誌記事の執筆なども行っている 猫のウイルス性上気道炎 猫のウイルス性上気道疾患は ワクチン接種が普及した今もなお 獣医臨床で最も一般的にみられる疾患である ネコヘルペスウイルス (feline herpesvirus: FHV-1) とネコカリシウイルス (feline calicivirus: FCV) が本疾患の原因となっている 鑑別疾患としてネコクラミジア (Chlamydophilia felis ) 感染も重要とされる 二次感染の要因として パスツレラや大腸菌など常在菌に加え 気管支敗血症菌 (Bordetella bronchiseptica ) やマイコプラズマ フェリス (Mycoplasma felis ) にも近年関心が高まっている 病因と病理 ネコヘルペスウイルスは 抗原的にはすべてのウイルス株は非常に似通っており同一の血清型 (FHV-1) に分類される 一方 ネコカリシウイルス (FCV) には 毒性と病原性が多様かつ多数の変異株が存在する 1) FHV-1は 経鼻 経口あるいは経結膜感染する ウイルスは最初に軟口蓋 扁桃 鼻甲介 結膜 ときには気管を含む上気道のいくつかの組織に感染する 感染後 24 時間以内にウイルスの排出が起こり それが1 3 週間持続する FHV-1 感染においては 好中球の浸潤とフィブリンの析出を伴った多病巣の上皮の壊死がみられ 感染細胞には封入体が認められる また ウイルスの増殖によって 鼻甲介骨の溶解が起こる 急性病変は通常 2 3 週間で治癒するが 鼻甲介の破壊は持続し それが慢性鼻炎の誘因となる可能性がある また 原発性肺疾患がみられるがまれである さらに細菌の二次感染が本疾患の病理学的変化を増強さ せ 細菌性肺炎および副鼻腔炎を引き起こす FCV も 経鼻 経口あるいは経結膜感染する ウ イルスは主に口腔および呼吸器の組織で増殖する し かし 肺や関節滑液のマクロファージに親和性を有す る株もみられる 1) FCV 感染における最も一般的な病 理像は口腔内にみられる潰瘍である それは小水疱か ら始まり その後破裂し それに伴って重なり合った 上皮の壊死と周囲および底部における好中球の浸潤が 認められ 一般に 2 3 週間以上の経過で治癒する 1) また 肺の病変がまれにみられる それは最初局在し た肺胞炎から始まり 急性の滲出性肺炎に移行したあ と 壊死性の間質性肺炎に至る 1) FCV に感染した関 節にみられる病変は 滑膜の肥厚と関節における滑膜 液の量的増加を伴う急性滑膜炎として通常みられる 1) 疫学 ( キャリアー状態 分離頻度 感染リスクファクター ) 最近の報告によると 有病無病にかかわらず猫 622 頭の 5% から FHV-1 が 26% から FCV が分離されたと いう 2) また 同母集団で気道疾患を有する猫の 11% から FHV-1 33% から FCV が分離された さらに 無症状の猫の 1% から FHV-1 21% から FCV が検出さ れた わが国における調査では 2.5 年間で動物病院 に来院した猫 111 頭の 3.6% から FHV-1 が 21.6% から FCV が分離された 3) このように近年 FHV-1 より FCV のほうが約 5 倍の有病率を示している 2 4) クラ ミジアは 結膜炎および鼻炎を示す猫の 26.9% で検出 された 3) FHV-1 または FCV 分離は 若齢猫 (4 11 ヵ月齢 ) 猫の多頭飼育 猫の気道疾患に有意に関 連していた 2) FHV-1 分離は 年齢 性別および気道 疾患と有意に関連し FCV 分離は 気道疾患および Vol.20 No.125 2011/3 17

今さら? 今から! 猫のウイルス性疾患とつきあう 感受性 ( ウイルス なし ) 11 感受性猫 抗 に感 されておら 感受性あり 急性感染 ( 患 / ウイルス ) 2 3 週間 防接種 たは 行抗体 急性感染 ( 症状あり ウイルス ) 感染 ( 的には ウイルス なし ) 1 13 日でウイルス 再 性化 ( 患 / ウイルス ) 感受性 ( ウイルス なし ) キャリアー ( 的には ウイルス ) 図 1 ネコヘルペスウイルス (FHV-1) の感染環 ( 潜伏期含む ) 一般的に急性症状後に潜伏感染キャリアーとなる しかし 母子あるいはワクチン誘導免疫で防御されると臨床徴候を示すことなく 潜伏期に入る可能性がある 図 2 ネコカリシウイルス (FCV) の感染環 ( キャリアー状態含む ) 一般的には急性症状後に無症状キャリアーとなる しかし 母子あるいはワクチン誘導免疫で防御され 臨床徴候を示すことなくキャリアーとなる可能性がある 犬との接触に有意に関連していた 2) 犬との接触で FCV 分離率が上昇するのは FCV 感染症が気管支敗血症菌 (Bordetella bronchiseptica ) との混合感染を起こしやすいことを示しているのかもしれない FHV-1あるいはFCVは 猫のコロニー内で主に次の3つの要因により存続し続ける A. 急性症罹患猫から感受性猫への直接伝播 B. 環境内に存続 両ウイルスとも猫体外では比較的短期間しか生残しないが (FHV-1で1 2 日間 FCVで8 10 日間 ) 特に閉鎖的な飼育施設内で間接伝播するには十分である C. キャリアー状態で回復猫体内に存続 キャリアー猫は広く分布しており ウイルス感染源として重要である FHV-1のキャリアー状態 ( 図 1) FHV-1は急性感染後に潜伏感染を起こす 三叉神経節に潜伏しており 潜伏感染中にはウイルスを排出することはない ウイルスの排出は 猫が狭い猫舎に入れられたり 展示会に連れて行かれたりすることなどでストレスを受けてから1 週間で始まり その後 1 2 週間程度続く したがってキャリアー猫はストレス後約 3 週間感染源となりやすく ウイルス排出時には感染症状を示すことがある ステロイド投与でもウイルスの排出が起き 発症させる可能性があるので注意が必要である なお FHV-1の胎盤感染は通常起こらない FCVのキャリアー状態 ( 図 2) FCVの急性感染後 通常 7 10 日で臨床徴候は消失する しかしながら 感染猫の多くは感染後 30 日間にわたり口咽頭内の分泌物 中にウイルスを排出する FCVキャリアーはウイルスを排出し続け やがてウイルスは自然に消失していく 感染後 75 日でウイルス排出猫はおよそ50% に減少するが 150 日経過してもウイルスを排出していた猫もわずかにいたという 1) 1. 症状 病原体 ( ウイルス株や感染量 ) と宿主 ( たとえば 一般健康状態 年齢 遺伝的素因 ) の多くの要因によって異なる 常在細菌叢と飼育環境の差および免疫状態も感染の経過に影響を与える 猫の免疫不全ウイルスおよび猫白血球ウイルスのような免疫抑制を起こすウイルスとの混合感染はより重篤な疾患を引き起こす 5 6) FHV-1 感染は 一般に特に若い猫においてFCVよりも重篤な上気道および結膜の疾患を引き起こす 通常の潜伏期は2 6 日である 猫は感染すると最初に元気消失 ひどいくしゃみ 食欲不振 発熱および重篤な眼脂と鼻汁を呈する 感染初期には 過剰な流涎もみられる 眼脂と鼻汁は水様から次第に粘液膿様へと変わる 重症例では 呼吸困難および咳の症状もみられる FHV-1 感染では口腔内潰瘍はまれである FHV-1 感染による死亡率は一般的に低く 細菌の二次感染を予防またはコントロールできれば 通常 症状は感染後 2 3 週間で消失する FCV 感染初期の症状は 2 5 日の短い潜伏期後の元気消失と発熱である FHV-1 感染に比べるとFCV 罹患猫は一般的に元気である FCV 感染の最も特徴 18 Vol.20 No.125 2011/3

猫のウイルス性上気道疾患の症状と治療 的な臨床徴候は舌の潰瘍である それは口唇および鼻 にもしばしば発生する 慢性口内炎 慢性胃炎のみを 示す猫から FHV-1 はまったく分離されなかったが FCV は 43.9% 分離され これらの症状に気道疾患など 他の症状を伴うと FCV は 70.4% の確率で分離されたと いう 4) くしゃみ 結膜炎および眼脂 鼻汁が典型的 な症状だが FHV-1 感染ほど顕著でない 流涎あるい は角膜炎は発現しない 典型的な症例では 7 10 日 後には症状が消失する 上記のような口腔と呼吸器の 典型的な症状に加え 皮膚の潰瘍 肺炎などがみられ ることがある 急性の跛行と発熱も報告されており 複数の足にみられる 1 2 日の間に回復して 関節に 長期の影響を及ぼさない 1) 近年 非常に毒性の強い 株が 悪性全身性 FCV として知られる症候群に罹患 した猫から分離された 7 8) 感染猫には 発熱 (90%) 顔面と足の浮腫 (50%) 眼脂や鼻汁 結膜炎 口腔 内潰瘍などの古典的上気道感染症 (50 %) 黄疸 (20%) 鼻出血 血便 (30 40%) が認められ 死亡 率は 50% にも達した 剖検では 肺炎 (80%) 肝腫 大 (50%) 膵炎 (10%) および心膜炎 (10%) の所 見がみられた 7) このような出血熱症状を示す猫の FCV 感染症は 北米 7) とニュージーランド 8) で流行的 発生が イタリア 9) でも同様の症例が報告されている 2. 診断 古典的症状のみを示す多くの症例では正確な病原体 を特定する必要はない 症状から FHV-1 FCV 猫 クラミジア症の大まかな鑑別が可能である ( 表 1) し かし 混合感染を起こしている細菌の同定 非定型症 状を示す FCV 変異株の検出 慢性症状に関与するウ イルスの同定とインターフェロン治療効果判定 非感 染性疾患との鑑別のためには検査が必要となる 現在 リアルタイム PCR 法が導入され 眼 鼻 口腔内スワ 表 1 猫上気道感染症の症状鑑別 FHV-1 FCV 猫クラミジア症 倦怠 +++ + + くしゃみ +++ + + 結膜炎 ++ + +++ * 流涎 ++ 目脂 +++ ++ +++ 鼻汁 +++ ++ + 口腔潰瘍 + +++ 角膜炎 + + * 持続性の場合が多い ブからFHV-1 FCV 猫クラミジア マイコプラズマ フェリス 気管支敗血症菌の遺伝子を高感度に検出できるようになっている 3. 治療 ヒトのヘルペスウイルス感染の治療に用いられている抗ウイルス薬 ( たとえば アシクロビル :acyclovir) はFHV 感染の治療には効果を示さないようである 1) 急性症状を示した猫は以下のような適切な対症療法を受けるべきである 9) 1. 細菌の二次感染を防ぐために広域性抗生物質 ( アンピシリン20mg/kg アモキシシリン20mg/ kg エンロフロキサシン5mg/kgなど) を少なくとも1 週間は投与する 摂食困難を呈する猫が多いので非経口投与かシロップ剤がよい 2. 各種ビタミン剤による支持療法は粘膜再生を促すのに有効である 3. ステロイドは治癒を遅らせ ウイルス感染を増強させるため禁忌である 4. 鼻腔うっ血除去薬を適用するよりも 気道浄化のために噴霧や蒸気吸入を行うほうがよい 5. 脱水には皮下あるいは静脈内に補液を行う 重度に あるいは長期にわたって食欲消失や脱水を起こしている症例は 食道チューブや胃造瘻チューブの設置によって栄養補給を行う必要がある 6. 罹患猫の嗅覚は減退しているため 匂いの強い食事を与える 口腔内潰瘍のために痛くて食べられない場合はベビーフードや流動食が便利である 7. 親身な看護が不可欠で 飼い主が行うのが最適である 病院での集中的看護の際には院内感染に十分注意しなければならない 8. 肺炎合併など呼吸困難の重症度に応じ酸素投与を行う 9. クラミジア症にはテトラサイクリンを投与するまた 多頭飼育の家庭においては 猫の密集度を下げ 衛生状態や換気の改善 新しい猫を入れないこと 繁殖させないことなどに注意する必要がある 9) インターフェロン治療インターフェロンは 抗ウイルス作用 抗腫瘍作用 免疫増強作用を示す 猫のウイルス性上気道疾患においてインターフェロンの投与は 急性症状の慢性化を予防する可能性があると考えられる 9) インターフェロン投与による副作用としては 感冒様症状 ( 発熱 頭痛 関節痛 筋肉痛 食欲不振 全身倦怠感 ) が知 Vol.20 No.125 2011/3 19

今さら? 今から! 猫のウイルス性疾患とつきあう られており ほかに血小板および白血球の減少が挙げられる 特に発熱は程度の差があるものの 投与された患者すべてに認められているが 一般的な非ステロイド系消炎鎮痛剤で抑制される インターフェロンは種特異性が強いため ヒトのインターフェロンを他の動物へ投与しても効果の認められない場合が多い そこで現在 遺伝子組換え型ネコインターフェロンω ( インターキャット 東レ株式会社) が猫の治療に用いられている 本剤は 1バイアル中に1,000 万単位 (10MU) を含有する凍結乾燥製剤であり 1バイアルを生理食塩液 1 2mLで溶解して用いる FHV-1 感染症野外自然発症例群に対し 3 日間連続して2.5あるいは5MU/kgを静脈内あるいは皮下に投与し 全身状態 脱水状態 食欲 飲水欲 元気 鼻汁 くしゃみ 流涎 眼炎 口内炎 呼吸様式に対し73.4% の有効率が認められた 10) 症状の軽い発症早期に投与を開始すると有効率が高くなる傾向がみられた FCV 感染症同じく野外自然発症例群に対し 診断後隔日 3 回 5MU/kg 静脈注射を続け 投与開始後 7 日目に 同じように諸症状に対し90% の高い有効率が認められた 11 12) しかし 先述の出血熱症状を示す悪性全身性 FCV 症候群に対するインターフェロンの有効性は確認されていない 4. 免疫と予防 FHV-1 感染後 6 ヵ月まで再感染に対して部分的防御を示す 生ワクチンまたは不活化ワクチンで感染防御が成立する ワクチン接種によってFHV-1の分離率は有意に減少していた 2) しかし ワクチン接種によって潜伏感染をなくすことに成功したという証拠はない FCVに自然感染した猫においては ある程度の免疫が成立するが 長期間維持されないことがある 予防接種後 FCV 症に対する免疫は10 12 ヵ月間持続するとの報告がある 1) ただし FCVの抗原性の多様性から予防接種の効果には限界があることは考慮に入れておかねばならない 5. 合併症 古典的な上気道疾患の場合 通常 適切な処置を施せば合併症を起こすことなく回復する しかし 治癒遷延化や再感染の反復で鼻炎が慢性化したり 鼻咽頭狭窄が生じたりする可能性がある 猫の炎症性喉頭疾患 猫におけるFHV-1やFCV 感染では喉頭炎を伴うことがある 一方 猫では喉頭炎単独で生じることもある 急性喉頭炎ではFHV-1やFCV 感染が関与していると考えられているが 慢性喉頭炎では現時点でこれらウイルス関与の証拠は部分的にとどまっている 13 14) 急性または慢性上気道閉塞症状を示し 腫瘍や喉頭麻痺ではなく 喉頭に急性炎症やリンパ増殖や慢性肉芽腫性炎症など多様な炎症機序によって声門を閉塞している場合 炎症性喉頭疾患 (Inflammatory laryngeal disease:ild) と近年呼称されるようになってきた 13 17) 確定診断された猫の喉頭疾患 35 例中 最も多かったのは喉頭麻痺 (14 例 ) で 喉頭腫瘍がこれに次ぎ (10 例 ) ILDはその次に多くみられた (6 例 ) ここではウイルス性上気道疾患と関連し 近年注目されてきた猫のILDについても触れることにする 猫の炎症性喉頭疾患と診断した自験例を表 2(P.26 27) に示した 1. 症状 摂食時疼痛 脱水 元気消失を伴って 吸気努力 上気道性喘鳴 単発性の乾性発咳 レッチング ( 動画 1) ゲーゲーいったり( ギャギング ) 頚伸展 開口呼吸など上気道閉塞症状を示す 病状進展の過程に 嗄声や声が出なくなる病歴がある 重篤な例では 代償不全となり横臥状態になることもある ( 動画 2) 急性型では FHV-1やFCV 感染を示唆する発熱 眼脂 流涙 口内炎 流涎を伴って上気道閉塞症状を示すことがある しかし 鼻気管炎症状や口内炎症状を伴わないこともある 痰産生咳を繰り返すこともあり 誤嚥性肺炎合併を示唆する これは咽頭分泌液の増加と吸気努力が同時に生じていることによると考えられる 慢性型では 体重減少を伴い中程度から重度の上気道閉塞症状のみを呈することが多い 急性型も慢性型も上気道閉塞が重度であれば 陰圧性肺水腫も合併し 呼吸数の増加 (40 回 / 分以上 ) もみられる これに対し犬の喉頭炎は概して軽度で支持療法のみで自然治癒してしまう 猫は喉頭刺激に対し犬よりかなり感受性が高いように思える 2. 身体検査 吸気に伴って 開口や外鼻孔開大を示し 高音調の呼吸音が聞こえることもある 触診で胸式の努力性呼吸を確認できる ( 動画 3) 上気道閉塞の重症度に応じ 20 Vol.20 No.125 2011/3

猫のウイルス性上気道疾患の症状と治療 動画 1 レッチング (00'17") 動画 2 症例 5 の呼吸症状 (00'12") 症例 1 の急性喉頭炎の猫にみられた単発性発咳とレッチング 吸気努力 呼気努力両方がみられ 呼吸数が増加していた 咽喉頭の聴診で高調な喘鳴音が聴取された この猫は肺気腫も合併しており 呼吸困難症状が重症化し起立困難となった 動画 3 症例 3 の呼吸症状 (00'23") 動画 4 症例 2 の呼吸症状 (00'09") 鼻翼開孔に伴ってわずかに開口し これは吸気時に生じていた 吸気時間の延長がみられる 吸気努力 呼気努力の両方がみられた この猫は肺疾患を伴っていなかったが 喉頭内にリンパ増殖がみられた 呼気努力も伴うことがある ( 動画 2 4) 聴診では膜型にて咽喉頭で吸気に高音調のやや不規則な喘鳴音を聴取する 肺野ではこの音が減弱して聞こえる これらの所見は閉塞性喉頭疾患の所見であり 喉頭麻痺や喉頭腫瘍と鑑別できるものではない 呼吸数増加例では 肺野にて呼吸音の増強が聴取される 可能であれば 喉頭鏡を用い喉頭を肉眼で直視し 喉頭のマス病変や喉頭周囲の浮腫 肥厚を確認する 正常猫の喉頭所見を図 3と動画 5に示した 3. 病因 急性型ではFHV-1やFCV 感染が主要因と考えられる パスツレラや大腸菌などの細菌の二次感染も悪化要因である 急性型は 喉頭膿瘍 刺激性ガス吸引 外傷 昆虫の刺咬なども原因となるかもしれない 18) 慢性型の肉芽腫性喉頭炎や喉頭内リンパ増殖の原因については気管内挿管刺激 13) や口腔内異物刺激 14) が考 えられているが未だ明らかでない 慢性型でも ワクチン未接種や猫多頭飼育 ( 症例 2 5 6) が背景にある場合があり FHV-1やFCVも関与しているかもしれない 4. 診断 病歴と身体検査から閉塞性喉頭疾患が疑われる 頚部 Ⅹ 線検査で喉頭と重なる領域に軟部組織濃度のマス像がみられることがある 13 15) ( 図 4) 同時に X 線ビデオ透視で観察すると 吸気時に喉頭が尾側に大きく動き 口咽頭の拡大がみられる ( 動画 6) 頚部超音波検査でも喉頭の動きと病変を描出できるため診断に有用である 14) さらに超音波ガイド下にて喉頭マス病変を吸引針生検し確定診断も可能となる また 喉頭内に呼吸遊動性のマス病変がみられることもある 喉頭の直接観察または内視鏡で 喉頭粘膜の著しい肥厚 喉頭内のポリープ様病変を確認する 13) さらに吸引針 Vol.20 No.125 2011/3 21

今さら? 今から! 猫のウイルス性疾患とつきあう 図 3 正常猫の喉頭の内視鏡所見左が吸気 右は呼気 披裂軟骨小角突起は明瞭に突出し表面滑沢である 左右の披裂軟骨は規則的に吸気時に大きく外転する 呼気時には間隙を残して静止し 左右対称に位置する 動画 5 正常猫の喉頭の内視鏡所見 (00'10") 披裂軟骨小角突起が明瞭に突出し表面は滑沢である 左右の披裂軟骨は規則的に吸気時に大きく外転する 呼気時には間隙を残して静止し左右対称に位置する 動画 6 症例 3 の頚部ビデオ透視所見 (00'21") 図 4 症例 2 の頚部 X 線所見喉頭部に異常陰影が認められた 吸気時に喉頭が尾側に大きく動き そのときに口咽頭がわずかに拡大した 閉塞性喉頭疾患でよくみられる所見である 動画 7 症例 4 の内視鏡所見 (00'45") 図 5 症例 1 の内視鏡所見急性喉頭炎と診断された 声帯ひだの左右不対称 声帯ひだの腫脹とわずかな褪色がみられた 急性喉頭炎と診断された 喉頭内外に過剰な分泌物 声帯ひだの左右不対称な動きと形状 声帯ひだの痙攣 声帯ひだの腫脹とわずかな褪色がみられた 生検または生検にて腫瘍性病変と鑑別する 喉頭観察時に 披裂軟骨の吸気時外転運動があれば喉頭麻痺を除外できる 内視鏡では 経過が7 日間以内の急性喉頭炎ならば 喉頭内外に過剰な分泌物 声帯ひだの褪 色腫脹と声帯閉鎖 声帯ひだの左右不対称 声帯ひだの痙攣がみられ ( 図 5 動画 7) 経過が30 日間以上ある慢性喉頭炎では 披裂軟骨および声帯ひだ周囲の粘膜腫脹 声帯ひだの褪色腫脹と声帯閉鎖 喉頭内外の 22 Vol.20 No.125 2011/3

猫のウイルス性上気道疾患の症状と治療 動画 8 症例 5 の内視鏡所見 (01'16") 図 6 症例 5 の内視鏡所見慢性喉頭炎と診断された 声帯ひだおよび披裂軟骨小角突起の周囲粘膜の腫脹 声帯ひだの褪色腫脹が認められた ( 組織所見は図 10 参照 ) 慢性喉頭炎と診断された 声帯ひだおよび披裂軟骨小角突起の周囲粘膜の腫脹 声帯ひだの腫脹とわずかな褪色 喉頭内外に分泌物増加がみられた 動画 9 症例 2 の内視鏡所見 (01'01") 図 7 症例 2 の内視鏡所見喉頭内に柔軟な多発性結節病変が観察された ( 組織所見は図 9 参照 ) 声帯ひだと披裂軟骨周囲粘膜が腫脹し 喉頭内に小隆起病変が多発し 声門を狭めている スコープが粘膜に接触すると過敏に反応し痙攣を起こす この小隆起病変に生検を行った 動画 10 症例 6 の内視鏡所見 (00'40") 図 8 症例 6 の気管支鏡所見症例 5 同様 声帯ひだおよび披裂軟骨小角突起の周囲粘膜の腫脹 声帯ひだの腫脹とわずかな褪色が認められた ( 組織所見は図 11 参照 ) 喉頭麻痺に慢性喉頭炎が合併した 吸気時に左右の披裂軟骨小角突起が声門気道内に引き込まれ 呼気時に一瞬それらは離れる 喉頭炎に伴い 声帯ひだおよび披裂軟骨小角突起の周囲粘膜の腫脹 声帯ひだの腫脹とわずかな褪色 喉頭内外に分泌物増加がみられた 分泌物増過がみられる ( 図 6 動画 8) さらに 慢性 型では喉頭内外に リンパ増殖 ( 図 7 動画 9) や慢性 肉芽腫性炎症 ( 図 8 動画 10) などを示すことがある Vol.20 No.125 2011/3 23

今さら? 今から! 猫のウイルス性疾患とつきあう 図 9 症例 2 の喉頭内結節病変の病理組織所見成熟小型リンパ球の集簇からなり 腫瘍性病変は認められなかった 炎症刺激により反応性に腫大したリンパ濾胞と考えられた 図 10 症例 5 の喉頭粘膜生検の病理組織所見軽度の炎症所見が認められた 特異性炎や腫瘍性病変は認められなかった 扁平上皮からなる粘膜上皮が軽度に過形成を示して増生していた 構成する細胞は均一で異型性はない 上皮下の間質には浮腫がみられ 炎症細胞はリンパ球が散見されるのみであった 5. 鑑別診断 上気道閉塞症状が明らかでない場合 心肺疾患の鑑別が重要となる すなわち 心原性肺水腫 気管支肺炎 間質性肺疾患などを胸部 X 線検査や動脈血ガス分析にて鑑別する 純粋な上気道閉塞性疾患の場合 血液ガス分析では肺胞低換気所見 すなわち 低酸素 高炭酸ガス血症およびAaDo2 正常 (<20mmHg) を示す 上気道閉塞性疾患に伴って肺機能障害が生じている場合でも 心肺疾患が併発していなければAaDo2は 30mmHgを超えない 19) 猫の上気道閉塞疾患で閉塞性喉頭疾患と鑑別を要するのは 鼻腔狭窄 鼻腔内異物 鼻腔内腫瘍 鼻咽頭腫瘍 鼻咽頭狭窄 鼻咽頭内異物 鼻咽頭ポリープなどの閉塞性鼻腔 鼻咽頭疾患である これらは鼻閉症状を主体とするので身体検査からも鑑別が可能だが ビデオ透視で吸気時に閉塞部位以降の鼻咽頭もしくは口咽頭が虚脱することが 閉塞性喉頭疾患とまったく異なる 図 11 症例 6 の喉頭粘膜生検の病理組織所見軽度の炎症細胞浸潤を伴った 肉芽組織の増生がみられた 重層扁平上皮からなる粘膜上皮層には肥厚はみられない 粘膜層下の間質には浮腫状の拡大がみられるが 毛細血管と線維芽細胞の増生からなる肉芽組織の形成が認められた リンパ球は形質細胞などの炎症細胞浸潤を伴い 肥満細胞も散見されていた 構成する細胞にはいずれも異型性はなかった 6. 病理組織 7. 治療と予後 喉頭の肉眼観察だけでは 炎症性病変か腫瘍性病変か判別はできない 炎症性病変なら比較的良好な予後が期待できるため 病理組織診断は重要である ILD の場合 粘膜の重層扁平上皮の肥厚 好中球 リンパ球 形質細胞 マクロファージ 肥満細胞など症例によって多様な炎症細胞浸潤がみられることが報告されている ( 図 9 11) 猫の急性喉頭炎は 痛みや呼吸困難症状が強く 輸液 酸素投与 温度管理 消炎鎮痛剤や抗生剤投与など ウイルス性上気道疾患の治療に準じてまず支持療法を始める 数日間状態の安定を待って 全身麻酔下にて内視鏡検査を行う ほとんどの場合 食欲はあるが喉頭の激しい痛みによって摂食不能となっているため 内視鏡検査後に引き続き胃瘻チューブを設置す 24 Vol.20 No.125 2011/3

猫のウイルス性上気道疾患の症状と治療 る 非経口摂食を行うことで咽喉頭粘膜への刺激なく 栄養給与できるので 喉頭炎からの回復がきわめて早 い 筆者の経験では 1 週間非経口摂食を続ければ 自 ら摂食できるようになる (P.26 27 表 2) 確定診断前にステロイドを投与してはならない ウ イルス感染や細菌感染を結局は悪化させてしまうから である 急性喉頭炎では ステロイドを使用する機会 なく 1 週間ほどの支持療法で完治する 急性型のこの ような経過は ウイルス感染の関与を強く示唆する 上気道閉塞症状が重篤である場合 救命処置として気 管切開を先行させる必要がある このとき同時に喉頭 の内視鏡検査と必要に応じ胃瘻チューブを設置する 気管切開チューブ設置後の管理をできるだけ簡便かつ 確実に行えるように ダブルルーメンのチューブを使 用したいが 最も細い規格が外径 6mm であるため 少なくともその猫の頚部気管径はそれ以上必要とされ る 治療結果を性急に求めるあまり一時的気管切開で なく 最初から永久気管瘻を設置することもあり得 る しかし 猫への永久気管瘻設置は一般に成功せず 特に ILD に対して行った場合 死亡する危険率が非常 に高いという報告があり 16) 喉頭からの分泌物が瘻孔 を閉塞することが原因と考えられている 慢性肉芽腫 性喉頭炎や喉頭内炎症性ポリープなどの慢性喉頭炎の 場合 外科切除と内科療法 ( ステロイドと抗生剤 ) を 組み合わせることで 当初は重篤な上気道閉塞を示し た猫でも十分長期間の予後が見込めるという (7 ヵ月 13) 4 年 13) 8 年 14) ) したがって はじめから気管瘻 を設置することは慎重な判断と飼い主への十分な説明 が要求される 症例 6 では 喉頭麻痺に ILD が合併し た例で重度の上気道閉塞症状を示し 喉頭外科手術は リスクが高いため 永久気管瘻を設置したがよい成績が得られなかった 症例 1では内科療法に反応する前に 食欲廃絶と呼吸困難のため残念ながら衰弱死した 症例 5では治療初期に胃瘻チューブを設置し 内科治療反応が安定するまで非経口的に栄養管理を行ったことが最終的に慢性喉頭炎を管理できた理由かもしれない したがって 猫の炎症性喉頭疾患は急性型 慢性型を問わず 治療初期に胃瘻チューブを設置し内科治療の反応を待つことで 予後が期待できると思われる 8. 合併症 喉頭粘膜のびらんが広範で重度であった例で気管支鏡検査後に喉頭炎症状が悪化した ( 症例 1) ため 気管内挿管前に肉眼で喉頭を観察しておくことが重要である さいごに 猫のウイルス性上気道疾患はFHV-1とFCVを原因とし 獣医臨床ではよく遭遇する疾患である 近年 FCVはFHV-1の約 5 倍の有病率に変遷し さらにFCV 変異株が上気道以外への強い全身性毒性を示した証拠も出てきた そのため 今後は古典的な鼻気管炎症状以外にも注意を払う必要がある 猫の炎症性喉頭疾患は軽度から重度の上気道閉塞を起こし 現在多様な原因が考慮されているが FHV-1やFCV 感染も直接または間接的にかかわっているようである 発症時に重篤な呼吸器症状を示すが 胃瘻チューブなどで初期に栄養管理を行えばその後内科管理で予後が期待できる したがって 内視鏡検査や組織診による喉頭の腫瘍性疾患との鑑別が重要である 参考文献 1) Radford A, Gaskell R, Dawson S. Feline Viral Upper Respiratory Disease. In: King L, ed. Textbook of Respiratory Disease in Dogs and Cats. St. Louis: Saunders; 2004:271-283. 2) Binns SH, Dawson S, Speakman AJ, et al. A study of feline upper respiratory tract disease with reference to prevalence and risk factors for infection with feline calicivirus and feline herpesvirus. J Feline Med Surg 2000;2:123-133. 3) Mochizuki M, Kawakami K, Hashimoto M, et al. Recent epidemiological status of feline upper respiratory infections in Japan. J Vet Med Sci 2000;62:801-803. 4) Harbour DA, Howard PE, Gaskell RM. Isolation of feline calicivirus and feline herpesvirus from domestic cats 1980 to 1989. Vet Rec 1991;128:77-80. 5) Reubel GH, George JW, Barlough JE, et al. Interaction of acute feline herpesvirus-1 and chronic feline immunodeficiency virus infections in experimentally infected specific pathogen free cats. Vet Immunol Immunopathol 1992;35:95-119. 6) Reubel GH, George JW, Higgins J, et al. Effect of chronic feline immunodeficiency virus infection on experimental feline calicivirus-induced disease. Vet Microbiol 1994;39:335-351. 7) Pedersen NC, Elliott JB, Glasgow A, et al. An isolated epizootic of hemorrhagic-like fever in cats caused by a novel and highly v i r u l e n t s t r a i n o f f e l i n e c a l i c i v i r u s. V e t M i c r o b i o l 2000;73:281-300. 8) Schorr-Evans EM, Poland A, Johnson WE, et al. An epizootic of highly virulent feline calicivirus disease in a hospital setting in New England. J Feline Med Surg 2003;5:217-226. 9) ネコインターフェロン -ω 欧州情報猫上部気道感染症. CAP 2009;240:55-62. 10) 内野富弥, 鹿野りえ, 上月茂和ら. ネコインターフェロンのフィールドに於けるネコヘルペスウイルス感染症に対する治療効果. 小動物臨床 1994;13:13-25. 11) 内野富弥, 上月茂和, つる野光興ら. ネコインターフェロンのフィールドにおけるネコカリシンウイルス感染症に対する治療効果. 小動物臨床 1992;11:11-25. 12) 内野富弥, 石井悟, 井上敬志ら. ネコインターフェロンのフィールドにおけるネコカリシウイルス感染症に対する大規模治療試験. 小動物臨床 1999;18:7-17. Vol.20 No.125 2011/3 25

今さら? 今から! 猫のウイルス性疾患とつきあう 13) Costello MF, Keith D, Hendrick M, et al. Acute Upper Airway Obstruction Due to Inflammatory Laryngeal Disease in 5 Cats. J Vet Emerg Crit Care 2001;11:205-210. 14) Taylor SS, Harvey AM, Barr FJ, et al. Laryngeal disease in cats: a retrospective study of 35 cases. J Feline Med Surg 2009;11:954-962. 15) Oakes MG, McCarthy RJ. What is your diagnosis? Soft-tissue mass within the lumen of the larynx, caudal to the epiglottis. J Am Vet Med Assoc 1994;204:1891-1892. 16) Stepnik MW, Mehl ML, Hardie EM, et al. Outcome of permanent tracheostomy for treatment of upper airway obstruction in cats: 21 cases (1990-2007). J Am Vet Med Assoc 2009;234:638-643. 17) Tasker S, Foster DJ, Corcoran BM, et al. Obstructive inflammatory laryngeal disease in three cats. J Feline Med Surg 1999;1:53-59. 18) Costello M. Laryngitis. In: King L, ed. Textbook of Respiratory Disease in Dogs and Cats. St. Louis: Saunders; 2004:335-338. 19) 城下幸仁. 呼吸がおかしい! あなたの診断は? 呼吸器編 呼吸器疾患診断のガイドライン呼吸器疾患の診断をする. CLINIC NOTE 2009;5:11-39. 20) Lesley G. King 著 多川政弘 局博一監訳 犬と猫の呼吸器疾患 p.329 p.331 インターズー(2007) 表 2 ILD 自験例 症例 No. 種類 年齢性別 体重 症状 症状継続期間 ( 日 ) 動脈血ガス分析診断方法肉眼所見診断名 1 アビシニアン 1y F BW 3.4kg レッチング発熱くしゃみ開口呼吸咳 5 ph 7.466 Pco2 29.3mmHg Po2 105.2mmHg AaDo2 8.9mmHg 内視鏡観察 声帯ひだの褪色腫脹 声帯閉鎖喉頭内外に過剰な分泌物声帯ひだの左右不対称声帯ひだの痙攣披裂軟骨 声帯ひだ周囲の粘膜腫脹 急性喉頭炎 2 DSH 14y F BW 1.6kg レッチング吸気努力食欲低下咳鳴かない 60 ph 7.34 Pco2 37mmHg Po2 99mmHg AaDo2 12mmHg 内視鏡観察生検 喉頭内に多発性小隆起病変声帯ひだの褪色腫脹 声帯閉鎖披裂軟骨 声帯ひだ周囲の粘膜腫脹 慢性喉頭炎喉頭内リンパ増殖 3 DSH 1y F BW 4.1kg 喘鳴発熱食欲廃絶元気消失流涎 3 ph 7.37 Pco2 46mmHg Po2 67mmHg AaDo2 28mmHg 内視鏡観察口腔内スワブ 喉頭内外に過剰な分泌物声帯ひだの左右不対称声帯ひだの褪色腫脹 声帯閉鎖声帯ひだの痙攣 急性喉頭炎 4 DSH 9y M BW 5.48kg 嗄声食欲廃絶皮下出血皮下気腫 7 ph 7.42 Pco2 33mmHg Po2 86 mmhg AaDo2 26 mmhg 内視鏡観察口腔内スワブ 喉頭内外に過剰な分泌物声帯ひだの褪色腫脹 声帯閉鎖声帯ひだの左右不対称声帯ひだの痙攣 急性喉頭炎 5 スコティッシュ 吸気努力 8y M 元気消失 BW 3.16kg 摂食困難胸部異常影眼脂 30 ph 7.37 Pco2 41mmHg Po2 70 mmhg AaDo2 30 mmhg 内視鏡観察生検喉頭ブラシ 披裂軟骨 声帯ひだ周囲の粘膜腫脹声帯ひだの褪色腫脹 声帯閉鎖喉頭内外に過剰な分泌物 慢性喉頭炎 6 AmSh 11y F BW 4.16kg 喘鳴食欲低下吸気努力 150 ph ND Pco2 ND Po2 ND AaDo2 ND 内視鏡観察生検喉頭ブラシ 喉頭内外に過剰な分泌物声帯ひだの褪色腫脹 声帯閉鎖披裂軟骨 声帯ひだ周囲の粘膜腫脹 慢性喉頭炎 DSH: 短毛雑種猫 AmSh: アメリカンショートヘアー ND: 実施せず FVR: 猫伝染性鼻気管炎 PEG: 胃瘻チューブ 26 Vol.20 No.125 2011/3

猫のウイルス性上気道疾患の症状と治療 微生物検査 基礎 / 合併疾患 特記事項治療転帰 生存期間 ( 日 ) ND FVR 猫多頭飼育 (2 頭 ) 猫喘息仮診断のもと プレドニゾロン 5mg を 1 日 1 回 30 日間投与していた インターキャット 2.5MU SC 抗生剤消炎鎮痛剤 治療開始後 3 日間発熱 治療開始後 10 日目に呼吸改善 >1,800d 細菌検出されず 頚部 X 線にて喉頭マスありワクチン未接種犬 1 頭と同居 プレドニゾロン 1mg/kg PO q24h 抗生剤 治療開始後 14 日後より 呼吸困難症状は消失したが 脱水と衰弱が進行し 治療開始 50 日後 死亡 50d 細菌検出されず 猫多頭飼育 (8 頭 ) 治療中 FVRI 症状あり 3 種混合ワクチン接種 PEG 酸素投与静脈輸液ネブライゼーション抗生剤消炎鎮痛剤 治療開始後 5 日目で経口摂食可能および血液ガス改善 >250d 好気性菌 (-) 嫌気性菌 (+) Propionibacterium sp. 頚部咬傷 室内外出入り自由幼少時より FVR 症状繰り返す PEG 静脈輸液抗生剤投与 治療開始後 7 日目で経口摂食可能 >420d 細菌検出されず 肺気腫 ワクチン未接種咳なし BAL にて慢性活動性炎症 FVR 症状の子猫導入時に再発 PEG 酸素投与抗生剤気管支拡張剤消炎鎮痛剤 治療開始後 8 日目で経口摂食可能 >320d ND 猫多頭飼育 (5 頭 ) 境界不明瞭の限局性喉頭麻痺胸部異常影あり 経気管支 (4 ヵ月後最鏡下肺生検にて慢性炎症と判明終診断 ) 誤嚥性肺炎歴あり ( 喉頭炎発症 2 年前 ) 症状悪化時に抗生剤消炎鎮痛剤 治療開始後 120 日目 呼吸困難が悪化し 喉頭麻痺と最終診断 気管瘻設置後 50 日目に呼吸困難で死亡 170d Vol.20 No.125 2011/3 27